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国際アートカルチャー都市構想 解説編(PDF:5417KB)

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国際アートカルチャー都市構想 解説編(PDF:5417KB)
豊島区
国際アート・カルチャー都市構想【解説編】
豊島区国際アート・カルチャー都市構想策定にあたって
豊島区は、多様な人々を受け容れながら、都市として発展していく過程で、多くの若者たちが池袋モンパルナスやトキ
ワ荘などを舞台に、新たな表現文化の源流をこのまちから生み出してきました。
そして近年、マンガやアニメなど、クールジャパンとして世界から注目されるサブカルチャーの拠点が池袋を中心に
続々と誕生し、新たな文化の風がこのまちに吹き始めています。
こうした文化の多様性は、豊島区が誇る宝物です。
安全・安心な都市空間の中で、誰もが多様な文化を享受し合い、世界中の人々を魅了する賑わい溢れる都市の将来像を、
「国際アート・カルチャー都市構想」としてまとめました。
新庁舎の完成を機に、このまちの姿が大きく変わろうとしている今、この新たな都市像の実現に向け、区民の皆さんと
ともに、全力で取り組んでまいります。
平成 27 年 6 月 豊島区長
◆アート・カルチャーとは
「芸術文化」
という言葉で一般的にイメージされる枠組みを超え、伝統的な文化から先端
的な文化まで、衣食住に関わる生活文化からハードな都市づくりまでをも含み、アートの持
つ想像力・創造力で、カルチャーの語源そのままに、まちを耕すことを意味します。
まちを構成する多様な人々の参加と協働により、アート・カルチャーのまちづくりを展
開していくことで、世界中の人々を魅了し、持続発展する都市の実現をめざします。
※カルチャー(culture)の語源は、
「耕す」という意味のラテン語「コレール(colere)」です。
イラスト/Ⓒたかいよしかず(京田クリエーション)
豊島区国際アート・カルチャー都市 PD
目 次
C o ntent s
1 . これからの豊島区のまちづくり・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2 . 背景と現状分析
①歴史的背景-多様性・受容性に富んだ歴史風土・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 2
②地理的背景・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
③豊島区の文化資源・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
④豊島区と世界をつなぐ3つの潮流・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
⑤豊島区の多様性・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
⑥豊島区の課題・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
3 . 国際アート・カルチャー都市づくりのコンセプト
①基本理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
②基本的な進め方・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
4 . 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
⑥都市構想実現のプロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
⑦都市構想実現のための戦略策定・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
資 料
1 . 国際アート・カルチャー都市プロデューサー提案・ ・・・・・・・・・・・・ 30
2 . 都市政策顧問 隈 研吾氏 ご意見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
3 . 国際アート・カルチャー都市構想策定チーム会議・ ・・・・・・・・・・・・ 38
コラム
アトリエ村と池袋モンパルナス・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
トキワ荘・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
染井吉野桜発祥の地・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
雑司が谷 日本ユネスコ協会連盟「未来遺産」登録・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
にしすがも創造舎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
①プロジェクト概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
フェスティバル / トーキョー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
②プロジェクト 多様性を活かしたまちづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
③プロジェクト 出会いが生まれる劇場空間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
「乙女の聖地」池袋・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
④プロジェクト 世界とつながり人々が集まるまち・ ・・・・・・・・・・・・ 18
ロンドン 2012 とアンリミテッド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
⑤主要なプロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
東京 2020 オリンピック・パラリンピック立候補ファイルから・ ・・・・ 42
TO SH I M A
1. これからの豊島区のまちづくり
区民との協働によるまちづくりの集大成として、世界中の人にとって魅力ある社会を創造しながら、誰もが安全・安心に文化を楽しめる人間優先のまちづくりを
推進し、魅力と活力にあふれた「国際アート・カルチャー都市」をめざします。
① 文化の多様性の活用・継承
伝統から最先端、ハイカルチャーからサブカルチャーまで、芸術・文化の多様性を豊島区独自の文化資源として活かし、継承していきます。
② これまでのまちづくりの集大成
区制施行 70 周年を機とする「文化創造都市」づくり、さらに 80 周年のセーフコミュニティ国際認証取得を機とする「安全・安心創造都市」づくりの集大成として、
誰もが安全・安心に文化を享受し合える人間優先のまちづくりを推進していきます。
③ 世界に発信する国際アート・カルチャー都市
豊島区の芸術・文化の多様な魅力を
世界に向けて発信し、世界中の人々が
集い、賑わいと活力にあふれ、持続発
展する「国際アート・カルチャー都市」
の実現をめざします。
・江戸の郊外文化
・伝統芸能・民俗芸能
・ソメイヨシノプロジェクト
・新池袋モンパルナス
西口まちかど回遊美術館
・トキワ荘通り協働プロジェクト
・未来遺産雑司が谷
・
「ふくろう」
を活用したまちづくり
地域に根差した
伝統文化
交流の推進
地域を彩る
多彩なイベント
地域資源を活かした
文化まちづくり
多様性・受容性に富んだ
・ふくろまつり、東京よさこい
西口公園ステージイベント
・大塚阿波踊り 文化による
安全・安心
創造都市
文化創造都市
文化風土
新たな文化を
生み出してきた歴史
今も引き継がれる
文化創造の系譜
・池袋モンパルナス
・トキワ荘
・にしすがも創造舎
・アートステーション構想
・障害者アート
福祉・教育と
文化の融合
若者たちが創り出す
新たな潮流
安全安心
人間優先の
まちづくり
発信力を高め
世界から人や
産業を集める
まち全体が舞台の
誰もが主役になれる
劇場都市
国 際
アート・カルチャー都市
街を音楽・演劇
ダンス・コスプレ
等の舞台に
・「演劇のまち」池袋
・「乙女の首都」池袋
・マンガ・アニメ
・コスプレイベント
広場・公園
街路等の都市
空間の開放
多様な人々が住み集う街
人口 27 万人
昼間人口 42 万人
池袋駅 1 日乗降客数 259 万人
1
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
①歴史的背景ー多様性・受容性に富んだ歴史風土
豊島区は、江戸時代には江戸の園芸文化を開花させ、明治期以降は、関東大震災、戦争という大きな災厄を乗り越えて急激な人口増加を経験する中で、多様性に富
む豊かな文化資源を生み出してきました。
ここでは、まず、豊島区の最大の特色である多様性を育んできた歴史を振り返ります。
人口と世帯数の推移
(国勢調査)
世帯数
人口
(棒グラフ) (折れ線グラフ)
373,126
321,078
312,209
300,557
236,701
134,233 135,021
109,469
68,801
51,241
1925
1930
1935
92,192
52,174
1945
1950
1940
1955
1960
1965
1970
127,530
1980
1990
1995
2000
166,214
2005
区政施行 周年
セーフコミュニティ国際認証
文化庁長官表彰
88
2010
副都心線開業
あうるすぽっとオープン
70
文化創造都市宣言
区制施行 周年
60
1985
142,925
125,563
東京芸術劇場オープン
池袋演劇祭スタート
東京国際演劇祭 開催
埼京線開通
グリーン大通り完成
サンシャイン オープン
地下鉄有楽町線開通
5
1975
歩行者天国︵池袋・銀座等︶
首都高 号線開通
池袋大橋開通
東京オリンピック
西口マーケット取り壊し
池袋東口駅ビル完成
丸物百貨店
︵現パルコ︶
開業
地下鉄丸ノ内線開通
豊島公会堂落成
池袋西口駅ビル完成
東横︵現東武︶
百貨店開業
舞台芸術学院設立
復興マーケット開設
終戦
太平洋戦争開戦
日中戦争勃発
豊島区誕生
明治通り供用開始
大学等教育機関の開校
山手線整備・駅開業
関東大震災
鬼子母神門前の成立
1920
東上鉄道、
武蔵野︵現西武︶
鉄道開通
明治期
染井吉野桜の誕生
近世
250,585
217,141
109,803
24,009
284,678
246,252
278,455
池袋演劇祭
(1989∼)
近代化
の萌芽
東京市域拡張に伴う市街地化
震災後下町地域から人口流入
城北大空襲
市街地焼失
池袋モンパルナス
染井吉野桜
誕生
大正デモクラシー
赤い鳥、自由学園
戦時体制
文化・言論統制
戦災復興・急激な市街地化
地方からの人口流入の受皿
高度経済成長期
地価高騰により人口減へ
副都心の形成
商業・文化の集積
バブル崩壊
平成不況
人口の
都心回帰
トキワ荘
ヤミ市文化
映画街
(人生坐・文芸坐)
副都心線
開通と乗り入れ
乙女ロード
百貨店ブーム
パルコ、セゾン文化
国際的演劇祭
開催
サブカル発信
東京国際演劇祭
(1988∼)
⇒ F/T
2
80
1. 江戸郊外の農村に街道集落や門前町が発展 ⇒ 園芸文化の拠点 染井吉野桜発祥の地
豊島区は、当初はほぼ全域が農村地帯でしたが、江戸と地方を結ぶ中山道や清戸道沿いなどに街道集落、鬼子母神周辺などには門前町が形成され、純農村としての
村姿も変容しはじめます。江戸時代の染井(現在の豊島区駒込地域)は植木の里として知られ、多くの植木屋が軒を連ねていました。日本を代表する桜・ソメイヨシ
ノは、江戸末期から明治にかけて、染井村の植木職人が、エドヒガンザクラとオオシマザクラの品種を改良して作ったと言われています。
2. 鉄道網の発達、教育機関の開設で市街地化が進み、人口流入の受皿 ⇒ 文教地区として文人、芸術家が暮らすまち、
池袋モンパルナスの成立
明治 18 年、日本鉄道会社品川 - 赤羽間開通により目白駅開業、以降山手線整備に伴い池袋・大塚・巣鴨各駅(明治 36 年)、駒込駅(同 43 年)が開業し、大正期に
は東上鉄道、武蔵野(現西武)鉄道も開通し、現在の巨大ターミナル池袋につながる原型がつくられました。また、明治 30 年明治女学校の巣鴨村移転に端を発し、学
