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Title Author(s) Citation Issue Date Type 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム 石垣, 建志 一橋研究, 21(1): 27-44 1996-05-31 Departmental Bulletin Paper Text Version publisher URL http://doi.org/10.15057/5799 Right Hitotsubashi University Repository 2 7 労働組合の 目的関数 と資本主義の微分ゲーム 、 建 志 石 垣 ′ l は じめに 労働組合の組織率が きわめて高 く,強い賃金交渉力を持 っているとして も, 資本主義経済 においては,労働組合が資本蓄積を決定できるわけではない。 こ うした状況の もとでは,長期的な資本蓄積を一つの主要 な変数 とした労働組合 n c as t e r( 1 9 7 3 )はこの と資本家の戦略的関係はどのようになるであろうか。La 状況を微分ゲーム ・モデルとして定式化 し,非協力的労資関係が動学的非効率 を もた らすことを示 した。その後のゲーム理論の展開を応用 し,モデルを拡張 して異 な った結論 を導 いたのが Ha u r i e/Poh j ol a( 1 9 8 7 )で あ る。 Hau r i eと Poh j ol aは,非協力の場合で もパ レー ト効率的な均衡が達成 され得 ることを明 らか に した。 しか しなが ら, これ らの研究では,労働組合の目的関数 については限定的な ケース しか考慮 されていない。 そこで,労働組合の効用関数の形状に注 目し, 広い意味での利他主義の重要性を,動学的非協力ゲサムにおける効率均衡の達 成を基準 として明 らかにすることを,本稿の課題 とす る。 以下では次のような順序で考察を進めることにしたい。 まず,第 Ⅱ節では, 資本主義ゲームに関する先行研究 と労働組合の目的関数の定式化 について述べ る.第Ⅱ節では,分配 と資本蓄積の微分ゲーム ・モデルを定式化す る。第Ⅳ節 では, このモデルの非協力解 と協力解を求め,次節の準備をおこな う。第Ⅴ節 では,労働組合の効用関数 と効率均衡解の存在条件の関係 について明 らかにし, ついで相対的交渉力を内生化 したモデルを提示する。第Ⅵ節では,以上の考察 をまとめ,結論を述べるO 2 8 一橋研究 第2 1 巻第 1号 日 先行研究 と労働組合の 目的関数 1 資本主義ゲームに関する先行研究 Lanc as t e r( 1 9 7 3 )は労働分配率を労働者階級が決定 し,資本蓄積率を資本家 が決定す るという,資本を状態変数 とす る微分ゲーム ( 資本主義 ゲーム)を用 u r i e / いて,非協力的労資関係が動学的非効率を もた らす ことを示 した。Ha Pohj ol a( 1 9 87 ) は,その後のゲーム理論の展開を受 けて, 同 じよ うに両階級 が非協力の場合において も,長期的なゲームは十分に低 い時間選好率の下では 協力ゲームの場合 と同 じ結果を得 ることができることを明 らかに した。すなわ ち,彼 らは,後 にV,1節で説明するような トリガー戦略を もちいて効率均衡 の存在を示す ことによって,長期 にわたる所得分配 と資本蓄積をめ ぐるゲーム において,非協力の場合で もパ レー ト効率な均衡が達成 されることを示 した。 本稿では, これ らの研究を継承 し,労働組合の目的関数を一般化することによっ て, Haur i eと Pohj ol aのモデルがどのような影響を受 けるかを探 ることにする。 Lanc as t e r( 1 9 7 3 )の後を継いだモデルには,複数の労働組合 の敵対関係 を a c ke l be r g解 持ち込んだ もの,両 プレイヤーの情報構造 に非対称性を導入 LSt を考察 したものなどがあるが,本稿では労働組合,経営者団体ともに単一とし, 情報構造 は両 プ レイヤー間で対称であるとする1 ) 0 最近の経済学 におけるネオ ・コーポラティズムに関す る議論 2)においては, コーポラティズムを成 り立たせる 「 制度」 は多 くの場合 に前提 とされてお り, h j ol a等 のアプローチは 「 制度」それ自体を説明 しL ようとはされていない。Po 例外的であり,制度を動学的ゲームにおける効率均衡 として説明 している。