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国際共同研究および国際広報における 組織間連携の事例
2013年11⽉18⽇ 第5回RA研究会講演会 RA-S02国際連携⽀援セッション 国際共同研究および国際広報における 組織間連携の事例について 北海道⼤学 創成研究機構 URAステーション ⽥中晋吾 国際化にまつわる問題点 - どうやって解決する? 研究を進めるために 海外のあの研究室 との連携が必要だ 優れた留学 ⽣がほしい そのためには 英語の講義 が必要だ 英語で事務 ⼿続きを要 求された… 国際シンポの⼿ 続きって何すれ ば良いの? この研究成果、 世界中の企業に 売り込みたい! どうやら学内だけでは解 決できそうにないぞ… なぜ他の⼤学と連携する必要があるの? ⼤学の国際展開は、 国としての政策を反映していることが多い。 なかには国を挙げて、研究プロジェクトや 留学⽣の獲得を⽀援しているところも。 そのような相⼿と戦っていく上で、 単独の⼤学の実⼒やリソースでは限界がある。 しかも、研究、教育、産学連携、広報…と戦線は広範囲。 オールジャパン体制どころか、他国の機関も含めて、 各⼤学が得意なところを持ち寄って協⼒体制を組むことが、 世界を相⼿に渡り合うために不可⽋。 例)論⽂⽣産単位の中⼼は単⼀機関から複数機関へ 科学技術指標2012(科学技術政策研究所 科学技術基盤調査研究室) 「図表4-1-11主要国における論⽂数の論⽂共著形態別割合の推移」より⼀部抜粋 問1)他国を代表する研究機関とどう渡り合う? インドネシアは世界第三位の熱帯林保有国で、 同時に世界最⼤の熱帯泥炭を保有する。 同国は、森林伐採や泥炭⽕災・分解によって、 世界有数の温室効果ガスの排出源になっている。 温室効果ガスの排出削減に貢献し、 炭素クレジットシステムの構築に関与できれば、 将来的に炭素クレジット取引の舞台で 多⼤な利益を上げることができる。 そのため、先進国諸国が インドネシアの森林・泥炭保全の取り組みで イニシアティブを握ろうと⻁視眈々と狙っている。 タイプ 実施主体 1 ⼆国間 ドイツ復興⾦融公庫 2 ⼆国間 オーストラリア国際開発庁 3 ⼆国間 韓国国際協⼒団 4 NGO ドイツ国際協⼒公社 5 NGO 国際アグロフォレストリー研究センター 6 NGO New Forest Asset Management 7 NGO Fauna & Flora International 8 NGO ONF International 9 NGO Infinite Earth 10 NGO 世界⾃然保護基⾦ 11 NGO FFI 12 基⾦ 国際熱帯⽊材機関 13 基⾦ UN-REDD REDDプラスへの取組動向(H24年度FFPRI)より 「インドネシアにおける主だったREDDプラス関連事業 実施及び資⾦⽀援状況」から抜粋改変 事例1)国際共同研究を推進する連携体制 ー京⼤・北⼤と企業の協働による理⼯農会- 京都⼤学学術研究⽀援室は、 研究プロジェクトの創発・形成を⽬的とした シンクタンク的ツールとして、 産学の研究者を集め理⼯会を2012年に発⾜した。 2013年5⽉には、 北海道⼤学農学研究院の⼤崎教授を中⼼とした 研究者グループと関連団体が加わり、 以後理⼯農会として3回の会合を重ねてきた。 • 川崎地質 京都⼤学 • ⽇本⼯営 • 住友林業 北海道 ⼤学 その他 ⼤学 ほか • みどり⼯学研究所 • 北海道⽔⽂気候研究所 • ⽇本⼤学 • 東京⼤学 • 岡⼭⼤学 理⼯農会に参加する主な⼤学と企業 【主な活動内容】 ・インドネシア・ミャンマー他東南アジア地域における 各国の研究動向に関する情報の共有 ・⽇本国内外の研究助成⾦に関する情報共有 ・共同での外部資⾦申請 ・ワークショップやシンポジウムの共同開催 京都⼤学東京オフィスにおける会合の様⼦ 理⼯農会が拓く新たな組織連携の成果 ●泥炭地管理国際学会の設⽴ ・泥炭をはじめとする低湿地研究において、 