習院、豊島師範が開校、大正期には立教大学、自由学園、東洋音楽学校(現東京音大)、大正大学も開校し、文教地区としての姿が整うのに伴い、周辺農地の宅地化が進
み、アトリエ村のような学生や若者向けの借家群も形成されました。東京の市域拡張に伴い、近郊農村から郊外都市へと変貌する時期であり、特に関東大震災後、下
町地域から大量の人々が移住してきました。 3. 繁華街池袋を形成した戦後ヤミ市のエネルギー ⇒ ヤミ市、自由文化都市の息吹
戦後、池袋駅の東西駅前に形成された復興マーケット(ヤミ市)は、食糧難にあえぐ人々の生活を支える場であり、虚脱状態にあった庶民にある種の活力をもたら
す一方、無法地帯化した存在は都市として発展していく上で障害にもなりました。昭和 36 年の西口マーケット取り壊しでその歴史を閉じたヤミ市ですが、猥雑さの
中で多様な人々がひしめき合い、放出されたエネルギーは現在の繁華街・池袋の形成につながっています。
4. 急激な人口増に対応し高密な住宅地形成 ⇒ トキワ荘から開花したマンガ文化
戦後復興から高度成長期にかけては、地方から東京への人口流入の受皿として、37 万人を超える人々が住む超高密都市となりました。豊島区は、近代以降、常に外
からの人口流入を受容しながら発展してきた都市と言えます。
戦後の人口ピーク時の 1965 年国勢調査で豊島区は人口密度全国 1 位でした。そうした急激な人口増に対応し、現在の木密地域にあたる高密な住宅地が形成され、
トキワ荘のような木造アパートも数多く建てられました。さらに、高度成長期のオリンピック景気を受けたマンションブームへと続き、共同住宅が 8 割を占める現在
の住宅ストックにつながっています。そうした住宅ストックの面でも、若者たちが流入しやすい都市と言えます。
5. 副都心の発展と商業・文化の集積 ⇒ 国際的演劇祭の開催、アニメ・コスプレなどサブカルチャーの発信
サンシャインシティの開業、東京芸術劇場の開館など文化・交流施設の集積が進み、池袋副都心は急速に発展します。さらに東京メトロ副都心線の開通、東横線と
の相互運転が始まり、埼玉県や神奈川県からのアクセスが向上し、さらに利便性が高まっています。多様な人々を受け入れながら発展してきた豊島区は、そのような
多様なものを受け容れる懐の深さを持ち、今も若者たちを魅きつける要因となっています。
3
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
②地理的背景
豊島区は巨大なターミナルである池袋駅を始め、区内のほとんどの地域で徒歩圏に鉄道駅が立地するなど公共交通網が発達しています。池袋駅周辺は、首都機能の
一翼を担う商業、業務、文化、産業、情報発信など多彩な機能が高度に集積しています。
環状6号線・山手通りの内側は、利便性が高い一方、職住が近接しています。
私鉄・地下鉄駅周辺では、日常生活を支える商業、医療、福祉、教育などの都市機能が集積し、地域の人々が活発に交流し、賑わう生活拠点になっています。住宅地
の暮らしやすさ、どちらも兼ね備えた魅力的なエリアです。
江戸の文化が
息づく住宅地
利便性の高い
幹線道路沿い
みどりの潤いが
広がる住宅地
首都機能の一翼を担う
池袋駅周辺
都市の生活を
楽しむ都心居住
江戸の文化が
息づく住宅地
商業業務地
商業業務地複合地
住宅地
4
幹線道路
○日本一高密なまち
人口密度は、23 区中でも高い水準で推移し、近年は荒川区、
中野区を上回り、全国一になっています。
(人/ha)
220
(各年1月1日現在・住民基本台帳)
210
200
190
180
211.8
205.0
203.1
188.3
187.9
183.5
183.4
179.8
170
160
豊島区
荒川区
中野区
台東区
墨田区
目黒区
文京区
新宿区
品川区
渋谷区
池袋駅の1日乗降客数(JR、私鉄、地下鉄の合計)は平成 25 年度は 259 万人となっています。
JR 駅では、新宿についで2位となっています。
発達した公共交通ネットワークを通して、都心・副都心等と相互に連携しながら、東京の中
心的な役割を担うとともに、東京西部および埼玉方面に広がる後背圏の生活や交流を支える多
様な都市機能を有しています。副都心線の相互乗り入れにより、神奈川県からも直接訪れるこ
とができるようになりました。
143.6
池袋 258.6万人
JR
110.1
大塚10.6万人
西武 48.4
西武 47.7
メトロ 52.4
椎名町1.9万人
120
南北線 駒込 3.7万人
駒込 9.5万人
要町3.7万人
落合南長崎 4万人
西巣鴨2.7万人
北池袋 0.9万人
千川 3.6万人
東長崎2.7万人
130
板橋 6.4万人
下板橋1.5万人
163.8
150
140
○日本有数の巨大ターミナル
東池袋3.6万人
目白 7.6万人
巣鴨15.4万人
三田線 巣鴨 9.3万人
新大塚2.3万人
雑司が谷1.6万人
S60
H2
H7
H12
H17
H20
H27
(1985) (1990) (1995) (2000) (2005) (2010) (2015)
出典:各社ホームページより
○多くの人口が流入するまち
(平成27年1月1日現在・住民基本台帳)
8580-84
75-79
70-74
65-69
60-64
55-59
50-54
45-49
40-44
35-39
30-34
25-29
20-24
15-19
10-14
5-9
0-4
男
豊島区の人口回帰が始まった平成 9 年から人口の流出入を示
す社会動態が増加に転じ、出生死亡による増減を示す自然動態
を上回りました。
年齢別の人口構成を見ると大学進学、就職期である 20 歳から
49 歳までの階層が大きくなっています。
15,000
10,000
5,000
0
女
0
5,000
10,000
15,000
5
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
③豊島区の文化資源〜豊島区全体マップ
区内には、それぞれの地域に根付いた特色ある文化資源が数多くあり、地域の歴史を継承する祭事・催事等が行われています。そして、そうした地域固有の文化資
源を活用した新たなまちづくりも各地で展開され始めています。また、劇場・映画館などの文化拠点も数多くあり、さらに近年、池袋を中心に、マンガ・アニメ関連
施設が続々と集積してきています。
にしすがも創造舎
熊谷守一美術館
長崎獅子舞
氷川神社
池袋富士塚
御嶽神社
大正大学
大塚阿波踊り
重林寺
女子栄養大学
妙経寺
千川彫刻公園
つつじが丘アトリエ村跡
染井霊園
豊島長崎の富士塚
浅間神社
富士元囃子
御嶽神社
すずめが丘アトリエ村跡
峯孝作品展示館
熊谷守一美術館
子安稲荷神社
みらい館大明
高岩寺
とげぬき地蔵
眞性寺
銅造地蔵菩薩
染井吉野桜発祥の記念碑
旧丹羽家腕木門
帝京平成大学
大塚音楽祭
豊島公会堂
天祖神社
池袋演芸場
大塚阿波踊り
Echika 池袋ギャラリー
大塚バラ祭り
東京芸術劇場
さくらが丘パルテノン跡
旧江戸川乱歩邸土蔵
サンシャイン劇場
立教大学
オリエント博物館
郷土資料館
ナンジャタウン
長崎神社
自由学園明日館
J-WORLD TOKYO
長崎獅子舞
旧鈴木信太郎邸
シアターグリーン
トキワ荘跡地
あうるすぽっと
御会式
トキワ荘通りお休み処
豊島区新庁舎
目白庭園
法明寺
ふくろ祭り
東京よさこい
東京フラフェスタ in 池袋
並木ハウス
大門ケヤキ並木
学習院大学
自由学園明日館
とげぬき地蔵
徳川慶喜巣鴨屋敷
旧江戸川乱歩邸土蔵
地域文化創造館
寺社
東京音楽大学
子母神堂
雑司ヶ谷霊園
子母神参道
(大門ケヤキ並木)
雑司が谷旧宣教師館
雑司が谷七福神めぐり
切手の博物館
金乗院(目白不動)
南蔵院
氷川神社
6
ふくろ祭り
東京よさこい
東京芸術劇場
雑司が谷旧宣教師館
法明寺
子母神堂
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
③豊島区の文化資源〜池袋駅周辺マップ
フェスティバル / トーキョー
東京よさこい
都心
Ⓒ Ryosuke Kikuchi
線
池袋水天宮
ロサ会館
ミステリー文学資料館
池袋演芸場
新文芸坐
四面塔尊
ニコニコ本社
首都
高
速
中央
環状
線
旧江戸川乱歩邸
立教 通り
立教大学
池袋=自由文化都市
にゅ∼盆踊り
ふくろ祭り
バレンタイン・
ファンタジー池袋
東京よさこい
古本祭り 東京芸術劇場
池袋駅
新池袋モンパルナス
台日文化交流
池袋ジャズフェスティバル
フラ・フェスタ
フェスティバル/トーキョー
郷土資料館
埼京
線
東武
東上
線
メト
ロ副
元池袋史跡公園
中池袋公園
新区民センター
(予定)
巣鴨プリズン跡
乙女ロード
サンシャインシティ
サンシャイン劇場
オリエント博物館 サンシャイン水族館
ナンジャタウン
J-WORLD TOKYO
り
0通
ン6
ャイ
シ
サン ハロウィン
コスプレイベント
グ
リ
ー
オ
ン
ー
大
プ
通
ン
り
カ
フ
ェ
アニメイトガールズフェスティバル
としまものづくりメッセ
中央図書館
あうるすぽっと
西武
池袋
線
新庁舎
山手
線・
埼京
線
自由学園明日館
ジュンク堂
線
ハロウィンコスプレイベント
アニメイト本社
南池袋公園
びわの実文庫
山手
帝京平成大学
新ホール(予定)
シアター
グリーン
造幣局東京支局
池袋演劇祭
フェスティバル/トーキョー
アート夏まつり
まるごとミュージアム
西口まちかど回遊美術館
アートオリンピア
首
都
高
速
5号
池
袋
線
7
新庁舎
あうるすぽっと
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
③豊島区の文化資源~多様な資源・活動の紹介
豊島区は、
「池袋モンパルナス」や「トキワ荘」に象徴されるように、多くの芸術家を育み、創造的な活動を生み出してきた歴史があります。
また、それぞれの地域には、寺社や近代建築物、民俗芸能など有形無形の個性ある文化資源が数多く存在し、大塚阿波踊りやふくろ祭りなど区民主体の様々な文化
活動が繰り広げられています。特に、池袋副都心では、東京芸術劇場をはじめとする文化芸術施設が集積し、国際的舞台芸術祭であるフェスティバ ル /トー キョーなど
多彩な文化イベントが開催されています。
また、近年は、マンガやアニメなどのサブカルチャーの発信拠点が誕生し、多くのイベントも繰り広げられています。
1. マンガからアニメ・コスプレ
○マンガ文化
昭和 30 年代、椎名町の「トキワ荘」では若きマンガ家、手塚治虫、石
ノ森章太郎、藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄、赤塚不二夫などが創作
活動を行い、現在のわが国のマンガ文化の源流として歴史に記憶され
ています。
(コラム P39)
また、横山光輝の仕事場があり、ト
キワ荘から転居後の手塚治虫が暮ら
し、
「鉄腕アトム」や「火の鳥」を創作し
た並木ハウスなども現存しています。
2. 芸術・文化に触れ合えるまち
○池袋モンパルナス
長崎・池袋西口界隈は、昭和初期に多くの芸術家たちが住んだことから、
パリのモンパルナスにちなみ、詩人の小熊秀雄が
「池袋モンパルナス」と名
づけています。
(コラム P39)
今日、区立熊谷守一美術館が往時をしのば
せるほか、区立郷土資料館では関連資料を展
示しています。多くの芸術家が、未来に向けて
発展させ
『新池袋モンパルナス西口まちかど回
遊美術館』が開催されています。
(コラム P41)
8
○サブカルチャーの聖地
アニメイトをはじめ J -ワールド、ナンジャタウ
ン、ニコニコ本社、エヴァストア(エヴァンゲリオン
公式ショップ)、ポケモンセンターメガトウキョー、
ANi ★ CUTE(日本アニメーション公式ショップ)な
ど、いわゆるサブカルチャーの拠点が続々と誕生し
ています。店舗の集中している地域は「乙女ロード」
と呼ばれ、コスプレパレードが行われるなど、多くの
若者が訪れています。
(コラム P41)
○多くの文化資源
区立の文化施設として、あうるすぽっと(舞台芸術交流センター)
・豊島
公会堂・豊島区民センターなどがあり、都立の文化施設には東京芸術劇場が
あります。 区立熊谷守一美術館をはじめ、古代オリエント博物館や切手の
博物館などの美術館・博物館、区立郷土資料館、雑司が谷旧宣教師館などの
資料館をはじめ、民間のギャラリー・画廊も多く、池袋副都心の賑わい創出
と文化土壌の形成に貢献しています。
西池袋界隈には羽仁吉一、もと子が創立した、大正デモクラシー期におけ
る自由教育運動の象徴である婦人之友社やフランク・ロイド・ライトが設
計した自由学園明日館があります。目白界隈は児童文学者の鈴木三重吉が
住み、童話雑誌「赤い鳥」を創刊し、児童文学育成に大いに貢献しました。
3. 伝統・演劇・音楽 新たな区民の活動
○社寺、お祭り
