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【提出書類】 有価証券報告書

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【提出書類】 有価証券報告書
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
【表紙】
【提出書類】 有価証券報告書
【根拠条文】 金融商品取引法第24条第1項
【提出先】 関東財務局長
【提出日】 平成24年1月20日
【事業年度】 自 平成22年8月1日 至 平成23年7月31日
【会社名】 インテュイット・インク
(INTUIT INC.)
【代表者の役職氏名】 アール・ニール・ウィリアムズ
上席副社長兼最高財務責任者
(R. Neil Williams, Senior Vice President and Chief Financial Officer)
【本店の所在の場所】 アメリカ合衆国カリフォルニア州マウンテン・ビュー、
コースト通り2700
(2700 Coast Avenue, Mountain View, California, U.S.A.)
【代理人の氏名又は名称】 弁護士 梅 園 裕 之
【代理人の住所又は所在地】 東京都港区赤坂一丁目12番32号 アーク森ビル
西村あさひ法律事務所
【電話番号】 03-5562-8500
【事務連絡者氏名】 弁護士 梅 園 裕 之
【連絡場所】 東京都港区赤坂一丁目12番32号 アーク森ビル
西村あさひ法律事務所
【電話番号】 03-5562-8500
【縦覧に供する場所】 該当なし
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
第一部【企 業 情 報】
<注記>
1. 本報告書において、文脈上、特段の必要がない限り、「インテュイット」、「会社」、「当社」、「我々」はすべてデラウェア州法に
基づいて設立された「Intuit Inc.」を意味します。
2. 本報告書において、文脈上、特段の具体的記載がない限り、「ドル」「$」は米ドルを指します。本報告書においては、便宜上、
一部の米ドル金額は、2011年9月30日現在の東京外国為替市場の対顧客電信直物売買仲値である1ドル=76円65銭により計
算されています。
3. 文書中の表で計数が四捨五入されている場合、合計欄に記載されている数値は計数の総和と必ずしも一致しない場合が
あります。
4. 本報告書では、すべての発行済株式と株価は、株式分割後をベースとしています。
第1 【本国における法制等の概要】
1 【会社制度等の概要】
(1) 【提出会社の属する国・州等における会社制度】
当社を規制する法体系はアメリカ合衆国連邦法及びデラウェア州法です。アメリカ合衆国連邦法は、当社の事業活
動のほとんどすべての分野に影響を及ぼしており、その範囲は独占禁止、破産、労使関係、有価証券及び税務を始めと
する広い範囲に及んでいます。アメリカ合衆国の連邦証券関係諸法の執行はアメリカ合衆国証券取引委員会(以下
「SEC」といいます。)がこれを司っていますが、同法は一般的に詐欺的手段による有価証券の売買を禁ずるとともに、
株式を公開している会社に対しては、定期的に財務その他の情報の開示をSEC及び株主に行うことを要求していま
す。
アメリカ合衆国においては、会社は一般に各州法に基づいて設立されています。当社はデラウェア州の法律に基づ
いて設立されています。デラウェア州にはデラウェア州一般会社法(以下「デラウェア会社法」といいます。)を始めと
して会社に適用される数多くの法律があります。以下は、デラウェア会社法の概要です。
(a) 基本定款及び付属定款
デラウェア州の会社はデラウェア州州務局法人部に基本定款を届出ることによって設立されます。基本定款は、名
称、会社のデラウェア州内の登録上の事務所の住所、事業内容及び目的、授権資本株式数及び会社が発行を授権され
る株式の種類(もし会社が1つを超える種類株式の発行を授権されていれば)並びにその他の事項を定めなければな
りません。基本定款の他に、会社は、会社の事業及びその権利又は権限並びに株主、取締役、役員又は従業員の権利、権
限、義務及び機能に関する、基本定款の規定並びに適用される州法及び連邦法と矛盾しない種々の規定を内容とする
付属定款を採択することができます。
(b) 株式の種類
デラウェア州の会社は、その基本定款又は基本定款の規定により明示的に付与された権限に従って取締役会が採択
した株式の発行について規定する決議において定められ、表明されるところに従って、一種又は数種、一又は複数の
シリーズの株式を発行することができる他、株式を発行する場合にはかかるクラス又はシリーズの一部又は全部に
ついて額面株式としても無額面株式としてもこれを発行することができ、またかかるクラスの一部又は全部につい
て基本定款に定める無制限又は制限付議決権株式としても無議決権株式としてもこれを発行することができ、基本
定款に定める名称、優先権、関連する権利、利益への参加権、選択的権利その他の特別な権利、条件又は制約付きの形
で発行することができます。基本定款に別段の定めがない限り、株主はその所有株式1株につき1議決権を有します。
デラウェア州の会社は、基本定款において権限が与えられる場合には、取締役会の決議によって(株主の決議なし
に)、基本定款に定められた授権枠内において株式を発行することができます。株式発行の対価は、額面株式のときに
額面未満での発行が禁じられる点を除いて、取締役会又は基本定款に規定がある場合には株主総会の決するところ
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によります。
(c) 株主総会
定時株主総会は取締役の選任を目的として会社の付属定款に定める日時・方法で開催されます。臨時株主総会は取
締役会によってこれを招集することができるほか、基本定款又は付属定款により権限を付与された者によってこれ
を招集することができます。会社は、取締役会の決議によって、総会前10日以上60日以下の日を、株主総会において議
決権を行使できる株主を確定するための基準日とすることができます。株主総会の法律上の定足数は、基本定款又は
付属定款に別段の規定がない限り、議決権のある株式の過半数を有する株主が自ら又は代理人によって出席すれば、
満たされます。但し、いかなる場合でも定足数を議決権のある株式の3分の1に満たない株式としてはなりません。定
足数を満たす数の株主が自ら又は代理人によって出席している株主総会においてその過半数による賛成の議決が
あった場合には、取締役の選任を目的とする場合を除き、株主総会の決議として有効となります。
(d) 取締役会
デラウェア州の会社の場合には、デラウェア会社法又は基本定款に別段の定めのある場合を除き、その事業の管理
運営は取締役会がこれを司ります。取締役は、各定時株主総会において選任されます。基本定款又は付属定款に別段
の定めがない限り、取締役の欠員又は株主より選任された取締役の承認された数の増加により新たに取締役が設置
されたときは、在職している取締役の多数決又は1人しか在職していない場合はその者により、空席を補充すること
ができます。基本定款又は当初付属定款若しくは株主の決議により採択された付属定款で認められている場合には、
取締役はこれを1、2又は3のクラスに分割することができ、最初のクラスの任期は次の年次株主総会に終了し、2つ目
のクラスはこれの1年後、3つ目のクラスについてはこれの2年後となります。取締役又は取締役会全体は、理由の有無
を問わず、株主の過半数の議決によってのみ解任されます。但し、(1)取締役がクラスに分けられているときには、基
本定款に別段の定めのない限り、株主は取締役を理由のあるときにのみ解任でき、また(2)基本定款が取締役の選任
において累積投票を行う旨定めている場合において、全取締役が解任される場合でない限り、累積投票を行えばその
取締役を選任するに足りる数が解任に反対する議決権を行使すれば、理由なくしてその取締役を解任することはで
きません。
基本定款又は付属定款で特に制限されていない限り、全取締役の書面による同意がある場合には、取締役会におい
て要求されるか許容される決議は実際に取締役会を開催しなくてもこれをすることができ、かかる同意書面は、取締
役会の議事の経過についての議事録とともに保管されます。
取締役会の定足数は取締役全員の過半数としますが、基本定款又は付属定款により定足数を増やすことができま
す。定足数を充足する取締役会において出席した取締役の過半数の承認が得られた場合には、取締役会において承認
決議が成立したものとなります。ただし基本定款又は付属定款により、承認決議の成立に必要な承認取締役の数を増
やすことができます。
(e) 委員会
取締役会は、その過半数の賛成決議により、1人又は複数の取締役が構成する1又は複数の委員会を指名することが
できます。委員会は、取締役会決議、会社の付属定款又はデラウェア会社法の定めるところに従って、会社の事業及び
業務につき取締役会が有する権限を行使することができます。
(f) 役 員
デラウェア州のすべての会社は、会長、副会長、社長又は副社長、及び会計役、会計役補佐、秘書役又は秘書役補佐を
置きます。各役員の役職と職責は、付属定款に定められ又は付属定款と整合する取締役会決議において記載されるも
のとされます。
(2) 【提出会社の定款等に規定する制度】
当社の会社制度は、アメリカ合衆国の法律及びデラウェア州の法律によって決せられるほか、当社の基本定款及び
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付属定款に規定されています。当社の現在の基本定款及び付属定款の内容は、次のようなものです。
(a) 株 式
(ⅰ)授権資本
当社の授権資本株式数は751,344,918株であり、1株当たり額面金額0.01ドルの普通株式750,000,000株と1株当たり
額面金額0.01ドルの優先株式1,344,918株という2つの種類からなります。1,344,918株の優先株式のうち、144,918株
はシリーズA優先株式、250,000株はシリーズBジュニア参加型優先株式とそれぞれ指定されていますが、残る
950,000株についてはシリーズの指定がありません。当社の基本定款により、取締役会は、デラウェア州法により定め
られた制限のもとで、1つ又はそれ以上のシリーズの優先株式を発行すること、デラウェア州の適用法規に従った指
定証明書を提出することにより、かかる各シリーズに含まれる株式数を随時定めること、かかる各シリーズの株式の
指定、権限、優先性及び権利、及びそれらの限定条件、制限又は制約を決定すること、並びにかかるすべてのシリーズ
の株式数を増加又は減少(かかるシリーズのその時点での発行済株式数を下回らない範囲で)させること、を行う権
限を有します。当社の基本定款において明示される場合、又は前述のような取締役会の権限に基づき優先株式のある
シリーズを指定する指定証明書に明示される場合を除き、取締役会は、普通株式の所有者又は優先株式若しくはその
シリーズの所有者の承認を得ることなく、新シリーズの優先株式の指定、決定及び特定を行うことができます。新シ
リーズには、普通株式、優先株式又はそれらの将来のクラス若しくはシリーズの権利に優先、劣後する順位又は同順
位の、議決権、配当請求権、残余財産分配請求権、償還権及び転換権等の権限、優先権及び権利を持たせることができ
ます。
1998年4月29日に取締役会は、将来友好的でない買収が仕掛けられた場合において、当社の株主にとっての会社の長
期価値を確保するための株主権プランを承認しました。2008年5月1日、当社の株主権利プランはその条件に基づき
期限が終了し、本プランに基づくあらゆる権利は失効し行使できなくなっています。
(ⅱ)株 券
すべての当社の株主に対し、取締役会会長、副会長、社長又は副社長及び会計役(補佐)又は秘書役(補佐)が連署し、
その株主の所有株式数を証明した株券が発行されます。但し、株券上のいずれか又はすべての署名は複写であっても
よいものとします。
(ⅲ)基準日
当社が、株主総会の通知を受領し、当該総会において議決権を行使する権利を有する株主を決定するために、また配
当その他分配金の支払若しくは権利の割当を受ける権利を有する株主を決定するために、また株式の変更、転換、交
換に関する権利を行使する株主を決定するために、その他正当な行為を行うために、取締役会は、予めある日をもっ
て基準日と定めることができます。その基準日は、株主総会開催日の10日以上60日以内前でなければならず、その他
の行為についてはその60日以内前でなければなりません。取締役会によりもし基準日が定められていない場合には、
法令の定めに従います。
(ⅳ)株式の譲渡
当社の株式の譲渡は、取締役会が定める規則により拘束されます。
(b) 株主総会
(ⅰ)定時株主総会
取締役の選任を行うための株主総会は、取締役会が定めるデラウェア州内外の場所において毎年取締役会の定める
日時に開催されます。その他適切な議事も定時株主総会において処理します。
(ⅱ)臨時株主総会
いかなる目的のための臨時株主総会も、取締役会会長、最高経営責任者、社長又は取締役会構成員の過半数によりい
つでも招集されます。臨時株主総会は、その他の者が招集することはできません。臨時株主総会が取締役会構成員の
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過半数以外の者により招集される場合には、かかる者は総会を招集すべき旨の書面による要求を取締役会の各構成
員に送付して総会を招集し、取締役会はかかる臨時総会の時間、日付及び場所を決定します。かかる臨時総会は、取締
役会の各構成員に総会招集の書面による要求が送付された後35日以上120日以内に開催されるものとします。
(ⅲ)総会通知
法令又は当社の基本定款に別段の定めがない限り、すべての株主総会の通知は書面により、総会の開催される場所、
日時及びその招集目的(臨時株主総会の場合)を記載し、会日の10日以上60日以内前に、当該総会日において議決権を
有する各株主になされます。
(ⅳ)定足数
法令に別段の定めのある場合を除き、当該株主総会において議決権を有する株式の過半数を有する株主が本人又は
代理人により出席していることが定足数を構成します。
(ⅴ)議長、書記
株主総会の議長は、取締役会が指名する者が、その者が不在の場合は取締役会会長、会長が不在の場合は当社社長、
社長が不在の場合はその総会において本人自らであれ委任状によるとであれ出席している議決権ある株式の過半数
の所有者によって選任された者が務めるものとします。当社の秘書役は総会の書記としての行為を行い、その者が不
在の場合は総会の議長が総会の書記となるべき者を指名することができます。
(ⅵ)投 票
法律又は基本定款に別段の定めのない限り、普通株式の保有者は、保有する普通株式につきそれぞれ1票を保有して
います。株主総会において議決権を行使できる株主は、委任状によって1名以上の他の者に対し、かかる株主の代理と
して行為する権限を付与することができます。取締役の選任を除くすべての議決は、法令、基本定款又は付属定款に
別段の定めのある場合を除き、当該議決につき議決権を行使しうる株式につき、自ら又は代理人により出席し、棄権
をしたものを除いて計算された過半数の賛成によってなされます。
(c) 取締役会
(ⅰ)員 数
取締役会は1名あるいはそれ以上のメンバーにより構成されます。取締役の員数は、最初は6名とし、以後取締役会の
決議により適宜決定されます。本報告書提出日現在、取締役の員数は8名とされ、8名がその任にあります。
(ⅱ)任 期
各取締役は、次回の定時株主総会においてその取締役の後任者が選任され取締役としての資格を授与されるまで、
又はその死亡、辞任若しくは解任のときまでその地位を保持する。
(ⅲ)欠 員
取締役の定員が増員された場合は、追加される取締役は、株主若しくはその時点の取締役会の過半数の投票、又は1
人しか取締役が在職していない場合にはその者により選任されることができます。ただし、発行済の優先株式の権利
を害することはできません。
(ⅳ)定時取締役会
定時取締役会は、取締役会が適宜決定するデラウェア州の内外の場所及び時間において開催するものとします。定
時取締役会の通知は、取締役会の決議によりその日時及び場所が決定されているときは、行う必要はないものとしま
す。
(ⅴ)臨時取締役会
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臨時取締役会は、随時、取締役会会長、社長又はその時点での在職取締役の過半数により招集され、開催日時及び場
所(デラウェア州の内外)は、招集権者が定めるところによるものとします。招集権者は、臨時取締役会の通知を発し
なければならず、郵送による場合は開催の4日以上前に、電話、手交、電報、テレックス、メールグラム、ファクシミリ等
の通信手段による場合は24時間以上前に、それぞれ各取締役に対して発しなければなりません。上記の通知に特に示
されない限りは、臨時取締役会においてはいかなる議題でも処理することができます。
(ⅵ)定足数
取締役会のすべての会議において、権限ある取締役の総数の過半数を以て議案を可決するための定足数とします。
基本定款、付属定款又は法律に別段の規定なき限り、定足数に達している会議における出席取締役の過半数の賛成に
より取締役会の行為となります。
(d) 委員会
取締役会は、全体の過半数による決議により、1つ又は複数の委員会を設置することができ、各委員会は提出会社の
取締役の1人又は複数により構成されます。取締役会は、委員会の会議に欠席し又は欠格した構成員に代わることが
できる委員会の代替構成員として、1人又は複数の取締役を指名することができます。委員会の構成員の欠席又は欠
格の場合には、その委員会の会議に出席した者で議決に参加する資格を有する構成員は、そのような欠席又は欠格の
構成員に代わりその会議で行為する取締役会の別の構成員を、委員会の出席者が定足数を充たしていると否とにか
かわらず、全員一致により指名することができます。そのような委員会は、取締役会の決議により与えられた範囲で、
提出会社の営業及び業務の運営において取締役会の権限及び権能を有し且つそれらを行使することができ、必要と
するすべての書類に提出会社印を押すことを認めることができます。尚、委員会は、基本定款を改訂する権限を有し
ないものとします(ただし委員会は、基本定款で認められる範囲に限り、基本定款に基づき取締役会が決定を許可さ
れている権利及び株式名称を指定することができます)。
(e) 役 員
当社の役員は、最高経営責任者及び/又は社長、1名又は複数の副社長、1名の秘書役、1名の会計役、並びに取締役会
会長及び/又は最高財務責任者を含む、取締役会により適宜指名されるその他の役員からなります。すべての役員は
取締役会により選任されます。ただし、取締役会は、取締役会会長、最高経営責任者、社長、最高財務責任者又は会計役
以外の役員の指名を当社の最高経営責任者に授権することができます。各役員は、その後任が就任し又は自らが任期
前に辞任又は解任となるまでその任務にあるものとします。複数の役職を同一人物が兼ねることもできます。役員は
いつでも当社に対する書面による通知により辞任することができます。死亡、辞任、解任その他による当社役員の欠
員は、取締役会により補充されます。
2【外国為替管理制度】
アメリカ合衆国には、非居住者による国内法人の株式の取得並びに配当金及び清算に際しての分配資産の売却代金
の海外送金に関する外国為替管理上の規制は存在しません。
3【課税上の取扱い】
(1) 日米租税条約
日本の居住者たる株主に対して当社が配当金を支払う際に源泉徴収すべき税金及び日本の居住者たる株主が当社
株式を売却して得た譲渡所得にかかる税金については、いずれも所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱
税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約(改正を含みます。以下「日米租税条約」といいます。)の規定
が適用されます。
(2) アメリカ合衆国における課税上の取扱い
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(a) 当社株式に対する配当についての所得税の源泉徴収((注1)参照)
日米租税条約の規定及びアメリカ合衆国連邦税法の規定により、日本の居住者たる個人(アメリカ合衆国国民でも
アメリカ合衆国の居住者でもない者に限る)又は日本法人が実質株主となって所有する当社株式に対して支払われ
る配当からは、原則として10%の税率によりアメリカ合衆国の連邦所得税が源泉徴収されます。当社の議決権付株式
の10%以上、50%以下を直接又は間接に所有している日本の法人の場合には、5%の税率となり、50%超を直接又は間
接に一定期間所有している場合は、源泉徴収税は無税となります。但し、日本の実質株主がアメリカ合衆国内に恒久
的施設を有し、そのような実質株主の有する当社株式が当該恒久的施設と実質的な関連性を有する場合には、その実
質株主に対しては通常の所得税率によって連邦所得税が課せられることになります。
(b) 当社株式の売却に対する所得税((注1)参照)
日米租税条約の規定及びアメリカ合衆国連邦税法の規定によれば、当社株式の売却によって得た所得については、
日本の居住者たる個人及び日本の企業は、かかる日本の実質株主が、アメリカ合衆国内に当該株式が実質的な関連を
有する恒久的施設を有していない限り、原則としてアメリカ合衆国の所得税が課税されることはありません。
(c) 当社株式についての配当及び譲渡所得に対する州及び地方の所得税
上記(a)及び(b)にいう連邦所得税のほかに、当社株式についての日本の実質株主がアメリカ合衆国内に恒久的施
設、住所又はその他の関連を有している場合には、当該株主が支払を受けた配当及び売却によって得た譲渡所得につ
いては、当該恒久的施設、住所又はその他の関連を管轄する州又は地方の課税当局によってその地域の所得税を課せ
られることがあります。
(d) 相続税
現行法によれば、日本の居住者で当社株式の実質株主である日本人が死亡した場合には、同人の所有にかかる当社
株式はアメリカ合衆国内にある財産とみなされ、免税点を超える場合にはアメリカ合衆国の連邦遺産税の課税対象
となります。
(注1) 日米租税条約の規定又は適用される相続税に関する条約の規定によって実際に米国の租税につき軽減税率
の適用が受けられるか否かは、軽減税率の適用を受けるための手段として日米租税条約上定められている所定の手
続を踏んでいるか否か、並びに場合によっては当社株式を保有している日本の投資家が問題のアメリカ合衆国の国
内税法及び日米租税条約上日本の実質的株主としての要件を満たしていることをアメリカ合衆国の税務当局に対し
て十分立証できるか否かによって決せられます。
(3) 日本における課税上の取扱い
日本国内の所得税法、法人税法、相続税法及びその他の関連法令の遵守を条件として、日本の居住者である個人及び
日本法人は、上記(2)「アメリカ合衆国における課税上の取扱い」(a)、(b)及び(c)に記述した個人又は法人の所得(個
人の場合には相続財産を含む)を対象とするアメリカ合衆国の租税を支払った場合には、適用される日米租税条約及
び相続税条約の規定に従い、本人が日本において納付すべき租税につき外国税額控除の適用を受けることができま
す。
4【法律意見】
当社の次席法律顧問ケリー・マクリーン弁護士 (Kerry McLean)より、下記の趣旨の法律意見書が提出されていま
す。
●
当社は、アメリカ合衆国デラウェア州法に準拠して適法に設立され健全且つ有効に存続している会社である。
●
当社の有価証券報告書(及びその訂正報告書)の関東財務局長に対する提出は適法に授権されている。
●
本書中に記載されているアメリカ合衆国及びデラウェア州の法令に関する記述内容は正確である。
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第2【企業の概況】
1 【主要な経営指標等の推移】
(金額の単位は千ドル(百万円)。但し1株当たり金額を除く。)
7月31日に終了する年度
純売上高
(円)
営業利益(営業損失)
(円)
純利益(純損失)
(円)
払込資本金(年度末)
(円)
発行済普通株式
(年度末)
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
$2,606,512
$2,993,461
$3,108,104
$3,454,878
$3,850,512
199,789
229,449
238,236
264,816
295,142
$630,473
$644,278
$682,587
$862,638
$1,006,901
48,326
49,384
52,320
66,121
77,179
$440,003
$476,762
$447,041
$573,949
$633,415
33,726
36,544
34,266
43,993
48,551
$2,252,475
$2,414,656
$2,547,125
$2,727,585
$2,886,025
172,652
185,083
195,237
209,069
221,214
339,157,302 322,599,830 322,765,550 313,860,600 300,596,520
発行済シリーズA優先株
(年度末)
---
---
---
---
---
発行済シリーズB参加型優先株
(年度末)
---
---
---
---
---
$2,036,342
$2,079,861
$2,557,350
$2,820,473
$2,615,725
156,086
159,421
196,021
216,189
200,495
$4,252,026
$4,666,584
$4,826,329
$5,198,421
$5,110,048
325,918
357,694
369,938
398,459
391,685
株主資本(年度末)
(円)
総資産(年度末)
(円)
1株当たり配当
該当なし
該当なし
該当なし
該当なし
該当なし
1株当たり基礎利益(損益)
$1.28
$1.45
$1.39
$1.82
$2.07
(円)
98.11
111.14
106.54
139.50
158.67
1株当たり希薄化後利益(損益)
$1.24
$1.41
$1.35
$1.77
$2.00
(円)
95.05
108.08
103.48
135.67
153.30
配当性向(%)
正規社員数(年度末の概数)
(人)
該当なし
8,200
該当なし
7,800
該当なし
7,600
該当なし
7,700
該当なし
8,000
2 【沿革】
当社は、1983年3月に事業を開始し、1984年3月にカリフォルニア州で会社として設立されました。1993年3月に、当社
はデラウェア州において再設立され、新規株式公開を実施しました。当社の本社所在地は、94043、カリフォルニア州
マウンテン・ビュー、コースト通り2700(2700 Coast Avenue, Mountain View, California, 94043)で、電話番号は
(650) 944-6000です。本報告書において、「当社」、「インテュイット」とは、現在のデラウェア州法人(Intuit Inc.)及
びその前身のカリフォルニア州法人、並びにすべての当社の連結子会社を指します。
1999年9月8日に、当社取締役会は発行済普通株式1株を3株とする株式分割を承認しました。この分割は、1999年9月
20日の株主名簿に記載されている株主が所有する株式1株につき、普通株2株を株式配当として分配することにより
実施されました。株式配当は1999年9月30日に実行されました。2006年5月、取締役会は、2006年6月21日の株主名簿に
記載されたインテュイットの発行済普通株式1株の保有者に対し普通株1株を分配する形での発行済普通株式1株を
2株とする株式分割を承認しました。株式配当の支払は2006年7月6日に行われました。本報告書のすべての株式、1株
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当たりの数値はこれらの株式分割を反映するように調整されています。
2007年2月6日、当社は、オンライン・バンキングの製品及びサービスを提供しているDigital Insight (以下、
「Digital Insight」という)を吸収合併により買収しました。これにより、Digital Insightは当社の完全子会社にな
りました。合併契約書の条項に従い、且つそれらを条件として、当社は、Digital Insightの発行済全普通株式を1株当
たり現金39.00ドルの価格で購入しました。完全希釈化後の買収価格は総額で約13億4000万ドルです。
2003年10月4日、当社は、Innovative Merchant Solutions LLC及びInnovative Gateway Solutionsとして事業を営
んでいる同社の関連会社(以下、両社を合わせて「IMS」という)の全ての加盟権利益を総購入価格約1億1670万ドルの
現金で購入しました。 IMSはクレジット・カード及びデビット・カードの処理サービスを含む包括的な商業者向け
の顧客管理サービスを全国の小規模事業に提供しています。
1999年12月8日、当社は、Rockloans.comを通じてローンを提供している、大手オンライン消費者抵当ローン会社、
Rock Financial Corporationを、当社の普通株式(約4億8500万ドル)を対価として買収しました。この取引の一部と
して、当社は、Rockの既存オプションを引受け、Title Source, Inc.の総発行済株式を買収しました。払込日における
本取引の総額は、約5億4500万ドルでした。 2002年7月、当社は、この事業の87.5%を、そして2002年10月には同事業の
残りの少数持分をRock Acquisition Corporationに売却しました。
1999年5月3日、当社は、当社が1998年10月に開始したオンライン給与計算事業向けに給与処理サービスを提供する
非公開会社Computing Resources, Inc.(以下、「CRI」という)(本社はネバダ州レノ)を買収しました。買収価格は約2
億ドルでした。CRIは、米国の大手給与計算サービス会社で、小規模事業に対する給与計算サービス事業で業界をリー
ドしていました。
1998年6月、当社はLacerte Software Corporation及びLacerte Educational Services Corporation(以下、両社を
合わせて「Lacerte」という)を買収価格約4億ドルの現金で買収しました。Lacerteは税務専門家向けの納税申告書作
成ソフトウェア及びサービスを開発・販売する企業として最大手の会社です。
日本での沿革
インテュイットは、1996年1月2日、Milkywayを買収し、当社の完全子会社としました。1997年2月、Milkywayは社名を
Intuit KKに変更しました。同社は、1997年3月に、日本の小規模事業向け会計コンピュータソフト会社、日本マイコム
株式会社を買収し、同年5月に同社を吸収合併しました。2003年2月には、当社の日本の完全子会社であるIntuit KKの
すべての発行済普通株を日本のプライベート・エクイティ投資会社である株式会社アドバンテッジパートナーズに
95億円(約7900万ドル)で売却しました。
事業の性格の変化
「2 沿革」で開示した事項を除き、2011年7月31日から2012年1月20日の期間において、当社の主要な事業活動に重大
な変更はありませんでした。
3 【事業の内容】
事業の概況
当社の目標
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当社は、顧客が古い道に戻ることを想像することができないほど彼らの生活の財務面を著しく改善する、最も優れ
た画期的な成長企業になることを目指しています。
当社の顧客には中小企業、消費者、会計専門家及び金融機関が含まれます。当社は、当社の顧客が小規模事業の経営
や、経費及び所得税の支払い、又は個人向け財務の管理など、ビジネス及び財務における重要な問題を解決するため
のお手伝いをしています。当社の斬新な商品及びサービスは、5000万人超の生活を簡素化するとともに、彼らが節約
をし、収益を上げるための助けになっています。
新興のテクノロジー及び市場の状況が人々の生き方や働き方を、そして当社が顧客を助ける方法を、変化させてい
ます。当社はまた、発展しています。当社は、デスクトップからウェブ及びモバイル機器へ移行して、当社の製品ライ
ンを適応させてきました。オンライン上で多くのサービスを提供することによって、当社は、当社の製品及びサービ
スにより大きな価値を付加するような方法で、顧客を当社のソリューションと、また顧客同士とつなぎます。さらに
当社は、顧客が彼らの事業を海外市場へ拡大させることを助け、世界的に当社の製品を製造及び販売し、又は地理的
国境を越えて当社の雇用地域を拡大させるといったグローバルな視点をもっています。
当社の事業ポートフォリオ
当社は、主要な事業のポートフォリオを、「小規模事業グループ」、「税務関連」、「金融サービス部門」及び「その他の事
業部門」の4つに分類し、7つの事業部門別に財務報告をしています。
「小規模事業グループ」。このカテゴリーは、当社の「財務管理ソリューションズ」部門、「従業員管理ソリューション
ズ」部門及び「支払ソリューションズ」部門の3部門を含んでいます。
●
「財務管理ソリューションズ」部門は、QuickBooks財務・事務管理ソフトとそのサービス、テクニカルサポー
ト、財務関連商品の販売並びに中小規模事業向けウェブサイトデザイン及びホスティングサービスを提供す
るIntuit Websitesを含みます。
●
「従業員管理ソリューションズ」部門は、小規模事業向けに給与計算製品及びサービスを提供しています。
●
「支払ソリューションズ」部門は、クレジット・カード及びデビット・カード処理、電子小切手転換処理及び
自動決済機関サービスなどの商業者向けサービスを取り扱っています。
「税務関連」。この分野は、当社の「消費者向け税務」部門と「会計専門家向け税務」部門の2部門を含んでいます。
●
「消費者向け税務」部門は、消費者及び小規模事業向けに、所得税申告書作成ソフトTurboTax及びそのサービ
スを扱っています。
●
「会計専門家向け税務」部門は、専門家向け税務ソフトLacerte、ProSeries及びProLine Tax Online 並びにそ
のサービスを扱っています。この部門はまた、会計士向けにQuickBooks Premier会計士向けエディションと、
QuickBooksプロアドバイザープログラムを扱っています。
「金融サービス」部門。この部門は主として、インテュイット金融サービス部門の事業が提供する、銀行及び信用組合
向けの外部委託されたオンライン財務管理ソリューションを扱っています。
「その他の事業」部門。この部門は、個人向け財務管理製品であるQuickenとそのサービス、Mint.comオンライン個人
向け財務管理サービス、患者対プロバイダーのIntuit Healthオンライン通信ソリューション並びに当社のカナダ、
英国、インド及びシンガポールでの事業が含まれています。
当社の成長戦略
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当社は変化する人口、技術、市場及び地理的傾向に対処できるように取り組み方を適応させることで、成長を牽引で
きるように革新しています。当社は、当社顧客の問題を解決するために、当社の3点の成長戦略に基づき、革新的な製
品を造っています。
●
当社の中心的な事業における成長の牽引:当社は、消費者、中小企業及び会計士が、TurboTax、Quicken、
QuickBooks、ProSeries及びLacerteを含む当社の中心的な事業製品を通して、金銭を節約し、金銭を生み出す
ことを援助することに専念しています。加えて、当社は、既存の顧客が個人的及び事業上のニーズを満たすよ
うなより機能の豊富なバージョンにアップグレードしてくれるように、他の関連した製品も提供していま
す。
●
関連する事業の構築及び新たな環境の開拓:パートナーシップを追求し、買収を完了し、新しい製品を創出
することによって、当社は新規事業への進出を加速させています。例えばIntuit Payment Networkは、支払の
ために小切手を受領することに代わる電子的手段を企業に与えることによって、QuickBooksの価値を増大さ
せます。Intuit Healthは、プロバイダーと患者をつなぐ臨床、管理及び金融サービスを提供します。
●
接続サービスへの移行の加速:Connected Services戦略を通して、当社は、人々と事業が相互につながり、ま
たデスクトップ上、Web上であれ、モバイル機器であれ、それらのデータを十分に利用するような新たな方法
を提供しています。例えば、Intuit ProLine Tax Onlineは、会計専門家がデスクトップ上というよりもオン
ライン上で、消費者及び中小企業の顧客のために納税申告書を作成及び申告するのを可能にします。この戦
略の実施を通じて、当社は、顧客の問題を解決する簡単に使える接続サービスを提供することによって、当社
の長期的な競争優位性を保ちながらも顧客を喜ばせようとしています。
この戦略では、デジタル世代の出現及びその影響、ソーシャルネットワークの関連性の拡大並びに顧客が重要な作
業を管理する上でのWeb、モバイル機器及び情報技術に対する依存度の上昇を認識しています。この戦略はまた、急速
に成長する経済圏における新たな市場機会の可能性を認めています。最終的な結果は、紙媒体で、人により生産され
る従来型のサービスから、人々が接続サービスを理解しこれを要求しこれからの利益を享受するような世界的市場
へと移行する市場です。
当社の接続サービスのビジョン
ますますつながりが増える世界からの需要を満たすために、顧客がどのように、どこで、いつそれを望む際にでも利
用可能である製品及びサービスを創造するために、3つの領域に当社は積極的に前進しています。
●
当社が人をつなげる方法:当社の製品は人々とサービスをつなげます。当社の製品は顧客をクラウドとつな
ぎ、人々を相互につなげます。そして、伸びゆく社会において、当社はほぼ全製品に利用可能であるオンライ
ンコミュニティを構築し、これにより顧客が視点、助言及び専門知識を共有するためにつながり、共に働ける
ようになりました。
当社のソフトウェアに強いサービスは、顧客が、例えばQuickBooksといった当社の製品と小規模事業向け給与計算
といった他の製品がシームレスに接続できるようにしています。
SaaSの別名でも知られる当社のサービスとしてのソフトウェア製品は、顧客をTurboTax Online又はQuickBooks
Onlineといった当社のオンライン製品に接続させます。
そして、当社は人々同士を結びつけ、また人々と当社を結びつけるために、プラットフォームとしての当社の製品又
はサービスとしてのプラットフォームをますます利用しています。これにより、人々が情報を共有し、ともに問題解
決をはかることが可能になります。Intuit Partner Platformは、当社の顧客に対して第三者の開発業者がアプリ
ケーションを創造し、販売することを可能にしています。
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●
当社が人をつなげる場所:顧客及び当社にとって、移動可能性は必須であります。スマートフォン及びタブ
レット端末が必要不可欠になるにつれて、当社は、どこに顧客がいようが利用でき、また顧客が持っているど
の端末でも利用できる製品を開発しています。この視点により、当社の製品は最新の機器へと進化し、このこ
とは当社が新規顧客を取得する一助となり、また既存製品の使いやすさを向上させます。
●
当社が人をつなげる時:利用可能性が不可欠です。顧客は、あらゆる場所で、何時も、当社のサービス及び顧
客自身のデータにアクセスする際に利便性を要求します。当社がクラウドへ移行するにつれて、当社は顧客
が期待するような信頼及び顧客が生活の財務面を改善できるような機能を提供することに努め、一方で顧客
の情報を安全に保護しています。当社は、顧客に対し産業における基準を満たす又はそれを超えるような信
頼性の高いサービスを提供することに専念しています。
当社は、この環境において引き続き有意義な進歩を遂げています。接続サービスは、2011年度において24億ドル又は
当社の売上合計の60%超を生み出しました。接続サービスの中で、サービスとしてのソフトウェア製品は、その期間
に、約15億ドル又は当社の売上合計の約40%を単独で製造しました。
総括
各世代は歳を重ね、境界線は不明瞭となり、技術は進歩します。我々の生活及び仕事の方法が進化するに際して、当
社はこれらの変化に対応し、これを先導するために戦略を適用します。一方で、当社のコミットメントは一貫性を有
しています。それは、顧客がすすんで他の顧客に薦めてくれるほど便利で使い勝手の良い革新的な製品及びサービス
を開発することです。当社が、人々の事業管理上及び財務管理上の問題を解決しようと努めてきた、25年間以上に渡
る成功の方程式です。当社は、進化を継続するに当たりこのコミットメントを維持し、顧客同士がお互いの問題を解
決していくお手伝いをいつでもそしてどこでもしていきます。
製品及びサービス
当社は、上記「事業の概況」において記載した7つの事業部門において、製品及びサービスを提供しています。最近3年
度において純売上高合計の10%以上を占めた、類似の製品又はサービスを分類すると、以下の表のようになります。
2011年度
2010年度2009年度
財務管理ソリューションズ部門(QuickBooks)
18%
18%
19%
従業員管理ソリューションズ部門(給与計算)
12%
12%
12%
消費者向け税務部門
34%
33%
32%
会計専門家向け税務部門
10%
11%
11%
9%
10%
10%
金融サービス部門
当社の製品及びサービスは、主にアメリカ合衆国で販売されており、詳細は以下の通りです。海外からの純売上高合
計額は、2009年度、2010年度及び2011年度において、当社の連結純売上高合計額の5%未満となっています。
財務管理ソリューションズ部門
QuickBooks:当社のQuickBooks製品ラインは、複式簿記に精通していない中小規模事業のユーザーでも簡単に使用
できるようデザインされている会計処理、事務管理ツールです。当社は様々なタイプの事業のニーズを満たすよう、
幅広いデスクトップ並びにオンラインの製品及びサービスを提供しています。当社のデスクトップ用製品ラインに
は、小規模事業向けの会計ソフトQuickBooks Pro及びQuickBooks Pro for Mac、小規模事業向け上級会計処理機能及
び事業計画ツールを提供するQuickBooks Premier、大規模企業向けのQuickBooks Enterprise Solutionsなどがあり
ます。また、Premier及びEnterprise製品には、様々な業界(建設業者、製造業・卸売、非営利団体、専門家サービス及び
小売など)別のバージョンも用意されています。当社のオンライン製品には、非常に小規模で業務も複雑でない事業
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に適している会計処理機能であるQuickBooks Simple Start Onlineが含まれます。QuickBooks Online Essentials
及びQuickBooks Online Plusは若干大きめな企業向けのオンラインの会計処理機能を提供します。3つのすべての製
品は、多数のユーザーがパソコン、タブレット端末又はスマートフォンを使用してインターネットを経由することで
どこからでもアプリケーションにアクセスすることを可能にします。
QuickBooksのテクニカルサポート:当社は、テクニカルサポートも何点かオプションとしてQuickBooks顧客に提供
しています。これらのサービスには、単体として販売され、価格もプランの期間によって異なるサポートプランがあ
ります。当社はまた、顧客を支援する限定された量の無料のテクニカルサポート、顧客が自分自身で問題を解決する
ためにQuickBooks.comウェブサイトにおいて無料で提供されている情報並びにQuickBooksユーザーがお互いに情報
を共有することができるオンラインフォーラムの、QuickBooks Communityへの無料アクセスなどがあります。
小規模事業向けウェブサイト:当社のIntuit Websites製品は、小規模事業者向けに、ウェブ上でのプレゼンス確
立、ウェブサイトの維持及び宣伝並びにオンライン上での商品及びサービス販促及び販売ができるよう援助をして
います。
財務関連商品:当社は、QuickBooks及びQuickenを利用する小規模事業及び個人ユーザーのためにデザインされた
様々な財務関連商品を販売しています。これには、標準の小切手帳及び最新の不正防止機能が付いた証憑式小切手で
あるCheckLock、封筒、請求書、入金伝票や、他にも事業者向けの製品である名刺や文房具販売などのサービスも行っ
ています。また、当社は納税申告書作成の専門家のための納税申告用紙、納税申告書提出用フォルダやその他の商品
も提供しています。
QuickBase: 当社のQuickBaseシリーズは、顧客が事業のために既成のオンライン・ワークグループ・アプリケー
ションを利用するか、又はカスタマイズされたソリューションを作ることができるような、SaaSプラットフォームで
す。ごく一般的なソリューションには、プロジェクト・コラボレーション、販売チーム管理及び従業員管理が含まれ
ます。QuickBase顧客は、ユーザー数並びに必要とするデータ及びファイル保存容量に応じて定められるサービス加
入料を、月払い又は年払いにて支払います。
Intuit Partner Platform:Intuit Partner Platformは、開発者がQuickBooksに付加価値を与えるWeb及びモバイ
ルアプリケーションを作成するために必要なツールを提供します。当該プラットフォームにより、開発者は、
QuickBooksデータと統合できるアプリケーションを構築することができ、また当社の顧客の固有のニーズが満たさ
れます。開発者は、その選択する開発プラットフォームを使用することで、Intuit Partner Platform上でアプリケー
ションを作成できますが、顧客にそのプログラムを提供する前に基準及びセキュリティ・チェックを満たさなけれ
ばなりません。すべてのアプリケーションはapps.comのIntuit App Centerを通じて利用可能です。QuickBooksユー
ザーはここで当該プラットフォームに接続されるアプリケーションを探し、購入し、使用することができます。ます
ます多くの会社が既にプラットフォームのために構築されたアプリケーション(Bill.com、Expensify及び
Salesforce.comを含みます。)を提供しています。さらに、FreshBooks及びeBayは開発途中のアプリケーションを有し
ており、これは2012年度に利用可能となる予定です。
従業員管理ソリューションズ部門
QuickBooks Payroll:QuickBooks PayrollはQuickBooksを利用して自分であるいは、若干のサポートを受けながら
自分で給与計算を行なう小規模事業向けに、定期購入ベースで販売している一連の製品です。また、顧客の給与計算
をサポートしている会計士に対しても販売しています。この製品ラインには、以下が含まれています。
●
給与所得税率表及び給与支払報告書を作成するQuickBooks Basic Payroll
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●
給与所得税率表、給与支払報告書と連邦・州の給与所得税申告書、並びに連邦・州の給与所得税の電子申告
・支払をするQuickBooks Enhanced Payroll
●
QuickBooks Enhanced Payrollの機能に会計士向けの機能をいくつか加えたQuickBooks Enhanced Payroll
for Accountants
●
QuickBooks Onlineと一緒に使用する QuickBooks Online Payroll
また、当社は、QuickBooksを使って給与処理をしている顧客の税金の支払い及び申告など、給与処理のバックエンド
業務をアシストするQuickBooks Assisted Payrollも提供しています。QuickBooks Online Payrollには給与口座直
接振込が含まれており、追加の手数料を支払うことにより、他の製品のいずれかにも給与口座直接振込を加えること
が可能です。
Intuit Online Payroll:当社のOnline Payrollは小規模事業向けの給与計算サービスを提供していますが、
QuickBooks商品を使う必要がありません。この商品は定期購入ベースで販売され、オンライン上での給与所得税の計
算、給与支払報告書、連邦・州の給与所得税申告書、連邦・州の給与所得税の電子支払い、並びに直接振込などが含ま
れます。
Intuit Full Service Payroll:この製品もまた、定期購入ベースで販売され、自身で給与計算業務を行いたくない
顧客に対して総合的な給与計算サービスを提供しています。Intuit Full Service PayrollはQuickBooksの使用を要
さず、また給与計算記録の初期設定、給与計算を申し込んでいる顧客によりオンラインで提出された情報に基づく給
与計算の処理、給料の口座振込、連邦・州の給与所得税の電子決済、連邦・州の給与所得税申告書の電子税務申告並
びに年末のW-2申請書の作成及び発行を含んでいます。
その他の従業員管理ソリューションズ:当社は、追加料金で小規模事業の雇用者に対して、従業員報酬管理サービ
ス及び401(k)管理サービスを提供しています。
支払ソリューションズ
マーチャント向けサービス:当社は、クレジット・カード、デビット・カード、電子ベネフィット及びギフトカード
の処理業務、小切手認証、小切手保証、及び自動決済機関機能(ACH)機能及びCheck 21機能を含む小切手自動転換、並
びにオンラインマーチャントに対するインターネット上の取引の処理業務などが含まれています。当社は、取引処理
業務のほか、顧客向けに顧客サービス、商業者及び消費者向け回収業務、チャージバック及び回復処理とサポート、並
びに詐欺及び損害を防止するためのスクリーニングなどの業務も提供しています。
GoPayment:GoPaymentは、ユーザーがスマートフォン又はタブレット端末を使用してのクレジットカード払いを受
け入れることを可能にします。ユーザーは手動でクレジットカード情報を入力するか又は電話に接続された情報読
み取り用のカードリーダーを利用することができます。ユーザーはまた、eメール又はテキストメッセージにより顧
客に電子領収書を送付することができます。
Point of Saleソリューションズ:当社は、バーコードを使った小売業者の販売処理を助け、在庫及び顧客の購買の
