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年間積算線量 5mSv を目指しています

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年間積算線量 5mSv を目指しています
127
2 月 27 日
「いいたてまでいな復興計画第 3 版 ( 案 )」の答申
福島市のホテルグリーンパレスで、
「いいたてまでいな復興計画
推進委員会」の赤坂憲雄委員長が村長に対し
「いいたてまでいな
復興計画第3版(案)」の答申を行いました。
3 月 10 日
避難犬と飼い主との再会
2 月 28 日
いいの&いいたて交流ボッチャ大会
村と飯野町、双方の老人クラブ連合会が飯野学習センターで交
流会を開催。参加者は、混合チームでボッチャの対戦を楽しみまし
た。
3 月 11 日
東日本大震災追悼集会
までいな復興を目指して
被災後の村と村民の取り組み
・避難生活………………………………………… 130
・復興計画………………………………………… 136
・除染……………………………………………… 140
岐阜県のNPO法人「日本動物介護センター」が、村民から預かる
愛犬を連れて村役場本庁を訪れ、21頭が家族と再会のひとときを
過ごしました。
飯舘中学校で、震災犠牲者を悼む集会が開かれました。多目的
ホールに全校生徒が集まり、各学年代表が震災後2年を経た現在
の思いを語った他、14時46分には全員で黙祷を捧げました。
・住民意向調査…………………………………… 144
・リスクコミュニケーション… …………………… 152
・全村見守り隊… ………………………………… 154
・未来にはばたけ! いいたてっ子の旅… ……… 155
128
2013 年 ( 平成 25 年)2 月〜 3 月
住み慣れた故郷を離れて
避難生活
原発事故災害による全村避難は、村民の生活を一変させま
した。長い時間をかけて育んできた“までいな暮らし”は奪われ
ました。苦悩を抱えた長期間の避難が続いています。そうした
受け入れ難い状況で、村民は力を合わせ、何とか希望を見出そ
うと2年の日々を紡いできました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故災害
▲
被害への不安が高まる中、避難が必要なのか
必要でないのかを判断するための情報は錯綜
▲3月19日と20日に希望者
約500人が栃木県鹿沼市の
総合体育館に緊急避難を行
いました
しました。その後、国が村全体を計画的避難区
域に指定し、全村民が設けられた期間の中で避
難をすることとなりました。村民にとっては、健
康に関わる重大な情報が二転三転したことに、
大きな苦痛を感じながらの避難となりました。
いたて全村見守り隊」が発足しました。また村民の憩
いの場として、9月12日、福島市・飯坂温泉に「いやし
の宿いいたて」がオープンしました。
26
家族が分かれて入居するケースも多くみられました。入居開始時には各仮設住宅で、説明と手続きが行われ
内6か所で説明会を開きました。
ました。
16日には福山官房副長官も説明
▲説明会には3日間で約1,800人が参加しました
防犯のために、村民が24時間体制で見回りをする「い
や子ども、妊産婦がいる家庭を優先し、残数が抽選で割り振られました。入居先の立地や広さにより、さらに
は13日・14日・16日の3日間に村
りませんでした。
難する家庭もありました。6月には人のいない村内の
一方、仮設住宅の建設や、借り上げ住宅の確保も進み、順次入居が始まりました。入居希望を基に、乳幼児
域に設定されたことを受けて、村
に関する質問に明確な答えはあ
家族が2か所・3か所あるいはそれ以上に分散して避
仮設住宅・借り上げ住宅への入居と、自治会の設立
4月11日に村が計画的避難区
会に出席しましたが、避難や補償
村内に自宅を残し、仕事や学校、住居等の事情で、
借 り 上 げ 住 宅 等への入 居 も
始 ま り ま し た 。6 月 日 の 蓬
莱県営住宅の入居説明会
宿泊もできる
「いやしの宿いいたて」
により、村内の放射線量の測定値が上昇。健康
避難生活の始まり
▲
6月6日、「いいたて全村見守り
隊」の出発式
▲
村民の生活を一変させた計画的避難区域への指定
▲振興公社の牛は市場に出荷する
などして全頭が運び出されました
また、畜産農家は家畜を抱えてどのように避難するか厳しい選択
を迫られることとなりました。
1
避難先への移動が始まりました
5月15日、計画的避難に伴う住民の避難が始まりまし
た。避難の方法は、自分で見つけた住宅を県の借り上げ住
宅として入居する方法、仮設住宅に入居するまでの間、一
次的に旅館やホテル等に宿泊し、後日仮設住宅等に入居
する方法等を並行して実施しました。
2
3
17月1日、相馬大野台第6仮設住宅の集会所で、担当者から説明を聞く入居者 2相馬大野台第6仮設住宅の各戸に入居者を記
した図。各所が同様の図で割り振りを確認していました 37月10日、旧飯野小仮設住宅での入居説明のようす
入居が進むと、各仮設住宅では、早速自治会が設立されました。仮設住宅という今までとは全く異なる環境
での生活がスタートする中、その生活を支え合うための体制作りが進められました。
1
1
2
3
1役場窓口には避難関係の手続きに訪れた村民が長い列を作りました 2一次避難所での健康診断。写真は6月7日のようす
37月4日、一次避難所となった中ノ沢温泉「白城屋」の前で 4一次避難所の閉鎖が決まり説明会が開かれた自治研修センター
130
4
2
3
それぞれの仮設住宅・借り上げ住宅で、
自治会設立の説明会や総会が開かれました 18月10日、旧明治小仮設住宅での説明会
28月28日、松川第二仮設住宅での設立総会 38月29日、NTT大森社宅の自治会設立総会
131
幼稚園・小学校・中学校の避難
川俣町の幼稚園・中学校・高校
の施設を間借りして平成23年4月
21日から幼稚園・小学校・中学校
の授業が再開されました。子ども
たちは間借り先の皆さんと交流し
ながら、不慣れな環境の中でがん
ばりました。
▲各避難先からスクールバスで登校
完 成 し た 小 学 校の仮 設 校 舎 で
行われた開校式
▲間借り先の川俣中学校で授業を受ける
小学生
▲
避難先自治会の前進
仮設住宅、公的宿舎にそれぞれの自治会が設立され、さら
には借り上げ住宅避難者が地域ごとに自治会の立ち上げを
行ってきました。各自治会は、役員の献身的な尽力と住民の協
力によって、不自由な生活に活力を見出すさまざまな取り組み
を行い、新たなコミュニティを築いています。年間を通して定
期的に開かれる自治会サロンや、季節の行事、研修旅行等が、
会員数の規模や年齢層を考慮して実施されています。
▲平成23年8月21日、吉倉公務員宿舎で行われた
「ミニ夏祭り」
平成24年度の活動のようす
1
平成24年4月には、飯野町に幼稚園の仮設園舎、
2
川俣町に小学校の仮設校舎が完成。自前の施設で園
生活・学校生活が始まりました。運動会等2年ぶりの
行事も行われました。
また、県教育センターに間借りしていた相馬農業高
校飯舘校も4月に県立明成高校敷地内に、飯舘中学
校は8月に福島市飯野町に、それぞれ仮設校舎が完成
し、間借り先から引越しました。
村の幼稚園・小中学校の避難後の学び舎
3
幼稚園
小学校
中学校
平成23年4月~平成24年3月
平成23年4月~平成24年3月
平成23年4月~平成24年8月
草野幼稚園:
川俣町立川俣中学校内
福島県立川俣高等学校内
川俣町立川俣幼稚園内
平成24年4月~
平成24年8月~
飯樋幼稚園:
草野・飯樋・臼石小学校
飯舘中学校仮設校舎
川俣町立富田幼稚園内
仮設校舎(川俣町)
(福島市飯野町)
4
5
平成24年4月~
草野・飯樋幼稚園仮設園舎
1平成24年4月22日、