大塚、巣鴨、駒込、雑司が谷、目白、高田、長崎地域は神社仏閣が多
い地域です。長崎神社に伝わる獅子舞の「長崎獅子舞」は、豊島区に残
る郷土芸能として、区の無形民俗文化財第 1 号に指定されました。
また、古くから信仰に支えられてき
た「御会式」
「巣鴨高岩寺縁日」のよう
な伝統ある行事や、近年地域の活力の
源となっている「大塚阿波踊り」
「ふく
ろ祭り」
「東京よさこい」などのお祭り
が区内各所で行われています。
○演劇のまち
池袋、大塚周辺を中心として、劇場や演劇スタジオが数多く点在し
ています。
また、多くの演劇人を輩出した舞
台芸術学院や著名な劇団もあり、
「演
劇のまち」としての特長を活かし、
「池袋演劇祭」や国際的な舞台芸術の
祭典「フェスティバル /トーキョー」が
開催されています。
(コラム P41)
撮影:久塚真央
○音楽のまち
豊島区には私立音楽大学ではわが国最古(明治 40 年)の歴史と伝統
を誇る東京音楽大学があります。
また、数多くの音楽スタジオがあるほか、
池袋西口公園野外ステージでのライブ演
奏や、おおつか音楽祭、池袋ジャズフェス
ティバルなど、数多くの音楽イベントが行
われています。
○ NPO 等によるアート活動の展開と区民による文化活動
にしすがも創造舎が文化芸術創造活動を展開するほか、みらい館大
明など、NPO との協働を推進しています。
また、地域文化創造館、地域区民ひろばなどを拠点に、区民の誰もが
参加できる文化活動が展開されています。
(コラム P41)
ソメイヨシノプロジェクト、南大塚都電沿線まちづくり、トキワ荘
通り協働プロジェクトなど区民が主
体となった文化活動がまちづくりと
一体となって展開されています。
平成 26 年には、雑司が谷がやがや
プロジェクトが日本ユネスコ協会連
盟の未来遺産に登録されました。
(コ
ラム P40)
9
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
④豊島区と世界をつなぐ3つの潮流
豊島区が長らく取り組んできた文化を基軸とするまちづくりは、広く目を転じれば、東京都での取り組み、日本全体の取り組み、さらには世界各地で取り組みが進
んでいる大きな流れと一致しています。
豊島区は、日本の、世界の一員として国際アート・カルチャー都市づくりを推進していきます。
① 文化政策の国際的な動向~文化を触媒とした都市づくり~
世界では、文化を「都市が変化するための触媒」として位置づけたまちづくりが進んでおり、観光客の増加等の直接的な効果のほかに、都市インフラの整備、クリエ
イティブ産業の集積、雇用の拡大、都市イメージの向上、まちに対する市民の誇り・愛着の高揚などの波及効果を生み出しています。
② 日本の成長戦略 ~マンガ・アニメなどクールジャパンで日本の魅力を発信~
「クールジャパン」を代表するマンガ・アニメやコスプレ等のサブカル
チャーをはじめとして、ユネスコの無形文化遺産に登録された和食、伝統的
な技が生かされたものづくりなど、日本独自の文化は、新たな成長分野とし
て世界の注目を集めています。
また、羽田空港からの都心直結線も検討されており、実現されれば池袋は
世界と直結された芸術文化拠点となります。
副都心 池袋
◆この地で演じられ、発信される最先端のアート・
カルチャーで世界から人や産業を惹きつけるまち
◆まち全体が舞台の、誰もが主役の劇場都市
池袋
③ 首都東京の一員として ~文化ビジョンの一翼を担う~
10
※ MICE とは、Meeting(企業等の会議)、Incentive travel(報奨・研修旅行)
、
Convention(国際機関等が行う会議)、Exhibition(イベントや展示会)の総
称です
神楽坂
多摩地域
東京都は、日本経済のエンジンとして、世界に開かれたグローバルビジネ
ス都市づくりを進めており、都心型 MICE ※などのビジネス拠点の整備及
び都市観光の推進を図ることとしています。
また、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた文化プ
ログラム※2(P12)が、リオ大会終了後の 2016 年秋から展開されます。
その文化プログラムを先導する「東京文化ビジョン(素案)」
(2015 年 1
月)には、理念の第一に「東京の芸術文化のオリジナリティ溢れる多様性を
発信する」ことが掲げられています。また、世界戦略として「多彩な文化拠
点の魅力向上により、芸術文化都市東京の発信力を強化する」としており、
芸術文化拠点のひとつとして、上野に並び「池袋」があげられています。
上野
秋葉原
両国
高円寺
下北沢
臨海部
渋谷
原宿
恵比寿
深川
東京駅
周辺
六本木
三軒茶屋
品川
地図の出典:東京文化ビジョン(素案)
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
⑤豊島区の多様性
ここまで述べてきた、豊島区の歴史的・地理的背景や文化資源について、キーワードを抽出し、本区の特性をまとめてみると、幅の広い多様性に特徴があることが
わかります。
豊島区のキーワード
20century
Mess
昭和
Nostalgia Noisy
猥雑
にしすがも創造舎
小劇場・ライブハウス
住宅街
すずめが丘アトリエ村
アニメイト 大塚
飲み屋街
さくらが丘パルテノン
立教大学
東武デパート
東京芸術劇場
池袋西口公園
谷端川沿いアトリエ・立教小学校西アトリエ
トキワ荘通り
住宅街
小劇場・ライブハウス
東急ハンズ
ニコニコ本社
ロサ会館
ルミネ
つつじが丘アトリエ村
とげぬき地蔵
豊島公会堂
池袋演芸場
High Culture
染井吉野桜
女子栄養大学
大正大学
帝京平成大学
新文芸座
みどりが丘・ひかりが丘アトリエ村
染井霊園
電気街
ターミナル
大型書店
乙女ロード
駒込
巣鴨
都電荒川線
サンシャインシティ
防災公園
サンシャイン 60 通り
Sub Culture
グリーン大通り
西武デパート
パルコ
新庁舎
住宅街
あうるすぽっと
住宅街
小劇場・ライブハウス
グルメエリア
東京音楽大学
鬼子母神
目白
学習院大学
雑司が谷
雑司ケ谷霊園
21century Cool
平成
Modern Calm オシャレ
住宅街
小劇場・ライブハウス
◆人の多様性
1 日 250 万人以上もの乗降客を数える池袋駅と副都心を中心に、周囲に魅力的な住宅街が広がる利便性の高い高密都市の中で、
多くの新しい出会いが生まれています。
◆まちの多様性
住み、働き、学び、楽しみ、憩いなど様々な個性あるまちがモザイクのように集まり、多様性にあふれる都市を形成しています。
◆文化の多様性
伝統から最先端の流行、ハイカルチャーからサブカルチャーまで、様々な文化拠点があり、新しい文化が続々と生まれています。
11
TO SH I M A
2. 背景と現状分析
⑥豊島区の課題
豊島区の多様性・受容性に富んだ歴史風土、地理的背景、豊富な文化資源を踏まえ、国際アート・カルチャー都市を実現するに際しての課題を整理すると、文化の
連携・発信力やまちの魅力・安全性がまだ不足していることが見えてきました。
① 文化資源の連携
区内の様々な地域で多様な文化活動が展開されているにもかかわらず、それぞれの活動が個別の地域や領域の中にとどまり、相互のつながりや域外への発信力に
欠ける状況が見られます。
② 安全安心のさらなる向上と魅力あるまちづくり
豊島区の顔である池袋駅の周辺では、老朽化したビル群が立ち並び、毎日多くの自動車が行きかう空間となっており、歩行者がゆったりと歩いたり、イベントを開
催するスペースが不足しています。今後、来るべき首都直下地震に備えて、災害に強い街並みの整備を進めると共に、自動車優先の空間から人間優先の歩行者空間へ
の転換を図る必要があります。
また、国際都市として、無料 Wi-Fi、多言語対応の案内板などの基盤整備を急ぐ必要があります。小さなお子さんから高齢者、外国籍の方々まで、安心してゆっくり
過ごすことができる空間の整備を進め、より高い安全性を基本に、人と環境にやさしく、文化を軸とした活力あふれる副都心へ脱却することが求められます。
③ 世界に向けての発信力の強化
東京の中で大きな存在感を発揮する都市としての発信力が不足しています。あらゆる媒体に取り上げられることが必要であり、そのためには、豊島区の魅力、まち
の特色などを官民挙げてオールとしまで積極的に発信していく必要があります。
※2
○オリンピック・パラリンピック文化プログラム始動
オリンピック・パラリンピックはスポーツだけではなく文化の祭典です。
先のロンドン大会の時には、2008 年北京大会終了後から 4 年間にわたり、
「カルチュラル・オリンピアード」が展開され、期間中開催された文化イベント数
18 万件、参加者数は 4,340 万人にのぼりました。
アンリミテッドという障害者の大規模なアートフェスティバルも開催されました。これはパラリンピックの精神に則ったもので、スポーツと同様、芸術の世
界でも障害者にはアンリミテッド、無限の可能性がある、ということを賞賛するものでした。
豊島区はリオ大会終了後の 2016 年秋から始まるオリンピック・パラリンピック文化プログラムへの参加をまっ先に表明し、演劇、音楽、マンガ・アニメ、
コスプレ、障害者アートなど、多様な表現活動の舞台を提供していきます。
12
TO S H I M A
3. 国際アート・カルチャー都市づくりのコンセプト
①基本理念
多様な文化資源を有する豊島区の強みを最大限に活かしながら、安全・安心な人間優先の都市空間の整備を進め、表現の舞台として開放していくことで、世界から
アート・カルチャーの魅力で人や産業を惹きつける都市づくりを進めます。
① 多様性を活かしたまちづくり
人・まち・文化の多様性に彩られた豊島区がめざす国際アート・カルチャー都市は、伝統的な文化から最先端の文化まで、ハイカルチャーからサブカルチャーまで、
ジャンルを超えて多様な文化が共存する世界に例を見ない「文化融合都市」です。
② 出会いが生まれる劇場空間
豊島区に住む人も、このまちを訪れる人も、誰もが安全・安心に文化を楽しみ、時には観客となり、時には主役となって文化を体感できる「リアルな劇場都市」をめ
ざします。そして、街路や公園・広場などの都市空間を舞台に見立てて、様々な表現活動の場として開放することにより、多様な文化が出会い、交流できる、空間的
にも心理的・文化的にもバリアフリーな「スーパーバリアフリー都市」を創出していきます。
③ 世界とつながり人々が集まるまち
多様な文化の「出会い」と「交流」を広く世界に発信することにより、世界に豊島区の魅力をアピールし、世界中からも多様な表現者たちが集まり、さらに新たな出
会い・交流が生まれるまちをめざします。
文化を触媒として、バーチャルだけではなく、リアルに世界とつながり、新たな文化潮流を常に発信し続ける魅力と活力にあふれた都市…それこそが、豊島区がめ
ざす「国際アート・カルチャー都市」です。
伝統文化
から
最先端
まで
様々な
人々が集まる
多様性あふれる
都市
まち全体が舞台の誰もが主役になれる劇場都市
= 多様な文化が出会い交流できる
広場・公園
スーパーバリアフリー都市
多様性を活かしたまちづくり
ハイカル
から
サブカル
まで
街路等の都市
空間の開放
出会いが生まれる劇場空間
国 際
アート・カルチャー都市
安全安心な
人間優先の
まちづくり
街を音楽・演劇
ダンス・コスプレ
等の舞台に
世界とつながり人々が集まるまち
発信力を高め
世界から人や
産業を集める
リアルと
バーチャルの
融合
世界中の
誰もが主役と
なれる都市
13
TO S H I M A
3. 国際アート・カルチャー都市づくりのコンセプト
②基本的な進め方
文化の力によって多くの人が惹きつけられるまちには、交流による新たなビジネスチャンスや文化表現が生み出される好循環が生まれます。まちに関心を寄せ訪
れた人々が感じる喜びや興奮などが、まちに活力を与え、誇りをもてるまちづくりを支えます。文化を愛するすべての人と力を合わせて、
「国際アート・カルチャー
都市」づくりを進めます。
①文化を愛する区民や来街者、NPO や事業者など、誰もが主役として輝く都市づくりを「オールとしま」で進めていきます
WHO
国際アート・カルチャー都市づくりは、文化を愛し、活動する区民、NPO、大学、企業等地域の皆さんが生き生きと活動し、表現する場を整備するものです。
空間整備は行政の役割ですが、活用の中心的役割を果たすのは、区民や事業者の皆さんです。
②地域の中で育まれてきた固有の文化を継承しつつ、新たな文化を創造・発信し、多様な文化の出会い・融合を図ります
WHAT
これまで守り育ててきた文化を継承し、100年後の未来にも引き継いでいきます。同時に、内外からもたらされる新たな文化を鷹揚に受け容れ、これから
も新旧文化の共存を進めます。
