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事 業 報 告 書 - Japan Economic Foundation

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事 業 報 告 書 - Japan Economic Foundation
平
事
成
業
19
報
年
告
度
書
平成 19 年 4 月 1 日から
平成 20 年 3 月 31 日まで
平成20年6月
財団法人
国際経済交流財団
平 成 19 年 度 事 業 報 告 書
(平成19年4月1日~平成20年3月31日)
目
次
Ⅰ.国 際 会 議 の 開 催
1.日 ア ジ ア 太 平 洋 フ ォ ー ラ ム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.日
米
フ
ォ
ー
ラ
ム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
3.日
欧
フ
ォ
ー
ラ
ム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
1.定 期 刊 行 物 の 発 行
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
2.イ ン タ ー ネ ッ ト の 活 用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
Ⅱ.情
報
の
発
信
Ⅲ.国際経済関係の調査研究
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
Ⅳ.人 的 な 国 際 交 流
1.市 場 経 済 化 知 的 交 流 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
2.国 際 経 済 交 流 銀 座 等 懇 談 会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
Ⅴ.貿 易 振 興 等 特 別 事 業
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
Ⅵ.管 理
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
関
係 事
項
Ⅰ.国際会議の開催
1.日アジア太平洋フォーラム
(1)開 催 趣 旨
2006年8月のASEAN+3経済大臣会合には、二つの地域ワイドのFTA案が提案さ
れた。一方は、同経済大臣会合の決定で、2005年設置されたASEAN+3専門家会合
の報告書で提案された東アジア自由貿易地域(EAFTA)構想であり、他の一方は日
本 案 の 東 ア ジ ア EPA(CEPEA) で 、 ASEAN+3 に 豪 州 、 NZ 、 イ ン ド を 加 え た
ASEAN+6でFTAを締結するべく、2007年から民間有識者の研究会(Track 2)を開始
しようという構想である。さらに、2006年11月のハノイでのAPEC首脳会合では、
長期的な展望としてアジア太平洋地域を包含するFTAAP構想が提案された。この
ように、東アジアにおいて多くの二国間、多数国間のFTAが締結されつつある中
で、東アジア地域全体あるいは太平洋地域まで包含するFTAを創設しようとする
要請が強くなっている。
JEFでは、2003年3月にSIIAとの共催でシンガポールにおいて「JSEPA and Beyond」
と題する国際シンポジウムを開催したのを皮切りに、バンコック、マニラ、ソウ
ル、ジャカルタで「東アジア自由貿易地域の創設」をテーマに同様のシンポジウ
ムを開催してきた。過去五回のシンポジウムを通じ、東アジアワイドのFTA形成
の時期や構成国、既存のFTAとのハーモナイゼーションなど幅広いテーマについ
ても議論した。今回の国際シンポジウム“A New Age of Trade in Asia” (アジア貿易
新時代)では、過去のシンポジウムで明らかとなった諸問題に焦点を当てながら、
東アジアワイドのFTA創設に向けたシナリオについて議論を展開すると共に、こ
の地域を代表する各界の有識者、専門家に自由な意見交換の場を提供することで、
参加者間、聴衆者間の相互理解の促進、アイディアの普及を目的に開催された。
(2)開 催 日 時
平成19年11月1日(木)~2日(金)
(3)開 催 地
中国 北京市
(4)主 催 者
日本側 (財)国際経済交流財団
中国側 中国社会科学院国際研究学部
(Academic Division of International Studies,
Chinese Academy of Social Sciences (ADIS CASS))
(5)出 席 者
《日本側》
畠山
襄
田中 繁広
(財)国際経済交流財団 会長
経済産業省 通商政策局経済連携課長
-1 -
塚本
弘
(財)貿易研修センター 理事長
(アルファベット順/敬称略)
合計3名
《外国側》
アセアン
Termsak CHALERMPALANUPAP
Special Assistant to the Secretary-General of ASEAN and
Director for Research in the Office of the Secretary-General,
The ASEAN Secretariat
オーストラリア Allan GYNGELL, Executive Director
The Lowy Institute for International Policy
中国
ZHANG Yunling
Director, Academic Division of International Studies,
Chinese Academy of Social Sciences (CASS)
インドネシア
Djisman SIMANDJUNTAK
Chairman, Board of Director, CSIS Foundation and Executive Director,
Prasetya Mulya Business School
韓国
Chulsu KIM,
Chairman, Institute for Trade & Investment (ITI), Lee International
(Former Minister of Trade of the Republic of Korea)
マレーシア
J. JAYASIRI
Senior Director, Economic and Trade Relations,
Ministry of International Trade and Industry of Malaysia
シンガポール
Hank LIM
Director for Research, Singapore Institute of International Affairs (SIIA)
Simon SC TAY
Chairman, Singapore Institute of International Affairs (SIIA)
(国名のアルファベット順/敬称略)
合計8名
(6)議
題
セッション1:The recent FTA movements in the East Asia region and future prospects
towards an integral FTA in the region
東アジア地域におけるFTAの最近の動向および地域ワイドFTA創
設に向けた将来の展望
セッション2:How should we deal with the different proposals towards an integral FTA
in the East Asia region as a whole?
東アジア地域FTA創設に向けた複数の提言に対し、
いかに対処すべきか
セッション3:The Korea-US FTA and its implications to East Asia and Europe
韓米FTA締結と東アジア、欧州への影響
調査研究発表 “The Impact of the Korea-US FTA on Japanese Companies”
-2 -
(7)会議の概要
張蘊嶺(ZHANG Yunling)中国社会科学院国際研究学部主任と畠山襄 国際経済交
流財団会長による開会挨拶に続き、張蘊嶺氏が基調演説を行なった。
各セッションでの主な発言は以下のとおり。
セッション1:
①東アジアの継続的に強い経済成長は地域統合への追い風となるが、地域統合は
あくまでも次善策である。しかし、ドーハ・ラウンドの停滞により、地域統合
の正当性が増す事になる。東アジアでは一見すると自由化が進んでいるようだ
が、実際は二国間協定が急増しているだけであり、それらを包括する協定がな
ければ、後に経済へ悪影響を与えるであろう。二国間協定が多数締結されるこ
とが、深化すべきASEAN自身の地域統合にとって逆効果となっている。ASEAN
