Comments
Description
Transcript
「衛生」とは何か? - 日本水フォーラム
日本の国際協力における 衛生支援ガイドブック 第3章「衛生支援の基本的な考え方と留意点」 日本の国際協力における衛生支援: 現地の状況に即した衛生技術とは? (外務省主催NGO研究会「水に関わる援助のあり方」第2回会合) 2008年12月12日 国際協力機構 橋本和司 • 衛生問題と水ー飲料水の水質の問題、特に地下水汚染の問題 • ハード支援(衛生施設整備)ー適正技術とインセンティブの問題 • ソフト対策ー衛生教育と住民参加の必要性 • 段階的な整備 • 維持管理体制 • 総合的なソフト対策 • 衛生支援に関する留意点ー衛生の政治的側面等 1 日本の国際協力における 衛生支援ガイドブック 第5章「各衛生処理技術の概要と留意点」 2 円借款によるMDGs「衛生」目標への貢献 (2003-2007) •下水道 •浄化槽 •自己処理型 •開発途上国で普及している技術ーセプティック・ タンク、ピットラトリン •し尿収集処理 9 下水道プロジェクトの数(国別): 中国 17、インド8、ベトナム7、モロッコ3、 ブラジル、コスタリカ、モルディブ、パナマ、 インドネシア、各1件(合計40プロジェクト) 9 公共下水道に新たに接続される人口: 2,250万人 3 両極に分かれた「衛生」支援 4 「衛生」とは何か? • 下水道整備支援(JICA(円借款)) • 人間が家庭などの身の回りにおいて排泄物(し尿) を適切に処理しないことによる健康被害を防止する ためのトイレの整備 両者の間を繋ぐものが必要ではないか? 浄化槽技術・し尿収集処理技術(日本の独自技 術)は、途上国の「衛生」改善に貢献できるか? (両者を含む幅広い問題) • 排泄物や生活排水などの汚水による公共水域の水 質汚染がもたらす環境被害を防止すること • トイレ普及支援(UNICEF,JICA(無償・技協)等) 5 6 1 途上国の「衛生」問題に対応するためには? • トイレの普及だけでも、下水道の整備だけでも駄目。 しかし、途上国の「衛生」の問題において、実 は、衛生技術が最も重要な問題なのではない。 途上国の「衛生」の改善が進まないのは、政治の問題が大きい。 (例)ピットラトリン・セプティックタンクは、維持管理 (汚泥引き抜き等)が適切に行われない場合には、 地下水や河川の汚染を引き起こす。 • 「衛生」の開発政策上の優先順位が低い。 • 政治家はトイレについて語りたがらない。 • 貧困層は「衛生」にお金を使いたがらない。-貧困層は、携帯 電話は買っても、トイレは買わない。(Jack Sim, Founder of WTO)。 • 携帯電話はプラスのシンボル。トイレはマイナスのシンボル。 • オンサイト処理技術も含めて複数の技術を組み合 わせて取り組んでいく必要がある。 7 8 「衛生」の「階段」 • ドナーの役割:途上国の政府や人々が、「衛 生」の「階段」をステップ・バイ・ステップで上が っていくのを助けること。 • 日本も最初から「衛生」の「階段」を上っていた わけではない。日本が、どのようにして「衛生」 の「階段」を上ってきたか、を伝えることも、日 本の役割。 (出典)UNDP「人間開発報告2006」 9 10 日本が上がってきた「衛生」の「階段」 ご清聴どうも有難うございました! • 太平洋戦争前:コレラなどの水系感染症の流行により10万人 以上が死亡(1874年、1881年)。 • 太平洋戦争直後:水道普及率30%。衛生的処理0%。水系感 染症発症年間10万件。 URL:http://www.jica.go.jp • 1955-1975年:全国で簡易水道・し尿処理場を建設。水系感 染症発症数年間1000件まで減少。 • 1964年(東京オリンピック):下水道普及率僅か8%。 • 1970年:公害国会。本格的な下水道整備に着手。 • 2008年:下水道普及率70%超。残り30%も、浄化槽やし尿処 理場で衛生的に処理。 11 12 2