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一般社団法人 日本電機工業会 2015年度事業報告

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一般社団法人 日本電機工業会 2015年度事業報告
一般社団法人 日本電機工業会
2015年度事業報告
Ⅰ はじめに
1.事業報告概括
2015 年度の日本経済は、雇用環境が好調であったものの、中国を中心とする新
興国経済の減速等の影響を受けて設備投資が伸び悩んだ他、個人消費も年度を通じ
て停滞し、全体としては踊り場の状況が継続しました。海外経済についても総じて
力強さに欠けた他、2016 年入り後は、金融市場の混乱がみられる等、先行き不透明
感に直面しました。
電機産業を取り巻く環境について、重電分野は、アジアを中心とする新興国経済
の減速の影響を受けました。白物家電分野は、2014年4月の消費税率引き上げによ
る需要の減少を脱し、買替え需要を主体に高付加価値機種が堅調に推移しました。
2015年度は、長期エネルギー需給見通し及び温室効果ガス削減約束草案の決定、
原子力再稼働実現、法人実効税率引下げ及び TPP の大筋合意が実現する等、わが
国及び電機業界にとって確かな進展がありました。
このような中、JEMA は、電機産業の持続的発展に向け、エネルギー・環境戦略
具体化や原子力の重要性に関する意見発信、成長戦略では国内市場活性化とグロー
バル市場の需要取り込みのための戦略的施策に関する意見発信、さらに新たなもの
づくり、サービス産業の創出としてスマートマニュフアクチャリング推進等を展開
しました。
1.1 エネルギー・環境戦略
政府の「長期エネルギー需給見通し(案)」、「日本の約束草案(政府原案)」、
省エネ施策、固定価格買取制度見直し、原子力事業の重要性等に関する意見提出
1.2 スマートマニュフアクチュアリングへの取組み
スマートマニュフアクチュアリング特別委員会設立、外部関係組織との連携、製
造業としての将来像・課題の整理
1.3 事業分野別
(1)重電事業
①インフラシステム輸出促進:サービス事業高度化調査(欧州発電送配電事業
調査)、コジェネサービス高度化調査、メキシコ電力市場攻略:メキシコ
エネルギー産業協会との情報交換会・更なる会員企業プレゼンス向上
②重電産業の将来展望研究:電力システム改革に伴う電機業界市場調査(欧米
との比較評価・業界の課題対策)/講演会
③産業システム・機器高効率化:トップランナーモーター(2015年度適用開
始に対する支援、電気協会「内線規定」等への始動電流対応の意見提出:6
月)、2014年度適用開始したトップランナー変圧器実績把握(省エネ基準
105.5%達成)
④電気協同研究:2014年度から3件完了、2件継続(電力系統監視制御システ
ム開発課題・対策検討、変電機器の耐震設計最適化)
⑤PCB 処理:課電洗浄処置適用拡大に向けた環境省、経済産業省(METI)、
(一社)日本経済団体連合会(経団連)、電気事業連合会(電事連)への
協力と情報発信
(2)原子力事業
①原子力政策への意見提言:長期需給見通し意見のなかで原子力事業の重要性、
核燃料サイクルについては「新たな環境下における使用済燃料再処理等」
に関するパブコメ意見提出(1月)、もんじゅのあり方検討会でのプレゼン
(2月)等
②会員企業・高校生・女性を主な訴求対象とした原子力情報の継続的発信
③放射線利用医療機器輸出に関する継続的な要望:
(株)
国際協力銀行(JBIC)、
(独)国際協力機構(JICA)、(公財)医用原子力技術研究振興財団、(独)
日本貿易振興機構(JETRO)との意見交換
(3)家電事業
①省エネトップランナー制度:冷蔵庫改正 JIS 発行と改正省エネ法反映への
対応(3月)
②家電リサイクル/使用済み小型電子機器リサイクル:意見具申継続と円滑な
制度運営への対応(1月、12月)
③国際標準化:エアコン微燃性冷媒規格化推進、省エネ等国際標準化・普及基
盤構築支援事業:冷蔵庫 IEC 規格の ASEAN 諸国での採用推進支援(タイ
国内 IEC 採用国内規格完了:3月)
④HEMS 関連:エアコンの AIF(Application Interface)仕様書作成、太陽