追跡をおこない、且つQuickBooks財務ソフトウェアと統合された、QuickBooks Point of Sale のBasicバージョン及
びProバージョンを提供しています。Proバージョンは、最新の在庫機能を有し、一つのオフィスから最大20店を管理
する能力を提供します。当社はこれらのソフトウェア製品を、付属のハードウェア及びテクニカルサポートと一緒
に、又はハードウェア及びテクニカルサポートなしで、販売しています。
消費者向け税務部門
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当社のTurboTax 製品・サービスは個人や小規模事業のオーナーが、連邦及び州の所得税、法人税の申告書を迅速且
つ正確に作成し納税申告を行えるよう、設計されています。そして、複雑な納税申告書でも簡単且つ的確に作成でき
るようになっています。このような製品のいくつかは、スマートフォン及びタブレットといったモバイル機器で利用
できます。
納税申告準備用製品:2010年の納税シーズンには、当社は、単純な納税申告用のTurboTax Basic、控除項目のある納
税者向けのTurboTax Deluxe、投資資産又は賃貸用不動産を所有する納税者向けのTurboTax Premier、そして小規模
事業主向けのTurboTax Home and Businessのデスクトップ・バージョン、オンライン・バージョンを含む様々なソ
フトウェア製品及びサービスを提供しました。また、規模の比較的大きな事業向けのTurboTax Businessのデスク
トップ・ソフト、ネットでの最も単純な納税申告用のTurboTax Free Editionやユーザーに対してスマートフォンを
通じて単純な連邦・州の納税申告を準備し、電子的に申告することを可能とするアプリケーションであるSnapTaxを
提供しました。これらの商品ラインアップは2011年の納税シーズンには変更される可能性があります。TurboTax
Live Communityは、参加者が所得税の確定申告の準備を行いながらオンライン上で、他の参加者と学びあい、情報を
共有することができるフォーラムです。
電子税務申告及びその他サービス:当社のデスクトップ、オンライン上及びモバイルで納税申告書を作成する当社
の顧客は、連邦・州の所得税申告書を当社の電子税務申告センターを通じてネット上で申告できます。2010年の納税
シーズンにおいて、当社のオンライン税務準備・申告サービスは、何千もの金融機関、オンラインショップ、その他の
オンラインマーチャント並びにYahoo!® Finance Tax Center、MSN Money® Tax Center及びAOL Tax Centerのウェ
ブサイトを通じて、提供されました。金融機関は、TurboTax Onlineへの接続又はオンラインバンキングのための
TurboTax(これは、かかる金融機関のオンラインバンキングサービスと統合した機能を提供しています。)を介して、
その顧客に対し、当社のオンライン上の納税申告書の作成及び申告サービスを提供することができます。2010年の納
税シーズンにおいて、当社はまた、TurboTaxの顧客に、プリペイド式デビット・カードについて所得税の払い戻しを
受け取るオプションを提供しました。
Intuit Tax Freedom Project:Intuit Tax Freedom Projectのもとで、その対象となる資格を持つ納税者に対し
て、ネットによる連邦及び州の所得税申告書の作成及びネットでの申告サービスを無料で提供しています。 このプ
ロジェクトのもとで、当社は2011年度において、約130万件の連邦所得税申告を無料で提供しました。当社は連邦政府
と契約を締結した民間企業の連盟Free File Allianceに加盟しており、同契約に基づき、条件を満たす納税者に対
し、無料で、ネット上で連邦税の申告書作成及び申告サービスを提供しています。Free File Allianceに関する詳し
い情報については、本報告書の後述「競争−消費者向け税務部門」もご参照ください。
会計専門家向け部門
当社の会計専門家向け部門は、会計士及び納税申告書作成サービスを提供している業者にソフトウェア製品及び
サービスを提供しています。これらには、会計士及び納税申告書作成業者が個人や企業顧客に会計、給与支払、税金対
策、税法遵守サービスを提供するのを助け、顧客の実務をより効率的に管理するのを助けるための製品及びサービス
が含まれます。
税務ソフトウェア製品:当社の会計専門家向け税務製品は、Lacerte、ProSeries及びProLine Tax Onlineから成り
ます。Lacerte ソフトは最も複雑な納税申告書を作成する総合会計事務所を対象とするものです。当社は2つのバー
ジョンのProSeries ソフトを販売しています。若干複雑な納税申告書を年間を通じて作成している顧客に適してい
るProSeries Professional Edition及び比較的少額で季節的な租税実務用のProSeries Basic Editionの2つです。
ProLine Tax Onlineは若干複雑な納税申告書を年間を通じて作成し、オンライン製品の利点を必要とする顧客を対
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象とするものです。会計の専門家は、これらの税務関連製品を定額で無制限に使用するか、1件納税申告書を印刷する
か電子提出をおこなう毎に支払うかのいずれかを選択できます。Lacerte、ProSeries及びProLine Tax Onlineを利用
する会計士及び納税者は、顧客の納税申告を当社の電子納税申告サービスを使って行うことができます。
会計ソフトウェア製品:当社の専門家向け会計ソフトである、QuickBooksプレミア会計士向けエディションは、簿
記、試算表、帳簿記入及び財務報告作業を効率的に完成させるのに必要な製品及びファイル共有機能を提供します。
当社のQuickBooksプロアドバイザープログラムは、登録会員に対して、顧客に代わって会計専門家向けに技術サポー
ト、トレーニング、製品保証、市場手段へのアクセス及び購買品の値引きをする、QuickBooks及びQuickBooks Payroll
ソフトを提供するものです。
金融サービス部門
当社のインテュイット金融サービス部門の事業は、外部委託のオンライン・バンキングソリューションズを提供し
ています。これらの製品は、当社のデータセンターをホストとして、オンデマンド・サービスとして中規模金融機関
に提供されています。当社は、オンラインバンキングのためのTurboTaxなどの当社のその他の製品及びサービスを金
融機関の顧客に提供するためにこれらの金融機関と共に取り組んでおります。
当社は金融機関がそのリテールカスタマーに提供するオンラインバンキングのサービスを販売しています。これら
のサービスには、取引履歴、口座残高、小切手の映像の閲覧、口座間の送金、金融機関間での送金、請求書に対する支払
・提示、個人向け財務管理の包括的なオンライン・ソリューションである、Personal Finance Works、並びにオンラ
インバンキングと統合された納税準備・申告サービスを提供するオンラインバンキングのためのTurboTaxが含まれ
ます。このようなサービスのいくつかはモバイル機器からアクセスすることができます。
その他の事業部門
パーソナルファイナンス
当社のパーソナルファイナンス製品は、ユーザーがパーソナルファイナンスを整理、理解、管理するのをサポートし
ています。当社のQuickenデスクトップ・ソフトウェア製品ラインにより、ユーザーは銀行口座の調整、勘定支払、ク
レジット・カード及びその他の取引の記録並びに投資、不動産担保借入及びその他の資産、負債のトレースができま
す。その他、Quickenを使って、顧客は、税金に関連する金融取引をマーキングし、それらの情報を TurboTax顧客納税
申告書作成ソフトにダウンロードすることができます。当社は、より強力な投資・税務計画ツールとして、Quicken
Starter Edition、Quicken Deluxe及びQuicken Premierも提供しています。また、顧客が個人と会社の財務を1つのア
プリケーションで管理することができるQuicken Home and BusinessやQuicken Essentials for Macも提供してい
ます。当社のMint.comパーソナルファイナンスサービスはユーザーに無料で提供され、ユーザーのすべての金融口座
を1つのオンライン所在地で表示し、予算を立て、支出を管理することを助けるためのツールを提供し、金銭の節約方
法を特定し、そして金融目標を達成するための段階的な指導及び助言を提供します。当社はまた、スマートフォンか
らアクセス可能なMintのアプリケーションを提供しています。
Intuit Health
当社のIntuit Healthの製品は、患者対プロバイダーの通信ソリューションを提供します。サービスは標準のウェブ
・ブラウザにより申し込みベースで提供され、また、通常はアポイントメントのスケジュール調整、患者の予備登録、
処方箋更新及び請求書の電子的支払といった内容を含んでいます。
グローバル・ビジネス
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当社はカナダでは、QuickBooksのローカルバージョン、すなわち海外の各地域固有のニーズに合うようカスタマイ
ズされたバージョンを販売しています。この中には、QuickBooksのソフトウェア、給与計算サービスの提供とサービ
スプランが含まれます。また、消費者向け納税申告書作成ソフト、専門家向け納税申告書作成ソフト、商業者向け支払
処理サービス並びにQuicken及びMintのカナダのローカルバージョンを提供しています。英国では、銀行と提携して
提供する製品、サービスが含まれたQuickBooks及びQuickBooks Payrollのローカルバージョンを提供しています。シ
ンガポールにおいて、当社は大手電気通信プロバイダとパートナーシップを結びQuickbooks Onlineのローカルバー
ジョンを提供します。インドでは、当社はインドの大手銀行とパートナーシップを結び、個人向け財務管理のモバイ
ルソリューションであるIntuit Money Managerを提供しています。
製品開発
ソフトウェア及びその関連サービス事業の市場は急速な技術変化、急激な顧客のニーズのシフト、及び頻繁な新製
品の導入とその強化という特徴を持っています。したがって、新製品及びサービスの革新及び迅速な開発並びに既存
製品の拡張のために、高いレベルの投資を継続的に行うことが必要となります。当社の製品開発努力は、人々及び事
業が技術によって一層つながりを深め、時と場所を問わずサービスに接続できるような世界を反映した、Connected
Services戦略を当社が追求していく上で、より一層重要になってきています。
当社は、数多くの製品及びサービスを社内で開発しています。当社は、当社の製品及び技術の様々な側面に関連し
た、米国及び海外での特許や申請中の特許を多く持っています。製品及び技術を第三者から購入するか又はライセン
スを得ることにより、並びに、より短時間で提供する製品及びサービスの拡充及び拡大を可能にするような他社との
関係を強化することにより、社内の開発を補完します。当社は、引き続きConnected Services戦略を追求していく上
で、第三者技術との関係を拡張していく所存です。
当社の伝統的なコア商品のデスクトップ・ソフトウェアであるQuickBooks、TurboTax、Lacerte、ProSeries及び
Quickenは、比較的予想しやすい毎年の製品開発及び製品販売のサイクルを有しています。また、これらの製品と比べ
ると、開発サイクルがより短い可能性のある、革新的な新製品(例えば、Intuit GoPaymentなど)の開発にも取り組ん
でいます。消費者・専門家向け税務ソフト及びサービスは、厳しいスケジュールの制約の中で、税法や申告書の様式
の変更を正確に反映させる必要があるため、特別な困難が伴います。給与計算、商業者向けサービス、金融機関及び患
者対プロバイダー通信のための製品開発は、ビジネス・ニーズや法令の規定によって異なり、開発サイクルの長さは
各プロジェクトが扱う対象とプロジェクトの複雑さによります。
金融サービス部門の事業においては、金融機関に対してコア商品となる処理ソフト及びサービスを提供している大
手プロバイダのシステムとインターフェースを開発してきました。これらのシステムインターフェースによって、エ
ンドユーザーが口座データにアクセスできるよう、当社が金融機関のホストシステムにアクセスすることが可能に
なります。新しいインターフェースを開発するだけでなく、接続性をより堅固なものとし、操作効率を改善するため
に、当社では継続的に多くの既存のインターフェースの改善にも努力しています。
当社は、今後も研究開発に多くの資金を投入し、今後、既存の製品及びサービスの強化、並びにより簡単に使用でき、
特定のカテゴリーの顧客のためにカスタマイズされ、ウェブ上又はモバイル上で提供され、そして、その他の当社及
び第三者の製品・サービス並びに当社の社内情報システムと統合された性質を有するような新製品及びサービスの
開発に重点を置いて、研究開発を進めていく考えです。当社はまた、継続中のプロジェクトに著しい研究開発努力を
傾注することにより、当社の製品の一部について技術プラットフォームのアップデートに取り組む予定です。当社の
研究開発費は、2011年度は6億3400万ドル(純売上高合計の16%)、2010年度は5億7300万ドル(純売上高合計の17%)、
2009年度は5億5600万ドル(純売上高合計の18%)でした。
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季節性
当社のQuickBooks、消費者向け税務部門、及び会計専門家向け部門の事業には、強い季節性があります。一般的には、
QuickBooksソフトウェア製品の売上は第2四半期及び第3四半期に最も高くなる傾向があります。所得税申告書作成
用製品及びサービスの売上の大半は11月から翌年4月の間に集中します。消費者向け税務部門事業では、売上の多く
はこのシーズンの後半に集中します。これには、売上が伸びている TurboTax Onlineの売上が確定申告の電子申告又
は所得税申告書の印刷が完了した時点で認識されることも影響しています。消費者向け税務部門の事業及び会計専
門家向け部門の事業の季節性はまた、税務当局から所得税申告書の様式が入手可能となるタイミング及びかかる税
務当局が電子確定申告を受け付けることのできる程度にも影響されます。所得税申告書の様式の入手及び電子確定
申告制度の導入に遅れが生じた場合、当社の収益は第2四半期から将来の四半期に移動することがあります。これら
の季節性のパターンは、当社の純売上高合計が通常1月31日に終わる第2四半期と4月30日に終わる第3四半期に集中
することを意味しています。当社は税務関連事業の売上が最も少ない一方で、営業費用は年間を通じてコンスタント
にかかるため、10月31日に終わる第1四半期及び7月31日に終わる第4四半期に損益を出すのが通例です。当社は、売上
高及び収益の季節性が今後も継続するであろうと考えております。
マーケティング、販売及び流通のチャネル
マーケット
当社がターゲットとする顧客は、中小事業、消費者、会計専門家、並びに中規模の金融機関です。当社が他社と競争し
ている市場は、急速な技術変化と顧客のニーズのシフト、並びに競合他社による頻繁な新製品の導入及び強化という
特徴を常に持っています。過去複数年間でインターネット、モバイル機器が広く利用可能となったこと及びソーシャ
ルメデイアが急増したことにより、これらの変化のスピードは加速され、顧客が製品及びサービスについて学び、評
価し、購入する方法も劇的に変化してきました。
またたく間に、リアルタイムの個人向けオンライン及びモバイルショッピングというやりかたが標準となってきて
います。さらに、多くの顧客が、あるチャンネルでショッピングを開始し、最終的には別のチャンネルで購入します。
これは、統合されたマルチチャネルによるショッピング、購入の必要性を生み出します。市場や業界の変化は、既存の
製品やサービスをあっという間に時代遅れなものにしてしまいます。当社の成功は、新しいビジネスモデルや、競争
力のある戦略のアップデート、新規の又は改良された製品・サービス、代替的流通方法によって、その他当社の事業
のやり方を変えることによって、これらの変化に迅速に対応する能力にかかっています。
当社のオンライン・バンキング事業でターゲットとなる顧客は、大手金融機関と市場で競争することができるよう
な外部委託ソリューションを求めている中規模の金融機関です。当社はまた、中核的な処理者である金融機関顧客に
対して、オンラインで財務管理ソリューションを提供しています。
マーケティング・プログラム
当社の製品及びサービスを中小事業、消費者及び会計専門家に販売するために、当社はソフトウェアの受注を促進
し、需要を喚起し、当社の製品ポートフォリオに対する顧客の認知を一般的に維持し、高めるために、様々な伝統的及
び革新的なマーケティング・プログラムを採用しています。これらのプログラムには、検索エンジンの最適化及び
キーワードの検索エンジン会社からの購入といったウェブ・マーケティング及びターゲット広告、当社のモバイル
アプリケーションのapp storesへの掲載及び促進、ダイレクトメール及び電子メールによるキャンペーン、電話によ
る勧誘、新聞、雑誌、看板、ラジオ及びテレビの広告、ソーシャルメディアによるキャンペーン、並びに大手小売店とタ
イアップした販売促進用の製品、サービスの提供などが含まれます。また、いくつかのソフトウェア製品では、ワーク
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フロー統合型インプロダクト・ディスカバリーを利用して、他の関連の製品やサービス(第三者の製品やサービスを
含む)を販売しているものもあります。さらに、当社は、最終的にお金を使ってくれる顧客にならせるよう意図された
無料の販売促進用の製品を通じて新しい顧客を引きつける販売キャンペーンを考案しています。
当社の金融サービス部門の事業では、潜在的な顧客としての金融機関を見つけ出し、その顧客と協力して、彼らの顧
客であるエンドユーザーである消費者に当社のオンラインバンキングサービスを売り込むことにマーケティングの
重点を置いています。当社はまた、これらの金融機関とともに、彼らの顧客に、他のIntuit社製品及びサービス(例え
ばオンラインバンキングのためのTurboTax)を提供するために協力をしています。
販売・流通チャネル
マルチチャネルによるショッピング・購入:当社の消費者向け及び中小事業者向け製品並びにサービスの顧客は、
製品及びサービスを調べる際、ますますインターネット並びにスマートフォン及びタブレットといったモバイル機
器を活用するようになっています。これらの製品、サービスを専らオンライン又は彼らのモバイル機器を通じて購入
し利用する顧客もいれば、インターネットを利用してデスクトップ製品及びサービスを購入する顧客もいますが、依
然として最終的な購入判断は小売店でする顧客もいます。当社は、当社のウェブサイト、販売促進用物品及び小売店
での製品の展示を、この統合されたマルチチャネルによるショッピング、購入のモデルを支持するよう統一していま
す。
直接販売チャネル:当社は、当社のウェブサイトやコールセンターを通じて中小事業、消費者、会計専門家向け製品
及びサービスの多くを直接販売しています。電話販売は、引き続き顧客のニーズに合った製品とサービスを選択する
上で生のサポートを希望する顧客のための有効なチャネルとなっています。
当社の金融サービス部門の事業では、直接販売モデルを使用し、その製品及びサービスを金融機関に販売していま
す。また、比重はそれほどではないにしろ、より頻繁に、コアの処理パートナーを通じて一部販売を行っています。当
社の典型的な販売サイクルは、新規の金融機関については、9∼18ヶ月、既存客に対するアドオン販売の場合は4∼6ヶ
月です。
小売チャネル:当社はQuickBooks、TurboTax、Quickenの各デスクトップ・ソフトウェア並びにQuickBooks
Payroll、Intuit Online Payrollサービス及び商業者向けのクレジット・カード支払処理サービスを、米国の小売店
各地において販売しています。当社はこれらの製品及びサービスを、オフィスサプライ・スーパー、会員制大型ディ
スカウントショップ、家電小売店、一般量販店及びカタログ販売業者に対し、直接及び販売業者を通じて販売してい
ます。カナダ及びその他の海外市場では、小売販路に製品を販売する販売代理店及びその他の第三者にも依存してい
ます。小売販路を通じ、小売業者の広告の利用及び「歩行者」(foot traffic)によって、幅広い顧客層に販売すること
ができます。またこの小売販路により、当社の製品、サービス及びメッセージを、複数の接触ポイント(touch points)
を介して伝える機会が得られ、当社が比較的低コストで顧客のニーズに応えることが可能となります。
その他のチャネル:当社は、アライアンス・パートナー、ソリューション・プロバイダ及びPCのハードウェア製造業
者との経路を重視する戦略を掲げています。これらの販路による収入は、直接販売経路及び小売販売経路による収入
と比べかなり少ないですが、収益は伸びています。当社は、銀行、信用金庫及び証券会社並びに投資会社など、選ばれ
たいくつかのアライアンス・パートナーを通じて、当社の消費者向け税務製品及びサービス並びに会計専門家向け
税務製品及びサービスを販売しています。これらのアライアンス・パートナーは、取引地点において当社が新規顧客
を得ること、及びオンライン上で当社が接触できる顧客層を広げることにより当社が業績を伸ばし、シェアを拡大す
る上での一助となっています。ソリューション・プロバイダーは、当社の製品及びサービスを、付加価値の高いマー
ケティング、販売及び技術のノウハウと組み合わせることにより、エンドユーザーまで一貫したソリューションを届
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けます。いくつかの選ばれたPCのハードウェア製造業者との関係により、当社の中核ソフトウェア製品の新規顧客を
惹きつけることができます。当社がモバイル及びグローバルな製品を拡大することで、当社は戦略的パートナーシッ
プがますます当社の事業にとって重要になると予測しています。例えば、当社は携帯電話サービス及びハードウェア
・プロバイダーを通していくつかの当社製品を取引及び販売しています。
当社の金融サービス部門事業においては、いくつかのコアの処理ベンダーとの間で、協業マーケティング契約を締
結しています。これらのベンダーには、Fiserv, Inc.、Open Solutions, Inc.、Fidelity Information Services,
Inc.、Computer Services Inc.などがあります。金融機関顧客に対して、請求書による支払及び請求書の提示という
サービスを提供するために、当社は、付加価値を付け再販する関係をFidelity Information Services及びFiservと
いった大手のプロバイダと維持しています。
競争
概観
当社は、国内外で他社との激しい競争に直面しています。当社が進出している市場での競合先の関心と彼らのノウ
ハウ(特に小規模事業向け・消費者向け税務、オンライン・バンキングの分野)は、過去数年間、着実に高まっていま
す。この傾向は今後も続くと予想しています。当社の現在の競合企業の中は、当社よりはるかに豊富な財務、技術、販
売面でのリソースを保有しているところもあります。その上、当社が競争する市場において、新規企業が市場に参入
することにより、競争の環境は急激に変化する可能性があります。デスクトップ製品、サービスに比べ、新規参入障壁
が低いオンラインの製品及びサービスにおいて、このことは特に当てはまります。顧客を惹きつけるために、多くの
オンラインの製品の競合先は、無料あるいは低価格のエントリーレベルの製品を投入しており、当社はこのような状
況を価格戦略を構築する際、考慮に入れる必要があります。
競争がもっとも明らかなのは、当社と似た技術ソリューションを提供する企業との競争です。しかし、当社の多くの
製品及びサービスにとって、もうひとつの重要な競合先は、会計士や、納税期に提供される税務申告書作成補助サー
ビスです。マニュアル・ツール、マニュアル・プロセスや汎用ソフトとも競合しています。当社の新規顧客の多くは、
従来、経理処理する際、競合先のソフトやサービスではなく、ペン、紙又はワープロ、スプレッドシートのようなソフ
トを使ってきました。当社は、これらの業務を処理する方法として、マニュアルでのやり方からデスクトップ、オンラ
インのソフト及びモバイル機器の使用という長期的傾向は継続すると見ており、これは引き続き成長する機会を与
えてくれるものだと考えています。
事業部門別の競争
小規模事業グループ:当社のQuickBooksデスクトップ製品は、米国の小売チャネルにおける小規模事業向け財務管
理ソフトウェアのなかでは最重要製品です。当社の小規模事業向け製品及びサービスは、小規模事業を顧客ターゲッ
トとして会計ソフト及びその関連サービスの発売を行っているThe Sage Group plc等の他社からの競争圧力にさら
されています。当社の小規模事業向け製品及びサービスにおいては、金融機関やその他の会社が提供する廉価なオン
ライン会計ツールや無料のオンライン・バンキング及び料金支払サービスとの競争も激化しています。当社の給与
計算事業では、当社はAutomatic Data Processing, Inc. (ADP)、Paychex 及び給与計算製品を提供するその他多数
の他社(オンライン上の給与計算製品を含む。)と、給与計算製品で直接競争しています。当社の商業者向けサービス
事業においては、Wells Fargo、JP Morgan Chase及び Bank of Americaなどの金融機関、並びにFirst Data
Corporation、Elavon、Global Payments及びFIS-Certegyなどの多くの支払処理事業者と直接競争しています。
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消費者向け税務部門:個人向け部門では、店頭で納税申告書作成サポートを提供するソフトのメーカーである H&R
Block及びH&R Block At Homeと呼ばれるソフトウェア競合品との競争や、2nd Story SoftwareのTaxACTなどの納税
申告書作成サポート及びオンライン製品の提供業者との競争が激化しております。これらのウェブ・ベースの製品
からの価格引下げ圧力はますます大きくなっています。
当社はまた、消費者向け税務部門の事業において、個人納税者に電子的な納税申告書類作成・申告のサービスを無
償提供している公共政府機関と競争に直面しています。当社は、連邦政府との間で締結した、民間企業のコンソーシ
アムであるFree File Allianceに属しています。この契約に基づき、当該コンソーシアムのメンバーである民間企業
が、オンラインの連邦納税申告書作成サービスを適格連邦税納税者のために無料で提供しており、連邦政府はこれら
と競合するサービスを提供しない旨同意しています。約20の州がFree File Alliance官民契約を採択しました。その
他の20の州においては、何らかの形式により、政府が直接納税申告書作成サービスを無料で提供しています。当社は、
引き続き積極的に官民セクターにおいて他者と協力して、Free File Alliance方針の目標を推進し、官民の良好な連
携を支えていく所存ですが、将来行政や規制、司法当局が当該分野に進出してくることにより、当社の消費者向け税
務部門の事業の業績の悪化が懸念されます。
会計専門家向け部門:当社の専門家向け税務事業製品Lacerteは、当社より価格が有利で税務以外のサービスも含
まれている税・会計ソリューションと競合しています。これらにはCCHのProSystems fx Office Suite、Thomson
ReutersのCS Professional Suite及びGoSystems Taxが含まれます。当社の専門家向け税務事業製品ProSeriesは、
CCHのATX及びTax Wise製品との競争に直面しています。また、より効率的にマーケティングが行われているか当社の
会計専門家向け製品より価格の低い、オンライン上の会計・税務製品との競争も激化しています。
金融サービス部門:オンラインバンキング・サービスのマーケットは競争が非常に激しくなっています。消費者向
けオンラインバンキングの分野では、Online Resources、S1 Corporation、FundsXpress(First Data Corporationの
子会社)など数多くの企業が、外部委託のオンライン・バンキング・サービスを金融機関に提供しています。さらに、
コアの処理サービス又は支払処理サービスを主に提供する企業のなかには、オンライン・バンキング・サービスも
提供している企業が複数社あります。これらの企業には、Fiserv, Inc.、 Open Solutions, Inc.、 Fidelity
Information Services, Inc.及びJack Henryが含まれます。さらに、その多くは当社との顧客紹介・再販業者契約に
基づき、当社の製品を販売しています。当社はまた、オンライン財務管理ソリューション市場において、比較的新しい
市場参入者とも顧客獲得で競争しています。当社が既存の顧客との間でサービス契約の交渉を行う場合、競争圧力に
よって、当社との関係を継続してもらうために価格付け及びその他の重要な条件において妥協せざるを得なくなる
可能性があります。
競争要因
当社のコア製品(QuickBooks、TurboTax、Lacerte、ProSeries及びQuicken)において重要な競争要因は、使いやすさ、
製品の機能、インストールする顧客ベースの規模、ブランドの認知度、価値ある提案、コスト、信頼度及び製品・サ
ポートの質です。QuickBooks、TurboTax、及びQuickenソフトウェア製品にとっては、流通チャネルに対するアクセス
も重要です。また、QuickBooks製品にとっては、顧客の事業が拡大するにつれて、会計の専門家からのサポート及び顧
客が当社の製品ファミリーの中でアップグレードできるかどうかが重要な競争要因となります。当社のLacerteソフ
トウェア製品の販売先である総合会計事務所にとっては、生産性も重要な競争要因となります。当社は、QuickBooks、
TurboTax及びQuicken製品が各カテゴリにおいて米国の小売販売チャネルで最も人気がある製品であることから、こ
れらの要因において、十分競争力があると考えています。
また、小規模事業向け給与計算、商業者向け支払処理、外部委託オンライン・バンキング及び患者対プロバイダー通
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信ソリューションなどのサービスの提供では、機能、使いやすさ、関連ソフトとの統合性、ブランドの認知度、効果的
流通、サポートの質、コスト、操作の拡張性などが重要な競争要因です。
顧客サービス及びテクニカルサポート
当社は、顧客サービス及びテクニカルサポートを電話、電子メール、オンラインチャット、テキストメッセージ、オン
ラインコミュニティ及び当社の顧客サービス・テクニカルサポートウェブサイトを通じて提供しています。当社に
は、正社員及び外部委託による顧客サービス及びテクニカルサポートのスタッフがいます。当社は、納税申告シーズ
ンや主要製品の発売開始直後などの電話ピーク時には、季節従業員や追加の外部委託によりこれらのスタッフを補
完しています。国内外の数社に外部委託しています。消費者、小規模事業向けの顧客サービス、テクニカルサポートの
海外の外部委託先要員は、現在インド及びフィリピンに配置されています。
当社のQuickBooks、TurboTax、会計専門家向け部門の製品及びQuicken製品については、問題を自分で解決するため
の情報サービスを、当社のテクニカルサポートウェブサイトを通じて、無料で提供しています。顧客は解決策を見つ
けるため、当社ウェブサイトの「よくある質問」や「注文の状況」などを利用することができます。サポートプランに
よっては、顧客は、当社のウェブサイトを利用して、製品のアップデートをネット上でダウンロードできます。サポー
トの種類及び料金は製品により異なります。当社は消費者が知識及び製品に関するアドバイスを共有するための、小
規模事業者向け及び会計専門家向けのIntuit Community及びTurboTax Live Communityなどのオンライン・ユー
ザー・コミュニティも運営しています。
生産及び流通
デスクトップ・ソフトウェアとサプライ商品
デスクトップ・ソフトウェア生産の主要な工程は、コンパクトディスク(CD)の製造、ボックスや関連物品の印刷、並
びに最終製品の組み立て及び出荷です。
当社は、小売業向けの製造に関しては、Bertelsmann AGの一部門であるArvato Digital Services,Inc.(ADiS)と生
産に関する契約を締結しています。同社は、同契約に基づき、QuickBooks、TurboTax、Quickenの小売発売開始に関連す
る過半数の委託生産及びその後の日々の補充を行っています。ADiSは複数の場所で操業しており、必要があれば、増
産も可能です。当社はまた、JVC America Inc.と契約を締結しています。同社は、同契約に基づき、ADiSに次いで上記
の製品の委託生産とその後の日々の補充を行っています。
当社は、小売業向けの物流に関しては、ADiSと契約を締結しています。同社は、同契約に基づき、全ての物流サービス
を取扱います。当社の小売製品の発売開始の業務は複雑です。当社の製品の小売業者への納品と在庫の補充は、店舗
への直接納入と核となる倉庫への出荷の組み合わせになっています。これにより、当社の小売業者による在庫管理を
改善できます。また、多くの小口顧客には、流通業者を経由して製品を納入しています。
ADiSはまた、当社のデスクトップ・ソフトウェア製品の直接注文の大部分にかかる生産及び流通を担当します。当
社は、M&F Worldwide Corporationの一部門であるHarland Clarkeとの間で排他的契約を締結しており、同社は同契
約に基づき当社の財務サプライ事業にかかる小切手全てとその他の製品の大部分の受注を行います。
当社は原材料の供給先を多く確保しており、これまで原材料の調達で問題が生じたことはありません。
当社のコアのデスクトップ・ソフトウェア製品の発売開始の前には、かなりの受注残を持つことが多いですが、そ
れ以外の場合は、受注残は少なく、通常、注文を受けてから数日で発送が可能です。このように受注残は変動が激しい
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ため、当社の核となるデスクトップ・ソフトウェアの今後の売上を予測するには信頼に欠けると考えています。
オンライン製品及びサービス
当社のオンライン製品及びサービスを運用、供給するために必要なシステム、ネットワーク及びデータベースの大
半は、当社のデータセンターに置かれています。これらには、QuickBooks Online、QuickBooks又はQuickBooks以外の
ソフトウェアユーザーのためのオンライン給与計算サービス、商業者向け支払処理サービス、小規模事業者向けの
ウェブサイトのホスティングサービス、TurboTax Online、ProLine Tax Online、消費者、専門家向けの電子納税申告
サービス、外部委託のオンラインバンキングサービス及びMint.comなどがあります。データセンターを通じて、当社
は、顧客を当社製品及びサービスと結びつけ、顧客及び事業に関するデータを保存しています。Connected Services
戦略と連動して当社の事業が今後さらにオンラインベースの製品、サービスの提供にシフトするにしたがって、当社
のインフラの重要性は高まるでしょう。
現在、当社のデータセンターは、米国西部を中心に設置している数々のサーバーとデータべースにより構成されて
います。当社は、データセンターの数を減らしつつその場所を分散させていくための複数年にわたる計画を実行して
います。当社の主要なデータセンターは、ワシントン州にあり、今後、当社はこの施設を使って、ホスティング能力と、
既存の接続サービス若しくは将来投入する接続サービスにおいて要求される高度な可用性を支えていく予定です。
当社は、主要なバックアップ施設をネバダ州の共同設置データセンターに有しています。
顧客情報・取引の守秘及びセキュリティ
当社は顧客及び従業員の個人情報に関連し、守秘及びセキュリティに関する連邦、州並びに国際間の様々な法律、規
則並びに金融機関に対する規制の対象であります。また、インターネット、行動追跡、テレマーケティング、電子メー
ル活動、データのホストと保持、財務及び健康情報並びに顧客の信用情報の利用に適用される法律や規則の対象でも
あります。これら全ての分野において、追加の法律が将来可決される模様であり、その場合には、当社が顧客又は当社
社員の個人情報及びデータを収集、使用、ホスト、保存又は送信する方法、顧客とコミュニケーションをとる方法並び
に商品及びサービスを提供する方法が著しく制限されるか又は変更を余儀なくされるか、若しくは法令遵守費用が
相当増加することになる可能性があります。当社が、守秘及びセキュリティを保護するための規制の対象となってい
る産業部門及び情報利用方法にまで新たに事業を拡大した場合、又は厳正な情報保護法を有する合衆国外の地域に
進出した場合、当社が遵守しなければならない要件は増加し、費用も増加することになります。
当社は、国際的に認知されているプライバシー原則と合致したMaster Privacy Policy Frameworkを通じて、当社が
顧客の情報をどのように利用しているかを顧客及び従業員が知り、コントロールできるようにする合衆国連邦及び
その他の地域のガイドライン並びに実務を遵守しています。QuickBooks.com及びTurboTax.comなどの主要ウェブサ
イトは、TRUSTeの認証を受けています。TRUSTeとは、独立したオンライン上の守秘に関するユーザーの懸念及び規制
当局の要請に対処するための業界標準慣行を反映したウェブサイト守秘認証プログラムを運営しています。当社は
また、プライバシー・ステートメントを使用して、当社の守秘に関する実務について顧客に通知し、顧客にかかる個
人情報の使用に関して顧客が指示を与えられるような機会を設けています。当社は、産業のベスト・プラクティスを
開発し又はそれに影響を与え、プライバシー及びセキュリティにかかる公共政策に影響を与えることを目的とする
産業グループに参加しています。
セキュリティに関する懸念に対処するために、当社はセキュリティ対策を用いてシステムを保護し、顧客から提供
された情報が紛失、不正使用及び無断変更されないようにしています。顧客が秘密情報(クレジット・カード番号、納
税申告データなど)を当社のウェブサイトを通じて当社に送信する場合にはいつでも、当該情報は、情報を暗号化す
るための業界標準に従います。当社のシステムについては、商業的に入手可能な数々のコンピュータ・セキュリティ
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製品や、内部で開発したセキュリティ手順・慣行を使って、内外からの不正使用の防止に努めています。
政府による規制
金融サービス産業は、広範で複雑な連邦及び州の規制を受けています。商業銀行、信用組合などの当社の金融機関顧
客は、規制当局の厳しい監視のもとに置かれている市場で事業を営んでいます。当社の製品、サービスがこれらの規
制を遵守しているかどうかは、個別の機能性、インタラクティブなデザイン、政府が金融機関に与える免許、許可など
様々な条件によります。当社の金融サービスの顧客は、独自に、これらの規制が何を要求しているかを判断・決定し、
当社のシステム及び顧客自身のウェブサイトのデザインが規制の要件を満たしていることを確認する責任がありま
す。
当社のインテュイット金融サービス部門の事業は、銀行や信用金庫等の金融機関に対して適用される連邦政府・州
の金融当局の直接の監督の対象にはなっていません。しかしながら、金融機関にサービスを提供する者として、この
事業は「情報技術の検査に関するガイドライン」に基づいて、連邦金融検査協議会の検査を受けています。当社は、他
の規制に関して、連邦政府・州の金融当局の直接の監督の対象となっていないと考えていますが、必要に応じ、これ
らの機関が当社の事業、業務を検査することに同意しています。
当社の消費者向け税務部門及び会計専門家向け部門の事業も、電子納税申告、申告書作成の支援、顧客情報の使用及
び開示に関する規制など連邦政府・州政府の規制の対象となっています。また、当社が供給する製品、サービスの一
部、たとえば小規模事業向け給与計算、商業者向け支払処理サービス、プリペイド式デビット・カード及び患者対プ
ロバイダー通信ソリューションは特別な規制の対象となっています。当社が当社の製品及びサービスを拡大するに
したがって、新たな政府規制の対象となる可能性があります。新たな法令が制定される可能性もあり、その場合、当社
の事業は大幅に制限を受け、当社のコンプライアンス関連のコストは増加することになります。当社は国内外を問わ
ず、引き続き新規事業機会を分析しますが、追求する新規事業及び事業モデルによっては、規制遵守のための追加費
用が必要となる場合もあります。
当社は、従業員の安全及び健康並びに就業環境に関して、連邦政府・州の法律及び規則の対象にはなっていません。
職業安全衛生管理局、環境保護庁並びにその他の連邦政府・州機関は、当社の事業に影響を与えるような規則を制定
する権限を有します。
知的財産権
当社の成功は、当社製品に用いられている独自の技術に依存しています。当社はこの独自技術を保護するため、著作
権、特許、トレード・シークレット及び商標関係の法律及び特許と秘密保持規制、並びにその他の方法の組み合わせ
による、多様な知的財産権のメカニズムに依存しています。例えば当社は、当社の事業にとって重要と考える知的財
産権を保護するため、特許、著作権及び商標並びにサービスマークの申請を定期的に行っています。当社は、少数では
ありますが、その数を増やしつつあり、当社の全体的な競争優位性に重要であると当社が考える特許ポートフォリオ
を有しています。しかしながら、当社はこの時点において、当社のポートフォリオにある1つの特許又は特許の中の特
定のグループに著しく依存しているわけではありません。当社はまた、Intuit、QuickBooks、TurboTax、Lacerte、
ProSeries、Quicken及びMintなどの登録商標を有しています。当社は、これらの商標やその他の商標、サービスマーク
を米国ほか、各ブランドの他の市場との関連性に応じて、多くの国で登録しています。大半の登録は10年毎に更新す
ることができます。当社はまた、当社製品で使うために、第三者から知的財産の使用許諾を受けています。
当社は、その数を増やしつつある特許ポートフォリオを現在有しています。しかしながら、当社の取得した特許は無
効とされ、全ての裁判管轄において競合製品に対し執行可能なわけではないと判断されるかもしれません。また、当
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社及び当社の顧客に対して侵害の主張を申立てている第三者もおり、また将来当社に対して同様の主張が申立てら
れる可能性もあります。これらの申立及び訴訟の結果、当社の専有権が無効とされるか、又は侵害があったと判断さ
れた上で損害賠償額の査定が行われるかもしれません。訴訟は、それが利益をもたらすものでなくとも、著しいコス
トを発生させるとともに会社のリソースを分散させ、経営陣の焦点をそらすことになります。さらに、第三者ライセ
ンスが商業的に受諾可能な条件で引き続き使用できなくなるか、又は全く使用できなくなる可能性もあります。
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4【関係会社の状況】
(1) 親会社
報告会社には親会社は存在しません。
(2) 2011年10月31日現在の子会社
名 称
主たる事業所の
所在地 (国名)
事 業
出資比率
(%)
国内子会社
シービーエス・エンプロイヤー・
サービシーズ・インク(CBS
Employer Services, Inc.) (1)
給与計算サービスなどを テキサス州(米国)
提供する子会社の持株会
社
100
当社の小規模事業部門の
一部
コンピューティング・リソーセズ
・インク(Computing Resources,
Inc.)(2)
給与計算サービスのプロ ネバダ州(米国)
バイダ
100
当社の従業員管理事業の
一部
デジタル・インサイト・コーポ
レーション(Digital Insight
Corporation)
金融機関向けオンライン カリフォルニア州
バンキング・ソフトのプ (米国)
ロバイダ
100
当社の金融サービス部門
の一部
エレクトロニック・クリアリング
・ハウス・インク(Electronic
Clearing House, Inc.) (4)
小規模事業者向け自動決 カリフォルニア州
済機能のプロバイダ
(米国)
100
当社の支払事業の一部
イノベイティブ・マーチャント・ クレジット・カード、デ カリフォルニア州
ソリューションズ LLC(Innovative ビット・カードの処理 (米国)
Merchant Solutions, LLC)
サービスのプロバイダ
100
当社の小規模事業部門の
一部
インテュイット・コンシューマー
・グループ・インク(Intuit
Consumer Group Inc.)
特定の資産を保有
カリフォルニア州
(米国)
100
特定の当社資産を保有
インテュイット・ディストリ
ビューション・インク(Intuit
Distribution Inc.)
特定の資産を保有
カリフォルニア州
(米国)
100
当社のチャネル販売をサ
ポート
インテュイット・インシュアラン
ス・サービシーズ・インク
(Intuit Insurance Services
Inc.)
保険契約(insurance
policies)の仲介業
カリフォルニア州
(米国)
100
当社の従業員管理事業の
一部
インテュイット・ベンチャーズ・
インク(Intuit Ventures Inc.)
給与計算事業及び CBS ネバダ州(米国)
Employer Services,
Inc. とその子会社の親
会社
100
給与計算事業部門従業員
を雇用;他の資産も保有
ラサート・ソフトウェア・コーポ
レーション(Lacerte Software
Corporation)
専門家向け納税申告書作 テキサス州(米国)
成ソフト製品のプロバイ
ダ
100
当社の専門家向け税務事
業部門の一部
100
特定の当社資産を保有
ライオンズ・パートナーズ・エル 特定の資産を保有
エルシー(Lion’s Partners, LLC)
当社との
事業上の関係
デラウェア州(米
国)
メドフュージョン・インク
(MedFusion, Inc.)
患者対プロバイダオンラ ノースカロライナ
イン通信ソリューション 州(米国)
のプロバイダ
100
当社のその他事業の一部
ミント・ソフトウェア・インク
(Mint Software Inc.)
個人向けファイナンスの カリフォルニア州
オンラインサービスのプ (米国)
ロバイダ
100
当社のその他事業の一部
ペイサイクル・インク
(PayCycle, Inc.)
給与計算サービスのプロ カリフォルニア州
バイダ
(米国)
100
当社の従業員管理事業の
一部
ステップ・アップ・コマース・イン 小規模事業の在庫リスト カリフォルニア州
ク(Step Up Commerce, Inc.)
をインターネットに変換 (米国)
100
当社の小規模事業部門の
一部
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スーペリア・バンクカード・サービ 商業者向けサービスのプ カリフォルニア州
ス・エルエルシー(Superior
ロバイダ
(米国)
Bankcard Service LLC)
100
当社の支払事業をサポー
ト
海外子会社
アイエヌティーユー・ホールディ
ングス・リミテッド(INTU
Holdings, LTD.)
持株会社
モーリシャス
100
当社のインドにおける事
業体の持株会社
インテュイット・ホールディング
ス・リミテッド
(Intuit Holdings LTD)
持株会社
英国
100
当社のカナダにおける事
業体の持株会社
インテュイット・カナダ・ユーエ
ルシー(Intuit Canada ULC)
ソフトウェアとその関連 カナダ
製品、サービスのプロバ
イダ
100
ソフトウェアの開発と販
売
インテュイット・リミテッド
(Intuit Limited)
ソフトウェアとその関連 英国
製品、サービスのプロバ
イダ
100
ソフトウェアの販売
インテュイット・インディア・プ
ロダクト・ディベロップメント・
センター・プライベート・リミ
テッド(Intuit India Product
Development Centre Private
Limited)
研究開発センター
インド
100
研究開発
インテュイット・インディア・ソ
フトウェア・ソリューションズ・
プライベート・リミテッド(Intuit
India Software Solutions
Private Limited)
インドにおけるソフト インド
ウェア及び関連商品・
サービスの販売及びマー
ケティング
100
当社の国際事業部門の一
部
インテュイット・シンガポール・
ピーティーイー・リミテッド
(Intuit Singapore Pte Limited)
国際事業の持株会社
シンガポール
100
当社の国際事業部門の一
部
インテュイット・テクノロジー・
サービシーズ・プライベート・リ
ミテッド(Intuit Technology
Services Private Limited)
研究開発とコールセン
ター
インド
100
当社の製品の研究開発の
サポート
(1) CBS Employer Services, Inc.は次の4社の子会社を保有しています。CBS Corporate Services, Inc.(テキサ
ス州法人); CBS Properties, Inc.(テキサス州法人); Payroll Solution, Inc.(テキサス州法人);及び
Intuit Do-It-Yourself Payroll(カリフォルニア州法人)。
(2) Computing Resources, Inc.は次の1社の子会社を保有しています。EmployeeMatters Insurance Agency, Inc.
