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アウトナンバー
アウトナンバーのオフェンス(3対2→2対1→1対0) オフェンスが3レーンで攻め、ディフェンスが2人で対応している3対2の状況において、 3対2から2対1になり、最終的1対0のシュートを狙います。 1 ディフェンスのポジションや意図を観る オフェンスは、常にディフェンスのポジションや意図(狙い)観て、どのように動けば 2対1の状況を作り出せるか考え、走るコース、パスの方向、ドリブルを使うか等を判断 します。 3レーンに対して2人のディフェンスの場合、ディフェンスのポジションは、概ね3パ ターン((1)横に並ぶ、(2)縦に並ぶ、(3)ディレクションする)あります。 ディフェンスの意図は、引いて守ってレイアップやゴール下のシュートは抑えて外から のシュートはチェックのみ、ボールプレッシャーを欠けてスティールを狙う、フェイクや ディレクションでミスを誘う、パスコースを切ってドリブルさせてミスを誘う等が考えら れます。 ディフェンスのポジジョンを確認し意図を読み、オフェンスは攻める意識を持ちつつ、 2対1から1対0の状況をどのように作るかを想定して(1手、2手の先読み)、3人そ れぞれが何をするか意思を統一し、連動した動きで攻め込みます。 注意点は、オフボールマンはボールから目を離すとなく味方や敵のポジションを確認し と意図を読むこと。ボールマンは常に自分のシュートを狙いながら、味方や敵のポジショ ンを確認し意図を読むこと。形式に拘り、パスだけを狙うとミスが起きます。 ○ ディフェンスのポジション例 (1)横 (2)縦 (3)ディレクション 2 3対2から2対1 3対2の状況では、ボールマンとレシーバーの間、レシーバーとレシーバーの間で2対 1が出来ます。 2対1を攻める際の状況判断は、2人のオフェンスに対して1人のディフェンスがどの ように対応しているかを観て判断します。 判断材料は、ディフェンスのポジションと意図です。 ポジションは、2人のオフェンスの距離の中間点からディフェンスがどちら側に寄って いるかを観ます。意図は、ディフェンスが2人のオフェンスのどちらに対応しようとしてい るのかを観ます。 ディフェンスがパスカットを狙う場合は、わざとパスコースを空けておき、パスを出さ せておいてカットを狙ってきます。したがって、ディフェンスのポジションの確認に加えて 意図を読んで対応しなければなりません。 オフェンス2人に対してディフェ ンスが1人 オフェンス2人に対してディフェ ンスが1人 3 ディフェンスのポジションに応じたオフェンスの例 ① ボールマンのドリブル突破 3対2では、ボールマンに対応しているディフェンス(ポイントマン)をドリブルで 突破すれば選手と2対1ができます。 しがたって、最初に狙うのは、ボールマンの1対1です。パスだけを狙っているとデ ィフェンスにパスコースを読まれます。また、パスだけを狙っていると自分に対するデ ィフェンスの意識が薄れます。 3人の動き方に指導者や選手が拘った場合、シュート力に自信の無い選手はパスを狙 いがちになります。まずは、ボールを持った選手が攻める気持ちを持ってディフェンス に向かっていきながら、周囲の選手が動くことでチャンスを作り出すように指導しまし ょう。 下図は、ミドルレーンのボールマンがドリブルでポイントマンを抜いた状況です。 2人の距離が近いとディフェンスが1人で対 応できるため、距離を保つよう意識する。 ドリブルで抜いた場合、ボールマンに対して、ディフェンス(ディープマン)が引い ていて、尚且つ前へ出てこなければストップジャンプショットです。前へ出てこればサ イドレーンからリングに向かって走り込んできた選手へパスノーマーク(1対0)でシ ュートが打てます。 サイドレーンを走る2人の選手のうち、どちら側の選手へ、どのようなパス(バウン ズパス、ループパス、ジャンプパス、シュートモーションからパス、ノールックパス、 スコップパス等)をするかは、ディフェンスの位置及びオフェンスの位置によって判断 します。 ボールマンとレシーバーの距離が近くなると、ディフェンスはボールマンとレシーバ ーを1人で対応できるようになります。ボールマンとレシーバーは距離を保って攻めな ければなりません。また、ボールマンとレシーバーの距離が近くなった場合は、ボール の移動(パス)に対してディフェンスの移動距離が短いため素早く対応されます。パス のモーション、パスのスピード、キャッチからシュートまでのモーションを素早くしな ければなりません。 ② C カット ディフェンスが縦のポジションに有効です。なお、横並び、ディレクションにも効果 はあります。 ミドルマンは、どちらかのウイングにパスしたら、ゴールへ向かってカットし、パ スした側のサイドレーン(ボールサイド)へ向かっては知ります。(C カット) 逆サイドのサイドレーンの選手は、ミドルマンが切れていった後のスペースへ上がり ます。 この状況で、ボールマンは自分のシュートを狙いながら、ディフェンス(ディープマ ン)が C カッとした選手とミドルレーンへ上がってきた選手の間の距離の中間点を基準 にしてどちら側にいるか、どちら側の選手に対して対応しようとしているのかを観ます。 ディープマンがミドルに上がった選手を意識していれば、C カッとした選手へパス、C カッとした選手を意識していれば、ミドルに上がった選手へパスです。 図1 A B ポイントマンからディープマ ンになるディフェンス C 図1は、ミドルレーンへ上がってきた選手へパスした後、ディープマンが上がってき た状況の対応です。A はカウンターのドリブル1対1か C へのパスを狙います。