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〇「菰野町水道ビジョン」
菰野町水道ビジョン 菰野町 水道ビジョン ~誇れる水を 次の世代へ~ 平成 21 年 4 月 三重県菰野町 水道課 菰野町水道ビジョン 「誇れる水を 次の世代へ」を目指して ごあいさつ 菰野町の上水道事業は、昭和39年(1964年)9月に菰野地区の給水人 口 10,000 人、最大給水量 2,000 ㎥/日として、開始して以来、計画的に給水地 域の拡張事業を行い、現在に至っています。その間、全国的に見ましても、人 口の増加や経済の発展などに伴い、水道の需要も右肩上がりに伸びてきました が、平成17年(2005年)以降、人口減少が始まったことや節水機器の普 及、節水意識の向上などにより、水需要が減少傾向になってきました。さらに、 消費者である住民ニーズの安全安心志向など意識変化も顕著になってきていま す。当町におけるデータで申し上げますと、平均使用量から換算すると、1 世帯 あたり 1 日におよそ1㎥が使用されています。過去10年の使用量の推移は、 ほぼ横ばいとなっていますが、人口が増加していることを踏まえると、個々の 使用量は減少傾向にあると考えることができます。こういった社会情勢、特に 水道事業を取り巻く環境の変化に対応する形で、このたび「誇れる水を次の世 代へ」という基本指針のもと、菰野町水道ビジョンの策定を致しました。 国レベルでは5つのキーワードが掲げられていますが、当町固有のビジョン としましては、主に「安心」「安定」「持続」の3つの観点に着目しています。 具体的に申し上げますと、第一の「安心」の観点では、良質な水源から供給 される水を厳正に検査し、水質を適正に維持管理していくことです。第二の「安 定」の観点では、各配水系統の連携を考慮し渇水などの非常時に備えることや 大規模震災に対応するために水道施設の耐震化を図っていくことです。第三の 「持続」の観点では、施設の効率的運用や適正な料金設定を行い、事業を健全 に経営していくことです。 これらの事業は着実に実施していくべきものと考えておりますが、本ビジョ ンは12年間という長期にわたるものですので、個々の事業につきましては、 今後、町民皆さんのニーズや水道事業の状況などを踏まえ、適宜修正を加えつ つ、具体的に実施して参りたいと存じます。 最後になりましたが、当該ビジョンを策定するにあたりまして、お世話にな りました関係各位に感謝を申し上げまして、ご挨拶と致します。 平成 21 年(2009 年)4 月 菰野町長 石原正敬 いしはら まさたか 菰野町水道ビジョン 目次 1. 策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1.1 策定の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1.2 「菰野町水道ビジョン」の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1.3 目標年次と施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2. 菰野町と菰野町水道事業の概要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 2.1 菰野町の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2.2 菰野町水道事業の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 3. 水道事業を取り巻く社会の潮流 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 7 3.1 人口減少と少子高齢化の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3.2 水需要の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 3.3 水質基準の強化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 3.4 法改正等による規制緩和、事業の広域化・統合化の動き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 3.5 地球環境問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 4. 現状把握・分析と課題の抽出 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 5 4.1 水道事業の現況概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 4.2 水道事業の対象区域及び水道施設の位置図(現況)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4.3 給水の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 4.4 施設の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 4.5 経営の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 4.6 第三者委託導入に向けての検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81 4.7 環境・エネルギー対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 4.8 国際貢献とその課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 5. 将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90 5.1 水需要予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91 菰野町水道ビジョン 6. 今後の目指すべき方向 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 8 6.1 基本理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99 6.2 水道のあるべき姿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100 6.3 基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 6.4 基本施策の考え方(PDCA サイクル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・103 6.5 基本方針に対応する整備計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104 6.6 整備事業の年次計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106 6.7 各事業区分による主な具体的実施計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・108 7. 推進体制の構築 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 2 8 7.推進体制の構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・129 8. 添付資料 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 0 8.1 水道施設の仕様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131 9. 参考資料 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 4 5 9.1 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146 9.2 用語集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・147 菰野町水道ビジョン 1.策定の趣旨 1 菰野町水道ビジョン 1.策定の趣旨 1.1 策定の目的 菰野町の水道事業は、昭和 38 年(1963 年)2 月に給水人口 10,000 人で創設され、急激な 人口の増加に対応し、数次の拡張事業を施行してきました、平成 20 年(2008 年)3 月末現在 では給水人口 40,222 人(実績値)、最大給水量 16,823m3/日(実績値)になっています。 この現状を踏まえ、今後の水道事業について、①施設整備計画(水源の安定性、水質の安 全性、水処理の妥当性、施設の機能性、災害対策等)、②浄水・配水整備計画(安全・安定 給水、老朽管布設替え)、③管網整備(幹線管網、ループ化、複数系統化等)、④施設耐震化 計画(耐震診断、老朽度診断、管路被害の想定、耐震化補強、緊急時危機管理)、⑤財政計 画、⑥維持管理計画(維持管理方法:第三者委託導入検討)等の基本方針を策定した適正な 整備計画の必要性が生じています。 近年の水道事業を取り巻く環境は、景気の低迷、人口減少、節水意識の浸透等により水 需要の伸びが低くなるとともに、事業形態においても「建設の時代」から「維持管理の時 代」に変遷してきています。 一方、厚生労働省健康局水道課によって平成 16 年(2004 年)6 月、国の「水道ビジョン」 が作成され、平成 17 年(2005 年)7 月水道事業体の「地域水道ビジョン」の作成を奨励され ました。さらに、「地域水道ビジョン作成の手引き」が取りまとめられ、各水道事業体は平 成 20 年度(2008 年度)頃までに策定することが望ましいとされています。 以上のことから、ここに将来の水道事業のあり方を明らかにするために「菰野町水道ビ ジョン」を策定するものです。 写真1-1 潤田浄水場 着水井に流入する原水 2 菰野町水道ビジョン 1.2 「菰野町水道ビジョン」の位置づけ 菰野町水道ビジョンは、第四次菰野町総合計画の理念である「夢・ときめき・新しい時 代を紡ぐこころの都市・菰野」を目指し、良質な資源としての水を、安全な水道水として 安定的に供給していくことを実現するために、「誇れる水を 次の世代へ」をモットーとし た施策としました。 国の「水道ビジョン」が掲げる「世界のトップランナーを目指してチャレンジし続ける 水道」を基本理念とし、「安心」、「安定」、「持続」、「環境」、「国際」をキーワー ドとする5つの政策課題に関する目標を達成し、お客様のニーズに対応した信頼性の高い 水道を次世代に継承していくために、さらなる改善・改革の取り組みを進めていくことが 必要不可欠であります。 これらのことを踏まえて、21世紀中頃を展望しつつ、今後12年にわたる水道事業の運営 に関する長期的な方向性と施策推進の基本的な考え方を示し、水道事業ガイドライン(日 本水道協会、平成17年1月制定)に沿って、事業の成果と到達度を客観的かつ具体的に評価 しながら、「菰野町水道ビジョン」を推進していきます。また、個々の事業の実施に当た っては、財政的な検討を加えた実施計画を策定し、必要に応じて見直しを行い、各年度の 詳細な計画を立案して、効果的で着実な進行管理に努めていきます。 写真1-2 誇れる水を 次の世代へ 3 菰野町水道ビジョン 1.3 目標年次と施策 「菰野町水道ビジョン」では、現状を把握・分析し、課題を抽出することによって、今後 の目指すべき方向として基本方針を決め、今世紀半ばを見通した菰野町水道事業の将来像 を示しつつ、平成32年度(2020年度)を目標年次とし、前期(最初の4年間)・中期(次の4 年間)・後期(最後の4年間)とに分けて、全体で12年間の基本施策を定めます。 国(厚生労働省) 菰野町(行政) 水道ビジョン 第四次菰野町総合計画 ★目標期間 平成11年度(1999年度) ~平成22年度(2010年度)、12年間 ★基本理念 とき つむ まち 「夢・ときめき・新しい時代を紡ぐこころの都市・ 菰野」 ★目標期間 21世紀の中頃を見通しつつ概ね10年 ★長期的な政策目標 安心・安定・持続・環境・国際 菰野町都市マスタープラン 菰野町水道ビジョン 菰野町水道ビジョンの概要 ★目標期間 平成21年度(2009年度)~平成32年度(2020年度)、12年間 前期 最初の4年間:平成24年度(2012年度)まで 中期 次の4年間:平成28年度(2016年度)まで 後期 最後の4年間:平成32年度(2020年度)まで ★内容 ①現状把握・分析と課題の抽出 浄水・配水の状況・施設の状況・経営の状況 ②今後の目指すべき方向 基本方針・基本施策 ③推進体制の構築 フォローアップ体制 ★備考 ①具体的施策の実行に当たり、必要に応じて見直しをしていきます。 ②菰野町水道ビジョンに基づき、事業の年次計画、事業費等を作成 します。 図1-1 菰野町における水道ビジョン策定の概念図 4 菰野町水道ビジョン 2.菰野町と菰野町 水道事業の概要 5 菰野町水道ビジョン 2.菰野町と菰野町水道事業の概要 2.1 菰野町の概要 2.1.1 自然的条件の把握 ア.地形 本町は、名古屋市中心街から約 40 ㎞、四日市市中心街から約 10 ㎞の三重県北勢部に位 置し、西は鈴鹿山脈を境として滋賀県に、北はいなべ市、東と南は四日市市に接していま す。町域は、東西 13 ㎞、南北 10.6 ㎞で、面積は、107.28 ㎞2です。地形的には鈴鹿山脈の 主峰である御在所岳をはじめ、鎌ヶ岳、釈迦ヶ岳の美しくかつ峻麗な菰野三山が連なって います。その山麓には緑の丘陵地や清冽な渓谷があり、さらに豊かな田園地帯が広がり、 三滝川と朝明川が流れ、人々に潤いと安らぎを与えてくれる恵まれた自然の宝庫となって います。 いなべ市 桑名市 菰野町マップ 菰野町 亀山市 四日市市 鈴鹿市 図 2-1 菰野町の位置図(三重県及び菰野町) 本町は、鈴鹿国定公園、湯の山温泉、三重県民の森、キャンプ場等の自然に恵まれた観 光資源や尾高観音、福王神社、五百羅漢等の歴史的遺産を数多く有しています。これらは 次の世代に継承すべき住民共有の貴重な財産です。 6 菰野町水道ビジョン イ.地質 本町が位置する三重県北部は、南北方向の地質構造を特徴とし、地形的にも概ね南北の 広がりを有します。北部地形は、主に山地と低地で構成され、山麓丘陵や砂礫台地等は平 野部や低地周辺部に分布します。 三重県北部の山地は、岐阜県、滋賀県との境界に沿って細長く分布し、北から、低山地 を展開する養老山地、高度1,000m程度の山々を擁する鈴鹿山脈と高度を下げて連なる布引 山地、さらに中央構造線に接する比較的険しい山容の紀伊山地等が挙げられます。 本町は、各種岩盤類等で形成された基盤の上位に、森林性有機質土あるいは侵食作用に より流出した二次的土砂が堆積しています。宅地地盤としての性状は、形成年代や発達過 程(土種、層厚、成層状態)により異なりますが、一般に、表土や二次堆積土が厚い場合、 固結土層が存在する場合、傾斜地を造成する場合には、慎重な基礎選定が必要になります。 三重県の地質 岐阜県 鈴 鹿 山 脈 滋賀県 愛知県 布 引 山 地 京都府 伊 勢 湾 知 多 半 島 渥美半島 中央構造線 (紀伊山地) 奈良県 志摩半島 台 高 山 脈 沖積層 洪積層 第 三 紀 層 中 生 代 層 和歌山県 紀 伊 半 島 古 生 代 層 N 0 1 20 5 10 古琵琶湖層類 (砂岩、泥岩) 室生火山岩 (溶結、凝灰岩) 庵芸層群 (砂岩、泥岩) 熊野酸性岩類 (花崗閃岩) 宮井層群 (砂岩、泥岩) 四万十層群 (砂岩、泥岩) 花崗岩類 嶺家変成岩類 (変麻岩) 秩父古生層(チャート、砂岩、粘板岩) 御荷鉾緑色岩類 (角閃岩) 長崎変成岩類 (黒色片岩) (km) 図2-2 三重県の地質(出典:三重県) 7 菰野町水道ビジョン ウ.気象 三重県の気候は、全般に温和な気候となっていますが、平野部、盆地部、山地部と地形 の複雑さや、地理的な条件、季節的な気候特性から、本県の気候を、a)伊勢平野、b) 熊野灘沿岸、c)上野盆地、d)鈴鹿山麓、e)山地の5つの気候域に分けることができ ます。 本町は、伊勢平野と鈴鹿山麓の気候に属し、地域差がありますが、年平均気温は約15℃、 年間降水量は1,600mm~2,200mm で一般に温和な気候です。しかし、鈴鹿山麓に広がる平野 部には、冬期、「鈴鹿おろし」と呼ばれる鈴鹿山脈から北西の季節風があり、これが強く 吹くと寒くなります。 三重県の気象条件(平均気温、年間降水量) 岐阜県 2200 2000 1800 1600 2200 滋賀県 山 地 2000 1400 鈴 鹿 山 麓 1800 1600 京都府 愛知県 上 野 盆 地 伊 勢 平 野 1400 1600 伊 勢 湾 1600 1800 山地 2000 2200 2200 1800 2000 2000 奈良県 知 多 半 島 渥美半島 紀伊山地 2200 2400 2600 2800 3000 熊野灘沿岸 1800 志摩半島 3200 3400 1800 3600 熊野灘 2000 3800 4000 4000 3800 3600 3400 3200 地域区分 3000 年間降水量(mm) 2800 年平均気温(℃) 2600 16℃~ 2400 和歌山県 15~16℃ N 2200 0 1 5 14~15℃ 20 10 ~14℃ (km) 図2-3 三重県北部の気候(出典:三重県) 8 菰野町水道ビジョン エ.水資源 伊勢湾に注ぐ河川は、木曽三川を除き、鈴鹿川、雲出川、櫛田川、宮川等本県を代表す る河川が、鈴鹿山脈・布引山地・紀伊山地を源とし、山地・山麓部を経て緩やかに伊勢平 野を流れ、伊勢湾に注いでいます。 本町では、鈴鹿山脈を源とする三滝川と朝明川が流れ、これらの河川上流部には、岩肌 が露出する地形と川の流れが一体となり、美しい渓谷の景観を有しているところが多く、 上流部の水質は良好で、アユやアマゴ釣りでも知られています。 三重県の水系図 岐阜県 養老山地 中里ダム 鈴 鹿 山 脈 滋賀県 分水嶺 長柄川 員弁川 揖斐川 木曽川 愛知県 朝明川 三滝川 知 多 半 島 鈴鹿川 信楽山地 伊勢平野 柘植川 木津川 伊 勢 湾 伊勢湾沿岸 安濃ダム 京都府 布引山地 笠置山地 比奈知ダム 青蓮寺川 青蓮寺ダム 雲出川 渥 美 半 島 君ヶ野ダム 高見山地 櫛田川 宮川 蓮ダム 紀伊山地 奈良県 台 高 山 脈 大内山川 吉川ダム 志摩半島 五ヶ所湾 赤羽川 入り組んだリアス式海岸 英虞湾 銚子川 分水嶺 熊野灘 熊野灘沿岸 新鹿海岸 七里御浜 直線的な海岸 和歌山県 熊野川 N 0 ダム 紀伊半島 1 分水嶺 20 5 10 km 図2-4 三重県北部の水系(出典:三重県) 9 菰野町水道ビジョン オ.鈴鹿国定公園 鈴鹿国定公園は、三重・滋賀の県境を、南北に細長く走る鈴鹿山脈を中心とした区域で す。その山岳景観は美しく、朝明渓谷、石水渓等の渓谷もあり、多くの登山者等が訪れて います。また、自然公園区域内には、国の天然記念物であるニホンカモシカも生息してお り、美しい高山植物の群落が多く見られ、御在所岳東麓には今から約1,300 年前に発見さ れたと伝えられる湯の山温泉等があり、四季を通じ多くの観光客が訪れています。 カ.災害等 本町は、東南海・南海地震の地震防災対策推進地域に指定されているとともに、鈴鹿東 縁断層帯による直下型地震の発生も予測されており、これらを想定した対策が求められて います。 また、本町では、平成20年(2008年)9月2日の集中豪雨による災害が発生する等、山間部 には急峻な勾配で蛇行している小河川が数多くあり、災害が発生しやすい状況にあります。 写真 2-1 集中豪雨による県道湯の山温泉線の水道施設被害状況 10 菰野町水道ビジョン 2.1.2 社会的条件の把握 ア.人口 本町の人口(外国人登録を含む)は、次のとおりです。 表 2-1 菰野町の人口(平成 20 年(2008 年)3 月 31 日現在) 項目 数 人口 40,550 人 男 20,028 人 女 20,522 人 世帯数 14,350 世帯 備考 外国人を含む。 また、人口は、平成 17 年度(2005 年度)まで順調に増加を示しているものの、国立社会保 障・人口問題研究所による人口推計方法によれば、平成 22 年度以降は鈍化し、平成 27 年 をピークとして停滞・減少の傾向が推測されます。次の図は、国勢調査に基づく本町の町 勢要覧に記載された人口の推移及び年齢別、男女別人口ピラミッド(平成 17 年)です。 図 2-5 菰野町における人口の推移及び年齢別、男女別人口ピラミッド(平成 17 年) 11 菰野町水道ビジョン イ.人口密度 平成19年(2007年)10月1日の人口と平成18年(2006年)4月1日の国土交通省国土地理院「全 国都道府県市区町村別面積調」の面積によりますと、本町の人口密度は370.25人/km2となり ます。ちなみに、町の人口密度ランキングをみますと、全国811町(平成19年10月1日現在) のうち、本町は第236位です。三重県内では、①68位 川越町1,520.67人/km2、②76位 朝日 町1,393.49人/km2、③91位 東員町1,138.70人/km2、④172位 明和町559.86人/km2であり、本 町は5番目になります。 ウ.土地利用 本町は、総面積が107.28km2あり、そのうち山林や農地等が約7割を占めている豊かな自然 環境と豊富な土地資源を有する町です。鈴鹿山脈や郊外に広がる農地等の豊かな緑は、心 に豊かさを与えてくれる貴重な自然資源であり、水源の涵養や保水・防災等多様な役割を 担う重要な環境資源ともなっています。 本町では、社会状況を踏まえ、各地域の特性を活かした住民主体のまちづくりが実現で きるよう住民・企業・行政の協力のもと、総合的で計画的な土地利用の推進を図っていま す。 エ.産業構造 本町の産業について、産業別人口比率の過去の推移及び平成17年における産業別就業者 数は、次の表のとおりです。直近の傾向として第一次産業及び第二次産業はやや減少傾向 にあり、それに反して第三次産業は増加傾向にあります。 図 2-6 産業別人口比率の過去の推移及び平成 17 年における産業別就業者数 (出典:国勢調査) 12 菰野町水道ビジョン オ.交通等 本町は、国土幹線となる新名神高速道路により、中部圏の母都市である名古屋市と直結 するだけでなく、大阪・京都・神戸をはじめとする関西各都市との時間的距離が飛躍的に 短縮されます。さらに、東海環状自動車道とネットワークすることにより、岐阜県・日本 海側方面との高速ネットワークも構築され、名古屋市・四日市市と強く結ばれた広域都市 構造が変化し、多様な都市との交流が可能となります。また、北勢地域の主要幹線道路と して機能する国道 306 号、国道 477 号バイパスの整備により、一層魅力を増す可能性が高 まりつつあります。 国道 306 号 菰野 IC(仮称) 国道 477 号バイパス 新名神高速道路 図 2-7 新名神高速道路、国道 477 号バイパス等 13 菰野町水道ビジョン 2.2 菰野町水道事業の概要 2.2.1 水道事業の沿革 本町の上水道事業は、昭和38年(1963年)に菰野地区を給水区域として給水人口10,000人、 一日最大給水量2,000㎥/日の能力により創設し、昭和39年(1964年)9月に給水を開始しまし た。以後、数次の変遷により未給水区域の拡張事業を推進し、平成13年度(2001年度)に第6 次拡張事業により、未給水区域である根の平と切畑簡易水道の統合・区域拡張として、給水 人口49,800人、一日最大給水量31,000㎥/日としました。 平成20年(2008年)3月に第6次拡張第1回変更で、さらに未給水区域の杉谷と鈴鹿台の区域 拡張と第四次菰野町総合計画の人口推計の下方修正及び水需要の低下にともなう事業の見 直しを行い、給水人口43,350人、一日最大給水量21,200㎥/日として水道の普及ならびに人 口増による生活用水の確保を図るために各施設の整備拡充を行い、安心・安定・持続・環 境・国際を目標として水の需要に対応し現在に至っています。 表2-2 菰野町の上水道事業の沿革 年 月 給水人口・一日最大給水量 10,000人 事 業 概 要 昭和38年(1963年)2月 給水人口 上水道事業の創設 最大給水量 2,000㎥/日 (菰野地区) 昭和41年(1966年)2月 給水人口 10,000人 水源の変更 創設事業の変更 最大給水量 2,000 ㎥/日 (取水地点) 昭和46年(1971年)2月 給水人口 給水区域拡張 (宿野、福村、大羽根 上水道第1次拡張事業 最大給水量 6,000㎥/日 園、千草字江野) 昭和48年(1973年)1月 給水人口 18,000人 給水区域拡張 上水道第2次拡張事業 最大給水量 7,200㎥/日 (千草、音羽) 昭和49年(1974年)3月 給水人口 給水区域拡張 (神森、大強原、池底、 上水道第2拡張変更事業 最大給水量 8,000㎥/日 下村、吉沢、諏訪、川北) 昭和51年(1976年)3月 給水人口 給水区域拡張 上水道第3次拡張事業 最大給水量 12,000㎥/日 (潤田、田光、杉谷、榊、松涛園) 昭和57年(1982年)2月 給水人口 給水区域拡張 上水道第4次拡張事業 最大給水量 12,000㎥/日 (竹成、永井、田口) 昭和63年(1988年)4月 給水人口 給水区域拡張 上水道第5次拡張事業 最大給水量 16,000㎥/日 (田口新田、小島、茶屋の上) 平成13年(2001年)8月 給水人口 給水区域拡張 上水道第6次拡張事業(計画) 最大給水量 31,000㎥/日 (切畑、根の平) 平成20年(2008年)3月 給水人口 給水区域拡張 上水道第6次変更事業(計画) 最大給水量 21,200㎥/日 平成20年度(2008年度) 本町水道事業の水道ビジョン・水道施設耐震計画を新たに策定します。 15,000人 20,000人 30,000人 31,000人 35,000人 49,800人 43,350人 14 町内中央部を給水 (杉谷:西部地区、鈴鹿台) 菰野町水道ビジョン 2.2.2 水道事業の概要 ア.上水道事業 本町の上水道事業はその水源を地下水に求め、昭和 39 年(1964 年)9 月に給水を開始しま したが、経済の発展にともない増加する水需要に対処するため、数次の統合及び拡張事業 を行い、安心・安定した供給を目指しています。 現在の水道ビジョン計画は、給水人口 42,000 人・一日最大給水量 20,750 ㎥/日(自己水 17,450 ㎥/日・県営水道 3,300 ㎥/日)の計画となっています。なお、上水道事業の概要は、 次のとおりです。 表 2-3 現在の菰野町上水道事業の概要 浄水場名 大羽根浄水場 潤田浄水場 田口浄水場 県営水道受水 所在地・受水地 大羽根園新林町 潤田 田口 田光 水 源 地下水(6 箇所) 地下水(6 箇所) 地下水(3 箇所) 浄水(2 箇所) 計画 8,350 ㎥/日 8,400 ㎥/日 700 ㎥/日 3,300 ㎥/日 一日最大給水量 20,750 ㎥/日(平成 32 年度) 現況 16,823 ㎥/日(平成 19 年度) 一日最大給水量 計画給水人口 42,000 人(平成 32 年度) 現況 40,222 人(平成 19 年度末) 給水人口 給水対象 本町全域(湯の山、切畑簡易水道を除く) 給水開始年月 昭和 48 年 6 月 平成 4 年 12 月 平成元年 4 月 平成 4 年 4 月 建設期間 昭和 47・48 年度 平成 3・4 年度 昭和 63 年度 平成 2 年度 写真 2-2 潤田浄水場 着水井全幅堰 15 菰野町水道ビジョン イ.簡易水道事業 本町の簡易水道事業は、湯の山及び切畑簡易水道事業の 2 事業があります。 ① 湯の山簡易水道事業 湯の山簡易水道事業はその水源を三滝川の表流水に求め、昭和 29 年(1954 年)7 月に給水 を開始しました。