(コネチカット州法人)。
(3) Electronic Clearing House, Inc.は次の2社の子会社を保有しています。Xpresschex (カリフォルニア州法
人)及びMerchantAmerica (カリフォルニア州法人)。
5【従業員の状況】
2011年7月31日現在当社はアメリカ合衆国、カナダ、インド、英国及びその他の国外地域の主要な事業所に約8,000名
の従業員を擁しています。
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第3【事業の状況】
1【業績等の概要】
財務概要
(百万ドル。但し1株当たり金額を除く。)
純売上高合計
継続事業による営業利益
継続事業による純利益
継続事業による希薄化後1株当たり純利益
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$3,851
$3,455
$3,109
11%
11%
1,007
863
683
17%
26%
634
539
447
18%
21%
$2.00
$1.66
$1.35
20%
23%
2011年度と2010年度の比較: 純売上高合計は、当社の小規模事業グループ及び当社の消費者向け税務部門における
売上高の増加に牽引され、2010年度と比較して2011年度において3億9600万ドル又は11%増加しました。当社の小規
模事業グループにおいて、売上高は12%上昇しました。財務管理ソリューションズ部門の売上高は、QuickBooks
Online、QuickBooks Enterprise及びIntuit Websitesの売上高の増加、並びにそれほどではないにせよQuickBooksデ
スクトップの売上高の増加により、15%増加しました。従業員管理ソリューションズ部門の売上高は、給与計算の直
接的な預金サービスの顧客の利用が向上した魅力的な製品の融合及びデスクトップ上の給与計算を申し込んでいる
顧客に対する価格上昇により、10%増加しました。支払ソリューションズ部門の売上高は、商業者向けの顧客ベース
における成長及び商業者当たりの取引処理量のわずかな増加により、11%増加しました。当社の税務関連事業におい
て、消費者向け税務部門の売上高は、オンラインの連邦税申告書作成ソフトであるTurboTax Onlineの20%の増加に
牽引された連邦税申告書作成ソフトであるTurboTaxの販売総数における12%の成長により、13%増加しました。会計
専門家向け部門の売上高は、価格上昇、納税申告書毎の支払方法(pay-per-return usage)の増加及び新しい製品によ
り、7%増加しました。金融サービス部門の売上高は、料金支払い売上高の増加が、2010年度の第4四半期における同部
門の貸与事業の売却の効果によって部分的に相殺されたため、4%増加しました。その他の事業部門の売上高は、当社
のカナダ及び英国における中小企業向け製品の好調な業績並びにMint及びMedfusionの当社の2010年度買収のため
15%増加しました。
継続事業による営業利益は、2010年度と比較して2011年度において17%増加しました。売上高に占める売上原価合
計の比率は、TurboTax Onlineの販売個数の成長及び取得した無形固定資産の償却費用の3200万ドルの減少により、
僅かに減少しました。営業費用合計は2011年度の期間で2億3,400万ドル増加しました。それには、人員費用の約7400
万ドルの増加、当社の小規模事業グループ及び消費者向け税務部門におけるマーケティング・プログラム費用の約
4700万ドルの増加、Mint及びMedfusionの営業費用による約7000万ドル、並びに株式に基づく報酬費用の約2000万ド
ルの増加が含まれます。当社はまた、2011年度中、当社のIntuit Healthの報告単位について3000万ドルののれん及び
無形固定資産の減損処理を計上しました。
継続事業による純利益は、当該期間中の営業利益における増加に沿って、2010年度と比較して、2011年度に18%増加
しました。2011年度の継続事業による希薄化後1株当たり純利益は、2010年度と比べて純利益の増加及び希薄化後の
加重平均株式が減少した結果として20%増加して2.00ドルになりました。
2010年度と2009年度の比較: 純売上高合計は、2009年度と比較して2010年度において3億4600万ドル又は11%増加
しました。当社の小規模事業グループにおいて、財務管理ソリューションズ部門の売上高は、Intuitウェブサイトに
おける強み及びQuickBooksの平均販売価格の上昇により6%増加しました。従業員管理ソリューションズ部門の売上
高は、2009年7月における当社のPayCycle買収及びデスクトップ上の給与計算を申し込んでいる顧客に対する価格上
昇により15%増加しました。支払ソリューションズ部門の売上高は、商業者向けの顧客ベースにおける成長により
8%増加し、商業者当たりの取引処理量の減少により部分的に相殺されました。当社の税務関連事業において、消費者
向け税務部門の売上高は、TurboTax Onlineの販売個数の19%の成長により15%増加しました。会計専門家向け部門
の売上高は、価格上昇により6%増加しました。金融サービス部門の売上高は、料金支払いエンドユーザー及び取引量
並びに新しい製品の増加により7%増加しました。その他の事業部門の売上高は、Quicken収益の増加及び当社カナダ
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事業における好ましい為替レートのインパクトにより22%増加しました。
継続事業による営業利益は、2009年度と比較して2010年度において26%増加しました。売上原価及び費用の総額は、
2010年度に1億6600万ドル増加しました。2010年度の売上原価及び費用の総額は、サービスその他収益における増加
に関連するサービスその他売上原価の増加により約3800万ドル、当社の財務業績と直接関連があるインセンティブ
報酬にかかる費用の増加により約4200万ドル、並びに、PayCycle、Mint及びMedfusionの営業費用により約4600万ドル
増加しました。
継続事業による純利益は、2009年度と比較して、2010年度に21%増加しました。2010年度の当社の実効税率は約34%
であり、2009年度の当社の実効税率は約31%でした。2010年度の継続事業による希薄化後1株当たり純利益は、2009年
度と比べて純利益の増加及び希薄化後の加重平均株式が減少した結果として23%増加して1.66ドルになりました。
事業セグメント別業績
以下の記述は、当社の7つの報告対象セグメント毎の記載となっています。当社のその他の事業部門の業績は、2010
年度の第2四半期において廃止事業となったIntuit Real Estate Solutions事業の業績が排除されるように示され
る全期間の間、調整されました。
部門別営業利益とは、部門別売上高から部門別売上原価と営業費用を差し引いたものです。部門別費用には、個々の
部門に配賦できない、全社販売費用・マーケティング費用、商品開発費、一般管理費や株式に基づく報酬費用などは
含まれていません。これらの部門に配賦されない費用は、2011年度で6億8500万ドル、2010年度で6億900万ドル、2009
年度で5億1400万ドルになりました。配賦されない費用は、当社事業の成長に伴う全社販売費用・マーケティング費
用の増加及び株式に基づく報酬費用の増加に起因して、2010年度に比べ2011年度において増加しました。部門別費用
には、買収した技術の償却、その他買収した無形資産の償却並びにのれん及び無形資産の減損処理を含みません。
当社は、売上伸び率及び部門別営業マージンを千単位でドルを使用して算出します。これらの結果は、表示される
100万単位でドルを使用して算出される数値から僅かに異なることがあります。
財務管理ソリューションズ部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$405
$382
$383
サービス・その他売上
296
229
196
部門における売上合計
$701
$611
$579
18%
18%
19%
$220
$152
$113
31%
25%
20%
対売上合計比率
15%
6%
44%
34%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
財務管理ソリューションズ部門(FMS)の製品売上高は、QuickBooksデスクトップソフトウェア製品並びに小切手、封
筒、請求書、名刺及び事務用品といった財務面の備品により主に牽引されています。FMSサービス及びその他の売上高
はQuickBooks Online、QuickBooksサポートプラン、中小企業に対してウェブサイトデザイン及びホスティングサー
ビスを提供するIntuit Websites、QuickBase並びに中小企業向けのオンラインサービスからのロイヤリティに主に
牽引されています。
2011年度と2010年度の比較: FMSの純売上高合計は2010年度と比較して2011年度において9000万ドル又は15%増加
しました。2011年度におけるFMSの売上高の増加は、QuickBooks Online、QuickBooks Enterprise及びIntuit
Websitesの売上高の堅調な増加並びに程度は小さいもののQuickBooksデスクトップの売上高の増加に牽引されまし
た。QuickBooks製品の平均販売価格の上昇は、2011年度のQuickBooksソフトウェアの販売個数の合計が9%減少した
のを相殺して余りあるものとなりました。
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2011年度のFMS部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2010年度の25%に比べて増加し、31%でした。部
門別営業利益は、上記の売上高の増加、1300万ドルの人員費用の減少、及び製品売上高の効率性にかかる費用によっ
て、2011年度に増加し、広告及びその他のマーケティングプログラムに対する約1100万ドルの費用増加により一部相
殺されました。
2010年度と2009年度の比較: FMS純売上高の合計は、2009年度と比較して2010年度において3200万ドル又は6%増加
しました。この増加の約半分は、Intuitウェブサイトの顧客の増加に起因します。当社のQuickBooksデスクトップ事
業における平均販売価格の上昇は、QuickBooksソフトウェアの販売個数に対して支払われた総額が2%減少したのを
相殺して余りあるものとなりました。平均販売価格は、当社が提供したプロモーション上の割引が2009年度と比較し
て少なかったため、2010年度に上昇しました。QuickBooks Online及びQuickBooks Enterprise Solutionsの顧客の増
加もまた2010年度の売り上げ増加に貢献しました。
2010年度のFMS部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、上記で記載したように売上高が増加し、Intuit
Websitesの成長に関連する売上原価及び顧客サービス費用の増加が部分的に相殺されたことで、2009年度の20%に
比べて増加し、25%でした。2010年度の部門別営業利益は、2009年度と比較して人員費用が約1600万ドル減少したこ
とからも利益を得ました。
従業員管理ソリューションズ部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$261
$249
$237
サービス・その他売上
196
169
128
部門における売上合計
$457
$418
$365
12%
12%
12%
$271
$253
$208
59%
60%
57%
対売上合計比率
10%
15%
7%
22%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
従業員管理ソリューションズ部門(EMS)製品売上高は、主にQuickBooks Basic Payroll及びQuickBooks Enhanced
Payrollに基づいています。これら製品は、自社において給与計算を行う中小企業に給与所得税率表、給与支配報告
書、連邦・州の給与所得税申告書及び電子納税支払・申告を提供する申し込みベースで販売される製品です。EMS部
門のサービス及びその他の売上高は、主にQuickBooks Online Payroll、QuickBooks Assisted Payroll、Intuit
Online Payroll、Intuit Full Service Payroll、直接的な預金サービス手数料並びに他の中小企業給与計算手数料
及び従業員管理サービスに基づいています。この部門のサービス及びその他の売上高は、顧客のために保有される資
金に対する利息も含みます。
2011年度と2010年度の比較: EMS部門の純売上高合計は2010年度と比べて2011年度は3900万ドル又は10%増加しま
した。売上高は、より多くの顧客が当社の改良されたデスクトップ上の給与計算及びオンライン給与計算ソリュー
ションを選んだこと、給与計算の直接的な預金サービスの顧客の利用が向上したこと、並びにデスクトップ上の給与
計算を申し込んでいる顧客に対する価格上昇により2011年度に増加しました。2011年7月31日時点において、給与計
算を申し込んでいる顧客の合計数が2010年度7月31日時点と比べて2%増加した一方で、オンライン上の給与計算を
申し込んでいる顧客が13%増加しました。
EMS部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は2010年度の60%に比べて2011年度に若干減少して59%となり
ました。上述したような売上高の成長は製品構成に関連した売上原価の増加により一部相殺されました。
2010年度と2009年度の比較: EMS部門の純売上高合計は、2009年度と比較して、2010年度において5300万ドル又は
15%増加しました。売上高は、2009年7月における当社のPayCycle買収及びデスクトップ上の給与計算を申し込んで
いる顧客に対する価格上昇により、2010年度において増加しました。
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2010年度のEMS部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2009年度の57%に比べて増加し、60%でした。売
上高の増加により、当社のPayCycleの買収に起因する売上原価及び費用の増加が一部相殺されました。
支払ソリューションズ部門
(百万ドル)
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
製品売上
$31
$31
$28
サービス・その他売上
317
282
263
部門における売上合計
$348
$313
$291
9%
9%
9%
$64
$67
$31
19%
21%
11%
対売上合計比率
11%
8%
-3%
112%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
支払ソリューションズ部門の製品売上高は、主にPoint of Saleソリューションズに基づいています。支払ソリュー
ションズ部門のサービス売上高は、主に中小企業に対する商業者向けサービスに基づいています。これには、クレ
ジット・カード、デビット・カード、電子ベネフィット及びギフトカードの処理業務、小切手認証、小切手保証、及び
自動決済機関機能(ACH)機能及びCheck 21機能を含む小切手自動転換、オンラインマーチャントに対するウェブ上の
取引の処理業務並びにGoPaymentモバイル支払処理サービスなどが含まれます。
2011年度と2010年度の比較: 支払ソリューションズ部門の純売上高合計は、商業者向けの顧客ベースにおける11%
の成長に牽引されて、2010年度に比べて2011年度は3500万ドル又は11%増加しました。商業者当たりの取引処理量は
2010年度に比べて2011年度に1%増加しました。
支払ソリューションズ部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、売上原価におけるインターチェンジ費用
の増加や、人員費用、広告及びその他のマーケティングプログラムに対する費用の増加により2010年度の21%から
2011年度は19%に減少しました。これは上記の売上高の増加を相殺して余りあるものとなりました。
2010年度と2009年度の比較: 支払ソリューションズ部門の純売上高合計は2010年度、商業者向けの顧客ベースにお
ける15%の成長に牽引され、2009年度と比較して、2200万ドル又は8%増加しました。商業者当たりの取引処理量は
2010年度、引き続き個人消費が低いレベルにあったことを反映し、2009年度と比較して、3%減少しました。
2010年度の支払ソリューションズ部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2009年度の11%に比べて増加
し、21%でした。2010年度において、部門別営業利益は上記に記載されたとおり売上高の増加並びに施設費用の配賦
額(約900万ドル)及び人件費(約800万ドル)の減少に起因して増加しました。
消費者向け税務部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$261
$275
$256
サービス・その他売上
1,037
871
740
部門における売上合計
$1,298
$1,146
$996
34%
33%
32%
$850
$746
$629
65%
65%
63%
対売上合計比率
13%
15%
14%
19%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
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消費者向け税務部門の製品売上高は、主に連邦及び州のTurboTaxの顧客及び中小企業デスクトップ納税申告準備ソ
フトウェアに基づいています。消費者向け税務部門サービス及びその他の売上高は、主にTurboTax Online納税準備
サービス及び電子納税申告サービスに基づいています。
2011年度と2010年度の比較: 消費者向け税務部門の純売上高合計は2010年度と比べて2011年度は1億5200万ドル又
は13%増加しました。連邦税申告書作成ソフトであるTurboTaxの販売総数は、オンラインの連邦税申告書作成ソフト
であるTurboTax Onlineの販売総数の20%の成長に牽引されて当該期間において、12%上昇しました。オンラインの
連邦税申告書作成ソフトの販売総数は、2010年の消費者納税申告期間において、連邦税申告書作成ソフトである
Turbo Taxの販売総数の約75%になりました。これは、2009年の納税申告期間の約70%からの上昇を示しています。
消費者向け税務部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は2010年度及び2011年度において65%と横ばいで
した。上記の売上高の増加は、広告及びその他のマーケティングプログラムに対する約2900万ドルの費用の増加を含
む売上原価及び費用の増加により一部相殺されました。
2010年度と2009年度の比較: 2010年度の消費者向け税務部門の純売上高合計は、2009年度と比べ、1億5000万ドル又
は15%増加しました。2010年度において、連邦税申告書作成ソフトであるTurboTaxの販売総数は11%増加し、オンラ
インの連邦税申告書作成ソフトであるTurboTax Onlineの販売総数は19%増加しました。オンラインの連邦税申告書
作成ソフトの販売総数は、2009年の消費者納税申告期間において、連邦税申告書作成ソフトであるTurboTaxの販売総
数の約70%になりました。
2010年度の消費者向け税務部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2009年度の63%に比べて増加し、
65%でした。2010年度の消費者向け税務部門の売上高における成長は、部門の売上原価及び費用の増加により部分的
に相殺されました。かかる売上原価及び費用には、TurboTax 2009の開始及びこれに続くプロモーションをサポート
するための広告及びその他のマーケティング・販売経費における約1100万ドルの増加を含みます。
会計専門家向け部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$340
$303
$322
サービス・その他売上
59
70
30
部門における売上合計
$399
$373
$352
10%
11%
11%
$228
$210
$186
57%
56%
53%
対売上合計比率
7%
6%
9%
13%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
会計専門家向け部門製品の売上高は、主にProSeries及びLacerte専門税務申告準備ソフト製品、並びにQuickBooks
Premier会計士向けエディション及びプロの会計士のためのプロアドバイザープログラムに基づいています。会計専
門家向け部門サービス及びその他の売上高は、主にProLine Tax Online納税準備サービス、電子納税申告サービス、
銀行製品送信サービス及び研修サービスに基づいています。
2011年度と2010年度の比較: 会計専門家向け部門の純売上高合計は、価格上昇、納税申告書毎の支払方法
(pay-per-return usage)の増加及びProLine Tax Onlineといった新しい製品により、2010年度と比べて2011年度に
2600万ドル又は7%増加しました。
会計専門家向け部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は2010年度の56%と比べて2011年度は若干増加し
て57%になりました。2011年度の期間中の売上高の増加は、人員費用及びその他の営業費用の緩やかな増加により一
部相殺されました。
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2010年度と2009年度の比較:2010年度の会計専門家向け部門純売上高合計は、値上げにより、2009年度に比べて
2100万ドル又は6%増加しました。
2010年度の会計専門家向け部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2009年度の53%に比べて増加し、
56%でした。これは、この部門の商品開発及びカスタマー・サポート機能において2010年度に達成された、収益の増
加及び運営効率の改善によるものです。
金融サービス部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$-
$-
$-
サービス・その他売上
346
332
311
部門における売上合計
$346
$332
$311
9%
10%
10%
$83
$71
$69
24%
21%
22%
対売上合計比率
4%
7%
17%
2%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
金融サービス部門のサービス及びその他の売上高は、主に外部委託のオンライン・バンキングソリューションズに
基づいています。この製品は、当社のデータセンターをホストとして、オンデマンド・サービス製品として銀行及び
信用組合に提供されています。金融サービス部門のサービス及びその他の売上高は、実施サービス手数料も含んでい
ます。
2011年度と2010年度の比較:金融サービス部門の純売上高合計は、2010年度と比べて2011年度に1400万ドル又は
4%増加しました。2011年度における売上高の成長は、料金支払い売上高の増加により牽引され、2010年度の第4四半
期における同部門の貸与事業の売却の効果によって一部相殺されました。貸与事業からの売上高は、2010年度のすべ
ての期間において1000万ドル未満になりました。料金支払い売上高は、2010年度と比べて2011年度において、料金支
払いエンドユーザーの15%の増加及び取引量の上昇により増加しました。ユーザー当たりの売上低下をもたらす長
引く価格引下げ圧力が、料金支払いエンドユーザーの顧客ベースにおける成長の効果を一部相殺しました。
金融サービス部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、人員費用の増加に一部相殺された売上高の増加に
より、2010年度の21%から2011年度は24%に増加しました。
2010年度と2009年度の比較:金融サービス部門の純売上高合計は、2009年度と比較して、2010年度において2100万
ドル又は7%増加しました。料金支払い売上高及びFinance Works売上高の増加が、ほぼ等しく売上高の成長を牽引し
ました。料金支払い売上高は、料金支払いエンドユーザーの18%の増加及び取引量の増加により成長しました。ユー
ザー当たりの低い売上高が、料金支払いエンドユーザーの顧客ベースの成長を部分的に相殺されました。
FinanceWorksは、2009年度の間に導入されました。
2010年度の金融サービス部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2009年度の22%に比べて僅かに減少
し、21%でした。これは、売上高の増加が、部門の売上原価及び費用の増加に部分的に相殺されたことによるもので
す。売上原価は、売上量、売上品構成及びデータセンター費用の増加によって約1400万ドル増加しました。
その他の事業部門
(百万ドル)
製品売上
2011年度
$183
2011-2010 2010-2009
2010年度 2009年度 前年比(%) 前年比(%)
$172
$150
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サービス・その他売上
119
90
65
部門における売上合計
$302
$262
$215
8%
7%
7%
対売上合計比率
15%
22%
4%
5%
部門別営業利益
対同部門売上高比率
$67
$64
$62
22%
25%
29%
その他の事業部門は、主にQuicken、Mint.com、Intuit Health、並びにカナダ、イギリス、シンガポール及びインドで
の当社事業から成ります。Quicken製品売上高は、主にQuickenデスクトップ・ソフト製品からあがってきます。
Quickenサービス及びその他の売上高は、主に消費者オンライン取引料及びQuicken Loans商標のロイヤルティから
あがってきます。Mint.comサービス収益は、主に見込み顧客の情報獲得にかかる手数料からあがってきます。Intuit
Healthサービス収益は、オンラインによる患者対プロバイダ通信サービス及び実施サービス手数料からあがってき
ます。カナダでは、製品売上高は主にQuickBooks及びQuickenのローカライズされたバージョン並びに消費者向けデ
スクトップ用納税申告書作成ソフト及び専門家向け納税申告書ソフト製品からあがってきます。カナダにおける
サービス収益は、主に給与計算サービスからの収益と、QuickBooksサポートプランからなります。イギリスでは、製品
売上高は主にローカライズされたQuickBooks及びQuickBooks Payrollからあがってきます。当社の世界的な新製品
にはシンガポールにおけるQuickBooks Online及びインドにおけるモバイル式個人向け財務管理サービスである
Intuit Money Managerが含まれます。
2011年度と2010年度の比較: その他の事業部門の純売上高合計は、当社のカナダ及び英国における中小企業向け製
品の好調な業績並びにMint及びMedfusionの当社の2010年度買収により、2010年度と比べて2011年度において、4000
万ドル又は15%増加しました。さらに、当社のカナダ及び英国事業における好ましい為替レートのインパクトは、
2011年度におけるその他の事業部門の売上成長の約3%を占めました。
その他の事業部門の営業利益の同部門の売上高に占める比率は、2010年度の25%と比べて2011年度は22%に減少し
ました。上記の2011年度の売上高の増加は、Mint及びMedfusionの当社の2010年度買収に関連する売上原価及び費用
の増加並びに当社の新興市場オポチュニティへの引き続きの投資により相殺されました。
2010年度と2009年度の比較: その他の事業部門純売上高合計は、2010年度、2009年度と比較して4700万ドル又は
22%増加しました。2010年度、売上数量の増加及び当社カナダ事業における好ましい外国為替レートのインパクトに
よって、Quicken収益が23%増加したことにより、収益が増加しました。ドル安によって、2010年度、その他の事業部門
セグメント収益が2009年度と比較して約7パーセント増加しました。
その他の事業部門セグメント営業利益の関連収益に対する割合は、2009年度の29%から2010年度の25%に減少しま
した。上記に記載されたように2010年度の収益増加は、当社の2009年11月のMint買収に関連する売上原価及び費用の
増加、並びに当社の新興市場オポテュニティへの引き続きの投資により相殺されました。カナダの売上原価及び費用
もまた、ドル安によって2010年度に増加しました。
売上原価
(百万ドル)
製品売上原価
サービスその他売上原価
取得した技術の償却費
売上原価合計
2011年度
売上に占める
売上に占める
売上に占める
比率(%)
2010年度
比率(%)
2009年度
比率(%)
$144
10%
$144
10%
$156
11%
510
22%
460
23%
422
24%
17
該当なし
49
該当なし
59
該当なし
$671
17%
$653
19%
$637
20%
当社の売上原価は3つの項目から構成されています。(1)製品売上原価。これは当社のデスクトップ・ソフトウェア
製品の製造、出荷の直接原価です。(2)サービスその他売上原価。これは、サービスの提供に係わる直接原価で、オンラ
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イン・サービスの納入に関連するデータセンター費用が含まれます。そして、(3)取得した技術の償却費。 これは、買
収により取得した開発済技術を耐用年数期間中かけて償却するための費用です。
2011年度と2010年度の比較: サービスその他売上原価のサービスその他収益に占める比率は、当社の他のサービス
製品と比べて比較的売上原価が低いTurbo Tax Onlineの販売数の成長により、2010年度と比べて2011年度に若干減
少しました。
2011年度の取得した技術の償却費は、当社が2007年度に取得した特定の金融サービス部門無形資産の償却が完了し
たため、2010年度と比較して減少しました。
2010年度と2009年度の比較: 2010年度の製品売上原価の製品収益に対する比率は、製品ミックスにより、2009年度
と比べ、僅かに減少しました。2010年度のサービスその他売上原価のサービスその他収益に対する比率は、2009年度
と比べ、僅かに減少しました。これは、当社の他のサービス製品より比較的売上原価が低いTurboTax Onlineで販売数
が増加したことによります。
2010年度の取得した技術の償却費は、当社が2007年度に取得した特定の金融サービス部門無形資産の償却が完了し
たため、2009年度と比較して減少しました。当社は、今後使用する予定のない当社財務管理ソリューションズ部門の
特定の取得した技術のために、600万ドルの費用を計上し、償却費の減少が一部相殺されました。
営業費用
(百万ドル)
販売費及び市場開拓費
2011年度
純売上高合計
に占める
比率(%)
純売上高合計
に占める
比率(%)
2010年度
純売上高合計
に占める
比率(%)
2009年度
$1,111
29%
$976
28%
$907
29%
研究開発活動費
634
16%
573
17%
556
18%
一般管理費
354
9%
348
10%
284
9%
その他購入された無形資産の償却費
44
1%
42
1%
42
1%
のれん及び無形固定資産の減損処理
30
1%
-
-
-
-
$2,173
56%
$1,939
56%
$1,789
57%
営業費用合計
2011年度と2010年度の比較:営業費用合計の純売上高合計に占める比率は、2010年度及び2011年度において56%と
横ばいでした。2011年度において、営業費用合計が2億3400万ドル増加した一方で売上高は3億9600万ドル成長しまし
た。営業費用合計は、人員費用(約7400万ドル)、小規模事業グループ及び消費者向け税務部門におけるマーケティン
グプログラム費用の上昇(約4700万ドル)、買収事業の営業費用(約7000万ドル)、並びに株式に基づく報酬費用の上昇
(約2000万ドル)によって増加しました。株式に基づく報酬費用は、当社の普通株式の市場価格が、2010年7月の時点の
幅広いストックオプション及び制限付株式ユニットの付与により前年度と比べて高かったことにより増加しまし
た。このことで、かかる付与時点におけるこれらの報酬の合計公正価値が増加し、関連するサービス期間にわたり費
用として認識されます。2011年度、当社はまた、Intuit Healthの報告単位について3000万ドルののれん及び無形資産
の減損処理を計上しました。
2010年度と2009年度の比較: 2010年度の営業費用合計の純売上高に占める比率は2009年度の57%から僅かに減少
し、56%となりました。収益は3億4600万ドル増加し、営業費用合計は2010年度1億5000万ドル増加しました。営業費用
合計の増加には、当社の業績に直接関係するインセンティブ報酬にかかる費用の増加に起因する約4200万ドル、そし
て取得した事業の営業費用約4600万ドルが含まれていました。
営業外利益及び営業外費用
支払利息
2007年3月、当社は10億ドルの優先社債を発行しました。2011年度における6000万ドル、2010年度における6100万ド
ル及び2009年度における5100万ドルの支払利息の大部分は、元本5億ドルの5.40%優先社債の利息及び元本5億ドル
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の5.75%の優先社債の利息でした。これらの社債の償還期限は、2012年3月と2017年3月です。これらの優先社債は、
メークホール・プレミアムを支払うことにより、いつでも償還が可能です。
受取利息その他の利益
(単位:百万ドル)
受取利息
2011年度
2010年度 2009年度
$10
$9
役員繰延報酬制度資産の純収益(損失)
6
4
(6)
Quicken Loansロイヤルティ・手数料
-
-
8
(1)
1
(1)
4
(1)
(1)
為替差益(差損)
その他
受取利息その他の利益計
$19
$13
$21
$ 21
受取利息その他の利益は、主に受取利息及び役員繰延報酬制度資産の純収益/損失から構成されます。平均投資額の
増加及び利率の増加は、2010年度と比べて2011年度において、受取利息の僅かな増加をもたらしました。金利の低下
による影響は、平均投資額の増加による影響を相殺してあまりあるものとなり、2009年度と比べて2010年度におい
て、受取利息が減少しました。権威ある指針に従い、当社は役員繰延報酬制度資産に関連する損益を受取利息その他
の利益に、またそれにかかる負債に関連する損益を営業費用に計上します。営業費用に計上された合計金額は、受取
利息その他の利益に計上した合計金額を概ね相殺するものとなっています。2009年度の受取利息その他の利益には、
2002年7月にQuicken Loans 抵当貸付事業を売却したときに締結した商標ライセンス契約に基づくロイヤルティが
含まれています。
所得税
実効税率
2011年度の当社の実効税率は、約34%でした。同年、当社は、2011年12月31日までの連邦税の試験研究費税額控除制
度が2010年1月1日に遡って復元されることに関連する約900万ドルのタックス・ベネフィットを計上しました。これ
はのれんの減損に関連する非控除費用の影響によりほぼ完全に相殺されました。これら具体的な事項を除くと、当該
期間における当社の実効税率は約35%であり、連邦法定法人税率である35%と大きく異なるものではありませんで
した。州法人所得税は、国内生産活動にかかる控除及び連邦税の試験研究費税額控除制度によって当社が受けたタッ
クス・ベネフィットにより、相殺されました。
2010年度の当社の実効税率は、約34%でした。同年、当社は、当社の米国外子会社の一部からの利益の分配と関連し
た外国税額控除、及び当社の海外展開計画として海外子会社の収益のほぼ全額を無期限に再投資するという当社計
画に関連して、個別のタックス・ベネフィットを約2000万ドル計上しました。これら個別のタックス・ベネフィット
を除いて、2010年度の当社の実効税率は約36%で、連邦法定法人所得税率である35%とそれほどの差異はありません
でした。州法人所得税は、国内生産活動にかかる控除及び連邦税の試験研究費税額控除制度によって当社が受けた
タックス・ベネフィットにより、実質的に相殺されました。
2009年度の当社の実効税率は、約31%でした。同年、当社は、当社が2009年度までに終了した課税年度を含む課税年
度について課税当局との間で締結した、当社にとって有利な条件の契約に関連する個別のタックス・ベネフィット
約1800万ドル、及び2009年12月31日までの連邦税の試験研究費税額控除制度が2008年1月1日に遡って復元されるこ
とによる700万ドルを計上しました。これら個別のタックス・ベネフィットを除けば、当該期間における当社の実効
税率は約35%であり、連邦法定法人税率である35%と大きく異なるものではありませんでした。州法人所得税は、連
邦税の試験研究費税額控除制度、国内生産活動にかかる控除及び税金控除の対象となる受取利息によって当社が受
けたタックス・ベネフィットにより、相殺されました。
繰延税金資産(純額)
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2011年7月31日現在、当社には1億4900万ドルの純繰延税金資産(うち、州及び国外の税に関連する繰越欠損金に関連
する評価引当金800万ドルを含む)がありました。当社は、繰延税金資産の失効前にそれを利用することができるかど
うかについての不確実性を反映するために評価性引当金を計上しました。当社の評価性引当金は充分であると考え
ていますが、将来、繰延税金資産の一部が実現しない可能性が高まった場合は、評価性引当金を追加する必要が生じ
る可能性があります。当社は、四半期ベースで、評価性引当金を調整する必要があるかどうかを見直しています。この
見直しは当社が繰延税金資産の実現可能な期間にわたり事業活動を行う管轄地域における、将来の課税所得の当社
見積りに基づくものです。
当社は、外国子会社の収益が当社の国際事業において、無期限に再投資されることが意図されていない限り、かかる
外国子会社の収益に対して米国連邦所得税を提供しています。以前から無期限の再投資と扱われていた外国におけ
る収益が本国へ環流する限度において、関連する米国の租税義務はいくつかの制限を前提として、これらの収益に支
払われた外国の所得税により軽減される可能性があります。2011年7月31日現在において、米国所得税が未払いであ
る収益の累積額は約3000万ドルでした。認識されていないこれらの収益に対する繰延税の租税義務は約800万ドルで
した。
非継続事業化
2010年1月に、当社は当社Intuit Real Estate Solutions(IRES)事業を現金1億2800万ドルで売却し、3500万ドルの
売却純収益を計上しました。IRESは当社のその他の事業部門の一部でした。当社はIRESを非継続事業とみなし、売却
前の期間にわたる当社の損益計算書の継続事業からIRESの営業成績を分離しました。IRESの純売上高は、2010年度に
は3300万ドル、そして2009年度には7400万ドルでした。売却純利益を除いて、IRESの純利益は、かかる期間のそれぞれ
において100万ドル未満でした。
流動性と資本の源泉
概 要
2011年7月31日現在、当社の現金、現金同等物及び投資の総額は14億ドルで、下記「キャッシュ・フロー計算書」に記
載される要因により、2010年7月31日から2億100万ドルの減少となりました。当社の流動性の主要な源泉は、営業活動
により生じるキャッシュ・フローで、これには製品及びサービスにかかる売掛金の回収額が含まれます。当社の主要
な現金の使途は、研究開発プログラム、販売及びマーケティング活動、資本プロジェクト、事業買収、負債回収コスト
並びに当社普通株式買戻しです。
2011年8月18日において、当社は、2014年8月15日に終了するまでの3年間に渡り随時、当社の普通株式を追加で20億
ドルまで買い戻すことができる新しい株式買戻しプログラムを発表しました。2011年8月、当社の取締役会は、2011年
10月10日の終業時に記録されている株主に対して、2011年10月18日に支払われる発行済普通株式1株につき0.15ドル
の当社の社史において初めてとなる現金配当を宣言しました。
2007年3月、当社は、合計10億ドルの5年及び10年の無担保優先社債を発行しました。それらの契約満期は、今では1年
以内なので、当社は2011年度中に、償還期限が2012年3月の社債の5億ドルを固定負債から流動負債へ移しました。当
社はまた、5億ドルの無担保信用枠を有しています。現在のところ、当社は当該信用枠に基づく借入れを行っていませ
ん。
以下は、記載された日における当社の流動性及び資本の源泉について、その指標を示したものです。
(単位:100万ドル)
現金及び現金同価物並びに投資
長期投資
2011年
7月31日
$1,421
2010年
変動比率
7月31日 変動額
(%)
$1,622 $(201)
63
91
長期債務の1年以内返済分
500
-
長期債務
499
998
(28)
(12)%
(31)%
500 該当なし
(499)
37/171
(50)%
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運転資本
流動比率
449
1,074
(625)
(58)%
1.2 : 1 1.9 : 1
オークション・レート公債
2011年7月31日現在、当社は5900万ドルのオークション・レート公債を保有しており、原資産の満期に基づき、当社は
これらを当社の貸借対照表上の長期投資資産として分類しました。これらのオークション・レート公債は全て、大手
格付機関からA以上の格付を得ており、その大部分は、米国教育省が保証する学生ローンにより担保されています。世
界的な信用市場の流動性の低下を受けて、2008年2月から、当社が保有するオークション・レート公債に対する入札が
不成立に終わるケースが見られるようになり、そして権威ある指針に従い当社は当社が考案した割引キャッシュ・
フロー・モデルに基づきこれらの公正価値の推定を開始しました。当社の予測営業キャッシュ・フロー及びその他
の現金の供給源に基づき、当社が2011年7月31日時点で保有していたオークション・レート公債の流動性の低下は、当
社の流動性の需要を満たす全般的な能力に重要な影響を及ぼすことはないと考えております。
キャッシュ・フロー計算書
以下は、当社の2011年度、2010年度及び2009年度のキャッシュ・フロー計算書の項目を抜粋したものです。
(単位:100万ドル)
2011年度
2010年度 2009年度
以下の活動による純キャッシュ・フロー
営業活動
$1,013
投資活動
497
財務活動
為替レートの変化が現金に及ぼす影響
(1,006)
4
$998
$812
(997)
(432)
(467)
(110)
1
(4)
現金及び現金同価物の純増加額
508
(465)
266
営業活動
2011年度中、当社は継続事業から10億ドルの現金を生み出しました。これには、継続事業からの純利益(6億3400万ド
ル)、減価償却費の調整(2億4100万ドル)及び株式に基づく報酬費用(1億5300万ドル)が含まれました。償却費は、2007
年度に当社が取得した金融サービス部門の特定の無形資産の償却が完了したことにより、2010年度と比べて2011年
度に減少しました。株式に基づく報酬額は、2010年7月時点の幅広いストックオプション及び制限付株式ユニットの
付与により前年度と比べて当社の普通株式の市場価格が高かったことが要因となり、2010年度と比べて2011年度に
増加しました。
当社は、2010年度において、継続事業から9億9800万ドルの現金を生み出しました。これには、継続事業による純利益
5億3900万ドル並びに2億5600万ドルの減価償却費及び1億3500万ドルの株式に基づく報酬費用にかかる調整が含ま
れました。償却費は、2007年度に当社が取得した金融サービス部門の特定の無形資産の償却が完了したことにより、
2009年度と比較して2010年度に減少しました。
当社は、2009年度において、継続事業から8億1200万ドルの現金を生み出しました。これには、継続事業による純利益
4億4700万ドル並びに2億7500万ドルの減価償却費及び1億3300万ドルの株式に基づく報酬費用にかかる調整が含ま
れました。2009年度の減価償却費は2008年度と比べて増加しましたが、これは2009年度下半期に当社が占有を開始し
たデータセンターの償却に一部起因するものです。2009年度の株式に基づく報酬費用は2008年度と比べて増加しま
したが、これは当社がストックオプションに加えて制限付株式ユニットを幅広く活用したことによるものです。
投資活動
当社は2011年度中において投資活動から4億9700万ドルの現金を生み出しました。当社は投資純売上高から6億9700
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億ドルの現金を取得し、資本支出のために2億1300万ドルを使用しました。
当社は、2010年度、投資活動のために9億9700万ドルの現金を使用しました。当社は、Intuit Real Estate Solutions
事業の売却によって正味1億2200万ドルの現金を受領しました。当社は、投資資産の純取得のために8億9500万ドル、
事業買収(主にMint及びMedfusion)のために2億1800万ドル及び資本支出のために1億3000万ドルの現金を使用しま
した。
当社は、2009年度、投資活動のために4億3200万ドルの現金を使用しましたが、それには、事業買収(主にPayCycle)の
ための1億6100万ドル、資本支出のための1億8200万ドル及び投資資産の純取得のための6700万ドルが含まれます。
2009年度の資本的支出には、当社が2009年下半期に占有を開始した新しいデータセンターへの投資が含まれます。
財務活動
当社は2011年度中において資金調達のために10億ドルの現金を使用しました。これには、株式買戻しプログラムに
基づく普通株式の買戻しのための14億ドルが従業員ストックプランに基づく普通株式の発行から3億3800万ドルの
現金を受領したことにより一部相殺された金額が含まれます。
当社は、2010年度、4億6700万ドルの現金を財務活動に使いました。そのうち9億ドルは当社の株式買戻し計画に基づ
く普通株式の買戻しに使いましたが、従業員株式計画に基づく普通株式の発行による4億4000万ドルの受領により一
部相殺されました。
当社は、2009年度、1億1000万ドルの現金を財務活動に使いました。そのうち3億ドルは当社の株式買戻し計画に基づ
く普通株式の買戻しに使いましたが、従業員株式計画に基づく普通株式の発行による1億9800万ドルの受領により一
部相殺されました。
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株式買戻しプログラム
当社の取締役会は、一連の普通株式取得計画を承認しました。当該計画に基づき取得された普通株式は、自己株式と
なります。2011年度、2010年度及び2009年度中において、当社は当該計画に基づき、当社普通株式2820万株を14億ドル
で、2870万株を9億ドルで、1090万株を3億ドルで買い戻しました。2011年7月31日において、最大6億4000万ドル使用す
るための当社の取締役会の承認は、2013年8月16日まで、株式買戻しのための既存の計画に基づき有効なままです。
2011年8月18日において、当社は、2014年8月15日に終了するまでの3年間に渡り随時、当社の普通株式を追加で20億ド
ルまで買い戻すことができる新しい株式買戻しプログラムを発表しました。
現金配当
2011年8月、当社の取締役会は、2011年10月10日の終業時に記録されている株主に対して、2011年10月18日に支払わ
れる発行済普通株式1株当たり0.15ドルの当社の社史において初めてとなる現金配当を宣言しました。2011年10月18
日、当社は創業以来初めて、四半期現金配当を1株当たり0.15ドル、合計約4500万ドルにて支払いました。2011年11月、
当社の取締役会は2012年1月10日の終業時に記録されている株主に対して、2012年1月18日に支払われる発行済普通
株式1株当たり0.15ドルの四半期現金配当を宣言しました。当社は現在四半期ベースでこれに相当する現金配当の支
払いを引き続き行っていくことを予想しています。しかしながら、将来における配当宣言並びに将来における基準日
及び配当支払日の設定は当社の取締役会の最終決定を前提としています。
企業結合
当社は、2011年7月31日に終了する3事業年度中に以下の企業結合及び買収を完了しました。当社は、それら全てにつ
いて、取得日以降の各々の業績を、当社連結業績に含めています。取得日までの期間におけるこれらの企業の業績は、
当社の連結業績と比較すると、個別としても全体としても、重要でありませんでした。
2010年5月21日に、当社は約8900万ドルの対価で、非公開会社であるMedfusion, Inc.を取得しました。対価には、3年
の勤務期間にわたり費用化されている、現金による残留特別手当の公正価値として、約1000万ドルが含まれていまし
た。Medfusionはオンラインで患者対プロバイダの通信ソリューションを提供しており、当社のその他の事業部門セ
グメントの一部になりました。
2009年11月2日に、当社は約1億7000万ドルの対価で、Mint Software Inc.の全発行済株式を取得しました。対価に
は、現金による残留特別手当、承継される株式報酬の公正価値及びMint Series D Preferred Stockの保有者に対し
発行されるIntuit普通株式として、約2400万ドルが含まれていました。この2400万ドルは、3年の勤務期間にわたって
費用化されています。ミントはオンライン・パーソナル・ファイナンス・サービスの提供者で、当社のその他の事業
部門セグメントの一部になりました。
2009年7月23日に、当社は約1億6900万ドルの売買価格で、PayCycle, Inc.の全発行済株式を取得しました(売買価
格には承継される特定のストック・オプションの公正価値が含まれます。)。PayCycleは小規模事業向けのオンライ
ン給与処理ソリューションズの提供者で、当社の従業員管理ソリューションズ部門の一部になりました。
優先無担保債券にかかる約定
2007年3月12日に、当社は2012年3月15日満期の5.40%優先無担保社債5億ドル及び2017年3月15日満期の5.75%優先
無担保社債5億ドル(あわせて、「本社債」)を発行しました。それらの契約満期は、今では1年以内なので、当社は2011年
度中に、2012年3月債を固定負債から流動負債へ移しました。本社債は、メークホール・プレミアムを支払うことによ
り、当社においていつでも償還が可能です。利息は、毎年2回3月15日及び9月15日に支払われます。2011年7月31日現
在、本社債に基づく利払いにかかる当社の最高約定額は、1億9900万ドルでした。
当社は、当社の継続的資金管理活動の一部として金融市場をモニターします。当社は現在、2012年3月債の満期時に
おいて営業活動によるキャッシュを使用して当該債券を償還するか、又は金融市場がその時有利である場合には、当
該債券を借り替えることを意図しています。
無担保回転信用枠
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2007年3月22日、当社は、いくつかの貸付機関との間で、2012年3月22日に満期となる5億ドルの無担保回転信用枠の
契約を締結しました。当該信用枠に基づく借入金には、当社の選択に基づき、Citibankの基準金利又はロンドン銀行
間貸し手金利(LIBOR)のいずれかに対して、当社の優先債券信用格付けに基づいて0.18%から0.575%の利ざやを上
乗せしたものに相当する利子が生じます。適用利率は、借入金及び信用枠に基づく信用状の元本総額が2億5000万ド
ルを超えるすべての期間に対して、0.05%増加されます。当契約には、当社の負債合計対年間利益(支払利息・税金・
減価償却・償却控除前利益、すなわちEBITDA)の比率が3.25対1.00を超えず、年間EBITDA対未払利息の比率が3.00対
1.00を下回ってはならないという条項が含まれています。当社は、2011年7月31日時点で、これらの誓約を遵守してい
ました。当社は、当該信用枠に基づき借入れた金員を一般的な企業目的のため又は将来の企業買収又は当社事業の拡
大のために利用することがあります。当社は、現在の時点まで、当該信用枠に基づく借入れを行っておりません。当社
は信用枠を供与する金融機関に関連するカウンターパーティー・リスクを監視しています。現在のところ、当社が信
用枠に基づく借入を行おうとした場合には、かかる信用枠が設定可能であろうと考えております。
流動性及び資本の源泉の要請
当社の現金、現金同等物及び投資額は2011年7月31日時点において、総額14億ドルになりました。これらの金額の内、
10%未満の額が当社の外国子会社により保有されており、税制による本国への環流に服します。当社は、外国におけ
る事業からの収益の大部分を恒久的に再投資することを意図しており、また当社は、当社の国内事業に対して外国事
業から生成された資金を投入する必要性について現在予測していません。外国事業からの資金を米国における事業
のために投入する必要がある場合、これに関連する収益に対して米国の租税が支払われていないときは、当社はこれ
らの収益の再投資に関して当社の意向を変更する時点で米国の租税及び追加の租税を支払います。
当社は、技術又は事業の買収、他社との戦略的関係の確立及び他社に対する投資の利点を継続的に評価します。当社
は将来、現金及び現金同等物、投資並びに当社の信用枠の極度額を、かかる活動のために利用する旨の決定を行う場
合があります。
過去の実績と現在の予想に基づき、当社は、当社の現金及び現金同等物、投資並びに営業活動から生じた現金が、少
なくとも今後12ヶ月間に予想される季節的運転資本ニーズ、設備投資、契約債務及びコミットメント、債務返済の要
件並びに当社営業に関連したその他の流動性要件を十分に満たしうると信じております。当社は、事業及び戦略上必
要となる現金を考慮した後に、当社の普通株式の買戻し及び現金配当の支払いを通じて、当社の株主に対して、事業
により生じた余剰現金を戻す予定です。
オフバランスシート取引
2011年7月31日現在、当社は、レギュレーションS−Kアイテム303(a)(4)(ii)において定義されている、重要なオフバ
ランスシート取引(significant off-balance sheet arrangement)を行っておりません。
契約債務
下記の表は、2011年7月31日現在で当社が把握している契約債務をまとめたものです。
期限別支払額
(単位:百万ドル)
1年未満
1年以上 3年以上
3年未満 5年未満 5年以上
合計
役員報酬繰延制度に基づく未払金額
$50
$-
$-
$-
$50
優先無担保社債券
500
-
-
500
1,000
長期債務の利息及び手数料
56
57
57
29
199
支払ライセンス料(1)
10
20
20
30
80
オペレーティング・リース
52
91
86
215
444
購入契約債務(2)
78
92
80
37
287
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契約債務額合計(3)
$746
$260
$243
$811 $2,060
(1) 2009年5月、当社は現金2000万ドル及び10事業年度にわたる1億ドルの支払を条件として、技術ライセンスの利
用に係る契約を締結しました。
(2) 製品及びサービス購入にかかる契約のうち、執行可能で法的拘束力を持ち、固定、最小又は変動購入数量及び
支払期日等の個々の条件が定まっているものを指します。これらの約定の内の大部分は当社の金融サービス
部門セグメントにおける、将来の外注電子決済フルフィルメント及び請求業務管理サービスに関連していま
す。
(3) 2011年7月31日現在の当社の貸借対照表上その他の長期債務には、認識されていないタックス・ベネフィット
に主に関連する4200万ドルの長期の所得税債務が含まれます。税務調査で解決する場合においてその解決の
タイミングを合理的な確信をもって見積もることができないため、上記の表にはこの額は含まれていません。
最近公表された会計基準
Accounting Standards Update(ASU)2011-04号(Topic 820)「公正価値測定」
2011年5月12日、米国財務会計基準審議会(FASB)はAccounting Standards Update (ASU)第2011-04号「公正価値測
定」(Topic 820):公正価値測定並びにU.S. GAAP及びIFRSにおける開示条件の達成のための変更(ASU 2011-04号)
を発表しました。この更新によりAccounting Standards Codification (ASC) Topic 820号「公正価値測定及び開
示」が修正されます。ASU 2011-04号は、一定の既存の公正価値測定指針の適用を明確にし、著しく観測不可能なイン
プット(Level 3)を利用して見積もられている公正価値測定の開示を拡大させます。ASU 2011-04号は、2011年12月15
日以降に開始する年次及び中間報告期間において効力を発します。これは、ASU 2011-04号が2012年2月1日に開始す
る四半期から効力を発することを意味します。新しい指針は将来に向けて適用されるものであり、早期の適用は許可
されていません。当社はASU 2011-04号の適用は当社の財務状態、業績又はキャッシュ・フローに著しい影響を及ぼ
すものではないと考えています。
Accounting Standards Update(ASU)2011-05号「包括利益の表示」
2011年6月16日、FASBはASU 2011-05号「包括利益」(Topic 220):包括利益の表示(ASU 2011-05号)を発表しまし
た。この更新は、包括利益の合計が財務業績に係る1つの継続した報告書又は2つの別々だが継続した報告書において
報告できるようにASC Topic 220号「包括利益」を修正するものです。株主持分報告書又はその注記における包括利
益の合計の表示は今後は許可されません。純利益並びに1株当たりの基礎利益及び希薄後利益の計算は影響を受けま
せん。ASU 2011-005号は2011年12月15日以降に開始する会計年度及びその中間期間について効力を発します。すなわ
ちASU 2011-005号が2012年8月1日に開始する当社の会計年度に効力を発することを意味します。遡及的な適用が必
須であり、早期適用も許可されています。当社はASU 2011-05号の適用が当社の財務状態、業績又はキャッシュ・フ
ローに著しい影響を及ぼすものではないと考えています。
訴訟手続き
当社は、要求、請求、係争の虞のある訴訟のなどのほか、商標侵害及び他者の知的財産権等の侵害の訴えなど、通常の
