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事業計画 - 京都新聞
2015 年度 事業計画 1 はじめに 京都新聞社会福祉事業団は、設立から 50 年、公益法人移行から 5 年の節目の年を 迎えました。「京都新聞」という新聞メディアを母体とすることから、紙面と連動して福祉 の情報発信や啓発事業はもちろん、障害のある人を支援する事業や高齢者を激励す る事業、お母さんたちの子育て活動を応援する事業など幅広い福祉活動を繰り広げ ております。また地震や台風などの大きな自然災害の際には、京都新聞社と連携して 被災者支援のための救援金募集も行っています。時代とともに変わる地域福祉のニ ーズを的確にとらえ、次の 50 年に向けて新たな一歩を踏み出す節目にしたいと考え ております。 福祉をめぐる環境は、今年度、大きく変わります。団塊の世代が 75 歳以上となる 10 年後の「大介護時代」に備え、介護保険法が改正され、医療介護総合確保推進法が 成立しました。高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるように在宅などでの介護 を前提とする「地域包括ケアシステム」を構築することをめざしますが、その一方で、特 別養護老人ホームへの入所は原則、「要介護3以上」の人に限定され、一定以上の所 得のある人の介護の自己負担が2割に増えます。また「要支援」のサポートが全国一 律から「市区町村が取り組む地域支援事業」に移されます。 今回の改革は、「大介護時代」を乗り切るために「施設から在宅へ」という方向をめざ すもののように思われます。公的サービスに頼る前に地域の互助の推進、そのうえで 共助、それでも対応できない場合は公助という考え方が底流にあるようです。改革の 是非は別として高齢者福祉の担い手が国から市町村、市町村から地域やNPO・ボラ ンティアへ移り変わろうとしています。地域福祉の重要性はますます高まり、当事業団 の使命も、今後一層強まりそうです。 しかし、当事業団の福祉活動を支える「寄付環境」は依然、厳しい状況が続いてい ます。「善意の小箱」や「歳末ふれあい募金」など事業団にとって「草の根募金」と位置 づける寄付金は、長期漸減傾向を続けています。また福祉事業の重要な原資となって いる「京都新聞チャリティー美術作品展」も現状を維持するのが精いっぱいの状況で す。新聞紙面などを通じて寄付文化の一層の浸透を図り、寄付金増を図るとともに冗 費を省き、「ともに生きる」という当事業団のメーンテーマに沿って幅広い福祉事業に 今年度も引き続き取り組んでいきます。 1 2 寄付金の増加と安定化をめざして (1)一般寄付金について 当事業団の財政上の特徴は、収益のほとんどが一般の人々からの寄付で成り立っ ている点です。多くの公益法人が基金(有価証券など)の運用益で運営されています が、当財団の福祉活動(公益認定事業)は寄付金によって賄われています。 なかでも不特定多数の人々からの一般寄付金は、事業の根幹を支えています。 「善意の小箱」「歳末ふれあい募金」「京都新聞チャリティー美術作品展」の三つが一 般寄付金に当たり、経済環境などに大きく左右されることから、長期漸減傾向が続い ています。2014 年度の「善意の小箱」は、前年に大口寄付があった関係で減少しま しましたが、この大口寄付を除けば、ほぼ前年並みを維持しそうです。「歳末ふれあ い募金」もほぼ前年並みでしたが、2008 年のリーマン・ショック以前の水準にはほど 遠く、3000 万円割れが続いています。「第 32 回京都新聞チャリティー美術作品展」 の寄付金は、「事業団設立 50 周年記念」と銘打ち、協力作家の方々に力作を呼びか け、何とか前年水準を保ちました。 また、「京都新聞愛の奨学金」の原資となっている「誕生日おめでとうコーナー」寄 付、協賛・愛の奨学金、高齢者福祉のための「記念日おめでとうコーナー」の寄付な ど使途を指定された寄付金も、高齢化の影響を受けて徐々に減少しています。 一方で、「広島土砂災害救援金」「京都府豪雨災害救援金」などの災害救援金に 対する関心は高く、昨年3月末で受け付けを終了した東日本大震災救援金への問 い合わせも少なくありませんでした。寄付優遇税制も手伝って「寄付文化」は着実に 根付いてきているようですが、逆に寄付金の受け皿となるNPO法人などの多様化も あり、当事業団を含め従来型の団体への寄付が伸び悩んでいるのではないか、と思 ったりもします。こうした状況を踏まえ、2015 年度の寄付金の目標は慎重に見込みま した。