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成人式とその後(男性編)

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成人式とその後(男性編)
古文
動詞1(変格活用以外)
成人式とその後(男性編)
かすが
今回は男性の成人式について紹介しよう。
例文
みやこ
せ
伊勢物語
昔、ある男が、成人式をすませて、奈良の都の、 春日の里に、領有するつてがあって、
正月に行った。
後見人を烏帽子親と呼ぶ。
もとどり
ぼ
し
※鎌
倉 時 代 以 降 は、 冠 で は な く、 烏 帽 子 を つ け た の で、
え
に冠をつけてもらう儀式。大体十二歳から十六歳の
初冠・元服=おかっぱに近い髪型を や め、 髻 (=髪を頭の上に
集めて束ねたもの)を結い上げて後見人の加冠の役
【男子の成人式】
「初冠」は、当時の男子の成人式のことで「元服」とも言われた。
狩りに出かけた。
狩にいにけり。
昔、男 、 初 冠 して 、 奈良の京、春日の里に、しるよしして、
うひかうぶり
い
平 安 時 代 に は、 み な さ ん の 年 ご ろ の 人 は 一 人 前 と み な さ れ て い た。
予習編見本
高1
基礎完成コース
国語
メインシリーズ
LD1051HR1Y2BZ-001
※実際の教材では現代文・古文・漢文がありますが、ここでは古文のみを掲載しております。
【初冠の儀式前】
初冠前の少年は左右を
分けた髪を両耳のところ
で結んでいた。
【初冠の儀式後】
髪を頭上で束ねた髻を
冠の中に入れた。
昔の年齢の数え方は現代とは異なり、
「数え年」で数えた。
◎数え年……新生
児を一歳とする。老若男女いっせいに正月一日に
一つ年を取るとみなす。
くらい
よって、当時の十六歳は現代でいうと、満十四、五歳にあたる。平
さん み
安貴族が成人すると、さっそく朝廷から位を授かることになっていた。
じゅ
位=貴族の階級。
正一
位・従一位・正二位・従二位・正三位・従三位……のよ
うに、三十段階に区分される。
上流貴族の子どもならば、元服と同時に五位を与えられるのが普通
であった。それ以降は、家柄や実力に応じて徐々に昇進していった。
LD1051HR1Y2BZ-002
こ こんちょもんじゅう
古今著問 集
それでは、次の例文を見てみよう。成人の儀式(男になす・加冠)
に ほん
以外に、位についての記述が見られる。
例文
み ぶ
壬生の二品の家にて、 ある人の子を男になすこと侍りけり。
「蔵人(=天皇の側近として宮中の一切をつかさどる役人)」は六位
じ げ
ではあるが、殿上で仕事をする役目であるため、昇殿が許されている。
それ以外の六位以下は「地下」と呼ばれた。
地下=蔵人を除く六位以下の貴族。昇殿を許されていない。
地下の待遇は大夫以上とは雲泥の差であった。加えて、五位と六位
じょうろう
身分の高い貴族= 上 﨟
b 身分の低い貴族=下﨟
いたのである。
止めを食わされる中流以下の貴族とは、はじめから住む世界が違って
だった。元服と同時に五位を授かる上流貴族と、その五位の手前で足
壬生の二位(=藤原家隆)の家で、ある人の子どもを成人にすることがありました。
さっそく 、 この朝臣が、 加冠の役を務めた。
との間の壁は、二流・三流の家柄の者にはなかなか越えられないもの
あそん
隆祐朝臣の子になして、やがて、かの朝臣、加冠はしけり。
隆祐朝臣の養子にして 、
この例文には、
「二品」という言い方や、「朝臣」という呼び方が登
場する。貴族の敬称にはさまざまなものがあり、この階級を知ってお
くと、身分の上下関係がわかる。
といったりもするので、覚えておくとよいだろう。
□大夫
□殿上人
□地下
□初冠
□元服
□位
□朝臣
□上達部
□公卿
昔の儀式や身分に関する語句は、現代の漢字の読み方とは随分異な
る。意味を覚えると同時に、それぞれの読み方をしっかり確認するこ
きょう
卿
=大臣・ 大 納 言・ 中 納 言・ 参 議 お よ び、 三位以上 の 貴 族
の称号
く ぎょう
とが大切だ。
かんだち め
→「上達部」
・
「公 卿 」と呼ばれる
だい ぶ
朝臣
= 五位以上の貴族 につける敬称
→「大夫」と呼ばれる
くろうど
殿上人=四位
・五位で、清涼殿(=天皇が生活する御殿)の殿上
の間に昇ることを許された者
※他の大夫よりも格上とされた。なお、蔵人は六位でも昇殿
を許された。
LD1051HR1Y2BZ-003
古文
動詞1(変格活用以外)
助 動 詞「 ず 」「 む 」 な ど が
その動作がまだ実現し
ていないことを表す形
しか
下につく。
いま
(〈未だ然らず〉の意)
他の用言に続くときや
「たり」が下につくことが
助詞「て」や助動詞「けり」
※「然る」とは〈そうである〉の意。
文をいったん中止する
る。
助動詞が下につくこともあ
多い。
文を言い切るときの形
ときの形
終止形
係り結びの法則によって文
係り結びの法則により、文
末に用いられることもある。
してしまったことを表
末に用いられることもある。
すで
(〈已に然り〉の意)
命令するときの形
強調のニュアンス。
す形
その動作がすでに実現
体言に続くときの形
命令形
已然形
連体形
連用形
未然形
では、活用形の種類を見てみよう。
動詞の性質を理解して読解に役立てよう!
