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描画漫画やコミック

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描画漫画やコミック
2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業
創作者の意図を最大限に活かす立体マンガエディタ/ビューワ開発
1.背景
マン ガは、も はや子 供だけで なく、 あらゆる 年齢層 にアピー ルする ビジュア ルな
コミ ュニケー ション 手段とし ての地 位を確立 し、文 化的なメ ッセー ジを世界 に向
けて発信する上でも、日本にとっての重要な「カルチャー資源」となっている。
また、従来は紙媒体に限られていたマンガの配布方法も、近年では CD-ROM な
どの パッケー ジメデ ィアやイ ンター ネットを 介した 配信サー ビスが 加わり、 その
作画 方法も完 全な手 描きから コンピ ュータを 利用・ 併用した 電子的 なものへ と移
行してきた。
と同 時に、日 本のマ ンガに追 いつけ 追い越せ を合い 言葉に発 展して きたアジ ア各
国の コミック クリエ ーターた ちも徐 々に実力 を付け 始めてお り、半 ば国策的 にマ
ンガ の電子化 を進め ることで 、この 分野のリ ーダー シップを 確立し ようとす る国
も現れつつある。
こう した動き の中で 日本がマ ンガ文 化をリー ドして いくため には、 優れた発 想や
スト ーリーテ ラーと しての能 力を持 つ人材の 発掘と 育成に加 えて、 電子的な マン
ガを 次のレベ ルへと 進化させ 、それ をいかに 効率よ く仕上げ られる かという こと
が重要になってくる。
現 状 では 、 Adobe Photoshop な ど の グ ラフ ィ ッ ク ツ ー ル 上 で マ ン ガの 構 成 要
素と なる背景 や人物 を細かい パーツ に分けて 描き、 それらを そのま ま同じソ フト
上で レイアウ トして 構図を決 めてい くやり方 が広く 行われて いる。 しかし、 最終
的な 出力形態 は依然 として紙 媒体が 主である ため、 既存のマ ンガ制 作の過程 を単
に電子化/効率化するに留まっている。
一方 、昨今の 電子機 器の進化 は、特 殊なメガ ネやゴ ーグル装 置無し に実際に 奥行
きを 伴った立 体感が 得られる 「裸眼 立体視デ ィスプ レイ」を 可能と し、すで に国
産の 製品が手 の届く 価格で市 販され ている。 しかし 、一般向 けの立 体視コン テン
ツが ほとんど 存在し ていない ことも あり、な かなか 普及する までに は至って いな
い。 だが、マ ンガの ようにな じみの あるコン テンツ をより臨 場感の ある立体 表現
とし て楽しめ るなら ば、普及 する素 地は十分 にある と考えら れる。 また、す でに
よく 知られて いるア ナグリフ (青赤 メガネ) 方式や 、新たに 開発さ れたホロ ブレ
ード (反射式 の立体 視技術) などに 対応させ ること で、既存 の2D ディスプ レイ
や印刷媒体でも、立体マンガコンテンツを気軽に楽しむことができる。
2. 目的
このような背景のもと、マンガ自体を次のレベルに進化させ、その表現性を高め、
創作 者の意図 する世 界を新た な次元 で描き出 すため には、マ ンガの 持つ特性 を保
ちな がら臨場 感のあ る立体画 像とし て楽しめ る「立 体マンガ 」の確 立が有効 と考
1
えた 。そのた めには 立体マン ガを効 率よく編 集でき 、鑑賞す るため のソフト ウェ
アツールの開発が不可欠となる。
本プ ロジェク トは、 プログラ ミング( 中野)、ユーザ ビリテ ィ(大谷 )、マン ガ実
作( モンキー ・パン チ)の専 門家3 名が、そ れぞれ のノウハ ウを持 ち寄って 、そ
の「 立体マン ガ」の 編集や表 示を効 率よく行 えるソ フトウェ アツー ルを作り 上げ
ることを目的とするものである。
3.開発の内容
「立体マンガエディタ」
立体 マンガに 必要と されるレ イヤー構 造の構 築とアレ ンジ、 そして3 D液晶な どを
利用 したリア ルタイ ム編集を 実現する アプリ ケーショ ンであ る。また 、擬似的 なバ
ンプ マッピン グをペ イント感 覚で利用 できる ようにし たこと で、同一 レイヤー 内で
の細 かな立体 感の演 出や、単 純なレイ ヤー構 造のみで は難し い曲面的 な表現、 ある
いは 奥行き方 向に斜 めに横断 する描画 要素の 表現も可 能とし ている。 さらに、 マン
ガ本 来のコマ 割の表 現を活か しながら も、映 画的演出 を可能 とするブ ックファ イル
のオーサリング機能も付加されている。
3 D 液 晶 へ の 出 力 ル ー チ ン に 関 し て は 、 中 野 と 大 谷 の 知 人 で も あ り 、 Macintosh
のグ ラフィッ クス系 ソフト開 発のエキ スパー トでもあ る(有 )オッテ ィモの小 池邦
人氏の協力を得て、氏の解析結果を基に実装を行った。
同じ く、アナ グリフ 出力に関 しては、 ステレ オ写真の エディ タ開発で 実績のあ るス
テレ オクラブ 東京の 須藤益司 氏のアド バイス 、ホロブ レード 出力に関 しては、 ホロ
ブレ ード技術 の開発 者である (有)ヒ ットデ ザインの 松本和 実氏のア ドバイス を受
けて実装している。
図1 立体マンガエディタ画面
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図2 閲覧用ブックファイルを編集するためのオーサリングモード画面
「立体マンガビューワ」
立体 マンガエ ディタ によって オーサリ ングさ れたブッ クファ イルを忠 実に再生 する
