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議事要旨
参考資料 第 3 回 IT 総合戦略本部新戦略推進専門調査会道路交通分科会 1.日時 平成 25 年 12 月 25 日(水) 2.場所 中央合同庁舎 4 号館 議事要旨 15:00-17:00 1214 会議室 3.出席者 桑原座長、朝倉構成員、浅見構成員、小花構成員、川嶋構成員、川端構成員、 時津構成員、渡邉構成員 内閣官房 IT 総合戦略室 遠藤政府 CIO、吉川参事官、市川参事官、濱島参事官、鈴木参事官 内閣府、警察庁、総務省、経済産業省、国土交通省道路局、国土交通省自動車局 ※欠席:中鉢構成員 3.議題 (1)開会 (2)交通データの利活用に係るこれまでの取組と最近の動向について (3)今後の道路交通(ITS)の方向について(官民 ITS 構想) (4)ワーキンググループの設置について (5)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)について (6)閉会 4.議事概要 (1)開会 ○桑原座長より挨拶 年末の押し迫った中、お集まりいただきましてありがとうございます。 本日は、第3回の分科会ということで、これまでも議論してきたKGI、KPIについて、それから ロードマップ策定のまとめの段階にこれから入っていくわけですが、その策定に当たりまして 留意点の御議論をしていただきたい。 あわせて、前回お約束したワーキンググループの立ち上げについても提案していきたいと思う。 2時間という短い時間ですが、忌憚のない御意見をお願いします。 (2)交通データの利活用に係るこれまでの取組と最近の動向について ○事務局より「資料1」をもとに説明を実施した。 (3)今後の道路交通(ITS)の方向について(官民 ITS 構想) ○事務局より「資料2」をもとに説明を実施した。 (4)ワーキンググループの設置について ①道路交通分科会の今度の進め方について ○桑原座長より「資料3-1」をもとに説明を実施した。 ②安全運転支援、自動走行システムロードマップ検討ワーキンググループ、交通データ利活用 ロードマップ検討ワーキンググループについて ○事務局より「資料3-2」をもとに説明を実施した。 ③ワーキンググループの進め方について ○事務局より「資料3-3」をもとに説明を実施した。 (5)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)について ○内閣府より「資料4」をもとに説明を実施した。 (6)構成員による意見交換 ○桑原座長 本日は、資料2の一番最後の「議論して頂きたい事項と今後の進め方」にある論点について、 御意見をいただきたい。 論点1は全体的な目標とKGI、KPI、論点2がロードマップ策定に当たっての留意点。 ○委員 論点1に関して、目標を安全とスムーズ、効率性を重ねたことについては、適切であると思う。 安全だけでは、極めて遅いトラフィックを実現すれば安全ですということになりがちなので、 そういった意味では、安全と効率の両方組み込んだ社会的目標をつくることはよいと思う。 「世界で1番目に実現する観点」というのが示されているが、 「世界で1番目」というのは、何 かを早くつくりますということなのか、あるいは普及までを含めて「世界一」ということにす るのかによって随分違う。つまり、何かを早くつくりますというのであれば、小さなものを理 想すればよいため、早くできると思うが、その前のほうのページには、 「普及」ということがい ろいろなキーワードで入っていた。ところが、普及ということになると、マーケット相手の話 なので、そういった意味では、 「世界で1番目」ということの定義というか、何を狙いにするの かによって表現は随分違うし、開始時期目標に関しても、マーケットを相手にしないのだった ら、かなり確実にできるものがあるかと思うが、マーケットがあると、この開始時期目標はか なり慎重に議論しないといけないのではないかと感じ。 論点2に関して、技術的な研究開発についてロードマップをつくっていくということは当然だ と思うが、それに加えて、先ほどから少し議論になっている人間が絡むところ、社会の受容性 であるとか制度に関してのロードマップも中にどの程度入れていくのかということは十分検討 しないといけないと感じた。どうすべきだということについては、これからの議論になるかと 思うが、研究開発だけであれば、できることはたくさんあり、比較的先を見据えたものもでき ると思う。受容性や制度、特に受容性は、それに働きかける方法も含めて検討しないといけな いので、少し時間がかかるかもしれないし、不確定要素もたくさん増えてくると感じました。 ○委員 全体KPIについて、 「世界一」というのはよく考えたほうがいい。 「世界一」と言うからには、 「世 界二」「世界三」というのを意識した競争戦略になるので、「世界一」がさす意味は何だったか となってしまう。ただ、この「世界一」をとってしまうと余りにもプレーンであるため、少し 修飾が必要かとも思う。事務局で非常によくまとめていただいたと思う。この構造は比較的わ かりやすいと思いました。 1点だけあるとすると、短期的目標と長期的目標というのが、シンメトリックではないので、 目標は長期的1つに置いておいて、短期には、安全はこれを実現する、 「スムーズさ」はこれを 実現する、といった基準を少し甘く置けばいいのではないかと感じた。そうしないと、安全だ ったらいいのであれば、時速5キロでみんなが動けば実現できる。それでは、渋滞が悪化する ため、それで達成とは言えない。やはり目標、KPIは変えずに、その基準(レベル)や数などを を変えていくほうがいいと思った。 自動運転・自動走行について、どっちかというと安全寄りだとは思うが、渋滞についてもどう やって寄与していくかというのは、先ほどのシナリオのロジックにあるので、十分に検討して いくべきである。 それから、総合科学技術会議のほうで技術開発についてはかなりドライブをかけるとすると、 インフラとの関係や法制面でどうするかなど、国レベルで対応すべきことは、この周りに何が あるのかなというのを中心に検討するべきではないかと思う。