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「 F₁レジェホワイト」 「 F₁レジェピンク」
「 「 金魚草 い ず なお ゆき タキイ研究農場 印南試験地 伊豆 直幸 レジェホワイト」 レジェピンク」 F₁F₁ 鮮やかでとても多彩な花色をもつ金 魚 草 は 地 中 海 沿 岸 が 原 産 で 、花 壇 用 か ら切り花用までさまざまな種類があり 、 切り花は和洋を問わず幅広い用途に利 用 さ れ 、安 定 し た 需 要 が あ り ま す 。 近 年 の 重 油 代 の 値 上 が り に よ り 、冬 季に高い加温を必要とする作物は敬遠 さ れ が ち な 中 で 、暖 房 代 を は じ め 栽 培 経費や初期投資が比較的かからない金 魚 草 は 、経 費 面 に お い て 優 等 生 で あ る と い え ま す 。ま た 、長 期 間 の 栽 培 で の 管理や仕立て方を工夫することで連続 的 か つ 計 画 的 に 採 花 で き る た め 、非 常 に取り組みやすい品目です 。 タ キ イ で は 、早 生 の「 レ ジ ェ 」シ リ ー ズ と し て す で に「 レ ジ ェ イ エ ロ ー 」 を 販 売 し て お り 、今 ま で の 品 種 と は 一 線を画す濃くてはっきりした花色と茎 の か た さ か ら 、市 場 か ら 高 評 価 を 得 て います 。 今 回 新 た に ご 紹 介 す る「 レ ジ ェ ホ ワ イト」と「レジェピンク」は「レジェ」 シ リ ー ズ の 追 加 色 で 、従 来 品 種 と 比 べ 25 2015 タキイ最前線 夏号 金魚草では、昔からある品種が長く主要品種として使われ続けてい る状況ですが、昨今では葬儀装花の洋花化や輸送方法の改良などによ ェンド」(=伝説)となってほしいという願いをこめ、誕生したのが「レ 化してきています。そんな中で、現在の金魚草の需要にあった新しい 要色と捉えて育成を進め、誕生したのが、「レジェ」シリーズの3色で 金魚草には数多くの花色がありますが、市場統計を見てみると、イ エロー、ホワイト、ピンクが特に多く出荷されています。これらを重 ジェ」シリーズです。 品種、高品質化を目指して育成を進めてきました。 す。「レジェ」の伝説は、これからさらに高めたいと思います。 り、その用途はさまざまな広がりを見せており、求められる形質も変 ↑「レジェピンク」はくすみのない明るい ピンク色。「レジェ」シリーズの中で最 も栽培しやすい。 他社の追随を許さない圧倒的な花色の美しさで、金魚草界の「レジ 品種 てひと目でわかる花色の美しさと品質 の 高 さ を 備 え た 品 種 で す 。こ の 2 が 新 し く 販 売 さ れ る こ と に よ り 、シ リ 穂先が曲がりにくい。 りした品質の切り花になり、茎の曲が りが少ないため管理もしやすい。 ーズが一層充実したものとなることで 3 茎がとてもかたく、高温期でもしっか しょう 。 2 花穂のつまりがよく、間のびしにくく がたいへん鮮やかで色褪せしにくい。 品種特性 1 早生のシリーズで従来品種よりも花色 象 を 与 え ま す 。開 花 が 早 い わ り に は 草 い 明 る い ピ ン ク 色 で 、か わ い ら し い 印 「 レ ジ ェ ピ ン ク 」の 花 色 は く す み の な 上がります 。 ー ム を 確 保 す る こ と が で き 、か た く 仕 弱になりがちな秋切り出荷でもボリュ の か た さ で し っ か り し て い る の で 、軟 が 非 常 に よ く 、茎 は 今 ま で に な い ほ ど 丈 は し っ か り 伸 び ま す 。花 穂 の 詰 ま り と 比 べ る と 、格 段 に 純 白 度 が 高 く 、草 「 レ ジ ェ ホ ワ イ ト 」は 従 来 の 白 系 品 種 「レジェ」 シリーズ全体の特長 丈 も 十 分 伸 び 、茎 は か た く な り ま す 。 26 2015 タキイ最前線 夏号 ↑「レジェホワイト」は従来白系品種に比 べ、純白度が高く目を引く。 ↑「レジェイエロー」は花色が濃い鮮明な 黄色で、花弁も傷みにくく落花しにくい。 