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3
Mar. 2012
Vol.18
【巻頭インタビュー】株式会社野村総合研究所 主任コンサルタント 松尾未亜⽒
中国・インドの医療機器市場の現状と将来展望……1
Medical Device Daily
個別化医療をめぐって加速する
メガ・ファーマのアライアンス戦略……8
メリー・コーベット/本誌 アドバイザリー・スタッフ
再び問い直される医師の倫理……9
The Academia Highlight[18]
整形外科分野に新潮流の兆しが⾒える……10
by うのめ・たかのめ
Medical Device Daily……11
Kawanishi Hotline……19
ヒューマンドキュメント医療機器を開発した⼈たち
「トレミキシン」開発物語-3-……21
http://www.kawanishi-md.co.jp/mg
Mar .2012
Vol.18
中国・インドの
医療機器市場の現状と将来展望
株式会社野村総合研究所 主任コンサルタント 松尾未亜⽒インタビュー
――前島 達也/本誌 編集⼈
世界的に医療機器は成長
――――中国の医療機器市場については『知的資
産業であり、経済成長率(4
産創造』のレポートに詳しくまとめられています
~5%)を上回る年率 7~8%
が、このレポートが作成された背景を教えていた
のペースで成長している。
だけますか。
日本市場は人口の高齢化に
より、5.8%成長(2009~14
松尾
年の年平均成長率)と底堅
ロニクスや精密、化学ということもありまして、
いものの、世界に目を向け
かなりのお客様が医療関連ビジネスを 1 事業部門
ると10%を越す成長の国が、国連などのデータベ
として持っておられます。投資対象として医療に
ースで入手可能な国だけでも 12 カ国もある。な
興味を持たれている経営者層の方は多く、特に中
かでも中国は、66 億ドルある医療機器市場が年
国の医療機器市場については多くのご相談が寄せ
平均 11%以上の成長を維持するものと見られる
られていました。
私の部署が担当している領域が、エレクト
(2009 年時点)。インドも同様に、市場は 24 億
中国の新医療改革の前後には、病院を新しく建
ドル(2010 年)ながら、2005 年から 5 年間、年
設したり保険制度を作ったりと、非常にインフラ
平均 14.7%で成長し、今後もその成長は継続する
に近いところに投資がなされるということで、特
と見込まれている。
に関心が高まりました。中国に拠点を持ち、輸入・
販売している日系の医療機器メーカーのなかには、
このように急拡大する中国、そしてインドの医
療機器市場の現状と将来見通し、欧米・日本の医
のちのちは GE やシーメンスがやっているように
療機器メーカーの進出戦略について、株式会社野
中国に事業本社を移すだとか、日本を含めたアジ
村総合研究所の松尾未亜氏にお話をうかがった。
アの中心を中国に移すだとか、それくらいインパ
松尾氏は同社の、自動車・ハイテク産業コンサル
クトのある変化が起こると考えているお客様が多
ティング部 経営革新・医療機器材料産業グループ
かったのです。そうはいっても、まだ実態として
主任コンサルタントとして、事業戦略立案、M&
病院があるわけではなく、あったとしても沿岸部
A戦略立案、実行支援を行っており、中国・イン
で内陸部とはかなりの差があり、しかも国の政策
ド市場についてのスペシャリストである。
の影響が極めて大きい国への投資です。実際にど
れくらい投資したらいいのかというのが、レポー
松尾氏らによる中国・インド市場のレポートは、
野村総合研究所発行の『知的資産創造』に掲載さ
ト作成当時のお客様のいちばんの関心事でした。
れており、特に『中国新医療改革にともなう医療
もちろん、医療改革は中国が国民のためにやっ
機器ビジネスの投資機会』
(2010 年 7 月号)と『イ
ているものですし、医療費というのは国民から集
ンドにおける医療市場の拡大にともなう事業戦
めた税金に因るところが大きいものです。そこで
略』(2011 年 12 月号)が詳しい。
外資企業が製品を売らせてもらう、ビジネスをさ
本誌では、編集人・前島達也による松尾氏への
せてもらうのは、ある意味ハードルが高い。そこ
インタビューの模様をご紹介する。掲載記事中の
で、全体像を理解するところから始めましょうと
図表等は、上記レポートより転載させていただい
いうことでプロジェクトが立ち上がりました。
それに、いろいろなメーカーの方と話をしてい
た。
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Vol.18
ると、どうも日本企業には全体的に同じような課
――――今までは販売を販社任せにしていたメー
題があったのです。そもそも全体像がよくわから
カーが多いのですか。
ないとか、見通しが立たないうえに投資の意思決
定がなかなかできずに遅れてしまうとか。それな
松尾
らばと、弊社のお客様に直接不利益がない範囲で
思いますが。プロダクトのライフサイクルが非常
多いと思いますね。製品の種類にもよると
ナレッジをできるだけ広めましょうということで、 に長くて、販売した後もメンテナンス等が必要な
『知的資産創造』のような出版物を通して一部の
ものですと、それなりに人を海外に張り付けなけ
情報を公開してきた次第です。
ればいけませんし、一方、売り切りタイプのもの
インドのレポートも、同様の流れで作成されま
ですと、当然現地の代理店にも任せやすいでしょ
した。インドには中国の新医療改革のように目玉
う。
の改革があるわけではないのですが、やはり中国
の次はインドというメーカーさんも多いですし、
――――しかしレポートにあった画像診断トップ
実態として富裕層の保険加入率がアップしたりし
シェアの GE の方針、「新興国では、たとえソリ
ているという背景もあります。
ューションが 50% しか満たさないとしても、価格
あとは競合企業の動向ですね。欧米メーカーが
が15 % 程度に抑えられていれば受け入れられる」
非常に積極的にインドに投資しているので、やは
には驚きました。日系メーカーはハイエンドを狙
り日系メーカーも、自分たちも何か考えなければ
う傾向が強いように思いますが、製品戦略に変化
いけないんじゃないか、参入はしていても販社や
が見られるでしょうか。
代理店に任せっぱなしではいけないんじゃないか
と考え始めたのです。
「実際にどれくらい投資した
松尾
らよいのかを判断したい」というのが、ここ最近
ックも落とす戦略を採っていないかといえばそう
の変化だと思います。
ではなくて、欧米日向けのものとは違うものも開
日系メーカーが新興国向けに、価格もスペ
(野村総合研究所『知的資産創造』2011 年 12 月号)
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Vol.18
GE は、非常に大きなグランドデザインを
発されています。これは、非常に大きなトレンド
松尾
ですね。
持っているように見えます。中国向けのものを作
そうはいっても、価格の 15%というのは従来の
ってそれを中国で安くたくさん売る、それは誰で
7 分の 1 ですから、生半可には実現できません。
も考えられることです。GE が狙っているのはそ
ちょっとスペックを落としたり、ちょっと材料を
の先で、中国で安く作ったものを周辺の新興国に
変えたりしてもそこまでは落ちませんから。結局、
も売っていく。ワールドワイドのボリュームゾー
GE などは事業の建て付け(=構造)自体が違う
ンを取りにいくという考え方をしています。もち
のです。設計と開発機能が新興国にあるというの
ろん GE チャイナのミッションは中国で売ってい
が、我々が認識しているいちばんの違いです。
くことでしょうが、GE 全体としてはグローバル
GE とシーメンスの共通点は、
「調達が大きく変
のボリュームゾーンを狙うということですね。
わらないと、価格を大きく落とすことはできない」
そのためには、中国で開発・設計・調達・製造
という発想を持ち、それに合わせた事業構造に変
すべてがなされた製品が、ワールドワイドで通用
化させていることです。GE は 7 分の 1、シーメ
するというブランド性が必要になります。実際に、
ンスでも 3 分の 1 の価格をターゲットに開発して
GE は中国で作ったものをアメリカでもう 1 回事
います。両者では狙っている階層が若干違い、シ
業化する取り組みをしています。ただ、製品とし
ーメンスがちょっと上の階層なのですが、それで
ては非常に低価格で取り扱いやすい一方、用途も
も 3 分の 1 です。そうなってくると、どんな部品
限られていますから、アメリカでもそれをあらゆ
も輸入ではなく現地調達、しかも調達できるもの
るところで使えるわけではありません。従来の病
で作れるものを作るというふうになります。
院の整形外科や産婦人科だけではなく、ドクター
ヘリや救急車など、新しいところに用途を見出し
日系企業が決して低価格をめざしていないわけ
ています。
ではなく、ターゲット価格を設定し、そこに落と
すために努力を重ねています。しかし GE の 15%
たとえば GE の超音波診断装置には、携帯電話
価格というのは、必要な機能を実現するために、
に似たハンディタイプのものがあるのです(編集
「Vscan・ヴィースキャン」、2011 年度の日
調達できる部品で何が作れるかやってみるという、 部注:
ボトムからの発想に近い。できなければ仕方がな
本のグッドデザイン賞金賞)。それらは先進国でも
