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6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター)
6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) 高倉式コンポストQ&A集 コンポストの工程 6.生ごみのコンポスト化 派遣地域 フィジー ・生ごみ投入方法 ・管理方法 ・コンポストの取り出し 質問と回答 Q1 現在2.5ヶ月Green Waste(剪定枝、草類)を中心としたコンポストが2山あるので、これを少し乾燥させ、戻し堆肥としての利 用を考えていますが可能ですか。 A1 十分利用できます。 Q2 Q1を行う場合、戻し堆肥 : GreenWaste : MarketWaste(市場の生ごみ)=1 : 0.5 : 0.5で混ぜていいでしょうか。 A2 それでよいでしょう。 Q3 剪定枝の処理について「枝そのもの」が出てきます。作業員がコンポストには混ぜずに別途保管していたものですが、粉砕して コンポストに 混ぜた方がよいでしょうか? 私見では、既に空隙も十分含んでいて乾燥気味な戻し堆肥があるため、木片やおがくずは必要なく、混ぜるとコンポスト化期間 が長くなるだけなので燃やしてしまった方が良いのではないかと思っています。 A3 太い剪定枝の処理方法についてですが堆肥化を長引かせてしまいます。恐らく細かくしてもやはり1年近く掛かってしまうと考 えられます。 Q4 コンポスト時の底面の構造はどのようなものが良いですか。現状は砂利敷きのためブルーシートを敷いています。 A4 現在、コンポストの下にブルーシートを敷かれいますが、雨水の浸入防止でしょうか。もし、雨水が入らないようであれば、こ のシートを除いた方が良いと思います。 ビニールがあるとどうしても底面が水分過多になり、嫌気状態になりやすいからです。大量のカビの発生の原因にもなります。 シートを除くことで、底面の余分な水分が地中へと逃げ、また地中に住む有効菌類がコンポスト中にまざってより分解を助ける 効果が期待できます。 Q5 生ごみを破砕する適当なシュレッダーがないでしょうか。 剪定枝等のウッド・チッパーやキャッサバの皮などを入れるとすぐに詰まってしまい役に立ちません。 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) A5 シュレッダーはメンテナンスや修理が必要な機械なので、現地での調達が一番です。 現状のシュレッダーでも対応できそうな方法が一つあります。 それはタカクラ・ススン方式で前発酵を実施し、初期の急激な発酵と乾燥をおこな うものです。 シュレッダーの詰まりの原因は水分であり、乾燥できると使える確率が高まります。 欠点は容器代が必要なこととひと手間余計にかかることです。 手順 1.生ごみと種菌を1:1で混合する。 2.容器にいれ積み上げる。 3.1∼2日放置する。水分が少なくなっていることを確認してください。 4.シュレッダーにかける。 5.粉砕物を積み上げ発酵を継続する。このとき水分が少ないので水を加える。 1 2. 3 4. 派遣地域 フィジー 質問と回答 Q6 堆肥の山を広げ気味にして放熱させ、わざと温度を下げているのですが、こういう「無理やり温度を下げる」やり方で適切で しょうか? A6 必要な場合は、このようなやり方をします。 コンポストもやはり80℃以上になると、堆肥が「焦げた」状態になり、堆肥の品質が落ちたり、分解力が弱くなることがよくあ ります。それを防ぐために80℃を超えそうな場合はコンポストの山を薄く広げて温度を下げてください。 派遣地域 マレーシア 質問と回答 コンポストセンターで種菌を作成しています。 Q7 種菌に初日に生ごみを入れたところ、どうやらその生ごみにハエが卵を産み付けていたようで、翌朝見たら、夥しい数の蛆がわ いていました。 コンポストをかき混ぜて空気を入れ、熱が上がれば死滅するだろうと思っていましたが、2日後も、コンポストは高温なのにも 関わらず、蛆の数は減るどころか増えてしまいました。 