社会状況の進展に合わせて昭和 46 年(1971 年)6 月に変更認可を受け、現 在は一日最大給水量 4,000 ㎥/日の施設能力で給水しています。 ② 切畑簡易水道事業 切畑簡易水道事業は、その水源を伏流水に求め、昭和 35 年(1960 年)4 月に給水を開始し ました。昭和 34 年(1959 年)7 月に認可を受け、現在は一日最大給水量 25 ㎥/日の施設能力 で給水しています。簡易水道事業の概要は、次のとおりです。 表 2-4 現在の菰野町簡易水道事業の概要 浄水場名 湯の山浄水場 切畑浄水場 所在地 菰野 切畑 水 源 表流水 伏流水 計画一日最大給水量 4,000 ㎥/日 25 ㎥/日 現況一日最大給水量 1,204 ㎥/日 23 ㎥/日 計画給水人口 2,000 人 120 人 現況給水人口 160 人 38 人 給水対象 湯の山地区 切畑地区 給水開始年月 昭和 29 年 7 月 昭和 35 年 4 月 建設期間 昭和 29・39 年度、平成 1・9 年度 昭和 34 年度 表 2-5 菰野町における水道事業区分表 事業区分 事業名 施設の位置 上水道事業 菰野町水道事業 菰野町大字潤田他 簡易水道事業 湯の山簡易水道事業 菰野町大字菰野 簡易水道事業 切畑簡易水道事業 菰野町大字切畑 16 備考 統合予定 菰野町水道ビジョン 3.水道事業を取り 巻く社会の潮流 17 菰野町水道ビジョン 3.水道事業を取り巻く社会の潮流 近年、政治、経済、社会、教育、行政等あらゆる分野で今までの経験や常識が通用しな い現実に直面し、根底を揺るがすような転換期を迎えています。将来に向けた水道事業を 進めていくためには、現在の水道事業を取り巻く潮流の変化を的確に捉える必要があり、 この 21 世紀に即した新しい対応が求められています。 3.1 人口減少と少子高齢化の見通し 人口推計の出発点である平成17年(2005年)の日本の総人口は、同年の国勢調査によれ ば1億2,777万人でした。出生中位推計の結果によりますと、この総人口は平成17年(2005年) から長期の人口減少過程に入ることになっています。平成42年(2030年)の1億1,522万人 を経て平成58年(2046年)には1億人を割って9,938万人となり、平成67年(2055年)には 8,993万人になるものと推計されます。 出生高位推計によれば、総人口は平成65年(2053年)に1億人を割って9,944万人となり、 平成67年(2055年)に9,777万人になるものと推計されます。 一方、出生低位推計では平成54年(2042年)に1億人を割り、平成67年(2055年)には8,411 万人になるものと推計されます。 図 3-1 日本の将来推計人口;平成 18 年(2006 年)12 月推計 (出典:国立社会保障・人口問題研究所) 18 菰野町水道ビジョン 出生中位推計の結果によると、年少人口(0~14 歳)は平成 21 年(2009 年)に 1,600 万人台 へと減少します。 その後も減少が続き、平成 51 年(2039 年)には 1,000 万人を割り、平成 67 年(2055 年)に は 752 万人の規模になるものと推計されます。 一方、生産年齢人口(15~64 歳)は戦後一貫して増加を続けてきましたが、平成7年(1995 年)の国勢調査では 8,716 万人に達しました。その後、減少局面に入り平成 17 年(2005 年) の国勢調査によると 8,409 万人となりました。出生中位推計の結果によれば、平成 24 年 (2012 年)には 8,000 万人を割り、平成 67 年(2055 年)には 4,595 万人となります。 また、老年人口(65 歳以上)は平成 17 年(2005 年)現在の 2,576 万人から、団塊世代が参 入を始める平成 24 年(2012 年)に 3,000 万人を上回り、平成 32 年(2020 年)には 3,590 万人 へと増加します。 その後しばらくは緩やかな増加期となりますが、平成 42 年(2030 年)に 3,667 万人となっ た後、第二次ベビーブーム世代が老年人口に入った後の平成 54 年(2042 年)に 3,863 万人で ピークを迎えます。その後は一貫した減少に転じ、平成 67 年(2055 年)には 3,646 万人とな ります。 老年人口割合を見ますと、平成 17 年(2005 年)現在の 20.2%(約 5 人に 1 人)から、出生 高・中・低位の仮定推計とも平成 35 年(2023 年)には 25.2%で 4 人に1人を上回り、その 後出生中位推計では、平成 47 年(2035 年)に 33.7%で 3 人に1人を上回り、50 年後の平成 67 年(2055 年)には 40.5%、すなわち 2.5 人に1人が老年人口となります。 図 3-2 日本の年齢 3 区分別人口の推移;平成 18 年(2006 年)12 月推計 (出典:国立社会保障・人口問題研究所) 19 菰野町水道ビジョン 3.2 水需要の変化 平成19年(2007年)夏、米国のサブプライムローン(低所得者向けローン)問題が世界の 経済を揺るがし、その引き金により平成20年(2008年)夏、世界で金融危機が発生しました。 長期化する景気の低迷、世帯構成の変化、省エネ・環境問題の世論による節水型機器の 普及や節水意識の浸透等により水需要は減少傾向にあり、一方では浄水器の使用やミネラ ルウォーターの飲用等水道水の安全性や品質についても消費者の厳しい目が向けられてい ます。 近年、膜ろ過技術を応用した小規模な浄水施設が実用化され、大口需要者が井戸水等の 独自水源を確保するといった「水道水離れ」も各地で見られ、水道事業の経営においてそ の対策に苦慮しているのが現状です。 ミネラルウォーターの1人当たり消費量の推移 ~日本及び米国の比較~ 90 80 70 ㍑/年・人 60 50 日本 米国 40 30 20 10 0 1985 1990 1995 2000 2005 西暦(年) 図 3-3 ミネラルウォーターの 1 人あたり消費量の推移 (出典:日本ミネラルウォーター協会) 20 2010 菰野町水道ビジョン 3.3 水質基準の強化 わが国の水道水質については、WHO(世界保健機関)の「飲料水水質ガイドライン」の全 面改正を受けて、新しい水道水質基準が平成16年度(2004年度)から適用されており、さらに 平成19年度(2007年度)に水道水質に関する基準が見直されました。 表3-1 水道水質基準一覧表(51項目の内、前26項目) NO 項目 基準値 区分 病原生 主な使われ方 1 一般細菌 100 個/mL 以下 2 大腸菌 検出されないこと 3 カドミウム及びその化合物 4 水銀及びその化合物 5 セレン及びその化合物 0.01mg/L 以下 半導体材料、顔料、薬剤 6 鉛及びその化合物 0.01mg/L 以下 鉛管、蓄電池、活字、ハンダ 7 ヒ素及びその化合物 0.01mg/L 以下 無機物 8 六価クロム化合物 0.05mg/L 以下 (重金属 メッキ 9 シアン化物イオン及び塩化シアン 0.01mg/L 以下 10 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L 以下 無機肥料、火薬、発色剤 11 フッ素及びその化合物 0.8mg/L 以下 フロンガス製造、表面処理剤 12 ホウ素及びその化合物 1.0mg/L 以下 13 四塩化炭素 14 1,4-ジオキサン (※1) 物の代 替指標 0.01mg/L 以下 - - 電池、メッキ、顔料 0.0005mg/L 以下 温度計、歯科材料、蛍光灯 等) 合金、半導体材料 害虫駆除剤、メッキ 表面処理剤、ガラス、エナメル工 業、陶器、ホウロウ 0.002mg/L 以下 フロンガス原料、樹脂原料 0.05mg/L 以下 洗浄剤、合成皮革用溶剤 0.02mg/L 以下 ポリビニリデン原料 15 1,1-ジクロロエチレン 16 シス-1,2-ジクロロエチレン(※2) 0.04mg/L 以下 一般有 溶剤、香料、ラッカー 17 ジクロロメタン 0.02mg/L 以下 機物 殺虫剤、塗料、ニス 18 テトラクロロエチレン 0.01mg/L 以下 ドライクリーニング 19 トリクロロエチレン 0.03mg/L 以下 溶剤、脱脂剤 20 ベンゼン 0.01mg/L 以下 染料、合成ゴム、有機顔料 21 塩素酸 22 クロロ酢酸 0.02mg/L 以下 23 クロロホルム 0.06mg/L 以下 消毒副 溶媒、アクリル樹脂の溶解 24 ジクロロ酢酸 0.04mg/L 以下 生成物 - 25 ジブロモクロロメタン 0.1mg/L 以下 - 26 臭素酸 0.01mg/L 以下 以前は食品添加物 0.6mg/l 以下 漂白剤 - ※1:平成 21 年 4 月から水質基準を廃止。 ※2:平成 21 年 4 月から「シス-1,2-ジクロロエチレン」は「シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン」に変更。 21 菰野町水道ビジョン 表 3-2 水道水質基準一覧表(51 項目の内、後 25 項目)(つづき) NO 項目 基準値 27 総トリハロメタン 0.1mg/L 以下 28 トリクロロ酢酸 0.2mg/L 以下 区分 主な使われ方 - 消毒副 - 生成物 29 ブロモジクロロメタン 0.03mg/L 以下 30 ブロモホルム 0.09mg/L 以下 31 ホルムアルデヒド 0.08mg/L 以下 樹脂の原料 32 亜鉛及びその化合物 1.0mg/L 以下 トタン板、合金、乾電池 33 アルミニウム及びその化合物 0.2mg/L 以下 (つづ き) - - アルマイト製品、電線、ダイカス 着色 ト、印刷インク 34 鉄及びその化合物 0.3mg/L 以下 建築、橋梁、造船 35 銅及びその化合物 1.0mg/L 以下 電線、電池、メッキ、熱交換器 36 ナトリウム及びその化合物 200mg/L 以下 味 37 マンガン及びその化合物 0.05mg/L 以下 着色 38 塩化物イオン 200mg/L 以下 39 カルシウム、マグネシウム等(硬 度) 300mg/L 以下 40 蒸発残留物 500mg/L 以下 41 陰イオン界面活性剤 0.2mg/L 以下 42 ジェオスミン 苛性ソーダ、石鹸 合金、乾電池、ガラス 食塩、塩素ガス 味 発泡 0.00001mg/L 以下 カルシウム:肥料、さらし粉 マグネシウム:合金、電池 合成洗剤 - カビ臭 43 2-メチルイソボルネオール 44 非イオン界面活性剤 0.02mg/L 以下 発泡 45 フェノール類 0.005mg/L 以下 臭気 5mg/L 以下(※1) 味 46 有機物 (全有機炭素(TOC)の量) 47 pH値 48 味 0.00001mg/L 以下 - 5.8 以上 8.6 以下 合成洗剤、シャンプー 合成樹脂、繊維、香料、消毒 剤、防腐剤の原料 - - 異常でないこと - 基礎的 49 臭気 異常でないこと 50 色度 5 度以下 - 51 濁度 2 度以下 - 出典:厚生労働省健康局水道課 ※1:平成 21 年 4 月から 3mg/L 以下に強化。 22 性状 - 菰野町水道ビジョン 3.4 法改正等による規制緩和、事業の広域化・統合化の動き 水道事業の経営については、政府経済財政諮問会議や政府総合規制改革会議(平成16年 度からは規制改革・民間開放推進会議)等で各種の提言がなされており、これらを受けて 法律の制定や改正が行われています。 また、水道事業に関して従来の概念を超えた、ハード・ソフト両面にわたる多様な形態 の広域化・統合化の検討が進められています。 3.4.1 規制緩和 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の制定(平成11年9月) ・ 民間が有する資金、経営能力、技術力を活用して公共施設等の建設、維持管理、 運営等を行うことができます。 水道法の改正による第三者委託制度の導入(平成14年4月) ・ 水道施設の技術運営を第三者に委託することができます。 地方自治法の改正による公共の施設に係る指定管理者制度の導入(平成15年4月) ・ 施設の管理・運営に関する権限も委任して行わせることができます。 地方独立行政法人法の制定(平成16年4月) ・ 民間企業の参入が困難な事業についても、独立した法人としての運営が可能にな ります。 3.4.2 広域化・統合化 水道法の改正による広域的な水道整備計画の可能性(平成14年4月) ・ 市町村域を越えて広域的に水道施設等を整備することにより、水道水の安定供給 を行う目的で広域的水道整備計画の策定ができます。 水道広域化及び統合化の推進(平成18年4月) ・ 厚生労働省は、簡易水道再編推進事業において、統合先の上水道の規模にかかわ らず補助要件が見直され、全ての統合整備事業が補助対象となります。 (給水人口 5万人未満を対象としている要件を撤廃されました。) H28まで経過措置 H29以降一部簡水補助事業 H19以降 給水原価・供給原価に応じて 簡水補助対象 A市 D簡易水道 10km以上 事業統合 統合計画策定 H21まで 事業統合 統合計画策定 H21まで A市上水道 A市上水道 200m以上10km未満 200m未満 給水原価・供給原価に応じて 簡水補助対象 H28まで経過措置 H29以降簡水補助 なし A市上水道 E簡易水道 A市E島 図3-4 上水道事業、簡易水道事業等の統合概念図 23 菰野町水道ビジョン 3.5 地球環境問題 近年、地球温暖化、台風・ハリケーンの巨大化、局地的洪水の発生、干ばつの長期化等、 地球レベルで深刻な問題となっています。さらに、森林破壊や永久凍土の融解、北極・南 極での海氷・氷山の減少等、自然環境の重要性が世界的に高まっている中で自然環境は保 全すべき対象として考えていくことが求められています。 環境・水問題に関する国内の動き(平成19年(2007年)-平成20年(2008年)) 平成19年(2007年)7月 第33回日本環境学会研究発表会(東京都) 平成19年(2007年)7月 第16回環境工学総合シンポジウム2006(東京都) 平成19年(2007年)8月 第16回日本水環境学会市民セミナー(東京都) 平成19年(2007年)9月 第10回日本水環境学会シンポジウム(熊本町) 平成19年(2007年)10月 びわ湖環境ビジネスメッセ2007(滋賀県長浜市) 平成19年(2007年)10月 エコ・テクノ(地球環境新エネルギー技術展)2007(北九州市) 平成20年(2008年)6月 第24回水郷水都全国会議(東京都) 平成20年(2008年)8月 第34回日本環境学会研究発表会(富山市) 平成20年(2008年)11月 びわ湖環境ビジネスメッセ2008(滋賀県長浜市) その他多数のシンポジウム、講演会、会議が開催されました。 環境・水問題に関する世界の動き 平成4年(1992年) 地球サミット(ブラジル・リオデジャネイロ) 平成8年(1996年) 世界水会議(WWC)設立、世界水パートナーシップ(GWP)設立 平成9年(1997年) 第1回世界水フォーラム(モロッコ・マラケシュ) 平成12年(2000年) 第2回世界水フォーラム(オランダ・ハーグ) 平成14年(2002年) 地球サミット(南アフリカ・ヨハネスブルク) 平成15年(2003年) 第3回世界水フォーラム(日本・京都) 平成18年(2006年) 第4回世界水フォーラム(メキシコ・メキシコシティー) 平成19年(2007年) 第1回アジア・太平洋水サミット(日本・別府) 平成20年(2008年) 世界経済フォーラム総会(ダボス会議)(スイス・ダボス) 平成20年(2008年) 北海道洞爺湖サミット(日本・北海道) 24 菰野町水道ビジョン 4.現状把握・分析 と課題の抽出 25 菰野町水道ビジョン 4.現状把握・分析と課題の抽出 4.1 水道事業の現況概要 水道は、お客様が快適で衛生的な生活を営むために欠かせないものです。菰野町水道事 業では、安全な水づくりのために、水道水の水質管理、管路の点検等の業務を行っていま す。菰野町水道事業の概要は、次のとおりです。 <人口> 1.行政区域内人口:40,550人 2.給水区域内人口:40,222人 <給水普及率> 99.2% <給水人口(一日最大給水量)> 40,222人(16,823m3/日) <上水道事業:1箇所> 菰野町水道事業 <簡易水道事業:2箇所> 湯の山簡易水道事業 切畑簡易水道事業 注:データは、平成20年(2008年)3月31日現在。 差替え 4-1 写真4-1 配水管に設置した超音波式配水流量計 26 菰野町水道ビジョン 4.2 水道事業の対象区域及び水道施設の位置図(現況) 本町は、山間部の点在家屋を除いてほぼ全域に水道を供給しています。今後残された未 給水区域の解消に努め、平成32年度(2020年度)に普及率100%を目指しています。 既に企業会計に経営を一体化していますが、菰野町上水道事業、湯の山簡易水道事業、 切畑簡易水道事業を「菰野町上水道事業」として統合し、計画給水人口42,000人、計画一 日最大給水量、20,750 m3/日として水道施設の有機的一体化を行う計画です。 菰野町水道施設位置図(現況) 田口配水池 田口浄水場 田口送水ポンプ場 田光配水池 草里野配水池 草里野送配水ポンプ場 菰野町上水道 潤田浄水場 三重県勤労福祉センター専用水道 湯の山簡易水道 山岳寺配水池 湯の山水源 湯の山浄水場 江野高区送水ポンプ場 江野配水池 江野高区配水池 大羽根浄水場 潜戸配水池 湯の山配水池 湯の山配水ポンプ場 茶屋の上配水池 片倉配水池 片倉送配水ポンプ場 菰野町厚生病院専用水道 菰野町聖十字の家専用水道 火除野配水ポンプ場 図 4-1 菰野町水道施設位置図(現況:平成 20 年 3 月変更認可区域) 27 菰野町水道ビジョン 4.3 給水の状況 4.3.1 給水量の実績 平成 10 年度(1998 年度)から平成 19 年度(2007 年度)までの 10 年間での一日平均給水量 推移のグラフを次図に示します。 10 年間のスパンでみますと多少増減がありますが、一日平均給水量は平成 13 年度(2001 年度)をピークに、その後平成 17 年度(2005 年度)で減少しましたが再び増減傾向となり平 成 19 年度(2007 年度)で 14,848m3 を示します。 一日平均給水量の推移 16,000 15,000 15,037 給水量m3 14,000 15,062 14,848 14,898 15,002 14,391 15,210 14,470 13,000 14,508 14,556 12,000 11,000 10,000 H10 H11 H12 (2000) H13 H14 H15 H16 H17 (2005) H18 H19 年度 一日平均給水量(m3) 図 4-2 一日平均給水量の推移 まとめ 1.近年の給水量は、平成 17 年(2005 年)を除けば横這いの傾向を示しています。 28 菰野町水道ビジョン 4.3.2 有効水量・無効水量の実績 有効水量については、そのほとんどが有収水量であり無収水量はわずかです。また、無 効水量は全体の 14%程度です。 直近 5 年間の推移を表にしますと、次のとおりになります。 表 4-1 有効水量・無効水量の内訳(平成 15 年度~平成 19 年度) 平成15年度 水量 (m3/日) 有収水量 12,781 有効水量 無収水量 構成比 (%) 85.8 平成16年度 平成17年度 水量 (m3/日) 12,839 構成比 (%) 85.6 水量 (m3/日) 12,926 構成比 (%) 89.1 平成18年度 水量 (m3/日) 12,913 構成比 (%) 85.7 平成19年度 水量 (m3/日) 12,972 構成比 (%) 87.4 74 0.5 101 0.7 99 0.7 30 0.2 13 0.1 12,855 - 12,940 - 13,025 - 12,943 - 12,985 - 無効水量 2,043 13.7 2,062 13.7 1,483 10.2 2,119 14.1 1,863 12.5 合計 14,898 100.0 15,002 100.0 14,508 100.0 15,062 100.0 14,848 100.0 計 また、それぞれの水量を過去 10 年間の推移をグラフに表すと、次のとおりです。 有収水量と有収率 13,100 95.0 13,000 90.0 12,800 85.0 12,700 80.0 12,600 12,500 75.0 12,400 12,300 70.0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 年度 有収水量(m3/日) 図 4-3 有収水量及び有収率の推移 29 有収率(%) H17 H18 H19 有収率(%) 有収水量(m3/日) 12,900 菰野町水道ビジョン 有効水量と有効率 13,100 95.0 13,000 90.0 12,800 85.0 12,700 80.0 12,600 有効率(%) 有効水量(m3/日) 12,900 12,500 75.0 12,400 12,300 70.0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 年度 有効水量(m3/日) 有効率(%) 図 4-4 有効水量及び有効率の推移 無効水量と無効率 20.0 2,500 18.0 16.0 2,000 12.0 1,500 10.0 8.0 1,000 6.0 4.0 500 2.0 0 0.0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 年度 無効水量(m3/日) 図 4-5 無効水量及び無効率の推移 30 無効率(%) H17 H18 H19 無効率(%) 無効水量(m3/日) 14.0 菰野町水道ビジョン 4.3.3 有収水量(用途別)の内訳 有収水量の内訳を次図と次表に示します。 水量(m3 /日) 用途別有収水量の内訳(平成15年度~平成19年度) 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 H15 H16 H17 H18 H19 年度 生活用 業務営業用 工場用 図 4-6 用途別有収水量の内訳 表 4-2 用途別有収水量の内訳一覧表 平成15年度 項目 水量 (m3/日) 構成比 (%) 平成16年度 水量 (m3/日) 平成17年度 構成比 (%) 水量 (m3/日) 平成18年度 構成比 (%) 水量 (m3/日) 平成19年度 構成比 (%) 水量 (m3/日) 構成比 (%) 生活用 9,849 77.1 9,932 77.4 10,005 77.4 10,083 78.1 10,049 77.5 業務営業用 2,421 18.9 2,422 18.9 2,400 18.6 2,304 17.8 2,268 17.5 工場用 511 4.0 485 3.8 521 4.0 526 4.1 655 5.0 合計 12,781 100.0 12,839 100.0 12,926 100.0 12,913 100.0 12,972 100.0 31 菰野町水道ビジョン 5 年間平均の用途別有収水量の内訳は、次図及び次表のとおりです。 5年間平均の用途別有収水量の内訳 18.3% 4.2% 77.5% 生活用 業務営業用 工場用 図 4-7 5 年間平均(平成 15 年度~平成 19 年度)の用途別有収水量の内訳 表 4-3 用途別有収水量(m3/日)の内訳一覧表(平成 15 年度~平成 19 年度) (単位:m3/日) 年度 生活用 業務営業用 工場用 合計 H15 9,849 2,421 511 12,781 H16 9,932 2,422 485 12,839 H17 10,005 2,400 521 12,926 H18 10,083 2,304 526 12,913 H19 10,049 2,268 655 12,972 平均 9,984 2,363 540 12,886 比率(%) 77.5 18.3 4.2 100.0 32 菰野町水道ビジョン 4.4 施設の状況 4.4.1 上水道における主要施設のフロー 菰野町上水道の給水区域は、次のとおりです。 大羽根浄水場 片倉配水池 片倉 送配水ポンプ場 菰野給水区域 潤田浄水場 江野配水池 鵜川原・竹永 千種給水区域 田光配水池 (県水受水) 江野高区 送水ポンプ場 草里野 送配水ポンプ場 火除野 配水ポンプ場 茶屋の上 低区給水区域 茶屋の上 高区給水区域 江野高区 配水池 江野・神明 給水区域 草里野 配水池 朝上給水区域 切畑配水池 (県水受水) 切畑・根の平 杉谷給水区域 鈴鹿台 低区配水池 鈴鹿台高区 送水ポンプ場 鈴鹿台低区 給水区域 田口浄水場 茶屋の上 配水池 田口配水池 鈴鹿台高区 配水池 鈴鹿台高区 給水区域 田口 送水ポンプ場 ゴルフ場 受水槽 田口・田口新田 給水区域 注:赤字は、計画を示します。 は、非常時の水融通管を示します。 図 4-8 菰野町上水道の給水区域系統図 33 県民の森 給水区域 菰野町水道ビジョン 4.4.2 簡易水道における主要施設のフロー 湯の山簡易水道の給水区域は、次のとおりです。 湯の山浄水場 湯の山 配水ポンプ場 湯の山 最高区給水区域 湯の山 配水池 湯の山 高区給水区域 山岳寺配水池 潜戸配水池 湯の山 低区給水区域 図 4-9 湯の山簡易水道の給水区域系統図 写真 4-44 を移動 写真 4-2 湯の山浄水場 凝集沈殿槽 34 湯の山 中区給水区域 菰野町水道ビジョン 4.4.3 主な水道施設の概要 ア.菰野町水道事業全域の概要 ① 上水道事業における浄水場等 大羽根浄水場は、6 箇所の取水井(深さ 200~300mの深井戸 5 箇所と深さ 14mの浅井戸 1 箇所)を水源とし、菰野地区の生活用水や業務営業用水を供給する本町の心臓部の施設と なっています。昭和 48 年(1973 年)6 月に給水を開始して以来、人口増加に併せて拡張を重 ね現在に至っています。 潤田浄水場は、6 箇所の取水井(深さ 200~250mの深井戸 6 箇所)を水源とし鵜川原・ 竹永・千種地区の生活用水や業務営業用水・工場用水を供給する本町の第 2 の心臓部の施 設です。この施設は、平成 4 年(1992 年)12 月に給水開始し、原水である地下水の水量不足 にともない、施設を拡充して現在に至っています。 田口浄水場は、3 箇所の取水井(深さ 180m~270mの深井戸 3 箇所)を水源として、田 口・田口新田地区等の生活用水や業務営業用水・工場用水を供給する本町の第 3 の浄水施 設です。この施設は、平成元年(1989 年)4 月に給水開始し、現在に至っています。 田光配水池では、県営用水供給事業から 2,600 ㎥/日の浄水を受水し、朝上地区等に平成 4 年(1992 年)4 月から給水しています。 ② 簡易水道事業における浄水場 湯の山浄水場は、三滝川の表流水を水源とし、湯の山地区の生活用水や業務営業用水を 供給する浄水施設です。この施設は、昭和 29 年(1954 年)7 月に給水を開始して施設の拡充 を重ね、現在に至っています。 写真 4-43 を移動 写真 4-3 田口浄水場 沈殿池全幅堰 35 菰野町水道ビジョン イ.大羽根浄水場の概要 大羽根浄水場では原水を取水ポンプで揚水し、着水井で苛性ソーダによる pH調整と次亜 塩素酸ナトリウムによる塩素消毒をして、安全な飲料水である浄水となります。浄水池に 貯められた浄水は、片倉配水池に送られ、生活用水や業務営業用水として配水されます。 大羽根浄水場の水処理の概要は次のとおりです。 深 井 戸 か ら 取 水 原水 (地下水) pH調整 消毒 (苛性ソーダ) (次亜塩素酸ナトリウム) 着水井 浄水池 図 4-10 大羽根浄水場の水処理の概要図 写真 4-4 大羽根浄水場正門と右側は管理棟 36 配水池 配 水 池 を 経 て 各 家 庭 へ 菰野町水道ビジョン ウ.大羽根浄水場の主要な施設紹介 大羽根浄水場の取水、浄水関係の主な施設の写真は、次のとおりです。 写真 4-5 大羽根第 2 号取水井 写真 4-6 大羽根浄水場 流入管・薬注管 写真 4-7 大羽根浄水場 送水ポンプ室 写真 4-8 大羽根浄水場 送水用真空ポンプ 写真 4-9 大羽根浄水場 計装盤 写真 4-10 大羽根浄水場 37 薬注室 菰野町水道ビジョン エ.