い。だったら違う方法でやろう、違う使い方に変
100 万円を切っていますので、病院としても、す
えよう、形自体を全く変えてしまおうとなる。仕
でにインストールしている超音波診断装置とは別
様が全部決まっていて、それを実現できる安い部
に、ハンディタイプのものを買うことができない
品を調達してくるのではなくて、開発まで全部立
わけではありません。GE としては、中国で作っ
ち返ってやるわけです。当然設計も変えなくては
いけませんし、開発段階からフレキシブルでなく
てはいけません。そうなってくると、開発部門も
設計部門も調達部門も、すべて現地になくてはな
らない。そういう発想になるのです。日本で設計
したものを、現地中国で安く作るという発想とは
違うのですね。
――――我々はどうしても中国を消費市場として
見てしまいがちですが、製造拠点としての中国、
(http://japan.gehealthcare.com/)
さらにその川上に、治験を含めた研究開発拠点と
しての中国があり、GE やシーメンスはその 3 つ
の視点から一体的に攻めているわけですね。
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たそういうイノベーティブな製品を、アメリカの
ーカーもあります。やはり日本のトッププレーヤ
先端医療でも使っているというブランドを創るこ
ーの皆さんは、各社チャレンジされているという
とができます。
印象です。
アメリカで使っている先端医療の製品が、東南
アジアでも買えるしインドでも買えますよという
――――最近、中国のマインドレイ(邁瑞)がモ
ふうに、中国以外の新興国に売っていく。そうや
ニター類で世界のトップ 3 に入ったという記事を
ってグローバルでボリュームが取れるところを、
読みました。こういった中国の会社が日本でも台
価格を 7 分の 1 に下げてでも大胆に取っていく。
頭してくれば、日本市場のパワーバランスも変わ
そういう大きなビジョンを GE は描いているの
ってくるように思います。
だと、考えることができるのではないでしょうか。
松尾
中国メーカーの台頭は、ちょうど今年、
――――オムロンやシスメックスは早くから中国
我々が調査しているテーマです。『中国新医療改
に進出されていて、ダイレクトに販路も築かれて
革にともなう医療機器ビジネスの投資機会』のレ
いると聞いたことがあります。日本のメーカーに
ポートを書いたときには、マーケットはどうなの
も世界を見据えた展開をしている企業はござい
か、消費地としてどうなのかという視点が比較的
ますか。
強いと思うのですが。
中国にしてもインドにしても圧倒的なボリュー
松尾
日本企業はどこのメーカーも、それぞれの
ムがあり、調達面で非常に有利です。部品や特殊
カテゴリーでトップのメーカーだと思います。画
な成型なども、数量が出てくると当然 OEM など
像診断でいえば、島津製作所などが中国に積極的
外のプレーヤーも使いやすくなりますので、製造
に投資されている日本企業です。確かに GE やシ
原価が下がりやすくなります。コスト競争力が非
ーメンスなどと比べると、少しスタートの時期は
常に高まるわけですね。安くものを作るというノ
遅かったかもしれませんが、非常に積極的に新興
ウハウは、そんなにバカにできません。
国展開に取り組まれています。シスメックス、オ
今は安物・駄物を作っていたとしても、消費地
リンパス、あとはテルモもそうですね。インドで
の経済レベルが上がってくれば、求められる製品
拠点を開設されて、開発から一貫して現地で行う
レベルも徐々に上がってくる。技術もキャッチア
という新しい試みに、すでに着手している日系メ
ップしてくる。かつて日本のメーカーがそうだっ
2
(野村総合研究所『知的資産創造』2010 年 7 月号)
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たように、今は真似っこでも、マーケットが立ち
くするために、日系メーカーと提携して、日系メ
上がるにつれて磨かれていくことでしょう。その
ーカーが自社のラインアップとして低価格の中国
意味で、中国発の医療機器メーカーやインド発の
メーカーの製品を持ち、必要に応じて日本のマー
医療機器メーカーには、大いに注目すべきではな
ケットに売っていく。最初の参入方法としてはそ
いかと思います。
れが得策だと考えている中国メーカーがいくつか
レポートにも、マインドレイやアンケ(安科)
あって、日系メーカーと提携したい、名指しでど
といった中国のメーカーがいくつか出てきていま
こかとやりたいとおっしゃる企業もあります。と
す。我々が調査していたとき(2009~10 年)は、
はいえ、日本市場が難しいことはよく理解してい
欧米のメーカーにこれからキャッチアップという
て、まずはアメリカからと考えているように思い
印象を受けたのですが、今年になって実際にそう
ます。いずれにしても、中国発のメーカーが、先
いう企業の経営者の方とお話ししてみると、より
進国のマーケットに自社ブランドで入ってくるこ
積極的にアメリカの市場に参入していこうだとか、 とも、これからはあり得ると思います。
そのために必要な買収や提携をしようだとか、非
あとはインドのレポートにもありましたが、先
常に勢いが感じられました。
進国にある工場を新興国の企業が買収するという
事例が最近見受けられます。コモディティという
と言いすぎですが、ある程度技術的に枯れてきて
いる領域の製品の工場を丸々、あるいは、アメリ
カの医療機器メーカーのなかの稼ぎ頭ではなくな
っている事業部門を部門ごと買収して、開発から
製造拠点から製品ブランドから、一連のものを一
足飛びに自分たちの事業の中に取り入れてしまう。
こういうことも、新興国の企業に見られる 1 つの
変化です。まだ「事例」でしかありませんが、こ
れからの「トレンド」になることでしょう。
――――日本でも、技術はあっても販売ルートや
(http://www.mindray.com/)
ブランドがない会社は、既存メーカーのラインア
――――確かに、パテントが切れたら中国メーカ
ップ供給者として始めるほうが手っ取り早かっ
ーなどは同等品をどんどん製造し、低価格で世界
たりするものですが、今の海外メーカーのお話は、
中に供給していくことでしょう。そうなると、日
それと似た発想ですね。
本の医療コストに対するインパクトは大きく、医
療現場からの選択も出てくるように思います。
松尾
新興国企業の場合は、むしろ工場にあるノ
ウハウを含めて欲しいということだと思います。
松尾
中国メーカー、特に上位のメーカーは、日
そのほかにも、EMS(電子機器の受託生産サー
系メーカーとの提携に非常に関心を持っています。 ビス)というプレーヤーが医療機器業界に参入し
なぜかというと、日本の医療財源が厳しいという
てきています。その参入の経緯というのが、いか
ことを彼らは当然分かっていて、安い、低価格の
にも時流に乗っています。
製品に対する需要は必ずあると考えているからで
彼らはもともと、ヒューレット・パッカードや
す。
ノキアのように、世界中で同じものをものすごい
もちろん認可の問題はありますし、国がどこま
ボリュームで売っているメーカーから、ノートパ
で日本企業のものを守るかという問題もあるでし
ソコンや携帯電話といった製品の組み立てなどを
ょう。しかし、ビジネスの側面から考えると需要
請け負っています。台湾、アメリカ、日本にもい
は必ずある。より日本のマーケットに導入しやす
くつかあり、生産台数でいえば、医療機器とは桁
5
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が 2 つも 3 つも違うような大きな規模です。この
松尾
EMS は、ノートパソコンや携帯電話のマーケッ
ーカーを訪問する機会がありました。インドでは
トが立ち上がってきたここ 50 年ほどで急成長し
病院経営が民間に開放されているので、病院がメ
てきました。
ーカーを傘下に保有していたり、逆にメーカーが
ただ、今は製品が普及し、末端価格がだんだん
この夏に、インド資本の眼科の医療機器メ
病院を保有しているケースもあります。
下がってきています。このままノートパソコンや
病院が経営しているメーカーは、当然、自分た
携帯電話だけで継続的に成長するには厳しくなっ
ちの患者さんが払える価格の製品を作ります。例
てきたため、新たに付加価値のある分野を取り込
えば白内障の手術に使われる眼内レンズは、イン
む必要が出てきました。そこで、医療機器に注目
ド国内では 1 ピース 100 円とか 200 円で販売され
が集まっているのです。
ているものもあるのです。日本や欧米では、
「そん
すでに EMS のグローバルのトップ企業は軒並
なものは怖くて使えない」ということになります
み、特にトップ 5 はすべて医療機器に参入してい
が、インドではそれでも手術できればいいわけで
る格好です。赤字になりそうなメーカーや、老舗
すね。
だが跡継ぎがいないメーカーの買収は、当然視野
その 100 円の眼内レンズを使った手術件数は世
に入ることになります。日系メーカーには EMS
界一と言われていて、その病院はアメリカの眼科
も非常に関心を持っています。
の若い医者を、インターンとして毎年 100 人単位
で受け入れているそうです。
「アイキャンプ」と言
――――日本企業は圧倒的に中小・零細が多いで
っていたと思いますが、テントとか手術台とか一
すから、従業員の雇用さえ確保されれば買収も大
式を全部トラックに詰めて移動して、インドの農
歓迎というところも多いでしょう。
