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(57)【要約】 刺激性緩下剤と浸透圧性緩下剤との組み合わせによって
JP 2008-501683 A 2008.1.24 (57)【 要 約 】 刺激性緩下剤と浸透圧性緩下剤との組み合わせによって、少量の液体投入量で、腸および 結 腸 が 安 全 か つ 有 効 に 洗 浄 さ れ る 。 経 口 刺 激 性 緩 下 剤 (例 え ば 、 ビ サ コ ジ ル )を 患 者 に 投 与 し 、 生 物 学 的 に 決 め ら れ た 間 隔 の 後 に 少 量 の PEG水 溶 液 を 投 与 す る と 、 典 型 的 に は 、 多 量 の等張洗浄液または少量の高張洗浄液の摂取後に起こる、多量の制御不能な下痢を引き起 こすことなく、診断的大腸内視鏡検査のための準備において腸および結腸が洗浄される。 (2) JP 2008-501683 A 2008.1.24 【特許請求の範囲】 【請求項1】 以下の工程を含む、哺乳動物の腸および結腸を洗浄するための方法: a)該 哺 乳 動 物 に 、 有 効 量 の 刺 激 性 緩 下 剤 を 経 口 投 与 す る 工 程 ; b)該 刺 激 性 緩 下 剤 に よ っ て 腸 運 動 を 生 じ さ せ る 工 程 ; c)該 哺 乳 動 物 に 、 有 効 量 の 浸 透 圧 性 緩 下 剤 を 経 口 投 与 す る 工 程 ; お よ び d)該 哺 乳 動 物 の 該 腸 お よ び 結 腸 を 空 に し 、 そ れ に よ っ て 、 診 断 検 査 ま た は 外 科 手 術 を 可 能にするために該結腸が十分に洗浄される工程。 【請求項2】 有効量の刺激性緩下剤を投与した後に、透明な液体を哺乳動物に投与するさらなる工程 10 を 含 む 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項3】 浸 透 圧 性 緩 下 剤 が 、 室 温 で 固 体 で あ る PEGの 水 性 懸 濁 液 で あ る 、 請 求 項 2記 載 の 方 法 。 【請求項4】 有 効 量 の 浸 透 圧 性 緩 下 剤 が 、 約 50g∼ 約 400gの PEGを 含 む 約 2Lの 等 張 液 で あ る 、 請 求 項 3 記載の方法。 【請求項5】 浸 透 圧 性 緩 下 剤 が PEGの 分 割 量 で 2時 間 に わ た っ て 投 与 さ れ 、 各 分 割 量 は 、 約 8液 量 オ ン ス の 等 張 液 中 に 約 68g∼ 約 75gの PEGを 含 む 、 請 求 項 4記 載 の 方 法 。 【請求項6】 20 刺 激 性 緩 下 剤 が ビ サ コ ジ ル で あ る 、 請 求 項 2記 載 の 方 法 。 【請求項7】 ビ サ コ ジ ル の 有 効 量 が 約 5mg∼ 約 40mgで あ る 、 請 求 項 6記 載 の 方 法 。 【請求項8】 ビ サ コ ジ ル の 有 効 量 が 約 10mg∼ 約 20mgで あ る 、 請 求 項 7記 載 の 方 法 。 【請求項9】 浸 透 圧 性 緩 下 剤 が PEG3350で あ り 、 有 効 量 の 浸 透 圧 性 緩 下 剤 が 、 約 118グ ラ ム ∼ 約 210グ ラ ム の PEG3350を 含 む 約 2リ ッ ト ル の 水 溶 液 で あ り 、 刺 激 性 緩 下 剤 が ビ サ コ ジ ル で あ り 、 ビ サ コ ジ ル の 有 効 量 が 約 10mg∼ 約 20mgで あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項10】 30 以下の工程を含む、哺乳動物の腸および結腸を洗浄するための方法: a)該 哺 乳 動 物 に 、 約 10mg∼ 約 40mgの ビ サ コ ジ ル を 経 口 投 与 す る 工 程 ; b)該 哺 乳 動 物 に 、 有 効 量 の 浸 透 圧 性 緩 下 剤 を 含 む 溶 液 を 経 口 投 与 す る 工 程 ; お よ び c)患 者 に 約 16∼ 24液 量 オ ン ス の 水 を 投 与 す る 工 程 。 【請求項11】 以下を含む、大腸内視鏡検査または外科手術のために患者の腸および結腸を準備するた めの調製物: a)有 効 量 の 刺 激 性 緩 下 剤 、 な ら び に b)有 効 量 の PEGお よ び 等 張 液 を 作 る た め の 電 解 質 塩 を 含 む 、 体 積 が 約 2リ ッ ト ル 未 満 の 腸 / 結腸洗浄液 40 【請求項12】 結 腸 洗 浄 液 が 、 約 210グ ラ ム の PEG3350を 含 む 等 張 水 溶 液 を 含 む 、 請 求 項 11記 載 の 患 者 の 腸および結腸を準備するための調製物。 【請求項13】 結 腸 洗 浄 液 が 、 約 210グ ラ ム の PEG3350を 電 解 質 に 溶 解 し た 約 2Lの 等 張 液 か ら 本 質 的 に な る 、 請 求 項 12記 載 の 患 者 の 腸 お よ び 結 腸 を 準 備 す る た め の 調 製 物 。 【請求項14】 準 備 時 間 が 短 く 、 有 害 な 症 状 が 少 な い 、 請 求 項 1記 載 の 哺 乳 動 物 の 腸 お よ び 結 腸 を 洗 浄 するための方法。 【発明の詳細な説明】 50 (3) JP 2008-501683 A 2008.1.24 【技術分野】 【0001】 発明の背景 発明の分野 今 や 、 本 発 明 者 ら は 、 患 者 の 腸 (特 に 、 診 断 手 順 ま た は 外 科 手 術 手 順 の 前 の 結 腸 )を 安 全 かつ有効に洗浄するのに使用することができる新規の方法を発見している。 【背景技術】 【0002】 背景情報 臨 床 的 な 優 先 順 位 が 高 い 結 腸 直 腸 癌 (CRC)を 早 期 検 出 す る た め に 何 年 も 臨 床 研 究 が な さ 10 れ て き た が 、 こ の 疾 患 は 、 依 然 と し て 、 米 国 に お け る 2番 目 に 大 き な 癌 関 連 死 因 で あ る 。 1 999年 、 CRCが 原 因 で 推 定 60,000人 が 死 亡 し 、 CRCは そ の 年 の 3番 目 に 多 い 新 規 癌 症 例 を 占 め た。それより多い数は、男性の場合、前立腺癌および呼吸器癌、女性では、乳癌および呼 吸 器 癌 に し か 見 ら れ な い 。 研 究 者 ら は 、 1999年 の み で 129,000件 の 新 規 症 例 が あ っ た と 推 定 し て い る 。 従 っ て 、 米 国 に お い て 、 CRCを 発 症 す る 生 涯 リ ス ク は 18人 に 1件 で あ る 。 【0003】 早期癌または前悪性ポリープを検出することによって死亡率を下げることができるスク リ ー ニ ン グ 法 の 成 功 に も か か わ ら ず 、 対 象 と な る 患 者 の 約 30% し か ス ク リ ー ニ ン グ さ れ な い。この低いスクリーニング率の理由には、これらの手順を奨励し、受け入れ、そのお金 を払うことへの医師、患者、および医療提供者の抵抗が含まれる。このことは、つい最近 20 、 2002年 7月 10日 に 、 連 邦 政 府 レ ベ ル で 認 識 さ れ た 。 こ の 時 、 米 国 上 院 委 員 会 は 、 50歳 も しくはそれ以上の人またはこの疾患を発症するリスクの高い人における結腸癌検出のため の大腸内視鏡検査および他の検査を保険の対象とするように、米国の全ての民間健康保険 に求めることを可決した。 【0004】 大腸の外科手術手順または診断検査を受けている患者には、通常、この手順の前に腸か ら糞便が全て十分に無くなるように準備が行われる。これは、例えば、可能性のある塊を 診査するための外科手術または腸切除手術の間に、手術部位の汚染を最小限にするのに役 立つ。さらなる目的は、例えば、結腸癌を検出するための診断検査としての内視鏡検査の 間に、診断検査のために結腸の内面をきれいにすることである。 30 【0005】 S状 結 腸 鏡 検 査 、 大 腸 内 視 鏡 検 査 、 X線 検 査 、 腸 手 術 を 受 け る 患 者 の 準 備 、 お よ び 腸 ま た は結腸に対する他の医学的手順または診断手順では、腸および結腸から内容物を徹底的に 取り除き、きれいにすることが重要である。特に、腸粘膜を十分に視覚化するためには、 可能な限りの量の糞便を結腸から取り除くことが必要不可欠である。これは、例えば、結 腸の疾患があるかどうか患者をスクリーニングするために広く行われている診断検査であ る 軟 性 S状 結 腸 鏡 検 査 ま た は 大 腸 内 視 鏡 検 査 な ど の 診 断 手 順 の 前 に 重 要 で あ る 。 