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「青森市たばこの健康被害防止対策骨子」(PDF:47KB)

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「青森市たばこの健康被害防止対策骨子」(PDF:47KB)
青森市たばこの健康被害防止対策骨子
青
森
平成24年3月
市
1.たばこによる健康被害防止に向けた国内外の動向と本市の課題
(1)たばこによる健康被害防止についての世界的動向
平成15年5月21日、世界保健総会において「たばこの規制に関する世界保健機関枠組
条約」が採択された。この条約は、世界保健機関(WHO)の下で作成された保健分野におけ
る初めての多数国間条約であり、たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から現在および将来
の世代を保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制とたばこの
規制に関する国際協力について定めたものである。
わが国においても、平成16年6月8日に同条約を受諾しており、平成17年2月27日
に条約の効力が発生したため、これまで各国が個別に実施していたたばこ対策について、国
際協力の枠組みの中で、下記事項について具体的な取組を行うことが義務づけられている。
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約で締約国に課せられている主な事項
1. 職場等の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果
的な措置をとる。
2. たばこの包装及びラベルについて、消費者に誤解を与えるおそれのある形容的表示
等を用いることによってたばこ製品の販売を促進しないことを確保し、主要な表示
面の 30%以上を健康警告表示に充てる。
3. たばこの広告、販売促進及び後援(スポンサーシップ)を禁止しまたは制限する。
4. たばこ製品の不法な取引をなくするため、包装に最終仕向地を示す効果的な表示を
行うことを要求する。
5. 未成年者に対するたばこの販売を禁止するための効果的な措置をとる。
6. 条約の実施状況の検討及び条約の効果的な実施の促進に必要な決定等を行う締約国
会議を設置する。締約国は、条約の実施について定期的な報告を締約国会議に提出
する。
-1-
(2)わが国におけるたばこの健康被害防止対策について
国では、平成12年に策定された「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」
において「たばこ」に関する目標の一つとして「公共の場及び職場における分煙の徹底及び
効果の高い分煙に関する知識の普及」を掲げ取り組んでいるほか、平成15年から施行され
ている健康増進法第25条に受動喫煙の防止を義務付け、様々な取組を推進してきたところ
である。
平成17年2月には、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(以下「条約」と
いう。)が発効し、平成19年6月から7月にかけて開催された第2回締約国会議において、
「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」がコンセンサスをもって
採択された。これにより、条約の締約国として、たばこ対策の一層の推進が求められている。
こうしたことから、国においては、平成21年3月に「受動喫煙防止対策のあり方に関す
る検討会報告書」をまとめ、受動喫煙防止対策に関して、今後の対策の方向性などを示すと
ともに、現在、職場における受動喫煙防止対策を推進するべく、関連法の改正に向けた取組
が進められている。
健康増進法と労働安全衛生法による受動喫煙防止対策
健康増進法第25条
労働安全衛生法
努力義務
(快適職場環境の形成)
努力義務
多数の者が利用する
施設の管理者
対象:住民、利用者、
顧客等
・多数の者が利用する公共的空間は原則禁煙
・全面禁煙が困難な場合は、当面、適切な受
動喫煙対策でも可
・屋外でも子どもが利用する公共的空間では
受動喫煙防止への配慮が必要
(H22年2月 健康局長通知)
-2-
飲食店、
旅館等
事業場
(事務所、工場等)
対象:労働者
・2020年までに受動喫煙のない職場の実現
(新成長戦略H22.6閣議決定)
・労働者の健康被害防止対策として、労働
安全衛生法の改正
(3)青森市の地域特性と課題
本市においては、平成15年の健康増進法の制定以降、国のたばこによる健康被害の防止