は自身の共同体形成に注力すべきであり、東アジアは地域統合へ向けて焦点を
絞り、ASEAN13を地域統合の核とするべきである。
②日本政府のFTA/EPA政策には、アジアとの相互繁栄、天然資源産出国との関係
構築、アジア地域を越えた大きな市場とのEPAを目指す、という三本柱からな
り、質の高いEPAを目指す。ASEANに対しては、ASEAN諸国との二国間協定と
ASEAN全体との多国間協定の両方で取り組んでおり、両方の取り組みから成果
を得ている。ASEAN全体とのEPAは、ASEAN域内での域内生産ネットワークを
作るために必要である。
③東アジア共同体創設のためには、この地域の開放が必要である。そして、より
大きなグループへ開放しようとするならば、核となるものが必要となる。
ASEAN憲章やASEAN経済共同体創設へのブループリントは、それに向けた良い
兆候といえる。また、FTAやEPAが根付いてくると、社会への影響が実際に現れ
てくる。今こそ、それらの人々に対する有益性、地域の開放と新たな環境への
順応の必要性の理解を求める為に、東アジア共同体がどういうものなのかを広
く伝えるべきである。
セッション2:
①東アジアの貿易統合は大した助けがなくとも良好に進められている。しかし、
二国間協定が次々と生まれていることによる貿易関係をこれ以上複雑にしない
ために、原産地規則の統一など対策を取る必要がある。これらの二国間協定は、
より大きな協定への積み石(building blocks)となりうるが、それぞれの大きさや
形の違う石 では大き な建物を 建てるの は 難しい。そ のために は能力構築
(capacity building)が必要となり、APECが能力構築(capacity building)等の分野
に対応できる機能を有している事を忘れてはならない。
②日本が提案した東アジア構想は、東アジア包括的経済連携(CEPEA)と東アジ
ア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の二本柱で構成されている。この構想の背
景には、東アジアの貿易構造の変化がある。かつて、日本はアメリカへの輸出
に依存しすぎていたが、
過去20年間でASEAN+3とASEAN+6内の域内貿易が増加
-3 -
した。今、東アジアが次の段階に進む用意が出来ているのかは定かではないが、
将来を考えなければならない状況にあるのは確かであり、CEPEAのような新た
な選択肢を考えるのは当然の流れである。また、ERIAについては、将来OECD
のような役割を担い、ASEAN+6という形にこだわらず、どのような形であれ東
アジアの地域統合に役立つようになることを望む。
③FTAの実行には、監視、紛争解決の方法等を考えなければならない等、多くの
労力を要するため、より大きな組織的支援が必要となる。ASEAN憲章は、ASEAN
の組織的能力をさらに強化することが出来る。FTAは参加国間の政治的な協力
なしには議論できないし、政治的な信頼と理解をもってはじめてFTAの実行へ
と進む事ができる。組織的枠組みと支援の必要性を重要視すべきである。
④東アジアには優れた提言がいくつか存在するが、現実には困難もいくつかある。
まず、ASEANが複数のASEAN+1をまとめる準備が出来ているのか、より大きな
経済共同体の実現の前により大きな地域との統合を進める能力があるのかとい
うことである。そして、日本と中国がいかにそれぞれの戦略を統合し、地域統
合へのプロセスを共に進めていくかを考える必要がある。さらに、商業的利益
だけでなく、社会的利益や環境問題等の幅広い問題についても考えるよう社会
的な圧力が増している。
セッション3:
このセッションでは、韓国貿易投資研究院が実施した「米韓FTAがアジア諸国
のFTA戦略及び日本企業に及ぼす影響等」と題する調査研究の報告をもとに議論
が行われた。
①現在、多くの日本企業はアメリカに投資をしており、それほど輸出に依存して
いないため、韓米FTAが日本のアメリカへの輸出へ及ぼす直接的な影響は限定
的であろう。しかし、ASEAN諸国や中国へ拠点を置く日本企業は、日本の日本
企業よりも輸出に依存しているため、間接的にこのFTAから受ける影響は大き
いと考える。また、韓米FTAの締結によってEUが韓国とのFTAに動き出した。
韓国-EU FTAが実現されれば、それによって日本企業が受ける影響は韓米FTA
からの影響よりも大きいであろう。
②韓米FTAは、NAFTA以来の商業的に最も意義があり、かつ最大のFTAの一つである
等、多くの意義を持つ。また、このFTAはEUの貿易政策にも影響を与えた。EUは、
従来どおりWTOを最優先事項としながらも、FTAにも取り組み始めた。韓国とは
交渉を開始し、ASEANとインドとは交渉に向けた話し合いに着手した。貿易政策
の観点から見ると、韓米FTAはEUのアジア政策への促進剤となったと考えられる。
今後、韓国はアメリカとのFTAで設けた高い基準を他のFTA交渉でも使うようにな
ると考えられ、それが東アジアの地域統合にも影響を及ぼす事となるであろう。
③韓米FTAにより、アメリカと韓国の市場において日本企業への長期的な影響が
あるであろう。短期的に見れば韓国市場で好ましくない影響が出ると考えられ
るが、アメリカ市場における短期的影響は、アメリカの関税がすでに低い等の
理由からそれほどマイナスのものではないであろう。より効果的な資源の分配、
-4 -
産業の再構築、域内貿易の拡大による長期的な影響の方がより重要である。こ
のFTAによる韓国とアメリカの地域生産ネットワークの進展が、アジアの主要
産業経済において連鎖反応を引き起こすであろう。そして、アメリカ企業は、
アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)によって東アジアの生産ネットワークに関
わるようになるかもしれない。最終的には、このFTAが東アジア経済統合設立
に向けての連鎖反応を引き起こすかもしれない。
④JETROの行なった駐米日本企業に対する韓米FTAの影響に関する調査によると、
日本企業の多くはこのFTAから受ける影響はそれほどないと見ているが、自動
車業界など否定的に捉えている業界もある。そして、このFTAからの心理的影
響は大きく、日本の産業界は日本-EU、日米FTAを強く望んでいる。また、日
本は農業問題などをかかえており、FTAを進めていくためにはこのような問題
に対する国内政策が必要であり重要である。
(8)成
果
①本シンポジウムが中国共産党第17回党大会から約二週間後の開催であったた
め、張蘊嶺 中国社会科学院国際研究学部主任が共産党党大会についての基調演
説を行った。
②大使館、大学、シンクタンク、現地日本企業等から多くの参加者を観客に向か
え、盛大なオープン・フォーラムとなった。各セッションでは、観客の中から
も質問が積極的にパネリストへ投げかけられ、議論をより活発なものとした。
③東アジアワイドFTAの創設と言うテーマを掲げて過去五回のシンポジウムを開
催したが、ASEAN+3だけでなく、より広範な地域を含む提言が出ていると言う
現状を踏ま え、今回 は初めて オースト ラ リアからの スピーカ ーを招き、
ASEAN+3、ASEAN+6などの具体的なプロポーザルについて議論し、実りある
情報交換の場となった。
④二日間のシンポジウムを通し、自由貿易協定(FTA)交渉の実務担当者や共同研究に
携わるシンクタンク研究者、長年この分野で指導的な役割を果たしてきた有識者
などの経験、知識が持ち寄られ、会議がより具体的かつ専門的なものとなった。
また、本シンポジウムについてのアンケートをスピーカーに対して行なったとこ
ろ、東アジアの経済統合への様々なアプローチ、韓米FTA、WTOやFTAの現状等に
ついて理解を深めると共に率直な意見交換が出来たという感想が多く寄せられた。
なお、本事業は財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の
一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
-5 -
2.日米フォーラム(米国)
(1)開 催 趣 旨
多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の停滞などを契機に世界では二国間、多国
間、地域間のFTA締結への取り組みが活発化している。東アジア地域もその例外
ではなく、二国間、多国間はもちろん地域全体あるいは太平洋地域までを包括す
るFTAを創設しようとする要請が強くなっている。
東アジア諸国との一層緊密な経済・貿易関係の構築を模索する米国もこれら諸
国との二国間FTA交渉を積極的に進めている。また、2006年11月にハノイで開催
されたAPEC首脳会合では、長期的展望としてAPEC加盟国・地域を網羅するアジア
太平洋自由貿易地域(FTAAP)を含む経済統合促進の手段をさらに研究していくこ
とが合意された。
米国の東アジアへのFTA戦略のなかで最近注目されたのが韓国とのFTA締結で
ある。この米韓FTAは物品貿易の自由化率が99%以上という画期的なもので、米