さ ら に 、 満 足 の 行 く 結 腸 X線 写 真 を 得 る た め に は 、 腸 を 徹 底 的 に 洗 浄 す る こ と が 重 要 で あ る 。 同 じ 条件が、糞便汚物の除去が患者の安全に極めて重要な外科手術のために、結腸に手術前準 備が行われる時にも適用される。 40 【0006】 CRC検 出 の た め の 手 順 の 中 で ど れ が 最 も 費 用 対 効 果 が 大 き い か と い う 議 論 が 続 い て い る が、現在、ほとんどの医師は、大腸内視鏡検査によって最も高い割合の癌が検出され、同 時に内視鏡的除去の機会が得られることに同意している。内視鏡検査のために結腸を準備 するために、現行の洗浄法は、食物摂取を少なくすることと、緩下剤、浣腸、坐剤、腸瀉 下 薬 、 ま た は 順 行 性 結 腸 洗 浄 液 (orthograde colonic lavage)の 組 み 合 わ せ を 含 ん で い る 。 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル /電 解 質 溶 液 (PEG-ELS, GoLYTELY(登 録 商 標 )ま た は SF-ELS, NuL YTELY(登 録 商 標 ))を 用 い た 順 行 性 洗 浄 液 が 、 よ く 処 方 さ れ る 調 製 物 で あ る 。 こ れ ら の 「 調 製 物 」 は 4Lの 溶 液 か ら な り 、 患 者 が 完 了 す る に は 一 般 的 に 不 快 感 を 与 え る も の で あ る 。 患 者は、多くの場合、満腹感、悪心、痙攣、および嘔吐を訴え、時として、処方されたレジ 50 (4) JP 2008-501683 A 2008.1.24 メを完了しないような重大なことを訴える。レジメの不完了は不十分な腸洗浄のよく挙げ られる原因であり、これによって大腸内視鏡検査が打ち切られることが多い。大腸内視鏡 検 査 を 受 け 、 完 了 し よ う と す る 患 者 の 意 欲 を 改 善 す る や り 方 の 1つ は 、 洗 浄 液 の 体 積 を 減 らすことであろう。 【0007】 内医師および外科医は、望ましい結腸洗浄レベルを実現するために様々な手段を開発し てきた。食事の制限、緩下剤、浣腸、および全腸洗浄液を単独でまたは一緒に使用するこ と が 用 い ら れ て き た 。 こ の 腸 洗 浄 法 の 2つ の 構 成 要 素 、 す な わ ち 、 医 学 的 手 順 を 助 け る き れいな結腸と、安全で、取り入れやすく、快適な「患者に優しい」結腸洗浄法は、現在の 医療行為において同時に達成することができていない。医師が「最もきれいな」結腸を得 10 るために発見し得るものは、何日もの絶食、緩下剤の使用、および患者による多量の液体 の摂取が必要なものかもしれない。患者が最も快適な準備レジメと認識するものでは、十 分に洗浄された結腸は得られない可能性がある。多くの場合、患者は、不便すぎるまたは 不快すぎると感じる準備レジメに従わない。さらに、多くの準備は、体内の体液および電 解質を乱すために健康リスクを生じさせる可能性がある。体液および電解質の乱れは有害 であり、一部の患者では命にさえかかわることが知られている。結腸瀉出に現在用いられ ている方法が多様にあることは、その目的を達成するための理想的な手段が無いことの証 拠である。必要とされているのは、非常に効果的で安全であると同時に、頻繁な検査のた めの服用遵守を促すために患者が忍容できる手順である。 【0008】 20 診断目的の胃腸洗浄液として使用するために、または下剤緩下剤として使用するために 、多量経口投与組成物が開発されている。このような経口投与調製物は、通常、電解質( 例 え ば 、 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 、 重 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 、 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 お よ び 塩 化 カ リ ウ ム )の 希釈液または等張液として処方される。これらの経口投与組成物は、診断目的の迅速な結 腸洗浄において有用である。これらの製剤は、ポリエチレングリコールなどの他の薬剤を 含 む こ と が あ る 。 こ れ ら の 製 剤 は 、 一 般 的 に 、 等 張 液 と し て 約 4リ ッ ト ル の 量 で 投 与 さ れ て き た 。 組 成 物 の 一 例 が 、 GoLYTELY(登 録 商 標 )(以 下 :ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル 59g、 硫 酸 ナ ト リ ウ ム 5.68g、 重 炭 酸 ナ ト リ ウ ム 1.69g、 塩 化 ナ ト リ ウ ム 1.46g、 塩 化 カ リ ウ ム 0.745g に 従 っ て 、 水 1リ ッ ト ル に 溶 解 し て 処 方 さ れ る ) (Davis et al. Gastroenterology 1980; 78:991-995)( 非 特 許 文 献 1) で あ る 。 30 【0009】 これらの製剤を具体化している市販の製品は、時として、非吸収性浸透圧剤であるポリ エチレングリコールと、患者が脱水しないように、または臨床的に重大な電解質変化を経 験しないように補充用電解質の等張混合物を使用する。この溶液は等張であるので、効果 的 な 瀉 下 を 実 現 す る た め に 、 こ れ ら の 溶 液 を 多 量 に (10分 間 ご と に 8オ ン ス グ ラ ス 1杯 ま で 、 合 計 1ガ ロ ン の 液 体 )摂 取 す る こ と が 患 者 に 求 め ら れ る 。 【0010】 このタイプの洗浄用製剤を効果的に使用するのに必要な体積の多さは、膨満、悪心、痙 攣、嘔吐、および患者の重度の不快感と頻繁に関連する。従って、これらの製剤は一般的 に有効であるが、忍容性は高くない。こまめな監視がなければ、多くの患者は完全な準備 40 経過をたどらない。 【0011】 緩 下 剤 と し て 硫 酸 ナ ト リ ウ ム お よ び リ ン 酸 塩 が 用 い ら れ て き た (緩 下 剤 と し て 使 用 す る 時 に は 、 少 量 (約 300ml)の 高 濃 度 溶 液 に 希 釈 さ れ 、 食 さ じ 大 (15ml)の 一 日 量 で 服 用 さ れ る ) 。 こ の 使 用 の 一 例 が グ ラ ウ バ ー 塩 (硫 酸 ナ ト リ ウ ム を 含 有 す る )で あ る 。 し か し な が ら 、 体 積が少ないために、このやり方で用いられると、診断手順または外科手術手順のために結 腸は十分に洗浄されない。また、これらの少量調製物はポリエチレングリコールを含まな い 。 多 量 (1ガ ロ ン )に 短 期 間 投 与 さ れ る 、 硫 酸 ナ ト リ ウ ム と ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル お よ び様々な他の塩の組み合わせは、前記のように大腸内視鏡検査または外科手術手順の前に 結腸を洗浄する有効な胃腸洗浄液である。 50 (5) JP 2008-501683 A 2008.1.24 【0012】 これらの先行技術調製物の別の欠点は、いやな、苦く、塩からい味である。これは敏感 な患者において悪心および嘔吐を促し、それによって摂取を妨げる。このいやな味を克服 す る こ と は 難 し い 。 最 も 一 般 的 な 天 然 甘 味 料 (例 え ば 、 グ ル コ ー ス 、 フ ル ク ト ー ス 、 サ ッ カ ロ ー ス 、 お よ び ソ ル ビ ト ー ル )で さ え 、 こ れ ら の 経 口 投 与 溶 液 の オ ス モ ル 濃 度 を 変 え る ことがあり、この変化は潜在的に危険な電解質不均衡の原因となる。 【0013】 多量タイプの調製物に関連する問題を避けようとして、他の研究者らは、高濃度リン酸 塩水溶液からなる摂取可能な調製物を使用している。高濃度リン酸塩水溶液は、腸の管腔 内内容物に対して極めて大きな浸透圧作用を生じさせ、従って、腸の瀉出は、水および電 10 解質が身体から結腸へ多量に流入することよって起こる。これらのリン酸塩調製物は、結 腸 瀉 下 に お い て 必 要 な 体 積 を 減 ら す 目 的 で 開 発 さ れ て い る 。 