光発電、蓄電池(新エネ事業等と協調)、第三者認証制度構築に協力
⑤各社のグローバル事業展開を支援するために ASEAN 地域で JEMA の分科
会を設立、支援の仕組みを強化(7月)
⑥中東地域のトルコ、サウジアラビア、UAE の3カ国について家電市場動向、
消費性向の調査を行い報告書発行(2月)
(4)新エネルギー事業
①再生可能エネルギー導入目標、固定価格買取制度運用、規制緩和等パブコメ
での提言(7、1月)
②太陽光発電:大容量システム(1,000V)対応 JEM 規格(3月)、モジュー
ル火災試験の JIS 草案作成(3月)等標準化活動
③風力発電:日本の設置環境を考慮した国際規格提案・JIS 整合(大型風車設
計要件等 JIS2件発行)、新たな IEC の認証制度 IECRE に対する対応開始
④燃料電池:水素燃料機種認定基準策定(10月)、燃料電池規制緩和提言(常
時監視撤廃等、9月)、エネファーム性能試験方法 IEC 案完成(3月)
⑤分散型電源:出力制御検討に伴う出力制御 PCS 通信仕様まとめ・実証試験
対応、蓄電システムを含む PCS の認証基準方法策定等、系統連係技術拡大
に応じた技術基準策定を推進
(5)地球環境保全
①地球温暖化防止:低炭素社会実行計画(フェーズⅠ2020年目標)実績取り
まとめと評価
②化学物質対策の推進:RoHS2指令適用除外項目延長申請と禁止4物質追加対
応、REACH7物質追加対応、中国 RoHS 施行対応、UAE・台湾 RoHS へ
EU との整合を要望する意見提出
③循環型社会構築:LCA 簡易評価手法推進、欧州 ErP や各国省エネ規制への
意見提出等、産業廃棄物自主行動計画実績まとめ
(6)国際標準化の推進/共通技術基盤強化
①国際標準化推進:高効率モーター、PDS、FL-net、新しい電磁両立性 EMC
規格、太陽光・風力・燃料電池、スマート家電(HEMS・家電エネルギー
マネージメント関連規格)、エアコン(微燃性冷媒規格化)
②電気用品安全法の体系見直しへの協力:JIS 原案作成・電気用品調査委員会
承認-8件、JIS 発行-2件
③大型分散電源認証基盤整備:JEMA 内に利用促進協議会を立ち上げ、設備・
認証試験・運用等の要望をまとめ・提言
④高電圧試験分野認証活動:国家標準とのトレーサビリティ確立において大電
流試験用分流器抵抗値の運用開始(9月)
⑤理科教育支援:教員に加え学生向け理科セミナー開催拡充:29回実施・800
名受講(2014年度:16回・392名)
(7)主要共通課題への取組み
①大学生向け電機業界説明会の開催による人材確保支援を促進:43大学47回
開催、2,558名聴講(2014年度:20校、1,422名)
②経済連携:WTO 環境物品自由化交渉支援(関心国工業会への働きかけ)、
EPA/FTA/RCEP 等への意見提出と TPP 大筋合意における情報収集
③税制改正:2016年度税制改正への要望提出
2.電機業界の動向(2015 年度の実績)
2015年度の重電機器、白物家電機器を合わせた電気機器の生産実績は、5兆
3,259億円、前年度比95.4%となりました。
重電分野は、アジアを中心とする新興国経済の減速の影響を受け、3兆4,957億
円、前年度比89.6%と、過去10年で生産額が最高となった前年度を下回る結果と
なりました。
白物家電分野は、冷夏、暖冬等天候不順があったものの、2014年4月の消費増
税後の低調傾向を脱し、生産の国内回帰の動きや高付加価値機種が好調に推移し
たことにより、1兆8,302億円、前年度比108.8%と、2年ぶりの増加となりました。
【電気機器の国内生産*1】
(生産額:億円、対前年度比%)
2014年度
国内生産実績
重 電 機 器
38,993 (105.4%)
白物家電機器
(国内出荷額*2)
16,818 (94.0%)
(21,255) (87.8%)
電気機器合計*3
55,811 (101.7%)
2015年度
国内生産実績
34,957
(89.6%)
18,302 (108.8%)
(22,475) (105.7%)
53,259
(95.4%)
*1 国内生産の実績・見通し値は、METI 生産動態統計をベースに JEMA が策定し
ました。
*2 白物家電機器の国内出荷の実績・見通し値は、JEMA 統計、(一社)日本冷凍
空調工業会統計をベースに、JEMA が策定しました。