きつつきの会(川俣自治会)の「お花見」 26月14日、松川第一仮設住宅の遠足。福島市の土合舘公園へ 38月11日
「保原サマーフェスティバル」の盆踊りに手作りの衣装で参加する伊達東仮設住宅 49月30日、NTT大森宿舎の敷地内で
和気あいあいと
「いも煮会」
を開催 512月14日、
「りょうぜん里山がっこう」
で
「手打ちうどん教室」
を楽しむ松川雇用促進住宅
(福島市飯野町)
近くで保育を続けています。また、預かり・学
童保育も平成23年5月から平成24年3月まで
川俣町で、その後は草野・飯樋幼稚園仮設園
舎で、さらに同8月からは同敷地内の別棟仮設
施設で保育を行っています。村主任児童委員
による子育てサロンも平成24年6月に再開し、
当初は川俣町のやまゆり保育所で、平成24年
8月からは、預かり・学童保育の仮設施設で、
毎週火曜日の午前中、活動を継続しています。
132
▲
やまゆり保育所は川俣町内、仮設小学校の
「子育てサロン」のようす
親子を支える取り組みの継続
▼やまゆり保育所の保育のようす
また、長 期 化する避 難 ▼避難先の協力を得て、信夫雇用促進住宅の
生活の中、避難先やその
住民有志が丹精する畑
近隣に畑を借りて有志が
共同で野菜を作ったり、グ
ランドを整備してグラウン
ド・ゴルフの練習をしたり
等の活動も行われるように
なりました。
▲平成24年春、住民が整備した相馬大
野台仮設住宅のグランド。5月に行われた
グラウンド・ゴルフ大会のようす
133
避難生活を支える村の取り組み
避難中の村内は
村内では9つの企業が許可を
村では、村の社会福祉協議会・包括支援センター等と協力し、ま
得て操業を続けました。また、平
た専門家や関連団体の支援を受けながら、村民の避難生活を支え
成23年秋からは村内で消防団の
る取り組みを行ってきました。しかし、避難後1年半で、要介護の認
検閲式等も行われてきました。し
定を受けた人や通院するようになった人は約1.5倍に増加していま
かし、次第に田畑は荒れイノシシ
す。生活環境の大きな変化やストレスが体の不調に影響しているもの
やサルの被害も多発。家屋の傷
と考えられ、村民の健康維持が生活支援の課題となっています。
みも出て、避難中の自宅管理の
▲平成24年4月22日の春季検閲式
難しさが村民をなお悩ませてい
ます。
各地からの応援
1
▲同年5月の村内。雑草が生い茂る耕作地
各所の支援と励ましに支えられて
1
仮設住宅を中心に、全国から、時には海外からも支援活動や励
ましの訪問があります。また、近隣のボランティア団体や個人による
継続的な交流・支援活動、子どもたちあるいは全村民を対象とした
2
3
4
5
招待事業等、村は多岐にわたる数限りない支援を受けています。
3
1村はホールボディカウンタを独自に購
入。希望者は無料で検査を受けることが
できます 2いやしの宿での「までい健
幸運動教室」のようす 3村社会福祉協
議会が避難先方部別に開いているお茶
会。各所2か月に1度のサイクルで行わ
れています 4避難区域見直しの際の
住民懇談会。懇談会や説明会も避難先
ごとに開いています 5平成24年12月、
旧松川小仮設住宅でのリスクコミュニ
ケーション。専門家に直に質問できる機
会となりました
2
4
1平成24年5月18日、
「いいたてホーム」
を訪れた「愛とヒューマンのコンサート」 2同
8月22日、東京都が派遣する
「ヘブンアーティスト」が福島市飯坂地区に避難する村民に
大道芸を披露 3同11月13日、
「協和発酵キリン」が村に卓球台を寄贈し、相馬大野台
仮設住宅で卓球教室を開催 412月3日、
ロンドンオリンピック・パラリンピック出場者
14人が松川第一仮設住宅を訪問
ら継続的な支援を受け、交流
が重ねられています。
子どもたちへの支援は、全国各地、また
世界各国からも寄せられ続けています。
(上)平 成 年 月 日、交 流 を 続 ける岐 阜 県 各 務 原
中央中学校と、飯舘中学校の「合唱交流会」 (下)平成 年 月 日、豪日交流協会等から贈られた
移動図書館車の「お披露目式」
避難先のさまざまな団体か
子どもたちへの励まし
地域ボランティアの支援
25
24
1
12
31
(右)福島大学災害ボランティアセンターの学生による足湯のボラン
ティア(左)
「くにみ雛の会」によるつるし雛作りの会
134
村で行われてきたイベントも、少し
ずつ再開できるようになり、グラウン
ド・ゴルフ大会や敬老会、
「いいたて村
民ふれあい集会」
「思いやりまでいラ
リーピンポン大会」等に、多くの村民
が参加しました。また「ふくしま駅伝」
にも自主練習を重ねた選手が出場。飯 (左)約180人が参加した平成24年12月「思いやりまでいラリーピンポン大会」
(右)平成25年2月
「いいたて村民ふれあい集会」。久しぶりの再会も
舘村のたすきをつなぎました。
避難先での新たな取り組み
避難先で新たな活動や、事業の再開に取り組む人も増えています。
7
1
2
1松川第一仮設住宅で「までい着」
を制作する
「いいたてカーネーション」 2牛と共に避難し仲間と畜産を続けている人もいます
3あぶくま地域の女性農業者が加工食品や弁当などを生産販売する
「かーちゃんの力・プロジェクト協議会」
3
135
平成23年12月16日
「いいたてまでいな復興計画第1版」が策定されました
村民一人ひとりの復興をめざして
いいたてまでいな復興計画
いいたてまでいな復興計画 第1版
復興プラン庁内検討委員会」を立ち上げ、復興プラン
基本方針
の検討が始まりました。また、10月には専門家や村民
が委員に加わり「いいたてまでいな復興会議」が始
動。庁内検討委員会の報告書をたたき台にさらなる検
討が行われ、4つの部会も立ち上がりました。各部会
・村の外でも元気に過ごす。
・村に帰っても活き活きと暮らす。
2 子どもたちの未来をつくる
月 日、教育・リスコミ部
会の専門家が吉倉住宅で村民
の声を直に聞き取りました
は未経験の難題を前にして議論を深めていきました。
1
1 生命(いのち)をまもる
▲11月9日、飯野学習センターで開かれた仕事
部会のようす
第 版の表紙。本報
告 書 P 1 8 8 に概 要
版があります
村民一人ひとりの復興を目指します
徹底した除染を進めます
平成23年8月9日、村役場では「いいたてまでいな
▲
復興計画策定の始まり
11
・未来を担う子どもたちのため、共に育つ「共育」の場を充実させ、
「いいたて」を支える人材を育成する。
25
3 人と人とがつながる
▲
・今までの絆を守りながら、避難中にはぐくまれたつながりを大切にして、新たなコミュニティをつくる。 4 原子力災害をのりこえる
・放射能の除染を徹底的にすすめる。
・自ら考え判断するため、放射能汚染に対する情報の共有と話し合いをすすめる。
5 までいブランドを再生する
部会は、仕事部会・教育検討部会・除染部会・
健康リスクコミュニケーション部会の4部会。その
議論を集約し復興計画としてまとめる「いいたて
▲復興計画案の審議に取り組む「いいたて復興計画村民会議」
復興計画村民会議」が開かれました。
・これまで築いてきた「までいブランド」の回復をはかるとともに、
新たな産業を積極的に導入することで、活気ある飯舘村を再生する。
また、この復興計画では「基本方針の主な施策・事業」として、上記5つの基本方針に基づく15の重
点施策と事業案を挙げ、
「施策・事業の段階的実施」として、2年後・5年後・10年後の段階的目標も
掲げています。
各地で開かれた住民懇談会
全村民を対象とした方部懇
談会で、成案となった復興計画
の 説 明 が 行 わ れ ま し た( 写 真
は 月 日、県青少年会館)
復興計画(案)の審議と並行して10月中旬か
2
ら12月初旬にかけては、全仮設住宅と公的宿
▲
内容を具体化して第2版へ
26
舎等の住民を対象にした「住民懇談会」で、村
の動きが伝えられました。各懇談会には国や県
の関係各所からも担当者が出席し、村民から
は、村などに対して、さまざまな意見が出されま