六つの活用形の意味と用法
動詞は、ものごとの動作・作用・存在を表す語で、古文の文章中に
も非常に多く使われる。だからこそ、読解のためには、その性質をき
ちんと知ることが大切なのである。
活用形の意味と使い方
次の例題を解いてみよう。
次の動詞の活用形をア~エの中から選び、記号を○で囲め。
咲くとき
ア未然形
イ終止形
ウ連体形
エ已然形
例題の「咲く」は、
「とき」という体言に続いている。したがって、
正解はウ「連体形」である。
LD1051HR1Y2BZ-004
活用形の種類によって下に続く語が異なるので、それに着目する
ことも活用形を見分けるポイントとなる。
文中で活用するのは、古語も現代語と同じであるが、活用形の種
類が現代語とは少し異なるのできちんと覚えよう。
問一
その 動 作 が す で に 実 現 し て し ま っ た こ と を 表 す 活 用 形 を
何というか。漢字で記せ。
⑴行き通ふ所いできにけり。
問二
次の傍線部の動詞の活用形を漢字で書け。
現代語の活用形には「仮定形」があるが、古語にはなく、代わり
⑵文も読まず。
問二
⑴下に体言の「所」が続いている。
問一
「已」を「巳」と間違えないように気をつけよう。
⑶「蹴よ」と言ひけり。
に「已然形」がある。
活用形の意味と用法
古語の活用形は「未然形」
「連用形」「終止形」「連体形」「已
然形」
「命令形」の六つで、それぞれ下につく語に違いがある。
⑵打消の「ず」に続いている。
⑶命令している。
問一
已然形
問二
⑴連体形
⑵未然形
⑶命令形
LD1051HR1Y2BZ-005
動詞の活用の種類(変格活用以外)
◎動詞とは
・自立語
・活用する
・文の成分では述語となることができる
・終止形がウ段音で終わる(ただし例外もある)
動詞は文中で語形が変わるが、それにはいくつかのパターンがあり、
ても「咲」の部分は変わらない。こういう部分を語幹という。それに
対し、□で囲った「か(A)・き(B)・く・く(C)・け(D)・け」
と変化する部分は活用語尾と呼ばれる。
活用語尾の変化の仕方によって活用の種類がパターン分けできる。
■四段活用
活用語尾がア段・イ段・ウ段・エ段の四段にわたって変化する。例
連用形
く
終止形
く
連体形
け
已然形
け
命令形
のように「咲く」なら か
「 ・き・く・け の
」 カ行の中で語尾が変化す
るので、カ行四段活用と呼ぶ。このパターンの活用をする動詞が最も
未然形
き
その名称が活用の種類である。全部で、九つのパターンがあるのだが、
語幹
か
多い。
基本形
さ
基本形
お
語幹
き
未然形
き
連用形
連体形
命令形
く くる くれ きよ
終止形
形や連体形が現代語とは異なるので、要注意である。
起く
已然形
イ段とウ段の音(上二段)が使われる(カ行なら「き・く」)。終止
■上二段活用
咲く
今回はその中の五種類を取り上げる。
活用の種類
まずは、例題を解いてみよう。
次の動詞の語形の変化にあてはまるひらがな一字を書け。
未然形
連用形
終止形
連体形
已然形
命令形
咲Aず
咲Bて
咲 く 。 咲 C とき 咲 D ども
咲け!