事業団設立 50 周年を迎え、新たな一歩を踏み出すために、当事業団への理 解を深めてもらうとともに新規の寄付者の開拓に力を注ぎたいと考えております。 ① 善意の小箱(予算上の目標 1700 万円) 2014 年度の「善意の小箱」への寄付金は約 1363 万円(仮決算)で、前年に比べ 3400 万円減少します。これは前年に(財)京都府交通災害遺族会の解散に伴う剰余 金を一般寄付として受けたためで、この分を除くとほぼ前年並みになります。ただ、 10 年間の推移では、ほぼ半減しており、リーマン・ショック以前の 2600 万円台に、一 気に戻すのは困難です。企業・団体などに募金箱の設置を呼びかけるとともに、新 規の寄付者の掘り起しを検討します。 ② 京都新聞歳末ふれあい募金(目標 2700 万円) 2014 年度(受付期間昨年 12 月 1 日~同 26 日)は 1,337 件 2767 万円の募金があ 2 り、前年度の 1,380 件 2647 万円とほぼ同水準を維持しました。同時期に「京都府豪 雨災害救援金」の募集が重なっていたことから伸び悩みました。景気の先行きは不 透明ですが、15 年度は 2700 万円をめざします。 ③ 京都新聞チャリティー美術作品展(目標 5500 万円) 京都、滋賀を中心に、全国の画家、陶芸家、工芸家、書家、宗教家らの協力を得 て、毎秋、京都髙島屋グランドホールで開催しています。14 年度 32 回展は、全国の 作家 1,353 人(13 年度 1,334 人)に賛同してもらい、1,632 点(同 1,631 点)の作品を 寄贈していただきました。期間中の入場者数も 9,851 人(同 9,325 人)に上りました。 同展による寄付収入は約 5451 万円で、経費などを差し引いた福祉事業充当額は約 3323 万円となり、ほぼ前年実績と同額となりました。また 32 回展は、事業団設立 50 周年記念展と銘打って、障害のある人の作品展「アール・ブリュット」コーナーも設け、 多くの来場者の関心を集めました。今年度も同コーナーを設け、同展の公共性を高 めたいと考えております。 (2)奨学金支給事業寄付金について(目標 900 万円) 奨学金支給事業寄付金は、年齢に 100 円を掛けた金額を寄付してもらう「誕生日お めでとう」コーナーの取り組みが主な原資となっています。この寄付金は、使途が「京 都新聞愛の奨学金」に限定された指定寄付金です。事業団発足以来、継続している 事業ですが、近年賛同者の高齢化が進み、年々減少傾向にあります。しかし、「子ど もの貧困」が社会問題化している状況を踏まえ、事業団の最も重要な事業と位置付 け、奨学金給付総額は約 2000 万円を見込んでいます。今年度は「誕生日おめでと う」コーナーの寄付 650 万円と「協賛・愛の奨学金」寄付 250 万円(交通遺児奨学金 含む)の計 900 万円を目標とし、不足分を一般寄付からねん出したいと考えておりま す。 (3)高齢者のための事業寄付金について(目標 176 万円) 企業・団体などの創立記念日に、年数に 1,000 円を掛けた金額を寄託してもらう「記 念日おめでとう」コーナーと「協賛・高齢者事業」の寄付が原資となっています。超高 齢社会を迎え、高齢者福祉は最重要課題ですが、リーマン・ショック以降、企業を取 り巻く環境の悪化が影響して同寄付は減少の一途をたどっています。今年度は、企 業、団体への呼びかけを強め、新規の寄付者を開拓したいと思います。 (4)子育て応援事業寄付金について(目標 108 万円) 核家族化が進み、地域の絆が希薄化する中で、若いお母さんたちの孤立からくる 育児への不安は切実です。地域での子育て応援のニーズは強く、母親グループな どが積極的に交流、情報交換する場が求められています。若いお母さんたちが情報 を共有して、地域でのびのびと子育てができるように応援していかなければなりませ ん。そのための資金としての寄付を広く働きかけます。 3 (5)子供のための事業寄付金について(目標 50 万円) 児童養護施設レクリエーションを実施するための寄付金です。毎秋、京都ゴルフ倶 楽部と京都新聞社が主催するチャリティーゴルフ大会の寄付金に頼っていましたが、 今年度は同大会の中止が決まり、新たな寄付者を開拓しなければなりません。50 年 にわたって続けてきた同レクリエーション事業は継続する予定で、不足分は一般寄 付金で充当したいと考えています。 3 地域に根ざしたきめ細かな福祉事業の実施 京都新聞社会福祉事業団は、設立から 50 年が経ち、公益財団へ移行して 5 年目を 迎えます。京都、滋賀の地域福祉の担い手として一層充実した公益事業を進めなけ ればなりません。