本 稿 はこの点において Po h j ol aと同様の立場 に立っ とともに, さらに第Ⅴ節にお いて示すように,ゲーム開始時に確立 された 「 合意」の もつ重要性が強調 され るべ きであると考える3)0 2 労働組合の目的関数 労働組合の行動原理,効用関数については,かな らず Lも定説 は無い4 )。 し か しなが ら,S t on e Ge a r y型の一般的な効用関数が考案 されてお り( De r t ouz os / Pe nc ave l , 1 9 81)5 ) , これを単純化 して以下では次 のよ うな関数 を用 いること とす る。 2 9 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム U( W, L)-U(w S L1-S) 1 ) ただ し,雇用者 工人か らなる労働組合が あ り, すべての雇用者 は労働組合 に加入 し,雇用者の 1人当たりの実質賃金 を W とす る。 ここで, パ ラメタ S が大 きいほど,実質賃金に対する相対的な考慮が大 きくなり,逆 に Sが小 さい ほど,雇用に対する相対的な考慮が大 きくなる. Sが比較的大 きいときには, 雇用を増大 させることよりも賃金を増加 させようとする.反対 に Sが比較 的小 さいときには,現在の雇用者の賃金を抑制 して も,雇用を増加 させようとする であろう。Ha u r i e / Poh j ol a( 1 9 8 7 ) 等では, この うち S-1 / 2の場合だけが考察 されている。 0≦ 本稿では,外生的に与え られたパ ラメタ Sがさまざまな値 ( ると仮定す る。 S ≦ 1) をと S は労働組合の内部の政治的過程 によって決定 され る外生変数 であるか ら,たとえ組合指導部 といえども,他の何 らかの目標を達成するため に組合の目的関数を制御す ることはできない, と考える。 長期的にみれば,雇用重視である場合には,現在組合員でない人々が将来組 合員 となることに関心を持 っているという意味において,組合 は 「 利他的」で あり,逆 に賃金重視である場合には,将来の雇用に対 して比較的無関心である という意味で,「 利己的」であるとも解釈 されるであろう6)0 I l l モデル 本節では,資本蓄積を考慮 した動学的なモデルの もとでの,集権的な労働組 合 と集権的な資本家団体の間の長期的なゲームを定式化する。そのために,症 出と資本の概念を導入する。産出(y),固定資本 ( 〟)と雇用量 ( エ)に対 して, 資本一 産出比率の逆数を〝,資本一 労働比率を γとする。すなわち, Y-F LK,L-γK ただ し, 〟とγは定数 とする。 wL, 資本家消費 CK ,および投資 Iに分割 される。すなわち,Y-w L+C K +Iであ る. 産 出の うち賃金 と利潤 とへの分配率 wL: CK +Iを ul:11 u 'とし, u lを労働分配率 CK を u2:1l u2とし, u2を投資 と呼ぶ。 また,投資 と資本家消費 との比率 I: 資本 K と雇用 Lによって生産 された産出 Yは, 労働分配 率 と呼ぼ う。"日 で時間微分を表す と,資本蓄積の動学 は次のようになる。 ● L)u2 K-I-( Y- u) 3) 3 0 一橋研究 第2 1 巻第 1号 労働組合の効用関数 は,前節で議論 したように,賃金重視の度合 S をパ ラ メ タとして関数 Ul( w S L1-S) で表 されるO資本家 につ いて は, 自 らの消費 の効 CK )としよう。 さらに,組合 と資本家の両者 は,長期的な効用 を 用関数を U2( 最大化するような目的関数を持 っているとす る。以下では単純化のために,効 n(・)に特定化す る7)O 時間 用関数 Ul(・)および U2(・)をともに対数関数 I 選好率については,組合,資本家 ともに共通のβとす る8 ) 0 以上の仮定か ら,組合および資本家の長期的効用関数 は次のようになる。 Ul -/? l n( WS LL S )e x p(- pt )dt U. -/o m l n( C K ) e x p(- Pt )dt 本稿では労働組合 と資本家がどちらも集権的である経済を考える。すなわち, 組合 は賃金を決定するだけの力を持ち,資本家 は利潤の内か らの投資率を自己 決定できると考えるO こうした状況の下では,ゲームは何 らかの情報構造の下 )式を最大化 し, 資本家が投資率 u2 で,組合が分配率 u Jを制御変数 と して 4 を制御変数 として 5 )式を最大化す るような行動をとると定式化できる。 その 意味で 4) ,5)式を各々の目的関数 と呼ぶ ことがで きる。 