こ の よ う な 調 製 物 の 1つ は 、 基 本 的 に 、 安 定 化 さ れ た 緩 衝 水 溶 液 に 溶 解 し た 480グ ラ ム /リ ッ ト ル の リ ン 酸 二 水 素 ナ ト リ ウ ム お よ び 180グ ラ ム /リ ッ ト ル の リ ン 酸 水 素 二 ナ ト リ ウ ム か ら な り 、 商 品 名 Fleets Phosp ho-Soda(登 録 商 標 )で 販 売 さ れ て い る 。 患 者 は 、 典 型 的 に 、 3∼ 12時 間 の 間 隔 を 開 け て 、 こ の 調 製 物 の 2(2)3オ ン ス 用 量 (合 計 6オ ン ス (180ml))を 服 用 す る こ と が 求 め ら れ る 。 6オ ン ス (180ml)は 、 多 量 調 製 物 に 必 要 と さ れ る 大 量 の 1ガ ロ ン 体 積 と 比 較 し て か な り 少 な い 。 さ ら に、リン酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムの非水性錠剤またはカプセル製剤が用いられ て い る (米 国 特 許 第 5,997,906号 ( 特 許 文 献 1) 、 同 第 6,162,464号 ( 特 許 文 献 2) 、 お よ び 同 第 5,616,346号 ( 特 許 文 献 3) )。 20 【0014】 こ れ ら の 少 量 の 硫 酸 塩 /リ ン 酸 塩 溶 液 な ら び に 非 水 性 製 剤 は 、 患 者 に と っ て 臨 床 的 に 重 大 な 、 電 解 質 お よ び 体 液 の 大 規 模 な 変 化 を 引 き 起 こ す こ と が 示 さ れ て い る (US Food and D rug Administration, Center for Drug Evaluation and Research, September 17, 2001 ( 非 特 許 文 献 2) ; 2002 Physician's Desk Reference, prescribing information for Fl eet's Phospho Soda and InKine Pharmaceutical's Visicol(登 録 商 標 )( 非 特 許 文 献 3) ) 。本明細書で使用する用語「臨床的に重大な」は、正常範囲の正常な上限もしくは下限を 超えた血液化学的特性の変化または他の不都合な効果を表すことが意図される。これらの 溶液は高浸透圧性である。すなわち、溶液の電解質濃度はヒト体内の電解質濃度よりかな り 高 い 。 Fleet's Phospho-Sodaの よ う な 入 手 可 能 な 製 品 お よ び Visicol錠 剤 (リ ン 酸 ナ ト リ 30 ウ ム 塩 )の よ う な 固 形 剤 形 が 少 量 電 解 質 調 製 物 の 例 で あ る 。 こ れ ら の 製 品 は 全 て 、 患 者 に 投与した時に、臨床的に重大な電解質の乱れおよび体液の変化ならびに心臓機能および腎 臓 機 能 の 乱 れ を 引 き 起 こ す こ と が 分 か っ て い る (US Food and Drug Administration, Cent er for Drug Evaluation and Research, September 17, 2001( 非 特 許 文 献 2) )。 【0015】 少量緩下剤調製物によって起こるリスクおよび電解質の乱れを克服するために、等張性 になるように多量「洗浄」液が開発された。結腸への外科手術手順または診断手順のため に、このような等張洗浄液を用いて患者を準備すれば、患者における体液および電解質の 変 化 は 最 小 限 し か 起 こ ら な い だ ろ う 。 GOLYTELY(登 録 商 標 )、 NULYTELY(登 録 商 標 )、 お よ び CoLyte(登 録 商 標 )は 、 こ の よ う な 多 量 洗 浄 液 の 例 で あ る 。 こ れ ら の 洗 浄 液 は 等 張 性 で あ る 40 ので、投与した際に、体液および電解質の変化が患者に起こったとしても、極めてわずか であり、臨床的に重大でない。 【0016】 Davisお よ び Fordtran(Gastroenterology 78:991-5, 1980)( 非 特 許 文 献 1) は 、 4リ ッ ト ル ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル -電 解 質 腸 洗 浄 液 (GoLYTELY)を 開 発 し た 。 GoLYTELYは 、 大 腸 内 視鏡検査、バリウム浣腸、および外科手術の準備において結腸を迅速に空にする手段とし て 安 全 か つ 有 効 で あ る こ と が 示 さ れ て い る 。 GoLYTELYは 摂 取 さ れ る と 、 患 者 の 水 お よ び 電 解質のバランスを最小限しか変えずに、大量の液状糞便を生じさせる。従って、患者の結 腸 を 最 大 限 に き れ い に し た い 医 師 は 、 洗 浄 液 を 「 金 基 準 (gold standard)」 と 呼 ぶ こ と が 多い。溶液の風味を改善するために、この薬物の処方が変更されるが、多くの患者は、多 50 (6) JP 2008-501683 A 2008.1.24 量に摂取しなければならないことに嫌悪感を表している。実際に、この種の調製物によく 見 ら れ る 、 ラ ベ ル に 貼 ら れ て い る 有 害 反 応 の 多 く (例 え ば 、 悪 心 お よ び 嘔 吐 )は 体 積 効 果 に 起因し得る。理想的には、腸洗浄の質を損ねることなく、なんとかして用量を減らし、そ れによって患者の快適さを高めることが望ましい。 【0017】 20年 に わ た る 臨 床 研 究 は 、 PEGベ ー ス の 洗 浄 調 製 物 と 緩 下 剤 (最 も 注 目 に 値 す る の は 、 ビ サ コ ジ ル )を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 、 PEGベ ー ス の 洗 浄 調 製 物 の 体 積 を 減 ら そ う と 試 み て き た 。 こ れ ら の 初 期 の 試 み の 多 く で は 、 ビ サ コ ジ ル が 添 加 さ れ て も 、 溶 液 の 体 積 は 4Lに 維 持 さ れ た 。 他 の 実 験 で は 、 ビ サ コ ジ ル も 緩 下 剤 も 含 ま な い 、 さ ら に 少 量 の PEGベ ー ス 溶 液を使用する試みがなされた。一般的に、これらの試みは患者の症状を改善したが、許容 10 可能な基準以下に大腸内視鏡検査の質を落とした。 【0018】 Vilienお よ び Rytkonen(Endoscopy 22:168-170, 1999)( 非 特 許 文 献 4) は 、 大 腸 内 視 鏡 検 査 の た め に 少 量 GoLYTELYレ ジ メ と 標 準 的 な GoLYTELY調 製 物 を 比 較 し た 、 50人 の 患 者 か ら なる試験を発表した。患者が受けた洗浄レジメを知らないコロノスコピストが洗浄効力を 評 価 し た 。 検 査 前 日 に 、 患 者 全 員 に 10mgビ サ コ ジ ル を 投 与 し 、 そ の 後 に 流 動 食 を 与 え た 。 次 い で 、 検 査 の 朝 に 、 患 者 は (無 作 為 化 ス ケ ジ ュ ー ル に 応 じ て )1.5リ ッ ト ル ま た は 3リ ッ ト ル の GoLYTELYを 飲 ん だ 。 著 者 ら は 、 少 な い 洗 浄 液 体 積 を 使 用 し た 時 に 完 全 な 洗 浄 が 減 っ た と 結 論 付 け た 。 し か し な が ら 、 標 準 的 な 4リ ッ ト ル 洗 浄 液 の み と 比 較 し て 、 こ れ ら の 2種 類 の処置がどれくらい良好に腸を洗浄したかは分からない。 20 【0019】 他の著者らは、きれいで忍容性が良好な準備を実現するために、結腸洗浄モダリティー を 組 み 合 わ せ る 試 み を し て い る 。 Adamsら (Dis. Colon Rectum 37: 229-234, 1994)( 非 特 許 文 献 5) は 、 ビ サ コ ジ ル の 8時 間 後 に 2リ ッ ト ル GoLYTELYを 用 い た 準 備 と 、 「 標 準 的 な 」 4 リ ッ ト ル GoLYTELYを 用 い た 準 備 を 比 較 し た 。 こ れ ら の 著 者 ら は 、 患 者 が 検 査 の 28∼ 30時 間 前 に ビ サ コ ジ ル を 服 用 し 、 試 験 前 30時 間 以 上 に わ た っ て 透 明 な 流 動 食 に な っ た 時 に 、 腸 洗 浄 の 質 は 2種 類 の 準 備 の 間 で 同 等 で あ る よ う に 見 え た が 、 ビ サ コ ジ ル +2リ ッ ト ル GoLYTELY 法 の 方 が 忍 容 性 が 高 い こ と を 見 出 し た 。 