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健康・栄養食品アドバイザリースタッフ ・テキストブック 第6版

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健康・栄養食品アドバイザリースタッフ ・テキストブック 第6版
「健康・栄養食品アドバイザリースタッフ
・テキストブック 第 6 版」
追補
本書刊行後に「特別用途食品制度」の見直しが行われ,平成 21 年4月より新
本書刊行後に「特別用途食品制度」の見直しが行われ,平成
21 年 4 月より新制
制度が施行されています。
「第3章『健康食品』」の「D. 特別用途食品」
(p.149 〜
度が施行されています。「第 3 章『健康食品』」の「D.特別用途食品」
(p.149 ∼
154)について,追加・修正をいたしました。本冊子の
p.6 図 3.8 の特別用途食品,
154)について,追加・修正をいたしました。また,本書中に誤りについて,正
特定保健用食品のマークは平成
21 年 9 月以前のものです。
また,
平成 22 年度 NR 認定試験のトピックとなる「日本人の食事摂取基準(2010
誤表を併せて収載いたします。
年版)
」
「食品表示に関する制度」について,参考資料を掲載いたします。
本書中の誤りについて,正誤表を併せて収載いたします。
―
―
─1
─
D
●1
特別用途食品
特別用途食品の概念と種類
20 年 7 月)を受けて平成 21 年 2 月 12 日に制度の改正が
●
特別用途食品は,健康増進法第 26 条により,「販売
通知された。新しい制度では,特定保健用食品を除く
に供する食品につき,乳児用,幼児用,妊産婦用,病
対象食品の範囲が図 3.7 のように変更された。
者用その他厚生労働省令で定める特別の用途に適する
特別用途食品は,許可基準が設定されている食品群
旨の表示をしようとする者は,厚生労働大臣の許可を
内閣総理
と設定されていない食品群がある。許可基準が設定さ
受けなければならない。」と規定されている。特別の
れている食品を許可基準型食品といい,許可要件及び
用途に適する旨の表示とは,乳児,幼児,妊産婦,病
許可基準を満たす必要があり,これには病者用食品
者等の発育または健康の保持もしくは回復の用に供す
(許可基準型),妊産婦・授乳婦用粉乳,乳児用調製粉
ることが適当な旨を医学的,栄養学的表現で記載し,
乳,えん下困難者用食品がある。許可基準が設定され
かつ用途を限定したものをいう。
ていない食品を個別評価型食品といい,許可要件を満
特別用途食品の枠組みは,基本的に旧栄養改善法
たす必要があり,これには個別評価型病者用食品と特
(昭和 27 年法律第 248 号)によって定められたものが
定保健用食品がある。許可の適否は,専門の学識経験
最近まで維持されたままとなっていた。その間,制度
者の意見にもとづいて判断される。
を取り巻く状況が大きく変化したことから,平成 19 年
なお,平成 21 年の改正においては,許可基準型の病
11 月に「特別用途食品制度のあり方検討会」が設置さ
者用食品では,病者用単一食品として許可されていた
れて制度の見直しが検討され,同検討会報告書(平成
低ナトリウム食品・低カロリー食品・低(無)たんぱ
[平成21年4月より]
[従来]
病 者 用 食 品
病 者 用 食 品
許可基準型
許可基準型
栄養表示基準に
病者用単一食品
基づく栄養強調
低ナトリウム食品
表示で対応
低カロリー食品
低たんぱく質食品
低(無)たんぱく質高カロリー食品
高たんぱく質食品
アレルゲン除去食品
無乳糖食品
宅配食品栄養
指針で対応
病者用組合わせ食品
低たんぱく質食品
アレルゲン除去食品
無乳糖食品
総合栄養食品
いわゆる濃厚
流動食(新規)
減塩食調製用組合わせ食品
糖尿病食調製用組合わせ食品
肝臓病食調製用組合わせ食品
成人肥満症食調製用組合わせ食品
個別評価型
個別評価型
妊産婦,授乳婦用粉乳
妊産婦,授乳婦用粉乳
乳児用調製粉乳
乳児用調製粉乳
高 齢者用食品
えん下困難者用食品
そしゃく困難者用食品
そしゃく・えん下困難者用食品
図 3.7
特別用途食品(特定保健用食品を除く)の対象食品の範囲の見直しの概要
―
―
─2
─
