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本文ファイル - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ

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本文ファイル - 長崎大学 学術研究成果リポジトリ
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
<論文>スコットランドにおける都市環境政策に関する一考察
Author(s)
山下, 潤
Citation
長崎大学総合環境研究 2(2), p.11-28; 2000
Issue Date
2000-12-25
URL
http://hdl.handle.net/10069/5400
Right
This document is downloaded at: 2017-03-30T04:53:30Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
長崎大学総合環境研究 第 2巻 第 2号 p
p.
l
l-2
82
㈱ 年1
2月
ス コツ 1
.ラン ドにおける
都市環境政策に関す る一考察
山 下
潤
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以下EUと略) に よる英 国の環境政策- の影響
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である。EUなかで も、後述す る ように、唯一法案
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提 出の権 限 を有す る欧州委員会 は、EU加盟各 国の
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環境政策 に強力 な影響 を及ぼ している。 特 にその下
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下 で はDGXIと略)が示 した政策 は英 国 に限 らず、
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EU加盟各 国の環境政策 に少 なか らぬ影響 を及ぼ し
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ている。 加 えて、上述 した国家 レベルでの政策だけ
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でな く、英国における地域 レベルの環境政策 に関 し
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て もDGXI
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持続可能な都市 (
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)の創造や、都市
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の持続可能 な発展 (
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)
の達成 を、政策上の 目的 としている。 しか しこれ ら
の概念 は著 しく抽象的であるため、加盟各国に対 し
Ⅰ. は じめに
て具体的な政策事項 を示す必要がある。 したが って
この よ うな都 市 環 境 政 策 を具 体 化 す る段 階 で 、
持続可能 な発展 を標模 し、 これを具体化す るため
DGXIは先導的 な役割 を果 た している といえる。 と
の行動計画 としてのアジェンダ2
1を採択 した1
9
9
2
年
の提案 に基づ き欧
くに都市環境 に関 しては、DGXI
の国連環境開発会議 (
通称地球サ ミッ ト) を晴夫 と
州委員会が1
9
91
年 に創設 した、都市環境 に関す る専
す る一連の国際機関による環境関連の方針や政策が
門家集団 (
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世界各 国の環境政策 に及ぼ した影響 は多大であ り、
下都市環境専 門家集団 と略)による活動が活発であ
英国の場合 もその例外ではない。すなわち英国にお
る。一方DGXI
や都市環境専 門家集団によって示 さ
ける国家 レベルの環境政策 に着 目した場合、地球サ
れた理念 を具体化す る段 階では、EU予算 の三割 を
ミッ トや他の国際機関による影響 は大 きく、その例
占める欧州地域 開発基金 とい う潤沢 な資金源 を背景
としては、国連の持続可能な開発委員会や、都市環
に して、地域政策理事会 (
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lXⅥ:
境 に限 って は 1
996年 に第 2回 国連 人 間居 住 会 議
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n,以下ではDGm と略)
が各種の試験事業 を展開 し、持続可能な都市建設の
(
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,通称都市サ ミッ ト) を開催 した国連
人間居住セ ンター等があげ られる。 ここで特記すべ
原動力 となっている。 なお英国の環境政策 に関する
きことは、 この ような国際機関のなかで も、欧州連
EUの各機関 とその他の国際的なNGOの影響 に関 し
受領年月 日 平成 1
2年 5月 8日
2
年 9月1
8日
受理年 月 日 平成 1
長崎大学環境科学部助教授
総合環境研究 第 2巻 第2
号
-i
l
HI
・
山下
潤
ガスの流出事故、英国-の放射性物質の飛来をもた
ては、次章で詳述する。
上述 したように国家 レベルの環境政策が国際機関
らした1
9
8
9年のチェルノブイ リ原発事故等がある
。
による影響 を受ける一方で、英国の地域 レベルの環
このような事故 を契機 として英国で打 ち出された環
境政策は、基本的に中央政府の指導の もとで推進 さ
9
5
6
年 と1
9
6
8年
境政策 として、大気汚染 に関 しては1
れている。 したがって本論 目的は、EUの中での英
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)が施行 された。
に空気清浄法 (
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国 とい う地域的な枠組みの中で、持続可能な都市の
989年 に水 道法 (
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また水 質汚濁 に関 しては1
建設 に向けた地方 自治体 による地域環境政策への取
Act
)が施行 され、 これ に ともなって国家河川局
り組み を概観す ることにある。なお概観す る際に、
ローカル ・アジェンダ2
1を中心 としたスコッ トラン
(
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y,現在は環境庁 に統合)が
設立 された. また廃棄物処理 に関 しては、1
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鮒年の
ドにおける地域環境計画 に焦点 をあてる。 周知の と
環境保護法 (
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)の施行
お り英国はイングラン ド、ウェールズ、スコッ トラ
にともない、廃棄物処理 と廃棄物 に関する規制 に関
ン ド、北 アイルラン ドの4地域 で構成 されてお り、
9
9
5
年の環境法
する行政機能が環境庁 に移 された。1
各々独 自の法体系 を有 し、この法体系 を背景 として
(
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t
)施行後は、廃棄物の規制 に関す
各種の政策が策定 ・実施 されている。 したがって英
る機能が環境庁 に移 り、廃棄物の収集の機能だけが
国全域 と各地域で実施 されている政策 を明確 に区別
地方 自治体 に残 された。
するため、以下では、英国の中央政府 と各地域の中
このように英国の環境政策は国内外の状況 に大 き
央政府 を次のように表記する。すなわち英国政府が
く左右 されて進展することで特徴づけられ、英国の
連合王国中央政府 をさす こととし、イングラン ド政
環境政策は常 に消極的かつ受け身の立場で進め られ
府、 ウェールズ政府、スコットランド政府、北 アイ
て きた といえ、このような英国政府の消極的な態度
ル ラン ド政府が各地域 の中央政府 をさす ことにす
9
8
9
年のブルン トラン ド報告者刊行以降で もみ ら
は1
る1
)
。
9
7
2
年 にス トックホルムで国連人間
れる。 たとえば1
環境会議が開催 された後 に、 これを受けるかたちで
EU (
当時のEC)が1
97
3-1
97
6年 を計画年度 とした
Ⅰ.国家 レベルの環境政策への国際組織の影響
『第 1次環境行動計画』 を1
97
3年 に打 ち出 したが、
英国の環境政策は、その全般 にかかわる領域 と、
この行動計画によって英国の環境政策が前進 され2
)
、
都市 における持続可能な発展や持続可能な都市の創
この ような消極性 は、国際機関による環境政策 と英
造 に向けて、都市域 に特化 した領域の 2領域で国際
国国内の主要な環境政策 を対照 した場合、 より鮮明
組織 の影響 を受けている。 前者 は主 にEU以外の国
。すなわち1
9
87
年 に環境 と開発 に関
となる (
表 1)
際機 関 による影響が強い領域 であ り、一方後者 は
する世界会議が開催 され、 この会議の成果 としてブ
EU組織 による影響が強い領域である。 したが って
ルン トラン ド報告書が表 されている。 この報告書の
以下ではこれ らの 2領域 について詳論する。
1
世紀の地球規模での環境問題 を解 く鍵 とし
中で、2
て 「
持続可能な発展」の概念が明示 され、 この報告
1.環境政策全般への影響
1
9
6
0-7
0年代の 日本 における公害対策 と同様 に、
1
9
7
0年前後 に国内外で発生 した環境問題 を契機 とし
書で示 された持続可能な発展の定義が環境関係の各
て イ ギ リス の 環 境 政 策 は進 展 す る こ とに な る
の概 念 を基礎 と して 、1
990年 に 『
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)
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以下共通財 と略) と遺 された自書3)
種の文献で最 も広 く引用 されていることは周知の と
お りである。 この報告書で示 された持続可能な発展
なわち国内で生 じた環境問題の典型例 は、燃料 とし
(
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9
9
0)が英国政府か ら刊行 され、こ
9
6
0年代 に英国の都市
て石炭の利用が顕著であった1
れにより、初めて英国全土 を網羅する包括的な環境
周辺で頻繁 に観察 されたスモ ッグであ り、一方海外
政策が示 されるこ とになった (
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の環境問題 としては、1
9
7
6
年 にイタリア北部のセペ
1
9
9
8)
。 この自書の刊行 に関 してはブル ン トラン ド
ソにあった農薬工場の爆発事故 によるダイオキシン
報告書の影響が大 きいことは明 らかであるが、これ
9
7
8年 にフランス沖で
を含む有毒 ガスの流出事件 、1
まで環境政策に前向 きな態度 を示 さなかった保守党
起 こったアモ コ ・ガデ イス号 による原油流失事故、
が、「
地球の擁護者であるだけで な く、来る世代 に
1
9
8
4年 にイン ド中央部のボーパールで生 じた殺虫剤
とっては地球の保護者であ り監督者で もある」 とい
製造工場の火災 により、死者三千余名 に伴 った有毒
う当時のサ ッチャー首相の言明により、党の方針 を
-1
2-
スコットランドにおける都市環境政策に関する一考察
表 1 EUを除 く国際機関 と英国の環境政策の比較
EUを除 く国際機 関
英
国
1
9
7
2
年 国連人間環境会議
(
1
9
7
3
年 第 1次E
C環境行動計画)
1
9
8
7
年 環境 と開発 に関す る世界会議
1
9
8
8年 サ ッチ ャー首相 に よる保 守党 の環境保 全
ブル ン トラン ド報告の刊行
"