し か し な が ら 、 ビ サ コ ジ ル +2リ ッ ト ル GoLYTELYを 服 用 し た が 、 試 験 前 30時 間 以 上 に わ た っ て 液 体 に 制 限 さ れ な か っ た 患 者 の 準 備 は 、 満 足 の ゆくものではなかった。 30 【0020】 結腸手術が予定されていた患者からなる同様の試験において、結腸洗浄の結果は視覚的 な 質 が 同 じ で あ る と 判 断 さ れ た が 、 患 者 は 不 快 感 の 程 度 の 改 善 を 全 く 見 出 さ な か っ た (Gru ndel K, Schwenk W., Bohm B, and Muller JM, Dis Colon Rectum 1997 Nov; 40(11): 13 48-52)( 非 特 許 文 献 6) 。 【0021】 緩下剤と少量の洗浄液が併用された時の医師および患者の評価の良好な組み合わせは、 他 の 試 験 で は 見 出 さ れ て い な い 。 実 際 に 、 Bokemeyer(Verdauungskrankheiten, 18:17-24, 2000)( 非 特 許 文 献 7) は 、 緩 下 剤 +少 量 の 洗 浄 液 が 、 「 少 量 の PEG洗 浄 液 と 緩 下 剤 (X-Prep )を 併 用 し た 大 腸 内 視 鏡 検 査 の 準 備 に よ っ て 、 か な り 悪 い 結 果 が 得 ら れ た 」 原 因 と な っ た 40 こ と を 見 出 し た 。 他 の 失 敗 し た 試 み に つ い て は 、 Lindお よ び Wiig(Tidsskr Nor Laegefore n 110:1357-1358,1990)( 非 特 許 文 献 8) な ら び に Bradyお よ び そ の 他 (Ann Clin Research 19:34-38,1987)( 非 特 許 文 献 9) の 研 究 も 参 照 さ れ た い 。 【0022】 洗浄液を投与した後に緩下剤を患者に投与するという代替法が試みられており、全量 洗 浄 液 を 投 与 す る こ と に 比 べ て 患 者 の 症 状 を 改 善 し な い こ と が 見 出 さ れ て い る (Clarkston and Smith J. Clin Gastroenterology 17:146-148, 1993)( 非 特 許 文 献 10) 。 【0023】 最 後 に 、 緩 下 剤 と 少 量 PEG-ELSの 同 時 投 与 は 4L PEG-ELSの み と 同 様 の 洗 浄 を 生 じ 、 患 者 の 症 状 を 少 な く し た が 、 患 者 は 抗 ガ ス 薬 (anti-gas medication)シ メ チ コ ン に よ る 前 処 置 50 (7) JP 2008-501683 A 2008.1.24 も 受 け た (Sharma et al., Gastrointestinal Endoscopy, 47(2):167-71, 1998)( 非 特 許 文 献 11) 。 【0024】 このように、他の人の試みにもかかわらず、緩下剤による前処置と少量の洗浄液を使用 した後に、患者の症状は必ずしも改善するとは限らない。この組み合わせでは、多量の洗 浄液を使用した時に得られる結腸準備と同じくらい良好な結腸準備は確実に得られない。 【0025】 さらに、少量の洗浄液と緩下剤を併用して結腸を洗浄する試みがなされており、患者お よ び 医 師 は 準 備 の た め に 長 期 間 の 絶 食 お よ び 面 倒 な 計 画 に 参 加 す る 。 例 え ば 、 Grundelら は 、 手 術 前 2日 間 、 透 明 な 液 体 お よ び ス ー プ を 摂 取 す る こ と を 患 者 に 求 め た 。 そ の た め 、 10 最小限の量の洗浄液を用いて良好な結腸洗浄が得られたことは、恐らく驚くべきことでは な い 。 Adamsは 、 検 査 前 28∼ 32時 間 、 透 明 な 液 体 の み を 摂 取 す る よ う に 患 者 に 求 め た 。 【0026】 前記のように、本発明者らが発見したものは、十分な準備と改善した患者の快適さと同 時に得ようとする以前の試みが失敗していることである。失敗の理由は、これらの試みが 、 患 者 へ の 投 薬 に お け る 重 要 な パ ラ メ ー タ (す な わ ち 、 緩 下 剤 の 摂 取 と 洗 浄 液 の 摂 取 の 間 の 期 間 、 お よ び 洗 浄 液 の 前 の 緩 下 剤 の 効 果 )を 見 落 と し た こ と で あ る 。 Adamsは 、 検 査 前 28 ∼ 32時 間 、 透 明 な 液 体 の み を 摂 取 す る よ う に 患 者 に 求 め た 。 【0027】 前 記 か ら 、 過 去 に 用 い ら れ て い た 2種 類 の 結 腸 洗 浄 法 は 、 以 前 の 試 み で は 解 決 さ れ な か 20 った重大な欠点を有することが分かる。等張液は、体液または電解質の臨床的に重大な変 化を引き起こさないとはいえ、必ず体積が大きく、患者が摂取するには難しい。高張液ま たは高濃度の非水性製剤は、時として、結腸の準備に不十分であり、より重要なことには 、電解質または体液の臨床的に重大な変化を引き起こし得る。電解質または体液の変化は 死亡の原因になることが知られている。従って、簡単にかつ都合よく投与することができ 、公知製剤の臨床的に重大な問題および不快な味を避ける、少量で経口投与される結腸瀉 下剤を有することが望ましい。従来の製剤において必要な大きな体積が無く投与すること ができ、潜在的に刺激性の他の化学物質またはオスモル濃度に影響を及ぼす可能性のある 化学物質を避ける、このような瀉下剤を有することが望ましいことも分かる。多量結腸洗 浄 液 が 出 現 し て か ら 約 20年 間 、 体 液 ま た は 電 解 質 の 変 化 を 最 小 限 に し た 、 有 効 な 少 量 胃 腸 30 洗浄調製物の発見は成功していなかった。多量洗浄液を少量に濃縮しても同じ効果は得ら れず、安全ではない。これは、成分が、必要な小さな体積に溶けないためであり、濃度が 、 危 険 な 電 解 質 変 化 が 起 こ り 得 る よ う な 濃 度 で あ る た め で あ る 。 本 研 究 の 目 的 の 1つ は 、 少量の溶液を必要とする、安全で、有効で、かつ忍容性の高い結腸洗浄法を開発すること であった。 【0028】 利用可能な結腸洗浄法は患者に最適に忍容されず、潜在的に危険な副作用を有する。今 や 、 本 発 明 者 ら は 、 診 断 手 順 ま た は 外 科 手 術 手 順 の 前 に 、 浸 透 圧 性 緩 下 剤 (例 え ば 、 ポ リ エチレングリコール) を含有する少量の溶液と刺激性緩下剤を投与することによって、結 腸を安全かつ有効に洗浄できることを発見している。 40 【0029】 【 特 許 文 献 1 】 米 国 特 許 第 5,997,906号 【 特 許 文 献 2 】 米 国 特 許 第 6,162,464号 【 特 許 文 献 3 】 米 国 特 許 第 5,616,346号 【 非 特 許 文 献 1 】 Davis et al. Gastroenterology 1980; 78:991-995 【 非 特 許 文 献 2 】 US Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research, September 17, 2001 【 非 特 許 文 献 3 】 2002 Physician's Desk Reference, prescribing information for Fle et's Phospho Soda and InKine Pharmaceutical's Visicol(登 録 商 標 ) 【 非 特 許 文 献 4 】 Vilien and Rytkonen, Endoscopy 22:168-170, 1999 50 (8) JP 2008-501683 A 2008.1.24 【 非 特 許 文 献 5 】 Adams et al., Dis. Clon Rectum 37: 229-234, 1994 【 非 特 許 文 献 6 】 Grundel K, Schwenk W., Bohm B; and Muller JM, Dis Colon Rectum 1 997 Nov; 40(11): 1348-52 【 非 特 許 文 献 7 】 Bokemeyer, Verdauungskrankheiten, 18:17-24, 2000 【 非 特 許 文 献 8 】 Lind and Wiig, Tidsskr Nor Laegeforen 110:1357-1358,1990 【 非 特 許 文 献 9 】 Brady and others, Ann Clin Research 19:34-38,1987 【 非 特 許 文 献 1 0 】 Clarkston and Smith J. Clin Gastroenterology 17:146-148, 1993 【 非 特 許 文 献 1 1 】 Sharma et al., Gastrointestinal Endoscopy, 47(2):167-71, 1998 【発明の開示】 【0030】 10 発明の概要 今や、本発明者らは、刺激性緩下剤と浸透圧性緩下剤を組み合わせて投与することによ って、少量の液体投入量で、結腸が安全かつ有効に洗浄されることを発見している。 