表 3.19 − 1
病者用食品の食品群別許可基準
食品群名
規 格
たんぱく質含量は,通常の
同種の食品の含量の 30 %以下
であること。
② 熱量は,通常の同種の食品
の含量と同程度又はそれ以上
であること。
③ ナトリウム及びカリウム含
量は,通常の同種の食品の含
量より多くないこと。
④ 食事療法として日常の食事
の中で継続的に食するもので
あり,これまで食していたもの
の代替となるものであること。
許容される特別
用途表示の範囲
必要的表示事項
低たんぱく質食品
①
アレルゲン除去食品
①
特定の食品アレルギーの原 特定の食品アレル
因物質である特定のアレルゲ ギー(牛乳等)の
ンを不使用又は除去(検出限界 場合に適する旨。
以下に低減した場合を含む。)
したものであること。
② 除去したアレルゲン以外の
栄養成分の含量は,通常の同
種の食品の含量とほぼ同程度
であること。
③ アレルギー物質を含む食品
の検査方法により,特定のア
レルゲンが検出限界以下であ
ること。
④ 同種の食品の喫食形態と著
しく異なったものでないこと。
①
無乳糖食品
①
食品中の乳糖又はガラクト 乳糖不耐症又はガ
ースを除去したものであるこ ラクトース血症に
①
と。
適する旨。
乳糖又はガラクトース以外
の栄養成分の含量は,通常の
同種の食品の含量とほぼ同程
度であること。
② 乳糖又はガラクトースの代替物の名称。
③ ビタミン及びミネラルの含量。
④ 標準的な使用法。
⑤ “無乳糖”を意味する文字。
⑥ 乳たんぱく質を含む場合はその旨。
⑦ 医師,管理栄養士等の相談,指導を得
て使用することが適当である旨。
⑧ 食事療法の素材として適するものであ
って,多く摂取することによって疾病が
治癒するというものではない旨。
②
たんぱく質摂取制 ① 医師にたんぱく質摂取量の制限を指示
限を必要とする疾
された場合に限り用いる旨。
患 ( 腎 臓 疾 患 等 ) ② 製品の一定量(例えば1個または1片)
に適する旨。
当たりのたんぱく質含量。
③ 100g 及び1食分,1包装その他の1単
位当たりの熱量及びたんぱく質,脂質,
炭水化物,ナトリウム,カリウム,カル
シウム,リンその他意図的に強化された
成分の含量* 1。
④ “低たんぱく質”を意味する文字。
⑤ 医師,管理栄養士等の相談又は指導を
得て使用することが適当である旨。
⑥ 食事療法の素材として適するものであ
って,多く摂取することによって疾病が
治癒するというものではない旨。
医師に特定のアレルゲンの摂取制限を
指示された場合に限り用いる旨。
② 食品アレルギーの種類又は除去したア
レルゲンの名称(目立つように表示)。
③ 除去したアレルゲンの代替物の名称。
④ ビタミン及びミネラルの含量。
⑤ 標準的な使用法。
⑥ 医師,管理栄養士等の相談,指導を得
て使用することが適当である旨。
⑦ 食事療法の素材として適するものであ
って,多く摂取することによって疾病が
治癒するというものではない旨。
医師に乳糖又はガラクトースの摂取制
限を指示された場合に限り用いる旨。
栄養成分等については,熱量,たんぱく質,脂質,炭水化物,ナトリウム,カリウム,カルシウム,リンその他意図的に強化された成分の
含量の順に表示することとし,その他の表示方法については栄養表示基準に準じることとする。
*1
―
―
─3
─
食品群名
総合栄養食品
許容される特別
用途表示の範囲
規 格
①
疾患等により経口摂取が不
十分な者の食事代替品として,
液状又は半固形状で適度な流
動性を有していること。
② 表 3.19 − 2 の栄養成分等の基
食事として摂取す
べき栄養素をバラ
ンスよく配合した
総合栄養食品で,
疾患等により通常
準に適合したものであること * 2 。 の食事で十分な栄
(粉末状等の製品にあっては,そ 養を摂ることが困
の指示通りに調製した後の状態 難な者に適してい
で上記①及び②の規格基準を満 る旨。
たすものであれば足りる。)
必要的表示事項
①
②
「総合栄養食品(病者用)」の文字。
医師,管理栄養士等の相談,指導を得
て使用することが適当である旨。
③ 栄養療法の素材として適するものであ
って,多く摂取することによって疾病が
治癒するというものではない旨。
④ 摂取時の使用上の注意等に関する情報。
