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2014年11月13日 マーケットフォーカス(アジア市場) 2014年11月号 1/5
ご参考資料 マーケットフォーカス (アジア市場) 2014年11月号 2014年11月13日 経 済 各国の消費者物価上昇率 (前年同月比)の推移 各国の実質GDP成長率 (前年同期比)の推移 (2011年7‐9月期~2014年7‐9月期、四半期) (%) 20 インドネシア マレーシア 8 10 0 ‐10 11/3Q インドネシア フィリピン シンガポール 12/1Q 12/3Q 13/1Q 13/3Q マレーシア タイ 中国 14/1Q 14/3Q (2011年10月~2014年10月、月次) (%) 10 タイ フィリピン シンガポール 中国 (%) 10 8 6 6 4 4 2 2 0 11/10 0 11/10 12/4 12/10 13/4 13/10 (年/期) ※マレーシア、フィリピン、タイは2014年4-6月期までのデータを使用 各国の政策金利の推移 14/4 14/10 マレーシア タイ 中国 12/4 12/10 13/4 13/10 フィリピン 14/4 14/10 (年/月) (年/月) ※マレーシア、シンガポールは2014年9月までのデータを使用 ◇ 前月の振り返り 中国では2014年7-9月期の実質GDP(国内総生産)成長率が前年同期比+7.3%と5年半ぶりの低い 伸びとなりました。1-9月累計では同+7.4%となり、2014年の政府目標の+7.5%を僅かに下回りました。 9月分の指標では8月に急減速した鉱工業生産の伸びが持ち直し、輸出の伸びも市場の予想を上回っ た一方、インフレ率や固定資産投資、不動産開発投資の鈍化が続いており、内需の低迷が印象付け られました。また主要都市の新築住宅価格は5ヵ月連続で前月比で下落し、前年同月比でも下落する 都市が目立ちました。 他のアジア新興国では景気動向に大きな変化は無かった一方、各国で景気対策や構造改革など政 策対応の進展が見られました。マレーシアは月初に小幅ながらガソリン等の値上げ(補助金の削減)を 決定したほか、来年度予算案で財政赤字の削減方針を堅持しました。暫定政権に対する政策期待が やや後退していたタイでは、同政権が約1.2兆円相当の景気刺激策を決定しました。新政権の政策遂 行力に対する不安が強まっていたインドネシアでは10月20日の大統領就任直前に野党の一部が与党 連合への参加を決定し、議会での与党の劣勢が緩和しました。インドは引き続き景気指標は冴えない ものの、ディーゼル油の統制価格廃止、民間企業に対する石炭採掘の許可など新政権による政策転 換の動きが加速しました。 商品市況の低迷などを背景に、各国とも概ねインフレは落ち着いた状況が続きました。足もとで生産 や設備投資が急減速した韓国では、2ヵ月ぶりに利下げが実施されました。 (2011年10月~2014年10月、月次) インドネシア ※中国:1年物貸出基準金利、インドネシア:BI金利、 マレーシア:翌日物政策金利、フィリピン:翌日物借入金利、 タイ:翌日物レポ金利を使用。 ◇ 今後の見通し 中国では引き続き政府による安定成長を探る動きが続くと見られます。10月の PMI(購買担当者指数)は製造業、非製造業ともに目立った改善は見られなかっ たほか、PPI(生産者物価指数)の前年同月比で下落幅が拡大するなど内需低迷 への懸念が払拭されておらず、また輸出金額は前年同月比で二桁ペースでの伸 びが続くものの、「水増し」との疑惑もあるようです。一方、中国人民銀行が9~10 月に大手銀行に対して計7,695億元の資金供給を実施したほか、政府が鉄道など のインフラ投資に対する認可を強めているとの見方もあり、当局による景気下支 え策によって2014年10-12月期も前期並みのGDP成長率が期待できそうです。 他のアジア新興国については、インド、タイ、インドネシアでは新政権による政策 対応が進捗しつつあるものの、実体経済へプラス効果が顕在化するには一定の 時間を要する見込みです。一方、足もとの大幅な原油安や商品市況の低迷は、イ ンドやインドネシアなど貿易・経常赤字が懸念される国にとっては追い風となりそ うです。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/5 ご参考資料 株式・REIT 各国の株価指数の推移 ◇ 前月の振り返り <株式> 10月の株式市場は世界的な景気減速懸念の高まりから中旬にかけて総じて安値をつけ た後、米株式の反発、ECB(欧州中央銀行)の追加金融緩和観測、日本銀行(以下、日銀) の追加金融緩和実施などを好感して持ち直す展開となりました。 インドは新政権による政策転換を好感し、月末にかけて連日史上最高値を更新しました。 