アプ リケーシ ョンで ある。読 者が単純 に1コ マずつ閲 覧する のではな く、創作 者が
意図 したタイ ミング や場面転 換の映像 ・音響 効果を伴 う作品 提示がで きるよう にな
っている。
モン キー・パ ンチ氏 から、立 体マンガ の演出 方法に関 して、 プレゼン テーショ ンソ
フト の PowerPoint 的 な 見 せ 方 を ベ ー ス とし て は ど う か と い う 提 案 も あり 、 当 初
は PowerPoint 互 換の フ ァ イ ル を 生 成 す るア イ デ ア も 検 討 し た 。 し か し、 フ ァ イ
ルフ ォー マッ トが公 開されて いな いこと や、 Mac と Windows 間で の互 換性 が完
全に は 保た れ な い こと 、 さ ら に 場 面転 換 の 映 像 効 果 な どが PowerPoint の 仕 様 に
限定 されてし まうこ となどを 勘案して 選択肢 から外し 、独自 のファイ ル形式と ビュ
ーワアプリケーションによって実現した。
図3 立体マンガビューワの再生画面例
4.従来の技術(または機能)との相違
過去 には立体 マンガ に特化し たエディ タ、ビ ューワソ フトは 存在しな かったた め、
基本的にはその存在自体がユニークであると言える。
その 上で、既 存の絵 柄の上に ペイント 風に濃 淡を描く ことに よってポ リゴンを 使わ
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ずに 立体視用 データ を作り出 せる疑似 バンプ マッピン グ機能 や、新し い反射式 の立
体視 技術ホロ ブレー ドへの対 応、様々 なビジ ュアル& サウン ドイフェ クトを伴 う映
画的演出が可能なオーサリング機能を含むところも、従来にはない仕様である。
5.期待される効果
● 生産性
一般 的なマン ガの制 作におい ては電 子化が進 んでい るが、立 体マン ガという 新領
域においては既存の 2D 用のツールに頼るしか制作方法がなかった。しかし、今
回開 発された ソフト ウェアに よって 立体的な マンガ 作品を創 作者が 立体視を 行い
ながら編集可能となり、生産性が飛躍的に向上する。
● 創造性
立体 マンガエ ディタ /ビュー ワの開 発を通じ 、奥行 き情報の 付加に よってマ ンガ
の新 しい表現 の可能 性が生ま れた。 そして、 立体マ ンガを制 作する ための環 境が
整っ たことで 、従来 とは異な る創造 性を刺激 し、未 知の才能 が発掘 される一 助と
なる。
● 教育
立体 マンガエ ディタ /ビュー ワは、 アルゴリ ズムに よって3 DのC G画像を 生成
する のではな く、あ くまでも 手描き の良さを 活かし たマンガ 本来の 特性を拡 張す
るソフトウェアであり、人間の表現能力を増幅するパワーを秘めている。
また 、誰もが 自らの 目で立体 感を確 かめなが ら作品 制作にあ たるこ とができ 、立
体マ ンガの描 き方を 他の人に 教える 場合でも 、わか りやすく 、習得 し易い環 境が
得られる。
● 表現力
これ まで立体 視とい うものは 、人間 が日常的 に行っ ていなが ら、マ ンガの分 野で
は活 用するこ とが難 しい能力 であっ た。平面 作品で あること が常識 化してい るマ
ンガ の世界に 立体視 の概念を 持ち込 むことに よって 、従来は 感じた ことのな い感
覚を創作者と読者に提供することが可能になった。
● 社会的影響
すで にマンガ はビジ ュアルコ ニュニ ケーショ ン手段 として確 立した 分野では ある
が、 立体マン ガはそ のポテン シャル をさらに 高め、 世界中の コミッ クファン に新
たな 楽しみ方 を提示 する存在 と言え る。立体 マンガ エディタ /ビュ ーワは、 その
制作を支援することで間接的に社会的なインパクトをもたらす。
6.普及(または、活用)の見通し
・モ ンキー・ パンチ 氏をはじ めとする マンガ の実作者 に、ゼ ロから構 想した描 きお
ろしの立体マンガを制作していただく。
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・立体マンガのブックデータの QuickTime ムービー、Flash ファイルなどへの書
き出しを実現することで、幅広いプラットフォームでの再生に対応させる。
・立 体マンガ エディ タのオー サリング 機能は ストーリ ーの分 岐にも対 応してい るた
め、アドベンチャーゲーム的な立体マンガへの応用も行っていく。
・普 及方法に 関して は、立体 視技術の 業界団 体である 3Dコ ンソーシ アムや立 体映
像産 業推進協 議会な どのイベ ントへ の積極的 な参加 ・展示、 および 、立体マ ンガ
を描き読む楽しみが味わえるソフト付き書籍の展開を予定している。
7.開発者名(所属)
中野洋一(ドリームガーデンソフトウェア)
加藤一彦(ペンネーム/モンキー・パンチ。漫画家)
大谷和利(フリーランスライター)
(参考)関連Webサイト
○ ドリ ー ム ガー デ ン ソ フ ト ウ ェ ア の Web サ イ ト 、 シ ャ ー プ の 3 D 液 晶技 術 の 概
要を記した Web サイト、および、ホロブレードに関する Web サイトのアドレ
スを以下に示す。
ドリームガーデンソフトウェア:
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/yoichi/
シャープ3D液晶技術の概要:
http://www.sharp.co.jp/products/device/about/technology/lcd-03.html
ホロブレード:
http://www.holoblade.com/
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