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脂質代謝制御の中心的役割を演じる 転写因子SREBPの分子基盤

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脂質代謝制御の中心的役割を演じる 転写因子SREBPの分子基盤
脂質代謝制御の中心的役割を演じる
転写因子 SREBPの分子基盤
【Key words】
転写因子 transcription factor
SREBP sterol regulatory element-binding protein
コレステロール cholesterol
核内受容体 nuclear receptor
佐藤 隆一郎
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻・食品生化学分野
はじめに
02 I 小胞体 -ゴルジにおけるSREBPの活性化
メタボリックシンドロームを代表とする生活習慣病は、エネル
核で遺伝子発現を制御する転写因子が、膜タンパク質として小
ギーの摂取過剰、消費低下
(=運動不足)
に起因する疾患であるが、
胞体上に局在する事実は我々を驚かせた。このままの状態では転
その発症基盤には脂質代謝制御不全が位置する。肥満は脂肪組織
写因子として機能することは不可能であり、2カ所の膜貫通領域
への脂肪蓄積過多の表現型であり、それが引き金となり2型糖尿
の近傍で切断され、遊離した N 末端側の約 500 アミノ酸が核へ
病が発症し、血管壁への脂質沈着が動脈硬化の直接原因である
移行する。この部分には転写因子機能に必須な bHLH-Zip
(basic
という事実は脂質代謝制御恒常性の重要性を物語っている。代謝
helix-loop-helix leucine zipper)
領域が含まれている。この切断
調節の実行部隊は種々の酵素、受容体であることは疑いのないこ
は細胞内コレステロール量により精密に制御されており、コレス
とであるが、それらの活性、発現を制御する中心的調節因子は複
テロール過多の時には切断は起こらず、枯渇状況では積極的に亢
数の転写因子、核内受容体である。その中心に転写因子 SREBP
進する。従って、コレステロール合成、取り込みを上昇させる条
(sterol regulatory element-binding protein)
は位置し、複数の
件下で初めて、切断が促進され、核内で合成、取り込みに関与す
核内受容体とクロストークを介して、代謝制御を包括的に執り
る遺伝子群の転写を上昇させる。この制御機構に関わるタンパク
行っている。筆者は、テキサス大学 Goldstein 博士・Brown 博
質として SCAP(SREBP cleavage-activating protein)
が発見
士研究室での SREBP 発見研究に参画し、その後日本において機
された
(5)
。SCAP は8回膜貫通領域を持ち、C 末端側を細胞質
能解析研究を継続して十余年を経た。本稿では、本転写因子の機
に突き出す形で、おもに小胞体膜上に存在する
(図2)
。SREBP
能とその活性制御の分子機構を改めて総括し、解説したい。
は2カ所の膜貫通領域を介してその N 末端、C 末端の双方を細
胞質に突き出す形で膜上にとどまり、SREBP、SCAP の両 C
末端同士で結合し、二量体を形成する。SCAP がクローニング
01 I SREBP の発見
され、その一次配列を解析すると、コレステロール合成の律速酵
我々の体を構成するおよそ 60 兆個の細胞では、細胞内コレス
素である HMG CoA 還元酵素
(高コレステロール血症の治療薬・
テロール量は厳密に制御されている。コレステロールは細胞膜の
スタチンの標的酵素)
などに見られるステロールセンシングドメ
構成成分として重要な役割を演じており、その存在量を厳密に
イン
(SSD)
が見出された
(6)
。HMG CoA 還元酵素は同じく小
制御することは細胞機能の恒常性維持に不可欠と言える。すべ
胞体に局在する膜タンパク質で、小胞体膜中のコレステロールが
ての細胞は、アセチル CoA を出発物質としておよそ 30 段階の
多くなると、速やかに分解され、8回膜貫通領域がそれを関知し、
酵素反応を介してコレステロールを合成する。同時に、細胞表面
SSD と命名されている。従って、HMG CoA 還元酵素は転写レ
の LDL 受容体を介して血液中の LDL を取り込み、そこからコレ
ベルでの調節の他に、タンパク質分解機構により酵素活性が制御
ステロールを補給することができる。そこで、細胞内のコレステ
されている。
ロール量が十分に満たされていない時、
細胞は合成経路の諸酵素、
LDL 受容体の発現を転写レベルで促進し、合成、取り込みを上
昇させる。この転写制御に関与する因子として SREBP は発見
された
(1-3)
。遺伝子クローニングの結果、異なる遺伝子にコー
ドされた SREBP-1 と SREBP-2 の存在が明らかになった。コ