潤田浄水場の概要 潤田浄水場では原水を取水ポンプで揚水し、着水井で苛性ソーダによるpH調整と次亜 塩素酸ナトリウムによる塩素消毒をして、安全な飲料水である浄水になります。浄水池に 貯められた浄水は、江野配水池に送られ、生活用水や業務営業用水として配水されます。 潤田浄水場の水処理の概要は次のとおりです。 深 井 戸 か ら 取 水 pH調整 消毒 (苛性ソーダ) (次亜塩素酸ナトリウム) 原水 (地下水) 着水井 浄水池 図 4-11 潤田浄水場の水処理の概要図 役所 4-11 に差替え 写真 4-11 潤田浄水場の正面入口 38 配水池 配 水 池 を 経 て 各 家 庭 へ 菰野町水道ビジョン オ.潤田浄水場の主要な施設紹介 潤田浄水場の取水、浄水関係の主な施設の写真は、次のとおりです。 写真 4-12 潤田 第 7 号取水井 写真 4-13 潤田 第 13 号取水井(浄水場内) 写真 4-14 潤田浄水場 管理操作デスク 写真 4-15 潤田浄水場 送水ポンプ室 写真 4-16 潤田浄水場 動力・計装盤 写真 4-17 潤田浄水場 薬注室 39 菰野町水道ビジョン カ.田口浄水場の概要 田口浄水場では原水を取水ポンプで揚水し、沈殿池で次亜塩素酸ナトリウムによる塩素 消毒と酸化をさせて、苛性ソーダによるpH調整をするとともに、上澄み水と沈殿汚泥に 分離されます。濁度物質等を沈殿除去された上澄み水は、さらに急速ろ過機に送られ、ろ 過砂でこされ安全な飲料水である浄水となります。浄水池に貯められた浄水は、田口配水 池に送られ、生活用水や業務営業用水として配水されます。 田口浄水場の水処理の概要は次のとおりです。 消毒・酸化 (次亜塩素酸ナトリウム) 深 井 戸 か ら 取 水 原水 (地下水) pH調整 (苛性ソーダ) 沈殿池 急速ろ過機 図 4-12 田口浄水場の水処理の概要図 写真 4-18 田口浄水場の全景 40 浄水 配 水 池 を 経 て 各 家 庭 へ 菰野町水道ビジョン キ.田口浄水場の主要な施設紹介 田口浄水場の取水、浄水関係の主な施設の写真は次のとおりです。 写真 4-19 田口第 1 号取水井 写真 4-21 田口浄水場 急速ろ過機 写真 4-23 田口浄水場 ろ過・逆洗ポンプ 写真 4-20 田口第 3 号取水井 写真 4-22 田口浄水場 薬注室 写真 4-24 田口浄水場 41 電気計装盤 菰野町水道ビジョン ク.湯の山浄水場の概要 湯の山浄水場では、原水を自然流下で導水し、凝集反応槽で高分子凝集剤(PAC)に よる凝集と苛性ソーダによるpH調整を行い、凝集沈殿槽(プレシピテーター)によって 上澄み水と沈殿汚泥に分離されます。濁度物質等を除去された上澄み水は、次亜塩素酸ナ トリウムによる塩素消毒をして、さらに急速ろ過機に送られ、ろ過砂でこされ安全な飲料 水である浄水となります。浄水は、湯の山配水池に送られ、生活用水や観光施設、ホテル 等の業務営業用水として配水されます。 湯の山浄水場の水処理の概要は、次のとおりです。 凝集剤 (PAC) 三 滝 川 か ら 取 水 原水 (表流水) pH調整 (苛性ソーダ) 凝集 反応槽 凝集 沈殿槽 図 4-13 湯の山浄水場の水処理の概要図 役所 4-25 に差替え 写真 4-25 消毒 (次亜塩素酸ナトリウム) 湯の山浄水場の全景 42 急速ろ過機 浄水 配 水 池 を 経 て 各 家 庭 へ 菰野町水道ビジョン ケ.湯の山浄水場の主要な施設紹介 湯の山浄水場の取水、浄水関係の主な施設の写真は次のとおりです。 役所 4-26 に差替え 写真 4-26 湯の山浄水場 役所 4-27 に差替え 計装室 写真 4-27 湯の山浄水場 計装盤 写真 4-28 湯の山浄水場 自家発電機室 写真 4-29 湯の山浄水場 自家発電機 写真 4-23 と差替え 写真 4-30 湯の山浄水場 急速ろ過機 写真 4-31 湯の山浄水場 43 凝集沈殿槽外観 菰野町水道ビジョン コ.配水池・ポンプ施設(代表例) 大羽根浄水場、潤田浄水場、田口浄水場、湯の山浄水場でつくられた自己水は、片倉、 江野、江野高区、田口、湯の山配水池等を通じ、また三重県営水道は、田光配水池を通じ てそれぞれの給水区域に給水しています。扇状地の広域に及ぶ送配水を円滑に行うために ポンプ施設と配水池を設けています。これらの施設は、菰野町庁舎にある遠方監視システ ムにより集中的に中央監視をしています。 ●代表的な配水池(一例) 写真 4-32 片倉配水池 写真 4-33 江野配水池 写真 4-34 江野高区配水池 写真 4-35 田光配水池(県営水道受水) 写真 4-36 田口配水池 写真 4-37 湯の山配水池 44 菰野町水道ビジョン ●ポンプ施設(一例) 本町は、起伏に富んだ地形にあり、そのため地域により水圧が変わります。各地域で所 定の水圧を得るために適切な場所に配水池を設け、その配水池に送水ポンプで水道水を送 っています。また、配水池が適切な位置に設けられないときは、直接配水ポンプにより給 水しています。その施設の一例を示します。 写真 4-38 写真 4-40 火除野配水ポンプ 写真 4-39 江野高区送水ポンプ 草里野送配水ポンプ 写真 4-41 湯の山配水ポンプ 45 菰野町水道ビジョン サ.未規制施設等小規模な施設の課題 水道事業は、給水栓における水質の確保を第一に考えるべきです。現行の制度では給水 装置や貯水槽以下の施設がそれぞれの設置者の管理責任になっており、町民やユーザーの 方々のビル、マンション等の貯水槽水道の管理が喫緊の課題となっております。 そのため水道法改正により、本町の条例を水道事業者の責務として指導・助言・勧告を 行うことができるように改正いたしました。今後、使用者及び設置者の方々に対して広報 等で情報提供をより一層積極的に行う予定です。 <貯水槽水道について> 平成13年(2001年)7月水道法が改正され、貯水槽水道に関して水道事業者及び貯水槽水 道の設置者の責任を供給規定において明確に定めることになりました。貯水槽水道とは、 水道法で規制された簡易専用水道(受水槽の有効容量10m3を超えるもの)と簡易専用水道以 外(受水槽の有効容量が10m3以下のもの)があります。簡易専用水道については従来どおり、 設置者が当該水道の管理基準の遵守と管理状況の検査の受検を義務付けています。(法第 34条の2項)また、法改正により簡易専用水道以外の小規模貯水槽の設置者に対しても簡易 専用水道に準じた管理責任が求められています。 高置水槽 受水槽拡大図 防虫網 エアチャンバ- ボ-ルタップ 5階 オ-バ-フロ-管 4階 バルブ(入) 排水バルブ 流出 流入 3階 受水槽 2階 拡大 ボールタップ ポンプ P 道路 1階 宅地 水道 メータ 止水栓 水道配水管 給水装置 貯水槽水道 分岐箇所 図 4-14 貯水槽水道のイメージ図 46 菰野町水道ビジョン 4.4.4 配水管の管種別割合 本町における配水管は、硬質塩化ビニル管(VP)が最も多く使用されており、次いでダ クタイル鋳鉄管(DCIP)が多くなっています。配水管の管種別割合は、次図のとおりです。 配水管の管種別割合 管 種 の 比 率 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% VP ACP DCIP 平成17年度 平成18年度 DCIP SP ACP VP 平成19年度 SUS 年度 PP 図 4-15 配水管の管種別割合 表 4-4 配水管の管種別割合 (単位:%) DCIP SP ACP VP SUS PP 合計 平成 17 年度 20.7 0.5 6.9 71.87 0.01 0.02 100.0 平成 18 年度 20.9 0.5 0.4 78.17 0.01 0.02 100.0 平成 19 年度 21.2 0.5 0 78.27 0.01 0.02 100.0 管種の意味 ・ DCIP または DIP:ダクタイル鋳鉄管 ・ SP:鋼管 ・ ACP:石綿セメント管 ・ VP: 硬質塩化ビニル管 ・ SUS または SSP:ステンレス管 ・ PP:ポリエチレン管 47 菰野町水道ビジョン 4.4.5 配水管の口径別割合 本町で使用している配水管の口径は、φ75、φ100、φ150 がそのほとんどを占めていま す。配水管の口径別割合は、次図のとおりです。 配水管の口径別割合 年度 平成17年度 φ75 φ100 φ150 平成18年度 平成19年度 0% φ50以下 φ75 20% φ100 40% φ150 φ200 60% φ250 80% φ300 100% φ350 管 比 種 率 の φ400 図 4-16 配水管の口径別割合 表 4-5 配水管の口径別延長割合 φ50以下 平成17年度 20.1 平成18年度 20.0 平成19年度 19.4 φ75 φ100 φ150 31.2 19.7 10.4 31.2 19.8 10.6 31.6 19.7 10.9 (単位:%) φ200 φ250 φ300 φ350 φ400 計 10.6 4.0 1.9 0.7 1.4 100.0 10.5 4.0 1.8 0.7 1.4 100.0 10.5 4.0 1.8 0.7 1.4 100.0 まとめ ・ 配水池(全体 12 カ所)としては、昭和 56 年(1981 年)以降に建設された 施設(8 カ所)が全体の約 67%になります。 ・ 口径φ150mm 以下の配水管は、全体の約 82%を占めています。 ・ 配水管口径φ75mm 及びφ100mm の割合が約 51%であり、最も使用頻度の 高いものです。 ・ 配水管のうち、DIP・DCIP は約 21%で、VP は約 78%です。 48 菰野町水道ビジョン 4.4.6 施設の耐震化 ア.耐震化の背景・考え方 平成 7 年(1995 年)1月 17 日未明に発生した兵庫県南部地震(災害の名称:阪神・淡路大 震災)は、大都市地域を直撃し、水道をはじめとした下水道・電気・ガス・電話等のライ フラインに大きな被害を与え、被災住民への影響の重大性が改めて認識させられました。 まず、各水道施設の竣工年を把握し、下記に示す基準に照らし合わせて耐震化の状況を把 握しなければなりません。 土木構造物においては、(社)日本水道協会から発刊されている「耐震基準及び指針」を 基に第 1 世代~第 5 世代に分類することができます。この分類から平成 9 年(1997 年)に発 刊された「水道施設耐震工法指針・解説 1997 年版」によれば、第 5 世代以降はレベル2地 震動対応であるため問題がなく、それ以前に建設された土木構造物に対しては耐震性が低 いと考えられますので、それらの施設については原則として耐震診断を行う必要がありま す。 一方、建築物においては昭和 56 年(1981 年)建築基準法施行令改正(新耐震設計指針)以 降を新耐震とし、それ以前に建設された建築物に対しては耐震性が低いと考えられるため、 原則として耐震診断を行う必要があります。 これらを世代別にまとめますと次表に示すとおりになります。 表 4-6 土木構造物における世代別耐震診断の要否判断リスト 土木構造物 世 代 年 代 耐震診断の要否 摘 要 第1世代 ~S27(1952)年 要 非耐震構造物 第2世代 S28(1953)年~S40(1965)年 要 非耐震構造物 第3世代 S41(1966)年~S53(1978)年 要 非耐震構造物 第4世代 S54(1979)年~H8(1996)年 要 対レベル1地震動 第5世代 H9(1997)年~ 不要 対レベル2地震動 表 4-7 建築物における世代別耐震診断の要否判断リスト 建築物 建築物 年 代 旧耐震 S25(1950)年~S55(1980)年 新耐震 S56(1981)年~ 耐震診断の要否 49 摘 要 要 旧耐震構造物 不要 新耐震構造物 菰野町水道ビジョン また、耐震診断の年次計画を策定するにあたり、次の事項を基本として優先的に事業を 行うものとします。 ・重要度が高い施設(基幹施設) 浄水施設、給水拠点等 ・老朽化が進んでいる施設(世代の古いもの) 第1~3世代 <参考> 水道施設の重要度と対レベル1・2地震動の関係について 対レベル1地震動及び対レベル2地震動と施設の重要度ランク A 及び B の関係は次表の とおりです。 表 4-8 水道施設の重要度と対レベル1・2地震動の関係 対レベル1地震動 対レベル2地震動 (L1) (L2) レベルの 「施設 の供用期間 中 「過去から将来にわた 区分 に発生 する確率が 高 って当該地点で考えら い地震動」 水道施設の具体例 れる最大級の強さを持 つ地震動」 ・取水施設、貯水施設、 導水施設、浄水施設、送 水施設 ・配水施設 ランク A 重要度の 高い施設 原則として無被害で あること 個々に軽微な被害が生 じても、その機能保持が 可能であること 配水本管及びこれに直 接接続するもの並びに 当該水道事業の配水池 等のうち最大の容量の もの ・重大な二次災害を起こ す可能性の高い施設 個々には構造的損傷が ランク B 個々に軽微な被害が その他の 生じても、その機能保 施設 持が可能であること あっても、システムとし ての機能保持が可能で あること また、早期の復旧が可能 であること 50 上記以外の施設 菰野町水道ビジョン イ.各施設の概況 本町の水道施設は、上水道(昭和 38 年(1963 年)創設)及び湯の山簡易水道(昭和 29 年 (1954 年)創設)の需要水量の増加にともないそれぞれ数次にわたる拡張事業を進めてきま した。 土木構造物は、第 5 世代の施設はレベル2地震動に対応しており、原則として構造計算 上、耐震構造として問題はありません。 しかし、本町では第 4 世代である昭和 54 年(1979 年)から平成 8 年(1996 年)の間に建設 された施設が 12 箇所と多く、築造後 12 年から 29 年経過し、レベル1地震動に対応して築 造されてきました。これらの施設は耐震診断の対象となる施設です。また、最も耐震面で 課題の多い第 2 世代及び第 3 世代である 30~40 数年経過した施設としては、上水道で 5 箇 所及び湯の山簡易水道で 2 箇所、併せて 7 箇所あります。 建築物は、大羽根浄水場の滅菌室と管理棟及び湯の山配水ポンプ、片倉・草里野送配水 ポンプ室が、昭和 56 年(1981 年)に定められた新耐震設計法より以前の基準で設計された旧 耐震建築物に該当しますので、耐震診断の対象になります。 地方公営企業法による鉄筋コンクリート造りの施設の耐用年数は 60 年でありますが、逐 次、計画的に耐震診断を実施し、必要に応じて補修・補強または更新を実施していく必要 があります。 役所 4-42 追加 写真 4-42 給水タンクによる応急給水訓練(平成 20 年度防災訓練より) 51 菰野町水道ビジョン 水道施設毎の構造、竣工年は、次表のとおりです。 表 4-9 浄水施設の土木構造物 世 代 第 3 世 代 第 4 世 代 № 施設名称 構 1 大羽根浄水場:着水井、混和池 造 RC 造 竣工年 S48 摘 要 (1973) 非耐震構造物 2 大羽根浄水場:浄水池 RC 造 S47 (1972) 3 田口浄水場:着水井・沈殿池 RC 造 H1 (1989) 4 田口浄水場:浄水池 RC 造 H1 (1989) 5 潤田浄水場:着水井・浄水池 RC 造 H4 (1992) 対レベル1 地震動 表 4-10 浄水場施設の建築物 世 № 代 旧 施設名称 構 造 竣工年 1 湯の山浄水場:薬注室 RC 造 S47 (1972) 2 湯の山浄水場:発電機室 RC 造 S47 (1972) 3 湯の山浄水場:プレシピテーター SS 製 S47 (1972) 4 湯の山浄水場:急速ろ過機 SS 製 S47 (1972) 5 大羽根浄水場:管理棟 RC 造 S48 (1973) 6 大羽根浄水場:塩素滅菌室 RC 造 S48 (1973) 7 田口浄水場:ろ過ポンプ室 SR 造 H1 (1989) 8 田口浄水場:送水ポンプ室 RC 造 H6 (1994) 9 田口浄水場:薬注室 S造 H6 (1994) 10 田口浄水場:急速ろ過機 SS 製 H1 (1989) 11 潤田浄水場:管理棟 RC 造 H4 (1992) 12 潤田浄水場:薬注室 RC 造 H4 (1992) 耐 震 新 ※ 要 旧耐震構造物 耐 震 摘 新耐震構造物 RC 造:鉄筋コンクリート造、PC 造:プレストレストコンクリート造、SS 製:鋼板製 SR 造:鉄骨コンクリート造、S 造:鉄骨造 52 菰野町水道ビジョン 表 4-11 送配水施設の土木構造物 世 代 № 施設名称 構 造 竣工年 摘 要 第 3 世 1 湯の山配水受水槽 RC 造 S47 (1972) 2 田口送水受水槽 RC 造 S63 (1988) 非耐震構造物 代 第 4 世 対レベル1 地震動 代 表 4-12 送配水施設の建築物 世 代 № 施設名称 構 造 竣工年 1 湯の山配水ポンプ室 RC 造 S47 (1972) 2 片倉送配水ポンプ室 S造 S52 (1977) 3 草里野送配水ポンプ室 RC 造 S54 (1979) 4 田口送水ポンプ室 S造 S63 (1988) 5 江野高区送水ポンプ室 S造 H6 (1994) 6 火除野配水ポンプ室 S造 H7 (1995) 旧 耐 摘 要 旧耐震構造物 震 新 耐 震 53 新耐震構造物 菰野町水道ビジョン 表 4-13 配水池施設の土木構造物 世 代 № 施設名称 構 造 竣工年 摘 要 第 2 1 潜戸配水池 RC 造 S39 (1964) 2 片倉第 1 号配水池 PC 造 S47 (1972) 3 片倉第 2 号配水池 PC 造 S52 (1977) 4 草里野配水池 RC 造 S54 (1979) 5 田口第 2 号配水池 RC 造 S57 (1982) 6 山岳寺配水池 RC 造 H 1 (1989) 7 茶屋の上配水池 RC 造 H 2 (1990) 4 8 田口第 3 号配水池 PC 造 H 2 (1990) 対レベル1 世 9 田光配水池 PC 造 H 3 (1991) 地震動 10 江野配水池 PC 造 H 5 (1993) 11 江野高区配水池 PC 造 H 6 (1994) 12 湯の山配水池 RC 造 H 9 (1997) 世 非耐震構造物 代 第 3 世 代 第 代 54 非耐震構造物 菰野町水道ビジョン ウ.配水管路 本町の基幹管路の平成 19 年度(2007 年度)における経年管(40 年経過したものとする) 延長は、次表のとおりです。 表 4-14 基幹管路延長 管種名称 管種記号 経年管延長(m) 総延長(m) 経年化比率 (%) 導水管 ダクタイル鋳鉄管 DCIP 1,962 8,380 23.4 DCIP 2,120 5,905 35.9 DCIP 21,796 102,506 21.3 送水管 ダクタイル鋳鉄管 配水管(φ150 以上) ダクタイル鋳鉄管 まとめ ・ 導水管の経年管は、総延長の約 23.4%です。 ・ 送水管の経年管は、総延長の約 35.9%です。 ・ 配水管の経年管は、総延長の約 21.3%です。 参考:配水管の耐用年数の考え方 有形固定資産の耐用年数につきましては、地方公営企業法施行規則の一部を改正す る省令(平成 13 年総務省令第 56 号)では、平成 14 年度(2002 年度)事業から適用さ れている配水管の耐用年数は、近年の材質やコーティング技術の進歩等から、鋳鉄管 及び塩ビ管等は一律 40 年となりました。ただし、平成 13 年度(2001 年度)以前は鋳鉄 管については耐用年数が 40 年でしたが、硬質塩化ビニル管等のその他の配水管につ きましては 25 年の耐用年数でした。 注;付属設備と一体としたときの配水管の法定耐用年数は、総合償却で 38 年とされ ています。 55 摘要 菰野町水道ビジョン 4.4.7 業務委託の状況 本町では、次の業務を第三者に委託しています。 ア.水道メータ検針業務 隔月検針にかかる業務を委託しています。 イ.水道メータの定期取り替え業務 水道メータの取り替えにかかる業務を委託しています。 表 4-15 主な業務委託の一覧表 NO 委託内容 備考 1 水道メータ検針業務 隔月検針 2 水道メータ定期取替え業務 水道メータの取替え・修理 役所 4-43 写真 4-43 一般家庭用水道メータ設置状況 写真 4-44 水道メータ(指針部) 56 菰野町水道ビジョン 4.4.8 リスク管理の状況 緊急遮断弁の設置状況 現在、緊急遮断弁は未整備でありますが、今後大容量配水池である片倉第 2 号配水池、 田光配水池及び江野配水池の 3 箇所に地震時等に飲料水が確保できるように逐次整備して いく予定です。 表 4-16 緊急遮断弁の設置予定の状況(今後設置予定 3 箇所) 設置場所 配水池容量(m3) No 配水池名 備考 1 片倉第 2 号配水池 菰野町大字菰野 3,000 2 田光配水池 菰野町大字田光 2,450 〃 3 江野配水池 菰野町大字千種 3,770 〃 予 定 <参考> 緊急遮断弁とは 緊急遮断弁は、主に配水池の直近の配水管に設置し、地震による大きな揺れや道路下の 水道管破損による異常な流量を検知した時には自動で弁が閉じることにより配水池内に緊 急用水としての水道水を確保することができます。 写真 4-45 潤田浄水場 自家用発電機 57 菰野町水道ビジョン 4.5 経営の状況 4.5.1 水道料金体系 本町の水道料金体系は、口径別及び従量制の水道料金制を採用しています。これは、使 用水量が多くなるに従い、また口径が大きくなれば高くなる料金体系となっています。 料金の算定は、口径別の基本料金と使用水量の区分ごとの料金を加算します。この料金 体系は多くの水道事業体が採用し、使用量が増加するほど単価が高くなるように原価を配 賦する逓増型料金体系となっています。 なお、本町の水道料金表は、次のとおりです。 表 4-17 現行の基本料金表 (税抜) 区分 上水道 湯の山簡易水道 基本料金 給水管の口径 (1 ヵ月につき) φ20m/m まで 1,550 円 1,550 円 φ25m/m~30m/m まで 2,200 円 2,200 円 φ40m/m 5,500 円 5,500 円 φ50m/m 8,000 円 8,000 円 φ75m/m 19,300 円 19,300 円 φ100m/m 33,200 円 33,200 円 3,400 円 3,400 円 工事・その他・一時用 (平成 17 年 6 月使用分より) 役所 4-46 を追加 写真 4-46 清浄、豊富、低廉が水道の合言葉です。 58 菰野町水道ビジョン 表 4-18 現行の水量料金表 (税抜) 区分 上水道 湯の山簡易水道 水量料金 使用水量 (1 ㎥につき) 1m3~20m3 まで 40 円 40 円 21m3~30m3 まで 115 円 80 円 31m3~50m3 まで 135 円 90 円 51m3~100m3 まで 170 円 100 円 101m3~300m3 まで 215 円 105 円 301m3~1,000m3 まで 220 円 110 円 1,001m3~3,000m3 まで 225 円 115 円 3,001m3 以上 230 円 120 円 320 円 320 円 工事・その他・一時用 (平成 17 年 6 月使用分より) 写真 4-47 田光川 相生橋水管橋 59 菰野町水道ビジョン 4.5.2 総合計画における水道計画の方針 本町は、第四次菰野町総合計画「基本構想」平成 11 年(1999 年)~平成 22 年(2010 年)を 策定し、理念を「夢・ときめき・新しい時代を紡ぐこころの都市・菰野」と定め、その実 現に向け、諸施策の推進に取り組んでいます。現在は、後期基本計画により主要な施策・ 事業を明らかにし、計画的な行財政運営を実現するため、第四次推進計画、平成 20 年(2008 年)~平成 22 年(2010 年)を推進しています。 後期基本計画では、より効果的・効率的な行政運営の確立として、効率的な組織・機構 の配備・民間活力の活用・良質な行政サービスの提供等が計画されており、水道事業も浄 水場の民間への管理委託や組織・機構の効率化等を検討していきます。今後、民間委託等 の検討と併せて職員の適性配置についても検討していく必要があります。 役所 4-48 に差替え 写真 4-48 効果的、効率的な水道の管理運営に努めます。 60 菰野町水道ビジョン 4.5.3 財政状況 平成 19 年度(2007 年度)における収益的収支(税込み)及び資本的収支(税込み)の総括 的概況を示します。 収益的支出 8.98億円(税込み) 収益的収入 9.55億円(税込み) その他 0.20億円 受託工事収益 1.24億円 減価償却費 2.60億円 営業外収益 0.61億円 その他営業収益 0.18億円 料金収入 7.52億円 支払利息 0.75億円 受託工事費 1.18億円 業務・総係費 0.82億円 配水費 3.43億円 収益的収入 収益的収支 9.55 億円-収益的支出 8.98 億円=純利益 0.56 億円 資本的支出 1.43億円(税込み) 資本的収入 0.49億円(税込み) 企業債償還元金 企業債償還元金 0.75億円 0.75億円 拡張費 拡張費 0.03億円 0.03億円 建設改良費 建設改良費 0.65億円 0.65億円 加入金 0.34億円 繰入金 0.08億円 負担金 0.07億円 資本的収入 0.49 億円-資本的支出 1.43 億円=収入不足額 0.94 億円 図 4-17 平成 19 年度(2007 年度)における収益的収支(税込み)及び資本的収支(税込み) 61 菰野町水道ビジョン <法適用企業の考え方> 本町の水道事業は、地方公営企業法の適用を受ける企業(法適用企業)として公営企業 会計方式(複式簿記)により会計処理を行っています。 厚生労働省は、水道事業をある一定の条件のもとに水道事業の一元化・統合化を勧めて おり、本町では、人口、水量、給水区域等の見直しや簡易水道事業を統合し、一元化を図 っていきます。 官公庁会計方式 歳入(収入) 経常的収入 歳出(支出) 資本的収入 経常的支出 資本的支出 公営企業会計方式 <収益的収支> 収入 料金収入 支出 作業費・人件費 負担金等 支払利息 その他 減価償却費等 <資本的収支> 収入 留保資金 支出 企業債償還元金 企業債 補助金 他 建設改良費等 他 図 4-18 公営企業会計方式の概念 メモ ① 収益的収入・収益的支出(あわせて、収益的収支という。) 当年度の営業活動等の損益取引にもとづくもので、水を供給することにより料金をいた だくという事業の管理・運営にともなう予算です。この支出には、現金が企業外部に流出 する支出(作業費・人件費や支払利息等)と固定資産の減価償却費のように支出をともな わない費用も計上されます。 ② 資本的収入・資本的支出(あわせて、資本的収支という。) 施設整備(投下資本)に関する取引のことで、建設・改良にともなう予算です。その効 果が、次年度以降に及ぶもの、すなわち、住民に対するサービスの提供を維持するために 諸施設の整備・拡充等の建設改良費や現有施設に要した企業債の償還元金等が計上されま す。資本的収入には建設改良に要する資金としての企業債収入等が計上されます。 62 菰野町水道ビジョン ③ 減価償却費 資産について時間の経過等とともに財産価値の減少を費用計上し、施設等の更新に備え る費用のことです。これは、現金支出をともなわない費用です。 ④ 動力費 浄水場、ポンプ場等の施設を動かす電気料金等です。 ⑤ 薬品費 水を浄水にするために使用する薬品費です。 ⑥ 支払利息 過去に借り入れた企業債等の支払利息です。 ⑦ 国庫支出金(国庫補助金) 水道施設の整備事業費等の補助金です。 ⑧ 企業債 建設改良事業の財源として、国や公庫等から資金を長期的に借り入れるものです。 ⑨ 企業債償還元金 過去に借り入れた資金(企業債)の償還元金です。 水道用語や公営企業関連用語について 「菰野町水道ビジョン」に使用している専門的な水道用語や水道経営にかかわる公営企 業関連用語のうち、主な用語については、巻末の「9.参考資料」の用語集にまとめて簡 単に説明しています。 63 菰野町水道ビジョン 4.5.4 経営診断 水道事業体は、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環 境の改善に寄与すること」(水道法の趣旨)が必要であるとともに、地方公営企業として、 経営にあたっては、独立採算性の原則のもと「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮 するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければなら ない」(地方公営企業法における経営の基本原則)とされています。