⑤ 基準量及び標準範囲(表 3.19 − 2)を外
れて調整した成分等がある場合はその旨
(「○○調整」)。
⑥ 1 包装当たりの熱量。
⑦ 1 包装当たり及び 100kcal 当たりのたん
ぱく質,脂質,糖質,食物繊維,水分,
ナトリウム,食塩相当量及び基準量又は
標準範囲(表 3.19 − 2)を外れて調整され
た成分の含量。
⑧ 欠乏又は過剰摂取に注意すべき成分が
ある場合はその旨。
*2
ただし,個別に調整した成分等については,この限りではない。
表 3.19 − 2
総合栄養食品の基準量及び標準範囲
①栄養成分等の基準
●熱量(100ml
(又は 100g)
当たりの熱量) 80 ∼ 130kcal
●成分(100kcal 当たりの組成):たんぱく質* 1 3.0 ∼ 5.0g,脂質* 2 1.6 ∼ 3.4g,糖質・食物繊維 50 ∼ 74 %(熱量比とし
て),ナトリウム 60 ∼ 200mg,ナイアシン 0.45mgNE ∼ 15 * 3(5 * 4)mg,パントテン酸 0.25mg 以上,ビタミン A
28μgRE ∼ 150μg レチノール* 5,ビタミン B1 0.04mg 以上,ビタミン B2 0.05mg 以上,ビタミン B6 0.06 ∼ 3.0mg,ビタ
ミン B12 0.12μg 以上,ビタミン C 5mg 以上,ビタミン D 0.3 ∼ 2.5μg,ビタミン E 0.4 ∼ 30mg,ビタミン K 3 ∼ 13
μg,葉酸 12 ∼ 50μg,塩素 50 ∼ 300mg,カリウム 80 ∼ 330mg,カルシウム 33 ∼ 115mg,鉄 0.3 ∼ 1.8mg,マグ
ネシウム 14 ∼ 62mg,リン 45 ∼ 175mg
アミノ酸スコアを配慮すること,* 2 必須脂肪酸を配合すること,* 3 ニコチンアミドとして,* 4 ニコチン酸として,* 5 プロビタミン・カロテ
ノイドを含まない。
*1
②標準範囲
●成分(100kcal 当たりの組成):ビオチン 2.3μg 以上,亜鉛 0.35 ∼ 1.5mg,クロム 1 ∼ 7μg,セレン 1 ∼ 18μg,銅
0.04 ∼ 0.5mg,マンガン 0.18 ∼ 0.55mg,モリブデン 1 ∼ 12μg,ヨウ素 8 ∼ 120μg
4 ―
─―
─
く質高カロリー食品・高たんぱく質食品は,高たんぱ
アレルゲン除去食品
x
く質,低カロリー,低ナトリウムに関する栄養強調表
特定の食品アレルギー(牛乳など)の場合に適する
示の基準が定められており,代替的な機能を果たし得
食品。
ることから,また,病者用組合わせ食品として許可さ
c
れていた減塩食調製用組合わせ食品・糖尿病食調製用
無乳糖食品
乳糖不耐症,ガラクトース血症に適する食品。
組合わせ食品・肝臓病食調製用組合わせ食品・成人肥
v
総合栄養食品
満症食調製用組合わせ食品が,宅配食品栄養指針によ
食事として摂取すべき栄養素をバランスよく配合し
る管理を図ることが期待できることから許可の対象か
た総合栄養食品で,疾患等により通常の食事で十分な
ら外れ,総合栄養食品が,新たに許可された。また,
栄養を摂ることが困難な者に適する食品(いわゆる濃
高齢者用食品は許可対象が,えん下困難者用食品のみ
厚流動食を指す)。
に限定され,食品区分の名称も「えん下困難者用食品」
と変更された。新制度は,平成 21 年 4 月 1 日から施行
(2)個別評価型
されるが,これまでに許可されているものは,平成
22
アレルゲン除去食品,乳児用調製粉乳,高齢者用食
個別評価型病者用食品は,許可基準の設定されてい
品(そしゃく・えん下困難者用食品)の取扱いについ
年
3 月 31 日まで経過措置がとられ,改正前の基準によ
ない食品で,特定の疾患に適する食品であり,許可要
ては,平成 22 年 9 月 30 日まで経過措置がとられる。
ることができる。
件を満たす必要がある。
●2
病者用食品
●
病者用食品は許可基準型,個別評価型を問わず,す
表 3.21
べて必要的表示事項に,医師に摂取量の制限,または
摂取を指示された場合に限り使用すべき旨が記載され
ている。
(1)許可基準型
表 3.19 にこれら病者用食品の食品群別許可基準を示
した。
z
低たんぱく質食品
たんぱく質摂取制限を必要とする腎臓疾患などに適
する食品。
表 3.20
妊産婦・授乳婦用粉乳の許可基準