世界的なイニシアティブをとることを⽬的として発⾜ ●共同ワークショップ・シンポジウムの開催 ・International Workshop on Peatland Management (2013年10⽉10⽇ 北海道⼤学) ・The 1st Japan and Myanmar Workshop on Environmental Improvement in Wetland (2013年12⽉11⽇(予定)ミャンマー ヤンゴン⼤学) ●共同での研究助成⾦申請 ・H26年度SATREPSの共同申請などを予定し準備中 Jack Rieley教授(Nottingham U.)基調講演 問2)国際社会で⼤学の存在感を出すためには? 海外で⾏う留学説明会は、 留学⽣獲得のために極めて効果的だが、 単独⼤学の開催ではアピール⼒に⽋ける。 そこで複数⼤学が合同で説明会を⾏うなど、 ⽇本の⼤学が世界の中で埋もれないように、 広報活動にも戦略的な取り組みが要求される。 東北⼤学によるプレゼンの様⼦ 写真は、3⽉15⽇に東北⼤学の主催により ロシアのウラジオストックで開催された 第4回⽇露⼤学合同説明会の様⼦。 ⽇本各地から9⼤学が参加し、 ロシア⼈訪問者数は300名に及んだ。 会場にはすべての⼤学がブースを出展 事例2) 戦略的研究広報の場としてのAAASの利⽤ 優秀な頭脳を迎え⼊れるためには、 ⽇本でいかに素晴らしい研究環境が得られるか 世界中に向けて周知する必要がある。 世界最⼤のサイエンスコミュニケーションの場である アメリカ科学振興協会(AAAS)年次総会には、 世界各国から優秀な若⼿が集まり、 次のステップとすべき研究機関を探している。 しかし、規模が⼤きいために、 ⽇本の⼤学が単独で出展しても⽬⽴つのは難しい。 AAASでは、JSTが取りまとめて、 ⽇本の⼤学や研究機関が出展料を分担する形で、 ジャパンパビリオンを出展してきた。 AAAS2013年次総会の様⼦ AAASにおける⼤学間連携を通した学内連携推進 ジャパンパビリオン設置に関するワーキンググループへ参加 →効果的な全体レイアウトの検討 →他の出展機関との相乗効果を狙った展⽰ →パビリオンの展⽰と連動したセッションの開催 ・⼤学毎の特徴ある研究に関する広報 ・研究⼈材募集 【北海道⼤学の取り組み内容】 ⼤学の特徴を表した取り組みを選択し、 広報を通した部局横断的な連携促進の機会として活⽤。 タイプ 機関名 ⼤学 (WPI採 択校) 東北⼤学、筑波⼤学、東京 ⼤学、東京⼯業⼤学、名古 屋⼤学、京都⼤学、⼤阪⼤ 学、九州⼤学、物質・材料研 究機構 ⼤学 北海道⼤学、筑波⼤学 研究機関 理化学研究所、海洋研究開 発機構 助成機関 ⽇本学術振興会、科学技術 振興機構 2014年度AAASジャパンパビリオンの主な参加機関 ・先端研究を⽀えるオープンファシリティ制度の紹介 ・産学連携シーズとしてのダブル・ネットワーク・ゲルを紹介 ・途上国における環境・社会問題解決に対する取り組みとしSATREPS プロジェクトの紹介 北海道⼤学におけるAAAS主担当者。難波国際担当 シニアURA(左)と⾼⽊国際担当URA(右) まとめ:国際化における⼤学間連携の意義 意義その1 得意分野を組み合わせることで、海外の優れた研究機関と ⼗分に渡り合えるように。 意義その2 分業体制によるシンポジウムなどの開催や 共同研究申請書作成の負担減などが可能に。 意義その3 スケールメリットを活かすと共に、相乗効果を狙った企画の ⽴案が可能に。 意義その4 学内のリソース再認識と、部局間連携のきっかけとしても有⽤。 謝辞 ・京都⼤学 学術研究⽀援室 園部太郎様 (京都⼤学理⼯会に関する情報提供に対して) ・北海道⼤学 サステイナビリティ学教育研究センター 百⽥恵理⼦様 (インドネシアにおける炭素取引の基礎資料提供に対して) ※本発表における理⼯農会に関する内容は主に北海道⼤学側の認識に基づいております。 必ずしも京都⼤学側の認識と⼀致することを保証するものではありません。