レステロール合成、取り込みを制御する為にどうして2種類の転
写因子が用意されているのか、当初は不明であった。しかし、そ
の後の研究から、SREBP-1 はおもに脂肪酸制御、SREBP-2 は
コレステロール代謝制御に寄与する役割分担が明らかとなった。
表 1:ステロールセンシングドメインを有する膜タンパク質
さらに、SREBP はそれまで報告のあった転写因子とは異なり、
2カ所の膜貫通領域を分子内に有し、合成直後は小胞体膜上に膜
小胞体膜上において SREBP と SCAP は二量体を形成する
タンパク質として局在することが判明した
(4)
。
が、小胞体膜中のコレステロール量が多い時には SSD にコレス
テロールが結合し、構造変化した SCAP を別の小胞体膜タンパ
ク質 INSIG(insulin inducing gene)
が認識し、三量体を形成
する(7)
。一方、コレステロール結合が減少すると、三量体形
成は抑制され、SREBP-SCAP 二量体はゴルジへと輸送される。
INSIG は6回膜貫通領域を持つ小胞体膜タンパク質で、約 60%
の相同性を有する2種類の INSIG-1/-2 が存在する。INSIG は
図 1:SREBP-1c、SREBP-2 の一次構造の比較
SREBP-SCAP 二量体が小胞体に留まるか、ゴルジへと移行し、
そこで切断を受け活性化されるかの峻別を行っている。INSIG
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は酸化コレステロール
(特に25-hydroxycholesterol)
と結合し、
ストレスを感知する転写因子 AT F6(1回膜貫通の小胞体膜タン
このことにより SCAP との結合を強めている
(8)
。
パク質)
もストレス負荷に応じてゴルジ装置で S1P、S2P によ
るプロセシングを受け、切断された活性部位が核へ移行し、スト
レス応答遺伝子発現を制御する事が判明した
(14)
。
04 I 応答遺伝子の転写制御
上述したように細胞内のコレステロールが減少すると LDL 受
容体、種々のコレステロール合成酵素の mRNA が上昇する。
LDL 受容体、HMG CoA 合成酵素、HMG CoA 還元酵素の遺伝
子発現を制御するプロモーター解析の結果、コレステロールの減
少に応答して転写を正に制御する DNA 塩基配列が絞り込まれ、
SRE(sterol regulatory element)
と命名された。この塩基配列
は、5'-ATCACCCCAC-3' と考えられたが、その後の解析から
多くの応答遺伝子に確認された配列は
(T/C)CACx(T/C)
CAC
図 2:細胞内での SREBP プロセシング機構
様配列であった。しかし、この配列に SREBP が結合するだけ
小胞体膜上の SREBP-SCAP 複合体はコレステロールが過剰状況で
は INSIG と結合し、小胞体に留まる。コレステロールが低下すると、
SREBP-SCAP 複合体はゴルジへと輸送され、2 カ所の切断を受け、
活 性 型 SREBP が 細 胞 質 へ 遊 離 さ れ る。 核 へ 移 行 し た SREBP は
INSIG-1、コレステロール合成酵素群の遺伝子発現を亢進させる。こ
うして INSIG-1 タンパク質、コレステロールが供給されると、小胞
体膜上で再び三量体が形成される。
では転写促進に十分でなく、LDL 受容体遺伝子の場合、SRE の
両端の近傍にユビキタスな転写因子 Sp1 結合部位があり、Sp1
と協調的に転写を正に制御する。同様に、SREBP-2 遺伝子も
SREBP により自己転写調節されるが、SRE 配列の近傍には同
じくユビキタスな転写因子 NF-Y が結合し、この両者が共存しな
いと転写はスイッチオンしない
(15)
。
SREBP 分子はそのロイシンジッパー領域を介して、ホモ二量
なぜ2種類のタンパク質が必要なのか定かではないが、INSIG-1
体を形成し、DNA 上の SRE 配列に結合し、転写制御を行って
はインスリンにより発現が劇的に上昇し、さらに SREBP の応
いる。SREBP-1/-2 いずれも同様の配列を認識しており、その
答遺伝子でもある。一方、INSIG-2 のサブタイプの INSIG-2a
役割分担の分子機序に関しては不明な点がまだ残っている。応答
は肝臓においてインスリン刺激により発現が低下する
(9)
。イ
遺伝子の解析の結果、SREBP-1c は主に脂肪酸合成経路の種々
ンスリン刺激時には SREBP の活性化されることが必要であり、
の酵素遺伝子を、SREBP-2 はコレステロール合成経路の酵素遺
INSIG-2a の発現低下は SREBP のプロセシングを亢進させ、そ
伝子の発現を制御している。ヒト SREBP-1 または SREBP-2
れゆえこの応答は意味のある生理反応と言える。従って、各種臓
の核内活性型を肝臓に過剰発現させたトランスジェニックマウ
器において種々の生理変動に呼応するために2種類の INSIG が
スでは、SREBP-1c マウスで肝臓にトリグリセリドの蓄積が、