村部でキャンプを張って、どんどん手術をしてい
話は変わりますが、インドには企業だけでなく
くのです。これには州政府も協力していて、事前
医師も注目しています。インドに行けばものすご
にいつ白内障の手術をする先生が来ますよ、手術
い数の症例がこなせるうえ、医療訴訟もないと聞
を受けたい患者さんは来てくださいと告知して、
くので、特に外科の若いドクターにとっては魅力
受付なども公的な機関が協力してやってくれるよ
的なようです。
うです。
ほかにも、民間の病院がチャリティーで医者を
3
(野村総合研究所『知的資産創造』2011 年 12 月号)
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送り込んで手術するということもやっています。
――――医療機器や医療機器流通は、医療を支え
それもまた、新興国ならではですよね。
る非常に重要な部分ですが、日本ではあまり論じ
られることはありません。そのせいか、外部の方
4
には実態が伝わりにくいようです。
松尾
何というか、医療機器は「ブドウの房」み
たいなビジネスですよね。粒が小さく、技術的に
も違う技術のものが同じチャネルで使われるがゆ
えに、目の前のお医者様のニーズにすべて応えよ
うと考えたら、とても難しいビジネスです。
例えば、現在のエレクトロニクス業界をけん引
している大きな要素として半導体というものがあ
ります。半導体のサイクルと密接に絡んだビジネ
スをしているメーカーはたくさんあります。この
半導体と医療機器には、類似点もあれば違う点も
あるのです。
(野村総合研究所『知的資産創造』2011 年 12 月号)
半導体業界だと「シリコンサイクル」というも
――――そういった中国やインドの企業から見る
のがあって、だいたいのロードマップが存在しま
と、日本市場はどういう位置付けになるのでしょ
す。そのロードマップのなかで、皆が技術開発を
うか。
行います。しかし、医療機器業界にはロードマッ
プがありません。いろいろな技術がいろいろなと
松尾
比較的上位のメーカーは、まずはアメリカ
ころから出てきて、それが要件を満たしていれば
と考えているように感じます。その理由は、アメ
いい、ユーザーのお医者さんが使いやすければい
リカで使用されることで生まれるブランド性です。 いという面があります。ですから、ベンチャーに
彼らは世界トップの医療機器メーカーのことを一
とってはチャンスがある業界といえます。逆に大
生懸命勉強していて、どうやって世界で医療機器
きなメーカーで、品質保証や安全面を担保してや
を売っていくかと考えたときに、やはりアメリカ
っていこうとなると、同じエレクトロニクスの技
でブランドを作ることが大事だと考えているのだ
術を使っていたとしても、医療機器はちょっとマ
と思われます。
ーケットが違うように思うのです。
それは別にして、今の中国は内需拡大路線を採
医療機器には、全体は大きくとも 1 つひとつを
っています。一昨年から今年にかけての大きな変
見なければいけないという難しさがあります。そ
化は、中国の医療機器メーカーがまた内向きにな
の分、卸のプレーヤーや病院が持っているノウハ
ったことです。以前はどちらかというと、キャッ
ウは価値があると言えるでしょう。どこから見て
チアップして早く世界に出て行こうとしているよ
も、誰が見ても分かる製品・サービスであれば、
うに見えましたが、今年の中国のトップメーカー
なかなかそういうノウハウは生まれないと思いま
は内需重視です。特に、内陸部にもそれなりの中
すから。
核病院ができてきましたし、さらに今後は、ある
程度の規模の病院を各県レベルで造っていく方向
――――「ブドウの房」とは言い得て妙ですね。
性も出ていますから、国内の動向に注目している
確かに 1 粒ひとつぶ取り扱いが違う大変さが、医
ようです。各県ともなるとものすごい数ですので、
療機器にはあります。本日は貴重なお話をありが
そこは自分たちが取りたい、取っていくぞという
とうございました。
ことですね。
日本はその後でしょう。
〔取材協力:株式会社野村総合研究所〕
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個別化医療をめぐって加速する
メガ・ファーマのアライアンス戦略
治療薬とコンパニオン診断薬の⼀体開発が進む
ヒトゲノム計画が記念すべき 10 周年を迎えた
さらに、個別化医療は治療薬を救済し、市場拡
2 年前、科学者たちは、大規模な DNA シークエ
大にもつながるかもしれない。バイオジェン・ア
ンスの業績が〈個別化医療の時代〉を牽引しなか
イデック社とエラン社(アイルランド)が販売す
ったことに失望感を抱いていた。実際 DNA シー
る多発性硬化症の治療薬「タイサブリ」はすでに
クエンスは、癌やメンデル型疾患に関係する突然
ブロックバスターとなっており、投資銀行の
変異などの診断用として限定的に使われ始めたに
Piper Jaffray のアナリスト Ian Somaiya 氏は、
過ぎず、その成功例であるロシュ(スイス)の「ハ
ピークの売上高は 40~50 億ドルに上ると予測し
ーセプチン」
(コンパニオン診断により処方される
ている。タイサブリには脳の感染症リスクが報告
乳癌治療薬)のあとを追うものはなかった。あれ
されているが、両社は Quest Diagnostics 社の血
から 2 年。個別化医療はまだ主流ではなくとも、
液検査で、脳の感染症リスクを高める抗 JC ウイ
正しい方向に歩を進めている。
ルス抗体を検知できると明記している。アナリス
昨年の秋、ロシュグループの転移性メラノーマ
トは、この血液検査により、JC ウイルス陰性の
の治療薬「Zelboraf(一般名:ベムラフェニブ)」
患者たちにタイサブリを使う医師が増加すると予
とファイザー社の転移性非小細胞肺癌の治療薬
想している。
「Xalkori(一般名:クリゾチニブ)」が、それぞ
れコンパニオン診断との併用で FDA の薬事承認
を取得した。第Ⅰ相臨床試験開始が 2006 年、市
販前承認(PMA)取得が 2011 年と、標準的な薬
剤の開発期間と比べて驚異的な早さである。
今年の初め、FDA はコンパニオン診断に関する
ガイドラインを発表した。以前は診断薬会社と治
また、先月末には、ロシュが DNA シークエン
療薬会社はそれぞれの製品を別々に開発していた
スのトップ企業イルミナ社を 57 億ドルで買収す
が、このガイドラインでは両社が共同で開発する
ると発表した。ロシュの診断薬部門は製薬事業の
ことを推奨している。FDA によると、診断薬より
売り上げの 20%を占めており、イルミナ社の DNA
先に治療薬を承認する場合も考えられるが、基本
解析製品によって既存製品の強化が図れる。投資
的にはセットで審査するという。
銀行の Jeffferies のアナリスト Jeffrey Holford 氏
個別化医療を支える薬事承認ルールがつくられ
は、コンパニオン診断を通して充実した個別化医
たことに加え、製薬会社にとってはコストが削減
療の製品群を持つことにより、ロシュの将来の立
できる点も後押しとなる。治療薬会社は長らく、
場も向上すると見ている。イルミナ社の競合
ラボで開発した診断テストで臨床試験に適した患
Complete Genomics 社などの株価も、ロシュによ
者を見つけることでコストを削減してきたが、そ
る買収ニュースが出た直後に上昇した。
の診断テストを FDA 承認済みのコンパニオン診
投資家たちは、遺伝子技術を買収し個別化医療
断に置き換えられるようになっても、どこか他人
分野を押し進めようとしているメガ・ファーマは、
事とみなしていた。しかし Zelboraf と Xalkori は、
ロシュだけではないだろうと推測している。
初期段階からコンパニオン診断を組み入れること
「Medical Device Daily」
(2012 年 2 月 1 日号)
で開発がスピードアップできることを証明した。
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再び問い直される医師の倫理
⽇本でも⽶国でも、さらなる情報開⽰が求められている
――メリー・コーベット/本誌 アドバイザリー・スタッフ
オバマ政権は、上昇し続ける医療費を解消する
ケートを実施したところ、35%がメーカーとの金
新兵器(法律)を導入しようとしているが、その
銭的な関係については公開不要と回答したという。
法律に関する熱い議論は費用対効果以外のところ
また、20%の医師が裁判を恐れ、医療過誤を患者
にもおよんでいる。
に報告しないとしている。このような結果を受け、
導入間近の「Physician Payments Sunshine
「患者は医師から完全で正確な情報を与えられて
Act(PPSA)」というこの法律では、
「メディケア
ないのでは?」とハーバード大の研究者は疑念を
かメディケイドの償還対象となる医療機器、もし
呈しているが、それでは、医師はどこまで正直に
くは薬品を1つでも製造しているメーカーは、医
情報を開示するべきなのだろうか。
師に対するすべての出費を、政府のウェブサイト
有害事象に発展しなかったものも含めて、すべ
上で公表しなければならない」とされている。メ
ての医療過誤を医師は報告しなければならないの
ーカーから贈られる小さな商品から、新たな発見
だろうか? 多少の金銭のやり取りが、医師の治療
や発明に対するロイヤルティや医大附属病院への
決定に悪い結果をもたらすと言い切れるのだろう
献金まで、幅広く公開の対象に含まれる。なんと、
か? 例外はないのだろうか?