国にとってはNAFTAに次ぐ大型FTAであり、先進国間による質の高いFTAである
と評価されている。
一方、シンガポール、メキシコ、マレーシアなどすでに7ヵ国とのFTAを締結し、
ASEANや豪州、インドなど8つのFTA交渉を進めている日本でも米韓FTAに触発さ
れて日米FTA交渉に対する機運が高まっている。経済規模で世界第一位の米国と第
二位の日本が二国間FTAを締結することは両国経済に大きなインパクトを与えるこ
とになろうが、その実現には農業問題をはじめとして克服すべき課題も多い。
上記を踏まえ、本フォーラムは日米韓の有識者が一同に会し、米韓FTAや既存
のFTAを先例として、日米FTAの締結の可能性について議論を深め、質の高い日米
FTAを実現させるために日米間の諸課題について検討するとともに、長期的展望
とされたアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の創設に向けた議論を行った。
(2)開 催 日 時
平成19年11月27日(火)
(3)開 催 地
米国 ワシントンDC
(於:The Peterson Institute for International Economics会議場)
(4)主 催 者
日本側
米国側
(5)出 席 者
《日本側》
深川由起子
畠山
襄
黒田淳一郎
財団法人国際経済交流財団
The Peterson Institute for International Economics
早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科 教授
(財)国際経済交流財団 会長
ジェトロ ニューヨークセンター 産業調査員
-6 -
浦田秀次郎
合計4名
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
(アルファベット順/敬称略)
《韓国側》
Chulsu Kim
Senior Advisor at Lee International IP and Law Group in Seoul and
Chairman of Institute for Trade and Investment (ITI)
(Former Minister of Trade, Industry and Energy of the Republic of Korea)
合計1名
《米国側》
Claude Barfield
Resident Scholar, American Enterprise Institute
C. Fred Bergsten
Director, Peterson Institute for International Economics
Scott Bradford
Visiting Fellow, Peterson Institute for International Economics
Gary Hufbauer
Peterson Institute for International Economics
Edward Lincoln
Director, Center for Japan-US Business and Economic Studies,
New York University
Clyde Prestowitz
President, Economic Strategy Institute
Jeffrey J. Schott
Senior Fellow, Peterson Institute for International Economics
合計7名
(アルファベット順/敬称略)
(6)議
題
“New Asia-Pacific Trade Initiatives”
セッション1:Bilateral and regional FTAs and EPAs that the US and Japan have
concluded and are now pursuing with third countries (regions), and other
trade initiatives in the region
日米両国が第三国(地域)と締結・交渉中の二国間、域内多数国間FTA
およびその他のFTAイニシアティブに関する意見交換
セッション2:Issues towards the conclusion of a high quoality US-Japan FTA
質の高い日米FTAの締結に向けた諸課題
セッション3:Creation of a Free Trade Area of Asia-Pacific (FTAAP)
アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の創設について
(7)会議の概要
冒頭に米国 Peterson Institute for International Economicsのバーグステン所長より、
アジア太平洋地域の貿易関係、イニシアティブについて概観し、今後の域内にお
けるFTAの動き、日米FTA締結の可能性、またアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)
の創設について議論を交わすことは大変時節を得ていて有意義なことであるとの
開会の挨拶があった。続いて、共同主催者である畠山襄 国際経済交流財団会長よ
-7 -
り、「本日は日米FTAとFTAAPの創設をテーマに議論を行うが、FTAを取り巻く環
境は必ずしも好意的であるとはいえない。米国にもまた保護主義の機運がある。
先月中国を訪問した際に、以前は聞いたことのない、農民は重要であるという一
致した声を聞いた。日米FTAを実現させることは非常に重要なことであり、また、
FTAAPの創設も同様に重要である。しかし、実現に向けた課題は多い」という挨拶
があった。
セッション1では、日米両国が締結・交渉中の二国間および域内多数国間FTA(「米
韓FTA」等)に関し、自由化率など諸項目について比較検討を加えながら議論した。
また、アジア太平洋地域におけるその他のイニシアティブ(「中国-ASEAN FTA」
「韓国-EU FTA」等)と、これらの日米両国へのインパクトについて議論した。
セッション2では、モノの市場アクセス(関税撤廃)については、日米FTAによっ
てカバーされる自由化率をいかに算定すべきか。ひとつのアイディアとして両国に
おける品目ごとの国内需要をベースとして算定してはどうか(貿易額ベースで算定
すると、規制の厳しい品目は殆どゼロになる。タリフラインで算定する場合は品目
ごとのウェイトは反映されない)。サービス貿易については原則として全ての分野
を対象とすべきではないか、日米FTAではそれが可能か。投資については、内国民
待遇を原則とする。日米FTAではそれが可能か。また、食料・エネルギーなどの安
全保障上の観点から、GATT11条2項(a)に規定される一時的な輸出禁止・制限措
置についてのあり方等を踏まえ、日米FTA締結の可能性と諸課題について議論した。
セッション3では、ASEAN諸国によるASEAN+3やASEAN+6といったイニシア
ティブと同時並行的にAPECでFTAAPが議論されることが望ましい。FTAAPに関し
てもトラック2の研究を早急に開始すべきであり、EAFTAとCEPEAの研究と同時
並行的に進めていったらよいと考えるという意見があった。また、FTAAP研究に
早々に着手することは、APEC自身にとっても重要で、APECの自発的方式による
貿易自由化が行き詰まりをみせる中、APECが現状を打破するためにはFTAAPの創
設が最適だとする意見があった。一方、米国が“東アジアFTA”に加わることは
地理的に東アジアに位置していないために難しいが、米国からは東アジア諸国に
とって最大の市場であり、かつ、同地域の安全保障を担っていることから同協定
に米国が参加するのは至極当然であるとする意見も聞かれる。米国をも含めた制
度的な案を模索する必要から、FTAAPの創設が最適であるという考えである。し
かしながら、APEC21ヵ国・地域すべての同意を取り付けるのは大変な作業であ
るため、FTAAPを質の高いFTAにすることは難しいと思われるが、むしろ、FTAAP
の創設に早期に取り組むことが重要であるという意見が聞かれた。また、APECメ
ンバーの中にFTAAPに賛同しない国がある場合には、賛成国間だけで先ず着手す
べきだという意見も提唱され賛同を得た。質の高いFTAAPを達成することは、難
しいのではないかという意見に対しは、米国を始めとする多数のAPECメンバー国
には、中国が進めているような質の低いFTA協定ではなく、依然として質の高い
FTAAPの締結を望んでいる声が多いという意見もあった。
FTAAPについては多くの研究結果から、第一にアジア諸国間で締結済みの他の
FTAよりもアジア太平洋地域全体でFTAを締結した場合の方がアジア諸国に利益
-8 -
をもたらすとこと、第二にFTAAPの創設はグローバル化を支持し複数国間におけ
る交渉を推進させるものであること、第三にFTAAPの創設により、域内で急増し