用意されていると考える事ができる。また INSIG-1 タンパク質
SREBP-2 マウスではコレステロールの蓄積傾向が認められる
は短寿命であり、SREBP-SCAP 二量体と離れると速やかに分
(16)
。従って、それぞれの因子が対応する応答遺伝子の発現を
解される。INSIG タンパク質は HMG CoA 還元酵素の分解にも
積極的に促進する選別機構が存在すると考えられる。
関与しており、還元酵素の SSD にコレステロールが結合すると
複合体を形成して、ユビキチン化を促進する
(10)
。結合するタ
ンパク質の分解を制御すると同時に、自らも分解により早い半減
05 I SREBP 発現、活性化の調節
期で代謝回転する興味深いタンパク質と言える。
摂食に伴いインスリンが分泌されると、トリグリセリド合成を
担うリポジェニック酵素群が発現上昇し、獲得したエネルギー
03 I ゴルジにおけるSREBP プロセシング
をトリグリセリドに変換し、次の飢餓に備えて脂肪組織へ溜め
込む。この調節は転写レベルで制御されているが、その直接のメ
INSIG と離れた SREBP-SCAP 二量体は、小胞体からの小胞
ディエーターは長いこと不明であった。絶食の後の摂食において
形成に寄与するCOPⅡ複合体の構成因子である Sec24 に結合し、
肝臓で顕著に遺伝子発現が亢進する遺伝子として SREBP-1c が
輸送小胞の膜上に乗り、
小胞輸送によりゴルジへと移行する
(11)
。
見出され、実際リポジェニック酵素群の転写を制御する因子で
ゴルジには2種類の切断酵素が待ち受けており、SREBP の2
あった。インスリン分泌に応答して SREBP-1c 発現が亢進する
カ所の膜貫通領域の間をつなぐループ部位
(ゴルジ内腔側に位置
ことから、インスリンシグナルの直下に SREBP-1c 発現が位置
する)
が最初に切断される。この切断を担当する酵素 S1P(site
すると理解されがちであるが、ストレプトゾトシン投与により
1 protease)
は、1 回膜貫通型の膜タンパク質でゴルジ内腔側に
インスリン分泌を遮断しても摂食に応答して SREBP-1c 発現は
活性部位を持つセリンプロテアーゼである
(12)
。S1P の働きに
亢進することから、グルコース濃度等の他のシグナルを介して制
よりループ部分で切断が行われると、SREBP 分子は N 末端部
御されている可能性が考えられる
(17)
。さらに、SREBP-1c は
分、C 末端部分に二分された形となり、このプロセスを経ると
SREBP による自己転写制御を受け、また核内受容体 LXR(liver
初めて2段階目の切断が可能となる。第2切断は第1膜貫通領域
x receptor)
の感受性の高い応答遺伝子の一つとして挙げられる
で起こるが、実際には第1切断により二分された N 末端側は若
(18,19)
。LXR は酸化コレステロールをリガンドとして活性化
干構造を変換させ、膜に入り込んでいた数アミノ酸が細胞質へ突
される受容体である。従って、肝細胞内で過剰のコレステロール
き出され、この部位が第2切断酵素 S2P(site 2 protease)
によ
により酸化コレステロール濃度が上昇すると LXR が活性化され、
り切断される
(13)
。S1P、S2P の発見当初、これら切断酵素は
SREBP-1c 発現が上昇する。このことにより、脂肪酸合成が亢
SREBP 特異的な酵素と考えられたが、その後の研究から小胞体
進し、遊離のコレステロールをエステル型にして細胞内蓄積型
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として無毒化していると考えることもできる。実際、実験動物に
化による分解もしくは SUMO 化による活性抑制を受け、速やか
コレステロール合成阻害剤のスタチンを投与すると、肝臓内の
にその役割を終えると考えられる。さらに、SREBP-1c/-2 の
SREBP-1c mRNA 量は激減する
(図3)
。この現象は、細胞内酸
SUMO 化部位の近傍には MAP キナーゼによるリン酸化部位が
化コレステロールの減少により、LXR を介した遺伝子発現促進
存在し、このリン酸化により SREBP の転写活性の上昇するこ
の欠如によると考えられる。従って、細胞内のコレステロールが
とが知られていた
(24, 25)
。この部位へのリン酸化と近傍への
減少して、上述したように SREBP のプロセシングが亢進する
SUMO 化は拮抗しており、Growth factor 等による MAP キナー
現象は SREBP-2 に当てはまり、少なくても肝細胞においては、
ゼ活性化は SREBP の SUMO 化を抑止し、結果的に転写活性を
SREBP-1c は発現そのものが低下し、プロセシングの亢進は十
増進させる
(26)
。Growth 刺激に対応して、SREBP を活性化し
分に起こらない。このことは、脂肪酸代謝はコレステロール代謝
て膜脂質の供給を増大させていると考えることができる。
とある程度、独立して制御されることを意味している。