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"の出版
に対す る肯定的な見解の表明
1
9
9
2
年 環境サ ミッ トの開催
1
の採択
アジェンダ2
1
9
9
6年 都市サ ミッ ト (
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n 0)の開
催 (これ と前後 して リオ ・クラス ターの
開催)
1
9
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年
アジェンダ2
1
の フォローア ップとして
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X沿"の刊行 (
UNEP)
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也eUK"の出版
1
9
9
7
年 ブ レア首相 に よる国連総会 での全 地方 自
治体でu 2
1
を策定す ることの表明
1
9
9
9
年 "UK S
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gy"の改 訂 版 とい え る "A
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"の刊行
同 年 "
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heUK"の改訂版 とい える "
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"の刊行
同
年
ス コ ッ トラン ドの地方 自治体 によるI
A 21
の進捗状況 を示 した
出版
"
Cha
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s
"の
大 きく転換 させたことによる影響 も無視で きない。
ではないため、 目新 しさに欠ける内容であった。た
ただこの自書の内容は旧来か らの自然環境保全や公
害対策の枠組みを脱 してお らず、ブルン トラン ド報
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だこの ような指摘 があるが、以前 より "
nEu
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"と称 され (
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rd
,1
9
9
8
)
、旧来
告で示 された持続可能な発展の内容 を十分 くみ とっ
か らの保守党による環境政策 に対する姿勢で もみ ら
ているとは言いがたい。その後 『
共通財』で示 され
れたように、他のE
U加盟国に比べて環境政策 に関
た政策の進捗状況が 5回にわたって表わされている
して遅れがちであった英国にとって 『
英国の戦略』
が
(
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6
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)
、こ
れ らの刊行物 をみる限 り、政策上の著 しい展開はみ
られなかった
(
Vo
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n,1
9
9
7
)
。
は環境政策上のメルクマール といえる その後 『
共
。
通財』が刊行 された際 と同様 に、『
英国の戦略』で
示 された環境 政策 の進捗状況 を測 る一助 として、
9
9
2
年
ついでこれ らの刊行物の出版 と前後 して、1
1
9
9
6年 に英国における持続可能な発展 を測る指標が
1
世
に地球サ ミットが開催 され、上述 したように、2
1
領域 にわ た る 1
20の持 続 可 能性 指標
示 され 、2
紀 における持続可能な発展 を具体化する行動計画 と
してアジェンダ2
1
が、地球サ ミッ トの際に採択 され
(
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ndi
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)が提示 された (
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Br
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in,
a
1
9
9
6
b) これ らの指標 を用いて、持続可能
た 。 アジェ ンダ2
1を受 けて英 国政府 は1
9
9
4年 に
性 に関る過去数十年間の状況 と現状が吟味 され、英
『
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』(
以下英
Gr
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Br
it
in,1
a
9
9
4
b)
国の戦略 と略)と題 した白書 (
国の持続可能な発展 に逆行する状況が約三割の指標
を刊行 し、英国における将来的な環境政策 を展望 し
境行動計画である 『
英国の戦略』を刊行することで、
。
によって明 らかにされた。その後、国家 レベルの環
ている
。『英国の戦略』の内容 は持続可能な発展の
アジェンダ2
1
に対応 した英国は、地域 レベルの環境
概念の一部である経済発展 と環境保全の調和 を指摘
1
の策定へ と
行動計画であるローカル ・アジェンダ2
しているものの、環境行動計画 としてのアジェンダ
環境政策の重点を移行 した。このような英国におけ
2
1と異な り、具体的な行動 に欠ける上 に、『共通財』
1
9
9
6
年 まで に地球サ ミッ ト
1を策定すべ き
の参加各国がローカル ・アジェンダ2
1
の第2
8
章で求め られたことと
ことが、アジェンダ2
で示 された大気汚染対策、水質汚濁対策、廃棄物処
理 といった旧来か らある環境政策の枠 を越 えるもの
る環境政策の移行 は、
号
総合環境研究 第 2巻 第2
-1
3-
∫
山下
潤
深 く係わっている。 しか し保守党政権 に代 わ り、労
に向けた政府の姿勢 を国民 に意識 して もらうとい う
働党政権下で首相 となったブレアによる以下のよう
意図か ら、1
9
9
6
年の政府刊行物で示 した持続可能性
な発言 の影響 は大 きい と考 え られ る。す なわち、
指標 を-新 し、『
生活の質』で持続可能な発展 の全
「
2
0
0
0年 までに英国内のすべての地方 自治体が ロー
4の主要指標 (
he
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dl
he
体 を網羅すると考 えられる1
カル ・アジェ_
ンダ2
1を策定することを望む」 とい う
i
ndi
ca
t
or
s
) と持続可能な発展 にかかわる経済 ・社
1
9
9
7
年の国連総会での発言である。 このため、現在
会 ・環境等の環境政策の各論 を評価するための1
5
0
0
∝)
年1
2月1
5日を目標 としてロ
英国の地方 自治体 は2
の コア指標 (
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or
s
) を示 した。 また r
生
ーカル ・アジェンダ2
1
の作成過程 にある。 さらに地
活の質』の刊行 と同時に、持続可能性指標 を環境政
球サ ミッ ト後 に開催 された一連の リオ ・クラスター
Mo
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or
ingp
r
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T
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S
S
』 と遺
策各論 ごとにまとめた 『
の一角 をなす都市サ ミッ トが1
9
9
6年 に開催 され、 こ
したファク トシー トを刊行 し、英国政府だけでな く
の会議では貧困や衛生等 と関連 した都市域での居住
英国国内の 4地域の中央政府や地方 自治体政府での
環境が議論 された。 この会議の際に、都市の持続可
De
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,
利用 を促 している (
能性や持続可能な都市の創造が、今 日的な重要課題
であることを参加各国が共通に認識 した。 このこと
Tr
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por
ta
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heRe
io
g
ns
,1
9
9
9)
。 したがってこの
ような刊行物の出版 は近年の英国における環境政策
か ら、英国国内の都市 自治体 による環境政策の策定
への関心の高ま りを表わ しているといえる。
1
の策
や、都市 自治体 によるローカル ・アジェンダ2
いずれにしろ英国の環境政策では、旧来か らの都
定 に、 この会議が少なか らぬ影響 を及ぼ していると
市 ・農村計画でみ られたような実践的なアプローチ
考えられる。
が顕著であ り、 したがって現存する環境問題 を解決
このような国際機関の影響の もとで、地方行政監
する という実践的な側面が強調 される傾向にある と
督会議 (
I
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l Go
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rd)や
ともに、環境政策 に関するEUの指針 を基本的 に尊
ス コッ トラン ド地方 自治体協議会 (
conve
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重す る傾向にある 一方、理想的な環境 を想定 し、
S
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ide
r
s
)の ような中央政府機関の
環境政策 に対 して理念的なアプローチをとる傾向に
主導で、各地方 自治体 はローカル ・アジェンダ2
1を
ある ドイツ ・北欧諸国にみ られるような地球規模で
。
策定 している。 またその成果 を踏 まえて、各地方 自
の環境問題 を見据えた予防的な環境政策 を英国の環
治体 の ロー カル ・アジ ェ ンダ21に関す る出版物
境政策でみることはない。
(
Sc
ot
is
t
hO丘c
e,1
9
99)が刊行 された。 さらに一部
1
では、持続可能な発展の
のローカル ・アジェンダ2
2.都市環境政策への影響
概念 を基礎 として、都市計画に環境政策 を内包する
国際機関による英国国内の都市環境政第-の影響
試み (
Sc
o
t
ds
hOf
i
f
c
e,1
9
9
4
)もみれらるようになっ
をみた場合、先述 した ようにEUの影響力 は大 きい
た。環境政策に関する英国での最新の動向 としては、
一方で、EUほどではないが国際的なNGOである国
『
英国の戦略J に向けられた多 くの批判 に呼応 して、
ht
e
ma
dona
l Co
nc
u
nf
orI
.
o
c
l
a
際環境 自治体協議会 (
英国政府 は1
9
9
9年 に r
英国の戦略」の改訂版である
En
ir
v
o
nme
nt
lI
a
it
m
ia
dv
e
s
,以下I
CI
EIと略)欧州事務
r
Abe
t
t
e
rq
ua
i
l
t
yo
fl
i
i
e,以下生活の質 と略』を出版
局の影響 も少 なか らずある。 したが って以下で は
した (
Gr
e
a
tBr
it
a
n,1
i
9
9
9)
。その内容は経済、人口
EUと欧州内のNGOによる英国の環境政策-の影響
構造、教育、居住環境、犯罪発生の抑制、交通、 自
を都市環境政策分野に限って論述する。
1
の基礎 となる経済 ・社会 ・環
然環境 とアジェンダ2
EUによる都市環境政策 を詳論する前 に、EUの内
境 とい う広義の持続可能性の概念 を踏襲する内容 と
部組織 について概観する。 これは、後述するように
なってお り、「
すべ ての人のニーズ を評価 した社会
EUの都市政策は明 らかに存在するのであるが 、EU
的な発展」、「
効果的な環境保全」、「
天然資源の慎重
内には都市政策 を担当する専 門部局は存在 しないた
な利用」、「
安定 した高水準の経済発展 と雇用状況」
め、様々な部局が都市域での環境政策に関与 し、 こ
(
強調著者)の 4目標 を中心 にす えることで 『
英国
れ らの機関によって種々の提案や政策が示 されてい
の戦略J より飛躍的に内容が向上 している。 さらに