MSN のニュースサイト msnbc.com が 100 人の
スタッフの休憩時間に差し入れるドーナツまでも
対象だ。
医師を対象に行った調査では、①患者に医療過誤
を秘密にするが 21%、②正直に報告するが 55%、
ニューヨークタイムズ紙の調査によると、医師
の約 25%は、製薬メーカーやデバイスメーカーか
③重大な医療過誤は起こしたことがないが 24%
ら講演料やコンサルティング料と称して現金を授
だった。
受している。さらに約 66%は食事、娯楽といった
倫理に厳しい人は、「隠し事がないのがいちば
接待を受けたことがあるという。メーカーから資
ん」と言い切るかもしれない。しかしその場合、
金提供を受けている医師は治療判断に影響を受け、 深刻な診断を伝える際に、患者やその家族を気遣
費用の高い治療を選択しがちなことは、さまざま
う罪のない嘘も認められないのだろうか。このよ
な調査で明らかになっている。また、このような
うな医師の情報開示に関する疑問が、数多く挙げ
医師は、患者にとってよりリスクの高い治療法を
られている。
選択する傾向があるとの指摘もある。
医療過誤の報告の徹底や、思わしくない予後を
メーカーの支出情報の開示を求める今回の法律
どこまで積極的に患者に説明するのかといった倫
は、医療費の削減につながり、さらには患者にと
理的な問題は、ずっと以前から議論されてきた。
って最も良い製品選びにも効果を発揮するだろう
今回の PPSA 導入により、今までうやむやにされ
と、患者団体や議員等は考えている。しかし新た
てきた問題が浮上してきた格好だ。
な法律の施行に先立ち、利益相反の点からも、す
患者中心の医療を支持するアメリカでは、いま
でに多くの研究費や講演料がメーカーの予算から
や PPSA 導入議論のそもそもの発端であるコスト
姿を消しており、このままでは新たな研究や革新
削減効果よりも、患者の知る権利を保護する方法
的技術も開発されにくくなるのではとの懸念も聞
に、世間の注目が集まっている。金銭的なやり取
かれる。
りの公開はあくまで問題の一部であり、より本質
『Health Affairs』2 月号に掲載されたハーバー
的な、「医師の真摯さ」や「医師の倫理」が問わ
れている。
ド大学医学部の研究では、1,900 名の医師にアン
9
Mar .2012
Vol.18
The Academia Highlight アカデミア・ハイライト [18]
整形外科分野に新潮流の兆しが⾒える
うのめ・たかのめ
by
この 2 月上旬、サンフランシスコで第 79 回
窒化ステンレスは合金系より良いといった
米国整形外科学会(AAOS)が盛大に開催され
結果も提示したが、これらは術後の経過年数
た。整形外科の中心的な術式である関節置換
が短い。MoM と MoP との差異はやや後者の
術・肩関節/膝関節再建術・股関節リビジョ
ほうに有害事象が少ないようだ。術者の腕も
ン手術等に用いられる諸人工関節の改良は、
無視できず、テーパ状に装着された場合は当
抗酸化ポリエチレンを用いたものや、潤滑層
然、高率で不具合が発生する。術式では表面
にナノ粒子ダイヤモンドを採用した新製品が
置換術が採用できる場合には MoM も捨てが
より安全性が高く、経済的なメリットもある
たいといった発表が続いた。
として数多く発表・展示されたほか、インペ
現時点では同一条件下での症例を集める
リアル・ロンドン大の研究サポートを受けた
のは困難なため、数千例ではなく、できれば
英メーカーが、軟骨組織も一体化した個別化
10 万例を超えるレベルの疫学調査に挑戦す
対応膝関節置換インプラントを上市した。
べきだとの結論に落ち着いたが、その結果が
また、次世代の整形外科治療の柱になると
出るまでの間は血清中の金属イオン濃度の
期待される自家幹細胞移植を用いた海綿骨や
推移に注目して、数値の上昇が見られた場合
軟骨組織の再生治療などが、獣医学科分野で
には金属腐食が起きている証拠なので、躊躇
の成功実績を踏まえ、臨床応用が始められた
することなくリビジョンを行うべきだとの
との発表も、米ミシガン大・豪ジェームスク
見解が支持された。
ック大などからあった。米国では骨格筋損傷
もう一つのトピックスは、ほぼ同時期に東
が年間 3,300 万人も発生し、その財政負担は
京ビッグサイトで開催されたライフ・ナノテ
大きいだけに期待を寄せられている。患者に
クノロジーシンポジウムで米ノースウェス
とっても、その半数は軟骨・腱・靭帯等に瘢
タン大が発表した、脊椎損傷や脳疾患の後遺
痕組織が残るだけに福音である。
症によって運動機能が損なわれた人たちの
しかし、本学会で特別セッションまで設け
機能補完・再建へ向けた機能的電気刺激法
て多数の発表が行われ、インパクトがあった
(FES)の広範囲な臨床・応用研究である。
のは、メタル-オン-メタル(MoM)人工関節
日本では秋田大が、イスラエルで開発された
を用いて手術を受けた患者の遡及的追跡調査
総腓骨神経表面刺激装置を用いて片麻痺性
の結果である。
下垂足患者の歩行能力向上などに効果を上
MoM は以前からその金属毒性やリビジョ
げているが、同大学は筋電位の安定した出力
ン率の高さなどが指摘され、使用が手控えら
に着目して、埋め込みではなく装着でスムー
れてきた経緯があるが、骨頭径が 32mm 以上
ズな手の動きを取り戻すことに成功してい
の場合はポリエチレン(P)層内在タイプでは
る。この双方向 FES は整形治療の幅を飛躍
破損事故率が高まるために、MoM タイプによ
的に拡げる技術として要注目である。
る置換術がなお標準術式である。
人工材料を用いた置換術一辺倒から、生体
米・英・独・豪からの発表者は、モリブデ
組織・機能を活用する再建・再生術への流れ
ン含有コバルト-クロム合金 MoM は避ける、
は強まるだろう。
10
Mar.2012
Vol.18
Medical
Device
Daily
―
2012/2/1 2012/2/29
(
)
Diagnostics
精度の⾼い
出⽣前診断を可能にする、
染⾊体マイクロアレイ解析
研究機関 Scripps が
⾼感度の CTC 検査を
開発中
2012 年2 ⽉13 ⽇
2012 年2 ⽉6 ⽇
全米 34 の医療機関で行われていた出生前診断
の研究によると、染色体マイクロアレイ解析
カリフォルニア州で多くの病院を経営する
(CMA)による胎児の DNA 診断は、現在一般的
Scripps Health 社 の 研 究 部 門 The Scripps
に行われている核型分析による出生前遺伝子診断
Research Institute が、末梢循環腫瘍細胞(CTC)
よりも、胎児の疾患リスクなど多くの情報が得ら
を検知して分析する新たな血液検査「HD-CTC」
れるという。
4,450 人の妊婦を対象に、CMA と核型分析によ
の研究結果を発表した。
この検査は、赤血球と白血球から末梢循環腫瘍
る出生前診断の比較が行われた。21 トリソミー
細胞を分離し、デジタル顕微鏡を介して画像処理
(ダウン症)や 18 トリソミーなどの染色体異常
し、健康な細胞と大きさや形の異なる細胞を特定
の検知率は、両検査でほぼ同等だったが、構造的
する。生検と同等の検査が行えるだけでなく、治
異常については、核型分析で「異常なし」と診断
療薬の「効く/効かない」をわずか数日で判定で
された胎児の 6%において、CMA では異常を検知
きるため、癌の治療方針のスピーディーな決定に
できた。そのうち母体の年齢が若く、胎児の染色
効果を発揮する。乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌、
体が正常だった 1.7%の患者に対して手術が行わ
卵巣癌、肝臓癌といったさまざまな癌を検査でき、
れ、CMA は胎児の懸念材料を発見するうえで重
汎用性も高い。
要な役割を果たした。詳細は『American Journal
上記の進行癌の患者 83 人を対象に感度を検証
of Obstetrics & Gynecology』に掲載されている。
したところ、血液サンプル1ml 当たり 5 つ以上の
現在 CMA は、胎児の検査ではあまり利用され
CTC を検知した確率は、前立腺癌で 80%、乳癌
ていないが、新生児の先天性異常や、幼児の知的
で 70%、膵臓癌で 50%だった。これは、現在のゴ
障害、自閉症などの発達障害の検査法としてはす
ールドスタンダードである Veridex 社の CTC 検
で に 普 及 し て い る 。 New York Presbyterian
査「CellSearch」よりも優れた感度だという。
Hospital などで生殖遺伝を研究する R.Wapner
博士は、少なくとも 150 種類の異常とその理由を
検知できる CMA が、今後、核型分析に代わるス
タンダードになるだろうと述べている。
DiaGenic 社の
パーキンソン病を検知する
遺伝⼦発現検査に進展
2012 年2 ⽉14 ⽇
DiaGenic 社(ノルウェー)は、パーキンソン
(http://physicsoncology.org/)
11
Mar.2012
Vol.18
(1) System 7
大規模な骨手術で使用する最新の骨切断機器
病を初期段階で検知する遺伝子発現検査の予備実
験で、85%という高い診断率を収め、製品化のパ
(パワーツール)。バッテリー寿命が長く、
ートナーを探している。
トルクもアップしている。
この開発中の遺伝子発現検査は、欧州のパーキ
ンソン病患者 900 人の遺伝子データを参考に、血
液サンプルで同疾患のトランスクリプソーム(注)
解析を行う。現段階では 700 の遺伝子解析をベー
スに遺伝子発現検査を行っているが、将来的には
標的遺伝子を 100 以下に絞る予定。さらに同社は、
この遺伝子発現検査を、パーキンソン病のコンパ
ニオン診断として応用できるよう開発を進める方
針だ。
この検査には、専門家以外が使用すると診断率
(http://www.stryker.com/)
が低くなるという欠点があるが、同社は、パーキ
ンソン病診断を行う GE ヘルスケアの単一光子放
(2) Stryker ADAPT System
「 FluoroMap 」 ソ フ ト ウ ェ ア を 動 か し 、
射断層撮影(SPECT)システム「DaTscan」との
「Gamma3」ロッキングネイルシステム植込
併用で、診断率の向上を図れるとしている。
み時に、適切な位置情報を提供する。
(3) Studio 3 Media Asset Manager
手術ビデオ画像の保存・管理といった集中管
同社は、アルツハイマー病を診断できる血中の
遺伝子発現検査「ADtect」も開発しており、こち
らは 2009 年に CE マークを取得している。
理ソリューションを提供する。
(4) 脊椎システム「ARIA」
(注)トランスクリプソームとは、特定の状況下において
細胞中に存在するすべての mRNA の総称。
低侵襲的に腰部からアクセスし、神経モニタ
リングしながら挿入する脊椎インプラント。
(5) AVS Anchor-C Cervical Cage
スクリューのみで固定可能なデザインの、頸
部の前方固定デバイス。
(6) ReUnion TSA Modular
架橋ポリエチレン(X3)を初めて使用した、
次世代の人工肩関節インプラントと、使いや
すい手術器械。
(http://www.diagenic.com/)
Orthopedics
S&N が
⼈⼯股関節 POLARCUP を
⽶国でも発売開始!
