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要約版 - 日本介護支援専門員協会
平 成 23 年 度 厚生労働省 老人保健事業推進費等補助金 (老人保健健康増進等事業分) レスパイトケアの推進に資する 短期入所生活介護のあり方に関する調査研究事業 報告書 要約版 平成 24 年 3 月 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 1 2 はじめに 介護保険制度は、要介護状態等となった場合も、できる限り住みなれた地域や自宅 で、その能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう、利用者本人の選択 に基づいた適切なサービスが、多様な事業者・施設から総合的かつ効率的に提供され る仕組みとして定着をしてきました。 一方で、要介護者等が地域や在宅での生活を継続していくためには、少なからず介 護者との関係性が影響し、特に介護者の負担軽減は大きな課題の一つとなっています。 これまで、こうした介護者の休養や QOL の確保は、在宅ベース(訪問介護等)や地域 ベース(通所介護等)など様々な形で、「レスパイトケア」として提供されてきまし た。中でもショートステイ(短期入所生活介護等)のような入所型施設におけるレス パイトケアは、要介護者等が長く地域や在宅での生活を継続していく上で、大きな役 割を担ってきたと言えます。 しかしながら、ショートステイについては、「利用者や介護者の希望に応じた利用 ができない」 「緊急時には空きがない」、また「利用者の多様なニーズに十分に応えら れていない」などの課題も多く指摘され、またその実態は十分に把握されてこなかっ たとも言えます。 今回、本事業では、レスパイトケアとしてのショートステイ(短期入所生活介護等) の利用状況についての実態を調査し、その必要性と課題を整理していき、その上で、 より要介護者等が安心して在宅生活を継続していくためのレスパイトケアの在り方 についての提言を行いたいと思います。 また、今回、調査にご協力をいただいた全国の短期入所生活介護サービス事業所並 びに当協会の会員の皆様には、多大なご協力を賜り、この場をお借りして感謝申し上 げますとともに、本調査が、よりよいケアマネジメントの推進、如いては、介護者の 適切なレスパイトが、併せて利用者本人にとっても健康や暮らしを改善し、また新し い社会活動の機会となることの一助となれば幸いです。 平成 24 年 3 月 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 会長 3 木村 隆次 目 次 要約 ............................................................................. 3 1.調査目的 ..................................................................... 3 2.事業実施体制 ................................................................. 4 (1)研究委員会およびワーキンググループの設置 ................................... 4 (2)会議の開催 ................................................................. 6 3.調査方法 ..................................................................... 8 (1)アンケート調査 ............................................................. 8 (2)ヒアリング調査 ............................................................. 10 4.調査結果の要旨 ............................................................... 11 (1)短期入所サービスの現状 ..................................................... 11 (2)短期入所サービスの役割と機能発揮に向けて ................................... 13 本調査を受けての提言 ............................................................. 19 1.短期入所サービスの役割の明確化 ............................................... 19 2.他サービスとの連携による在宅生活継続可能性の拡大 ............................. 20 3.緊急時の受け入れにおける行政の支援 ........................................... 21 4.ケアマネジメントの質の向上 ................................................... 21 4 要 約 1 2 要 約 1.