ることか ら、EUの都市環境政策-の理解 を妨 げて
『
生活の質l では持続可能性の進捗状況の計測する
いるか らである。 なおEUの都市環境政策 に着 目し
ための持続可能性指標の利用 を英国政府は重視 して
た場合、加盟各国の都市環境政策に特 に強い影響 を
お り、持続可能性指標 を用いて明 らか となる英国の
及ぼ している機 関は欧州委貞会 を構成す るDGXIと
現状 を広 く国民 に公表することで、持続可能な発展
DGm といえる。
-1
4-
スコッ トラン ドにおける都市環境政策に関する一考察
EUの行政機 関であ る欧州委員会 は、EUにおいて
Commi
s
s
i
o
n,1
9
97
a)
。 この ことか ら、加盟各 国の地
唯一法案 を提 出す る権 限 を有 し、政策 を策定 し、予
域計画 に対 す るEUの直接 的 な介入が将来的 に考 え
算 を執行 し、新 たな欧州連合法が採決 されるあ らゆ
られ るが、現在 の ところEU加盟 国全体 にかかわる
る段 階で影響力 を行使で きる。 この ことか ら、実質
r
e
gu
la
do
ns
) とい う形で、EUは直接介入 して
規制 (
的 に欧州委員会が各種 のEU政策 を決定 してい る と
いない。
い える。 一方、本来立法府 であ るべ き欧州議会 は、
9
8
7年のブル ン トラン ド
前節で も述べ た ように、1
欧州委員会 か ら提 出 された法案 を採決 し、欧州委員
9
9
2年の地球サ ミッ トによる各 国の環境政
報告書や 1
の任命 を承認す る とい う機能 を有す る。 他方、加盟
策へ の影響 と同様 に、EUもこの報告書 やサ ミッ ト
国の閣僚 によって構成 される閣僚理事会 (もしくは
の影響 を多大 に受 けてお り、それ らで示 された広義
欧州連合理事会) は、欧州委員会 によって提案 され
9
93年以降のEU第 5次
の持続可能 な発展 の概念 は1
たEU内の外 交 ・安全保 障問題、司法 、内務 とい っ
環境行動計画でいか される とともに、都市環境政策
たEUの共通政策 を採 決す る機 能 を有す る。 したが
を含 むEUの環境政策の諸分野で も反映 されている。
ってこの ような機能か ら、欧州議会 と閣僚理事会 は、
したが って以下で は1
99
0年代 にお けるEUの都市環
欧州委員会 の政策運営 を監視す る監督機関 として機
とDGm の活動 を中心
境 政策 に焦点 を絞 り、DGXI
能 している といえる。
にその政策 について論 じる。
欧州委員会内 には、法案の領域 ごとに2
0余の理事
1) DGj
C
Di
r
ect
or
at
es
Gener
al
,通常 DGと略 ) と局
会 (
DGXIはEUの都市環境政策 に関 して先導的な役割
(
De
parh e
nt
s
)が存在 し、理事会 は2
0名の理事 と複
を果たす とともに、都市環境政策上のの理念形成 に
数の側近か らなる "内閣" を中心 として組織 され、
990年 に出版 され た 『
Gr
een
貢献 した とい える。1
0余 の理事会 でEUの法案や政策が策定 され
これ ら2
,以下都市環境 白書
pa
ero
p
nt
heur
ba
ne
n
ir
v
on
me
nt
ている 都市環境政策 と関連 した理事会 として、環
Eu
ro
ea
p
n Co
i s
m
s
i
on,1
9
9
0) を晴夫 として
と暗』 (
、地域政策 ・地域計画関連のDGXVI
、
境関係のDGXI
DGXIに よる都 市 環 境 政 策- の 関与 が 開始 され た
Tr
a
ns
por
t
)
、エ ネルギー関係 の
運輸 関係 のDGⅥⅠ(
都市環境 自書』 はブル ン トラン ド報告書
(
表 2) 『
DGXVI
I(
Ene
r
gy)がある4)。 これ らの理事会 の うち
DGXVIには、EU予算 の三割 を占め る欧州地域 開発
の影響 を受 け、経済発展 と環境保全 とい う旧来か ら
Eur
o
p
ea
nRe
gi
ona
lDe
v
e
l
o
pme
ntFund,以下
基金 (
含 んだ、包括 的な持続可能 な発展の概念 に立脚 して
ERDFと略)関連法案の提 出 とい う業務がある
。
。
の枠組みでな く、環境保全 と経済開発 に社会 開発 を
な
99
9)
。 このため、経済発展 の弊害 と
いる (
山下 ,1
お この業務 には、ERDFを利用可能 な地域 の指定が
しての 自然環境 の破壊 に くわえて、社会問題 に起 因
含 まれる。 指定地域 内 に含 まれた地方 自治体 は地域
す るEU諸 国 における都市環境 の悪化 も同書 で指摘
。
計画上 の国内 にお け る法 的 な規制 を受 け る とはい
されてい る
え、ERDFを利用す ることで、国家 の予算 に頼 るこ
況 として都市部、 とりわけ都市内部 における高い失
とな く地域的な開発計画 を遂行す ることが可能であ
業率 と、 これ と関連 した高い犯罪発生率や居住環境
。
す なわちEU加盟 国 に共通す る社会状
ることか ら、EU加盟国の地域計画 はERDFによって
の悪化やホーム レス とい う新 たな貧困層の発生が顕
間接 的ではあるが、少 なか らぬ影響 を受 けている5)。
在化 していた。一方地球サ ミッ トで採択 された持続
したが ってEU加 盟 国は、各 国独 自の地域 ・都市計
で
可能 な発展 に向けた行動計画であるアジェンダ21
画か ら離 れて、ERDFを用い ることで地域や都市 を
は、途上国の意向 を くんで、途上国において環境破
この点で、ERDFを主軸 としたEUの各
壊- と導 く貧困や低 い住宅水準 な どの社会的な要素
整備で きる
。
基金 による加盟国内の地域 ・都市 開発-の影響力 は
を持続可 能 な発展 の概念 に内包 す る こ とになった
大 きい といえる。 また後述す るようなERDFの第 1
0
が、上述 した ように先進国で もとくに都市 において
条項 にもとづ くDGXVlによる各種 の都市環境政策 も
途上国 と類似 した環境破壊へ結 びつ く社会問題が顕
また、EUに よる加盟各 国へ の間接 的 な影響 と理解
在化 していたことか ら、都市環境政策 において経済
(
TEN)を
と環境 とい う要素 に加 えて社会的要素 を加味せ ざる
される。 なお欧州横 断交通 ネ ッ トワーク
含 む加盟国の国境 を越 えたインフラ等 の整備 の重要
をえなかった といえる
。
性 が現在論 じられ、EU全域 にわたる包括 的 な空 間
『
都市環境 白書』 による上述の指摘 に もとづ き都
Co
mmi
s
s
i
ono
f血e
計画の重要性が指摘 されている (
市地域 に特化 した政策、す なわち都市 における持続
Eur
opea
nCommuni
t
i
es,1
991,1
994;Eur
opean
可能 な発展や持続可能 な都市の創造の必要性が同書
総合環境研究 第 2巻 第2
号
-1
5-
山下
潤
表 2 EU等の都市環境政策
1
99
4
年
オーボ宣言の採択
1
9
9
4
,
9年
Eu
r
o
p
e
nS
a
u
s
t
in
a
a
b
l
eCi
i
t
e
sa
ndTo
n sCa
w
mp
ig
a
nの展 開
1
9
9
6年
リスボ ン行動計画の採択
■■
:
DGXl
関係,
:
DGm 関係,
⊂:
コ:
I
CI
EI
関係
Uの都市環境政策 に
で示唆 され、この点で今後のE
で きる。 さらに 帽β
市環境 自書Jで指摘 された都市
影響 を及ぼ した といえる。 さらに 『
都市環境 自書」
に特化 した環境政策の立案 を支援するため、先述 し
は、基本的に環境保全政策上の行動計画であるE
U
たようにDG
XIの提案によって欧州委員会の もとで
第 5次環境行動計画にも影響 を与えてお り、第 5次
都市環境専門家集団が1
9
91
年 に設立 され、その後の
環境行動計画のかなで、持続可能な発展 を達成する
EU内の都市環境政策に関 して活発 に活動 している。
Uは地方 ・地域 レベルでの活動 を将来的に
ため、E
都市環境専 門家集団による活動例 としては、1
)
1
9
9
3
さらに促す必要があることを指摘するとともに、特
-1
9
9
5
年の持続可能な都市キャンペーンや後述する
に都市環境や農村環境 といった空間 ・領域的なアプ
1
9
9
4-1
9
9
9
年 にI
CI
∬Ⅰが実施 した欧州持続可能な都
ローチが必要であることを強調 し、 目的達成のため
市キャンペーンの支援 、2
)欧州の既存の都市が大量
には、持続可能な発展 を促進する手段 として空間計
生産 ・大量消費 ・大量廃棄のような持続可能な発展
U
画 に着 目すべ きであるとしている。 この ようなE
に逆行する傾向にある現状 を指摘 したうえで、これ
の環境政策 とい う枠組みの中での都市 に特化 した環
らの都市 を持続可能な都市へ と改変するための都市
境政策の重要性 を次の ような点か らもうかがえる。
政策上の指針 を示 した出版物の刊行 などがあげ られ
す なわち、基本的にE
U第 5次環境行動計画 は、製
る (
Exp
er
t
Gr
o
u
po
nt
heUr
b
nEn
a
ir
v
o
n
me
n
t
,
1
9
9
6
)
0
その後のDG
XI
の活動 としては、E
Uの持続可能な
造業、エネルギー産業、交通産業、農林業、観光業
といった各産業分野の環境負荷 を軽減することで、
発展へ 向けた様 々な政策 をもとに、2020年おける
持続可能な発展 を達成するとい う目的の もとで立案
された。 しか し第 5次環境行動計画で示 されたこの
EUの将 来像 を 3シナ リオ にそ って措 い て い る
(
Eu
r
o
p
e
a
nCo
mmi
s
s
i
o
n
,1
9
9
7
C
) まず第 1のシナリ
ような産業界での環境負荷の軽減 とい う内容 に含 ま
オは、世界市場 と雇用創造 に着 目し、自由化 と市場
れ ない に もか か わ らず 、 中間報 告
(
Eur
o
pea
n
。
原理 に焦点 をあて、経済発展 によって社会や環境の
Co
mmi
s
s
i
o
n,1997b)では都市環境 (§2.
5
) と空間
改善 を促す 「
機会拡大」 シナリオである。 ついで第
計画 (毒4.
3) に紙面が さかれていることか らもわ
2のシナリオは、社会 と経済の安定性 を高めること
かる ように、「
都市環境 自書」の影響 の大 きさと、
に着 日し、社会、環境、経済の均衡 をもたらす 「
規
DGXIにおける都市環境政策の重要度の高 さを推察
制 された変化」シナゾオである。 最後に第 3のシナ
-1
6-
スコットランドにおける都市環境政策に関する一考察
リオは、既存の政策では社会や環境の悪化 に歯止め
2) DGXVl
をかけ られないことに着 目し、強力 な共同体の存在
都市環境政策分野 におけるDGXI
の活動 は、EU加
と人間性の開発の重視 とス トレスの少 ないライフス
盟各国に対 して都市 における持続可能な発展や、持
タイルをめ ざす 「
共同体の改変」 シナ リオである
。
続可能な都市 に関す る理念や指針 を提示することに
以上か ら、各々のシナ リオは、経済発展、持続可能
ある。 とくに 『
都市環境 白書』が、EUの各部局や
な発展、人間開発 ・環境保全 を重視 したシナ リオで
加盟各国の都市環境政策 に与 えた影響 は多大であっ
ある と解釈 される。 これ らのシナ リオの中で近未来
た。 これに対 してDGXVl
の役割 は、ERDFを中心 と
の都市像 も各々措かれてお り、第 1のシナ リオで措
す る膨大な資金源 を背景 として、後述する各種のパ
かれている都市像 は、都市再開発 とも解釈で き、都
イロ ッ ト事業 を通 じて、先述 したようなDGXI
によ
市 は再開発 されることで再び求心性 を増 し、効率は
る理念や指針 を具体化 したことにある。 なおDGXVI
改善 され、都市計画の根本的な改変のために新 たな
が1
9
9
0年代 になって都市政策-の傾倒 を強めた背景
情報技術 の応用の必要が指摘 されている つ ぎに第
には、EU人口の約八割が都市地域 に居住 している
。
2のシナリオでは、輸送量、エネルギー ・水源利用
に もかかわ らず、EU予算 の約八割が農林水産業関
を軽減 し、持続可能な都市 (
s
us
t
a
na
i
bl
ec
i
ies
t
) を創
係の政策 に利用 されていたためである
造す るため、政府 による各種計画や基準 に関する大
状況 を鑑み、都市居住者の生活環境 を改善するよう、
この持続可能な
EU予算の利用 に若干変化が加 えられた (
Wi
l
l
i
a
ms,
胆 な提案の必要性が示 されている
。
。
この ような
都市 とい う概念 は欧州の都市計画者や地理学者 によ
1
996)。 さらに先述 した ように1
99
4-1
999年 におけ
って議論 されたコンパ ク ト・シテ ィの概念 を基礎 と
るERDFの交付対象地域が、経済的に発展途上 にあ
していると考 えられる (
J
e
nkse
t
.a
l
.