対策の進展にあわせ、禁煙週間などの機会を通じ、市民や事業者に対して、受動喫煙の防止
や禁煙支援をおこなってきている。最近では公共施設などを中心に分煙化や禁煙化が進んで
きているものの、民間施設も含めた公共的空間では、未だに受動喫煙防止の対策が講じられ
ていない施設も多く、市民や観光客から公共空間での喫煙に関する苦情も多く寄せられてい
る。また、駅前広場や公園などの屋外公共空間における歩きたばこやポイ捨て防止など、た
ばこに関する総合的な対策が求められている。
特に、本県は、平均寿命が男女ともワーストワンの短命県であり、全がんの75歳未満年
齢調整死亡率でも、全国ワーストワンとなっている一方で、平成19年の国民栄養調査では、
本県成人の喫煙率が全国2位で、約3人に1人が喫煙者という高い割合を示している状況に
あり、喫煙による健康被害が世界的にも問題視されている実情を踏まえると、本県の地域保
健が抱える課題は大きく、医療や検診などの充実と併せて、生活習慣病の予防対策としても
喫煙率の低下が喫緊の課題となっている。
また、本市の乳幼児のいる世帯への調査(平成21年∼22年度)では、全体の6割の世
帯に喫煙者がおり、なおかつ乳幼児の成長につれて、乳幼児の周りで喫煙する度合いも増加
してきていることが明らかになっている。加えて、平成19年に県内児童生徒約4万2千人
を対象とした調査(弘前大学大学院医学研究科等実施)では、高校3年生の男子で11.6%
が習慣喫煙者であり、母親の喫煙とこどもの喫煙にも関連性が見られる結果となっている。
こうした実情を踏まえ、未成年者の喫煙防止とこどもの受動喫煙防止を徹底するほか、こど
もをたばこに触れさせないような社会環境づくりが急務となっている。
(世帯数)
喫煙世帯
子どもの近くで喫煙
子どもを避けて喫煙
非喫煙
53.1% (1,175)
37.9% (839)
1歳6か月児 4.6% (99)
55.7% (1,200)
39.7% (854)
4か月児 2.5% (54)
59.5% (1,275)
38.0% (813)
3歳児
9.0% (199)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
平成 22 年度
70%
90%
100%
乳幼児健康診査問診表より調査
3 歳児健康診査受診世帯数
2,213 世帯
1 歳 6 か月児健康診査受診世帯数
2,153 世帯
4 か月児健康診査受診世帯数
2,142 世帯
-3-
80%
2.検討に当たっての基本的な視点
(1)たばこに起因する諸課題への総合的な対策
国内外のたばこの健康被害に関する動向や本市の地域課題を踏まえ、対策の目指すべき方
向については、健康増進法などに基づく受動喫煙の防止対策と、生活習慣病の予防のための
禁煙対策のほか、歩きたばこやポイ捨てに対応する環境衛生対策も含め、本市におけるた
ばこを起因とする諸課題に対して的確に対応し、公衆衛生の向上を図るべきである。
受動喫煙
対
策
公衆衛生の向上
禁
煙
対
策
環境衛生
対
策
(2)地域実情などを踏まえ実効性を確保する
本県は全国2位の喫煙率であり、特に成年男子における喫煙率は約 50%を数え全国1位と
なっており、喫煙者の多い地域である。受動喫煙の防止には、「他の人がいるところでは喫
煙しない」などの喫煙者の協力が不可欠であるため、一定期間をかけ社会環境の変動に応じ
た段階的な対策を講じていく必要がある。
また、喫煙は様々な場所で行われており、職場や家庭、外出先など喫煙者がいるあらゆる
場所で受動喫煙の健康被害が生じる可能性があり、その防止には、喫煙者はもちろんのこと、
官公庁・病院などの公共施設やショッピングセンター・ホテル・飲食店などの民間施設の各
管理者など多様な主体の協力が必要となる。こうした多様な主体は、喫煙に対する認識や対
応も異なることから、それぞれの特性を踏まえた対策の検討も必要である。
(3)将来的な喫煙率の低下につなげる
本県は全国一短命県であり、全国と比較し生活習慣病による死亡率も高く、健康増進に向
けた課題を抱えた地域である。その中にあって、喫煙率は全国2位と高く、喫煙による健康
-4-
被害の実情を踏まえると、喫煙率の低下を図る必要がある。
しかしながら、たばこの健康に与える悪影響についての認識は未だ十分ではなく成人喫煙
者への禁煙相談などでは、たばこの持つ依存性から禁煙成功率が低い現状もあり、たばこの
健康被害に関する正しい知識の普及や禁煙支援とともに、未成年の段階から、将来喫煙者と
ならないような対策を講じ、将来的な喫煙率の低下を図る必要がある。
(4)国や県との役割分担による重層的で効果的な対策
