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輸送容器の製作に係る品質管理指針の改正について

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輸送容器の製作に係る品質管理指針の改正について
輸送容器の製作に係る品質管理指針の改正について
平 成 20年 5月
経
済
産
業
省
原子力安全・保安院
核燃料管理規制課
1.改正の背景
我が国では、特に保安上の措置を要する輸送物が陸上輸送される際、原子炉等規制法第 59 条
第 2 項の規定に基づき、その実施に先立ち、輸送ごとに、省令に定める技術基準への適合につい
て、主務大臣による運搬物の確認(以下「運搬物確認」という。)が行われる。運搬物確認では、遮
へい、密封等の輸送容器の安全機能を確認するとともに、外運搬規則第 21 条第 1 項の規定により、
運搬物確認の申請者である原子力事業者等(以下「申請者」という。)に対し、容器が適切な設計及
び方法に従って製作されていることを示す説明書を申請書に添付することを求めている。
原子力安全・保安院は、説明書に「容器の品質システム」の記述を求めるとともに、申請者が当
該システムを構築する際の要求事項を「輸送容器の製作に品質管理指針について(平成14・06・07原
院第5号。以下「品質管理指針」という。)」により示している。
品質管理指針は、国際規格 ISO9002:1994(以下「ISO9002」という。)の要求事項の中から、申請
者及び容器製造者の品質管理活動を審査する上で鍵となる確認事項を規定している。さらに、輸
送容器には、厚肉部材の溶接、レジン(中性子遮へい体)施工等の特殊加工が多用されることから、
それらの加工を行う容器製造者の品質管理活動に対する申請者による監査が適切かを審査する
上で鍵となる確認事項を「容器製造者への要求事項」として追加で規定している。
今後、容器製作の拡大、加工調達先の多様化等が見込まれるため、容器の技術基準への適合
を十分に担保して行くためには最新の国際標準に基づく品質管理が必要であるとともに、現在、国
内で品質マネジメントの国際規格 ISO9001:2000(以下「新 ISO9001」という。)の認証取得が普及する
一方、現行指針が古い要求事項を規定していることが、申請者が既に取得した認証への対応業務
に加えて重複的な負荷を強いている可能性があり、その解消が求められる。
2.改正の概要
(1) 新 ISO9001 の策定を踏まえた要求事項の改正について
品質管理指針の要求事項のうち ISO9002 に基づいているものについては、新 ISO9001 に基づ
くマネジメントシステムの確立を求めるものに改正することとする。改正の主要点は以下の通りで
ある。
(イ) 品質マネジメントの考え方の取り入れ
製品の要求仕様への適合を一層確実にするためには、より万全な品質のチェック体制の確
立が必要であり、そのためには、トップマネジメントが品質方針を定め、管理責任者が品質に関
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わる組織の行為について指揮・管理を行い、各部門が品質方針に基づき品質目標を定め、そ
の達成に向けて努力するなど、組織における各々の責任と権限等を明確化することが不可欠
である。
新 ISO9001 では、ISO9002 の様に品質管理だけを対象とせず、文書化した規定に基づき上
記の体制、すなわち品質マネジメントシステムの確立を要求している。新 ISO9001 のこれらの
特徴は、輸送容器の製造においても効果が十分に期待されることから、これら要求事項を品質
管理指針に取り入れることとする。
(ロ) 申請者及び容器製造者の責任の明確化
輸送容器の製作において十分な品質を確保するためには、要員が規範意識に基づき、常に
高い勤労意欲を維持することが必要であり、そのためには、原子力安全に対する社会的な要
請を十分に理解したトップマネジメントが果たす役割が不可欠である。
新 ISO9001 では、組織運営におけるトップマネジメントの役割の重要性が強調されており、ト
ップマネジメントが品質方針を設定し、組織を確立(権限の明確化、要員の教育、管理責任者
の任命)し、マネジメントレビューを実施すること等を要求している。新 ISO9001 のこれらの特徴
は、輸送容器の製造においても効果が十分に期待されることから、これら要求事項を品質管理
指針に取り入れることとする。
(ハ) 測定、分析及び改善に係る要求事項の変更
輸送容器の品質管理をより実効的なものとするためには、品質管理に係る様々な活動の間
で資源の最適化を図ることが効果的であり、そのためには、あるプロセスで顕在化した不適合
を改善するのはもちろんのこと、他のプロセスにおける同様の不適合の発生を予防する仕組み
を導入する必要がある。
新 ISO9001 では、製品の測定・分析の結果に基づいて不適合の管理及び是正措置・予防措
置を行い、その結果を内部品質監査及びマネジメントレビューにおいて組織内に周知徹底させ
ることとしており、品質管理の手法等における欠陥や不整合が顕在化した場合には、必ず改善
が行われる仕組みを要求している。新 ISO9001 のこれらの特徴は、輸送容器の製造において
も効果が十分に期待されることから、これら要求事項を品質管理指針に取り入れることとする。
(ニ) その他
新 ISO9001 の他の要求事項(「文書化」の要求等)及び用語を品質管理指針に反映するとと
もに、要求事項の順序を ISO9002 に沿った形式から、新 ISO9001に沿った形式に変更する。
(2) 特殊工程に係る追加要求事項に関する対応について
品質管理指針の中で特殊工程に係る要求事項として ISO9002 の要求事項に追加して規定した
ものについては、新 ISO9001 に基づく用語の修正その他の所要の修正を除き、変更しない。
以 上
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