例えば、白線をきちんと引くと か、衝突テストをするときに、今は車をバリアにぶつけるだけですが、自動ブレーキをかけて いいとか、そういうことを日本が真っ先に導入してはどうか。ただとは言わないが、政策と思 い切りを持てば促進できるような方策もかなり出てくると思うので、そういうところまで含め てワーキンググループで深掘りしていただきたい。 データについては、中身が今までの議論の繰り返しに近いところがあるため、もう少し視点を 社会的なところへ持っていき、道路交通を神が見ていて、経済学ではないですけれども、神の 手で制御するとどういうことになるか。それを信号をもってインテリジェント化するだとか、 車のプローブ情報だとか、スマホの情報を全部統合して、交通トラフィックをマネージすると か、そのためのインテリジェントな管制はどうするのかとか、信号も全部カメラつきにすれば いいではないかとか、もうちょっとITの情報の中身を世界最先端にする前提で、あと、データ をどう持ってくるとか、プライバシーをどうするか、それはもう一段思い切ったところに上げ て検討していくのがいいのではないかと感じました。 ○委員 全体的な話について、この方針、論点をそのままワーキンググループで検討することにしても、 本分科会で議論したことと同じことを繰り返してしまう可能性があることを非常に危惧してい る。そこで、例えば自動走行といった場合に、どこまでやるというのを少なくともこの分科会 で皆さん同じ意識を持っているのか明確にしておかく必要がある。例えば、一般道でも自動運 転することを目標にしているのか、高速道路だけでやるのを目標にしているのか、それともト ラックの隊列走行を目標にしているのか、そのあたりを明確にした上でワーキンググループに 渡さないと、ワーキンググループでまた同じ議論が始まってしまうので、その点は、明確にし ておきたい。 論点2については、例えば安全運転支援とか自動走行につきましては、前回も言いましたが、 最終的にそのサービスに対して責任を持つ人が誰かというのが不明確である。何々省庁さんな のか、そうではないでしょう、例えばその車載器を売ったメーカーさんなのか、そうでもない というところなのです。そうすると、最後は、自分が責任を負いたくないから、どこも最後の ところを詰めないで終わってしまう。そうすると、最後、これを実用化まで持っていって普及 させようとしたときに、そこで足踏みした状態で何も変わらず、実現ができない。 企業的なセンスで言うと、要するに、お客さんは誰で、誰がサービスを提供し、売るのかとい うのが最終的なのです。お客さんから見たときに窓口は1つでなくてはおかしい。これについ ては何々省庁さんです、これについては何々省庁さんですというのはあり得ない。窓口は全て 1つということをすると、それは第三者の組織をつくるのかもしれませんが、そこが運用する、 うまく回るためにはどのようなお金の回り方をするのかといったビジネス的な側面もそうだし、 制度的な話もそうだし、リスク管理はどうするのか、何か事故が起こったときにどう対処する のかといったことを面倒を見るところまでやらないと、私は、少なくともその製品は買いたく ないし、そういう自動運転の車の横は走りたくないというのが実感です。そのあたりをしっか り詰めないと、一般の国民の同意は絶対得られないことになってしまうので、そこをしっかり しておかなければいけません。要するに、最後、誰が責任をとってそのサービスを提供するの かというのが一番重要です。 皆さん、車載器だと、直接コンシューマーに売らないとすると、BtoBだから売れればいいねと 思っているだけで参画しますけれども、そうではなくて、最終的にお客さんに面と向かうのは どこか。ちゃんと窓口は1つでなければいけないということ、それを目標にやってくださいと いうことを指示しないとワーキンググループは動きません。彼らに検討してもらわなければい けない。 あと、交通データの利用についても、誰がサービスを提供するのかによって大きく変わる。誰 にお金が回るのか。例えば民間の情報も集めましょうという話があるが、各自動車会社はいろ いろサービスを提供していますけれども、差別化のためにそうやっているのであって、自分た ちのデータをそのまま一緒にして提供するということを考えられるのですかというのは非常に 疑問です。その点やどのようにお金が回るのか等のビジネス的な側面も含めて議論をした上で ロードマップを書かないと、絵に描いた餅で終わってしまうことがあるので、そこは絶対ワー キンググループには引き継いでいただきたい。 ○委員 論点2の細かいところだけちょっと申し上げると、先ほど画像の話などにありましたが、国勢 調査のようなデータと画像を含む交通データというのは同じに扱っていいのかという疑問があ ります。全部一緒にしてオープンと言っているが、制度との関係があるので、そこのの整理が 1つあると思います。 それから、参考資料に示したようにプローブに関して3つステークホルダーがいるのですが、 私は、その3番目の情報プロバイダーに近い方にいろいろ聞いてみると、要するに、お金を払 ってお互いにデータ交換すればいいではないかと言われています。今回の論点の中にコストの 概念が入っていないような気がしました。お金を払ってでも欲しいという人と、データを集め るためにすごく時間をかけたり労力をかけている部分に、無料で提供しろというのもできる話 ではないと思います。 そういうことを考えると、一番可能性があるのは価値をお金に換算して、その間でどういうル ールをつくるかということです。国のものは税金でやっているから無料なのではないかという 話もありますが、実は提供するために相当手間がかかるわけで、その手間をまた税金で払うの かということまで含めると、先ほどの話にもありましたが、責任の問題とお金の回り方という のは随分関係があるのではないかと思っております。 それから、一番最後に、プローブデータに関しては、メタデータの構造というのには国際標準 がありますので、そういうのに準拠していないと、後で全部やり直すことになります。