ストライカー、
アメリカ整形外科学会で
新製品を披露
2012 年2 ⽉13 ⽇
2012 年2 ⽉9 ⽇
スミス・アンド・ネフュー(英)が、人工股関
節「POLARCUP Dual Mobility Hip System」を
ストライカーが、サンフランシスコで開催中の
米国で発売する。
米国整形外科学会(AAOS)において、新製品・
同システムはカップ、ライナー、ボールからな
新サービスを披露した。今回発表された製品は、
る。小さめの骨頭部品を、肉厚なポリエチレン製
次のとおり。
のライナーに植込んだバイポーラの股関節で、脱
12
Mar.2012
Vol.18
臼の抑制に高い効果を発揮する。薄い金属製のカ
を併せ持ち、リコイルを抑制できるよう構造に独
ップに収められたライナーは、カップ内で自由に
自の工夫が加えられており、透視下での視認性も
可動できるため安定性が高く、一般的な人工股関
高い。同製品は各種臨床試験で長期的な有効性、
節に比べ格段に脱臼を起こしにくいため(2006
安全性が示されている。
年の臨床試験では脱臼率 0.7%)、プライマリーに
売り上げの 40% にもおよぶロイヤリティーを
もリビジョンにも使用できる。また大径のカップ
支払って、アボット社から供給を受けている
と小径のボール部の採用により、関節の可動範囲
「Promus」(アボットでの販売名は「XIENCE
が広く、患者の跳躍距離も向上している。
V」)を、自社製の Promus Element Plus に切り
欧州など米国外では、活発に運動する人からそ
替えていくことで、ボストンの収益性は高まるも
うでない高齢者を含む幅広い患者に使用されてお
のと期待される。
り、販売実績は 10 年におよぶ。
メドトロニック、
Resolute Integrity DESの
市販前承認を取得
2012 年2 ⽉21 ⽇
メドトロニックは、冠動脈疾患(CAD)治療用
として、薬剤溶出ステント(DES)「Resolute
(http://www.plusorthopedics.com/)
Integrity」の市販前承認(PMA)を取得した。
Cardiology
CE マークは 2010 年に取得済み。
この DES は、細胞増殖抑制剤のゾタロリムス
と生体親和性の高い BioLinx ポリマーを使用して
薬剤溶出型冠動脈ステント
Promus Element Plus を
ボストンが欧州で発売
いる。また、正弦波(規則的な波型)形状に成型
された1本のコバルト合金製ワイヤーをらせん状
に巻きつけレーザー溶着する、連続正弦波形状技
2012 年2 ⽉2 ⽇
術(CST)により、血管の立体的構造や動きに追
従し、病変部の血管壁をスムーズかつ効率的にサ
ボストン・サイエンティフィックは、エベロリ
ポートできる。
ム ス 溶 出 冠 動 脈 ス テ ン ト 「 Promus Element
CAD やその予備症状である糖尿病の治療とし
Plus」が欧州で発売され、初めて患者に使用され
て経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた患者は、
たことを発表した。
動脈の蛇行や狭窄、病変の肥大があり、再手術や
こ れ は 2009 年 に CE マ ー ク を 取 得 し た
血栓症率が高く、現状では治療困難とされている。
「Promus Element」の新型で、米国では昨年承
同製品と同じ技術を使用した DES「Resolute」が、
認済みの製品。同社は、Promus Element Plus を
世界各国で行われた臨床試験で、CAD や糖尿病患
まず欧州の限られた地域で発売した後、第 2 四半
者において良好な成績を収めたため、米国での期
期には欧州全域に展開する考えだ。
待も高い。
Promus Element Plus はプラチナクロム合金
製で、デリバリーシステムにはストラットの薄い
2 層構造バルーンを採用しているため、従来品に
比べ冠動脈疾患患者へのステント挿入が容易で、
挿入が困難な病変部にも正確にステントを送達で
きる。さらにステント本体は、柔軟性と高い強度
(http://www.medtronicstents.com/)
13
Mar.2012
Vol.18
Ophthalmology
Oncology
Second Sight 社の
⼈⼯眼 ArgusⅡの
臨床試験は好調
サノフィ、
Median 社の
画像診断ソフトを導⼊
Second Sight 社が、人工眼「ArgusⅡ Retinal
Median Technologies 社(仏)は、サノフィ(同)
2012 年2 ⽉9 ⽇
2012 年2 ⽉2 ⽇
Prosthesis」の今年中の FDA 承認をめざしてい
が近く開始する肺小細胞癌に対する新薬の第Ⅱ相
る。この製品は、昨年 2 月に CE マークを取得し、
臨床試験で、同社の CT 画像解析ソフト「LMS」
つい最近発表された臨床試験の中間結果も良好の
が使用されると発表した。現在 Median 社は、製
ようだ。
薬、バイオテクノロジー業界や CROs(受託試験
ArgusⅡは、網膜色素変性症などの変性疾患に
機関)を主たるターゲットとして、商業ベースで
より視力を失った人が利用対象。患者の眼鏡に搭
の展開を模索しており、今回のサノフィとの契約
載された小型カメラで捉えたビデオ画像を、体外
は同社にとって大きな一歩となる。
に携帯したポータブルユニットで電気パルスに変
CT 読影では、病変の同定が問題となる。CT で
換し、眼鏡のこめかみ部から無線で網膜表面に配
再撮影した場合、30%近くで初回撮影時の腫瘍病
列された電極に送るというもの。電気パルスは網
変を同定できないという。また、新たな部位への
膜上の生きている細胞を刺激し、光のパターンを
転移を見極めることが癌の進行を判断するカギと
脳に伝える。患者はこれらのパターンを学ぶこと
なるが、現在は 50%余りが見逃されてしまう。
で、ある程度の視覚機能を得ることができる。
LMS を用いれば 90~92%の感度で、腫瘍の転移
同社の副社長 Brian Mech 氏は、「試験前には
を発見できる。
LMS は SaaS ベースのサービスで、研究機関、
完全に視力を失っていたすべての被験者が、同製
品により一応見ることができ、しかも、30 人中
撮影場所や CT 装置に関係なく、自動/半自動で
29 人が対象物の位置を感じ取ることができた。個
画像を加工して集中管理でき、RECIST1.1(癌の
人差は大きいものの、被験者らはおおむね満足し
治療効果判定のための国際標準ガイドライン)な
ている」と語った。視覚障害者の環境認知や行動
どに基づいて患者を診断できる。ここ4年間で
の 度 合 い を 調 べ る O&M ( orientation and
Median 社の画像解析ソフトは、世界 120 以上の
mobility)検査の結果も良好だという。6 カ月間
癌センターや病院に導入されている。
の臨床試験の中間結果は、『Ophthalmolog』4
月号に掲載される予定。
エダップテクノメド社が
北⽶での⾃社製HIFU 装置の
販売を直販に切り替え
2012 年2 ⽉7 ⽇
Glasses
超音波治療機器開発を手掛けるエダップテク
ノメド社(EDAP TMS:仏)が、自社製造の高密
度焦点式超音波治療(HIFU)装置「AblathermVPU
Antenna
HIFU」の販売を、カナダとカリブ海諸国におい
て、自主販売に切り替える。これは、2005 年に結
Camera
ばれた Maple Leaf HIFU 社に対する、同製品の
(http://2-sight.eu/)
14
Mar.2012
Vol.18
独占販売権付与の契約終了にともなうもの。
麻酔による腫れやあざも抑制できるという。同デ
Ablatherm は、前立腺癌患者の標的細胞にのみ
バイスは、「Sapphire」「Topaz」「Emerald」の
超音波を集中照射し、凝固壊死させ、非侵襲的か
3 種類あり、使用するシリンジのサイズや用途に
つ確実に癌細胞を破壊する装置。エダップ社は同
応じて使い分けられる。
装置に関して、年末には FDA への申請を終え、
Ouchless は、美容整形のほか植毛にも使用され
2013 年の早い段階での承認獲得を狙っている。
ており、さらに他分野での応用が検討されている。
同社は昨年、体外衝撃波結石破砕装置「ソノリ
また、同社は世界進出にも意欲を示している。
ス」の市販前届 510(k)を完了したことで、米国の
Sapphire
泌尿器科医の間で知名度を上げ、販売ネットワー
クを築きつつある。さらに今回の販売権の回収で、
市場の大きい北米での直接販売が可能になり、最
終段階にある Ablatherm の FDA 承認の前に、拡
販に向けて確実に足場を固めている。
(http://www.ouchlessneedle.com/)
NinePoint 社の
内視鏡⽤ OCT 検査装置
Nvision VLE
2012 年2 ⽉23 ⽇
(http://www.edap-tms.com/)
NinePoint Medical 社は、組織内部まで観察可
Other Products
能な光干渉断層撮影装置「Nvision VLE Imaging
System」の市販前届 510(k)を完了し、汎用的な
観察での使用が認められたと発表した。これは内
注射の痛みを軽減させる
⿇酔スプレー
視鏡と併用する装置で、光干渉断層撮影(OCT)