花 穂 は よ く 詰 ま り 、ボ リ ュ ー ム が あ り 播種になります 。 週間で本葉 風を心掛けます 。 枚程度まで生育させ ℃前後ですが高温 かん れい しゃ す 。ま た 、徒 長 さ せ な い よ う 涼 温 ・ 通 光下で管理し表面の高温乾燥を防ぎま 期の播種になるので、寒冷紗などの遮 ま す 。発 芽 適 温 は 後 グ ト レ イ に 各 2 ~ 3 粒 ま き に し 、播 種 ます。「レジェ」シリーズの中では最 月 ●定植 元肥は a当たり : : を成分 量 で 各 ㎏ 程 度 を 施 し 、定 植 間 隔 は 株 間 ㎝ の 6 条 程 度 と し ま す 。定 植 時 期 ℃以上になるような はまだ高温であり貧弱な早期開花にな りやすいため 、 ら 寒 冷 紗 な ど で 遮 光 し て 、施 設 内 の 温 度を上げないよう注意します 。 ●摘芯と生育期の栽培管理 金魚草は一般的にピンチ栽培が行わ れ ま す 。定 植 後 日 ほ ど し た ら 、本 葉 ・ 回ピンチや を 2 節 程 度 残 し て ピ ン チ し ま す 。ピ ン チ す る 節 位 や 回 数( 2 回 ピ ン チ )を 変 え る こ と で 、1 番 花 の 本 数 や 開 花 時 期 が 変 わ る た め 、栽 培 に応じてピンチのタイミングや定植間 隔 を 調 整 し ま す 。ピ ン チ 後 の 側 枝 が 伸 長 し て き た ら 、フ ラ ワ ー ネ ッ ト を 2 〜 図 摘芯(ピンチ)栽培の仕立て方 例 2回ピンチ。 枝数多くなる。 1回ピンチよ りは定植間隔 を広くする。 ● 番花の収穫と その後の管理 5〜6輪開花したころが収穫適期で す 。本 品 種 は 番 花 の 発 生 も よ く 、春 1 まで連続的に採花することが可能です 。 「 レ ジ ェ ピ ン ク 」に 関 し て は 、従 来 品 種と同様の管理でより品質の高いもの に仕上がりますが、「レジェホワイト」 と「 レ ジ ェ イ エ ロ ー 」 の 品 質 を さ ら に 高 め る た め に は 、や や 異 な る 管 理 が 必 促すことが可能です。茎のかたい品 。 要 と な り ま す( 栽 培 Q & A 参 照 ) 品種ごとに管理方法の違い 温度は8℃以上を目標としてくださ 種なので軟弱にはなりません。最低 品種のうち、 温 期 の 栽 培 に 注 意 が 必 要 で す 。こ の ロ ー 」 と「 ホ ワ イ ト 」 に つ い て は 低 しやすい品種なので、通常の管理で 「ピンク」はバランスのとれた栽培 あります。 い。電照もスムーズな伸張に効果が 品 種 は 秋 の 早 出 し の 高 温 時 や 、水 特 に 穂 詰 ま り の よ い「 イ エ 「 レジェ」 はありますか 。 ■栽培Q&A 2 種子は細かいので覆土は必要ありま せ ん 。2 8 8 ~ 4 0 6 穴 サ イ ズ の プ ラ 高冷地 4 も 栽 培 性 が 高 く 、作 り や す い 品 種 で す 。 栽培のポイント (ノーピンチ) 4 3段張ります 。 し ま す が 、暖 地 の 無 加 温 栽 培 な ど 、 徒長せずしっかりと穂詰まりを維持 はけが悪い土地での栽培においても わせた管理を心掛けてください。 いをしっかり把握し、それぞれに合 問題ありません。品種間の特性の違 冬季の低温管理では上に伸長する力 が 抑 え ら れ 、茎 が 太 り 花 穂 も 短 く 太 くなることがあります(写真参照)。 茎の肥大を抑えるため、従来品種 よりも2番花の追肥は半分から3分 の1程度の控えめにします。潅水量 ・回数を増やすことで花穂の伸びを ↑茎が太り草姿が乱れた株。 K ●播種 (ピンチ栽培) 1.5 回ピンチ。 1番花の時期を 分散する。 1回ピンチ。 通常のピンチ 仕立て。 3 P 5 AQ N 1 2 10 15 一般地から暖地の作型では 、 月中 旬 ~ 月 が 播 種 適 期 と な り ま す 。高 冷 暖地∼一般地 20 25 10 開花期 生育期 加温 摘芯 定植 15 7 7 播種 6 5 4 3 2 1月 12 11 10 9 8 7 6月 作 型 月下旬~ 6 8 地早出しの作型では 、 金魚草「F₁レジェ」シリーズの作型表 27 2015 タキイ最前線 夏号