先ほど の資料にも書いてありますけれども、機械判別可能なデータというのは、ASN.1とかXMLで書 かれているという意味です。人が読むのではなくて機械が読めるというのはそんなに簡単では ないので、その辺をまだはっきり意識されていないのではないかという気がしますので、それ を意識していただきたいというのが1つです。 2番目は、論点2の自動運転についてです。政府がデファクト標準をとるために援助するとい うことはアメリカ、欧州では考えていないと思います。輸出入を速やかにするために基盤の整 備を行うことが政府の役目です。基盤とは、安全性や部品の整合性、グローバル基準調和、ソ フトの安全性をどうやって検査するかなどです。安全性そのものではなくてどうやってそれを テストするか、検査するかということを国が主体となってやるべきであるというのが欧米政府 の建前です。 背景にあるのは,そもそも自動運転の定義が決まっていない段階で国が安全性を決めてしまう のは尚早という議論ではなかろうかと思います。ソフトローと言っているのですが、国が初め から決めないで、国際標準の場で議論した上で煮詰まってきたら、それを国のレギュレーショ ンにしていくというのがソフトローのプロセスです。標準というと、物ができてから標準とい う意識が強いのですけれども、そうではなくて、最初に標準をつくる、一緒につくりながらや るというところが世界の常識になりつつあります。 これは例ですから、後で見ていただければ良いのですけれども、ソフトローのプロセスを日本 で行うには国の関与しているいろいろな研究機関や団体等が連携して、資料にあるようなテー マで標準をつくっていくというプロセスが今回の論点の中に入っていないので例として述べて あります。初めから国が安全性に対して関与するのはなかなか難しいのですが、こういうこと をやっておかないと、安全性は国によっていろいろ違いますし,いろいろな国でいろいろなや り方があるはずだからということになり、その間の整合性をとるためには,始めから国際標準 のようなメカニズムを入れておかなければいけない。 結局私が言いたいのは、自動車運転車両についてはデファクトがあるかもしれませんし、 「世界 一」というのが一番最初のデファクトになるかもしれませんけれども、そうだとしても、サブ システムやモジュールは自動車運転システムに含まれるので、日本の部品がほかでも使えるし、 ほかの国の部品が日本でも使えるという相互依存の関係になるべきです。今の自動車はそうい うことができているわけですけれども、そのために何十年もかかっているわけです。それを2020 年に輸出を始めようというのだったら、今からスタートしても早くはない。もう遅いかもしれ ない。自由に輸出入ができる状態を2020年に実現するためにはどうしたらいいかということで す。 このような標準は、システムマネジメントスタンダードと言っていますけれども、日本は極め て弱い分野でして、例えばISO9000とかISO14000とか、そういう部類の標準は何か物を作るの ではなくて、その手続を決めるというルールの標準です。コンセプトを明確にし,それに関す る測定方法や検査の仕方とか、そういうことを決めるルールとこれをどのように表現するかと いう標準です。このためには資料に列挙して研究機関や団体等でそういう目的で議論していけ ば何か方向が出てくるのではないかという気がしますので、ぜひ連絡会などをロードマップの 中に入れていただいて議論して欲しい。 ○委員 安全かつスムーズというその両立は非常に重要だと思います。日本では、海外と比べて低速度 域での走行というのは、逆に言えば、先進国の中で非常に低速な部類に入りまして、今、アメ リカも速度域が上がっているということを考えると、国際競争力を考えると、高効率でスムー ズな移動というのはこういった目標の中に掲げるべきだと思います。 それと、先ほどのワーキンググループをつくるに当たってサプライヤーが不在なのはなぜなの か。例えば安全運転支援のロードマップに自動車メーカーとITS Japanが入っていて、もちろん 官も学も入っているのですが、逆に言えば、交通データの利活用は電機メーカー数社となって いまして、安全運転はどちらかというとサプライヤーがシステムとして商売をするほうが可能 性が高いと思う。サプライヤーが不在というのはこのワーキンググループの自動車メーカーの 議論だけではちょっと厳しいのではないか。現状、私が取材している段階ではそうです。 期限からすると、2020年実現というと、日本車メーカーですと4年ぐらいのモデル周期ですけ れども、海外への輸出を考えると6年から7年ぐらい。今、8年というのは大分短くなってき て6、7年ですね。そうすると、今、サプライヤーとしてスペックインを動くという時期です。 例えば、今、新型Aクラスが日本で今年1月に発売されていて、去年ドイツで発売ですけれど も、次のAクラスの開発もやっているのです。部品はないかみたいな話をみんなしています。 そう考えると、2010年、18から20年ぐらいに出るようなモデルを今やっていますので、サプラ イヤー不在というのはちょっとどうなのかなと思います。 それと、簡単にまとめてきたものを見ながらお話しさせていただきたいのですが、データに関 しては特にそうなのだと思うのですけれども、自動運転に関しても、社会受容性の調査という のが今回いろいろな中に余り入っていなくて、例えば、現段階でドイツの業界新聞にもう既に 載っている情報としては、ドイツ人の自動運転に関する意識調査が掲載されています。これは 自動車業界にかかわる人だったらかなり読んでいるような媒体なのですが、例えばそこに「無 条件で容認する」は42%という社会調査が出ていて、 「最終的にコントロールが自分でできるな ら」は66%。それはどんな年齢層か。45歳以下は52%とか、そういうデータが公共の新聞に出 るような形なのです。ですので、こういった心の準備をさせるというか、国民にそれを受容さ せることも世界一を目指す上で必要、マーケットをつくる上で必要ではないかと思うので、そ ういった社会受容性の調査をすることで啓蒙と両輪だと思うのです。