障害のある人のための事業や高齢者福祉、子育て応援事業をはじ め、設立以来継続している奨学金給付事業、自然災害の被災者支援事業など地域ニ ーズに対応したきめ細かな福祉事業を展開します。 (1)障害のある人のための事業について 障害のある人たちに対する制度や公共政策は徐々に整備されてきましたが、自立 への道はまだまだ遠いように思えます。特に小規模作業所や授産施設は、厳しい経 済環境の中で仕事量が不安定化するなどの問題点が出ており、安定的な運営が求め られています。当事業団は、前年に引き続き障害者の就労支援を考えるシンポジウム を開催するとともに、障害者の工賃増に取り組む作業所や授産施設への助成事業に 力を注ぎます。また障害のある人もない人も共に楽しむ「みんなで海釣り―障害のある 人の体験講座」や「京都新聞夏季キャンプ・レク活動」助成も引き続き実施します。 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて盛り上がるスポーツ熱に対応して、 「全京都車いす駅伝競走大会」「全国車いす駅伝競走大会」「京都障害者ボッチャ大 会」などの障害者スポーツにも積極的に取り組みます。 (2)高齢者のための事業について 団塊の世代が 75 歳以上になる 2025 年。3 人に 1 人が 65 歳以上、5 人に 1 人が 75 歳以上になる「大介護時代」を迎えます。介護保険法の改正と医療介護総合確保推 進法の成立で、地域での取り組みが一層重要となってきました。当事業団にとっても 高齢者福祉は、今後最も重点的に取り組まねばならない分野と考えています。在宅の 高齢者の介護を応援していく「ホームヘルプサービス活動に関する備品助成」や特別 養護老人ホームへの介助用車いすプレゼント事業、高齢者世帯や独居の高齢者に食 事を届けている配食ボランティアグループにお米を贈る「高齢者配食サービス支援」な どを引き続き行います。これまで低調だった「高齢者招待・京都新聞おでかけ公演」は 内容を一新し、京都市内のホテル事業者とジョイントして大衆演劇への招待事業とし て充実させます。 4 (3)子供のための事業、子育て応援事業について 若いお母さんたちが抱える育児への不安や悩みは今もって大きいものがあります。 一人で育児の悩みなどを抱えるなか、虐待など大きな問題に行き当たってしまうケー スも出ています。援助してもらえる肉親や友人がいない若い夫婦にとっては、日々、大 きな不安のなかでの子育てが続いています。このような若い夫婦、お母さんたちへの 支援になるよう、子育てについての集いや情報交換などの活動をしている地域の子育 てグループへの助成「子育て仲間を応援」に加え、同団体の事業、イベントなどの活 動に助成する「子育て仲間を応援・事業助成」も実施し、きめ細かに対応します。また 4年間休止していた「エンゼルフェスティバル」を復活させ、京都市内のライオンズクラ ブと共催し、親子で楽しむ人形劇を開催します。 (4)奨学金支給事業について 京都、滋賀在住の大学、専門学校、高校生らを対象に支給する「京都新聞 愛の奨 学金」は、当事業団の重要事業の一つとして長年にわたって多くの苦学生を支え、こ の 50 年間で延べ 7,000 人を超える実績があります。14 年度は 286 人(大学・専門学校 生 86 人、高校生 200 人)の応募があり、大学・専門学校生 56 人、高校生 98 人の 154 人に計 1512 万円給付しました。このほか児童養護施設の高校生 155 人に一律 3 万円 を贈り、合計 1977 万円を給付しました。「子どもの貧困率」(2012 年)は 16.3%と過去 最悪を更新、母子世帯などの貧困率は 54.6%と跳ね上がり、経済的困窮は深刻な状 態が続いています。給食費が払えず、学用品さえ満足に買い与えられない家庭も少 なくありません。給付型の「愛の奨学金」は、通学費や修学旅行代などのやりくりに悩 む家庭にとっては大きな援助となっています。引き続き奨学金に対する要望は大きな ものがあり、希望者も増加することが予想されます。当事業団ではこれまで以上により 実効性のある給付を行っていきます。 (5)その他の福祉事業について 当事業団のメーンテーマである「ともに生きる」の趣旨に合わせ、前年、「ともに生き るフォーラム」を開催しました。児童虐待をテーマに本紙・福祉のページでコラム「暖 流」を執筆する川村妙慶氏と虐待体験を同ページで連載した島田妙子氏に講師を依 頼したところ、定員を上回る申し込みが殺到、関心の高さをうかがわせました。