【0031】 今 や 、 本 発 明 者 ら は 、 ま ず 最 初 に 、 刺 激 性 緩 下 剤 (例 え ば 、 ビ サ コ ジ ル )を 、 患 者 に 腸 運 動を生じさせるのに十分な量で投与し、次いで、刺激性緩下剤によって腸運動を生じさせ 、この腸運動後に、少量の浸透圧性緩下剤を患者に経口投与することによって、診断手順 または外科手術手順のために結腸を十分に洗浄できることを理解している。 【0032】 このプロトコールを使用すると、本発明者らは、刺激性緩下剤によって促進された腸運 20 動 後 に 、 患 者 が PEG水 溶 液 を 2リ ッ ト ル だ け 摂 取 す る こ と で 、 十 分 な 洗 浄 を 実 現 で き る こ と を理解している。 【0033】 本発明者らは、このレジメによって、不快感、悪心、または嘔吐などの症状が少ししか 現れずに、検査または外科手術のために結腸が十分に準備されることを理解している。 【0034】 こ の レ ジ メ に よ っ て 、 標 準 的 な 4L調 製 物 と 等 価 な 腸 洗 浄 が 得 ら れ る が 、 他 の 2L調 製 物 と 比 較 し て 改 善 し た 洗 浄 が 得 ら れ る 。 ま た 、 こ の レ ジ メ に よ っ て 、 4L調 製 物 お よ び 他 の 2L調 製物と比較して、患者の症状が少なくなり、準備時間が短くなった。 【0035】 30 例示的な態様の詳細な説明 驚 く べ き こ と に 、 刺 激 性 緩 下 剤 (例 え ば 、 ビ サ コ ジ ル )の 後 に 生 物 学 的 に 規 定 さ れ た 間 隔 を 開 け て 、 少 量 の 順 行 性 洗 浄 液 を 摂 取 す る 特 定 の レ ジ メ に よ っ て 、 腸 の 清 浄 (こ れ は 医 師 に よ っ て 判 断 さ れ る )、 短 い レ ジ メ 準 備 時 間 、 お よ び 患 者 に よ る 手 順 許 容 の 、 優 れ た 組 み 合わせが得られることが確かめられている。緩下剤および洗浄液のこのレジメによって、 緩下剤もしくは少量の洗浄液のみ、または純粋に付加的なやり方での前記の組み合わせか ら予想され得るもの、または前記の特定のレジメに従わなかった場合に予想されるものよ り優れた結果およびこれらとは異なる結果が得られる。さらに、この方法は、単独で使用 した場合より少ない体積の洗浄液の使用を可能にする。さらに、このレジメは、患者が訴 え る 最 も 一 般 的 な 症 状 の 出 現 を 少 な く す る 。 最 後 に 、 こ の 二 様 式 処 置 は 、 2種 類 の 成 分 の 40 タイミングが適切に制御されている場合に最も有利であることが発見されている。この発 見は、この投与計画の採用が当技術分野において以前に認められていなかった点で、まっ たく予想外のものである。 【0036】 こ の 発 見 は 、 大 腸 内 視 鏡 検 査 に お い て 使 用 す る た め の 改 善 し た 洗 浄 液 -緩 下 剤 レ ジ メ の 開発中になされた。従って、これらの結果は、内科医または外科医が患者にきれいな腸を 求めるどのような状況にも該当する。 【0037】 結腸を十分に洗浄するためには、制御されていない大量の下痢が必要であると考えられ てきた。今や、本発明者らは、多量の洗浄液を摂取することなく、いやな、苦く、かつ危 50 (9) JP 2008-501683 A 2008.1.24 険な高張塩溶液を使用することなく、結腸を安全かつ有効に洗浄できることを理解してい る。 【0038】 刺激性緩下剤は大腸においてリズミカルな筋肉収縮を引き起こす。有効量の刺激性緩下 剤 に は 、 ア ロ エ ,250∼ 1000mg;ビ サ コ ジ ル ,約 5∼ 80mg;カ サ ン ト ラ ノ ー ル ,30∼ 360mg;カ ス カ ラ 芳 香 流 エ キ ス 剤 ,2∼ 24ml.;カ ス カ ラ サ グ ラ ダ (Cascara sagrada)樹 皮 ,300∼ 4000mg;カ ス カ ダ サ グ ラ ダ (Cascada sagrada)エ キ ス 剤 ,300∼ 2000mg;カ ス カ ラ サ グ ラ ダ 流 エ キ ス 剤 ,0 .5∼ 5ml.;ヒ マ シ 油 ,15∼ 240ml.;ダ ン ト ロ ン ,75∼ 300mg;デ ヒ ド ロ コ ー ル 酸 ,250∼ 2000mg; フ ェ ノ ー ル フ タ レ イ ン ,30∼ 1000mg;セ ン ノ シ ド Aお よ び B,12∼ 200mg;な ら び に ピ コ ス ル フ ェ ー ト ,1∼ 100mgが 含 ま れ る 。 刺 激 性 緩 下 剤 は 、 時 と し て 、 痙 攣 、 ガ ス 、 下 痢 を 引 き 起 こ 10 し 、 習 慣 性 を 生 じ 得 る 。 も ち ろ ん 、 不 必 要 な 不 快 感 を 避 け な が ら 、 約 12時 間 未 満 の 範 囲 内 で腸運動を生じさせるために、必要に応じて、より多いまたはより少ない用量を使用する ことができる。 【0039】 ビサコジルは、便秘を治療するのに用いられる、処方箋なしで入手可能な刺激性緩下剤 である。ビサコジルは、錠剤、坐剤、および予め混合された浣腸製剤で入手することがで き る 。 ビ サ コ ジ ル 浣 腸 は 、 通 常 、 約 20分 で 腸 運 動 を 生 じ さ せ る の に 有 効 で あ り 、 坐 剤 は 、 通 常 、 約 1時 間 で 腸 運 動 を 生 じ さ せ 、 錠 剤 の 経 口 投 与 は 、 通 常 、 約 3∼ 6時 間 で 腸 運 動 を も たらす。ビサコジルは、腸および直腸を刺激して腸運動を生じさせるように働く。刺激性 緩下剤は単独では便秘を治療するのに有効であり得るが、大腸内視鏡検査または外科手術 20 手順の前に患者の結腸を満足のいくように洗浄するには有効でなかった。 【0040】 投 与 後 、 約 3∼ 約 6時 間 以 内 に 腸 運 動 を 生 じ さ せ る に は 、 約 5∼ 約 40mgの ビ サ コ ジ ル の 経 口 投 与 が 通 常 有 効 で あ る 。 腸 運 動 を 生 じ さ せ る た め に 、 約 5∼ 約 80mgの ビ サ コ ジ ル を 患 者 に 投 与 す る こ と が で き る 。 好 ま し く は 、 約 10∼ 約 20mgの 用 量 の ビ サ コ ジ ル を 使 用 す る こ と が で き る 。 妥 当 な 時 間 で 腸 運 動 を 生 じ さ せ る た め に 、 20mgの 用 量 の ビ サ コ ジ ル が 有 効 で あ ることが分かっている。 【0041】 米 国 特 許 第 5,710,183号 に 示 さ れ て い る よ う に 、 腸 運 動 、 糞 便 形 成 、 ま た は そ の 両 方 を 改 善 す る こ と に よ っ て 便 秘 を 治 療 す る 薬 剤 と し て 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル (PEG)3350が 30 単 独 で 使 用 さ れ て い る 。 PEGは ま た 、 安 全 か つ 有 効 な 緩 下 剤 を 作 る た め に 可 溶 性 繊 維 と 組 み 合 わ さ れ て い る (こ れ も 米 国 特 許 第 5,710,183号 に 示 さ れ て い る )。 PEGは 、 腸 の 機 能 を 改 善するために、または過敏性腸症候群を治療するために可溶性繊維と組み合わせることが で き る 。 便 秘 を 治 療 す る た め の PEGの 通 常 用 量 は 17∼ 34グ ラ ム PEG/日 で あ り 、 腸 運 動 の 最 も 大 き な 改 善 が 2週 間 の 治 療 後 に 見 ら れ る 。 