I V ゲームの均衡解 1 静学的な非協力解 本節以降では,制御変数の取 りうる範囲が一定であるように, また先行研究 との比較を容易にするために,記号 Wを使用せず,記号 u L, u 2だけを使用 し てモデルを定式化する9 ) 0 本節では,両 プレイヤーが最初 に決意 した戦略をゲ-ムの途中で変えないと いう,強い仮定を置いて単純化 した場合,すなわち閉ループ戦略空間における 解を定める。本稿のモデルでは,閉ループ戦略空間における均衡経路 は,ゲー ムの途中での行動の変更の可能性を与えて緩やかな条件 に した場合,すなわち 閉ループ戦略空間において も均衡解 とな ることが知 られている。 なお, 後 の Ⅴ. 1節においては,戦略空間は記憶戦略にまで拡張 され る。 本節で はその準 備を与えるために,開ループ戦略空間でのみ考える10)0 戦略空間上で他のプレイヤーjの戦略 u Jに対 して自己 iにとって もっとも望 3 1 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム ま しい戦略 u . を対応 させて描 いた曲線を最適反応 曲線 と呼ぶo u z - u2平面上 での両 プ レイヤーの最適反応曲線 は,ある Sの下では第 1図の太線のよ うにな る。組合の最適反応曲線 は,図では原点 に対 して凸な双 曲線 の一部 Q2 R2( 吹 )式)および点 R2と C( 1, 0)を結ぶ線分か らなり,資本家の最適反応 曲線 の6 次の 7 )式),および点 N と Cを は,図の原点 に対 して凹な双曲線の一部 PN( 結ぶ線分か らなる。両曲線 は次式で表 される。 -7玉 u lu 2 ‥ 曲線 Q ・R L 音 -雫 ‥ 曲線 PN 第 1園 非協力解 ( A,a C) ( 1- ul )( 1-u2 ) u2 1-〟/〟 Ⅳ 1 Nas h均衡解の定義 より,両 プ レイヤーの最適反応曲線の交点 が非協力 の均 衡解を与える0第 】図の太線の場合には, 非協力解 (u l* ,u 2*)は, 最適反 応曲線 Q2 R2 CとPNCとの交点であり,2つの双曲線 6)と 7 )との共有点 A, B,およびコーナー解である点 C( 1, 0 )の合計 3点 となる。 点 A,B,Cは, 閉 ループ戦略空間 にお いて部分 ゲーム完全 な均衡解 であ ることが知 られ て い る11 )0 3 2 一橋研究 第2 1 巻第 1号 次 に第 1図の細線 の曲線群 につ いて説 明 しよ う。 資本家 の最適 反 応 曲線 PNCは Sの値 に依存 しないか らつねに一定である。 他方, 曲線 QI RI Cで表 R-は Sの値 によって組合の されるのが組合の最適反応曲線群であり,曲線 Q` 最適反応曲線が右上方 にシフ トする様子を表 しているo sが小 さいときには QJ / 2のときが太線の Q2 R2Cであり, さ らに Sが大 き RI Cで表 されるが,S-1 くなると Q4 R4 Cへ とシフ トする。特に組合の反応曲線が資本家の反応曲線 と RS Cに対応す る Sの値を言 と記す。 さらに S が 接す るとき,すなわち図の Q3 増大 した極端な場合には,点 Qと R は点 D ( 1, 1)と一致 し,反応 曲線 は線分 CDに退化す る。 以上か ら次の命題が導かれる。 命題 1 ある閲値言 が存在 して,部分ゲーム完全 な解 の範囲で は次 の ことが成 り立 つo (i)S< 言のとき非協力均衡解 は A,Bおよび Cの 3つ存在す る。 (i i )S-言のとき非協力均衡解 は,A-Bとコーナー解 Cの 2 つである。 (i i i )S>言のとき非協力均衡解 は唯一 Cのみである12)0 2 相対的交渉力の決定 一般 に微分ゲームにおいて も,繰 り返 しゲームやそれの拡張であるスーパー ・ ゲームと同様 に,ゲームの解空間が きわめて広いものになることは, よ く知 ら れた事実である1 3 ) 0Ha ur i e / Poh j ol a( 1 9 8 7 )が明 らかにしたのは,資本主義ゲー r e t o最適解 の達成可能性 であ る。 し ムの解 として効率均衡解,すなわち,Pa か し,効率均衡解が実現 されるためには, ゲームに先 だ って無数 に存在 す る Par e t o最適解か らただ-つの戦略 (u l ** ,u 2")が選択 されていなければな ら な い。 資本家 と労働者の蓄積を含む長期的な戦略行動 については次の 2点が指摘 で きるであろう。