無縁社 会の中での孤立化や児童虐待、格差の拡大など地域社会が抱える新しい課題につ いて専門家や学識経験者らを迎えた講演会、セミナーなどを今年度も実施します。14 年度に事業団設立 50 年の歩みを冊子にまとめる予定でしたが、まだ完成しておらず、 引き続き今年度の事業として再度取り組みます。 以上、重点施策をまとめましたが、事業団はこのほかにも多くの地域に密着した福 祉事業を行っています。いわば事業団活動の基礎ともいえるこれらの事業については 継続的に着実に実行していきます。 5 このような事業内容を踏まえて、2015 年度の予算は、事業活動などに支出する経常 費用について、実行すべき内容に向け一層の精査を行った結果、前年度予算に比べ 約 216 万円少ない約 1 億 2028 万円としました。厳しい収入が予想されるなか、経費等 を一層節減する一方、公益事業基金からの取り崩しも合わせて、時代の要請に沿った 目的実行型の予算としています。 4 新聞紙面と連動した啓発 当事業団は、京都新聞社の企画事業局福祉部の活動を継承、財団法人として発 足しました。京都新聞とは密接な関係にあり、新聞紙面を通じて福祉の現状や課題な どについて情報発信するとともに、当事業団の福祉事業についても紹介してきました。 紙面はもちろん、インターネットなどを通じてタイムリーに福祉の現状や課題などにつ いて情報発信していくことは事業団設立の趣旨から言っても大きな使命であり、引き続 き福祉啓発を充実していきます。毎週 1 回、事業団が作成し、京都新聞朝刊紙面で紹 介している「福祉のページ」では、5月から新企画をスタートさせるのをはじめ、毎週、 紙面内容を変え、多面的に福祉情報を発信します。また、長年掲載のコラム欄は読者 に好評で継続して掲載していきます。事業団のホームページ「ふれあい福祉 京都・滋 賀」でも紙面と双方向で福祉情報を発信、全国に向けて京都、滋賀の福祉の現状や 課題を紹介していきます。 5 災害へ迅速に対応 自然災害の被災地・被災者に救援物資や救援金を届ける事業は、当事業団の重 要な使命の一つです。京都新聞の前身にあたる「日出新聞」が 1885(明治 18)年、梅 雨の水害に対して救援金を募集したのが始まりです。それ以降、地震や台風などの大 きな自然災害の際、紙面と連動して被災者支援のための迅速な救援金募集を行って きました。東日本大震災救援金は昨年 3 月末で受け付けを終了、計約 16 億 6553 万 円(当事業団の見舞金 300 万円含む)を被災地に届けましたが、その後も問い合わせ がありました。また昨年 8 月、京都府北部を中心に被害をもたらした集中豪雨に対応し て「京都府豪雨災害救援金」を募集、同時に「広島土砂災害救援金」も募りました。広 島土砂災害救援金(8 月 25 日~10 月 31 日)は計 96 件 359 万 452 円が寄せられ、 当事業団の見舞金 30 万円と合わせて広島県に送金しました。京都府豪雨災害救援 金は今年 3 月末まで受け付けており、2 月 20 日現在で 158 件 366 万 4034 円の救援 金が集まっており、事業団の見舞金 30 万円と合わせ、その都度、京都府災害義援金 募集・配分委員会に送金しています。今後も災害が発生した時は、被災者支援に向 けての救援金募集などの取り組みを迅速、積極的に行います。 6 2015 年度の個別事業 1 障害のある人のための事業 (1)障害のある人の自立支援 ①就労支援サポートセミナー(京都新聞文化ホール 2016 年 2 月 予算 27 万円) 障害のある人の就労支援のために「障害のある人の就労支援シンポジウム」を開催 します。障害のある当事者、企業、福祉、行政、医療、教育関係者、市民がシンポジウ ムを通じて就労の課題や促進について意見交換します。これまでのシンポジウムは、 京都府南部地域の企業、福祉関係者が中心メンバーでしたが、7回目を迎える 15 年 度は、京都市域の関係者にも参加を呼びかけ、セミナーの広がりをめざします。 ②京都新聞おでかけ公演(各障害者施設 11 月~2016 年 1 月 予算 30 万円) 障害のために外出の機会の少ない人や困難な人に演劇や音楽を楽しんでもらい、 癒しのひと時を提供する事業です。従来、ミュージシャンやアーチストに各施設に出向 いてもらう「おでかけ公演」だったが、障害のある人を招待する公演も検討しています。 ③工賃増へ向けての取り組み助成(10 月 予算 111 万円) 障害者の工賃増に取り組む作業所や授産施設を支援する助成事業です。最賃制 度が適用されない就労移行支援B型事業所などの賃金は、月額2万円に達していな いのが実情。