,1
99
6)
。す な
る地域 (
オブジェクテ ィブ 1)、産業構造の変化 に
わちコンパ ク ト・シテ ィの概念では、欧州の都市で
よ り工業が衰退 してい る地域 (オブジェクテ ィブ
み られる高い人口密度 を前提 として、公共交通、エ
2)、農村部 における開発が必要 な地域 (
オブジェ
ネルギー供給、廃棄物収集等 に関 して高度なネ ッ ト
、人口が著 しく希薄なため開発が必要
クティブ 5b)
ワークを発達 させ るとともに、 これ らネ ッ トワーク
とされる地域 (
オブジェクテ ィブ 6) であ り、いず
の効率 を向上 させ ることで、化石燃料の消費削減や
れの地域 にも経済的 ・社会的な問題 を有す る都市地
エ ネルギー効率や リサ イクル率 の向上が もた らさ
、1
99
3年にERDF
域 は含 まれていないが (
注 5参照)
れ、結果 として本来高密度 により環境負荷が大 きい
の第1
0条項が一部改正 されたことか ら、都市の コミ
と考 えられた欧州の都市で持続可能性 を達成 しよう
ュニティレベルでの社会 ・経済的問題の解決 を目的
なお第 2のシナリオで示 され
とした研究や試験事業 に対 して、ERDFの出資が可
たコンパ ク ト・シテ ィの考 え方は、DGXVl
の都市環
能 となったことも、EUの都市環境政策 を進展 させ
とす る考 え方である
。
境政策 に対す るDGXI
の見解 として コンパ ク ト ・シ
る要因 として作用 した。 また加盟各国を通 じて都市
テ ィ ・モデルを示 した出版物で より明確 に読み取れ
内のインナーシティで衰退地区が普遍的に観察 され
る (
Eur
opea
nCom血 s
s
i
on,1
99
8a)
。最後 に第 3の
ている。 したが って現在のERDFでは、オブジェク
シナ リオの都市像 は、エコ ・ビレッジやエ コ ・タウ
テ ィブ 2地域は 「
経済の衰退 している工業地域」 と
ンと称 され、社会や環境が重視 されために都市の経
されるが、 2000-2006年 を計画年度 とす る新 たな
済的な役割 に関 して劇的な変化が求め られる。 この
FRDFでは、 これに都市地域 を含 める可能性 もでて
ような都市像 は、先述 したDGXI
の文献 (
Eur
opea
n
きている 以下ではERDFの第1
0条項 について概観
Commi
s
s
i
on,1
99
8
a) でグリー ン ・シテ ィ ・モデル
するとともに、 この条項 にもとづいてGDXⅥが実施
として示 されている
。
しか し世界的にみて も人口密
。
した各種のパ イロッ ト事業 について論 じる
。
度の高い欧州の現状 を鑑みた場合、エ コ ・ビレッジ
ERFDに関す る規制の改正 にともない第1
0条項で
やエ コ ・タウンは欧州 において実現可能な都市 とは
は、EU加盟国の コミュニテ ィ ・レベルでの地域 開
いえない。なおこの ようなグリーン ・シティ (もし
発 に関する研究や試験事業 を支援する目的で、年間
くはエコ ・シティ)の思想的な起源は、環境容量 を
予算の 1%を上限 として、 これ らの研究や試験事業
考慮 し、環境の質や生活の質 をまちづ くりの基礎 に
に対 して資金 を援助す る とされている (
Eur
opean
bi
or
e
gi
ona
l
i
s
m) にある とい
おいた地域生命主義 (
9
95)。 この条項のなかでERDFの対
commi
s
s
i
on, 1
Ca
mp
be
l
l
,1
9
9
6)
。
える (
象 となる研究は、欧州委員会の重要な政策 に関する
研 究であ り、EU加盟国の国境 を越 えて影響 を及ぼ
総合環境研究 第 2巻 第2号
-1
7-
山下
潤
す と考 えられる加盟国政府 による空間政策に関する
ン ドにおける唯一の事例にあたる。
研究、E
U内外の国境地域 における具体的な問題 を
第 1段階に引 き続 き、UP
Pの第 2段階 (
P
h
a
s
e2
)
解消す ることを目的 とした研究、E
Uの空間領域の
が1
9
9
7
年に欧州委貞会 により是認 された。第 2段階
有効利用 に関する将来像 を提示することを目的 とし
4のEU加盟国で事例
では、ルクセ ンブルクを除 く1
た研究であるとされている。 一方第1
0
条項の対象 と
6
都市が選出され、1
9
9
7
-1
9
9
9
年 を事業
地域 として2
なる試験事業は、インフラ整備や企業投資のような
年度 としてする事業が実施段 された。 これら2
6
都市
EUが特 に関心 を示す空間政策 に関す る具体的な手
U内の地域 間協力 に
段 を産み出す ような事業や、E
に英国の 2都市 (
ハ ツダースフィール ド、オブジェ
クティブ 1・2の対象外 ;レスター、オブジェクテ
関する経験の蓄積や、また空間政策に関する手法の
ィブ 1・2の対象外)が含 まれる。なお両者 ともイ
開発や経験の蓄積 を促進するような事業であるとさ
ングラン ドの都市であ り、スコッ トラン ドにおける
れる。 この条項 をもとに現在 までに以下で示す 4つ
持続可能な都市 を展望するという本稿の主旨と異な
の試験事業がDG
m によって実施 されている。
るので、両都市 における事業内容 をここでは扱わな
第1
0
条項に基づ きDG
m によって最初 に着手 され
た試験事業 は1
9
9
0
年か ら実施 された都市試験事業
(
Ur
ba
nPi
l
o
tPr
o
j
e
c
t
s
, 以 下 UP
Pと略 ) で あ る
(
Eu
ro
ea
p
nCo
m
i s
s
i
o
n
,1
9
9
8
b
)
0 D
GXVIがUPPを実
U加盟各 国における都
施 した背景 には、上述 したE
RDFの農村部への
市人口の比率の増大 と逆行 したE
い。
UP
Pで蓄積 された経験 を踏 まえて実施 された事業
が1
9
9
4
年か ら開始 された都市共同体 イニシアティブ
(
URBANCo
mmu
it
m
yI
it
m
ia
i
t
v
e
,以下ではU
RBANと
P
Pが試験事業であったことか ら都市
略)である。U
内の小規模 な範囲で事業が実施 されたのに対 して、
経済開発の影響 を受け難い周辺地域 に立地する都市
UPPの経験や革新的なアプローチや良策 ・成功例 を
BANではよ り大規模 な事業が展開
基礎 として、UR
や、経済的に沈滞傾向にある都市があ り、これ らの
されている。すなわち事業規模 を対象地域の人口規
地域 における開発の必要性が問われたことと、イン
模でみた場合、U
RB
ANで選出された都市の九割以
ナーシティ地区における産業の沈滞 という経済問題
0
万人以上 を有 し、事業全体 としてE
U内
上が人口1
や犯罪やホーム レスの増加 とい う社会問題 に加 え
の約3
2
0
万人が含 まれている。 また資金額で事業規
て、都市域全域 にみ られる交通渋滞やそれ と関係 し
模 をみた場合、u
p
pの第 1
段階 と第 2段階の総事業
た各種の汚染 という環境問題が広範 に観察 され、繁
費が 1億 6
4
6
4万E
CUであるのに対 して1
9
9
6年度 にお
栄の只中にあるE
Uの都市で さえ、著 しい貧困 と経
けるUR
BANの事業総額が 8億 9
1
0
0
万E
CUであ り、
重点配分 に加 えて、加盟各国に共通する現実 として、
済的な衰退に苛 まれている地域が存在する事実 を鑑
資金 の うえで も事業規模 の大 きさがわかる。 なお
み、これ らの諸問題 に対応する都市政策が必要だっ
境問題 に解消 し、都市での経済的 ・社会的な発展 を
URBANは、構造資金のERDFと欧州社会基金 (
ES
F)
の共同出資で運営 され、UR
BANに出資 された総額
の約8
2
%がERDFか ら、 また約 1
8
%がES
Fか ら出資 さ
向上 させるために、コミュニティ ・レベルで都市再
れている。 ここで着 目すべ き点は、都市内の社会開
開発や都市計画 と関係 した包括的な政策が要求 され
発 とい う意味でE
S
Fか らURB
ANの約二割が出資 さ
たからである。 したがってこれ らの経済 ・社会 ・環
た。このような状況 を踏 まえて、DG
XVIはUP
Pを展
れていることである。
9
9
0-1
9
9
3
年の第 1
開することになったのである。1
化が、失業率の増加や生活水準の悪化 を招 き、それ
(
P
ha
s
e1
)では、11のEU加盟国の3
3
都市で
UPPが実施 された。最終的に第 1段階の3
3
都市 にお
good
け る事 業 の業 績 とそ こで み られ た良 策 (
p
r
a
c
d
c
e
s
)が先述 した m pp 1
9
9
6
年度年次報告書J
でまとめ られている(
Eu
r
o
ea
p
nCo
i s
m
s
i
o
n
,
1
9
9
8
b)
。
が教育水準の低下や高い犯罪率 とい う社会的な問題
住宅等 に係わる都市環境問題が生 じ、これ らすべて
英国に関 してはベルファス ト (
オブジェテイブ1)
、
都市内の衰退地域 を対象 とし、物理 ・社会的な環境
ジブラル タル (オブジェクテ ィブ 2)、 ロ ン ドン
を改善するという手段 を通 じて、上述 した社会 ・経
オブジェ
(
一部オブジェクティブ 2)、ペイズ リー (
済 ・環境問題 に包括的に対処するため、UR
B
ANが
クティブ 1・2の対象外)、ス トック ・オン ・トレ
開始 された。
段階
URBANでは、地域経済の悪
を誘発する。 そ してその ような地域では公共施設や
の要因が重 なることで経済が さらに停滞 し、悪循環
が形成 されることになる。このような認識の もとで、
ント (
オブジェクティブ 2)の 5都市が第 1段階の
URBANでは、事業のデザインと実施の段階で対
3
3
都市 に含 まれ、その うちペイズ リーがスコッ トラ
象地域の住民参加 を促 した。 さらに、事業の意思決
-1
8-
スコッ トラン ドにおける都市環境政策に関する一考察
走段 階で住民が関与す ることで、住民 による地域発
1
99
8年 にウィー ンで開催 された後述す る 「
欧州都市
展 の重要性 を意識 させ る とともに、事業 に対す る合
Eur
o
ea
p
n Ur
ba
n Fo
um,以下 フォーラ
r
フォーラム (
意形成 に貢献す る よう配慮 した。URBANが対象 と
ム と略 )
」 といえ、 この会議ではUPPやURBANの経
したのは次の 3地域である。 す なわち都心近辺 に位
験 や 成 功 例 が盛 りこ まれ た欧 州 委 員 会 の 出版 物
置 しなが ら経済 ・社会 ・環境上の問題 を有す るイン
(
Eur
ope
a
nCommi
s
s
i
on,1
997C) を基礎 として、各
ナーシテ ィ地区がある。 このインナーシテ ィ地域 は
種の都市政策が議論 されることになった。
URBANの中心課題 であ り、対象地域全体 の約 四割
uRBANでは1
1
8
都市が事業対象地域 として選択 さ
を占める つ ぎは、文化財等 の文化的な価値 を有す
れてお り、英 国に関 してはス コッ トラン ドのペ イズ
る地域 であ るが、それ らの文化財 が放置 された り、
リー とグ ラス ゴー北 部 の 2都 市 を含 む28都 市 が
破壊 されつつある歴史的な都市であ り、事業全体 の
uRBANの交付対象地域 となっている6)。 この 2都市
約二割 を占める。最後 は、周辺地域 に位置す る都市
の うちUPPの事例 として紹介 したペ イズ リーでUPP
への近接性が低 い大規模 な公共住宅地区や放置 され
とURBANの事業規模 を比較 した場合 、後者 の事業
た工業地区であ り、対象地域全体の約三割 を占める。
規模 の大 きさがEUか ら出資 された資金規模 に よっ
ERDFの指定地域 との関係 では、 オブジェクテ ィブ
て容易 に推測 される。 す なわちペ イズ リーの場合、
1地区内の都市が、早急 に対処すべ き問題 に直面 し
Uppの際 にはERDFか ら1
,
95
0,
0
0 ECUが出資 され る
ている とい うことを考慮 して、出資の面で優先権が
一 方 で 、 URBANで は ERDFと欧 州 社 会 基 金
与 え られてお り、1
1
8
都市の5
7
%が オブジェクテ ィブ
(
Eur
op
ea
n Soc
i
l Fund,以下ではESFと略)か ら合
a
。
1地 区にある 一 万27
%が オブジェクテ ィブ 2地 区