図 3:肝臓におけるコレステロールによる SREBP-1/-2 の発現制御
一方、SREBP-2 遺伝子発現は細胞内コレステロール量の変
動により調節されており、それ自身が SREBP 応答遺伝子で
ある
(15)
。従って、スタチンを投与された実験動物の肝臓で
図 4:SREBP の翻訳後修飾ならびに核内受容体との
結合による活性制御
核内で SREBP は種々の翻訳後修飾を受け活性が調節される。同時に、
各種核内受容体とタンパク質 - タンパク質結合を介し、お互いの活性
を調節している。
は、肝細胞内のコレステロール量の低下に伴い、SREBP(主に
SREBP-2)
が活性化され、それに応じて SREBP-2 遺伝子発現
が上昇する。このように SREBP-1/-2 の遺伝子発現は肝細胞
脂質代謝の中心臓器である肝臓においては、SREBP のみ
内コレステロール量の変動に対応して、逆方向に制御される
(図
ならず種々の核内受容体も脂質・糖代謝に深く関与している。
3)
。SREBP-1c が摂食刺激により遺伝子発現を亢進させるの
HNF-4(hepatocyte nuclear factor-4)はホモ二量体を形成
に対し、SREBP-2 遺伝子発現は絶食 - 摂食サイクルで大きな
し、リポタンパク質合成、糖新生関連遺伝子群を転写制御している。
変動を見せない。また、SREBP-1c は脂肪細胞分化の制御因子
SREBP はその N 末端側で HNF-4 と結合する
(27, 28)
。その結
ADD-1 としてクローニングされた経緯を持ち
(20)
、分化過程で
果、HNF-4 活性は低下し、一方、SREBP 活性は亢進する。肝
発現が上昇するが、SREBP-2 は脂肪細胞分化過程で発現に変動
臓では SREBP 応答遺伝子の SREBP による転写促進が著しく、
を示さない。このように構造が酷似した同一ファミリーメンバー
HNF-4 が SREBP 活性を補填していると考えられる。このよう
の SREBP-1/-2 は、異なる制御機構のもとで発現が調節されて
な機構が肝臓の高い脂質合成能を支えている。また、HNF-4 は
いる。
絶食下での糖新生酵素の遺伝子発現促進を担っており、SREBP1c は摂食下でのリポジェニック酵素遺伝子群の発現を促進する。
従って、摂食条件下では SREBP-1c が HNF-4 活性を負に制
06 I 核内での活性調節
御することは合目的的であると言える。さらに SREBP とタン
核内へ移行した SREBP は短寿命タンパク質として、素早い
パク質結合する核内受容体を探索すると LRH-1(liver receptor
分解を受ける。多くの転写因子は核内での寿命は短い。転写調節
homolog-1)
が見出された
(29)
。LRH-1 はモノマーで機能する
は一過的なケースが多く、役割を果たした後に転写因子は速や
核内受容体で、胆汁酸合成の律速酵素 CYP7A1、HDL の主要
かにその場から去る運命にある。SREBP もユビキチン化修飾を
構成タンパク質であるアポタンパク質 A-I などの発現制御を担っ
受け、プロテアソームによる分解を受ける
(21, 22)
。分子内の
ている。SREBP は LRH-1 と結合し、互いの活性を負に制御
Lys 残基がユビキチン化修飾を受けるが、この部位は同時にアセ
している。従って、活性型 SREBP が上昇する生理的条件下で
チル化部位でもあり、互いに拮抗関係にある
(図4)
。素早い分解
は LRH-1 は活性低下が予想される。糖尿病病態マウスなどでは
と平行して、SREBP は別のタンパク質修飾である SUMO
(small
肝臓において恒常的に SREBP-1c 活性型が上昇しており
(30)
、
ubiquitin-like modifier)
化を受ける
(23)
。ヒトは SUMO-1 から
このような状態では LRH-1 活性は抑制されている。LRH-1 の応
-4 の4種類の SUMO 分子を有し、いずれもおよそ 100 アミノ
答遺伝子がコレステロール代謝を改善する機能を持つことから、
酸程度のポリペプチド鎖でユビキチンと酷似した高次構造を呈し
SREBP-1c 過剰状況はメタボリックシンドロームの増悪化に関
ている。ユビキチンと同じく C 末端は Gly 残基で、基質の Lys
与していることが考えられる。
残基とイソペプチド結合する。ユビキチンと異なり、基質の Lys
残基の周辺のアミノ酸配列に一定のコンセンサスが認められる
(図4)
。SUMO修飾はSREBPの転写因子活性を抑制する。従って、
核内で SREBP は転写スイッチオンをすると即座にユビキチン
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おわりに
種々の生理変動、栄養状態の変化に応じて脂質代謝は劇的に変
June, 2008
動する。この調節機構の中心に位置する SREBP は2種類の遺
binding to COPII proteins in vitro. 2005, J. Biol. Chem.