営業過程において生じる訴訟手続きの対象となっています。当社は、発生した額に加えて、係争中のあらゆる請求(単
独か併合かを問わず)に関する潜在的損失の額は、もし発生したとしても、当社の連結財務書類に重大な影響を及ぼ
すものではないと現在は考えています。しかし、いかなる訴訟もその最終的な結果は確定しておらず、結果の如何を
問わず、弁護費用、宣伝効果の低下、経営資源の流用、あるいはその他の要因により、重大な悪影響を及ぼす可能性が
あります。必要許可その他の権利の未取得及び知的財産権に起因する訴訟は、当社の事業に対し、重大な悪影響を及
ぼす可能性があります。
2 【生産、受注及び販売の状況】
生産状況
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当社の製品は多種多様であるため、当社の製造する製品の結果を定量化することは現実的ではありません。
受注状況
当社は、当社製品の中核であるデスクトップ・ソフトウェア製品について主たる製品を発売する前には、十分な在
庫を保有しておりますが、それ以外のときの在庫は最小限にしており、通常、注文を受けてから数日以内に製品を出
荷します。在庫はこのように変動するため、当社は、在庫が当社の中核デスクトップ・ソフトウェア製品の将来の売
上予想の指標として重要ではないと確信しております。
販 売
上記の当社業績の概要をご参照ください。
3【対処すべき課題】
当社取締役会は、当社が当社及びその株主の最善の利益に資するコーポレート・ガバナンスに従事する上での一助
となるようなガバナンスの原則を採用しました。取締役会は、当社のガバナンスのための柔軟な枠組みとしてこれら
の原則を役立てようとしています。原則は、すべての適用法規、当社の設立定款及びその他準拠すべき法的文書の文
脈に照らして解釈されなければなりません。指名及びガバナンス委員会が、同原則を少なくとも年一回見直し、取締
役会に必要に応じた変更を勧告します。
上級経営陣の役割:最高経営責任者(CEO)が率いる上級経営陣は、当社の日常業務を運営し、取締役会に日常業務の
状況について適切に情報を知らせる責任を有しています。
取締役会の責任:取締役会は、当社の株主に代わり、経営陣の業績を監督します。取締役会の主たる責務は、(1)上級
経営陣とともに当社を日常的に経営する最高経営責任者(CEO)を選任し、その報酬を定め、監督することであり、(2)
当社が当社の株主にとっての価値を創造するために効果的、効率的及び倫理的な方法で業務を遂行しているかどう
かを評価するために経営陣の業績を監視することです。さらに、取締役会は、定期的に当社の長期計画、業務活動、設
備投資計画及び予算に検討を加えます。
4【事業等のリスク】
将来の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスク
当社は、当社の業績を阻害する可能性のある競争圧力に直面しています。
当社は、すべての事業において激しい競争に直面しており、将来における競争は依然として厳しくなると予想して
います。当社の競合他社及び潜在的な競合他社は、大きくて定評のある企業から新興企業へと多岐にわたります。当
社の競合他社は、優れた製品とサービスを導入し、価格を引き下げ、技術、マーケティング及びその他のリソースをよ
り多く有しており、認知度がより高く、既存の顧客ベースがより広く、当社の顧客及び潜在的顧客とすでに関係を構
築しており、広告攻勢を強め、新たな製品とサービスを投入し、当社を打ち負かす可能性があります。加えて、当社は
確立された巨大な消費者ユーザーの基盤及び幅広いプラットフォームを有する既存の会社との競争に直面する可能
性があります。かかる会社は事業ストラテジーの焦点を変更又は拡大し、小規模の会社又は金融機関といった当社の
顧客をターゲットにするかもしれません。さらに、会計、税務、支払、バンキング及びその他のビジネスに関連する、無
料のサービスプロバイダーとの競合も激化しつつあります。競争のために、当社はまた、数々の分野で無料製品及び
サービスの提供を導入してきましたが、顧客を魅了したり、これらすべての提供を効果的に金銭化したりすることが
できず、また、従来当社の製品及びサービスを購入していた顧客がかわりに無料提供商品を利用する場合も考えられ
ます。これらの競争要因により、当社の収益と採算性は低下し、顧客を獲得及び保持する当社の能力を阻害しうるこ
とになります。
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当社の消費者向け税務事業はさらに、公共部門からの大きな競争に直面しており、連邦及び州の課税当局が、納税者
の納税申告・電子申告作業を容易にする無料のソフトウェア又はその他のシステムを開発するというリスクにさら
されています。これらの、又はこれらに類似するプログラムが将来導入されるか、拡大される可能性があり、それに
よって、当社が顧客と収益を失うことになるかもしれません。例えば、2010年度税務期間において、連邦政府は払戻し
の過程を容易にするためにプリペイド式デビットカードプログラムを導入しました。当社の消費者・専門家向け税
務事業もまたこのサービスを提供しています。フリー・ファイル・アライアンスは連邦政府がインテュイットの納
税関連商品に対する直接的な競争者となることを防いできましたが、一方で、新たなオンライン上の競争を強化し、
当社が収益機会を失う原因となる可能性があります。現行のフリー・ファイル・アライアンスとの契約が2014年10
月に失効する予定となっています。当社では、当面の間、連邦及び州レベルでの政府による侵害が引き続き当社の競
争の脅威になるものと考えています。
当社の将来の収益の伸びは、当社の技術の変化に対する適応力及び機能を拡張した新たな製品、サービスとビジネ
スモデルの導入に当社が成功するかどうかにかかっています。
サービスとしてのソフトウェア(以下、「SaaS」といいます。)、デスクトップ用ソフトウェア及びモバイルテクノロ
ジー産業には、技術の変化の早さ、産業水準の進化及び頻繁な新製品の導入という特性があります。当社がSaaS、モバ
イル及びその他の製品を増加させていくにつれ、当社は継続的に新製品及び新機能の革新及び開発を行い、絶えず変
化する顧客のニーズを満たし、また才能のあるソフトウェア開発者を維持しなければなりません。当社は、当社のス
キル、ツール及び能力を引き続き上昇させ、既存及び新たな技術をうまく利用していく必要があります。そのために
当社は重大な資源を充てなければなりません。
また当社事業部門の多くは、その収入源のうちかなりの金額が一括前払いのライセンス料からあがってくるうえ、
収益の大きな部分を既存顧客へのアップグレードやサービスの提供に依存しております。また、当社の消費者向け税
務部門及び専門家向け税務部門は、毎年当社のアップグレードされた税務申告書類作成・申告ソフトウェア及び
サービスを利用するリピーター顧客からの収益に大きく依存しております。当社の既存製品が成熟するにつれ、税務
関連製品のアップグレード版購入を顧客に勧めることは、新規リリース製品によって有意義な追加的価値を有する
性能や機能を提供しない限り、ますます難しいものとなります。新しい、又はアップグレードされた、製品若しくは
サービスを顧客に対して明示することができなければ、当社の収益は損なわれる可能性があります。さらに、当社が、
登録ベースによる提供又はエンド・ユーザに対する無料の提供といった新たなビジネス・モデルを導入し、かかる
モデルの適用範囲を拡張させるにつれて、当社はこれらの製品から収益を得るか、又は顧客の利用を増加させること
に失敗する可能性があります。
携帯電話、スマートフォン及びタブレット端末といった手で持ち運びできる端末を含むPC以外の機器を利用して製
品及びサービスにアクセスする人々の数は、過去数年間において劇的に増加しました。当社のこれらの代替機器の
ユーザーに対する製品及びサービスの開発の経験は今日に至るまで限定的であるため、これらの機器のために開発
された当社の製品及びサービスのバージョンはユーザーにとって魅力的ではないかもしれません。機器及びプラッ
トフォームの新製品が引き続きリリースされるに当たり、これらの代替機器の利用のための当社の製品及びサービ
スのバージョンアップを開発する際に当社が直面する問題を予測することが難しくなっています。また当社はかか
る製品の創造、サポート及び維持管理のためにかなりの資源を投入しなければならない可能性があります。これらの
代替機器と適合する製品及びテクノロジーの開発に当社が乗り遅れた場合、又は当社の競合他者が当社より早くに
開発に至った場合、当社はオンラインサービスの重要な一部の市場において、重要なシェアを獲得できないことにな
るかもしれず、これは当社の事業に悪影響をもたらす可能性があります。
場合によっては、資源や経営の上でかなりの注意を払った製品が最終的に市場で成功しなかったということも起こ
り得ます。当社はこれまでにも新製品・サービスの立ち上げにおいて困難を経験してきました。当社が将来顧客の
ニーズの判断を誤れば新製品・サービスは成功しないかもしれず、当社の収益及び利益が損なわれる可能性があり
ます。当社はまた、新しいビジネス・モデル、環境、戦略及びイニシアティブに投資してきており、将来も投資するこ
とを予想しています。このような試みは、経営陣の注意が現在の事業からそれてしまう、戦略に関連して費用が発生
する、十分な投資収益が上がらない、といった、重大なリスクと不確実性をはらむものです。これらの新しいイニシア
ティブは本質的に不確実であるので、それらは成功しない可能性があり、当社の財務状態及び営業成績に悪影響を及
ぼす可能性があります。
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当社事業の中断又は情報技術及び通信システムの故障は、当社の製品とサービスの利用可能性に支障をきたす虞が
あります。それにより、当社の評判が傷つき、将来の財務成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社がさらなる接続サービスへの移行を続けるに従い、当社及び当社の外部サービスプロバイダーの情報技術及び
通信システムの継続的な運営及び利用可能性にいっそう依存するようになっています。当社は全てのシステムに対
して余剰性を有するというわけではありません。当社の重要なアプリケーションの多数は当社のデータセンターの
うちのわずか1つに集まっています。そして、当社の災害回復計画はあらゆる可能性に対処できるようなものではな
いかも知れません。さらに、当社は、継続的なサービス提供に対する顧客の期待に応えるべく、当社の顧客対面アプリ
ケーション及びそれを支える情報技術基盤をアップデートしている最中です。これらのアプリケーション若しくは
基盤をアップグレードすることにおける問題点又は当社システム若しくは当社のサービスプロバイダシステムの故
障は、当社のサービスの中断を招き、収益と利益を減少させ、顧客を失ったり当社の評判を傷つけたりする可能性が
あります。いかなる場合における長期に渡る障害も、顧客喪失、顧客手数料の追加返金、当社に対する批判及び運営コ
ストの増加を招く可能性があり、いずれの場合も、当社の事業、財務状況及び業績に著しい影響を与える可能性があ
ります。
当社は、アプリケーション及び基盤を新しいデータセンタに移行している過程にあります。この新たなデータセン
ターへの移行を効果的に実行しないと、想定外のサービスの途絶又は当社の業績や事業に打撃を与える予測外の費
用の増加を生じさせてしまう可能性があります。当社では、すべてのデータのリアルタイム・バックアップをしてお
りません。したがって、重大なシステム障害がおこったとき、データの紛失又はデータの処理能力の喪失が起きる可
能性があります。それにより、顧客を失い、当社の評判が大きく傷つき、業績に重大な悪影響が生じる可能性がありま
す。
当社の操業、データセンター及び情報技術及び通信システムは、自然災害、人災、悪意ある攻撃、火事、停電、通信障
害、コンピュータ・ウイルス、コンピュータによるサービス攻撃、テロリストによる攻撃及び当社のコントロールの
範疇外であるその他の事象又は中断に脆弱です。当社の研究開発活動、本社、主要な情報技術システム及びその他の
不可欠な活動の拠点は全て、大規模な地盤の断層の付近に所在しています。当社は、地震の直接損害をカバーする保
険には加入していません。大規模な地震又は自然災害若しくは人為的に引き起こされた災害が生じた場合、当社の財
務成績が著しく損なわれる可能性があります。
当社は、顧客からの注文を受けてこれを実行し、カスタマー・サービスのリクエストを処理し、一定のオンライン活
動をホストする上で、内部システム並びに製造業者、販売業者及びその他のサービスプロバイダーが維持する外部シ
ステムに依存しています。当社の内部又は外部システムにおける何らかの断絶又は不具合により、当社又は当社サー
ビスプロバイダーが顧客注文を受け、実行することが妨げられるか、又は会社及び顧客データの意図しない開示につ
ながる可能性があります。当社が、当社の高い実行能力に加えて、継続的にネットワーク・セキュリティとその他の
情報システムをアップグレードしようと努める場合には、費用が嵩む可能性があり、システム増強の設計及び実行に
より当社の事業と業績に影響を与える可能性があります。
当社には、顧客の個人情報及びデータのホスティング、収集、利用及び保有に起因して、当社事業を損なうかもしれ
ないリスクを有しています。
当社事業部門の多くは、大量の顧客個人情報及びデータ(クレジット・カード番号、納税申告書に記載された情報、
銀行口座番号及びパスワード、個人及び事業の財務データ、社会保障番号、健康保険情報及び給与計算に関する情報
等)を収集、使用、保管しております。当社はまた、一定の個人情報や個人情報の派生情報を用いた新たなビジネスモ
デルを開発することができます。それに加え、当社は、当社の通常の業務過程において当社従業員の個人情報も収集
し保存しております。この顧客並びに従業員の個人情報の一部は、第三者によって保有され、一定の処理が行われて
います。さらに、当社の製品及びサービスの多くはウェブ・ベースであるため、当社がサーバー上でユーザーのため
に保管する(個人情報を含む)情報量は増加しており、当社が当社事業の接続サービスへの移行を促進するにつれて
増加し続けます。当社と当社のベンダーは、取引と個人情報を保護するため、商業ベースで利用可能なセキュリティ
技術を利用しています。当社は、個人情報へのアクセスと利用を制限するセキュリティと業務制限を利用していま
す。しかしながら、個人又は第三者がこれらのセキュリティと業務方策の裏をかく可能性もあり、個人情報の保存、利
用又は伝達における過誤により、顧客又は従業員のプライバシーの侵害又は資産の盗用がおきる可能性があり、適用
される情報守秘規制に基づき通知をしなければなりません。当社は、顧客と従業員の個人情報に接触する、又はその
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通常の業務過程で取引を実行する請負業者、臨時従業員及び季節的従業員を雇用しています。当社は、従業員及びそ
の他の個人に対する身元調査を行い、システムとデータへの接触を制限していますが、これらの1個人又は複数人が
これらの制限の裏をかき、セキュリティを破ることがあり得ます。
当社はユーザーのデータの収集、利用及び安全性に関する法令、規則及び規制に従っています。この分野における新
たな法令がいくつかの管轄地域において可決され、その他の管轄地域においても追加の制限を課すことを検討して
います。かかる新たな法令は一貫性を有さずにさまざまな管轄間で解釈され、適用されるかもしれません。また、当社
の現在のデータ保護方針及び慣習はこれらの解釈及び適用に適合しないかもしれません。さらに、当社はその業務遂
行において取引を実行し、個人情報及びデータを所有し、利用するがゆえに、法律上及び規制上の負担を課せられて
おり、それらの負担によってセキュリティ侵害を顧客及び従業員に対して通知することが義務づけられたり、当社に
よる個人情報の使用が制限されたり、新規顧客の獲得能力や既存顧客への販売能力が妨げられたりする虞がありま
す。当社が、プライバシー及びデータ・セキュリティにかかる規制のより強い産業セグメントや、米国よりも情報保
護法が厳格な地域への新規参入を継続し、事業を拡大するにつれ、当社の法令遵守要件やコストが増加する可能性が
あります。当社は、法律、規則、業界基準又は契約上の責務によって課された強制的なプライバシー基準と手順を遵守
するため、多大な費用を負担してきており、今後も負担し続ける所存です。
当社又は取引を実行するか個人情報を維持管理する第三者により、当社又はかかる第三者のプライバシー保護措置
が重大な侵害を受けた場合、当社事業に深刻な悪影響が及ぶ虞があります。例えば、罰金、制裁金、損害賠償、当社サー
ビスに対する顧客需要の低下、当社の評価及びブランドの低下、連邦機関又は州機関による規制や監視の強化、金融
取引サービスを提供するか顧客のクレジット・カードの注文や納税申告書を受理・処理する能力の喪失などです。
当社は、時宜に応じて当社サーバー、当社ソフトウェア又は当社の製品とともに配布された第三者のソフトウエア・
コンポーネントにおける脆弱性の検出及び顧客、公的又は民間機関からかかる通告を受けることがあります。脆弱性
の存在は、たとえそれがセキュリティ侵害という結果にはならなくても、顧客の信頼を害し、それに対応するための
多大な資源を必要とします。そして、当社では、それらの脆弱性が悪用される前にそれらを発見し、修正することがで
きない可能性もあります。さらに、ハッカーは当社の製品を攻撃することができる ウイルス、ワーム及び他の悪意あ
るソフトウェア・プログラムを開発し分散させます。これは、プラットフォーム全体のソフトウェアに影響を及ぼす
産業全般にわたる問題でありますが、ハッカーはより人気のあるプログラム及び製品に攻撃を集中させる傾向があ
るため、当社の製品にますます悪い影響を及ぼしており、それが続くと当社は予想しています。もしハッカーが当社
のセキュリティ手続きを免れることができた場合、又は、もし当社が当社のシステムへの侵入を検出できず、ある程
度の時間、かかる侵入を阻止できなかった場合、当社は個人情報を喪失する可能性があります。当社は、当社のシステ
ムを自衛するため、商業上利用可能なネットワークとアプリケーション・セキュリティ、内部統制手段及び物理的セ
キュリティ手続きを有しておりますが、セキュリティの侵害、個人情報の盗用が起こらないとは保証できないため、
当社の事業、顧客の評判及び将来の当社の財務成績に悪影響を及ぼし、結果として、当社は、例えばデータのプライバ
シーに関する規則に基づく通知など、これらの問題に対処するため資源を相当拡張しなければいけなくなる可能性
があります。
当社が不可欠な第三者との関係を築き、管理し、維持することができなかった場合、当社の事業に悪影響が及ぶ可能
性があります。
当社の成長は、当社のビジネス・リレーションシップの強さと、新しい関係を築き、既存の関係を維持し、これらを
活用する当社の能力に依存しています。当社は、当社の製品を提供し事業を運営するために、多くの事業分野におい
て、とりわけ第三者のソフトウェアとサービス提供者、サプライヤー、販売業者、生産者、流通業者、請負業者、金融機
関、コアプロセッサー、ライセンス提携先及び共同開発先など、様々な第三者パートナーに依存しています。当社は、
施設、機器、パワーシステム及びインフラそのものを維持することによって当社の事業運営をサポートしている、第
三者にも依存しています。場合によっては、これら第三者との関係は唯一の若しくは制限されたものであり、第三者
の製品若しくはサービスと当社の製品との一体性、並びに/又は、かかる第三者の製品及びサービスの一般的な利用
可能性によっては、代替又は代用することが難しい場合があります。さらに、市場において代替できる第三者のプロ
バイダー又はベンダーは少ないか全くいない可能性もあります。その上、当社事業の運営の支援に従事する第三者の
請負業者を当社が十分に雇うことができるという保証はありません。受け入れることが出来て品質の高い製品、サー
ビス及びテクノロジー又はそれらのアップデートを第三者が提供しない場合には、当社ビジネス運営及び当社の顧
客の破壊につながることもあり、これにより当社の収益及び利益が減少し、顧客の喪失及び評判の低下につながる可
能性があります。当社は商業的に合理的な条件で代替的な手続き及びサービスを利用できないかもしれず、又は、代
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替的パートナーへ移管する過程で、事業に障害が発生する可能性もあります。
特に、当社は銀行、信用組合又はその他の金融機関との間に関係を有しており、それぞれが顧客であると同時に、当
社が他の顧客に重要なサービスを提供する上での供給者でもあります。マクロ経済状況又はその他の要因により、こ
れらいずれかの機関が破綻、統合、特定のサービスの提供の停止又はコスト削減努力を開始すれば、当社の事業及び
財務業績は影響を受け、顧客に対してサービスを提供できなくなることがあります。
当社事業に対する政府規制の強化により、当社の営業成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業の多く(税務関係、給与計算、支払い、金融サービス、プリペイド式デビット・カード及び健康管理事業)
は、高度に規制された分野に位置しています。多くのこれら分野に対して新たな重大な規則の導入があり、政府によ
る注目が高まっています。それに加え、当社は事業の拡大を追求するに伴い、より規制の厳しい事業又は国家に進出
していくかもしれず、当社はさらなる規制当局の監視に支配される可能性があります。これらの法律及び規則を当社
の事業に適用することは、しばしば不明確であり、かかる規則の遵守は多大な費用を必要とし、又は当社の事業慣行
に変化をもたらし利益の減少につながる可能性があります。さらに、新たな規制又は現在の規制における変更は当社
の業績に影響を与える可能性があります。かかる規制の結果として当社が負担することとなるいかなる変更も、かか
る規制に対する市場及び産業の反応を含めて数多くの要因に応じて時期を大幅に超過して持続することはないと思
われます。
規制基準を満たすために、当社は、コンプライアンス及び監査機能又は新技術に対する投資を増加することが必要
となってくる可能性があります。それに加え、政府当局は、新たな負担や制限を当社に課すような他の法律、規則又は
規制を施行するか、あるいは、当社の事業がデータ収集、使用、送信、保有、処理及びセキュリティに関連する要件につ
いての現行規則や規制に直接服する旨の決定を行う可能性がありますが、そのことにより、当社の事業コストが増加
し、当社事業の継続が非効率又は不可能となるか、当社の現在又は将来の製品若しくはサービスを修正しなければな
らなくなる可能性があります。そして、その結果、当社の将来の財務成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
税務申告書類作成業界に対する立法機関及び規制機関の注目度は依然高い状態が続いています。新たな立法、規制、
公共政策への配慮、政府若しくは民間企業の訴訟又は既存の法律の新しい解釈により、税務申告書類作成業界に対す
る監督がより強化され、当社が提供することのできる製品とサービスの種類及び当社が提示しうる価格を制限され、
あるいは、当社の税務ビジネスの事業方法又は税務製品及びサービス方法を変えなければならなくなる虞がありま
す。同様に、当社が支出する事業遂行の費用が増加し、また収益機会が制限される可能性もあります。それに加え、当
社の慣行が既存の法律の新しい解釈と一致していない場合、当社は、訴訟、制裁金及びこれまでは適用されなかった
その他の義務にさらされるようになる可能性があります。当社はまた、税務申告書類作成サービス及び電子申告サー
ビスを滞りなく運営する上で、州の歳入庁によるさまざまな基準を遵守することが要求されます。1州又は複数の州
により課される要件(特定の技術や技術基準の使用義務等)が変更された場合は、顧客にそのサービスを提供する費
用が大幅に増加する虞があるほか、良質の製品を期限どおりに納品できなくなる可能性もあります。
当社の金融サービス事業は、広範且つ複雑な連邦及び州の規制の対象となっている銀行、信用組合その他の金融機
関に対しサービスの提供を行っています。その結果、当社の金融機関顧客より、当社の製品及びサービスが適用規則
に則っていることが求められています。当社が、これらの規則を遵守できない場合、当社は、多大な費用と罰金を負担
し、訴訟又は政府による手続きに直面し、これらの顧客に対する当社の販売能力を喪失する可能性があります。これ
らの弊害のいずれも、当社の将来の財務成績と評判に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社が効果的に取引を処理できない、又は疑義のある活動若しくは不正の可能性を含む活動に対して適切な保護が
できない場合は、当社の利益及び収益は損害を受ける場合があります。
当社の事業プロセスでは、特に給与計算・支払事業において、日々かなり大きな金額と取引量を処理しています。処
理する取引の多さと量の大きさのため、取引が適切に処理されることを確実にする効果的な処理システムと統制シ
ステムが不可欠となります。このため、当社では最善の努力を尽くしていますが、ミスが発生するか、当社の製品に関
連する詐称により資金が誤って充当されることもあります。当社の給与計算・支払事業において詐欺行為が増加し
ています。これは、当社の顧客による場合だけではなく、当社の製品を直接標的にした第三者の詐欺も存在します。こ
のような問題が発生すると、当社は、多大な直接的損害及び罰金を被る可能性がある上に、当社の管理に対する信用
を失うことになり、当社の業務を著しく阻害し、当社のブランドを傷つける虞があります。当社の事業を支えるシス
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テムは、拡大縮小が難しい多数の技術・プラットフォームによって構成されています。当社がシステムとプロセスを
効率的に管理することができない場合、顧客データを信頼性の高い正確度でタイミングよく処理することができな
いかも知れず、その場合、当社の事業が影響を受ける可能性があります。当社の支払処理サービス事業では、当社が支
払取引を処理している商業者が、その顧客に対して、問題とされている取引又は詐称取引に関連する返還金の支払い
を行うことができない場合、当社がかかる金額の支払を求められる場合があり、かかる支払が、当社の積み立ててい
る顧客引当金の金額を上回る可能性があります。
第三者の専有権の侵害が当社に主張された場合、それによって、多額の弁護士費用を支出することになるか、また当
社の製品の販売が妨げられる可能性があります。
ソフトウェア産業の製品数が増え、これらの製品の機能がより重複するようになるにつれ、また、当社が購入やライ
センスを通じて技術を取得するにつれ、当社が特許、著作権、及び商標の侵害に関する請求を含む各種の権利侵害に
関する請求の対象となる機会も増える虞があります。他者の特許権の有効性及び範囲を決定するために訴訟が必要
とされることがあります。当社は過去において特許侵害に関する請求を数多く主張されたことがあり、今後は当社の
製品が第三者の保有する特許を侵害しているとの主張に基づく請求をより多く受けることを予測しています。これ
らの請求の中には、当社及び当社の顧客に対する係争中の訴訟もあります。これらのクレームには、特許権所有会社
又は関連製品の売上げが全くない不利な特許権所有者、そして当社自身の特許権がほとんど又はまったく抑止力を
持っていない者が関わる場合もあります。いずれの主張の最終的な結果も不確実であり、また、結果の如何に拘わら
ず、かかる一切の請求は、その正当性如何に拘わらず、防御に時間を要したり、費用のかかる訴訟となったり、経営陣
の時間と注意を当社の事業からそらしたり、当社製品の販売中止、出荷延期又は再設計を当社に要求したり、あるい
はロイヤルティ又はライセンス料に関する金銭賠償の支払や、当社が当社のいずれかの顧客との間で負う補償義務
の履行を当社に要求したりする可能性があります。必要なライセンスその他の権利を当社が取得できなかったり、又
は知的財産に関する請求に起因する訴訟が当社の事業に悪影響を及ぼしたりする虞があります。
当社は、当社の製品及びサービスについて第三者の知的財産に依拠しています。
当社の製品及びサービスの多くは、第三者によって所有されている知的財産を盛り込んでいます。かかる知的財産
は、当社が契約によりライセンスを取得しているもので、当社は、かかる契約を時宜に応じて更新し又はそれらにつ
き再交渉を行わねばなりません。当社は、第三者の技術又はコンテンツを利用するためのライセンスを合理的な条件
で取得することができないか、又はまったく取得することができないかもしれません。当社が、当社の製品又はサー
ビスにおいてかかる知的財産技術又はコンテンツを使うために必要な権利を取得できない場合、影響を受ける製品
を販売することができなくなるかもしれず、影響を受ける製品を現在使用している顧客が阻害される可能性があり
ます。そのことは、当社の将来の財務成績の障害となり、当社のブランドを傷つけ、顧客の喪失をもたらすでしょう。
また、当社及び当社の顧客は、当社製品の中に組み込まれた第三者の知的財産技術の結果として侵害の主張にさらさ
れており、これからもさらされる可能性があります。当社はこのリスクを軽減し、潜在的な侵害については完全に責
任がない可能性もありますが、係争中の請求については当社は多額の資源を使用することとなり、経営陣の注目を必
要とし、顧客の喪失につながる場合もあります。
当社の製品の一部には、いわゆる「オープン・ソース」ライセンスによってライセンス供与を受けているものがあり
ます。そのうちの一部には、特定の状況において、そのオープン・ソース・ソフトウエアに基づいて当社が創造した
いかなる修正品又は派生著作物も当社が利用させる、又はライセンスを供与する義務を含んでいるライセンスがあ
ります。当社は、これらのリスクを軽減させる社内の検討及び承認手続きを確立しましたが、すべてのオープン・
ソース・ライセンスが当社の製品で利用される以前に承認を求めたものであるかどうかについては確かではありま
せん。オープン・ソース・ソフトウエアの利用に関連したリスクの多くは、解消することはできず、適切に取り組ま
ないと、当社の事業が打撃を受ける可能性があります。
当社の知的財産権は価値があるものであり、これらの知的財産権を保護できなかった場合、当社の製品、サービス及
びブランドの価値を低下させる可能性があります。
当社の特許権、商標権、営業秘密、著作権及びその他の知的財産権は当社にとって重要な資産であります。当社は、数
多くの行政手続に加えて、米国の連邦州法及びコモンローによる権利並びに国際的な権利に依拠することで当社の
知的財産権を積極的に保護します。当社はまた製品及びサービスにおける当社の優先権を保護するために契約上の
制限にも依拠しています。当社の優先権を保護するために講じている努力は常に十分且つ有効というわけではあり
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ません。当社の知的財産権を保護するということは費用と時間がかかり、またすべての地域において成功するという
わけではありません。当社の知的財産権に対する著しい損害は当社の事業、ブランド及び競争能力を傷つけます。
当社製品の不正使用及び複製を取り締まることは困難であり、多額の費用と時間を要します。複製を禁止する現行
の米国法はソフトウェアの著作権侵害に関して限定的な実務上の保護のみを当社に与えるものであり、また他の多
くの国々の法律はほとんど保護してくれません。当社は当社のソフトウェアの不正コピーがオンライン市場で販売
されているのにしばしば遭遇します。当社は今後も著作権侵害の影響を軽減するための試みとして技術的ソリュー
ションの評価及び導入を続けて行くとともに、これらの問題について消費者及び公共政策立案者の認識を促すよう
に働きかけ、また著作権の侵害の撲滅のため産業グループと協力していきますが、当社は、著作権の侵害は収益の減
少及び費用の増加をもたらす継続的な問題となることを予測しています。
当社の中核となる従業員を巡る競争が激しいため、当社が計画している成長を支えるのに必要な、高度な技術を有
する従業員を引き付け、維持し、開拓することができなくなる可能性があります。
当社の将来の成功は、幹部チームの役員及び技術者、マーケティング担当者並びにその他の職員を含む熟練人材を
保持し、継続的なサービスを提供できる能力にかかっています。ソフトウェア、モバイルテクノロジー、データ・セ
キュリティ及びSaaS業界における経験豊かな人材の需要は非常に高く、このような才能を持つ人材に対する競争が
激化しており、特に、当社の従業員の多くが就業しているカリフォルニア州及びインドにおいては、そのような競争
が著しく激しくなっています。また、当社は技術的変化に適応し、新しく改良された製品及びビジネスモデルの導入
を引き続き追及していきます。当社は、熱意を持って仕事に専念する従業員の質と量を保持及び維持し、またそのよ
うな人材を開拓していかなくてはいけません。当社では従業員が望むような雇用者となるべく努力を重ねています
が、中核となる人材を継続的に当社に引き付け、維持、発展することが継続してできないかもしれず、これにより当社
事業が損害を被る可能性があります。
当社の製品及びサービス製品がさらにしっかりと一体化されるにつれて、当社は比較的長期間にわたり関連する収
益を認識する必要性に迫られるかもしれません。
当社の拡大する製品及びサービス、並びに当社がそれらを提供する際の組み合わせは、伝統的なデスクトップソフ
トウェア事業とは異なる収益源を生み出しますが、これらの製品の収益に適用される会計方針は複雑です。例えば、
当社のソフトウェア製品と抱き合わせてより多くのオンラインサービスを提供する場合、当社はソフトウェア製品
収益のうちより大きな部分を将来の事業年度に繰り越さなければならない場合があります。さらに、登録ベースでよ
り多くのサービスを提供するにつれ、これらのサービスからあがってくる収益をサービスが提供される期間にわた
り認識します。これにより、相当な収益がある四半期から次の四半期へ、又はある年度から次の年度へ移動する可能
性があります。
当社製品及びサービスはその性質上タイムリーに発売する必要があります。それゆえもし当社製品の品質又は納期
に著しい問題又は遅れが発生した場合、当社の収益及び利益は減少し、評判は損なわれる可能性があります。
当社の税務関連製品の全部及び税務関連以外の製品の多くは厳格な開発日程に従っており、このことによって製品
にエラーが発生するリスク及び発売が遅延するリスクが高まります。特に、税務申告書類作成用ソフトウェア製品の
開発周期は困難なものとなります。なぜなら、予測不能な税法の変更や納税申告用紙の書式変更を毎年反映させる必
要があり、また顧客から、高度な正確性と、納税期限までに納税申告書類を作成し申告するために製品が予定どおり
に発売されることが期待されているからです。当社製品の複雑性及び開発周期の集約性のため、当社製品には時おり
「バグ」が含まれ、ソフトウェアの作動が突然妨げられることがあります。当社製品の複雑性により、顧客が期待する
ような特徴、機能及び正確性を含む製品を一貫して提供することが困難になる可能性があります。問題が発生した場
合は、コードを変更し、当該製品を既に購入した顧客にパッチを配布し、流通経路にある既存在庫を回収又はリパッ
ケージしなければならない可能性があります。開発周期の末期に開発上の困難に遭遇したり、製品にエラーを発見し
たりした場合には、製品の発売日を延期せざるをえない場合があります。大きな欠陥や発売延期が発生すれば、顧客
の喪失、収益の減少、評判の低下、顧客及び従業員の不満、小売店における棚スペースの縮小や宣伝の減少、営業費用
の増加(在庫交換費用、弁護士費用、当社の消費者向け納税申告書類作成製品の計算ミスのみが原因となって顧客が
支払った罰金や利息を償還するという当社の約束による支払等)につながる可能性があります。
当社の事業は著しく季節性の高いものであり、四半期毎の業績も著しく変動するかもしれません。
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当社事業部門のうち数部門は季節性が高いため、歴史的に、当社の財務成績は四半期毎の変動が大きくなってきま
した。収益及び営業成績は、1月31日に終了する第2四半期及び4月30日に終了する第3四半期が通常最も高く、それは
税務関係事業の収益の大部分がこの2四半期に集中するためと、小規模事業向けソフトウェア製品及びアップグレー
ドのリリースがこの時期であるためです。通常、10月31日に終了する当社の第1四半期及び7月31日に終了する第4四
半期において、より低い収益及び営業損失を経験します。当社の財務成績は四半期毎、年度毎にも変動する可能性が
あり、それは以下の事項を含むさまざまな要因により起こり得ます。すなわち、平均販売価格に影響を及ぼす売上品
構成の変更、製品の発売日、連邦及び州納税申告書書式の配布時期、電子的に申告された納税申告書を政府機関に首
尾よく提出する当社の能力の遅れ、消費者行動の変化、旧型製品に対するサポート提供の中止時期、組み入れ戦略の
変更(一定の製品へのアップグレードの組入れ等)、将来における新機能の利用可能性を顧客に伝達する方法の変更
(いずれも収益の認識パターンに影響を及ぼす可能性があります)、買収や子会社売却の時期、のれんや買収した無形
固定資産の減損処理時期などです。当社の営業成績における変動は、当社の株価に悪影響を与える可能性がありま
す。
当社は、当社の事業、財務状態、営業成績及びキャッシュフローに望ましくない結果を与え、それらに悪影響を及ぼ
し得る訴訟及び規制上の調査の当事者にしばしばなっています。
当社には、通常事業の過程で生じた係争中の訴訟、請求及び規制上の調査が多数あり、また将来においてもさらなる
請求及び調査が生じる可能性があります。これらの請求及び調査の数及び重大性は、当社の事業が進化するにつれて
増加しました。当社が開始したか当社に対して提起されたいずれの訴訟手続、請求又は調査も、成功したか否かにか
かわらず、時間の浪費、高額な訴訟費用、損害裁定、同意判決、差止救済又は事業の費用増加をもたらす可能性があり、
当社の事業慣行又は製品の変更や経営陣の時間を大幅に必要とするかもしれず、また重大な事業資源の分散化をも
たらすか又は事業若しくは将来の財務業績に損害を与える可能性があります。
世界経済の不況が継続すると当社の事業及び財務状態に損害を与えます。
世界経済の不況の継続により、世界の金融市場が著しく混乱しまた不安定となっており、債務不履行確率及び倒産
確率が高まっているとともに、消費者及び小規模事業における消費が影響を受けています。これらのマクロ経済の発
展は、当社の事業及び財務状態に影響をもたらしており、引き続きマイナスの影響をもたらす可能性があります。特
に、当社の大半の収益が米国での販売に由来するため、米国の経済状態は、より多くの国において国際的な事業展開
を行っている企業よりも、当社に大きく影響します。新たな潜在的顧客は当社の製品及びサービスを購入することが
できないか、又は購入を延期することがありますし、多くの既存の顧客は、当社の既存製品及びサービスの購入を中
止するか又はアップグレードを延期することがあり、これにより当社の収益及び将来の財務業績がマイナスに影響
を受けます。消費レベルの減少はまた、クレジット・カード及びデビット・カード決済の取引量を減少させ、当社の
支払い収益を減少させます。経済状況の低迷及び高失業率が、納税申告書の申告数の著しい減少をもたらしており、
今後もこの状況が続く可能性がありますが、その結果、当社が準備し申告する納税申告書の数が影響を受ける可能性
があります。さらに、エンドユーザー消費者及び中小企業市場の弱体化によって、当社の流通業者及び再販業者の
キャッシュフローがマイナスの影響を受け、そして、かかる流通業者及び再販業者の当社に対する債務の支払いが遅
れることにより、当社の信用リスクに対するエクスポージャーが増加し、顧客に対する収益又は将来の販売の認識が
遅れる可能性があります。さらに、もしマクロ経済的及びその他の要素により銀行、信用組合、住宅ローン会社及びそ
の他の金融機関の破綻が生じるか、又はさらなるコストカット努力若しくはこれら事業体の統合につながる場合、当
社は既存の顧客又は潜在的な顧客を失うか、顧客当たり売上高が減少し、当社の顧客に対して重要なサービスを提供
するこれら事業体との重要な関係を失う可能性があります。これらいずれかの要因により、当社の事業及び将来の財
務業績は悪影響を受けます。
当社は定期的に当社の内部情報技術システム及びソフトウェアプラットフォームをアップデートし、改良するため
に資源を投資しています。当社の投資が成功しない場合、又は新たな若しくは既存の内部情報技術システム及びソス
トウェアプラットフォームの遅延若しくはこれに関する問題が、当社の営業を中断する場合、当社の事業は損害を受
ける可能性があります。
当社は、当社の開発、マーケティング、運営、サポート、販売、会計及び財務報告活動の多くに関して、当社のネット
ワーク及びデータセンターのインフラ並びに内部的な技術システムに依拠しています。当社は、当社の事業及び顧客
の既存の要求や進化・変化する要求に応えるべく、これらのシステム及び環境をアップデートし、改良するために引
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き続き資源を投資しています。当社が、当社のシステム及び設計のアップデート及びアップグレードをするに際し
て、長期にわたる遅延や予期せぬ困難が生じた場合、当社は機能不全となり、競争する上で必要な一定の製品を提供
し、新たな製品及び改良品を開発できないかもしれません。これらの改良及びアップグレードは、しばし複雑で費用
・時間を要するものです。さらに、これらの改良は当社の既存の技術システムと統合するうえで困難かもしれず、又、
既存の技術システムにおける問題点を露呈するかもしれません。ハードウェア若しくはソフトウェアのアップデー
トや改良の失敗は、当社の事業運営に機能不全及び中断をもたらし、収益の減少又は当社の評判を傷つけるかもしれ
ません。
当社の国際的事業は、リスクの増加に晒されています。これにより、当社の事業、営業成績及び財務状況が損害を受
ける可能性があります。
当社の海外事業から収益を生み出す能力及び国際市場への拡大に対する不明確さに加えて、国際的に業務を展開す
るうえで、以下のような特有のリスクも存在します。
●
貿易障害及び貿易規則の変更
●
地理的距離、言語及び文化的差異から生じる、さまざまな海外事業を展開し、人員を調整し、同時に管理をする
ことへの困難
●
厳格な現地労働法及び関連規則
●
本国への利益環流についての制限及び外国為替制限
●
政治的若しくは社会的不安、経済不安、制止又は人権問題
●
地政学的事件(戦争及びテロなど)
●
輸出入制限
●
海外腐敗行為防止法などの米国の法律遵守
●
国家公務員に対する賄賂を規制する現地の法律、異なる且つより厳格なユーザー保護、データ保護、秘密保護
及びその他の法並びにその他政府規制に関するリスク
●
現地法律を遵守することの要求
当社の国際業務に適用される複雑な外国及び米国法律や規則の違反は、当社、当社の役員又は従業員への罰金、刑事
罰若しくは制裁、当社事業の運営禁止並びに評判の損害にもつながる可能性があります。当社はこれらの法律の遵守
を促進するように方針及び手続を実施して来ましたが、当社の従業員、契約者若しくは代理人が当社の方針に違反し
ないことを保証することはできません。当社の国際事業におけるこれら固有のリスク及びこれの拡大は、国際的に業
務を行う上で費用を増加させます。これにより、当社の事業、営業成績及び財務状況が損害を受ける可能性がありま
す。
実際の商品返却が、返品引当金を超えた場合、当社の将来の財務成績は悪影響を受ける可能性があります。
当社は、販売代理店や小売店で当社製品の売り切れがおきないよう、販売代理店や小売店の当社販売予測以上のデ
スクトップ・ソフトウェア製品を出荷しています。これは、特に販売期間の短い消費者向け税務部門の製品の場合に
当てはまることであり、返品が主として第3及び第4四半期に発生することにも当てはまります。販売代理店や小売店
を通して製品を販売している多くのソフトウェア会社のように、当社はこれまで大幅な製品返品を受け入れてきま
した。当社は、財務書類において、返品見込みに基づき製品返品に関する収益に対する引当金を設け、小売チャネルに
おける製品販売及び在庫を綿密に監視し、適切な引当金を維持する努力を払っています。今まで製品の返品はこれら
の引当金と大幅に異なるものではありませんでした。しかし、引当金を大幅に超える実際の製品の返品に直面した場
合、純収益の減少を招く虞があります。
予期せぬ所得税率の変更は当社の将来の財務成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の将来の実効税率は、繰延税金資産及び繰延税金負債の評価における予期せぬ変更、又は税法の変更若しくは
その解釈の変更により、有利又は不利な影響を受けることがあります。さらに、当社の所得税申告書は、IRSやその他
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の税当局により継続的に検査を受けています。当社では、納税引当金の適正さを確定するために、これらの検査に
よって生じる不利な結果の見込みを定期的に評価しています。これらの継続的な検査は、当社の将来の財務業績に損
害を与え得る税関連の予期せぬ負債をもたらすかもしれません。
取得した無形資産及び減損費用の償却は、当社の純利益に重大な変動を及ぼす可能性があります。
当社の買収は、多額の費用(買収した技術及びその他の取得した無形資産の償却及び減損を含みます。)並びにのれ
んの減損を伴うものとなっております。これらのカテゴリーにおける売上原価及び費用の総額は、2011年度に約9100
万ドル、2010年度に約9100万ドル、2009年度に約1億100万ドルでした。現行の会計規則では、のれんは償却されません
が、計上済みののれん及び将来の買収によって発生するのれんに関連した減損費用が発生する可能性があります。当
社では、のれんの減損額を毎年第4四半期にテストしていますが、減損を示唆する事象が生じた場合には、より頻繁に
テストを実施しています。この年次テストのタイミングにより、第4四半期までは合理的に予測できなかった損益計
算書の費用を第4四半期で計上することがあります。2011年度の売上原価及び費用の合計は、Intuit Healthの報告単
位について3000万ドルののれん及び無形資産の減損処理を含みました。当社は、Medfusion, Inc.の買収に関連して、
2010年5月の当社の貸借対照表において、かかる報告単位ののれん及び無形資産を計上しました。2011年7月31日時点
において当社の貸借対照表には、19億ドルののれん、そして1億8000万ドルの取得した無形固定資産純額が計上され
ていますが、これらの額は将来、減損費用によって調整されることがあります。新たな買収、そして取得した無形資産
の減損評価により、当社の将来の財務成績にはマイナスの影響を及ぼすこともあります。
当社の買収及び子会社売却活動は、当社の継続事業を混乱させる可能性があり、費用の増加を伴い、取引時に予期し
なかったリスクが発生するかもしれません。
当社は、当社の戦略的方向を補完する企業、製品及び技術を買収してきましたし、今後も買収を続ける可能性があり
ます。買収は、以下のような多大なリスクと不透明性を伴います。
●
買収により手に入れた技術と事業を当社の事業に統合し、統一した標準、コントロール、方針及び手続きを維
持することができないこと。
●
買収の結果生じると期待されていたシナジーを実現できないこと。
●
買収した事業の重要な従業員、顧客、再販業者及びその他の事業パートナーを引き留めておくことにかかる困
難。
●
買収した事業の内部統制環境が当社の基準と一致しておらず、その改善に相当な時間と資源が費やされるこ
と。
●
製品又はサービスの品質問題、知的財産問題及び法的偶発事件等、デューデリジェンスの過程においては発見
できなかった未確認問題。
買収と子会社売却はもともとリスクが高いものであるため、当社の取引は成功しない可能性もあり、また、当社の営
業成績又は財政状態に決定的に重要な悪影響を及ぼす可能性があります。買収金額あるいはその他の目的のための
資金調達を負債証券で行うと、支払利息やレバレッジが著しく増加する可能性があります。買収における対価として
エクィティ証券を発行すると、現在の株主持分比率及び1株当たり株主利益が希薄化する可能性があります。
当社は、10億ドルの債券を発行しましたが、将来においてもその他の債務を負うかもしれません。そのことは、当社
の財務状況と将来の財務成績に悪影響を与えるかもしれません。
2007年度、当社は、2012年3月満期の5億ドルの優先無担保債券及び2017年3月満期の5億ドルの優先無担保債券を発
行しました。この負債の満期が到来すると、当社はこれらの債券を返済又はリファイナンスするための多額の財源を
支出しないといけません。当社が債券をリファイナンスすることを決定した場合、当社は異なる又は不利な条件で行
わなければならない可能性があり、当社は一切債券をリファイナンスできないかもしれません。どちらにしても当社
の財務状況に悪影響をもたらします。
当社は、また、5億ドルの回転信用枠(5年)を契約しました。当社は、現在のところこの信用枠に基づき何らかの借入
を行う旨計画をしてはいませんが、将来、当社の一般的な企業目的若しくは将来の買収又は事業の拡大のために、借
入れを行うかもしれません。
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当社のこの負債は、とりわけ以下の要因により、当社の財務状況と将来の財務成績に悪影響を及ぼすかもしれませ
ん。
●
当社事業の不振、競争圧力、経済と業界の状況悪化等に対する当社の脆弱性を増加させること。
●
営業活動により見込まれる現金の一部を債務の弁済に充てなければならなくなったことにより、設備投資及
び買収を含むその他の目的のために利用可能なキャッシュ・フロー見込額が減ぜられること。
●
当社の事業と当業界の変化に備え、又はそれに対応する柔軟性を限定すること。
当社の現在の回転信用枠により、当社がその資産に抵当権を設定する能力及び当社の子会社が負債を負う能力など
が制限されるとともに、特定の財務比率を維持することが当社に義務付けられています。当社がこれらの比率を維持
する能力は、当社がコントロールすることのできない事象によって影響を受けるかもしれません。それに加えて、当
社の短期及び長期社債には、当社が一定の抵当権を設定し、又は一定のタイプのセール・リースバック取引を行う能
力に悪影響を及ぼすかもしれない誓約条項が含まれています。当社が、短期及び長期社債又は回転信用枠の誓約のい
ずれかに違反した場合、そして、貸主による権利放棄が得られない場合、適用される治癒期間が経過した時点で、あら
ゆる債務残高は即座に支払期限が到来したことを宣言される可能性があります。
それに加え、信用格付け会社による当社の信用格付けに対する変更は、当社の債券と株式の双方の価値と流動性に
悪影響を与える可能性があります。当社の信用格付けが引き下げられる、又は否定的措置が取られた場合、回転信用
枠において当社が支払うべき金利は上昇するでしょう。さらに、当社の信用格付けの格下げは、当社が将来追加的な
資金調達をする能力にも影響を与え、かかる資金調達の条件に影響を及ぼすかもしれません。
当社は、当社サービスを通じて伝播する情報に関連するリスクにさらされています。
オンラインサービス会社のサービスを通じて伝播する、例えばオンラインコンテンツのような情報に関する法的責
任に関連する法は、度重なる挑戦にさらされています。米国では法律が確立されているにもかかわらず、コンテンツ
に不満がある当事者によりオンラインサービス会社に対してクレームが行われています。当社のオンラインコンテ
ンツが米国外のインターネットからアクセスされた際、外国法に基づき異議申立てが行われる可能性があり、かかる
外国法は米国でオンラインサービス会社のためになされるような同様の保護を定めていないかもしれません。これ
らの米国又は外国の管轄における異議申し立ては、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、過失、著作権若しくは商標権
侵害、又は当該サービスを通じて伝播した情報の性質や内容に基づくその他の見解を主張する法的な要求につなが
る可能性があります。当社サービスの中には、当社のオンラインサービスのユーザーにより作成されたコンテンツが
あります。これらのコンテンツは当社によって作成された訳ではないにも関わらず、これらのコンテンツにかかる名
誉毀損や他の中傷へのクレームは、当社に対して主張される可能性があります。潜在的な法的責任の結果として発生
する費用は、当社の事業に打撃を与える可能性があります。
当社の株価は流動的であり、貴殿の投資が価値を失う可能性があります。
当社の株価は金融アナリストによる提案又は収益評価による変更、当社の株式に対する投資家又はアナリストの評
価の変更、当社の業績に無関係な信用格付け及び市場のトレンドに左右されます。さらに、当社の戦略的ポジション、
財務状態、業績、当社製品のビジネス面又はセキュリティ面についてのメディア又は投資コミュニティの予測は当社
の株価に変更を来す可能性があります。これらの要因に加えて一般的な経済及び政治状況あるいは当社の競合若し
くは当社による新製品、製品促進又は技術進歩に関する市場における発表時期、並びに買収、主要な取引又は経営陣
の交代に関する発表は当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、株式買戻し又は配当に係る金額又は
その実施頻度の変化は当社の株価に悪影響を同じく与える可能性があります。当社は、当社株価の著しい下落によ
り、証券に関するクラス・アクション訴訟のリスクに晒される可能性があります。この訴訟により、重大な費用がか
かり、また経営陣の注意をそらし、資源を奪うことで当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業は当社の揺るぎない評判及び当社ブランドの価値に依存しています。
当社ブランドに対する認知を築き上げ、それを維持していくことは、既存及び新規の当社製品及びサービスをより
広く受け入れてもらうために不可欠であり、新規顧客を惹き付けるための重要な要素となっています。当社、当社従
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業員又は当社の代理人による事象又は行為に関連する悪い評判は(それが正当化されるものであるかどうかに関わ
らず)当社の評判を傷つけ、当社ブランドの価値を減少させる虞があります。当社の評判及びブランド価値の毀損は、
当社製品及びサービスに対する需要を減少させ得るため、当社の将来の財務成績に悪い影響を及ぼす可能性があり、
さらに、当社の評判の立て直し及びブランド価値の回復のため追加リソースが必要となる場合もあります。
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5【経営上の重要な契約等】
「沿革」を参照してください。
6【研究開発活動】
当社では、研究開発に対して多額の投資をし続けており、将来は、既存の製品及びサービスのさらなる向上、使いや
すさの向上、特定の顧客層に対するカスタマイズ、ウェブ・ベース若しくはモバイルでの提供、当社のその他の製品
及びサービス並びに第三者の製品及びサービス並びに当社内部の情報システムとの向上した統合を特徴とするよう
な新製品及び新規のサービスの開発を、研究開発の努力の焦点にしています。また、当社は、重要な研究開発への取り
組みの焦点を現在進行中のプロジェクトに充て、複数の当社製品の技術基盤をアップデートする予定です。当社の研
究開発費は、2011年度は純売上高の16%に相当する6億3400万ドル、2010年度は純売上高の17%に相当する5億7300万
ドル、2009年度は純売上高の18%に相当する5億5600万ドルでした。
7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
以下の概要は、当社の営業成績及び当社の事業に影響を与える動向のいくつかについて様々な視点から議論を行う
ものです。当社は、当社の2011年度の財務成績及び将来の展望を理解するために、これらの動向を理解することが重
要だと考えています。本概要は、網羅的であることを意図したものではなく、また、本報告書中の他の部分における詳
細な議論及び分析に取って代わることを意図したものでもありません。
財政状態の概要
2011年度の純売上高の総額は39億ドルであり、2010年度と比べて11%の増加でした。当社の小規模事業グループ及
び消費者向け税務部門が売上高増加における主要な役割を果たしました。当社の小規模事業グループの売上高は接
続サービス製品及び改良された製品構成の成長により2010年度と比べて12%増加しました。消費者向け税務部門の
売上高は、TurboTax Onlineの販売総数の成長により2010年度と比べて13%増加しました。2011年度の継続事業から
の営業利益は、売上高の増加が売上原価及び費用の増加を一部相殺したことにより2010年度と比べて17%増加しま
した。売上原価の全売上高に占める比率は、TurboTax Onlineの販売個数の成長及び償却費の減少により、2010年度と
比べて2011年度は僅かに減少しました。営業費用は、人件費及びマーケティングプログラムの支出の増加、買収した
事業に係る営業費用の追加、株式に基づく報酬費用の増加、並びにのれん及び無形資産の減損処理により増加しまし
た。2011年度の継続事業からの純利益は、営業利益の上昇と相まって、2010年度と比べて18%増加しました。2011年度
の継続事業からの希薄化後1株当たり純利益は、2010年度と比べて純利益の増加及び加重平均希薄化後株式が減少し
た結果として20%増加して2.00ドルになりました。
当社の2011年度の現金、現金同等物及び投資の総額は14億ドルとなりました。2011年度において、当社は事業、投資
の正味売却、及び従業員株式計画に基づく普通株式の発行により現金を得ました。同期間において、当社は、自己株式
取得計画に基づく当社普通株式の買戻し、及び資本支出のために現金を使用しました。2011年7月31日において、6億
4000万ドルまで使用するための当社の取締役会による承認は、2013年8月16日まで、株式買戻しの既存の計画に基づ
いて有効なままでした。2011年8月18日において、当社は、2014年8月15日に終了するまでの3年間に渡り随時、当社の
普通株式を追加で20億ドルまで買い戻すことができる新しい株式買戻しプログラムを発表しました。
季節性
当社のQuickBooks並びに消費者向け税務部門及び会計専門家向け部門の事業には、強い季節性があります。一般的
には、QuickBooksソフトウェア製品の売上は第2四半期及び第3四半期に最も高くなる傾向があります。所得税申告書
作成用製品及びサービスの売上の大半は11月から翌年4月の間に集中します。消費者向け税務部門事業では、売上の
多くはこのシーズンの後半に集中します。これには、売上が伸びている TurboTax Onlineの売上が確定申告の電子申
告又は所得税申告書の印刷が完了した時点で認識されることも影響しています。消費者向け税務部門及び会計専門
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家向け部門の売上高の季節性はまた、税務当局から所得税申告書の様式が入手可能となるタイミング及びかかる税
務当局が電子確定申告を受け付けることができる程度にも影響されます。所得税申告書の様式の入手可能時期の遅
れ又は税務当局による電子確定申告の受付時期の遅れは当社の第2四半期から将来のいずれかの四半期にかけて収
益の変化をもたらす可能性があります。これらの季節性のパターンは、当社の純売上高合計が通常1月31日に終わる
第2四半期と4月30日に終わる第3四半期に集中することを意味しています。当社は税務関連事業の売上が最も少ない