計 で 5,
612,
000ECUが 出資 され て い る こ とか ら、
にあ り、不利 な状況 にある地域 を抱 える都市の社会
uRBANの事業規模 の大 きさをうかがい知 れ る
的な結束力 を強化す るための機会 を与 えている。新
996年 に実施 された グラス ゴーのUBRANで
なみ に1
しい経済活動 を支援 し、現存 の経済活動の成長 を刺
036,
00 ECUが出資 され、 こ
は、ERDFとESFか ら8,
激す るようなURBANの具体的 な経済政策 としては、
れは事業総額の約5
% にあたる。
。
。
ち
中小企業 のための コンサルテーシ ョンと技術設備の
uRBANの第 3番 目の試験事業 として、欧州都市 フ
提供、通信 イ ンフラス トラクチ ャー ・ネ ッ トワーク
99
8年 1
1月2
6-27日にウィー ンで開催 さ
ォーラムが 1
の改善、投資家のための魅力的な環境 の創造等があ
れた。 この フォーラムでは、都市域で発生 している
げ られる ついで労働政策では、職業訓練 プログラ
経済 ・社会 ・環境等 に関す る様 々な問題 にEUの各
ムの提供、若年失業者や長期失業者 を対象 とした雇
機関が これ まで個 々に対応 していたことを鑑み、個
用補 助金制度 の創 設等 に よ り雇用 問題 に取 り組 ん
別機 関による都市政策ではな く、 よ り包括的な政策
だ。 また社会 開発 に関 しては、薬物依存症患者や少
の統合 と、EUの各機 関 に限 らず加盟各 国の中央 ・
数民族集団な どの地域社会で最 も不利 な立場 にある
地方政府、な らびに民 間企業や一般市民のパ ー トナ
社会集団 を対象 として、 カウンセ リングや個人的な
ーシ ップ形成 を促進す る必要性 を強調 している。 こ
助言、言語訓練、雇用や住宅等の各種 の情報へ の接
の ことか ら、 フォーラムには加盟国の中央地方 ・中
近等 を通 じて問題 を解消す るよう働 きかけた。最後
央政府 だけでな く、国際機 関や民間組織 の代表が出
に環境保全 に関 しては、URBAN内のすべ ての事業
0条項 に基づいて
席 した。 フ ォーラムはERDFの第 1
は持続可能 な発展 と資源 の効率的な利用 とい う長期
0条項の主 旨を踏 まえて、 フォーラム
開催 され、第 1
的なビジ ョンのなか に組み込 まれるべ きである とい
以前 のUPPやURBANの成果 としてえ られた成功例
う意識の もとで、都市 をよ りエ コロジカルな空間に
や良策 に関 して意見 を交換す る とい う意味合 い もあ
す るため、公園や公共スペースの拡大、交通上の改
EU
り、UPPやURBAN等 の事業 の成果 をまとめた 『
善、駐車場や歩行者道路の設置等で示 されるような
の都 市課題 に向 けて』が会議 の基礎 となってい る
。
都市 の生活環境 を向上 させ るための具体 的な環境政
(
Eur
opea
nCom血 s
s
i
on,1
997
C)。 この出版物 では、
策 を展 開 し、 この ことで持続可能 な発展へ導 くよう
社会 ・経済 ・環境 ・イ ンフラに関す る欧州の都市が
0条項下 の試験事業であ るUPP
努 めた。ERDFの第 1
抱 える様 々な問題が要約 される一方で、 これ らの問
とURBANの良策や成功例 や他 の地域へ の転用可能
題 に対処す るため に、 これ までEUが実施 した都市
な手法 は各種 のネ ッ トワークを通 じて交換 され、成
政策が概観 されている。す なわち、経済発展 と雇用、
功例か らえ られた教訓 はDGXVI
の よ り広範 な政策で
経済 ・社会 的な結束、交通 ネ ッ トワーク、持続的な
この ようなネ ッ トワークの一例 は
発展 と生活の質の四分野 における都市政策が示 され
用い られている
。
号
総合環境研究 第 2巻 第2
- 1
9-
山下
潤
た。 よ り具体的 には、統一市場 、UPP、URBAN、
(
Ur
ba
nAudi
t
)であ り、都市における持続可能な発
TEN)、人材開発 を目
欧州横断交通ネ ッ トワーク (
展の進捗度 を計測することを目的 とした、都市 にお
的 としたm
G等が都市政策の事例 といえる。 これ
ける持続可能性指標の開発 と、 これ らの指標 により
らの現状分析 をもとに、今後EUが都市域で実施す
各事例都市 における持続可能な発展 にむけた現状の
べ き将来的な政策が提言 されている。 この提言 され
報告 を主眼 としている。 都市における持続可能な発
た政策に もとづ き、フォーラムでは、「
都市の持続
展 と関連 した 5領域 (
社会 ・経済側面、市民参加、
可能な発展」という広範な目的を達成するという文
職業訓練 と教育の水準、環境、余暇 と文化)におい
脈の中で、都市 における生産性、雇用、経済成長の
て3
2
の指標が選出されてお り、これ らにもとづいて
促進、都市圏における平等 と社会的な内包の促進、
5
8都市で事業が展開されている。英国の場合、エジ
都市環境 の保全 と改善 と地域 ・地球規模 の持続可
ンバ ラとグラスゴーを含む 8都市が事例地域 として
能、都市管理 と能力開発への貢献が議論 された。 フ
選出されている。 これ らの地域で実施 された事業の
ォーラムの結果 として欧州委貞会 は、EUにおける
結果、毎年都市の持続可能性の進展度 に関する年次
EUの都市 に
地域環境行動計画の都市版 といえる、『
報告が出版 される予定であるとともに、諸都市での
おける持続可能な発展』 と題する出版物 (
Eur
o
ea
p
n
事業の成果 として産み出される 『
都市監査マニュア
Co
mmi
s
s
i
o
n,1
9
9
9) を刊行 した。 これによってEU
ル (
Ur
ba
nA
nd
i
tMa
nua
l)
』 を出版 している.なお持
は、都市政策に関 して、 目的 と行動 を示 したことに
続可能性指標 に関する議論は、本稿の主旨とは若干
なる。 この出版物の内容はフォーラムでの議論 を尊
意を異 にするので、 この事業の内容の詳 しい紹介は
重 し、都市 における経済発展 と雇用、平等 と社会的
別の機会 に譲 りたい。
結束 ・再生の促進、都市環境の保全 と改善、都市管
RDFの第10条項の もとで、GDXⅥ
以上の ようにE
理 と地方分権 に関する目的 と行動が示 され、たとえ
によって各種の事業が実施 されたが、以下ではスコ
ば都市環境 に関 しては、大気 ・水質の保全、廃棄物
ッ トラン ドで実施 された試験事業 を紹介する。 すな
の減量、騒音の軽減、建造物や文化財の保護、生物
わちUPPの事例 としてペイズ リーを、 またURBAN
多様性や都市内緑地の増加促進、公共交通機関によ
の事例 としてグラスゴー北部を取 り上げる。
る環境負荷 の軽減、すべての分野における環境監査
i
)ペイズ リー
の促進、温暖化 ガス発生の軽減、代替エネルギーや
ペイズ リーにおけるUPPの課題 は社会問題 を有す
コジェネの利用促進、環境 リスクの軽減 と管理など
る当該地域 における経済開発 にあった。スコッ トラ
が 目標 として示 されてお り、これ らを実現するため
ン ド最大の都市グラスゴーの西郊 に位置 し、ペイズ
の行動 として、都市 レベルでの環境法の改正、廃棄
リー織で有名なペイズ リーは、グラスゴーと同様 に、
物 ・大気 ・水質 ・騒音 に関するさらなる規制、公害
それまで主要産業であった繊維 ・石炭 ・鉄鋼業が産
規制 と都市清掃の強化、都市交通による環境負荷の
業構造の改変により斜陽化 したことから、1
9
7
0年以
軽減 に寄与するような手段の開発、都市における持
降の経済衰退 と高失業率 によって苛 まれていた。ペ
続的なエネルギー管理、エコ ・ラベルと環境監査の
イズ リーのUPPはファーガス リー ・パーク団地で実
拡張などがあげ られている。 この出版物によって欧
施 され、当該地域 は恒常的な人口減少、高失業率、
州委貞会 は、都市 に関する包括的な政策の必要性 と
福祉援助 の高受給率、高い犯罪発生率 といった経
EU内の各機 関、加盟各国の中央 ・地方政府、加盟
済 ・社会 的な問題 を有 していた。 す なわち人 口は
各 国の市民 による協力の必要性 を特 に強調 してい
1
9
71
年の1
2
,
2
0
0か らプロジェク ト実施時の約5
,
(
X氾∼
る。 したがって経済 ・社会 ・環境等 を含む都市の持
6,
00まで低下 し、当該地域での失業率は約4
4%であ
続可能な発展 を内包 しているといる点で、この出版
り、失業者の約半数は25才以下の青年層であった。
物で示 された提言が現時点 におけるEUの包括的な
このような高失業率は当該地域住民の低い教育水準
都市政策の柱であるといえ、環境政策 を主務 とする
とも関連 している。 また片親世帯の割合 も非常 に高
DGⅥ やその派生組織 ともいえる都市環境専 門家集
Gm が示 した
団ではな く、空間計画 を主務 とするD
5
%が住宅手当 を受 け取 る とともに、
く、住民 の約 7
住民の大部分が公的な福祉援助 に依存 していた。加
都市環境政策 に関す る理念 とい う点で注 目に催す
えて当該地域の高犯罪発生率は当該地域以外の市民
る。
に対 して否定的な印象 を与えている ペイズ リーの
。
ER
DFの第10条項の もとで展開されている最新の
UPPでは、 コ ミュニテ ィ ・セ ンター (
後 にタナ ヒ
試験 的事業が 1
99
8年か ら展 開 されてい る都市監査
ル ・センターと改称)を建設することで、上述 した
-2
0-
スコッ トラン ドにおける都市環境政策 に関する一考察
経済 ・社会的開高 に対処 し、当該地域が有す る否定
は地域 的 な中小企業 に同地域 の経 済 は依存 してい
的なイメージを変 えようとした。 さらに、他地域 か
た。 この ような問題 を緩和す るため、 グラス ゴー北
ら遊離 している とい う当該地域 の住民が有す る疎外
部のURBANでは、事業所 の創造、人材 開発 、生活
感 を媛和す ることも目的 とした。UPPを実施 した結
の質の向上、環境増進等 の事業 を実施す るうえでの
果、以下の ような機能 を有す るコ ミュニテ ィ ・セ ン
目標 を設定 した。 これ らの 目標 を達成す るために具
ターが建設 された。す なわち、1
)
未婚 の親 に訓練や
体的に示 された政策 は以下の とお りである。す なわ
雇用機会 をえる 5才以下の児童 を対象 とした保育施
ち経済活性化の具体策 としては、職場や企業の創 出、
)
0 才以上の高齢者 を対象 としたデイケア施設、
設 、2
事業所 に助言 を与 えるコンサル タン トの開設 な どが
3
)
新 しい設備 を有 した診療所 と医師 による外科診療
ある。 また雇用創 出に関 しては、当該地区における
所 、4)コミュニテ ィの住民 による各種 の活動や会議
自営業者の創造、青年失業者や低賃金や低技能労働
0
0人収容 の多 目的ホール、5
)
住民
等 に利用 され る2
者 に対す る高い水準の職業訓練が実施 された。一方、
同士の接触 の場 を供給す るオープンスペースや公立
社会開発 に関 しては、託児施設の提供、 グラス ゴー
図書館等である。 なお この ように様 々な機能 を有す
健康都市事業の拡大、薬物乱用者 に関す る事業の展
るコ ミュニテ ィ ・セ ンターは、当該地域 の官民の代
開 な どが実施 された。最後 に環境保全 に関 しては、
表 によって組織 されたファーガス リー ・パーク ・パ
ブラウンフィール ド開発 とい う意味で、当該地域 に
ー トナーシ ップ と称 される組織 によって運営 されて
おける古 い建物が再生 された。 また環境改善事業 と
いる。 ペ イズ リーの事例 か らもわかるように、経済
してグラス ゴー北部事業が開始 され、地域企業 によ
停滞や社会的 な問題 はコ ミュニテ ィに悪影響 を及ぼ
るエネルギー監査 を促進す るためのエ コ ・ビジネス
し、結果 として都市 内 コ ミュニテ ィの持続性が望め
基金が拡大 された。以上か ら、UPPでは社会開発 を
ない。 この ことか ら、 コ ミュニテ ィの持続的な発展
加味 した経済開発 に主眼 をおいていたの に対 して、
を 目的 とした とい う点で、UPPは、包括的な 「
持続
URBANで はESFか らの資金援助 もあ り、経済 開発
可能 な発展 」の概念の社会的な側面 を含 んだ都市政