事業目的 レスパイトケアは制度的には 1976 年に短期入所としてスタートしたが、特に高齢者介護にお けるレスパイトケアは介護保険制度において短期入所生活介護・短期入所療養介護として位置 づけられたことで現在では全国的に広がりつつある。しかし、住まう場所が変わることで利用 者の日常生活が崩れる場合があること、 (ケアを休む必要性の認識が低い場合においては)家族 がケアを休むことへの抵抗、満床や医療的ケア・認知症ケアが提供できない等で緊急対応でき ない場合がある等の問題点もあり、現状はまだ必要充分ではないと考えられている。 本事業ではそうした現状を踏まえ、レスパイトケアの観点から介護保険制度における短期入 所生活介護の在り方を検討するため、短期入所サービス(以下、特に区別しない場合は短期入 所生活介護)の利用率・予約の実態・キャンセル率等とケアプラン、利用者とのマッチング、 緊急時における介護支援専門員及び短期入所サービス事業者の対応等を地域差・利用者の家庭 環境(独居・老老・同居)等を踏まえた調査を行う。 視点1:短期入所サービス利用状況の定量的把握 短期入所サービスについてはこれまでも、定員が不足しており必要な時に利用できない、介 護老人福祉施設の入所待ちなどで長期間利用されているケースがある、などの問題点が指摘さ れてきたが、それらを実証的・数量的に把握した調査は無かった。 本調査では、短期入所サービスに関するそうした検討の前提となる短期入所サービスの利用 実態を、全国的な実態調査により数量的なデータで把握した。また、短期入所サービスをケア プランに位置づける介護支援専門員の意識についても数量的に把握した。 視点2:これまで検討されてきた問題点の把握 介護保険サービスにおける短期入所サービスはレスパイトケアの位置づけであるが、その位 置づけと異なる目的で利用されることが多い、家族がケアを休むことへの抵抗が強い、満床で 緊急時に即応的に対応できない、医療的ニーズに対応できない、認知症ケアが提供できない、 等の問題点が指摘されてきた。しかし信頼できる定量的データがなかったために議論が深まっ てこなかった経緯がある。 本調査では定量的なデータを提供することで、これらの問題点についても論点を明確にする ことに資することを狙いとする。 視点3:基準改定検討に資するデータの取得 本調査では短期入所サービスの利用状況・問題点を定量的に把握することを狙いとしたが、 更に介護保険制度運用の改善にも視野を広げ、運用の基準改定でどこを修正すれば使い勝手が よくなるかといったことまで視野に入れた検討を行った。 3 2.事業実施体制 (1)研究委員会およびワーキンググループの設置 1)研究委員会名簿 氏 ◎ 名 井形 昭弘 川原 秀夫 北村 俊幸 鴻江 圭子 助川 未枝保 滝川 英一 平井 基陽 所 属 名古屋学芸大学 学長 全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会 代表 一般社団法人 日本在宅介護協会 研修広報委員会 副委員長 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 副会長 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 副会長 社団法人 日本医師会 介護保険課長 社団法人 全国老人保健施設協会 副会長 オブザーバー 菊池 芳久 三森 雅之 北村 夏樹 折茂 賢一郎 水上 直彦 木村 隆次 厚生労働省 老健局 振興課 課長補佐 厚生労働省 老健局 振興課 基準第二係長 厚生労働省 老健局 振興課 基準第二係 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 常任理事 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 常任理事 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 会長 ※◎は委員長 50 音順 所属は就任当時 4 2)ワーキンググループ名簿 氏 名 阿部 学 ◎ 折茂 賢一郎 助川 未枝保 平尾 悟 水上 直彦 山田 剛 山本 重治 横手 喜美恵 所 医療法人 仁和会 しらゆり居宅介護支援事業所 介護支援専門員 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 常任理事 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 副会長 社会福祉法人 修央会 特別養護老人ホーム船橋百寿苑 介護支援専門員 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 常任理事 医療法人社団 主体会 介護老人保健施設みえ川村老健 副施設長 社会福祉法人 信愛会 沼津市南部地区戸田地域包括支援センター センター長 株式会社 マザーハウス 代表取締役 オブザーバー 菊池 芳久 三森 雅之 北村 夏樹 属 厚生労働省 老健局 振興課 課長補佐 厚生労働省 老健局 振興課 基準第二係長 厚生労働省 老健局 振興課 基準第二係 ※◎は座長 50 音順 所属は就任当時 5 (2)会議の開催 1)研究委員会の開催 第 1 回研究委員会 日時 平成 23 年 7 月 30 日(土)10:00~12:00 場所 全国町村会館 2 階 第 3 会議室 内容 ・事業内容について ・アンケート調査について ・今後のスケジュールについて 