した。
▲
懇談会では復興計画の
他、除染や賠償の説明も行
われ、質疑では多くの村民
が発言しました
▲村長から委嘱を受ける赤坂憲雄委員長 ▲第1版を基に第2版へ向けた議論を開始した初回会議
平成24年2月27日、
「いいたてまでいな復興計画推進委員
会」が立ち上げられました。国の「東日本大震災復興構想会
136
議」の委員も務めた学習院大学教授で福島県立博物館館長
画第1版(案)」は、懇談会で出された意見をもとに再
の赤坂憲雄氏に委員長を委嘱。第1版を基に「村民一人ひと
検討、加筆・修正されて、12月16日に成案となりました。
りの復興」として村が目指す方向を明確化し、それを基準に
成案となった後、各方部でも計画について説明する住民
施策・事業の具体化を話し合いました。
懇談会が開かれました。
村外拠点のイメージに付箋で
アイデアを追加する委員
▲
▲11月10日、国見上野台応急仮設住宅での懇談会
村民会議でまとめられた「いいたてまでいな復興計
137
平成24年6月30日「いいたてまでいな復興計画第2版(案)」として委員会の答申が行われました
平成24年8月22日「いいたてまでいな復興計画第2版」が策定されました
いいたてまでいな復興計画第2版
復興の着実な実現に向けて
「戻りたい人」
「戻りたくとも戻れない人」
「戻らない人」すべてに
寄り添い、村民一人ひとりの復興をめざします。
1 村民の復興
村民の皆さんの避難生活と生活再建を優先して支援します。
2 村の復興
▲7回目となる会議で時間いっぱいまで議論をつめ、その後答
申が行われました。
村に戻ってからの生活基盤の再生と新たな村づくりを進めます。
▲村長に答申を行う赤坂委員長
第2版は、第1版で示した5つの基本方針を維持しながら、
「戻りた
い人」
「戻りたくとも戻れない人」
「戻らない人」それぞれに対する支援
復興計画第2版(案)を説明する方部懇談会が開かれました
を示しました。それらは重点プロジェクトの中でそれぞれハード事業・
▲第2版の表紙。本報告書P201
に概要版があります
ソフト事業に分けてまとめられ、また「帰村のための村内拠点」
「村外
子育て拠点」整備の構想も提示しています。
復興計画の実行へ向けて、計画の具体化が図られています
復興計画の実現に向け「新までいな村構想
3
1
推進準備委員会」が設けられ、具体的な事業
の検討を行いました。同委員会には3つの分
科会が設けられ、
「再生可能エネルギーの導
2
7月から8月には、避難先を問わ
ずすべての村民を対象にした住民
懇談会が、5方部の会場で行われま
した。
「いいたてまでいな復興計画
第2版(案)」や住民アンケートの
結果を村の担当者が説明した他、国
と東京電力の担当者が7月24日に
発表された賠償の新基準について
説明し、質疑応答を行いました。
138
懇談会では多くの村民が発言しました
入」
「インフラ整備と復興住宅」
「記録と伝承
および情報発信」について、専門家を交えて
協議しました。
5
▲10月30日に開かれた第2回新までいな村
構想推進準備委員会のようす
復興計画は第3版の策定へ
復興計画(案)については「農業をやりたい人や若い世
「新までいな村構想推進準備委員会」
代について、もっと盛り込むべきではないか」
「帰村をしな
の検討を受けて、
「いいたてまでいな復
い人や、すぐには帰れない人への取り組みをもっと具体的
興計画推進委員会」が招集
に知りたい」等、多くの指摘がありました。また賠償や除
され、集中的な協議を行い、
染に対して改善を求める意見が相次ぐ等、復興計画以外
第3版( 案 )を 答 申しまし
に関する発言も数多くありました。復興計画(案)はそれ
た。今後は村民との意見交
らの意見を参考に修正を加えて、村議会復興対策特別委
換を行いながら第3版成案
員会の採択後に8月22日、成案となりました。
の策定が進められます。
▲2月27日に行われた「新までいな村構想推進
準備委員会」
「いいたてまでいな復興計画推進委員
会」の合同協議と答申のようす
▲
17月26日 相馬市高齢者等サポートセンター
28月1日 保原市民センター
38月3日 川俣町合宿所「とれんぴあ」
48月6日 飯舘村役場飯野出張所
4 58月7日 福島県青少年会館
139
除 染
村民との
懇談会 (伊達)
村が復興を遂げるために、決して欠くことが
できない除染。村の除染は、国が直轄で行うた
め、国に対し徹底した除染を求め、提案や要望
を続けています。
取りをした田でこれらの手法を実施し検証しました。
対策
農水省・農地除染
実証事業のようす り
村では、村の現状を広く周知し、村民との共通
理解を深めるため、平成23年10月から12月まで
の期間に懇談会(全17回)を実施しました。懇
談会では、村の進むべき方向や避
難生活への対応などについてさま
ざまな意見が出されました。
また、平成24年7月からは除染
対象行政区で住民説明会を開催
し協議を重ねています。
▲現地での個別説明のようす
農林水産省の農地除染実証実験では、代かき除染や反転耕の効果を調べるため、表土はぎ
環境省による先行除染では、草野地区東工区や村営施設の先行除染を行いました。
▲
震災前の飯舘村を
取り戻すために
住民懇談会
す
住民説明会のよう
4年6月号よ
※広報いいたてH2
右:畦畔は刈り払い機で除草
します
下:草を集めフレキシブルコ
ンテナに詰めます
▲草野行政区東側対象の住民説明会
上:トラクターによる除草
村と国の協議結果
2013年3月まで)
(2012年5月から
村は国との協議で除染における懸案事項について粘
3 除染不可能工作物について
従来の方針 国では、倒壊しそうな建物は、除
り強く折衝を行いました。その結果は以下の通りです。
染しない。
1 農地除染について
今後の方針 村では、除染をしないと村民は安
従来の方針 国の農地除染方法は当初、農地の
土壌濃度(土中の放射性セシウムの量)が1kg当
左:表土削り取りを効果的に行
うために、固化材を散布します
➡
心して帰ることができないと考え、建物の取り
壊しを要望。国が除染不可能と判断した家屋等
り5,000ベクレル以下は「反転耕(天地返し)」、 (除染不可能工作物)を25年度に個人が解体し
1kg当り5,000ベクレル以上は「表土削り取り」。 た場合、それに係る費用(除染不可能部分に限
⬇
今後の方針 村では、出来るだけ土中の放射性セ
をする確約を受けました。
シウムを取ることを要望し、村内すべての農地を「表
・修復等をした箇所については財物賠償の範囲内で復旧費用
土削り取り」で除染することの確約を受けました。
2 居久根の伐採及び補償について
従来の方針 国の敷地内の建物に隣接している居久
根(針葉樹)の除染方法は、伐採をせず枝打ちのみ
⬇
今後の方針 村では、放射性物質が付いている
居久根を伐採し、村民に安心を与えてほしいと要
望し、所有者が伐採を希望する場合は、建物の壁
140
が支払われる(手続きについては協議中)
4 除染による空間線量の目標値について
環境省・
先行除染のようす
号より
4年8月
※広報いいたてH2
村は、除染作業にあたって丁寧により良い除
染をし、年間5ミリシーベルト(1時間当たり1マ
イクロシーベルト)に近づけるよう努力すること
を当面の目標として国に表明させました。
なお、国は今後進める除染で、長期的目標とし
面からおおよそ10m程度の範囲で伐採します。
ては、追加被ばく線量1ミリシーベルト以下にな
・伐採した居久根は限度額を設定し損失賠償する
ることを目指しています。
・伐採した木の幹は、所有者等の敷地に保管をお願いする
左:重機を使って表土
削り取りをしているよ
うす
る)については国費(除染費用)によって支払い
▲屋根や雨樋を手で拭いています
(までいな家)
▲きこりのコテージ付近の表土を手作業
ではぎ取り
▲屋根は落ち葉等を取り除いてから拭き
取ります
(飯樋町集会所)
141
除染による効果は?