なので、そういったワー キンググループであるなり、先ほどの科学、ごめんなさい、名前がちょっとあれなのですけれ ども、ああいった開発の中にそういった情報でリーダーシップをとるというのが日本は非常に 不足しているので、やるべきことではないかと思います。 それと、事故に関しては、やはり日本がリーダーシップをとるべきであって、新興国の輸出と いうのが途中に入っていたのですけれども、実は先進国への輸出というのが非常に大きな市場 だと考えられます。 なぜかというと、例えば日本と関係の深い新興国のインドネシアの例を挙げると、人口がいて 非常に魅力的な市場ですけれども、同時に、平均年齢27歳という非常に若い市場です。それに 対して、それに対して、日本とアメリカというのは非常に似ていて、ベビーブーマー世代が高 齢化して、交通事故の死亡者というのはほとんど高齢者に集中しています。皆さん御存じなの に言うのもなんですが、事故の90%は人間の過失が原因と言われていて、日本ですと、12年の 4,411人の交通事故のうちの51%は65歳という現状です。高度かつ急速に高齢化した日本という モデルを海外に輸出する場合は、どちらかというとアメリカのようなベビーブーマーの高齢化 社会が進んだ国を目的とした輸出形態を考えたほうがいいのではないかと思いますので、こう いった部分。実はアメリカのブルームバーグの記事に日本のこういうものが載っているのです。 なので、先進国への輸出というのをどちらかというと入れていただきたいと思います。 ○委員 資料全体が大変見やすくなって、流れとしてはよく理解できた。2、3点、留意事項をお願い したいと思います。 まず、自動運転の部分です。言葉で書いてあるものが具体的にどんなものをつくり上げていく と、事故も含めてどのように減っていくか、そういった効果をある程度見定めた上で合意をつ くっていかないと、二千何年までやったのだけれども、結果、効果が出なかったとかいうので は困るものですから、手前の段階から、こういう仕組みを入れたらこれぐらい減るだろう、こ れを入れたらこれぐらい減るだろうという指標をつくった上で、そのロードマップ化を進めて 欲しい。 それから、ワーキンググループへのサプライヤーの参加について。せっかくいい社会ができた のに、そのキーとなるテクノロジーをどこかにとられてしまったというのは避けたい。例えば、 アメリカの部品がないとこの全体が成り立たないというのでは困るということで、新しい社会 をつくるときにどこの部分を戦略的なものとするか。例えばハードウエアかもしれませんし、 ソフトウエアかもしれませんし、あるいはその運用課題かもしれませんが、そこをロードマッ プの中に定め、日本として核になるところは抑えていて、世界へ広げても儲かるというシナリ オをつくっていくことが大切である。 もう一つは、データのほうです。移動体データ銀行ということで、データを流通させることが 今、私どもの一番の課題になっおり、いろいろなところに大きなデータはいっぱい転がってい るが、これをいかに流通させるか。流通させるということは、お金が絡んで、お互いにそれが 流通しないといけないということで、データも1つの流通するものだというような考え方のシ ナリオをぜひ今後の検討に盛り込んでほしい。 あとデータというのは、今の時代、鮮度が命なものですから、ここでオープンデータがいろい ろ公開されて、過去のデータが幾ら出てきても、それは余り役に立たない。今どうなっている か、今からそれを使ってこの先どうなるかということがユーザーとしては一番知りたいところ なのです。それに絡むためには何かというと、データを公開するための判断です。あるデータ があって、これを公開すべきかどうかで1年も議論して公開するのではいけない。短期間で議 論し、速やかに公開できるような仕組みが必要だと思う。 ○委員 喫緊の課題である2018年に交通事故死半減という国家目標は言葉だけにすぎない、何もアクシ ョンがとられていません。これに対してこの道路交通分科会がどうアクションをとるか。要す るに、効果をどう出すかというところにもう少し力を加えなければならないと思う。 自動運転に関しても、先ほどのように、どういう車両システムをつくっていって、そのロード マップをどうやるかという問題。それから、国家目標をどのようにして実現するのか。それか ら、高齢者の生活支援の問題があります。さらには、2020のオリンピック・パラリンピックの 問題もある。それにプラスして国際連携をやって、この産業の発展まで持っていく。やること がいっぱいあるわけです。ですから、余り議論している場合ではなくて、お互いに協力し合っ て、ワーキンググループもシェアし合って、あるいは一緒になりながらやっていくような仕組 みをつくる必要があるのではないかと思っています。 ロードマップの中には、 「標準」という考え方がないとだめだと思いますし、そういう意味では、 オートパイロットの議論の中で既にサービスレイヤーの車として先読み情報を、どういう情報 を車側に渡さなければ自動運転ができないかというのは、自動車メーカー数社が集まって、も うオートパイロットの会議に出しております。今まで各省連携していろいろな前向きの仕事を やってきたと思っているのですけれども、それを総括してさらにレベルアップする、そういう ことをやらないと、2018年の日本の国家目標は達成できない。 本日の議論の中で抜けているのは現場です。安全の実現には、車も必要ですけれども、インフ ラも変えなければならない。皆さんが言っている「人」です。人の行動様式を変えなければい けない。この3つについてどう手を加えるか。私は各都市の現場にこの問題を落とし込んで、 例えばモデル都市方式みたいなものでベストプラクティスを出して、それをPDCAを回しながら 全国展開するというような実践的なやり方が必要だと思う。このやり方は、インフラと技術と 人の3つが重なったものは必ずビジネスになると私は信じています。 今、世界で年間120万人の人が亡くなっていますけれども、これが2030年には倍増するとも言わ れています。