新商品の開発や販路の拡大で少しでも賃金増をめざし、就労意欲を高 めようとする施設に対し 20 万円を上限に助成しています。14 年度は助成先の選定に 際し、企業経営者、社会福祉関係者などによる選考委員会を実施、7 団体に約 107 万 円を助成しました。今後も同事業へのニーズが高まることが見込まれ、重点事業として 取り組みます。 (2)みんなで海釣り―障害のある人の体験講座(宮津市 9 月 予算 113 万円) 障害のある人たちが気軽に海釣りや自然とのふれあいを楽しむ体験講座で、神戸 新聞厚生事業団、自立生活問題研究所と共催します。14 年度は京都、兵庫、広島か ら障害者と介助者計 58 人が参加。京都府磯釣連合会、宮津市社会福祉協議会、ボラ ンティア、海洋高生徒ら 190 人を超える人々が参加しました。年に一度の体験講座を 心待ちにしているリピーターが大半ですが、事業の広がりをめざして 15 年度は新規の 参加を増やします。 (3)全京都障害者総合スポーツ大会(府立体育館 6 月~9 月 予算 85 万円) 「国際障害者年」(1981 年)を記念してスタートした障害のある人のための総合的な スポーツ大会です。京都障害者スポーツ振興会などとの共催で、15 年度で 34 回目と なります。6 月の総合開会式・卓球バレー(府立体育館)でスタートし、卓球、水泳、陸 上競技、アーチェリー、フライングディスクなど6大会を順次開催します。2020 年の東 京オリンピック、パラリンピックに向け、ますます障害者スポーツへのムードが盛り上が 7 ることが予想され、積極的に支援します。 (4)全京都車いす駅伝競走大会(府立丹波自然運動公園 9 月 予算 106 万円) 丹波路を車いすで駆け抜ける恒例の大会で、31 回目を迎えます。京都府身体障害 者団体連合会、京都新聞などとの共催事業で、第 25 回ミニ駅伝競走大会と合わせて 開催します。14 年度は過去最少の6チームの参加しかなく、15 年度は参加呼びかけ を強化するとともに、開催時期変更を含め大会の問題点を検討します。 (5)全国車いす駅伝競走大会(西京極陸上競技場 2016 年 3 月 予算 50 万円) 全国から車いすを利用する障害のある人が京都に集まり、京都国際会館前スタート、 西京極陸上競技場をゴールとする5区間 21.3 キロのコースで競技します。京都府、京 都市、日本障がい者スポーツ協会などとの共催で、27 回目を迎えます。 (6)京都ゆとりスポーツの集い(山科区・勧修寺運動公園 5 月 予算 20 万円) 京都府内の精神科の 10 病院で構成する「京都ゆとりスポーツの集い実行委員会」と の共催事業で、病院などに入院、治療中の人たちの社会復帰に向けての健康づくり や余暇の活用をめざします。35 回目で、ソフトボールを楽しみ、患者同士の交流を図 ります。治療中の人たちのスポーツイベントは数少なく、医療機関から高い評価を得て います。 (7)障害者スポーツ事業共催(5 月~2016 年 1 月 予算 29 万円) 「第 24 回障害者シンクロナイズドスイミングフェスティバル」(5 月)、「第9回京都障害 者施設卓球バレー大会」(同)、「第 17 回京都障害者ボッチャ大会」(1月)を共催しま す。シンクロナイズドスイミングは日本障害者シンクロナイズドスイミング協会との共催 で全国から約 20 団体 300 人が出場予定。卓球バレーは京都卓球バレー協会との共 催で全国交流大会も兼ね、ボッチャは京都、滋賀などから選手約 50 人が参加、各大 会とも年々、参加者数が増えています。 (8)京都とっておきの芸術祭(日図デザイン博物館 12 月 予算 20 万円) 障害のある人たちのさまざまな芸術、造形作品を募集、展示することで障害者の芸 術文化活動を推進するのが目的で、京都府、京都市などと協力して実行委員会形式 で開催します。絵画、陶芸、写真、書、俳句など7分野に約 600 点の応募があり、多く の市民が来場します。 (9)京都手話フェスティバル(京都新聞文化ホール 2016 年 1 月 予算 10 万円) 国際ソロプチミスト京都―弥生などとの共催で、手話の普及、聴覚障害者とのコミュ ニケーションの促進を目指します。11 回目を迎え、前身の京都手話スピーチコンテスト から数えると 29 回になります。「一般の部」と「子どもスピーチ」の部に分かれて 5 分以 内で手話スピーチを競います。京都府立ろう学校の児童、生徒の貴重な発表の場に もなっています。 (10)滋賀県知的ハンディをもつ人の文化の集い(守山市 11 月 予算 25 万円) 「滋賀県知的ハンディをもつ人の福祉協会」の主催で、当事業団が共催しています。 