新鮮な生ごみを入れるよう、朝・昼・晩の食後すぐに残飯はコンポストに入れ、 ゴミ箱にもフタをしているにも関わらず、大 抵生ごみを入れた翌日にはどこからともなく蛆やコバエが湧いてしまいます。 何か対処法などありますか? 今のところ、コンポストの傍にハエ取り紙を置いていますが、すぐにコバエでいっぱいになるので、更にコバエに有効だという 蚊取り線香を焚こうかと考え中ですが、それについては問題ないでしょうか。 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) また、破砕機にかければ殆ど死滅するのですが、破砕機にかけるまでの間にビニール袋に入れて蒸し焼きにするのか、気にしな いようにして一緒に破砕機にかけてしまうのか、(その場合、アンモニア臭がしてきます)どちらの方がコンポストの質的には よろしいでしょうか。 A7 虫についてですが、これは結構難しい問題で、一番良いのは害虫の侵入を防止することです。 一度湧いてしまうと、結構しぶとく生き延びます。高温でもなかなか死にません。 今回のように、虫がわいてしまった場合には以下の方法を試していただければと思います。 ①ビニール袋(あれば黒色)に種菌を入れ、日光にさらして熱をかける。②カラカラに乾燥させる。その後、粉砕機にかける (アンモニア臭は防げるかと思います)③密閉できるビニール等に入れて、蚊取り線香を中で焚く。 ※①の場合、あまりに高温になってしまうと種菌もダメージを受けてしまうので、この処理をした後は、発酵液の添加をしてい ただければと思います。③もあまりきつく焚いてしまうと、同様にダメージを受けますので発酵菌の補充をしてください。 なかなか虫の害は難しいです。どこからともなく入ってしまいます。 私がネパールでやった際も、うじが大量に発生しました。 さすがに、うじ付きで家庭に配るわけには行かなかったので、種菌を乾かしながらうじを全てハエに羽化させてから配っていま した。 種菌は乾いてしまうと、虫が寄ってこなくなりました(私の経験則の範囲内では。) Q8 コンポストの上に新聞紙をかぶせて、カバーの代わりにしているのですが、その新聞紙がすぐに蒸気で濡れてしまいます。 常に新しい新聞紙に替えた方がよろしいですか。 今までは、大量にコンポストを作っていなかったため、濡れたら取り換えていたのですが、今回は量も多く、全てを毎日変えて いたら、新聞紙があっという間になくなってしまいました。 A8 新聞紙につきましては、交換しなくても大丈夫です。 新聞紙は、害虫の進入防止と保温・保湿の目的ですので、水分を吸い取る必要はありません。 特に種菌の水分が過剰でない限りは、新聞で吸い取った水分は置いたままで結構です。 逆に、新聞を取り替えることによって、新聞表面に付着した菌類を捨てることにもなりかねません(勿体ない!)。 水分を吸いすぎてボロボロになったら取り替える程度で結構かと思います。 Q9 Seed compostは容器に入れて積み重ねるより、山積みにしたほうが乾きが早いですか? A9 カゴの入手が困難等でバスケットによる積み上げが困難なときは、記載されているように山形に積み上げる方法があります。 このときは水分の蒸発と内部への空気の供給がスムーズに行なえるように、撹拌すると効果的です。 Q10 生ごみと種菌を混ぜる比率は1:1とありますが、1:2にしてもよいですか。 A10 状況に応じて調節してください。 種菌の割合が多くなる分については問題は生じません。 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) Q11 生ごみとSeed compostを混ぜてしばらく置き、その後破砕機に投入したコンポストに水を足して、水分量を再び40∼60%にして います。その後は水分を足さずに混ぜるだけですが、水分は調整したほうが良いですか? A11 既にご存知のことですが、下記点には注意してください。 水分が少ないと発酵は緩慢になる。 水分が多いと腐敗しやすくなる。 現場の状況に応じて、バスケットの積み上げ方式導入の可否をご検討ください。 