一方で、営業費用は年間を通じてコンスタントにかかるため、10月31日に終わる第1四半期及び7月31日に終わる第4
四半期に損益を出すのが通例です。当社は、収益及び利益の季節性が今後も継続するであろうと考えております。
重要な会計方針及び予想
当社は、財務書類を作成するにあたり、予想、仮定及び判断を行っていますが、それによって、純売上高、営業利益又
は営業損失及び純利益又は純損失、並びに当社の貸借対照表上の一定の資産及び負債の価値が重大な影響を受ける
可能性があります。当社は、以下に記載する会計方針に関連する予想、仮定及び判断が財務書類に影響を与える可能
性が非常に大きいと考えており、そのため、これらを重要な会計方針であると考えています。上級経営陣は、これら重
要な会計方針の発展及び選択並びに様式10-Kによる年次報告書での開示について、当社の取締役会の監査及びリス
ク委員会とともに検討しました。
収益の認識
当社は、パッケージ・ソフトウェア製品、ソフトウェア使用料、ホストサービス、テクニカルサポート計画、財務関連
商品、実施サービス、取引手数料、商業者向けサービスのハードウェア及びこれらの各要素を組み合わせた複合契約
の販売から売上をあげています。当社は、収益のタイプに応じた適切な収益認識のルールに従っています。当社は、通
常、契約の存在を示す確実な証拠があり、製品の納入又はサービスの履行が完了しており、手数料が確定したか又は
確定可能であり、且つ回収の可能性が大きい場合に、収益を認識します。しかし、これらの基準の中には、それが満た
されたか否か、及びいつ満たされたかを決定する際にしばしば判断を行って評価を使用することを必要とするもの
もあり、それらの判断や評価が、当社の報告する収益のタイミング及び金額に重大な影響を与えている場合がありま
す。例えば、ソフトウェア及びソフトウェア関連要素のみを含む複合契約の場合、(1)納入すべき複数の要素の間で合
計金額を配分するため、(2)未納入のサービスが納入済みの製品やサービスの機能にとって不可欠なものであるか否
かを決めるため、(3)未納入の要素の各々の公正価格についてベンダー固有の証拠が存在するか否かを決めるため、
並びに、(4)各要素が納入されたか否か及びいつ納入されたかを決めるために、当社は判断を行って、評価を使用しな
ければなりません。ソフトウェア及び非ソフトウェア要素を含んでいる複合契約の場合、当社は、(1)各要素が納入さ
れたか否か及びいつ納入されたかを判断するため、(2)公正価値の売主に特有の客観的な証拠(VSOE)(もし利用可能
であれば。VSOEがない場合は第三者の証拠(TPE)に基づきます。VSOEもTPEも利用できない場合は、見積販売価格(ESP)
に基づきます。)に係る販売価格の階層を使用して各要素の公正価値を判断するため、並びに(3)相対販売価格法に基
づき複数の要素の間で合計金額を配分するために判断を行って、評価を使用しなければなりません。当社がこれらの
判断や評価を変更した場合、それによって、ある特定の期間について決算上の収益の金額に大幅な増減が生じる可能
性があります。収益が認識できない契約に関連して既に回収されている手数料や支払期日の到来した請求金額は、当
社の貸借対照表において繰延収益として反映され、適用される収益認識基準が満たされた時点で認識されます。
当社は、一定の製品の販売に関連して、限定された量の技術サポートを無償で顧客に提供しています。この無償技術
サポートを提供するための費用は些少な金額であるため、当社は、これらの製品の販売に関連する収益の計上を繰り
延べていません。当技術サポートは、通常、関連する収益が認識されてから1年間提供されるものであり、無償での製
品機能の追加はほとんどありません。当社は、製品を出荷した時点で、当該無償サポートの提供に関連して予想され
る費用を計上しています。
返品引当金及びリベート引当金
収益認識方針の一環として、当社は、将来の返品やリベートの支払を予想し、これらの予想に基づき、販売の時点で、
収益に対して引当金を設定しています。当社の返品方針では、販売業者や小売業者は、契約上の制限に従い、購入した
製品を返却することができます。販売業者や小売業者による返品は、主に余剰製品や陳腐化した製品の返品によるも
のです。当社は、返品引当金を決定する際、小売チャネルにおける製品の数量と価格ミックス、過去にリリースされた
各製品の返品率、小売業者の在庫の動向、及び当社製品に対する顧客の需要に影響を与える可能性がある経済の動向
(競争環境や当社製品の新規リリースのタイミング等)を考慮しています。当社は、流通チャネルにおける製品の余剰
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や陳腐化に対し、十分な引当金を設定しています。
当社のリベート引当金には、販売業者や小売業者の売上に対するインセンティブ・リベート及びエンドユーザ・リ
ベートが含まれます。当社の販売業者及び小売業者向けインセンティブ・リベート引当金の予想額は、通常年次で設
定しているリベート計画の条件に対する、販売業者や小売業者の実際の成績に基づいて計算されています。当社のエ
ンドユーザ・リベート引当金は、特定の販売促進リベート計画の条件、販売促進期間中の実際の売上並びに製品及び
販売促進計画ごとの過去の返品動向に基づいて予想されています。
過去において、実際に発生した返品やリベートが当社の設定した引当金と著しく異なったことはありません。しか
し、将来のいずれかの期間における実際の返品やリベートは、本来不確実なものです。当社が仮定や予想を変更すれ
ば、収益引当金も増減し、それによって決算上の純収益も影響を受けることになります。実際の返品やリベートが当
社の設定した引当金よりも著しく多い場合、それによって当社の将来の決算上の収益が減少します。逆に、実際の返
品やリベートが当社の引当金よりも著しく少ない場合は、将来の決算上の収益が増加します。例えば、小売業者に対
するQuickBooks、TurboTax及び Quickenの非委託販売について、当社の2011年度の返品引当金を1%増加させていた
ならば、当社の2011年度の純収益の総額は約300万ドル減少していたはずです。
貸倒引当金
当社は、売掛金の回収可能性に関連して継続的な仮定を行っています。当社の貸借対照表に表示される売掛金の金
額には、支払を受けられないおそれがあるものに対する引当金が含まれています。当社は、引当金の金額を決定する
際、当社の過去の貸倒損失の水準を考慮しています。また、当社は、重要顧客の信用力について、継続的な信用評価に
基づき判断するとともに、将来の貸倒損失の水準に影響を与える可能性がある現在の経済動向を評価しています。こ
れまで、当社の引当金は、実際の貸倒損失をカバーするのに概ね十分でした。しかし、当社顧客の財務状況の将来にお
ける変化を確実に予測することは不可能であるため、当社の引当金が引き続き十分であるとの保証はありません。実
際の貸倒損失が当社の設定した引当金よりも著しく多い場合、それによって当社の販売費及び一般管理費が増加し、
決算上の純利益が減少します。逆に、実際の貸倒損失が当社の引当金よりも著しく少ない場合、最終的には当社の販
売費及び一般管理費が減少し、決算上の純利益が増加します。当社には、2011年7月31日付貸借対照表上、総売掛金合
計1億9100万ドル及び貸倒引当金2000万ドルがありました。
投資資産の公正価値
当社は、各四半期に売却可能有価証券の公正価値の見積もりを行っています。これらの投資は、現金同等物、地方債、
米国国債、連邦政府機関の発行する有価証券、社債及びオークション・レート公債から構成されています。公正価値
は、評価日に実行される市場参加者間での規則的な取引において、資産又は負債を、主要市場若しくは最も有利な市
場で売却した場合に受領する金額、又はその移転のために支払われる金額として定義されます。同一又は同様の資産
が活発に取引されている場合、公正価値の見積もりに必要とされる判断のレベルは比較的低いものとなります。これ
は、当社がレベル1と考える当社の現金同等物並びに当社がレベル2と考える地方債、連邦政府機関の発行する有価証
券及び社債には概ね該当するものです。しかしながら、観測可能なインプットが入手できないような資産及び負債の
公正価値測定においては、高度の判断が必要とされます(レベル3)。例えば、当社はオークション・レート公債の公正
価値を見積もるため、割引キャッシュ・フロー・モデルを用います。これらの証券の市場が活発ではないと決定して
いるためです。この決定は、世界的な信用市場の流動性の低下を受けて、2008年2月から、当社が保有するオークショ
ン・レート公債に対する入札が不成立に終わるケースが出てきたことによります。当社の割引キャッシュ・フロー
・モデルにとって重要なインプットには、もともと不確実性のあるものもあります。重要なインプットには、将来の
金利予測、元本償還のタイミング、完全償還の可能性、最近発行された類似証券でオークションの対象となっていな
いものの価格データ及びオークション・レート公債の流動性の減少のインパクト等が含まれます。2011年7月31日現
在、当社は合計5900万ドルのオークション・レート公債を保有していました。
当社は、売却可能証券を売却するか、その公正価値の減少が非一時的なものであると判断する場合を除き、かかる証
券の未実現利益及び損失を、貸借対照表の純資産の部の「その他の包括的利益」の項目で表示しています。当社は、減
損費用を認識するか否かを決定する上で、数々の要素を考慮します。例えば、公正価値の減少の原因、公正価値の減少
の深刻さ、公正価値が取得価額を下回っている期間の長さ、発行体の財政状態及び短期収益予測、そして取得原価の
回復が見込まれる時期までに、当社が当該証券を売却する意向があるかどうか、又はそうせざるをえなくなるかどう
か、などです。当社の売却可能証券の公正価値の見積もりの変更により、かかる変更のあった事業年度における当社
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純利益に著しい増減が生じる可能性があります。
企業結合
会計上の取得法に基づき、当社は概して、取得した特定しうる資産、承継した負債及び被買収者に対する非支配的持
分がある場合には当該持分を、取得日時点の公正価値によって認識します。当社は、移転される対価が取得した特定
しうる資産及び承継した負債の取得日時点における公正価値の純額を超過する部分を、のれんとして、公正価値によ
り測定します。会計上の取得法に基づき、当社は、特定しうる無形資産の公正価値、繰延税金資産評価引当金、不確実
な税務ポジションに関連した負債及び偶発事象といった企業結合の要素の取得日時点における公正価値に関して、
判断を行って、重大な評価及び仮定を行わなくてはなりません。また、この方法に基づき、当社は、取得日の時点で存
在した、取得日時点で認識される総額の測定に影響を及ぼしただろう事実及び状況がもし周知である場合には、それ
らについて得られた新情報を反映するために、1年間を超える測定期間についてはこれらの評価を精緻化しなければ
なりません。もしも当社が、買収と関連して公正価値で計上した資産及び負債の暫定的な総額を遡及的に調整しなけ
ればならない場合、これらの調整により、当社の営業利益及び当期純利益が著しく減少し、当社の貸借対照表上の資
産価額が減少する可能性があります。
取得した技術、取引先リスト及び他の特定可能な無形資産の公正価値の推定における、当社が行わなくてはならな
い重大な評価及び仮定には、当社がこれら取得した資産から将来生み出されると予想するキャッシュ・フローが含
まれます。その後、これらの資産や負債が関連する事業活動の実際の業績や更新された予測が、これらの価値を決定
するために用いた仮定や予測に比べて変化した場合、減損費用を計上することがあります。さらに、当社は、一定の取
得資産の耐用年数を予想しており、かかる耐用年数を、減価償却費の計算に用いています。当社の耐用年数の予想が
変更されれば、減価償却費が加速又は減速する可能性があります。
のれん、取得した無形資産及びその他の長期性資産-減損評価
当社は、当社の貸借対照表に計上された資産の簿価を回復できない可能性を示唆するような事態又は状況の変化が
起こった場合、その都度、取得した無形固定資産及びその他耐用年数の定められた長期性資産の公正価値を見積もっ
ています。当社は、年1回、第4四半期に、又は減損の兆候が生じた場合にはその都度、のれん及び耐用年数の定められ
ていないその他の無形固定資産の減損の可能性をテストしています。年次のテストのタイミングによって、当社の第
4四半期における損益計算書で、それより前の期間においては合理的に予測しえなかった費用が生じる場合がありま
す。
当社は、のれんの公正価値を予想するために、(インカム・アプローチとして知られている)割引キャッシュ・フ
ロー・モデルと、(マーケット・アプローチとして知られている)類似事業に従事している公開会社との比較を、加重
的に組み合わせています。インカム・アプローチにおいては、当社は多くの仮定に依拠する必要があります。それに
は、その事業に固有の市場要因、その事業によって長期にわたり発生する将来のキャッシュ・フローの金額及びその
タイミング、その事業の長期成長率、そしてかかるキャッシュ・フローの達成に関連する相対的なリスクと金銭の時
間的価値を勘案した収益率等が含まれます。当社は、決算部門レベル、及び、取得後に決算部門の数を減らして事業を
より一層統合した場合よりも減損の可能性が大きいと考える決算部門の数に基づき、キャッシュ・フローを予想し
ています。当社が割引キャッシュ・フロー・モデルにおいて用いる仮定と、当社が内部戦略及び予測の構築において
用いる仮定は一貫性のあるものですが、各決算部門から生み出される将来のキャッシュ・フローの金額及びタイミ
ング、並びにかかるキャッシュ・フローの達成に関連する相対的なリスクの見積もりには、相当な判断が要求されま
す。マーケット・アプローチを用いる場合には、類似の事業に従事している公開会社の比較可能性について、判断を
行います。当社の判断は、サイズ、成長率、収益性、リスク、並びに投資収益率に依存します。当社はまた、比較対象会社
と当社の事業との相対的類似性を反映するために比較対象会社の収益、営業利益及び当期純利益にかかる株価収益
率を調整する場合にも、判断を行います。当社は、2011年7月31日現在、貸借対照表上で19億ドルののれんを有してい
ました。
当社は、資産の簿価と、当該資産が生み出すだろうと当社が予想する将来の割引前キャッシュフローとを比較する
ことによって、取得した無形固定資産及びその他長期性資産のうち耐用年数が定められているものの回収可能性を
見積もります。これらの資産の公正価値を見積もる上で、当社はこれらの資産から将来生み出されるキャッシュ・フ
ローの現在価値を見積もります。当社が割引キャッシュ・フロー・モデルで用いる仮定のうち主要なものは、その資
産から長期にわたって生み出される将来のキャッシュ・フローのタイミング及びその金額、並びにかかるキャッ
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シュ・フローの達成に関連する相対的なリスクと金銭の時間的価値を勘案した収益率です。キャッシュ・フローの
タイミング及びその金額、及びかかるキャッシュ・フローの達成に関連する相対的なリスクの見積もりには、相当の
判断が必要とされます。当社はまた、取得した無形固形資産及びその他長期性資産のうち耐用年数が定められている
ものについては、残存耐用年数の見積もりを行います。当社は、2011年7月31日現在、貸借対照表上の簿価で1億8000万
ドル(純額)の取得した無形固定資産を有していました。
将来価値や残存耐用年数についての仮定や予想は、複雑であり、また多くの場合主観的です。これらの仮定や予想
は、業界及び経済の動向といった外的要因並びに当社の事業戦略及び社内予測の変更といった内的要因を含む、さま
ざまな要因の影響を受けることがあります。例えば、将来における当社の業績が現在の予測を下回った場合、又は当
社の時価総額が長期にわたって減少し、かかる状況が1以上の決算部門の公正価値の減少の兆候であると当社が決定
する場合、当社は将来のれん及び取得した無形固定資産について減損費用を計上せねばならなくなる可能性があり
ます。減損費用により将来当社の純利益が著しく減少し、貸借対照表上の資産価値も減少する可能性があります。
2011年度第4四半期には、当社は年次ののれん減損テストを実行しました。Intuit Healthを除き、当社の全ての報告
単位の見積もり公正価値はその簿価を超えたため、当社はそれらにつき減損がないと結論しました。この分析を進め
る中で、当社はまた、Intuit Healthを除き、当社の全ての報告単位の見積もり公正価値は、実質的にその簿価を超え
ると結論しました。当社は、Intuit Healthの報告単位に対するテストの2つの過程を完了させ、またこれに関連する
のれん及び買収した無形資産に減損があると判断しました。従って、当社は2011年度に約3000万ドルののれん及び無
形資産の減損費用を計上しました。
上記のように、当社のあらゆる報告単位の公正価値の評価は、様々な外部要因及び内部要因に影響を受ける可能性
があります。患者対プロバイダーのオンライン通信ソリューション市場は力強く、競争は激しいものです。当社の
Intuit Healthの報告単位における公正価値の見積もりに悪影響を及ぼした状況には、高品質開発、時期に合った製
品提供及びそれらの有効なマーケティングに関して予測不可能な遅れがあったことが含まれました。当社がさらな
る遅れを経験する場合、当社のIntuit Healthの報告単位の公正価値がさらに減少するかもしれず、当社は将来、追加
ののれん及び無形固定資産について減損費用を計上せねばならなくなる可能性があります。
株式に基づいた報酬プランの会計処理
2011年7月31日現在、当社が将来償却するすべての株式報酬プランの下で付与された未確定の株式に基づいた報酬
措置に関連する未計上の報酬費用は総額3億700万ドルでした。未計上報酬費用の総額は、将来の見積失権分について
調整が加えられます。当社は、加重平均2.4年のべスティング期間にわたりそのコストを計上することを予想してい
ます。
当社は付与した株式オプションの公正価値を見積るために2項格子モデルを使用しています。当社は、2項モデルを
使い、暗黙の行使パターンに基づき付与したオプションの予想期間を見積っています。当社は、付与日の当社の普通
株式のボラティリティを、上場している当社株式の1年及び2年のオプションのインプライド・ボラティリティに基
づき見積ります。当社がインプライド・ボラティリティの利用を決定したことは、当社の普通株式に対するオプショ
ンが活発に取引される可能性と、インプライド・ボラティリティがヒストリカル・ボラティリティよりも将来の株
価トレンドをより的確に表すという当社の評価に基づいています。オプション付与時に有効なインプライド・イー
ルドに関して当社が利用するリスク・フリー金利は、同じ残存期間を持った米国債の実質満期日に基づいています。
これまで、当社は当社の普通株式に対していかなる現金配当も支払っておらず、近い将来、当社が現金配当を支払う
ことを予想しませんでした。その結果、当社は、当社のオプション価値計算モデルにおいて予想配当利回りゼロを使
用しました。2011年7月、当社は、将来において当社が現金配当を行い、それによりオプション価値計算モデルにおい
て、予想配当利回りの使用を開始することが可能であると判断しました。当社は、オプション付与時における権利失
効を見積り、実際の権利失効が見積りと異なっていた場合にはその後の期間で修正をします。当社は、確定前のオプ
ションの失権の見積りに過去のデータを用います。そして、確定すると予想される報奨のみについて、それに対する
株式に基づく報酬を計上します。当社は、オプションの公正価値を、一般的にはベスティング期間と同じ、報奨のオプ
ションの行使権利獲得に必要な勤務期間にわたり、定額法で償却します。当社は、将来、当社のオプション評価モデル
において異なる前提を使うことを選択するかもしれません。そのことは、当社の純利益又は純損失又は1株当たり純
利益又は純損失に重大な影響を与える可能性があります。
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付与された制限付き株式ユニットは、概して継続勤務に基づき権利が確定します。2011年7月より前に、当社はこれ
らの時間基準に基づく制限付き株式ユニットを、推定失権を調整した上で本来価値算定法を使用して付与日時点で
評価しました。上級経営陣に対して付与される特定の制限付き株式ユニットは、あらかじめ設定されたパフォーマン
ス目標又は市場目的の達成に基づいて権利が確定します。2011年7月より前に、当社は、パフォーマンスに基づいた制
限付き株式ユニットの付与日における公正価値を、推定失権を調整した上で、本来価値算定法及び指定されたパ
フォーマンス基準が満たされる確率を使用して推定しました。上述したように、2011年7月、当社は将来において現金
配当を行うことが可能であると判断しました。制限付き株式ユニット(RSU)保有者が配当金の受領資格がないことに
より、2011年7月から、当社は付与日において当社の株式の市場価格の引き下げを始めました。これは、本来価値算定
法を使用して、付与期間中に株式に対して支払われる予定の配当金の現在価値で、リスクフリーの適切な利率で割り
引かれます。当社は時間基準に基づく制限付き株式ユニットの公正価値を、制限期間における推定失権を調整した上
で定額法により償却します。当社は、それぞれ別に権利が確定するトランシェ毎に推定された失権を調整の上、必要
条件となっている勤務期間にわたり、パフォーマンスに基づいた制限付き株式ユニットの公正価値を償却します。当
社は付与日における市場ベースの制限付き株式ユニットの公正価値をモンテカルロ評価法を使用して推定し、それ
ぞれ別に権利が確定するトランシェ毎に推定された失権を調整の上、必要条件となっている勤務期間にわたり、これ
らの公正価値を償却します。
法的偶発事象
当社には、通常の業務遂行過程で法的手続き、請求、クレーム及び訴訟の当事者となるおそれがあります。当社は、各
重要事項の状況を四半期ごとに点検し、当社の潜在的財務的リスクを評価します。何らかのクレーム又は法的手続き
から生じる潜在的損失が、起こりうると判断され、その金額を合理的に見積ることができる場合、見積られる損失に
かかる負債及び費用を計上します。そのリスクの蓋然性及びリスクを合理的に見積ることの可否を決定するに当
たっては、重大な判断が必要とされます。当社の見越し額は、そのときに入手可能な最良の情報に基づいています。追
加情報を入手するにしたがって、当社の係争中のクレーム及び訴訟に関連する潜在的な負債を再評価します。そし
て、予測額を修正する可能性があります。潜在的な法的責任及び潜在的法的責任の見積額の修正は、当社の財務状態
及び営業成績に重大な影響を与える可能性があります。
法人所得税−繰延税金、評価性引当金及び不確実な税務ポジションにかかる推定
当社は、事業を行う際にさまざまな管轄官庁から課される法人所得税を見積もります。当社の世界中の法人所得税
の引当金を決定するには重要な判断が必要となります。当社の未払法人所得税を見積もる上では、複雑な税法の規定
の適用並びに将来米国IRS及びその他の地域の課税当局による不確実な評価性引当金の調整の可能性における不確
実性の扱いがともないます。当社は、未払法人所得税の残高を見積もる、また、税法上及び会計上それらの事項の取り
扱いが異なる結果として生じる一時差異を算定する必要があります。これらの差異は、繰延税金資産と繰延税金負債
として貸借対照表に示されています。その後、当社は、当社の繰延税金資産が実現する可能性を評価しなければなり
ません。実現の可能性が低いと当社が判断する程度に応じて、当社は評価性引当金を設定します。当社がある会計期
間内に評価性引当金を設定するか、又はこの引当金を増加するとき、当社は、当社の損益計算書において対応する法
人所得税を計上します。
2011年7月31日現在、当社の正味繰延税金資産は1億4900万ドルで、州税及び外国税に関連する繰越営業純損失にか
かる評価性引当金800万ドルを含みます。これらの評価性引当金は、当社の繰延税金資産の一部につき、その期限まえ
にそれを利用することができるかどうかについての不確実性を反映するため、計上したものです。当社は、当社が事
業を行う法域及び当社の繰延税金資産が実現可能である期間に基づいて予測した課税所得に基づいて評価性引当金
を計上します。当社は、将来の課税所得を評価性引当金の必要性を評価するために考慮しましたが、回収可能性のな
い追加の繰延税金資産を考慮に入れるために、将来評価性引当金を増加することを求められる可能性があります。評
価性引当金の増加は、かかる増加を計上する会計期間における法人所得税引当金及び純利益に重大な悪影響を与え
るおそれがあります。
当社は2段階のアプローチにより、不確実な税務ポジションを認識及び測定しています。第1段階は、関連する訴訟手
続等の決定などの入手可能な証拠の比重により、監査においてかかる税務ポジションが認められる可能性の方が高
いと考えられるかどうかを決定することにより、法人税の申告書において記載される又は記載される予定の税務ポ
ジションを評価することです。税務調査においてかかる税務ポジションが認められる可能性の方が高いと考えられ
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る場合には、決定時に認められる可能性の方が高いベネフィットの最大額を測定するという、第2のステップに進み
ます。不確実な未払法人税引当金の評価には相当の判断が必要とされます。当社は、不確実な未払法人税引当金を毎
四半期に見直しています。当社の評価は、事実の変更、税法の改正、税務調査時における課税当局対応及び税務調査上
の問題点の効率的な解決等、多数の事実に基づくものです。不確実な未払法人税引当金の認識又は測定における変更
により、かかる変更を行った会計期間において当社の法人所得税費用が著しく増減する場合があり、それが当社の実
効税率及び業績に重大な影響を及ぼすことがあります。
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第4【設備の状況】
1 【設備投資等の概要】
2011年7月31日現在における当社の主たる所在地、その目的及び各所在地の施設のリース期間は、下表のとおりで
す。当社は当社のリースの多くについて、これらの更新オプションを有しています。当社の施設のリースは通常、定期
的な賃借料の増加を定めており、多くのかかる定めには賃料の上昇条項及び更新オプションが含まれています。カリ
フォルニア州マウンテン・ビューに所在する当社の本社の敷地のリースは、2024年及び2026年に満了しますが、契約
に従い決定される利率で追加で10年間リース期間を延長するオプションが付いています。
所在地
目 的
概算面積
(平方
フィート)
主要なリース期
間
(年)
カリフォルニア州マウンテン・ 主たる事務所、企業本部
ビュー及びメンロー・パーク
及び財務管理ソリューションズ部門
及び従業員管理ソリューションズ部門の本部
754,000
2012 - 2026
カリフォルニア州サンディエゴ 消費者向け税務部門の事業本部、
一般事務所スペース及びデータセンター
537,000
2012 - 2017
カリフォルニア州ウッドランド 支払ソリューションズ部門、
・ヒルズ及びウエストレイク・ 金融サービス部門及びデータセンターの本部
ヴィレッジ
239,000
2013- 2018
ワシントン州クインシー
データセンター
240,000
所有
テキサス州プレーノー
会計専門家向け部門
及びデータセンターの本部
166,000
2026
さらに当社は、その他の国内のいくつかの場所並びに海外ではカナダ、インド、英国やその他の場所などに施設を
リース又は所有しています。
2 【主要な設備の状況】
「1 設備投資等の概要」を参照してください。
3 【設備の新設、除却等の計画】
当社の施設は、現在及び当面のニーズを満たすのにふさわしく、十分であり、必要に応じて追加の施設を設置できる
と確信しています。
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第5【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】(2011年7月31日現在)
①【株式の総数】
普通株式(額面0.01ドル)
授権株数(株)
発行済株式総数(株)
未発行株式数(株)
449,403,480
750,000,000
300,596,520
(内訳)
当社インセンティブプランに基づく未発行授権株式数:66,149,595
インセンティブプラン以外に基づく未発行授権株式数:383,253,885
優先株式
授権株数(株)
発行済株式総数(株)
未発行株式数(株)
1,344,918
0
1,344,918
(注): 優先株式1,344,918株のうち144,918株はシリーズA優先株式、250,000株はシリーズBジュニア参加型優先株式に各々
指定されています。
②【発行済株式】
記名・無記名の別
及び
額面・無額面の別
額面0.01ドル
の記名株式
種類
普通株式
額面0.01ドル
の記名株式
優先株式
計
-
発行数(株)
300,596,520
上場金融商品取引所名
又は登録認可金融商品
取引業協会名
内容 ナスダック
-
0
-
300,596,520
-
・シリーズA優先株式
1株につき議決権2個を
有する。
・シリーズB優先株式
1株につき議決権1,000個
を有する。(注1)
- (注1) 普通株式と優先株式の授権済シリーズとの間で議決権の内容が異なるのは、当社が株式ライツプラン(買収防衛)に関
して異なる内容を定めたことによるものです(当該ライツプランは既に失効しています。)。
1998年4月29日、インテュイットの取締役会は、将来一方的な買収攻撃があった場合に当社の長期的株主価値を防衛
するため、株主権利プランを採択しました。2008年5月1日、当社の株式権利プランはその条件に基づき期限が終了し、
本プランに基づくあらゆる権利は失効し行使できなくなっています。
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等】
該当なし
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】(2011年7月31日現在)
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(千ドル/(百万円))
発行済株式総数
増減数(株)
年月日
発行済株式総数
残高(株)
2007年
7月31日
-5,013,477
339,157,302
2008年
7月31日
-16,557,472
322,599,830
2009年
7月31日
165,720
322,765,550
2010年
7月31日
-8,904,950
313,860,600
2011年
7月31日
-13,264,080
300,596,520
資本金
残高
(円)
資本金
増減額(円)
摘要
-$50
$3,392 持株制度及び当社の株式買戻計画に基
(-4)
(260) づく株式発行の正味残高
-$166
$3,226 持株制度及び当社の株式買戻計画に基
(-13)
(247) づく株式発行の正味残高
$2
$3,228 持株制度及び当社の株式買戻計画に基
(0)
(247) づく株式発行の正味残高
-$89
$3,139 持株制度及び当社の株式買戻計画に基
(-7)
(241) づく株式発行の正味残高
-$133
(-10)
$3,006 持株制度及び当社の株式買戻計画に基
(230) づく株式発行の正味残高
全ての株式発行は、対価を伴います。
当社により発行された新株予約権の2011年度末現在の状況は以下のとおりです。
(2011年7月31日現在)
新株予約権の残高
22,679,396個
新株予約権の行使により 新株予約権の行使により
発行する株式の発行価格 発行する株式の資本組入額
(1株当たり$32.38)
$ 734,358,842
$ 226,793.96
(4)【所有者別状況】
2011年10月31日から60日以内に権利行使可能となるオプション及び権利確定済み制限株式の決済時に発行可能な
株式を含みます。
株主の区分
Intuit Inc.の現幹部役員
及び取締役のすべて
株主数
15
所有株式数
発行済株式総数に
対する所有株式数の割合
25,358,203
8.4%
報告会社であるインテュイットは、その他の区分の株主に関する所有者別状況を公表していませんが、当社普通株
式の所有者は、個人、パートナーシップ、組合、法人、信託会社等の広範囲にわたっています。
(5)【大株主の状況】(2011年7月31日現在) ※2011年7月31日現在の発行済株式300,596,520株に基づいて算出しました。
氏名又は名称
スコット・ディー・クック
住 所
郵便番号94043
アメリカ合衆国カリフォルニア州
マウンテン・ビュー
コースト通り2700番地
インテュイット・インク気付
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所有株式数(株)
16,260,228
(1)
発行済株式総数に
対する所有株式数
の割合(%)
5.4%
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プライムキャップ・
郵便番号91101
アメリカ合衆国カリフォルニア州
パサディナ
サウス・レーク通り225番400号
29,208,540
9.7%
ヴァンガード・チェスター・アンド・ 郵便番号19355
(3)
アメリカ合衆国ペンシルベニア州
プライムキャップ・ファンズ
マルヴァーン
ヴァンガード通り100番
17,141,400
5.7%
キャピタル・ワールド・インベスター 郵便番号90071
(4)
アメリカ合衆国カリフォルニア州
ズ
ロスアンゼルス
サウス・ホープ通り333番
16,180,000
5.4%
15,516,570
5.2%
94,306,738
31.4%
マネジメント・カンパニー
ブラック・ロック・インク
(2)
(5)
郵便番号 10022
アメリカ合衆国ニューヨーク州
ニューヨーク
イースト52番通り40番
計
-
(1) クック氏が受託者となっている信託が保有する株式です。
(2) プライムキャップ・マネジメント・カンパニー(以下、「プライムキャップ」という)の所有権情報は、2010年12月31日現在
の所有権についてプライムキャップが米国証券取引委員会(SEC)に提出した、スケジュール13Gに基づいています。
(3) ヴァンガード・チェスター・アンド・プライムキャップ・ファンズ(以下、「ヴァンガード」という)の所有権情報は、2010
年12月31日現在の所有権についてヴァンガードが米国証券取引委員会(SEC)に提出した、スケジュール13Gに基づいていま
す。
(4) キャピタル・リサーチ・アンド・マネジメント・カンパニー(以下、「CRMC」という)の一部門であるキャピタル・ワールド
・インベスターズ(以下、「キャピタル・ワールド」という)の所有権情報は、2010年12月31日現在の所有権についてキャピ
タル・ワールドが米国証券取引委員会(SEC)に提出した、スケジュール13Gに基づいています。
(5) ブラック・ロック・インク(以下、「ブラック・ロック」という)の所有権情報は、2011年2月28日現在の所有権についてブ
ラック・ロックが米国証券取引委員会(SEC)に提出した、スケジュール13Gに基づいています。
2【配当政策】
歴史上、Intuitはその普通株式について現金配当を行ったことは一切ありませんでした。当社は、製品及びサービス
の内部発展に資金を供給し、当社の成長を促進するスキル、テクノロジー又は会社への外部投資を促し、並びに事業
で使用されなかった資金を当社の株式買戻制度を通じて株主へ還元するといった、規律された資本の配当過程に
従ってきました。2011年8月、当社の取締役会は、2011年10月10日の終業時に記録されている株主に対して、2011年10
月18日に支払われる発行済普通株式1株当たり0.15ドルの当社の社史において初めてとなる現金配当を宣言しまし
た。2011年10月18日、当社は創業以来初めて、四半期現金配当を1株当たり0.15ドル、合計約4500万ドルにて支払いま
した。2011年11月、当社の取締役会は2012年1月10日の終業時に記録されている株主に対して、2012年1月18日に支払
われる発行済普通株式1株当たり0.15ドルの四半期現金配当を宣言しました。当社は現在四半期ベースでこれに相当
する現金配当の支払いを引き続き行っていくことを予想しています。しかしながら、将来における配当宣言並びに将
来における基準日及び配当支払日の設定は当社の取締役会の最終決定を前提としています。
3【株価の推移】
(1) 【最近5年間の事業年度別最高・最低株価】
以下の表は、表示期間におけるナスダックにおいて取引された当社普通株式の株価の高値及び安値を示すもので
す。
回 次
2007年
2008年
2009年
2010年
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2011年
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決 算
年 月
2007年7月31日 2008年7月31日 2009年7月31日 2010年7月31日 2011年7月31日
最 高(円)
$35.78
(2,743)
$32.70
(2,506)
$31.94
(2,448)
$39.75
(3,047)
$56.07
(4,298)
最 低(円)
$26.98
(2,068)
$25.42
(1,948)
$20.19
(1,548)
$27.47
(2,106)
$38.40
(2,943)
(2) 【当該事業年度中最近6月間の月別最高・最低株価】
2011年
2011年
2011年
2011年
8月
9月
10月
2011年 2011年
月 別
7月
最 高(円)
$52.36
(4,013)
$49.33 $49.36 $55.21 $54.07 $54.56
(3,781) (3,783) (4,232) (4,144) (4,182)
11月
12月
最 低(円)
$46.70
(3,580)
$39.94 $46.24 $45.82 $49.27 $51.02
(3,061) (3,544) (3,512) (3,777) (3,911)
4【役員の状況】
(1) 現職役員の略歴並びに所有株式数等(2011年10月31日現在)
下記の表は、氏名、生年月日、役名及び職名並びに所有株式数(2011年10月31日から60日以内に権利確定済み制限株
式の決済時に行使可能なオプション及び発行可能な株式を含む)です。略歴は、本表の下に記載されています。
氏名
(生年月日)
役名及び職名
任期
所有株式の
種類及び数
ブラッド・ディー・スミス
Brad D. Smith
(1964年4月6日)
社長兼最高経営責任者
兼取締役
2008年1月から
現職
普通株式
806,317株
ウィリアム・ヴィ・キャンベル
William V. Campbell
(1940年8月31日)
執行権限を有さない取締役会会長
1998年8月から
現職
普通株式
81,759株
スコット・ディー・クック
Scott D. Cook
(1952年7月26日)
創立者、取締役、執行委員会委員長
1984年3月から
現職
普通株式
15,660,228株
ローラ・エイ・フェネル
Laura A. Fennell
(1960年12月13日)
上席副社長兼法務部長兼秘書役
2007年2月から
現職
普通株式
244,242株
ダニエル・マウラー
Daniel Maurer
(1956年8月21日)
上席副社長兼消費者向け税務部門担当部長
2008年12月から
現職
普通株式
202,220株
キラン・エム・パテル
Kiran M. Patel
(1948年5月12日)
執行副社長兼小規模事業部門担当
2008年12月から
現職
普通株式
740,517株
アール・ニール・ウィリアムズ
R. Neil Williams
(1953年1月16日)
上席副社長兼最高財務責任者
2008年1月から
現職
普通株式
140,115株
ジェフリー・ピー・ハンク
Jeffrey P. Hank
(1959年10月14日)
副社長兼コントローラー
2005年6月から
現職
普通株式
79,510株
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クリストファー・ダブリュー・
ブロディー
Christopher W. Brody
(1944年11月10日)
取締役
1993年から
現職
普通株式
763,550株
ダイアン・ビー・グリーン
Diane B. Greene
(1955年6月9日)
取締役
2006年から
現職
普通株式
173,748株
エドワード・エイ・カンガス
Edward A. Kangas
(1944年5月22日)
取締役
2007年から
現職
普通株式
147,565株
スザンヌ・ノラ・ジョンソン
Suzanne Nora Johnson
(1957年6月14日)
取締役
2007年から
現職
普通株式
159,592株
デニス・ディー・ポウエル
Dennis D. Powell
(1947年12月21日)
取締役
2004年から
現職
普通株式
162,670株
Smith氏は、2008年1月より社長兼最高経営責任者を務めています。それ以前は2006年5月から2007年12月まで、上席
副社長兼小規模事業部門担当部長を務め、2005年5月から2006年5月まで、上席副社長兼QuickBooks担当部長でした。
Smith氏はまた、2004年3月から2005年5月までは、消費者向け税務グループ担当上席副社長兼部長を務め、2003年2月
から2004年3月までは、当社のアカウント・セントラル・アンド・デベロッパー・ネットワークの副社長兼部長でし
た。2003年に当社に入社する前は、ADP(ビジネス・アウトソーシング・ソリューション会社)のマーケティング及び
事業開発担当上席副社長であり、1996年から2003年まで同社で複数の管理職に就いていました。Smith氏はまた、
Yahoo!の取締役でもあります。マーシャル大学にて経営学の学士号を取得、アキナス大学にて経営学修士号を取得し
ました。
Campbell氏は、1994年5月より当社の取締役を務めています。1998年8月以降、取締役会会長を務め、1999年9月から
2000年1月までは最高経営責任者代理でした。1994年4月から1998年7月までは、当社の社長兼最高経営責任者でもあ
りました。また、Apple, Inc.の取締役です。コロンビア大学にて経済学の学士号を、同大学院にて理学修士号を取得
し、同大学で評議員会会長を務めています。
当社の創立者であるCook氏は、1984年3月から当社の取締役です。1993年2月から1998年7月にかけては、当社の取締
役会会長でした。1984年4月から1994年4月までは、当社の社長兼最高経営責任者でした。また、eBay Inc.及びThe
Procter & Gamble Companyの取締役も務めています。南カリフォルニア大学にて経済学及び数学の学士号を、ハー
バード・ビジネス・スクールにて経営管理学修士号を取得しています。
Fennell氏は、2007年2月より、上席副社長兼法務部長兼秘書役です。2004年4月に、副社長兼法務部長兼秘書役として
当社に入社しました。当社入社以前は、ごく最近まで企業法律情報資源担当副社長及び法務部長代理として、Sun
Microsystems, Inc.に11年近く在籍していました。Sun Microsystems, Inc.入社前は、Wilson Sonsini, Goodrich &
Rosati 法律事務所のアソシエート弁護士でした。カリフォルニア州立大学チコ校にて経営管理学の理学士号を、サ
ンタクララ大学にて法学博士号を取得しています。
Maurer氏は、2008年12月に上席副社長兼消費者向け税務部門ジェネラル・マネジャーに任命されました。Maurer氏
は、当社消費者向け税務部門のマーケティング担当副社長として、2006年1月に入社しました。その後、上席副社長兼
最高マーケティング責任者を務めました。当社に入社する以前には、The Campbell’s Soup社で戦略を統率し、また
Proctor & Gamble社でマーケティングの上級職を歴任しました。ウィスコンシン大学でマーケティング及びファイ
ナンスの学士号を取得しています。
Patel氏は、2008年12月から執行副社長兼小規模ビジネス・エコシステム部門担当部長です。2007年6月から2008年
12月まで、上席副社長兼消費者向け税務グループ担当部長でした。Patel氏は、2005年9月から2008年1月まで、上席副
社長兼最高財務責任者でした。2001年8月から2005年9月までは、Solectron Corporation(電子機器販売チェーンサー
ビスのプロバイダ)の執行副社長兼最高財務責任者として、同社にて財務、法務、IR及び事業開発活動の指揮を執って
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いました。2000年10月から2001年5月までは、iMotors(中古車を扱うインターネット・ベースの付加価値再販業者)の
最高財務責任者でした。それ以前は、Cummins Inc.で27年間、広範囲にわたる財務ポジションに従事し、同社退職前は
最高財務責任者兼執行副社長でした。KLA-Tencor Corporation の取締役でもあります。テネシー大学にて電気工学
の理学士号及び経営管理学修士号を取得しており、公認会計士です。
Williams氏は、2008年1月7日に上席副社長兼最高財務責任者として当社に入社しました。Williams氏は2001年から
米国の大手決済システムを提供する会社であるVisa U.S.A.社の執行副社長となり、また2004年には同社の最高財務
責任者に就任し、同社及びその子会社の財務部門全般を率いてきました。Williams氏は、Visa社のグローバルなIT組
織であって同社の全世界の取引処理及び技術開発を担っているInovant LLC社の最高財務責任者も兼任しました。
Williams氏は南ミシシッピ大学より経営管理学の学士号を取得しており、公認会計士です。
Hank氏は、2005年6月より副社長兼コントローラーです。2003年10月、当社にアカウンティング・プリンシプルズ・
グループ担当取締役として入社しました。2002年6月から2003年9月までは、KPMG LLP.にて監査パートナーをしてい
ました。1994年9月から2002年6月までは、Arthur Andersen LLP.の監査パートナーでした。カリフォルニア大学バー
クレー校にて、経営管理学(会計及びファイナンス)の理学士号を取得しています。
Brody氏は、1993年より当社の取締役であり、報酬及び組織開発委員会及び指名及びガバナンス委員会の委員長で
す。1999年1月以降、Vantage Partners LLC(未公開株投資会社)の会長をしています。1971年から1998年までは、
Warburg, Pincus & Co.(ベンチャーキャピタル及び未公開企業投資会社)のパートナーでした。複数の非公開会社の
取締役も務めています。ハーバード・カレッジにて英文学の文学士号を取得、バーバード・ビジネス・スクールにて
経営管理学修士号を取得しています。
Greene氏は、2006年8月より当社の取締役であり、監査及びリスク委員会並びに指名及びガバナンス委員会メンバー
です。VMware, Inc.(仮想デスクトップ、サーバー、ストレージ及びネットワーク用ソフトウェアのデベロッパー及び
プロバイダ)の共同創立者であり、前社長兼最高経営責任者兼取締役です。1998年のVMware, Inc.共同創立前は、
Silicon Graphics、 Tandem、及びSybaseにて技術責任者を務め、VXtremeの最高経営責任者でした。Greene氏はまた、
MIT Corporationのメンバーも務めました。バーモント大学にて機械工学の学士号を、マサチューセッツ工科大学に
て造船工学の修士号を、カリフォルニア大学バークレー校にてコンピュータサイエンスの理学修士号を取得してい
ます。
Kangas氏は、2007年7月より当社の取締役であり、また買収委員会並びに報酬及び組織開発委員会の委員も務めてい
ます。2003年7月以来、Tenet Healthcare(救急病院及び関連ヘルスケアサービスのオーナー兼運営会社)の執行権限
を有さない会長であり、2003年4月から取締役として従事しています。1989年から2000年には、監査・税務・コンサル
ティング及び財務助言サービスをグローバルに提供するDeloitte Touche Tohmatsuのグローバル会長兼最高経営責
任者でした。また、1989年から1994年までは、Deloitte & Touche(米国)のマネージング・パートナーでした。
Allscripts、Hovnanian Enterprises, Inc.及びUnited Technologies Corporationの取締役でもあります。カンザス
大学にて経営管理学の学士号及び修士号を取得しています。
Nora Johnson氏は、2007年7月より当社の取締役であり、また買収委員会並びに監査及びリスク委員会の委員も務め
ています。1985年から2007年まで、トップクラスの投資銀行業、証券業及び投資運用業を世界中で展開するGoldman
Sachs Groupで上席管理職等を歴任しました。上席取締役になる前は、Goldman Sachs Group副会長、同社グローバル
・マーケッツ・インスティテュートの会長、同社グローバル投資リサーチ部門の部門長、及び同社経営委員会メン
バーでした。American International Group, Inc.、Pfizer Inc.(研究開発型の生物医学及び製薬会社)及びVisa
Inc.(国際商取引を支える商品、サービス及びインフラを提供する会社)の取締役も務めています。同氏が所属する非
営利組織の中には、米国赤十字、ブルッキングス研究所、ワシントン・カーネギー研究所、マークル財団及び南カリ
フォルニア大学等があります。南カリフォルニア大学にて学士号を、ハーバード・ロー・スクールにて法学博士号を
取得しました。
Powell氏は、2004年2月より当社の取締役であり、買収及びリスク委員会の委員及び監査委員会委員長です。1997年
にCisco Systemsに入社し、2003年5月から2008年2月まで、上席副社長兼最高財務責任者として従事しています。
Cisco Systems入社前は、Coopers & Lybrand LLPに26年間勤務し、同社退職前はシニア・パートナーでした。Applied
Materials, Inc.(製造サービス、装置及びソフトウェアを提供する会社)及びVMware, Inc.の取締役でもあります。
オレゴン州立大学にて経営管理学会計学専攻の理学士号を取得しています。
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(2) 取締役と執行役への報酬
当社の使用人でもある取締役3名(Campbell氏、Cook氏、及びSmith氏)は、その職務に対する追加あるいは特別な報酬
を受けてはおりません。当社の非使用人兼務取締役には、取締役会での職務に対し株式と現金を併用した報酬が支払
われております。
年間報酬
非使用人兼務取締役には、取締役会で果たす役割に基づいた年間報酬が支払われています。この年間報酬は、年4回
に分けて支払われます。2011年度中に支払われた年間報酬は以下の通りです。
役 職
年 額
取締役会メンバー
60,000ドル
買収、管理及びリスク、報酬及び組織開発委員会メンバー
15,000ドル
指名及びガバナンス委員会メンバー
10,000ドル
買収、報酬及び組織開発、並びに指名及びガバナンス委員会委員長
17,500ドル
監査及びリスク委員会委員長
32,500ドル
当社は、取締役会や委員会への出席に際し発生する非使用人兼務取締役の実費負担分を払い戻しております。
報酬及び組織開発委員会
報酬及び組織開発委員会(以下、「報酬委員会」という)は、当社の役員報酬の見直しとその承認及び管理職とその他
従業員の全社的な能力開発の監督に関し、取締役会を補佐するものです。当委員会の各メンバーは、米国ナスダック
市場(NASDAQ)の上場基準に基づき独立しており、1934年連邦証券取引所法の規則16 (b)-3に定義される「非使用人兼
務取締役」です。報酬委員会は2010年度中に9回開催されました。報酬委員会は、当委員会のメンバー、時に取締役会会
長のWilliam Campbellのみが出席し、毎回ミーティングの一部を非公開にして行いました。
役員報酬
報酬一覧表
以下の表は、当社の最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)、最も高額な報酬を受けた3名の執行役員、及び前任
の執行役員1名に支払われた2011年度の報酬額の一覧です。当社においては、これらの個人を「指名執行役員」(Named
Executive Officers)と呼んでいます。
非株式
氏名及び主要な役職
Brad D. Smith
社長兼
最高経営責任者
R. Neil Williams
上席副社長兼
最高財務責任者
株式
報奨
($)(1)
ボーナス
($)
オプション インセンティブ その他報酬
報奨
プラン報酬
総額
($)(2)
($)(3)
($)
事業
年度
給与
($)
2011
950,000
-
7,514,292
1,303,378
1,852,500
(4)
12,819 11,632,989
(5)
2010
800,000
-
8,481,403
3,100,886
1,428,000
61,502 13,871,791
2009
800,000
-
2,018,130
-
828,000
65,418 3,711,548
2011
625,000
-
2,372,879
339,724
621,002
(4)
14,725 3,973,330
(5)
2010
600,400
200,000
2,563,352
885,286
600,000
14,725 4,863,763
2009
600,000
200,000
503,370
-
388,000
16,994 1,708,364
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合計額
($)
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Kiran M. Patel
執行副社長兼
小規模事業部門
担当部長
2011
700,000
-
2,623,398
372,602
1,033,004
(4)
14,986 4,743,990
(5)
2010
700,000
-
3,902,471
1,280,044
1,025,000
115,349 7,022,864
2009
700,000
-
3,818,990
-
550,000
444,696 5,513,686
Daniel R. Maurer
上席副社長兼
消費者向け税務部門
担当部長
2011
515,000
-
2,397,810
339,724
512,001
(4)
13,751 3,778,286
(5)
2010
475,000
-
2,222,545
599,025
545,000
13,751 3,855,321
Laura A. Fennell
上席副社長兼
ジェネラルカウンセル
2011
475,000
399,000
(4)
1,108,972
153,428
-
16,780 2,153,180
(5)
(1) 年間株式報奨に加えて、一定の指名執行役員(Named Executive Officers)が購入した制限付き株式ユニットがMSPPに基づく
2010年度のボーナスからの繰延金に合致するように、上記の金額は2010年8月にIntuitが付与した制限付き株式ユニットの
公正価値が含まれています。上記の表で示される金額は、適用ある事業年度中に付与された報奨について、失権がなかったも
のとみなしてFASB ASC Topic 718号に従い計算される当該報奨の付与日時点での公正価値の総額を表しています。2011年7
月より前に付与された各RSU報奨について、付与日時点での公正価値は、当該日における当社普通株式の終値を使用して算出
されます。2011年7月、当社は将来において現金配当を行うことが可能であると判断しました。制限付き株式ユニットの保有
者が配当を受ける資格を有していないため、2011年7月を開始日として、当社は付与期間中に株式について支払われる予定で
Topic 718号に従い適切なリスクフリーの利率で割り引かれる配当の現在価値を考慮するためにエクイティ報奨の公正価値
の調整を開始しました。パフォーマンス条件の対象となる株式報奨については、付与日における公正価値は、当該条件の実現
可能性に基づきます。
(2) 上記の表で示される金額は、FASB ASC Topic 718号に従い失権がないものとして計算された、適用ある事業年度中に付与さ
れたオプションの、付与日時点における公正価値を表します。ストック・オプション報奨に関する評価の仮定に関する情報
及び株式ベースの報奨評価の網羅的な説明については、2011年7月31日に終了する事業年度に係る当社の年次報告書(Form
10-K)をご覧ください。2010年度の金額は、(i)2009年度のパフォーマンスが認められて2009年8月(2010年度の開始直後)に付
与されたオプション報奨の付与日における公正価値及び(ii)2010年度のパフォーマンスが認められて2010年7月(2010年度
の終了直前)に付与された報奨の付与日における公正価値の両方を含みます。
(3) これらの金額は、適用ある事業年度において当社上席執行役インセンティブ・プラン(SEIP)に基づきパフォーマンスに対し
て与えられた報酬の金額を表しています。
(4) この金額は、MSPPに基づき受取人の選択によって繰り延べられた、下表に定められる金額を含みます。MSPPの条件に基づき、
参加者はその選択によって、年間SEIP報酬又はIPI報酬の一定部分を使って、2005年当社株式インセンティブ・プランに基づ
く制限付き株式ユニットを購入することができます。当社はこれらの制限付株式ユニットを、授与日から3年以内に権利の確
定する他の制限付株式ユニットとマッチさせます。
2011年度
氏名
Brad D. Smith
執行役員によるMSPP拠出額
(ドル)
執行役員による拠出のために
留保された繰延株式ユニット
(個)
185,207
4,243
R. Neil Williams
62,070
1,422
Daniel R. Maurer
76,780
1,759
Laura A. Fennell
59,844
1,371
(5) 当該金額には、下記表に定められるその他の報酬が含まれます。
氏名
401(k)プランに基づく
マッチング拠出額
長期所得補償保険
(LT Disability)
Brad D. Smith
10,000
2,819
R. Neil Williams
10,000
4,725
Kiran M. Patel
10,000
4,986
Daniel R. Maurer
10,000
3,751
Laura A. Fennell
13,548
3,232
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5【コーポレート・ガバナンスの状況等】 (1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
当社は、全従業員(全役員を含む)を対象とする行動規範及び倫理規範を維持しています。当社はまた、取締役会の構
成員全員に適用される取締役会倫理規範を維持しています。当社の行動規範及び倫理規範並びに取締役会倫理規範
は、悪辣な行為の防止、誠実で倫理に適った行動の推進並びに適用法令の遵守を目的としたガイドラインを組み込ん
でいます。当社の行動規範及び倫理規範並びに取締役会倫理規範は、当社ウェブページ上インベスター・リレーショ
ンズ関連のページからご覧頂けます。
(www.intuit.com/about_intuit/investors/corporate_gov.)