上海総合指数も自由貿易試験区の拡大や政府の消費刺激方針など政策対応への期待や 香港市場との相互接続による資金流入期待から年初来高値を更新しました。一方、インド ネシアは議会での与党の劣勢が緩和したものの、燃料値上げを巡る不透明感が残存した ことが嫌気され、下落しました。韓国も利下げに対する反応は限定的となり、先行きの景気 減速やウォン高による輸出企業の業績悪化に対する懸念が重石となり、下落しました。 <REIT> (2011年10月末~2014年10月末、日次) 200 インドネシア マレーシア 韓国 150 台湾 中国 インド フィリピン 100 タイ 10月のアジアREIT市場は、香港、シンガポールとも上昇しました。 香港市場では、民主化デモによる実体経済、不動産市場への影響は限定的との見方が 台頭しました。シンガポール市場は、外部環境の不透明感から下落したものの、月後半に かけて第3四半期の企業決算発表において好業績を発表した企業を中心に一転上昇する 展開となりました。 シンガポール 香港 50 11/10 12/10 13/10 14/10 (年/月) ※グラフ開始日を100として指数化。使用している指数については4ページをご覧ください。 ◇ 今後の見通し 各国のREIT指数の推移 <株式> アジア株式市場は、もみ合い推移が見込まれます。上海・香港市場での相互取引開始が 正式決定となったことは中国株式に追い風となるものの、上海総合指数は約3年ぶりの高 値圏(11月10日終値基準)にあり、利益確定目的の売りが強まる場面が想定されます。イン ドネシアでは新政権に対する期待が残存するものの、足もとではGDP成長率の鈍化が続い ている上、燃料値上げが実施された場合、株式市場にとっては消費関連銘柄などには逆風 となりそうです。 (2011年10月末~2014年10月末、月次) 200 香港 180 シンガポール マレーシア 日本 160 <REIT> 140 アジアREIT市場は、米国での量的金融緩和打ち切りが決定され、今後は先行きの米利 上げが意識され易いものの、市場においてはある程度認識済みであることから、下方リス クは限定的と考えられます。一方、足もとのREIT決算は底堅く推移しており、債務借り換え が順調であることや負債比率が依然低いことから財務面でのリスクについても限定的と考 えられます。株価については、配当利回り水準および国債金利との比較であるイールドス プレッド水準共に先進国と比較して引き続き魅力的な水準にあります。以上から、REIT市場 は短期的には長期金利動向の影響を受けつつも、その後は良好な業績動向を背景に堅調 な推移が見込まれます。 120 100 80 11/10 12/4 12/10 13/4 13/10 14/4 14/10 (年/月) ※グラフ開始日を100として指数化。各国・地域のREIT指数は、S&P REIT指数(現地通貨建て、 配当なしベース)の各国・地域のインデックスを使用。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/5 ご参考資料 債 券 為 替 各国の国債利回りの推移 各国の為替の推移(対円) (2011年10月末~2014年10月末、日次) (%) 12 (2011年10月末~2014年10月末、日次) 160 インドネシア 10 マレーシア フィリピン タイ インドネシア・ルピア シンガポール タイ・バーツ 140 8 シンガポール・ドル マレーシア・リンギット 120 6 4 中国・人民元 香港ドル 100 2 インド・ルピー 0 11/10 12/4 12/10 13/4 13/10 14/4 14/10 (年/月) ※10年国債の利回り。 80 11/10 フィリピン・ペソ 12/4 12/10 13/4 13/10 14/4 14/10 (年/月) ※グラフ開始日を100として指数化。 ◇前月の振り返り 10月のアセアン主要国の国債利回りは欧米長期金利が低下したことや、各国のインフレ 率が落ち着きを示したことなどから、総じて低下(価格は上昇)しました。 インドネシアでは新大統領就任を受けて新政権に対する期待があらためて高まり、利回 りが低下しました。マレーシアはガソリン、ディーゼル油の小幅な値上げがあったものの、 インフレ率の鈍化が好感されました。またフィリピンはインフレ率の鈍化に加えて、フィリピ ン中央銀行が政策金利を据え置いたこと、原油安など背景に2014~2016年のインフレ見 通しを引き下げたことが債券市場の後押しとなりました。タイもインフレ率鈍化に加えて9月 の消費者信頼感指数の低下などを背景に利回りが低下しました。 ◇前月の振り返り ◇今後の見通し ◇今後の見通し アジア通貨は、日銀の追加金融緩和を受けた根強い円の先安観や、市場におけるリスク 姿勢の強まりを背景に底堅い推移が見込まれます。一方、米国では企業景況感や雇用関 連の指標が堅調に推移しており、先行きの米国の利上げが意識されざるを得ない点はア ジア通貨全般に重石となりそうです。 