Q12 コンポストの使用を我慢すると炭素分の分解と栄養成分の濃縮がなされるということですが、より栄養価の高い堆肥にするには 何ラウンドもさせた方が良いと理解していますが、例えば種菌として再度生ごみを投入せずとも、置いておくだけでも濃縮はな されるのでしょうか。 A12 はい。水分調整で置いておくだけでC/Nは下がってきます。 しかし、微生物量はあまり増えずに、存在する微生物の呼吸等の代謝利用されていると考えてください。 それよりも、C/N10∼20程度の生ごみを投入し、N分が補給されると微生物は自らのたんぱく質を作りつつ増殖することができま す。 派遣地域 マレーシア 質問と回答 Q13 堆肥をふるいにかけたほうが良いのはなぜですか? A13 生ごみが固まりになっていると、中心部分が堆肥化されていない可能性があります。ふるいにかけると堆肥が均質化し、また見 た目も良くなります。ふるいを通った堆肥は製品化し、ふるいの上に残った部分は再度戻して堆肥化すると良いでしょう。 派遣地域 マレーシア 質問と回答 Q14 生ごみを発酵菌と混ぜて容器に入れて積み上げる(SUSUN Method)は、容器の内側にカーペットかダンボールを貼ったほうが良 いのですか? A14 貼る必要はありません。内貼りをしなくても、熱が上がりますので虫の発生は抑えられます。ただ、積み上げた後に布等で周囲 を包むことができれば防虫の面ではより効果的です。 Q15 Q14につづき、容器を積み上げて2日間発酵させますが、その間は混ぜなくても良いのですか? A15 混ぜなくてもいいです。表面から30cm程度は自然に通気するため嫌気状態にはなりません。また2日後、容器から出したコ ンポストを山状に積みますが、その後は一日1回かき混ぜる必要があります。 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) 派遣地域 セントビンセント 質問と回答 Q16 コンポストのカバーにアグリシートというものがあるのですが、これは使えますか(写真)? A16 カバーの条件としては、①虫が入らない ②空気を通す ③直射日光を防ぐ などですが、屋外の場合はこれに④雨を通さない ことが必要になってきます。途上国ではなかなか適したカバーが見つからないかもしれませんが、新聞紙や布、麻袋など現地で 入手できるものを利用してみてください。 派遣地域 ネパール 質問と回答 Q17 レストランでのコンポスト化の要望があるのですが、タカクラ式はどのくらいのスケールでできますか? A17 場所さえあれば、生ごみの量に応じて大きくすることが可能です。また、場所がなくても上記A5の写真にあるように、コンポス トを積み重ねることで省スペース化が図れます。ただ、量が多くなる場合はシュレッダー(生ごみ破砕機)が必要です。 Q18 レストランでの生ごみコンポスト化はどのような手順で行うのですか? A18 方法はいくつかあります。 ①コンポスト容器を積み重ねる方式(SUSUN方式)・・・ 生ごみ:発酵床=1:1で混ぜて通気性の良いかごに入れて積み上 げます。このまま2日間置いた後、シュレッダーで粉砕し、山積みにして1週間、切り返しを毎日行いながら堆肥化します。 ②発酵床を一山用意し、毎日生ごみを混ぜる方式・・・発酵床を山型に積み上げ、そこに毎日生ごみを混ぜて切り返しを行いま す。徐々に山が大きくなっていく(堆肥分が増える)ので、数ヵ月後に半分程度取り除き残った分にはまた生ごみを入れていき ます。取り除いたコンポストは堆肥として使えます。 ③発酵床を複数用意し、数日おきに生ごみを入れる・・・発酵床の山をいくつかに分けて、毎日違う山に生ごみが入るようにし ます。月∼日までの曜日ごとに7つの山を作ると、わかりやすくなります。 あるレストランの例では、スタッフ一人ひとりにコンポストを与えて複数のコンポストを作らせています。一ヶ月に一度、コン ポストの状態をチェックし、優秀なスタッフにはボーナスを出し、スタッフは熱心に取り組んでいます。また、できた堆肥はレ ストランで安く販売されています。 月曜に出たごみは 月曜の発酵床へ 木 火 月 水 ←スペースのある場合は可能。 