のプローブを機械的に出し入れすることで、2 次
Ouchless Needle
元横断面(円周方向)の画像とともに、縦方向(リ
2012 年2 ⽉21 ⽇
ニア)の画像もリアルタイムに観察できる。
同社は、Nvision VLE によるバレット食道の観
ボトックスや皮膚充填剤など低侵襲性美容整形
察力を検証するための臨床試験も開始している。
の 人 気 が 高 ま る な か 、 新 興 企 業 BellaNovus
この試験では、食道癌の前癌病変であるバレット
Development 社は、注射の痛みを軽減させる麻酔
食道と疑われる患者に対して、上部消化管内視鏡
スプレー「Ouchless Needle」を武器に、同市場
検査の際に同製品を用い、表面下組織が可視化で
でのシェア拡大を狙っている。
きるかどうかを検証する。また、診断だけでなく、
このデバイスは、シリンジに取り付ける使い捨
浸潤範囲を知ることによる治療方針の決定や、経
てタイプ。FDA 承認済みで CE マークも取得して
過観察への有用性も検証する。試験はメイヨー・
いる特殊な冷却剤を注射前にスプレーし、注射す
クリニックほか世界的に著名な 5 施設で、およそ
る部位を冷却することで一時的に麻痺させ、注射
100 人の患者に対して行われる。
による痛みを軽減する。冷却剤がなくなるまで何
同社は 2013 年の発売をめざしており、来年か
度も使用できるため、費用も従来の局所麻酔クリ
らの商品化に備えて、オリンパス アメリカ社でマ
ームを使用した場合とさほど変わらない。そのう
ーケティング担当副社長を務めていた Patrick
え、局所麻酔クリームに比べて麻酔が効くまでの
MacCarthy 氏を、同社マーケティング担当副社長
時間や注射後の麻痺残存時間を大幅に短縮でき、
として招聘した。
15
Mar.2012
Vol.18
(3) セント・ジュード・メディカル
治療抵抗性⾼⾎圧の
治療法、
腎除神経術の市場が拡⼤
腎除神経カテーテルの臨床試験を豪州で行っ
ており、年末までに欧州で発売する予定。
2012 年2 ⽉27 ⽇
(4) ReCor Medical 社(独)
腎除神経システム「PARADISE」の CE マー
世界人口の 3 分の 1 が高血圧患者で、そのうち
クを取得している。同製品はカテーテルの先
3 分の 1 以上は、薬の効かない治療抵抗性高血圧
端についた円筒部分から超音波を発し、交感
患者だといわれている。この治療抵抗性高血圧へ
神経を焼灼する仕組み。
の対処として医師や医療機器メーカーが注目して
いるのが、経カテーテルで治療が行える腎除神経
ReCor 社、腎除神経
システム PARADISE の
CE マークを取得
術である。
腎除神経術は、カテーテルにより腎動脈にある
血圧制御に大きくかかわる交感神経を焼灼するも
2012 年2 ⽉23 ⽇
の。2012 年のクリーブランド・クリニック 医療
イノベーション・トップ 10 で堂々の 1 位を獲得
ReCor Medical 社(独)は、経皮的腎除神経シ
したこの分野では、大小問わず多くの企業による
ステム「PARADISE」の超音波プラットフォーム
製品の開発ラッシュが続いている。
の CE マークを取得した。
PARADISE は、腎除神経カテーテルにより腎
(1) メドトロニック
腎除神経用 RF アブレーションカテーテル
動脈壁の交感神経を低侵襲的に不活化し、心血管
「Symplicity」の米国での臨床試験開始を発
疾患の主要危険因子である治療抵抗性高血圧を治
表したばかり。すでに欧州での臨床試験で良
療するシステム。超音波を用いて除神経を行うも
好な成績を収めている同製品は、Ardian 社を
ので、超音波を放出する円筒状トランスデューサ
買収したことにより獲得した。モノポーラで、
が直径 2mm のカテーテルに取り付けられてい
施術時間は 40~60 分。
る。先端部のバルーンに送水し、膨らんだバルー
ン内からトランスデューサで除神経を行うため、
(2) Vessix Vascular 社
均一な血管壁の除神経が可能。また、血管内皮を
RF バルーンカテーテルシステム「Vessix V2」
冷却でき、安全かつ迅速な除神経が行える。
は、バルーン上にバイポーラの電極を配置し
PARADISE の最初の臨床試験データは、経カ
たカテーテルで、施術時間が 30 秒と短く、術
テーテル腎除神経に関する学会「TRenD 2012」
後の痛みも軽減される。64 人の治療抵抗性高
で報告されている。それによると、7 人の患者を
血圧患者を対象に、オーストリア、ベルギー、
60 日間追跡調査した結果、収縮期血圧は平均で
ドイツなどで臨床試験を開始し、2 年間の治
31mmHg 低下したという。
療効果を検証する。
(http://www.vessixvascular.com/)
(http://www.recormedical.com/)
16
Mar.2012
Vol.18
Global Market
AccessClosure 社の
⾎管閉鎖デバイス
「守りの医療」による
医療費増⼤
ーー 整形外科での調査
MynxGrip
2012 年2 ⽉28 ⽇
2012 年2 ⽉16 ⽇
AccessClosure 社 は 、 血 管 閉 鎖 デ バ イ ス
「MynxGrip Vascular Closure Device」の市販前
ヴァンダービルト大学医療センターの研究者
承認(PMA)を取得し、米国で発売を開始する。
MynxGrip は、シースイントロデューサーから
は、米国の整形外科医が「守りの医療(defensive
血管内に挿入し、穿刺部血管壁の内側からバルー
medicine)」に関連する不必要な医療コストとし
ンで引っぱり、外側からは止血剤を押しつけ止血
て、年間約 20 億ドルを費やしていると発表。「守
を行うデバイス。バルーンは止血後に抜去する。
りの医療」とは、医療訴訟から身を守るために行
止血剤には従来から使用されている水溶性のポリ
う、患者治療に全く利益をもたらさない不必要な
エチレングリコール(PEG)を使用。体温と圧力
検査や処置のこと。
により血管外壁に浸透し、血小板との相互作用で
『American Journal of Orthopedics』の 2 月号
完全に止血、30 日以内に生体内に完全に吸収され
に掲載されたこの研究では、米国整形外科学会に
る。
出席した整形外科医へ調査を行っている。回答者
の 96%が「守りの医療」の経験があり、画像検査、
AccessClosure 社は昨年、同社の「Mynx 5F
Vascular Closure Device」とセント・ジュード・
血液検査、他科紹介、入院措置の 24%が「守りの
メディカルの止血剤「Angio-Seal Evolution」を
医療」であったという。整形外科医はこれらに月
使用した際の、止血部の痛みを比較した臨床試験
平均 8,485 ドルを費やし、この額は彼らが投入す
データを公表した。両製品の止血効果は同等であ
る医療費の実に 4 分の 1 にもなる。これを米国内
ったが、痛みの軽減に関しては Mynx 5F のほう
の整形外科医すべてに当てはめると、年間約 21
が勝るとの結果となった。AccessClosure 社はさ
億ドルとなる。
らに、Mynx 5F の次世代品で、挿入性を向上させ
過度の検査や処置は「ポジティブな守りの医療」
た「Mynx Cadence Vascular Closure Device」も
であるが、研究では、責任回避のためにハイリス
発売している。
クな患者や処置を避ける「ネガティブな守りの医
療」についても調査した。過去 5 年間で、回答者
の 70%がハイリスク患者の治療を減らし、84%が
危険のともなう処置を避けたと回答した。
医師は⾼価な義肢の
処⽅を控えるも、
義肢の給付額は増加中
2012 年2 ⽉21 ⽇
(http://www.accessclosure.com/)
医師は高価な義肢の処方を控えているにもかか
わらず、義肢に対するメディケアの給付金総額が


5 年間で 3,500 万ドルも上昇し、2010 年には 9,400

万ドルに達している。
この原因として、ベビーブーム世代の高齢化に
17
Mar.2012
Vol.18
よる患者の増加や、同じ患者による買い替え、義
診断を無料で実施することが決まった。パート B
肢の高級化による義肢価格の底上げなどが考えら
の新しいサービスには、以前は自己負担が必要だ
れる。特に、最も高価な義肢は 2005 年には 1 式
った骨密度計測や HBV ワクチン接種、禁煙指導
5,700 ドルだったのに対し、2010 年には 15,300
や食事療法なども含まれる。
ドルと倍以上になっており、処方数が少なめとは
また ACA の一環として、HHS と司法省による
いえ、高価な義肢が給付金増加に影響をおよぼし
健康保険不正請求防止チームが、昨年厳しい取り
ているのは明らかである。義肢を製作する A Step
締まりを行った。メディケア・メディケイド サー
Ahead 社によると、2005 年頃から軽量で頑丈な
ビスセンター(CMS)によると、不正請求は、昨
カーボン素材が普及し始め、衝撃吸収装置を内蔵
年度だけで過去最大の 41 億ドルも返納された。
した高性能な製品が登場し始めたという。
一方、医師は義肢装具の処方に関して、患者の
医療機器業界、
EHR のインセンティブ受給の
規制強化に困惑
重症度レベルを低く見積もる傾向があるという。