と同等 の レベルで、社会開発 と環境保全 も重視 され
策である といえる。 またUPPの主眼 は、経済 ・社会
てい ることが わか る。 なおURBANでの環境保全 に
問題 を有す る都市 内衰退地区の再開発 にある ともい
関 しては、 自然環境 に くわえて人文 ・社会 ・文化環
える。 したが って、UPPは都市環境政策 と称 される
境等 を含 む広義の環境が念頭 におかれている。 す な
ものの、環境保全 ではな く、経済開発や社会 開発 に
わちイタリアやスペ インの歴史的な都市の文化環境
力点 を置いた都市環境政策であった と考 え られる。
の保全 も、URBNで網羅 されていることか ら、 この
i
i
) グラスゴー北部
点 を理解す ることがで きよう。
グラス ゴー北部がURBANの対象 地域 となった理
3)その他のDG
由は、当該地域が、高失業率、教育水準の低下、高
DGXI
やDGXⅥこ
以外 のEU内のDGに よって実施 さ
い犯罪発生率、貧困層の拡大、低 い健康状態 とい う
I
れ た 都 市 環 境 政 策 関 連 の 事 業 と して 、 DGXI
経済的 ・社会 的問題 に悩 まされていたためであ る。
(
Di
r
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Ge
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r
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a
orEne
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gy) による都市 におけ
C
mE
Sがあげ
す なわち、1
9世紀後半の重工業 の発展 によって グラ
るエネルギー政策 に関す る事業である
ス ゴー北部 は急速 に工業化 ・都市化 したが、近年 は
TI
ESはCommuni
yⅠ
t
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e
gr
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edTa
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ksf
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られる.CI
産業構造の変換 にともなって、基幹産業である重工
業が急速 に衰退 した。 したが って、 これ らの社会 ・
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o
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me
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r
g
c
i
t
i
esの略称 であ り、 これか らもわか る ように都市
経済的 な問題 を緩和 す る 目的でURBANが実施 され
におけるエ ネルギーの効率的な利用の成功例 と成功
る ことになった。 グラス ゴー北部 でのURBANは上
の要因に関す る調査研究 を事業の 目的 とした。 この
述 した経済的 ・社会的問題 にとくに苛 まれている当
2加盟 国か ら各 々 1都市が選 出
事業 の もとでEUの 1
該地域 の南部地域 を対象 とした。 この南部地域 はル
され7
)
、 これ らの都市 間でエ ネルギー効率 を比較す
ッチル、ポ ッシル、 ロイス トン ・コリ ドールの各地
る とともに、エネルギー効率の点で成功 した と考 え
区か らな り、人口数 2万 を有 していた。事業実施時
られる都市 におけるエ ネルギー政策の現状 と成功の
点 における南部地域 の経済 ・社会状況の一面 を示す
j
i
n pa
k
ndPe
r
r
e
l
s(
1
9
9
4)は、
鍵 を明 らかに した。Ni
9
%であ り、住民の約5
5
%が公的
な らば、失業率 は約3
Cm ESの内容 を要約 し、その うえで、今後 のEUの
な福祉援助 の受給者で あ り、約8
8
%の世帯 が 自家用
都市エネルギー政策 として、効率の よい コジェネ レ
自動車 を保有 してお らず、大規模 な事業所 の閉鎖後
ー シ ョンを含 み地域 冷 暖房 シス テム を推 奨 してい
総合環境研究 第 2巻 第2号
-2
1-
山下
潤
る。 またエネルギー と都市計画 を統合で きる機関の
州持続可能な都市会議でオーボ宣言が採択 された8)0
必要性 と、新 エ ネルギーの利用 を促進す るための
9
9
6年の第 2回欧州持続可能な都市会議で、
その後、1
EU資金の必要性 も彼 らは指摘 している。
リスボン行動計画が承認 され、これによって地域的
な持続可能性 にむけた具体的な行動方針が示 されて
2.NGOによる都市環境政策への影響
EUの諸機 関に比べ て英国の都市環境政策へ与 え
いる9
)
。都市 キャンペーンに参加 を望 む地方 自治体
た影響はさほど大 きい とはいえないが、その活動の
た指針 を実施すればよい とされている。 現在の とこ
趣 旨に賛同 し、参画 している都市 自治体 に対 して、
ろ、約30カ国の約 500の地方 自治体が、オーボ宣言
ある程度の影響 を与 えているとい う点で、国際的な
に署名 し、 この都市キャンペー ンに参加 してお り、
はオーボ宣言 に署名 し、 リスボン行動計画で示 され
NGOであるI
CI
∬Ⅰ(
欧州事務所) とユーロシティズ
この数値 は 1億人余の欧州市民が この都市キャンペ
o
c
i
iesと表記)による都市環境 と関連
t
(
以下ではEur
ー ンに関与 してい る こ とを表 してい る 。 そ の後
した活動 を無視することはで きない。 したがって以
I
CLEI
は、都市キャンペー ンに参加 した地方 自治体
下ではこの 2つの機関による都市環境政策 と関係す
1
の実施 を円滑化す
におけるローカル ・アジェンダ2
る事業 について論及する。
1プランニ
る 目的で、r
欧州 ローカル ・アジェンダ2
ング ・ガイ ド』を1
9
95
年 に出版 した。 この ことで、
1)l
CLEl
CLEI
欧州事務所 によって展開 されいる各種 の事
I
業の うち、地方 自治体の都市環境政策、 とりわけロ
都市キャンペーンに参画 している地方 自治体 におけ
る環境政策策定 を支援 している
。
なおI
CI
EI
はDGXI
ーカル ・アジェンダ2
1と関係が深い事業が欧州持続
と協力 し、「欧州 における良策情報Eur
opea
nGood
可能 な都市 キ ャンペー ン (
Eur
opea
nSus
t
ai
na
bl
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9
9
6
Pr
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el
nf
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n」 と称するホームページを1
n sCa
w
m pa
ign,以下都市キャンペーンと
Ci
ies&To
t
CLEI
は国連環境計画、国際地方 自治
略)である。I
年 に開設 した。 これは、都市キャンペーンの成果 を
体逮合 (
I
nt
e
ma
do
na
l Um
io
no
fL
eC
lA
a
nt
ho
it
r
ie
s
)等
治体 にもキャンペーンの成果 を周知 し、参加 してい
の後援 により、1
9
Ⅸ)
年 に設立 された地方 自治体の環
ない地方 自治体 におけるローカル ・アジェンダ2
1
の
境行政 と関係 した国際機関である。都市キャンペー
策定や実施 を促す ことを目的 としている。 現在 この
ンに関 してはI
CI
EI
欧州事務所がGDXI
か ら資金支援
ホームページでは、都市キャンペーン内外での成果
を受けるとともに、上述 したように、事業 を推進す
が広 く一般の地方 自治体 に提供 されている1
0
)
0
参加 自治体だけでな く、 まだ参加 していない地方 自
る段階で都市環境 に関する専門家集団か ら助言 を受
第 2回欧州持続可能な都市会議以降の都市キャン
けている。 都市 キャンペーンは、欧州委貞会が提唱
ペーンの活動は、旧西欧諸国におけるローカル ・ア
し、I
CLEI
が準備 ・運営 した、1
9
9
4年 にデ ンマーク
1
関連の活動 にとどまっていない。すなわ
ジェンダ2
のオーボで開催 された第 1回欧州持続可能な都市会
9
9
8年 にブルガリアのソフィアで、欧州地域会議
ち1
読 (
TheFi
r
s
tEur
opea
n Conf
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nc
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t
a
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Ci
iesa
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ndTo
nS
w
)の終了時か ら開始 された。 なお
(
Re
io
g
na
lEu
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n Co
n
i
e
r
e
nc
eo
nSus
t
a
na
i
bl
eCi
ies
t
CLEI
が、
a
ndTowns
)が開催 された。 この ことはI
この会議の終了時に持続可能な都市 に関するオーボ
旧社会主義国の中 ・東欧地域 におけるローカル ・ア
宣言が採択 されている。都市キャンペーンの 目的は、
ジェンダ2
1
の策定や実施 を支援する活動 も展開 して
l
oc
ls
a
us
t
a
na
i
bi
l
i
t
y) を促進す
地域的な持続可能性 (
いることを意味する。 この ように都市キャンペーン
CU王
I
は、
ることにある.この 目的を達成するためにI
の活動範囲を欧州全域 に広げることで、地域的な持
ローカル ・アジェンダ2
1
の策定 ・実施過程で、状況
続可能な発展 を欧州全域で推進するようI
CI
EI
は努
が異なる様々な地方 自治体 において、最適な地域環
か らの資金援助打 ち切 りに
力 している。 なおDGXI
境政策 と地域環境行動計画の展開や実施 を支援 して
より都市キャンペーンは1
9
9
9年で終蔦 したが、当都
いる。 さらに、都市キャンペーンに参加する地方 自
市キャンペーンでの経験 を活か した他の事業の実施
治体間のネッ トワークを強化することで、各地方 自
CLEI
は移行 してお り、移行後 も地方 自治体 に
へ とI
治体でえられた経験 を交換する仲介役の機能 も有 し
おける環境政策 を援助する意向 をI
CLEI
は示 してい
ている。 この ようなネッ トワークを通 じてI
CI
EI
は、
る。
各地方 自治体 におけるローカル ・アジェンダ2
1をよ
この ようにI
CLEI
による活動 は持続可能な都市 に
関するキャンペーンではあるが、都市 自治体 に限 ら
り実現 しやす くしている。
都市キャンペーンの一環 として、先述 した第1回欧
ず ローカル ・アジェンダ2
1
の枠組みのなかで、地域
-2
2-
スコッ トラン ドにおける都市環境政策に関する一考察
レベルの持続可能な発展 を貢献 しようとした点が特
徴 といえる
。
Ⅱ.むすび
したが って、都市キャンペー ンは都市
に特化 した環境政策ではな く、キャンペー ンに参画
これまで主 に地球サ ミッ ト以降の英国における都
した自治体のなかに、都市 自治体が含 まれることが
市環境政策 についてスコッ トラン ドを対象地域 とし
望 ましい とい う見解か ら、実施 された事業である と
て展望 したが、以下では、 日本の地域環境政策 と比
しか しEU総人口の約八割が都市 に居住す
較す ることによって、英国における都市環境政策の
い える
。
るとい う事実 を鑑みた場合、ほぼ同割合の地方 自治
特徴 を明 らかにする。
まず 日英の類似点 として、以下の 2点 をあげるこ