多 量 の 下 痢 を 引 き 起 こ す こ と な く 、 24時 間 以 内 に 腸 運 動 を 1回 ま た は 2回 生 じ さ せ る た め に 、 さ ら に 大 き な 用 量 の PEGを 使 用 す る こ と が できる。 【0042】 一 例 に お い て 、 パ ッ ケ ー ジ は 、 2Lの NuLYTELYと 、 2リ ッ ト ル 容 器 の 外 側 に 取 り 付 け ら れ た 4個 の ビ サ コ ジ ル 錠 剤 20mg(各 5mg)か ら な る 。 NuLYTELY溶 液 の 各 用 量 は 、 2Lを 作 る た め に 40 、 水 の 中 に 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル 3350, NF, 210 g、 塩 化 ナ ト リ ウ ム , USP 5.60g、 重 炭 酸 ナ ト リ ウ ム , USP 2.86g、 塩 化 カ リ ウ ム , USP 0.74g、 任 意 に 、 フ レ ー バ ー 成 分 1g を含んだ。 【0043】 PEGは ま た 、 多 量 の PEGが 多 量 の 薄 い 塩 溶 液 に 溶 解 し て 投 与 さ れ た 時 に 、 結 腸 瀉 下 薬 と し て 有 効 で あ る こ と が 示 さ れ て い る 。 通 常 、 約 250∼ 約 400グ ラ ム の PEGを 約 4リ ッ ト ル の 電 解 質水溶液に溶解して患者に投与する。 【0044】 腸 運 動 を 一 晩 生 じ さ せ る た め に 、 PEGを 経 口 投 与 す る こ と が で き る 。 必 要 な 用 量 は 多 種 多 様 に あ る が 、 8オ ン ス の 水 に 溶 解 し た 約 10∼ 約 100グ ラ ム の PEGが 有 効 で あ る と 考 え ら れ 50 (10) JP 2008-501683 A 2008.1.24 て い る 。 多 量 の 下 痢 が 無 く 、 腸 運 動 を 一 晩 生 じ さ せ る た め に 、 約 68∼ 約 85グ ラ ム 用 量 の PE Gが 有 効 な こ と が 示 さ れ て い る 。 し か し な が ら 、 約 200グ ラ ム 未 満 の 用 量 の PEGの 使 用 が 腸 を十分に洗浄するとは示されていない。 【0045】 今や、本発明者らは、有効量のビサコジルを投与し、ビサコジルによって腸運動を生じ さ せ 、 そ の 後 に 、 処 方 さ れ る こ と が 多 い 4リ ッ ト ル 「 金 基 準 」 溶 液 よ り 実 質 的 に 少 な い 量 の PEG溶 液 を 投 与 す る こ と に よ っ て 、 約 3時 間 ∼ 一 晩 の 範 囲 内 で 、 患 者 に お い て 結 腸 瀉 下 を 快適に誘導できることを発見している。十分に洗浄された腸を生じる体積の、等張液に溶 解 し た PEG溶 液 が 、 有 効 量 の 浸 透 圧 性 緩 下 剤 で あ る 。 約 0.5L∼ 約 4Lの 体 積 が 有 効 で あ る と 考 え ら れ る 。 好 ま し く は 、 有 効 体 積 は 約 1.5L∼ 約 2.5Lで あ る 。 2リ ッ ト ル の 等 張 液 の 経 口 10 投与が有効であった。 【0046】 2種 類 の 実 験 を 行 っ た 。 日 常 的 な 大 腸 内 視 鏡 検 査 を 受 け て い る 患 者 を 、 異 な る 腸 準 備 処 置に割り当てた。次いで、患者に内視鏡による大腸内視鏡検査を受けさせた。全体的な臨 床印象に基づいて、医師が大腸内視鏡検査の質を「十分」または「不十分」と評価した。 医 師 は 、 使 用 し た 準 備 の 種 類 を 知 ら な か っ た 。 F38-13/14と 呼 ぶ 第 1の 実 験 で は 、 93人 の 患 者が、日常的な大腸内視鏡検査の前日に軽い朝食をとり、次いで、正午に、透明な液状の 昼 食 の 後 に 、 20mgの ビ サ コ ジ ル を 服 用 し た 。 こ の 6時 間 後 に 、 2リ ッ ト ル の NuLYTELYを 服 用 し た 。 こ の 組 み 合 わ さ れ た 処 置 を 受 け た 、 こ の 群 は 、 表 中 で は 「 bis+6時 間 +2L NuLYTELY 」 で 示 さ れ る 。 78人 の 患 者 を 含 み 、 F38-20と 呼 ぶ 第 2の 実 験 に お い て 、 本 発 明 者 ら は 、 再 20 度 、 前 記 の よ う に 20mgの ビ サ コ ジ ル を 投 与 し た 。 し か し 、 今 回 は 、 洗 浄 液 の 投 与 を 始 め る 前 に 、 6時 間 ま た は 8時 間 、 一 定 の 間 隔 を 開 け る の で は な く 、 本 発 明 者 ら は 、 緩 下 剤 を 服 用 し た 後 、 NuLYTELYを 開 始 す る 前 に 、 腸 運 動 が 起 こ る の を 待 つ よ う に 患 者 に 指 示 し た 。 こ の 組 み 合 わ さ れ た 処 置 を 受 け た 、 こ の 群 は 、 表 中 で は 「 bis+BM+2L NuLYTELY」 で 示 さ れ る 。 比 較 さ れ る 対 照 群 と し て 、 両 実 験 に お い て 同 様 に 処 置 さ れ た 188人 の 他 の 患 者 が 軽 い 朝 食 を と り 、 透 明 な 液 状 の 昼 食 を と り 、 大 腸 内 視 鏡 検 査 前 日 の 午 後 6時 に 4リ ッ ト ル の NuLYTELY を 飲 み 始 め た (便 宜 上 、 対 照 群 の デ ー タ が 本 明 細 書 に お い て 組 み 合 わ さ れ る )。 こ の 群 は 、 以 下 の 表 中 で は 「 4L NuLYTELY」 で 示 さ れ る 。 患 者 全 員 に つ い て 、 通 常 、 翌 日 の 朝 に 大 腸 内 視 鏡 検 査 を 予 定 に 組 み 込 ん だ 。 表 1に 示 し た 第 1の 実 験 で は 、 20mgの ビ サ コ ジ ル 緩 下 剤 の 約 6時 間 後 に (ビ サ コ ジ ル の 後 に 患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 せ ず に )、 2リ ッ ト ル 30 の NuLYTELY(登 録 商 標 )洗 浄 液 が 投 与 さ れ た 。 他 の 人 が 示 し て い る よ う に 、 こ の 実 験 に お い て 、 緩 下 剤 と 6時 間 後 の 2リ ッ ト ル 洗 浄 液 と の 組 み 合 わ せ (「 bis+6時 間 +2L NuLYTELY」 群 ) に よ っ て 得 ら れ る 臨 床 的 に 「 十 分 な 」 大 腸 内 視 鏡 検 査 の 準 備 は 、 全 4リ ッ ト ル 洗 浄 液 を 使 用した時と比較して少ないように見えた。この差はわずかであったが、統計学的および臨 床的に重大である。「不十分な」準備のパーセントのわずかな差でさえも、臨床的に重大 である可能性がある。なぜなら、「不十分な」準備が再準備をもたらし、大腸内視鏡検査 に関連する固有のリスクに繰り返して曝露する可能性があるためである。 【0047】 (表1) 腸 準 備 の 妥 当 性 (パ ー セ ン ト ) 40 Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-13/14 20mgビ サ コ ジ ル の 6時 間 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 【0048】 50 (11) JP 2008-501683 A 2008.1.24 し か し な が ら 、 表 1Aに 示 し た よ う に 、 刺 激 性 緩 下 剤 の 6時 間 後 に (患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 せ ず に )2L洗 浄 液 を 投 与 し た 時 、 先 行 技 術 と 比 較 し て 、 も た ら さ れ る 十 分 な 準 備 に 改 善 は 見 ら れ な か っ た 。 Adamsは 、 20mgビ サ コ ジ ル の 8時 間 後 に 投 与 さ れ る 2L PEG 溶 液 を 使 用 し た (こ れ も 、 患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 し な か っ た )。 