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目 次 - 富士通
BtoB Business Inside_FRI010831 Liquidation.com 2001 年 8 月 はじめに 1.会社概要 会社概要 1. 2.市場規模と事業構造 市場規模と事業構造 2. 1) 市場規模 2) 製品とサービス 3) ビジネスモデル 4) 顧客 5) 顧客のメリット 6) ビジネスプロセス概説と構造図 7) 従来の一般的ビジネス形態との相違 3.事業の背景と目的 事業の背景と目的 3. 1) 事業の発想の原点と参入動機 2) インターネットを用いない従来の類似サービスとの関係 3) 事業化意思決定にいたるまでの経緯、諸問題、解決策 4) 創業後から現在までの課題と問題解決 5) 日本市場への適用に関する問題点 まとめ 1 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002 BtoB Business Inside_FRI010831 はじめに 企業や政府の余剰在庫を処分するための B2B マーケットプレースを提供している。航空 機からオフィスサプライ、家具、エレクトロニクスなどの広範囲な製品群を取扱ってい る。50 万台の携帯電話を調達することも可能である。売買が円滑にできるように Liquidation.com ではフルサービス(サンプル注文、出荷提示、エスクロー、販売など) の機能を用意している。顧客はこうしたフルサービスの代償として取引金額の 10%を支 払う事が条件である。売上情報は公開されていないが、マーケットプレースにリストさ れている総額(およそ 500M ドルから 600M ドル)から推定するとかなりの売上が期待 できると思われる。 1. 会社概要 1)会社名 :Liquidation.com LLC 2)Web サイト名 :www.liquidation.com/ 3)会社概要 :企業や政府の余剰在庫を処分して流動性を高めるための B2B マーケッ トプレースである。米国政府、特に国防総省(DOD)と長期契約を結 び、そのための別会社を作ってオンライン販売をしている。100 ヶ国 10 万人以上の登録メンバーが利用している。 4)住所 :2131 K Street, NW, 4th Floor, Washington, DC 20037 5)連絡先 :電話:202(467)6868 ファックス:202(467)5475 6)設立年月日 :1994 年 7)投資家情報 :Europatweb が 11.2M ドルの投資をしている。 8)売上情報 :売上情報は公開されていない。 9)社員数 :30 名 10)顧客情報 :American Paper Group, BestBuy, Bridgestone/Firestone, Consolidated Store of Canada, Ingersoll Rand, Northern Tool & Equipment Company, Paragon Textiles, Private Business, RealNames, U.S. Army メンバー登録者は 10 万人いる。 2. 市場規模と事業構造 1) 市場規模: Liquidation.com によれば世界の余剰在庫市場は 350B ドルと言われている。 2) 製品とサービス: Liquidation.com では下記のように広範囲なものが取扱われている。 アパレル :アパレル製品、アパレル未完成品 航空/軍関係:航空機、MRO、軍用車輛 建設 :電気工事ツール、工具、ランプ、ポンプ、コンプレッサー 2 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002 BtoB Business Inside_FRI010831 消費材 :絵画、ゲーム、食品、飲料、ヘルスケア、宝石、本、音楽 CD コンピュータとエレクトロニクス:PC、周辺機器、家電、通信機器、携帯電話 家具 :家具部品、木製家具、室内装飾 オフィス家具、オフィスサプライ:オフィス家具、オフィスサプライ、オフィス機器 スポーツ用品:フットボール、野球、バスケットボール、ホッケー、ゴルフ 輸送 :建設用車輛、工事用車輛、パーツ 3) ビジネスモデル: Liquidation.com のビジネスモデルはセラーから取引成立時にもらうトランザクショ ンフィー(取引額の 10%)が収入源である。その他に有料サービス(検品、金融など) の手数料が収入源である。 4) 顧客: 建設会社、製造業、一般企業、卸、小売業、スモールビジネス、オフィスサプライ、連 邦政府、州政府などが顧客である。米国以外でも取扱っている。 (100 ヶ国) 5) 顧客のメリット: セラーのメリット ・ 余剰在庫を Liquidation.com で販売できる。 ・ 新規の販売チャネルを作ることができる。 ・ オンライン広告のデザインサポートをしてくれる(有料) ・ 流動性とキャッシュフローを改善できる。 ・ 出荷手配を代行してもらえる。 ・ 出荷後の追跡をしてくれる。 ・ 集金を代行してもらえる。 ・ エスクローが利用できる。 ・ 大きなロットで販売できる。(コンテナ、トラック) バイヤーのメリット ・ 余剰在庫を持っているセラーを探すことができる。 ・ 購入コストを下げることができる。 ・ 購入プロセスの生産性を改善できる。 ・ サンプルを事前に入手できる。 ・ エスクローを利用することができる。 ・ 第三者による検品を受けることができる。(有料) ・ 金融サービスを受けることができる。(有料) 3 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002 BtoB Business Inside_FRI010831 6) ビジネスプロセス概説と構造図: Liquidation.com 無料会員登録 無料会員登録 オークション セラー バイヤー 商品登録 検索エンジン アドバイス アラートメール 出荷手配、 エスクロー オークション参加 出荷手配、 エスクローによる支払 支払 バイヤーからのサンプル請求&セラーからの送付 直接交渉 ステップ 1 セラーとバイヤーは Liquidation.com に登録をする。登録は無料である。 ステップ 2 セラーは売りたいものをマーケットプレースに登録する。バイヤーは検索エンジンや カテゴリー分類から欲しいものを探す。バイヤーはセラーにサンプルを要求する。セ ラーが売りたいものを登録すると Liquidation.com のセールスはセラーをアドバイス したり、バイヤーにアラートメールを送る。 ステップ 3 バイヤーはサンプルが満足できるものであれば、該当製品のオークションに加わるか セラーと直接交渉する。 ステップ 4 オークションで取引が成立したら Liquidation.com の出荷手配、エスクローなどを利 用して取引完了となる。 ステップ 5 バイヤーに該当製品が到着し、バイヤーが検収して問題がなければ Liquidation.com のエスクローからセラーに支払われる。 7) 従来の一般的ビジネス形態との相違: 従来の余剰在庫のビジネスは余剰在庫専門の会社に以来するかブローカーに頼むかオ ークション会場に出かけて自分でオークションにかける以外に方法はなかった。オー クションの会場は毎回同じ都市で開催される事は少なく、開催地は多くの主要都市を 転々とするのが一般的である。セラーとバイヤーは開催地が変わる都度、新しい都市 4 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002 BtoB Business Inside_FRI010831 に移動しなければならず、専門業者やブローカーに依頼しても結果的にオークション 経由がほとんどで余剰在庫の処理に時間と手間がかかることに変りはなかった。こう した従来型のビジネスのやり方は余剰在庫ビジネスをより効率良く実現するというも のではなかった。インターネットによる B2B マーケットプレースはこうした従来型の 不便を解消すると共に、米国内にその市場を限定する必要もなくなった。 Liquidation.com のサービスは現在 100 ヶ国から利用されている。 3. 事業の背景と目的 1) 事業の発想の原点と参入動機: 創業者で現 CEO 兼会長の Bill Angrick は企業や政府の余剰在庫のマーケットプレース がインターネットビジネスに適していると考えこの事業への参入を決めた。 2) インターネットを用いない従来の類似サービスとの関係: Liquidation.com はインターネットだけの B2B マーケットプレースであり、従来型の オークション会場などを使うやり方とは関係がない。 3) 事業化意思決定にいたるまでの経緯、諸問題、解決策: 創業者の Bill Angrick は Liquidation.com を事業化するにあたり、どのようなウェブサ イトにするか共同創業者の Jaime Mateus-Tique(現社長兼 COO)と話し合った。企 業や政府の余剰在庫は金額の小さな消費材もある反面、機械・車輛・航空機など高額の ものも多い。金額は小さな消費材も取扱いロットが大きくなれば全体の金額は大きくな る。B2B マーケットプレースでの取引を円滑にし、また回転を良くするにはセラーと バイヤーが売買に専念できるようにし売買以外の手続や準備、書類の作成などを極力少 なくできないかと考えた。Liquidation.com はこうした課題を解決するため次のサービ スを通常機能として提供することにした。