8 県内の知的障害者関係施設利用者の文化活動の一環で、音楽や演芸などの公演を 鑑賞してもらいます。県内約 40 施設から約 800 人が参加します。 (11)京都新聞夏季キャンプ・レク活動を応援(7~9 月 予算 89 万円) 障害のある人たちの活動の場を広げ、余暇活動の充実、支援をはかる目的で、障 害者団体やグループが実施する夏季キャンプやレクリエーションの活動に助成します。 事業団が長年実施してきた「京都新聞ふれあいキャンプ」を8年前から同活動助成に 切り替え、幅広い支援を続けています。14 年度は京滋の 14 団体に 89 万円を助成し ました。 2 高齢者のための事業 (1)高齢者配食サービス支援(2016 年 1 月 予算 80 万円) 「歳末ふれあい募金」の一部を活用し、在宅の高齢者世帯、ひとり暮らしのお年寄り らに食事を届ける京滋の配食ボランティアグループにお米を贈る事業です。14 年度は 78 団体に 8,093 人分のお米券(1 人当たり 150 グラム)を贈りました。 (2)高齢者招待(10 月~2016 年 1 月 予算 72 万円) 障害者を対象とした「京都新聞 おでかけ公演」と同様に外出の機会の少ない高齢 者に音楽、演芸などを楽しんでもらう事業で、15 年度は本格的な大衆演劇に招待する ことを予定しています。 (3)高齢者へのプレゼント(2016 年 2 月 予算 100 万円) 京都、滋賀の特別養護老人ホームでの介助用車いすの不足を補うため、多機能型 介助用車いすを贈呈します。寝たきりの高齢者らが使用する介助用車いすは各施設 ともに不足気味で、7年前から車いすを贈呈しています。対象施設は京滋で約 200 施 設あり、これまでに 167施設に 167 台を贈呈しました。寝たきりの高齢者対応のリクライ ニング式とひじ掛けはねあげ式の 2 種類で、施設の要望に応じて、今年度も約 20 台を 贈ります。 (4)在宅福祉サービス支援(2016 年 2 月 予算 99 万円) 在宅高齢者に対する支援策の一環で、「ホームヘルプサービス活動に関する備品 助成」を実施します。在宅高齢者に対して介護などの福祉サービスに取り組む非営利 の団体やグループに、介護用品や備品などを贈り、高齢者の経済的負担を軽減する とともに介護する側の負担軽減にもつなげようとする事業です。14 年度は 15 団体に対 して、血圧計、電動自転車、バイク、寝たきりのお年寄りの体位を容易に変換する器具 などの購入に計 95 万円を助成しました。 3 子供のための事業 (1)児童養護施設レクリエーション(10 月~2016 年 2 月 予算 124 万円) 京都ゴルフ倶楽部チャリティーゴルフ大会(京都新聞共催)の寄付金を原資に、京 滋の児童養護施設のレクリエーションに役立てていましたが、今年から同チャリティー ゴルフ大会が廃止されることになり、当事業団単独で事業を継続します。14 年度は事 9 業費約 270 万円で 17 施設約 800 人の子供たちのスポーツ、映画、音楽鑑賞などのレ クリエーションを応援しました。本年度は規模を縮小することになります。 (2)児童養護施設生徒卒業お祝い金(2016 年 3 月 予算 192 万円) 中学、高校を卒業し、これまで生活してきた京都、滋賀の児童養護施設を巣立つ生 徒にお祝い金を贈ります。虐待、ネグレクトなどから同施設で生活する生徒らは、家庭 からの支援がのぞめず、卒業、進学、就職などの新生活に伴う経済的負担が重くのし かかっています。少しでも新生活を応援するため高校卒業生徒に 4 万円、中学卒業 生徒に 2 万円を贈ります。15 年度卒業見込みは約 50 人。 (3)エンゼルフェスティバル(7 月 予算 85 万円) 児童養護施設や障害のある子どもたち、一般応募の親子らが子ども向け演劇、人形 劇などを鑑賞する事業ですが、共催相手の資金難から 4 年間休止していました。本年 度は新たに洛北ライオンズクラブを共催に加えて復活させます。 (4)交通遺児卒業お祝い(2016 年 3 月 予算 66 万円) 交通事故で親等を亡くした交通遺児で、卒業を迎える京都、滋賀の小、中、高校生 に卒業お祝いとして図書カード(小学生 5,000 円、中学生 7,000 円、高校生 10,000 円) を贈り、新学期の図書購入に役立ててもらいます。 4 子育て応援事業 (1)子育て仲間を応援(7 月 予算 330 万円) 子育て中のお母さんたちのサークル、支援グループなど1団体につき 2 万円を助成 します。