成 分
たんぱく質
糖 質
脂 質
カルシウム
ビタミン A
ビタミン D
ビタミン B1
ビタミン B2
ナイアシン
エネルギー
製品1日摂取量中の
含有量
10.44g 以上
23.66g 以上
2.30g 以上
650mg 以上
456μg 以上
7.5μg 以上
0.86mg 以上
0.76mg 以上
0.29mg 以上
314kcal 以下
乳児用調製粉乳の許可基準
成 分
標準濃度における組成
熱 量
たんぱく質
(窒素換算係数 6.25 として)
脂 質
炭水化物
ナイアシン
パントテン酸
ビタミン A
ビタミン B1
ビタミン B2
ビタミン B6
ビタミン B12
ビタミン C
ビタミン D
ビタミン E
葉 酸
イノシトール
亜 鉛
塩 素
カリウム
カルシウム
鉄
銅
ナトリウム
マグネシウム
リ ン
α|リノレン酸
リノール酸
Ca / P
リノール酸/α|リノレン酸
60 ∼ 70kcal
1.8 ∼ 3.0g
4.4 ∼ 6.0g
9.0 ∼ 14.0g
300 ∼ 1500μg
400 ∼ 2000μg
60 ∼ 180μg
60 ∼ 300μg
80 ∼ 500μg
35 ∼ 175μg
0.1 ∼ 1.5μg
10 ∼ 70mg
1.0 ∼ 2.5μg
0.5 ∼ 5.0mg
10 ∼ 50μg
4 ∼ 40mg
0.5 ∼ 1.5mg
50 ∼ 160mg
60 ∼ 180mg
50 ∼ 140mg
0.45mg 以上
35 ∼ 120μg
20 ∼ 60mg
5 ∼ 15mg
25 ∼ 100mg
0.05g 以上
0.3 ∼ 1.4g
1∼2
5 ∼ 15
注) 100kcal 当たりの組成。熱量のみ 100ml 当たり。
― 5 ―
──
表 3.22
えん下困難者用食品の許可基準
規 格* 1
許可基準Ⅰ* 2
許可基準Ⅱ* 3
許可基準Ⅲ* 4
硬さ
(一定速度で圧縮したときの抵抗)
(N/ m2)
2.5 × 103 ∼ 1 × 104
1 × 103 ∼ 1.5 × 104
3 × 102 ∼ 2 × 104
付着性(J/ m3)
4 × 102 以下
1 × 103 以下
1.5 × 103 以下
凝集性
0.2 ∼ 0.6
0.2 ∼ 0.9
―
常温及び喫食の目安となる温度のいずれの条件であっても規格基準の範囲内であること。
均質なもの(例えば,ゼリー状の食品)
。
*3
均質なもの(例えば,ゼリー状又はムース状等の食品)
。ただし,許可基準Ⅰを満たすものを除く。
*4
不均質なものも含む(例えば,まとまりのよいおかゆ,やわらかいペースト状又はゼリー寄せ等の食品)
。ただし,許可基準Ⅰ又は許可基
準Ⅱを満たすものを除く。
*1
*2
表 3.23
主な特定保健用食品一覧
1.お腹の調子を整える食品
●オリゴ糖類を含む食品
●乳酸菌類を含む食品
●食物繊維類を含む食品
2.血圧が高めの方に適する食品
3.コレステロールが高めの方に適する食品
4.血糖値が気になる方に適する食品
5.ミネラルの吸収を助ける食品
6.食後の血中の中性脂肪を抑える食品
7.虫歯の原因になりにくい食品
8.歯の健康維持に役立つ食品
9.体脂肪がつきにくい食品
10.骨の健康が気になる方に適する食品
●3
妊産婦・授乳婦用粉乳
〈A〉特別用途食品のマーク
〈B〉特定保健用食品マーク
区分欄には,乳児用食品,
幼児用食品,妊産婦用食品,
病者用食品と,その他の特
別の用途に適する食品にあ
っては,当該特別の用途を
記載すること。
図 3.8
特別用途食品及び特定保健用食品のマーク
注) 平成 17 年初めに新たに設けられた条件付き特定保健用食品の詳細及びマーク
については,p.156,157 を参照。
●
をする食品を特定保健用食品という。国民にとって保
妊産婦・授乳婦用粉乳は,妊産婦や授乳婦の栄養補
健上有用な食品が適切に選択されるよう,正しい情報
給に適した食品である。表 3.20 に許可基準を示した。
の提供を図ることで,国民の栄養改善に資することを
目的とした食品である。なお,平成 17 年に特定保健用
●4
乳児用調製粉乳
●
食品制度の見直しが行われ,従来の個別評価型特定保
乳児用調製粉乳は,母乳の代替食品としての用に適
健用食品に,新たに条件付き特定保健用食品,規格基
する食品である。表 3.21 に許可基準を示した。