これに対して、世界各国がこういうものに対して何か欲しいと思っているわけで すから、日本がこの問題を解決する方法を早く世界に発信しなければいけないと思っています。 ○桑原座長 受容性とか制度が重要だということは全くその通りで、システムの開発だけではなくて、受容 性だとか制度についてもロードマップの中に入れ込んでいくべきだと思う。 さらに、新しいシステムに移行する場合の遷移のあり方もしっかり議論すべきである。交通デ ータについては、民間が自腹を切って集めてきたデータを簡単に外に提供することは難しい。 Win-Winの関係やインセンティブを与えるなど、やはりデータ提供に対する対価、たとえば金 銭的な対価や民間が入手な困難なデータとしての対価などを具体的に議論していかないと先へ 進まないのではないかと思っている。 もう一つ、データは、スピード感が必要で、明確な目標といつまでにここまでやるという期限 を切って進めていきたいと思います。 それから、データにもいろいろな質的なレベルがあり、集計された統計データもあるし、リア ルタイムの感知器のデータやプローブデータなどの生データもあります。私は特に後者のほう の議論が中心になるのではないかと思っていて、そちらのほうを中心に議論したい。 ○遠藤政府CIO 素人の方がこういう動きを聞いたときに、なるほどなと思うような論点からの説明がないと、 要するに、専門家が専門家の話だけしているということになってしまうような気がする。 私、以前から言っていて、何回言っても出てこないものがあるのです。例えば交通事故の死亡 数。死亡だけではなくてほかの事故も対象にすべきだと思うのです。どういう事故が多いのか ということをもう少し分解して説明をしないと、ここでこういうことをやったらいい、ああい うことをやったらいいと言っているのは、その事故の中のどこに効くのか。それがわからない と、これからどんどん高齢化するというのが日本の構造ですけれども、まだそんなに高齢化し ていない人ばかり住んでいるところには、その高齢化した人が多いところでの対策などは余り 役に立たないわけです。そういうミスマッチも起こしやすいので、ぜひ事故の中身を分析して ほしい。 それから、この間出ていましたけれども、事故が二千数百名と横ばいになってしまったが、前 の年の二千数百名と今度の年の二千数百名は、中身は同じなのか。違う可能性は十分ある。私 のビジネスの経験でも、トータルの数字が同じでも中身がうんと違っているというのはよくあ る例です。ですから、そのあたりをもう少し分解する。私がそのときよく使っているのは、因 数分解をする。因数分解をしないでおいて答えをいきなり出そうといっても、それは相当難し い。だけれども、因数分解すればすごく簡単に、お金も余りかからないでできる対策もあるわ けです。ですから、これはワーキンググループの中で因数分解をちゃんとしていただく。 それから、死亡事故だけ対象にするのではなく、少なくとも重傷を負ったとか、そういうとこ ろも対象にして見ていかないといけない。要するに、医者は患者の病状をよく見てから対策、 治療方法を決めるわけです。今の話は、患者の病状をよくつかまえないで、専門家の先生が寄 り集まって、こういうことをやったら効くに違いないと言っているように私には聞こえるので す。ぜひワーキンググループでも、ここでも、病状をもう少し正確につかまえた上での投薬で あり治療につながるように、素人にわかりやすいようにやっていただきたい。 ○委員 今の遠藤CIOのお話は私もそのとおりだと思います。現実に基づいて話をしなければならない。 2010年にこのITSの実証実験を全国でやっています。そこで出ている結果も、不十分ではあり ますけれども、ある程度の因数分解は出ています。しかし、その施策を実際に国として全うし ているかというとそうではない。 さらに、現場を歩きますと、私はこんな貧乏な国はないなと感じる。通学路がずたずたで子ど もたちが車道に出て事故に遭っている例もたくさんありますし、いきなり交通量の多いところ に自転車、あるいは車椅子が出てくるようなところもあります。だから、現場を見ないと、こ の机の上だけの議論ではだめです。実際のデータを見ないとだめ。それをやらないと交通事故 は減りません。科学技術も必要ですけれども、現場をちゃんとやらなければ。それで、今言わ れたようにデータの解析をやるということ。大体、やる方向は出ていると私は思います。 ○委員 今の遠藤CIOのお話は全くそのとおりだと思う。運転支援をやっているときと自動運転のときと いうのは、ひょっとしたら対象とする数字が違うのではないか。安全運転支援は、運転者、ド ライバーなので、あくまでも人で、今よりよくしたいというのは、多分、死亡事故だとか、重 傷を負った方。要するに半身不随になってしまうとか、そういう人までちゃんと入れなければ いけない。だけれども、自動運転の場合は、本当は些細な事故でもあってはいけないのでしょ うという話になると、同じではないのです。そこのところもしっかり議論をしないと、先ほど の自動運転というのはどこまで目標にするのかというのが絡んできます。なので、そうしたほ うがいいと思います。 ○遠藤政府CIO 私もそう思います。 ○委員 事故の調査に関して、日本は年齢であったり、性別程度のデータしか現状ないので、現状を分 析した場合、年齢による現状の事故の分析というのが一番しやすい。あと、例えば、どういう 現場だったかというのも実はほとんどデータがない。ボルボとダイムラーがそういうデータを 持っているので、地元の警察と連携して、自動車メーカーが事故現場に行ってどんな事故が起 きたか、重大事故のときには呼び出されて、そのデータをとって、例えば側面衝突でオフセッ トだ、どうとかという特殊な状況を全部分析して、それを再現できて、車が例えばユーロNCAP のファイブスターをとっていても、この事故に特定的に危ないとかというのを再現して実験も するのです。自分たちが安全だと思っている車で事故が起きた場合の症例調査みたいなものを しっかりできるようなシステムが、警察とメーカーが連携する形でできます。