*3 端数四捨五入のため、積上げ値と合計値が一致しない場合があります。
Ⅱ事業分野別 事業報告
1.重電事業
国内では、小売全面自由化等電力システム改革が着実に進められ、海外では、グ
ローバルベースでの事業展開が必要不可欠になる中、エネルギーの安定供給に対す
る懸念や、環境保全・低炭素化社会を実現しようとする意識の定着等によって、重
電産業の事業環境は大きく変化しようとしています。こうした中、JEMA は、中長
期的な視点から、わが国の重電産業の持続的発展と世界レベルでの地位の向上に貢
献できるよう取り組んでいます。
2015 年度は、国が推進する低炭素社会の構築やインフラシステム輸出促進に関
する検討に積極的に協力しました。さらに、トップランナー省エネ基準の適用が始
まっている変圧器、産業用モーターの普及啓発活動を継続する等、2016 年度に向け
た喫緊のテーマにも取り組んできました。
1.1 重電産業の持続的発展と低炭素社会構築への貢献
(1)重電産業の将来展望に関する研究
電力システム改革による電機産業への影響を捉える一助として、先行する欧米
諸国の電力システム改革と日本の政策の類似性と差異性に関する調査事業を
実施しました。日本の諸規制を残しての制度改革の下では、環境変化の把握と
改善には業界団体としての意見発信も重要であり、電力の供給信頼性維持関連
システム等にビジネスチャンスが求められる等の知見を把握し、会員企業と共
有しました。
(2)インフラビジネスに関する取組み
高度化されたサービス事業を世界で展開していると評価される欧米の代表企
業をとりあげて、体制やネットワーク、取り組み上の特長等を調査しました。
高い製品競争力がサービス事業の効率化を実現している実態を把握し、ICT
活用を基本として中小型タービンや IGCC*4 等に注力すべき等の知見を得まし
た。加えて、コージェネレーション業界特有の先行事例も調査し、欧米の先進
企業が、事業規模に応じたサービスラインナップの広さに信頼を置く顧客を掴
んでいる実情を把握しました。日本企業は、ESCO*5や BOOT*6事業等での
差別化等にビジネスチャンスを見いだすべきとの狙いを、会員企業と共有しま
した。
また、メキシコ電力市場における会員企業の受注機会可能性を高める活動とし
て、昨年に引続きメキシコ現地へのミッション派遣を実施しました。メキシコ
エネルギー産業協会(AME)を訪問し、同国の電力システム改革の動向等につ
いて情報交換を実施した他、同国で電力向け製品の認証システムを手掛ける
LAPEM(システム・材料試験研究機関)を訪問して日本製品のプレゼンテー
ション及び意見交換を実施し、会員企業の新たなビジネス人脈の構築に貢献し
ました。
*4 IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle(石炭ガス化複合発電)
*5 ESCO:Energy Service Company(省エネルギーに関する包括的なサービスを
提供し、お客様の利益と地球環境の保全に貢献するビジネス)
*6 BOOT:Build, Own, Operate and Transfer
(民間企業が発電所等の建設、
所有、
運営を行い、契約期間後に所有権を公共に移転する事業方式)
1.2 産業用システム機器の高効率化の取組み
(1)トップランナーモーターに関する取組み
平成 27 年 4 月より産業用モーターについて「トップランナー基準」の適用が
開始されたことを受け、次の活動を実施しました。
①法令・規格基準への対応
(a)トップランナー基準の適用除外に係わる解説について、METI と調整し、
同省ウェブサイトへ掲載。適用除外するためには、具体的な設計変更を
伴うこと等を明記。(8 月)
(b)省エネ達成度調査のための報告調書案を METI へ提案(9 月・10 月・12
月)、採用。(2 月)
(c)FAQ(質疑応答集)の作成・更新
②普及啓発活動
(a)トップランナーモーターのパンフレットの改訂版を発行(11 月)
(b)展示会での周知活動(資料配付)…テクノフロンティア、SCF 等
(c)新聞、雑誌への寄稿…日刊工業新聞(11 月)、業界誌 3 誌への寄稿、講
演会への講師派遣
③切替えに伴う対応策の普及啓発
(a)関連工業会への説明・啓発活動…(一社)日本産業機械工業会、(一社)
