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1.行政国家の成立と行政学の発展 1-2. 行政学の誕生と発展
1.行政国家の成立と行政学の発展 1-2. 行政学の誕生と発展 ①アメリカ合衆国の統治構造 官僚制の嫌悪と権力分立 /連邦制と権力分立 /公職の公選制と政治任用制 ②アメリカの発展と猟官制 広大な国土と豊かな資源 /自己完結的な自治 /移民の増加と工業化 /資本主義の発展と利益の多元化 /政党による調整 /猟官制(spoils system) /政治的腐敗と無能力 ③公務員制度改革 ガーフィールド大統領の暗殺事件 /ペンドルトン法 /資格任用制(merit system) ④アメリカ行政学の誕生 1 アメリカ合衆国 ヨーロッパで宗教的迫害を受けた人たちが作った国 植民地からの独立──1776年 2 アメリカの政治的伝統 自由で平等な社会の形成 君主も、貴族も、常備軍も、官僚制も存在しない国 国民の権利や自由を侵害しかねない官僚制を嫌悪 権力の集中を排除──権力分立 公職者の公選と多数の政治的任命職 ──権力をもつ者に対する民主的統制 政党の誕生と役割 調整と意思決定機構の欠如 ──機関同士が対立した場合に最終的な決定者の不在 「政党」の誕生 ──選挙のマシーン ──候補者の選考と任命職への候補者の推薦 3 猟官制 選挙運動へ貢献した者に、恩賞として公職のポストを与える慣行 猟官制(spoils system) 素人による行政 = 民意を反映した民主的制度 社会の複雑化に対応できず → 政治的腐敗と無能力 恩賞で得たポストにまつわる利権 → 汚職 要求される高度の専門知識 → 無能力 → 中立的で高度の能力をもった公務員組織への期待 = 健全なる官僚制 大統領暗殺事件とペンドルトン法 1881年失意の猟官者がガーフィールド大統領を暗殺 1883年 ペンドルトン法制定 試験によって能力を証明した人物を公務員に採用する 「資格任用制」(merit system)を一部導入 → 公務員の専門性の確保と公務員に対する民主的統制 の矛盾 4 行政学の誕生と発展 専門性と民主的統制の矛盾という課題への解答を求 めて、新しい学問として行政学が誕生 Woodrow Wilson(第28代大統領) Frank Goodnow 政治行政分断論(政治行政二分論) 政府活動はその意思の形成と執行に分解できる 意思の形成は民主的手続が重要 執行は技術的過程であるがゆえに、民主主義よりも効率性・ 専門性が優先されてよい → 要するに、意思形成、執行の2つの過程のうち、一 方に民主的統制が機能すれば、全体としての民主主 義は担保されうる 5 これからの社会では、効率的な執行の方法が重要。そ れを探求するのが行政学の使命 ヨーロッパの官僚制の方法の導入? アメリカの民間企業の管理手法の導入 ──「科学的管理法」 = テーラー・システム → 「政治」から切り離された「行政」に固有の原理の探求 ──『管理科学論集』 L. Guilick & L. Urwick 政治行政分断論の視点 規範の追求──あるべき状態の解明 現実とのギャップ 世界大戦と大恐慌による大きな政府の実態 ──意思形成と執行の一体性 → 「政治行政分断論」の限界と新たな理論の必要 6