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入賞・入選作品集 - 中央労働災害防止協会

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入賞・入選作品集 - 中央労働災害防止協会
産業安全運動100年記念事業
「あんぜん チョットいい話」
入賞・入選作品集
@S_W 川上 颯己 小学3年 東京都
千葉県
−
安全のやくそく
F[fW^
@S_W 河野 ひさ江 小さな不注意
@S_W 横山 七映 中学3年 大阪府
特別賞
@S_W 阿部 松代 団体職員 神奈川県
特別賞
幸の肩たたき
F[fW^
佳作
@S_W 江本 豊美 主婦 愛知県
F[fW^
黄色は止まれ
交通安全リーダーの活動を通して
F[fW^
特別賞
@S_W 松永 裕貴 中学1年 静岡県
F[fW^
佳作
F[fW^
ご安全に
@S_W 鈴木 詠斗 小学5年 東京都
佳作
仕事と命
F[fW^
特別賞
@S_W 阿部 莉子 中学1年 静岡県
@S_W 阿部 広海 大工 静岡県
@S_W 長坂 脩司 小学1年 東京都
大阪府
@S_W 志川 久 − あせらず急がずいつまでも
F[fW^
特別賞
1mの恐怖
F[fW^
銀賞
1ねんせいになりました
特別賞
F[fW^
感謝状―安全帯へのメッセージ
F[fW^
銀賞
安全はお互いを思う心から
F[fW^
@S_W 石川 一雄 無職 宮城県
銀賞
花壇の花
F[fW^
@S_W 福井 敦男 自営業 京都府
金賞
※ 佳作、特別賞はタイトルと作者のみのご紹介となります。
あんぜん チョットいい話
審査寸評
産業安全運動一〇〇年記念事業実行委員会が募
集 した、働く人の安全や健康にまつわる体験 ・エピ
ソード﹁あんぜん チョットいい話﹂には、国内外から
四 三 〇 作 品の応 募 をいただきました 。多 くの方 が
この事業に理解を示してくださったことに、心より
感謝申し上げます。
予備審査、
二次審査を経て、有識者らによる厳正
な 最終審査の結果、金賞 一 作品、銀賞三作品、佳作
三作品、特別賞六作品が選ばれました。
金賞﹁花壇の花﹂
事業場トップの安全活動に取り組む真摯な姿勢
や 社員に対する温かい思いやりが、
パート社員のご
家 族の視 線からほのぼのと描かれている点が評 価
されました。
銀賞﹁安全はお互いを思う心から﹂
現 場 責 任 者が作った 一つの標 語に込められた無
災 害への熱い願いが良く表現されていました。
銀賞﹁感謝状 安
― 全帯へのメッセージ﹂
日 常 的に着 用している安 全 帯への感 謝の気 持ち
を 、表 彰 状 という 形で表した 独 創 性 が 評 価されま
した。
銀賞﹁1mの恐怖﹂
ご子 息の言 葉に耳 を 傾け、その助 言 が 災 害 防 止
につ
ながったことで安全対策ヘの思いを新たにした
という作品です。
今 回 、小 中 学 生 からも七二作 品の応 募 がありま
し た。感性豊かな視点で書かれた作品は、残念なが
ら特別賞に選ばれなかった作品も含めて、力作がそ
ろっていました。
ここでは金 賞 、銀 賞 を 受 賞された 四 作 品 を 紹 介
い たします。これらの作 品が、皆 様の安 全 衛 生への
思いを 一 層強めるきっかけとなれば幸いです。
産業安全運動一〇〇年記念事業
実行委員会事務局
産業安全運動100年記念事業実行委員会事務局
ていた母の危惧が、その日現実となったのだ。
していた。日頃から階段掃除は危ないと思っ
た﹂と思ったときはすでに遅く、足首を捻挫
の踊り場まで転がり落ちたらしい。
﹁あ痛たた
できるようになったとのこと。どうやら、母
ちよく言葉を交わし、階段の掃除も安心して
だ。母も﹁ありがとう、こんにちは﹂と気持
必ず一声掛けてくれるようになったというの
花壇だ。花壇の花は大丈夫だろうか、この暑
福井 敦男
が休んでいる間に社長が皆に話しておいてく
しっぷ
昼休みとなり、母は灼熱の太陽を見上げな
れたらしい。
昼過ぎ、足首に湿布を貼った母が帰ってき
た。 家 で 安 静 に し て い る と、 驚 い た こ と に、
夕方、印刷工場の社長がやって来た。
した。日頃、安全・事故防止を、口を酸っぱ
さで枯れているのではないだろうか、早く水