ている個々のFTAが一つの傘下に入り、より調和した一つのまとまりへと進展し
ていくであろうという考えが発表された。
東アジアにおいては、ASEAN+3、ASEAN+6といった枠組みの動きがあるのみ
で域内の制度的枠組みがない。よって、APECを確固とした枠組みとすることは経
済面のみならず非常に重要だという。APECが本来の姿を取り戻すために唯一強力
なイニシアティブは、APEC創設当初に掲げた自由貿易協定そのものに他ならない。
FTAAPの創設は関係国に経済領域を超えたより大きな利益を生むであろうという
意見が出され、同セッションではFTAAPの創設についての議論が活発に行われた。
(8)成
果
①日米韓の有識者が一堂に会し、米韓FTA(両国議会の批准が必要)や日米両国の
締結済み及び交渉中のFTAを先例として比較検討し、日米FTAの締結の可能性と
長期的展望とされているアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の創設について、
それぞれの立場から活発な議論が行われた。質の高い日米FTAを実現するため
に日米間で取り組む諸課題について、専門家の分析を交えて意見交換を行い、
農業改革の必要性、またサービス分野の自由化の必要性などが指摘された。ま
た、アジア太平洋地域における地域統合のあり方について、APECが主導する
FTAAPの創設の必要性について意見が一致し、さらに早期に着手することがい
かに重要であるかという点が指摘された。アジア太平洋地域における様々な
FTAの動き、今後の地域統合のアプローチなどについて、出席者が活発に意見
交換、情報交換を行うフォーラムの場を提供することができた。
②有識者によるパネルディスカッションに加えて、シンクタンク、大学、企業、
メディア等から約120名が参加し、盛大なオープン・フォーラムとなった。各セッ
ションでは、パネリストによる専門的、具体的なプレゼンテーションの後に、
観客を交えて双方向に質疑応答が大変活発に行われた。参加者からも当テーマ
への関心の高さが伺えた。
③出席者の方々にアンケート調査を行ったところ、会議の成果普及としてホーム
ページなどに会議の内容を公開したらよいというご意見をいただいた。弊財団
としては財団のホームページで積極的にタイムリーに会議の内容を公開し、情
報公開していきたい考えである。今後も出席者から意見を拝聴し、フォーラム
開催に活かしていきたい。
なお、本事業は財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の
一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
-9 -
3.日欧フォーラム(アラブ・マグレブ)
(1)開 催 趣 旨
日本のFTA政策の中で大陸として抜けているのはアフリカである。日本がサ
ブ・サハラ・アフリカ諸国とFTAを結ぶことは経済格差が極めて大きいので当面
は難しいが、アラブ・マグレブ諸国とは相互補完関係にあり、その可能性は高い。
またアラブ・マグレブ諸国のうちチュニジアなどいくつかの国は既にEUとFTAを
締結していることから、日本がこれらの国とFTAを締結するならば、これら諸国
は日本のEUへのFootholdとして重要な位置を占めることになる。日本がアラブ・
マグレブ諸国連合(AMU)全体(as an entity)とFTAを結ぶのは無理であっても、その
うちのWitting Partnerと締結できればよいということもありうる。
本フォーラムは、近年、経済関係緊密化の方策としてFTAの果たす役割が重視
されつつある中で、日本-アラブ・マグレブ連合諸国間の一層の経済関係強化の
ためにFTA締結の可能性を模索することを目的として開催された。
(2)開 催 日 時
平成20年3月31日(月)及び4月1日(火)
(3)開 催 地 チュニジア チュニス
(於:Salle des Congrès, The Arab Institute of Business Managers(IACE)会議室)
(4)主 催 者
日 本
側 (財)国際経済交流財団
チュニジア側 The Tunisian Agency for Technical Cooperation (ATCT)
The Arab Institute of Business Managers (IACE)
(5)出 席 者
《日本側》
深川 由起子
五味 紀男
原岡 直幸
畠山
襄
湯澤 三郎
早稲田大学政治経済学部 教授
明治大学経営学部特別招聘教授
立教大学ビジネスクリエーター創出センター シニアフェロー
財団法人国際経済交流財団 専務理事
財団法人国際経済交流財団 会長
エジプト・アラブ共和国通産大臣輸出振興顧問:エジプト輸
出振興センター チーフアドバイザー(JICA専門家)
合計5名
(アルファベット順/敬称略)
《アラブ・マグレブ連合諸国側》
Tunisia:
H.E. Mr. Salah Hannachi
Former Ambassador to Japan
-10 -
Amor Jilani
Chairman and Director General,
Tunisian Agency for Technical Cooperation (ATCT)
Chékib Nouira
Chairman, Arab Institute of Business Managers (IACE)
Fayçal Lakhoua
Professor, University of Tunis El Manar
Mohamed Hédi Lahouel
Professor, University of Tunis El Manar
Moez Belkhiria
Executive President, B.S.B. TOYOTA
AMU:
Jamel Boujdaria
Department Head, Economic Affairs
Algeria:
Sid Ali Abdellaoui
Consultant, Medibtikar
Libya:
Hakim Nagah
Chairman, LIBO Consulting
Hafez Ibrahim
Chairman, Libyan Business Council
Mauritania:
Mohamed Lemine Ould Deidah Chairman of the Board of Directors, Mauritania Airways
Morocco:
Moncef Kettani
Chairman, Union PMI-PME
合計12名
(6)議
題
“Possibility of an FTA between the Arab Maghreb Union Countris and Japan”
「日本-アラブ・マグレブ連合諸国とのFTAの可能性」
セッション1:Relationships between Japan and the Arab Maghreb Union countries:
stocktaking and opportunities
日本-アラブ・マグレブ連合諸国間の経済関係
セッション2:Exchange of experiences EPA (Japan) / Association and Free Trde
Agreements (AMU countris)
日本、アラブ・マグレブ連合諸国のEPA/FTA政策
セッション3:A FTA /EPA between the Arab Maghreb Union countris and Japan:
Oportunities and challenges
日本-アラブ・マグレブ連合諸国間FTAの可能性
(7)会議の概要
本シンポジウムは三つのセッションで構成され、各セッションではスピーカー
による発表に続き、質疑応答を交えてパネルディスカッションが行われた。
冒頭に畠山襄 国際経済交流財団会長は、
「日本がアラブ・マグレブ諸国と補完
的な関係にあることを考慮すれば、“日本とアラブ・マグレブ諸国におけるFTAの
可能性”について議論することは大変有意義なことであると考える。
」と述べた。
-11 -
ATCTのAmor Jilani氏は、
「このシンポジウムが日本とマグレブ連合諸国が実りあ
る互恵関係を築いていくための手段や方策を探り、FTAを締結することで日本と
マグレブ諸国が関係を深めていく道を探るためのブレインストーミングの場とな
ることを確信している。
」と述べた。
また、ハンナシ前駐日チュニジア大使は、基調講演において、
「日本は長い間、
二カ国間、複数国間のFTAという考えに対しては、WTOによる全世界の自由貿易
の精神に反するものとして反対してきたが、近年になってグローバルな流れの中
で自由貿易に向けては重層的アプローチが必要とその方針を転換し、シンガポー
ル、メキシコとFTAを締結するに至った。日本とメキシコのFTAは、日本-メキシ
コ-米国の三角関係により、三者に利益をもたらすWin-win-winのパートナーシッ
プのモデルといえる。マグレブ諸国は互恵的な三角関係、特に日本-マグレブ諸
国-EU関係の構築について、日本の東アジアや北米における経験を大いに参考に