③文化活動の舞台、国際的なおもてなしの舞台となるスーパーバリアフリーな都市空間
WHERE
(P15)を創出していきます
※3
駅前広場、公園、庁舎跡地周辺の整備、無電柱化などを進め、国籍、年齢、性別などを問わず、誰もが安心してゆっくり回遊することができ、自由に表現活動
を行うことができる歩行者優先の空間づくりを進めます。
また、誰でも母国にいるのと大差なく、快適に過ごすことができるよう多言語サイネージ、公衆無料 Wi-Fi などの基盤整備を進めます。
④ソフト・ハードを組み合わせ、総合的・横断的に施策を展開し、国際アート・カルチャー都市づくりを進めます
HOW
区の総力を挙げるとともに、国家戦略特区を通じた規制緩和や特定都市再生緊急整備地域の指定による池袋副都心の再生、リノベーションの推進など様々
な手法を活用して、国際アート・カルチャー都市づくりを推進していきます。
⑤間近に迫るオリンピック・パラリンピックの文化プログラムを先導し、文化レガシーを未来につなげていきます
WHEN
WHO
WHAT
WHERE
HOW
WHEN
文化を愛する
誰もが主役
多様な文化
の融合
舞台となる
都市空間創出
ソフト・ハード
の総合展開
2020
さらに未来へ
活力にあふれ、
誇りを持てるまち
14
2020 年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて文化プログラムが始まるのは、2016 年リオ大会の閉幕直後です。そのため、国際アート・カル
チャー都市懇話会を中心に具体的に検討を進めます。
表現者として、ボランティアとして… 参加の方法は色々です。オールとしまで、文化プログラムを盛り上げていきましょう。
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
①プロジェクト概観
国際アート・カルチャー都市構想の3つの基本理念を実現していくため、それぞれ以下の方針に基づき、区民、NPO、大学、企業等、地域の多様な主体と連携・協
働し、ソフト・ハード両面での施策を総合的に展開していきます。
多様性を活かした
まちづくり
出会いが生まれる
劇場空間
世界とつながり
人々が集まるまち
・既存の文化資源、文化活動の連携(オールとしまの魅力発信)
・新たな文化の受容・創造(アーティスト支援、表現活動の場の提供、創住近接)
・総合的な文化プログラムの展開(オリンピック・パラリンピック文化プログラムを目指して)
・バリアフリーで人間優先の都市空間の整備(歩行者優先、無電柱化)
・劇場空間としての都市空間の開放、規制緩和(公園、広場の劇場化)
・エリアマネジメントによる都市空間の活用(民間活用、多様な主体の協働)
・世界都市としての拠点性・発信力強化(多様なメディアの活用、リアルとバーチャルの融合)
・豊島区発のオリジナルコンテンツ(区民の多様な文化活動からクールジャパンまで)
・インバウンド観光の推進(「おもてなし」環境の整備)
※3
◆スーパーバリアフリーな都市空間とは
高齢者や障害者にとっての障壁を取り除くバリアフリー(Barrier free)にとどまらず、
物理的にも精神的にも、さらに、表現者として、鑑賞者として、あるいはボランティアとし
て、誰もが主役になれる人間優先の都市空間を意味します。
15
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
②プロジェクト 多様性を活かしたまちづくり
多様性を活かした
まちづくり
○既存の文化資源、文化活動の連携(オールとしまの魅力発信)
・トキワ荘通り協働プロジェクト
・
(仮称)南長崎マンガランド:南長崎地区の街全体が、マンガの聖地にふさわしい貴重な文化に触れることができるまちづくりを行い、世界に向けたマ
ンガ文化の発信拠点とする。
(資料 P26)
・未来遺産雑司が谷(雑司が谷旧宣教師館リニューアル、雑司が谷情報ステーション)
(資料 P24)
・池袋=自由文化都市プロジェクト:戦後復興のシンボル「ヤミ市」を自由文化都市の視点で再構築し、豊島区の歴史を発信する
・旧鈴木信太郎邸公開:明治・大正・昭和の特色ある邸宅を公開するとともに、フランス文学の泰斗故鈴木信太郎氏の業績を紹介する
・伝統工芸後継者育成
・ソメイヨシノプロジェクト推進:日本人の心のシンボル染井吉野桜発祥地を一層のアピール、
「さくら区」宣言の検討
・モンパルナス関連収蔵作品、マンガ、文学の企画展開催
・新庁舎まるごとミュージアムによる文化発信(資料 P19)
・とげぬき地蔵を舞台とした、高齢者のアート・プロジェクト(福祉分野との協働)
・区境等での他区との協働アート・プロジェクト
○新たな文化の受容・創造(アーティスト支援、表現活動の場の提供、創住近接)
・外国人アーティストの滞在支援、
(旅館業法の適用除外、入管手続きの迅速化など検討)
・としまアートステーション構想の推進
・新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館の拡大:新庁舎を拠点に地域拡大、子ども・新進芸術家の作品紹介(資料 P25)
・クリエイティブ産業や関連する高等教育機関の誘致
・リノベーションの活用によるアーティスト・イン・レジデンスの推進(トキワ荘や池袋モンパルナスを継承)
○総合的な文化プログラムの展開(オリンピック・パラリンピック文化プログラムを目指して)
・フェスティバル / トーキョーの拡大(資料 P25)
・東アジア文化都市検討
・創造都市ネットワーク日本の活用
・障害者・高齢者アート展の拡大(資料 P25)
・池袋演劇祭の拡大(資料 P25)
・区民参加型文化プログラムの検討・実施
・和食など食文化の発信
16
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
③プロジェクト 出会いが生まれる劇場空間
出会いが生まれる
劇場空間
○バリアフリーで人間優先の都市空間の整備(歩行者優先、無電柱化)
・無電柱化の推進(資料 P24)
・池袋駅東西連絡デッキ整備及び地下空間の改善
・池袋駅周辺整備
・池袋副都心再生
○劇場空間としての都市空間の開放、規制緩和(公園、広場の劇場化)
・防災公園、周辺区道の整備
・街路樹装飾
・グリーン大通りオープンカフェ設置(資料 P22)
・庁舎跡地周辺まちづくりの推進(資料 P21)
・容積率・用途等土地利用規制の見直し
・現庁舎、公会堂の取り壊し前のアート活動への活用
・ストリート系アーティストの活動場所の確保
・公園利用の拡大(資料 P22)
・再開発に合わせた文化交流施設の確保(資料 P22)
○エリアマネジメントによる都市空間の活用(民間活用、多様な主体の協働)
・エリアマネジメントの民間開放(道路占用基準の緩和、道路上に飲食店等の占用を許可、エリアマネジメント団体の寄附金控除等の税制優遇など検討)
・民間敷地内空地の活用
・民間再開発による魅力的な都市空間の創出・活用
・官民連携によるリノベーションまちづくりの推進
17
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
④プロジェクト 世界とつながり人々が集まるまち
世界とつながり
人々が集まるまち
○世界都市としての拠点性・発信力強化(多様なメディアの活用、リアルとバーチャルの融合)
・ ホームページ刷新
・ バーチャルメディアとの連携強化
・ 国際イベントの誘致
・ アートオリンピア開催(資料 P20)
・ 海外企業の立地促進(シティセールスの推進)
・ 海外の文化芸術団体・アーティストの誘致・招聘
・ 海外都市交流
○豊島区発のオリジナルコンテンツ(区民の多様な文化活動からクールジャパンまで)
・ 新庁舎まるごとミュージアムによる文化発信(資料 P19)
・ マンガ・アニメの発信(資料 P26)
・ コスプレフェスティバルの拡大(資料 P26)
・ アニソンイベントの開催
○インバウンド観光の推進(「おもてなし」環境の整備)
・ 無料エリア Wi-Fi 構築(資料 P23)
・ キャッシュレス決済環境の整備
・ 観光案内整備、デジタルサイネージ(多言語対応)の設置
・ 外国人観光客へのおもてなし(輸出物品販売場(免税店)制度の更なる要件緩和など検討)
・ 外国語による有料観光案内サービスの要件緩和など検討
・ 留学生等の誘致と活用
・ ホテル整備(外国人向け滞在型宿泊施設)
・ 文化・観光ボランティアの育成
18
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
⑤主要なプロジェクト
○新庁舎からの文化発信
新庁舎まるごとミュージアム
新しい庁舎を丸ごと「ミュージアム・美術館・博物館」に見立てて、私たちの住むふ
るさと豊島の文化や歴史遺産、自然などをより多くの人に紹介し、一緒に楽しみなが
ら、庁舎そのものが「まち」であるかのように気軽に集う場となります。
年末年始、祝日を除き、土曜日曜 345 日開庁する 3 階区民総合窓口そして 4 階福祉
総合フロアを中心に、全事務室フロアを回廊美術館に見立てて、展示を行います。
まるで美術館にいるような雰囲気の中で、効果的な展示ができるよう、各階の展示可
能スペースにピクチャーレールやライトを設置します。
また、各階の事務室配置にも留意しながら、ふさわしい展示内容を選定するととも
に、全体としても統一されたコンセプトによる展示計画を立てることで、いつ訪れても
新しい発見があるはずです。
新庁舎建物の 3 階から 9 階までの区役所事務室の中
央部には設備室が配置され、その周りを廊下が回廊状
に巡っています。
「エコミューゼ」
屋上庭園「豊島の森」
「グリーンテラス」
回廊美術館のルートイメージ
回廊美術館
新庁舎部分
1 階の一部と
3∼9 階
多目的スペース
19
アートオリンピア 2015 開催
アートオリンピアは、東京、ニューヨーク、パリを募集拠点に、才能あ
るアーティストを発掘し、その活動を支援することを目的とする国際的
美術公募展です。
各拠点で 80 作品 ( 一般 60 点、学生 20 点 )、計約 240 作品を選出し、
東京で最終審査を実施します。
その第1回開催となる「アートオリンピア 2015」が豊島区新庁舎まる
ごとミュージアムの開設記念として開催されます。
●最終審査:平成 27 年6月 10 日
各拠点で 80 作品 ( 一般 60 点、学生 20 点 )、計約 240 作品を選出し、
最終審査を実施します。
会議室仕様とした新庁舎8階の議場を会場に、3拠点の審査員全員
による得点審査が行われます。
●展覧会:平成 27 年6月 13 日(土)~6月 28 日(日)
新庁舎1階のセンタースクエアと回廊美術館を会場に、国内入選作
品、海外入選作品と受賞作品 計約 240 点を展示します。
20
展示会場となる事務室回廊美術館
●東京審査員
宮田亮平 ( 東京藝術大学学長・審査員長 )、建畠 晢 ( 京都市立芸術大学学長)、
千住 博 ( 画家 )、秋元雄史 ( 金沢 21 世紀美術館館長 )、南嶌 宏 ( 女子美術大学教授 )
●ニューヨーク審査員
グレゴリー・アメノフ ( アーティスト , コロンビア大学教授 ) 他4名
●パリ審査員
ジャン・ミシェル・アルベロラ ( アーティスト、パリ国立高等美術学校教授 ) 他4名
審査会場となる議場(会議室仕様で使用します。)
○庁舎跡地周辺の整備
庁舎跡地
現公会堂
現区民センター
中池袋公園
南北区道
新庁舎移転後の庁舎跡地の活用を契機とし、このエリアが抱える課題を解決しながら、
国際アート・カルチャー都市の拠点としての池袋副都心の再生を進めます。庁舎跡地など
では老朽化している公会堂を改築し、
「(仮称)豊島区新ホール」として整備するとともに、
これに併せ区民センターの改築を行います。また、
「現庁舎周辺まちづくりビジョン」を定
め、周辺道路や公園の整備など計画的、総合的に進めます。
「(仮称)豊島区新ホール」や区
民センター、中池袋公園を同時期に整備することにより、文化にぎわい拠点の形成を目指
します。
南北区道(アーバンコリドー)の整備を中心とした回遊空間の形成
( 1 ) 南北区道を「アーバンコリドー(都市の回廊)」と位置づけ、新たな街路樹の導入によ
る緑化を検討する等、重点的に整備します。
( 2 ) 光環境(夜間)を大切にした風景を創出します。
現庁舎周辺まちづくりビジョン
対象エリア
南池袋公園
グリーン大通り
寺町地区
新庁舎
21
庁舎跡地の活用による文化にぎわい拠点の形成
新庁舎と南池袋公園整備による安全安心拠点の形成
新ホール、新区民センターを整備し、多様な文化を発信
グリーン大通りのオープンカフェ
区民の芸術活動、成人式や学校行事などの利用から、オペラ、バレエ、
ミュージカル、歌舞伎、伝統芸能、コンサート等のプロフェッショナルの興
行利用まで、多様な文化芸術活動に対応できるよう、安全で機能的な施設と
