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Electronic Journal 2008年7月号 大日本スクリーン製造の膜圧測定装置

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Electronic Journal 2008年7月号 大日本スクリーン製造の膜圧測定装置
特集
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PVJapan 2008
《大日本スクリーン製造の膜厚測定装置》
多入射角の分光エリプソメトリを搭載
未知パラメータに対する感度を最適化
大日本スクリーン製造㈱ M&Pカンパニー PE事業部 計測機器ビジネス部長 杉本克雄
当社は、半導体・LED・MEMSデバイス用の膜厚計「ラムダエース」シリーズを1000台以上
開発・製造・販売してきた。その上位機種にあたる「RE-8000」は、大型X/Yステージ上に多
入射角分光エリプソメトリを搭載した、薄膜太陽電池パネルの膜厚・光学定数(屈折率・消衰
係数)を全自動で高速・高精度に測定可能な装置である。以下、その概要を紹介する。
●薄膜太陽電池における膜厚測定の問題点
薄膜系太陽電池分野への新規参入が進む中、太
陽光を有効利用するために複雑なテクスチャ構造
が用いられる。従来から膜厚を測定する手法は、
サンプルに光を反射させ干渉光を分光器で測定す
る光干渉法が主流であった。しかし、干渉光によ
る分光強度だけでは正確に測ることができない。
当社では、エリプソメトリ法を利用することで
この問題点を解決した。エリプソメトリは、容易
かつ高感度で薄膜の膜厚を測定する計測器として
広く使われており、半導体分野では一般的なもの
となっている。
光の波長を変化させて測定を行う分光エリプソ
メトリは、コンピュータの発達に伴い測定技術も
飛躍的に発展を遂げ、測定の自動化も進んだ。そ
の結果、非接触・非破壊の簡便な高精度測定法と
して地位を確立している。
●分光エリプソメトリを搭載
エリプソメトリは、一般的に試料から反射する
図1 「RE-8000」の外観
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Electronic Journal 2008 年 7 月号
光の偏光状態を測定する。エリプソメトリ解析の
数学的理論は、平らな試料の界面に入射する偏光
のフレネル反射方程式をベースにしている。この
方程式は、マックスウェルの方程式に対する解を
起源にしている。エリプソメトリで測定されるパ
ラメータは、偏光の振幅比と位相差を角度で表わ
したΨ(プサイ)とΔ(デルタ)で表現する。特
に精密な計測を行うために入射角を変化させる多
入射角分光エリプソメリは、波長と入射角の両方
を関数として測定を行う。エリプソメトリは2つの
値の比を測定するため、精度が高く再現性も良い。
また、基準材料を必要としない。位相差(Δ)を
測定するので、Åレベルの非常に薄い膜に対して
良い感度を得ることができる。
当社が開発した「RE-8000」(図1)は、入射角度
を変えて複数の測定を行うことができる方式を採
用した。入射角度を変えると、試料内を通過する
光が異なる光路を取ることで新しい情報が取得さ
表1 「RE-8000」の仕様
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PVJapan 2008
図2
テクスチャ構造
図5 TCO膜の分光エリプソメトリデータの最適化例
図3
テクスチャ構造によるエリプソメトリ解析への影響
図6 積層構造でのモデル最適化
図4
データ解析モデルの最適化
れ、未知のパラメータに対する感度が最適化(フ
ィッティング)される。さらに、測定波長領域は
可視から赤外まで採用することで信頼性を向上さ
せた。
●データ解析モデルの最適化が鍵
太陽電池では光を効率良く電気に変換するため
に、様々な工夫がされている。その中の1つにテク
スチャ構造が挙げられる。これは光を効率良く吸
収させるためにわざと規則的な凸凹を作り、光を
なるべく反射させずに太陽電池の内部に閉じ込め
る構造である(図2)。
このような構造は、光の乱反射と閉じ込め効果
によって光学測定を困難にする。このため、エリ
プソメトリ解析にも影響を与えてしまい、妥当な
評価結果が得られないのが通常である(図3)。
そこでテクスチャ構造を持つ膜の評価に対して、
データ解析モデルを最適化させる必要があった。
このモデル化が、太陽電池の構造を評価していく
上で重要なノウハウとなる(図4)。エリプソメト
リ解析では、適切なモデル化の確立が最も重要な
要素であった。このモデル化の成功により、多入
射角の分光エリプソメトリデータの解析が容易と
なった。多入射角データの同時解析では、光路長
の異なる複数のデータを解析できるため、膜の構
造をより正確に評価することが可能となった。ま
た、材料の持つ吸収の評価においてもより正確な
評価が可能となった。さらに積層された構造を正
確に評価するためにも、多入射角データの測定が
不可欠となる。最適化されたモデルで解析された
テクスチャ付きTCO膜の分光エリプソメトリデー
タのフィッティング例が図5である。モデルを最適
化させることで、良好なデータフィッティングと
妥当な結果を得ることが可能となった。このよう
な高い解析技術により、さらに積層された構造で
もモデルフィッティングができる(図6)。RE-8000
は、これまでの機種に比べ大幅な解析力アップを
達成し、膜厚・屈折率の管理が可能となった。
●薄膜太陽電池のパネル供給をサポート
世界のあらゆるメーカーが2008∼2010年にかけ
て薄膜太陽電池の生産設備を立ち上げる中で、当
社の取り組みもCO2 排出量削減、エコ社会実現に向
けて、高変換効率を保つ薄膜太陽電池パネル供給
をサポートするため、検査計測分野で製品開発を
続け、社会貢献を果たしていく予定である。
*本製品に関する問い合わせ先*
大日本スクリーン製造㈱ M&Pカンパニー
PE事業部 計測機器ビジネス部
〒601-8203 京都府京都市南区久世築山町465-1
TEL:075-931-1220(営業) FAX:075-931-1285
E-mail:[email protected]
Electronic Journal 2008 年 7 月号
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