代金を一時的に預かるエスクローサービス、 欲しいカテゴリーを登録しておくと E メールで知らせてくれるアラートサービス、サ ンプルを注文できるオーダーサービス、取引成立後の出荷指示サービス、高額商品向け のデューディリジェンス書類の作成などである。また有料サービスであるが、オンライ ン広告デザインサポート、金融サービス、第三者による検品サービスなども提供してい る。企業や政府の過剰在庫を取扱う部門は企業などのコアコンピュテンスの組織ではな く、上手な販売や効率の良い事務処理などの知識も少ないことからこうしたフルサービ スは受け入れられると考えた。これらのサービスの対価として Liquidation.com はセラ ーから取引金額の 10%を手数料としてもらう事にした。また通常のオークションは締 切日までに最も高値をつけたバイヤーに取引が決定するが、ビジネス向けの余剰在庫は 締切日前に欲しいものも多い。そこで Liquidation.com では通常のオークションに加え、 バイヤーが直接ウェブ経由でセラーと交渉できる手順を用意して取引成立までの時間 短縮を実現した。 5 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002 BtoB Business Inside_FRI010831 4) 創業後から現在までの課題と問題解決: 創業者の Angrick は Liquidation.com を急拡大するためにまず Yahoo!の B2B マーケッ トプレースや GoTo など既にブランドが確立されているサイトでデビューをした。次に 外部から資金を 11.2M ドル調達した。(2000 年 6 月、Europatweb などが投資した。 ) Angrick の次の課題は売上を増やすためのパートナーシップの確立とサービス対象国 の拡大と長期に安定した供給源の確保であった。パートナーシップはスモールビジネス に強い Private Business(2000 年 3 月)、建設業界に強い Buildscape(2000 年 8 月)、 BuilderDepot(2001 年 5 月)、政府関係に強い PlanetGov(2001 年 3 月)と提携するこ とができた。これらの組合わせは政府関係が供給側、建設関係は需要側と供給側、スモ ールビジネスは需要側のパートナーシップである。国際化はフランスにヨーロッパの拠 点を設置してグローバルオペレーションを開始した。また 2000 年 10 月には East Europe Markets 社と提携し、ルーマニアなど南ヨーロッパのプレゼンスを拡大できる ようになった。長期的に安定供給源を確保するには連邦政府と州政府が最も適している と考えた Angrick は 2000 年 8 月に政府関係の会合で余剰在庫のインターネットによる 処分の効率化を提言しパートナーシップを模索した。政府関係のビジネスを拡大するた めに 2001 年 3 月には PlantGov と提携し、政府関係の余剰在庫を PlanetGov 経由で Liquidation.com のサイトで売買できるようにした。2001 年 7 月には Liquidation.com は国防総省(DOD)と 7 年間の長期契約を結び総額 23B ドル相当の余剰在庫を長期間 にわたって Liquidation.com で売買することになった。実際には DOD の専用のサイト Government Liquidation.com で 取 引 き さ れ る よ う に な る 予 定 で あ る 。 Liquidation.com への来訪者を増やす努力としては 2000 年 11 月に AuctionWatch.com と提携し、Liquidation.com の余剰在庫品データベースの検索を AuctionWatch.com の 検索エンジンからできるようにした。これにより毎月 400 万件の新規来訪者のある AuctionWatch.com か ら Liquidation.com へ の ア ク セ ス が 期 待 で き る 。 Liquidation.com には現在、総額 500M∼600M ドルの余剰在庫製品が掲載されており、 製品によっては新製品の 95%引きのものもある。 5) 日本市場への適用に関する問題点 世界の 100 ヶ国で利用されているので日本語対応をすれば日本での市場開発も考えら れなくはない。ただし日本で通用する製品がどれだけあるかは疑問である。 (電圧、サ イクル、サイズなどの相違) まとめ 売買の回転率を上げるためにフルサービスのサポート機能を用意し、その対価として 取引金額の 10%を手数料収入としているのがユニークである。一般のオークションサ イトの手数料が 0.5%から 3%程度であるのに対して、10%というのはいかにも高く見 えるが創業者の先見の明が 10%という強気の手数料を実現させたとも読み取れる。 6 All Rights Reserved,Copyright © (株)富士通総研 2002