それは、たかだ かシュトゥットガルトだけで調査しても膨大な量で、それがグローバルで安全装備を開発する ときに役に立ったり、安全な車を構造開発するときに役に立っています。なので、現状、日本 の事故調査のデータだけですと年齢構成程度しか出ません。しかも、その年齢に対して傷害で あったり、運転の履歴程度のことしか出ないので、現状の分析ではまず必要です。それは、先 ほど私が申し上げたような高齢者の事故がふえているとか、それを支援すべきということは現 状のデータで出るのですけれども、今後、実測できる事故データというのがもう少し必要だと 思います。 さらに、自動運転になったときにどんな事故がふえるかもしれない、どんな事故が減るかもし れないという予測も必要です。それは、自動運転をしたからといって事故がゼロにはならない という前提で動かないと、自動運転の開発自体がスタックする可能性があるからです。 幾ら早く予知ができても、車の性能が上がるわけではないので、ブレーキをかけたところでぶ つかるものはぶつかる。ただ、それが死亡事故低減につながるということで、事故ゼロを目指 すというよりは、死亡事故低減を目指すというのは非常に現実的な目標だと思うのです。その 場合、自動運転をしたら何がうれしいのか。どうしてもネガティブ要素が出る可能性があるの で、それも事前に予知できるような解析をするべきだと思います。実は海外の自動車メーカー はここから始めるというのを幾つか言っているので、私たち日本は自動車メーカーは世界で一 番ぐらい多いし、競争力もある国なので、やはり政府主導でもやる。メーカー主導ですとなか なか厳しくて、ドイツの場合5社で一緒にやるらしいのですけれども、そういったことも必要 ではないかと考えています。 ○委員 今の御質問に関連する話題なのですが、どの会社もそうやっているかどうかわからないのです けれども、カーメーカーが安全運転支援システムをやるとき最初にやるのは事故分析です。日 本でも交差点とか歩行者とか多いですし、年齢から言えば、今、高齢者が半分ぐらい占めてい るのは事実です。交差点でも直進している車とぶつかったのかとか、左折するときに自転車を 巻き込んだとか、日本としてかなり細かく調べていて、事故分析センターには、各社からの情 報が集約されている。そういうのを基盤にしているので、ないということではない。 今回、事務局でシナリオロジックと言っていただきましたけれども、それはまさしく安全をKPI として置いたときに、どこでどういう事故がどういう理由で起きていて、それをどうやって失 くしていくかという作戦を立てて、それに対して自動運転が効くとか効かないとかというふう に組み立てることを言われているのだと思ったので、遠藤CIOの御質問はまさしくそのとおりな のですが、それをやるというのが今回の趣旨ではないかと思います。ただ、それをワーキング グループごとにやるのか、少し分科会へ通してやるのか、考えた方がいいと思う。 自動運転の安全と言ってしまうと、高速道路は余り出てこないです。恐らく、交差点とか歩行 者とか、そちらから優先度は始まるので、そうすると、交通を円滑にするためにどうするのだ とか、高齢者が出るときにはここでは事故が起こるとか、かなり細かく分解していかないと、 ワーキンググループのプロポーザルにならないため、そこは大前提ではないかと思います。 ○委員 交通データ活用について、プローブデータという言葉があるが、車の位置、速度、燃費、操作、 いろいろありますので、それらの情報は、ここに含まれていると思っている。今後このプロー ブデータが簡単にとれるような仕組みができ上がってくると、いろいろな事故だとか事象が起 きたときの挙動が全部収集できるようになる。あるいは、今でもある程度収集しています。今 までは事故が起きてから状況を見て分析ということだったのですけれども、今後はこの情報を 使って、その直前がどうだったか、運転挙動はどうか、車の挙動はどうか。そこまで全部把握 できるというのが多分プローブだと理解しています。そういう意味では、2つのワーキンググル ープをうまく連携しながら今の議論を収束させていただけるといい。 ○桑原座長 今日の論点の1つ目が、KPI、KGIということですが、何人かの構成員からは御意見いただきま したが、事務局(案)としましては、「世界一」という言葉、それから「安全」「円滑」という のがキーワードになっておりまして、 「安全」と「円滑」については特段反対意見はなかったよ うに思います。ただ「世界一」という言葉の使い方については少し注意したほうがいいという ことだったと思います。ここにつきましてほかに御意見ございますでしょうか。 ○遠藤政府CIO 私の受けとめ方は、修飾語的な言葉を誰もが納得するような定量的な言葉に置きかえて言わな いと、目標も立てられないし、なったかならないかもわからない、こういう御意見だったよう に思うのです。だから、いいことを言っているから反対はないと思うのですけれども、どのレ ベルを目指すかというのは数字化しないと難しいということだったのではないですか。 ○委員 そのとおりだと思います。ただし、いいアイデアがないのです。例えば現状の100倍とか、ほか にアイデアが出ないようであれば、そう言い切ってしまうというのも一つの考え方。100倍とい うか100分の1というか、そういうことではないかと思うのです。そうしないと、競合を見なが らやるのだとムービングターゲットになってしまって、できたのかできないのかわからないと いうことになると思います。 ○桑原座長 安全、円滑ということについてはKPIの中で具体的にどこまでするのかという具体的な数字を考 えないといけないと思います。今も幾つか出ていますね。2018年までに2,500人以下にするとか。 それをKPIの中で議論していくことになるのではないかと思いますが、大きな方向としてはこれ でよろしいでしょうか。 ○委員 先ほどお話の中で、現状あるデータとプローブデータがもっとふえていくと、例えば事故の起 きた要因がもっと細かく解析されると理解していいのでしょうか。