ない場合は、①あるいは②の方法を。 土 金 日 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) 派遣地域 日本 質問と回答 Q19 シュレッダーはどんなものが良いのですか? A19 シンプルなものが一番です。生ごみ用の シュレッダーがある国は少ないので、プラス チックや剪定枝破砕用のシュレッダーで探し てみると良いでしょう。 シュレッダー概観(タイのケース) → シュレッダー内部構造 派遣地域 フィジー 質問と回答 Q20 市場から生ごみを収集する際に使用するゴミ箱はどんなものが良いのでしょうか?現在使用のものは大きいので生ごみが一杯ま で入るとかなり重くなります。 A20 途上国でよく使われているのが、竹かごです。軽く、水分が落ちるので扱いやすいです。または穴の開いたプラスチック容器が 適しています。条件としては ①軽い ②安い ③水分が落ちる です。 Q21 大規模なWindrow(野積み式コンポスト)は屋外で実施できませんか? A21 コンポストの水分は40∼60%が最適で、これより多い生ごみコンポストは腐敗します。また肥料成分も流出します。水分を管理 するためには、雨が当たらない場所でコンポストする必要があります。ただ例外として、ヨーロッパで屋外コンポストを実施し ている例がありますが、これは雨が少ないという条件に限ります。また木質系のコンポストは腐敗しにくいので屋外で実施され ることもあります。しかし、生ごみは腐敗しやすく失敗の原因となりますので、屋外での実施はお勧めできません。 6.生ごみのコンポスト化(コンポストセンター) 派遣地域 フィジー 派遣地域 質問と回答 Q22 戻し堆肥とは何ですか? A22 戻し堆肥とは、すでに出来上がった堆肥を種菌として、再び堆肥にしたい有機ごみと混ぜていく方法です。原料が同じであれ ば、すでに適した微生物が増えており堆肥化のスピードが早くなります。 Q23 コンポストから浸出水が出てきて、穴を掘ってもあふれるほどです。どうしたらよいでしょうか? A23 通常、好気的なコンポスト作りで浸出水が大量に出ることはありません。コンポストに適切な水分は40∼60%ですので、浸出水 が出るということは水分が多い状態だと考えてください。屋外でコンポストをする際も雨水が降り込まないように注意する必要 があります。 雨水が入ると肥料成分が流失し、肥効の少ない堆肥になります。 質問と回答 ドミニカ共和国 Q24 コンポストの水分調整は、コンポストの出来上がりと共にどのように変えていけば良いのですか? A24 コンポスト化に適した水分は 40∼60%ですが、生ごみを入れて発酵させる際は60%に近いほうが早く分解します。大体の分解 が終わったら徐々に水分を下げ、55→50→45→40%としていきます。最終製品として袋詰めする際は20%くらいの水分にすると 長期保存ができます。 Q25 袋詰めしたコンポストは、種菌として使えますか? A25 使用できます。 派遣地域 質問と回答 エルサルバドル Q26 魚の缶詰工場から出る魚の残渣はコンポストできますか? A26 魚ばかりだとたんぱく質が多く、アンモニア臭が出る可能性が高いです。これを防ぐためには、炭素分の多い腐葉土、木くず、 落ち葉等を入れると臭いが抑えられ、バランスの取れた堆肥作りができます。 Q27 完成した堆肥に異物が入っていた場合は、ふるいで除去できますか? A27 細かいものは除去できません。特に細かく割れたガラス類はふるいの目を通過し、最終製品まで入ってくる恐れがあります。こ れを考えると、排出源での徹底したごみ分別が大変重要だと言えます。 Q28 良いコンポストを作るためには常にコンポストを観察していなくてはいけないのですか? A28 始めたばかりの頃は注意深く観察すると良いですが、慣れて要領が掴めればある程度放っておいても大丈夫です。生ごみを大量 に入れた際は、それらがある程度分解するまではよくかき混ぜ、水分量を確認する必要がありますが、その後の熟成の段階では 目を離しても失敗することは少なくなります。