すなわち、企業体とし て「経済性」を確保するだけでなく、公的機関として「公共性」も確保し、バランスのと れた経営が求められているのです。この点で、通常の民間企業経営や自治体経営よりも難 しい面があると言えます。 このような背景のもとに、各水道事業体においては業務の効率化やコストの削減、収入 の確保等さまざまな経営改革の努力を必要とされています。しかし、近年の地方公営企業 の経営状態が依然として厳しい状況にあることから、平成 16 年(2004 年)4 月に総務省は、 あらためて地方公営企業の経営全般について総点検を行い、さらなる経営改革を推進する ようにと通知しました。その内容は①地方公営企業の総点検②中期計画の策定、業績評価 等による経営基盤の強化③透明性の向上の 3 つからなります。 平成 18 年度(2006 年度)水道事業経営指標(総務省編)等を用いて、本町と同規模である 類似団体を抽出し、全国平均と併せて平成 17 年度(2005 年度)、平成 18 年度(2006 年度)及 び平成 19 年度(2007 年度)の本町の経営指標と比較することにより現在の経営状況を分析し ます。 <菰野町の概要> ・ 菰野町の人口:40,550 人(平成 20 年 3 月 31 日現在) ・ 本町と同規模の都市区分:給水人口 3 万人以上 5 万人未満 ・ 水源種別:その他 写真 4-49 一般的な地下式消火栓 写真 4-50 積雪地域に適した地上式 消火栓(湯の山) 64 菰野町水道ビジョン ここで、事業実態を明らかにする資料を整理して、①収益性 ②減価償却状況 ③財務比 率 ④施設効率 ⑤料金に関する項目について、次表の代表的な指標を分析します。 表 4-19 経営状況の評価区分と指標 評価区分 ① 収益性 指 標 1-1 総収支比率(PI3003) 1-2 経常収支比率(PI3002) 1-3 営業収支比率(PI3001) ② 減価償却状況 2-1 企業債償還元金対減価償却額比率(PI3025) ③ 財務比率 3-1 流動比率(PI3022) 3-2 自己資本構成比率(PI3023) ④ 施設効率 4-1 施設利用率(PI3019) 4-2 施設最大稼働率(PI3020) 4-3 負荷率(PI3021) 4-4 有収率(PI3018) ⑤ 料金に関する項目 5-1 給水原価(PI3015) 5-2 供給単価(PI3014) 5-3 料金回収率(PI3013) 注:PI3003 とは、水道事業ガイドライン業務指標(PI)の項目 3003 に該当することを表わ しています。 <水道事業ガイドラインに基づく業務指標(PI)について> 水道事業ガイドラインは、水道事業の定量化(数値化)によるサービス向上を目的とし て平成 17 年 1 月に(社)日本水道協会により制定されたものです。 水道事業ガイドラインの業務指標(PI、Performance Indicator)は、水道サービスを将 来に渡り維持するため、水道事業を 137 項目の指標で定量化し、目標の達成度を表してい ます。本町では水道ビジョンに関連して、業務指標をとりまとめており、この業務指標に より、水道事業についてよりわかりやすい情報をお客様に提供できると考えています。 試算した業務指標は、水道事業における現状分析や課題抽出に役立てるとともに、今後 の水道サービスの向上に活用していきたいと考えています。 65 菰野町水道ビジョン ① 収益性 1-1 総収支比率(PI3003) <説明> 総費用が総収益によってどの程度まかなわれているかを示すものであり、この比率が 100%未満の場合、収益で費用をまかなえないことになり、健全経営とは言えません。 <算定式> 総収支比率(%)=(総収益/総費用)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 1-1 総収支比率 108.4 108.5 108 総収支比率(%) 107.5 107.1 107 106.5 106.5 106.2 106.2 106 105.5 105 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-19 総収支比率(PI3003) <評価> 本町では、総収支比率は 106.2%(平成 17 年度(2005 年度))から 106.5%(平成 19 年度(2007 年度))に僅かに改善されましたが、類似団体(107.1%)、全国平均(108.4%)と比較して 下回っており、今後とも健全経営を維持するためにさらなる経営努力が求められています。 66 菰野町水道ビジョン 経常収支比率(PI3002) <説明> 総収支から特別損益を除き、企業の経常的な活動の収益性を判断するもので、100%未満 の場合は健全経営とは言えません。 <算定式> 経常収支比率(%)=(営業収益+営業外収益/営業費用+営業外費用)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 1-2 経常収支比率 108.4 108.5 108 107.4 経常収支比率(%) 107.5 107 106.5 106.5 106.2 106.2 106 105.5 105 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-20 経常収支比率(PI3002) <評価> 本町は総収支比率と同様、類似団体、全国平均と比較して僅かに低く、さらなる健全経 営を目指す必要があります。 67 菰野町水道ビジョン 1-2 営業収支比率(PI3001) <説明> 特別利益、営業外利益及び受託工事のような企業本体の活動と直接結びつかない収支を 除外して、企業固有の活動に着目した収益性を示します。100%未満の場合は健全経営とは 言えません。 <算定式> 営業収支比率(%)=(営業収益-受託工事収益/営業費用-受託工事費用)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 1-3 営業収支比率 121.0 122 120 118.2 営業収支比率(%) 118 116 114 111.1 112 111.8 110.2 110 108 106 104 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-21 営業収支比率(PI3001) <評価> 営業収支比率は 100%を超えており、平成 17 年度(2005 年度)111.1%から平成 19 年度(2007 年度)111.8%と僅かに改善しており、特に問題がないと言えます。しかし、類似団体、全国 平均と比較して低い数値を示していますのでさらなる経営努力が必要です。 68 菰野町水道ビジョン ② 減価償却状況 2-1 企業債償還元金対減価償却費比率(PI3025) <説明> 水道事業は、設備投資の財源として企業債への依存度が高く、減価償却費に占める企業 債償還元金の割合も必然的に高いものとなっています。企業債元金の償還は損益勘定留保 資金によることとなりますが、資金の内部留保の源泉は主に減価償却によるものでありま すので、この比率によって投下資本の回収と再投資との間のバランスを見ることができま す。 <算定式> 企業債償還元金対減価償却費比率(%) =(建設改良のための企業債償還元金 /当年度減価償却費)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 2-1 企業債償還元金対減価償却比率 企業債償還元金対減価償却費比率(%) 80 71.2 77.6 H18 類似団体 H18 全国平均 70 60 50 40 35.7 31.1 29.1 30 20 10 0 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) 図 4-22 企業債償還元金対減価償却費比率(PI3025) <評価> 企業債償還元金対減価償却費比率は、類似団体、全国平均と比較して低く問題はありま せん。今後とも計画的な資金運用に努める必要があります。 69 菰野町水道ビジョン ③ 財務比率 3-1 流動比率(PI3022) <説明> これは流動負債に対する流動資産の割合であり、短期債務に対する支払い能力を表して います。流動比率は 100%以上であることが必要であり、100%を下回っていれば不良債務が 発生していることになります。なお、水道事業においては理想として 200%程度が妥当な水 準です。 <算定式> 流動比率(%) =(流動資産/流動負債)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 3-1 流動比率 1461.5 1600 1400 1157.2 流動比率(%) 1200 1000 774.9 698.5 800 435.2 600 400 200 0 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-23 流動比率(PI3022) <評価> 本町は、短期債務に対する支払い能力が非常に高く、類似団体、全国平均と比較して良 好と言えます。 70 菰野町水道ビジョン 3-2 自己資本構成比率(PI3023) <説明> 総資本のうち、自己資本の占める割合を示すもので、比率は大きいほどよいが、企業債 依存度の高い水道事業では一般的に低く、50%以上が望ましいとされます。 <算定式> 自己資本構成比率(%) =(自己資本+余剰金/負債・資本合計)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 3-2 自己資本構成比率 80 72.7 73.1 74.0 70 58.2 60.6 自己資本構成比率(%) 60 50 40 30 20 10 0 H17 H18 菰野町(H17~H19) H19 H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-24 自己資本構成比率(PI3023) <評価> 本町は、類似団体、全国平均と比べて自己資本構成比率が高く、健全と言えます。 71 菰野町水道ビジョン ④ 施設効率 4-1 施設利用率(PI3019) <説明> 施設利用率は、一日給水能力に対する一日平均給水量の割合を示すもので、施設の利用 状況を総合的に判断する上で重要な指標です。施設利用率はあくまでも平均利用率ですか ら、水道事業のように季節によって需要変動のある事業については、最大稼働率、負荷率 と併せて施設規模を見ることが大切です。 <算定式> 施設利用率(%) =(一日平均給水量/一日給水能力)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 4-1施設利用率 80 68.1 70.7 64.3 70 58.8 61.7 H18 類似団体 H18 全国平均 施設利用率(%) 60 50 40 30 20 10 0 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) 図 4-25 施設利用率(PI3019) <評価> 本町の施設利用率は、類似団体、全国平均と比較して高く、施設が有効に利用されてい るため特に問題はないと言えます。 72 菰野町水道ビジョン 4-2 施設最大稼働率(PI3020) <説明> 施設の利用及び水需要に対する投資の適正化をみるもので、比率が大きいほどよいので すが、100%に近づきすぎても余裕がなく運営上好ましくありません。 <算定式> 施設最大稼働率(%) =(一日最大給水量/一日給水能力)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 4-2 施設最大稼働率 82.3 84 80.6 82 施設最大稼働率(%) 80 78 76 72.8 74 71.9 72.0 72 70 68 66 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-26 施設最大稼働率(PI3020) <評価> 施設最大稼働率は、類似団体、全国平均と比較して高く、十分利用されていることを示 しています。しかし、最近では利用率が僅かに減少傾向にあることから、水需要の低下に よるものと考えられます。 73 菰野町水道ビジョン 4-3 負荷率(PI3021) <説明> 施設が年間を通じて有効に利用されているかをみる指標です。比率が大きいほどよいこ とになります。 <算定式> 負荷率(%) =(一日平均給水量/一日最大給水量)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 4-3 負荷率 90 88.5 89 87.7 88 85.7 負荷率(%) 87 86 85 84 82.7 81.8 83 82 81 80 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-27 負荷率(PI3021) <評価> 負荷率は、類似団体、全国平均と比べて高く、特に問題ないと言えます。 74 菰野町水道ビジョン 4-4 有収率(PI3018) <説明> 年間総給水量のうち、料金収入となった水量の割合を示す指標です。有収率が低いとい うことは、漏水が多いことや消防用水等の使用量が多いこと等、いくつかの要因が考えら れます。 <算定式> 有収率(%) =(年間総有収水量/年間総給水量)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 4-4 有収率 89.1 100 85.7 85.6 89.0 H18 類似団体 H18 全国平均 87.4 90 80 有収率(%) 70 60 50 40 30 20 10 0 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) 図 4-28 有収率(PI3018) ) <評価> 本町の有収率について、全国平均と比較して僅かに低いものの、類似団体平均と比べて おおむね良好です。しかし、今後とも有収率を上げるよう努める必要があります。 75 菰野町水道ビジョン ⑤ 料金に関する項目 5-1 給水原価(PI3015) <説明> 給水原価は、有収水量 1m3 あたりの製造原価を示す指標です。 <算定式> 給水原価(円/m3) =(経常費用-(受託工事費+材料及び不要品売却原価+付帯事業費)) /年間総有収水量)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 5-1 給水原価 175.70 180 175 給水原価(円/m3) 170 165 158.36 160 155 157.92 151.76 150.00 150 145 140 135 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-29 給水原価(PI3015) <評価> 本町の給水原価は、類似団体と同程度であり、全国平均と比較して低い状況ですが、さ らなる経営努力が求められます。 76 菰野町水道ビジョン 5-2 供給単価(PI3014) <説明> 有収水量 1m3 あたりの販売単価を示す指標で、給水原価と比較することによって給水に要 する費用が料金のみでまかなわれているかを見ることができます。 <算定式> 供給単価(円/m3) =(給水収益/年間総有収水量)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 5-2 供給単価 173.40 175 170 供給単価(円/m3) 165 160 150.08 155 150 150.80 145.90 144.65 145 140 135 130 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-30 供給単価(PI3014) <評価> 供給単価は、類似団体と比べて同程度であり、全国平均と比べて低い状況ですが、さら なる経営努力が求められます。 77 菰野町水道ビジョン 5-3 料金回収率(PI3013) <説明> 供給単価と給水原価との関係を見るための指標で、100%を大きく下回る場合、健全経営 とは言えません。 <算定式> 料金回収率(円/m3) =(供給単価/給水原価)×100 <菰野町及び類似団体等との比較> 5-3 回収率 98.7 100 99 97.3 料金回収率(%) 98 95.5 97 96 95.3 94.8 95 94 93 92 91 90 H17 H18 H19 菰野町(H17~H19) H18 類似団体 H18 全国平均 図 4-31 料金回収率(PI3013) <評価> 本町における料金回収率は類似団体、全国平均より低く、さらなる経営努力が必要であ ります。 78 菰野町水道ビジョン 4.5.5 経営分析一覧表 表 4-20 経営分析一覧表 菰野町 年 度 人 口 類似団体 全 国 平均 平均 平成 18 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 平成 19 年度 平成 18 年度 人 39,989 40,274 40,550 3 万~5 万人 % 99.2 99.2 99.2 84.4 89.5 L 366 377 369 371 358 施設利用率 % 68.1 70.7 64.3 58.8 61.7 有収率 % 89.1 85.7 87.4 85.6 89.0 配水管使用効率 3 m /m 17.09 17.64 17.37 16.59 32.87 総収支比率 % 106.2 106.2 106.5 107.1 108.4 経常収支比率 % 106.2 106.2 106.5 107.4 108.4 累積欠損金比率 % - - - - - 職員 1 人あたり給水人口 人 3,603 3,628 3,657 2,875 4,005 職員 1 人あたり営業収益 千円 73,113 80,022 78,022 56,436 61,516 円 2,467 2,467 2,467 2,696 2,535 自己資本構成比率 % 72.7 73.1 74.0 58.2 60.6 固定資産対長期資本比率 % 91.5 89.7 86.4 89.70 92.22 1.事業の概況 普及率 平均給水量 2.施設の効率性 3.経営の効率性 1 ヵ月 20m3 あたり家庭用 料金 4.財務の状況 注1.普及率=現在給水人口/行政区域内人口×100 注2.現在給水人口は、末端給水事業のみ。 (出典:平成 18 年度地方公営企業年鑑第 54 号 総務省編、平成 20 年 3 月発行他) 79 菰野町水道ビジョン 4.5.6 経営診断のまとめ 平成 18 年度における全国平均、類似団体平均等と比較した場合、本町の経営指標はおお むね良好であると言えます。その中で、今後の経営的な課題と思われるものをピックアッ プして列挙すると、次のとおりです。 ① 収益性について 収益性を代表する項目である経常収支比率(106.2%)は、類似団体(107.4%)、全国平均 (108.4%)と比較して若干低い数値を示しており、水道事業においては、今後収益の改善 に注力しなければなりません。 ② 減価償却状況について 企業債償還元金対減価償却額比率(31.1%)は、類似団体(71.2%)、全国平均(77.6%) と比較して下回っており、特に問題はありません。 ③ 財務比率について 自己資本構成比率(73.1%)は、類似団体(58.2%)、全国平均(60.6%)と比べておおむ ね良好であり特に問題ありません。 ④ 施設効率について 施設利用率、最大稼働率及び負荷率についてはいずれも余裕があり、問題はありません。 有収率(85.7%)は、全国平均(89.0%)と比較して下回っており、有収率の向上は課題と 言えます。 ⑤ 料金に関する項目 1 ヵ月 20m3 あたり家庭用料金(2,467 円)については、類似団体(2,696 円)及び全国平均 (2,535 円)と比較して適正であります。 ⑥ 全般 今後、上水道事業と簡易水道事業の統合においては、供給単価の見直しが課題となって きます。 将来にわたって、健全な水道事業の経営を継続していくためにも、計画的に適切な投資 を行い、住民に対する「安心」、「安定」、「持続」、「環境」、「国際」をキーワードとして自 立できる水道事業経営を行っていかなければなりません。 ⑦ 使用データについて 今回使用したデータは、平成 20 年 3 月総務省が発表した最新版「平成 18 年度地方公営 企業年鑑」及び「平成 18 年度水道事業経営指標」に基づいて比較検討しました。 それぞれのデータは、各都道府県、市町村の決算書(期間:平成 18 年 4 月 1 日~平成 19 年 3 月 31 日)から算出されたものですが、法適用外の簡易水道事業については除かれてい ます。 80 菰野町水道ビジョン 4.6 第三者委託導入に向けての検討 4.6.1 第三者委託制度 ア.概要 ① 目的 水道事業においては、大半が中小規模の水道事業者であり、本町の水道事業もこれに属 します。中小規模水道は、一般的に経営基盤が弱く、少数の職員で広範囲な分野を担当す ることが多いのが実状です。そのため、技術の継承等の新たな課題に対し、適切に対処す ることが困難であるといわれています。 平成 14 年(2002 年)に、水道事業における技術的業務、特に浄水場の運転管理等を、技術 的に信頼できる民間事業者や他の公的機関のような第三者に水道法上の責任を含め委託で きる制度(「第三者委託」)が施行されました。この第三者委託の活用により水道事業に おける技術力の強化が期待されています。 経営基盤の 管理体制の 経営基盤の 脆弱な水道事業 強化 安定した水道 ・手薄な管理体制 ・技術的に対応が限界 ・技術的に信頼できる 第三者への委託 ・充実した管理体制 ・的確な技術的対応 ・管理の広域化 図 4-32 第三者委託制度創設の背景 ② 導入が想定される事業 (社)日本水道協会では、水道事業において第三者委託を導入する場合、次のような課題 を抱える水道事業者にとって、この制度は有効な手段として活用できると考えられていま す。 a) 「団塊の世代」の大量退職問題への対応等のため、技術レベルの確保や水道に関する 専門技術者の養成・確保が困難となっている事業体。 b) 管理運営コストの削減に苦慮している場合や水道料金値上げを抑制するため、一層効 率的な維持管理が求められている事業体。 c) 市町村合併や新たな広域化(施設の維持管理の相互委託・共同委託)等にともない、 施設の再編・再構築を検討している事業体。 81 菰野町水道ビジョン 技術力を強化 経営の効率化 広域化の実施 ・一般部局との定期的な ・老朽化した施設の更新 ・隣接した水道事業者と 人事異動により、水道 にともない、減価償却 浄 水 場 等 施設 の 共 有 に関する専門技術者の 費 等 の 増 加が 収 支 を 運転を実施しており、 養成や確保が困難であ 圧迫する。 そ の 一 方 の水 道 事 業 る。 ・水道料金値上げを抑制 者 に 一 括 して そ の 管 ・技術者の大量退職によ するため、一層効率的 理 を 委 託 して い る 場 る技術の継承に不安が な 維 持 管 理が 求 め ら 合。 ある。 れる。 水道施設の運転管理等の技術的業務を、技術的に信頼できる第三者に委託 することにより、水道事業における管理体制の強化を図る。 図 4-33 第三者委託導入の契機 (社)日本水道協会の調査結果では、第三者委託制度の導入目的は、下図のとおり、「コ ストの削減」が 46%で最も高い割合で、次に「技術者の確保」26%、「施設の維持管理強化」 19%、「水質管理体制の強化」3%、「危機管理体制の強化」2%となっています。 第三者委託制度の導入目的 3% 2% 4% 19% 46% コストの削減 技術者の確保 施設の維持管理強化 水質管理体制の強化 危機管理体制の強化 その他 26% 図 4-34 第三者委託制度の導入目的((社)日本水道協会の調査結果) ※第三者委託制度を導入済み、導入予定及び検討中と回答した 151 団体の回答割合。 82 菰野町水道ビジョン また、契約先の選定にあたって特に重視したことは、「価格(入札価格)」が最も高い が、「ハード及びソフト面の技術的能力」の合計が 40%と価格を上回っており、安全性や信 頼性を重視しているものと考えられます。 契約先の選定にあたって重視した点 3% 6% 5% 35% 11% 30% 10% 価格(入札価格) ハード面の技術的能力 ソフト面の技術的能力 他団体の契約実績 契約先の事業規模 契約先の営業区域 その他 図 4-35 契約先の選定にあたって重視した点((社)日本水道協会の調査結果) ※第三者委託制度を導入済み、導入予定及び検討中と回答した 151 団体の回答割合。 ③ 第三者委託の特徴 水道事業における第三者委託は、厚生労働省によると 37 件(平成 17 年(2005 年)6 月現 在)の導入があり、次のような特徴や傾向が見られると述べています。 a) 委託対象施設 委託対象施設の選定にあたっては、委託者・受託者の責任関係を勘案し、第三者委 託の考え方に基づき一体的に管理業務を行うことができる範囲とされていますので、 浄水場を中心とした取水施設、ポンプ場、配水池等を含め一体として管理できる範囲 を委託対象施設としています。 b) 委託期間 第三者委託は新しい制度のため、導入した複数の水道事業者においても単年度契約 で今後の取り組みを検討している状況にあると推測されます。しかし、第三者委託の メリットとして考えられる受託者の創意工夫による事業効果の向上は、単年度契約で の効果は難しいと考えられ、複数年契約の 3~5 年契約とすることが望ましいと考え られます。 c) 検討体制 第三者委託は、技術上の業務を包括的に委託するものでありますので、今後の財政 措置、組織体制、人事等の観点を含めて検討する必要があります。通常、水道事業体 83 菰野町水道ビジョン 内での検討体制を構築して第三者委託の検討が行われており、また、必要に応じて外 部からアドバイザーを入れることも有効であると考えられています。 d) 委託費の積算 委託対象業務におけるこれまでの実績(経費)を基に、費用の試算が行われていま す。 【従来型委託】 【第三者委託】 付随的な業務を部分 浄水施設の中核業務を含 的に委託 め、一体的に委託 単年度契約 3~5 年の複数年契約 外部アドバイザーを 外部アドバイザーを入れる 必要としない ことが有効 実績を基に費用を試 他事業の積算要領等を参考 算 に試算することが有効 図 4-36 第三者委託の特徴 役所 4-51 を追加 写真 4-51 減圧弁は定期的に保守点検を行い適切な水圧を維持しています。 84 菰野町水道ビジョン ④ 水道法における第三者委託の概念 (a) 受託者(水道管理業務受託者)の要件 受託者となることができる者は、水道事業者もしくは水道用水供給事業者または委託さ れた業務を適正かつ確実に実施することができる者として、経理的基礎及び技術的な基礎 を有する者であることが求められます。 (b) 委託対象業務 第三者委託における委託対象業務は、水道の管理に関する技術上の業務です。すなわち、 水道技術管理者が統括する技術上の業務全体を指し、具体的には水道施設の管理(運転、保 守点検等)、水質管理、給水装置の検査等をいいます。 なお、料金設定等の水道事業の経営そのものは委託対象とはなりません。また、委託さ れた範囲では、委託者に水道法上の責任が課されます。下図は、厚生労働省の資料から作 成した「水道法における第三者委託の概念図」です。 図 4-37 水道法における第三者委託の概念図(厚生労働省資料から) 85 菰野町水道ビジョン イ. 第三者委託の法的根拠及び制度上の留意点 ① 法的根拠 水道法第 24 条の 3(業務の委託)において、「水道事業者は、政令で定めるところによ り、水道の管理に関する技術上の業務の全部または一部を他の水道事業者若しくは水道用 水供給事業者または当該業務を適正かつ確実に実施することができる者として政令で定め る要件に該当するものに委託することができる」と規定しています。 