花壇の花
くして言っているのにこんなことになってし
をあげないと⋮。
がら、気掛かりだった場所に急いで向かった。
朝日の中で、原付バイクのエンジン音が軽
まって⋮。あの社員も反省していますので、
﹁この度は、本当に申し訳ないことをしま
快 に 響 く。 今 朝 も 母 が パ ー ト に 向 か う の だ。
私に免じて、どうか許してやってください。
大丈夫なんですか?﹂と、社長が花壇の花に
またが
齢 六十八。雨の日も風の日もバイクに 跨 り、
すみませんでした﹂と、母に頭を下げたのだ。
水を遣っているところだったらしい。驚いた
母 の パ ー ト 先 は 町 の 印 刷 工 場。 社 員 数 は
よわい
パートに行く。いくら働くのが好きだといっ
﹁いえいえ、大したことないですから﹂と母
母が﹁は、はい。心配かけました﹂と、頭を
心 配 し た 母 が、 い ざ 花 壇 に 着 く と﹁ も う、
ても、母の頑張りにはまったく頭が下がる。
は恐縮しきり。
二十人くらい。一階が印刷場で、二階が事務
母はここで、ただひとりの清掃員として働い
差し出した。うだるような暑さの中、帰って
際ゆっくり休んでください﹂と、見舞金まで
たという。
照れくさそうに頭を搔いて、さらにこう続け
く れ て い る こ と は 知 っ て い ま し た か ら ﹂ と、
下げると、社長は﹁あなたが毎日水を遣って
ている。各々の部屋と階段や廊下、トイレの
いくその後ろ姿をありがたく見送る母だった
﹁ 会 社 も 花 も 同 じ で す。 思 い や り を 持 っ て
社長は﹁今は大変暑い時期ですから、この
清掃が毎日の主な仕事。それから、裏庭にあ
が、母には母で、そうゆっくりと休んでもい
所、三階は会議室と食堂になっているらしい。
。もっともこれ
接してやれば、イキイキします。皆に目を配
帰の日、総務の人たちに﹁迷惑かけました﹂
それを聞いた母は、訳も分からず涙がこみ
ー
る小さな花壇の水遣りも
られない気掛かりがあった。
酷暑だった去年の夏、事故は起こった。母
と挨拶を済ませた母は、さっそく普段どおり
上げてきたそうだ。花壇の花はどれもこれも
や
は、花好きの母が勝手にやっていることらし
り、皆が働きやすい環境を整えることも私の
が階段をモップ掛けしていると、若い男性社
仕事に取りかかった。すると、すぐに気づい
元気に天を仰いでいる。
結局、母は四日休んだだけで復帰した。復
員が後ろから勢いよく駆け上がってきた。気
た こ と が あ っ た ら し い。 そ れ は、﹁ う し ろ 通
いのだが⋮。
づくのが遅れた母は、危うくぶつかりそうに
ります﹂とか、﹁ちょっと失礼﹂とか、﹁ごめ
大切な仕事です﹂
なったが、すんでのところで避けられたそう
んよ﹂とか、皆が作業する母の側を通るとき、
しい。
どうやら母は、素敵な会社に勤めているら
だ。が、次の瞬間にバランスを崩し、数段下
安全衛生のひろば〈2011.11〉 石川 一雄
ではあったがおとなしく、ダム建設現場の工
ー﹄という声が挙がった。がっしりした体躯
Aさ ん。 皆 か ら 一 斉 に、﹃ あ ー、 ヤ ッ パ リ な
けてみると、それは骨材生産工区の責任者の
選定時には伏せられていた作者名を皆で開
ない。
る﹃お互いを思いやる気持ち﹄なのかもしれ
らないこと、それがこの標語に込められてい
携わる者全員が心の中に持っていなくてはな
上でそれを効果ならしめる、あるいは工事に
徹底、そして設備の安全等々と突き進むのだ
と。だから法律・規則の順守、教育・指導の
やるべきことを漏れなくやるのは当然のこ
に進めたら叶うのか。
ること。しかしその無事故無災害、どのよう
無事故無災害を願ってという強い思いで考え
安全第一、それは工事に携わる私達誰もが
の中でも最も危険な工区の一つになっている。
山を掘り崩していくという性質上、ダム工事
して砂利と砂を造るというもので、爆薬で岩
プラントという機械設備を通して細かく破砕
崩し、それで出た大量の岩石をクラッシング
の岩石を掘り出す岩山︶を爆薬の発破で掘り
石山︵コンクリートの材料の砂利を造るため
ムのコンクリートの材料を生産する工区。原
Aさんが責任者を務める骨材生産工区はダ
らに二つのダム建設に従事したが、その間も、
その後私はそのダム工事を終えてから、さ