これには、米国足病医学協会(APMA)が義肢の
処方に関する明確なガイドラインを制定しておら
2012 年2 ⽉28 ⽇
ず、医師が高性能の義肢に対する疑問や不安を抱
いていることが作用しているようだ。
現在医療機関は、政府の定めた基準「有意義な
Administration
使用(Meaningful Use)」を達成するのに必要な
特性と機能を持つ電子医療記録(EHR)を採用す
ると、メディケア・メディケイドからインセンテ
医療保険制度改⾰により
昨年 8,600 万⼈が
予防医療の恩恵を受ける
ィブを受けられる仕組みになっているが、そのル
ールが厳しくなろうとしている。
メディケア・メディケイド サービスセンター
2012 年2 ⽉16 ⽇
(CMS)は、HER での情報共有を条件とした現
行のステージ 1 から、2014 年には、EHR のベン
保健社会福祉省(HHS)の報告によると、医療
ダーに関係なく情報交換ができること、患者が自
保険制度改革(ACA)のおかげで、米国内で民間
身の健康情報へアクセスできることなどの条件を
保険加入の 5,400 万人とメディケア加入の 3,250
組み込むステージ 2 への移行を提案している。こ
万人、合計約 8,600 万人が、Annual Wellness
れに対し、医療情報管理システム協会(HIMSS)
Visit などの健康診断を含む無料の予防医療を、昨
では賛成意見が多かったものの、医療機器業界の
年中に少なくとも1回以上受けた。
団体からは不安の声が上がっている。
ACA は保険プランのなかに、契約者の料金負担
米国の健康協同組合や医師団体、医療企業が立
なしで、大腸癌、子宮頸癌、乳癌の検査やインフ
ち上げた団体 Health IT Now Coalition は、デー
ルエンザ予防接種など、さまざまな予防医療サー
タの互換性(Interoperability)の基準がなければ、
ビスを含むよう求めている。メディケアも、ACA
遠隔医療・診断はうまく機能せず、機器から EHR
の指示による無料検診を用意している。報告書に
へのデータ転送が行えないことを指摘し、データ
よると、民間保険契約では、少数派人種に対して
互換の必要性を訴えている。さらに、同団体は保
の無料予防医療サービスも拡大した。
健社会福祉省(HHS)に対し、治療の質の向上と
2012 年も引き続き、すべてのメディケア・パー
医療費抑制のため、データの互換性に関する基準
ト C に同様の無料サービスが展開される。パート
の設定を求めていくとしている。
B では昨年、癌のスクリーニング検査や予防接種
――――――――――――――――――――――
などについて、雇用主(企業)負担と利用者(被
編集室注:本文中、特に国名記載のない会社は、本社所在
地がすべて米国です。
保険者)の定額控除が撤廃され、医療機関が健康
18
Mar.2012
Vol.18
Kawanishi Hotline
前号の Medical Device Daily から、カワニシの社員が選んだ注目の記事をご紹介します。
セント・ジュード、臨床試験を⾏い
FFR の有⽤性を⽰す〈1/19〉
40 才代で 20%の人が胃食道逆流症を起こしてい
FFR の有⽤性を評価する臨床試験 FAMEⅡで、
中間成績の段階で早くも有意な差が⽰された。
2007 年の COURAGE 試験で PCI の治療優位性
には疑問符がつけられていたが、今後は FFR ガ
イド下での PCI 施⾏数が増加すると予測される。
食道裂孔ヘルニア等のひどい場合は外科的治療に
るといわれている。基本的には薬での対処療法、
なるので、LINX が選択肢に加われば治療の幅が
広がるだろう。腹腔鏡下で行えるため、患者の
QOL 向上にも役立つ。ただ、固定位置が難しいの
か、成功率 67%というのは気になる。(藤岡)
 国内でも、尿失禁では磁力を用いた治療はあるが、
 COURAGE 試験の結果がショッキングなもので
あっただけに、FAMEⅡの結果は、多くの循環器
胃食道逆流症では聞いたことがない。ファースト
内科ドクターに PCI 治療自体の有益性を改めて感
チョイスは内服治療になるだろうが、日本国内へ
じさせると思われる。その意味では、この試験結
の参入があればおもしろいと思う。実質的に競合
果は、FFR の測定に用いられるプレッシャーワイ
他社はいないので、患者負担と長期成績次第で普
ヤーの市場ボリューム以上の意味を持つ情報と言
及するだろう。ターゲットとしては、消化器内科
える。現在、DPC 施設ではプレッシャーワイヤー
/外科、小児科のドクターが考えられる。(柴田)
の材料費は持ち出しになっている。FAMEⅡの結
果を受けてコストの問題が解決すれば、おそらく
TransEnterix社、単孔式⼿術鉗⼦ポート
SPIDER ⽤の新製品を開発中〈1/4〉
国内の市場は数倍になるだろう。(西村)
 米国と違い、日本では PCI が薬物療法のみに比べ
SPIDER は直径約 18mm のアクセスポートと
操作性の⾼い鉗⼦を組み合わせたデバイス。現
在この SPIDER で使⽤する⾎管シーリングとス
テープラーを開発中で、市販前届510(k)完了後、
2013 年頃に発売される予定。
て有意に成績が良いと認知されているので、今回
の結果も米国ほどのインパクトはないかもしれな
い。しかし、PCI が有効となる明確なカットオフ
値が確定すれば、治療方針決定の指針となり得る。
セント・ジュードの競合はボルケーノ社で、後者
 他社単孔式デバイスではポート径の制約上、ステ
の製品は機器操作がかなり簡便で、IVUS 本体に
ープラーの使用は困難であり、専用ステープラー
付帯しているという点でも優位性があるため、
が開発されれば差別化になるだけでなく、単孔式
FFR 新規参入施設はボルケーノ社が押さえてい
手術の適用を広げる可能性もある。一部の呼吸器
くかもしれない。(大谷)
外科手術などへの適用も期待できるのではないか。
18mm というポート径は十分小さいが、既存の単
Torax 社が胃⾷道逆流症治療システム
LINX の市販前承認を取得〈1/13〉
孔式手術の場合は他社製品でも切開創は非常に小
さく、VAS(視覚的アナログ尺度:疼痛のような
特定の感覚や感情の強度を評価する際に用いられ
「LINX」は数珠つなぎになった磁⼼を持つチタ
ン製のビーズで、下部⾷道括約筋部に巻きつけ、
磁⼒で⾷道を締め付けて胃からの逆流を抑制
する。⼿術は腹腔鏡下で⾏え、当⽇あるいは翌
⽇に退院できる。成功率は 67%。
る手法)で有意差が出るほどではないかもしれな
い。しかし、他社製品ではカメラポートを含む 3
ポートという形が一般的なのに対し、SPIDER は
1 ポートで 3 ポート分に匹敵する操作性を持つの
で、手術時間が短縮できるのはメリットと言える。
 食生活の欧米化により、日本でも 20 才代で 10%、
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Mar.2012
Vol.18
SPIDER の構造上難しいとは思うが、八光の E・Z
注⽬のデバイス関連記事を
ピックアップ!(未掲載記事より)
アクセスのように術中にカメラポートを大きく動
かして視野を展開できるのか、ラパコレで胆嚢を
回収する際に回収バッグが必要になった場合にど
■ バイオメット社が新製品2種の
市販前届を完了〈1/13〉
新製品は、上腕骨の再置換用インプラント
「Comprehensive Segmental Revision System」
と、それに用いられる人工関節用ベアリング
「E1 humeral bearing」
。後者は人工逆肩関節
全置換術用インプラント「Comprehensive
Reverse Shoulder System」にも使用される。
う対処するのかといった疑問が残る。(樋口)
Apollo Endosurgery 社の内視鏡的
粘膜下層剥離⽤デバイス SuMO〈1/17〉
平坦で広範な前癌性病変やポリープを取り除
く内視鏡的粘膜下層剥離術⽤のデバイス。⼀般
的な軟性内視鏡を使い、病変部の粘膜下層にバ
ルーンを差し込んで膨らませ、病変部を浮かせ
て切除する。市販前届 510(k)は完了している。
 肩専門医に取材したところ、リバースタイプ
のインプラントへのニーズは高いようだ。置換
すると 130 度ぐらい腕が上がるので、国内導入
が待ち遠しいとのこと。製品としてはトルニエ
社(仏)の Aequalis Reversed Ⅱ/Fracture
や J&J デピュー社のデルタ・グローバルが対抗
している模様。従来の人工関節の適応である
OA(変形性関節症)や RA(関節リウマチ)で
はなく、腱板断裂等の機能不全が適応。現在は
鏡視下でのスーチャーアンカーを用いた腱板
縫合にて対応している。(岡本)
 現在開発のトレンドとなっているカウンタートラ
クションや鈍的剥離をかける機能を有しており、
日本での使用が可能になれば興味を持つドクター
は多いと思われる。他社製品に比べ、粘膜下層側
からのアプローチが可能なので競争力もある。操
作性に加え、臨床使用した際の視野の確保、その
ためにどの程度デバイス操作が制約を受けるか等
が選択のポイントになるだろう。症例数は 10,000
例前後見込まれるが、既存の手技にプラスしてデ
バイスを使用するため、1 症例当たりのコストが
■ TAvedro 社、⾓膜強化法
「Lasik Xtra」の CE マーク取得〈1/5〉
