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『高齢者のための漢方治療』 ~尿路不定愁訴

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『高齢者のための漢方治療』 ~尿路不定愁訴
平成18年(2006)7月13日
「日常診療に役立つ漢方講座」
第154回 筑豊漢方研究会
『高齢者のための漢方治療』
~尿路不定愁訴、痛み、ほてり感、不眠など~
飯塚病院 東洋医学センター
漢方診療科 三潴 忠道
1
八味地黄丸の投与基準
P19
(厚生省長寿科学総合研究事業
A 項目
B 項目
1排尿異常
(多尿・頻尿・尿利減少・夜間頻尿)
2下半身優位の冷えまたは足底の煩熱
3腰下肢の疲労脱力・しびれ・疼痛
4少腹不仁または少腹拘急
C 除外項目
胃腸症状をきたしやすいもの
D 判定基準
1995 年度報告書より)
1口渇または口乾
2下肢の浮腫
3精力減退
4視力障害
(白内障・眼精疲労
・目のかすみなど)
5慢性呼吸器症状
6聴覚障害 (難聴・耳鳴りなど)
A 項目が2つ以上
または A 項目1つで
B 項目が2つ以上
八味地黄丸証では、下半身の症状が多い。排尿異常があり、下半身が冷える。寒がり
なのに足の裏はほてるので、布団から足の裏を出さないと眠れない。腰以下のしびれ
や痛み、下腹部の知覚鈍麻や腹力の低下がある。その他、口の乾き、足のむくみ、精
力減退、かすみ目や、咳痰もち、耳が遠いなど、高齢になると出現しやすくなる症状
が多い。脾胃をかばっていないので胃腸症状を来たしやすい人には合わない。
2
腹診(8)
P41
小腹不仁
〔臨床応用〕
八味地黄丸
下腹部の腹壁の緊張が弱い状態を小腹不仁とよび、臍の下については特に臍下不仁と
よぶ。小腹不仁は元々は下腹部の知覚鈍麻のことをいう。これらは腎虚を表す所見で
あり、八味丸を使う際の大事な目標になる。腎虚とは、親からもらった生命力を守る
腎の働きが弱った状態である。
3
少腹不仁
八味地黄丸証の腹。押してみると、上腹部に比べて下腹部のトーヌスが弱いのがわかる。
4
高齢者の諸臓器機能低下に対する
八味地黄丸の効果の検討
脳血管障害後遺症
気管支喘息
末梢神経障害
副腎機能低下
腰痛
腎機能障害
骨粗鬆症
老化(腎虚) のマーカーの検討
AGE (Advanced Glycation End-product)
MDA (Malondialdehyde)
八味地黄丸の有効性については、脳血管障害患者の脳血流量の増加とうつ症状の改善、気
管支喘息患者のピークフロー値の改善、神経伝導速度の改善、高齢者の手足腰の痛み、脱
力、冷え 、しびれの改善、腎機能障害の進展抑制、加齢とともに上昇するマーカー(AGE、
MDA)の減少などの報告がある。
5
八味地黄丸と類方
P20
「腎虚」準太陰 虚・実の間
方 剤
構成生薬
主な使用目標
下半身・膝以下の冷え 尿量異常
乾地黄 薯蕷 山茱萸 沢瀉
夜間尿 腎虚 腰痛 下に乾く白苔
八味地黄丸 茯苓 牡丹皮 桂皮 附子
小腹不仁 心下痞鞕
ハチミジオウガン
ゴシャジンキガン
牛車腎気丸 八味丸+牛膝 車前子
八味丸証にして下肢の浮腫顕著
ロクミジ オウガン
六味地黄丸 八味丸ー桂皮 附子
(=六味丸)八味丸証にして寒がない
*(別名)八味丸 八味腎気丸 腎気丸 丸剤の方が有効との説あり。
糖尿病では大量を用いた方が良い(?) 原典では酒服