第 1に,両者の締結 した合意を両者が,合意の事実 自体 によ っ て,長期的かつ自発的にその行動が拘束 されると考えることは不 自然であるこ と, しか し第 2に,長期的な労使関係の推移 についての実証的研究が指摘す る のは,ある歴史的な時点で合意が得 られるときに, この合意がその後のかなり 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム 3 3 の期間を拘束す る場合のあること,である14)15)0 a gr e e me nt )が このことか ら, この動学ゲームに先 だ って両者 の間で合意 ( 形成 されること, しか しそれが維持 されるためのメカニズムが存在すること, の 2つが重要であると考え られる。前者の合意の形成 について,次のように考 えることは自然であろう。 合意は Pa r e t o効率解であり,かつ両者の交渉資源の賦存量 に応 じて決定 さ れる。すなわち,両者のもつ交渉資源を 7 7, 0とすれば, あ る関数 B′(・ )に よって, β-B(7 7/ (7 7+0)),B′( ・ ) >0 8 ) で示 され, この βによって一義的に決 まる Pa r e t o効率解が,長期的なゲーム の初期の状態であり,ある条件の下では効率均衡解 として実現される。ただ し, この交渉資源の賦存量 は, プ レイヤーたちの効用に直接には影響を与えないと 考える。 以下では, u l Hが βに依存することを明示す るために, u L(β)**と記す。 e l f e nf o r c i ng)か否かを議論する16)。 Ⅴ節ではこの合意 βが自己拘束的 (s 交渉解 (u lH ,a/ ') は動学経路 ( 3 )の下で次のように して決 まる。 u Ta uJ . w t ln' wS Ll -S )+ ( ト β) l n( c K ))ex p( -Pt 'dt ● 定常解 y-0を仮定すると, u 1- u2平面上での協力解 (UI H,u2")は S に依 存 して次のようになる。 l L T == u2 * *- β S 1 号て 「 _ A_ ββ F L1 ( 1-β) βS)( ll u1 -) 9 )式か らβを消去す ると,次の双曲線を得 る。 この曲線 は, 他 の条件が一 定の下で,相対的交渉力 βを変化 させたときの協力戦略の組 み合 わせ ( uJ , u 2 ) を表 している。 u2- 星旦子 .( ユデ u2-ul 平面上 に第 ー ) 玉 ㌃ 石 10) 2図の P Qのように表 されたこの曲線 は,Pareto最適 な , 点の集合であるか ら 「 契約曲線」 と呼ぶ ことがで きよう。 この曲線 は z L 2軸 と 3 4 一橋研究 第2 1 巻第 1号 u2 -1-P/L Lで交わる右上が りの曲線である。曲線 PQの u2 軸 との交点, す -1 なわち点 D は S によ らず一定であるが,パ ラメタ Sが大 きくなると直線 u2 との交点 は PQ' のように右側 にシフ トす る。 第 2図 交渉曲線 ( PO)と非協力解 (A,B ,C) u2 9 )式で表 された協力解 は契約曲線上の 1点 で あ り, 交渉力 βに依存 す るの ,S( β)と表す ことにす るO他の条件一定の下で, βが小 さいとき点 S(β) で は曲線の左下方 に位置 し, βを大 きくす ると右上方 に移動す るo協力解 S(β) は, どのような相対的交渉力 βの もとで も必ず存在す る。 以上 の考察 を前提 に して,Ⅴ節 においてはゲームの定義 され る範囲を閉ルー プ戦略 に拡張 し,労使 の間に長期的に安定的な均衡が成 り立 ち うる条件 につい て考察す る。 V 効率均衡解 1 効率均衡解 効率均衡解 は,両 プ レイヤーが記憶戦略の 1つである次のよ うな トリガー戦 略をとることによって もた らされ る。両 プ レイヤーは過去 の出来事 について記 憶 してお り,それに基づ いて次のような戦略 ¢デを とるC 3 5 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム a.(β)" ( 過去 に効率均衡経路か らの逸脱がなか ったとき) ¢f(i)- 1 1 ) 比f ( A) ( 過去 に効率均衡経路か らの逸脱があったとき) i-1 ,2 ただ し, tは時刻であり, uf( A)は点 A の uL 座標,すなわち,点 A に対応 する第 iプレイヤーの戦略を表す ものとする。 次式 は,戦略 ¢ l( t)が均衡解 を維持する戦略 となる条件を衰 している。 u.(β)=≧ ul ( A) i -1 ,2 1 2 ) 1 2 )式が満たされるな らば, どの時点 t≧0において も, uL H か らの逸脱 は第 iプ レイヤーにとって利益 にならないか らである17)0 本稿のモデルにおいて,Sが 1 / 2程度かそれより小 の とき,状況 は Haur i e / Pohj ol a( 1 9 8 7 )で考察 されているものと同 じである。 