体が都市の範噂 に含 まれると考 えられる。 しか しこ
こで強調すべ き点は、都市 キャンペー ンに参加 した
とがで きる。 まず第 1点は国際機関によって採択 さ
自治体が 1億以上の市民 を抱 えることか ら、I
CLEI
れた環境政策 を強 く反映 していることである すな
による都市 キャンペー ンは欧州 自治体の地域環境計
の策定 に関 しては再三
わちローカル ・アジェンダ21
画 に与 えた影響 は少 な くない とい う点である
論 じたようにアジェンダ21
の第2
8章で地域 レベルに
。
。
おける地球環境問題-の寄与が言及 され、 これにも
2)EUr
oci
t
i
es
Eur
oc
i
t
i
esは、人口分布 の うえでは農村人口に比
とづ き地方 自治体での環境行動計画の策定が求め ら
べ て都市人口の比重が圧倒的に大 きいにもかかわ ら
れたことか ら、当初か ら地球サ ミッ トとい う国際的
ず 、1
9
80年代 までのEUの地域政策が主 に農村 開発
な取 り決め とい う枠組のなかでローカル ・アジェン
やEU内の途上地域 開発 を目的 としていたことか ら、
ダ21
の策定が実施 された といえる。ただ 日本 と異 な
EU圏内の大都市で発生 している都市間題 をEUの政
り英国の環境政策 に関 しては、アジェンダ21とい う
策 に反映 させ る目的で1
9
89
年 に設立 され、加盟都市
国際的 な取 り決 めだけで な く、一 国際組織 であ る
のネ ッ トワー クを通 じてEUの都市政策-各種 の提
EUの各種組織 による環境政策が、英国国内の環境
言 をお こなうとともに、い くつかの事業 を独 自に展
政策 に多大 な影響 を与 えていた。
第 2点は行動計画であるローカル ・アジェンダ21
開 している。 これ らの事業の一つが カー ・フリー ・
シテ ィズ事業 (
C
rf
a
re
ec
i
ie
t
s
,以下CFCと略)であ
がすべての地方 自治体 において実施 されているとは
の提言 にもとづ き、Eur
oc
i
de
s
が
る。CFCは、DGXI
言い難い状況が散見 されることである。 すなわち地
代行するかたちで、オランダのアムステルダムを晴
域 レベルでの持続可能な発展 とい う目的 を達成する
夫 として1
99
4年か ら開始 された。CFCは、EUと非
ためにローカル ・アジェンダ21は策定 されている。
EU加盟国の60余の都市が加盟 し、 これ らの都市 は
しか し地方 自治体が この 目的 を達成す るためには、
大気汚染、エネルギー使用、都市域での交通渋滞の
地方 自治体が関与す る環境の領域 ばか りでな く、経
減少 を目的 としている
より具体的な目的はカー ・
済 ・社会 ・文化等の諸領域で実施 されている経済開
。
フリー ・シテ ィ宣言で示 されるように、都市 におけ
発 ・社会開発 ・文化財保存等 も網羅 しなければなら
る自家用 自動車の使用の減少 を促進することと、環
ない。多 くの地方 自治体が策定 したローカル ・アジ
境 にや さ しい輸送手段 の利用 を奨励 す るこ とにあ
ェンダ21
のなかで、すべての領域 を網羅すべ く地方
る。CFCの具体的な活動 としては、テーマ ごとのセ
自治体内の各部局、民間機関、一般市民等 との水平
ミナーや会議 などの行事の組織、都市交通問題 に関
的 な連携 が必要 であ る としは しぼ強調 されてい る
する作業部会 を通 じて、経験 とノウハ ウの交換、都
が、実際 にはこの ような水平的な連携が進展 してい
市の持続可能な移動 (
rba
u
ns
us
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a
na
i
bl
emo
bi
i
l
y) と
t
る地方 自治体 は稀で、一般的には環境部局や開発部
関係 した政策 に関す る情報の配信、実践的なガイ ド
局等の一部局だけでローカル ・アジェンダ21
が策定
や出版物の刊行等があげ られる。 この ような活動 を
されているのが現状であ り、 したが ってローカル ・
通 じて、最終的にCFCの加盟都市で、大気汚染、交
が "
画餅" にす ぎな くなっているケー
アジェンダ21
通渋滞、騒音 に対処す るための実践的な解決方法の
スが少 な くない。 この意味でローカル ・アジェンダ
開発す ることと、住民の生活の質 を高めることが可
21は実行性欠ける単 なる行動計画 に終始 している と
能 となると考 えられている。 なおス コッ トラン ドに
いって も過言ではない。 さらに他の地域計画や都市
関 してはエジンバ ラ、 グラス ゴー、アバデ ィー ンの
計画が特定の開発事項 に関 して補助金等の資金援助
3都市が この事業 に参画 している。
と、 これを法的に裏付 ける法律が存在す るの と異 な
り、ローカル ・アジェンダ21にはその ような法的裏
付 けや資金援助がない。 この点 もローカル ・アジェ
総合環境研究 第 2巻 第2号
-2
3-
山下
潤
ンダ2
1の実行性のなさと関連 している。なお環境計
まで英国政府の 1閣僚であ り、ス コッ トラン ドに
画 と空間計画 ・開発 との整合性 に関 しては、都市 ・
おける行政分野での最高責任者であったスコッ ト
農村計画の枠組みのなかに持続可能な発展の概念 を
c
r
e
t
a
r
yofSt
a
t
ef
orS
c
oda
nd)
ラン ド担当大臣 (
Se
導入 しようとした意図が英国の空間開発関連法のな
は1
9
9
9
年 7月以降 も存在するが、その権限の大部
かで読み取れる。
分はス コッ トラン ド首相へ と譲渡 されている。 こ
一方先述 したようにDGXVI
による各種の試験事業
のような立法 ・行政機関の改変 にともない、それ
では、構造基金 という膨大な資金 を利用することで、
までス コッ トラン ド担当相の もとでスコッ トラン
EU加盟国内の都市環境 を改善 し、地域 の社会 ・経
ドの行政機 関 として機能 していたス コテ ィ ッシ
済的な発展 に貢献 している。 こうような試験事業の
ュ ・オフィス (
Scot
t
i
s
hOf
ic
f
e) も名称 を変 え、
実行性 を英国の地方 自治体 におけるローカル ・アジ
1
9
9
9年 7月以降スコティッシュ ・エグゼクティブ
1の実行性 と比較 した場合、前者の実行性が
ェンダ2
(
Sc
o
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s
hExe
c
ut
i
v
e) と改称 されている。 なお行
格段 に高いことか ら、EUによる加盟国の都市環境
政の相当部分が英国政府か らスコッ トラン ド、 ウ
政策への影響力は大 きい といえる。ただ現在3
0
程度
ェールズ、北 アイルラン ドの地方政府へ移管 され
あるEUのDGのなかで都市政策 を専門に扱 う部局が
たが、外交 ・防衛分野や、課税権 を含 む大部分の
な く、たとえば都市内の環境面 に関する政策は主に
経済分野 といった国家の根幹 にかかわる権 限は、
DGXIに、都市内の空間計画 に関する政策はDGm
依然 として英国政府 に帰属 している点は地方分権
に、都市内の交通計画 に関 してはDGⅥⅠ
に依存する
を考えるうえで興味深い。なおスコッ トラン ドの
といった断片的かつ縦割 りの政策がなされてお り、
地方 自治体 に関 してはCa
r
mi
chael (
1
992) や
都市環境 に関 して総合 ・包括 的 な政策 に欠 けてい
Mi
d
wht
e
r(
1
9
9
5) を参照 されたい。
る。 したが って今後 はEUの ような国際組織 に限 ら
2)第 1次環境行動計画以降は、第 2次が1
9
7
7-81
ず 日本や英国の地方 自治体内において も、公的な資
年、第 3次が1
9
8
2-8
6年、第 4次が1
9
87-9
2年 と
金の利用 を可能 とする土地利用、交通計画等の空間
9
9
2年 には、1
9
9
2-2
(
Xカ年 を計
実施 されてお り、1
(
開発)計画 と、環境行動計画 との法的な整合性 を
COM(
9
2)
画年度 とした 『
第 5次環境行動計画J(
計る必要がある。その うえで、経済 ・社会 ・環境等
2
3)が採択 された。
の各部局間の水平的な連携 を深化 させる必要があろ
3) イギ リス中央政府が出版す る自書 は正式 には
Com a
ndPa
pe
r
sと呼ばれ、出版当初 はCやCdと
略 されていたが 、1
91
8-1
91
9年頃に通 し番号が
う。
注
1
0,
(
X泊に近づいたこともあ り、Cmdと略 され、新
9
86年以降
たな通 し番号が付 されている。 なお 1
1)地方分権が進展 した結果 、1
9
9
9年 7月 1日にス
c
mと略 され、現在 に至っている
。
コッ トラン ド、ウェールズ、北 アイルラン ドに地
4)各理事会は、運輸、環境、地域等の担当領域で
方議会が設置 され、それまで英国政府が有 してい
呼称 されることはな く、DGⅥI
、DGXL DGm
た権利が これ らの地方議会や地方政府へ譲渡 され
のように各理事会 に付 された番号で呼称 されるこ
た。スコッ トラン ドに関 しては、イングラン ドと
とが多 く、本稿 もこの慣行 にしたがった。
7
0
7年 5月にスコッ トラン ド
の連合形成の結果、1
5) ERDFは 、 欧 州 農 業 指 導 保 証 基 金 (
The
議会が解散 されて以降、スコッ トラン ド議会 は開
催 されていなかったが 、1
9
9
7年 5月にスコッ トラ
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山r
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、欧州社会基金 (
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ン ド議会議貞 (
漁業指導金融手段 (
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ume
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Pと略)が住民の直接選挙 によって選ばれ、
通常MS
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dance) と と も に 構 造 基 金
1
9
9
9
年 7月にスコッ トランド議会が再招集 された。
(
St
uc
r
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ur
l Funds
a
) を構成す る。本文で も述べ た
スコッ トラン ドの行政に関 しては、スコッ トラン
ように、その総額の大 きさか ら、ERDGの地域 開
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r
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ド諌会議月 の中か らス コッ トラン ド首相 (
発 にあたえる経済的な影響力は大 きいが、その配
Mi
ni
s
t
e
ro
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c
oda
nd)が選出され、スコッ トラン
分 にあたっては、地域別優先 日的 (
r
e
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e
d
ド首相 により選出された閣僚 によって福祉、教育、
pr
ior
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b
j
e
c
i
t
v
e,以下ではオブジェクティブと略)
環境、交通、住宅、農林水産業等の分野で独 自の
を設定 し、各オブジェク トごとに設定 された諸条
行政が現在行われている。 したがって1
9
9
9年 6月
件 を満たす地域 を指定 し、これ らの地域 に基金 を
-2
4-
スコットラン ドにおける都市環境政策に関する一考察
配分 している。1
99
4-1
999年計画ではEU全域 を
なわち総論である前半部では、I
.1欧州都市の役
7つのオブジェクティブごとに分類 し、 この うち
割 、Ⅰ
.
