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直感的に分かる発電・送電の原理

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直感的に分かる発電・送電の原理
[やさしい技術解説]
[文書番号;30052012
P1/5]
直感的に分かる発電・送電の原理
電気の種類
電気には、乾電池などの「直流」と、時間とともに電圧が変化する「交流」の2つがある。
そして交流には、各家庭に送られている単相(波が一つ)と、三相(波が三つ)がある。
日本の大半の発電所では、三相交流式の発電機が設置されている。
周波数(波の変化)は、50 ヘルツと、60 ヘルツの 2 種類があるが、殆どの国では、どちらかのみに
なっている。日本だけが両方混在している。
<直流>
<交流>
+ -
+
図-1
時間
直流の送電
乾電池での送電網は存在しませんが、原理として説明する。懐中電灯のように、明るくするために
乾電池を直列にして使うことは問題無しだが、長持ちさせようと並列接続しようとすると電池同士が短
絡状態になってしまい壊してしまう危険がある。図-2に示す。
例えば、1.2Vニッケル水素蓄電池と、1.5V乾電池を並列にしてしまうと、その差0.3Vにより短絡
を起こし電池を壊してしまう。並列に接続するには、その二つが全く同じものでなければならない。
同じ1.5V乾電池でも、新品同士とし、新品と古い電池を並列接続してはならない。
・同じレベルの 1.5V 乾電池が条件。新と旧は危険。
・1.2V 蓄電池と 1.5V 乾電池の組合わせは禁止。
<直列接続>
*点線の矢印は、その短絡回路を示す。
ランプ
1.2V
B
Copyright © 2010 “Haruo Kawasaki”
図-2
ランプ
1.5V
送電網相当
A
[やさしい技術解説]
[文書番号;30052012
P2/5]
交流の送電 その1
電気を安全に送電するには、発電・送電エリア毎に専用送電線網を用いることである。
日本で10の電力会社に分かれ、それぞれエリア毎に独立送電線網にしているのは、安全性を考
えたためである。発電機が、どんどん大容量化して行ったのも、できるだけ並列接続をしないで済
むようにとの配慮からである。単独の発電機、専用の送電線になっていれば、どんなに、周波数が
変動しても、電圧が変動しても、短絡など起こすことは絶対にない。
自然エネルギーなどで発電をすると、変動が大きいため、電力会社回線へはダイレクトに接続しな
い方が安全である。他の人達へ迷惑をかけてしまうことを防止できる。
電気は、この独立送電が基本原則である。
独立送電線であれば、周波数、位相、電圧、違っても問題無し。
安全な送電が可能。
~
負荷①
送
A
電力需要家
電
網
~
図-4
Copyright © 2010 “Haruo Kawasaki”
負荷②
B
[やさしい技術解説]
[文書番号;30052012
P3/5]
交流の送電 その2
交流は、時間とともに、電圧が+-の極性も含めて変化している。この電気を送電網へ接続する
には、電圧の変化を既存の送電されている電気と完全一致させなければならない。
もし、ちょっとでも一致していないと、輸血の時の拒絶反応相当が出て、発電機の破壊に至る。
完全一致とは、脈動に相当する周波数だけでなく、脈動のタイミング(位相と言う)、そして電圧とい
う、3つの要素が完全一致していなければならない。接続のイメージを図-3に示します。
周波数、位相、電圧、が完全に一致していることが条件。
ちょっとでも変動すると発電機同士で短絡してしまい危険。
A
B
~
図-3
*上図のような、異なる波形の電源同士は、
繋いではならない。短絡を起こし破壊してしまう。
Copyright © 2010 “Haruo Kawasaki”
電力需要家
負荷②
負荷①
送電網
~
[やさしい技術解説]
[文書番号;30052012
P4/5]
交流から⇒直流変換式の送電
少しでも危険を減らそうという方法が、直流で受ける方法です。日本は周波数が50と60の2つ
の地域があるので、直流で受け、それを自分のところの発電機の周波数、位相、電圧に完全一致
する交流をインバータ制御で作り出すことによって、安全に送電網へで接続できるようになる。
しかし、常に故障したりしないように監視と保守をやっていかなければならない。
機械は必ず故障すると考え、故障が起きる前に交換修理などしておかなければならない。
電力需要家
~
負荷①
送電網
A
交流⇒直流変換
電力会社 A
直流送電
電力会社 B
直流⇒交流変換
図-5
負荷③
~
負荷②
送電網
B
受けた電力会社が全く同じ交流電気を作り
出すことで、周波数が異なる電力会社からも
電気を補てんしてもらえる。
Copyright © 2010 “Haruo Kawasaki”
[やさしい技術解説]
考
[文書番号;30052012
P5/5]
察
電気は血液に例えられることから、送電網は、血管に相当となりパイプラインであると言える。
水道管もパイプラインであり、水圧で押されているから、蛇口をひねると水が出る。
水は指定出来ない。エリアで決まってしまっている。どこどこの水が欲しいとだだをこねても、専用の
水道管網を整備しなければならず、とてつもない高い水となってしまう。そこで、どうしても別な所から
欲しい人はペットボトルで買いに行くしかない。 また、水道はいやだという人は自宅に井戸を掘る。
しかし衛生面などで検査や殺菌は自分でやらなければならない。
送電網は、「高速道路網と同じであり、誰でも走行して良いのだ」などと言う人」がいるが、とんでも
ない間違いである。高速道路を走る車には、全て運転手が乗っており、行き先はその運転手が分か
っている。しかし、電気には誰のか?と言うような名前がついていない。型があるだけである。
血液も同じである。血液型はあるが、誰のかというような名前は付いていない。
どこへ行くかなども当然知らない。圧力で押されて行くだけである。血管の圧力、即ち血圧、電気で
は電圧、水道では水圧で押しているだけである。
発送電分離して、送電網を自由化するなどとは、輸血を自由化するようなもので、とんでもない行
為であるということがお分かり出来ただろうか。
以上
Copyright © 2010 “Haruo Kawasaki”
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