当社は、当社の行動規範及び倫理規範並びに取締役会倫理規範の改正、又は当社執行役員及び取締役に対して付与
されたかかる規定の免除について、上記ウェブページ上で開示を行っております。
(2)【監査報酬の内容等】
①【外国監査公認会計士等に対する報酬の内容】
前連結会計年度
区 分
監査証明業務
に基づく報酬
(円)(1)
当連結会計年度
非監査業務 監査証明業務 非監査業務
に基づく報酬 に基づく報酬 に基づく報酬
(円)
(円)(1)
(円)
提出会社
$4,020,000
(308,133,000)
$0
(0)
$3,442,000
(263,829,300)
$0
(0)
連結子会社
-
-
-
-
計
$4,020,000
(308,133,000)
$0
(0)
$3,442,000
(263,829,300)
$0
(0)
(1) 「監査証明業務に基づく報酬」には、保証及び当社の財務書類監査又はレビューを行う上で合理的に関係を有するその他
のサービスにかかる金額を含めています。
②【その他重要な報酬の内容】
当社は、2010年度においても2011年度においても、Ernst & Young に対して、税務その他にかかる報酬は支払ってい
ません。
③【外国監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容】
該当なし。
④【監査報酬の決定方針】
独立登録会計事務所による業務提供について事前承認を要する旨の、監査及びリスク委員会の方針
監査及びリスク委員会では、各事業年度開始時を目途に、当該事業年度において独立登録会計事務所により提供さ
れる監査業務及び許容される非監査業務について事前承認を行う方針にしています。監査及びリスク委員会は、各プ
ロジェクトのために、当該プロジェクトの予算の枠内でサービスというカテゴリーにて特定のプロジェクトを許可
します。監査及びリスク委員会はまた、事業年度中、ケースバイケースで、特定のサービスを事前許可します。独立監
査人及び経営陣は監査及びリスク委員会に対し、あらかじめ承認された予算に対して実際に発生した報酬の金額を、
定期的に報告しています。
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第6【経理の状況】
(イ) インテュイット・インク及び連結子会社(以下、「インテュイット」又は「当社」という)は、1934年制定
の米国証券取引法に従い、米国証券取引委員会(以下、「SEC」という)に対して年次報告書として、様式
10-K(Form10-K)の提出を行っている。その報告書に収載されている財務書類は、米国において一般に公正
妥当と認められる企業会計基準、会計手続、用語、作成方法及び米国レギュレーションS−Xの規定に基づき
作成されたものである。
本書記載の連結財務書類は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第
59号。以下「財務諸表等規則」という)第129条第1項の規定の適用を受けている。
(ロ) 本書記載の連結財務書類(原文(英文))は、アーンスト・アンド・ヤングLLPの会計監査を受けており、
別紙のとおり監査報告書を添付している。
なお、本書記載の当社の連結財務書類は、金融商品取引法第193条の2第1項第1号及び「財務諸表等の監査証
明に関する内閣府令」(昭和32年大蔵省第12号)第1条の2の規定により、外国監査法人等により監査証明
に相当すると認められる証明を受けている。
(ハ) 本書記載の連結財務書類及び独立登録会計事務所の監査報告書のうち、原文(英文)は、当社がSECに提出
したものの写しであり、日本文はこれらの原文を翻訳したものである。
また、当社の原文の連結財務書類は、米ドルで表示されている。「円」で表示されている金額は、「財務諸表
等規則」第132条の規定に基づき、主要な計数について、2011年9月30日現在の三菱東京UFJ銀行の対顧客電
信直物相場(仲値)の1ドル=76.65円で換算された金額である。金額は百万円単位(単位金額未満は四捨
五入)で表示されている。
(ニ) 当社の連結財務書類の作成上採用した企業会計基準、会計手続及び表示方法と、日本において一般に公正妥
当と認められる企業会計基準、会計手続及び表示方法との間の主な相違点に関しては、「財務諸表等規則」
第130条及び第131条の規定に従って第6の「4.米国と日本における会計原則の相違」に説明されてい
る。
(ホ) 連結財務書類の円換算額及び第6の2.から4.までの事項は原文の連結財務書類には記載されておら
ず、上記(ロ)の会計監査の対象にもなっていない。
1【財務書類】
(1)連結損益計算書
2011年7月31日
終了事業年度
2010年7月31日
終了事業年度
2009年7月31日
終了事業年度
(百万円)
(百万ド
ル)
(百万円)
(百万ド
ル)
(百万円)
$ 1,481
113,519
$ 1,412
108,230
$ 1,376
105,470
サービス及びその他
2,370
181,660
2,043
156,596
1,733
132,835
純売上高合計
3,851
295,179
3,455
264,826
3,109
238,305
(単位:百万ドル/百万円−1株当たり値のみドル/
円、百万株)
(百万ドル)
純売上高:
製品
売上原価及び費用:
売上原価:
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製品売上原価
144
11,038
144
11,038
156
11,957
サービス及びその他売上原価
510
39,092
460
35,259
422
32,346
17
1,303
49
3,756
59
4,522
1,111
85,158
976
74,811
907
69,522
研究開発費
634
48,596
573
43,920
556
42,618
一般管理費
354
27,134
348
26,674
284
21,769
その他取得無形資産償却費
44
3,372
42
3,219
42
3,219
のれん及び無形資産減損損失
30
2,300
-
-
-
-
売上原価及び費用合計
2,844
217,993
2,592
198,677
2,426
185,953
継続事業による営業利益
1,007
77,186
863
66,149
683
52,352
(60)
(4,599)
(61)
(4,675)
(51)
(3,909)
19
1,457
13
996
21
1,609
継続事業による税引前利益
966
74,044
815
62,470
653
50,052
法人税等
332
25,448
276
21,156
206
15,789
継続事業による当期純利益
634
48,596
539
41,314
447
34,263
-
-
35
2,683
-
-
$ 634
48,596
$ 574
43,997
$ 447
34,263
$ 2.07
159
$ 1.71
131
$ 1.39
107
-
-
9
-
-
$ 2.07
159
140
$ 1.39
107
取得技術償却費
販売費及びマーケティング費用
支払利息
受取利息及びその他収益(純額)
非継続事業による当期純利益
当期純利益
継続事業による基本的1株当たり当期純利益
非継続事業による基本的1株当たり当期純利益
基本的1株当たり当期純利益
基本的1株当たり当期純利益の基礎となる株式数
継続事業による希薄化後1株当たり当期純利益
非継続事業による希薄化後1株当たり当期純利益
希薄化後1株当たり当期純利益
希薄化後1株当たり当期純利益の基礎となる株式数
307
0.11
$ 1.82
316
322
$ 2.00
153
$ 1.66
127
$ 1.35
103
-
-
0.11
9
-
-
$ 2.00
153
$ 1.77
136
$ 1.35
103
317
連結財務書類注記参照。
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(2)連結貸借対照表
2011年7月31日現在
(百万円)
(百万ドル)
(百万円)
$ 722
55,341
$ 214
16,403
投資
699
53,579
1,408
107,923
売掛金、貸倒引当金$20及び$22控除後
171
13,107
135
10,348
未収法人税等
72
5,519
27
2,070
繰延税金資産
94
7,205
117
8,968
前払費用及びその他流動資産
82
6,285
57
4,369
1,840
141,036
1,958
150,081
414
31,733
337
25,831
2,254
172,769
2,295
175,912
63
4,829
91
6,975
561
43,001
510
39,092
1,886
144,562
1,914
146,708
取得無形資産、純額
180
13,797
256
19,622
長期繰延税金資産
55
4,216
41
3,143
111
8,508
91
6,975
$ 5,110
391,682
$ 5,198
398,427
$ 500
38,325
$ -
-
買掛金
129
9,888
143
10,961
未払報酬及び関連負債
215
16,480
206
15,790
繰延収益
406
31,120
387
29,664
-
-
14
1,073
141
10,807
134
10,271
1,391
106,620
884
67,759
(単位:百万ドル/百万円−1株当たり値のみドル/円)
(百万ドル)
2010年7月31日現在
(資産の部)
流動資産:
現金及び現金同等物
顧客のために保有する資金考慮前流動資産
顧客のために保有する資金
流動資産合計
長期投資
有形固定資産、純額
のれん
その他資産
資産合計
(負債及び資本の部)
流動負債:
1年以内返済予定長期借入債務
未払法人税等
その他流動負債
顧客預り金考慮前流動負債
74/171
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
414
31,733
337
25,831
1,805
138,353
1,221
93,590
長期借入金
499
38,248
998
76,496
その他長期債務
190
14,564
158
12,111
2,494
191,165
2,377
182,197
優先株式、額面$0.01
授権株式数−1,345千株
(内、シリーズA145千株及び
シリーズB(準参加型)250千株)
発行済株式数−無し
-
-
普通株式、額面$0.01
授権株式数−750,000千株
発行済株式数
−2011年7月31日現在300,597千株、
2010年7月31日現在313,861千株
3
230
3
230
2,883
220,982
2,725
208,872
(4,316)
(330,821)
(3,315)
(254,095)
顧客預り金
流動負債合計
負債合計
契約債務及び偶発債務
資本:
資本剰余金
自己株式、取得価額
その他の包括利益累積額
-
15
1,150
11
843
4,031
308,976
3,397
260,380
2,616
200,517
2,821
216,230
$ 5,110
391,682
$ 5,198
398,427
利益剰余金
資本合計
負債及び資本合計
-
連結財務書類注記参照。
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75/171
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
(3)連結株主持分計算書
普通株式
(単位:百万ドル、千株)
株式数
2008年7月31日現在残高
322,600
その他の
包括利益
資本剰余金 自己株式 累積額 利益剰余金 資本合計
金額
$ 3
$ 2,412 $ (2,786)
$ 7
$ 2,444 $ 2,080
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
-
447
-
-
-
包括利益計
従業員株式購入制度による普通株式の発行
制限付き株式ユニットのリリース、税効果考慮後
株式買戻プログラムに基づく株式買戻額
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
447
10,107
-
-
219 -
(21)
198
966
-
(15)
21 -
(21)
(15)
-
-
(300) -
-
(300)
- -
-
(10,907)
-
-
株式報酬費用
その他
2009年7月31日現在残高
447
-
18
-
-
133
- -
(4)
322,766
18
-
-
-
133
(4)
3 2,544 (2,846) 7 2,849 2,557
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
-
-
-
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
-
574
4
4
-
包括利益計
従業員株式購入制度による普通株式の発行
制限付き株式ユニットのリリース、税効果考慮後
株式買戻プログラムに基づく株式買戻額
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
578
18,286
-
38
402 -
1,554
-
(26)
28 -
-
36
(28,745)
-
-
株式報酬費用
その他
2010年7月31日現在残高
574
313,861
-
135
(26)
(24)
(900) -
-
(900)
-
-
-
(2)
440
-
36
1 -
-
135
(1)
3 2,725 (3,315) 11 3,397 2,821
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
-
-
-
-
634
634
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
4
-
4
包括利益計
従業員株式購入制度による普通株式の発行
制限付き株式ユニットのリリース、税効果考慮
後
株式買戻プログラムに基づく株式買戻額
638
12,808
-
2,162
-
(28,234)
31
(107)
-
-
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
-
-
81
株式報酬費用
-
-
300,597
$ 3
153
$
2,883
2011年7月31日現在残高
76/171
307
-
-
338
52
-
-
(55)
-
-
(1,360)
-
-
81
$
15
$
4,031
153
$
2,616
(1,360)
$
(4,316)
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
その他
の
包括利
益
累積額 利益剰余金 資本合計
普通株式
(単位:百万円、千株)
株式数
2008年7月31日現在残高
金額
322,600
資本剰余金
230
自己株式
184,880
(213,547)
536
187,333
159,432
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
-
34,263
-
34,263
-
-
包括利益計
34,263
従業員株式購入制度による普通株式の発行
制限付き株式ユニットのリリース、税効果考慮
後
株式買戻プログラムに基づく株式買戻額
10,107
-
966
-
(10,907)
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
-
-
株式報酬費用
-
-
2009年7月31日現在残高
-
322,766
16,786
-
(1,610) 15,176
1,610
-
(1,610) (1,150)
(1,150)
-
(22,995) -
1,380
-
その他
-
-
10,194
-
-
-
-
(306)
-
(22,995)
-
1,380
-
-
10,194
(306)
230 194,998 (218,146) 536 218,376 195,994
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
-
-
-
-
43,997
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
307
43,997
307
-
包括利益計
44,304
従業員株式購入制度による普通株式の発行
制限付き株式ユニットのリリース、税効果考慮
後
株式買戻プログラムに基づく株式買戻額
18,286
-
2,913
30,813
-
1,554
-
(1,993)
2,146
-
(28,745)
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
-
-
株式報酬費用
-
-
2010年7月31日現在残高
-
313,861
-
-
-
10,348
-
(153)
(68,985)
2,759
-
77
33,726
(1,993) (1,840)
(68,985) -
2,759
-
その他
-
-
-
-
10,348
(76)
230 208,872 (254,095) 843 260,380 216,230
包括利益の構成要素:
当期純利益
-
-
-
-
-
48,596
48,596
その他の包括利益、税効果考慮後
-
-
-
-
307
-
307
包括利益計
従業員株式購入制度による普通株式
の発行
制限付き株式ユニットのリリース、
税効果考慮後
株式買戻プログラムに基づく株式買
戻額
株式報酬制度に係るタックス・ベネ
フィット
株式報酬費用
48,903
12,808
-
2,376
23,532
-
-
25,908
2,162
-
(8,202)
3,986
-
-
(4,216)
-
- (104,244)
(28,234)
-
-
-
-
6,209
-
-
-
6,209
-
-
11,727
-
-
-
11,727
77/171
(104,244)
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
2011年7月31日現在残高
300,597
230
連結財務書類注記参照。
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78/171
220,982
(330,821) 1,150
308,976
200,517
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
(4)連結キャッシュ・フロー計算書
2011年7月31日終了
事業年度
(単位:百万ドル/百万円)
(百万ドル)
(百万
円)
2010年7月31日終了
事業年度
2009年7月31日終
了
事業年度
(百万ド
ル)
(百万
ドル)
(百万
円)
(百万
円)
営業活動によるキャッシュ・フロー:
当期純利益
$ 634
48,596
$ 574
43,997
$ 447
34,263
164
12,571
148
11,345
149
11,421
取得無形資産償却費
77
5,902
108
8,278
126
9,658
のれん及び無形資産減損損失
30
2,300
-
-
-
-
153
11,727
135
10,348
133
10,194
-
-
(58)
(4,446)
-
-
繰延税金
31
2,376
(69)
(5,289)
22
1,686
株式報酬制度に係るタックス・ベネフィット
81
6,209
36
2,760
18
1,380
(71)
(5,442)
(18)
(1,380)
(9)
(690)
19
1,456
23
1,763
13
997
484
37,099
305
23,379
452
34,646
売掛金
(36)
(2,759)
2
153
(18)
(1,380)
前払費用、未収法人税等及びその他資産
(70)
(5,366)
20
1,533
(12)
(920)
買掛金
(24)
(1,840)
40
3,066
(7)
(536)
当期純利益から営業活動により得たキャッシュ純額への調
整
減価償却費
株式報酬費用
非継続事業売却益(税引前)(1)
株式報酬制度に係る超過タックス・ベネフィット
その他
調整合計
営業資産及び負債の増減:
未払報酬及び関連負債
繰延収益
未払法人税等
8
613
33
2,529
(55)
(4,216)
28
2,146
32
2,453
26
1,993
(15)
(1,150)
14
1,073
(18)
(1,380)
(22)
(1,686)
(3)
(230)
(8,049)
119
9,121
(87)
(6,669)
77,646
998
76,497
812
62,240
4
その他負債
(105)
営業資産及び負債の増減の合計
1,013
営業活動により得たキャッシュ純額
307
投資活動によるキャッシュ・フロー:
売却可能負債証券の購入
(1,257)
売却可能負債証券の売却
1,626
124,633
1,660
127,239
426
32,653
売却可能負債証券の満期償還
328
25,141
474
36,332
57
4,369
顧客預り金債務を支払うために保有するマネー・マーケッ
ト・ファンド及びその他現金同等物の増減額(純額)
(51)
(3,909)
82
6,285
366
28,054
77
5,902
65
4,982
(366) (28,054)
(8,738)
(74)
(5,672)
(131) (10,041)
顧客預り金の増減額(純額)
有形固定資産の購入
(114)
79/171
(96,349) (3,029) (232,173)
(550) (42,158)
EDINET提出書類
インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
自社利用ソフトウェアの資産計上
(99)
(7,588)
(56)
(4,292)
(51)
(3,909)
無形資産の取得
(15)
(1,150)
(13)
(996)
(20)
(1,533)
(16,710)
事業の取得額(取得現金控除後)
-
-
(218)
事業売却による収入
-
-
122
その他
2
153
(10)
(766)
497
38,095
(997)
(76,420)
株式報酬制度に基づく普通株式の発行による純収入
338
25,908
440
33,726
198
15,177
制限付き株式ユニットの発行に関連する納税額
(55)
(4,216)
(24)
(1,840)
(15)
(1,150)
(1,360) (104,244)
(900)
(68,985)
投資活動により得た(使用した)キャッシュ純額
9,351
(161) (12,341)
(2)
(153)
(432) (33,113)
財務活動によるキャッシュ・フロー:
自己株式の購入
株式報酬制度に係る超過タックス・ベネフィット
その他
71
5,442
-
-
(1,006)
財務活動により使用したキャッシュ純額
(77,110)
18
1,380
(300) (22,996)
9
690
(1)
(77)
(2)
(153)
(467)
(35,796)
(110)
(8,432)
(4)
(306)
4
307
現金及び現金同等物純増加(減少)
508
38,938
(465)
(35,642)
266
20,389
現金及び現金同等物期首残高
214
16,403
679
52,045
413
31,656
現金及び現金同等物期末残高
$ 722
55,341
$ 214
16,403
$ 679
52,045
$ 60
4,599
$ 61
4,676
$ 56
4,292
$ 270
20,696
$ 277
21,232
$ 190
14,564
$ -
-
$ -
-
$ 69
5,289
現金及び現金同等物に対する為替レートの影響額
1
77
補足情報:
利息支払額
法人税等の支払額
購入無形資産の取得により発生した未払ライセンス料
(1) いずれの表示事業年度においても、非継続事業からのキャッシュ・フローは重要性がないため、このキャッシュ・フロー
計算書において、区分掲記していない。
非継続事業売却益の影響については、この連結キャッシュ・フロー計算書において表示している。連結財務書類注記8参
照。
連結財務書類注記参照。
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
(5)連結財務書類注記
1.事業の概要及び重要な会計方針
事業の概要
当社は、中小企業、一般消費者、会計専門家、金融機関向けの事業・財務管理ソリューションを提供している。当社の
旗艦製品及びサービスには、支払、給与処理、税務申告書作成・提出、個人金融管理を含む中小企業経営を簡素化する
クイックブックス、ターボタックス及びクイッケン等がある。ProSeries及びLacerteは、会計専門家向けの税務申告
書作成用の提供商品である。当社の財務サービス事業は、銀行や信用組合に対して、オンライン・バンキング・ソ
リューション及びサービスを提供している。当社は1984年に法人化し、本社をカリフォルニア州マウンテン・ビュー
市に置き、製品及びサービスを主に米国内で販売している。
財務書類の表示方針
連結財務書類には、当社及びその100%子会社の財務書類を含めている。すべての重要な連結会社間の勘定残高及び
取引は連結消去している。過年度の財務書類の報告数値は、非継続事業及び報告対象セグメントに関する金額を含め
て、現行の表示方法に合わせるために一定の組替えを行っている。
当社は、2009年度にペイサイクル・インク、2010年度にミント・ソフトウェア・インク及びメドフュージョン・イ
ンクを買収した。したがって、これらの会社のそれぞれの取得日以降の経営成績を、当社の連結経営成績に含めてい
る。注記7参照。注記8に記載のとおり、当社は、2010年1月にインテュイット・リアル・エステート・ソリューション
ズ事業を売却した。この事業を非継続事業として反映するため、売却前の全期間の当社の財務書類の組替えを行っ
た。別途記載がない限り、本注記の記載は当社の継続事業に関するものである。
季節変動
当社のクイックブックス、消費者向け税務及び会計専門家向け提供商品には大きな季節変動がある。クイックブッ
クス・ソフトウェア製品の売上は、第2四半期及び第3四半期に最も増加する傾向がある。所得税申告書作成製品及び
サービスの売上は、11月から4月に大きく集中する。このような季節パターンがあるため、当社の純売上高合計は、通
常、1月31日に終了する第2四半期及び4月30日に終了する第3四半期に最も大きくなる。10月31日に終了する第1四半
期及び7月31日に終了する第4四半期は、税務事業の売上が最も少ない一方、営業費用が比較的一定水準を保つため、
損失を計上するのが通常である。
見積りの使用
当社は、財務書類の数値やその注記の開示内容に影響を与える見積り及び仮定を行っている。例えば、製品返品引当
金及びリベート引当金の適正水準、売掛金の回収可能性、多様な未払計上の適正水準、世界的規模の法人税の金額、並
びに繰延税金資産の実現可能性を判断するために見積を使用している。また、取得無形資産、有形固定資産、並びにそ
の他の長期性資産の経済的残存年数及び帳簿価額の決定において見積りを用いている。さらに報告単位、株式報酬制
度、及び非流動性のオークション・レート公債の公正価値を見積もるために仮定を用いている。正確な見積りの設定
及び合理的な仮定の使用に努めているが、実際の結果は見積りと異なる場合がある。
収益認識
当社の収入源は、パッケージ化されたソフトウェア製品の販売、ソフトウェア・サブスクリプション、ホスティング
・サービス、技術サポート・プラン、財務消耗品、導入サービス、取引手数料、マーチャント・サービス・ハードウェ
ア、並びにこれらの製品及びサービスを組み合わせた複数要素を提供する契約である。当社は、契約について説得力
のある証拠が存在し、製品引渡済又はサービス提供済で、販売価格が確定しているか決定可能であり、回収可能性が
高い、という4つの収益認識基準のすべてが満たされた場合に、収益を認識している。これらの基準が満たされたかど
うか、並びに、いつ満たされたかを確定するには、認識する収益の時期と金額に重要な影響を及ぼすような判断と見
積と仮定の使用を伴う。
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
状況により、当社は顧客から前受金を受けることがある。これらの前受金及び複数要素を提供する取引における未
引渡・未提供部分の公正価値については、当社が製品を出荷又はサービスを提供するまで、収益を繰り延べている。
当社が顧客又は再販業者に与えた金銭対価(例えば、販売報奨金など)は、当社が識別可能な利益を受け取り且つ
その公正価値を合理的に見積もることが可能でない限り、営業費用としてではなく売上の控除項目として計上して
いる。
製品売上
当社のパッケージ化されたソフトウェア製品、小切手用印刷済の用紙のような財務消耗品、小売の販売時点情報管
理機器及び携帯電話用クレジットカード・リーダーのような商用サービス・ハードウェアの販売では、法的所有権
が移転された時点で収益を認識している。これは、通常、当社の顧客が製品をウェブサイトからダウンロードした時
点、当社が製品を出荷した時点、又は特定の契約においては製品が小売業者に引き渡された時点である。クイック
ブックス、ターボタックス及びクイッケンといったデスクトップ・ソフトウェア製品の一部は、特定の小売業者に委
託して販売している。委託販売取引の場合は、エンド・ユーザーに販売された時点でのみ収益を認識している。サブ
スクリプション・ベースで販売するソフトウェア製品及び定期的なアップデートを含む製品については、契約期間
にわたり収益を比例配分して認識している。製品売上は、預り売上税を控除して計上している。
当社は、過去の返品実績や、小売販路での製品の販売数量及び価格構成、過去にリリースされた製品の返品率、小売
業者の在庫動向、当社製品への顧客需要に影響する可能性のある景気動向などのその他要因(競合環境及び当社新
製品リリースのタイミングを含む)に基づいて見積もった返品額を、流通業者及び小売業者に対する製品の売上か
ら減額している。また、一部の現行製品の販売に関して支払うリベートの見積額も、製品の売上から減額している。流
通業者及び小売業者の販売奨励リベートに対する引当金は、リベート制度の契約条件に対する販売実績に基づいて
いる。エンド・ユーザーに対するリベートの引当は、販促リベート制度の条件、販促中の実際の売上、製品別及び販促
制度種類別の過去の支払実績に基づいて見積もっている。
サービス及びその他売上
当社のサービス売上は、主にクイックブックス・オンラインやターボタックス・オンラインといったホスティング
・サービス、給与サービス、電子商業支払処理サービス、電子税務申告サービス、金融機関向け委託オンライン・バン
キング・サービスである。また当社のサービス売上には、「財務管理ソリューション」セグメントに含まれるクイッ
クブックスの技術サポート・プラン、「金融サービス」セグメント及びインテュイット・ヘルス事業に含まれる導
入サービス手数料を含めている。
ホスティング・サービスによる売上は、提供先顧客に対する当社の他の残余義務がないことを条件として、サービ
ス提供時点で認識している。当社は、通常顧客に対して、給与税の資金を給与支払日より前に電子送金で当社に送金
するよう求めている。顧客からこの資金を回収する時点とこの資金を外部に送金する時点との間に当社が稼得した
これらの資金に係る利息は、純売上高合計に含めている。当社がマーチャントに提供する電子支払処理サービスの
サービス売上は、クレジットカード協会が請求するクレジットカード手数料を差し引いて計上しているが、これは当
社が当該手数料をコントロールしていないからである。
当社は数種類のクイックブックス技術サポート・プランを提供し、プランの期間にわたりサポート売上を認識して
いる。「金融サービス」セグメント及びインテュイット・ヘルス事業の導入サービスに係る前金は、当初の顧客との
契約期間又は見積顧客サービス関係継続期間のいずれか長い方の期間にわたり、比例配分で認識している。
その他の売上は、主に第三者のサービス・プロバイダーとの収益分配契約によるものである。エンド・ユーザーに
対する売上がこれらのパートナーから当社に報告された時点で、収益分配契約による取引手数料を認識する。
複数要素を提供する契約
当社は、顧客がソフトウェア、アップグレード、ホスティング・サービス、技術サポート及びハードウェアを組み合
わせて購入できる、複数要素を提供する収益契約を結ぶことがある。
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ソフトウェア及びソフトウェアに関連する要素に係る複数要素を提供する契約
クイックブックスのデスクトップ・ソフトウェアや有償技術サポート・プランといったソフトウェア及びソフト
ウェアに関連する要素のみを含む複数要素を提供する契約では、未提供の要素については、公正価値に関する販売者
固有の客観的証拠(以下「VSOE」という)に基づいて、収益を按分し繰り延べている。VSOEとはその要素が個別に販
売された場合に請求する価格である。提供済か未提供かを問わずすべての要素についてVSOEが存在する場合、契約で
得られる収益合計を、関連要素の公正価値に基づいて各要素に按分している。未提供の要素についてのみVSOEが存在
する契約の場合、未提供の要素の公正価値全体を繰り延べ、契約の総額と未提供部分として繰り延べた金額との差を
収益として認識している。未提供のサービス要素についてVSOEが存在しない場合、契約全体から得られる収益をサー
ビスが提供された時点で認識する。また、特定の製品又は機能の未提供要素に係るVSOEが存在しない場合、全要素が
引き渡されるか、当社が未提供の要素に係るVSOEを決定するかのいずれか早い時点まで、収益を繰り延べる。
提供済の製品やサービスに関する売上は、次の場合にのみ認識している。(1)上記の収益認識基準を満たす、(2)未
提供の製品やサービスが提供済の製品やサービスの機能にとって本質的要素ではない、(3)提供済の製品やサービ
スへの支払が、残りの製品やサービスを提供することを条件としない、且つ、(4)当社が未提供の製品やサービスを
提供しない場合でも、当社は未収額を受け取る強制的な請求権を持つ。
ソフトウェア及びソフトウェア以外の要素に係る複数要素を提供する契約
2009年10月、米国財務会計基準審議会(以下「FASB」という)は、ソフトウェアの収益認識に係る業界特有のガイ
ダンスが適用対象外としている、複数商品を提供する収益契約に係る収益認識に適用される会計基準を修正した。こ
の新しいガイダンスは、売価の階層を設定することによりソフトウェア及びソフトウェア以外の要素を含む複数商
品を提供する収益契約の対価を配分する基準を修正した。またこのガイダンスは、残余法による配分を禁止し、契約
開始時に相対的売価法を使用して、契約対価をすべての商品に配分するよう要求している。
当社は2010年8月1日に、このガイダンスを将来に向かって適用しており、当該日以後に発生した又は重大な変更が
なされた関連する収益契約に対して適用した。当社の複数要素の提供商品の大部分がソフトウェア及びソフトウェ
ア関連であり、これらのほとんどにVSOEが存在するため、この新しいガイダンスの適用により、複数要素を提供する
契約の収益認識のタイミングと方法に重要な影響はなかった。
ホスティング・サービス又は携帯電話用クレジットカード・リーダーといった、ソフトウェア及びソフトウェア以
外の要素の両方を含む複数要素を提供する契約について、当社は、(1)各要素が提供されたかどうか、並びに、いつ提
供されたかを確定し、(2)入手可能であればベンダー固有のVSOE、VSOEの入手が不可能であれば第三者の証拠(以下
「TPE」という)、又はVSOE及びTPEのいずれも入手不可能であれば見積売価(以下「ESP」という)といった売価の
階層を使用して、各要素の公正価値を確定し、さらに(3)相対的売価法に基づいて総価格を各要素に配分しなければ
ならない。いったん総価格を各要素に配分すると、各要素について上記の収益認識基準が満たされた時点で収益を認
識する。
VSOEは、一般的に商品を個別に販売する際に存在しており、当社は通常、こういった複数要素を提供する契約におけ
るすべての商品に対してVSOEを設定することができる。しかし特定の限られた場合においてはVSOEを設定できない。
これは、当社がまれにしか各要素を個別に販売しないか、狭い範囲での製品やサービスの値決めをしない、又は販売
実績が限られている、といった理由による場合がある。VSOEを設定できない場合、当社はTPEに基づいた各要素の売価
設定を試みる。TPEは個別に販売した場合の類似商品の競合他社の価格に基づいて決定される。VSOEやTPEを使用して
売価を設定できない場合、当社は契約対価の配分においてESPを使用する。ESPは当社が製品やサービスを単独で販売
した場合に売るであろう見積価格である。当社は、価格決定慣行、市況、市場勢力図、顧客タイプ、地域、製品ライフサ
イクルの段階、内部コスト、粗利益目標などの複数の要因(これらを含むが、これらに限定されるものではない)を
考慮して、製品やサービスのESPを決定している。当社が考慮する重要な価格決定慣行には、過去の契約上の表示価
格、該当する場合は、数量値引や当社の価格リストが含まれる。ESPの決定は、当社の全体的な新規市場の開拓戦略を
考慮して、経営者との協議及び経営者による正式な承認を通してなされる。
送料及び手数料
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当社は損益計算書上、顧客に請求しているソフトウェア製品の送料及び手数料を製品売上として計上し、それに関
連する費用を製品売上原価として計上している。
カスタマー・サービス及び技術サポート
有償技術サポート契約の下で提供するカスタマー・サービスの費用は、損益計算書の「サービス及びその他売上原
価」に含めている。カスタマー・サービス及び無償技術サポートの費用は、損益計算書の「販売費及びマーケティン
グ費」に含めている。カスタマー・サービス及び技術サポートの費用には、受注処理の実施、電話やウェブサイト、電
子メール、その他電子的手段による顧客からの問い合わせへの対応、並びに顧客への無償技術サポート支援の提供に
関連する費用が含まれる。当社は、特定製品の販売に関連して、顧客へ無償技術サポートを一定限度内で提供してい
る。この無償技術サポートを提供する費用に重要性はないため、当社はこれらの製品販売に関連して認識した収益を
繰り延べていない。通常、技術サポートは関連する収益が認識されてから1年以内に提供され、無償の製品機能強化
は最小限且つその頻度も低い。当社は、この無償サポート提供費用の見積額を製品出荷時に引当計上している。
ソフトウェア開発費
当社は、ソフトウェア開発費を技術的実施可能性が確立されるまで発生時に費用計上し、技術的実施可能性が確立
された時点で、顧客にその製品の一般販売が行えるようになるまでこの費用を資産計上している。当社のソフトウェ
アは、今日まで技術的実施可能性の確立と同時に一般販売が可能となっており、したがって当社は開発費を資産計上
していない。当社既存製品の拡充のために発生した費用や製品を用いたサービスの一般販売後の費用は、発生した期
間に費用計上され、損益計算書の「研究開発費」に含めている。
自社利用ソフトウェア
当社は、自社利用目的で入手又は開発したコンピュータ・ソフトウェアに関する費用を資産計上している。これま
で自社利用目的で入手したソフトウェアは概して全社レベルのビジネス及び財務ソフトウェアであり、当社独自の
事業上の必要性を満たすためカスタマイズされている。自社利用目的で開発したソフトウェアは、通常、当社の顧客
にホスティング・サービスを提供するために利用されている。アプリケーション開発段階で発生する費用は資産計
上し、通常3∼5年の耐用年数にわたり償却する。
広告宣伝費
すべての広告宣伝費は発生時に費用計上し、損益計算書の「販売費及びマーケティング費」に含めている。2011年、
2010年及び2009年7月31日終了事業年度に計上した広告宣伝費は、それぞれ約177百万ドル、約153百万ドル及び約142
百万ドルであった。
リース
すべてのリースについて、リース開始時にキャピタル・リースとオペレーティング・リースの分類を検討してい
る。当社がリースの分類を評価する際は、限界借入利子率を用いる。また当初のリース期間については、建設中の期間
を含め、再リース期間を除いた期間と定義している。当社は、主にオペレーティング・リースを使用して事業を行っ
ている。賃借料が上昇するリース取引については、上記に定義したリース期間中に支払われる総賃借料を、リース期
間にわたり定額法で計上している。支払った賃借料と定額法による賃借料との差額は、適宜、貸借対照表の「その他
流動負債」又は「その他長期債務」の繰延賃借料勘定に計上している。
当社は、家主からの割戻しを適宜、貸借対照表の「その他流動負債」又は「その他長期債務」に繰延賃借料負債と
して計上している。現金で受け取った家主からのインセンティブは、キャッシュ・フロー計算書上、営業活動による
キャッシュ・フローに計上している。その他の家主からの割戻しについては、キャッシュ・フロー計算書上、非資金
投資及び財務活動としている。家主からの割戻しの償却は、損益計算書上の施設使用の費用からの控除として計上し
ている。
支払利息の資産化
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当社は、施設の建設や自社利用目的コンピュータ・ソフトウェアの開発などの設備投資プロジェクトに関する利息
を資産計上している。資産計上はプロジェクトの最初の出費があった時点で開始され、プロジェクトが実質的に終了
し当初の目的どおり使用できる状態となるまで継続する。資産計上された利息は、対象資産の耐用年数と同じ期間に
わたり減価償却費として定額法で償却される。いずれの表示事業年度においても資産化された利息の金額に重要性
はない。
外貨換算
当社の海外事業を行う子会社の機能通貨は、通常、現地通貨である。当社の海外子会社の資産及び負債は貸借対照表
日の実勢為替レートで換算している。収益、原価及び費用は期中の実勢為替レートの平均値で換算している。換算損
益は、貸借対照表の資本の部に含めている。外国為替取引から生じた純損益は損益計算書上の「受取利息及びその他
収益」に含めている。いずれの表示事業年度においても換算損益及び為替取引損益の金額に重要性はない。
法人税等
当社は、事業を行う多様な管轄区域に基づき法人税を見積もっている。当社の世界的規模の法人税の見積には重要
な判断が必要となる。当社は、当期税金負債を見積もり、特定項目の税務上及び会計上の取扱いの違いから生じる一
時差異を算定する。この差異は貸借対照表上で繰延税金資産及び繰延税金負債として表示される。次に当社は繰延税
金資産が実現する可能性を評価しなければならない。当社が実現可能性が低いと考える範囲で、評価性引当金を設定
する。ある会計期間に評価性引当金の設定や積増しを行った時は、対応する法人税を損益計算書上に計上する。
当社は、繰延税金資産が失効する前に繰延税金資産の一部を使用できるかについての不確実性を反映させるための
評価性引当金の必要性を検討している。評価性引当金は、当社が事業を行う管轄区域における見積課税所得と、繰延
税金資産が実現する期間に基づいて分析される。当社は表示事業年度における評価性引当金の必要性を検討する際
に、将来の課税所得を考慮しているが、追加的に実現できない可能性のある繰延税金資産を考慮に入れて評価性引当
金を計上する必要があることもある。評価性引当金の積増しは、積増しを計上した期の法人税と当期純利益に負の影
響を及ぼすことがあり、その影響は重要である可能性もある。
当社は、不確実な税務ポジションによるベネフィットを、2段階アプローチを用いて認識し、測定している。第1段階
では、当該税務ポジションが、税務調査(審査請求や訴訟による解決を含む)で是認される可能性の方がどちらかと
いえば高い(more likely than not)ことを、入手可能な証拠の影響が示唆しているかを決定することにより、税務
申告書で採用した、又は採用する予定の税務ポジションを評価する。税務調査で是認される可能性の方が高い税務ポ
ジションについては、第2段階として、最終的な決定によって実現する可能性が50%を超えているものの最大額とし
てタックス・ベネフィットを測定する。不確実な税務ポジションの評価にあたっては、重要な判断が要求される。当
社は四半期毎に不確実な税務ポジションを評価している。当社の評価は、事実や環境の変化、税法の改正、税務調査中
の税務当局との対応、税務調査の指摘事項について効果的に解決した事項等の、数多くの要因に基づくものである。
不確実な税務ポジションの認識又は測定に変更がある場合、変更があった期の法人税に重要な増加又は減少が生じ
る可能性がある。その結果、当社の実効税率及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある。
企業結合の一部として引き受けた税金関連の偶発事象と評価性引当金に関連する当社の会計方針については、後述
の「企業結合」において記載している。
1株当たり当期純利益の計算
「基本的1株当たり当期純利益(損失)」は、期中の加重平均発行済普通株式数を用いて計算している。「希薄化
後1株当たり当期純利益」は、期中の普通株式及び希薄化効果を持つ潜在的普通株式の加重平均発行済株式数を用
いて計算している。希薄化効果を持つ潜在的普通株式は、ストック・オプションの権利行使時及び制限付き株式ユ
ニット(以下「RSU」という)の権利確定時に、自己株式方式により発行され得る株式で構成される。
当社は、「希薄化後1株当たり当期純利益」の計算の際に、結合行使価格、すなわち未認識報酬費用及びタックス・
ベネフィットが当社普通株式の平均市場価格より低いストック・オプションと、結合された未認識報酬費用及び
タックス・ベネフィットが普通株式の平均市場価格より低いRSUを含めている。結合行使価格、すなわち未認識報酬
費用及びタックス・ベネフィットが普通株式の平均市場価格を上回るストック・オプションと、結合された未認識
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報酬費用及びタックス・ベネフィットが普通株式の平均市場価格を上回るRSUは、逆希薄化効果があるため、「希薄
化後1株当たり当期純利益」の計算から除いている。自己株式方式の下では、ストック・オプション行使のため支払
わなければならない金額、ストック・オプション及びRSUに関する将来サービスに係る未認識の報酬費用の金額、並
びに報酬が控除可能となった時点で資本剰余金に計上するタックス・ベネフィットの金額は、株式買戻しに用いら
れると仮定する。
下表は表示事業年度の「基本的1株当たり当期純利益」及び「希薄化後1株当たり当期純利益」の計算で使用され
た株式数の内訳である。
2010年
7月31日
終了事業
年度
2009年
7月31日
終了事業
年度
$ 634
$ 539
$ 447
-
35
-
$ 634
$ 574
$ 447
307
316
322
307
316
322
10
9
8
317
325
330
$ 2.07
$ 1.71
$ 1.39
-
0.11
-
基本的1株当たり当期純利益
$ 2.07
$ 1.82
$ 1.39
継続事業による希薄化後1株当たり当期純利益
$ 2.00
$ 1.66
$ 1.35
-
0.11
-
$ 2.00
$ 1.77
$ 1.35
-
8
24
2011年
7月31日
終了事業年度
(単位:百万ドル/1株当たり値のみドル、百万株/百万個)
分子:
継続事業による当期純利益
非継続事業による当期純利益
当期純利益
分母:
基本的1株当たり当期純利益の基礎となる株式数:
加重平均発行済普通株式数
希薄化後1株当たり当期純利益の基礎となる株式数:
加重平均発行済普通株式数
ストック・オプション及び制限付き株式報酬からの希薄化後普通株式相当数
希薄化後加重平均発行済普通株式数
基本的及び希薄化後1株当たり当期純利益:
継続事業による基本的1株当たり当期純利益
非継続事業による基本的1株当たり当期純利益
非継続事業による希薄化後1株当たり当期純利益
希薄化後1株当たり当期純利益
逆希薄化効果のため計算から除外された加重平均ストック・オプション及び制
限付き株式ユニット
現金同等物及び投資
当社は、購入日において3ヵ月以内に満期到来する流動性の高い投資を現金同等物とみなしている。当社の現金同等
物は、すべての表示事業年度を通して、主にAAAの格付を受けたマネー・マーケット・ファンドで構成されている。投
資は、投資適格である売却可能負債証券で構成されており、公正価値で表示している。長期投資は、主にオークション
・レート公債で構成されており、公正価値で表示している。当社は、世界的な信用市場の流動性の低下を受けて、これ
らオークション・レート公債の公正価値を当社が作成する割引キャッシュ・フロー・モデルに基づいて見積もって
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いる。詳細は注記2参照。米国政府が直接発行する債券、米国政府機関が発行する証券、マネー・マーケット・ファン
ド以外は、当社の投資が1つの発行体に偏らないように分散している。
当社は投資の利益及び損失を計算する際に、個別法を用いている。投資の未実現利益及び損失は、税効果考慮後の金
額を貸借対照表上の資本の部の「その他の包括利益累積額」に含めている。売却可能負債証券は、通常、流動資産に
分類しているが、この分類は当社の季節変動が激しい事業の性質によって生じ得る多額の短期流動性の需要を満た
すために、必要に応じてこれらの証券の一部又は全部を利用しようとする当社の能力や意図に基づくものである。当
社の事業の大きな季節変動性、株式買戻プログラムや企業買収の機会によって、キャッシュ・フロー需要が四半期毎
に大きく増減し、当社が売却可能有価証券として保有している投資の重要な部分を利用する必要が生じる可能性が
ある。
売掛金及び貸倒引当金
売掛金は請求額で計上しており、利息は発生しない。貸倒懸念債権に対する引当として、貸倒引当金を計上してい
る。既知の係争や回収可能性に問題のある重要な顧客や請求書を識別するため、売掛金を年齢別に調査している。特
別な調査を行わない請求書については、売掛金の年齢に基づき貸倒引当金を計上している。貸倒引当金計上額の決定
にあたっては、重要な顧客の信用度を継続的な信用評価に基づいて判断している。また、過去の貸倒損失の水準と、将
来の貸倒損失の水準に影響する可能性のある現在の景気動向も考慮に入れている。回収不能と判断した金額は、貸倒
引当金を取り崩して償却している。
顧客のために保有する資金及び顧客預り金
顧客のために保有する資金は、当社の顧客の代わりに保有する現金であり、現金及び現金同等物並びに投資適格の
売却可能負債証券に投資している。顧客預り金は、給与振込払いの資金や給与税のような、当社が顧客を代理して支
払義務を負う金額で構成されている。
有形固定資産
有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額を差し引いて表示している。減価償却費は、資産の見積耐用年数(2
∼30年)にわたり定額法で計算している。建物附属設備は、見積耐用年数又は残存リース期間のいずれか短い方の期
間にわたり定額法で償却している。キャピタル・リースに基づき計上している資産の償却費は、減価償却費に含めて
いる。
企業結合
企業結合における取得法の会計処理においては、企業結合日の公正価値の見積を含む重要な見積と仮定を使用する
こと、また基本的に従前のパーチェス法の会計処理と似た方法で、測定期間(企業結合において認識する暫定金額を
修正できる1年を超過しない期間と定義されている)中にそのような見積を必要に応じて修正することが要求され
る。
取得法の会計処理においては、取得した識別可能な資産、引き受けた負債及び被取得企業の非支配持分を、基本的に
は取得日の公正価値で、のれんと分離して認識する。のれんは、取得日において、引き渡した対価の公正価値が、取得
日現在の取得した識別可能資産及び引き受けた負債の純額を超過した部分として測定される。企業結合を完了する
ために発生した投資銀行、法律家やその他専門家に対する報酬等の費用は取得対価の一部とはみなされず、発生時に
一般管理費として計上している。また企業結合とは別に着手した被買収企業の組織再編取引は、取得法により会計処
理している。
仮に測定期間内の報告期間末までに当初の企業結合の会計処理が完了しなかった場合、暫定金額を財務書類で表示
する。測定期間においては、取得日に存在し、もし知っていたならば取得日に認識される金額の測定に影響を与えて
いたであろう事実と状況に関して新たに入手した情報を反映させるために、取得日に認識された暫定金額を修正し、
その修正を財務書類に計上する。当社は重要であると判断したこのような測定期間における修正を、償却費用への修
正を含めて、遡及的に財務書類上の比較情報に適用する。
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企業結合会計の取得法においては、取得した繰延税金資産に対する評価性引当金や不確実な税務ポジションに関連
する負債について測定期間中に変更を識別し、それらが取得日に存在した事実と状況に関して新たに入手した情報
に関連していれば、これらの変更は測定期間における修正事項と考えて、のれんと相殺する。また、繰延税金資産に対
する評価性引当金と不確実な税務ポジションに関連する負債に対する他のすべての変更を当期の法人税として計上
する。この会計処理は、取得日にかかわらず、すべての買収に対して適用される。
のれん、取得無形資産及びその他の長期性資産
のれん
のれんは、企業結合において引き渡した対価の公正価値が、取得した識別可能資産及び引き受けた負債の公正価値
を上回る場合に計上している。のれん及び耐用年数が確定できないその他の無形資産については償却を行っていな
いが、毎年第4四半期中と資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた時に随時、減損テ
ストを行っている。
のれんについては、2段階の減損テストを行っている。第1段階では、各報告単位の公正価値を帳簿価額と比較する。
当社は、権威あるガイダンスに従って、公正価値を、測定日において主要な、又は最も有利な市場での市場参加者間の
秩序のある取引において、資産の売却により受け取るであろう、又は負債の移転のために支払うであろう価格と定義
している。当社は、各報告単位の公正価値を見積もるのに適したあらゆる評価方法を検討し使用しているが、通常は
インカム・アプローチとマーケット・アプローチを加重して組み合わせたものを使用している。インカム・アプ
ローチでは、各報告単位の公正価値を将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて見積もっている。当社は、割引
キャッシュ・フロー・モデルにおいて、業界特有の市場要素、長期間にわたって事業により生じる見積将来キャッ
シュ・フローの金額及びタイミング、事業の長期的成長率、キャッシュ・フロー、並びに、貨幣の時間価値を実現する
相対的リスクを考慮した収益率、といった数多くの仮定を用いている。マーケット・アプローチでは、比較可能な類
似業種の公開企業の売上、営業利益、収益に係るマーケット評価倍率に基づいて、各報告単位の公正価値を見積もっ
ている。報告単位の見積公正価値が当該単位に配分した純資産の帳簿価額を上回る場合は、のれんは減損しておら
ず、それ以上の分析は求められていない。
報告単位に配分した純資産の帳簿価額が当該単位の見積公正価値を上回る場合は、減損テストの第2段階を実施す
る。第2段階では、第1段階で算定した報告単位の公正価値を、企業結合により当該報告単位を取得したかのように、当
該単位のすべての資産及び負債に配分する。報告単位の公正価値のうち資産及び負債に配分された総額を上回る超
過分は、のれんの暗示的公正価値を表す。報告単位ののれんの帳簿価額がその暗示的公正価値を上回る場合は、差額
に相当する減損損失を計上する。当社の2011年度7月31日終了事業年度に計上したのれんの減損損失の説明について
は、注記2「公正価値測定 ― 非継続的に公正価値で測定される資産及び負債」を参照。当社は2010年及び2009年7月
31日終了事業年度にのれんの減損損失を計上しなかった。
取得無形資産及びその他の長期性資産
当社は、通常、企業結合に関連して取得技術のように耐用年数を確定できる取得無形資産を計上する。取得無形資産
の取得原価は、見積耐用年数(2∼9年)にわたり定額法で償却している。耐用年数を確定できる無形資産及びその他
の長期性資産については、資産の帳簿価額を回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた時に、随時、判定
を行っている。当社は、資産がもたらすと期待する割引前将来キャッシュ・フローと資産の帳簿価額を比較すること
によって当該資産の回収可能性を見積もっている。また、耐用年数を確定できる資産の公正価値を、当該資産の将来
キャッシュ・フローの現在価値に基づいて見積もっている。耐用年数を確定できる資産の帳簿価額がその見積公正
価値を上回る場合は、差額に相当する減損損失を計上する。2011年度7月31日終了事業年度に計上した取得無形資産
の減損損失の説明については、注記2「公正価値測定 ― 非継続的に公正価値で測定される資産及び負債」を参照。
当社は2010年及び2009年7月31日終了事業年度に取得無形資産の減損損失を計上しなかった。
株式報酬制度
付与済ストック・オプションの公正価値は、二項格子モデル及びマルティプル・オプション・アワード・アプロー
チを使用して見積もっている。当社は過去のデータを利用して権利確定前に失効するオプションを見積もり、株式報
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酬に係る費用を権利確定が見込まれるものについてのみ計上している。当社はストック・オプションの公正価値を
要件サービス期間(通常は権利確定期間)にわたり定額法で償却している。
付与済制限付き株式ユニット(以下「RSU」という)は、通常、連続するサービスに基づき権利が確定する。2011年7月
より前は、このような期間条件付きRSUは、付与日において本源的価値法を用いて評価し、見積失効分を調整してい
た。上級経営者に付与される特定のRSUについては、事前に設定された業績や市場目標の達成に基づき権利が確定す
る。2011年7月より前は、このような業績条件付きRSUの公正価値を、付与日において本源的価値法と特定の業績基準
が満たされる可能性を用いて見積り、見積失効分を調整していた。2011年7月、当社は、将来において現金配当を支払
う可能性が高いと決定した。RSU保有者には配当を受ける権利がないため、当社は、2011年7月より、本源的価値法で使
用される付与日現在の当社株式の市場価格から、権利確定期間中に当社株式に対して支払われると予想される配当
の金額を適切なリスクフリー・レートで割り引いた現在価値を、減額し始めた。期間条件付きRSUの公正価値は、見積
失効分を調整後、制限期間にわたり定額法で償却している。業績条件付きRSUの公正価値は、別個に権利確定する報酬
部分それぞれに対する見積失効分を調整後、要件サービス期間にわたり定額法で償却している。市場条件付きRSUの
公正価値は、付与日にモンテ・カルロ評価法を用いて見積もり、これらの公正価値を別個に権利確定する報酬部分そ
れぞれに対する見積失効分を調整後、要件サービス期間にわたり償却している。
当社の株式報酬制度の内容及び当該制度の公正価値の計算において使用する仮定についての詳細は、注記12参照。
信用リスクの集中、重要な顧客及びサプライヤー
当社は競争が激しく急速に変化する市場で事業を営んでいる。大きな技術的変化、顧客ニーズの変化、新しい性能を
備えた競争力を持つ製品やサービスの誕生などの要因が、当社の経営成績に悪影響を与える可能性がある。
当社はまた、多額の投資残高の価値変動に関するリスクにも晒されている。当社の投資ポートフォリオは投資適格
証券で構成されている。米国政府が直接発行する債券、米国政府機関が発行する証券、マネー・マーケット・ファン
ド以外は、当社の投資が1つの発行体に偏らないように分散している。
当社は製品のかなりの部分を第三者の小売業者や流通業者を通して販売している。よって当社は売掛金の回収可能
性に関するリスクを負っている。このリスクを適切に管理するため、顧客の信用調査を継続的に行い、当社が適切と
みなす与信限度額を設定しているが、通常は担保を要求していない。当社は貸倒損失見積額に対して引当金を計上し
ており、この損失はこれまで当社の予想範囲内に収まっている。しかし当社顧客の財務的安定性の今後の変化を当社
が予測できないため、当社の引当金が継続的に適切であるかは保証できない。2011年、2010年及び2009年7月31日終了
事業年度において、純売上高合計の10%以上を占める顧客はおらず、また、2011年及び2010年7月31日現在で、売掛金合
計の10%以上を占める顧客はいない。
当社の小売用デスクトップ・ソフトウェア製品の製造及び流通機能は、主に1社の外部業者に依存している。また当
社の財務消耗品事業の大半の印刷及び受注の履行を1社の業者に依存している。主要業者に大きく依存することで、
当社事業の効率性及び信頼性が向上すると考えているが、当社事業の重要な側面を1社のみに依存させると、その業
者が財務的困難などの理由で一定水準以上のサービスを提供することができない場合、当社の売上及び収益性が大
きく損なわれる可能性がある。
最近公表された会計基準
ASU第2011-04号「Topic 820公正価値測定」
2011年5月12日、米国財務会計基準審議会(以下「FASB」という)は会計基準更新書(以下「ASU」という)第
2011-04号「Topic 820 公正価値測定:米国会計基準と国際財務報告基準における公正価値の測定及び開示に関す
る規定を共通化するための改訂」(以下「ASU第2011-04号」という)を発行した。このアップデートは会計基準編
纂書(以下「ASC」という)Topic 820「公正価値測定と開示」を修正している。ASU第2011-04号は、特定の既存の公
正価値測定ガイダンスの適用について明確化し、重要な観察不能(レベル3)インプットを利用して見積もられた公
正価値測定の開示を拡大している。ASU第2011-04号は2011年12月15日以後開始する年次及び中間報告期間について
適用されるため、当社では2012年2月1日に開始する四半期から適用となる。この新しいガイダンスは将来に向かって
適用され、早期適用は認められていない。ASU第2011-04号の適用により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・
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フローに重要な影響はないと考えている。
ASU第2011-05号「包括利益の表示」
2011年6月16日、FASBはASU第2011-05号「Topic 220包括利益:包括利益の表示」(以下「ASU第2011-05号」とい
う)を発行した。このアップデートは、ASC Topic 220「包括利益」を修正し、1つの連続する計算書又は分離してい
るが連続している2つの計算書のいずれかで包括利益合計を報告するよう定めている。株主持分計算書又は注記にお
いて包括利益合計を表示することは、もはや認められない。当期純利益、基本的1株当たり当期純利益及び希薄化後
1株当たり当期純利益の計算はこの影響を受けない。ASU第2011-05号は2011年12月15日以後開始する中間期間及び
事業年度について適用されるため、当社では2012年8月1日に開始する事業年度から適用する。遡及適用が要求されて
おり、早期適用が認められている。ASU第2011-05号の適用により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
の状況に重要な影響はないと考えている。 2.公正価値測定
公正価値の階層
権威あるガイダンスは、公正価値とは、測定日において市場参加者間の秩序ある取引において、資産の売却により受
領するであろう又は負債の移転により支払うであろう価格と定義している。当社は、公正価値を決定する際、資産又
は負債が属する主要な又は最も有利な市場、並びに市場参加者が当該資産や負債の価格決定に使用するであろう仮
定について検討している。さらに、当社は資産及び負債の公正価値の見積に適したあらゆる評価方法を検討し使用し
ている。
権威あるガイダンスでは、資産や負債の公正価値を見積もる際に使用する判断の範囲及びレベルに基づき、公正価
値の階層を設定している。権威あるガイダンスは、通常、公正価値を測定する際に観察可能なインプットを最大限に
利用し、観察不能なインプットの利用を最小限にするよう要求している。公正価値の階層における資産又は負債の分
類は、当該資産又は負債の公正価値の測定において重要なインプットのうち最低レベルのものに基づいている。権威
あるガイダンスが定義するインプットの3段階のレベルは、次のとおりである。
・ レベル1では、同一の資産又は負債の活発な市場における入手可能な未修正公表価格を用いる。
・ レベル2では、レベル1で用いる公表価格を除く、市場データとの相関関係を通じて直接的又は間接的に観
察可能なインプットを用いる。これらには、活発な市場における類似の資産又は負債の公表価格、活発でな
い市場における同一若しくは類似の資産又は負債の公表価格、並びに、評価モデルやその他のプライシング