村内の本格除染が始まりました
単位:マイクロシーベルト/時
平成23年度除染が行われた施設等の平成
24年7月現在の空間線量率を公表しました
それぞれの地点の除染前、除染後、7月24
除染方法
宅地・庭
下草刈り
表土はぎ取り
(3㎝)
田畑
森林
始まりました。
須萱地区除染スケジュール
H24 H25
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
森林・草地・
法面
住宅(建物)
住宅(庭など)
農地
単位:マイクロシーベルト/時
除染前
除染後
7/24
1㎝
6.56
4.35
4.04
1m
4.34
2.37
3.10
下草刈り
固化材散布
表土はぎ取り
(2~5㎝)
1㎝
4.78
1.70
1.25
1m
3.86
1.70
1.53
下草刈り
落ち葉除去
リター層※除去
1㎝
4.96
3.38
3.63
1m
3.91
3.04
2.58
われるよう取り組んでいます。
冬季作業休止期間
なります(単位:マイクロシーベルト/時)。
対 象
国直轄による本格的な除染作業は9月から
草野小学校 校庭中央
1㎝ 1m
除染前 5.92 4.66
除染後 0.53 0.60
7/24 0.49 0.52
日計測の地上1cmと地上1mの空間線量率と
除染の同意取得を進め、順次、除染が行
除染作業従事者説明会
のようす
※広報いいたてH24年8月号より
その他の除染結果
平成24年度に予定されていた、飯舘村の
草野小学校 玄 関 前
1㎝ 1m
除染前 4.18 3.38
除染後 2.08 1.32
7/24 2.00 1.63
※広報いいたてH24年12月号より
▼
除 染
本格除染で行う除染方法
林縁から20mまでの山林は
下草刈り後、落ち葉や
リター層の除去を行う
屋根・外壁・窓は
拭き取りなどで対応
庭などは草刈り・3〜5㎝の
表土はぎ取り後、被覆
建物の壁から10mまでの
針葉樹(居久根)は要望が
ある場合は伐採も可
い
農林水産省が5月から村内3カ所で行った農地除染対策実証事
昇口はアスファルト舗装が
行える状態まで対応
業の中間とりまとめ結果が公表されました。公表データは、全て7
月31日時点でのデータ解析終了箇所の平均値となります(データ・
現地モニタリング調査実施
写真提供:農林水産省)。
地区名
施工前
(Bq/kg)
施工後
(Bq/kg)
低減率
(%)
長 泥
19,780
1,610
92
小 宮
9,620
1,270
87
草野向押
11,790
870
93
【ほ場面での空間線量率】
長 泥
表土削り取り
(最低3~5cm)
施工前
(μSv/h)
地区名
小 宮
草野向押
施工後
(μSv/h)
低減率
(%)
1m
8.66
1m
2.32
73
1cm
5.73
1cm
0.94
84
1m
5.23
1m
1.30
75
1cm
3.75
1cm
0.57
85
1m
4.35
1m
0.84
81
1cm
3.27
1cm
0.34
90
空間線量率は、鉛による遮へい付きで測定(地上1mについては遮へいなしで測定)
142
▲バックホーでの
表土削り取り
▲スキマー工法での
表土削り取り
平成24年度・25年度
実施の除染では当面
年間積算線量
5mSv
(毎時1マイクロシーベルト)
を目指しています
最終目標 年間積算線量1mSv
モニタリングを行う委員
▼
【作土層の放射性セシウム濃度】
除染方法
ね
田・畑は3〜5㎝の
表土はぎ取り後、客土
農地除染の効果を公表しました ※広報いいたてH24年9月号より
表土削り取り
(最低3~5cm)
ぐ
▲平成24年1月に行った草野小学校の外壁の除染のよ
うす
※リター層:植物の枝や葉が地表に堆積し、未分解の状態の層
除染方法
▲除染のようす
(二枚橋)
除染後の農作物試験作付け
国 が 行 う村
国が行っていた村内3か所の
内の 除 染 につ
農地除染において、除染の効果
結果は平成24年11月22日付
いて検証・評価
を確認するために米や野菜の試
で公表され、すべて「検出下限
を行う「飯舘村
験作付けを行いました。試験作
値未満」と発表されました。
まで いな 除 染
付けは、表土削り取り後に客土
村では、平成25年度以降も安
会議」は、村が
し、放射性セシウム吸収抑制の
全性の確認を国と連携して実施
国の 委 託を受
ための塩化カリウムと土壌改良
していきます。
けて除 染 を行
資材の施用を行ってから植えつ
う須 萱 地 区の
現地モニタリングを行いました。
これは、除染結果を住民目線で
確認するため、除染の事前・実施
中・事後にその都度モニタリング調
査を行うものです。
庭木は剪定を行う
けたものです。
野菜類の調査結果
種 類
キュウリ
コマツナ
コカブ
ミニトマト
ホウレンソウ
インゲン
キャベツ
ブロッコリー
放射性セシウム濃度(Bq/kg)
検出下限値未満(<10)
試験作付けの概要
地区名
検出下限値未満(<10)
検出下限値未満(<10)
検出下限値未満(<10)
検出下限値未満(<10)
草野向押
地区
検出下限値未満(<10)
検出下限値未満(<10)
検出下限値未満(<10)
小 宮
作付面積
(a)
29
10
28
作付け作物
水 稲 (ひとめぼれ・
あきたこまち・まいひ
め)
野菜類(キュウリ・キャ
ベツ等)
水 稲 (ひとめぼれ・
あきたこまち・まいひ
め)
この結果は農林水産省ホームページからも確認できます(http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/noukan/121122.html)
143
村民一人ひとりの復興のために
住民意向調査
住民意向調査
東日本大震災後の原発事故によって全村避難せざるを得なくなった飯舘村。今後の行政に反映す
るため、村では避難後の村民の生活実態を調べる意向調査を実施しています。
避難生活に関する実態調査(平成23年10月)
村民の避難が概ね完了した平成23年10月、村は村民の
生活実態を把握し、今後の対策に役立てようと実態調査
を行いました。調査結果には、避難で家族が離れ離れに
なってしまっている状況、職業の変化、日々の生活の困窮
の状況などがあらわれています。
ここでは、結果の中で特徴的な事項を報告します。
1.避難の状況
回答者全体の90.4%が県内に留まっています。県内避難
アンケート調査の概要
れも半数を超えました。
「村内の詳しい線量、汚染状況」を知りたいという回答が年齢が高くなるにつれて多
図1 家族構成の変化
6.これまでの地域コミュニティで困っていること(図4)
特に「元の行政区で集まる機会がない」という回答
が年齢が上がるにつれ多くなる傾向があり、60代では
半数近くの45.7%になっています。
コミュニティの形成は、仮設住宅等では一定の進行
が見られるものの借り上げ住宅では地理的要因からも
図2 収入の変化
2.避難による家族構成の変化(図1)
という回答が約半分を占め、今回の避難では避難の優先順位や、仮
設住宅の完成の遅れなどから、家族が離れ離れになった家族がかな
「村の広報誌」という回答が77.1%と最も多く、
「郵
り多いことがうかがえます。
便」という回答も50.7%と半数を超えています。
IT関連技術が発達した今日でも、紙による情報提
3.収入と支出の変化(図2・3)
供を望む方が多いことも特徴と言えそうです。
震災により「収入がほとんどなくなった」から「月額で2~3割くら
なくなった、さらには、通勤距離が長くなったことが要因と言えそうです。
144
組織化が難しく、村の課題となっています。
7.情報伝達の手段について村からお知らせ
する情報についてどのような手段で知らせて
ほしいかについて(図5)
「以前は同居していた家族が複数の住まいに別れて住んでいる」
買うようになったり、井戸水や木炭、まきの生活から電気に頼らざるを得
図4 これまでの地域コミュニティで困っていること
まる機会がない」の順となっています。
広がる結果となりました。
なっています。これは、避難により今までは自家栽培していた野菜等を
知りたいという声が他の年代に比べて多くなっています。
答が最も多く出されており、次いで「元の行政区で集
北は北海道から南は九州と日本の広い範囲に避難者が
項目別に見ると、食費が最も多く、次いで水道光熱費、交通費と
くなる一方で、20~30代の若年層では「放射線の大人への影響」や「乳幼児・子どもや妊産婦への影響」を
「友人・知人と集まる機会がない」
(37.9%)との回
方の5.6%で、中部地方、近畿地方と続きます。
えた人が8割にのぼっています。
回答で最も多かったのは「村内の詳しい線量、汚染状況」
(58.7%)、