レーシック手術中に行う角膜強化法が CE マ
ークを取得するのは初めて。この角膜強化法
は、同社のリボフラビン点眼液「VibeX」と
紫外線照射システム「KXL System」を用い、
角膜の架橋を促進して強度を高めることで、
円錐角膜や角膜拡張症の進行を抑制する。
増加するのがネック。(天野)
ロシュ、総額 57 億ドルでイルミナ社
株式の公開買付けを開始〈1/26〉
ロシュは 1 株 44.5 ドルの現⾦による公開買付
けを⾏い、イルミナ社の全発⾏済株式を買い集
める⽅針を発表。買収総額は 57 億ドルで、実
現すればロシュは発展が続く DNA シークエン
スの分野でトップの地位を築くことになる。
 円錐角膜の治療は従来、コンタクトレンズ、
リング挿入、角膜移植のいずれかで、最終的に
は角膜移植手術になるので患者には大きな負
担となっていた。リボフラビン点眼薬を用いた
角膜強化法が認可されれば移植以外の選択肢
が増えることになり、大きな前進と言える。日
本市場においては当面は独占状態になると思
われるが、角膜移植を行っているのは大学や規
模の大きな開業医が中心のため、末端施設への
波及は少ないと見られる。(吉永)
 かつて分子生物の分野で PCR(ポリメラーゼ連鎖
反応)法の特許を取得して市場の独占状態を築い
たロシュが、DNA シーケンサーの分野で同じこ
とをやろうとしているように思われる。DNA シ
ーケンサーのトップ 3 同士での買収のため、成功
すれば独占状態になっていくのは確実。DNA シ
ーケンサーは今後の遺伝子検査の中心になってい
くもので、遺伝子検査の普及にともない市場は拡
大していくと期待される。(問田)
※〈 〉は MDD の配信日、
( )内は回答社員の名字
20
Mar .2012
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ヒューマンドキュメント医療機器を開発した⼈たち
敗⾎症に陥った⼈たちの命を救う世界初の⾎液浄化器
「トレミキシン」開発物語 -3-
―――取材・執筆
ふくやま
たけし
福⼭ 健
この「トレミキシン」開発物語(全 10 回)は、NPO
法人・日医文化総研の文化情報誌、
『知遊 Vol.9』
(2008
年 1 月刊)と『知遊 Vol.10』
(2008 年 7 月刊)に連載
医学と⾼分⼦化学の融合
てらもと か ず お
寺本和雄の後を受けて東レ側の開発担当となっ
しょうじひさたか
たにとおる
た小路久敬は、谷 徹 らの実験現場に初めて足を踏
み入れたときのことを、鮮明に記憶に残している。
部屋に入るなり、
「あっ、ちょっとこの肝臓を持
ち上げといて」と、いきなり声をかけられた。麻
酔をかけられた犬が手術台に横たわっており、医
師は肝臓の下の部分を縫い合わせる手術を行って
いた。
縫合したい部分の上に肝臓があるため思うよう
な手術ができなかったところに、誰かが部屋に入
ってきたので「いいところに来た」と、すかさず
声をかけたのだ。
「あのときの、生暖かく、ずしりと重い感覚は、
いまでもよく覚えています」
このときを境に「そんなことは日常茶飯事に
なっていく」が、不意打ちの初体験であっただけ
に、そのときのショックはトラウマのように残っ
ている。
医師の国家試験取得年次が1年違えば奴隷・下
僕、といわれるほど、外科医の世界は徒弟制度の
ように上下関係が厳しい。しかし、谷たちPP班
では、
「ひとたび実験にかかったならば、そこには
上も下もない」をモットーとしていた。実験デー
タは誰でも公平に見ることができたし、実験結果
をめぐっては上下関係にとらわれずに遠慮なく議
論を戦わせた。
それを東レの研究者ともできたことが、開発途
21
医学と高分子化学を融合させた
小路久敬氏(現・東レ・
メディカル理事)
されたヒューマンドキュメントを転載したものです。
上においてつぎつぎと立ち現れてくる困難を克服
するうえで大きな力になった、と谷は語る。
「われわれが東レの研究所を訪れると、たった 1
杯のお茶で、お互いに何時間もホットな議論を交
わした。われわれも持てるデータはすべて公開し
たし、東レの研究者も貴重なデータを惜しみなく
われわれに提供してくれた。高分子化学の最先端
の知識を持つ東レの研究者の発言には、さすが世
界の東レだ、と感銘を受けるものも多く、われわ
れにとっては大きな刺激となった。
いまでこそ産学協同の必要性が盛んにいわれて
いるが、医学と高分子化学という異なった分野で
の基礎研究の融合、そして人と人との融合、それ
が理想的なかたちで開発プロジェクトとして一体
化したことが、いくつものハードルを乗り越えて、
ついには世界で初めてという製品を生む成果とな
って結実した」
「世界初」は、どんな分野であっても容易なこと
では成し遂げられない。
まして、格闘する相手は、これまで世界中の医
まど
学研究者たちを惑わせてきた毒素、エンドトキシ
ンという難敵である。存在することはわかってい
Mar .2012
Vol.18
るけれど、「シンドローム」(症候群)という言葉
で語られるように、同時に発生した一連の症状で
しか把握できず、計測することも不可能とみなさ
れていた。
「トレミキシンの構造はどうなっているのです
か?」という下のイラストをごらんいただきたい。
そこには、トレミキシンの容器の形をしたものが、
網を振り上げて血管の中のエンドトキシンをつか
まえようとしている絵が描かれている。網には「ポ
リミキシンBの布地」と書かれており、手にした
袋の中にはエンドトキシンがたくさん入っている。
東レ・メディカルのトレミキシン事業部門が、
トレミキシンについての理解を深めてもらおうと
視覚的に解説した苦心の作だ。
ポリミキシンBは、細菌を直接殺す作用を持つ
抗生物質で、細菌による感染症の治療薬として用
いられている。この抗生物質はエンドトキシンと
相性がいい、いや、化学的に記述すると、
「親和性が
高く結合しやすい」。さらに無毒化する働きもする。
それならば、ポリミキシンBを点滴などによっ
て静脈に投与すれば、エンドトキシンと結合して、
それを無毒化できるのだから、一石二鳥ではない
かと考えられるが、残念ながらそれはできない。
腎毒性や中枢神経毒性などを引き起こす副作用が
あるからだ。
こうしたときに用いられるのが、血液をいった
ん体外に引き出し、血液デバイスを通じて連続的
に処理しながら再び体内に戻すという方法である。
いわゆる体外循環による血液浄化治療は、いまや
重要な治療手段のひとつになっている。その代表
例が、慢性腎不全の患者が血液中に貯留した尿毒
性物質を除去するために行う透析療法だ。
谷らの発想の転換を契機として、東レは蓄積し
た複合繊維技術を用いてポリミキシンBを固定化
した血液浄化用吸着材の開発に着手する。
(次号に続く)
トレミキシン(PMX)とは何ですか?
トレミキシンの構造はどうなっているのですか?
Ⓒ東レ・メディカル
22
Mar.2012
Vol.18
[出典紹介]
MDD (Medical Device Daily)
医療・検査器材を中心に、海外医療の最新情報や将来動向をたんねんに収録したデイリーニュース。
医療制度、市場動向、保険者や病院団体の動向、学会、新技術、FDA、新製品、VIP インタビュー等。
HRM (Healthcare Risk Management)
医療訴訟や医療機関におけるリスクマネジメントの最新情報。
CMA (Case Management Advisor)
入院から退院、在宅医療までのケース・マネジメントにまつわるさまざまな問題やその解決方法を収録。
HCM (Hospital Case Management)
病院が抱える多くの問題を病院間で共有・解決するためのアドバイスやテクニック、成功/失敗事例の紹介。
知遊 (CHIYU)
特定非営利活動法人(NPO 法人)・日医文化総研が、年 2 回刊行する文化情報誌。今日の医療を取り巻く
文化状況を、芸術文化・歴史・経済など幅広い視点から取り上げている。(http://www.chiyuu.com/)
アドバイザリー・スタッフ――メリー・コーベット/宇野恵裕/福⼭健
エディトリアル・スタッフ――前島達也/佐藤崇/岩⽥斐/海野裕美/岡⼭⼤学 MESS/三宅優美/渡邊若菜
デザイン・フォーマット制作――川畑博昭
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http://www.kawanishi-md.co.jp/mg
Mar. 2012 Vol.18
[発⾏⼈]―――野瀬洋輔
[編集⼈]―――前島達也
[発⾏所]―――㈱カワニシホールディングス
〒700-0975 岡⼭市北区今 1 丁⽬ 4-31
TEL: 086-245-1112
Internet:http://www.kawanishi-md.co.jp/mg
e-mail:[email protected]
Ⓒ2012 カワニシホールディングス
[本誌の提携企業]
――当誌で紹介している海外情報は、
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わかり易く⽇本語で編集したものです。
引⽤タイトルについては[出典紹介]をご参照ください。
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なお、当誌の情報を無断で転載、複写することを禁じます。
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