します。
グリーン大通りはみどりのランドマークと位置づけ、オープンカフェやイ
ベントなど道路空間の有効活用を検討します。
南池袋公園は、新庁舎に至る拠点として、人々が憩える空間整備に加え、
安全安心の拠点として整備します。
王子
大塚駅
り
通
治
明
中池袋公園は、新ホールなどとの連携を考慮し、アーバンホワイエ(都市
の中で人が交わる空間)として整備します。
豊島
区役所
みずほ
銀行
サンシャイン通り 5
号線
ヤマダ
電機
首都高
目白駅
明治通り
池袋駅
東口
り
60通
イン 東急
シャ
ン
サ
ハンズ
三井住友
銀行
南池袋
公園
グリーン大通り
22
豊島岡
女子学園
豊島
区役所
新庁舎
護国寺
○副都心の再生
西口サンクンガーデンイメージ 中池袋公園整備イメージ
南北区道整備イメージ
線
山手
シェア
サイクル
空間
拡大
地下空間
整序化
南デ
ッキ
西池袋
サイン整備
無料エリアWi-Fi構築
線
ー
将来
(長期)
2020年
(中期)
ン
ン
カ
大
ード
女
ロ
庁舎まるごとミュージアム
(資料P19)
と
アートオリンピア2015
(資料P20)
通
フ り
ェ
造幣局
跡地
再開発
南池袋
公園
防災
公園
新庁舎
(2015完成)
西武
鉄道
旧本社
ビル
南池袋
二丁目
B地区
再開発
ⓒRyosuke Kikuchi
新池袋モンパルナス
西口まちかど回遊美術
(資料P25)
グ
リ
ー
プ
染井吉野桜発祥の地
アピール
サンシャイン
シティ
LRT
環 状 5の 1号 線
池袋
山手
線・
埼京
線
東京よさこい、
ジャズフェスティバルなど
オ
街区
再生
シェア
サイクル
線
新ホール
中池袋
公園
南 北 区 道の整 備
西口駅前地区
再開発
文化交流施設等
街区再生
西武
北デ
ッキ
歩行
者
首
都
高速
中央
環状
線
立教通り
乙
都心
高松
首都圏最大級の
シネマコンプレックス
(イメージ)
誕生
埼京
線
メト
ロ副
東武
東上
線
マンガ・コスプレ
イベントの充実
(資料P26)
新ホール整備イメージ
南池袋
二丁目
C地区
再開発
補助
81
首
号線
都
高
速
5号
オープンカフェイメージ
池
袋
線
埼京線羽田直結
2015年
(短期)
池袋副都心および副都心連携エリア
南池袋公園整備イメージ
副都心線羽田直結
フェスティバル/トーキョーなど
国際的なイベントの開催
(資料P24)
防災公園イメージ
23
○無電柱化の推進
都市災害の防止、都市景観の向上、安全で快適な通行空間の確保といった観点から無電柱化に取り組み、開放的な都市空間を創出し、国際アート・カルチャー都
市の舞台を整えます。
学習院椿の坂
狭幅員道路における無電柱化をモデ
ル的に先行実施
巣鴨地蔵通り
無電柱化に向けて手法の検討・
地元調整を推進
左:東側(学習院側) 電柱あり 右:西側 電柱なし
○既存の文化資源、文化活動の連携
雑司が谷 日本ユネスコ協会連盟「未来遺産」登録
雑司が谷は、副都心池袋に近接しながら、武蔵野の面影を残す
自然の森や、子どもたちが太鼓をたたき、大人たちが鉦を鳴らし
万灯を揺らして練り歩く古くからの賑やかな祭りがあり、人情豊
かな人々の触れ合いがあるまちです。
上:すすきみみずく
左:御会式
24
江戸時代から伝わる郷土玩具すすきみみずくの保存や、雑司が
谷案内処を拠点とする「としま案内人雑司ケ谷」など地域の方々
による様々な活動の輪が拾いがっています。
未来の子どもたちにこのまちの歴史と文化を受け継いでいき
ます。
雑司が谷旧宣教師館
○総合的な文化プログラムの展開
フェスティバル / トーキョーなど国際演劇祭の充実
国内に例を見ない都市型舞台芸術
フェスティバルとして、国内外の新作・
世 界 初 演 の 演 劇、ダ ン ス 等 の 公 演 や、
池袋西口公園における野外イベントな
どを拡大し、
“演劇の街”池袋を国内外
へ PR し、世界へ向けて、創造と発信を
行っていきます。
池袋演劇祭
毎 年 約 100 名 の 審 査 員 を 公 募 し、
演劇祭賞を決めていく他に例のない
ユ ニ ー ク な 地 域 密 着 型 演 劇 祭 で す。
「誰でも参加できる」をコンセプトに
“演劇の街”池袋を広くアピールし、若
い演劇人を育成する場として、今後も
充実を図っていきます。
Ⓒ Ryosuke Kikuchi
撮影:久塚真央
○新たな文化の受容・創造
パラアートの普及促進
新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館の拡大
池袋モンパルナスの精神を現代に引き継ぐことを目的に、まちのどこもが美
術館をコンセプトに開催される一大文化イベントを、未来に向けて発展させて
いきます。
左:豊島区障害者美術展『ときめき想造展』
右:Echika 池袋ギャラリー、障害者アート展
25
○マンガ・アニメの聖地からクールジャパンを発信
(仮称)南長崎マンガランド事業の推進
マンガ界の第一人者である手塚治虫氏、藤子不二雄Ⓐ氏、藤子・F・不二雄氏、石ノ森
章太郎氏、赤塚不二夫氏ら、現在のマンガ・アニメ文化につながる時代を切り拓いた巨匠
たちが青春時代・下積み時代を過ごしたアパート「トキワ荘」は、当時の椎名町、現在の南
長崎にありました。アパートは昭和 57 年に解体され現存しませんが、地域では、
「トキワ
荘があったまち」を大切な地域文化として継承するとともに、地域活性化を図ろうと、さ
まざまな取り組みが展開されています。こうした取組みをさらに推進し、国内外にクール
ジャパンの原点をアピールしていくために、聖地巡礼の象徴的なスポットとなるトキワ荘
の復元を視野に入れた調査研究を実施します。さらに、トキワ荘のマンガ家が生み出した
キャラクター像を地域の公園などに順次設置し、街全体でマンガを感じられる取り組みを
進めます。
四畳半の部屋の再現
トキワ荘お休み処
マンガ・アニメの魅力発信
近年、乙女ロードをはじめ、アニメイト、Jワールド、ポケモンセンターなど、アニメ関連
施設が池袋に集積してきており、クールジャパ
ンを代表するアニメとその原点であるマンガ
文化の融合を図り、マンガ・アニメ文化の魅力
を世界に向けて発信していきます。
池袋ハロウィンコスプレフェス 2014
26
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
⑥都市構想実現のプロセス
2020 年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えて、世界中から日本への注目度が高まっています。
この絶好期を捉えて豊島区が誇る文化を積極的に内外に発信し、交流の輪を広げることで、オリンピック・パラリンピック後も視野に入れながら、豊島区が誇る文
化の伝承、新たな文化の創出、都市の活力を生み出していく好循環をつくりあげていきます。
① 短期:2015 年の新庁舎移転とそれを契機としたまちづくりを推進
2015 年の新庁舎オープンに事業開始の照準を合わせ、本構想を発表し、国家戦略特区や特定都市再生緊急整備地域指定を目指して、ハード・ソフトの取り組みの
具体化を図ります。まち全体が舞台となり、誰もが主役となれる劇場空間の実現に向け、できることから取り組みを始めます。
② 中期:2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催をターゲットに世界に向けて文化発信
2020 年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて文化プログラムに積極的に参加します。伝統文化からマンガ・アニメ・コスプレまで、魅力ある文化資源
をリアルに体感できる「クールジャパンのショーケース」として、世界から、多くの人を迎え入れます。
③ 長期:羽田空港への直通により、世界に直結することで、アート・カルチャーの国際拠点へ躍進
羽田空港への直通により、世界と直結することを見据え、文化レガシーに磨きをかけるとともに、東西デッキ、LRT 導入などにより都市の魅力を高め、国籍、年齢、
性別などを問わず、 誰もが安心してまちなかを回遊しながら文化を楽しむことができるアート・カルチャーの国際拠点へと躍進します。
国際アート・カルチャー都市
構想発表
◇短期:2015 新庁舎移転
国家戦略特区
特定都市再生緊急整備地域
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
新庁舎まるごとミュージアム
アニメ・マンガによるまちづくりの推進
F/T、演劇祭の拡充など文化プログラム推進
文化・観光ボランティアの育成
グリーン大通りオープンカフェ設置
無料エリアWi-Fi構築
副都心再生の構想具体化
新庁舎・庁舎跡地周辺まちづくりの推進
無電柱推進計画策定
デジタルサイネージ推進
クールジャパンのショーケース
として世界から集客
アート・カルチャーの
国際拠点へ
◇中期:2020 東京オリンピック・パラリンピック開催
●
●
●
●
●
●
●
●
●
新ホール・区民センターでの文化イベントの
展開
アニメ・マンガによるまちづくりの推進
オリンピック・パラリンピック文化プログラム
展開
無料エリアWi-Fi構築
池袋東口歩行者空間化など副都心再生推進
無電柱化推進
多言語対応
庁舎跡地周辺まちづくり
造幣局跡地整備
◇長期:2025∼ 羽田直通で世界と直結
●
●
●
●
●
●
●
国際コンテンツ産業の集積
国際イベント招致
池袋西口など副都心再生
池袋駅東西連絡デッキ構築
LRT開設
駅前広場の歩行者空間化
無電柱化推進
27
TO SH I M A
4. 国際アート・カルチャー都市実現に向けて
都市政策顧問
隈研吾氏
⑦都市構想実現のための戦略策定
豊島区
国際アート・カルチャー都市構想
助言
区長
意見交換
答申
諮問
国際アート・カルチャー都市懇話会
(条例設置の附属機関)
専門部会
作業チーム
構想実現にあたって
国際アート・カルチャー都市プロデューサー
国際アート・カルチャー都市構想実現戦略
文化プログラム
空間計画
国際戦略
今後は、国際アート・カルチャー都市構想の実現に向け、区長の諮問機関として、
「国際アート・カルチャー都市懇話会」を設置し、区民の皆さんのご意見をいただ
きながら具体的な施策・プログラムについて検討を行っていきます。
○役割分担を明らかにします。
豊島区の多様性に富んだアート・カルチャーは、地域住民、来街者、事業者のみなさんの手により、創造され、守り、育まれてきました。さらに、NPO など新しい
文化の担い手が誕生しています。
区を含めた役割分担を明確にしながら、多くの方がこのまちづくりに参画することができる仕組みを設け、みなさんの力で構想を実現していきます。
○バインダー方式でプロジェクトを更新していきます。
28
本構想では、国際アート・カルチャー都市の考え方をお示ししました。具体的なプロジェクトについては、区民のみなさんのご意見を伺いながら懇話会で検討し、
バインダーのように書き加え、追加していきます。
豊島区
国際アート・カルチャー都市構想 資料
TO S H I M A
資料 1. 国際アート・カルチャー都市プロデューサー提案
名前
1
2
3
4
5
6
所属団体・役職
名前
あいざわ
たかひろ
吉本興業株式会社
経営企画室室長
7
いのこ
としゆき
ウルトラテクノロジスト集団
チームラボ代表
8
すずき
みしお
読売新聞東京本社
メディア局編集委員
9
たかい
よしかず
相澤 崇裕
猪子 寿之
鈴木 美潮
髙井 喜和
たかはし
ゆたか
髙橋 豊
たちばな
まさひろ
橘 正裕
株式会社京田クリエーション
代表取締役社長
作家たかいよしかず
株式会社アニメイト
ホールディングス 社長
10
11
なかむら
所属団体・役職
その
中村 園
まえだ
さぶろう
みやた
けいこ
前田 三郎
宮田 慶子
ゆかわ
れいこ
湯川 れい子
よこさわ
だいすけ
横澤 大輔
株式会社キョードーファクトリー
代表取締役社長
新国立劇場 演劇 芸術監督
オフィス・レインボウ 代表
株式会社ドワンゴ 取締役 CCO
※五十音順
株式会社ナムコ 取締役会長
チーフプロデューサー
30
株式会社アレグロ 代表取締役
相澤崇裕 PD (吉本興業株式会社経営企画室室長)
【アート / カルチャー系スタートアップ企業の創出、豊島区での創業をステータスに】
・豊島区の「国際アート・カルチャー都市構想」を一過性のものにしてはいけない。ビジネス的な視点から全体として計算された仕組み作りのきっかけを作りたい。
・ロンドンの Tech City のアート・カルチャー版のようなことを池袋で出来ないか。
・アート・カルチャー系のスタートアップ企業が池袋を中心に集まり、事業を立上げ、そのことが雇用を生み、最終的には新しい表現としてのエンターテイメントを生み出し、ビジネスと