日本工作機械工業会他
(b)効率規制の国内外情報収集・発信
(c)サミット中国 2015 で講演(7 月)
(d)eemods2015*7(フィンランド)に出席(9 月)
(e)台湾 IE3 モーター会議で講演(9 月)
(f)アジア銅ダイキャスト広州会議で講演(3 月)
(g)諸外国における省エネの取組みについて情報収集し、電機 10、12 月号
に寄稿
*7 eemods :Energy Efficiency in Motor Driven Systems(モータシステムのエネ
ルギー効率に関する国際会議)
(2)トップランナー変圧器に関する取組み
既に平成 26 年 4 月より変圧器の出荷について第 2 次トップランナー基準の適
用が開始されており、2 年目を迎えるため、次の活動を継続しました。
①法令・規格基準への対応
(a)2014 年度のトップランナー変圧器製造の出荷実績を、METI から提出要
請のあった内容と同一内容を独自に集計し、理事会に報告(9 月)
(b)省エネ法特定機器について、今後の対象機器追加、省エネ基準見直しの
ための情報を提供(11 月)
②普及啓発活動
(a)新聞・雑誌、業界誌等への寄稿…日刊工業新聞(10 月)
(b)講演・説明会への対応
③ユーザー業界団体との意見交換
トップランナー変圧器を盤に収納する際の固定方法や耐震性をテーマに
(一社)日本配電制御システム工業会(JSIA)と意見交換(11 月)
(3)蓄電システムの適正処理・リサイクル
(一社)電池工業会(BAJ)と協力して、定置用リチウムイオン(LIB)蓄電
システムの適正処理対応、普及・啓発活動等を推進しました。
①リサイクルマニュアル作成ガイドラインの策定(7 月)
METI から、
JEMA と BAJ が共同で作成したリサイクルマニュアル作成ガ
イドライン(現時点での暫定案)を提示して欲しいという要望があり、各
社のリサイクルマニュアル作成上の指針として注意点を網羅したもので、
実際のマニュアルにそれらをどう反映させるかは各社の裁量に委ねること
を付記して提出(7 月)
②回収システム構築の検討課題と対応の方向性の検討(7 月)
METI と打合せを行い、JEMA では 2019 年以降、蓄電システムの回収・
リサイクルを開始する予定としており、業界共同で広域認定を取るスケ
ジュールとしている旨を報告し、今後も継続してご指導頂く(7 月)。
③蓄電システムの将来ビジョンの検討(11 月)
2020 年と 2030 年を目標年度として蓄電システムのあるべき姿(ビジョン)
を描き、そこに到る蓄電システムの進化の方向性、必要な業界での取組み
等を取りまとめた。JEMA における検討母体として「蓄電システムビジョ
ン検討 WG」を 8 月末に設置して検討を行い、
「JEMA 蓄電システムビジョ
ン(Ver.1.0)」を発行し、関係委員会へ配布した(11 月)。今後は、内容
を拡充していき、2016 年度 5 月に改訂版を取りまとめる予定。
④自主統計実施と市場動向調査(半期毎)
自主統計については、2014 年度に実施したトライアル投票の諸課題を
フィードバックし、2014 年度分を 6 月に集計し、2015 年度上期分を 12 月
に集計した。
1.3 重電産業の共通課題に関する取組み
(1)統計データの把握と活用
業界構造の変化を把握する統計の実現に向け、海外での生産動向等を把握する
仕組み作りとして産業システム機器の海外生産動向の把握に向け「海外統計検
討会」を設置し検討を行いました。
(2)インフラシステム分野に関する取組み
①受変電設備の保全実態に関するユーザアンケート調査事業
2014 年度実施した電気機器の保全実態に関するアンケート結果をベース
にして、設備老朽化の進行、保全人員の不足、太陽光設備の点検が疎か、
等々の実態を読み解き、「受変電設備の保全に関するアンケート調査報告
書」を完成しました。アンケートにご協力いただいた 1,080 件の事業者に
配布しました。
②機器保守及び設備診断受診に係る啓発活動
(公社)日本電気技術者協会 関東支部からの依頼を受け、同協会と METI
関東東北保安監督部が主催する「自家用電気工作物及び電気主任技術者セ
ミナー」に JEMA から講師を派遣しました。セミナーは 2016 年 2 月 9 日