たのだと思う。
が、改めてあの標語がそれを引き出してくれ
うちに誰の心の中にもあるものかもしれない
なるものなのかもしれない。それは無意識の
う思いが一つにまとまった時、初めて完璧と
た周りの人達の安全を見守る、安全はそうい
周りの皆の注意が注がれ、そしてその人もま
自分の身は自分で守る、それは大前提。し
が、いつも心を過るのが、それだけで万全な
しかしそういう工区でありながらAさんのこ
区の責任者というよりも、一人静かにこつこ
のかという不安。そんな思いでダム建設工事
の工区は最も安全管理が行き届いていた。整
こ の 標 語、
︻危険個所 避けて通れば自分だ
け、直して通れば 皆安全︼の言わんとする
ところこそが安全の基本と、常に心がけ続け
かしそれで果たして無事故無災害の現場を現
にあたっていた私達の前にその標語が現れた。
理整頓が行き届き、とかく殺伐となりがちな
た。
つと事務処理を、というタイプではあったの
安全週間に因んでの安全標語募集で、その
ダム建設現場の中で清々しささえ感じさせる
出させることができるだろうか。一人の人に
工事従事者の多くから五百を超える作品が寄
趣があった。
だ。
せられ、私を含めた建設工事事務所職員十人
﹃あー、ヤッパリなー﹄という声が出たのも、
安全は
お互いを思う心から
がそれぞれ二十作品を選定して持ち寄り、入
やはりあの責任者のそうした考えに作業員全
よぎ
選十編、佳作十編を選んだ。そしてその中か
員が納得していたからなのだろう、と私たち
ちな
ら最優秀を協議するという時に、十人全員が
皆が思っていたからこそかもしれない。
等々。しかしそうしたものが完璧になされた
法 律・ 規 則 の 順 守、 教 育 指 導、 安 全 設 備
奇しくも一致したのがその標語、
︻危険個所 避けて通れば自分だけ 直して
通れば 皆安全︼だった。
安全衛生のひろば〈2011.11〉
感謝状
志川 久
感謝状│
安全帯へのメッセージ
安全帯 殿
あなたは長年にわたり 高所作業での墜落
阻止 労働安全衛生環境の改善に尽くされ
その高い性能と豊富な経験をもって職務に精
励し 産業界の安全向上 人命の救助に尽く
された功績まことに顕著です
建設業では年間四〇〇人もの作業員が 死
亡災害に見舞われ そのうち 一番多い墜落
事故は四割を占め 約一六〇人が犠牲になっ
りょう
ています つり足場やはしご 建築物の 梁
じょう
上 からの墜落が多く 根絶できません 一
回の死亡事故の裏には三〇〇件のヒヤリ・ハ
ットが隠れており それは ﹁ハインリッヒの
法則﹂と呼ばれています だから発生した年
間四八、〇 〇〇件ものミスのたび あなたが
一歩手前で人命を救っていることになります
かつてのあなたはロープ フック ベルト
共重く 扱いにくいものでした 太いロープ
はゴワゴワし かえって作業の邪魔になって
危険で また鉄製のフックは重くて扱いにく
わずら
く ベルトもバックルが不便で 着脱が 煩
わしかったことを覚えています
今のあなたは見事に改良され 進化しまし
た 細いロープは巻き取り式で また収納袋
もあります フックもアルミ合金製で軽量化
され 胴ベルトはクッション素材で束縛感が
和らぎ 小銭入れのミニポケットがある気の
し
利く仲間も登場し オシャレなデザインや刺
しゅう
繍 されたものもあります またあなたには
墜落時の衝撃を分散させ、より安全に受け止
めててくれる仲間もいます 今までは命は助
かっても 墜落ダメージで打撲を受けること
がありました 新しい仲間はそれを軽減しま
した
あなたは最近も一人の作業員を救いました
はり
はり
梁の上から隣の梁へ飛び移ろうとしたその作
業員は 本来なら柱に付けられているボック
スにいったん移ってから移るべきところを
いわゆる近道行動をとってしまい 墜落しま
した 危うく殉職しかけた彼を あなたは私
達の目前で助けました 休業災害が避けられ
たのは ひとえにあなたのおかげです 小さ
なお子さんと奥さんがいる彼は その日のう
ちに病院から帰宅し 家族一同で喜び合った
そうです その前に総括安全衛生管理者から
しっせき
厳しく叱責されたことは言うまでもありませ
ん その後 緊急に全作業員が集められ あ
なたの着用が再度厳命されました
危険を承知で人間の体に巻かれているあな