方法に用いられるインプットのうち、利子率やボラティリティなどのように、当該資産又は負債のほぼ全期
間において容易に観察可能な市場データで裏付けできるため重要な判断が必要でないインプットが含まれ
る。
・ レベル3では、市場活動によって裏付けることがほとんど不可能又は不可能で、且つ、公正価値の決定にお
いて重要な、単独又は複数の観察不能なインプットを用いる。レベル3に該当する資産及び負債は、プライシ
ング・モデル、割引キャッシュ・フロー法又は類似する評価技術と、重要な経営者判断や見積を用いて公正
価値の評価が決定されるものである。
継続的に公正価値で測定される資産及び負債
下表は、表示事業年度末における継続的に公正価値で測定される金融資産及び金融負債を、上述した公正価値の階
層に基づき分類した要約である。
2011年7月31日
(単位:百万ドル)
レベル1
レベル
2
資産:
90/171
レベル
3
2010年7月31日
公正価
値
合計
レベル
1
レベル
2
レベル
3
公正価
値
合計
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現金同等物、主にマネー・マーケット・ファン
ド
$ 854
$ -
$ -
$ 854
$ 330
$ -
$ -
$ 330
公債
-
434
-
434
-
1,050
-
1,050
オークション・レート公債
-
-
59
59
-
-
87
87
社債
-
288
-
288
-
334
-
334
米国連邦政府機関証券
-
152
-
152
-
174
-
174
-
874
59
933
-
1,558
87
1,645
$ 854
$ 874
$ 59 $ 1,787
$ 330 $ 1,558
$ 87 $ 1,975
$ - $ 1,084
$ - $ 1,084
$ - $ 1,086
$ - $ 1,086
売却可能負債証券:
売却可能負債証券合計
継続的に公正価値で測定される資産合計
負債:
優先債券(1)
(1) 2011年及び2010年7月31日現在の貸借対照表上の帳簿価額は、それぞれ999百万ドル及び998百万ドルであった。注記10参
照。
下表は、表示事業年度末における貸借対照表上の分類、並びに公正価値の階層レベルに基づく現金同等物及び売却
可能負債証券の要約である。
2011年7月31日
(単位:百万ドル)
2010年7月31日
公正価値
公正価値
レベル1 レベル2 レベル3 合計 レベル1 レベル2 レベル3 合計
現金同等物:
現金及び現金同等物
$ 615
$ -
$ -
$ 615
$ 143
$ -
$ -
$ 143
239
-
-
239
187
-
-
187
$ 854
$ -
$ -
$ 854
$ 330
$ -
$ -
$ 330
$ -
$ 699
$ -
$ 699
顧客のために保有する資金
-
175
-
175
-
150
-
150
長期投資
-
-
59
59
-
-
87
87
$ -
$ 874
$ 59
$ 933
顧客のために保有する資金
現金及び現金同等物合計
売却可能負債証券:
投資
売却可能負債証券合計
$ - $ 1,408
$ - $ 1,558
$ - $ 1,408
$ 87 $ 1,645
当社は、主にマネー・マーケット・ファンドから構成されるレベル1の資産を、活発な市場における同一商品の公表
価格を用いて評価している。当社がレベル2のインプットを用いて継続的に公正価値を測定する金融資産は、公債、社
債及び米国連邦政府機関証券である。当社は活発な市場における類似する商品の公表価格を用いて、これらの資産の
公正価値を測定している。当社がレベル2のインプットを用いて公正価値を測定する金融負債は、借入債務である。注
記10参照。優先債券の公正価値は、その取引価格及び類似する条件のその他借入金に対して当社が受けられる金利に
基づき測定している。当社が重要且つ観察不能な(レベル3)インプットを用いて公正価値を測定する金融資産に
は、すでに流動性がなくなったオークション・レート公債がある。このオークション・レート公債は、2011年及び
2010年7月31日現在の貸借対照表において、同日現在の原資産たる公債の満期日に基づいて長期投資に含めている。
2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度における公正価値の階層におけるレベル1、レベル2及びレベル3の
間で重要な振替はなかった。
下表は、表示事業年度におけるレベル3の資産の推移である。
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オークション・レート公債
(単位:百万ドル)
投資
長期投資 合計
2008年7月31日現在残高
$ -
長期から流動への振替
175
(175)
額面価額による決済
(24)
(16)
(40)
2009年7月31日現在残高
151
94
245
額面価額による決済
(151)
$ 285 $ 285
-
(7) (158)
2010年7月31日現在残高
-
87
87
額面価額による決済
-
(28)
(28)
2011年7月31日現在残高
$ -
$ 59
$ 59
2008年2月、当社が保有するオークション・レート公債のオークションが不成立となり始めたため、権威あるガイダ
ンスに基づき、当社が作成した割引キャッシュ・フロー・モデルに基づく当該オークション・レート公債の公正価
値を見積もり始めた。当社が保有するすべてのオークション・レート公債は、主要な信用格付機関から評価A以上を
受けており、且つ、大部分のオークション・レート公債は米国教育省の学生ローンによって担保されている。2008年
11月、当社は、当社オークション・レート公債のブローカー・ディーラーの一つであるユービーエス・エイ・ジー
(以下「UBS」という)から提示された、当社がUBSを経由して保有しているすべてのオークション・レート公債を
額面価額でUBSに売却するオプションを当社に付与するという申出を受諾した。2010年6月、UBSは、この額面価額の申
出の対象となるオークション・レート公債に対する残額110百万ドルを支払った。当社は、当該契約を締結した日に
このプット・オプションを取得原価ゼロで計上したが、これは当社がプット・オプションの対象となる同公債の価
値が同日のそれらの額面価額とほぼ等しいと考えたからである。当社は、2011年及び2010年7月31日現在保有する
オークション・レート公債の残額を、同日現在の原資産たる公債の満期日に基づき、長期投資として分類した。
当社は、当社が作成した割引キャッシュ・フロー・モデルに基づき、2011年、2010年及び2009年7月31日現在で当社
が保有するオークション・レート公債の公正価値を見積もった。当社の割引キャッシュ・フロー・モデルに用いた
主要インプットは、予測される将来金利、予想される元本返済時期、原資産たる学生ローンに対する米国教育省の保
証やその他の第三者による保険を考慮に入れた全額返済の可能性、最近発行された入札対象外の学生ローン担保証
券に関する一般に入手可能なプライシング・データ、並びに流動性の低下がオークション・レート公債に及ぼす影
響等である。
下表は、表示事業年度末における当社の割引キャッシュ・フロー・モデルの重要なインプットに関する情報であ
る。
インプット・モデル
2011年7月31日
2010年7月31 2009年7月31
日
日
予測される平均将来利回りの範囲
1.37% - 2.46%
1.48% 2.65%
0.63% 3.78%
モデルで用いた総合的割引率(非流動性要素を考慮後の類似する種類の証券利
回り)の範囲
1.33% - 1.58%
1.52% 1.77%
1.61% 1.86%
0.08%
0.27%
0.36%
125 - 150 bps
125 - 150
bps
125 - 150
bps
7
7
7
類似する種類の証券利回り
非流動性要素の範囲
予想保有期間
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当社は、当社の割引キャッシュ・フロー・モデルを用いて、2011年、2010年及び2009年7月31日現在で保有するオー
クション・レート公債の公正価値が額面価額とほぼ等しいと決定した。その結果、当社は各終了事業年度において、
当該オークション・レート公債の公正価値の下落を計上しなかった。当社は、オークション・レート公債を売却する
意思がなく、また、額面価額の回復(それは満期日の可能性がある)以前に当該オークション・レート公債を売却す
る必要が生じる可能性が生じない可能性よりも高くはない。当社の営業活動によるキャッシュ・フローの予想及び
その他の現金供給源に基づき、当社のオークション・レート公債の流動性の低下は、流動性の需要を満たす当社の全
体的な能力に重大な影響を及ぼさないと考えている。
非継続的に公正価値で測定される資産及び負債
非継続的に公正価値で測定される資産には、のれんの減損テストにおいて公正価値で測定される報告単位が含まれ
る。報告単位の公正価値の見積は、公正価値の階層におけるレベル3に該当する。
2011年度第4四半期において、当社は年次計画及び予算プロセスに関連して、のれんの年次減損テストを実施した。
本減損テストの方法の詳説については、注記1を参照。減損テストの第1段階では、各報告単位の見積公正価値を帳簿
価額と比較した。当社は、各報告単位の公正価値を見積もるために、割引キャッシュ・フロー・モデル(インカム・
アプローチ)と類似業種の公開企業との比較(マーケット・アプローチ)を加重して組み合わせたものを使用し
た。当社は、インテュイット・ヘルス事業を除くすべての報告単位の見積公正価値が帳簿価額を上回っており、減損
していないと決定した。当社の「その他事業」セグメントに属するインテュイット・ヘルス事業報告単位の見積公
正価値は、帳簿価額75百万ドルを下回っていた。よって当社は、減損テストの第2段階として、減損テストの第1段階で
算定した同報告単位の公正価値を、企業結合により当該報告単位を現時点で取得したかのように、当該報告単位のす
べての資産及び負債に配分した。この算定により生じたのれんの残余部分とのれんの帳簿価額を比較した結果、イン
テュイット・ヘルス事業報告単位に係るのれん及び取得無形資産は減損していると決定した。インテュイット・ヘ
ルス事業報告単位に関連するすべてののれん及び取得無形資産は、2010年度のメドフュージョン・インクの買収に
起因するものである。インテュイット・ヘルス事業報告単位の公正価値の見積に悪影響を及ぼした状況として、高品
質且つ時宜を得た製品の開発及びそれらの効果的なマーケティングにおける予測不可能な遅延が挙げられる。当社
は、2011年度第4四半期にインテュイット・ヘルス事業報告単位について、のれん及び無形資産の減損損失約30百万
ドルを計上した。この内訳は、のれんの減損損失約24百万ドル及び取得無形資産の減損損失約6百万ドルである。
3. 現金及び現金同等物、投資、並びに顧客のために保有する資金
下表は、表示事業年度末における現金及び現金同等物、投資、並びに顧客のために保有する資金を、貸借対照表の分
類別にまとめたものである。
2011年7月31日
(単位:百万ドル)
償却原価
2010年7月31日
公正価値 償却原価 公正価値
貸借対照表の分類:
現金及び現金同等物
$ 722
$ 722
$ 214
$ 214
投資
698
699
1,407
1,408
顧客のために保有する資金
413
414
336
337
63
63
91
91
長期投資
現金及び現金同等物、投資、並びに顧客のために保有する資金合計
$ 1,896 $ 1,898 $ 2,048 $ 2,050
下表は、表示事業年度末における現金及び現金同等物、投資、並びに顧客のために保有する資金を、投資区分別にま
とめたものである。オークション・レート公債については、注記2を参照。
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2011年7月31日
(単位:百万ドル)
償却原価
2010年7月31日
公正価値 償却原価 公正価値
発行種類:
現金及び現金同等物合計
$ 961
$ 961
$ 401
$ 401
434
434
1,049
1,050
59
59
87
87
社債
287
288
333
334
米国連邦政府機関証券
151
152
174
174
売却可能負債証券合計
931
933
1,643
1,645
4
4
4
4
売却可能負債証券:
公債
オークション・レート公債
その他長期投資
$ 1,896 $ 1,898 $ 2,048 $ 2,050
現金及び現金同等物、投資、並びに顧客のために保有する資金合計
当社は売却可能負債証券の実現利益及び損失を、損益計算書の受取利息及びその他収益(純額)に含めている。
2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度における売却可能負債証券の実現利益及び損失(総額)は、いずれ
も重要ではなかった。
当社は売却可能負債証券の税効果考慮後の未実現利益及び損失を累計し、貸借対照表の資本の部の「その他の包括
利益累積額」の項目で表示している。2011年及び2010年7月31日現在の売却可能負債証券の未実現利益及び損失(総
額)は、いずれも重要ではなかった。
当社は、信用リスクやその他潜在的な評価上の問題における変動により一時的ではない減損が投資に生じたかどう
かを判断するため、投資ポートフォリオを定期的に調査している。当社は、2011年7月31日現在で保有している投資
に、一時的ではない減損が生じていなかったと考えている。2011年7月31日現在の未実現損失に重要性はなく、市場信
用スプレッドを含む金利の変動によるものであり、特定証券に関連する信用リスクの増加によるものではない。
下表は、表示事業年度末における売却可能負債証券を満期日別にまとめたものである。
2010年7月31日
2011年7月31日
(単位:百万ドル)
償却原価
公正価値 償却原価 公正価値
満期1年以内
$ 267
$ 267
$ 432
$ 433
満期2年以内
323
324
365
366
満期3年以内
190
191
164
164
満期3年超
151
151
682
682
売却可能負債証券合計
$ 931
$ 933 $ 1,643 $ 1,645
上表の満期3年超の売却可能負債証券には、オークション・レート公債が含まれる。詳細は、注記2参照。それ以外の
売却可能負債証券は、金利再設定日又は強制コール期日により3年以内に事実上の満期日を迎える。
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4.有形固定資産
表示事業年度末における有形固定資産の内訳は、次のとおりである。
耐用年数
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
2010年7月31日
設備
3-5
$ 531
$ 475
コンピュータ・ソフトウェア
3-6
478
359
器具及び備品
5
61
64
建物附属設備
2-16
229
229
2
4
土地
NA
建物
5-30
187
202
NA
36
59
1,524
1,392
建設仮勘定
(減額)減価償却及び償却累計額
(963)
(882)
$ 561
有形固定資産合計(純額)
$ 510
NA=該当なし
建設仮勘定の内訳は、主に自社利用ソフトウェア・プロジェクトに関連する費用である。注記1の「事業の概要及び
重要な会計方針 − ソフトウェア開発費」で説明しているように、自社利用のコンピュータ・ソフトウェアの開発
に関連する費用を資産計上している。2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度に資産計上した自社利用ソフ
トウェア費用は、それぞれ合計99百万ドル、56百万ドル及び52百万ドルである。これらの金額には、資産計上された労
務費がそれぞれ35百万ドル、28百万ドル及び17百万ドル含まれている。自社利用ソフトウェア・プロジェクトに関連
する費用は、プロジェクト完成までは有形固定資産の建設仮勘定の区分に含まれるが、コンピュータ・ソフトウェア
の区分に振り替えられた時点で、耐用年数(通常3∼5年)にわたり定額法で償却される。
5.のれん及び取得無形資産
のれん
2011年及び2010年7月31日終了事業年度の報告対象セグメント別のれんの帳簿価額の変動は、下表のとおりである。
報告対象セグメントについては、注記15に記載している。
(単位:百万ドル)
財務管理ソリューション
2009年
7月31日
現在残高
のれん
取得/
修正
2010年
7月31日
現在残高
のれん
取得/
修正
2011年
7月31日
現在残高
のれん
減損損失
$ 152
$ (1)
$ 151
$ -
$ -
$ 151
従業員管理ソリューション
274
(3)
271
-
-
271
支払ソリューション
182
-
182
-
-
182
消費者向け税務
30
-
30
-
-
30
会計専門家向け
90
-
90
-
-
90
1,009
-
1,009
(4)
-
1,005
金融サービス
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
その他事業
合計
17
164
$ 1,754
181
$ 160
-
$ 1,914
$ (4)
(24)
157
$ (24) $ 1,886
2009年7月31日現在、のれんの減損損失累計額はなかった。2010年7月31日終了事業年度の「その他事業」セグメン
トにおけるのれんの増加は、ミント・ソフトウェア・インク及びメドフュージョン・インクの買収による。注記7参
照。2011年度に計上した「その他事業」セグメントに属するインテュイット・ヘルス事業報告単位に係るのれんの
減損損失については、注記2参照。
取得無形資産
表示事業年度末における取得無形資産の取得価額、償却累計額及び加重平均耐用年数は、下表のとおりである。
(単位:百万ドル)
商標名 競合・訴訟
購入 及び
避止
技術 ロゴ
特約
合計
顧客
リスト
2011年7月31日現在:
取得価額
償却累計額
取得無形資産(純額)
加重平均耐用年数
$ 433 $ 422
(371) (329)
$ 35
(25)
$ 62
$ 93
$ 10
7
7
7
$ 438 $ 414
$ 35
$ 35 $ 925
(20) (745)
$ 15 $ 180
8
7
2010年7月31日現在:
取得価額
償却累計額
取得無形資産(純額)
加重平均耐用年数
(328) (301)
$ 110 $ 113
6
7
(21)
$ 14
7
$ 36 $ 923
(17) (667)
$ 19 $ 256
8
7
2011年度に計上したインテュイット・ヘルス事業報告単位に係る取得無形資産の減損損失については、注記2参照。
当減損損失は顧客リストに関連している。
2011年7月31日現在の取得無形資産の将来の予想償却費は、下表のとおりである。購入技術の償却費は、損益計算書
の「サービス及びその他売上原価」並びに「取得技術償却費」に計上されている。顧客リストなどのその他の取得
無形資産償却費は、損益計算書の「その他取得無形資産償却費」に計上されている。減損事象が生じた場合、取得無
形資産の費用計上のタイミングが早まる可能性がある。
(単位:百万ドル)
将来の予想償却費
7月31日終了事業年度
2012
$ 57
2013
33
2014
30
2015
25
2016
19
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それ以降
将来の予想償却費合計
16
$ 180
6.包括純利益
当社は、売却可能負債証券の公正価値及び為替換算調整勘定における増減額といったその他の包括利益の構成要素
を、当期純利益に加えて包括純利益を算出している。2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度におけるその他
の包括利益の金額に重要性はなかった。また2011年及び2010年7月31日現在の貸借対照表上の資本の部におけるその
他の包括利益累積額の残高は、主に為替換算調整勘定の累積額であり、その金額に重要性はなかった。
7.企業結合
当社は2011年7月31日終了までの3事業年度において、以下の企業結合及び買収を完了した。関連する各取得日以降
のそれぞれの経営成績は、当社の連結経営成績に含めている。取得日より前の期間のそれぞれの経営成績は、個別で
も合計でも、当社の連結経営成績に比して重要ではない。取得した識別可能な無形資産に配分した公正価値は、経営
者が決定した見積及び仮定に基づいている。
2010年度における企業結合
メドフュージョン・インク
2010年5月21日、当社は非公開企業であるメドフュージョン・インクを対価合計約89百万ドルで取得した。この対価
合計には、現金による慰留ボーナスの公正価値約10百万ドルが含まれており、サービス提供期間3年間にわたり費用
処理されている。メドフュージョンは患者とプロバイダー間のオンライン・コミュニケーション・ソリューション
のプロバイダーであり、当社の「その他事業」セグメントの一部となった。当社は、「Connected Services(接続さ
れたサービス)」戦略を支えるオンライン・ヘルスケア提供商品を拡充するために、メドフュージョンを取得した。
当社は、取得法の会計処理に従い、引き渡した対価合計の公正価値を、取得した有形固定資産及び識別可能な無形資
産並びに引き受けた負債に、取得日のこれらの見積公正価値に基づいて配分した。対価が公正価値合計を上回る部分
は、のれんとして計上した。取得取引完了時において入手可能な情報に基づき、対価のうち約8百万ドルを有形の負債
(純額)に、約23百万ドルを識別された無形資産に配分した。対価残額約62百万ドルはのれんとして計上したが、こ
れは税務上損金算入できない。識別された無形資産は、加重平均耐用年数6年にわたり償却されている。2011年度7月
31日終了事業年度にインテュイット・ヘルス事業報告単位について計上したのれん及び無形資産の減損損失につい
ては、注記2「公正価値測定 − 非継続的に公正価値で測定される資産及び負債」を参照。
ミント・ソフトウェア・インク
2009年11月2日、当社はミント・ソフトウェア・インクの全発行済資本持分を、対価合計約170百万ドルで取得した。
この対価合計には、現金による慰留ボーナス、引き受けた資本報酬及びミントのシリーズD優先株式の保有者に発行
された当社普通株式の公正価値約24百万ドルが含まれる。この合計24百万ドルは、サービス期間3年間にわたり費用
処理されている。ミントはオンライン個人ファイナンス・サービスを提供しており、当社の「その他事業」セグメン
トの一部となった。当社は、「Connected Services(接続されたサービス)」戦略を支えるオンライン個人ファイナ
ンス提供商品を拡充するために、ミントを取得した。
当社は、取得法の会計処理に従い、引き渡した対価合計の公正価値を、取得した有形固定資産及び識別可能な無形資
産並びに引き受けた負債に、取得日のこれらの見積公正価値に基づいて配分した。対価が公正価値合計を上回る部分
は、のれんとして計上した。取得取引完了時において入手可能な情報に基づき、対価のうち約1百万ドルを有形固定資
産(純額)に、約43百万ドルを識別された無形資産に配分した。対価残額約102百万ドルはのれんとして計上したが、
これは税務上損金算入できない。識別された無形資産は、加重平均耐用年数7年にわたり償却されている。
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2009年度における取得
ペイサイクル・インク
2009年7月23日、当社はペイサイクル・インクの全発行済資本持分を、引き継いだストック・オプションの公正価値
を含めて、購入価額合計約169百万ドルで取得した。ペイサイクルはオンライン給与ソリューションを小規模事業者
へ提供しており、当社の「従業員管理ソリューション」セグメントの一部となった。当社は、「Connected Services
(接続されたサービス)」戦略を支えるオンライン給与提供商品を拡充するために、ペイサイクルを取得した。
当社は、パーチェス法の会計処理に従い、購入価額合計を、取得した有形固定資産及び識別可能な無形資産並びに引
き受けた負債に、取得日のこれらの見積公正価値に基づいて配分した。購入価額が公正価値合計を上回る部分は、の
れんとして計上した。取得取引完了時において入手可能な情報に基づき、購入価額のうち約5百万ドルを有形固定資
産(純額)に、約42百万ドルを識別された無形資産に配分した。購入価額残額約122百万ドルはのれんとして計上し
たが、これは税務上損金算入できない。識別された無形資産は、加重平均耐用年数7年にわたり償却している。
8.非継続事業
2010年1月15日、当社はインテュイット・リアル・エステート・ソリューションズ(以下「IRES」という)事業を
現金約128百万ドルで売却し、のれん72百万ドル及び法人所得税23百万ドルを含む35百万ドルの処分益(純額)を計
上した。IRESを売却するという判断は、インテュイットの主力製品及びサービスにリソースを集中させたいという経
営者の要望によるものである。IRESは、「その他事業」セグメントに属していた。
当社は、IRESを非継続事業として会計処理し、よって、当該売却より前の全表示事業年度の損益計算書において、
IRESの経営成績を継続事業と区分掲記した。2010年7月31日終了事業年度におけるIRESの純売上高33百万ドルで、処
分益を除外した純利益は1百万ドル未満であった。2009年7月31日終了事業年度における純売上高は74百万ドルで、純
利益は1百万ドル未満であった。いずれの表示事業年度においてもIRESの営業活動によるキャッシュ・フローに重要
性がないため、キャッシュ・フロー計算書において、IRESの営業活動によるキャッシュ・フローと継続事業を区分掲
記していない。非継続事業による当期純利益に含まれるIRESの処分益(純額)の影響は、2010年7月31日終了事業年
度のキャッシュ・フロー計算書において表示している。
9.流動負債
1年以内返済予定長期借入債務
1年以内返済予定長期借入債務には、2012年3月15日期日の5.40%無担保優先債券500百万ドルから未償却割引額を控
除した金額が含まれている。当該債券の約定満期日が1年内となったため、2011年度において同債券を長期負債から
流動負債に振り替えた。詳細は、注記10「長期債務及び契約債務 ― 長期借入債務」を参照。
無担保リボルビング信用枠
2007年3月22日、当社は特定の貸付金融機関と2012年3月22日に満了する500百万ドルの無担保リボルビング信用枠
契約を締結した。この信用枠下での借入金には、当社が選択するシティバンク基準金利又はロンドン銀行間取引金利
(以下「LIBOR」とする)のいずれかに当社の優先債券の信用格付に基づく0.18%∼0.575%のマージンを加えた金利
と同率の金利が前払として発生する。適用金利は、当該信用枠に基づく借入金及び信用状の元本合計額が250百万ド
ルを超えた期間については、0.05%上昇する。本契約には、借入合計と利息・税金・減価償却控除前年間利益(以下
「EBITDA」とする)の割合が3.25対1.00を超えないように、且つ、年間EBITDAと未払利息の割合が3.00対1.00を下回
らないように維持することを当社に義務付ける契約条項が含まれている。2011年7月31日現在、当社はこの契約条項
を遵守している。当社は、この信用枠による借入額を一般的な企業運営や将来の買収や事業拡張に利用できる。当社
はこれまで本信用枠を使用して資金を借り入れたことがない。
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その他の流動負債
表示事業年度末におけるその他流動負債は、次のとおりである。
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
2010年7月31日
製品返品引当金
$ 20
$ 20
リベート引当金
11
11
未払ライセンス料(1年内)
10
10
7
7
未払利息
21
21
役員繰延報酬制度負債
50
43
その他
22
22
$ 141
$ 134
繰延賃借料(1年内)
その他流動負債合計
10.長期債務及び契約債務
長期借入債務
2007年3月12日、当社は2012年3月15日期日の5.40%の無担保優先債券500百万ドル及び2017年3月15日期日の5.75%の
無担保優先債券500百万ドル(両方合わせて「これら債券」という)の、元本合計10億ドルの債券を発行した。これ
ら債券の約定満期日が1年内となったため、2011年度において2012年3月債券を長期負債から流動負債に振り替えた。
これら債券は、メイクホール・プレミアムを条件として、インテュイットがいつでも償還できる。これら債券には、当
社の設備への抵当権の設定や、相当額の引当金を条件とするセール・アンド・リースバック取引の締結を制限する
契約条項が付加されている。当社は、2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度に、それぞれこれら債券に対す
る利息56百万ドルを現金で支払った。
下表は、無担保優先債券の要約である。
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
2010年7月31日
優先債券:
2012年期日、5.40% 固定利率債券
$ 500
$ 500
2017年期日、5.75% 固定利率債券
500
500
1,000
1,000
優先債券合計
未償却割引額
優先債券合計
(1)
(2)
$ 999
$ 998
$ 500
$ -
499
998
表示区分:
1年以内返済予定長期借入債務
長期借入債務
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優先債券合計
$ 999
$ 998
その他長期債務
表示事業年度末におけるその他長期債務は、次のとおりである。
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
未払ライセンス料合計
2010年7月31日
$ 60
$ 65
繰延賃借料合計
52
60
長期繰延収益
40
29
長期未払法人税等
42
20
長期未払金
12
-
1
3
207
177
(17)
(19)
その他
長期債務合計
(減額)長期債務の1年内返済予定額
(その他流動負債に含まれる)
$ 190
支払期日が1年超の長期債務
$ 158
2009年5月、当社は特定の技術のライセンスを受けるため、現金20百万ドル及び今後10事業年度にわたり100百万ド
ルを支払う契約を締結した。当該契約の現在価値合計額は、約89百万ドルである。上表の未払ライセンス料合計には、
各表示事業年度末までの帰属利子が含まれている。
オペレーティング・リース契約債務及び無条件購入義務
当社は、解約不能オペレーティング・リース契約に基づき事務所の施設及び設備をリースしている。当社施設の
リースでは、通常、貸借料の定期的値上げが規定されており、また多くのリースには貸借料変動条項及び契約更新オ
プションが含まれている。カリフォルニア州マウンテン・ビュー市にある当社の本社キャンパスのリースは2024年
及び2026年に満了し、同契約に従って決定する賃借料にてリース期間をその後10年間延長するオプションがある。
当社は、通常の営業の過程において複数のサプライヤーと一定の無条件購入義務契約を締結している。無条件購入
義務とは、製品及びサービスを購入するための強制力及び法的拘束力を持つ契約であり、購入すべき確定又は最低の
数量、確定・最低・変動価格条項及び大体の支払時期などの契約条件を規定している。2011年7月31日現在、契約債務
のうち最も金額の多いものは、当社の「財務サービス」セグメントにおける将来的な電子支払フルフィルメント及
び請求管理の委託サービスに関するものである。
2011年7月31日現在のオペレーティング・リースに基づく年間最小契約債務及び購入義務は、下表のとおりである。
(単位:百万ドル)
オペレーティング・
リース契約債務
購入義務
7月31日終了事業年度
2012
$ 52
$ 78
2013
46
48
2014
45
44
2015
43
40
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2016
43
40
215
37
$ 444
$ 287
それ以降
オペレーティング・リース契約債務合計
賃借料合計額は、2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度において、それぞれ48百万ドル、43百万ドル及び44
百万ドルであった。賃借料には、約定基本賃借料、並びに、ビル管理費、光熱費、固定資産税及び保険等といった約定変
動費用が含まれる。
11.法人税等
表示事業年度における継続事業による法人税等の内訳は、次のとおりである。
(単位:百万ドル)
2011年
7月31日
終了事業年度
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
当期法人税等:
連邦税
$ 268
$ 231
$ 160
43
44
7
5
33
12
316
308
179
州税
外国税
当期法人税等合計
繰延法人税等:
連邦税
3
(15)
24
州税
7
(1)
7
外国税
6
(16)
(4)
16
(32)
27
繰延法人税等合計
$ 332
継続事業による法人税等合計
$ 276
$ 206
株式報酬控除に関連する超過タックス・ベネフィットは、資本に含めている。資本に含めた株式報酬控除による未
払法人税等の減少額は、2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度において、それぞれ約81百万ドル、約36百万
ドル及び約18百万ドルである。
表示事業年度における継続事業による法人税等前利益の源泉地国の内訳は、次のとおりである。
(単位:百万ドル)
2011年
7月31日
終了事業年度
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
米国
$ 919
$ 779
$ 627
外国
47
36
26
$ 966
$ 815
$ 653
合計
表示事業年度における連邦法定法人税率35%を用いて算定した法人税等と、継続事業による法人税等との差異は、次
のとおりである。
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有価証券報告書
(単位:百万ドル)
2011年
7月31日
終了事業年度
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
継続事業による税引前利益
$ 966
$ 815
$ 653
法定連邦法人税等
$ 338
$ 285
$ 229
33
27
9
連邦試験研究費税額控除
(25)
(8)
(20)
国内製造事業控除
(25)
(14)
(11)
連邦税ベネフィット差引後の州法人税等
株式報酬
6
4
4
非課税受取利息
(1)
(2)
(5)
米国外事業による効果
(4)
(20)
-
のれん減損損失損金不算入額
8
-
-
その他(純額)
2
4
-
$ 332
$ 276
$ 206
継続事業による法人税等合計
2010年12月、「2010年減税、失業保険延長及び雇用創出法」が制定された。同法には、2011年12月31日までの連邦試
験研究費税額控除の復活が含まれており、2010年1月1日まで遡及適用される。2011年7月31日終了事業年度において、
2010年度及び2011年度第1四半期に関する遡及額について個別のタックス・ベネフィット約9百万ドルを計上した。
当社は2010年7月31日終了事業年度において、特定の在外子会社からの利益の分配及び当社の国際的拡大戦略に寄
与するために、在外子会社に残るほぼすべての利益を無期限に再投資する計画に関連して、外国税額控除から得られ
る個別のタックス・ベネフィット約20百万ドルを計上した。このタックス・ベネフィットは上表の米国外事業によ
る効果に表示されている。
2009年1月、当社は2009年度より前に終了する年度を含む特定の課税年度に関して、州税務当局と有利な契約を締結
した。本契約により、2009年7月31日終了事業年度において個別のタックス・ベネフィット約18百万ドルを計上した。
2008年10月の連邦税法改正により、2009年12月31日まで連邦試験研究費税額控除が復活し、2008年1月1日まで遡及
されることとなった。2009年7月31日終了事業年度において、2008年度に係る遡及金額として、個別のタックス・ベネ
フィット約7百万ドルを計上した。
表示事業年度末における重要な繰延税金資産及び繰延税金負債は、次のとおりである。
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
2010年7月31日
繰延税金資産:
現時点で損金算入できない未払金及び引当金
$ 28
$ 30
9
10
未払報酬及び繰延報酬
33
18
繰越欠損金及び繰越税額控除
39
63
有形固定資産
11
8
株式報酬
88
89
繰延賃借料
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その他(純額)
1
4
209
222
51
55
1
1
繰延税金負債合計
52
56
繰延税金資産合計−純額
157
166
繰延税金資産合計
繰延税金負債:
無形資産
その他(純額)
評価性引当金
(8)
$ 149
繰延税金資産合計−純額(評価性引当金控除後)
(8)
$ 158
当社は、実現可能性が低いと考える特定の州及び外国繰越欠損金のタックス・ベネフィットに関する評価性引当金
を計上している。2011年及び2010年7月31日終了事業年度における評価性引当金に重要な変動はなかった。
当社は、海外子会社の利益を無期限に当社の国際事業に再投資する意図がある場合を除き、これらの子会社の利益
について米国連邦法人税等を未払計上している。従前に無期限に再投資すると取り扱われていた外国利益が米国に
還元される範囲において、一部の制限はあるものの、関連する米国税金負債から当該利益に対して納付した外国法人
所得税を減額できる。2011年7月31日現在、米国法人税等が未払計上されていない利益の累積額は約30百万ドルであ
る。当該利益に対して認識されていない繰延税金負債は約8百万ドルである。
表示事業年度末の貸借対照表に表示されている評価性引当金控除後の繰延税金資産合計額の内訳は、次のとおりで
ある。
(単位:百万ドル)
2011年7月31日
2010年7月31日
短期繰延税金資産
$ 94
$ 117
長期繰延税金資産
55
41
$ 149
$ 158
繰延税金資産合計−純額(評価性引当金控除後)
2011年7月31日現在、2021年度から順次期限切れとなる連邦税に係る繰越欠損金は、約35百万ドルである。この繰越
欠損金の充当は、年間限度額の対象となる。この年間限度額により、欠損金が充当前に期限切れとなる場合がある。
2011年7月31日現在、当社には連邦外国税額控除の超過額が約15百万ドルあり、そのうち2百万ドルは繰戻可能であ
り、13百万ドルは繰越可能である。繰越外国税額控除は、2020年度から順次期限切れとなる予定である。この繰越外国
税額控除を充当できるかどうかは、繰越期間において充分な外国源泉所得があるかどうかによる。外国源泉所得の限
度により、外国税額控除が充当前に期限切れとなる場合がある。
2011年7月31日現在、当社には州税に係る繰越欠損金が約168百万ドルあり、これに対して繰延税金資産9百万ドル及
び評価性引当金8百万ドルを計上した。州税に係る繰越欠損金は、2014年度から順次期限切れとなる予定である。この
繰越欠損金の充当は、年間限度額の対象となる。この年間限度額により、欠損金が充当前に期限切れとなる場合があ
る。
未認識タックス・ベネフィット
表示事業年度の未認識タックス・ベネフィット残高(総額)の変動額合計は、次のとおりである。
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(単位:百万ドル)
2011年
7月31日
終了事業年度
未認識タックス・ベネフィット期首残高(総額)
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
$ 35
$ 40
$ 45
取得を含む、過年度の税務ポジションに関する増加額
2
3
10
過年度の税務ポジションに関する減少額
-
(5)
(10)
当事業年度中の税務ポジションに関する増加額
4
3
4
税務当局との確定額
-
-
(8)
時効による消滅
-
(6)
(1)
$ 41
未認識タックス・ベネフィット期末残高(総額)
$ 35
$ 40
2011年7月31日現在の未認識タックス・ベネフィット合計額は、41百万ドルである。同日現在の関連する繰延税金資
産控除後の未認識タックス・ベネフィットは、35百万ドルである。これらの未認識タックス・ベネフィット(純額)
を認識したとすれば、当社の法人税等は純額で35百万ドル減少する。当社は、今後12ヵ月間にわたり未認識タックス
・ベネフィットに重要な増減が合理的にありうるとは考えていない。
当社は米国の連邦政府、州政府及び外国政府に税務申告を行っている。当社の主要な税務管轄は、米国の連邦政府及
びカリフォルニア州である。当社の連邦税務申告については、2006年度及び2005年度より前の事業年度は、すでに税
務調査の対象ではない。カリフォルニア州税務申告については、2005年度より前の事業年度は、すでに税務調査の対
象ではない。
当社は、法人税等において、未認識タックス・ベネフィットに関する利息及び罰金を認識している。2011年及び2010
年7月31日現在に未払計上した支払利息及び罰金の金額に重要性はない。また2011年、2010年及び2009年7月31日終了
事業年度に実現した利息及び罰金の金額にも重要性はない。
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12.資本
株式買戻プログラム
当社の取締役会は、一連の普通株式買戻プログラムを承認している。これらのプログラムで買い戻された普通株式
は、自己株式となる。当社はこれらのプログラムにより、2011年7月31日終了事業年度に当社普通株式28.2百万株を14
億ドルで、2010年7月31日終了事業年度に当社普通株式28.7百万株を900百万ドルで、2009年7月31日終了事業年度に
当社普通株式10.9百万株を300百万ドルで、それぞれ買い戻した。2011年7月31日現在、640百万ドルを上限とした支出
を行うことに対する当社取締役会の承認は、2013年8月16日までの現行プログラムに基づく株式買戻しについて、引
き続き使用可能である。2011年8月18日、当社は、2014年8月15日に終了する3年間にわたり、追加で20億ドルを上限と
して、適宜、当社普通株式を買い戻すことが承認されている、新たな株式買戻しプログラムを発表した。
買い戻した当社普通株式は、再発行又は消却されるまで、自己株式として保有する。自己株式の再発行時の売却収入
が自社株式取得に当社が支払った平均価格を上回る場合、資本剰余金を増加させる。逆に株式の売却収入が自社株式
取得に支払った平均価格を下回る場合、以前に同様の取引により増加した金額を上限として資本剰余金を減少させ、
残りの金額について利益剰余金を減少させる。
普通株式に対する配当
2011年8月、当社の取締役会は、創業以来初めて、2011年10月10日営業終了時刻現在で記録されている株主に対して、
2011年10月18日を支払予定とする発行済普通株式一株当たり0.15ドルの現金配当を宣言した。今後の配当宣言、並び
に、将来の基準日及び支払日の設定については、当社取締役会の最終決定による。
2005年株式報酬制度の説明
当社株主は2004年12月9日、当社の「2005年株式報酬制度(以下「2005年制度」という)」を初めて承認した。2011年
1月19日、当社の株主は、2015年1月19日に満了する「改定及び修正2005年株式報酬制度(以下「修正2005年制度」と
いう)」を承認した。当社はこの修正2005年制度に基づいて、インセンティブ及び税制非適格ストック・オプショ
ン、制限付き株式報酬、制限付き株式ユニット(以下「RSU」という)、株式評価益受益権、並びに株式ボーナスを、当
社従業員並びに非従業員の役員及びコンサルタントに付与することができる。当社取締役会の報酬及び組織発展委
員会又はそれにより権限を委譲された者が、付与対象者、権利行使期間、権利行使価格及びその他の条件を決める。当
社は、修正2005年制度により上限96,000,000株の発行を認められている。当該制度により、交換可能株式積立高
(「株式プール」)が設定されている。2010年11月1日以降に付与されたストック・オプション1個につき交換可能
株式積立高を1株減少させ、また付与された制限付き株式報酬又はRSU1単位につき交換可能株式積立高を2.3株減少
させる。失効し付与可能な株式プールに戻されたストック・オプションは、失効した株式1株につき株式プールを1株
増加させる。失効し付与可能な株式プールに戻された制限付き株式報酬及びRSUは、失効した株式1株につき株式プー
ルを2.3株増加させる。2011年7月31日現在、本制度により約30.7百万株が付与可能である。2005年制度及び修正2005
年制度により付与されるストック・オプションは、通常、連続するサービスに基づき3年で権利確定し、権利行使期間
は7年である。これらの制度により付与されるRSUは、通常、連続するサービスに基づき3年間で権利確定する。上級経
営者に付与される特定のRSUは、事前に設定された業績又は市場目標の達成に基づき権利確定する。
従業員株式購入制度の説明
1996年11月26日、当社株主は、米国内国歳入法423条に基づく当社の従業員株式購入制度(以下「ESPP」という)を
初めて採用した。資格を有する当社従業員は、ESPPにより、当社株式を給料天引きで定期的な購入予定日に割引額で
購入できる。当社株主は、制度に基づき上限16,800,000株の発行が可能となるよう、2015年7月27日に満了するESPPの
改正を承認した。2011年度において、ESPPによる株式の売出期間は3ヵ月間で、株式の購入価格は同売出期間の初日又
は最終日におけるインテュイット普通株式の株価終値のいずれか低い方の85%であった。2011年9月16日以降を有効
として、ESPPによる株式の売出期間は6ヵ月間となり、これは連続する2期の3ヵ月間の見越期間で構成される。株式の
購入価格は、売出期間の初日又は見越期間の最終日におけるインテュイット普通株式の株価終値のいずれか低い方
の85%となる。
ESPP制度に基づく従業員のインテュイット普通株式の購入高は、2011年7月31日終了事業年度に840,654株、2010年7
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月31日終了事業年度に1,120,030株、及び2009年7月31日終了事業年度に1,368,005株であった。2011年7月31日現在、
本制度により発行可能な株式数は1,780,671株である。
株式報酬費用
下表は、表示事業年度において計上した株式報酬費用合計額を要約したものである。
(単位:百万ドル/1株当たり値のみドル)
製品売上原価
2011年
7月31日
終了事業年度
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
$ 1
$ 1
$ 2
サービス及びその他売上原価
6
7
7
販売費及びマーケティング費
46
41
45
研究開発費
51
41
39
一般管理費
49
44
37
非継続事業
-
1
3
153
135
133
(53)
(48)
(48)
株式報酬費用合計
タックス・ベネフィット
$ 100
$ 87
$ 85
基本的
$ 0.33
$ 0.28
$ 0.26
希薄化後
$ 0.32
$ 0.27
$ 0.26
当期純利益の減少額
1株当たり当期純利益の減少額
公正価値の決定
価値評価及び償却法 当社は付与済ストック・オプションの公正価値の見積を二項格子モデル及びマルティプル
・オプション・アワード・アプローチを用いて行っている。当社ストック・オプションには、権利確定規定や譲渡制
限など多様な制限があり、多くは約定満期日前に行使されている。当社は、ブラック・ショールズ・モデルなどのク
ローズド型モデルよりも、二項格子モデルの方が当社ストック・オプションの特徴を有効に捉えることができると
考えている。二項格子モデルの使用では、実際の従業員の多様な行使行動及び数々の複雑な仮定(例えば、ストック
・オプション期間にわたる株価の予想変動率、リスクフリー・レート、予測される配当)を使用する必要がある。オ
プションの公正価値は、報酬の要件サービス期間(通常、権利確定期間)にわたり定額法で償却される。
付与された制限付き株式ユニット(以下「RSU」という)は、通常、連続するサービスに基づき権利確定する。2011
年7月より前は、このような期間条件付きRSUは、付与日に本源的価値法を用いて見積り評価し、見積失効分を調整し
ていた。上級経営者に付与される特定のRSUは、事前に設定された業績又は市場目標の達成に基づき権利確定する。ま
た2011年7月より前は、このような業績条件付きRSUの公正価値を、付与日に本源的価値法を用いて見積もるととも
に、特定の業績基準が満たされる可能性も見積もり、見積失効分を調整していた。後述の「配当」で述べるとおり、
2011年7月、当社は、将来に現金配当を支払う可能性が高いと決定した。RSU保有者には配当を受ける権利がないため、
当社は、2011年7月以降、本源的価値法で使用される当社株式の付与日の市場価格から、権利確定期間中に当社株式に
対して支払われると予想される配当の金額を適切なリスクフリー・レートで割り引いた現在価値を、減額し始めた。
期間条件付きRSUの公正価値は、見積失効分を調整後、制限期間にわたり定額法で償却している。また、業績条件付き
RSUの公正価値は、別個に権利確定した報酬部分それぞれに対する見積失効分を調整後、要件サービス期間にわたり
定額法で償却している。また、市場条件付きRSUは、付与日にモンテ・カルロ評価法を用いて見積り、これらの公正価
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値を別個に権利確定した報酬部分それぞれに対する見積失効分を調整後、要件サービス期間にわたり償却している。
予想残存期間 付与済ストック・オプションの予想残存期間とは、オプションが未行使であると予想される期間で
あり、二項格子モデルで求められるアウトプットである。オプションの予想残存期間は、基礎となる仮定及び当社モ
デルの設定のすべてに影響される。二項格子モデルでは、ストック・オプションの権利行使行動は、残存する権利確
定期間の関数と、当社普通株式の市場価格がオプション行使価格をどれだけ上回るかに拠ると仮定している。二項格
子モデルは、権利行使の確率を、すべての過去に付与したオプションの権利行使と取消の実績に基づき、これら2つの
変数の関数として見積もる。
予想ボラティリティ 当社は、付与日における当社普通株式のボラティリティを、1年及び2年の当社普通株式の上
場オプションのインプライド・ボラティリティに基づいて見積もっている。当社は、当社普通株式のオプションが活
発に取引されていることや、インプライド・ボラティリティがヒストリカル・ボラティリティよりも将来の株価動
向をより反映しているという評価に基づいて、インプライド・ボラティリティを使用することを決定した。
リスクフリー・レート 当社のオプション価値評価モデルで用いるリスクフリー・レートは、オプション付与時点
で有効な、同様の残存期間で発行される変動利付米国国債の予想利回りに基づいている。
配当 過去において、当社はこれまで当社普通株式に対して現金配当を支払ったことはなく、予見可能な将来に現
金配当を支払う予定はなかった。よって当社は、当社のストック・オプション価値評価モデルにおける予想配当利回
りをゼロとしていた。2011年7月、当社は、将来に現金配当を支払う可能性が高いと決定し、その結果、当社のオプショ
ン評価モデルにおいて予測配当率の使用を開始した。詳細については、前述の「普通株式に対する配当」を参照。
失効 当社は、ストック・オプションの失効を付与時点で見積もり、付与の翌期以降に実際の失効が当該見積とは
異なった場合に見積を修正している。当社は過去データを用いて権利確定前のストック・オプションの失効を見積
もり、権利確定すると予想される分のみについて株式報酬費用を計上している。
次の仮定を用いて、表示事業年度の付与済ストック・オプション及び従業員株式購入制度で購入された株式の公正
価値を見積もった。
2011年7月31日
終了事業年度
2010年7月31日 2009年7月31日
終了事業年度 終了事業年度
ストック・オプションの仮定:
予想ボラティリティ(範囲)
27% - 30%
24% - 30%
28% - 44%
加重平均予想ボラティリティ
28%
28%
31%
リスクフリー・レート(範囲)
予想配当利回り(1)
0.87% - 1.91% 1.37% - 2.82% 1.13% - 3.08%
0% - 1.20%
0%
0%
予想ボラティリティ(範囲)
27% - 33%
22% - 29%
35% - 53%
加重平均予想ボラティリティ
29%
26%
42%
従業員株式購入制度の仮定:
リスクフリー・レート(範囲)
予想配当利回り
0.05% - 0.16% 0.04% - 0.16% 0.04% - 0.84%
0%
0%
0%
(1) 2011年7月より前の2011年度のオプション付与に対する予想配当利回りの仮定はゼロである。2011年7月、当社は将来に現
金配当を支払う可能性が高いと決定し、その結果、当社のオプション評価モデルにおいて予測配当率の仮定の使用を開始
した。詳細については、前述の「普通株式に対する配当」を参照。
ストック・オプションの状況及び関連する株式報酬費用
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表示事業年度におけるすべての株式報酬制度の状況は、次のとおりである。
未行使オプション
(単位:千株、1株当たり値のみドル)
2008年7月31日現在残高
追加授権株式
株式数
1株当たり
加重平均
行使価格
7,976
50,206
$ 24.70
10,000
-
-
-
178
6.45
付与可能株式数
取得により引き受け転換したオプション
付与されたオプション
(6,538)
6,538
28.83
付与された制限付き株式ユニット
(6,242)
-
-
行使されたオプション
取消又は満期消滅したオプション(1)
失効した制限付き株式ユニット(1)
2009年7月31日現在残高
追加授権株式
-
(8,760)
19.37
2,208
(2,488)
29.20
682
-
-
8,086
45,674
26.00
9,000
-
-
-
372
3.08
取得により引き受け転換したオプション
付与されたオプション
(6,338)
6,338
35.93
付与された制限付き株式ユニット
(5,253)
-
-
行使されたオプション
- (17,212)
24.00
取消又は満期消滅したオプション(1)
2,089
失効した制限付き株式ユニット(1)
1,177
-
-
8,761
32,593
28.45
追加授権株式
31,000
-
-
付与されたオプション
(3,055)
3,055
47.70
付与された制限付き株式ユニット(2)
(8,501)
-
-
2010年7月31日現在残高
行使されたオプション
取消又は満期消滅したオプション(1)
失効した制限付き株式ユニット(1)(2)
2011年7月31日現在残高
(2,579)
- (11,997)
915
(972)
29.46
25.68
31.44
1,596
-
-
30,716
22,679
$ 32.38
(1) 当社の2005年株式報酬制度のもとで取消、満期消滅又は失効したストック・オプション及び制限付き株式ユニットは、付
与可能な株式プールに戻される。それ以前に満了した制度のもとで取消、満期消滅又は失効したストック・オプション及
び制限付き株式ユニットは、付与可能な株式プールに戻されない。
(2) 2011年1月19日に改正された当社の2005年株式報酬制度の条件に基づき、2010年11月1日以降、付与可能な株式プールから
付与された制限付き株式ユニットは、付与株式1株につき株式プールを2.3株減少させる。失効し付与可能な株式プールに
戻された制限付き株式は、失効した株式1株につき株式プールを2.3株増加させる。
2011年7月31日現在の未行使オプション、権利行使可能且つ権利確定が予想されるオプション、並びに権利行使可能
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オプションは、次のとおりである。
株式数
(千株)
1株当たり
加重平均
加重平均
本源的
残存契約期間 行使価格 価値合計
(年数)
(ドル) (百万ドル)
未行使オプション
22,679
4.39
$ 32.38
$ 329
権利行使可能且つ権利確定が予想されるオプション
22,118
4.34
$ 32.12
$ 322
権利行使可能オプション
14,271
3.45
$ 28.69
$ 257
権利確定が予想されるオプションとは、予想失効数を差し引いた権利未確定株式である。2011年7月31日現在の未行
使オプションの本源的価値合計額は、原資産たるストック・オプションの行使価格と同日時点でイン・ザ・マネー
であった株式の対象となる当社普通株式の市場価格との差額として計算される。2011年7月31日現在のイン・ザ・マ
ネーのオプションとは、同日の当社普通株式の市場価格46.70ドルよりも行使価格が低いオプションである。
当社のストック・オプション、制限付き株式及びESPPによる株式の追加情報は、下表のとおりである。
2011年7月31日
終了事業年度
(単位:百万ドル/1株当たり値のみドル)
付与済オプションの加重平均公正価値(1株あたり)
2010年7 2009年7
月31日
月31日
終了事業 終了事業
年度
年度
$ 10.44
$ 8.73
$ 7.86
$ 53
$ 57
$ 58
$ 261
$ 157
$ 79
ストック・オプション、制限付き株式及びESPPに係る株式報酬費用
$ 53
$ 67
$ 63
ストック・オプション、制限付き株式及びESPPに係るタックス・ベネフィット合
計
$ 17
$ 24
$ 22
$ 308
$ 413
$ 169
$ 99
$ 61
$ 32
権利確定済オプションの公正価値合計
権利行使済オプションの本源的価値合計
オプションの権利行使により受け取った現金
すべての株式報酬支払契約に基づく税制非適格オプションの行使及び非適格な処
分に係る税額控除に関連して実現した現金タックス・ベネフィット
2011年7月31日現在、権利未確定のストック・オプション及び制限付き株式に関連する未認識報酬費用が69百万ド
ルあり、将来において償却し費用化する予定である。未認識報酬費用は、見積失効に将来変動が生じた場合に修正さ
れる。この費用は加重平均権利確定期間2.1年にわたり認識する予定である。
公開市場における当社普通株式を買い戻す継続中のプログラムにより、当社は2011年7月31日現在で約129百万株の
自己株式を保有している。オプションの権利行使及びRSUの権利確定にあたってはこのプールされた自己株式を使用
する。
制限付き株式ユニットの状況及び関連する株式報酬費用
表示事業年度での制限付き株式ユニット(以下「RSU」という)の状況は、次のとおりである。
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付与日における
加重平均公正価値
株式数
(単位:千株、1株当たり値のみドル)
2008年7月31日現在、権利未確定
付与
権利確定
失効
2009年7月31日現在、権利未確定
付与
取得により引き受け転換した制限付き株式ユニット
4,997
$ 29.29
6,242
26.09
(1,150)
30.54
(691)
28.53
9,398
27.06
5,253
36.24
231
29.14
権利確定
(2,172)
29.30
失効
(1,179)
26.46
11,531
30.93
3,855
47.02
(3,474)
26.33
(857)
31.73
2010年7月31日現在、権利未確定
付与
権利確定
失効
11,055
2011年7月31日現在、権利未確定
$ 37.92
当社のRSUに関する追加的情報は、下表のとおりである。
2011年7月31日
終了事業年度
(単位:百万ドル)
権利確定済RSUの公正価値合計
2010年7月31日 2009年7月31日
終了事業年度 終了事業年度
$ 150
$ 64
$ 35
$ 100
$ 68
$ 70
$ 36
$ 25
$ 26
$ 36
$ 24
$ 14
RSUに対する株式報酬
RSU株式報酬費用に関連するタックス・ベネフィット合計
RSUに係る税額控除について実現した現金タックス・ベネフィット
2011年7月31日現在、権利未確定のRSUに関連する未認識報酬費用が238百万ドルあり、将来において償却し費用化す
る予定である。未認識報酬費用は、見積失効数に将来変動が生じた場合に修正される。この費用は加重平均権利確定
期間2.5年にわたり認識する予定である。
13.福利厚生制度
役員繰延報酬制度
当社は2004年12月に2005年役員繰延報酬制度を初めて採用し、2005年1月1日に発効させた。当社は、内国歳入法409A
条に基づく繰延報酬の要件を満たすように、本制度を適用した。制度上、最低報酬要件を満たす役員は、給与、ボーナ
ス及びコミッションの75%を上限として繰り延べる資格がある。当社は、参加者の拠出額に、特定の独立投資ファンド
の運用成績を反映する利益相当額を追加して拠出することに合意している。また当社は、特定の状況において、参加
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者の口座に任意の雇用者拠出を行うこともできる。雇用者拠出のタイミング、金額及び権利確定スケジュールは、当
社取締役会の報酬及び組織開発委員会又はそれらに権限を委譲された者の単独裁量による。本制度による恩恵は不
確実なものである。参加者は通常、各自が選択した繰延期間末、あらゆる理由による当社退職後、または409A条の制限
条項を満たした日以後、権利確定した報酬の支払を受ける資格を有する。任意の会社拠出及び関連する運用益は、参
加者に障がいや死亡が発生した、又はインテュイットの支配権に変更があった時点で完全に権利確定される。いずれ
の表示年度においても、本制度に対する雇用者拠出は重要でなかった。
当社の保有する本制度に関連する負債は、2011年及び2010年7月31日現在でそれぞれ50百万ドル及び43百万ドルで
あった。当社は、本制度上の負債に対して類似するパフォーマンスの資産を拠出した。当社の貸借対照表上、これらの
資産をその他長期資産に計上する一方、債務に関連する負債をその他流動負債に計上している。
401(k)プラン
米国内において、インテュイット・インク401(k)プランに参加する従業員は、現行、内国歳入庁の制限及び本制度
の諸条件を前提に、税前報酬の20%を上限として制度に拠出することができる。当社は、従業員拠出の一部に対して、
内国歳入庁の制限を前提とした上乗せ拠出(現行、給与の1,000ドル以下の部分の150%及び1,000ドル超の部分の6%
について最大75%)を行っている。上乗せ拠出額は、2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度において、それぞ
れ34百万ドル、32百万ドル及び35百万ドルであった。
14.訴訟
当社は、通常の業務遂行上発生する、当社が他者の特許やその他の知的財産権を侵害している可能性があるという
主張を含む、日常的な訴訟、法的請求、申立て、訴訟の脅威に晒されている。当社は現在、すべての未払計上額に加え
て、いかなる種類の係争中の申立てに係る潜在的な損失額が、たとえ存在したとしても、案件ごと又は合計でも、当社
連結財務書類に重大な影響を与えないと考えている。いかなる訴訟も最終的結果は不確実であり、結果にかかわら
ず、訴訟は弁護費用、悪い評判や報道、経営資源の投入、その他要因により当社に悪影響を及ぼす可能性がある。当社
が必要なライセンスその他権利を取得できなかった場合、又は知的財産権関連の申立てから生じる訴訟になった場
合は、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性がある。 15.セグメント情報
当社は、当社が事業を管理する方法及び当社の最高位の事業意思決定者が営業成績を評価する方法等の要素に基づ
き、次に説明するとおり、7つの報告対象セグメントを定義している。当社では、最高位の事業意思決定者を当社の最
高経営責任者及び最高財務責任者と定義する。当社の最高位の事業意思決定者は、主に製品やサービスの提供商品を
基礎として、当社事業の編成や管理を行っている。
財務管理ソリューションの製品売上は、主にクイックブックス・デスクトップ・ソフトウェア製品や、小切手用紙、
封筒、請求書、名刺、ビジネス文具等の財務備品から生じている。また、財務管理ソリューションのサービス及びその
他売上は、主にクイックブックス・オンライン、クイックブックス・技術サポート・プラン、中小規模事業者向けの
ウェブサイト・デザインやホスティング・サービスを提供するインテュイット・ウェブサイト、クイックベース、並
びに小規模事業者向けオンライン・サービスのロイヤルティから生じている。
従業員管理ソリューションの製品売上は、主にクイックブックス・ベーシック・ペイロール及びクイックブックス