【0049】 (表1A) Adams:20mgビ サ コ ジ ル の 8時 間 後 の 2L PEG-ELS洗 浄 液 投 与 F38-13/14:20mgビ サ コ ジ ル の 6時 間 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 10 P=0.903 (Adams vs. F38-13/14) 【0050】 表 2は 、 2L NuLYTELY+bis準 備 (患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 せ ず に 、 刺 激 性 緩 下 剤 の 6時 間 後 に 洗 浄 液 を 投 与 し た )を 受 け た 患 者 に お い て 、 準 備 関 連 症 状 が 、 4L洗 浄 液 を 服用した患者に起こった症状と比較して有意に少なくはなかったことを示している。 【0051】 (表2) 20 厄介∼重篤な準備症状 患者の% Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-13/14 20mgビ サ コ ジ ル の 6時 間 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 30 【0052】 再 度 、 表 2A (Adamsの 先 行 技 術 の レ ジ メ (患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 せ ず に 、 刺 激 性 緩 下 剤 の 8時 間 後 に 2L洗 浄 液 を 投 与 し た )と 比 較 し た )が 示 す よ う に 、 報 告 さ れ た 準 備関連症状の統計的に有意な減少が観察されたが、全ての測定では観察されなかった。 【0053】 (表2A) 40 50 (12) JP 2008-501683 A 2008.1.24 【0054】 Adamsは 、 「 不 快 感 」 な ど の 症 状 を 5点 ス ケ ー ル で 評 価 し た 。 こ の ス ケ ー ル で は 、 ス コ ア 1が 「 不 快 感 な し 」 で あ り 、 ス コ ア 5は 「 我 慢 で き な い 」 で あ っ た が 、 ス コ ア 3は 「 は っ き り し な い 」 で あ っ た 。 表 2Aに お い て 、 Adamsら に つ い て は 、 「 不 快 感 」 ス コ ア が 3ま た は そ れ以上と報告した患者を計数した。これらのスコアは、本発明者らが行った試験における 「 厄 介 ∼ 重 篤 な 」 症 状 ス コ ア と 等 価 で あ る と み な し た 。 F38-13/14試 験 に つ い て は 、 あ る 特 定 の カ テ ゴ リ ー に お い て 症 状 ス コ ア が 3ま た は そ れ 以 上 の 患 者 を 計 数 し た 。 カ テ ゴ リ ー を 5点 ス ケ ー ル で 評 価 し た 。 こ の ス ケ ー ル で は 、 ス コ ア 1が 「 な し 」 で あ り 、 ス コ ア 5が 「 重 篤 」 で あ っ た 。 ス コ ア 3は 「 厄 介 」 で あ っ た の に 対 し て 、 ス コ ア 4は 「 苦 痛 」 で あ っ た 。 【0055】 10 従 っ て 、 2リ ッ ト ル 洗 浄 液 調 製 物 (ビ サ コ ジ ル 投 与 に 反 応 し て 患 者 に 腸 運 動 が あ っ た か ど う か は 考 慮 せ ず に 、 一 定 の 間 隔 (例 え ば 、 6時 間 ま た は 8時 間 )を 開 け て 患 者 が 摂 取 す る )に よ る 洗 浄 は 、 ビ サ コ ジ ル を 含 ま な い 4L洗 浄 液 調 製 物 と 比 較 し て 臨 床 的 に 劣 っ て い る よ う に 見 え 、 2リ ッ ト ル 洗 浄 液 調 製 物 は 、 5つ の 患 者 症 状 カ テ ゴ リ ー の う ち の 1つ の 症 状 発 生 率 し か下げなかった。これらの結果は、ビサコジル投与後および洗浄液投与前に、腸運動など の生物学的に関連する事象が起こるようにすることによって、準備の質および患者の症状 を改善できるかどうかを試験するように、本発明者らを促した。 【0056】 従 っ て 、 次 の 試 験 で (F38/20)、 本 発 明 者 ら は 20mgの ビ サ コ ジ ル を 投 与 し た 。 し か し 、 今 回 は 、 洗 浄 液 の 投 与 の 前 に 、 6時 間 ま た は 8時 間 、 一 定 の 間 隔 を 開 け る の で は な く 、 本 発 明 20 者 ら は 、 (緩 下 剤 を 服 用 し た 後 )NuLYTELYを 開 始 す る 前 に 腸 運 動 が 起 こ る の を 待 つ よ う に 患 者に指示した。これによって、かなり改善した結果が得られた。 【0057】 表 3は 、 表 1に 示 し た 実 験 で の 発 見 と は 反 対 に 、 20mgビ サ コ ジ ル に よ っ て 誘 導 さ れ る 腸 運 動が起こった後でしか少量洗浄液が始められない時に「十分な」腸準備のパーセントが試 験 F-38-13/14の 結 果 と 比 較 し て 増 加 す る こ と を 示 し て い る 。 こ れ は ま た 、 「 金 基 準 」 で あ る 4リ ッ ト ル 洗 浄 液 に よ っ て 得 ら れ る 結 果 と 等 価 で あ る こ と も 証 明 さ れ た 。 表 3は 、 こ の 臨 床 プ ロ ト コ ー ル に 従 っ た 患 者 し か 含 ま な い (す な わ ち 、 協 力 的 で あ り 、 2Lの NuLytelyを 飲 む 前 に 腸 運 動 を 待 っ た 患 者 し か 含 ま な い )。 (14人 の 非 協 力 的 な 患 者 が い た 。 3/14す な わ ち 21% の 腸 準 備 は 医 師 に 「 不 十 分 」 と 判 断 さ れ た 。 こ の こ と は 、 改 善 さ れ た 準 備 の 価 値 を さ 30 ら に 裏 付 け て い る )。 【0058】 (表3) 腸準備が成功したパーセント Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-20 20mgビ サ コ ジ ル に よ っ て 誘 導 さ れ た 腸 運 動 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 40 【0059】 改 善 し た レ ジ メ の 価 値 を さ ら に 裏 付 け る よ う に 、 表 3Aは 、 本 発 明 者 ら が 発 見 し た 結 果 と 先 行 技 術 の 結 果 と を 比 較 し て い る 。 あ る 一 定 の 間 隔 を 開 け る の で は な く 、 20mgビ サ コ ジ ル の 後 に 患 者 に 腸 運 動 が 起 こ っ た 後 に 2リ ッ ト ル 洗 浄 液 を 摂 取 し 始 め る よ う に 患 者 に 指 示 し た時に、臨床的に優れた腸洗浄を得ることができる。 【0060】 (表3A) 50 (13) JP 2008-501683 A 2008.1.24 先 行 技 術 と Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-20と の 比 較 腸準備が成功したパーセント Adams:20mgビ サ コ ジ ル の 8時 間 後 の 2L PEG-ELS洗 浄 液 投 与 F38/20:20mgビ サ コ ジ ル 後 の 腸 運 動 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 P=0.02675, (Adams vs. F38/20) 10 【0061】 表 4は 、 こ の 新 た な 投 与 計 画 が 採 用 さ れ た 時 に 、 大 腸 内 視 鏡 検 査 の 質 が 改 善 さ れ る だ け で な く 、 患 者 の 症 状 お よ び 有 害 事 象 が 著 し く 減 る こ と も 示 し て い る 。 表 2に 示 し た 実 験 と 比較すると、緩下剤ビサコジルの結果として患者に完全な腸運動が起こるまで洗浄液を差 し 控 え る と 、 全 て の 症 状 測 定 に お い て 患 者 の 不 快 感 が ほ ぼ 50% 減 少 す る こ と は 明 ら か で あ る 。 こ れ ら の 5つ の 症 状 カ テ ゴ リ ー の う ち 4つ に お い て 、 統 計 学 的 な 有 意 性 が 得 ら れ た 。 【0062】 (表4) 厄介∼重篤な準備症状 患 者 (n)の % 20 Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-20 20mgビ サ コ ジ ル に よ っ て 誘 導 さ れ た 腸 運 動 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 30 【0063】 先行技術と比較して、ある一定の間隔を開けるのではなく、刺激性緩下剤の働きによっ て腸運動が起こった後に患者が洗浄液を摂取し始める時に、患者の症状が減少することを 表 5に 示 す 。 