たは 雨ニモマケズ 風ニモマケズ 時には
邪魔物扱いされがちです そんな人間の勝手
を許してください でもあなたは人間とベル
トでつながっているだけではなく 心でもつ
ながっているのです あなたが高所作業現場
にいるだけで私達は安心です これからも頑
張ってください
よって産業安全運動一〇〇年を迎えるにあ
たり あなたのその功績を称え 本状を贈り
深く感謝の意を表します
平成二十三年五月三十一日
建設業 高所作業員一同
安全衛生のひろば〈2011.11〉 メートル
阿部 広海
1 m の恐怖
メートル
〝高所作業1 m ︵一命取る︶から要注意〟
〝まずゆとり慣れた作業も心にも〟
をユーモアを交えながら教えてくれていた。
禁止されていた。着工してすぐのことだった。
春休み中ということで生徒の体育館使用は
夜中、店の電話が鳴った。生徒が体育館の足
﹁高い所の作業は注意せんといけんよ。命
とりになるからな⋮1m 以上あったら危いん
場から落ちて救急車で運ばれた、とのこと。
私はすぐに病院へ走った。幸い生徒のケガは
メートル
よ⋮﹂
﹁どうして1 m なの⋮?﹂
軽い首の捻挫と脳振蕩で大事には至らずに済
部活の合宿中、夜、窓から入室してボール
のうしんとう
﹁うーん、1 m ︵一命取る︶っていうじゃ
んだ。
こんなジー様との会話がヒントになって、
遊びをしているうちに足場にボールがひっか
メートル
ろ。ワッハッハッハッ⋮﹂
あの標語ができたと、得意気に話す佑次朗。
工務店を手伝いながら定時制工業高校に通っ
高校の体育館の改修工事をすることになった。
この三月の春休み期間中、息子たちが通う
かったことだが、息子が床にマットを敷くよ
ったら、と思うと背筋がゾッとした。後でわ
ちたとのこと。もし床にマットが敷いてなか
かってしまい、取ろうとして過って頭から落
ている。昨年の7月、校内の安全週間で募集
高さ m の天井まで足場を組み、足場と足場
双子の息子︵佑一朗と佑次朗︶は、家業の
した標語コンテストで二人の息子が最優秀賞
てきた。
﹁いつもゆとりを持て﹂
﹁何事も落ち
には 躾 の一環として安全教育にも心を配っ
現場での危険作業が多い仕事柄、子供たち
と優秀賞をもらってきた。その作品である。
を覚えている息子は、落下の恐さを身にしみ
下して脊髄損傷の大ケガをしてしまったこと
あった。以前、他の現場で職人が足場から落
所に慣れている私でさえ足が震える恐怖感が
に棚板を渡し、そこで作業をするのだが、高
しれない。息子の先見の気配りが一命を救っ
に通う生徒の心理をよくわかっていたのかも
とも考えてのことだった、という。同じ学校
なく、万一、生徒がいたずらで足場に登るこ
うに言った理由は、作業安全のためだけでは
しつけ
着いて考えろ﹂
﹁最初と最後は必ず確認を﹂
以後、私はいつも万が一を、最悪の事態を
た。
﹁オヤジ、床はコンクリートで危いから学
今日も若葉薫る新緑の中、村の寺の改築工
想定して現場の安全管理に細心の注意を払う
私は作業中は安全帯をつけるのでその必要
事現場で屋根に上り、二人の息子たちと汗を
校に頼んで体操用のマットでも敷いてもらっ
て感じていた。
﹁集中、休憩、メリハリを⋮﹂
。勉強をする時、
仕 事 に 向 か う 時、 自 転 車 や バ イ ク に 乗 る 時 、
いつもこんな言葉をかけてきた。
を手伝うようになった。職人さんたちのちょ
はないと思ったが、息子のアドバイスに従い
流している。二人の作った安全標語の太い、
ように心掛けている。
っとした油断から起きるケガや事故に直面し
マットを敷くことを了解した。教頭先生に快
黒々とした文字の防護シートが初夏の風にま
たほうがいいよ﹂。
ながら安全作業の大切さを目で見て学んでい
く許可をいただき、倉庫にある古いマットを
ぶしく揺れていた。
中学生の頃になると、よく現場に来て仕事
っ た よ う で あ る。 ま た 棟 梁 の ジ ー 様 は、 こ
床に敷きつめ、上にビニールシートをかけた。
とう りょう
との他、二人の孫を可愛がって、仕事の段取
おわり
気分的にも安心感があり仕事も 捗 った。
はかど
り、道具の手入れをとおして安全作業の基本
安全衛生のひろば〈2011.11〉
15
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