A のシュ ート力が高ければディープマンは勢い良く出て来るのでカウンターの1対1が有効です。 この場面で問題となるのが、ポイントマンからディープマンになるディフェンスの対 応です。このディフェンスの対応が早ければ C へのパスは出せませんから、B へリターン パスしてシュートを狙います。 図2 A ポイントマンからディープマ ンになるディフェンスをブロ C ックする。 図2は、C がポイントマンからディープマンになるディフェンスをブロックして A から パスを受けた後にノーマークのシュートを狙うものです。 C のポジショニングがポイントになります。これは、対戦相手との能力差があってもオ フェンス側が賢く協力してノーマークを作り出すプレーの一例です。 能力に差が無い場合、オフェンス側の能力が上回っている場合でも、賢い攻めは力を 使わずに攻めることができます。最小限の力で最大限の効果を発揮するオフェンスがで きるようになれば、試合終盤の体力勝負や連戦になっても力が落ちません。 図3 A C 図3は、ディープマンが A に対応しようとしていたため、C にパス。C はディープマン の動きに配意しながら、ジャンプショットかリングへ接近してシュートかを選択します。 図4 A C 図4は、C へパスした後にディフェンスの対応が早かったため、A にパスしてシュート です。 C カットした選手、ミドルへ上がる選手ともに、高確率のジャンプショットが打てる位 置でパスが受けられるポジションを意識します。 パスを受けた直後にインラインが空いていればドリブルで攻め込んでレイアップやゴ ール付近で高確率のシュートを打ちます。 アウトナンバーのディフェンスはゾーン的に守ることが原則です。ゾーンにはパスフ ェイクが有効ですから、アウトナンバーのオフェンスもパスフェイクは有効です。ディ フェンスの間合いや意図を読み取って、パスフェイクからシュートやパスを狙います ③ 第3者(オフボールサイドのオフェンス)のカッティング スイング、フラッシュ、インフロントからバックドア A スイング・バックドア(クリアリング) A C C B A B スイング・バックドア(クリアリング)は、ディフェンスがディレクションしている 場合に有効です。 C は、ディープマンがパスラインを狙っていれば繋ぎ(ミートアウト)ます。 C にパスされると同時に B はベースライン沿いをスイングし、その後のスペースへ A が走ります。 C は、攻める意識を持ちつつ、ディフェンスの状況を観て、B か A へパスします。 B にパスした直後にディープマンのディフェンスが寄ってこれば、A へパスします。 C から B へのパスのタイミングが遅れると B が広がりすぎるため、良い場所でシュート が打てません。ただし、B が高確率のロングシューターであれば、外でボールを持たせる ことでディフェンスの守るスペースが広がり、オフェンスが優位になります。 C から A へのパスはディフェンスの頭上を越えなければならないため、距離、時間、高 さの計算と技術が必要となります。 B インフロント・バックドア C A B C A B インフロント・バックドアは、ディフェンスが横に並んでいる場合に有効です。 C にパスした後の狙いは、スイング・パックドアと同様です。 B はレイアップシュートを打つつもりでリングに向かってカッティングします。形式的 な動きにならないように意識しましょう。 C フラッシュ・バックドア A C C B B A フラッシュ・バックドアもディフェンスが横に並んでいる場合に有効です。 C にパスした後の狙いは、スイング・バックドア、インフロント・バックドアと同様で す。 鍛えられたディフェンスは、オフェンスの意図を読みます。したがって、C は、自らの シュートを狙いながら、A へパスする際は B を見て、B へパスする際は A を見てパスする ようにし、自分の意図をディフェンスに読まれないようにします。 4 時間と空間 バスケットボールで状況を判断する要素に、時間と空間があります。時間は、ボールや人 の移動する時間、空間はボールや人が移動する距離やスペース(平面空間、立体空間)です。 アウトナンバーの攻防は特に時間と空間を意識しなければなりません。形式的な動きを優 先すると、時間と空間の意識が身に付きません。 ここでは、3対2の形式を紹介してきました。この動きを利用すると形式であってもある 程度成功してしまいます。練習の中で選手が時間や空間を意識しているか、オフェンスはデ ィフェンスがどこにいるかを観ているかチェックしながら練習しましょう。 A B 図 A は、パスを出す点線が引いてありますが、ディフェンスの足の速さとパスのスピード (時間、空間)によって2対1になるか、2対2になるか違ってきます。 図 B は、ディエンスが下がっているのに、両ウイングがサイドレーンから中へ向かって詰 めている状況です。ディフェンスが下がっていることを観て、繋ぎに上がり、ボールを素早 く動かして、次の攻めに入ることを考慮する必要があります。 5 ゲーム(5対5)に活かすには ① 3レーンをつくる 3対2の練習をゲームで生かすには、トランジションから3レーン速攻への入り方を 練習しなければなりません。 走るコースは、ディフェンスの状況に応じて対応し、理に叶った説明ができるもので なければなりません。 ② トレーラーと合わせる 3レーンの後を走る2名は、トレーラーゾーンを走り、タイミングを合せてカッティ ングします。トレーラーがカットした後は、オフェンスのポジションやディフェンスの 状況に応じて、スクリーンを使った2対2や3対3で攻めた後、セットオフェンスへ移 行します。