喫煙による健康被害の防止に向けて、国においては健康増進法に基づき、公共的空間の施
設管理者に対する受動喫煙の防止対策等の義務化のほか、勤労者の健康障害防止に向けた労
働安全衛生法の改正が進められているなど、国内外の世論の高まりを受け、諸対策が進めら
れてきている。また、神奈川県で受動喫煙防止条例が制定されたほか、兵庫県などでも条例
制定に向けた検討が進んでおり、都道府県単位での取り組みも見られることから、各行政機
関の役割を踏まえつつ、市の取るべき対策を検討する必要がある。
3.たばこによる健康被害防止対策の基本方針
国内外の社会要請や本市地域の課題などを踏まえ、今後、公衆衛生の観点から具体的な対
策を検討する上で、次の基本方針に沿って検討を重ね、本市の実情に即した適正で効果的な
対策を講じるべきものと考える。
(1)たばこの煙にさらされることを防止するためのガイドラインの策定
・たばこの煙にさらされることのない社会の構築に向けては、非喫煙者にたばこの煙の害
が及ばないような対策を講じる必要があり、喫煙者をはじめ、不特定多数が集う施設の
管理者等の社会全体の協力が不可欠である。
・喫煙による健康被害についての防止に向けた行政、企業、市民など社会全体の役割と具
体的な対策のあり方を示したガイドラインを策定し、地域一体となって継続性を持ちな
がら段階的に取組むべきである。
・また、ガイドラインには、喫煙による健康への悪影響や国内外の動向など、たばこに関
する諸情報も掲載しながら、ガイドライン策定の背景をわかりやすく伝え、地域の理解
と協力を得られるような内容とすべきである。
(2)全面禁煙化を進めるべき施設等の検討
・たばこによる健康被害防止のためには、全面禁煙が極めて有効な対策であり、多数の者
-5-
が利用する公共的空間は原則として全面禁煙であるべきである。
・ただし、全面禁煙が極めて困難な場合等は、当面、施設の利用形態に応じた受動喫煙対
策を進めざるを得ないことから、先導的に全面禁煙とすべき施設等を下記のとおり示す
べきである。
①
②
③
④
官公庁の事務所、市の管理する施設
医療機関などの健康増進施設
公共交通機関
保育所、幼稚園、学校等の福祉教育施設
(3)こどもをたばこの煙から守る
・未成年者の喫煙は法律でも禁じられており、心身共に未発達の未成年が喫煙することは、
将来の疾病へのリスクが大幅に増加するということについて、社会全体とりわけ保護者
や教育機関、たばこ関係業界が真剣に認識し、未成年者には「絶対たばこは吸わせない」
という厳格な姿勢が必要である。
・受動喫煙に関しても、家庭に限らず、外出先などのあらゆる場所で発生する危険があり、
地域全体で「こどものいる前では吸わない、吸わせない」といった対策も必要である。
・対策としては、学校や保護者、関係機関等の緊密な連携のもと、喫煙が成長過程にある
こどもたちに及ぼす影響について、小学生の低学年から、教育・指導を徹底するほか、
ファミリーレストランや遊戯施設など未成年者が利用する施設に対し、全面禁煙を強く
勧めることで、未成年者をたばこから遠ざけ、たばこの煙の被害から守るべきである。
・乳幼児は特に健康被害を受けやすいことから、家庭内や地域社会での受動喫煙防止のた
めに、社会全体で妊婦やこどもをたばこの煙から守ることを啓発するとともに、妊婦・
乳幼児健診やマタニティセミナーなどの様々な機会を通じて、妊娠や子育てを契機とし
た禁煙を積極的に進めるべきである。
(4)喫煙による健康被害に関する適正でわかりやすい情報の提供
・国において、喫煙や受動喫煙による健康への悪影響については、科学的に明らかになってい
るとしており、市民が喫煙や受動喫煙による健康被害について十分理解するとともに、施
設の管理者などは施設内での受動喫煙防止対策について正しく理解する必要がある。
・対策としては、行政が各種市民団体などと連携しながら、こうしたたばこの健康被害やその
防止対策について、わかりやすい情報提供を行うとともに、その認知度に関する状況を把握
し、喫煙者並びに喫煙者の周りにいる者が、たばこの健康への悪影響について、正しい
判断ができるように、国や国内外の公共的機関等が示す科学的根拠に基づき、適正な情
報提供に努める必要がある。
・また、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」を受けて、締約国会議で様々な
対策が検討されているところであり、今後、国内での対策が進展することが想定される
-6-
ことから、国際的な情報についても逐次情報収集に努め、その状況を周知する必要があ
る。
(5)運動テーマ設定などによる効果的な広報活動