表 5は 、 F38-20に お い て 2リ ッ ト ル の 洗 浄 液 を 摂 取 し た 患 者 の 症 状 ス コ ア を 比 較 し て い る 。 比 較 を 容 易 に す る た め に 、 ビ サ コ ジ ル の 6時 間 後 に 2リ ッ ト ル の 洗 浄 液 を 投 与 し た 試 験 F38-13/14の 結 果 を 含 め た 。 【0064】 (表5) 先 行 技 術 と Braintreeプ ロ ト コ ー ル F38-20と の 比 較 症状を有する患者の% Adams:20mgビ サ コ ジ ル の 8時 間 後 の 2L PEG-ELS洗 浄 液 投 与 F38-20:ビ サ コ ジ ル に よ っ て 始 ま る 腸 運 動 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 F38-13/14:20mgビ サ コ ジ ル の 6時 間 後 の 2L NuLYTELY洗 浄 液 投 与 40 (14) JP 2008-501683 A 2008.1.24 10 【0065】 前 記 の 表 2Aの よ う に 、 Adamsら に つ い て は 、 「 不 快 感 」 な ど の 症 状 ス コ ア が 3ま た は そ れ 以 上 と 報 告 し た 患 者 を 計 数 し た 。 Adamsは 症 状 を 5点 ス ケ ー ル で 評 価 し た 。 こ の ス ケ ー ル で は 、 ス コ ア 1が 「 不 快 感 な し 」 で あ り 、 ス コ ア 5が 「 我 慢 で き な い 」 で あ っ た が 、 ス コ ア 3 は 「 は っ き り し な い 」 で あ っ た 。 こ れ ら の ス コ ア は 、 表 2Aの た め の 「 厄 介 ∼ 重 篤 な 」 ス コ ア と 等 価 で あ る と み な し た 。 F38-20お よ び F38-13/14に つ い て は 、 症 状 カ テ ゴ リ ー で 症 状 ス コ ア が 3ま た は そ れ 以 上 の 患 者 を 計 数 し た 。 症 状 は 5点 ス ケ ー ル で 評 価 し た 。 こ の ス ケ ー ル で は 、 ス コ ア 1が 「 満 腹 感 な し 」 で あ り 、 ス コ ア 5が 「 重 篤 」 で あ っ た 。 ス コ ア 3は 「 厄 20 介 」 で あ り 、 ス コ ア 4は 「 苦 痛 」 で あ っ た 。 【0066】 本発明が特定の詳細に関して説明されたが、このような詳細は、添付の特許請求の範囲 に含まれる場合を除いて、および添付の特許請求の範囲に含まれる程度まで、本発明の範 囲に対する限定とみなさなければならないということは意図されない。 【0067】 患 者 に 対 す る 、 こ の 組 み 合 わ せ ら れ た 瀉 下 剤 の 利 点 は 、 第 1に 、 前 記 の 多 量 等 張 洗 浄 液 および高張塩溶液の欠点を回避することを含む。別の利点は、先行技術と比較して、短い 準 備 時 間 で 、 安 全 か つ 有 効 な 結 腸 瀉 下 を 実 現 で き る こ と で あ る 。 第 4の 利 点 は 、 患 者 が 我 慢する不快感および症状がかなり減ることである。 30 【0068】 前 述 の 明 細 書 は 、 少 量 結 腸 洗 浄 液 と し て 有 用 な 組 成 物 お よ び 処 置 の 1つ の 態 様 、 な ら び に そ れ を 使 用 す る 方 法 に つ い て 述 べ て い る 。 他 の 刺 激 性 緩 下 剤 も PEG緩 下 剤 と 組 み 合 わ せ て 有 用 な こ と が 意 図 さ れ る 。 同 様 に 、 PEG3350が 実 施 例 に お い て 用 い ら れ た が 、 室 温 で 固 体 の 任 意 の PEGを 使 用 す る こ と が で き る 。 特 に 、 約 2500∼ 約 5000の 分 子 量 を 有 す る PEGを 使 用 す る こ と が で き る 。 約 25,000ま で の 平 均 分 子 量 を 有 す る PEGが 有 用 で あ る と 考 え ら れ る 。ある特定の状態を予防または治療するための化合物を被験体に投与する、いくつかの方 法が本明細書において開示される。本発明のこのようなそれぞれの局面において、本発明 は、具体的には、特定の状態の治療または予防において使用するための化合物、ならびに 特定の状態を治療または予防するための薬剤を製造するための化合物の使用も含むことが 40 理解されるはずである。 【0069】 同様に、典型的に、本明細書において「結腸洗浄」について言及されたが、本発明には 、 腸 管 全 体 お よ び 直 腸 (盲 腸 か ら 肛 門 ま で )の 洗 浄 に お い て 価 値 が あ る こ と が 理 解 さ れ る 。 さ ら に 、 洗 浄 液 は 、 患 者 に 洗 浄 液 を 投 与 す る 前 に 2L体 積 に 再 構 成 さ れ る よ う に 、 高 濃 度 の PEG溶 液 お よ び 電 解 質 を 含 む キ ッ ト と し て 包 装 お よ び 保 管 す る こ と が で き る 。 【0070】 例示的な態様の前述の説明は、本方法の一般的な性質を明らかにする。当業者であれば 、通常の技術の適用によって、過度の実験なく、開示された方法が容易に変更または適合 され得ることを理解するだろう。例示的な態様の説明は例示であり、限定するものではな 50 (15) JP 2008-501683 A 2008.1.24 い。本方法は例示のために詳細に説明された。当業者であれば、特定の詳細に変化を加え ることができる。 【0071】 有用なクラスまたは範囲の説明は、そのクラスまたは範囲に含まれる任意の部分範囲ま たはサブクラスの説明、ならびにそのクラスに含まれる各メンバーまたは値の別個の説明 を含む。 (16) 【国際調査報告】 JP 2008-501683 A 2008.1.24 (17) JP 2008-501683 A 2008.1.24 (18) JP 2008-501683 A 2008.1.24 フロントページの続き (51)Int.Cl. FI A61P 41/00 A61P 43/00 (2006.01) (2006.01) テーマコード(参考) A61P 41/00 A61P 43/00 121 (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM), EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG, CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ, DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M A,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW (72)発明者 カバレロ ビビアン アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 アッシュランド スパイグラス ヒル ドライブ 75 (72)発明者 デネット エドマンド ブイ. ジュニア アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ウォルポール プリマス レーン 2 (72)発明者 アロンソン ブルース エイチ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 シャロン トレイシー レーン 8 (72)発明者 ローリー ロバート エム. ジュニア アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ペンブローク ウィンターグリーン ファーム ロード 65 (72)発明者 クリーブランド マーク ブイビー アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 デュックスベリー ワシントン ストリート 238 Fターム(参考) 4C076 AA12 AA36 AA95 BB01 CC16 EE23 FF14 FF16 FF68 GG41 4C085 HH17 JJ03 KB74 LL05 4C086 AA01 AA02 BC17 FA02 MA02 MA04 MA17 NA05 NA10 NA12 NA13 ZA72 ZC75 ZC78