「村の除染活動」
(53.2%)、
でいず
◯回答数
64.4% (1743世帯)
また、県外への避難者を見てみると最も多いのは関東地
支出については「非常に支出が増えた」
「やや支出が増えた」と答
また、自由記述の欄には「ストレスから体を壊した」
「無気力になった」など精神的な苦痛に関する声が見
5.放射能の健康影響や除染などについて知りたいこと
考えた結果と言えます。
能汚染により、農地や山が使えなくなった影響が強く出ています。
の順になっています。
◯配布世帯数
2708世帯
いう設問に対する回答にあるように、仕事や学校の都合を
また、職業別では、農林業の方の割合が33.9%と最も高く、放射
で「イライラすることが増えた」
(39.9%)、
「話し相手がいない」
(38.2%)、
「ぼんやり過ごすようになった」
られました。
とがわかりました。これは、避難先をどのように決めたかと
かの形で収入が減っていることがわかります。
避難生活での生活・体調の変化で最も多かった回答は「体を動かす機会が少なくなった」
(58.3%)、次い
◯調査対象
世帯主や世帯の代表者
者の中でも半分を超える54.6%が福島市に避難しているこ
い減った」までを合わせると48.9%にのぼり、全体のほぼ半数が何ら
4.生活・体調の変化
図5 情報を知らせる手段
また、20~40代での回答では「ホームページ」
「電
図3 生活の状況
子メール」という回答が2~3割あり、インターネット等
を活用した情報提供も望まれています。
提供を求められている情報の内容は、
「東京電力の
補償に関する情報」
(71.8%)が最も多く、次いで「生
活支援制度・義援金」
(42.7%)となっており、何より
も経済的な充実につながる情報提供が急務であると
言えそうです。
村では、これらの調査結果をもとに被災者支援や
情報提供体制等を整えていくとしています。
145
アンケート調査の概要
住民意向調査
避難生活に関する実態調査(平成24年5〜6月)
飯舘村が避難を開始してからおよそ1年後の平成24年
5月〜6月、村は村民の生活実態や帰村に向けた意向を
把握し、村としての避難生活支援や復興に向けた取り組
みを検討するために「飯舘村民の避難生活実態及び帰
村意向等に関するアンケート調査」を行いました。除染に
対して厳しい見方がされる一方、帰村を希望するのは57・
7%とおよそ6割の回答がありました。
住民意向調査
◯調査対象
世帯主や主な生計維持者
◯配布世帯数
2914世帯
◯配布・回収方法
郵送
◯回答期間
平成24年5月22日
〜6月1日
◯回答数
61.4% (1788世帯)
▲松川第二仮設住宅のようす
▲借り上げ住宅入居者対象のお茶飲み会のようす
(川俣地区)
図1 避難による家族構成の変化
3、生活の状況について
がえます。(図5)
避難による家族構成の変化については、
「2カ所に別れて避難」、
「以前と変わらない」との回答は25・7%と3割未満
まる機会が少なくなっている状況もみえています。
「3カ所に別れて避難」、
「4カ所以上に別れて避難」をそれぞれ合
でした。
「外食やコンビニ弁当などが増えた」が43・
村内自宅への帰宅については「何度か自宅に戻って
わせると半数以上の62・8%の人が、家族が別れて避難していると
1%と高く、
「食事を作るのが大変」が29・4%と3割
おり、現在も時々戻っている」と「定期的に自宅に戻っ
回答しています(図1)。その理由としては、現在の住居の狭さ(53・
弱の回答があったことから、避難生活で外食が多く
ている」を合わせると、72・4%の世帯が自宅に戻って
2%)や家族の仕事(50・9%)が挙げられています。また、放射線の
なっている傾向がうかがえます。(図4)
いると回答しています。一方、
「何度か自宅に戻ってい
避難後の食生活・栄養状態の変化については、
1、避難の状況
影響(24・5%)や子どもの学校(21・4%)など、健康、教育のために
世帯が別れている状況がみえています。
2、仕事について
収入については、
「避難前に比べて現在の収入が
避難による仕事の変化については、
「避難前と同じ
減少」した世帯を合わせると56・3%の回答がありま
仕事をしている」は34・2%にとどまり、
「今、仕事を
した。なかでも、
「収入がほとんどなくなった」は、前
していないし、今後も予定はない」が25・4%、
「今、
回調査よりも8・5ポイント増えています。これは、震
仕事をしていないが、仕事を探している」が10・9%
災前に農業に従事していた方の回答が4割以上で非
と、震災による就労への影響が大きいことがうかがえ
常に多くなっていました。(図3)
また、遠隔地に避難しているため、友人・知人と集
コミュニティの面については、
「友人・知人と集
たが、現在はほとんど戻らない」が19・7%と回答。ま
まる機 会 がない」が46・4%と最も多く、次いで
た、
「一度も自宅には戻っていない」と回答した世帯は
「元の行政区で集まる機会がない」が33・5%と、
1・6%でした。(図6)
元のコミュニティの維持が課題であることがうか
図4 避難後の食生活・栄養状態の変化
(単位:%)
図5 コミュニティの面での困りごとについて
図6 村内自宅への帰宅状況
(単位:%)
ます(図2)。
図2 仕事の状況
146
図3 現在の収入について
147
住民意向調査
住民意向調査
4、子どもの教育や通学について
6%、
「奨学金など就学援助制度の充実」が22・
子どもたちの教育について心配なことについては、
9%の回答がありました。また、
「他の学校に転校し
「避難生活による精神的な疲れ、
こころの不安定化」が
た子どもたちとの交流」が22・5%で、通学のしや
46・9%と最も高く、次いで「遠方からのスクールバス通
すい住環境、保育施設の充実、就学援助制度、子ど
学による時間的・体力的負担」39・0%、
「学習環境が
もたちの就学の負担を軽減する支援策とともに、避
激変したことによる学力の低下」が32・1%となっていま
難により離ればなれになった子どもたちの交流の
す。(図7)
推進を望む声が多くなっています。(図8)
避難生活による生活環境や教育環境の大幅な変
化が、子どもたちの精神面、体力面、学習面に影響
を及ぼすことを不安視する傾向が示されています。
村に対する教育環境への要望は、
「仮設住宅・
園舎近くに復興住宅の建設」が28・4%、
「学童
「避難解除されてもすぐには戻らないが、放射線の
帰村についての考え方は、「避難解除されれば村
下がり具合などを見て、いずれは村に帰る」と回答し
に帰りたい」が12・0%、「解除されてもすぐには戻らな
た世帯では、「原発災害に関する補償の継続」が77・
いが、いずれは村に帰る」が45・5%と、合わせて57・
8%と最も高く、次いで「県借上げ住宅制度の継続」
7%が村に帰りたいという意向を示していました。その
が69・7%となっています。(図12)
一方、33・1%が「村に帰るつもりはない」と回答しまし
「村に戻りたい」と回答した世帯が求める支援では、
「村に帰るつもりはない」の回答では、「原発災害に
「生活が元に戻るまでの補償の継続」が63・3%、「徹
関する補償の継続」(76・4%)、「借上げ住宅制度の
底した除染活動の継続」が61・9%と、双方とも6割を
延長」(58・6%)、「移転先での住居確保」(53・7%)
超え特に高くなっています。(図11)
などとなっています。帰村しない場合も、補償や居住
させるための補償の継続を求める声が多く出されてい
仮設小学校の
開校式で村民歌
を歌う子どもたち
図7 子どもたちの教育について
避難解除後にすぐに帰村しない場合でも補償や居
住場所の支援の継続が求められています。
た。(図10)
除染による安全な生活の確保や、生活基盤を安定
▲
保育、預かり保育などの保育施設の整備」が26・
6、帰村について
場所の支援の継続を求める意見が多く出されました。
(図13)
ました。
図8 教育環境への要望
図10 帰村について
図11「避難解除されれば帰村」回答世帯が望む支援
(単位:%)
(単位:%)
図12「放射性物質の下がり具合をみて帰村」回答世帯が望む支援
5、村の除染について
飯舘村内の除染に対する意見は、
「除染の効果について大い
(単位:%)
図9 除染について
図13「村に帰るつもりはない」回答世帯が望む支援
(単位:%)
に期待している」
「除染の効果は一定程度あると期待している」
と、除染の効果を期待しているのは合わせて1割程度でした。
「期待できないが除染して欲しい」という回答は2割程度出され
ました。一方、
「除染には全く期待できない」
「除染についてあま