から 3 月 24 日にかけて、関東 10 会場において開催され、延べ 3,958 名の
方に聴講頂き、保全活動の必要性や最新診断技術について理解を深めて頂
きました。
(3)PCB 処理検討への対応
2010 年度より微量 PCB の処理が開始されていますが、濃度に見合った合理
的な処理方法を実現することにより、処理容量を増加し、処理コストをさらに
低減することが必要です。
このため JEMA では、機器メーカーとして、ユーザー等へ情報を提供すると
ともに、経団連「PCB 対策 WG*8」及び環境省「PCB 廃棄物適正処理推進に
関する検討委員会*9」への参画、並びに METI・環境省と連携した検討等の活
動を通じて、合理的な処理推進策、課題解決策の検討に積極的な協力を行いま
した。
*8 PCB 対策 WG:経団連 環境安全委員会 廃棄物・リサイクル部会の下部組織と
して 2006 年 7 月に設置。
*9 PCB 廃棄物適正処理推進に関する検討委員会:環境省 廃棄物・リサイクル対
策部長の委嘱で 2011 年 10 月に設置。
1.4 重電・産業技術への取組み強化
(1)電力系統設備に係る技術検討
電力技術委員会を通じて、次の電力系統設備に係る技術課題について検討を行
いました。
①監視制御用計算機システムの保守指針に対する検討
電力系統設備用監視制御用計算機システムについては、近年汎用技術を用い
た機器の導入が加速してきており、保守のあり方についてもそのような状況
を踏まえたものとする必要があります。そこで、電力系統設備用監視制御用
計算機システムの保守指針に対する検討を実施し、2016年度のJEM-TR改
正準備を進めました。
②(一社)電気協同研究会の活動への参画
高度成長期に導入された高経年機器や配電設備等の設備について、経年劣化、
保全、新たな技術等に対する調査研究、及びその成果の提供を行うことを目
的とし、(一社)電気協同研究会に参加して、電事連と協調しながら活動を
継続しました。
(a)水力発電所付属設備の設計指針(2013年1月~2016年3月)
(b)ポリマーがい管の設計基準・試験法の標準化(2013年1月~2016年3月)
(c)配電自動化技術の高度化(2014年2月~2016年3月)
(d)変電機器の耐震設計の最適化(2014年12月~2017年9月)
(e)電力系統監視制御システムの開発における課題と対策検討(2015年5月~
2017年9月)
(2)産業設備の信頼性・製品安全の確保
産業設備の信頼性と製品安全の確保のため、次のテーマについて活動を行い
ました。
①制御システムセキュリティへの対応
2014年度に改正されたMETI告示「ソフトウエア等脆弱性関連情報取扱基
準」及び(独)情報処理推進機構「早期警戒パートナーシップガイドライン」
の発行を受け、制御システムの脆弱性情報の取扱い手順を解説したJEMAの
「業界ガイドライン」を発行しました。また、システムコントロールフェア
(SCF)2015において、JEMAを幹事とした制御システムに関連する9団体
で作る「制御システムセキュリティ関連団体合同委員会」主催のシンポジウ
ムを開催し、ユーザーへの普及啓発活動を行い、FA分野におけるセキュリ
ティ対策に貢献しました。
また、電力分野におけるセキュリティ対策については、日本電気技術規格委
員会(JESC)で検討中の「電力分野におけるセキュリティ対策ガイドライ
ン」で得られる知見をもとに、2011年に発行した監視制御用計算機システ
ムにおけるセキュリティ対策のガイドラインであるJEM-TR 249を改定す
るため検討を継続しています。
②モーターの高効率化によるモーター保護機器への対応
2015年度からトップランナーモーター規制が施行され、モーターの高効率
化による始動電流・突入電流増大のためにモーター保護機器(電磁接触器、
配線用遮断器、サーマルリレー等)の不要動作が懸念されています。これら
の機器の不要動作を回避するため、ユーザー向けの注意喚起文書や保護機器
選定表を発信しました。
また、日本のトップランナーモーターの始動電流を考慮した、電磁接触器の
開閉試験・寿命試験の条件について、国際規格(IEC 60947-4-1)への日本
意見反映の提案を継続しています。
(3)スマートマニュファクチャリング(IoT*10を活用した将来の製造業)への対応