βが十分 に小であれば, 非協力解 として内点解 A,βが存在す る。 さらに βが 1/2程度で あれば, 罪 協力解の中で両 プ レイヤーにとって最 も厚生水準の高 い点 A を脅 し点 と して, 効率均衡解が達成 される。 これを第 2図を用いて説明 しよう。 Sの値 に関 りな く太線 PNCは資本家 の 最適反応曲線である。 S ≦ 言のとき,Q RCは組合の最適反応曲線であり,契約 曲線 は PQである。 このとき,1 2 )式を満たす非協力均衡解 Aが存在するので, l l )式の戦略の組み合わせ ( ¢f( i),¢g( i))は,均衡解 となっている。 1 2 )式か ら明 らかなように, (¢f(i),¢官 ( i )) が均衡解 とな るか否か は, 2 )を満 た さなければ, 点 Aの代わ βの値に依存す る。 しか し, βが不等式 1 りに点 B,あるいは Cを考えることによって,効率均衡解が達成 されるような βの範囲を十分に広いものにすることができる。 次に,労働組合が賃金を重視す る場合,つまり効用関数において S>言であ 月' Cが組合の最適反応 曲線 であ り, る場合を考察 しよう。第 2図の曲線 Q' 契約曲線 は PQ' ,非協力均衡解 は唯一 Cのみである。 トリガー戦略対 は脅 し 点 として Cだけ しかとることができないので,次のようになる。 a.(β)‥ ( 過去 に効率均衡経路か らの逸脱がなか ったと考) ¢f(i)- 1 3 ) uL(C) (過去 に効率均衡経路か らの逸脱があったとき) i-1 ,2 3 6 一橋研究 第21 巻第 1号 第 3図は,第 2図か らS>言の場合のみを取 り出 した ものである. この図 は 資本家 と組合の反応曲線が 1ヶ所だけで共有点 を もち, 非協力解 が唯一 Cで ある場合を示 している。\ この場合 には効率均衡を達成す るための脅 し点として, 唯一の非協力解 Cにおける効用だけを考察すればよい。 この Cは両 プレイヤー にとって このゲームの ミニマックス点であるか ら,UL(ul ,u2 ) ≧ Ul ( C)(i1 ,2 )を満たす (uI ,u2 )の全体を,本稿では 「 合理的な領域」 と呼ぶ18)。 第 3図 非協力解が唯一 ( C)であるとき uZ O uI (βu ) N 1 組合の合理的な領域の境界線の条件 は,Ul( ul ,u2 )- Ul( C)であり,具体 的には次のように表 される。 sl n( uI )/ p+( 1-S)〟 ( 1- u l ) u 2 / p2 -0 1 4 ) 第 3図の曲線 E R上およびその右上側の斜線部分 は,組合の合理的領域 を示 している. このような曲線 E Rの位置 と形状 は 入,Sの値に依存す る. 他方,資本家の合理的領域 は 72- ((ul ,u2 ): 0≦ ul≦1 ,0≦ u2≦ 1)で あ るか ら,組合の合理的領域を考えるだけで必要十分である。 Rと曲線 PQとの交点を S(βU)とすると, βUは組合 の合理性が満 曲線 E たされる最小の交渉力を表 している。以上の議論を,次の命題 にまとめること ができるob)は付論 において証明されているO 3 7 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム 命題 2 S>言のとき,次のことが成 り立っ。 a) 労働組合の相対的交渉力 βが β≧ βUであれば,点 S( β)において効率均 <β 。で あれ 衡が達成 される。 しか し,労働組合の相対的交渉力が弱 く, β ば,契約曲線上の効率均衡 は達成 されない。 b) βUは Sの狭義単調増加関数である。 命題 2は次のことを意味 している。労働組合が雇用重視であればあるほど, より広い相対的交渉力の範囲で効率均衡が達成 され,逆に組合が賃金重視であ るな ら,組合が強い交渉力を もつ場合 に しか効率的均衡が達成 されな くなる。 2 交渉力 βの内生化 前節 までは,先行研究 に したが って相対的交渉力 βは所与の外生変数である と考えて議論を進めて来た。だが, この仮定には以下の理由により変更が加え 1節)での β< βUの場合 には, 資本 られるべきである。それは,前節 ( 第 V. 家側が自己の交渉力を弱めることによって,具体的には相対的交渉力を効率均 衡解を達成できる水準 β -βUにまで低下 させ ることによって, よ り高 い効用 を得 ることができるという理由である。 いいかえると,資本家は βを内生化 さ せることによって相対交渉力 βUの もとでの効用を確保することができるO このことを,第Ⅳ節の ( 8 )式を用いた次のような 2段階のゲームを定式化 し て示そ う。