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補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)の接し方
補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)の接し方 補助犬は、身体障がい者の方が施設等の利用の円滑化を図り、自立や社会参 加を促進する目的で、身体障害者補助犬法(厚生労働省)に基づいて、また補 助目的に応じて特別な訓練を受け、厚労大臣より指定された指定法人(訓練所) にて認定された犬です。 したがって、障がい者の方にとっては生活の安全を守る目的を持った大切な パートナーであり、ペットではありません。また、補助犬に対して、ユーザー の接し方はペットとは異なりますので、それに応じた事前の理解やユーザーと の意志疎通が必要になります。 本年も「補助犬並びにユーザーの皆様が、いつでも、いつまでも安心して社 会参加できますように」との願いで、 「補助犬の健康管理に関する講習と実習会」 を開催いたします。この機会に、身体障がい者の方が円滑に社会生活を送るた めには、獣医師だけでなく一般の方にも補助犬に関する理解を深めて頂けるよ うにとの願いで、補助犬の接し方について資料を作成しました。これからの補 助犬に対する際の参考にして頂ければ幸いです。なお、本資料は、関係者の方 の協力によって、より充実したものにしたいと願っております。 「補助犬とは、つぎの3種類です。」 〇盲導犬: “白い、ハーネス”をつけています。 目の見えない人、見えにくい人が街なかを安全に歩けるようにサポートしま す。ユーザーの安全を図るために、障害物を避けたり、立ち止まって曲がり 角を教えたりします。 〇介助犬:”介助犬”と書かれた表示をつけています。 手や足に障害のある人の日常の生活動作をサポートします。ユーザーが指示 した物を拾って渡したり、持ってきたり、洋服の着脱衣を手伝ったりユーザ ーが必要とする動作を介助します。 〇聴導犬:”聴導犬”と書かれた表示をつけています。 音が聞こえない、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。 たとえば、玄関のチャイム音・FAX着信音・お湯が沸いた音などの生活音・ 赤ちゃんの泣き声などを聞き分けたり、特に重要な仕事は火災報知機の音を 知らせることです。 「補助犬の接し方」 ・ 盲導犬は白いハーネス、介助犬・聴導犬がそれぞれケープを着用している時 は、仕事中ですので 3 つの約束(見つめない・勝手に触らない・声をかけな い)を守ってください。 ・ 補助犬はユーザーの指示で排泄するようにトレーニングされていますので 一般の方へ「迷惑を掛けない」ことを理解しておいてください。 「盲導犬ユーザーの接し方」 ・ 盲導犬の役目は、ユーザーを目的地まで誘導するのではなく、ユーザーが目 的地に達する途中にある交差点の位置や建物の入り口等の情報を知らせる ことが仕事です。たとえば、ユーザー(視覚に障害のある方)が「郵便局に いけ」と言っても行くことはできません。すなわち、ユーザーが環境などを 判断した上で出す指示に従って行動しています 従って、ユーザーにとって初めての環境(公共施設や動物病院訪問など) では、盲導犬に適切な指示が出せませんので、周囲の方の「盲導犬を連れて いるから手伝いは必要ない。 」ということではありません。補助を依頼され た場合には、次のような対応が必要です。 ユーザーさんが「困っているのかな?」と思ったら、 「どちらに行かれるん ですか?」とユーザーさんにだけ声をかけてください。 その際、トントンと肩をたたいて声をかけてあげると早く気が付かれると 思います。話しかけていけないのは盲導犬にです。 ・ ”ハーネス“に、第三者が手をかけると犬が戸惑いますので絶対にさわら ないでください。もし、犬に触る必要性がある(盲導犬の診察時など)と判 断された場合やユーザーに依頼された場合には、必ず、ユーザーに「・・・ に触ってもいいですか?」と尋ね、了解を得た上でユーザーの指示に従って 触りましょう。