「咲く」という動詞の活用の仕方を見ると、どのように語形変化し
LD1051HR1Y2BZ-006
■下二段活用
基本形
たす
語幹
け
未然形
け
連用形
連体形
已然形
命令形
く くる くれ けよ
終止形
ウ段とエ段の音(下二段)が使われる(カ行なら「く・け」)。
助く
■上一段活用
い
い
ご ろ
ゐ
イ段音だけが使われる(カ行なら「き」)。このパターンに属するの
ひ
は十数語。
「ひいきにみゐる」の語呂合わせで覚えよう。
ゐ
ひき
語幹
き
未然形
終止形
連体形
已然形
命令形
き きる きる きれ きよ
連用形
干る/射る・鋳る・沃る/着る/似る・煮る/見る・試みる/居る・
基本形
(き)
率る・率ゐる・用ゐる
着る
け
語幹
け
未然形
終止形
連体形
已然形
命令形
け ける ける けれ けよ
連用形
■下一段活用 ( 蹴「る 一
」 語しかない)
エ段音だけが使われる。このパターンに属するのは「蹴る」の一語
基本形
(け)
のみ。
蹴る
①動詞の活用の種類は九つに分けられる。
活用の種類
②活用
語尾が何段の音の中で変化するのかによって活用の種類
が分類できる。
す
」
問一
次の動詞について、何行何段活用かを記せ。
う
⑴ 売
「 る 」⑵ 捨
「つ
問二
マ行上一段活用の活用語尾はどちらか。正しい選択肢を選
び、記号を○で囲め。
アみ/み/みる/みる/みれ/みよ
イみ/み/む/むる/むれ/みよ
問二
上一段活用は、イ段音だけが使われる。
問一
⑴活用語尾が ら
「 /り/る/れ の
」 四段にわたっている。
⑵
活用語尾が て
「 /て/つ/つる/つれ/てよ と
」 活用し、
ウ段とエ段のみが使われている。
問一
⑴ラ行四段活用
⑵タ行下二段活用
問二
ア
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活用の種類と見分け方
活用の種類の見分け方には、コツがあるので覚えておくとよい。
上一段活用・下一段活用の動詞の見分け方
四段活用・上二段活用・下二段活用の動詞の見分け方
上一段活用・下一段活用動詞以外の動詞には、打消の助動詞「ず」
(現
代語では「……ない」にあたる)をつけてみる。そのときの活用語尾
が何段の音かによって、活用の種類を見分けることができる。
★上一段活用の動詞は次のような単語である。「ひいきにみゐる」の
して、単語を暗記しよう!
「起く」+「ず」→「起 き ず」
=ア段音なら四段活用
(例 )「咲く」+「ず」→「咲 か ず」
語呂合わせで覚えよう。
これらの単語は限られた数しかないので、まずは第一のステップと
ka
き……着る
い……射る・鋳る・沃る
ひ……干る
=エ段音なら下二段活用
「助く」+「ず」→「助 け ず」
=イ段音なら上二段活用
次の傍線部の動詞の活用の種類を記せ。
年経れども老いず。
打消の「ず」が続いており、「老い」というように活用語尾がイ段
語幹、「ゐ」
はワ行である。よってワ行上一段活用である。上一段活用・
※動詞の中でア行で活用するのは下二段活用の「得」
「心得」の二
「老ゆ」であり、ア行ではなくヤ行の活用である。
音になっている。よって、上二段活用だと分かる。ただし、終止形は
下一段活用の動詞は覚えてしまおう!
覚えてさえいれば、上一段活用動詞だとすぐわかるはず。「率」が
「率ゐる」は何行何段活用か、記せ。
★下一段活用の動詞は「蹴る」の一語のみである。
ゐる…居る・率る・率ゐる・用ゐる
み……見る・試みる
に……似る・煮る
ki
ke
LD1051HR1Y2BZ-008
語だけ。現代語のア行活用動詞は、古語ではハ行やヤ行、ワ行で
活用する言葉であったので、間違えないようにしよう。
エ段音だったら下二段活用
ア段音だったら四段活用 「ず」をつけたときの活用語尾が
イ段音だったら上二段活用
活用の種類と見分け方
①上一段活用・下一段活用の動詞は覚える。
②四段活用・上二段活用・下二段活用の動詞は「ず」をつけて、
活用語尾が、ア段音か、イ段音か、エ段音かによって見分ける。
問
次の傍線部の動詞の活用の種類を記せ。
⑴手のわろき人の、はばからず文書きちらすは……。
⑵少しきの利を受けず。
⑶高館を過ぐ。
⑷ただ水の泡にぞ似たりける。
⑸典薬の助は蹴られたりしを……。
⑴「ず」の前の活用語尾が「はばか ら ず」でア段音である。
⑵「ず」の前の活用語尾が「受 け ず」でエ段音である。
⑶「ず」をつけると「過 ぎ ず」になる。
⑷終止
形は「似る」。語尾が「に/に/にる/にる/にれ/によ」
と活用する。イ段音のみ使われている。
⑸終止形は「蹴る」である。下一段活用はこれしかない。
⑴ラ行四段活用
⑵カ行下二段活用
⑶ガ行上二段活用
⑷ナ行上一段活用
⑸カ行下一段活用
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