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第3章 公共職業訓練の現状と課題

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第3章 公共職業訓練の現状と課題
第3章 公共職業訓練の 現状と課題
第1 地域主権改革
地域主権改革の
の動向
政府は,地域のことは地域に住む住民が決めるという「地域主権改革」を内閣の最
重要課題の一つと位置付け,地域主権戦略会議を設置し,具体的な施策内容の検討を
進めています。
こうした状況の中で,県が実施主体となって公共職業能力開発施設以外の施設にお
いて行う職業訓練内容や,教育訓練の対象者その他の内容に関する基準については,
県が条例で定めることとする旨の職業能力開発促進法の改正が行なわれる予定です。
また,国は,都道府県が職業能力開発促進法の規定に基づき設置した公共職業能力
開発施設について,設置者である都道府県が自ら管理運営を行うべきものとしていた
解釈を変更し,指定管理者による管理運営も行うことができるよう門戸を広げたとこ
ろです。
地域主権改革の下で,様々な規制緩和や権限委譲が想定されていることから,今後
とも国の動向を注視しながら,県民起点に立った職業訓練の在り方について検討して
いく必要があります。
第2 雇用
雇用・
・能力開発機構の
能力開発機構の新機構への
新機構への統合
への統合
県内の公共職業能力開発施設には,県立の高等技術専門校,技術短期大学校,国立
県営の広島障害者職業能力開発校のほか,独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「雇
用・能力開発機構」という。)の設置するポリテクセンター広島(広島市)とポリテク
カレッジ福山(福山市)の2施設があります。
広島地域における離転職者訓練については,広島高等技術専門校の離転職者訓練を
廃止するなど,ポリテクセンター広島との役割分担を図っています。
また,若年者を対象とした訓練については,県東部地域にはポリテクカレッジ福山
がありますが,地域の企業ニーズを踏まえ,東部地域とは経済圏が異なる県西部地域
に,平成21年4月に技術短期大学校を開設し,県全体として「ものづくり県」を支
える高度人材の育成に取り組んでいます。
このように,本県では,これまで雇用・能力開発機構との役割分担を行ってきてお
り,引き続き新機構へ統合後の機構の在り方を踏まえながら,検討していく必要があ
ります。
また,地域の人材育成機関としての役割を担ってきた地域職業訓練センターは,雇
用・能力開発機構から地元市が引き継ぎ,その機能を維持していくこととなりました。
今後とも,職業能力開発を求める求職者等の訓練機会の喪失につながらないよう,
関係機関との連携を強化していく必要があります。
公共職業能力開発施設の配置及び定員の状況
高度職業訓練
北部
80 【学卒者対象】
県(三次校)
普通職業訓練
障害者対象訓練
40 【離転職者対象】
0
50
100
150
200
250
300
○
雇用・能力開発機構
雇用・能力開発機構
(ポリテクセンター広島)
713
技術短期大学校
県
【離転職者対象】
80
広島校
60
障害者校
西部
【学卒者対象】
140
0
100
200
300
400
500
600
700
□○
●△
○
▲
800
雇用・能力開発機構
雇用・能力開発機構
(ポリテクカレッジ福山)
140
0
140 【学卒者対象】
160 【離転職者対象】
県(福山校)
南部 ○
東部
0
50
100
150
200
250
300
80 【学卒者対象】
県(呉校)
120 【離転職者対象】
0
50
100
150
200
250
300
□:県立短期大学校
○:県立職業能力開発校
●:雇用・能力開発機構立職業能力開発センター
▲:雇用・能力開発機構立職業能力開発(短期)大学校
△:障害者職業能力開発校
第3 民間教育訓練機関等
民間教育訓練機関等の
の状況
県内専修学校,各種学校の地域別の設置状況をみると,広島地域が専修学校54校,
各種学校14校,合わせて68校と全体の約62%を,福山地域が34校と全体の約
31%を占めており,また,教育訓練を実施している民間事業者についても,広島県
職業能力開発課が把握する全84事業者のうち,広島地域が47事業者で全体の6
0%弱を,福山地域が24事業者で全体の約30%を占め,民間教育訓練機関のほと
んどがこの2地域に集中しており,他地域との間で格差があります。
このため,県においては,企業の人材ニーズがありながら,民間教育訓練機関が少
ないため,必要な人材の供給機能が果たせない地域が生じないよう,地域住民の地元
での職業訓練機会を確保する必要があります。
また,民間教育訓練機関を分野別にみると,幅広い分野で教育訓練機会を提供して
おり,多くは資格取得や教養関係の知識習得を目標としています。
ものづくり分野に係る技能習得訓練については,施設や設備にコストがかかり,採
算が取りにくいことから,民間教育訓練機関の数は極めて限られており,公共職業訓
練での対応が求められています。
こうした状況の中,県の役割は,ものづくり分野における,民間では採算性等で行
い難い技能者の育成に取り組むとともに,介護など必要な人材が不足している分野に
ついては民間を補完するものとして,民間と競合する訓練科目の見直しを進める必要
があります。
【広島県環境県民局学事課資料(平成 22 年 5 月 1 日現在)】
専修学校・各種学校の状況
工業関係
0
情報処理関係
0
教育社会福祉関係
各種学校
10
0
0
20
30
40
工業関係
1,466
情報処理関係
1,370
50
1
2,500
西部
各種学校
13
0
10
0
教育社会福祉関係
商業実務関係
240
サービス関係・その他
60
0
商業実務関係
900
2,500
南部
3
各種学校
2