第 2 回研究委員会 日時 平成 23 年 9 月 12 日(月)17:00~19:00 場所 東京ステーションコンファレンス 601 会議室 内容 ・調査結果の中間報告について ・アンケート回答促進・回収率の是正について ・ヒアリングについて ・今後のスケジュールについて 第 3 回研究委員会 日時 平成 24 年 1 月 24 日(火)17:00~19:00 場所 東京ステーションコンファレンス 601 会議室 内容 ・報告書案について 2)ワーキンググループの開催 第 1 回ワーキンググループ 日時 平成 23 年 7 月 22 日(金)10:00~12:00 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・事業内容について ・アンケート調査について ・今後のスケジュールについて 第 2 回ワーキンググループ 日時 平成 23 年 9 月 9 日(金)10:00~13:00 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・調査結果の中間報告について ・アンケート回答促進・回収率の是正について ・ヒアリングについて ・今後のスケジュールについて 6 第 3 回ワーキンググループ 日時 平成 23 年 10 月 7 日(金)18:00~20:00 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・アンケート調査について ・ヒアリング調査について ・今後のスケジュールについて 第 4 回ワーキンググループ 日時 平成 23 年 11 月 11 日(金)18:00~20:00 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・ヒアリング対象施設について ・ヒアリング調査項目について ・外れ値の検討 ・今後のスケジュールについて 第 5 回ワーキンググループ 日時 平成 23 年 12 月 16 日(金)18:00~20:00 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・アンケート調査結果について ・ヒアリングについて ・今後のスケジュールについて 第 6 回ワーキンググループ 日時 平成 24 年 1 月 14 日(土)15:30~17:30 場所 日本介護支援専門員協会 会議室A 内容 ・ヒアリング結果について ・報告書のとりまとめについて ・今後のスケジュールについて 3)ヒアリング調査の実施日 No. 第1回 第2回 第3回 第4回 日時 平成 24 年 1 月 10 日(火) 10:00~12:00 平成 24 年 1 月 10 日(火) 15:30~17:30 平成 24 年 1 月 13 日(金) 15:00~17:00 平成 24 年 1 月 14 日(土) 13:00~15:00 都道府県 施設名 社会福祉法人 杉樹会 東京都 特別養護老人ホームさんじゅ久我山 社会福祉法人 親和福祉会 東京都 特別養護老人ホーム小松原園 社会福祉法人 大阪府社会福祉事業団 大阪府 特別養護老人ホーム高槻荘 社会福祉法人 修央会 千葉県 特別養護老人ホーム船橋百寿苑 7 3.調査方法 本事業では、アンケート調査(全国の傾向把握)及びヒアリング調査(事例の詳細把握)を 行った。 (1)アンケート調査 レスパイトケアの推進に資する短期入所生活介護の利用状況把握及びあり方を検討するため、 居宅介護支援事業所の介護支援専門員、および短期入所生活介護事業所を対象としたアンケー ト調査を実施した。 1)調査票の構成 本調査では、介護支援専門員調査票および短期入所生活介護事業所調査票の 2 種類の調査票 を用いて調査を実施した。 回答者 【介護支援専門員調査票】 【短期入所生活介護事業所調査票】 居宅介護支援事業所の 介護支援専門員 施設等で、利用者の受け入れ等を 担当している職員 ・事業所属性、回答者属性 ・事業所属性、職員体制、医療処置 ・短期入所サービス利用者の状況 ・短期入所利用者の受け入れについて (利用者数、利用目的、利用の難し ・利用者のケアについて さ、利用できない場合とその対応、 ・緊急短期入所ネットワークについて 利用パターン、利用効果など) ・必要性の判断について ・施設運営の課題と介護保険制度への 要望 など ・受け入れ先の確保について ・利用にあたっての課題 など 【利用者個別票】 内 容 【利用者個別票】 平成23年5月~7月に短期入所介護を 平成23年5月~7月の利用者で1ヶ月以 利用した人3名、利用していない人3 上長期利用者3名、リピーターの利用 名について 者3名、対応に苦労している利用者3 ・利用者属性(性別、年齢、要介護度、 名について 主な疾患、医療処置、介護者の状況、 ・利用者属性(性別、年齢、要介護度、 利用しているサービス) 主な疾患、医療処置、介護者の状況、 ・宿泊サービスの利用 利用しているサービス) ・短期入所サービスの必要性 ・宿泊サービスの利用 ・利用前後のADL変化 ・短期入所サービスの必要性 ・利用前後のADL変化 8 2)調査対象 調査対象は、全国の居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員および短期入所生活介護 事業所とした。 