事故というのは1つの要因 だけではなくて、信号がこういう状況で、もともと見通しが悪い交差点にたまたま自転車がこ ういうタイミングで入ってきて、さらにそれを隠すトラックがあったとか、そういう要因が重 なったというのがプローブとかでもっとわかっていくということなのですか。 そうでは、ないのですね。もしそういうことぐらいがかなりわかるというか、解析ができる。 例えば渋滞解析みたいなことでわかるとかであれば、かなり具体的な目標が出せると思うので すけれども、そうでない場合、どういう具体的目標を持っていくのかわからない。 ○委員 例えばぶつかって負傷する。ぶつかったときのドライバーにどんなエネルギーがどの方向から 来たかというようなことがわかれば、救命率が飛躍的に上がるということはヨーロッパで言わ れている。ですから、どのぐらいのエネルギーがどう加わったかということが車のプローブ情 報の中に入っていれば、それを救急車なり救急センターに送れば対応が非常に早くなるので、 次のITSとして皆さん考えられるテーマの1つの事例としてそのようなことです。 ○委員 例えば交差点や高速道路の事故形態を分析して、それに対応するITSの技術を提案し、実証実験 を行い、今はもう普及している。その状態で事故がどのぐらい減ったというのがわかっていま す。そういうことと、将来、こういうものを入れたときに、新しいITSがどのエリアをカバーす るか。ここから先は類推が入るが、どのぐらい減るというのは、おおよそ、わかっていると思 う。だったら、そういう街をつくればいい。全国にやるのは大変でしょうけれども、そういう 環境をつくってやって、実際に差があるのかどうか見てみたらいいと思うのです。そこに集中 投資して、それのPDCA、ベストプラクティスは全国展開する。これが必要なのではないでしょ うか。全体論を幾ら議論してもなかなか先に進まない。早くやるべきだと思います。 こういう分散的な検討体制をやるというのは、災害対応にもエコドライブにもCO2を減らすのに もみんな効きますから、日本全体でやろうと思ったら大変だが、どこかモデル都市で集中的に やってみる。その結果が、今、このITSで一応出ているわけですから、不十分なところはもっと 見直しをしていったほうがいいとは思うが、積み重ねていきたい。 ○委員 論点1、2と直接は関係ないのですけれども、今、マルチメディア放送の一つであるV-Lowを使 って交通情報を提供する可能性が出てきました。少しヒアリングをして問題かなと思うのは、 1つは、これは車内に持ち込んだスマホを使う予定にしているらしいのですが、広告を含む多 様な情報が交通情報と一緒に提供されることになるようです。JAMAのガイドラインというの は車載ナビを想定していますので、持ち込みの端末による交通情報提供は,現実にはグーグル などがしているのですけれども、V-Lowの場合,どう考えるかということに対して明確なガイド ラインがないので、放送局も、VICSのような提供する側も、車載メーカーもちょっと困ってい るというのが状況かと思います。 もう一つは、提供するデータがVICSのフォーマットで出すかどうかわからないのですが、現状 のとおりVICSフォーマットで出すとすると、これは20年前の技術なので、容量が非常に小さい。 V-Lowというのは非常に容量が大きい上に、しかも日本も参加して議論しているTPEGという伝 送方式があるのですけれども、これは大容量に対応し,しかも多言語化が容易なのです。VICS フォーマットで多言語化は無理です。オリンピックを考えると、今から多言語化を考えておか ないといけないという気がします。 それから、このTPEGは今のところ日本以外のほとんどの国のマルチメディア放送に採用する予 定になっていると思われます。そうすると、VICSのときはたまたま日本は特殊だからというこ とで余り問題にならなかったのですけれども、そのかわり輸出できないシステムになっていた わけです。それをまた今度、V-Lowに関しても、日本から輸出できないシステムをこれからつく っていくのかということです。そういうことも含めると、ぜひ関係者の間でお話し合いをして、 今回の論点とは直接関係ないかもしれないですけれども、2020年のオリンピックがターゲット になっていることを考えると、こういうことも地道にやっていかなければいけないのではない かと思います。 将来のVICSの海外展開を考えると、日本から交通情報関連ソフトを輸出できないということに なるとますます困ります。V-Lowでスマホを使うとなれば、TPEGのTISAという団体から門戸 を開放しろという圧力がかなり強く加わる可能性があると思っております。初めのうちは言わ ないかもしれません。黙っているからいいというのではなくて、早目にやらないと、何十万台 出荷した後で変えろというようなことを言われたときに、日本はISOでTPEGの作業をしていま すので、立場は非常に弱いのです。それを知っていてなぜTPEGを採用しないのかという話にな りますので、この辺、十分注意しなければいけないのではないかと思っています。その関係の 方々はぜひ集まって、どのように対応すべきか、2020年に多言語化ができるように工夫するべ きと思っております。 ○桑原座長 本日はいろいろと御意見をいただきましてありがとうございました。特に大きな意見としまし ては、交通事故についてはどういう事故がどういう対策をすればなくなるのかという分析が必 要だということ、すなわちロジックモデルの議論が必要であるということを本日、事務局から 提案いただいていますが、その異論が必要であるということです。これまでも事故分析という のはデータ的に可能な限りにおいて詳細に行われていたと思います。たとえば、事故原票にさ かのぼった分析、交通量データとの突合せ分析、最近ではドライビングレコーダーのデータを 使った分析などがあります。ただ問題は、それは省庁別にやられていた感があります。オート パイロットでも、ASVでも、少なからず事故分析を踏まえた開発が行われてきたと思いますが、 それを省庁連携でもう一回レビューしていただきたいと思います。 恐らく、何をすべきかということはおおよそ見えてきていると私は思うのです。