インドネシア・ルピアは引き続き燃料値上げの動向に左右される見通しです。新政権は 11月中にも値上げを決定するとの期待が高まっており、大幅な値上げとなれば財政・貿易 収支の改善見通しから通貨ルピアが一段と上昇する場面も期待できそうです。 アジア債券市場は、もみ合い推移が見込まれます。 アジア各国では足もとでインフレ率は落ち着いているものの、先行きはインドネシアでは 燃料値上げが見込まれること、フィリピンでは電力不足による電気料金の値上がりが懸念 されていること、マレーシアは来年4月に物品・サービス税が導入されることなど、何れも政 策金利の引き下げは想定しにくい状況です。一方、タイはタイ中央銀行が必要が生じれば 利下げする余地はあると表明しており、景気指標の低迷が続けば利回りの低下余地も有 りそうです。 10月のアジア通貨はまちまちの動きとなりました。 全般的に上旬は米低金利政策が長期化するとの見方から総じて底堅い推移となったも のの、月半ばにかけては世界経済の先行き不透明感や欧米株式の下落によるリスク回避 機運の高まりから弱含み推移となり、タイ・バーツ、シンガポール・ドル、マレーシア・リン ギットは月間で下落しました。 こうしたなか、インドネシア・ルピアは上昇しました。新政権の政策遂行力に対する不安 から通貨ルピア売りが先行したものの、10月20日の新大統領就任を受けてあらためて政 策期待が高まりました。インド・ルピーも一時下落したものの、地方選挙での与党勝利で新 政権の改革期待が高まったほか、一連の政策転換の動きが好感されて月間では横ばいと なりました。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 3/5 ご参考資料 アジア市場の主な指標(2014年9月末~2014年10月末、月次) 【株式・REIT】 【国債利回り】 国 9月末 前月末比 指数名 中国 上海総合指数 2.38% インドネシア 8.037% 8.521% ▲0.484 香港 ハンセンH株指数 4.32% マレーシア 3.831% 3.921% ▲0.090 台湾 加権指数 0.09% フィリピン 4.113% 4.348% ▲0.235 韓国 韓国総合株価指数 ▲2.76% タイ 3.331% 3.547% ▲0.216 インド ムンバイ SENSEX30 4.64% シンガポール 2.291% 2.474% ▲0.183 シンガポール ストレートタイムズ指数 マレーシア FTSEブルサマレーシア KLCI指数 インドネシア ジャカルタ総合指数 ▲0.93% 通貨(単位:円) タイ SET指数 ▲0.10% 中国・人民元 17.88 17.79 0.51% フィリピン フィリピン総合指数 ▲0.92% 香港ドル 14.10 14.10 0.00% 香港 S&P香港REIT指数 2.25% インド・ルピー 1.80 1.80 0.00% シンガポール S&PシンガポールREIT指数 1.79% インドネシア・ルピア 0.91 0.90 1.11% マレーシア S&PマレーシアREIT指数 1.68% シンガポール・ドル 85.60 85.98 ▲0.44% マレーシア・リンギット 33.30 33.40 ▲0.30% タイ・バーツ 3.36 3.38 ▲0.59% フィリピン・ペソ 2.43 2.43 0.00% ※S&P REIT指数は現地通貨建て、配当なしベースを使用 月間騰落率 10月末 国 ▲0.08% 0.48% ※10年国債の利回りを使用 【為替】 10月末 9月末 月間騰落率 ※インドネシア・ルピアは100ルピア当たりのデータ 【当資料の掲載内容について】 ※当資料に掲載している表やグラフは、信頼できると判断したデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成しています。 ※当資料に掲載している見通しは、レポート作成時点における三井住友トラスト・アセットマネジメントの見通しであり、将来の運用成果を保証するものではありません。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 当資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 4/5 ご参考資料 【ご留意事項】 ●当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるもの ではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保 護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。 ●当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 5/5