調査対象事業所および配布数 対象 居宅介護支援事業所に勤務する 介護支援専門員 短期入所生活介護事業所 対象数 4,000 4,000 選定方法 日本介護支援専門員協会会員名簿より 都道府県別に層化無作為抽出 WAM-NET 登録事業所より 都道府県別に層化無作為抽出 3)調査方法 郵送により配布し、同封した返信用封筒にて回収した。 4)調査票の記入 介護支援専門員調査票は、居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員に記入をお願いし た。 短期入所生活介護事業所票は、各施設において利用者の受け入れ等を担当している職員 1 名 (介護支援専門員、生活相談員、介護計画作成担当者等)に記入をお願いした。 5)調査実施時期 平成 23 年 8 月~10 月 6)回収の状況 投函日は平成 23 年 10 月 31 日を締切りとし、平成 23 年 11 月末日までに回収できた調査票を 分析の対象とした。 調査票種別の有効票数は以下の通りである。 介護支援専門員 短期入所生活介護事業所 調査票 調査票 配布票数 4,000 4,000 有効票数(集計対象) 1,054 1,340 回収率(%、対配布数) 26.4% 33.5% 9 (2)ヒアリング調査 1)調査対象および実施スケジュール ヒアリング調査の調査対象および実施スケジュールを以下に示す。 回数 第1回 第2回 第3回 第4回 日時 平成 24 年 1 月 10 日(火) 10:00~12:00 平成 24 年 1 月 10 日(火) 15:30~17:30 平成 24 年 1 月 13 日(金) 15:00~17:00 平成 24 年 1 月 14 日(土) 13:00~15:00 都道府県 東京都 東京都 大阪府 千葉県 施設名 社会福祉法人 杉樹会 特別養護老人ホームさんじゅ久我山 社会福祉法人 親和福祉会 特別養護老人ホーム小松原園 社会福祉法人 大阪府社会福祉事業団 特別養護老人ホーム高槻荘 社会福祉法人 修央会 特別養護老人ホーム船橋百寿苑 2)調査方法 調査員(ワーキンググループ委員、日本介護支援専門員協会事務局員、三菱総合研究所)が 訪問し、1~2 時間程度の聴き取り調査を行った。 3)調査項目 ヒアリングの調査項目は以下の通りとした。 1.短期入所利用者の受入について 1-1.利用者受入の基本方針 1-2.現在の受入の状況(稼働率、空床率、利用パターンの内訳、現状の問題点) 1-3.受入を優先する状況と優先受入の判断の方法 1-4.予約段階で受入不可能と判断する条件、事例 1-5.より受け入れやすくするための工夫、取組の内容 2.緊急短期入所ネットワークの利用について 2-1.緊急短期ネットワーク形成の経緯 2-2.緊急短期ネットワークの利用状況(利用頻度、典型的な利用ケース) 2-3.緊急短期ネットワークの使い勝手、利用上の問題点 2-4.ネットワーク機能向上の方向(拡大、使い勝手向上、対応ケース拡大 など) 2-5.ネットワークが無い(参加していない)場合 3.利用者のケアについて 3-1.利用者へのケアの基本方針 3-2.短期入所サービス計画の作成状況(作成対象、作成時期、作成分野) 3-3.重点を置いているケアの内容、特徴的なケアの分野・内容 3-4.介護支援専門員のケアプラン作成への意見、要望(短期入所の立場から) 4.短期入所施設の運営に関する課題、要望 4-1.運営の今後の方向、それに向けた課題 4-2.介護支援専門員への要望 10 3.調査結果の要旨 以下に、アンケート調査とヒアリング調査から得られた結果の要旨をまとめる。 (1)短期入所サービスの現状 1)利用者の属性および利用目的 ・短期入所サービスの利用者は全体として要介護3が多く、要介護度が上がるほど短期入所サ ービスを利用する割合が高い。 ・短期入所サービスの利用前後で状態が悪化するケースは少なく、機能維持から改善に繋がっ ている利用者の割合は約 8 割を占めている。 ・短期入所サービスを利用する目的は、レスパイトが主となっている。冠婚葬祭利用の場合に は 3 日以下の短期利用が多く、認知症利用者の場合には 7 日以内が多い。 ・利用者別の平均利用日数は 10.26 日であり、月の 1/3 は短期入所施設で、2/3 は在宅で生活 している。 ・特養への入所待ちの利用者も 23.7%を占めている。入所施設の不足により、短期入所サービ スの利用期間が長くなっていると考えられる。 2)利用しやすくするための施設の取組み ・入所日の 2 か月前から予約を受け付ける施設が多い。定員より受付枠を多くしている施設も ある。 ・予約段階で、リピーターの利用者で多くのベッドが埋まってしまい、新規の利用者が利用し にくい状況となっている。 ・施設側では、空床情報を積極的に公開したり、予約を受けられなかった新規利用者を登録し ておき、空床が発生した場合に声をかけるなどの工夫をしている。 ・入所日数や日時の調整が容易でないことが利用しにくい原因となっているが、入退所の時間 については特に定めない施設もあるなど、フレキシブルに対応している。 3)人員体制 ・短期入所施設を対象としたアンケートの回答者の職種は生活相談員が約 7 割を占め、介護支 援専門員は 2 割に満たなかった。短期入所施設には介護支援専門員の配置が義務付けられて いないことによるものと考えられる。 ・短期入所施設の介護サービス計画作成者は生活相談員と介護支援専門員がそれぞれ約 40%で あり、必ずしもケアマネジメントの専門家ではない生活相談員が立案していることが少なく ない。 ・一方で、短期入所施設の生活相談員は経験年数が 1~4 年未満など経験が浅い人が増えており、 居宅の介護支援専門員や家族などとの調整に難渋することも増えてきていると言われている。 ・短期入所施設における人員は、全体では常勤職員による体制となっているが、医師や看護師 といった医療職では非常勤比率が高くなるなど、多大な医療ニーズに応えられる状況とは言 い難い。 ・また、夜間に看護師等が配置されている例は少なく、この点でも医療ニーズに応えにくい。 11 ⇒生活相談員の能力の向上とともに、生活相談員が作成する介護サービス計画に対して、居宅 の介護支援専門員が積極的に関与することも重要と考えられる。より質の高いケアマネジメ ントを行うためには介護支援専門員の配置、あるいは生活相談員の能力を向上させるための 教育などが望まれる。 4)利用者の受け入れについて ア)医療ニーズを有する利用者への対応 ・利用者のうち、必要とする医療処置がない人が 58.8%を占める。医療処置が必要な場合も、 その内容は摘便が 15.6%と最も高く、インスリン注射や褥瘡処置、胃ろうの管理などが必要 な利用者の割合は低い。すなわち、高度な医療処置が必要な利用者を受け入れていない現状 を示していると考えられる。 ・アンケートではインスリン注射、胃ろうの管理、褥瘡処置も「対応可能」という回答が多い が、実際の受け入れ状況とは異なっている。ヒアリングからは、受け入れ可能かどうかは人 員体制によることが分かった。 ・予約段階で利用を断るケースとしては、医療処置を要する場合が 87.9%と高い。短期入所生 活介護では、夜勤看護師が不在のことが多く夜間の体制が十分でないため、現実的にインス リン注射や喀痰吸引などの医療処置に対して対応しきれていない。 ・各施設では、対応可能な医療処置は多様になっているが、人員体制等の理由から、実際の受 け入れ状況は、利用者全体での割合として高いとは言えない。 ⇒施設側は医療ニーズを有する利用者に対応しようという姿勢はあるが、実態として受け入れ が難しい現状である。したがって、専門職との連携が重要となる。 イ)認知症を有する利用者への対応 ・認知症の利用希望者に対しては、1 泊または 2 泊のお試し利用で対応しているところが多い。 BPSD が激しい場合には、短期入所サービス利用ではなく別のサービス利用を検討し、変更し てもらうことがある。 ・利用者全体でも認知症の診断を受けたものが多く、また BPSD が出てきやすい「Ⅲa」以上の 利用者が半数を占める。 ・利用者のうち認知症を有する割合は高いが、BPSD を理由にサービス理由が断られるケースの 割合は少なく、認知症高齢者を抱える介護者の介護負担への対応が進んでいることが示唆さ れる。医療ニーズを有する利用者への対応と比較して、認知症を有する利用者に対する各施 設での対応は進んでいると言える。 ⇒利用者・家族の状況に応じた適切なサービス利用に向けて、居宅の介護支援専門員のケアマ ネジメント能力の向上も期待される。 ウ)感染症への対応 ・新規利用者の感染症情報を得にくいことが多い。 ⇒肝炎ウイルスなどの一般の慢性感染症に対しては、特に意識する必要はない。結核やノロウ イルス、インフルエンザなどの急性感染症については「水際作戦」が重要となる。そのため 12 には、居宅の介護支援専門員からの確実な情報提供と受け入れ側施設の生活相談員・介護支 援専門員による確認が重要である。 5)地域差について ・全体として、利用者の属性や利用状況および施設の受け入れ状況において、地域による大き な違いはみられない。 ・都市部では地方に比べて、より空床が少なく、利用者にとって利用しにくい状況となっている。 ・一方、地方では、利用者の絶対数および施設数が少ないことから、緊急短期入所ネットワー クを組むだけの施設数が確保できないことが把握された。 (2)短期入所サービスの役割と機能発揮に向けて 1) 「短期入所サービス」の意義、位置付けの再確認と明確化 ア)生活機能の維持 ・短期入所サービスでは「家庭での生活機能の維持・継続」が主目的になる。 ・短期入所サービスを利用すると利用者の ADL が低下するという声が聞かれるが、本調査の結 果では必ずしもそれは裏付けられなかった。 ・入所時に把握しているアセスメント項目・重視しているアセスメント項目では、IADL、リハ ビリテーション、生活史や趣味、家族介護力、現在利用しているサービス等の回答割合が低 かった。 ・アセスメントの視点などからは利用者の ADL に偏った情報収集の傾向が見られたが、これは レスパイトケアに意識が向くあまり、利用者本人の生活の質向上の観点が相対的に低くなっ ていることの現れと考えられる。 ・施設としては「事故をおこさない」 「悪化せずに帰す」というリスクの回避に重点が置かれて いることが伺える。 ・計画作成時にサービス担当者会議を重視するという回答が 46.9%と半数以下であり、居宅介 護支援事業所のアセスメント内容も 29.8%と低いことから、情報共有の意識の低さが明らか になった。 ・リハビリテーション、栄養、口腔機能改善はあまり取り組まれていない。 ⇒短期入所サービスでは「預かり」が中心となり、受け入れ時に目の前の現実にしか注目しな い傾向や、チームケアの考え方が少ないことが伺える。質の高いケアマネジメントが展開で きず、生活支援のみに終始しがちである可能性がある。施設におけるケアマネジメントの質 向上が望まれる。 ・短期入所専用棟を設ける施設と長期入所利用者との混合棟とする施設があり、どちらにも一 長一短がある。 