この場合、犬は重要な責任を負っていますので、過剰に興奮 をさせないように配慮することが大切です。 「盲導犬やユーザーを誘導する方法について」 〇盲導犬が側にいる場合 ・動物病院の診察室・診察台などへ誘導する場合や路上において、ユーザー を盲導犬の誘導に任せたまま案内するときは、ユーザーの右後ろに立ち、 「まっすぐ進んでください。」 「止まってください。」というように明確に指 示してください。曲がり角やドアの前では、その度に一旦止まってもらい、 「右・左・ドア確認後、まっすぐ進んでください。」などの指示をしてくだ さい。 〇盲導犬が側にいない場合 ・室内などでユーザー側に盲導犬がいない場合には、補助者は視覚障がい者 の一歩前に立ち、あなたの腕もしくは、肩や肘に手を掛けてもらいます。 そして、視覚障がい者の歩くスピードに合わせて歩きます。視覚障がい者 が安心して進行の判断ができるように、「右に曲がります」、「階段を上り ます」など、次の動きや周囲の様子をわかりやすく知らせることが必要で す。 なお、視覚障がい者の衣服や特に腕を掴んで引っ張ったり、無理に体を誘 導しようとするのは、混乱や怪我などを招きますので、要望にそって行動 してください。 ・ユーザーの方に進行方向を指示するときは、「前後左右」か、時計の文字 盤のように「1時の方向」など分かり易く説明してください。 ・イスに案内するときは、イスのすぐそばまで誘導し、視覚障がい者の手を イスの背もたれに触らせてあげてください。背もたれのない丸イスなどの 場合は、座板に手を誘導して「丸イスです。」と言葉をかけてください。 ・イスやドア等をコツコツと叩いたり、軽く音を立てるといった聴覚の手が かりを作るテクニックは、それらの位置を示すのに効果的です。 「聴導犬ユーザーの接し方」 聴覚障がい者は、外見は健常者そのもので障害があることを見分けること は困難です。聴覚障害の起きた時期により、障害の程度はさまざまで、言葉 が 話せる方も話せない方もおられます。聴導犬と書かれた犬を連れている ことにより、街中では聴覚障がい者であることを認識できます。 聴導犬の中には、ユーザーの名前が呼ばれたことを知らせる訓練を受けて いる犬もいますが、すべての犬がこのような対応ができるわけではありませ ん。したがって、動物病院で診察の呼び出しの声をかけた際には、ユーザ ーが気づいているかどうかの視認や見守りなど、確実に呼び出しが伝わる ようような配慮が必要です。 ”ポイント” 聴覚障がい者との接し方で留意すべきことは、意志の疎通方法の選択です。 その方法には、手話、筆談、口話などがあります。聴覚障がい者だからと言 って、必ずしも手話でなければならないということはありません。 メモ用紙等の準備があれば、筆談が可能です。動物病院での診察時に適した 会話方法だと思われます。 障害の程度によっては大きな声で伝えれば理解して頂ける場合もあります。 口話は、口の動きを読み取って理解する方法ですので、マスクなどを外して 対応することが必要です。尚、犬の診察にはユーザーからの正しい情報や獣 医師の説明が必要なので、相互の意志疎通ができる方法を、ユーザーに選択 していただくことになります。 「介助犬ユーザーの接し方」 介助犬ユーザーの中には、車椅子に乗っておられる方や杖歩行の方がおら れます。エレベーターのボタンを押す、段差を超えるなど、介助犬が補助で きる場合もありますが、介助犬では越えられない高い階段や、届かない場所 では、人為的なサポートが必要になる場合もあります。 人為的なサポートを行う場合には、ユーザーの意志を十分に理解して行う ことが必要です。 ”ポイント” 動物病院でも障がい者を誘導する際には、極力段差のない場所や経路を 選択する必要があります。介助犬だけでは乗り越えることができない場合 や車椅子の移動のためには、通常より幅広いスペースが必要となります。 日頃より動物病院内での移動経路を想定しておくことが必要です。 ・最後に、補助犬ユーザーに対して、公的に使用してはならない言葉以外は、 特有の禁句はありません。プライバシーに立ち入ったりしないなど、あたり まえのエチケットは守りましょう。 一般社団法人愛媛県開業獣医師会 補助犬診療費助成委員会