・エンハンスド・ペイロールによるもので、これらは給与計算を自社で行う小規模事業者に対して、給与税率表、給
与レポート、連邦税・州税の給与税申告書、電子納税・申告サービスの提供をサブスクリプション形態で販売する製
品である。また、従業員管理ソリューションのサービス及びその他売上は、クイックブックス・オンライン・ペイ
ロール、クイックブックス・アシスティッド・ペイロール、インテュイット・オンライン・ペイロール、インテュ
イット・フルサービス・ペイロール、口座振込手数料、及びその他小規模事業者向け給与計算や従業員管理サービス
の手数料から生じる。また、当該セグメントのサービス及びその他売上には、顧客のために保有する資金からの受取
利息も含まれている。
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支払ソリューションの製品売上は、主に販売時点情報管理ソリューションによるものである。支払ソリューション
のサービス及びその他売上は、主に小規模事業向けマーチャント・サービスから生じている。これには、主にオンラ
イン業者向けウェブ取引処理サービスやゴーペイメント・モバイル決済処理サービスによるクレジットカード、デ
ビットカード、ギフトカードのプロセシング・サービス、自動決済(ACH)やCheck 21機能などの小切手認証、小切手
保証及び電子小切手交換などが含まれる。
消費者向け税務の製品売上は、主に一般消費者や小規模事業者向けデスクトップ版連邦税・州税申告書作成ソフト
ウェアであるターボタックスから生じる。また、消費者向け税務のサービス及びその他売上は、主にターボタックス
・オンライン税務申告書作成サービスや電子税務申告サービスによるものである。
会計専門家向けの製品売上は、主に専門家向け税務申告書作成ソフトウェア製品ProSeries及びLacerte、並びにク
イックブックス・プレミア会計士版や会計専門家向けのProAdvisor Programから生じる。また、会計専門家向けにお
けるサービス及びその他売上は、主にプロライン・タックス・オンライン税務申告サービス、電子税務申告サービ
ス、バンク・プロダクト通信サービスやトレーニング・サービスによるものである。
金融サービスのサービス及びその他売上は、主に外部委託オンライン・バンキング・ソリューションによるもので
ある。当該製品は、当社データセンター内でホスティングし、銀行や信用組合に対してオン・デマンド・サービスと
して提供する。また、金融サービスのサービス及びその他売上には、導入サービス手数料が含まれている。
その他事業の内訳は、主にクイッケン事業、ミント・ドット・コム事業、インテュイット・ヘルス事業、並びにカナ
ダ、イギリス、シンガポール及びインド事業である。クイッケン事業の製品売上は、主にクイッケン・デスクトップ・
ソフトウェア製品によるものである。当該事業におけるサービス及びその他売上は、主に消費者向けオンライン取引
手数料及びクイッケン・ローンズの商標権ロイヤルティによるものである。ミント・ドット・コム事業のサービス
及びその他売上は、主としてリード・ジェネレーションの手数料によるものである。インテュイット・ヘルス事業の
サービス及びその他売上は、患者とプロバイダー間のオンライン・コミュニケーション・サービス、及びソフトウェ
ア導入サービス手数料によるものである。カナダ事業の製品売上は、主にカナダ版クイックブックス、クイッケン、一
般消費者向けデスクトップ税務申告書作成ソフトウェアや専門家向け税務申告書作成製品によるものである。同事
業におけるサービス及びその他売上は、主にクイックブックスの保守契約、給与計算サービス及びマーチャント支払
処理サービスから構成されている。イギリス事業の製品売上は、主にイギリス版クイックブックス及びクイックブッ
クス・ペイロールによるものである。最新の海外提供商品としては、シンガポールのクイックブックス・オンライ
ン、インドのモバイル個人金融管理サービスである、インテュイット・マネー・マネジャーがある。
その他事業セグメントを除く、すべての事業セグメントは、主に米国で事業展開しており、主に米国内の顧客に対し
て販売を行っている。国外純売上高合計は、2011年、2010年及び2009年7月31日終了事業年度において、連結純売上高
合計の5%未満である。
特定セグメントに配賦されていない、コーポレートの販売費及びマーケティング費、製品開発費及び一般管理費、並
びに株式報酬費用などの費用は、未配賦コーポレート項目に含まれている。未配賦コーポレート項目には、取得技術
償却費、その他取得無形資産償却費、並びにのれん及び無形資産減損損失も含まれている。
報告対象セグメントの会計方針は、注記1の重要な会計方針の要約で説明しているとおりである。当社は、のれん及
び取得無形資産を除き、通常、資産を報告対象セグメント別に追跡しておらず、その結果として総資産を報告対象セ
グメント別に開示していない。報告対象セグメント別のれんについては、注記5を参照。
次の表は、表示年度の報告対象セグメント別の業績を示している。当社のその他事業セグメントの業績は、2010年度
第2四半期に非継続事業となったインテュイット・リアル・エステート・ソリューション事業の業績を除外するた
め、全表示事業年度について修正されている。注記8参照。
(単位:百万ドル)
2011年
7月31日
終了事業年度
2010年
2009年
7月31日
7月31日
終了事業年度 終了事業年度
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純売上高:
財務管理ソリューション
$ 701
$ 611
$ 579
従業員管理ソリューション
457
418
365
支払ソリューション
348
313
291
消費者向け税務
1,298
1,146
996
会計専門家向け
399
373
352
金融サービス
346
332
311
その他事業
302
262
215
$ 3,851
$ 3,455
$ 3,109
$ 220
$ 152
$ 113
271
253
208
64
67
31
消費者向け税務
850
746
629
会計専門家向け
228
210
186
金融サービス
83
71
69
その他事業
67
64
62
1,783
1,563
1,298
純売上高合計
継続事業による営業利益:
財務管理ソリューション
従業員管理ソリューション
支払ソリューション
セグメント営業利益合計
未配賦コーポレート項目:
株式報酬費用
(153)
(134)
(130)
その他共通費用
(532)
(475)
(384)
取得技術償却費
(17)
(49)
(59)
その他取得無形資産償却費
(44)
(42)
(42)
のれん及び無形資産減損損失
(30)
未配賦コーポレート項目合計
継続事業による営業利益合計
(776)
$ 1,007
(700)
863$
(615)
$ 683
16.主要な四半期財務情報(未監査)
次の表には、2011年及び2010年7月31日終了事業年度の主要な四半期財務データが含まれている。インテュイット・
リアル・エステート・ソリューションズ事業を非継続事業として計上しているため、この経営成績を損益計算書及
び本表の継続事業による経営成績から区分掲記している。注記8参照。
2011年度
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有価証券報告書
(単位:百万ドル/1株当たり値のみドル)
10月31日
終了
四半期
純売上高合計
1月31日 4月30日 7月31日
終了
終了
終了
四半期 四半期 四半期
$ 532
$ 878 $ 1,848
$ 593
売上原価
159
180
168
164
その他原価及び費用合計
477
587
619
490
(104)
111
1,061
(61)
(70)
73
688
(57)
-
-
73
688
継続事業による四半期営業利益(損失)
継続事業による四半期純利益(損失)
非継続事業による四半期純利益
-
四半期純利益(損失)
継続事業による基本的1株当たり四半期純利益(損失)
(70)
$ (0.22) $ 0.24
非継続事業による基本的1株当たり四半期純利益
基本的1株当たり四半期純利益(損失)
-
-
(57)
$ 2.27 $ (0.19)
-
-
$ (0.22) $ 0.24
$ 2.27 $ (0.19)
$ (0.22) $ 0.23
$ 2.20 $ (0.19)
継続事業による希薄化後1株当たり四半期純利益(損失)
非継続事業による希薄化後1株当たり四半期純利益
希薄化後1株当たり四半期純利益(損失)
-
-
$ (0.22) $ 0.23
-
-
$ 2.20 $ (0.19)
2010年度
(単位:百万ドル/1株当たり値のみドル)
10月31日
終了
四半期
純売上高合計
1月31日 4月30日 7月31日
終了
終了
終了
四半期 四半期 四半期
$ 474
$ 837 $ 1,607
$ 537
売上原価
166
178
157
152
その他原価及び費用合計
408
520
562
449
(100)
139
888
(64)
(69)
80
576
(48)
34
-
114
576
継続事業による四半期営業利益(損失)
継続事業による四半期純利益(損失)
非継続事業による四半期純利益
1
四半期純利益(損失)
継続事業による基本的1株当たり四半期純利益(損失)
(68)
$ (0.21) $ 0.25
非継続事業による基本的1株当たり四半期純利益
-
0.11
(48)
$ 1.83 $ (0.15)
-
-
基本的1株当たり四半期純利益(損失)
$ (0.21) $ 0.36
$ 1.83 $ (0.15)
継続事業による希薄化後1株当たり四半期純利益(損失)
$ (0.21) $ 0.25
$ 1.78 $ (0.15)
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非継続事業による希薄化後1株当たり四半期純利益
-
0.10
$ (0.21) $ 0.35
希薄化後1株当たり四半期純利益(損失)
-
-
$1.78 $ (0.15)
附属明細表Ⅱ
インテュイット・インク
引当金勘定
(単位:百万ドル)
増 加
費用処理/売上控除
期首残高
減 少
期末残高
2011年7月31日終了事業年度
貸倒引当金
$ 22
$ 18
$ (20)
$ 20
製品返品引当金
20
94
(94)
20
リベート引当金
11
90
(90)
11
$ 16
$ 23
$ (17)
$ 22
製品返品引当金
22
101
(103)
20
リベート引当金
30
84
(103)
11
$ 16
$ 14
$ (14)
$ 16
製品返品引当金
28
107
(113)
22
リベート引当金
13
114
(97)
30
2010年7月31日終了事業年度
貸倒引当金
2009年7月31日終了事業年度
貸倒引当金
注: 貸倒引当金の積増額は、一般管理費に費用計上している。製品返品引当金及びリベート引当金の増加は、売上高
から控除している。
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2【主な資産・負債及び収支の内容】
連結財務書類に関する注記を参照。
3【その他】
(1)後発事象
該当なし。
(2) 訴 訟
連結財務書類に関する注記「14.訴訟」を参照。
4【米国と日本における会計原則の相違】
添付の連結財務書類は米国で一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して作成されている。これらの会計原則
は、日本で一般に公正妥当と認められる会計原則とは、いくつかの点で異なる。両会計原則の主な相違点は下記のと
おりである。
(1) 変動持分事業体の連結
米国では、会計基準編纂書(以下「ASC」という)トピック810「連結」において、変動持分事業体(株主が支配的
財務持分を有していない法的事業体、又は株主が法的事業体に対してリスクを伴う資本を十分有しておらず、追加的
な劣後財務支援がない限り事業活動の資金調達ができない法的事業体)は、主たる受益者が連結する。主たる受益者
とは、変動持分事業体の経済実績に最も重要な影響を及ぼす活動を指図する力と、当該変動持分事業体にとって潜在
的に重要となり得る、損失を負担する義務又は便益を享受する権利の両方を有する事業体である。
日本では、実質的に支配されている企業や事業体は連結する。変動持分事業体の連結についての明確な基準は設け
られていない。
(2) 企業結合及びのれん
米国では、ASCトピック805「企業結合」内のガイダンスにより、取得法による会計処理がすべての企業結合に要求
され、各企業結合に関して取得企業の識別が要求される。同改訂基準は、基準で明記された限られた例外を除いて、取
得企業が、被取得企業における取得した識別可能な資産、引き受けた負債及び非支配持分を取得日に認識し、同日の
公正価値で測定することを要求している。なお、のれんは従来通り償却せず、減損処理の検討対象となる。
日本では、2008年12月26日に公表された企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」により、企業結合は
パーチェス法により会計処理することになり、持分プーリング法は廃止された。同会計基準の下では、パーチェス法
の会計処理から生じるのれん(負ののれんを除く)は、資産計上し、20年以内のその効果が及ぶ期間にわたり定額法
その他の合理的な方法により規則的に償却し、必要に応じて減損テストの対象となる。負ののれんについては、それ
が発生した事業年度の利益として処理する。また、同日公表された企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計
処理」により、連結貸借対照表の作成にあたっては被取得会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により
評価することが要求されることとなった。両基準は2010年4月1日以後実施される企業結合から適用されている。
これ以前には、パーチェス法による会計処理のほか、一定の厳格な条件の下で持分の結合と識別される限られた場
合のみ、持分プーリング法による会計処理が認められていた。また、被取得企業における取得資産、引受負債、及び非
支配持分の取得企業による評価については、時価により評価する範囲を親会社の持分に相当する部分に限定する方
法(部分時価評価法)、又は少数株主持分に相当する部分を含めてすべてを時価評価する方法(全面時価評価法)
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の選択が認められていた。
(3) 自社利用のコンピュータ・ソフトウェアの開発費用
米国では、開発準備段階の費用は発生時に費用として処理することが要求される。当該準備段階後、開発段階での発
生費用は、当該ソフトウェアが一定の要件を満たす場合に資産計上し、見積耐用年数にわたり償却することができ
る。
日本では、自社利用のソフトウェアの開発費は発生時に費用として処理する。ただし、その利用により将来の収益獲
得又は費用削減が確実であると認められる場合には、当該費用を資産計上する。
(4) その他の無形資産
米国では、耐用年数を確定できない無形資産は償却せず、減損の有無を最低年1回検討しなければならない。一方、耐
用年数を確定できる無形資産は、その耐用年数にわたり償却する。
日本では、その他の無形資産はその効果が及ぶ期間又は契約期間等にわたって償却する。なお、2005年4月1日以降に
開始する事業年度より減損会計の適用の対象となっている。
(5) 支払利息の取得原価算入
米国では、ASCサブ・トピック835-20「利息の資産化」により、工場の建設等、利用可能となるまでに期間を要する
資産の取得に関連する利息費用で一定の要件を満たすものは、当該資産の取得原価に算入することが要求されてい
る。
日本では、支払利息の取得原価算入は限定的な場合のみ認められるが、要求はされていない。支払利息は、原則とし
て発生した期の費用として処理する。
(6) 長期性資産の減損
米国では、ASCトピック360「有形固定資産」に基づき、使用目的の長期性資産について減損の兆候が認められ、その
帳簿価額が当該資産の使用及び最終的な処分により発生すると予想される割引前の将来キャッシュ・フローの合計
額を上回る場合に、その帳簿価額は回収できないとされ、減損損失を認識する。減損損失の金額は、長期性資産の帳簿
価額がその公正価値を上回る額として測定する。
日本では、「固定資産の減損に係る会計基準」に従い、資産の減損の兆候が認められ、且つかつ、割引前の見積将来
キャッシュ・フローの総額(20年以内の合理的な期間に基づく)が帳簿価額を下回ると見積もられる場合におい
て、回収可能価額と帳簿価額の差額につき減損損失を計上する。回収可能価額とは、正味売却価額と使用価値(継続
的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額
のことをいう。
(7) 売却予定の長期性資産
米国では、ASCトピック360「有形固定資産」に基づき、売却目的保有に分類されるすべての基準を満たす処分予定
の資産は、帳簿価額と公正価値(売却費用控除後)のいずれか低い金額で計上する。売却目的保有として分類してい
る間は、資産は減価償却しない。経営上及び財務報告目的上、その他の資産と明らかに区別される事業及びキャッ
シュ・フローを有する売却目的保有資産は、(1)当該資産の事業及びキャッシュ・フローを事業体の継続事業から
除外し、且つ、(2)処分取引後に事業体が当該資産の事業に重要で継続的な関与を行わない場合、非継続事業に計上
する。
日本では、売却予定の長期性資産及び非継続事業に関する会計基準はない。
(8) 有給休暇
米国では、一定の条件を満たす場合、将来の休暇に関する従業員の受給権に対して債務を認識することが要求され
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る。
日本では、有給休暇に関する会計処理についての明確な基準はなく、一般的な会計慣行では関連する債務の認識は
行わない。 (9) 資産除去債務
米国では、ASCトピック410「資産除去債務及び環境債務」に従って、資産除去債務の公正価値を合理的に見積るこ
とができる場合、当該債務の発生時にその公正価値を負債として認識する。公正価値が合理的に見積ることができな
い場合は、公正価値を合理的に見積ることができるようになった時に当該負債を認識する。負債の当初認識時に、当
該費用を関連する長期性資産の一部として資産化し、対応する資産の耐用年数にわたり減価償却する。
日本では、企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」に従って、2010年4月1日以後開始する事業年度
から、資産除去債務は、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって発生した時に、有形固定資産の除去
に要する割引前将来キャッシュ・フローを見積もり、割引後の金額(割引価値)で算定した額を負債として計上す
る。同時に、当該負債計上額と同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加え、資産除去債務に対応する除去費用は、
減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり、各期に配分する。それ以前は、資産除去債務の認識に
関する会計基準がなかったため、資産除去に関連する費用は一般に、発生の可能性が高く金額を合理的に見積もるこ
とができる場合には、当期の負担に属する費用又は損失を引当金として計上するか、資産除去が生じた時に費用とし
て計上していた。
(10) 非支配持分
米国では、ASCトピック810「連結」に従って、非支配持分に帰属する純利益は、親会社に帰属する金額とは区別して
連結損益計算書上で表示する。親会社の所有持分の変動は、親会社が子会社に対する支配財務持分を保持している場
合は、資本取引として会計処理する。
日本では、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に従って、2010年4月1日以後開始する連結会
計年度の期首より、連結損益計算書において少数株主損益調整前当期純利益の科目を表示することとなった。それ以
前は連結損益計算書では、少数株主損益は純利益前の個別項目として表示し、純利益は親会社の株主に帰属する利益
のみを含んでいた。子会社株式を一部売却した場合で、親会社と子会社の支配関係が継続している場合には、売却に
よる親会社の持分の減少額と投資の減少額との間に生じた差額は、子会社株式の売却損益の修正として処理する。
(11) 収益の認識
米国では、ASCトピック605「収益の認識」に基づき、(1)取決めに関する説得力のある証拠が存在する、(2)製品
等の引渡し又はサービスの提供がなされている、(3)買主に対する売主の価格が確定している又は決定できる、及
び(4)代金の回収可能性が高い、といったこれらすべての要件が満たされた場合に、収益を認識する。
日本では、会計制度委員会研究報告第13号「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)」が公表されている
ものの、研究報告における会計処理が強制されるものではなく、収益の認識に関する明確な規定はない。企業会計原
則の実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の提供によって実現したものについて、収益を認識する。
(12) 広告宣伝費
米国では、広告宣伝にかかる費用を当該費用が発生した時点又は当該広告宣伝が実施された時点で費用処理する。
日本では、広告宣伝費の会計処理に関する基準はなく、一般的に発生時、又は広告宣伝期間にわたり費用処理する。
(13) 販売促進費
米国では、一定の要件を満たさない限り、売主の製品の販売又は最終顧客に対する売主の製品の販売促進に関連し
て、売主が再販売者に支払うすべての報奨は、売主の損益計算書において(費用ではなく)売上控除として分類しな
ければならない。また、顧客が販売者との取引においてある一定の水準を達成した場合又はある一定期間取引を継続
した場合に、販売者により提供される現金リベート等については、売上控除として分類しなければならない。
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日本では、会計制度委員会研究報告第13号「我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)」が公表されている
ものの、研究報告における会計処理が強制されるものではなく、販売促進費に関する会計処理に関する明確な規定は
ないため、一般的に販売費及び一般管理費として計上する。
(14) 立ち上げ費用
米国では、立ち上げ活動費用及び設立費用を発生時に費用計上することが要求されている。
日本では、創立費、開業費及び開発費については、繰延資産として資産に計上し、所定の期間で償却する会計処理が
認められている。
(15) 撤退又は処分活動に伴う費用の債務
米国では、ASCトピック420「撤退又は処分費用の債務」に基づき、将来の撤退又は処分活動に伴う費用の債務につ
いては、発生時に公正価値で認識する。
日本では、このような費用に関する特定の会計基準は存在しない。一般的に発生の可能性が高く、金額を合理的に見
積もることができる場合には、引当金として計上する。
(16) 異常項目
米国では、ASCサブ・トピック225-20「損益計算書−異常項目及び通常でない項目」において、異常項目とはその性
質が通常ではない、且つ、発生頻度がごくまれな事象及び取引のことと定義されている。報告期間に認識される際、異
常項目は継続事業による利益からは除き、個別項目で損益計算書に表示する。性質が通常ではない、又は発生頻度が
ごくまれな(両方には該当しない)事象又は取引は、継続事業による損益として計上する。
日本の会計原則の下では、特別損益項目はその性質が非経常的で、会社の主要な収益業務を構成しない特定の事象
又は取引により生じるもので、その特定の事象又は取引の範囲は、米国の会計原則に基づく異常項目の要件を満たす
ものよりも広い。なお、特別損益項目は、損益計算書上、経常利益の下に表示する。
(17) デリバティブ金融商品及びヘッジ活動
米国では、ASCトピック815「デリバティブ及びヘッジ」に基づき、すべての金融派生商品(デリバティブ商品)を、
公正価値で貸借対照表に計上する。公正価値の変動を相殺するために用いる金融派生商品については、要件を満たす
場合には公正価値ヘッジ会計を適用し、デリバティブ及びヘッジ対象リスクに起因するヘッジ対象項目の公正価値
の変動を、損益として認識する。予定取引のキャッシュ・フロー変動のエクスポージャーをヘッジするために使用す
る金融派生商品については、要件を満たす場合にはキャッシュ・フロー・ヘッジ会計を適用し、金融派生商品の公正
価値変動のうち有効な部分は当初は「その他の包括利益」に計上し、その後ヘッジ対象項目が損益に影響するとき
に損益計算書に組み替える。非有効部分については、当期損益に計上する。
日本では、デリバティブ取引について、会計基準により定められたヘッジ会計の要件を満たす場合には、原則とし
て、「繰延ヘッジ会計」(時価評価されているヘッジ手段に係る損益又は評価差額を、ヘッジ対象に係る損益が認識
されるまで純資産の部において繰り延べる方法)を適用し、ヘッジ対象である資産又は負債に係る相場変動等を会
計基準に基づき損益に反映させることができる場合には、「時価ヘッジ会計」(ヘッジ対象である資産又は負債に
係る相場変動等の損益とヘッジ手段に係る損益とを同一の会計期間に認識する)を適用できる。
また日本では、資産又は負債に係る金利の受払条件を変換することを目的として利用されている金利スワップが、
金利変換の対象となる資産又は負債との間でヘッジ会計の要件を充たしており、且つ、その想定元本、利息の受払条
件及び契約期間が当該資産又は負債とほぼ同一である場合には、金利スワップを時価評価せず、その金銭の受払の純
額等を当該資産又は負債に係る利息に加減する「特例処理」が認められている。また、ヘッジ会計の要件を満たす為
替予約等については、当分の間、為替予約等により確定する決済時における円貨額により外貨建取引及び金銭債権債
務等を換算し直物為替相場との差額を期間配分する方法(「振当処理」)によることができる。
更に日本では、複数の資産又は負債から構成されているヘッジ対象をヘッジしている場合には、ヘッジ手段に係る
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損益又は評価差額は、損益が認識された個々の資産又は負債に合理的な方法により配分する。
(18) 金融商品に係る開示
米国では、ASCトピック820「公正価値測定及び開示」に基づき、公正価値の見積が可能である限り、金融商品の公正
価値及び公正価値を見積もるために使用した方法及び重要な仮定を財務書類の本体又は注記において開示しなけれ
ばならない。さらに、一定の金融商品に係る信用リスクの集中については、個人の当事者であるかグループの当事者
であるかに係らず、注記での記載が要求されている。また、リスクを管理・調整する方法と同様の市場リスクの定量
的情報に関しての開示が奨励されている。
日本では、デリバティブ取引に係るリスクの内容及びリスク管理体制等の取引の状況、並びに有価証券及びデリバ
ティブ取引の時価等の開示が要求されている。2008年3月10日付けで、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計
基準」が改正され、上記の開示に関する要件を金融商品全般に広げている。すなわち、金融商品の状況に関する事項
及び金融商品の時価等に関する事項を開示しなければならない。この改正基準は2010年3月31日以後終了事業年度末
に係る財務諸表から適用されている。
(19) 株式報酬
米国では、ASCトピック718「報酬−株式報酬」が、株式に基づく報酬を権利付与日の公正価値で測定し、対価として
サービスを提供する期間にわたり費用として認識することが要求される。
日本では、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」に基づき、会社法施行日(2006年5月1
日)以後に付与したストック・オプションについては、ストック・オプションの付与日から権利確定日までの期間
にわたり、付与日現在のストック・オプションの公正価額に基づいて報酬費用を認識され、対応する金額は純資産の
部に新株予約権として計上される。2006年5月1日より前に付与したストック・オプションについては特定の会計基準
がなく、一般に報酬コストは認識されていなかった。ただし、当該ストック・オプションの条件が企業会計基準第8号
適用日以後に変更された場合には、その条件変更日における公正な評価単価が付与日における公正は評価単価を上
回った部分に見合うストック・オプションの公正は評価額の増加額につき、条件変更日以後、当該会計基準を適用し
て会計処理を行う。また、会社法の施行日よりも前に付与されたストック・オプションであっても、会社法の施行日
以後に存在するものについて一定の開示が求められる。
(20) 包括利益
米国では、ASCトピック220「包括利益」に基づき、包括利益とその構成項目を財務書類上に開示することを要求し
ている。包括利益は、所有者としての立場における所有者との取引以外の、当該期間に認識された取引及びその他の
経済的事象から生じた、事業会社の資本(純資産)のすべての変動を表し、所有者による投資及び所有者への分配を
除く、期中の資本の変動をすべて含む。米国では、包括利益及びその構成要素を報告するには、 (1)「当期純利益」、
「その他の包括利益」及び「包括利益」を1つの財務書類の個別項目として報告する(1計算書方式)、(2)「当期
純利益」及び損益計算書を1つの財務書類で報告し、「その他の包括利益」及び「包括利益」を「当期純利益」で
はじまる別の財務書類で報告する(2計算書方式)、又は(3)「当期純利益」及び損益計算書を1つの財務書類で報
告し、「当期純利益」、「その他の包括利益」及び「包括利益」を株主持分計算書で報告する、の3つのアプローチ
のうち1つをとらなければならない。
日本では、包括利益の区分掲記や、包括利益とその構成項目の開示を要求する会計基準がなかったが、2010年6月に
企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」が公表された。包括利益及びその構成要素の表示には、
(1)「当期純利益」、「その他の包括利益」及び「包括利益」を1つの財務諸表(損益及び包括利益計算書」で報告
する形式(1計算書方式)、または(2)「当期純利益」を構成する項目を1つの財務諸表(損益計算書)で報告し、
「その他の包括利益」及び「包括利益」を「当期純利益」ではじまる別の財務諸表で報告する形式(2計算書方
式)、の2つのアプローチのうちの1つをとらなければならない。現時点で米国において認められている株主持分計
算書での表示は日本では認められていない。この基準は2011年3月31日以後終了する事業年度の連結財務諸表より適
用されている。
(21) 会計方針の変更及び誤謬の訂正
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米国では、ASCトピック250「会計方針の変更及び誤謬の訂正」に基づき、会計方針の変更及び誤謬の訂正は、変更に
よる特定の期間への影響額又は累積的影響額のいずれかの決定が実務上困難でない限り、過去の期間の財務書類に
遡及的に適用することが要求されている。
日本では、2009年12月4日に企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」が公表され、
2011年4月1日以降開始事業年度の期首以降に行われる会計方針の変更や誤謬の訂正による影響額は、原則として財
務諸表に遡及的に反映させることとなった。それ以前は、過年度の財務諸表の遡及修正に関する会計基準はなく、会
計上の変更や誤謬の訂正による影響額は、それが生じた期間の財務諸表に反映させていた。
(22) セグメント情報
米国では、ASCトピック280「セグメント情報」に基づき、セグメント別の業績を評価し、資源の各セグメントへの配
分を決定するために企業内部で使用されているセグメント別財務情報の開示が要求される。また、経営上の意思決定
のために企業内部で使用されているか否かを問わず、企業の製品・サービス(又は同種の製品・サービスのグルー
プ別)の収益に関する情報、企業が収益を計上し、資産を保有する国別の情報、及び主要顧客に関する情報の開示が
要求されている。
日本では、2008年3月21日付けで、企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」が公表され
た。この基準は、米国の会計原則と同様のマネジメント・アプローチを導入したものであり、2010年4月1日以後開始
事業年度から適用されている。それ以前はセグメント情報の作成に用いる会計処理方法は外部向け報告用の会計方
針と同一であり、事業の種類別(すなわち、同種の製品・サービスのグループ別)セグメント情報、国又は地域別の
情報、及び海外売上高に関する情報が開示されていた。
(23) 保証
米国では、 ASCトピック460「保証」の規定に従って、一定の第三者保証を含む2002年12月31日より後に引受け又は
更新される一定の保証を、当初より保証開始時の公正価値で貸借対照表に負債として計上することが要求されてい
る。
日本では、金融資産又は金融負債の消滅の認識の結果生じる債務保証を除いて、保証を当初より公正価値で貸借対
照表に計上することは求められない。保証に起因して、将来の損失が発生する可能性が高く、且つ、その金額を合理的
に見積もることができる場合には、債務保証損失引当金を計上する。
(24) 法人所得税の不確実性
米国では、ASCトピック740「法人所得税」の不確実な税務ポジションの規定により、財務書類上でタックス・ベネ
フィットを認識する前に税務ポジションが適合すべき最低の認識範囲が定められ、法人税等の会計処理を明確に規
定している。また、同規定は認識の中止、測定、分類、利息及び加算税、期中会計期間の会計処理、開示並びに移行につ
いての指針も規定している。
ASCトピック740の不確実な税務ポジションの規定は、認識すべきタックス・ベネフィットの金額を決定するために
2段階のプロセスを規定している。第1段階では、税務調査(関連する不服申立て又は訴訟手続きの解決を含む)にお
いて、税務ポジションが維持される可能性の方が高い(more likely than not)ことを入手可能な証拠の重要性が
示唆しているか否かを判断することで、税務ポジションの認識について評価を行う。第2段階では、最終的な解決によ
りタックス・ベネフィットが実現する可能性が50%超である最大金額として、タックス・ベネフィットの見積り及
び測定を行う。こうした金額の見積りは、起こり得る様々な結果の可能性の判断が要求されることから、本質的に困
難で、且つ主観的である。これらの不確実な税務ポジションの再評価は四半期毎に行われる。この評価は、事実又は状
況の変化、税法の改正、税務調査で実質的に解決した問題及び新たな税務調査活動を含む(ただしこれに限定されな
い)要素に基づく。認識又は測定におけるこうした変化により、変化の生じた期間に、タックス・ベネフィット又は
法人税等への追加費用の認識が発生する可能性がある。
日本では、不確実な税務ポジションを規定する上記のような会計基準はない。
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(25) 公正価値測定
米国では、ASCトピック820「公正価値測定及び開示」において、公正価値が定義され、公正価値測定のための枠組み
が定められ、公正価値測定に関する開示が拡充されている。ASCトピック820は、すべての金融資産・負債及び非金融
資産・負債のうち、財務書類上継続的に(少なくとも年1回)公正価値で認識・開示されるものに対して適用され
る。
ASCトピック820は、公正価値を「測定日現在、資産・負債の主要な市場又は最も有利な市場における市場参加者間の
秩序ある取引において、資産の売却により受領するか又は負債の移転により支払うであろう価格(すなわち、「出口
価格」)」と定義している。公正価値は、企業独自の仮定ではなく、市場参加者が資産又は負債の価格決定に使用す
るであろう仮定に基づいて計算されなければならず、さらに、負債の公正価値には、企業自身の信用リスクを含む不
履行リスクを反映しなければならない。
ASCトピック820は、公正価値を定義したことに加え、公正価値に関わる開示要求を拡充し、評価のインプットに関す
る公正価値の階層を設定している。この階層は、公正価値測定に使用されるインプットが市場においてどの程度観察
可能であるかに基づいて、インプットを3つのレベルに優先順位付けしている。公正価値の階層のどのレベルに該当
するかは、公正価値測定において重要なインプットのうち、最もレベルの低いインプットに基づいて決定される。
日本では、すべての金融資産・負債及び非金融資産・負債を対象とする公正価値測定を包括的に規定する会計基準
はない。公正価値は、金融商品及び非金融商品の資産・負債に関する各会計基準において、市場価格に基づく価額又は
市場価格がない場合の合理的に算定された価額と定義されている。
(26) 公正価値オプション
米国では、 ASCトピック825「金融商品」に基づき、一部の例外を除いて、企業が金融資産及び金融負債並びに特定
の非金融商品を公正価値で測定することを選択することにより、公正価値で測定することを認めている。
日本では、公正価値オプションに関する会計基準はない。
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第7【外国為替相場の推移】
省 略
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第8 【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
1. 本邦における株式事務等の概要
(1) 本邦における株式の名義書換取扱場所及び株主名簿管理人
日本においては、当社普通株式の名義書換取扱場所及び株主名簿管理人は存在しません。
(2) 株主に対する特典
ありません。
(3) 株式の譲渡制限
ありません。
(4) その他の株式事務に関する事項
(a) 決算期
毎年7月31日
(b) 年次株主総会
取締役会が毎年定める日時に開催されます。直近の定時株主総会は、2012年1月19日に開催されました。
(c) 基準日
誰が通知を受ける権利があるか、株主総会又は延会で議決権を行使する権限があるか、配当の支払を受ける
権限があるか、その他の特別の理由のために株主の特定が必要であるときに、取締役会は、株主を特定するた
めに前もって基準日を定めることができます。基準日は、取締役会が基準日を設定する決議がなされた日より
も前であってはならず、且つその株主総会の期日前10日以上60日以内、又はその他の行為前の60日以内の間で
設定されるものとします。
そのような目的のために基準日が設定されなかった場合には、基準日は適用法規に規定されるとおりとしま
す。2012年1月19日の定時株主総会に対する基準日は、2011年11月21日でした。
(d) 株券の種類
任意の株数を表示できます。
(e) 株券に関する手数料
米国においては、当社名義書換代理人又は登録機関が株主より徴収する名義書換手数料又は登録手数料はあ
りません。
(f) 公告掲載新聞名
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日本国内において、公告を掲載する新聞はありません。
2. 本邦における株主の権利行使に関する手続
本邦の株主が日本においてその権利を実行する方法はありません。本邦の株主は下記住所のインテュイット・イン
ク株式運営担当者に問い合わせ、それに関する情報を入手することができます。
Intuit Inc.
P.O. Box 7850
Mountain View, California 94039-7850
U.S.A.
Attn: Investor Relations, M.S. 2-098A
電話番号: (650) 944-6000
(1) 本邦における株主による議決権行使に関する手続
日本における当社株式の株主は、自ら又は書面による委任状によって当社の株主総会で議決権を行使することがで
きます。
(2) 配当請求等の手続
当社の名義書換代理人は宣言された配当金を登録された株主に直接支払います。ブローカー又は銀行を通じて持分
を保有する株主については、名義書換代理人は受益株主の口座に送金されるために、ブローカー又は銀行に対して宣
言された配当金を支払います。
(3) 株式の譲渡に関する手続
日本における当社株式の株主は、株券の裏面に裏書きすることにより、又は譲渡することを認める書面による委任
状と会社の名簿に株式の移転を記載することによって譲渡することができます。
(4) 本邦における配当等に関する課税上の取扱い
本邦における配当等に対する課税上の取り扱いは、概要、次のとおりです。株式に関する課税は、期限付きの特例措
置や例外的な取り扱いもありますので、あらかじめ税務官署又は税の専門家に相談してください。
(a) 配当
当社の株主に対する配当は、原則として、個人については配当所得として、法人については益金として、日本
で申告する必要があります。日本の居住者である個人又は内国法人が外国法人から受け取る配当については、
個人の配当控除や法人の受取配当益金不算入制度の適用は認められませんが、米国において課された所得税
については、所定の手続きをすることにより、外国税額控除の適用が受けられます。ただし、個人が支払を受け
る配当については、10%(うち住民税3%。2014年以降は20%。)の税率による申告分離課税を選択することがで
きます。また、当社の議決権のある株式の10%以上(又は総株式の25%以上)を6ヶ月以上保有している内国法
人は、その受け取る配当の95%相当を益金に算入しないことができます。
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なお、国外で発行された株式で上場されている株式の配当について、国内における支払の取扱者によって、上
記の税率で所得税・住民税の源泉徴収が行われる場合には、個人株主については、その配当所得を確定申告に
含めないことも選択できます。2014年以降は、金融商品取引業者等に開設した非課税口座において管理されて
いる個人の少額の株式の配当については非課税とされます。
(b) 売買損益
当社株式の売買損益の課税上の取り扱いは、基本的に日本法人の株式の場合と同様です。個人株主による株
式の売買損益は、他の所得とは区分して、税金を計算することとされており、適用される税率は、金融商品取引
業者を通じた株式の譲渡については10%(うち住民税3%。2014年以降は20%。)、それ以外の譲渡については
20%(うち住民税5%)となっています。また、金融商品取引業者に特定の口座を開設し、その口座内で生じる株
式の売買益について10%(うち住民税3%。2014年以降は20%。)の税率での源泉徴収による課税を選択した場
合には、原則として、確定申告も不要となります。譲渡損が生じた場合には、所定の手続きをすることにより、
配当所得と通算したり、3年間にわたって繰り越すこともできます。
2014年以降は、金融商品取引業者等に開設した非課税口座において管理されている個人の少額の株式の譲渡
益については非課税とされます。
(c) 相続税
日本の個人株主が当社株式を相続し又は遺贈を受けた場合には、日本で相続税の課税対象とされますが、そ
の株式について米国でも連邦遺産税が課されるときは、相続税法の規定に従い、所定の手続きをすることによ
り、外国税額控除の適用が受けられます。
(5) その他諸通知並びに報告
株主総会議案等に関する通知が直接日本の株主へ行なわれる場合には、アメリカ合衆国内の名義代理人がこれを一
定基準日の株主名簿に基づき株主に送付します。
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第9【提出会社の参考情報】
1【提出会社の親会社等の情報】
当社には、親会社等に該当する会社は存在しません。
2【その他の参考情報】
当社は、2010年8月1日以降、日本の金融商品取引法に従い以下の報告書を日本で提出しています。
2011年1月20日
有価証券報告及びその添付書類
(自2009年8月1日 至2010年7月31日)
2011年4月27日
臨時報告書及びその添付書類
(金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第1項
及び同条第2項第1号)
2011年4月27日
半期報告書及びその添付書類
(自2010年8月1日 至2011年1月31日)
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第二部【提出会社の保証会社等の情報】
該当なし
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独立登録会計事務所の同意
私どもは、インテュイット・インク社の連結財務書類及び財務報告に係る内部統制の有効性に対する私どもの2011
年9月14日付の報告書が、有価証券報告書に含められることについて同意する。
アーンスト・アンド・ヤング LLP
カリフォルニア州、サンノゼ市
2012年1月19日
ACKNOWLEDGEMENT OF INDEPENDENT REGISTERED PUBLIC ACCOUNTING FIRM
We agree to the inclusion in this Annual Securities Report, of our reports dated September 14, 2011, with respect to the
consolidated financial statements of Intuit Inc. and the effectiveness of internal control over financial reporting of Intuit Inc.
/s/ ERNST & YOUNG LLP
San Jose, California
January 19, 2012
独立登録会計事務所の監査報告書
インテュイット・インク取締役会及び株主 御中
我々は、添付のインテュイット・インクの2011年及び2010年7月31日現在の連結貸借対照表、並びに関連する2011年
7月31日に終了した3年間の各事業年度の連結損益計算書、連結株主持分計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書
について監査を行った。我々の監査は、インデックスに項目15(a)2として記載されている附属明細表も対象とした。
これらの財務書類及び附属明細表の作成責任は会社の経営者にあり、我々の責任は、我々の監査に基づき、これらの
財務書類及び附属明細表に対する意見を表明することにある。
我々は、公開企業会計監視委員会(米国)の基準に準拠して監査を行った。この基準は、財務書類に重要な虚偽の記
載がないかどうかの合理的な保証を得るために、我々が監査を計画し、実施することを求めている。監査は、財務書類
上の金額及び開示を裏付ける証拠を試査により検証することを含んでいる。また監査は、経営者により採用された会
計原則と経営者により行われた重要な見積の評価、さらに全体としての財務書類の表示の検証を含んでいる。我々
は、監査の結果、意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。
我々の意見では、上記の財務書類が米国において一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して、インテュイッ
ト・インクの2011年及び2010年7月31日現在の連結財政状態、並びに2011年7月31日に終了した3年間の各事業年度
の連結経営成績及び連結キャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示している。また、我々の
意見では、関連する財務書類の附属明細表は、基本的な財務書類全体との関連から見られたとき、同表に記載されて
いる情報をすべての重要な点において適正に表示している。
また我々は、公開企業会計監視委員会(米国)の基準に準拠して、インテュイット・インクの2011年7月31日現在の
財務報告に係る内部統制を、トレッドウェイ委員会組織委員会が発行した「内部統制−統合的フレームワーク」が
定める基準に基づいて監査を行い、2011年9月14日付けの報告書において無限定適正意見を表明している。
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アーンスト・アンド・ヤングLLP
カリフォルニア州サンノゼ市
2011年9月14日
Report of Independent Registered Public Accounting Firm
The Board of Directors and Stockholders of Intuit Inc.
We have audited the accompanying consolidated balance sheets of Intuit Inc. as of July 31, 2011 and 2010, and the related
consolidated statements of operations, stockholders’ equity, and cash flows for each of the three years in the period ended July
31, 2011. Our audits also included the financial statement schedule listed in the Index at Item 15(a) 2. These financial
statements and schedule are the responsibility of the Company’s management. Our responsibility is to express an opinion on
these financial statements and schedule based on our audits.
We conducted our audits in accordance with the standards of the Public Company Accounting Oversight Board (United States).
Those standards require that we plan and perform the audit to obtain reasonable assurance about whether the financial
statements are free of material misstatement. An audit includes examining, on a test basis, evidence supporting the amounts
and disclosures in the financial statements. An audit also includes assessing the accounting principles used and significant
estimates made by management, as well as evaluating the overall financial statement presentation. We believe that our audits
provide a reasonable basis for our opinion.
In our opinion, the financial statements referred to above present fairly, in all material respects, the consolidated financial
position of Intuit Inc. at July 31, 2011 and 2010, and the consolidated results of its operations and its cash flows for each of the
three years in the period ended July 31, 2011, in conformity with U.S. generally accepted accounting principles. Also, in our
opinion, the related financial statement schedule, when considered in relation to the basic financial statements taken as a whole,
presents fairly in all material respects the information set forth therein.
We also have audited, in accordance with the standards of the Public Company Accounting Oversight Board (United States),
Intuit Inc.’s internal control over financial reporting as of July 31, 2011, based on criteria established in Internal Control Integrated Framework issued by the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission and our report
dated September 14, 2011 expressed an unqualified opinion thereon.
/s/ ERNST & YOUNG LLP
San Jose, California
September 14, 2011
独立登録会計事務所の監査報告書
インテュイット・インク取締役会及び株主 御中
我々は、トレッドウェイ委員会組織委員会が発行した「内部統制−統合的フレームワーク」が定める基準(以下
「COSO基準」という)に基づき、インテュイット・インクの2011年7月31日現在の財務報告に係る内部統制について
監査を行った。インテュイット・インクの経営者は、財務報告に係る有効な内部統制を維持すること、及び、添付の財
務報告に係る内部統制に関する経営者報告書に記載される財務報告に係る内部統制の有効性の評価について責任が
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
ある。我々の責任は、我々の監査に基づき会社の財務報告に係る内部統制に対する意見を表明することにある。
我々は、公開企業会計監視委員会(米国)の基準に準拠して監査を行った。この基準は、財務報告に係る有効な内部
統制がすべての重要な点において維持されているか否かについて合理的な保証を得るために、我々が監査を計画し、
実施することを求めている。我々の監査は、財務報告に係る内部統制についての理解、重要な欠陥が存在するリスク
の評価、評価したリスクに基づく内部統制の設計や運用の有効性のテスト及び評価、さらに我々が状況に応じて必要
とみなしたその他手続の実施を含んでいる。我々は、監査の結果、意見表明のための合理的な基礎を得たと判断して
いる。
会社の財務報告に係る内部統制は、財務報告の信頼性及び外部報告目的の財務書類の作成について合理的な保証を
提供するために、一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して設計されたプロセスである。会社の財務報告に係
る内部統制は、(1)会社資産の取引及び処分を合理的に詳細なレベルで、正確且つ適正に反映している記録の維持に
関連し、(2)一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠した財務書類の作成を可能にするために取引が必要に応じ
て記録され、また会社の入出金が会社の経営者及び取締役の承認に基づいてのみ行われているという合理的な保証
を提供し、(3)財務書類に重大な影響を及ぼす可能性がある会社資産の未承認の取得、使用又は処分の防止や適時な
発見について合理的な保証を提供する方針及び手続を含んでいる。
財務報告に係る内部統制は、その固有の限界のため、虚偽記載を防止又は発見できない可能性がある。また、将来の
期間にわたる有効性の評価の予測は、内部統制が状況変化によって不適切となったり、同方針及び手続に対する遵守
レベルが低下するリスクにさらされている。
我々の意見では、インテュイット・インクは2011年7月31日現在において、財務報告に係る有効な内部統制をすべて
の重要な点において、COSO基準に基づき維持している。
また、我々は公開企業会計監視委員会(米国)の基準に準拠して、インテュイット・インクの2011年度の連結財務
書類を監査し、2011年9月14日付けの報告書において、同連結財務書類に対する無限定適正意見を表明している。
アーンスト・アンド・ヤング LLP
カリフォルニア州サンノゼ市
2011年9月14日
Report of Independent Registered Public Accounting Firm
The Board of Directors and Stockholders of Intuit Inc.
We have audited Intuit Inc.’s internal control over financial reporting as of July 31, 2011, based on criteria established in
Internal Control - Integrated Framework issued by the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission
(the COSO criteria). Intuit Inc.’s management is responsible for maintaining effective internal control over financial reporting,
and for its assessment of the effectiveness of internal control over financial reporting included in the accompanying
Management’s Report on Internal Control over Financial Reporting. Our responsibility is to express an opinion on the
company’s internal control over financial reporting based on our audit.
We conducted our audit in accordance with the standards of the Public Company Accounting Oversight Board (United States).
Those standards require that we plan and perform the audit to obtain reasonable assurance about whether effective internal
control over financial reporting was maintained in all material respects. Our audit included obtaining an understanding of
internal control over financial reporting, assessing the risk that a material weakness exists, testing and evaluating the design
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インテュイット・インク(E05826)
有価証券報告書
and operating effectiveness of internal control based on the assessed risk, and performing such other procedures as we
considered necessary in the circumstances. We believe that our audit provides a reasonable basis for our opinion.
A company’s internal control over financial reporting is a process designed to provide reasonable assurance regarding the
reliability of financial reporting and the preparation of financial statements for external purposes in accordance with generally
accepted accounting principles. A company’s internal control over financial reporting includes those policies and procedures
that (1) pertain to the maintenance of records that, in reasonable detail, accurately and fairly reflect the transactions and
dispositions of the assets of the company; (2) provide reasonable assurance that transactions are recorded as necessary to
permit preparation of financial statements in accordance with generally accepted accounting principles, and that receipts and
expenditures of the company are being made only in accordance with authorizations of management and directors of the
company; and (3) provide reasonable assurance regarding prevention or timely detection of unauthorized acquisition, use, or
disposition of the company’s assets that could have a material effect on the financial statements.
Because of its inherent limitations, internal control over financial reporting may not prevent or detect misstatements. Also,
projections of any evaluation of effectiveness to future periods are subject to the risk that controls may become inadequate
because of changes in conditions, or that the degree of compliance with the policies and procedures may deteriorate.
In our opinion, Intuit Inc. maintained, in all material respects, effective internal control over financial reporting as of July 31,
2011, based on the COSO criteria.
We also have audited, in accordance with the standards of the Public Company Accounting Oversight Board (United States),
the 2011 consolidated financial statements of Intuit Inc. and our report dated September 14, 2011 expressed an unqualified
opinion thereon.
/s/ ERNST & YOUNG LLP
San Jose, California
September 14, 2011
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