2持続可能性の概念 と原則、Ⅰ
.
3持続可能性
4つのオブジェクテ ィブにあてはまる地域 のみが
へ むけた地域 的な戦略、Ⅰ
.
4創造的 ・地域 的 ・均
ERDFの援助 を受けることになる。 この4つのオブ
衡模索 的な過程 としての持続可能性 、Ⅰ
.
5都市外
ジェクテ ィブは以下の とお りであ り、 これ以外の
部 との協議 による問題解決が説れている ついで
オブジェクティブ3、 4、 5aは、他の基金の利
各論である後半部では、Ⅰ
.
6持続可能性へ むけた
用 は別 として、ERDFの援助 を受 けることはで き
.
7都市 における持続可能性へ むけた
都市経済、Ⅰ
。
Ob
j
e
c
ivel
t
).
・他の
か 。オブジェクテ ィブ 1 (
社会的公正、Ⅰ
.
8持続可能な土地利用パ ター ン、Ⅰ
.
地域 に比べ て開発が遅れている地域であ り、開発
9都市 における持続可能 な移動パ ター ン、Ⅰ
.
1
0地
を促進 し、構造的な調整が必要 とされる。 オブジ
球規模 の気候 に関す る責務、Ⅰ
.
1
1
生態系破壊 の防
ェクテ ィブ 2 (
Obj
e
c
dv
e2) :地域全体 もしくは
.
1
2
前条件 としての地域的な自主管理、Ⅰ
.
1
3主
止 、Ⅰ
一部が産業 の沈滞 に よる深刻 な打撃 を受 けてお
役 としての市民 とコミュニテ ィへの参加、Ⅰ
.
1
4持
り、 これ を打 開す る必要がある。 オブジェクテ ィ
続可能性へ むけた都市管理のための装置 と手段 に
ブ 5b (
Ob
j
ec
t
i
ve5
b) .
'農村地域 の開発促進 と
ついて詳述 されている。 ついで第 2部で、キャン
構造 的 な調整 が必要 であ る
オブジェクテ ィブ
ペー ンの主要 な活動内容が示 されてお り、具体的
6: (
Obj
ec
t
i
ve6) :著 しく人口密度が希薄 な地
な活動内容 として、持続可能性へ むけた政策のデ
域であるため、開発 と構造的な調整が必要である。
ザイン ・展開 ・実行 に関する欧州都市間の相互支
なおスコッ トラン ドに関 しては、オブジェクテ ィ
援、地域的なレベルでの良策
ブ 1、 2、 5bとして指定 されてお り、オブジェ
関す る情報の収集 と配布、キャンペー ンに末参加
クテ ィブ6の指定地域 はない 。
の地方 自治体での持続可能な発展の推進、オーボ
。
6)UK内で選択 された28都市 は以下の とお りであ
(
g
o
o
de
x
a
mp
l
e
)に
宣言 に署名す る新 メンバ ーの勧誘、「
持続可能 な
る。 すなわちベルファス ト、バー ミンガム、プラ
都市賞S
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a
a
b
l
eCi
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yAwa
rd
」の受賞、都市環境
イ トン、ブ リス トル、 コベ ン トリー、デ リー、グ
専 門家集団による 『
欧州持続可能な都市 :報告』
ea
s
o
we
、 リーズ、 リバ
ラス ゴー北部、 リー ソーL
に掲載す る情報の提供、 欧州連合が示 した勧告
プール、ロン ドン、マ ンチェス ター、ネザ- トン、
や法律への対応 に関 して地方議員 を支援すること
ノース ・ヒュッ トン、ノッチ ンガム、ペイズ リー、
等が含 まれている。 最後 に第 3部で、行動計画 に
シェフイール ド、スワンジーである。
含 まれるべ き内容が示 されてお り、既存の環境計
7) 選択 された都市 は以下の とお りであるアムステ
画や財政上の枠組等の認識、包括的な公共諮問機
ルダム (
オランダ)
、ブザ ンゾン (フランス)
、ブ
関の設立、認識 された問題 に対処するための行動
ラガ ンカB
r
a
g
a
n
c
a(ポル トガル)、 カデ イス (ス
の優先順位付 け、持続可能な地域社会 に関する将
ペイン)、 ダブリン (
アイルラン ド)
、エ シュ ・ア
来像の作成、持続可能性へむけた長期的な地域行
ルツェツテEs
c
h〟 uze
t
t
e(
ルクセ ンブルク)
、ゲ ン
動計画の設定、関与者 ごとの責務や活動 に関する
ト(
ベルギー)
、マ ンハ イム (ドイツ)、ニューキ
計画表 と活動計画 を含 む計画実行計画の作成、計
ャッスル ・アポ ン ・タイ ン (
イギ リス)、オーデ
画の実施 に関す る監視 ・報告 システムの設立等が
ンセ (
デ ンマーク)、テ ッサ ロニキ (
ギ リシャ)、
含 まれている。 しか し第 3部で示 された行動内容
トリノ (
イタリア)である。
が著 しく抽象的であったことか ら、 よ り具体的な
8) オーボ宣言 とは、地方 自治体が持続可能な発展
へ むけた政策 の実施 の努力 を表明 した宣言 であ
行動 に関 してはリスボン行動計画の出現 を待つ こ
とになった。
り、第 1部 「
合意宣言 :持続可能性へのむけた欧
9) リスボ ン行動計画では具体的な行動 として以下
州の都市」、第 2部 「
欧州持続可能 な都市 キ ャン
2項 目で示 されている。すなわちローカル ・ア
の1
ペー ン」、第 3部 「ローカル ・アジェンダ21
への
ジェンダ21
策定過程 における地方 自治体の準備段
従事 :持続可能性- むけた地域的な行動計画」か
階で、欧州持続可能な都市宣言 (
オーボ宣言)の
第 1-5章)では都市
らなる。 第 1部の前半部 (
採用が ローカル ・アジェンダ21プロセスの出発点
における持続可能な発展 に関す る総論が述べ られ
であること (
第 1項)が まず確認 されている。 つ
る一方で、総論で示 した各事項 を実現するための
いで地方 自治体がローカル ・アジェンダ21プロセ
各論が後半部 (
第 6-1
4章)で示 されている。す
スで主要 な役割 を果たす こと (
第 2項)が示 され
総合環境研究 第 2巻 第2号
-2
5-
山下
潤
1プロセスが、
ている。またローカル ・アジェンダ2
参考文献
都市 、町、村 にかかわ らずすべ ての地方 自治体 の
山下
9
9
9,持続可能 な都市 に関す る一考察 :
潤 、1
2,6
5
1
7
2.
地域構造の視点か ら,総合環境研 究,1
参加が必要であること (
第 3項)も示 されている
。
また住民参加 を促進す るため戦略 として、協力 を
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9
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通 じた共同作業 を推進す るため に、 コミュニテ ィ
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内の様 々な領域 において、 コンサルテ ィングやパ
ー トナーシ ップに着手す ること (
第 4項)が認識
されている。 ローカル ・アジェンダ2
1のアプロー
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第 5項)。 さらに、現状分析 を もと
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に行動 をお こす ことため、体系 的な行動計画 を実
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チ と計画 に関 しては、 自治体外部 との協議 を重要
行す るこ と (
第 6項 )の必要性 も説 かれてい る。
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また持続可能性 の手段 として、市民の健康 と生活
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の質 を向上す るため に、社会 ・経済発展 と環境保
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es,
全 を統合 させ ること (
第 7項)や、持続可能 な発
展 にむけて高度 な管理手段 を利用す ること (
第8
項)が示 されてい る。意識 の喚起 と教育 として、
持続可 能性 の問題 に関 して 自治体職貞 だ けで な
く、市民や関連団体 の意識 を喚起す るプログラム
を創造す ること (
第 9項)があげ られている。 自
治体 間のパ ー トナーシ ップ と協力 に関 しては、 ネ
ッ トワークやキ ャンペー ンを通 じて、 まず 自治体
Di
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99
4,
0項)が示 されて
相互の連携 を強化す ること (
第1
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いる。 ついで持続可能 な開発 のため に、南北 間だ
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欧州持続可能な都市 キ ャンペー ンを推進す る (
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総合環境研究 第 2巻 第2
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