特に交通事故 を減らすとなると、交差点回りは非常に重要で、そのためには何をなすべきかが大体見えてい ると思います。問題は、それをどのようにすべきかというのが難しいのではないかと思います。 もちろん事故軽減に効果的なシステム開発は必要ですが、それだけではなく利用者の受容性の 考慮、それから新しいサービスやシステムへの遷移の在り方などを考慮しながら検討すること が必要であるともいます。こういったこと踏まえながら,ぜひ省庁連携のワーキングの中で詰 めていきたいと思います。 もう一つは、交通データについてです。これは、皆様方がおっしゃるとおり、民のビジネスモ デルというのを頭に入れて議論しないと先へ進まないと思います。前回の私の意見の中でも、 利用者と官と民のWin-Win-Winの関係を述べさせていただきましたが、特に民のデータにアク セスしようと思ったら、まさに民がWinになる環境について考えなければいけないということで、 その辺も念頭に置きながらワーキングで議論していきたいと思います。 本日、皆様方からいただいた議論は、ワーキンググループにももちろん申し送らせていただき ます。それから、別の会議体であるSIPとの連携もとりながら今後進めていきたいと思います。 ワーキンググループですが、先ほど案を提示させていただきました。もしよろしければこの方 向でワーキングを立ち上げて議論させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○委員 2つのワーキンググループのメンバーというのは資料にある内容でいいのですか。 ○桑原座長 先ほどの安全運転に関するワーキンググループ参加メンバーへのサプライヤーの参加の件につ きましてはまた少し考えさせていただきます。 ○委員 参加メンバーについて、部長クラスでいいのですかという疑問もある。 ○遠藤政府CIO よく内容を理解している部長さんにお願いしたいと思う。 ○委員 参考人というのがあるのですけれども、例として道路交通情報センターやVICSセンターだけな のですが、もっとほかにも現場をよく知っている人も含めて、参考人をもうちょっと広くとっ てやったほうがいいと思う。 (6)閉会 ①遠藤政府CIOより挨拶 本日は、年末のお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。先ほど も少し話に割り込んでしまいまして申しわけないのですけれども、私、皆さんの話にそのうち 出てくるのだろうなと思っていたのですが、これ、いろいろな対策を打ったとして、少なくと も10年か15年は対策を打たれていない状況が共存する。例えば自動車で言えば古いのと新しい のが同じところを走っているということとか、路側に何かやるとしても全部一遍にできるわけ ではないので、そういうものができていない。そういうことも考えなければいけない。そのと きに、一体どういう順番でやっていくとより効果的なのかを考えながらやらなければいけない のかなという気がしまして、これはワーキンググループで自動運転支援というときにどういう 順番でやっていくとかということも、技術の難易度も含めて一応考えていただくといいのでは ないかという気がしました。 それから、先ほど事故の分析の話をしましたが、私の経験で言うと、わかった人が出してくる 対策は大体高価につく。なぜかというと、実態の細かさを無視して、何となくこういうものだ というと、あれもこれも全部やれるようにしようとなるのです。 これは私の全然違う分野の経験ですけれども、私がいた会社で全世界に品物を売っています。 製品も売っている、消耗品も売っている、スペアパーツも売っている、サービスもしている。 あるとき、サプライチェーンマネジメントをもっと短くしようとか、そういうことでスタート したら、きのうの情報をきょう全部わかるようにしようではないかという話になったら、何百 億円、何年かかるときたのです。システム屋がすごくうれしそうな顔をしてきたのです。私は、 私が知りたいのはこれだけなのだと限定をしたわけです。これとこれとこれさえわかれば、今 問題になっているこれが全部片づくと。そうしたら、何と、2,500万円、3カ月でできました。 それはなぜかというと、既に我々の販売網の中にある拠点ではデータは全部電子化されている わけです。もちろん、フォーマットは違います。しかし、扱っている商品は同じですから、基 本は同じなのです。それを集めてくるだけで、あとは変換のテーブルを入れたデータベースを つくってやれば、それで1,000億の在庫がいつも低減できて、売り損ないがほぼゼロになったと いうことなのです。だから、実態をよくわかるということの対策の適切性というか、物すごく あるのです。何となくわかっているということで対策をすることは駄目だということです。 先ほど言葉がちょっと足らなかったので、もう一回余計なことを言いましたけれども、その辺、 私、今後、分科会とかワーキンググループができていろいろな話ができたら、どこまで細かい 話をしながら大きい目的を達成しようとしているかという行ったり来たりをぜひ理解させてい ただきたい。それさえわかれば、素人に説明するときもすごくわかりやすいと思います。ほか の分科会・部会もそうしてやっておりますので、ひとつ十分御理解の上、わかっていることは ちゃんと言っていただいて、わかっていることをわざわざ言うと専門家としてみっともないと いうことはなく、全部さらけ出してやっていただければ大変ありがたいと思います。 来年いよいよ佳境に入りますので、皆様のこれまで以上の御支援、御協力をお願いしたいと思 います。どうもありがとうございました。 ②事務局より連絡事項 本日は、長時間にわたる御議論ありがとうございました。本日の資料及び議事要旨につきまし てはホームページで公表させていただく予定にしておりますので、よろしくお願いします。 次回の分科会についてですが、ワーキンググループの報告会という形になりますので、先ほど 御説明させていただきましたように、2月ごろに開催を予定しております。また事務局から日 程調整させていただきたいと思います。 以上でございます。本日はどうもありがとうございました。 以上