り期待できない」など、除染の効果は期待できないという回答が
4割を超えていました。(図9)
村ではこのアンケート結果を参考に、今後「戻りたい人」「戻りたくても戻れない人」「戻らない人」それぞれに
寄り添う支援策を進めることとしています。
148
149
アンケート調査の概要
住民意向調査
○調査対象
村外・村内拠点についての意向調査(平成24年11月〜12月) 世帯主や主な生計維持者
○配布世帯数79.1%
放射線量の低下のめど
風評被害があるから
2,985世帯
およそ2割が「村外子育て拠点(仮称)」に入居希望
土地や建屋などの除染の進捗に不安
61.4%
受領する賠償額の確定
○配布・回収方法
後継者・従業員の確保ができない
道路など、社会基盤の
村は、復興計画第2版で掲げる重点プロジェクトの「村外子
郵送54.4%
復旧時期のめど
設備や家畜等への新たな投資できない
どの程度の住民が
○回答期間
53.8%
育て拠点」や「帰村のための村内拠点」の実現に向けて、
住民
戻るかの情報
新たな顧客や販売先が確保できない
平成24年11月30日
その他
無回答
14.2%
の意向を把握するため、国・県の協力により住民意向調査を行
~12月14日
その他
無回答
5.2%
いました。
○回答数
1,523世帯(51.0%)
今回の住民意向調査には、男性63・5%、女性28・4%が回答
0
10
20
(図1)。回答者の世代は、50歳から69歳までが47・3%と半数を
40
50
60
70
80
図1 性別
占めました(図2)。
無回答
無回答
無回答
今の住居から
今の住居から
4.3%
4.3%
回答者が震災発生当時、
世帯主だったのは55・
5%、
世帯主で
29歳以下
引っ越したい
引っ越したい
その他
入居を希望する
5.1%
今の住居で継続
3.9%
(市町村外)
(市町村外)
なかったのは32・
4%と、避難により世帯分離した方の意見も多
5.4%
無回答
3.4%
3.4%
して暮らしたい
4.2%
50-69歳
30-49歳
17.3%
39.2%
入居を
く出されています。
47.3%
20.2%
今の住居から 22.7%
今の住居から 22.7%
希望しない
18.5%
引っ越したい
引っ越したい
入居を
しない
59.1%
(市町村内)
希望する
70代以上 (市町村内)
%
今後の避難期間中の生活をどこで過ごしたいか
30.4%
30
無回答
今の住居で継続
8.1%
して暮らしたい
39.2% 女性
28.4%
3.9%
5.4%
30-49歳
47.3%
20.2%
男性
63.5%
52.3%
64.2%
設備や家畜等への
新たな投資
46.9%
12.5%
4.9%
その他
理」と「商店再開の支援」が同じく61・7%求められています(図8)。
6.8%
0
2.5%
無回答
村内での事業再開について
10
20
30
40
50
60
70
0
80
10
20
30
40
「事業再開したい」と回答した世帯が課題として挙げたのは、
「風
帯が一緒に生活できるような住まい方を希望しています。
26.9%
5.1%
無回答
17.3%
18.5%
入居を
希望する
や2人と回答する世帯も多くみられました。
0
10
20
30
40
50
60
70
66.7%
73.4%
56.0%
9%で、合わせて48・8%が「戻りたい」
64.2%
35.6%
33.5% 前回の調査結
と回答しました。これは、
46.9%
26.3%
果から8・9ポイント
下回る結果です。一
22.8%
14.7%
方、
「戻らないと決めている」
は27・8%
10.2%
6.9%
で、
「帰らない」の回答も前回調査から
3.6%
30
40
50
60
150
医療機関
商業施設
雇用・就労の場
介護・福祉施設
交通インフラ
地域コミュニティ
学校
災害公営住宅
その他
無回答
5・3ポイント下回りました(図6)。
70
0
10
20
30
40
50
60
70
80
38.6%
22.8%
その他
4.5%
無回答
3.6%
10
20
30
40
50
60
70
80
図10 村内で事業する際の課題
再開したい
24.3%
59.1%
設備や家畜等への
農林畜産業の支援
新たな投資
つもりはない
20.1%
30.4%
0
23.2%
10
20
30
10
20
30
40
50
70
60
70
60.2%
30.7%
後継者・従業員の確保ができない
設備や家畜等への新たな投資できない
22.7%
女性新たな顧客や販売先が確保できない
男性
22.7%
80
50
52.3%
8.1%
60
40
(複数回答)
風評被害があるから
無回答
地
継続的な健康
管理の支援
4.9%
19.3%
19.3%
2.5%
商店の再開の支援
無回答
84現時点では分からない、
・7%、
「家が汚損・劣化のため住める状況でない」55・7%、
「商業施
0
15.8%
23.5%
飯舘村からの
従業員の確保
継続的な情報提供
その他
まだ判断できない
雇
介
46.9%
23.8%
12.1%
土地や建屋などの除染の進捗に不安
47.3%
66.7%
住宅再建
・
64.2%
修繕の支援
後継者(担い手)・
6.3% 再開する
20.2%
今の住居から 22.7%
28.4%
その他
14.2%
63.5%
引っ越したい
(市町村内)
「村に戻らない」と回答した世帯からは、
「放射線に対する不安」
無回答
5.2%
70代以上
村に戻らない人への支援
(複数回答)
その他 1.4%
農畜産物や製品の
仕事のあっせん 7.1%
放射能からの安全性確保
79.1%
61.4%
受領する賠償額の確定 無回答
4.3%
により帰村を判断したいということが表れ
29歳以下
道路など、社会基盤の
54.4%
今の住居で継続
3.9%
復旧時期のめど
5.4%
ています(図12)。
して暮らしたい
どの程度の住民が
50-69歳
53.8%
30-49歳
戻るかの情報
39.2%
3.4%
入居を
希望しない
無回答 1.1%
風評被害の払しょく
図11 事業再開、判断できない理由
れ、
村内の放射線量やインフラ復旧の進捗
無回答
12.5%
無回答
6.8%
その他
0
10
20
30
40
50
60
70
80
判断できない
設が元に戻らない」50・5%という理由が多く出されました。
帰村についての考え
「戻りたいが判断がつかない」が26・
61.7%
50.3%
仕事のあっせん
図9 村内での事業再開意向
放射線量の低下のめど
80
「戻りたいと考えている」が21・9%
80
75.7%
0
する賠償額の確定」61・4%などが挙げら
今の住居から
引っ越したい
(市町村外)
その他
無回答
64 平均3・4人となっ
入居を希望しない
二枚橋
・ 臼石地区 入居予定人数は、
る216人
です(図5)。
ていますが、1人
戻りたいが
78.3%
判断がつかない
76
草野地区
70
できない」と回答した世帯の理由としては
図4 村外子育て拠点への
入居希望について
63
飯樋地区
村内拠点へ「入居を希望する」
と回答した世帯は全体の14
・2%に当た
60
61.7%
農林畜産業の支援
「放射線量の低下のめど」79・1%、
「受領
21
無回答
村内拠点に災害公営住宅が整備された際の入居希望
14.2%
50
継続的な健康管理の支援
反対に、
「事業を再開しない」
「まだ判断
村外子育て拠点へ「入居を希望する」と回答したのは282人であり、全
21.9%
40
(複数回答)
63.5%
性確保」
64・2%などでした(図10)。
「村外子育て拠点」として建設される
災害公営住宅への入居希望
7.6% 入居を希望する
30
商店の再開の支援
帰村の判断に必要な情報
同居予定の世帯家族人数は、平均で4・2人であり、離れて避難している世
20
村
飯舘村からの継続的な情報提供
「風評被害があるから」60・2%、
「土地や
体のおよそ2割が災害公営住宅に入居を希望しています(図4)。そのうち、
10
二
住宅再建・修繕の支援
評被害の払しょく」
66・7%、
「農畜産物や製品の放射能からの安全
男性
28.4%
35.6%
33.5%
26.3%
22.8%
14.7%
10.2%
6.9%
3.6%
0
みられます(図9)。
女性
56.0%
図8 村に戻る場合行政に求める支援
と答えており、今後の状況を見て事業再開の可否を決める声が多く
図3 今後の避難期間中の生活を
無回答
無回答 1.2
その他 3.3%
無回答 2% どこで過ごしたいか
建屋などの除染の進捗に不安」
52・3%、な
転居時期が決まっている
放射線量の低下のめど
79.1%
60.2% その他 2.1%