ゲームの第 1段階は,次のようになる。 まず,両 プレイヤーが保有 する交渉資源の賦存童を所与の値 7 7, 0とす る.次に, 符 ≦五 g ≦官 という 条件の もとで,現実の相対的交渉力を自由に選択できるとする。か くして,相 対的交渉力 β は β- 1 ?/(7 7 +0)と して決まる。第 2段階では, このβの もと で,両 プ レイヤーは前節 までに定式化 した微分ゲームを行 うものとす るO この 2段階ゲームの下では,相対的交渉力が 行 :0であるときに効率均衡解 が実現 されるな らば,Ⅴ. 1節で議論 した結論 は変わ らない。 だが,Ⅴ. 1節 の 条件の下で,相対的交渉力がす: 官であるときに,効率均衡解が実現 されない ならば,資本家 は交渉力を抑制 して, 7 7: 0-βU. A1-βUとなる 0 ( くす) を実行す るであろう。 したが って, このように新たに導入 された 2段階ゲームによって交渉力を内 3 8 一橋研究 第2 1 巻第 1 号 生化 して考えることは, 自然であ り,またモデルの説明力を強化すると考え ら れる19)0 Vl おわ リに 以上では,分配 と蓄積をめ ぐるいわゆる資本主義のゲーム ( La n c as t e r )にお ける動学的均衡解 について考察をお こなってきた。そ して,労働組合の目的関 r u r i e / Po h j o l a( 1 9 8 7 )のモデルを 数のパ ラメタ Sを導入することによって,Ha 一般化 した.労働組合の瞬間的効用 は Ul( ws Ll S ),( 0< S<1 )という形 を も ち,S<1 / 2な らば賃金 よりも雇用を重視 し,S>1 / 2な らば雇用 よ りも賃金 を重視す るというタイプの効用関数を導入 した。 Ⅴ.1節で明 らかに したように, Sが小 さく組合が雇用重視であれば効率均衡 が達成 されやすいのに対 して,賃金重視でありSが大 きいときには効率均衡 は 達成 されがた くなる.Sが比較的大 きいとき,組合の相対的交渉力 βが十分 に 大 きければ,効率均衡が達成 されるが,そ うでなければ効率均衡が達成されず, 点 Cという双方にとってより望 ましくない事態が達成 され る。 このよ うに, 効率均衡解の存在が賃金重視の度合 Sに鋭敏に反応することが示 された。 以上か ら,Po h j o l aたちの示 した効率均衡解の存在 は,組合の雇用重視 の度 合に依存 していることが明 らかである。 S という組合内部の政治 的意思決定 の 態度が資本主義ゲームの均衡点を大 きくシフ トさせる要因 となるのである。 も ちろん, このことは S-1または0という極端な場合 についての直感か ら, そ れほど意外な結論 とはいえないか もしれない。 しか し,本稿では相対的交渉力 との関連 において効率均衡解の存在条件 について考察を行 うことにより,次の ようにさらに厳密で示唆に富んだ結論を得 ることができた。 h j ol aは昂揚の時間割引率 pが小でなければな らないことには注 第 1に,Po 意を与えているが,本稿では,第 2図等で示 されたようにpとS,相対 的交渉 力 βと均衡解の存在条件を明 らかにすることができた20)。第 2に,以上のパ ラ メタ Sについての分析か ら,将来を込めた意味で社会的な効率性の観点か らは, 労働組合が賃金 より雇用重視であることが望 ま しいという規範的な含意が得 ら ) 。第 3に,Ⅴ. 2節では,交渉資源の相対 的賦存量 によって は, 交渉力 れた21 β :1-βを内生的に考えるために 2段階ゲームを考えることが意味を もつ場 合のあることが,新 たに明 らかにされた。 労働組合の目的関数と資本主義の微分ゲーム 3 9 最後 に本稿 によって明 らか とな った課題 につ いて述べ る。 第 1に,モデルを次のようにより具体化することである。本稿 のモデルによ れば,分配をめ ぐる労資間の対立 は,集権化 した労資の行動 を通 じて効率均衡 解 と して解決 され る。 この ことか ら, このモデルはマクロ ・コーポラテ ィズム 的状況を表 していると解釈 されるであろう。 だが, これを企業や産業単位のモ デルと見なすな らば, ある種の ミクロ ・コーポラティズムのモデルとも考え ら れる。 その場合 には,労働者がその企業 に持続 して雇用 され ることを望む こと が前提 となるが, この前提 は必ず しも自明で はない。 またいずれの場合 にも, 労働者 は雇用をめ ぐる競争か ら免れ ることになるため,労働者 の規律が どのよ うに確保 され るのか とい う問題が残 る。 