伝子産物からなり、
巧みにその役割分担を駆使して機能している。
280, 26483-26490.
また、近年次第にその働きが明らかになっている種々の核内受容
12)Sakai, J., Rawson, R.B., Espenshade, P.J., Cheng, D.,
体も脂質代謝産物をリガンドとして活性化され機能している。こ
Seegmiller, A.C., Goldstein, J.L. and Brown, M.S.: Molecular
れら因子間でのクロストークが高次な代謝調節システムを作り上
identification of the sterol-regulated luminal protease that
げている。このような複雑な機構を栄養科学的に明らかにするこ
cleaves SREBPs and control lipid composition of animal
とは、高齢社会で益々増加する生活習慣病を未然に防ぐ有効な方
cells. 1998, Mol. Cell 2, 505-514.
向性を提示することに直結すると期待される。
13)Rawson, R.B., Zelenski, N.G., Nijhawan, D., Ye, J.,
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kinases Erk1/2 phosphorylate sterol regulatory elementbinding protein(SREBP)
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Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
June, 2008
Molecular basis of functions of SREBPs,
transcription factors
that play central regulatory roles in lipid homeostasis
【Key words】
SREBP
cholesterol
transcription factor
nuclear receptor
Ryuichiro Sato
Department of Applied Biological Chemistry, The University of Tokyo
SREBPs(sterol regulatory element-binding proteins)were
discovered as transcription factors that control LDL
receptor gene expression. These transcription factors
belong to a large class of transcription factors containing
a basic helix-loop-helix leucine zipper(bHLH-Zip)motif.
The SREBP family comprises three subtypes: SREBP1a and SREBP-1c, which are generated by alternative
splicing, mainly regulating lipogenic gene expression,
and SREBP-2 governing cholesterol metabolism. Unlike
other members of the bHLH-Zip transcription factors, the
SREBPs are synthesized as membrane-bound precursors
on the endoplasmic reticulum(ER)and activated by a twostep proteolytic process. The precursor proteins contain an
N-terminal transcriptional activation domain with a bHLHZip motif, and a C-terminal regulatory domain separated
by two transmembrane regions. The C-terminal regulatory
domain associates with SREBP cleavage-activating protein
(SCAP)
, an ER membrane protein with eight membranespanning segments, which contains a sterol-sensing domain.
An SREBP-SCAP complex remains on the ER membrane
as long as intracellular cholesterol levels are high, whereas
in cells depleted of cholesterol ER-derived membrane
vesicles containing this complex moves to the Golgi where
a sequential cleavage of the SREBPs by Site-1 and Site-2
protease(S2P)occurs, releasing the active nuclear forms.
Once the nuclear form of SREBPs is released into the
cytoplasm, it is actively transported into the nucleus in an
importin β -dependent manner. In the nucleus, the SREBPs
are modified by polyubiquitin chains and rapidly degraded
by the 26S proteasome. At the same time, they were also
modified by the small ubiquitin-related modifier
(SUMO)
-1,
thereby being inactivated. In the liver cells the nuclear
forms of SREBPs make a complex with either hepatocyte
nuclear factor-4 or liver receptor homolog-1. The complex
formation affects transcriptional activities of these factors,
thereby regulating lipid homeostasis.
Nestlé Nutrition Council, Japan Nutrition Review
June, 2008
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