八味地黄丸には桂皮、附子という熱薬が入るので、冷えがある人に使う。八味地黄丸証のよう
だが、下肢のむくみがひどく八味地黄丸でよくならない時には、さらに水をさばく力を強くした
牛車腎気丸を使う。八味地黄丸証みたいだが冷えがない時は、桂皮、附子を抜いた六味地
黄丸を使う。子供で腎虚の時によい。
6
高齢者の諸症
胃(腸)
腸
尿路愁訴
痛み
ほてり感
八 味地 黄 丸 証
胃腸障害
八味地黄丸以外の頻用方剤
六君子湯 人参湯 三つの瀉心湯
大建中湯
清心蓮子飲 猪苓湯
神経
芍薬甘草附子湯 苓姜朮甘湯 桂姜棗草黄辛附湯
防已黄耆湯 桂附の剤
桂枝湯類( +黄耆) +附子
掌
蹠
掌蹠
温経湯
八味地黄丸
三物黄芩湯 小柴胡湯 小建中湯 茯苓四逆湯
腰
膝
皮膚瘙 痒
桂枝加黄耆湯 当帰飲子
不 眠
柴胡桂枝乾姜湯 桂枝加竜骨牡蠣湯 酸棗仁湯
感 冒
太陽病 直中の少陰 : 麻黄附子細辛湯 真武湯
少陽病 :補中益気湯 柴胡剤
八味地黄丸証のようにみえても胃腸障害があると使いづらい。また不眠や感冒には経験的に
使わない。高齢者の尿路愁訴、痛み、ほてり、痒みにはファーストチョイスとして考えてよい。
7
高齢者の
胃腸障害
八味地黄丸は用いにくい
胃(腸)
腸
六君子湯 人参湯 三つの瀉心湯
大建中湯
八味地黄丸は補腎薬 中焦(脾胃≒胃腸機能)は護らない
胃に障るとき
1. 酒服
2. 人参湯と合方
他. 清心蓮子飲を考慮
高齢者の胃腸障害に対しては、胃を中心として虚弱な場合は六君子湯、人参湯、三つの瀉
心湯、腸を中心として虚弱な場合は、冷えがあれば大建中湯を使う。
8
P23
構成生薬からみた補気剤の鑑別
半夏 陳皮
茯苓 白朮 人参
甘草
乾姜 附子
六君子湯
人参湯
四逆湯
水毒を去る
脾を補い気を益す
甘草 が多 い
四君子湯
中を温め
寒を去る
六君子湯と人参湯を比べると、同じ胃弱でも人参湯には乾姜という熱薬が入るのではっきり冷
えがあり、心窩部に冷えを感じることがしばしばある。冷えがない人に使うと口がヒリヒリしたり
胃が焼けたりし、また甘草が多いのでむくみやすい。切れ味はいいが使い方が少し難しい。
その点、六君子湯は熱薬がなく甘草も少ないので失敗は少ないが、冷えがあって下痢まです
るような時には効かない。不定愁訴的であまり特徴がないような時に使う。
9
三つの瀉心湯
共通の症候
1) 嘔気あるいは嘔吐
2) 心下痞(鞕)
方剤構成
半夏 黄芩
半夏瀉心湯 半升 三両
生姜瀉心湯 半升 三両
甘草瀉心湯 半升 三両
P13
3) 腹鳴 (腹中雷鳴)
4) 腹痛・下痢 (裏急後重を伴わない)
乾姜
三両
一両
三両
人参
三両
三両
三両
甘草
三両
三両
四両
黄連 大棗 生姜
一両 十二枚
一両 十二枚 四両
一両 十二枚
鑑別と使用目標
特 徴
虚実
方 剤
応用・ エ キス 剤
虚実間 半夏瀉心湯 嘔吐
生姜瀉心湯 ゲップ 胸やけ 生姜を煮た湯で半夏瀉心湯を溶かす
虚 甘草瀉心湯 下痢 急迫症状 甘草湯と半夏瀉心湯をまぜる
精神神経症状
お腹がゴロゴロいって胃腸の調子が悪いもの、他覚的には心下痞(鞕)があるものに使う。高
齢者に使うことはあまりないが、感冒性下痢の時には使える。甘草瀉心湯は、下痢が中心で
胃の症状があまりなければ、1日1,2回の下痢でも効くことが多い。
10
高齢者の
胃腸障害
八味地黄丸は用いにくい
胃(腸)
腸
六君子湯 人参湯 三つの瀉心湯
大建中湯
八味地黄丸は補腎薬 中焦(脾胃≒胃腸機能)は護らない
胃に障るとき