できる。
」と述べた。
セッション1では、日本-アラブ・マグレブ連合諸国間の経済関係について、
貿易、直接投資、金融協力に焦点を当てて議論を行った。貿易では、日本の輸出
が2001-2006年に年平均5.8%の伸びであるが、日本以外のG7諸国の同伸び率が
7.7%であることと比較すると、日本以外のG7諸国が日本に比して早くからFTAを
推進しFTAのメリットを結果的に享受している。経済力のある日本は貿易と投資
を通じて世界経済を一層発展させていく必要がある。投資については、投資先の
決定要因として市場の大きさ、地理的要因、文化的要因が上げられる。AMU諸国
は経済的に統合し統一市場を形成するのがよいのではないか。北にヨーロッパ、
南にアフリカ大陸という立地上、独自の市場に留まらず、周囲への拠点としての
強みがある。日本にとってのメキシコのように、日本-メキシコ-米国の三角関
係の構築が参考モデルとなるという意見があった。経済協力面ではチュニジアの
例を上げ、長く日本からの援助はチュニジアの期待に沿い感謝されているが、今
後はよりタイムリーに、またより多くの関係機関が関与する形での協力が求めら
れているという。このような協力の成果は、チュニジアに留まらず、チュニジア
からアフリカ、中東へと日本と協力しながら役立てていくことができるだろうと
いう。また、アルジェリアでは日本車が多く、日本企業の家電製品、電子機器を
生産しているにも関わらず貿易統計データに反映していないという意見があり、
貿易と投資について正確な統計データの構築が必要であるということで共通に認
識された。また、互いの相手についてもっとよく知る必要があるという意見があ
り、日本とAMU諸国の間にこのような話し合いの場がいかに必要性であるかが強
調された。
セッション2では、日本、アラブ・マグレブ連合諸国のEPA/FTA政策について、
日本とAMU連合諸国双方の経験について議論を行った。日本における地域主義は
グローバルな流れの中で変化を続けている。日本のFTA政策についても歴史的背
景とともに変化してきた。日本はそもそもFTAへの取り組みが遅かったのだが、
近年の日本-ASEANパートナーシップは非常に戦略的で相互補完的なものであ
り、長期的な視野からFTAではなくEPA(自由化と協力を合わせたもの)を推進して
-12 -
いる点に特徴がある。日本はASEANを一つのグループとして支援し、一つは二国
間FTAを通じて、他方並行的にASEAN全体へのアプローチを行っている。同様に、
日本はマグレブ諸国を一つのグループとして支援していくことができる。マグレ
ブが統合して一つの市場となることを支援し、EUやアフリカ諸国への拠点として
発展していくことを支援する。
AMU諸国は歴史的にもEUと非常に結び付が強い。モロッコ、チュニジア、アル
ジェリアはEURO-Mediterranean Association Agreements (AA)をEUと締結(リビヤは
交渉中)し、地中海の南北における新たなイニシアティブを積極的に推進してい
る。AMU域内貿易の割合は対世界で4%と低く、EUとの貿易が域内全体の60%と
大部分を占めている。AMU諸国と日本では技術支援や金融協力の実績はあるが、
貿易、投資は大きくない。FTAを考えていくには双方の経験を共有し、相手市場
について理解を深め、産業界の絆を強めることが必須である。
日本とAMU諸国によるFTAのメリットについては、日本とAMU諸国の民間企業
のパートナーシップを強めること、日本にとってはAMU諸国のみならず更にEU
市場を見越した市場の拡大を図ることができ、これは日本がメキシコを通じて米
国市場へと拡大した先例にならうこと、また、FTAによりAMU諸国は経済統合が
進むことによる利益が考えられる。また、日本とAMU諸国のFTAについて、交渉
が難しい場合にAMU全体としてではなく個々の国と締結するということはある
かとの質問に対して、市場の大きさを考慮すると日本はAMU諸国を一つのブロッ
クとしてAMU全体と締結交渉するであろうという意見があった。
セッション3では、日本-アラブ・マグレブ連合諸国とのFTAの可能性につい
て議論を行った。日本においてFTAを推進するには3つの理由が考えられる。①
本年は日本で「アフリカ年」と呼ばれ、5月のTICAD VIや7月の洞爺湖サミットの
開催など、アフリカが議題になる年である。この機に経済関係の強化を図ること
はよいことで、アフリカの中でもマグレブ諸国との間にFTAを締結することは現
実的ではないか、②日本とマグレブ諸国の経済関係は経済規模に比して弱く、改
善の余地がある、③マグレブ諸国はEUとの結び付きが強く、日本にとってはEU
市場への拠点として重要な役割を果たす。
また、AMU諸国側からは、AMU諸国が一体となる必要がある。さらに日本と
AMU諸国とのFTAについては時期尚早と感じるとしながらも、日本とAMU諸国間
の貿易や投資が少ないことに触れ、マグレブ側がいかに日本企業の投資を引きつ
けられるか、ビジネスチャンスや競争力について日本側へ十分にアピールしてい
ないという意見があった。日本企業には実際にAMU諸国をみてもらう機会をつ
くっていき、AMU諸国への理解を深めてもらい、投資先として競争力があるとい
うことに確信を持ってもらう必要があるとした。
また、日本側スピーカーより、日本とシンガポールのFTAでは貿易の増加によ
り結果的に雇用機会が拡大したという例について、FTAにより貿易が増加し、投
資も増え、新たな投資に見合った雇用が創出されるといった指摘がなされ、FTA
にはこういった動的な分析が必要であるという意見があった。
-13 -
(8)成
果
①日本とアラブ・マグレブ連合諸国(チュニジア、アルジェリア、リビヤ、モーリ
タニア、モロッコ)の学界、産業界から有識者を招聘し、日本-アラブ・マグレ
ブ連合諸国間の一層の経済関係強化のためにFTA締結の可能性を模索すること
を目的として開催された。同シンポジウムは日本とチュニジアの民間団体が主
催する民間レベルの会議として、よきブレインストーミングの場であると認識
された。出席者からは日本とアラブ・マグレブ諸国間にこのような交流の機会
が少ないことから、今後もこういった機会を持ち、交流を深めていく必要性と
期待の声が数多くあった。
②同シンポジウムにより、全出席者の同意の下に、日本とAMU諸国から成る委員
により、Steering Committee(運営委員会)を設立し、日本とAMU諸国の経済緊密
化について、FTAの議論も含めて研究するということが合意された。具体的に
は、日本から4~5名、AMU五カ国から各1名の計10名程度の委員を選出し、日
本とAMU諸国の双方で研究を進め、最終報告書を作成するものとする。この研
究の成果は双方の政府に政策提言のかたちで提言し、その成果を有効なかたち
で広く普及させることを目的とする。
③シンポジウムは各国からのスピーカーによるパネルディスカッションに加え、
チュニジアや近隣AMU諸国から約70名の聴衆が参加して盛大なオープン・
フォーラムとなった。各セッションでは、スピーカーによる専門的、具体的な
プレゼンテーションの後に、観客を交えて双方向での活発な質疑応答が行われ
た。同テーマについてのAMU諸国における関心の高さが伺われた。
④日本側出席者からは、AMU諸国の予想をはるかに上回る意識や関心の高さに驚
いたというコメントや、聴衆からの意見や質問も非常に活発で良かった、会議
の内容も実務的な内容でよかったと思うといったコメントをいただいた。また、
アラブ・マグレブ諸国の出席者からは、こういった機会は非常に少なく、大変
有意義な議論の場となったというコメントが寄せられた。また、出席者の多く
が同シンポジウムを今後の大きな一歩であると評価し、今後ともこのような機
会を日本とマグレブ諸国の間に継続して持つことを強く望む声が聞かれた。
なお、本事業は財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の
一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
-14 -
Ⅱ.情報の発信
1.定期刊行物の発行
当財団は、日本の経済、産業、政治の動向や社会的・文化的側面を幅広く紹介し、
世界の人々の理解を深めることを目的として、海外向け英文情報誌「JOURNAL OF
JAPANESE TRADE & INDUSTRY」を隔月に定期刊行してきた。日本が発行している英文
刊行物は、日刊英字新聞を除けばその種類、発行部数ともに非常に少ないこと、また
諸外国における日本についての報道は、その大部分が経済に関する事項であり、それ
以外の事柄も同程度に取り上げられているとは言いがたく、日本の実情がバランスよ
く伝わってはいない状況にある。このため、正確で質の高い情報を継続的に発信する
ことが本誌の担う重要な役割であるとの認識のもと、昭和57年の刊行以来、22年間、
132号にわたって幅広い情報を発信してきた。
平成16年1月(2004年1/2月号、通巻133号)からは、誌名をより内容に即した「Economy,