さ らに労働者側が完全 には組織化 され ていない,通常多 く見 られるような状況 について も, いっそ うの考察が必要 と なろう22) 。第 2に,効率均衡解それ自体 の正当性の問題があ る。Po h j ol aたち の研究 は無限地平の動学的ゲームにおいて実現 される広範な非協力解について, Pa r e t o最適な解が実現 され ると して,解 の存在範囲を限定 している。 しか し, そこでは,Pa r e t o最適解がどのように選 ばれ るのか とい うメカニズムは解 明 されていない23)。本稿では事前 の交渉を想定す ることによって, この欠点を免 れている。 しか し,労働組合 および資本家が実際にこのよ うに行動 しているか 否かについては,実証的研究が必要であろう。 付論 命題 2の b)の証明 本文 ( 9 )式)。 第 3式 は組合 の合理 的領 次の最初 の 2式 は交渉曲線 を表す ( 4 )式).以下では u 一日 を簡単 に u Lと記すO 域の境界線 を表す ( 本文 1 -% 了 葦 1-β u2 -a( B,S)-I- i ( 1- B s)( 1-I(B,S)) a, - f(β・ S) 最初 にそれぞれの関数 の導関数 を計算 してお こう。 S f 1 -品 f( β, S) 昔すごす盲平 f 2 -一 浩f (B,S)-昔 百 二告 一言 ア 4 0 第2 1 巻第 1号 一橋研究 -蕃 g(B,S)-昔 g1 1( 1 ( 1 _' PO S/ )だ)Sて 己 g 2 -蓋g(β,S)--号 音 ≡ 瑠 hl - 濃 h( uI ・ S)-一子 T ㌔ -一 uI , S)1 号 h2 浩 h( E f i T T 五戸 ( 1 十 号缶 k 1 て「二 一 評 l nul 2丁 二 五 i壬J ( 忘-1・lnul) 導関数の符号 について検討 してお くと,0< β< 1 ,0< ,0<uI < S<7 (P/L L )・ S/(1-S)≦1であるか ら, fJ >0 ,f2 >0 ,gl >0,g2 <0 ,hl <0 ,h2 >0 である。 とu2 を消去す ると,次の方程式が得 られるO この方程式 を満 た 1 )式か らul す βを βUとしるす。 β Uは組合の効用関数のパ ラメタ S に対 して組合 の合理 性を満たす交渉点が存在す るような,相対的交渉力 βの上限を表 しているo hU (β, S), S)-g(β, S ) 3) 3 )の両辺を全微分 して,導関数 dβU /d sを求めると次式のようにな り, 4A u= d s f2 hl +j t 2 -g2 g1 -fl hl 分母 は正であるが,分子の符号 は直ちには確定 しないOそこで f 2 hl +h2 >0 であることを計算 によって示す。繁雑をさけて, しば らくβ Uを βと略記する。 f2 hl +h2 1 号 て i 缶 1 て「二一 石戸 ( 忘 -1.l nul )) 卜缶 一㌔ l n u l ⊥ 旦 _ 旦 _ 」 2llu l 之 L _」 ⊥ 1 F ( 1-s) -一昔 i一㌔ 1 千二五 ( 号 す缶 it l( 忘 -1.l nuI ) ・i 一 ㌔ l nu l ) 5 ) ()内を計算する。1 )の第 1式を代入 し,対数関数 に関す る不等式を用いる。 昔 撫 T t l ( 忘 ll・l nul )+7㌔ I nul 労働組合の目的関数 と資本主義の微分ゲーム 41 _ 1 一 望忘 了 三郎 ・i+S ) l n uL -F G T・(子 <i 五 十(i 一 望忘 ‡ 寺 +了玉 )( u I -1 ) )<0 -- ( ト al ) (1_S B( s l ) -( fL s 5 )および 6)式から, h 2 >0 f2 hz + 7 ),4 )式 よ り次 の不等式 を得 る。 # >o 1) Pohj ol a( 1 9 8 3 ,1 9 8 4 ),サーヴェイとしては Pohj ol a( 1 9 8 5 ,1 9 8 7 )がある。 また最近の関連研究としては Fut agami( 1 9 8 9 )がある。 2) pe kkar i ne n/ Pohj ol a/ Rowt hor n( 1 9 9 2 ), Rowt horn( 1 9 9 2 ) 3) 制度を,ある歴史的時期における ( 暗黙の)合意の成立 およびその後 の順守 によって説明 している,と解釈 されるものとしては,アメ リカの社会的蓄積構 t hec api t al l aborac c or d)」 造 派 の 「資本 と労働 の 暗 黙 の社 会 契 約 ( ( Bowl e s / Edwar ds ,1 9 8 5 )をあげることができる。 