関係法令として、同法施行令第 7 条(業務の委託)~第 9 条(受託水道業務技術管理者 の資格)、同法施行規則第 17 条の 3(委託契約書の記載事項) 、同法施行規則第 17 条の 4(業 務の委託の届出)、同法第 31 条及び第 34 条第 1 項(準用)等があります。 ② 制度上の留意点-受託者の技術力評価 第三者委託は、安全で安定した水道水の供給を実施するため、受託者の選定にあたり、 委託費のみならず受託者の経理的基礎(事業を担いうるに足るだけの財政的基盤)・技術的 基礎、必要な業務遂行能力を判断しなければなりません。 しかし、中小の水道事業者において受託者の経理的・技術的基礎や必要な業務遂行能力 を有するかを評価することは大変難しいと考えられますので、第三者機関等により、適正 に評価する仕組みの検討・構築が望まれます。 また、受託者の技術力を判断する基準として、技術士や水道施設管理技士取得社員数等 を見ることも有効と思われます。 ③ 今後の課題 水道事業において技術的側面のみを委託できる「第三者委託」制度が導入されましたが、 この制度については始まったばかりで、標準的な契約条件も示されていないことから既に この制度を導入した水道事業体で想定外の問題が生じる等、運用面で確立されていないの が実状です。 中小規模水道事業における「第三者委託」は有効な手段の一つであり、本町においても 検討をしていく必要があります。 86 菰野町水道ビジョン 4.7 環境・エネルギー対策 4.7.1 環境負荷の低減-温室効果ガス対策のリサイクル等の課題 環境への負荷は、水道事業の組織の活動や取水から給水までの施設・設備の運転、施設・ 管路の建設等の工事、事業運営等が考えられます。例えば、浄水場において設備の運転に よる電力使用、浄水処理過程での薬品類の使用、自家発電による燃料の使用等があげられ ます。 環境負荷で消費するものとしては、原水、薬品類、エネルギーがあり、エネルギーは、 設備を運転する際の電力使用量が大部分を占めています。また、主な薬品類には、凝集沈 殿の際に使用する凝集剤や消毒に使用する消毒剤等があり、一方、放出するものとしては、 水道水の他、温室効果ガス(二酸化炭素(CO2)等) があります。 このなかで、特に環境に対して悪影響を及ぼすものとして、電力使用量及び温室効果ガ スが考えられますが、この軽減対策としては、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発 電、小水力発電等)の利用が有効であると考えられますが、費用対効果の面でより効果的 な対策を検討していきます。 平均温度(1995~2004) 対照 平均温度 ( 19 40 ~1 98 0) 温度偏差(℃) (1940-1980 年と 1995-2004 年平均の比較) 図4-38 地球温暖化の状況、1℃近く上昇 (出典:Wikipedia) 図 参考:地球温暖化と温室効果ガスについて 近年、大気や海洋の平均温度が上昇する「地球温暖化」が顕著になってきており、 環境に様々な悪影響を及ぼしています。地球温暖化は、二酸化炭素(CO2)等の温室効 果ガスが原因とされており、平成9年(1997年)12月に議決された京都議定書では国ごと に設定された目標に沿って、温室効果ガスを削減することを求めています。 平成2年(1990年)を基準年として、日本は6%の削減が義務づけられ、国内法も整備 されましたが達成は危ぶまれています。このままでは今後100年のうちに、3℃上昇す るといわれています。 87 菰野町水道ビジョン 4.7.2 健全な水循環系の構築-広域的連携強化の課題 本町では、水道の原水を地下水に求めていますが、近年の気候変動等のため、河川維持 水量が年々減少傾向にあり、また上流域での開発の影響で河川中に有機物が増加しており、 富栄養化が進んできています。ここ数年は水質汚染も、し尿合併処理浄化槽や下水道の普 及でやや横ばい傾向にありますが、河川の水質汚染対策が長期的観点から取り組む必要が あります。 本町は、水源保全のために、三滝川、海蔵川、朝明川を管理している三重県や近隣市町 との連携を推進します。 参考:水循環系の課題について 近年、水循環系を取り巻く問題が顕在化しています。これまでの都市への人口や 産業の集中、都市域の拡大、産業構造の変化、過疎化、高齢化等の進行、気象変化 等を背景に、平常時の河川流量の減少、湧水の枯渇、各種排水による水質汚濁、不 浸透面積の拡大による都市型水害等の問題が顕著となってきています。 このような状況の中で、健全な水循環系の再生に向けた取り組みが必要になって きました。これらの問題は、浸透機能の低下、地表水と地下水の連続性の阻害等と いった水循環系の健全性が損なわれていることに起因しており、流域全体を視野に 入れた水循環系の健全化への早急な対応が求められています。 役所4-52に差替え 写真4-52 大羽根浄水場の着水井から浄水池への流入管 88 菰野町水道ビジョン 4.8 国際貢献とその課題 国の水道ビジョンでは、水道分野における国際調和の推進として、我が国の取組につい て、国際的に情報発信し、我が国の水道の良い面を普及する施策を展開していく必要があ り、さらに、二国間、多国間の交流、平成19年(2007年)5月に作成されたアジア・ゲートウ ェイ構想に基づく取組を推進し、諸外国、国際機関と協調しつつ、我が国の優れた水道文 化、技術をさらに発展させる必要があるとし、我が国の経験を生かした諸外国の技術水準 向上への貢献が提唱されており、本町においてもこの主旨を十分理解していく必要があり ます。 参考:アジア・ゲートウェイ構想について 平成19年(2007年)アジア・ゲートウェイ構想が提唱されました。 「アジア・ゲートウ ェイ構想」は、アジア等海外の成長や活力を取り込むため、人・モノ・資金・文化・ 情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となることを目指すものです。21 世紀はアジアの時代といわれており、日本とアジアの関係も、「アジアの中の日本」 へ進化する必要があります。人口減少を迎えた日本として、スピード感を持って国を オープンにし、海外の活力を取り込むことが必要です。 役所 4-53 追加 写真 4-53 国際貢献の理解と水道の技術向上に努めています。 89 菰野町水道ビジョン 5.将来予測 90 菰野町水道ビジョン 5.将来予測 5.1 水需要予測 5.1.1 給水人口及び給水量の推移 本町は昭和38年(1963年)2月、上水道事業の創設からそれ以降逐次、給水区域拡張の推進 を行ってきました。 給水人口及び給水戸数は、過去10年間の推移をみますと微増傾向にあり、平成19年度 (2007年度)では、給水人口40,222人及び給水戸数13,280戸となっています。 給水人口、戸数及び給水量の推移 45,000 6,000 40,000 30,000 5,000 25,000 4,500 20,000 15,000 4,000 10,000 3,500 5,000 0 3,000 H10 年度 H11 H12 H13 給水人口(人) H14 H15 H16 給水戸数(戸) H17 H18 H19 年間給水量(千m3) 図5-1 菰野町における給水人口・戸数及び年間給水量の推移 表5-1 給水人口・戸数及び年間給水量の推移表 年度 給水人口(人) 給水戸数(戸) 年間給水量(千 m3) H10 37,503 11,607 5,282 H11 37,902 11,763 5,328 H12 38,389 12,057 5,253 H13 38,618 12,168 5,552 H14 38,762 12,305 5,488 H15 38,852 12,465 5,438 H16 39,190 12,679 5,476 H17 39,635 12,908 5,296 H18 39,906 13,099 5,498 H19 40,222 13,280 5,434 91 年間給水量(千m3) 給水人口(人)・給水戸数(戸) 5,500 35,000 菰野町水道ビジョン 5.1.2 給水人口の推計 ア.推計方法 将来の給水人口は、21世紀中頃を展望しつつコーホート要因法により推計します。 ここでは、「都道府県別将来推計人口-平成17年(2005年)~平成47年(2035年)-平成19 年3月推計 国立社会保障・人口問題研究所編」における三重県の将来推計データ(コーホ ート要因法)を参考として推計をしました。本町の特徴として流入人口による増加傾向に あり年平均増加数式による本町の将来人口も対比し推計計算をしました。 イ.推計結果 次図にコーホート要因法により求められた推計結果を示します。給水人口は、平成 27 年 度(2015 年度)まで増加を続けその後は微減少傾向となります。平成 32 年度(2020 年度)の 給水人口は 42,000 人となり現在より約 1,800 人増加する見込みです。 菰野町における給水人口及び推計結果 43,000 1,920,000 42,000 1,870,000 1,820,000 菰野町(人) 1,770,000 40,000 実績値 1,720,000 推計値 39,000 1,670,000 38,000 1,620,000 1,570,000 37,000 三重県人口推計(人) 41,000 1,520,000 1,470,000 35,000 1,420,000 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 36,000 菰野町給水人口(人) 三重県推計人口(人) 年度 図5-2 給水人口の実績及び推計結果 <参考>コーホート要因法及び時系列5式の推計方法とは? コーホート要因法は、男女別・5歳階級別の人口のまとまり(コーホート)の経年的な増 減の傾向を将来に延長して将来人口を推計する方法です。国連による世界人口推計、先進 諸国の推計では、コーホート要因法が採用されており、国立社会保障・人口問題研究所も この要因法で推計しています。 時系列5式の推計方法は、水道事業における人口・水量の推計を算定する場合、過去の 人口趨勢に指数関数等をあてはめる推計方法(時系列5式)の中に、べき曲線式、年平均 増加数式、年平均増加率式、ロジスティック曲線式、修正指数曲線式の5式によりそれぞ れ計算し、相関係数の高い数値式及び実績の動態を勘案し妥当な数値を採用しています。 (水道施設設計指針2000) 92 菰野町水道ビジョン 表5-2 本町における給水人口の実績及び推計(三重県推計人口と対比)結果表 年度 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 給水人口(人) 菰野町 実績値 菰野町 推計値 37,503 37,902 38,389 38,618 38,762 38,852 39,190 39,635 39,906 40,222 40,360 40,500 41,180 41,320 41,460 41,600 41,790 41,930 42,080 42,060 42,040 42,020 42,000 三重県推計人口(人) 1,867,000 1,854,000 1,823,000 1,779,000 参考までに、明治のはじめから21世紀までの実績値と将来推計を示します。 図5-3 わが国の人口推移-明治期から21世紀(出典:国立社会保障・人口問題研究所) 93 菰野町水道ビジョン 5.1.3 一人一日給水量の実績及び推計結果 本町における一人一日給水量は、過去の実績値には、年度によりばらつきがあるものの、 将来の推計では、節水意識の定着や水道施設の漏水防止策等の推進により、ほぼ現状で推 移すると推定されます。次図及び次表は、本町における一人一日給水量の実績と推計結果 です。 菰野町における一人一日給水量の実績と推計結果 600 H20 最大給水量:445L/人・日 500 一人一日給水量 H32 最大給水量:494L/人・日 400 300 実績値 推計値 200 H20 平均給水量:389L/人・日 100 H32 平均給水量:395L/人・日 0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 年度 一人一日平均給水量 (L/人・日) 一人一日最大給水量 (L/人・日) 図5-4 菰野町における一人一日給水量の実績と推計結果 写真5-1 漏水修理時間の短縮に効果的なパイププロテクター 94 菰野町水道ビジョン 表5-3 本町における一人一日給水量の実績と推計結果表 年度 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 一人一日最大給水量 (L/人・日) 440 416 455 455 469 446 462 445 407 430 445 460 475 491 491 491 491 492 492 492 493 493 494 一人一日平均給水量 (L/人・日) 359 365 361 382 377 378 381 365 377 380 389 394 393 393 393 393 392 393 393 393 394 394 395 備考 実績値 推計値 参考までに、平成18年度(2006年度)における近隣市水道事業体との比較グラフを示します。 本町の一人一日最大給水量は、近隣市よりやや低いことが分かります。 最大給水量及び平均給水量 600 540 459 500 400 407 377 460 451 371 365 419 358 300 200 100 0 菰野町 いなべ市 亀山市 類似団体 近隣水道事業体 1人1日最大給水量 (L/人・日) 1人1日平均給水量 (L/人・日) 図5-5 一人一日最大給水量及び一人一日平均給水量の比較 (出典:平成18年度地方公営企業年鑑、水道事業) 95 全国平均 菰野町水道ビジョン 5.1.4 給水量の推計 給水量は用途別水量(生活用水、業務営業用水、工場用水、その他)及び有収率、有効 率、負荷率に分けて、次図に示す方法でそれぞれ推計しました。 計画給水人口の決定 生活用水の決定 時系列分析 重回帰分析 生活原単位の実績 業務営業用水の決定 時系列分析 平均値 業務・営業用水の実績 工業用水の決定 平均値 工場用水の実績 その他用水の決定 平均値 その他用水の実績 有収率の決定 目標値 有収率の実績 有 収 水 量 の 決 定 日 平 均 給 水 量 の 決 定 日 最 大 給 水 量 の 決 定 有 効 水 量 の 決 定 有効率の決定 有効率の実績 目標値 負荷率の実績 負荷率の決定 平均値 図5-6 給水量推計のフローシート (給水量、m3/日) 給水量の推計結果は、次図のとおりです。 25,000 25,000 20,000 20,000 15,000 15,000 10,000 10,000 5,000 5,000 0 0 H20 H21 H22 H23 H24 一日最大給水量 (高位、m3/日) H25 H26 一日平均給水量 (高位、m3/日) H27 一日最大給水量 (低位、m3/日) H28 H29 H30 H31 H32 一日平均給水量 (低位、m3/日) 図5-7 一日最大給水量(高位・低位)及び一日平均給水量(高位・低位)の推計 96 菰野町水道ビジョン なお、一日最大給水量(高位及び低位)及び一日平均給水量(高位及び低位)の推計結 果は次のとおりです。生活用水は節水意識の向上により少し減少しますが、人口増加のた めに一日最大給水量及び一日平均給水量は増加します。 表5-4 一日最大給水量(高位及び低位)及び一日平均給水量(高位及び低位)推計表 一日最大給水量 一日平均給水量 一日最大給水量 一日平均給水量 (高位、m3/日) (高位、m3/日) (低位、m3/日) (低位、m3/日) H20 19,519 15,615 17,960 15,683 H21 19,696 15,757 18,630 15,953 H22 19,854 15,883 19,561 16,180 H23 19,993 15,994 20,296 16,237 H24 20,129 16,103 20,361 16,289 H25 20,256 16,205 20,424 16,339 H26 20,393 16,314 20,500 16,400 H27 20,573 16,458 20,614 16,491 H28 20,758 16,606 20,690 16,552 H29 20,851 16,681 20,680 16,544 H30 21,003 16,802 20,726 16,581 H31 21,091 16,873 20,709 16,567 H32 21,200 16,990 20,750 16,600 年度 <参考>給水量の高位予測と低位予測について 高位予測:・業務営業用の新規開発にともなう需要増加にともなう水量増加を加算します。 ・負荷率は過去10年間の最低値を採用します。 低位予測:・一人当たりの生活用水は節水型機器の普及により減少しますが、人口の増加 によって給水量は多くなります。 97 菰野町水道ビジョン 6.今後の目指すべ き方向 98 菰野町水道ビジョン 6.今後の目指すべき方向 6.1 基本理念 「誇れる水を 次の世代へ」 第四次菰野町総合計画の理念「夢・ときめき・新しい時代を紡ぐこころの都市・菰野」 より水道事業では将来にわたって良質な水の安定供給を目指すことから、菰野町水道ビジ ョンでは「誇れる水を 次の世代へ」を基本理念といたしました。 これまで長年にわたり、安全でおいしい水道を安定的に供給する体制を築き上げてきま した。次代への継承としまして、このような快適な生活環境を持続していくために、現在 の財務体質や経営実態を明らかにして経営基盤を安定させていかなければなりません。 さらに、更新時期を迎えようとしている水道施設については、より耐震性に優れた施設 を整備し、施設の効率化、災害対策、漏水防止等を図り、総合的な水道施設改善に取り組 む必要があります。 近年、地球温暖化等で身近なテーマになっている地球環境に配慮し、持続可能な社会の 実現のために水道事業は健全な水循環を保全する責務があり、省エネルギー対策や地球温 暖化対策等についても積極的に貢献していかなければなりません。 本町水道課としては、国の水道ビジョンのキーワードである「安心」、「安定」、「持続」、 「環境」、「国際」を勘案して、基本理念「誇れる水を 次の世代へ」をもって将来につなが る事業運営を行っていきます。 <水道ビジョンの目標フレーム> ¾ 計画期間は、21世紀中頃を展望しつつ平成21年度(2009年度)から平成32年度 (2020年度)の12年間とします。その期間を、前期(4年)、中期(4年)、後期 (4年)とします。 ¾ 行政区域内人口は、平成19年度(2007年度)の実績として40,550人ですが、平 成32年度(2020年度)では約42,000人となることが予想されます。 ¾ 給水人口は、平成19年度(2007年度)の実績として40,222人ですが、平成32年 度(2020年度)では約42,000人と予想されます。 ¾ 一日最大給水量は、平成19年度(2007年度)の実績として16,823 m3/日ですが、 目標年度である平成32年度(2020年度)では20,750m3/日と推計します。 99 菰野町水道ビジョン 6.2 水道のあるべき姿 清浄にして豊富低廉な水の供給 水道法第 1 条の目的では「この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめ るとともに、水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成することによって、清浄に して豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与するこ とを目的とする」(抜粋)となっています。 本町におきまして、水道を取り巻く社会の潮流に対応できる水道を構築していくために、 この清浄にして豊富低廉な水の供給の実現とサービス水準の向上をあるべき姿とし、その 将来像のイメージは次図のとおりです。 将来像のイメージ サ (あるべき姿) ー ビ ス 水 後期 (当面の目標水準) 中期 準 あるべき姿から フィードバック 前期 時間 水道ビジョン設定期間(12年間) 現状 4年後 8年後 12年後 50年後 全施設が更新対象 更新対象の重点化 重要度・優先度 浄水場・管路施設の改善・更新等 小規模施設の統廃合 配水ブロック化等 図 6-1 将来像のイメージ 100 菰野町水道ビジョン そして、基本理念「誇れる水を 次の世代へ」を目指し、次の5つの基本方針を掲げ、総 合的な視野に立ってそれぞれの施策を推進します。 1.安心:「安心して飲める水道」 国の水道ビジョンの安心のキーワード「安心・快適な給水の確保」において、1)原水から給水 までの統合的考え方による水道水質の向上、2)未規制施設等小規模な施設の管理充実等に取り組 みます。 2.安定:「災害につよい水道」 国の水道ビジョンの安定のキーワードである「災害対策等の充実」において、1)地震・渇水対 策、2)水道システムの適正化等を目指して取り組みます。 3.持続:「健全経営を目指す水道」 国の水道ビジョンの持続のキーワードである「水道の運営基盤の強化」において、1)公営企業 としての財務体質強化、2)多様な連携の活用による運営形態の最適化等に取り組みます。 4.環境:「環境にやさしい水道」 国の水道ビジョンの環境のキーワードである「環境負荷の低減」において、1)省エネルギー機 器の導入等に取り組みます。 5.国際:「国際交流に貢献する水道」 国の水道ビジョンの国際のキーワードである「国際化の推進」について理解を深めていきます。 水道のあるべき姿 清浄にして豊富低廉な水の供給 誇れる水を 次の世代へ 基本方針 1. 安心:安心して飲める水道 2. 安定:災害につよい水道 3. 持続:健全経営を目指す水道 4. 環境:環境にやさしい水道 5. 国際:国際交流に貢献する水道 お客様 図 6-2 水道のあるべき姿、基本方針等の概念図 101 菰野町水道ビジョン 6.3 基本方針 本町は、次の5つの基本方針を掲げます。 5つの基本方針 1.安心:安心して飲める水道 2.安定:災害につよい水道 3.持続:健全経営を目指す水道 4.環境:環境にやさしい水道 5.国際:国際交流に貢献する水道 <参考> 国の水道ビジョンと菰野町水道ビジョンの目標と施策の階層関係は、次図のとおりです。 国 の 水 道 ビ ジ ョ ン 目 施 標 安心、安定、持続 環境、国際 策 方策(例) (1)安心:安心しておいしく飲める水道水の供給 (2)安定:どこでも安定的に生活用水の確保 (3)持続:地域特性にあった運営基盤の強化 (4)環境:環境・エネルギー対策の強化 (5)国際:国際協力等国際貢献 菰野町水道ビジョン 菰 野 町 基 本理 念 あるべき姿 目 標 図 6-3 目標と施策の階層関係 102 施 策 方策(例) 菰野町水道ビジョン 6.4 基本施策の考え方(PDCA サイクル) 目標達成のための基本方針を実現していくために基本施策(実現方策)をリストアップ し、優先度、実行可能性等の面から年次スケジュールを検討します。なお、ここでの実現 方策とは、今後必要となる調査検討スケジュールのことであって、施設整備の諸元を決定 するものではありません。 また、ビジョンの推進方策として次図の事業の PDCA サイクル(※1)のとおり、そのフォロ ーアップ方法(進捗管理)、見直しの時期等も提案します。 事業への 反映 計画の策定(Plan) ・ビジョン、目標の設定 ・基本計画の策定 短期・中期計画 及び実施計画 事業の推進(Do) ・進捗状況の管理 改善の検討(Action) ・未達成目標の対処 ・新たなニーズの把握 PDCAサイクル 《持続》 情報開示・説明責任 情報の収集 目標達成状況の確認(Check) 実施成果の ・事後評価 ・顧客満足度の把握 整理 図 6-4 事業の PDCA サイクル ※1:PDCA サイクル(PDCA cycle / plan-do-check-action cycle)について これは、基本的なマネジメントサイクルの 1 つで、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、 改善(action)のプロセスを順に実施します。最後の action では check の結果から最初の plan を継続(定着)・修正・破棄のいずれかとして、次回の plan に結び付けます。このプ ロセスによって品質の維持・向上及び継続的な業務改善活動を推進するマネジメント手法 が PDCA サイクルです。 1950 年代、品質管理の父といわれる W・エドワード・デミング(Dr. William Edwards Deming) 博士が、生産プロセス(業務プロセス)の中で改良や改善を必要とする部分を特定・変更 できるようプロセスを測定・分析し、それを継続的に行うために改善プロセスが連続的な フィードバックループとなるように提案しました。このためデミングサイクル(Deming cycle)とも呼ばれています。 (出典:@IT 情報マネジメント用語事典) 103 菰野町水道ビジョン 6.5 基本方針に対応する整備計画 水道行政は、激動の時代を迎えています。水道事業が将来にわたって持続するためには、 「基本理念」 「水道のあるべき姿」を踏まえて、本町の基本方針を明確にする必要がありま す。 1 安心:安心して飲める水道 お客様に安心しておいしく飲める水道を利用していただくために、水道の運 営基盤を強化する施策を行います。そのために、給水区域を見直し、統合化計 画を策定し推進します。水道水質の向上を図るとともに、施設の管理・運営を 充実します。 1.簡易水道事業の上水道事業への統合(切畑・湯の山簡易水道) 2.未普及区域の整備(根の平・杉谷地区) 3.水質検査計画書の再評価 2 安定:災害につよい水道 災害に強い水道施設の整備を図るために、老朽化施設を更新し施設の再構築 をするとともに、本町の地域防災計画に基づき、 「緊急時における供給体制の確 保」の施策において、地震・渇水対策を重点施策として、浄水場・配水池等の 基幹施設・基幹管路の耐震化計画、適正な維持管理等を推進します。 1.災害時給水拠点対策(緊急遮断弁設置) 2.基幹施設の更新・耐震化補強事業 3.基幹管路の経年管更新 104 菰野町水道ビジョン 3 持続:健全経営を目指す水道 水道事業の安定的、効率的な運営を実現するためには、安定した事業経営 の持続が不可欠です。そのために水道料金の見直し等水道事業経営の健全化 を図ります。また、パンフレットの作成、ホームページ・広報等を積極的に 活用し水道の利用拡大に向けたPRを充実します。 1.公営企業としての財務体質強化 2.安定した事業経営のための水道料金の見直し 3.第三者委託の検討 4.情報開示・PR の推進 4 環境:環境にやさしい水道 地球温暖化対策が 21 世紀の最大のテーマです。本町水道事業においては、 機器の更新・浄水処理方式の決定等にあたり、省エネルギー機器の導入や環境 負荷の低減に努めます。 1.省エネルギー機器・システムの積極的利用 2.太陽光発電等自然エネルギーの利用の検討 5 国際:国際交流に貢献する水道 国の国際協力等を通した水道分野の国際貢献の推進への理解を深めます。 105 菰野町水道ビジョン 6.6 整備事業の年次計画 ¾ 弾力性のある水道事業経営を推進し、効率的に運営するためにふさわしい水道ビ ジョンを年次計画により策定します。 水道ビジョンの年次計画によって前期 4 年間の平成 21 年度(2009 年度)~平成 24 年度 (2012 年度)、中期 4 年間の平成 25 年度(2013 年度)~平成 28 年度(2016 年度)及び後期 4 年 間の平成 29 年度(2017 年度)~平成 32 年度(2020 年度)に分割し、優先順位を決め、財政 計画に見合うように安定した給水の確保のため事業を実施します。なお、毎年財政計画と 整合性をとりながら見直しを行い、財源の効率的運用を図ります。 <前期;平成 21 年度(2009 年度)~平成 24 年度(2012 年度)の 4 年間> ・ 未普及区域解消事業(根の平・杉谷) ・ 県営水道(長良川水系)受水事業 ・ 簡易水道統合事業(切畑) ・ 水源補強事業(大羽根第1号水源更新) <中期;平成 25 年度(2013 年度)~平成 28 年度(2016 年度)の 4 年間> ・ 未普及区域解消事業(鈴鹿台) ・ 簡易水道統合事業(湯の山) ・ 水源補強事業(大羽根第5号水源) ・ 緊急遮断弁設置事業(江野配水池) ・ 配水池耐震補強事業 ・ 浄水場・ポンプ場耐震補強事業 <後期;平成 29 年度(2017 年度)~平成 32 年度(2020 年度)の 4 年間> ・ 緊急遮断弁設置事業(片倉・田光配水池) ・ 配水池耐震補強事業 ・ 浄水場・ポンプ場耐震補強事業 ・ 経年管更新事業 注1) 未普及区域解消事業は、前期、中期にわたり、簡易水道統合事業とともに計画的に 実施します。 注2) 緊急遮断弁設置事業と配水池耐震補強事業、浄水場・ポンプ場の耐震補強事業は、 中期、後期にわたり計画的に実施します。 106 菰野町水道ビジョン 基本計画における年次区分 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 前期 中期 後期 期区分 平成年度 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 西暦年度 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 写真 6-2 を移動 写真 6-1 大羽根浄水場 自家用発電機 107 菰野町水道ビジョン 6.7 各事業区分による主な具体的実施計画 6.7.1 安心:安心して飲める水道 ア.事業計画の目的 ¾ 今回の水道ビジョン策定により、水道施設全般を見直し、安心、安定、持続ができ る水道施設の整備計画を樹立し、水道事業の健全化と効率化を推進します。 ・ 本町では上水道給水区域及び簡易水道事業 2 箇所を上水道給水区域として1つの 上水道区域に一元化します。 菰野町水道施設位置図(計画) 田口配水池 田口浄水場 田口送水ポンプ場 切畑配水池 鈴鹿台高区配水池 鈴鹿台高区送水ポンプ場 鈴鹿台低区配水池 草里野配水池 草里野送配水ポンプ場 菰野町上水道 潤田浄水場 三重県勤労福祉センター専用水道 湯の山簡易水道 江野高区送水ポンプ場 江野配水池 江野高区配水池 山岳寺配水池 湯の山水源 湯の山浄水場 湯の山配水池 湯の山配水ポンプ場 茶屋の上配水池 片倉配水池 片倉送配水ポンプ場 大羽根浄水場 菰野町厚生病院専用水道 菰野町聖十字の家専用水道 火除野配水ポンプ場 図 6-5 菰野町水道施設位置図(計画:平成 20 年 3 月変更認可区域) 108 菰野町水道ビジョン イ.未規制施設等小規模な施設の管理充実 ¾ 貯水槽水道の管理について、施設の管理者や所有者に対して適切な指導を行い ます。 ¾ お客様に安全な飲料水の確保について、衛生面での指導を行います。 本町は、貯水槽水道の維持管理に関する指導を含めて、お客様全体の安全を確保するた めに、安全な飲料水の確保について PR を実施するとともに、適切な水質指導等を行います。 写真 6-3 を移動 写真 6-2 菰野町庁舎全景 109 菰野町水道ビジョン ウ.水質検査計画の策定 ¾ 安心しておいしく飲める水道・どこでも安定的に確保できる水道を目指して、国 の水道水質基準に則って本町にふさわしい水質検査計画を策定し、再評価を行い ます。 ・ 末端の蛇口の水質検査は、定期的に行う検査(毎日、毎月検査等)を継続します。 ・ 検査項目は次のとおりです。 ① 水道法で検査が義務づけられている水質基準項目(水質検査計画に基づく) ② 水源の異常、大規模な工事及び事故により汚染された場合またはその他特に必 要があると認められた場合は臨時の水質検査を行います。 図 6-6 水質検査計画のスキーム概念図(出典:厚生労働省) 110 菰野町水道ビジョン 6.7.2 安定:災害につよい水道 ア.配水ブロック間の水融通の検討 ¾ 被災時は水質事故等に備えて配水ブロック間の水融通を図ることは、水運用の安 定性及び柔軟性と危機対応力を高めるために重要です。 本町は、鈴鹿山脈側の西方が高台となり、東方の四日市市に向かい扇状の段丘となって おり、片倉配水系統及び江野配水系統と田光配水系統は、それぞれに配水幹線が接続され 非常時における各配水系統間の水融通は可能であることから、あらかじめ非常時に備え仕 切弁開閉のシミュレーションを行うなど、断水被害の低減を図る水融通の準備を行います。 役所 6-3 を追加 写真 6-3 マッピングシステム 111 菰野町水道ビジョン イ.水道施設・管路施設の耐震化 ① 主要構造物の耐震化・システム全体の耐震機能の向上 ¾ 主要な構造物は耐震診断を行い、診断結果に基づいて補強対策や更新を実施し 耐震性能の向上に努めます。 ¾ 基幹管路の耐震性を強化するために、口径 150mm 以上の配水管について、耐震 性の高い管種(例えば、ダクタイル鋳鉄管(NS型)、ポリエチレン管等)を 採用します。 ¾ 水道システム全体として耐震機能を向上します。 ・ 新耐震指針の平成 9 年(1997 年)以前に築造された取水・導水・浄水・送水施設や 配水池等については、計画的に調査を実施し耐震化に努めます。 ・ 阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や新潟県中越地震等の経験によれば、震災 直後からの時間の経過に伴って水道に対するお客様の要望は変化します。従って、 飲料水の確保だけでなく、トイレ用水・洗濯用水・風呂用水を供給していくため にも水道システム全体の耐震機能の向上を図る必要があります。 ・ 応急給水目標は震災後の水使用の増加を考慮して、次表のとおり応急給水の目標 設定とします。 表 6-1 応急給水の目標設定 地震発生からの 目標水量 日数 地震発生~ 3L/人・日 3 日まで お客様への水の 運搬距離 主な給水方法 概ね 1km 以内 耐震貯水槽、タンク車 10 日 20L/人・日 概ね 250m 以内 配水幹線付近の仮設給水 栓 21 日 100L/人・日 概ね 100m 以内 配水支線上の仮設給水栓 被災前給水量 仮配管からの各戸給水 概ね 100m 以内 (約 250L/人・日) 共用栓 (出典:厚生労働省、「水道の耐震化計画等策定指針」、平成 20 年 3 月) 28 日 <参考> 厚生労働省は平成 19 年(2007 年)9 月 4 日、「水道施設の耐震化に関する検討会」におい て構造物を重要な施設(浄水施設、配水本管に直接接続する配水施設や大容量の配水池等) とそれ以外の施設に整理し、それぞれレベル1、2地震動に対して備えるべき耐震性能を 定めました。省令が平成 20 年(2008 年)4 月 8 日に改正され、平成 20 年(2008 年)10 月 1 日 に施行されます。(出典:厚生労働省) 112 菰野町水道ビジョン ② 緊急遮断弁の設置 ¾ 全配水区域の基幹配水池 5 箇所のうち、3 箇所に緊急遮断弁を計画中期以降に順 次施工します。 ・ 緊急遮断弁を設置する配水池は 3 箇所で、その容量の合計は最大 9,220m3 であり、 計画の中期以降に設置します。 ・ 緊急遮断弁には、地震計による震度を感知して制御する方式と過流量を感知して 制御する方式があり、施設の重要度、利便性、消火活動の必要性等を考慮して選 定または併用します。 必要貯水量(期間:10 日間)の目標を次のように設定します。 <根拠> ・ 必要水量 震災発生~3 日間 3L/人・日×1/1,000×42,000 人×3 日 ≒ 380 m3 震災後 4~10 日間 20 L/人・日×1/1,000×42,000 人×7 日 ≒ 5,880 m3 6,260 m3 計 ・ 貯水量 配水池 3 箇所 9,220m3 = 9,220 m3 必要水量 6,260 m3 に対して、貯水量 9,220 m3 を確保することになります。 配水池 緊急遮断弁 図 6-7 緊急遮断弁の設置概念図(配水池近辺の配管に設置します。) 113 菰野町水道ビジョン ウ.危機管理体制の強化 ① 地域防災計画に基づく水道危機管理体制の整備 ② 災害時対策・水質汚染事故対策等の体制強化 ¾ 浄水場及び配水池において緊急時の給水拠点として整備します。 ¾ 危機管理マニュアルを充実させ、体制強化を図ります。 ・ 今後関係機関と協議し大規模災害を想定した他の自治体との定期的な防災訓練に ついても検討します。 ・ 応急給水栓からの給水訓練や配水管の漏水修理に関する訓練を、毎年計画的に実 施します。 ・ 非常時に対応するため、マニュアルを見直しするとともに、現実的な実施訓練の 充実に努めます。 ・ 近隣の事業体との水道震災対策相互応援協定により、今後も応援体制の強化に努 めます。 ・ (社)日本水道協会を通じて中部圏以外の地域からの応援体制の強化を進めます。 ・ 本町指定給水設備業者団体との連携や、災害時における応急給水活動の強化に努 めます。 役所 6-4 を追加 写真 6-4 応急給水用ポリタンク 114 菰野町水道ビジョン <給水拠点について> 給水拠点の位置図は、次図のとおりです。 菰野町給水拠点位置図 田口配水池 田口浄水場 田光配水池 (緊急遮断弁) 草里野配水池 菰野町上水道 潤田浄水場 江野配水池 (緊急遮断弁) 湯の山簡易水道 山岳寺配水池 江野高区配水池 大羽根浄水場 潜戸配水池 湯の山配水池 片倉配水池 (緊急遮断弁) 茶屋の上配水池 図 6-8 菰野町における給水拠点位置図(計画) 役所 6-5 追加 写真 6-5 大羽根浄水場での応急給水訓練(平成 20 年度防災訓練より) 115 菰野町水道ビジョン ③ 管網のバックアップ対策 ¾ 配水ブロックの見直しを行うとともに、配水ブロック間の連絡管を整備し安定給 水を図ります。 ・ 給水区域は下表の主要な配水ブロックに区分されており、配水ブロックの統廃合 を含め、管網整備を進めて行くとともに、配水管の水融通及びバックアップ連絡 管等の整備を進めます。 表 6-2 町内の主要な配水系統及び給水量 計画一日 区分 配水系統名 最大給水量 備考 (m3/日) 1.片倉配水系統 大羽根 潤田 7,340 2.茶屋の上配水系統 80 3.火除野配水系統 20 4.江野配水系統 8,000 5.江野高区配水系統 1,100 6.草里野配水系統 田光 田口 30 7.田光配水系統 2,500 8.切畑配水系統 225 計画 9.鈴鹿台低区配水系統 103 計画 10.鈴鹿台高区配水系統 122 計画 11.田口配水系統 1,230 計 20,750 116 菰野町水道ビジョン <水道施設の水位高低について> 菰野町の配水区域における水道施設の水位高低図は、次のとおりです。 大羽根水源系統(既設) 公称能力 Q=8,350 /日 着水井・塩素混和池 V=60 茶屋の上配水池 V=100 片倉配水池 V=2,000 V=3,000 管理本館 A=288㎡ 送水ポンプ Q=10,000 /日 片倉送配水ポンプ場 A=20㎡ Q=180 /日 HWL+201. 50 GL+200. 00 HWL+158. 50 浄水池 V=500 火除野配水ポンプ場 Q=735 /日 +202. 30 P LWL+199. 00 P FL+198. 50 φ100 P HWL+97. 10 P P LWL+151. 50 GL+96. 50 HWL+96. 30 P P φ150~φ100 φ200~φ300 φ350 φ150 φ400 φ600 LWL+93. 30 深井戸(既設) φ600 潤田水源系統(既設) 着水井・塩素混和池・浄水池 V=520 φ1500×深14. 0m P HWL+194. 60 江野高区送水ポンプ場 A=48㎡ Q=1,800 /日 江野配水池 V=3,770 H φ26. 2×7. 0 = 管理本館 A=1,170㎡ 送水ポンプ Q=9,000 /日 HWL+249. 00 HWL+162. 50 草里野送配水ポンプ場 A=48㎡ Q=150 /日 LWL+240. 00 +93. 30 HWL+92. 70 FL+90. 90 P GL+90. 40 LWL+155. 50 P LWL+89. 70 P GL+155. 50 50 φ1 P FL+155. 65 GL+155. 50 φ75 GL+240. 00 φ200 GL+92. 70 φ200~φ300 HWL+122. 00 LWL+120. 00 P φ350 +88. 40 LWL+192. 10 φ7 5 公称能力 Q=8,400 /日 PWL+58. 52~+35. 5 浅井戸(既設) φ250 第1号~5号取水井 第11号取水井 草里野配水池 V=50 江野高区配水池 V=1,000 NWL+75. 5~+70. 8 φ400・φ350×深300~200m P FL +119. 50 φ600 深井戸(既設) NWL+70. 0~+60. 0 φ350×深250~200m 鈴鹿台高区配水池(計画) V=135m3 φ400 第6号~10号取水井 HWL+285. 00 PWL+55. 0~+45. 0 深井戸(既設) φ350×深200m 第13号取水井 P LWL+282. 00 GL+216. 00 φ7 5 φ1 50 切畑配水池(計画) V=239. 4m3 3 〔県水・長良水系受水 700 m /日〕 HWL+244. 00 鈴鹿台高区送水ポンプ場(計画) 鈴鹿台低区配水池(計画) V=126m3 A=50㎡ Q=128 /日 LWL+241. 00 GL+240. 00 HWL+218. 80 P P LWL+216. 00 φ150 φ150 φ2 00 φ100 φ100 GL+216. 00 田光配水池 2,600 〔県水三重用水受水 /日〕 V=2,450 φ10 0 HWL+179. 00 GL+174. 25 LWL+173. 10 (県水)水沢浄水場系 2600 県水・三重用水系受水 /日 φ250 (県水)山村浄水場系 県水・長良水系受水 700 φ150 (計画) /日 φ350 ~ φ75 田口水源系統(既設) 公称能力 Q=700 /日 急速濾過機φ1. 9m Q=770 /日 送水ポンプ室 A=74. 5㎡ 送水ポンプ Q=700 /日 浄水池 V=98 濾過ポンプ Q=770 /日 着水井・塩素混和池・沈殿池 V=97 HWL+146. 00 φ200 田口送水ポンプ場(福王カントリー用) A=15. 7㎡ Q=140 /日 田口配水池 V=180 V=510 HWL+114. 30 LWL+111. 80 P P φ100 +113. 10 φ100~φ150 HWL +112. 60 HWL+114. 90 GL+110. 10 φ150 深井戸 +110. 40 P P φ150 LWL+110. 90 GL+140. 00 LWL+140. 60 +110. 10 P φ150 φ200 NWL+82. 1~+66. 0 φ250×深270~180m 第1号~3号取水井 PWL+65. 9~+56. 0 P 図 6-9 菰野町給水区域における水道施設の水位高低図 117 P +110. 30 φ150 φ200~φ100 菰野町水道ビジョン エ.配水池の整備 ¾ 配水池容量は、水道施設設計指針に示されている一日最大給水量の 12 時間以上 の貯留時間を確保します。 配水池容量については、現在、14,379m3(全容量)であり、計画給水量21,840m3/日に対 して全体では15.8時間分の容量を有しています。配水池別に容量をみた場合、12時間以下 の配水池が1箇所であり、12箇所の配水池は12時間以上の所定の容量を確保している状況と なっています。 今後も適切な貯留時間を確保できるよう施設整備や配水系統の見直しを行います。 表6-3 配水池別貯留時間 項目 大羽根 潤田 片倉第 1・2 号配水池 田口 湯の山 3 (m ) 池数 (池) 給水量 3 (m /日) 貯留時間 (時間) 備考 5,000 2 7,340 15.7 消火水量 200 ㎥ 100 1 100 16.7 消火水量 30 ㎥ 江野配水池 3,770 1 8,000 10.7 消火水量 200 ㎥ 江野高区配水池 1,000 1 1,100 19.6 消火水量 100 ㎥ 50 1 30 16.0 消火水量 30 ㎥ 田光配水池 2,450 1 2,500 21.6 消火水量 200 ㎥ 切畑配水池 239 1 225 18.0 計画 鈴鹿台低区配水池 126 1 103 22.0 計画 鈴鹿台高区配水池 135 1 122 20.0 計画 田口配水池 690 2 1,230 12.5 消火水量 30 ㎥ 湯の山配水池 526 1 800 12.8 消火水量 100 ㎥ 山岳寺配水池 206 1 200 21.7 消火水量 30 ㎥ 79 1 90 13.1 消火水量 30 ㎥ 14,371 15 21,840 15.8 茶屋の上配水池 草里野配水池 田光 配水池容量 潜戸配水池 計 118 菰野町水道ビジョン <主要水道施設について> 本町における浄水場・配水池及び送水・配水ポンプ場の位置図は、次のとおりです。 菰野町主要水道施設位置図(計画) 田口配水池 田口浄水場 田口送水ポンプ場 切畑配水池 田光配水池 鈴鹿台高区配水池 鈴鹿台高区送水ポンプ場 鈴鹿台低区配水池 草里野配水池 草里野送配水ポンプ場 菰野町上水道 潤田浄水場 三重県勤労福祉センター専用水道 江野高区送水ポンプ場 江野配水池 湯の山簡易水道 山岳寺配水池 湯の山水源 湯の山浄水場 江野高区配水池 大羽根浄水場 潜戸配水池 湯の山配水池 湯の山配水ポンプ場 茶屋の上配水池 片倉配水池 片倉送配水ポンプ場 火除野配水ポンプ場 図 6-10 主要水道施設の位置図(計画) 119 菰野町厚生病院専用水道 菰野町聖十字の家専用水道 菰野町水道ビジョン オ.安定給水の確保 ¾ 経年施設及び経年管路を計画的に更新していきます。 ¾ 送水・配水施設に関しましては、定期的に点検・修理を行い、経年化した施設 や機能の低下した施設を計画的に更新します。 ¾ 配水管路に関しましては、経年化と耐震化を考慮し、優先順位によって布設替 えを行います。 ・ ポンプ、電動バルブ、計装設備等は、定期的に点検・修理を行い、耐用年数を経 過した設備については計画的に更新していきます。 ・ 管路更新については、影響度評価、耐震性評価、他事業との関連を総合的に判断 して優先度を検討していきます。 ・ 水道管は埋設されている場所の土質・埋設状況等が良好な場合、一般的な耐用年 数経過後も支障なく機能を果たしていることから、経年管路については布設年度 だけではなく管体調査や土質調査を実施することにより、現在の管路状態を把握 し、必要性、緊急性、優先度を考慮しながら計画的に布設替えを行っていきます。 水道事業の管路 更新計画 (管路機能低下の態様別分類) 破損等 基 機能評価 礎 影響度評価 調 査 耐震性評価 重点施策 基 基本目標 本 計 事業費、計画 画 期間、更新管 路等の決定 赤水 出水不良 更新対象管路 総合的更新優先度 優先的な更新対象管路 管路整備計画 震災対策、管網整備、 水質管理、直結給水範 囲の拡大など その他の計画 街路整備計画、他企業 関連工事など 更新管路(実施計画) 財政計画 図 6-11 管路の総合的更新優先度(出典:水道維持管理指針 1993、日本水道協会) 120 菰野町水道ビジョン カ.遠方監視システムの充実 ¾ 遠方監視システムにより安全管理を行っています。さらに高度化、複雑化する施 設を総合的な視点から安定的かつ合理的な運営を目指します。 本町におきましては、既に遠方監視システムを菰野町庁舎に設置し、庁舎内で主要施設 の遠方監視ができる体制が整っています。将来必要に応じて更新・補強等を行いさらなる 管理体制の充実を図ります。 写真 6-6 遠方監視室ミニグラフィック盤 写真 6-7 遠方監視モニター各計測トレンドグラフ 121 菰野町水道ビジョン キ.GIS(地理情報システム)による水道管路図の整備危機管理体制の強化 ¾ 断水解析等を目指して、緊急時における断水区域の管路被害を想定したシミュレ ーション訓練を行い、早期復旧体制等の確立に努めます。 ¾ 管理体制の充実化を目指して、全町の GIS(地理情報システム)を活用した管理 体制の強化を図ります。 ・ 各種管路被害を想定したシミュレーションソフトを整備していくとともに、実践 に即した取り組みを進めます。 ・ 給水区域ブロック等を検討し、効率的な管網の構築に活用します。 <メモ> GIS とは、地理情報システム(Geographic Information Systems)の略称。 文字や数字、画像等を地図と結びつけて、コンピュータ上に再現し、位置や場所 からさまざまな情報を統合したり、分析したり、分かりやすく地図表現したりする ことができる仕組みです。 水道は日常生活には必要不可欠であり、災害時や漏水等の異常事態時にも即座に 対応できる管理体制が必要です。 管路は、度重なる拡張工事や日々の新設・更新等 によってデータが大規模化し、 従来の紙図面、紙台帳では管理が難しく、需要者からの対応等に時間がかかります。 それらを解消するためにデータを全てデジタル化し、GIS(地理情報システム)を用 いて一元管理を行う迅速高度な施設管理システムが必要になってきます。 図 6-12 実社会と GIS の概念図(出典:財団法人日本建設情報総合センター) 122 菰野町水道ビジョン 6.7.3 持続:健全経営を目指す水道 ア.水道事業経営の健全化と効率化の推進 ¾ 本町の水道料金体系は、口径別及び使用水量別方式を採用しており、湯の山・ 切畑簡易水道も含め段階的に全区域の統一化を検討していきます。 ・ 料金原価の算定基礎としては、 「日本水道協会の水道料金制度調査会答申」(平成 8 年(1996 年)8 月)において公表された総括原価方式を目指すこととしますが、 ここで算入が認められている健全経営を確保するためのコスト(資産維持費)は、 将来の施設更新費に充てる資金を料金コストにより内部留保する方向で検討しま す。 ・ 水道料金体系は、用途別料金体系、口径別料金体系、その他の料金体系に大別す ることができ、各事業体において採用されている料金体系は、用途別約 39%、口 径別約 49%、その他約 12%となっています。(「水道料金表:日本水道協会 平成 17 年(2005 年)4 月 1 日現在」による) ・ 従量料金は、均一従量制を採用している事業体が 59%であり、水量区分等による 段階別(逓増制)を採っている事業体が 41%となっています。 ・ 用途別料金体系は、その使用用途に着目して料金格差を設けるもので、用途の相 違を各需要者の負担能力やサービス価値の差と認識し、生活用水の低廉化を図る という公共性の立場を重視した体系です。しかしながら、用途の区分が合理性、 客観性に欠けるという意見があります。また、この料金体系は、従来から広く採 られてきたものですが、最近の傾向としては用途区分を従来のように家事用、官 公署学校用、営業用、工場用、公衆浴場用等に細分せず、家事用と家事用以外と の 2 区分にする、またはそれに公衆浴場用を加えて 3 区分にする等用途を 2~3 区 分にする事業体が増えています。 ・ 口径別料金体系は、需要者が一度に使える水量が水道メータの口径の大きさによ って左右されることから、水道メータの口径の大きさによって水道施設の準備に 係る原価の一定額を基本料金として区分したり、従量料金を変えたりするもので す。近年の傾向としては、料金が理論的に説明できる口径別料金体系を採用する 事業体が増加しています。 123 菰野町水道ビジョン ・ 最近の需要構造は、一般用のうち、営業用、工場用等家事用以外の水需要が減少 する傾向が続き、料金単価の安い家事用水の占める割合が多くなっています。こ のような使用実態の変化に対応し、適当な時期に料金体系全体を見直していきま す。 写真 6-8 大羽根浄水場 緊急利用資材庫 124 菰野町水道ビジョン イ.第三者委託等の検討 ¾ 本町は、既に水道メータ検針業務について第三者委託を導入していますが、経営 の効率化と事業の健全化を図る観点からさらに民間委託の導入について検討し ます。 昼夜間における浄水場・配水池等の水道施設の管理について第三者委託を検討するとと もに、本町にふさわしい管理体制を構築し、安全性の確保に努めます。 写真 6-9 潤田浄水場 薬注室 125 菰野町水道ビジョン 6.7.4 環境:環境にやさしい水道 環境に配慮した事業の実施 ¾ 本町は、鈴鹿山麓の自然豊かな地域であり、水道施設の整備にあたっては、自然 環境を重視し、周辺の環境にマッチした施設の整備を目指します。 ¾ 地球温暖化防止のための対策として、環境負荷低減の観点から省エネルギー機器 の導入等水道施設のあり方を検討していきます。 日本は、京都議定書で二酸化炭素ガス(CO2)等の温室効果ガスを平成 20 年度(2008 年度) ~平成 24 年度(2012 年度)に平成 2 年度(1990 年度)比でマイナス 6%とする削減目標が課せ られています。しかし、平成 17 年度(2005 年度)実績では、逆に 7.8%の増加がありました。 環境省は現在、二酸化炭素の排出削減を促すため、地球温暖化対策推進法(略称;温対 法)を改正する方向で検討に入り、一定規模の施設には排出量を定めて削減を義務づける ことも検討されています。 本町の水道施設は、取水施設、導水施設、浄水施設、配水池及びポンプ場並びに導・送・ 配水管路施設があり、各施設の機器更新時において省エネルギー機器等の導入を検討して いきます。 <メモ> 環境問題としては、人間の活動の拡大により二酸化炭素(CO2)をはじめとする温 室効果ガスの濃度が増加し、地表面の温度が上昇することです。 通常、太陽からの日射は大気を素通りして地表面で吸収され、そして、加熱され た地表面から赤外線の形で放射された熱が温室効果ガスに吸収されることによっ て、地球の平均気温は約 15℃に保たれています。仮にこの温室効果ガスがないと地 球の気温は-18℃になってしまうといわれています。 ところが、近年産業の発展による人間活動により、温室効果ガスの濃度が増加し、 大気中に吸収される熱が増えたことで、地球規模での気温上昇(温暖化)が進んで います。海面上昇、干ばつ等の問題を引き起こし、人間や生態系に大きな影響を与 えることが懸念されています。 温室効果ガスの濃度上昇の最大の原因は、石炭、石油等の化石燃料の燃焼であり、 さらに大気中の炭素を吸収貯蔵する森林の減少がそれを助長しています。 出典:環境省 EIC ネット 126 菰野町水道ビジョン 6.7.5 国際:国際交流に貢献する水道 国際貢献への理解 ¾ 国の水道ビジョンにおける国際貢献に関して、その主旨を理解するとともに、国 の取組への関心を高め、国際感覚を養っていきます。 写真 6-10 竹谷川 潤田橋水管橋 127 菰野町水道ビジョン 7.推進体制の構築 128 菰野町水道ビジョン 7.推進体制の構築 菰野町水道ビジョンの目標年度である平成 32 年度(2020 年度)に向けて、それぞれの施策 がバランス良く効果を上げるために、「菰野町上水道事業第 6 次拡張計画」及び「水道施設 耐震計画」により重要施策の目標達成を目指します。これにあたって、実施期間 12 年間を 前期(4 年間)、中期(4 年間)、後期(4 年間)に分け、概ね各期末に見直しを行うととも にお客様の意見や要望をそれぞれの具体的施策の計画に反映していきます。 第四次菰野町総合計画 国の水道ビジョン 公表 菰野町水道ビジョン 具体化 意見 お 菰野町上水道事業第 6 次拡張計画 水道事業ガイドライン 水道施設耐震計画 客 実施 様 再評価 公表 評価 意見・要望 事業完了 図 7-1 推進体制の構築 129 菰野町水道ビジョン 8.添付資料 130 菰野町水道ビジョン 8.添付資料 8.1 水道施設の仕様 水道施設の仕様等において使用している主な略称は、つぎのとおりです。 ・ A:延べ面積等、面積(Area) ・ ALC:軽量気泡コンクリート(Autoclaved Lightweight Aerated Concrete) ・ CB:コンクリートブロック(Concrete Block) ・ DIP:ダクタイル鋳鉄管(Ductile Cast Iron Pipe)、DCIP ともいう。 ・ FRP:繊維強化プラスティック(Fiber Reinforced Plastics) ・ GL:標高(Ground Level) ・ RC:鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete) ・ HWL:高水位(High Water Level) ・ LWL:低水位(Low Water Level) ・ NWL:自然水位(Natural Water Level) ・ OH:機械設備等のオーバーホール(Overhaul) ・ PC:プレストレストコンクリート(Prestressed Concrete) ・ Ps:ポンプ等のモーター動力(Motor Horse Power) ・ PWL:ポンプ運転時水位(Pumping Water Level) ・ Q:水量(Water Quantity) ・ SP:鋼管(Steel Pipe) ・ SUS:ステンレス鋼(Stainless Steel) ・ TH:全揚程(Total Water Head) ・ TM:テレメーター(Telemeter) ・ V:タンク等の容量(Volume) ・ WL:水位(Water Level) 131 菰野町水道ビジョン 8.1.1 浄水場の配水区域における各施設仕様 ① 大羽根取水施設・導水施設 位置:菰野町大羽根園新林町、大字菰野字柳林、大羽根園青葉町、大字菰野字新道 区分 1号取水井 ① 大 羽 根 取 水 施 設 ・ 導 水 施 設 規 模 名 称 構 造 竣工(更新年) 1井 鋼管ケーシング 1号取水ポンプ φ400m/m×深200m Q=1.58m3/min TH=60m D=125m/m Ps=37KW 1台 水中モーターポンプ 1号サンドセパレータ 110m3/h 8本 1基 鋼製 2号取水井 1井 鋼管ケーシング 2号取水ポンプ φ350m/m×深200m Q=1.74m3/min TH=92m D=125m/m Ps=37KW 1台 水中モーターポンプ H18.2 2号サンドセパレータ 125m3/h 7本 1基 鋼製 3号取水井 φ350m/m×深188m Q=2.0m3/min TH=76m D=150m/m Ps=45KW 1井 鋼管ケーシング H18.2 浚渫 S61.2 1台 水中モーターポンプ 1井 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ 1井 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ H15.7 廃工 S59.9 撤去 H14.2 1井 鋼管ケーシング H14.2 11号取水ポンプ φ1.5m×14m Q=2.0m3/min TH=20m D=φ125m/m Ps=15KW 2台 水中モーターポンプ H14.2 11号取水流量計 φ150m/m 1基 電磁式 H14.2 2号取水井~浄水場、導水管 φ150m/m 675m DCIP 3号取水井~浄水場、導水管 φ200m/m 1,775m DCIP 4号取水井~浄水場、導水管 φ200m/m 5・11号 取水井~浄水場、導水管 φ300m/m 830m DCIP 850m DCIP 3号取水ポンプ 4号取水井 4号取水ポンプ 5号取水井 5号取水ポンプ 11号取水井 φ350m/m×深200m Q=2.4m3/min TH=65m D=125m/m Ps=37KW φ350m/m×深300m Q=1.53m3/min TH=85m D=125m/m Ps=37KW 132 H6.3 H8.7 5号移設 S59.9 堀替 H18.2 H4.6 浚渫 H3.3 菰野町水道ビジョン ② 大羽根浄水施設・送水施設 位置:菰野町大羽根園新林町 4443-2 名 称 区分 着水井及び塩素混和池 苛性注入設備 塩素滅菌設備 塩素滅菌室 浄水池 送水ポンプ ② 大 羽 根 浄 水 施 設 ・ 送 水 施 設 真空ポンプ 規 模 構 造 巾4.6m×長5.7m×深2.3m =60m3入 1池 貯槽 3m3 溶解槽 400L ミキサー 注入槽 400L 120cc/min 1式 貯槽 3m3 注入槽 400L 4~60cc/min 1式 間口6.0m×奥行4.0m =24.0m2 1棟 巾12.5m×長15.5m×深2.6m =500m3入 1池 Q=5.0m3/min TH=76m D=200×150m/m Ps=95KW 3台 竣工(更新年) 鉄筋コンクリート造 S48.3 液中式 H5.3 液中式 H5.3 鉄筋コンクリート造 S48.6 鉄筋コンクリート造 両吸込 渦巻ポンプ S47.3 S47.3 2台 電動直結式 S47.3 1棟 鉄筋コンクリート造 S48.6 高圧引込盤 水封式 0.75KW 間口32.00m×奥行9.0m =288m2 7.2KV 400A W0.9m L1.6m H2.35m 1面 屋内自立型 H5.3 高圧受電盤 W0.7m 列盤 1面 屋内自立型 H5.3 変圧器盤 W1.8m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 1号送水ポンプ盤 W0.6m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 2号送水ポンプ盤 W0.6m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 3号送水ポンプ盤 W0.6m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 補機盤 W0.7m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 電灯盤 W0.7m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 1号取水ポンプ盤 W0.6m 1面 屋内自立型 H5.3 取水変換器盤 W0.6m 1面 屋内自立型 H5.3 ポンプ操作盤 W1.0m L0.8m H2.15m 1面 屋内自立型 H5.3 管理棟・ポンプ室 133 菰野町水道ビジョン ② 大羽根浄水施設・送水施設(つづき) 位置:菰野町大羽根園新林町 4443-2 名 称 区分 ② 大 羽 根 浄 水 施 設 ・ 送 水 施 設 つ づ き 規 模 構 造 竣工(更新年) 計装盤 W0.8m 列盤 1面 屋内自立型 H5.3 次亜注入盤 W0.7m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 苛性注入盤 W0.7m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 リレー盤 W0.7m L0.7m H2.35m 1面 屋内自立型 H5.3 シーケンサー盤 W0.6m 列盤 1面 屋内自立型 H5.3 多重伝送・計装盤 W0.6m 同上列盤 1面 屋内自立型 H5.3 1号取水流量計 φ100 1基 電磁式 H5.3 1号取水流量計 φ100 1基 電磁式 H5.3 1号取水流量計 φ150 1基 電磁式 H5.3 1号取水流量計 φ100 1基 電磁式 H5.3 送水流量計 φ300 残留塩素計 濁度計・PH計・水温計 1基 電磁式 S47.3 1式 H5.3 440V 260KVA 310PS 1基 スタンド式 低騒音型 Dエンジン φ350m/m 2,210m DCIP 水質計器 自家用発電機 (浄水場~片倉配水池) 送水管 134 S61.3 菰野町水道ビジョン ③ 片倉配水系統施設 区分 ③ 片 倉 配 水 系 統 施 設 名 称 規 模 構 造 竣工(更新年) 片倉第1号配水池 内径19.2m×深7m=2,000m3 1池 PC造 S47.11 片倉第2号配水池 内径23.4m×深7m=3,000m3 1池 PC造 S52.3 片倉低区配水流量計 φ300m/m 1基 電磁式 S47.11 片倉高区配水流量計 1基 電磁式 S52.3 片倉送配水ポンプ φ150m/m Q=0.31m3/min TH=55m D=φ65m/m Ps=7.5KW 2台 多段渦巻ポンプ S52.3 片倉送配水圧力タンク φ1.2m 2.1m3 1基 鋼板製 S52.3 片倉送配水ポンプ操作盤 W0.6m L0.3m H1.5m 1面 壁掛式 S52.3 片倉送配水流量計 φ75m/m 1基 電子式 H18.3 片倉送配水ポンプ室 間口5.0m×奥行4.0m=20m2 1棟 巾5m×長4m×深2.5m×2池 =100m3入 1池 鉄骨造 S52.3 RC造 H2.3 茶屋の上配水池 茶屋の上配水流量計 1基 電磁式 H2.3 火除野配水ポンプ φ80m/m Q=0.51m3/min TH=60m D=φ50m/m Ps=11KW 2台 多段渦巻ポンプ H7.3 火除野配水圧力タンク φ1.0m 1.2m3 1基 鋼板製 H7.3 火除野配水ポンプ操作盤 W0.6m L0.45m H1.5m 1面 屋内自立型 H7.3 火除野配水計装盤 W0.5m L0.45m H1.5m 1面 屋内自立型 H7.3 火除野配水流量計 φ80m/m 1基 電磁式 H7.3 火除野配水ポンプ室 間口6.25m×奥行4.0m=25m2 1棟 鉄骨造 H7.3 135 菰野町水道ビジョン ④ 潤田取水施設・導水施設 位置:菰野町大字潤田字土山、大字潤田字桜木、大字潤田字新起、大字音羽字鐘突田 大字潤田字落合、大字潤田 区分 名 称 6号取水井 6号取水ポンプ 規 模 φ350m/m×200m Q=2.0m3/min TH=80m D=φ125m/m Ps=37KW 1井 1台 深井戸 鋼管ケーシング 竣工(更新年) S63.3 1井 7号取水ポンプ φ350m/m×250m Q=1.53m3/min TH=85m D=φ125m/m Ps=37KW 水中モーターポンプ 深井戸 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ H4.3 7号取水エアーチャンバー φ750 H1,140 1基 鋼板製 H4.3 7号取水流量計 φ150m/m 1基 H4.3 H2.2 7号取水井 H16.9 H4.3 φ350m/m×200m Q=1.6m3/min TH=85m 8号取水ポンプ D=φ125m/m Ps=37KW φ1.25m H2.65m 8号取水サンドセパレーター 96m3/hr ROF-28 1井 電磁式 深井戸 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ H3.8 1基 鋼製 H2.2 8号取水エアーチャンバー φ750 H1,140 1基 鋼板製 H2.2 8号取水流量計 φ150m/m 1基 H2.2 9号取水井 1井 H6.3 9号取水ポンプ φ350m/m×250m Q=2.4m3/min TH=60m D=φ125m/m Ps=37KW 電磁式 深井戸 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ H6.3 9号取水エアーチャンバー φ153 H1,000 1基 鋼板製 H6.3 9号取水流量計 φ150m/m 1基 電磁式 H6.3 10号取水井 φ350m/m×201m Q=1.58m3/min TH=80m D=φ125m/m Ps=37KW 1井 鋼管ケーシング H4.12 1台 水中モーターポンプ H4.12 10号取水エアーチャンバー φ900 H1,233 1基 鋼板製 H4.12 10号取水流量計 φ150m/m 1基 電磁式 H4.12 13号取水井 φ350m/m×200m Q=1.38m3/min TH=90m D=φ125m/m Ps=37KW 1井 鋼管ケーシング H16.3 1台 水中モーターポンプ H16.3 13号取水サンドセパレーター φ1.60m H2.80m 1基 鋼製 H16.3 13号取水流量計 6号取水井~ 潤田浄水場、導水管 7号取水井~ 潤田浄水場、導水管 8号取水井~ 7号取水井、導水管 9号取水井~ 7号取水井、導水管 10号取水井~ 8号取水井、導水管 φ150m/m 1基 電磁式 H16.3 φ200m/m 150m DCIP φ350m/m 450m DCIP φ350m/m 520m DCIP φ200m/m 680m DCIP φ200m/m 500m DCIP 8号取水井 ④ 潤 田 取 水 施 設 ・ 導 水 施 設 構 造 10号取水ポンプ 13号取水ポンプ 136 菰野町水道ビジョン ⑤ 潤田浄水施設・送水施設 位置:菰野町大字潤田 1246-3 名 称 区分 規 模 竣工(更新年) 着水井 巾3.0m×長5.2m×深3.5m=57.7m3 1池 RC造 H4.12 浄水池 巾10.0m×長17.5m×深3.0m=520m3 1池 貯槽 3m3 溶解槽 500L ミキサー 注入槽 350L 100cc/min 1式 貯槽 3m3 注入槽 350L 4~60cc/min 1式 RC造 H4.12 液中式 H4.12 液中式 H4.12 間口9.0m×奥行8.5m=76.5m2 1棟 Q=7m3/min TH=88m D=φ200m/m×100m/m Ps=160KW 2台 RC造 両吸込 渦巻ポンプ H4.12 間口=27.0m×奥行12.0m=342m2 Q=1.0m3/min TH=10.0m D=φ100m/m Ps=3.7KW H4.12 2台 RC造 着脱式 汚水ポンプ 1面 屋内自立型 H4.12 苛性注入設備 塩素滅菌設備 薬注室 送水ポンプ 管理棟・ポンプ室 排水ポンプ 引込受電盤 ⑤ 潤 田 浄 水 施 設 ・ 送 水 施 設 構 造 1棟 H4.12 H4.12 400V変圧器盤 列盤 1面 屋内自立型 H4.12 切替盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 200V変圧器盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 照明変圧器盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 1面 屋内自立型 H4.12 1・2号送水ポンプ盤 補機盤 列盤 1面 屋内自立型 H4.12 苛性注入制御盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 次亜注入制御盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 監視操作卓 1面 ベンチポート型 H4.12 CV CF盤 1面 屋内自立型 H4.12 入出力盤 1面 屋内自立型 H4.12 中継リレー盤 列盤 1面 屋内自立型 H4.12 テレメータ盤 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 CRT監視装置 同上列盤 1面 屋内自立型 H4.12 低騒音型 自家用発電機 440V 450KVA 1基 Dエンジン H19.3 発電機室 間口6.5m×奥行8.0m=59.0m2 1棟 鉄骨造 H19.3 6号取水流量計 φ200m/m 1基 電磁式 H4.12 7・8・9取水流量計 φ200m/m 1基 電磁式 H4.12 送水流量計 φ250m/m 1基 電磁式 H4.12 水質計器(浄水池) (浄水場~江野配水池) 送水管 残留塩素計・濁度計・PH計・水温計 1式 スタンド式 H4.12 φ350m/m 2,100m DCIP 137 菰野町水道ビジョン ⑥ 江野配水系統施設 区分 ⑥ 江 野 配 水 系 統 施 設 名 称 規 模 構 造 竣工(更新年) 江野配水池 内径26.2m×深7.0m=3,770m3 1池 PC造 H5.3 江野配水流量計 φ300m/m 1基 電磁式 H5.3 江野高区送水ポンプ室 1棟 鉄骨造 H6.3 江野高区送水ポンプ 間口=9.0m×奥行5.97=53.73m2 Q=1.39m3/min TH=102m D=φ125m/m Ps=45KW 2台 多段渦巻ポンプ H6.3 送水流量計 φ150m/m 1基 電磁式 H6.3 1・2号送水ポンプ盤 W0.8m L0.7m H1.95m 1面 屋内自立型 H6.3 配水池計装盤 W1.0m L0.7m H1.95m 1面 屋内自立型 H6.3 江野高区送水管 φ200m/m 900m DCIP H6.3 江野高区配水池 内径12.0m×深9.0m=1,000m3 1池 PC造 H6.3 江野高区配水流量計 φ150m/m 1基 電磁式 H6.3 江野高区受流量計(湯の山) φ100m/m 1基 ウオルトマン式 H14.3 草里野送配水受水槽 W2.2m L13.3m H2.0m=14.5m3 1池 RC造 S54.1 草里野送配水ポンプ室 1棟 RC造 S54.1 草里野送配水ポンプ 間口=4.0m×奥行3.85m=15.4m2 0.1m3/min 90m D=40m/m Ps=5.5KW 2台 多段渦巻きポンプ S54.1 草里野送配水流量計 φ75m/m 1基 電子式 H18.3 草里野送配水ポンプ盤 w0.6m L0.3m H1.5m 1面 屋内自立型 H18.3 草里野送水管 φ75m/m 1,178m VLP S54.1 草里野配水池 巾5.0m×長4.0m×深2.5m=50m3 1池 S54.1 138 RC造 菰野町水道ビジョン ⑦ 田光配水系統施設 区分 ⑦ 田 光 配 水 系 統 施 設 名 称 規 模 構 造 竣工(更新年) 田光配水池 内径23.0m×深5.9m=2,450m3 1池 PC造 H3.3 田光配水流量計 φ200m/m 1基 電磁式 H3.3 田光電気室 1棟 鉄骨造 H3.3 切畑配水池 間口=4.8m×奥行4.8=23.04m2 巾6.0m×長7.0m×深2.85m×2池 =239.4m3 1式 SUS造 計画 切畑電気計装設備 水位・流量・遠方監視 1式 鈴鹿台低区送水管 φ100m/m 巾4.5m×長5.0m×深2.8m×2池 =126.0m3 861m DCIP 計画 1式 SUS造 計画 水位・流量・遠方監視 1式 φ75m/m 0.1m3/min 80m D=32m/m Ps=4.0KW 640m DCIP 計画 2台 多段渦巻きポンプ 計画 間口5.0m×奥行6.0m=30.0m2 1棟 RC造 計画 鈴鹿台低区配水池 鈴鹿台低区 配水池電気計装設備 鈴鹿台高区送水管 鈴鹿台高区送水ポンプ 鈴鹿台高区送水ポンプ室 鈴鹿台高区 送水電気計装設備 鈴鹿台高区配水池 鈴鹿台高区 配水池電気計装設備 ポンプ制御盤・水位・流量・遠方監視 1式 巾4.5m×長5.0m×深3.0m×2池 =135.0m3 1式 水位・流量・遠方監視 計画 計画 計画 SUS造 1式 計画 計画 ⑧ 田口取水施設・導水施設 位置:菰野町大字田口字西北谷、大字小島字西野 区分 名 称 1号取水井 1号取水ポンプ ⑧ 田 口 取 水 施 設 ・ 導 水 施 設 規 模 φ250m/m×270m Q=0.45m3/min TH=86m D=φ80m/m Ps=7.5KW 構 造 1井 深井戸 鋼管ケーシング 堀替 H10.8 H10.8 浚渫 H12.7 更新 H8.8 1井 2号取水ポンプ φ250m/m×180m Q=0.37m3/min TH=112m D=φ80m/m Ps=15KW 水中モーターポンプ 深井戸 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ 2号取水流量計 φ80m/m 1基 H18.3 3号取水井 1井 3号取水ポンプ φ250m/m×180m Q=0.37m3/min TH=118m D=φ80m/m Ps=18.5KW 電磁式 深井戸 鋼管ケーシング 1台 水中モーターポンプ H2.2 3号取水流量計 φ100m/m 1基 電磁式 H18.3 1号導水管 φ100m/m 320m VP S62.3 2・3号導水管 φ150m/m 1,450m DCIP H元.3 3号導水管 φ100m/m 500m H2.2 2号取水井 139 1台 竣工(更新年) DCIP H2.2 菰野町水道ビジョン ⑨ 田口浄水施設・送水施設 位置:菰野町大字田口字西北谷 860-4 名 称 区分 構 造 竣工(更新年) 着水井 巾1.5m×長10m×深3.5m=52.5m3 1池 RC造 H元.3 沈澱池 1池 RC造 H元.3 1式 液中式 H6.3 塩素滅菌設備 巾3m×長10m×深3m=90m3 貯槽 2m3 溶解槽 400L ミキサー 注入槽 300L 120cc/min×6K 貯槽 2m3 注入槽 300L 15cc/min×6K 1式 液中式 H6.3 薬注室 間口=7.95m×奥行4.0m=31.8m2 1棟 鉄骨造 H6.3 急速ろ過装置 3基 鋼板製 H元.3 3台 片吸込ポンプ H元.3 逆洗ポンプ φ1,9m Q=32m3/hr Q=0.84m3/min TH=25m D=φ80m/m Ps=7.5KW Q=1.89m3/min TH=22m D=φ80m/m Ps=11KW 2台 片吸込ポンプ H元.3 ろ過ポンプ室 間口=7.0m×奥行7.0m=49.0m2 1棟 鉄骨造 H元.3 浄水池 RC造 H元.3 送水ポンプ 巾6.0m×長4.1m×深4.0m=98.0m3 1池 Q=1.7m3/min TH=58m D=φ125m/m Ps=30KW 2台 多段渦巻ポンプ 送水ポンプ室 間口=6.15m×奥行4.15m=25.5m2 1棟 RC造 H元.3 改良 H6.3 高圧受電盤 1面 屋外自立型 H元.3 動力変圧器盤 1面 屋外自立型 H元.3 照明変圧器盤 1面 屋外自立型 H元.3 苛性注入設備 ろ過ポンプ ⑨ 田 口 浄 水 施 設 ・ 送 水 施 設 規 模 送水ポンプ盤 W0.8m L0.8m H1.95m 1面 屋内自立型 H元.3 洗浄ポンプ盤 W0.7m 列盤 1面 屋内自立型 H元.3 ろ過ポンプ盤 W0.7m 同上列盤 1面 屋内自立型 H元.3 計装盤 W0.8m 同上列盤 1面 屋内自立型 H元.3 遠方監視盤 W0.8m 同上列盤 1面 屋内自立型 H元.3 1号取水流量計 φ75m/m 1基 電磁式 H元.3 2・3号取水流量計 φ100m/m 1基 電磁式 H元.3 水質計器(浄水池) 残留塩素計・PH計 1式 スタンド式 H元.3 送水流量計 φ100m/m 1基 電磁式 H元.3 送水管 φ75m/m 469m VP H元.3 送水管 φ150m/m 469m DCIP S62.3 140 菰野町水道ビジョン ⑩ 田口配水系統施設 区分 ⑩ 田 口 配 水 系 統 施 設 名 称 規 模 構 造 竣工(更新年) 2号配水池 内径6.6m×深5.4m=180m3 1池 RC造 S57.3 3号配水池 内径11.0m×深5.4m=510m3 1池 PC造 H2.3 配水流量計 1基 電磁式 H2.3 田口送水ポンプ φ150m/m Q=0.1m3/min TH=84m D=φ40m/m Ps=5.5KW 2台 多段渦巻ポンプ S63.3 田口送水受水槽 巾5.8m×長4.5m×深2.5m=65.25m3 1池 RC造 S63.3 田口送水ポンプ室 間口3.18m×奥行4.95m=13.74m2 鉄骨造 S63.3 1棟 ⑪ 上水道配水管施設 区分 ⑪ 上 水 道 配 水 管 施 設 名 称 規 模 構 造 配水管 φ400m/m 4,364m DCIP 配水管 φ350m/m 1,995m DCIP 配水管 φ300m/m 5,576m DCIP 配水管 φ250m/m 12,143m DCIP 配水管 φ200m/m 32,014m DCIP 配水管 φ150m/m 32,004m DCIP,VP 配水管 φ125m/m 1,262m 配水管 φ100m/m 60,173m DCIP,VP 配水管 φ75m/m 96,208m DCIP,VP 配水管 φ50m/m以下 59,129m VP 消火栓(地下式) φ75×65m/m 1,331基 鋳鉄製 141 VP 竣工(更新年) 菰野町水道ビジョン 8.1.2 湯の山簡易水道の配水区域における各施設仕様 ① 湯の山取水・導水施設 位置:菰野町大字菰野 8502-3 名 称 区分 ① 湯 の 山 取 水 ・ 導 水 施 設 規 模 構 造 竣工(更新年) 取水堰 提幅26.0m 提高2.4m 1基 RC造 S29.7 集水埋渠 φ600 41m HP S29.7 導水枡 W2.4m L3.6m H2.0m 1式 RC造 S29.7 接合枡 W2.3m L6.4m H2.0m 1式 RC造 S29.7 導水管 φ300m/m 167m CIP S29.7 142 菰野町水道ビジョン ② 湯の山浄水施設、送水施設 位置:菰野町大字菰野 8502-3 名 称 区分 構 造 竣工(更新年) 凝集反応槽 φ1.9m×H1.98m=5.6m3 1池 鋼板製 S48.3 攪拌機 1基 回転式 H5.3 1基 鋼板製 H5.3 急速ろ過機 φ400 350RPM 1.5KW プレシピテーター φ13.5m φ7.4m H4.1m 自動バルブレスフィルター φ4.85m H4.52m 2基 鋼板製 S48.6 薬注室 間口9.0m×奥行4.0m=36m2 1棟 RC造 S47.3 PAC貯槽 φ2.03m H2.01m 5m3 1基 PE製 S47.3 PAC注入ポンプ 120cc/min 8kg 2台 ダイヤフラム式 H3.11 苛性貯槽 φ1.89m H2.05m 5m3 1基 PE製 H3.11 苛性注入ポンプ 120cc/min 8kg 2台 ダイヤフラム式 H3.11 次亜塩貯槽 φ1.92m H2.35m 6m3 1基 PE製 H3.11 次亜注入ポンプ 120cc/min 8kg 2台 ダイヤフラム式 H3.11 水質計器 濁度計 残塩計 PH計 1式 スタンド式 H3.11 薬注操作盤 W2.0m L0.55m H1.95m 1面 屋内自立型 H3.11 計装盤 W0.4m L0.2m H0.53m 1面 屋外壁掛式 H18.3 原水流量計 φ250m/m 1基 差圧式 H3.11 送水流量計 φ250m/m 1基 H18.3 自家用発電機 75KVA 1基 電磁式 低騒音型 Dエンジン H17.3 切替盤 W1.0m L0.6m H1.95m 1面 屋内自立型 H17.3 切替盤 W1.0m L0.6m H1.95m 1面 屋内自立型 H17.3 発電機室 間口3.0m×奥行5.0m=15m2 1棟 RC造 S47.3 送水管 φ250m/m 417m DCIP 高速凝集反応槽 ② 湯 の 山 浄 水 施 設 ・ 送 水 施 設 規 模 143 菰野町水道ビジョン ③ 湯の山配水系統施設 区分 名 称 湯の山配水池 湯の山配水流量計 巾11.4m×長13.2m×深3.5m =526m3 構 造 竣工(更新年) 1池 RC造 H9.3 1基 超音波式 H9.3 1池 RC造 S47.3 湯の山配水ポンプ φ250m/m 巾1.9m×長6.4m×深2.0m =24.3m3 Q=0.5m3/min TH=65m D=φ75m/m Ps=11KW 2台 多段渦巻ポンプ S47.3 湯の山配水圧力タンク φ1.2m L2.0m 2.2m3 1基 鋼板製 S47.3 湯の山配水ポンプ制御盤 W0.8m L0.53m H2.0m 1面 屋内自立型 H18.3 湯の山配水ポンプ流量計 φ100m/m 1基 電子式 H18.3 湯の山配水ポンプ室 間口5.3m×奥行2.8m=14.84m1棟 巾3.55m×長6.2m×深4.7m ×2池=206.8m3 1池 RC造 S47.3 RC造 H元.4 湯の山配水受水槽 ③ 湯 の 山 配 水 系 統 施 設 規 模 山岳寺配水池 山岳寺配水流量計 1基 超音波式 H18.3 1池 RC造 S39.12 潜戸配水池 φ150m/m 巾3.1m×長6.6m×深3.9m =79.7m3 巾8.0m×長16.8m×深3.9m =524m3 1池 RC造 S39.12 潜戸配水流量計 φ150m/m 1基 超音波式 H18.3 潜戸計装室 間口2.7m 奥行2.7m 7.29m2 1棟 RC造 S39.12 潜戸着水井 144 菰野町水道ビジョン 9.参考資料 145 菰野町水道ビジョン 9.