IoTを活用して新しいビジネスの創造を図るスマートマニュファクチャリング
の分野では、ドイツ、アメリカ、日本等を中心にして、グローバルな競争が起
きています。JEMAでは2015年8月に、電機業界の戦略を検討するために、ス
マートマニュファクチャリング特別委員会を発足させました。
本委員会では、関連分野において第一線で活躍しているゲストを委員会の開催
ごとに招いて講演を実施するとともに、出席の委員によりグループ討論を実施
して、製造業の将来に影響するトレンドを分析し、製造業の将来像を描きまし
た。
2015年11月には、JEMA機関誌「電機」でスマートマニュファクチャリング
特集号を発行して、この分野の概要をまとめました。
2015年12月には、SCF2015で「製造業に影響するトレンドの分析」セミナー
を開催し、本委員会の中間報告を実施しました。
2016年3月には、電機業界に向けてスマートマニュファクチャリング実現のた
めの提言書を発行し、この中でFBM(Flexible Business and Manufacturing)
という概念を提唱して、この概念を基に今後のJEMAの活動指針と将来の製造
業のあり方をまとめました。
*10 IoT:Internet of Things。人が利用する従来のインターネットから、モノが接
続するインターネットへ進化し、モノの情報がビジネスに活用される仕組み。
(4)SF6 ガス排出量調査
地球温暖化ガスの一つとして大気中への排出が厳しく管理されているSF6ガ
スについて、産業界が設定した自主行動計画に沿った排出抑制状況を確認する
ために、JEMAでは電気絶縁機器分野における排出量調査を毎年実施していま
す。2015年度も電気絶縁機器分野の排出量調査を行いました。
(5)省庁、他団体規程の改正作業への参画
全国の公共建築物における電気及び機械設備の技術仕様を定める国土交通省
発行の「公共建築工事標準仕様書」の改正作業(平成 25 年版を平成 28 年版に
更新)が 2014 年度より始まったことに伴い、2015 年度も引続き、JEMA 取
扱製品への影響を調査するとともに、国土交通省へ最新の規格情報の発信を
行い、標準仕様書の改正作業に協力しました。
需要場所における電気工作物の設計、施工、維持、管理の基準として(一社)
日本電気協会「内線規程(JEAC8001-2011)」の改正作業が 2014 年度より
始まったことに伴い、2015 年度も引続き、JEMA 取扱製品への影響を調査す
るとともに、(一社)日本電気協会主催の検討委員会の委員として参画し、
内線規程の改正作業に継続して協力しています。
1.5 電機産業におけるスマートグリッドに関する取組み
JEMA におけるスマートグリッドに関する対応分科会の体系を整理して、通信
インターフェース仕様や ECHONET Lite AIF 第三者認証制度の立上げに向けた
仕様書案等の策定に関わり、その取りまとめに貢献しました。
また、BEMS やスマート都市インフラに関する ISO の今後の動向についての
講演会を開催し、新たなビジネスモデルの実現に向けての情報を会員企業と共有
しました。
1.6 システムコントロールフェア 2015(SCF2015)
前回 2013 年に引続き計測展 2015 TOKYO と
「オートメーションと計測の先端
技術が集う」の統一コンセプトのもと、「技術がつながる、未来が拓ける、もの
づくりイノベーション」をテーマに、2015 年 12 月 2 日(水)~4 日(金)の 3
日間、東京ビッグサイトにおいて同一会場で同時に開催しました。
従来のように、「ものづくり」に必要不可欠な最新・最先端の技術・製品を紹
介するのみならず、今般、第 4 次産業革命といわれる新たな動向に着目、IoT・
M2M・クラウド化・ビッグデータ化といった新たな潮流とももに、ICT 化、グ
ローバル化の要請に応えながら「ものづくり」の世界にどのような未来を作るの
かについて、出展者や来場者の皆様とともに考え、情報を発信しました。
今回は、出展者 180 社(前回 118 社)、展示規模 785 小間(前回 600.5 小間)、
「計測展 2015 TOKYO」と合せて 1,118 小間、来場者数 49,484 人(前回 36,771
人)と、過去最高の出展者数・小間数となり、各社ブースへの来場者数も前回を