しての集積を形成する。さらには、生み出された作品なりが海外に行き、それを見に外国の方が来るようなイメージの生態系を作っていくことが理想ではないか。
・カルチャー・アート系スタートアップ企業の抱える課題は基本的には「資金、環境、ビジネス化」の 3 つ。具体的な支援策として、多様な資金調達手段の提供、事業化に向けての規制の緩
和など実験的ビジネスへの協力が考えられる。拠点については区の施設などを再活用することで様々なスペースを十分に供給できるのではないか。そういった要素を含む形でアート・
カルチャー系スタートアップ企業や個人向けに区がリードする形でのアクセラレーションイベントの実施、インキュベーションファンドの組成などが実現できないか。
・IT 系スタートアップ企業の中には豊島区で創業し、規模拡大とともに渋谷区や港区に転出する会社があると伺った。アート・カルチャー分野におけるスタートアップ企業にとっては豊
島区での創業が一種のステータスとなることを目指して様々な施策を実施すべきではないだろうか。豊島区からアート・カルチャー分野での傑出した企業が輩出されるころには、優良
なコミュニティーやネットワークが自然と地域に根付いているのではないだろうか。
猪子寿之 PD (ウルトラテクノロジスト集団チームラボ代表)
【道路や公園を光のデジタルアートに、デジタル遊園地で教育を】
・デジタルで制御された光で木を照らし、そこにいる人々の振る舞いに反応させたり、木同士をネットワーク化させることによって、夜は、区内の公園や、道路を一つの巨大なアート空間
にすることによって、その空間が新たな体験になり、世界中で話題になる可能性を創ることができる。
・デジタルの遊園地は、従来の遊園地よりも床面積を大幅に小さくできるため、都市の中の建物の中に作ることができる。そして、ただ楽しいだけではなく、子供の創造性や、共同性の知
育にもなるし、観光にもつながる。
・デジタルアートによって、ウイロードをみんながここにいたいと思うようなトンネルにすることもできる。ソメイヨシノ発祥の地としてソメイヨシノをモチーフにしたデジタルアート
のトンネルにすることによって、人が近くを通ると動いたり、さわると散ったり、本物とはまた違った新たな体験を創ることができるし、名所にもなりえる。
鈴木美潮 PD (読売新聞東京本社メディア局編集委員)
【食事・アニソン・ローカルヒーロー・ライブスペース・メディア戦略】
・池袋駅周辺で観劇後、食事するところがないため、飲食店の営業時間を延長することができればいい。
・アニメソングの名所にできると良い。アニソンは3世代で楽しむことができる。歌はクールジャパンのショーケースの中で欠落している部分である。
・ローカルヒーローは、経費をかけずにイベントなどに招致することができる。一方、オフィシャルな戦隊ヒーローは経費が掛かり、権利関係も難しい。
・アニメの殿堂とまでいかなくても、小さなライブスペースができるといい。日替わりトークショーや CD の販促イベントなどができると使い勝手がいい。
・メディア戦略としては、ワンセンテンスの目立つ見出しが必要。
「日本で初」
「日本でここだけ」というフレーズが重要だ。
31
髙井喜和 PD (株式会社京田クリエーション代表取締役社長)
【子育てファミリー・絵本・スイーツ・清掃工場煙突アート・アニメ・公園遊具・こどもの城】
・子育てファミリーを対象に着ぐるみショーなどの参加型のイベント「未来の豊島区を『創造ショウ!』」や大きな仕掛けの絵本ランドを作り、遊びに来た家族が絵本の中に入れるような
施設を作ってはどうか。
・清掃工場の煙突に LED の照明で装飾のアイディアを募集する「豊島清掃工場『煙突』LED 装飾アイディアコンテスト」を実施する。
(プロジェクションマッピングでも面白い)
・女性を呼ぶためにスイーツとキャラクターをコラボしたイベントの開催。
・子どもを対象とした豊島区のオリジナルアニメを作成してはどうか。
(子ども向けに安心して見せることができる豊島区を舞台にしたアニメ)
・アニメ好きをターゲットにしたアニメ聖地巡礼展も人が集まるのでは。
・子どもを巻き込むイベント、他区からも来てもらえるような参加型のイベントを実施し、ワークショップで作った作品を「子どもアートオリンピア」のように新庁舎に飾る。
・豊島区にある公園の遊具を第一線で活躍する絵本作家や、イラストレーター・映画監督・アニメーターにプロデュースしてもらってはどうか?
(話題性を高め、今までなかった遊具の企画)
・豊島区にニュータイプ施設「こどもの城」
:大型児童館を設置
(シェルター機能を持たせて防災施設として利用出来るようにしてはどうか?)
髙橋 豊 PD (株式会社アニメイトホールディングス社長)
【乙女ロードのようなカルチャー発信のストリートを増やすこと。
(or 第二第三の乙女ロードをつくること。)
そして、池袋駅の改札を出た瞬間に「始まっている感」のする街づくりを。】
32
・カルチャー発信できるエリアが乙女ロードだけではまだまだパワー不足。他にも○○ストリート、○○通りを仕掛けていってはどうか。ある程度充実してきたら、海外メディアに積極
的に発信していくことも重要。
・池袋は日常的に通いたくなるような場所にしたい。一回観光して“どんちゃん騒ぎ”して終わりという場所にはしたくない。観光で集客する地域や街と競う必要はない。
東京オリンピックを最終目的にするのではなく、オリンピックをきっかけにして街を魅力的にしていきたい。
・池袋にトキワ荘を再現してはどうか?池袋にトキワ荘が出来て話題になると「そもそものトキワ荘はどこにあったの?」ということになって、人々の関心が増し、トキワ荘に行きたい
人は増えていくと思う。
・例えばアニメイトで毎年実施している AGF(アニメイトガールズフェスティバル)のようなイベントの際に、サテライト会場として現在は使用されていない学校などを借りられると良い。そうする
ことで、面白い展示やアトラクションを実施できるし、収容人数も大きいことから地方からの来訪も含めかなりのボリュームでも対応できるイベントになる。
・池袋駅を降りた瞬間に「始まっている感」を出す必要がある。今は、駅を降りてもそういう感覚はない。秋葉原は駅を出た途端に「アキハバラに来た!」感が始まっている。この「始まっ
ている」感があると、カルチャー目的ではない一般の乗降客も街の発するものに対し「ウキウキした感覚を覚えてくれると思う。案内板なども含め、いろいろな工夫を凝らしたい。
・街中に「表現の場」をつくりたい。現庁舎の取り壊しまで空き家状態がある程度続くのであれば、イベント開催やアートミュージアムを実施するなど、表現の場として活用することで、
賑わいを創り出せるはず。
・また、学校や庁舎などの巨大スペースだけでなく、小さな空間でいいので、常設的に「あそこに行けばいつも何か面白いこと、新しいことをやっている」
「あそこに行けばやりたいこと
ができる」という場所を区として提供してほしい。野外でもいいけれど、いろいろなことが想定されるので、ちょっとした屋根はあるといい。
橘 正裕 PD (株式会社ナムコ取締役会長※4)
※4 H26・11・18 現在
【情報発信力の強化、イベントの継続、規制緩和、インフラ環境の整備、インバウンド対応】
・池袋周辺では様々なイベントが行われているが、副都市線でつながっている神奈川まで情報が伝わってこない。情報発信に力を入れるとよい。
・にぎわいを作るためにはネタが必要。イベント時に大手がメインで出るのではなく、オリジナリティの高い個人の店舗が出店しやすい環境を整え、継続させる。1 度開催して終わるので
はなく、最低でも 2、3 年続ける。
・特区を作り、興業法による規制を緩和する。そうすることで、新しい事業提案が生まれる。狭いコアな人達だけで楽しむという狙いの場合は、ツイッターなどのSNSによるクチコミで
の情報拡散が有効。
・豊島区内にアニメの学校や声優の学校があれば、アニメのお店に声優を目指す学生に出演してもらい、マイクを使ってオリジナルの実地練習を行うなどもいい。
・豊島区でアピールするものが固まってきたら、海外で開催される日本文化の展覧会でアピールしてみてはどうか。
・インフラの整備が課題。クレジットカード使用や、言葉の問題もクリアしなげればならない。案内看板の多言語対応が求められ、最終的にはそういうところまで具体化することが必要で
ある。
・インバウンド顧客に対する豊島区のPR強化が必要。静岡県は、台北国際旅行博(台湾・台北市)に出展し、現地で観光客向けにPRを行っている。このような事例を参考に、豊島区の魅
力を海外に積極的に発信し、訪日需要喚起を行ってはどうか。
中村 園 PD (株式会社アレグロ代表取締役)
【個人ミュージアム・アートコンテスト・庭園・光】
・個人ミュージアムを作ってみてはどうか。個人宅にはびっくりするようなものがある。
・30~40代の女性がトライしてみたい事の 1 つに着物にふれたいという意識がある。着物を通して古い文化と新しい文化とのコラボをしてみたら?
・現代アートは反旗を翻しているイメージがあるが、街をモダンにし、ユーモアがある。既製品を寄せ集めるより豊島区で作ったものを展示して欲しい。
・現代アートのコンテストを実施し、賞金を出し、人が集まるところに飾ると、アーティストは喜んで自腹を切って作る。
・豊島区にかけているものとして川が街の中に流れていない。今ある色々な公園を各国の庭園風に変えてみては。水の音は人の心に良い波動を送る。イングリッシュガーデン風には池、イ
ンドでは噴水、世界遺産を巡る公園を作り水と調和すると楽しいかと。
33
前田三郎チーフPD (株式会社キョードーファクトリー代表取締役社長)
①国際アート・カルチャー都市「としま」
安全・安心の街づくり。私たち区民の生活に最も身近で大切な関心事です。どうしたら明るく、楽しく活力に満ちた生活を送ることができるのでしょうか。子供たちが笑顔にあふれ快活に
学び遊ぶ日常こそが私たちの理想とする生活なのでしょう。治安の安全、保健・衛生の安心、財政の安定、教育・文化の充実の 4 か条から街の安全・安心度を測るという考え方があります。
私たちの街「としま」は全国でも有数のポイントの高い街であることをご存知でしょうか。また、同時に消滅可能性自治体であるということも。
私たちはもっともっとこの街の性能をたかめ、より豊かにより便利に生活できる街づくりをしていかなければなりません。未来のために。もちろん行政とともに。
そこで国際アート・カルチャー都市構想を提案しました。アート・カルチャーに精通した 11 人のプロデューサーに協力いただき、区民の一人一人がより身近に芸術や文化にふれることが
できるよう、また日常の中に音楽や文学や美術が共存できるような生活を提案していきたいと考えました。11 人のプロデューサーからいろいろな提案が出てきます。その中から何を選択
するかは区民の皆様の判断です。デジタルアートからライブアートに至るまでそれぞれ高い見識を備えたプロデューサー達です。ご期待ください。
②ライブエンターテイメントがあふれる街「としま」
豊島区がとても劇場の多い街の一つであることをご存知ですか。東京芸術劇場(4 劇場)
、サンシャイン劇場、アウルスポット、池袋演芸場、豊島公会堂など。大小合わせて 20 近い劇場・ラ
イブハウスでは毎日のように音楽・演劇・ダンス・落語・お笑いライブが行われています。銀座、渋谷、新宿、下北沢よりも多くのライブエンターテイメントが毎日催されているのです。
もし、この機能がよりブラッシュアップされ、より集積されたなら N.Y. のブロードウェイやロンドンのウェストエンドのようになることが可能となるかもしれません。世界中のお客様が
「としま」を目指してくるのです。安全で安心で美味しいものがあってエンターテイメントがある街「としま」。つまり、もっともっと劇場をたくさん造ってしまってライブエンターテイメ
ントあふれる街にしてしまってはという提案です。劇場だけではなく路上にライブができる施設を造ってしまってもよいのでは。毎日、街がにぎやかになるように。
でも劇場やライブ施設を造ろうとするといろいろな法律に従わなければなりません。建築基準法、消防法、興行場法、環境衛生法等など。また、民間会社が劇場を建てようとすると資金の
問題も発生します。劇場建設には巨額な資金が必要になります。
この街のどこかでビルの建て替えがあるとしたら、新しいビルに劇場を入れてみてはとお願いしたら。そのかわりビルのオーナーの経済的負担を減らすために新しく立てる建物の容積率
をあげてあげるとか。劇場部分の建築費の融資保証や金利の軽減策を図るとか。あるいは税の軽減とか。法律の改正や行政の判断が伴うことですが特区申請などを利用することなどで可
能になるのでは。
旧豊島区役所、豊島公会堂跡にも総合開発が進んでいます。この中にもいくつかの劇場ができることになっていると聞いています。ライブエンターテイメントが上演できる場所をたくさ