5,000 7,500 10,000
(定員:人)
0
10
50
60(校)
東部
1,210
0
専修学校
40
4,000
サービス関係・その他
715
30
560
教育社会福祉関係
(定員:人)
0
20
0
情報処理関係
5,000 7,500 10,000
情報処理関係
60(校)
21
工業関係
工業関係
50
7,500 10,000
専修学校
6,017
2,500
40
(定員:人)
1,958
0
30
北部
5,000
9,279
サービス関係・その他
20
60(校)
教育社会福祉関係
商業実務関係
10
230
14
0
各種学校
0
サービス関係・その他
54
2
220
商業実務関係
専修学校
専修学校
2,500
5,000
7,500 10,000
(定員:人)
20
30
40
50
60(校)
第4 高等技術専門校等訓練科目
高等技術専門校等訓練科目の
の状況
高等技術専門校及び技術短期大学校では26の訓練科を設置し,延べ定員ベースで
年間760人の訓練生を受け入れています。
このうち,学卒者訓練では18(69%)の訓練科に440人(58%)の訓練生
を,離転職者訓練では8(31%)の訓練科に320人(42%)の訓練生を受け入
れており,訓練分野別では,18の訓練科が技能系の訓練を,8の訓練科が事務系の
訓練を行っています。
企業ニーズや景気の変動等により,労働力の需給動向が大きく変化しており,この
ような変化に柔軟に対応するため,平成20年度から段階的に施設内訓練に民間活力
を導入し,平成22年度には,離転職者を対象とした施設内の訓練全てに民間活力を
導入しており,また,民間教育訓練機関や民間事業者等の委託訓練も実施しています。
今後,民間教育訓練機関等の更なる活用を検討するとともに,民間との競合や企業
ニーズ等を踏まえながら,民間活力を導入した施設内の離転職者訓練の見直しや委託
訓練の執行体制について検討していく必要があります。
平成22年度高等技術専門校等の訓練科目状況
校
訓練科名
名
短 生産技術科
制御技術科
大
2科
定 学 卒 者○ 技能系△ 校
定 学 卒 者○
訓練科名
員 離転職者● 事務系▲ 名
員 離転職者●
○
△
溶接加工科
○
20
40
○
△
機械システム科
○
20
40
電気設備科
○
20
80 ○2 科(80) △2 科(80)
自動車整備科
○
40
板金加工科
○
△
住宅リフォーム科 20
○
20
福
広 電気設備科
○
△
情報システム科
○
20
20
山
○
△
住宅設備メンテナンス科 ※ 40
●
島 建築インテリア科 20
介護サービス科 ※ 40
●
3科
60 ○3 科(60) △3 科(60)
OAビジネス科 ※ 40
●
溶接加工科
○
△
医療介護事務科 ※ 40
●
20
機械システム科
○
△
20
○6 科(140)
10 科
300
●4 科(160)
住宅リフォーム科 20
○
△
情報システム科
○
▲
溶接加工科
○
20
20
呉
ビルメンテナンス科 ※ 40
●
△
自動車整備科
○
40
三
OA ビジネス科 ※ 40
●
▲
建築インテリア科 20
○
次
介護サービス科 ※ 40
●
▲
OA ビジネス科 ※ 40
●
○4 科(80) △4 科(100)
○3 科(80)
7科
4科
200
120
●3 科(120) ▲3 科(100)
●1 科(40)
総 計
注)※は民間活力を導入した施設内訓練
学
卒
者
○
技能系△
科数
定員
離転職者●
事務系▲
○
18 科(440)
△
18 科(480)
26 科
760 人
● 8 科(320)
▲ 8 科(280)
技能系△
事務系▲
△
△
△
△
△
▲
△
▲
▲
▲
△6 科(160)
▲4 科(140)
△
△
△
▲
△3 科(80)
▲1 科(40)
第5 広島障害者職業能力開発校訓練科目
広島障害者職業能力開発校訓練科目の
の状況
広島障害者職業能力開発校では,施設内訓練として,身体障害者等を対象とした5
の訓練科,知的障害者を対象とした1の訓練科を設置し,延べ定員ベースで年間14
0人の訓練生を受け入れています。
また,民間教育訓練機関,企業,社会福祉法人等を委託訓練先として活用した,様々
な障害の態様や企業ニーズを踏まえた多様な委託訓練を実施し,障害者に対する職業
能力開発を推進しています。
県内の公共職業安定所における障害者の新規求職申込件数は,近年増加傾向にある
一方,障害者就職件数はほぼ横ばいで推移しており,障害者の就労促進を図るため,
今後とも,関係機関と連携を図りながら,障害者の態様に応じた多様な職業訓練を推
進する必要があります。
特別な支援を要する重度視覚障害者等を対象とした職業訓練についても,受け入れ
に向けた環境整備等の検討を行う必要があります。
平成22年度広島障害者職業能力開発校の訓練科目状況
校
名
広
島
障
害
者
職
業
能
力
開
発
校
定
員
訓練科名
技術科
情報システム科
Web デザイン科
OA 事務科
オフイスビジネス科
総合実務科
6科
CAD
対 象
30
20
20
身体障害者等
20
20
30
知的障害者
140
県内の障害者の新規求職申込件数及び就職件数
【広島労働局資料「平成 21 年度障害者職業紹介状況」】
(件数)
就職件数
新規求職申込件数
3,500
3,000
2 ,4 3 2
2,500
1 ,9 6 2
2 ,1 1 1
2 ,5 1 2
2 ,6 9 2
3 ,0 4 7
3 ,0 5 9
1 ,1 9 0
1 ,2 3 6
H20
H21
2 ,6 1 1
2 ,1 0 8
2,000
1,500
1,000
760
858
937
1 ,1 1 0
1 ,1 6 5
H16
H17
1 ,2 5 7
1 ,2 9 0
H18
H19
500
0
H13
H14
H15
(年度)
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