子育てに関する情報交換やお母さんたちが互いに支えあう場が求められてお り、そのためのサークル活動を支えます。子育てを支援する親族や友人がなく、ひとり で悩む若いお母さんたちを支える事業として 10 年前から始め、14 年度は 162 団体に 助成しました。このうち2団体は、東日本大震災で避難しているサークルで、「東日本 大震災被災者支援プログラム」枠から助成しました。 (2)子育て事業助成 (6 月 予算 153 万円) 京都、滋賀で子育てを支援する非営利団体の子育てのための講演会や学習会、イ ベントなどの事業に、上限 15 万円の枠内で助成します。14 年度は地域の子育て団体 5団体と東日本大震災の被災者、避難者支援団体4団体の計9団体に 67 万円を助成 しました。 5 福祉活動支援事業 京都新聞福祉活動支援(2016 年 2 月 予算 510 万円) 福祉施設や団体に対して「運営助成」と「設備助成」の 2 部門で助成します。当事業 団のメーン事業の一つで、助成金額が高額に上るため、前年度から選考委員会を設 け、選考の公平性、透明性を確保しています。14 年度は「運営」部門で 30 団体、「設 備」部門で 21 団体の計 51 団体の応募がありました。買い物難民となっている高齢者 のために送迎バスを運行する団体や東日本大震災の被災者、避難者支援団体など 10 に助成するとともに、共同作業所の農作業用軽トラックの購入に役立ててもらいました。 今年度も 14 年度並みの助成を実施します。 6 奨学金支給事業 京都新聞「愛の奨学金」贈呈(6~7 月 予算 2001 万円) さまざまな事情から学資援助を必要とする京都、滋賀の高校生、大学生、専門学 校生らに「愛の奨学金」を支給します。当事業団が最も注力している事業で、これまで に 7,000 人を超える生徒、学生を支えてきました。事業は、「誕生日おめでとうコーナ ー」と「協賛・愛の奨学金」の寄付金が原資となっており、毎年 1,000 人近い人々から 700 万円近い善意が寄せられています。給付額は大学生・専門学校が年額 14 万 4000 円、高校生が同 7 万 2000 円で、14 年度は計 154 人(東日本大震災被災者4人、交通 遺児9人を含む)に給付したほか、児童養護施設の高校生 156 人に年額 3 万円の奨 学激励金を支給、計 1980 万円を贈りました。今年度も引き続き、重点事業として取り 組みます。 7 福祉啓発事業 (1)京都新聞「ともに生きる 福祉のページ」編集(通年 予算 232 万円) 京都新聞社をバックボーンに発足した当事業団にとって、新聞紙面を通じて福祉に 関する情報を発信し、地域福祉への理解、啓発を推進するのは重要な使命です。同 時に事業団の活動を紙面で紹介し、寄せられた多くの浄財がどのように福祉活動に生 かされているのかを報告する義務も負っています。本年度も引き続き紙面と連動した 福祉啓発に力を注ぎます。「善意の小箱」や「お誕生日おめでとう 愛の奨学金」など の寄付者を朝刊紙面(情報ワイド面)で毎日紹介するとともに、毎日曜朝刊の「福祉の ページ」では、福祉の現場やそこに携わる人々、当事者の思いなどを綴ります。長年 にわたって連載しているコラム「暖流」、京滋の福祉情報コーナー「ふれあい広場」も引 き続き掲載します。 (2)ホームページ「ふれあい福祉 京都・滋賀」制作(通年 予算 149 万円) 紙面と連動して福祉情報を掲載するほか、事業団の独自事業や各種の案内、募集 などをタイムリーに発信します。さまざまな助成事業を行う事業団にとっては幅広く応 募などを告知するのに、大変、重要な存在で、これからもきめ細かにホームページで 発信します。また、ホームページを通じて事業団の情報公開をすすめ、より多くの方々 に信頼のもと、事業への協力をしていただけるよう、取り組んでいきます。 (3)京都新聞大賞福祉賞贈呈(京都新聞文化ホール 11 月 予算 118 万円) 京都、滋賀の福祉の向上に功績があった個人、団体に「京都新聞大賞福祉賞」を 贈呈します。1965 年(昭和 40 年)の事業団発足時にスタートした「京都新聞社会福祉 功労者表彰」を前身とするもので、平成 16 年からは京都新聞大賞の一つに福祉賞が 加えられ、京都新聞社との共催で表彰しています。14 年度は1団体2個人に贈呈しま した。本年度も多くの関係機関に推薦をお願いするとともに、日常の事業団の活動を 11 通じて地道に地域福祉に貢献する人々を発掘し、顕彰します。 (4)募金啓発事業(通年 予算 409 万円) 厳しい経済環境や従来の寄付者の高年齢化などの影響で、当事業団への寄付金 は長期漸減傾向が続いています。