ん作ることによって「としま」の魅力や性能を強化し人を呼び寄せようという計画です。あちこちの街角に街頭ステージがあることも楽しいことではありませんか。パリでは地下鉄の通路
でもジャズやポップスが演奏されています。ましてや地下鉄の車内でも演奏されているのです。もちろん許可を得たアーティストたちが演奏しているのですが。街角では画家が絵をかき
パントマイムが、ダンスが、音楽が。そういう環境を豊島区が全国で初めて実現したとしたら。
クーベルタン男爵は、オリンピックとは「スポーツと文化の結婚」であると言っています。来る東京オリンピックに向けて、文化の祭典は是非「としま」にと誘致してみてはいかがでしょう。
世界中のお客様をアート・カルチャー都市「としま」にお迎えしようではありませんか。
34
宮田慶子 PD (新国立劇場 演劇 芸術監督)
【文化芸術を箱から出してみましょう】
文化芸術というと、どうしても劇場や美術館などの“容れ物・箱”に閉じ込めてしまう傾向があるのですが、
“箱”から外に出すことも積極的にやっていくと、まちの新たな楽しみ方が生
まれ、区民だけでなく、豊島区を訪れた人たちの満足度が高まるのではないでしょうか。
例えば、レストランに行こうと思って歩いていたら素敵なパフォーマンスイベントに出会えた、区役所に出かけたら待ち時間に美術品を見ることができたなど、まちの機能にプラスアル
ファーの要素が生まれてくると、なによりも、多様な好奇心を持っている女性たちのハートを捕らえることができます。女性が足を運ぶようになると、まちは元気になり、より多彩で、カ
ラフルなまちになります。
また、まちのいろいろな場所を舞台にするという企画も立てることができます。リーディングという台本を読む形式のちいさな公演を、劇場ではなく喫茶店やレストランで開催すると、
おおきな会場よりも音が染みとおり、観客がラジオドラマを聞くように息を殺して聞き入るような、臨場感あふれる場面が生まれることもあります。
また、国際アート・カルチャー都市を推進していくのであれば、まちに来た皆さんに、ご自身で直接に芸術体験をしてもらうことも大切だと思います。例えば、毎週日曜日には、公園に
白い大きなキャンバスを置いて、アーティストとともに、参加する人たちがその場で自由に絵を描けるようにしてみるだけでもいいのです。芸術を身近なものと感じてもらい、まちの中で
展開するためには、しっかりとしたアートディレクションも必要です。大がかりな物でなくても、小さな企画がたくさんあるのも楽しいと思います。
豊島区では、まちのいたるところで文化・芸術の企画を展開するまちづくりをしているということが知られていくと、外国の方にとっても魅力的なスポットになっていくと思います。
【駅から5分でタイムトラベラーツアー】
浅草などでは、下町を自転車で走るツーリングが流行っているようです。参加した外国の方の感想では、裏道を走れたことがなによりも面白かったということです。
外国の方はまち歩きを大切にします。私たちには「当たり前」と思える、気にも留めていない風景も、外国の方には「珍しい、日本ならではのもの」と喜ばれたりもします。きっとそこには、
「日本の生活」があるからなのでしょう。
豊島区の場合、池袋から5分もあれば人々の暮らしが息づく住宅街に入れますから、いまだに残っている昭和を彷彿とさせる街並みを生かして、懐かしい時代の日本人の暮らしが見え
るツアーができれば面白いかもしれません。山手線の範囲内で、暮らしと、巨大ターミナルが一体となっているまちは池袋しかありませんから。
また、外国からアーティストを呼ぼうとすると、入国手続等の規制や、宿泊施設の整備、交通手段の複雑さなど課題がいろいろあります。けれど、日本の文化を知りたい、日本人のその
ままの暮らしを知りたいという人も多いので、豊島区では、アーティストたちのホームステイを推奨するのもよいかもしれません。
それこそがまさに人の視点に立った「国際アート・カルチャー都市」なのではないかと思います。
35
湯川れい子 PD (オフィス・レインボウ代表)
【女性を対象にしたイベント、音楽・アニメの活用、世界への発信】
・女性が集まるところに流行が生まれる。二番煎じだと大きくならないので、アートマルシェ・フェスティバルのような売り物をまず見つける。3 年かければ大きくなるのではないか。
・定期的に開催することで、出店する方も、客も予定に入れることができる。
・スイーツは女性に人気があり、名のあるパティシエから区内の専門学校に出展を呼びかけ、人気投票も面白い。また、若い女性向けの小物は新しく、魅力的である。高いものを売るので
はなく、安くて可愛らしい女の子が喜ぶものがいい。
・アニソンは強い。定期的にアニソンイベントが行われている小屋を用意し、上手く展開すれば、外国から人を呼ぶことができる。情報発信ひとつをとってもハッシュタグをつけて、世界
中の人の関心を引く特色があるものができれば、最初は小さくても大きくできる可能性がある。
・コスプレの大きなフェスは日本にないので、池袋でやれたらいい。唯一日本が世界で最先端であるのはアニメであり、コスプレである。
・庁舎跡地をにぎわいの拠点とするためには、人が使いやすく、若者が集まる場所になるのが一番いいのではないか。劇団やバンド向けに、一定のレベル以上であれば、発表の場として安
く貸し出すのもいい。
・豊島区は洋楽のアーティストのコンサートを開催してきていないので、テントホールでもいいから新ホールができることにより、洋楽アーティストを呼ぶことができたら話題になる。
・池袋は上品な芸術劇場というよりもパンクである。少し外れた下町である一方、活気があり、若い人が集まってくる。そして、年配者にも優しいまちだと思う。
・世界に池袋の存在を示していくためには、成功例から言うと、まず、英語で発信できる人を窓口として置き、アニメ・コスプレなどの情報を発信していくことが必要である。英語のほか、
フランス語、スペイン語、中国語で発信できれば強い。
横澤大輔 PD (株式会社ドワンゴ取締役CCO)
【観光資源のデジタル化、若者文化、消滅可能性都市のハブに】
・観光資源をうまくデジタル化して、現場とネット上とで、人が二度集まるような場所を作り、それを若者文化とつなげていく。
・池袋は多くの人がゆっくり回遊していて、ターミナルとして非常によい状態であり、立ち寄りスポットをもっと増やせる可能性がある。
・京都はまち自体が集客装置。景観条例もあるが、
「きちんと集客できますよ」という仕組みを行政が作ることができれば、池袋はおもしろいまちになる。
・池袋のチェーン店は「何かが違う」と、見せることが重要。それが「まちぐるみで何かをやっている」というサインになる。
・今、注目されているポイントは結構限られていて、
「当たり前のものが変わる」
、
「大人が本気で遊ぶ」というのが、若者たちにささるキーワード。
・池袋は、いい意味で色が付いていない。キャッチコピーがないことが逆にプラスになる。
「消滅可能性都市」と言うブランドを使うべき。
・相互優位というか、消滅可能性都市の物産を豊島区に持ってきて、消滅可能性都市の応援イベントをやりたい。
・昔のようにバンド系の聖地がなくなって散漫になっているので、池袋はバンド系とかアニメの声優とか、何かを追いかけている女の子たちが集まる場所にし、ニコニコ本社も含めてうま
く回遊していただこうと思う。
・まず国内で勝てるよいものを作ってから海外に発信しないと海外でも勝てない。海外戦略を考える人は、海外に向けて作っているように感じる。国際的なものを作るより、キーになるも
のを集めるだけで十分。
36
TO S H I M A
資料 2. 都市政策顧問 隈 研吾氏 ご意見
都市政策顧問 隈 研吾 (建築家・東京大学教授)
①池袋副都心の都市づくり動向
豊島区 ( 池袋周辺 ) は、新旧やハイカルチャー、ストリートカルチャーなどの対比があって、日本の今一番おもしろい所が詰まっていると思います。しかも、いくつかのまちづくり計
画や再開発でさらに刺激することで、もっと高いレベルにいける場所がたくさんあります。豊島区の計画に携われた事で、世界に向けて話すネタがたくさんあると再確認できました。
②国際アート・カルチャー都市構想
豊島区がもっている幅の広さの部分、例えば、単にストリートカルチャーだけでなく、新しいだけでもない、そのような色々なものが混じり合っているおもしろい部分をつかんだ現代
的な世界に通用する構想だと思います。
キャピタル・オブ・カルチャーが始まったのは、20 年位前で、ヨーロッパはどんどん盛り上がっています。私は、キャピタル・オブ・カルチャーのシンポジウムやイベントに招待さ
れることがあり、キャピタル・オブ・カルチャーをたくさん見て回ってきました。
日本で、キャピタル・オブ・カルチャーにふさわしい魅力的な場所は豊島区ではないかとこの国際アート・カルチャー都市構想を見て思いました。この構想は、ヨーロッパでもおも
しろく展開できる可能性が考えられます。ヨーロッパのキャピタル・オブ・カルチャーで選ばれる都市は、おもしろみが発見できるような都市で、その発見という事をすごく大事にし
ています。豊島区はまさに発見の余地がある、ヨーロッパと比べても競争力があるという事を再発見しました。
ぜひ、この路線でどんどん進めて、まちづくりと連動させていただければ良いと感じました。
今までの日本の都市開発は、限定的な区域で展開することを基本としていましたが、私は新庁舎と庁舎跡地をダンベルと称し、今までにないまちづくりのモデルとなる可能性があり、
未来的だと思っています。現代に求められているまちづくりは、限定的ではなく周りに広がりを持たせ、まちのにぎわいを上手く取り込んでキャラクターをつくりだすことなので、今回
の構想は今の時代に合っていると思います。
③ミピム(MIPIM)※5について
ミピムはカンヌ映画祭の都市開発版のようなものです。各都市が世界からの注目を集められるような大変な競争をしており、それを発表する世界的なイベントです。その中で、どのよ
うなプロジェクトが注目されているかというと、その場所のキャラクターやストリートと連動し、環境に配慮しているものが評価されています。豊島区のプロジェクトは、そのような場
に出しても恥ずかしくないまちづくりが進んでいると考えています。
※5
ミピム(MIPIM)
MIPIM(不動産プロフェッショナル国際マーケット会議)とは 1990 年からフランス・カンヌで毎年 3 月に開催されているリードミデム社による国際的な不動
産イベントで、地域開発・不動産投資に関連する地方自治体、企業、投資家等が一堂に会し、契約等の商談、大規模開発の情報収集、新規マーケットの発掘等を行う
世界最大級の見本市。
また、主にアジアの投資家を対象とした MIPIM ASIA が、2006 年から香港で毎年 11 月に開催されており、2015 年に MIPIM JAPAN として東京にて開催され
ることが決定した。
(国土交通省ホームページより)
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TO S H I M A
資料 3. 国際アート・カルチャー都市構想策定チーム会議
○検討経緯
第 1 回 平成 26 年 10 月 15 日
第 2 回 平成 26 年 11 月 10 日
第 3 回 平成 26 年 12 月 8 日
第 4 回 平成 27 年 1 月 29 日
*平成 26 年 12 月 2 日 太下 義之氏レクチャー ( 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
芸術・文化政策センター センター長 / 主任研究員 )
*平成 26 年 12 月 9 日 吉本 光宏氏レクチャー (ニッセイ基礎研究所 研究理事 )
○メンバー
《策定チーム》
No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
氏 名
渡邉 浩司
佐藤 和彦
矢作 豊子
高橋 孝志
田中 真理子
小澤 弘一
斎藤 明
原島 克典
三沢 智法
馬場 晋一
小島 寛大
(敬称略)
所 属
副区長
企画課長
広報課長
シティプロモーション推進室長
生活産業課長
文化デザイン課長
文化観光課長
都市計画課長
拠点まちづくり担当課長
(公財)としま未来文化財団 みらい文化課長
フェスティバル / トーキョー ディレクターズコミッティ副代表
備 考
チームリーダー
ゲストメンバー
《スーパーバイザー》
No.
1
2
3
4
5
6
氏 名
羽藤 英二
平賀 達也
高萩 宏
東澤 昭
蓮池 奈緒子
安島 博幸
所 属
東京大学 工学系研究科教授
ランドスケープアーキテクト
東京芸術劇場副館長
(公財)としま未来文化財団事務局長
NPO 法人アートネットワーク・ジャパン理事長、フェスティバル / トーキョー実行委員
立教大学観光学部教授
備 考
《事務局サポート》
38
No.