専用棟:専用棟専任スタッフにより柔軟に対応できるメリット 混合棟:長期入所者となじみの関係になれるメリット ⇒事業所経営の視点や短期入所施設側からの視点ではなく、利用者にとって何が望ましいのか という視点から、環境を整えることが重要である。 13 イ)在宅生活の継続のために必要不可欠なサービス ・リピーターの利用者が 70~90%を占めている。サービス利用後に機能維持や改善がされてい るケースが多い。 ・利用目的の大半はレスパイトだが、本人にとっての効果すなわち生活を改善するようなプラ ンのあり方が望ましい。短期入所サービスの利用理由として「利用者本人の希望」という回 答も一定数あり、これはリピーター利用の場合であると考えられる。 「行って見たら楽しかっ た」というように友達関係ができることもある。 ⇒リピーター利用者が多いということは、短期入所サービスを定期的に利用することで在宅生 活が継続できている、すなわち在宅生活の継続のために必要なサービスであることを示して いる。 ⇒一方で、短期入所サービスを利用しているうちに次第に日数や回数が増加する傾向も見られ る。施設入所や利用日数の長期化を防ぐためにも、居宅の介護支援専門員の質の高いマネジ メントが求められる。 ウ)宿泊付きデイサービスとの関係 ・短期入所サービスと宿泊付きデイサービスとの区分が不明確になり、空床がなく短期入所サ ービスを利用できない利用者が宿泊付きデイサービスに流れつつある。 ・宿泊付きデイサービスに流れているのは、本来短期入所サービスが対応すべきところが対応で きていない、または短期入所サービスとしての位置づけが確立できていないことが考えられる。 ・宿泊付きデイサービスは制度的に曖昧であり、生活環境として劣悪な場合もある。臨時で緊 急避難的に使うという事情はあるが、サービスとして位置づけ利用する際には、施設や利用 状況を十分に確認することが必要である。 ⇒居宅の介護支援専門員は、短期入所サービスと宿泊付きデイサービスとの差異をしっかりと 認識した上でサービスを位置づけることが望ましい。 エ)緊急時対応としての役割 ・短期入所施設における緊急入所に対応する機能は重要だが、緊急用のベッドの確保と稼働率 向上において難点がある。 ・居宅介護支援事業所・短期入所施設間で情報共有し、緊急短期入所を利用できるシステムが 必要となる。 ・緊急短期入所ネットワークのない地域が多いが、緊急短期入所ネットワークのある地域では 70%の回答者が利用しやすいと考えている。ない理由は「組むほどの施設がない」という理 由が多い。 ⇒緊急入所や虐待などの対応については市町村行政がしっかりとした体制整備を構築すること が極めて重要である。市町村が措置として対応する仕組みがあれば、施設は積極的に受け入 れることができる。たとえば八王子市では、緊急短期入所ネットワーク加算は実質的に機能 しなかったが、施設の生活相談員の働きかけにより制度がつくられた。 ⇒関係者の間で「緊急」の定義が曖昧であることも指摘されている。定義を明確にし、カンフ ァレンス等を通して意識を統一することが望ましい。 14 2)適切な利用を促進するケアマネジメントのあり方 ・予約方法の多くは居宅の介護支援専門員からとなっているが、家族からも 37.8%ある。本来 的には居宅の介護支援専門員によるケアマネジメントの一環としての予約の方が望ましいと 思われる。 ・現状では、居宅の介護支援専門員が短期入所サービスを位置づける目的が「レスパイト」と 家族主体のものになっている。本人よりも家族の希望に沿うことを重視して利用されている。 ・利用者の医療ニーズに応じて短期入所サービスの種類(短期入所生活介護・短期入所療養介 護)を選択しているという回答は約 7 割であるが、選択していないという回答が約 2 割あり、 サービスや機能の違いを意識した選択が十分に実践されているわけではないことが明らかに なった。 ・短期入所サービスを利用できなかった場合に、 「在宅で家族や他サービスを組み合わせて対応 する」という回答が 6 割を超えており、他のサービスを活用し在宅での対応を工夫している 状況が確認された。 ・一方で、サービス調整に終始し、他サービスに任せきりであり、施設に出向いて利用者の様 子や環境を見に来ず、利用後の施設からの報告を重視しないなど、モニタリングや再アセス メントが形骸化している居宅の介護支援専門員も多いことが指摘された。 ・施設側からは、居宅の介護支援専門員にはしっかりとしたケアマネジメントを展開すること が望まれている。利用者・家族の状況や目標、短期入所サービスが提供する機能を見極めた マネジメントにより、適切な短期入所サービスの利用が望まれる。 ・2 ヶ月前に予約する場合、居宅の介護支援専門員はその間の変化に配慮し、モニタリングを 行い適切にプランニングしなければならない。 ⇒代替サービスを適切に使うケアマネジメントにより、必要以上の長期化を防ぎ日数・回数が 削減できれば、短期入所サービスを必要とする別の利用者や新規の利用者を受け入れる体制 につながる。 3)医療等専門的ケア・サービスとの連携 ・短期入所サービス利用中であっても、家庭生活と同様に医療処置の提供を受けることが可能 となれば、短期入所サービスで対応可能な利用者の幅が広がり、在宅生活の継続に資すると 考えられる。 ・短期入所サービスを運営する上での課題は、医療ニーズの高い利用者への対応が最も高く、 医療ニーズにいかに対応していくかを解決することが、利用者の円滑な利用と生活機能の維 持継続に繋がるものと思われる。 ・現在の短期入所生活介護における人員体制や短期入所療養介護の利用状況からみて、その医 療処置の部分を効果的に補完するシステムの必要性が示唆される。 ⇒短期入所サービス利用期間中に、訪問看護や訪問リハビリテーション等を外付けで利用する ことが可能となるよう、制度改正が望まれる。 15 16 本調査を受けての提言 17 18 本調査を受けての提言 本調査により得られた知見に基づき、以下の通り提言をとりまとめた。 1.短期入所サービスの役割の明確化 【現状評価】 在宅で生活する中重度の要介護高齢者の大半が短期入所サービスを利用し、かつ定期的な利 用が多数を占めていることから、短期入所サービスは在宅生活の継続において有用であり、必 要不可欠なサービスであるといえる。 ところが、短期入所サービス利用の主たる目的がレスパイトであることから、現状では家族 の意向が重視され、「預かり」が中心となっている場合が多い。そのため、「生活機能の維持」 を目標とししつつも、単なる生活支援のみに終始しがちであることが把握された。 また、昨今では、短期入所サービスの空床が不足し利用できない場合に、宿泊付きデイサー ビスを利用するケースが増加している。単に供給量の不足という問題だけではなく、本来短期 入所サービスが提供すべきサービスとは何か、利用者の自立支援において短期入所サービスが どのように位置づけられるかが確立できていないことや制度として明確になっていないことが 指摘されている。そのために、居宅の介護支援専門員や利用者・家族が本来の目的に沿って適 切な短期入所サービスの利用ができず、安易な宿泊付きデイサービスの利用や過剰な短期入所 サービスの利用につながっていると考えられる。 【今後の対応の方向】 レスパイトケアの本来の趣旨からは、介護者の身体的・精神的介護負担の軽減を図るという 点において、単に時間的・空間的に介護者を介護から解放するというだけに留まらず、要介護 者の有する能力や生活ニーズに応じた生活支援を行う中で、永く利用者本人や介護者の望む生 活が実現するという視点が重要である。 したがって、短期入所サービスというサービスの特性、対象となりうる利用者の状態像や利 用目的、利用目標、提供されるべきケアやサービス、利用の効果等について改めて整理し、個々 の施設においてもその役割や自らの位置付けを再認識して、特徴あるサービスとして打ち出し ていく必要がある。それを理解した上で定期的に短期入所サービスを利用することにより、在 宅生活を継続できるケースが多い中でも、より利用者本人の状況に応じたサービスの提供が求 められる。 そのようなサービスを提供可能とするためには人員体制を整えることも必要となる。利用者 の受け入れや個別サービス計画作成を担う生活相談員の能力・資質の向上、介護支援専門員の 配置、機能訓練を重視するのであればセラピストの配置などである。 また、短期入所サービスの適正な利用を促進し、必要とする利用者が必要とする場合にスム ーズに利用できるようにするための仕組みや制度についても検討する必要がある。 19 【提言】 ・介護支援専門員の人材育成過程で短期入所サービスの役割、利用方法についての認識向上を 図る。 ・短期入所サービスの役割・利用方法について地域ごとにその特性を踏まえた認識共有を進め、 運用ルールなどを作成、共有する。 ・短期入所施設においても地域における役割と機能を意識した運営方針を明確にし、その方針 を地域に対して発信する。 2.他サービスとの連携による在宅生活継続可能性の拡大 【現状評価】 短期入所サービスは居宅サービスとして位置づけられるが、短期入所施設で生活している期 間は外付けのサービス利用が制約されている。現状では、短期入所サービスの受け入れを断ら ざるを得ないケースとしてインスリン注射等高度な医療ニーズを有する割合が高いが、もし医 療ニーズを有する利用者が短期入所サービスの利用期間中に訪問看護サービスを利用すること が可能となれば、こうした利用者の受け入れの可能性が拡大する。これまでは、医療ニーズの ため短期入所サービスを利用できず入所せざるを得なかった利用者が、短期入所サービスと訪 問看護の組み合わせにより、在宅生活を継続することができる可能性がある。 同様に、訪問リハビリテーション等、短期入所施設の人員体制では十分に提供できない機能 を担うサービスを短期入所サービス利用期間中に利用可能とすることで、短期入所サービス利 用の幅が広がると考えられる。 【今後の対応の方向】 短期入所施設で生活している期間であっても、外付けのサービス利用が可能とすることを検 討してよいのではないか。短期入所施設の対応能力を高め、在宅生活継続のための機能を更に 発揮させるためには、他の居宅サービスとの連携拡大を検討する余地があると考えられる。 【提言】 ・短期入所サービス利用期間中も自宅で生活している場合と同様に、必要な在宅サービスを利 用できる制度を検討する。 ・短期入所サービス利用期間中についても、居宅と短期入所施設の双方の介護支援専門員が連 携し適切なケアマネジメントを実施できるよう、短期入所サービス利用期間中のケアマネジ メントのあり方についての検討を深め、教育研修課程の中でその知見を普及させる。 20 3.緊急時の受け入れにおける行政の支援 【現状評価】 現在は施設利用予約が実際のサービス利用の 2~3 ヶ月前になされており、その段階で定員の 大半が埋まって緊急対応の余地が限られている状況が常態化している。事業所経営を安定化さ せる観点からはやむを得ない面もあるが、本来の役割を果たしていない側面もある。 