その他 2.4 風評被害があるから
た段階 6.4% 「引っ越したい」と回答した世帯では、
無回答
6.0
希望する避難住宅は、
「持ち
その他 5%
2.8%
どが挙げられ、
放射能による風評被害への
後継者(担い手)・
無回答 7.3%
52.3%
土地や建屋などの除染の進捗に不安
放射線量の無回答受領する賠償額の確定
61.4%
他 8.2%
希望転居先での住宅が
新たな顧客や販売先が
無回答
今の住居から
風評被害が
従業員の確保
どの程度の住民が
11.2
家」が46・
8%と最も高く、次いで
「民間賃貸」が24・
7%でした。
住
低下の目途4.3%
無回答
30.7%
後継者・従業員の確保ができない
確保された段階
確保できない
29歳以下
道路など、社会基盤の
風評被害の払しょく
校転入等の
すでに新しい
引っ越したい
その他
あるから 対策が大きな課題であることがみられます
10.9%
無回答
無回答
54.4%
戻るかの情報
復旧時期のめど
30%
5.1%
40.0% 7.6% 入居を希望する
20%(市町村外)
今の住居で継続
8.1% 32.0%
った段階 9.2%宅の建て方としては
生活拠点に
29.0%3.9%
7.3% 避難前と同じように一
22.7%
設備や家畜等への新たな投資できない
「一戸建て」
が73・1%で、
設備や家畜等への
設備や家畜等への
31.1%
5.4%
無回答
3.4%
どの程度の住民が
(図11)。
して暮らしたい
10.9%
転居済み
14.2%
53.8%
新たな投資できない
50-69歳 新たな投資
22.5%
戻るかの情報
新たな顧客や販売先が確保できない
22.7%
30-49歳
17.3%
女性
39.2%
受領する賠償金が
戸建てで生活ができる環境を望んでいるようすがうかがえます。
入居を
道路など、社会基盤の
14.8% 20.2%
63
47.3%
男性
82.5%
その他
無回答
12.5%
14.2% 25.1%
今の住居から
22.7%
確定した段階
希望しない
28.4% 30.8%
23%
後継者 ・ 従業員の
16.2%
復旧時期の目途
20%
35.5%
避難前に
18.5%
63.5%
引っ越したい
64
入居を
土地や建屋などの
入居を希望しない
転居時期は
確保ができない
その他
6.8%
59.1%
農畜産物や製品の
自営業をしていない
受領する賠償額
無回答
5.2%
(市町村内)
希望する
除染の進捗に不安
決まっていない
70代以上
78.3%
「戻りたいが判断できない」
「分からな
放射能の安全性確保
30.4%
の確定
76
0
10
20
30
40 23.2%
50
60
70
80
0
10
20
30
40
50
60
70
80
現時点では分からない、
い」と回答した世帯が必要な情報として、
40
50
60
70
80
判断できない
16
70
3%が「再開したい」と回答。また、20・1%が「まだ判断できない」
越したい」と回答したのは26・1%でした(図3)。
「判断できない」
0.8%
村内のその他の地区
60
避難前に農林畜産業や商業等の自営業を営んでいた方は、24・
高かったものの、
「判断できない」が30・4%、現在の住居から「引っ
戻りたいと
考えている
50
73.4%
医療機関
商業施設
雇用・就労の場
介護・福祉施設
交通インフラ
地域コミュニティ
学校
災害公営住宅
その他
無回答
「住宅再建・修繕の支援」が75・
22.7% 帰村の際に行政に望む支援としては、
後継者(担い手)・
23.5%
22.7%
従業員の確保
7%と、生活拠点の整備が求められています。
次いで、
「継続的な健康管
23.2%
現時点では分からない、
現時点では分からない、
「今の住居で継続して暮らしたい」
と考える世帯が39・2%と最も
判断できない
判断できない
農畜産物や製品の
放射能からの安全性確保
30.7%
70代以上
30.4%
23.2%
7)。
8.1%
50-69歳
(複数回答)
風評被害の払しょく
66.7%
60.2%
56・0%と、
日常生活に関わる施策を重視する意見が多く
なっています(図
無回答
29歳以下
図7 村の復興のために必要と思うもの
村の復興のために必要と思うものは、
「医療機関」73・4%、
「商業施設」
図2 年代
無回答
住民意向調査
帰村に必要な支援
その他 2.4% 災害公営住宅 3.6% (複数回答)
無回答 1.3%
草野地区
76人
学校 5.2%
医療機関
二枚橋・臼石地区8.0%
25.9% 64人
地域コミュニティ
19.8%
福祉施設
村内のその他の
地区
10
20
30
40
20.2%
27.8%
12.6%16人
雇用 ・ 就労の場
0
分からない
戻らないと
決めている
商業施設
21人
無回答
介護
・ 11.9%
無回答
3.2%
戻りたいと
考えている
21.9%
26.9%
戻りたいが
判断がつかない
60
70
80
(複数回答)
79.1%
その他
放射線量の低下のめど
16
無回答
「住居の確保の支援」が72・
入居を希望する
7.6% 受領する賠償額の確定
21
4%と最も多く、次いで「仮設・ 14.2%
村内のその他の地区
無回答
63
道路など、社会基盤の
復旧時期のめど
64
どの程度の住民が
入居を希望しない
戻るかの情報
借り上げ住 宅 利 用期 間の 確
二枚橋 ・ 臼石地区
保」が59・9%と、今後の住ま
76
草野地区
いに対する支援が求められて
0
50
図12 帰村の判断のために必要な情報
生活に求める支援について、
飯樋地区
63人
飯樋地区
交通インフラ
9.3%
村に戻らない場合の今後の
図6 現時点の村への帰還について
図5 村内拠点への入居を希望する地域
10
20
30
40
50
60
70
80
います(図13)。
78.3%
61.4%
無回答
5.1%
17.3%
54.4%
18.5%
入居を
53.8%
14.2%
0
10
20
4.3%72.4%
住居の確保の支援 今の住居から
引っ越したい
60
風評被害があるから
仮設、借り上げ住宅
59.9%
今の住居
利用期間の確保 (市町村外)
52.3%
土地や建屋などの除染の進捗に不安
3.4%
して暮らし
継続的な健康管理の支援
51.2%
30.7%
後継者・従業員の確保ができない
39.2%
入居を
村からの継続的な情報提供
今の住居から48.3%
22.7%22.7%
希望しない
設備や家畜等への新たな投資できない
仕事のあっせん 引っ越したい
14.6%
新たな顧客や販売先が確保できない
8.5%
無回答
30
40
50
60
70
80
22.7%
30.4%
12.5%
(市町村内)
その他
5.2%
無回答
(複数回答)
無回答
59.1%
希望する
その他
図13 帰村しない場合の生活支援
10
現時点では分から
6.8%
判断できない
その他
5.0%
0
無回答
20
30
40
0
50
10
60
20
70
30
151
80
40
リスクコミュニケーション(以下、リスコミ)とは、あ
る問題に関する危険性(リスク)に対し、利害関係者が
「どんなリスクなのか」
「どの程度のリスクなのか」
「ど
う対応するのか」について意見交換することです。
平成23年9月、第1回リスコミ推進委員会では8人
の委員(右表参照)に委嘱状が交付され、村民が抱え
る放射線への疑問や不安を調査し、放射線に関する
正しい知識を得られるよう、リスコミの進め方につい
ての議論が始まりました。
平成 24 年 4 月 21 日世界の放射線専門家との対話集会
▲
いいたてまでいな復興プラン
リスクコミュニケーション推進委員(当時)
委員名
中川 恵一
神津 カンナ
伴 信彦
田中 俊一
上塚 寛
井上 正
菅家 文左衛門
西澤 真理子
所属等
東京大学医学部付属病院
放射線科准教授
作家
東京医療保健大学大学院
看護学研究科教授
放射線安全フォーラム代表
日本原子力研究開発機構
核燃料サイクル工学研究所長
電力中央研究所 研究顧問
一般リスコミ部会
村民一般を対象に講演会や勉強会
を行う部会。各仮設住宅・公的宿舎等でのリスコミ
実施や、ホールボディカウンタの検査結果の説明、
生活習慣病・心の病気にも対応した健康相談を継
続しています。
平成 24 年 11 月 28 日 松川第一仮設
元福島農業試験場会津地域試験支場長
シュトゥットガルト大学環境技術
社会科学研究フェロー(社会学博士)
直接対話で出された意見
Q.人体の修復作用は個人差があるのか。
A.病気や遺伝病の方など感受性の高い人はいる。
Q.低線量被ばくによってがん以外の影響があるのではない
か。
A.