参考資料 9.1 参考文献 1)菰野町:平成 20 年度菰野町地域水道ビジョン及び水道施設耐震計画策定業務委託特記 仕様書 2)厚生労働省健康局水道課長:地域水道ビジョン作成について、健水発第 1017001 号、 第 1017002 号、平成 17 年 10 月 17 日 3)厚生労働省健康局水道課長:地域水道ビジョン作成の手引き、平成 17 年 10 月 17 日 4)厚生労働省健康局水道課:事務連絡、「地域水道ビジョン」作成の参考資料 5)(社)全国上下水道コンサルタント協会:水道ビジョン基礎データ集 6)厚生労働省健康局水道課:全国水道関係担当者会議資料、平成 17 年 3 月 2 日 7)(社)日本水道協会工務常設調査委員会:水道事業ガイドライン、平成 17 年 1 月 17 日 制定 8)(社)日本水道協会:解説水道事業ガイドライン、平成 17 年 10 月 11 日 9)(社)日本水道協会:水道施設更新指針、平成 17 年 5 月 10)(社) 日本水道協会:水道施設更新指針、平成 17 年 5 月 11)(社) 日本水道協会:水道維持管理指針 1998、平成 16 年 9 月 15 日 5 版 12)(社) 日本水道協会:平成 17 年度水道統計、施設・業務編、平成 19 年 3 月 31 日 13)(社) 日本水道協会:水道料金表(平成 18 年 4 月 1 日現在)、平成 18 年 8 月 31 日 14)(財)水道技術研究センター:水道施設の機能診断の手引き、平成 17 年 4 月 146 菰野町水道ビジョン 9.2 用語集 1) 公営企業関連用語 【あ行】 営業収益 えいぎょうしゅうえき 主たる営業活動から生ずる収益で、電力料金や水道料金等があります。 営業収支比率 えいぎょうしゅうしひりつ 営業収支比率(%)=(営業収益-受託工事収益)÷(営業費用-受託工事費用)×100 営業費用が営業収益によってどの程度賄われているかを示すものです。この比率 が高いほど、営業利益率が良いことを表し、これが100%未満であることは営業 損失が生じていることを意味します。 営業外収益 えいぎょうがいしゅうえき 主たる営業活動以外の原因で生ずる収益で、預金や貸付金に対する受取利息、営 業活動に充てる他会計からの補助金、受託工事収益等があります。 営業費用 えいぎょうひよう 主たる営業活動から生ずる費用で、人件費、物件費、減価償却費等があります。 営業外費用 えいぎょうがいひよう 主たる営業活動以外の原因で生ずる費用で、企業債や借入金に対する支払利息や 受託工事費等があります。 【か行】 借入資本金 かりいれしほんきん 資産を取得するために充てた企業債や他会計からの長期借入金があります。 企業債 きぎょうさい 地方公営企業の資産取得等の財源として起こされた地方債のことです。 経常収支(経常損益) けいじょうしゅうし(けいじょうそんえき) 経常収益(=営業収益+営業外収益)-経常費用(=営業費用+営業外費用) 経常収支比率 けいじょうしゅうしひりつ 経常収支比率(%)=(経常収益÷経常費用)×100 経常費用が経常収益によってどの程度賄われているかを示すものです。この比率 が高いほど、経常利益率が良いことを表し、これが 100%未満であることは経常損失 が生じていることを意味しています。 147 菰野町水道ビジョン 決算規模(支出) けっさんきぼ(ししゅつ) 当該年度の現金ベースでの支出額を表わします。 ・法適用企業=総費用-減価償却費+資本的支出 ・法非適用企業=総費用+資本的支出+積立金+繰上充用金 建設仮勘定 けんせつかりかんじょう 固定資産が建設によって取得される場合、その金額が大きく、かつ、長期間に渡 る工事について、それに関連した工事費、人件費や物件費等の一般管理費、建設期 間中に生じた支払利息等を整理するための勘定で、固定資産が竣工した時点で本勘 定に振替するものです。 減価償却(費) げんかしょうきゃく(ひ) 固定資産の取得原価を利用する各年度の費用として割り当て、費用配分を行い、 それによって投下された資本を回収する会計処理です。 固定資産 こていしさん 長期間(1年以上)に渡って利用または所有する資産で、土地、建物、機械装置 等があります。 固定負債 こていふさい 支払期限が1年以上の負債で、運転資金として借りた長期借入金、退職給与引当 金や修繕準備引当金があります。 【さ行】 財務収益(費用) ざいむしゅうえき(ひよう) 電気事業会計の場合、受取利息は財務収益で、支払利息は財務費用で整理されて います。 事業外収益(費用) じぎょうがいしゅうえき(ひよう) 電気事業会計の場合、主たる営業活動以外の原因で生ずる収益(費用)は、受取 利息や支払利息を除き事業外収益(費用)で整理されています。 自己資本金 じこしほんきん 資産を取得するために一般会計から出資を受けた繰入資本金と、減債積立金を使 って企業債の償還をした場合や建設改良積立金を使って建設改良工事を行った場合 等利益剰余金から振り替わった組入資本金等があります。 148 菰野町水道ビジョン 収益的収入 しゅうえきてきしゅうにゅう 料金収入等の営業収益、受取利息、補助金、受託工事収益等の営業外収益、固定 資産売却益等の特別利益をいいます。 その期の営業活動にともなう収益のことで、損益計算は、これに基づいて行われ ます。 収益的収入: ①サービスの提供の対価としての料金収入を主体とする「営業収益」 ②受取利息・他会計補助金等の「営業外収益」 収益的支出 しゅうえきてきししゅつ 人件費、物件費、減価償却費等の営業費用、支払利息や受託工事費等の営業外費 用、固定資産売却損等の特別損失をいいます。 その期の営業活動にともなう収益に対応する費用のことで、損益計算は、これに 基づいて行われます。 収益的支出: ①サービスの提供に要する人件費・物件費等の「営業費用」 ②支払利息等の「営業外費用」 ③固定資産売却損・臨時損失・過年度損益修正損等の「特別損失」及び「予備費」 資本剰余金 しほんよじょうきん 資産を取得するための財源とした補助金、工事負担金等があります。 資本的収入 しほんてきしゅうにゅう 効果が次期以上に及び将来の収益であり、財源となる収入のことです。 資本的収入の主なものは、企業債、固定資産売却代金(売却益は除く)、他会計 からの出資金、長期借入金、建設改良事業の補助金、負担金、寄付金等収益に関係 のない収入で現金を予定されるものをいいます。 資本的支出 しほんてきししゅつ 効果が次期以上に及び将来の収益に対応する支出のことで、資産を取得するため の支出です。 資本的支出の主なものは、建設改良費、企業債償還元金、他会計からの長期借入 金償還金等、費用とは関係のない支出で、現金支出を必要とするもの等をいいます。 純利益(純損失) じゅんりえき(じゅんそんしつ) 営業収益から営業費用を差し引いたものが営業利益または営業損失、これに営業 外収益を加えて営業外費用を差し引いたものが経常利益または経常損失、更に、そ の経常利益(経常損失)に特別利益を加えて特別損失を差し引いたものが純利益ま たは純損失となります。 149 菰野町水道ビジョン 総収益 そうしゅうえき 営業収益、営業外収益、特別利益を合計したものです。 総収支(純利益) そうしゅうし(じゅんりえき) 総収益(=営業収益+営業外収益+特別利益)-総費用(=営業費用+営業外費用 +特別損失) 総費用 そうひよう 営業費用、営業外費用、特別損失を合計したものです。 損益計算書 そんえきけいさんしょ 一会計年度の純利益(純損失)とその発生原因を明らかにするため、その期間に 発生した収益とそれに対応する費用を一つの表にしたものです。 【た行】 貸借対照表 たいしゃくたいしょうひょう 一定時点(年度末)における財政状況(資産・負債・資本)を明らかにするため の表です。 地方公営企業 ちほうこうえいきぎょう 地方公共団体が住民の福祉を増進するために経営する企業。地公企法では、水道 事業(簡易水道事業を除きます)、工業用水道事業、軌道事業、自動車運送事業、 鉄道事業、電気事業、ガス事業の 7 事業を地方公営企業とし、同法の全部適用事業 (法定事業)としています。なお、水道事業には水道用水供給事業を含み、簡易水 道事業及び下水道事業は除かれます。地方公営企業は、住民の福祉の増進(公共性) と独立採算の原則のもと経済性の発揮(経済性)を経営の基本原則としています。 特別利益(損失) とくべつりえき(そんしつ) その発生が経常的でなく、また、性格的にも臨時的な利益または損失で、固定資 産売却益(損)等があります。 独立採算性 どくりつさいさんせい 地方公営企業の活動は、財貨またはサービスを供給し、その対価として料金を徴 収します。それにより、また新たな財貨またはサービスを再生産し、企業活動を継 続していきます。この意味において、地方公営企業は独立採算の原則に支配される ものです。 しかしながら、地方公営企業の独立採算制は、企業活動に要するすべての費用に ついて独立採算及び受益者負担を貫くものではなく、地方公共団体の営む事業とし て、一般行政事務的な活動を行うような場合については、一般会計において負担す べきものとし、それ以外について独立採算制の下に処理するものです。 150 菰野町水道ビジョン 【な行】 内部留保資金 ないぶりゅうほしきん 減価償却費等の現金の支出をともなわない経費により蓄積された損益勘定留保資 金や積立金等の利益剰余金で企業内部に留保されている資金のことをいいます。 【は行】 不良債務比率 ふりょうさいむひりつ 不良債務比率(%)=不良債務÷(営業収益-受託工事収益)×100 不良債務が年間営業収益の何%になっているかを示すものであり、収益的収支に おける赤字だけでなく、資本的収支の赤字まで含めて全体でどのくらいの資金不足 の状況にあるかを表わします。 不良債務 ふりょうさいむ 不良債務=流動負債-(流動資産-翌年度に繰り越される支出の財源充当額)>0 流動負債の額が流動資産の額を上回る場合、その上回る額をいいます。これが発 生していることは、資金不足が生じていることを意味します。 不良債務をもって赤字の状況判断の基準としているのは、損益収支において黒字 であっても、資本収支において資金不足を生じる場合がありますがが、不良債務に よれば損益・資本両収支の資金繰りの状況を把握できます。 法適用企業 ほうてきようきぎょう 地方公営企業法の適用を受ける企業のことです。 ・法定事業(当然適用される事業):水道事業、工業用水道、軌道事業、自動車運送 事業、鉄道事業、電気事業、ガス事業の7事業です。 ・財務規定等のみ当然適用:病院事業です。 ・その他、条例により法の全規定または財務規定等を適用できる事業もあります。(任 意適用)。この場合、原則として、経常的経費の 70~80%程度を料金等の経常的収 入で賄うことのできる事業です。当然、経理は、企業会計(複式簿記)で行います。 法非適用企業 ほうひてきようきぎょう 地方公営企業を適用せず、地方自治法、地方財政法等の適用を受ける事業です。 ・公営企業のうち、法定事業、病院事業及び任意に法を適用した事業を除いた事業 をいいます。例えば、下水道事業、簡易水道事業、宅地造成事業等が該当します。 この場合、経理は、官公庁会計(単式簿記)で行います。 補助金 ほじょきん 国庫補助金と一般会計補助金がありますが、営業活動に充てるための補助金は営 業外収益で、資産を取得するために充てた補助金は資本剰余金に含まれます。 151 菰野町水道ビジョン 補てん財源 ほてんざいげん 資本的収支予算において収入額が支出額に対して不足することとなった場合の補 てんに用いられる財源で、損益勘定留保資金、積立金、消費税及び地方消費税資本 的収支調整額等があります。 【ま行】 未成宅地 みせいたくち 宅地造成事業会計の場合、土地造成期間中に用いる勘定で、他の会計の建設仮勘 定に相当するものです。 無形固定資産 むけいこていしさん 電気事業会計では発電を行うための施設利用権、工業用水道事業会計や水道事業 会計では水源のための水利権、その他には、電話加入権等があります。 【ら行】 利益剰余金 りえきよじょうきん 過去の損益取引から生じた利益を積み立てたもので、地方公営企業法に基づいて 積み立てる企業債の償還財源としての減債積立金、任意で積み立てる建設改良工事 の財源としての建設(開発)改良積立金、地域振興を目的とした事業の財源として の地域振興積立金等があります。なお、当年度未処分利益剰余金については、議会 の議決を経て処分が決まります。 流動資産 りゅうどうしさん 資産のうち、短期間(1年未満)に渡って利用または所有する資産で、現金預金 や未収金等があります。 流動負債 りゅうどうふさい 支払期限が1年未満の負債で、未払金や預り金等があります。 累積欠損金 るいせきけっそんきん 今までの各年度で生じた欠損金の累積額のことです。 営業活動によって欠損を生じた場合に、繰越利益剰余金、利益積立金、資本剰余 金等により補てんできなかった各事業年度の損失(赤字)額が累積されたものをい います。 このうち、減価償却費は現金支出をともなわないため、これを原因とする損失(赤 字)額により生じた累積欠損金が事業全体の資金不足に直接つながるものではあり ませんが、より一層の収益性の向上を図ることが求められます。 152 菰野町水道ビジョン 累積欠損金比率 るいせきけっそんひりつ 累積欠損金比率(%)=累積欠損金÷(営業収益-受託工事収益)×100 累積欠損金が年間営業収益の何%になっているかを示すものであり、企業経営の 悪化の度合いを表します。 この比率が高率なほど企業の損益収支の内容が悪化していることを示すものであ り、早急に経営改善を図る必要があります。 153 菰野町水道ビジョン 2) 水道用語 【あ行】 アオコ あおこ 湖沼等に発する富栄養化の指標プランクトンです。湖等の水面に青い粉をま いたように増殖して一面に水の華を形成します。主に浮遊性藍藻類によって起 こります。しばしば広範囲に表面を覆い、水面が縞模様になったり、厚いマッ ト状に集積したりする場合もあります。著しく増殖すると独特の臭気が感じら れます。 赤水 あかみず 鉄管の内面腐食等によって溶け出した鉄が、酸化されて鉄錆となり、それが 給水管等から流出すると水が赤褐色や黄褐色を帯びます。これを赤水といい、 金気臭も生じます。 浅井戸 あさいど 第一帯水層の自由地下水、または伏流水を取水する比較的浅い井戸をいう。 浅井戸の深さは、地層により異なりますが、およそ 7m~10m です。 陰イオン界面活性剤 いんいおんかいめんかっせいざい 「石鹸(脂肪酸のアルカリ金属塩)」及び、「合成洗剤(界面活性剤)」の 主成分で、水に溶けると陰イオンになるものをいう。一部の合成洗剤は長期間 分解されず、河川の発泡を引き起こす。家庭の排水が主な原因である。 エアレーション えあれーしょん 曝気(ばっき)のこと。空気(気体)と水(液体)とを接触させ、各相中に おける物質の濃度分圧が等しくなるようにし、各相間で物質を移動させるこ と。方式には、水中への空気の吹き込み、水の攪拌(かくはん)、水の空中散 布等があります。 塩素処理 えんそしょり 次亜塩素酸ナトリウム等の塩素剤を使用した消毒処理のことで、塩素の強い 殺菌作用によって、水中の病原菌等を殺し、飲料水としての安全性を確保しま す。 【か行】 かび臭 かびしゅう 水につく微生物起因の異臭の一つ。原因は主に藍藻類や放線菌が産生する発 臭物質、ジェオスミン、2-ミチルイソボルネオール等であり、0.01μg/リッ トル以下の濃度でも感じられます。土臭や墨汁臭として感じられることもあり ます。 154 菰野町水道ビジョン カルキ臭 かるきしゅう 水道水中の残留塩素に起因する臭気のことをいう。カルキとは石灰を意味す るオランダ語の Kalk が語源。 簡易専用水道 かんいせんようすいどう 水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であって、水道事業の用 に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいいます。ただし、 水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられた水槽の有 効容量の合計が 10 立方メートル以下のものは除かれます。簡易専用水道の設 置者は、その水道を管理し、定期的に検査を受けなければなりません。 給水管 きゅうすいかん 給水装置及び給水装置より下流の受水槽以下の給水設備を含めた水道用の 管のことをいう。水道事業者の管理に属する配水管と区別した呼び名です。 給水義務 きゅうすいぎむ 水道事業者は、給水区域内の需要者から給水契約の申込を受けたときは、正 当な理由がなければこれを拒んではいけません。また、当該水道により給水を 受けるものに対し、正当な理由によりやむを得ない場合を除き、常時水を供給 しなければならないとされています。これは、水道事業が地域的独占事業とし て認可されていることから、水需要者の保護を目的に水道事業者の義務として 規定されているものです。 給水原価 きゅうすいげんか 水1m3 を給水するためにいくら費用がかかったかを示します。数値は小さい ほど良いことになります。 給水人口 きゅうすいじんこう 給水区域内に居住し、水道により給水を受けている人口をいいます。給水区 域外からの通勤者や観光客は給水人口に含まれません。水道法に規定する給水 人口は、事業計画において定める給水人口(計画給水人口)をいいます。 給水制限 きゅうすいせいげん 給水を制限することをいいます。水道は日常生活に直結し欠くことのできな いものですので、給水の制限は、水源状況を考慮しながら段階的に行い、緊急 事態等やむを得ないとき以外は、急激な強化は避けなければならないことにな っています。 155 菰野町水道ビジョン 給水装置 きゅうすいそうち 水道法では「需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から 分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう」と定義されて います。直結する給水用具とは、給水管に容易に取りはずしのできない構造と して接続され、有圧のまま給水できる給水栓等の器具類をいいます。 急速ろ過方式 きゅうそくろかほうしき 原水を薬品により凝集沈澱処理して濁質をできるだけ沈殿池で除去したの ち、急速ろ過池で 1 日 120~150m のろ過速度でろ過し、さらに塩素消毒を行う 浄水方式をいいます。 供給単価 きょうきゅうたんか 水1m3 当たり平均いくらで売ったかを示します。給水原価を上回る必要があ ります。 凝集沈殿 ぎょうしゅうちんでん 水中に懸濁(微細な粒子が水の中に分散している状態)している浮遊物質を、 凝集剤等を用いて凝集させ沈殿分離することをいいます。 空気弁 くうきべん 管路内に混入あるいは水中から遊離した空気を管外に排出するバルブ。現在 の空気弁は、工事のときに排水しやすいよう吸気機能も有しています。 クリプトスポリジウム くりぷとすぽりじうむ 原生動物の原虫類に属する水系病原性生物です。トキソプラズマとごく近縁 関係にある原虫で、その形態はよく似ていますが、オーシスト(嚢胞体)は球 形で 3~4μmと小さく、オーシストの中に 4 個のスポロゾイドがあります。そ の原虫に感染した症状は、典型的な水様性の下痢であり、発汗、腹痛、痙攣様 (けいれんよう)腹痛があります。 減圧槽 げんあつそう 標高の高い位置にある配水池から低い地域に給水する場合、水圧が非常に高 くなってしまい不都合が生じるため、その水圧調整を行う施設です。 減圧弁 げんあつべん 低圧側の障害発生防止のために、バネ等を用いて二次側の水圧を一次側の水 圧より低い一定圧力に保つバルブ。圧力自動調整弁(オート弁)ともいいます。 原水 げんすい 浄水処理する前の水。水道原水には大別して地表水と地下水があり、地表水 には河川水、湖沼水、貯水池水が、地下水には伏流水、井水等があります。 156 菰野町水道ビジョン 硬水 こうすい 明確な定義はありませんが、カルシウム塩及びマグネシウム塩を比較的多く 含み、石けんの泡立ちが悪い天然水を硬水といい、それらの塩類の含有量の少 ない水を軟水といいます。 硬度 こうど 硬度とは、カルシウム、マグネシウム等の量を表したもので、硬度は水の味 に影響を与えます。硬度の高い水は口に残るような味がし、硬度の低すぎる水 は淡白でコクのない味がします。おいしい水の条件としては、硬度成分が適度 (10~100mg/l、中でも 50mg/l前後が多くの人に好まれると言われて います)に含まれていることが必要です。 高度浄水処理 こうどじょうすいしょり 通常の浄水処理では十分に対応できない物質等の処理を目的として、通常の 浄水処理に追加して導入する処理をいいます。代表的なものとしては、オゾン 処理、活性炭処理等があります。 【さ行】 残留塩素 ざんりゅうえんそ 浄水場では、家庭のじゃ口まで消毒効果を維持するために塩素を注入してい ます。一部はじゃ口に届く前に分解しますが、分解せず水中に残留している塩 素のことを残留塩素と呼びます。消毒剤としての塩素は、消毒効果が高く確実 であること、持続性があること、残留量の測定が容易で維持管理が容易である こと等の優れた点があります。 色度 しきど 色度とは、水中に含まれる溶解性物質及びコロイド性物質が呈する薄黄色ま たは黄褐色の程度を数値で表したものです。また、水質基準値(5 度)は、肉 眼ではほとんど無色と認める限界、白い浴槽で感知できる境界レベルです。 仕切弁 しきりべん 管路内の水の流れを制御する制水弁の一種です。弁体が上下あるいは左右に 動き、水を垂直に遮断して止水する構造のもの。 水道 すいどう 導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施 設の総体をいいます。ただし、臨時に施設されたものを除きます。工業用水道 や下水道と区別し、上水道といわれることがあります。 157 菰野町水道ビジョン 水道事業 すいどうじぎょう 一般の需要に応じて、計画給水人口が 100 人を超える水道により水を供給す る事業をいいます。計画給水人口が 5,000 人以下である水道により水を供給 する規模の小さい水道事業は、簡易水道事業として特例が設けられています。 計画給水人口が 5,000 人を超える水道によるものは、慣用的に上水道事業と 呼ばれています。 総トリハロメタン そうとりはろめたん 浄水処理の過程において、原水中の有機物と消毒のために注入している塩素 が反応して生じる消毒副生成物で、健康に影響を及ぼします。水道水中のトリ ハロメタンには、「クロロホルム」「ブロモジクロロメタン」「ジブロモクロ ロメタン」及び「ブロモホルム」があり、それぞれの濃度の総和で表わします。 【た行】 帯水層 たいすいそう 地下水によって飽和されている透水層のことで、地表に近い順に第一帯水 層、第二帯水層と呼びます。このうち上下を不透水層で挟まれた帯水層を被圧 帯水層といいます。 濁度 だくど 濁度とは、水の濁りを数値で表したもので、土壌その他浮遊物質の混入、溶 存物質の化学的変化等により変化します。 着水井 ちゃくすいせい 導水施設から導入される原水の水位の動揺を安定させ、原水量を測定し、そ の量を調整するための施設。 【な行】 農薬 のうやく 農作物、樹木、農林産物等に対して害を及ぼす病害虫を防除する薬剤です。 これらは、使用目的により殺菌剤・殺虫剤・除草剤・殺ダニ剤・殺線虫剤・殺 鼠剤(さっそうざい)・植物成長調節剤・忌避剤(きひざい)・誘引剤等に分 類されます。また、健康に対しての影響は、軽症の場合「頭痛」「めまい」「は きけ」等ですが、重症となると「けいれん」「しびれ」「呼吸障害」等で、「死」 に至ることもあります。 158 菰野町水道ビジョン 【は行】 配水池 はいすいち 浄水場から送り出された水を一時的に貯めておく施設のことです。ほとんど が標高の高い場所にあり、自然落差を利用して、家庭に給水しています。 砒素 ひそ 金属と非金属との中間の性質を持ち、半導体や顔料、農薬、殺鼠剤、防腐剤 等の原料になります。 砒酸、亜砒酸等の化合物には毒性がありますが、海産物等に含まれる有機態 には、毒性はありません。工場、鉱山の排水や温泉等から混入します。 深井戸 ふかいど 被圧帯水層から取水する井戸のことで、深さは 30m以上のものが多く 600m 以上に及ぶものもあります。 フロック形成池 ふろっくけいせいち 凝集した微少フロック(凝集体)を沈降しやすいフロックに形成するための 設備です。 PC配水池 ぴーしーはいすいち プレストレストコンクリート製の円形または矩形の配水池。 pH値 ぴーえいちち 水素イオン指数の事で、溶液の酸性・アルカリ性の強さを簡単な指数(水素 イオン濃度の逆数の常用対数)で表したもの。 中性はpH7 で、これより値が大きいとアルカリ性であり、小さいと酸性で ある。また、このpH値は汚染等による水質変化の指標や水処理の薬品注入量 の判断等に使われている。 【ま行】 マンガン まんがん 元素記号はMn。生体必須元素の 1 つで、欠乏すると成長の鈍化・貧血・生 殖障害等がみられます。 水道水にマンガンイオンが含まれますと、徐々に酸化されて二酸化マンガン となり配水管の内壁に付着蓄積することがあります。それが管内の流速変化に より剥がれ流出すると、「着色障害(黒い水)」が起こります。 無効水量 むこうすいりょう 使用上無効と見られる水量のことです。配水本支管、水道メーターより上流 部での給水管からの漏水量、調定減額水量、他に起因する水道施設の損傷等に よって無効となった水量及び不明水量をいいます。 159 菰野町水道ビジョン 無収水量 むしゅうすいりょう 給水量のうち料金徴収の対象とならなかった水量。 事業用水量、水道メーター不感水量、その他、公園用水、公衆便所用水、消 防用水等のうち料金その他の収入がまったくない水量をいいます。有効無収水 量ともいいます。 【や行】 有機物(過マンガン酸カリウム ゆうきぶつ(かまんがんさんかりうむしょうひりょう) 消費量) 被酸化性の物質である、雑排水・腐敗物質・肥料等のこと。これらの物質と 反応し、消費される過マンガン酸カリウムの量(㎎/㍑)で表されます。水質 汚染を判断するうえでの、重要な指標。 有効水量 ゆうこうすいりょう 使用上有効と認められる水量で、メーターで計量された水量または使用者に 到達したものと認められる水量。 有効率 ゆうこうりつ 有効水量を配水量で除したものをいう。 有収水量 ゆうしゅうすいりょう 料金徴収の対象となった水量。 有収率 ゆうしゅうりつ 有収水量を配水量で除したのもをいう。 【ら行】 漏水調査 ろうすいちょうさ 水道管からの事故の防止、水道水の無駄をなくすため、早期のうちに漏水を 発見する調査業務。 160 菰野町水道ビジョン おわりに このたび、菰野町のまちづくりの基本目標である「夢・ときめき・新しい時代を紡ぐこ ころの都市・菰野」を目指し、「誇れる水を 次の世代へ」を水道事業の基本理念として、 21世紀中頃を展望しつつ平成21年度(2009年度)から平成32年度(2020年度)までの12年間の 「菰野町水道ビジョン」をとりまとめました。 まず、本町の水道事業の現状を把握し、そして分析するために浄水・配水の状況や施設 の経年劣化状況、経営状況等についてそれぞれ評価を実施し、課題を抽出することで実体 面に対して客観的検証を行いました。 また、水道事業を取り巻く社会潮流を的確に捉えて、水需要の将来予測をするとともに 各施策について具体的な試行を重ね、給水拠点対策事業、基幹施設の更新・耐震化補強事 業、基幹管路の経年管更新事業等の国庫補助採択の計画及び民間活用に向けての検討等を 行いました。 今後、各事業が効果的に効率よく機能を発揮し、将来にわたってお客様の快適生活を支 えるため、水道課職員が一丸となって各種施策に取り組んでいきます。 平成21年(2009年)4月 菰野町役場 水道課 菰野町水道ビジョン 菰野町水道ビジョン ~誇れる水を 次の世代へ~ 発行日 平成21年(2009年)4月 発行 菰野町役場 水道課 〒510-1292 三重県三重郡菰野町大字潤田1250番 Tel 0593-91-1132 Fax 0593-91-1194 Komono Town 2009©All rights reserved. 菰野町水道ビジョン 菰野町水道ビジョン 発行日 平成21年(2009年)4月 発行 菰野町役場 水道課 〒510-1292 三重県三重郡菰野町大字潤田1250番 Tel 0593-91-1132 Fax 0593-91-1194 Komono Town 2009©All rights reserved.