1. 酒服
2. 人参湯と合方
他. 清心蓮子飲を考慮
腸の方では大建中湯がよく使われる。蜀椒、乾姜という熱薬でお腹を温める。臍を中心に冷
えていて、よく下痢する人によい。八味地黄丸を使いたいが胃腸障害があるという時は先に
胃腸を丈夫にすればよいが、同時に使う時は酒で飲ませるとよい。元々原典には酒服となっ
ており、この方が副作用も少なくてよく効く。脾胃を補いながらいくなら、人参湯を合方する。
代わりに清心蓮子飲を使うという人もいるが、証が少し違うのでそのままは使えない。
11
高齢者の
尿路(不定)愁訴
八味地黄丸が頻用される
八味地黄丸以外の方剤
清心蓮子飲
脾胃虚 神経性頻尿・尿意切迫
猪苓湯 “下焦の熱”
小腹(下腹)の熱感
排尿時痛・尿路の熱感・血尿
膀胱炎(様症状)・尿路結石
×
尿路系の愁訴には八味地黄丸が頻用されるが、これ以外に清心蓮子飲を使うこともある。少
し脾胃が弱って潤いがなく、神経性の頻尿がみられる。尿意が切迫し、ひどい時はトイレが間
に合わない。神経質で精神的にも不安定なタイプ。不眠に効くこともある。下焦に熱がある時
は、八味地黄丸は逆に熱を与えるのでよくない。こういう時は猪苓湯を使う。血が熱をもってい
るので、排尿時の焼けるような痛みや血尿がみられる。膀胱炎様症状、尿路結石によく使う。
寝たきりの高齢者で尿路感染を繰り返す時はファーストチョイス。下腹部が冷たい時は使わな
い。
12
高齢者の
痛み
八味地黄丸が頻用される
(オマケ 五積散)
2345
腰
芍薬甘草附子(大黄)湯
苓姜朮甘湯
桂姜棗草黄辛附湯
腎兪
八味地黄丸以外の方剤
例外:(左)肩関節痛
志室
ウェスト(臍高)以下の痛み
L
● ●
S
防已黄耆湯
桂麻(附)の剤
神経 桂枝湯類(+黄耆)+附子
膝
高齢者の腰から下の痛みには、八味地黄丸が頻用される。腰痛は、腎愈、志室のあるウエス
トラインの高さ。経験的に肩関節痛、肩こりにも効くが、左の方が効くことが多い。八味地黄丸
以外の方剤として、坐骨神経痛(特に急性期)で、コリコリした太い策状のものが触れるような
時は芍薬甘草湯をベースにして、温めて良くなるなら附子を、便秘があれば大黄を加える。
腹直筋緊張がはっきりしなくても使える。ウエストラインより少し下の仙骨付近を中心に重い、
冷えて痛い、腰や腿が冷えるという時は苓姜朮甘湯を使う。
13
腹診(3)-3
心下堅
大如盤
辺如旋杯
×
中脘
〔臨床応用〕
桂姜棗草黄辛附湯
枳朮湯
中脘 穴を中心に硬い円板状のしこりが触れる時は、桂姜棗草黄辛附湯を使う。エキス剤は桂
枝湯+麻黄附子細辛湯で代用可。陰陽の気がばらばらになった状態(気分)を転換する大気
一転の方といわれ、ストレスや悩み事からくる腰痛に応用できる。芍薬甘草湯のようなピンとし
たつりではないが、あちこちが少しつって痛い時は五積散がいいことがある。
14
膝関節痛に対する私の頻用処方
方
剤
六病位 虚実
使用目標・応用
防已黄耆湯
太陰
虚
関節液潴留 寒・暑とも弱い 自汗
下肢浮腫鈍重 水肥り 蝦蟇腹 尿不利
桂枝芍 薬知 母湯
太陰
間
関節変型 腹直筋攣急 身体枯燥
間
下半身・膝以下の冷え 小腹不仁
心下痞鞕 尿利異常 夜間尿 腎虚
八 味 地 黄 丸 準太陰
桂枝茯苓丸
少陽
実
瘀 血 細絡 左膝優位
治打撲一方
少陽
実
打撲・外傷後疼痛 長距離歩行後など
*基本的には関節リウマチに準じた処方運用。 上記処方の類方も鑑別して用いる。