その一方で、京都府豪雨災害救援金や広島土砂 災害救援金などでは多くの方々からの寄付金が寄せられました。税制改正で寄付に 対する優遇措置の拡充も手伝い、寄付を通じて社会貢献したいという「寄付文化」が 芽生えつつあります。地域福祉の向上をめざす当事業団の活動を多くの人々に理解 してもらうとともに、寄付者のニーズを的確に把握し、寄付金の増進を図ろうと考えてお ります。紙面を通じて広く呼びかけるとともに企業・団体に対する積極的なアプローチ を進めます。前年予定していた当事業団発足 50 周年記念誌の発行が遅れたため、再 度計上しました。 8 ボランティア活動支援事業 京都新聞福祉ボランティアグループ「TAGW」活動(通年 予算 28 万円) 福祉活動にあたるボランティア育成をはかる一環として、事業団関連の福祉催しの 援助などをする京都新聞福祉ボランティアグループ「TAGW」(タッチ・アンド・ゴー・ワ ーカー)の活動を繰り広げます。昨年8月、福祉に関心を持つ大学生に参加を呼びか け、現在 13 人がグループに登録。事業団の福祉事業に参加するとともに普通救命講 習などを受講しています。今年度も各種研修や福祉事業に参加します。 9 その他の福祉事業 (1)滋賀での事業(野洲市 12 月 予算 82 万円) 子どもたちに劇や音楽などの催しをプレゼントする「京都新聞お楽しみ子どもシアタ ー」を開催します。14 年度は野洲市の野洲文化ホールで開催、東日本大震災の避難 者や養護施設の子どもたちを含む親子約 700 人が参加、人形劇を楽しみました。今年 度も同ホールで開催を予定しています。 (2)後援・助成事業(通年 394 万円) 京都、滋賀で行われるさまざまな福祉の催し、事業に対して申請に基づいて当事業 団が後援団体となり、それぞれの催し、事業を支援します。また、必要に応じて後援助 成金を出します。後援助成金の要望は増える傾向にあり、慎重に審査して決定してい きます。14 年度は後援、後援・助成が、いずれも 100 件を超えています。 (3)ともに生きる事業(7~12 月 予算 25 万円) 当事業団のメーンテーマ「ともに生きる」に沿った講演会、シンポジウムを開催します。 2010 年度から休止していましたが、14 年度は本紙「福祉のページ」執筆メンバーの川 村妙慶氏と同ページで児童虐待の体験記を連載した島田妙子氏の講演会「ともに生 きるフォーラム」を開催、約 400 人が参加しました。今年度も介護や格差社会などをテ ーマに同フォーラムを開催します。 12 (4)災害救援金・災害見舞金(通年 予算見舞金 50 万円) 地震、水害などの大きな自然災害・被害が発生した時は迅速に「災害救援金」の募 集を行い、当事業団からの災害見舞金を合わせて、被災地の復興、人的支援にあた ります。14 年度は京都府豪雨災害救援金(募集期間 2014 年 8 月 25 日~2016 年 3 月 31 日)と広島土砂災害救援金(同 8 月 25 日~同 10 月 31 日)を募り、広島土砂災 害救援金は 96 件 359 万 452 円の善意が寄せられ、京都府豪雨災害救援金には 158 件 366 万 4034 円の寄付(2 月 20 日現在)が寄せられました。これらの寄付金に当事 業団からの見舞金各 30 万円を合わせて全額を被災地に送金します。今年度も常に自 然災害に備え、態勢を整えます。 (5)経済環境急変時緊急支援(通年 予算 50 万円) 急激な経済環境の変化、不況の深刻化など予想できない急変で、福祉関係施設や 作業所などの運営が危機に瀕した際、緊急支援します。支援を必要とする施設に対し、 具体的な使途を明示してもらって申請を受け付け、厳正な審査のうえ支援を決定しま す。より迅速な支援で福祉の網の目から漏れがちな問題に対処します。該当するよう な事態がない場合は執行を見送ります。 10 チャリティー事業 京都新聞チャリティー美術作品展 (京都髙島屋グランドホール 10 月 予算 2222 万円) 全国の作家、宗教家、著名人から寄贈された美術作品を展示し、多くの人々に鑑 賞してもらうとともに、出品作品を入札でお求めいただく事業です。当事業団にとって は、福祉活動の大きな原資(寄付金)となっており、重要度が高まっています。14年度 は障害者らの作品を展示する「アール・ブリュット」コーナーも設けました。寄付収入は 約 5451 万円に上り、うち経費 2128 万円を差し引いた福祉事業充当額は約 3323 万円 となりました。今年度も一層の収入増を図るとともにアール・ブリュットコーナーを設け、 作品展の公共性を高めたいと考えております。 以上 13