4) Os wal d( 1 9 8 2 ,1 9 8 5 ),Pe nc av e l( 1 9 8 4 ),Cl ar k/Os wal d( 1 9 9 3 ),大橋 ( 1 9 9 3 )0 5) ただ し,このような効用関数には。ミクロ理論的な基礎づ けが欠 けていると いう欠点がある ( 大橋 1 9 9 3 )。また,Pe nc av e l( 1 9 8 4 ) は St one Ge ar y型 の 効用関数の偏代替弾力性についての仮定を実証結果 にもとづいて批判 してい る。 6) 実際後で示すように,本稿のモデルでは Sを小さくす ることは, 時間選好率 βを大 きくすることとほぼ等 しい効果をもつ。 7) 定常解が存在するためには,効用関数 U( X)の リスク回避度はX に反比例 していなければな らない。 8) pを共通 としないと, 定常的な協力解が存在 しえな くなる0 9) W と uJとの関係は関係式 W- γKuJ /F L K- (γ/L L) a ,で示 される。 1 0 ) これ らの用語 について は Me hl mann( 1 9 8 8 ),Haur i e/Pohj ol a( 1 9 8 7 ), 石垣 ( 1 9 9 4)等を参照 されたい。 l l ) Haur i e / Pohj ol a( 1 9 8 7 )。 1 2 ) 具体的には, L tの値 は,次の計算によって与えられる。;- (1-2人JR) (1人)/( 4人2 +1 ),ただ し入-P/L L 1 3 ) これが フォーク定理であ り,詳 しくは Fr i e dman( 1 9 8 6 ), Fude nbe r g/ 4 2 一橋研究 第2 1 巻第 1号 Ti r ol e( 1 9 9 1 )の Chapt e r5などを参照されたい。 1 4 ) 注2 )を参照 されたい。 1 5 )I V.1節で扱 った微分ゲームに Nas h交渉ゲームを適用することについては, すでに Haur i e( 1 9 7 6 )おいて否定的な検討がなされている。 1 6 ) ♂. W. Fr i e dman( 1 9 8 6 ),p, 1 2 6. hl man( 1 9 8 8 )を参照 されたい。 1 7 ) 厳密な議論 は Me 1 8 ) 正確に言えば,第 iプレイヤーの個人合理的な ( i ndi v i dua ll yr at i onal )領 域である。 1 9 ) 著者は本稿の準備稿において,分配率に制約条件を課 したときについても考 察を加えたが,ここでは省略 した。 2 0 ) 松島 ( 1 9 9 4 )紘,ダイナ ミックゲームにおける時間選率 ( 割引率)の意味につ いて, 時間選好率が大 きく協調関係が容易には達成されない場合 について も考 察することが,経済学的には重要であることを指摘 している ( 同書,p. 6 0 )0 2 1 ) 本稿 の研究 と直接の継承関係 を もっ ものではないが,関連研 究 と して , Rowt hor n( 1 9 9 2 )による Cal mf or S / Dr i f r i l l( 1 9 8 8 )のモデルの拡張 をあげ ることができる。Cal mf or sと Dr i r f i l lのモデルは,基本的には複数の組合を 主要なプレイヤーとし,組合間の敵対関係ゲームと見なせる。このモデルでは, 組合は企業の行動パターンについての知識を持 っているのに対 し, 企業 は組合 の行動 パ ター ンの情 報 を もたず ,St ac ke l be r g追 随者 と して振 る舞 うQ Rowt hor n( 1 9 9 2 )はさらに非組合員に対する利他主義の要素を持 ち込み,刺 他主義的要因の重要性を指摘 した。 2 2 ) コーポラティズムの最近の経済学的研究 としては,Pe kkar i ne n/Pohj ol a/ n( 1 9 9 2 )があ り,労働努力 の抽 出の問題 につ いて は, た とえ ば Rowt hor Bowl e s / Boye r( 1 9 9 0 )がある。 2 3 ) 交渉それ 自体 を明示的に扱 ったモデル と して は, た とえ ば Rubi ns t e i n ( 1 9 8 2 )の交渉ゲームがある。 参考文献 Bowl e s , S.andEdwar ds, R.( 1 9 8 5 ),Unde r s t andi ng Ca pi t al i s m:CoT nPe t i t i on, Command,andChangei nt heU. 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