夏のうちからクーラーや冷たいもので冷して体の中に寒が発生していると、秋口から腰や膝が
痛み出す。ひねって痛んだ場合も、痛みの出る準備状態にあったと考える。冷えからくる痛み
は右に多い。膝痛で水腫があれば防已黄耆湯。変形が強く熱がこもり皮膚の枯燥、腹直筋緊
張などあれば桂枝芍薬知母湯。瘀 血から来るような痛みは左に出やすく、膝に細絡がたくさ
んあるような時は桂枝茯苓丸。関節水腫があればいずれも防已黄耆湯を合方する。使いすぎ
で痛んだ時は治打撲一方が効く。
15
関節リウマチに用 いられる主な方剤と
高齢者 神経痛への応用
処
方
越 婢 加 朮 湯
麻
葛
黄
根
湯
湯
桂枝二 越婢 一湯
桂枝芍 薬知母湯
桂枝(加黄耆)湯
甘 草 附 子 湯
烏 頭 桂 枝 湯
烏
頭
湯
使 用 目 標
強い炎症(発赤・腫脹) 口渇 自汗 実証
無汗 実証
無汗 実証 項背強ばる
炎症(熱・腫脹) 口渇
腹部やや陥凹 腹直筋攣急 身体枯燥
虚証 自汗
強痛(近之則痛撃) 悪風不欲去衣 自汗
強痛(身疼痛灸刺諸薬不能治) 虚証 自汗
強痛(不眠) 実証 無汗
ex) 桂枝(加黄耆)湯 → 桂枝加附子湯 → 桂枝朮附湯
→桂枝加苓朮附湯(桂枝湯+真武湯) → 桂枝加苓朮附湯 合 防已黄耆湯
神経痛には桂枝、黄耆といった表に効く薬を使う。神経も関節も表に属するので、関節リウマ
チに使う処方が神経痛に応用できるが、この中で神経痛に使うのは桂枝湯、桂枝加黄耆湯く
らい。冷えて悪化するなら附子を加える。ビリビリした過敏な痛みには黄耆が必要。
16
附子の使用目標
寒が存在することの確認が重要
1.冷え症状がある:(真)寒に用いる
除外:悪寒・悪風
上衝による上熱下寒
瘀 血による末梢の冷え
2.温まると症状が緩和される(気持ち良い)
冷えると悪化
3.脈:濇 (渋る)
4.『電気温鍼』(小倉)の耐久時間が長い
2nd 10分以上でも気持ちが良い
附子は痛みをとるが、熱薬なので、使用にあたっては寒が存在することが条件となる。寒の存
在は、冷え症状がある、冷えると悪化する、温まると楽になる、などで確認する。
17
高齢者の
八味地黄丸は
ほ てり 感
足底のみホテルことがある
蹠
八味地黄丸以外の方剤
太陰病・虚証の瘀 血+上衝
冷えのぼせ 足冷手掌煩熱 口唇乾燥
三物黄芩湯
小柴胡湯
小建中湯
茯苓四逆湯
少陽病・実証
少陽病正対の方・やや実
太陰病・虚証 虚弱腹力軟弱腹皮攣急
少陰~厥陰病・虚証 虚熱
経
掌
掌蹠
湯
温
八味地黄丸証は、膝から下は冷えるのに足の裏がほてる。手のひらだけほてる時は冷えのぼ
せが多い。虚証で瘀 血もあれば温経湯。手のひらも足の裏もほてる時は、実証では三物黄苓
湯、小柴胡湯、虚証では小建中湯、茯苓四逆湯がある。三物黄苓湯は掌蹠膿疱症に使うこと
がある。小柴胡湯は虚実中間で胸脇苦満、心下痞鞕があり、脈力、腹力もそこそこある。高齢
者ではあまりみられない。小建中湯は脈力、腹力が弱く腹直筋の緊張だけがある。茯苓四逆
湯では、弱っているために手足に熱が逃げてほてる。虚熱なので温めると楽になる。エキスは
眞武湯+人参湯で代用する。
18
桂枝加黄耆湯 を基本とした 方剤 の組 み立 て
1)基本方剤
桂枝加黄耆湯(黄耆建中湯)
2)身体全体に冷えがある → (加) 附子
3)熱候(口渇・舌の赤さ) → 桂枝二越婢一湯(麻黄・石膏)
4)皮膚の炎症が強い → (加) 荊芥・連翹
5)皮膚の乾燥が強い → (合)四物湯*,帰耆建中湯
* 熟地黄により滲出性の悪化を来たしやすい