Culture & History JAPAN SPOTLIGHT bimonthly」へと改称するとともに、レイアウ
トや表紙のデザインも一新した。日本の経済状況を理解するためにはその背景ないし
根源にある問題を理解する必要があるとの観点から、タイムリーな特集記事、時事ト
ピックス、日本の歴史、文化、芸術などのほか、国際問題に対する日本からの質の高
い洞察なども交え、バラエティに富んだテーマとトップクラスの信頼性を兼ね備えた
英文情報誌として、日本また世界の実情を紹介するべく努力を重ねている。
読者層は欧米を中心に、大手企業や公的機関をはじめ、大学、図書館、商工会議所、学識
経験者、各界のオピニオンリーダーなど広範囲に及び、内容・質ともに高く評価されている。
本誌記事には反響が多く、国内外の大学(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、南カリ
フォルニア大学、テンプル大学、コロンビア大学、立命館アジア太平洋大学)等の教育機
関からは、
「授業での教材、参考資料として取り上げさせてほしい」との要請があり、こ
れを受け入れている。執筆者が所属機関のホームページに転載したいと申し出ることも
多く、また、国内外の国際機関(国際大学GLOCOM、財団法人経済広報センター、
Dunskin/McGrawHill出版社)からも、
「ニュースレターに記事を転載させてほしい」等の
問い合わせがある。これらは、海外における本誌への関心が極めて高いこと、また本誌
の取り上げるテーマが国際的なニーズにも見合っていることを表していると言える。
①各号の主要テーマ(COVER STORY)
毎号カバーストーリーとして、経済はもとより様々な主題を取り上げ、寄稿者
には第一線で活躍中の財界人、学者、ジャーナリストなどの学識経験者を迎えて、
明確な視点からその実態をわかりやすく解説している。平成19年度の各号におけ
る主要テーマは次のとおりである。
● 2007年5/6月号
●
〃 7/8月号
「安倍新政権の経済政策」
「通商白書2007」
-15 -
● 2007年9/10月号
「環境特集」
「ワーク/ライフ・バランス」
「ウェブ革命と日本メディアへのインパクト」
「人材育成とイノベーション」
〃 11/12月号
● 2008年 1/2月号
●
〃 3/4月号
●
②主要な論文の概要
● カバーストーリー「安倍新政権の経済政策」(2007年5/6月号掲載)
小泉構造改革路線を踏まえ、新安倍政権の下での経済運営や経済政策の理
念、方向性、更には日本経済の課題と将来像等について紹介した。
「小泉政権下での経済政策の成果と検証」
小峰隆夫(法政大学社会学部教授)
「地方がカギをにぎる改革の成功」
土居丈朗(慶応大学経済学部助教授)
「地方分権改革の第二幕の課題」
神野直彦(東京大学大学院経済学研究科教授
「日本経済の課題」
小林慶一郎(経済産業研究所フェロー)
「“イノベーション”で切り開く新しい時代」
齋藤圭介(経済産業省経済産業政策局産業再生課長)
「岐路に立つ日本のFTA戦略-機能性か外交的手腕か?」
深川由起子(早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科教授)
「安倍政権が直面する課題-経済成長と格差是正」
河野龍太郎(BNPパリバ証券会社 チーフエコノミスト)
「安倍政権の経済政策決定プロセスについて」 平田育夫(日本経済新聞社論説委員長)
● カバーストーリー「ワーク/ライフ・バランス」(2007年11/12月号掲載)
少子化問題に取り組む日本政府の対応や方向性、少子化に深く関わる女性
のワーク/ライフ・バランスの現状と今後、少子化対策が進んでいるスウェー
デンやフランスと日本の現状の違いや学ぶべき事などを多面的に紹介した。
「わが国の少子化問題と今後の展望」
渥美由喜(富士通総研経済研究所主任研究員)
「日本における少子化対策の新たな展開-ワーク/ライフ・バランスの実現を目指して」
板東久美子(内閣府 男女共同参画局長)
「女性の指標としての出生率-少子化の人口学的なメカニズムと要因-」
和田光平(中央大学経済学部教授)
「Womenomics: Japan’s Hidden Assets」
キャシー松井(ゴールドマン・サックス チーフ・ジャパン・エクイティ・ストラテジスト)
「少子化問題と女性-女性の心理発達の問題として-」
柏木恵子(文京大学大学院客員教授、東京女子大学名誉教授)
「Fertility Decline & Work Life Balance」
山口一男(シカゴ大学 社会学部教授)
「ワーク/ライフ・バランス-少子化を食い止める労働と生活に関する意識改革-」
パク・ジョアン・スックチャ(アパショナータInc.代表、ワーク・ライフ・コンサルタント)
「働く日本の女性の昔と今-男女雇用機会均等法から20年-」
飯野奈津子(日本放送協会解説委員)
-16 -
「政府主導で少子化を食い止めたフランスとスウェーデン」
藤井威(みずほコーポレート銀行顧問)
「少子化対策は女性の活用が鍵 仕事と子育ての両立支援に手応え:
資生堂取締役執行役員常務の岩田喜美枝氏」(インタビュー記事)
● カバーストーリー「人材育成とイノベーション」(2008年3/4月号掲載)
経済産業省の取り組み、ビジネスの活性化のための人材育成、国立大学の
新しい方向性等を紹介した。
「国立大学の開放」
原山優子(東北大学大学院工学研究科 教授)
「Innovating the Innovation System: Changes in Japanese Universities」
リチャード・ダッシャー(スタンフォード大教授/東北大理事)
「Japan Responding to Globalism: Innovation & Entrepreneurship」
ウィリアム・ミラー(元・スタンフォード大ビジネススクール校長)
「Innovating Japan through Globalization of Human Capital」
フクシマタチバナ・サキエ(コーン・フェリー・インターナショナル 日本担当代表取締役社長)
「生産改革のリーダーを育てる松下戦略の中核的役割果たすものづくり大学を現場リポート」
岡部央(共同通信社編集局経済部次長)
「トヨタウェイを伝承するトヨタインスティテュート」 貝田尚重(時事通信社 産業部)
「Universities Playing a Critical Role in Globalization & Innovation」
石倉洋子(一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授)
「人材育成とイノベーション“人財立国”の実現に向けて」
守本憲弘(経済産業政策局 産業人材政策担当参事官)
● VIEWPOINT「外国人特派員の見た日本」(連載中)
日本在住の外国人特派員による連載。日本で生活しながら体験した事、日
本の社会に影響を与えている事象などを外国人特派員としての視点から綴る。
● Challenging
Region (2007年5/6月号から連載開始)
少子化、高齢化社会の到来の中、地方を取り巻く環境が一段と厳しくなっ
ている。このような状況の中で自然、歴史、文化といった特性を活かしなが
らその活性化に取り組んでいるユニークな日本の地方の姿を紹介する。
第1回目は、グリーンツーリズム大賞を受賞した岩手県岩手郡葛巻町町長で
あり、(社)葛巻町畜産開発公社の理事長でもある中村哲雄様にその取り組み
をご紹介いいただいた。
● ASIAN
VIEW「アジアからの視点」
アジアの研究者にご執筆いただいた記事を通じて、より深く日本を理解い
ただくことを趣旨としている。平成19年度はインド、マレーシア、韓国、中
国の方々に、日本及び日本と自国の関係等についてご紹介いただいた。
-17 -
● FINANCE
時事通信社経済部次長による経済論評。日本経済・金融の諸問題を、時事的・
長期的の両視点からわかりやすく説くコラム。平成19年度は、日銀追加利上げ、
不正会計防止のための政府の取り組み加速、完全復活へ真価問われる日本の大
手銀行、外為市場の構図変えた「東京の主婦」等のテーマを取り上げた。
● KEEPING
UP WITH THE TIMES
時事通信社社会部長による連載コラム。日本社会の現状・諸問題を時事的・
長期的の両視点から紹介する。平成19年度は、新聞から固有名詞が消える日、
多国籍医師団の多方位支援、裁判傍聴の面白さ静かなブーム、石見銀山-大
航海時代の記憶等のテーマを取り上げた。
● CULTURE
共同通信社文化部長による連載コラム。文化の側面から日本の今を描く。
平成19年度は、美術品の複製、感受性、現代学生気質、想像する力等のテー
マを取り上げた。
● JAPANESE
IDENTITY/JAPANESE MIND
各界で活躍する日本人・外国人に、日本の心とは、アイデンティティとは
何かを各人の体験に基づいて論じてもらう寄稿コラム。日本人の心理を理解
することが、日本そのものを理解する一助となるという観点で好評を博して
いる。平成19年度は、映画と能、日本映画“不老長寿”
、文楽、What Is Identity?