1
2
氏 名
斎藤 健治
宮原 賢次
所 属
UR 都市機構 東日本都市再生本部事業推進部プロジェクトマネージャー
隈研吾建築都市設計事務所 設計統括室長
備 考
林、吉田、大野、狩野
齊川
TO S H I M A
コラム
アトリエ村と池袋モンパルナス
1930 年代、豊島区西部旧長崎町を中心に絵や彫刻を勉強する独身学生向けの借家群であるアトリエ村が生まれました。このアトリエ住
宅は、15 畳ぐらいのアトリエに作品を搬出するための大きな窓と天窓があり、居室部分は狭く、多くは 3 畳から 4 畳半でした。最初にア
トリエ村がつくられたのは 1931(昭和 6)年のことで、
「すずめが丘アトリエ村」と呼ばれました。その後「さくらが丘パルテノン」
「つつじ
が丘アトリエ村」など、次々に建てられ、最盛期は数百人を超える画家や彫刻家が住んでいました。彼らは切磋琢磨しながら貧しさの中で
創作に打ち込み、また、夜になれば池袋の街にくり出し、自由でモダニズムに溢れた雰囲気のもと、芸術論をたたかわせたり、未来の夢を語
り合うなど、様々な交流を繰り広げました。池袋の街は、アトリエ村に住む美術家たち、詩人、新興キネマの俳優などの映画人、そして立教
大学の学生たちのたまり場であり、創造への意欲を育む土壌だったのです。そうした光景を、詩人の小熊秀雄は、
「池袋モンパルナス」と称
しました。当時、画壇の大家たちの多くが東京美術大学をはじめ、美術館や博物館が林立する上野周辺に住んでいましたが、若く貧しい芸
術家たちにとって、池袋は家賃が安く、上野に通うにも便利な場所でした。これをパリに置き換えれば、
「上野の山」は「モンマルトルの丘」
で、池袋はパリの場末のモンパルナスだったのです。
アトリエ村復元模型(郷土資料館)
トキワ荘
椎名町(現南長崎)にあった木造アパート「トキワ荘」に手塚治虫が入居したのは昭和 28 年。翌年区内雑司が谷の並木ハウスへ転居し、
「ジャングル大帝」をはじめ、
「鉄腕アトム」
「リボンの騎士」などの名作が世に出されました。
その後のトキワ荘には、彼を慕って、寺田ヒロオ、藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐ)、石ノ森章太郎、赤塚不二夫など、後の
マンガ界をけん引する数多くの巨匠たちがその青春時代をトキワ荘で過ごしました。 互いに切磋琢磨しながら、
「マンガ」という新たな表
現を切り拓いていったのです。そのトキワ荘は昭和 57 年に解体され、現存していませんが、跡地には記念のモニュメントが建てられ、
「マ
ンガの聖地」として今も多くのファンが訪れています。
また、マンガの天才・手塚治虫に並び称されるマンガの鉄人・横山光輝も昭和 35 年から亡くなるまでの 45 年間を千早の地に住み、
「鉄
人 28 号」や「魔法使いサリー」などの作品を生み出しました。
最先端アニメ文化につながるマンガ文化の源流は、この豊島区から始まったと言えます。
「トキワ荘のヒーローたち」記念碑
(南長崎花咲公園)
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染井吉野桜発祥の地
日本には確認されているだけで、約 600 種類の桜がありますが、現在日本に植えられている桜の約 70 ~ 80%はソメイヨシノだと言われています。
江戸時代の染井村(現在の豊島区駒込地域)は植木の里として知られ、多くの植木屋が軒を連ねていました。日本を代表する桜・ソメイヨシノは、江戸末期
から明治にかけて、染井村の植木職人が、エドヒガンザクラとオオシマザクラの品種を改良して作ったと云われ、染井の地名を冠する桜として全国に広まり
ました。
雑司が谷 日本ユネスコ協会連盟「未来遺産」登録
日本ユネスコ協会連盟 「未来遺産」とは
「未来遺産運動」は、長い歴史を超えて人々が紡ぎ続けてきた文化遺
産や、自然とともに生きる知恵や工夫の中でつくりあげてきた自然遺
産という豊かな贈り物に光を当て、100 年後の子どもたちに長い歴史
と伝統のもとで豊かに培われてきた地域の文化・自然遺産を伝えるた
めの運動です。
全国から地域の文化・自然遺産を未来に伝える市民活動を公募し、
これまで、全国で 49 の活動が登録されています。
「プロジェクト未来
遺産 2014」の募集に「雑司が谷がやがや」プロジェクトが手を揚げ、
地域を挙げて挑戦してきました。
この度、厳正なる審査を経て、全国3団体の一つに選ばれました。
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雑司が谷がやがやプロジェクトとは
雑司が谷は、副都心池袋に近接しながら、武蔵野の面影を残す自然の森
があり、子どもたちが太鼓をたたき、大人たちが鉦を鳴らし万灯を揺らし
て練り歩く古くからの賑やかな祭りがあり、人情豊かな人々の触れ合い
があるまち。
変わりゆく時代の中で、変わらないものの大切さを教えてくれるまち
です。
時代の変化をただ受け入れるだけではなく、子どもたちが 100 年後の
未来にも誇りを持ってここに暮らせるよう、今ここで暮らす人たちが力
を合わせ、古き良き伝統を継承し、自然と時代の変化を調和させる取組み
を行っていくこと。
それが、
「雑司が谷がやがやプロジェクト」です。
にしすがも創造舎
旧朝日中学校施設を文化芸術創造拠点「にしすがも創造舎」として転用する文化芸術創造支援事業を、アート系の 2NPO 法人との協働により実施し
ています。
演劇やダンス等の稽古場提供事業をはじめ、子どもを対象としたアート・ワークショップや地域住民との交流事業を展開しています。
騒音問題等で稽古場確保が難しいとされている若年層の演劇関係者の要望、次代の文化の担い手である子どもたちへの文化芸術に触れる機会の提供、
NPO・地域・行政の連携など多様なニーズが重なり、閉校校舎の活用と結びついています。
事業開始以来、現在までの地道な取り組みが定着しつつあり、地域への理解も進み、
「にしすがも創造舎」の存在が十分認識されてきました。
平成 21 年 1 月に、文化芸術創造都市部門で文化庁長官表彰を受賞しましたが、その代表的な活動のひとつとして「にしすがも創造舎」での活動があげられました。
フェスティバル / トーキョー
新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館
フェスティバル / トーキョー(F/T)は国際的な舞台芸術フェス
ティバルとして、国境、世代、ジャンルを超えて多様な価値が出会
い、互いを刺激しあうことで新たな可能性を拓く場となることを目
指しています。
あうるすぽっと、にしすがも創造舎、東京芸術劇場をメイン会場
に、現代演劇の巨匠たちの作品に加え、演劇、ダンス、美術、音楽な Ⓒ Tsukasa Aoki
どそれぞれの分野で注目を集める中堅・若手の創り手たちが、フェ
スティバルならではの共同創作を経て生み出す作品を多数上演します。
国内に例を見ない、官民協働運営の都市型舞台芸術フェスティバルとして、国内外の新作・
世界初演の演劇、ダンス等の公演や、池袋西口公園における野外イベントなどを開催し、
“演
劇のまち”池袋を国内外へ PR し、東京・池袋から世界へ向けて、創造と発信を行っています。
『新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館』は、池
袋モンパルナスの精神を現代に引き継ぐことを目的に、
街のどこもが美術館をコンセプトにして開催されていま
す。
回遊美術館は、区施設のみならず、東武百貨店、立教
大学、区内のギャラリーや喫茶店、メトロの通路、街の
ショーウインドーなど 40 か所以上で繰り広げられる一大文化イベントです。
池袋モンパルナスの作家や現代若手作家の作品のほか、区内小学生による夢あ
ふれる作品が展示されています。
地域の皆さんの活動により、多くの芸術家が移り住み、創作活動に励みながら、
芸術の街として輝きを放った精神を引き継ぎ、未来に向けて発展させています。
「乙女の聖地」池袋
池袋には、乙女ロードを中心に最先端のキャ
ラクターショップが集積しています。
「アニメイト本店」や「らしんばん池袋本店」の
ようなアニメ・ゲームなどの女性対象のアニメ
グッズや同人誌を扱う「乙女系」の店舗が多く
並ぶことから、
「乙女の聖地」と呼ばれています。
また、エヴァストア、ポケモンセンターなど新たな出店も続いてい
ます。
毎年 11 月、乙女ゲーム、アニメ、コスプレなど、全てのジャンルが集まった
乙女のための大型イベント、ガールズフェスティバルが開催され、今年で開催 5
周年になります。
また、平成 26 年 10 月には、ニコニコ本社の池袋移転に合わせ、ハロウィン・
コスプレイベントが開催され、まち全体を舞台に多くのコスプレイヤーが集ま
りました。期間中は日本のみならず、世界 22 カ国から 1 万人におよぶコスプレ
イヤーが参加。会場来場者数は 5 万 2,000 人 ( コスプレイヤー含む )、ニコニコ生放送でのネット来場者
数は 25 万 6,212 人を動員するなどし、メディアからも大きな注目を集めました。アニメと動画コンテン
ツが池袋のまちで出会ったことによる相乗効果により生まれたものと言えます。
41
ロンドン 2012 とアンリミテッド
アンリミテッドは 2012 年ロンドン五輪の文化プログラム「ロンドン 2012 カルチュラル・オリンピアード」の主軸のひとつでもあり、2010 年~ 11 年にかけて行われた 3
度の公募を経て、障害のあるアーティストやその所属芸術団体に 29 の新しい作品の制作が委託されました。
アンリミテッドから生まれたすべての作品は、2012 年、五輪開幕に向け英国全土でおよそ 3 か月にわたって行われた、カルチュラル・オリンピアードのクライマックスとも
いえる「ロンドン 2012 フェスティバル」で披露され、さらに、パラリンピックと同時にロンドンのサウスバンク・センターで開催された 10 日間の「アンリミテッド・フェスティ
バル」のプログラムの中核を成しました。これまでにない規模で障害のあるアーティストによる斬新かつ意欲的な作品の数々が英国国内外で紹介され、アンリミテッドは障害の
あるアーティストによる最高峰の芸術に対する認知度の向上と、アーティストの活躍の場の拡大に大きく貢献しました。
東京 2020 オリンピック・パラリンピック立候補ファイル から
移行段階から大会まで - すべての人のためのステージ、未来のためのステージ
開催都市決定後から文化事業、展覧会、祭典など包括的なプログラムに着手する。このプログラムには、アスリートと同規模のクリエーターが世界中から集い、大会期間中に
ピークを迎える。
これらのプログラムにより、日本を含めたアジアでのオリンピックの価値の普及を促進し、地域コミュニティで大会への情熱を喚起する。
2016 年招致をきっかけとして開始した「東京文化発信プロジェクト」は、最先端の芸術からコミュニティアートまで、次世代を育成するプラットフォームとしての機能を持ち
ながら、文化の多様性を促進する事業を行なってきた。このプロジェクトをさらに発展させ、文化に対する意識を広め、すべての市民にオリンピズムのメッセージを伝えていく。
2020 年東京大会では、
「アーツ・フォー・オリンピズム・ユース・クリエーション・プログラム」を実施し、若手芸術家を支援する東京都の取組をさらに確かなものにする。
このプログラムでは、大会期間中の国際的なコラボレーションや伝統文化から革新的な技術にいたるまでの挑戦的なプロジェクトを通じて、世界中の若手芸術家がオリンピズム
の概念を探究する取組を進める。
大会期間中のプログラム - 都市が劇場となる
「TOKYO 2020 フェスティバル・オブ・アーツ・アンド・カルチャー」は、日本社会が共有するオリンピックの価値を称え、未来を形作る。
このフェスティバルでは、大会を訪れた人々や地域コミュニティに、文化に触れ、親しむ機会を数多く提供し、
「未来(あした)をつかむことを目指した、日本の文化特性である
多様性に関する世界の若手芸術家の対話」という主なテーマを通じて文化交流を促進する。
「アーツ・フォー・オリンピズム・ユース・クリエーション・プログラム」に参加する若手芸術家、高齢者、障害者等は、共に創作し、卓越、友情、尊敬というオリンピックの価
値を普及し、2012 年ロンドン大会の「アンリミテッド」プロジェクトの成功を継承する。
大会期間中は、劇場や美術館を開放するだけでなく、公園や通りや公共施設など、都市の隅々で、伝統と現代、日本古来の叡智と先端技術が混ざり合った文化の多様性を体験で
きる。都市自体がこの祝祭のための大きな劇場となる。
TOKYO 2020 文化プログラムは、スポーツと文化を通じた地域社会を構築する社会システムとして、オリンピックのレガシーとなるだろう。
42
豊島区国際アート・カルチャー都市構想【解説編】
平成 27 年 6 月
編集・発行
豊島区 政策経営部 企画課
〒 171-8422 豊島区南池袋 2 - 45 - 1
電話 03(3981)1111(代)
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