準型特定保健用食品および疾病リスク低減表示特定保
健用食品が加わった。
●5
えん下困難者用食品
●
現在までに認められた主な保健の用途を表示した特
えん下を容易ならしめ,かつ,誤えん及び窒息を防
定保健用食品を表 3.23 に示した。詳細は,次項 E を参
ぐことを目的とする食品である。表 3.22 に許可基準を
照。
示した。
●7
●6
特定保健用食品
●
特別用途食品の認定証票
●
以上,上記に紹介したこれらの食品は,厚生労働大
特別用途食品のうち,食生活において特定の保健の
臣が許可したことを示すマークとして,特定保健用食
目的で摂取する者に対し,表示される関与成分の摂取
品を除く特別用途食品には証票〈A〉が,また,特定
により,表示される保健の目的が期待できる旨の表示
保健用食品には証票〈B〉が付される(図 3.8)
。
―
―
─6
─
●参考資料1 日本人の食事摂取基準(2010 年版)(概要)●
1.策定の目的
日本人の食事摂取基準は,健康な個人または集団を対象として,国民の健康の維持・増進,生活習慣病の予
防を目的とし,エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。
2.使用期間
平成22(2010)年度から平成26(2014)年度までの5年間とする。
3.策定方針
1)基本的考え方
「日本人の食事摂取基準」の策定にあたっては,2005年版で用いられた方針を踏襲しながら,可能な限り,科
学的根拠に基づいた策定を行うことを基本とし,国内外の学術論文ならびに入手可能な学術資料を最大限に活
用することとした。
食事摂取基準は,3つの基本的な考え方に基づいて策定されている。
① エネルギー及び栄養素摂取量の多少に起因する健康障害は,欠乏症または摂取不足によるものだけでな
く,過剰によるものも存在する。また,栄養素摂取量の多少が生活習慣病の予防に関与する場合がある。よっ
て,これらに対応することを目的としたエネルギーならびに栄養素摂取量の基準が必要である。
② エネルギー及び栄養素の「真の」望ましい摂取量は個人によって異なり,
個人内においても変動するため,
「真の」望ましい摂取量は測定することも算定することもできず,その算定及び活用において,確率論的
な考え方が必要となる。
③ 各種栄養関連業務に活用することをねらいとし,基礎理論を「策定の基礎理論」と「活用の基礎理論」
に分けて記述した。なお,「活用の基礎理論」については,
「食事改善」や「給食管理」を目的とした食事
摂取基準の基本的概念や活用の留意点を示した。
2)設定指標
エネルギーについては1種類,栄養素については5種類の指標を設定した。
【エネルギー】
○推定エネルギー必要量(estimated energy requirement : EER)
エネルギー出納(成人の場合,エネルギー摂取量−エネルギー消費量)が0(ゼロ)となる確率が最も高
くなると推定される習慣的な1日当たりのエネルギー摂取量
【栄養素】
健康の維持・増進と欠乏症予防のために,
「推定平均必要量」と「推奨量」の2つの値を設定し,この2指
標を設定することができない栄養素については,
「目安量」を設定した。また,過剰摂取による健康障害を未
然に防ぐことを目的として,
「耐容上限量」を設定した。さらに,生活習慣病の1次予防を目的として食事摂
取基準を設定する必要のある栄養素については,
「目標量」を設定した。
○推定平均必要量(estimated average requirement : EAR)
ある母集団における平均必要量の推定値。ある母集団に属する 50%の人が必要量を満たすと推定される1
日の摂取量
○推奨量(recommended dietary allowance : RDA)
ある母集団のほとんど(97 〜 98%)の人において1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量。理論
的には「推定平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)
」として算出。
○目安量(adequate intake : AI)
推定平均必要量及び推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に,特定の集団の人々があ