等のテーマを取り上げた。
● JAPAN’S
FOOD CULTURE
日本食が世界的なブームとなっている。「季節と食」を切口に、日本の風土
文化に根差した日本の食を紹介するコーナー。平成19年度は、日本酒-その
特徴と魅力、お米と日本人、健康・新鮮・日本の食材-みんな大好き「豆腐」
等のテーマを取り上げた。
● GALLERY
日本の近代建築についての連載記事。当初3回の連載を予定していたが好評
を得たため連載を継続している。平成19年度は、建築にみる日本(街道と宿
場町の町並みを求めて-失われた日本の風景を取り戻す試み-)
、向こう三軒
両隣的調和-日本の都市と建築-、自分で考える・自分でつくる(日常性と
人間の想像力)
、形のない都市等のテーマを取り上げた。
なお、本事業は財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の
一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
-18 -
2.インターネットの活用
(1)ホームページによる情報発信
インターネットの世界規模での飛躍的な拡大に的確に対応し、これを最大限に
活用することによって本誌掲載論文の内容を広く世界へ敷衍するため、1995年の
11/12月号以降英文情報誌、掲載論文の一部を弊財団のホームページ上に掲載して
きた。2004年1月からは雑誌名称変更に伴い、ホームページのリニューアルを行い、
雑誌の定期購読者にはパスワードを発行し、インターネット上でも雑誌紙面と同
様のデータ(PDFファイル)にアクセスできるようにした。
また効果的で分かりやすいWebサイトを目指してデザインを一新し、従来の
公式サイトと比べ格段にコンテンツ内の統一感やユーザビリティ・アクセシビリ
ティが高まっている。さらに、2006年3月にはバックナンバー機能をより使いやす
いものに整備したことにより、今後も一層多くのアクセスが見込まれる。
(アドレス:http://www.jef.or.jp/journal/index.html)
(2)JEFホームページのアクセス状況
利用者がホームページにアクセスして来た際に記録されるアクセスログに基づ
く分析結果は次のとおり。
①アクセス数(利用者数)の推移
2,000,000
1,816,8541,872,035 1,840,956
1687303
1,500,000
1,000,000
433,350 427,113
500,000
67,651
145,636
234,354
0
度
度
度
年
年
年
1
2
3
1
1
1
度
度
度
度
度
年
年
年
年
年
4
5
6
7
8
1
1
1
1
1
度
年
9
1
(注:HP改定に伴いアクセスカウント方法は平成15年度途中より変更されている。)
-19 -
②国別のアクセス状況
ホームページには、世界各国よりアクセスがあり、上位30カ国からのアクセ
ス数は次のとおりである。
(集計期間:2007年4月~2008年月3月末)
順位
国
名
アクセス数
順位
国
名
アクセス数
1
日本
655,670
16
イタリア
4,249
2
アメリカ
197,939
17
オランダ
4,058
3
オーストラリア
14,546
18
メキシコ
3,637
4
カナダ
9,846
19
ポーランド
3,311
5
インド
9,781
20
ハンガリー
3,045
6
イギリス
9,582
21
スイス
2,997
7
ドイツ
9,051
22
インドネシア
2,961
8
中国
8,856
23
韓国
2,816
9
フランス
7,114
24
香港
2,185
10
ロシア
6,228
25
ブラジル
2,172
11
タイ
5,629
26
ベルギー
2,099
12
マレーシア
5,446
27
フィンランド
1,994
13
シンガポール
5,293
28
ニュージーランド
1,798
14
イスラエル
5,044
29
ベトナム
1,706
15
台湾
4,426
30
トルコ
1,647
(注1:アクセスがあったもののうち国別IPが判明したものを集計)
(注2:日本のアクセス件数は在日外国人のアクセスを含む)
(3)データベース「ダイアログウェブ」と「ファクティバ」への掲載論文の提供
欧米の有力なデータベース・インフォメーション・ネットワークである「ダイ
アログウェブ」(米国のダイアログ社と英国のフィナンシャル・タイムズ社による
共同運営)から、本誌に掲載される論文を同社のデータベースに載せたいとの要請
があったのに応じて、平成10年度以降毎号の弊誌掲載論文が同社の「ダイアログ
ウェブ」を通じて全世界に提供されている。このデータベースは世界のニュース
を包括的に配信するデータベースで、世界各地の主要な新聞、ビジネス誌、通信
社配信を収録している。
また、英国のロイター社と米国のダウ・ジョーンズ社が共同運営し、ウェブサイ
トとコンテンツ統合ソリューションを通じてトップクラスのグローバルニュース
やビジネス情報を提供している「ファクティバ」にも本誌記事を掲載している。
「ファクティバ」のビジネス情報データベースにはダウ・ジョーンズ社とロイター
社から供給されるニュースワイヤーや、ウォールストリートジャーナルのほかに、
世界各国の8,000以上にのぼる情報ソースが含まれている。
-20 -
Ⅲ.国際経済関係の調査研究
最近の我が国を取り巻く経済・産業における諸問題を踏まえつつ、企業戦略や政府
機関の政策の参考となる諸外国の諸制度の実情調査や国際経済を巡る様々な問題に
ついて欧米、アジアを中心に調査研究、国際共同研究等を実施した。
なお、平成19年度においては、次のテーマで調査研究等を実施した。
本事業は、財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の一部で
ある機械工業振興事業補助金の交付を受けて実施している。
・EU拡大後の欧州の産業再編とエネルギー問題への取組みに関する調査研究
・グローバル経済下での積極的CSR戦略のあり方に関する調査研究
・会計基準の国際的統合における諸問題に関する調査研究
・ロシアにおける鉄鋼業を中心とした素材・資源関連企業の研究に関する調査研究
・わが国における国際商事仲裁の活性化の方策に関する調査研究
・欧州連合の地域戦略としてのCSRの役割に関する調査研究
・海外のアルミニウム合金製鉄道車両の動向に関する調査研究
・中東アフリカ等における機械産業の進出可能性に関する調査研究
・アジア経済連携における省エネ・環境に寄与するプラント産業・貿易分野の協力
促進に関する調査研究
・インドの鉄鋼業の動向等に関する調査研究
・アジア主要国の自動車流通市場の実態把握と課題に関する調査研究
・中国の産業構造の高度化とWTO加盟に伴う市場開放のインパクトに関する調査
研究
・中堅・中小企業のインドへの進出促進に関する調査研究
・中国における自動車流通管理体制等に関する調査研究
・日本の自動車産業のグローバル化戦略に関する調査研究
・中国経済構造変化が機械産業へ及ぼす影響に関する調査研究
・グローバリゼーションが世界及び日本経済に与える影響に関する調査研究
・韓国自動車産業の通商戦略に関する調査研究
・米国の政治情勢の変化が米中関係に及ぼす影響に関する調査研究
・米国の国防予算、防衛産業動向等に関する調査研究
・日米間の防衛技術交流に関する調査研究
・米韓FTAがアジア諸国のFTA戦略及び日本企業に及ぼす影響等に関する調査
・米国の東アジア地域における通商政策に関する調査研究
・世界的経済課題に対する米国経済政策に関する調査研究
調査テーマ及び委託先の選定については、平成18年1月よりJEF調査委員会
(猪口孝中央大学教授を座長とする外部委員会)を設置し、ご審議頂いているところで
あり、それらを踏まえて調査研究等を実施している。
-21 -
Ⅳ.人的な国際交流
1.市場経済化知的交流
旧社会主義経済諸国に対し、過去の日本の経験等を踏まえ、計画経済から市場経済
への円滑な移行を支援するための知的交流を1997年(平成9年)より実施している。