また、虐待ケースが発生した場合など、必要に応じて市町村が措置として対応する仕組みが あれば施設は積極的に受け入れることができるが、現在は必ずしも全ての地域で有効に機能し ている状況ではない。 緊急入所や虐待などの対応については事業所側の負うリスクや費用面での負担が大きいこと から、事業所の経営努力だけでは状況の改善が難しい状況である。 【今後の対応の方向】 地域における短期入所サービスの役割を、行政、サービス運営事業者、介護支援専門員など で確認した上で、緊急時の受入施設確保の方針と方策を明確にすることが重要である。日ごろ から地域包括支援センターと連携する仕組みや、迅速に受け入れ先を決定し受け入れを可能と する仕組みなどを明確にしておく必要がある。 【提言】 ・新たに導入される緊急時対応の仕組みを地域で実現するための協議会等の活動を推進する。 ・あわせて、緊急時対応用の空床確保について行政(保険者)が費用を担保するなどの支援体 制を検討する。 ・先進的な地域における取組事例等を参考にして、市町村による措置制度として事業化する、 日ごろから地域包括支援センターと連携する仕組みを整備しておくなど、地域の特性や規模 に応じた仕組みを構築する。 ・介護支援専門員がこうした仕組みの趣旨を理解し、適切なケアマネジメントを実施できるよ う各地域での周知を徹底する。 4.ケアマネジメントの質の向上 【現状評価】 レスパイトを目的とする家族の要望のみに配慮し、利用者の目標との明確な関連のないまま ケアプランに短期入所サービス利用を位置づける介護支援専門員や、利用者への対応をサービ ス提供事業所に任せきりにし継続的なモニタリングや再アセスメントが十分でない、あるいは 形骸化している居宅の介護支援専門員が少なくないことが指摘された。 言うまでもなく、利用者の自立支援において、また介護保険制度の適切な運用の面でも、居 宅の介護支援専門員によるケアマネジメントの果たす役割は大きい。短期入所サービスの利用 においても、ケアマネジメントを適切に行い、利用者や家族の状態に応じて代替サービスを効 果的に組み合わせることで、短期入所サービス利用の過剰な予約や利用を避け、利用日数や利 用回数を適正化することができる。 21 【今後の対応の方向】 短期入所サービスは在宅生活を支える地域の限られたサービス資源であり、関係者がその意 識を共有し、必要な人が必要な時に利用できるような運用を実現することが重要である。 「1.短期入所サービスの役割の明確化」 、「2.他サービスとの連携による在宅生活継続可 能性の拡大」 、「3.緊急時の受け入れにおける行政の支援」の提言を前提として、居宅の介護 支援専門員が短期入所サービスの提供する機能を見極めたマネジメントを行うことで、利用者 にとって効果的な短期入所サービスの利用が可能となる。そのためには居宅および短期入所施 設の介護支援専門員がこうした意識を共有するとともに、適切な計画作成と主体的なサービス 調整を実行できるようノウハウを蓄積し、個々の能力を高めることが重要である。 【提言】 ・地域のサービス資源としての観点も重視して、短期入所サービスの効果的な活用に関する事 例情報を蓄積し、ケアマネジメントのノウハウとしての体系化を図る。 ・体系化されたノウハウは、介護支援専門員の生涯学習体系として位置づけるとともに、研修 プログラムに組み込むなどして普及を促進する。 ・短期入所施設においても質の高いケアマネジメントが望まれることから、介護支援専門員の 配置が望ましい。 ・効果的なケアマネジメントの実現のためには短期入所施設はもとより、他の在宅サービス事 業者の理解も不可欠であり、サービス担当者会議等による情報共有やケアプランの検討等、 利用者を支えるサービス提供事業者の間の連携を促進する。 短期入所サービスの効果的かつ効率的な活用に向けた提言【全体像】 1.短期入所サービスの 役割の明確化 ・短期入所サービスの役割の再確認 ・施設の特徴の打ち出し ・受け入れの工夫 ・人員配置の充実・相談員の資質向上 市区町村 3.緊急時の受入体制整備 短期入所サービス 生活相談員 2.他サービスとの連携 ・外付けサービスを可能とする制度改正 ・情報共有と連携 ・チームケアの促進 介護支援専門員 ・行政による施設の支援 ・措置制度等による責任・負担 ・公平・公正な運用 ・地域包括支援センターとの連携 ・地域内の連携(警察・消防等) 利用者 他サービス 家族 連携・ 情報共有 他サービス 4.ケアマネジメントの向上(1) ・利用者中心・利用者支援重視の ケアマネジメント ・アセスメント・モニタリングの質の向上 ・ケアプランの目標の明確化 介護支援専門員 居宅介護支援事業所 在宅生活の継続・促進 22 4.ケアマネジメントの向上(2) ・短期入所サービス利用の適正化 ・代替サービスの効果的な利用 ・チームケアの促進 23 レスパイトケアの推進に資する 短期入所生活介護のあり方に関する調査研究事業 報告書 要約版 この事業は、平成 23 年度 厚生労働省 老人保健事業推進費等補助金 (老人保健健康増進等事業分)により実施したものです。 平成 24 年 3 月発行 発行 一般社団法人 日本介護支援専門員協会 会 長 木 村 隆 次 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町 1-11 金子ビル 2 階 TEL:03-3518-0777 FAX:03-3518-0778 URL:http://www.jcma.or.jp 禁無断転載 24