・受動喫煙による健康被害は、職場や家庭、外出先など喫煙者がいるあらゆる場所で生じ
る可能性があり、その防止には、喫煙者はもちろんのこと、官公庁・病院などの公共施
設やショッピングセンター・ホテル・飲食店などの民間施設の各管理者など、多様な主
体の協力が必要である。
・こうした多様な主体は、喫煙に対する認識が異なるゆえに、その対応もまちまちと
なっているのが現状であり、安全な市民生活を確保するために、適正かつ連携した
対応が求められるべきものである。
・対策としては、地域全体の多様な主体が共通認識を持ち、同じ方向性を持った対応
がなされるよう、喫煙による健康被害防止に向けた統一的な運動テーマを設定し、
パンフレットの配布、広報紙やマスコミの活用、講演会、シンポジウムの開催など多様
な広報活動も行いながら、継続的な運動を展開し、市民をはじめ多様な主体の機運
を醸成していく必要がある。
・運動効果を高めるため、一定期間の集中キャンペーンやITを活用した啓発なども
行い、市民や事業者への効果的な広報活動の確保に配慮すべきである。
(6)禁煙・分煙化への取組に対する支援措置の検討
・不特定多数が利用する公共的空間の施設管理者に受動喫煙防止の努力義務が課せられて
いるが、こうした施設管理者には、多くの中小企業者が含まれ、その施設も狭隘なこと
から、分煙などの措置を講じる場合は、相当の経費負担が見込まれる。
・現在、国においては受動喫煙対策に要する経費の一部を助成する支援を創設したところ
であり、これに呼応し市としても低利融資を行うなど、資金的な支援を行う必要がある。
・そのために、受動喫煙防止対策の具体的な方法などを周知し、事業者がスムーズに受動喫
煙防止対策を進めていけるよう、対策についての情報提供や技術面での支援も含めた相
談窓口を設置する必要がある。
また、飲食店や旅館などの営業届出の際、受動喫煙防止に関する指導や助言を行うこと
も含めて、検討すべきである。
・さらに、たばこの持つ依存性等を考慮すれば、禁煙に取り組みやすい支援も必要であり、
禁煙外来や薬局との連携のほか、禁煙に関する取組が継続するように効果的な禁煙指導
や支援を行う必要がある。
-7-
(7)取組事業者へのインセンティブの付与
・不特定多数が利用する公共的空間の施設管理者は、本市の場合、飲食店や旅館・ホテル
など顧客サービスの施設管理者が多く、こうした民間施設での対策が十分浸透しないこ
とには、たばこによる健康被害から逃れることができない。
・こうした施設は、顧客のニーズを踏まえた施設管理が求められていることから、喫煙空
間を好まない顧客のニーズを差別化し、個別店舗の対応の転換を促進させることが効果
的である。
・対策としては、受動喫煙対策が行われている店舗情報を、利用者たる市民や観光客にわ
かりやすく伝え、喫煙空間を好まない顧客が適正に選択できるような仕組みを構築する
とともに、そうした喫煙を好まない顧客ニーズを事業者へフィードバックするといった
事業者が取り組みたくなるようなインセンティブの付与なども検討し、事業者側の取組
意識を醸成すべきである。
(8)ポイ捨てや歩きたばこの防止など環境衛生面にも配慮した対策
・全国の自治体では、たばこのポイ捨てや歩きたばこが地域問題となっていることから、
独自に規制する条例を定め、積極的に対策を講じている状況にある。本市においても、
たばこのポイ捨てや歩きたばこに関する苦情は多く、効果的な対策が求められていると
ころではあるが、施設や道路等の管理者の判断に任せているのが実情である。
・国では、「屋外空間であっても、こどもの利用が想定される公共的な空間では受動喫煙
防止の配慮が必要である」としており、受動喫煙といった観点での対策も求められてい
ることから、屋外空間においても、それぞれの特性に応じて、禁煙エリアと喫煙可能な
エリアを区別し、単にポイ捨てや歩きたばこに限らず、受動喫煙防止といった観点も含
めた総合的な対策を講じるべきである。
(9)市民、団体、企業、行政など多様な主体との協働による推進体制の構築
・喫煙による健康被害のない社会の実現に向けては、職場や家庭、外出先など喫煙が行わ
れるあらゆる場所で、被害防止に向けた効果的な対策が行われていく必要があり、喫煙
者はもちろんのこと、官公庁や病院などの公共施設やショッピングセンター・ホテル・
飲食店などの民間施設の各管理者など多様な主体の協力が必要である。
・こうした多様な主体の能動的で継続的な協力を確保するため、たばこによる健康被害の
防止を推進する運動母体を立ち上げ、地域全体での協働による推進体制を構築すべきで
ある。
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