る一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
──
○耐容上限量(tolerable upper intake level : UL)
ある母集団に属するほとんどすべての人々が,健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取
量の上限を与える量
○目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases : DG)
生活習慣病の1次予防を目的として,現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量
3)策定栄養素等
エネルギー,たんぱく質,脂質(脂質,飽和脂肪酸,n-6 系脂肪酸,n-3 系脂肪酸,コレステロール)
,炭水化
物(炭水化物,食物繊維)
脂溶性ビタミン:ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンK
水溶性ビタミン:ビタミンB 1,ビタミンB 2,ナイアシン,ビタミンB 6,ビタミンB 12,葉酸,パントテン酸,
ビオチン,ビタミンC
多量ミネラル:ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン
微量ミネラル:鉄,亜鉛,銅,マンガン,ヨウ素,セレン,クロム,モリブデン
4)年齢区分
0〜5か月,6〜8か月,9〜 11 か月,1〜2歳,3〜5歳,6〜7歳,8〜9歳,10 〜 11 歳,12 〜 14 歳,
15 〜 17 歳,18 〜 29 歳,30 〜 49 歳,50 〜 69 歳,70 歳以上。妊婦,授乳婦。
5)ライフステージ
「乳児・小児」,「妊婦・授乳婦」,「高齢者」の各ライフステージについて,特別の配慮が必要な事項につい
て整理を行った。
6)活 用
各種栄養関連業務に活用することをねらいとし,活用の基礎理論を整理し,
「食事改善」と「給食管理」を
目的とした食事摂取基準の基本的概念と活用の留意点を示した。
変更点
・乳児年齢区分を追加
・エネルギー:若年女性基礎代謝基準値変更,身体活動レベルの変更
・たんぱく質:目標量はなし,妊婦の付加量を区分別に設定
・炭水化物で小児の目標量を策定
・食物繊維は目標量のみ策定
・水溶性ビタミン(ナイアシン,B6,葉酸)で小児の耐容上限量を策定
・葉酸の成人の耐容上限量を引き上げ(プテロイルモノグルタミン酸量)
・カルシウムは推定平均必要量,推奨量を設定,目標量はなし
・ナトリウムの目標量引き下げ
・鉄の妊婦の付加量を初期と中期・末期に分類
・ヨウ素,セレンの耐容上限量を引き下げ
・ライフステージ別の,留意点を詳細に記述
なお,参考資料1は,あくまで抜粋資料であるので,
「日本人の食事摂取基準(2010年版)
」のより正確な
理解のためには,厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html)を参照
し,報告書本文を読んでいただきたい。
──
●推定エネルギー必要量を理解するための概念図
●推定エネルギー必要量を理解するための概念図
推定エネルギー必要量
1.0
1.0
過剰の確率を示す
曲線
過剰の確率を示す
曲線
0.5
過剰過
の剰
リス
のク
リスク
不足不
の足
リス
のク
リスク
0.5
推定エネルギー必要量
不足の確率を示す
曲線
不足の確率を示す
曲線
0.0
習慣的な摂取量
0.0
縦軸は,個人の場合は不足または過剰が生じる確率を,集団の場合は不足または過
習慣的な摂取量
剰の者の割合を示す。エネルギー出納が0(ゼロ)となる確率が最も高くなると推定
縦軸は,個人の場合は不足または過剰が生じる確率を,集団の場合は不足または過
される習慣的な1日当たりのエネルギー摂取量を推定エネルギー必要量という。
剰の者の割合を示す。エネルギー出納が0(ゼロ)となる確率が最も高くなると推定
される習慣的な1日当たりのエネルギー摂取量を推定エネルギー必要量という。
推定平均必要量
1.0
不足不
の足
リス
のク
リスク
1.0
推定平均必要量
推奨量
推奨量
目安量
耐容上限量
目安量
耐容上限量
0.5
0.5