今年度は世話人会1回、交流会2回、セミナー1回を開催した。
(1)活動内容
世話人会の開催
第28回世話人会(平成19年6月27日)
講 演:
「甘利経済産業大臣の中央アジア訪問について」
講 師:増山 壽一氏(経済産業省 欧州中東アフリカ課長)
その他:平成19年度事業計画、会員及び会費について等
交流会の開催
(ア)第36回交流会(平成19年10月29日)
講 義:
「ベトナム経済の現状と日越関係」
講 師:グエン・ミン・ハ氏 (駐日ベトナム大使館次席公使)
(イ)第37回交流会(平成20年2月8日)
講 義:
「カザフスタン経済の現状とカザフスタンと日本との協力の展望」
講 師:アクルベク・カマルディノフ氏(駐日カザフスタン共和国大使)
セミナーの開催
ロシアセミナー(平成19年9月21日)
講 演:
「Japan-Russia Economic Opportunities and Cooperation」
参加者:市場経済化知的交流グループメンバー、ロシアミッション一行
(2)主たるメンバー
交流グループには多数のメンバーが参加しているが、その世話人会の構成は次
のとおり。
会
長
畠 山
襄
(財)国際経済交流財団 会長
代表世話人
福 川 伸 次
(財)機械産業記念事業財団 会長
事務局長
米 村 紀 幸
(社)中小企業診断協会 会長
世 話 人
伊集院 明 夫
木 村 享 史
(財)ラヂオプレス 理事長
(財)社会経済生産性本部 アジア事業部長
-22 -
関
田
塚
原
西
藤
屋
中
本
岡
村
川
宏 彦
哲 二
弘
直 幸
可 明
鉄 馬
(財)日本経済研究所 国際局上席研究主幹
中央アジア・コーカサス研究所 副理事長/所長
(財)貿易研修センター 理事長
(財)国際経済交流財団 専務理事
一橋大学 経済研究所 特任教授
(株)武蔵野銀行 相談役
(敬称略/順不同)
(3)成
果
市場経済化知的交流グループでは、これまで旧社会主義経済諸国に対し、日本
の過去の経験等を踏まえ、計画経済から市場経済化への円滑な移行を支援してお
り、従来行ってきたSME対策支援等、その成果を上げつつある。
本年度は、主にベトナム、カザフスタンをテーマにその分野の専門家を講師と
して招き、世話人会、交流会、セミナーを計4回開催した。各講義には、当グルー
プの会員以外にも、外部から多くの参加者がオブザーバーとして出席し、毎回盛
況であった。また、9月には、日露ビジネスフォーラムへの参加のために来日した
ロシア側参加者の一部を招きビジネスセミナーを開催し、12月には、ベトナム・
ハノイ市とホーチミン市にて開催されたベトナム商工会議所主催の会議に昨年に
引き続きスポンサーとして出資すると共に、メンバー数名がスピーカーとして出
席した。
なお、本事業は財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競輪収益の
一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
2.国際経済交流銀座等懇談会
(1)開催趣旨
「国際経済交流銀座等懇談会」は、地元銀座地域の国際経済交流の一層の推進
の一助とするべく、JEFが事務局となり、当財団の会議室で月1回程度開催し
ているものであり、出席者は当地域のエグゼクティブの方々を中心としている。
(2)開催実績
第33回開催
時 期:平成19年4月20日(金)
講 師:黒田 眞 氏 ((財)世界経済情報サービス 理事長)
テーマ:
「少子化の問題を考える」
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第34回開催
時 期:平成19年5月14日(月)
講 師:関屋 宏彦 氏 ((財)日本経済研究所 専務理事)
テーマ:
「わが国の知的国際協力の現状と課題
~コンサルティングの現場から~」
第35回開催
時 期:平成19年6月22日(金)
講 師:小笠原 敏晶 氏((株)ジャパンタイムズ 代表取締役会長)
テーマ:
「ジャパンタイムズ110年の歴史と国際関係」
第36回開催
時 期:平成19年7月12日(木)
講 師:藤川 鉄馬 氏(武蔵野銀行 相談役)
テーマ:
「冗句學講座・・・日本人のユーモア感覚とジョークに対する考え方」
第37回開催
時 期:平成19年9月27日(木)
講 師:米村 紀幸 氏((社)中小企業診断協会 会長)
テーマ:
「知的創造のワークプレイス」
第38回開催
時 期:平成19年10月16日(火)
講 師:畠山 襄((財)国際経済交流財団 会長)
テーマ:
「FTAあれこれ」
第39回開催
時 期:平成19年11月13日(火)
講 師:服部 禮次郎 氏((株)和光 取締役会長)
テーマ:
「アフリカを考える」
第40回開催
時 期:平成19年12月6日(木)
講 師:渡部 恒弘 氏(モルガン・スタンレー証券(株) 副会長)
テーマ:
「合従連衡の苦手な企業は市場から消えていく」
第41回開催
時 期:平成20年1月24日(木)
講 師:吉田 庄一郎 氏((株)ニコン 相談役)
テーマ:
「日本の製造業を考える」
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第42回開催
時 期:平成19年2月19日(火)
講 師:塙 義一 氏(日産自動車(株) 名誉会長)
テーマ:
「自動車のCO2排出量削減」
第43回開催
時 期:平成19年3月13日(木)
講 師:鈴木 忠雄 氏(メルシャン(株) 特別顧問)
テーマ:
「今年の世相漢字~今年の漢字に『明』が選ばれますように」
Ⅴ.貿易振興等特別事業
WTO・FTAの推進が我が国にとって重要な課題であることを踏まえ、これに関
連する調査研究を実施するとともに、貿易自由化の影響を受ける可能性のある産業に
対して必要な助成を行った。
なお、本事業の一部は、財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)より競
輪収益の一部である機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費に充当している。
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Ⅵ.管理関係事項
(1)理事会に関する事項
第69回理事会(平成19年6月19日)
議
題
平成18年度事業報告書について
平成18年度決算報告書について
平成19年度補助事業の実施について
事務局長の任命について
第70回理事会(平成19年7月18日)
議
題
専務理事の互選について
顧問の委嘱について
第71回理事会(平成19年11月16日)
議
題
評議員の委嘱について
顧問の委嘱について
第72回理事会(平成20年3月18日)
議
題
平成20年度事業計画書案について
平成20年度収支予算書案について
平成19年度決算の新会計基準の適用について
規程の変更等について
会長及び専務理事の選任について
次期評議員の委嘱について
顧問の委嘱について
(2)評議員会に関する事項
第19回評議員会(平成19年6月19日)
議
題
役員の選任について
平成18年度事業報告書について
平成18年度決算報告書について
平成19年度補助事業の実施について
第20回評議員会(平成19年7月17日)
議
題
役員の選任について
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第21回評議員会(平成20年3月18日)
議
題
次期役員の選任について
平成20年度事業計画書案について
平成20年度収支予算書案について
平成19年度決算の新会計基準の適用について
(3)経理に関する事項
補助金関係
財団法人JKA(旧 財団法人日本自転車振興会)からは競輪収益の一部で
ある機械工業振興事業補助金の交付を受けて、事業費の一部に充当している。
以上
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