年間100ミリシーベルト以上の被ばくでは、
がん以外に老人性
症状が早く出るなどのデータがあるが、低線量ではデータが
ない。
平成24年4月、チェルノブイリ原発事故後の子ど
もの健康調査活動に基づいた、放射線と健康に関
する専門家5人による直接対話集会が飯野出張所
で開催され、放射線に対する不安や健康への影響
について参加者と意見交換しました。また、アメリ
カやカナダなどの専門家から、被災によるトラウマ
(心的外傷)や放射線被ばくの医学的影響につい
て講演が行われました。
「放射線被ばくの医学的影響」
国連放射線影響調査科学委員会 米国代表
フレッド・メトラー氏
「いいたてまでいな復興計画」をもとに、実働部隊
として健康リスコミ推進委員会が発足。16人の委員が
教育リスコミ部会、一般リスコミ部会、編集部会の3つ
の事業部会に分かれ、
研修会や各集会等での
リスコミ実 施、広報誌
やタブレット端末など
で伝える活動を行うこ
とが確認されました。
この 日は3
つの事業部会
が取組状況と
今後の事業計
画 を 報 告。参
加した委 員か
らは、
「放射能についてよくわからないので、学校の
授業で教えてもらえるとありがたい」
「転校した子ど
もにも放射線教育が受けられる場を作ってほしい」
などの意見が出されました。
医師が学校で
に学校等で放射線教育を行う部
授 業を行うドク
会。小学1年生から中学3年生を
タービジットとし
対象に放射線に関する授業を実
て、中川 恵一 先
施したり、避難による子どもたちの
生による講演会が飯舘中学校で開
メンタルケアをすすめています。
平成 24 年 6 月 19 日 第 1 回
子どものあそびと心のケア
催されました。放射線や健康への影
平成 24 年 7 月 30・31日 放射線教育教職者研修
▲「教職員同士で知識を共有し深めて
いきたい」
と熱心に聞き入る先生方
子どもたちが遊
びに熱中する傍ら、
保護者向け座談会
や小児科医や精神
科医による個別相
談を実施
響、日常生活での発がん性リスクな
どについて話した後、がんについて
学ぶアニメが上映されました。
編集部会
▲ 部 会 活 動を
支える託児コー
ナー
平成 24 年 1 月 22 日 小・中学生向けの放
射線教育授業研究会
放射線の知識や日常生活での疑問などを新聞で伝
える部会。漫画なども交えた「かわら版道しるべ」をつ
くり、広報と一緒に全村民へ配布。これまでに5号が発
子どもたちは放射能・放射線を正しく理解できるよう
真剣な表情でメモを取り、授業を受けていました
◀
平成 24 年 8 月 21 日 第2回健康リスコミ推進委員会
平成 24 年 9 月 7 日 ドクタービジター
放射線教育講演会
児童・生徒や保護者を対象
・放射線被ばくによるDNA損傷は人体の修復機能で修復
できる
・3世代にわたる原爆被ばく者研究結果では遺伝的影響は
見られていない
平成 24 年 6月1日 第1回いいたて健康リスコミ推進委員会
▲委嘱状を受け取る海野会長 152
・「食欲がない」
「眠れない」といった声には愚痴ととらえ
ず向き合わなくてはならない
・福島において心理的に傷害を受けやすいのは、子どもへ
の影響を心配する母親や家を失い家族とばらばらに暮ら
している高齢者、放射線被ばくへの不安が強い人など
目に見えない放
射線をイラストで分
かりやすく
教育リスコミ部会
伴信彦先生が談話室を訪
れ、 放 射 線 の 種 類 や 性 質、
専門家の発言の根拠などにつ
いてスクリーンを使って説明。
参加者からの問いかけにも、
一つひとつ理由を示しながら
丁寧に答えていました。
▲
「福島における災害後の心理的影響:
コミュニケーションの重要性」
ストーニーブルック州立大学教授 エヴェリン・ブロメット氏
この日の講師は中川恵
一先生。 5人程度の班に
分かれて今不安に思って
いることを話し合った後、
先生が科学的データや専
門知識に基づく説明とアド
バイスを行いました。
▲
リスクコミュニケーション
平成 24 年 12 月 21 日 旧飯野小仮設
生 活の中 で感 じ た 疑 問 を
じっくり話し合います
放射線の知識を共有しよう
行されています。
(平成25年3月現在)
かわら版「道しるべ」の完成版は118p
153
自分たちが村を守る!
未来にはばたけ!
いいたてっ子の旅
いいたて全村見守り隊
全村避難に伴い、村内を24時間体制で巡視
「飯舘村が計画的避難区域に指定されている今だ
するいいたて全村見守り隊が発足しました。
からこそ、未来を担う子どもたちにさまざまなことを
村内20行政区、約400人の村民が見守り隊
員として線量を管理しながら自分たちの行政
学んでもらおう」と、震災からわずか5か月後の2011
説明会
区を見守ります。
年8月、村は中学生をドイツ研修旅行へ送り出しまし
た。その後も、沖縄、イタリア、オーストラリア…と、子
どもたちの旅は続きました。
出発式
「未来への翼」第1回ドイツ研修
参加者:中学生18人
村では「いいたてっ子未来基金」を活用して、このよ
日程:2011年8月8日〜17日
滞在先:ドイツ 黒い森・ツヴァイテーラーラント
うな研修を今後も継続して実施する予定です。
主催:飯舘村(いいたてっ子未来基金)
旅のアルバム
全村避 難中という非常
▼エコタウン集合住
宅を観察
時に、参加者はそれぞれ避
難先から集まりました。研
修先のドイツでは、バイオ
ガス発電・発熱や太陽光
発電等の自然エネルギー
平成23年6月6日には最初の出発式が行われ、オレンジのベスト
を着た隊員たちが24時間体制で村内の巡視を開始しました。
平 成 年 お よ び 年 の 月 、南 相
巡 視 完 了 後は、伝 言 を 書いたカード
馬 警 察 署 の「 安 心・安 全 ふ れ あ い 旗
を玄関に貼って終了です
コンクール」で見 守 り隊の作 品 が 入 賞
(写 真は平 成 年)
ロール
警察との合同パト
謝状
見守り隊隊員に感
見守り隊のぼり
▲
23
23
24
▲
平成23年9月、不審者
発見の通報が検挙につ
ながり南相馬警察署から
感謝状が贈られました
154
▲酪農家の屋根に敷き詰められたソーラーパネ
ルは売電事業に貢献しています
▲
▲車のフロントガラス
から見えるように通行
証を設置して、出発!
▲警察の目線、村民の目線で
くまなく村内を巡視しています
についてや、農家民宿を営
▲飯舘村公民館前で行われた、いい
たて全村見守り隊出発式のようす
11
◀風景にも配慮されたフライアムト村の
市民風車
む酪農家見学、持続可能
な多機能森林等、
「持続可
能な社会」について学びま
した。
報告会in福島大学
▲現地の方も一緒に「ふるさと」を
日本語で合唱
◀持続可能な観光農村
シモンスヴァルト村で、村
長の質問に答える中学
生
福島大学の学生を対象とした、村の
中学生による“授業”。ドイツ研修に参加
した3人の中学生が「講師」となり、研
修のようすを報告。続いて質疑応答で
はエネルギー問題や避難生活のこと等
について意見が交わされました。
155
沖縄県読谷村を中心に行われた
草野・飯樋・臼石小学校児童39人
今回の旅は、沖縄の歴史や文化、自
に、村外小学校へ転校した6人も加
然を体験することで、命の大切さや
わった45人の旅。沖縄では久しぶり
平和の尊さを学び、自然の美しさへ
の感動を友達と共有しました。
の再会を喜びながら歴史や自然に触
▲美ら海博物館で亜熱帯の
生物を観察
れ、命の大切さ、平和の尊さ、感謝の
心を学びました。
交 流 会 では 琉 球 舞 踊 を
体験
沖縄でのまでいの旅
参加者:小学生42人
日程:2011年12月24日〜27日
滞在先:沖縄
主催:飯舘村教育委員会
読谷村の子どもたちが
披 露するエイサーや座喜
味 棒の演 舞 を 鑑 賞 。交 流
も行いました。
▲
▲
でいの旅
球 沖縄でのま
▲米軍基地見学では、震災時に米軍が被
災地支援のため活動した「トモダチ作戦」
について学びました
▲平和祈念公園の「ふくしま
の塔」に献花
生命と地
45人
参加者:小学生
月22日〜25日
日程:2012年7
滞在先:沖縄
育委員会
主催:飯舘村教
▲美ら海水族館ではジンベエ
ザメやナンヨウマンタに感動
旅のアルバム
▲記念の旗を交換
しました
「未来への翼」第2回ドイツ研修
参加者:中学生19人
日程:2012年3月24日〜31日
旅のアルバム
▲自己紹介のために
カードを作成中
滞在先:ドイツ
主催:飯舘村(いいたてっ子未来基金)
▲
一緒にフットサルを
楽しみました
マに行われたドイツ研修。ドイツ南西部の
「黒い森」地域を中心に、フランスのアル
▲バイオガス発電をす
る農家を見学
真実の口から手が抜けるか
な?
▲
▲馬牧場のようす
第1回と同様「持続可能な社会」をテー
ザス地方まで足をのばしました。エネル
ギー生産をする農家、市民が自主的にまち
馬牧場では馬との交流を通して尊敬といた
コーナ村で3日間を過ごした後、ローマではコロッセオやスペイン広場な
い村」を訪問。趣きのある古い街並みを散
156
主催:飯舘村教育委員会
後援:NPO法人「日本で最も美しい村」連合
子どもたちは、イタリアで最も美しい村のひとつ、モンタルバーノ・エリ
わりの心を学びました。フランスでは「美し
▲木材がふんだんに使われた交流館
日程:2012年7月24日〜31日
滞在先:イタリア・シチリア島、ローマ
イタリアで最も美しい村協会
づくりに参加したエコタウンなどを見学。
▲フランスの「最も美し
い村」
を訪問
未来への翼 in イタリア
参加者:中学生22人
どを観光し、大いに感動しました。
策しました。
「言葉が通じなくてもダンスや折り紙で交流できた」といった感想も聞
▲コロッセオの前で記念写真
かれ、現地の人とのふれあいが強く印象に残ったようです。
157
Fly UP