0.025
0.0
0.025
0.0
習慣的な摂取量
過剰過
摂剰
取摂
に取
よっ
にて
よ健
って
康健
障康
害障
が害
生が
じ生
るじ
リス
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リスク
●食事摂取基準の各指標を理解するための概念図
●食事摂取基準の各指標を理解するための概念図
習慣的な摂取量
縦軸は,個人の場合は不足または過剰によって健康障害が生じる確率を,集団の場
合は不足状態にある者または過剰によって健康障害を生じる者の割合を示す。
縦軸は,個人の場合は不足または過剰によって健康障害が生じる確率を,集団の場
不足の確率が推定平均必要量では0.5(50%)あり,推奨量では0.02 〜 0.03(中間値と
合は不足状態にある者または過剰によって健康障害を生じる者の割合を示す。
して0.025)
(2 〜 3%または2.5%)あることを示す。耐容上限量以上を摂取した場合に
不足の確率が推定平均必要量では0.5
(50%)あり,推奨量では0.02 〜 0.03(中間値と
は過剰摂取による健康障害が生じる潜在的なリスクが存在することを示す。そして,
して0.025)
(2 〜 3%または2.5%)あることを示す。耐容上限量以上を摂取した場合に
推奨量と耐容上限量との間の摂取量では,不足のリスク,過剰摂取による健康障害が
は過剰摂取による健康障害が生じる潜在的なリスクが存在することを示す。そして,
生じるリスクともに0(ゼロ)に近いことを示す。目安量については,推定平均必要量
推奨量と耐容上限量との間の摂取量では,不足のリスク,過剰摂取による健康障害が
ならびに推奨量と一定の関係を持たない。しかし,推奨量と目安量を同時に算定する
生じるリスクともに0
(ゼロ)に近いことを示す。目安量については,推定平均必要量
ことが可能であれば,目安量は推奨量よりも大きい(図では右方)と考えられるため,
ならびに推奨量と一定の関係を持たない。しかし,推奨量と目安量を同時に算定する
参考として付記した。 目標量は,他の概念と方法によって決められるため,ここには
ことが可能であれば,目安量は推奨量よりも大きい(図では右方)と考えられるため,
図示できない。
参考として付記した。
目標量は,他の概念と方法によって決められるため,ここには
図示できない。
─ 10 ─
1
●食事摂取基準を設定した栄養素と策定した指標(1歳以上)
推定平均必要量
推奨量
目安量
耐容上限量
目標量
(EAR)
(RDA)
(AI)
(UL)
(DG)
○
○
─
─
─
脂質
─
─
─
─
○
飽和脂肪酸
─
─
─
─
○
n-6 系脂肪酸
─
─
○
─
○
n-3 系脂肪酸
─
─
○
─
○
コレステロール
─
─
─
─
○
炭水化物
─
─
─
─
○
食物繊維
─
─
─
─
○
ビタミン A
○
○
─
○
─
ビタミン D
─
─
○
○
─
ビタミン E
─
─
○
○
─
ビタミン K
─
─
○
─
─
ビタミン B1
○
○
─
─
─
ビタミン B2
○
○
─
─
─
ナイアシン
○
○
─
○
─
ビタミン B6
○
○
─
○
─
ビタミン B12
○
○
─
─
─
葉酸
○
○
─
○2
─
パントテン酸
─
─
○
─
─
ビオチン
─
─
○
─
─
ビタミン C
○
○
─
─
─
ナトリウム
○
─
─
─
○
カリウム
─
─
○
─
○
カルシウム
○
○
─
○
─
たんぱく質
脂 質
炭水化物
脂溶性
ビタミン
水溶性
多量
ミネラル
微量
マグネシウム
○
○
─
リン
─
─
○
○
─
鉄
○
○
─
○
─
亜鉛
○
○
─
○
─
銅
○
○
─
○
─
マンガン
─
─
○
○
─
ヨウ素
○
○
─
○
─
セレン
○
○
─
○
─
クロム
○
○
─
─
─
モリブデン
○
○
─
○
─
1
一部の年齢階級についてだけ設定した場合も含む。
2
通常の食品以外からの摂取について定めた。
─ 11 ─
○
2
─
●参考資料2 食品表示に関する制度●
─ 12 ─
◆消費者庁設立後の食品表示業務について
◆消費者委員会の審議事項について
─ 13 ─
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