四物湯は他方剤との合方が多い(例:温清飲) 単独→当帰飲子
老人性掻痒症には八味地黄丸がよく効くが、それ以外の時は、桂枝や黄耆が入った桂枝加
黄耆湯をベースにする。軽い痒みやザラつき程度ならこれで効く。虚弱で表が弱いので汗か
きで寝汗が多い。冷えがあれば附子を加える。乾燥が強ければ四物湯を加えるが、この中の
熟地黄は滋潤作用が強いので、浸出性のものには使わない。四物湯は単独で使うことは少
なく、高齢者で皮膚の乾燥が強くつやがない時は、四物湯を含んだ当帰飲子を使う。
19
柴胡剤と不眠
方剤
脈
舌苔
乾燥
沈
黄
大柴胡湯
実
白黄
ヤヤ沈 乾燥傾向
柴胡加竜骨牡蠣湯
実
白
実
乾燥
弦
(ヤヤ湿潤)
小柴胡湯
白
柴胡桂枝湯
虚
柴胡桂枝乾姜湯
桂枝加竜骨牡蠣湯
酸棗仁湯
P.12
腹候
(腹力) 特徴・応用
4~5
3~4
3
浮弦
弱
ヤヤ乾燥
微白
2~3
ヤヤ浮
弱
湿潤
(微白)
2
強実
便秘
強実~や
強実~やや実
や実
便秘傾向
便秘傾向
精神不安
精神不安
悪夢・易驚
悪夢・易驚
往来寒熱
往来寒熱
口苦・悪心
口苦・悪心
肩背・頚項強
肩背・頚項強
手足煩熱
手足煩熱
小柴胡湯
小柴胡湯+桂枝
+桂枝湯
湯
カゼの
カゼの治り際
治り際
上腹部痛
上腹部痛
てんか
てんかん(加芍薬)
ん(加芍薬)
頭汗・盗汗
頭汗・盗汗
上熱下寒・口
上熱下寒・口唇乾燥
唇乾燥
神経症状・悪
神経症状・悪夢
夢
アレルギ
アレルギ ー性鼻
ー性鼻炎
炎
準太陽病・虚証 「桂枝湯証にして胸腹に動あるもの」
準太陰・虚 「虚労虚煩不得眠酸棗仁湯主之」 疲れすぎ
不眠には柴胡剤、龍骨牡蛎の入った薬、酸棗仁湯などを使う。柴胡剤は胸脇苦満、龍骨牡
蛎は悪夢や精神不安、腹動が目標になる。高齢者の不眠は柴胡桂枝乾姜湯証が最も多い。
柴胡の証は肝が亢進しで目が冴えた状態。実証なら柴胡加龍骨牡蛎湯だが、高齢者には少
ない。虚証で少し冷えもあれば柴胡桂枝乾姜湯、更に虚証で胸脇苦満がなければ、桂枝加
龍骨牡蛎湯。疲れすぎて眠れない時は酸棗仁湯を使う。
20
虚証の柴胡剤とその使い方
方剤
サイコケイシカン
サイコケイシカンキョ
キョ ウトウ
ウトウ
構成生薬
柴胡 桂枝 瓜呂根 黄芩 牡
柴胡桂枝乾姜湯 乾姜 甘草
ホ チ ュ ウエ ッキ ト ウ
補 中 益 気 湯
カミショウヨウサン
加 味 逍 遥 散
黄耆 人参 白朮 当帰 陳皮
大棗 甘草 柴胡 生姜 升麻
当帰 芍薬 白朮 茯苓
柴胡 甘草 牡丹皮 山梔子
生姜 薄荷葉
脈
P.12
舌苔 特徴・応用
ヤヤ浮
ヤヤ沈
弱
頭汗・盗汗
上熱下寒・口唇乾燥
神経症状・悪夢
アレルギー性鼻炎
散大
弱
白苔・濃淡 気虚 倦怠感
内臓下垂 口角の白沫
皮膚軟弱 老人の慢性炎症
ヤヤ弦
弱
柴胡桂枝乾姜湯証-寒
+熱+瘀 血
舌質深紅 舌裏静脈怒張
不定愁訴 逍遥熱 更年期
高齢者は体力がないため、かぜをひくと直中の少陰となり、麻黄附子細辛湯証、真武湯証を
呈することが多いが、太陽病で始まることもある。遷延したかぜには柴胡剤を使うことが多く、
高齢者では虚証の柴胡桂枝乾姜湯、さらに皮膚が枯燥して弱く、全体にト-ヌスの落ちた感じ
の時は補中益気湯にする。
21
本日の結論
「 老人を診たら
八味地黄丸証
と思え!? 」
八味地黄丸証を基準として鑑別
桂枝茯苓丸まで処方できたら シメシメ
22
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