上回り、盛況裡に終了しました。
2.原子力事業
2011年3月の大津波による福島原子力発電所事故以来5年が経過しましたが、福島
県の避難者はまだ約10万人であり、いち早い福島地域の復興支援と廃炉までの着実
な作業の推進が依然として原子力産業界の最重要課題です。
一方、2015年度は再稼働に進展が見られ、川内1、2号機が営業運転再開を果しま
した。高浜3号機も営業運転を再開し、また高浜4号機も営業運転再開目前でしたが、
両機とも大津地裁運転差止め仮処分判決を受けて停止中です。伊方3号機も新規制
基準への適合が認められており、早期の再稼働実現が期待されます。また、エネル
ギー政策においても、2015年7月に国から示された「長期エネルギー需給見通し」
では、2030年の電源構成に占める原子力発電の割合は20~22%とされました。
このような状況において、JEMAは、「エネルギー自給率が約6%しかないわが国
にとっては、安全を前提とした原子力発電を基幹電源の一つとしたエネルギーミック
スは国力の発展のために不可欠」との立場に立ち、2015年度の事業を行いました。
また、医療分野・製造業分野での放射線利用のニーズが益々高まっており、JEMA
は、放射線利用医療機器等の更なる普及・輸出促進活動を進めました。
2.1 新原子力政策への対応及び安全向上・人材育成への取組み
(1)エネルギー基本計画とそれを具現化する原子力政策に対する提言発信
総合資源エネルギー調査会は、2015年1月に基本政策分科会(第16回)/長期
需要見通し小委員会(第1回)を開催し、エネルギーミックス・原子力・再エ
ネ省エネ・コスト・気候変動・時間軸等についての検討を始め、同年7月に長
期エネルギー需給見通しを決定しました。JEMAは、環境への負荷低減・エネ
ルギーセキュリティの確保・経済効率確保・国力の継続的維持発展等の観点で
の原子力及び核燃料サイクルの重要性・意義を明確にし、原子力政策にJEMA
意見が反映されるよう意見発信をしました。主要な活動を次に示します。
①エネルギーミックス、原子力発電及び核燃料サイクルの重要性等についての
提言発信(既設発電所運転期間延長、バックフィットルール、新増設につ
いての意見を含む)
(a)長期需給見通しに関するパブコメ(7月)
(b)「新たな環境下における 使用済燃料の再処理等について(案)」に関す
るパブコメ(1月)
(c)もんじゅの在り方に関する検討会でのプレゼン(2月)
②エネルギーミックスに関する講演会に協賛(新規、対象:一般・女性)
慶応大学SFC研究所「エネルギー・環境問題に関する社会的受容性に関する
研究」の女性有識者会合(年度内6回開催)を支援
③原子力の社会的受容性向上等をテーマとする原子力国民会議東京集会を共
催(7月)
④原産協会「Nuclear for Climateイニシアチブ」による、気候変動問題の解
決策の1つとして 原子力の重要性をアピールすることを目的とした
COP21での活動を支援(12月)
(2)新規制基準に対応したJEM規格改定
2013年7月に施行された新規制基準に則して、JEM規格・ガイドライン*11の
改定案を作成しましたが、再稼働プラントでの実績が出た段階で再確認を行い、
発行することとしました。
*11 JEM規格・ガイドライン:原子力発電所用ポンプ・バルブ・計測制御機器の
試験検査に関する規格。主要変更点は、シビアアクシデント対応の「重大事故
対応設備」を含めること。
(3)核燃料サイクル・最終処分に関する理解促進と提言
わが国は、核不拡散条約加盟国かつ非核保有国の中で唯一、フロントエンドか
らバックエンドまでの核燃料サイクルに関する技術の保有・事業の実施を、国
際的に認められた国です。
エネルギー自給率が約6%しかないわが国にとって、千年単位でのエネルギー
源が確保できる核燃料サイクルの意義、及び、今後の原子力発電の動向によら
ず既に相当量の使用済燃料を保管しているわが国にとっての最終処分に係わ
る技術開発の重要性とその大切さ等の理解促進活動の一環として、福岡支部に
おいて核燃料サイクルの講演会を2月25日に行いました。また、廃炉について
も、福島廃炉をテーマにした外部有識者との懇談会を7月7日に行うとともに、
エネルギーフォーラムの取材対応を通じて廃炉ビジネスに関するメーカー意
見を発信しました。
(4)原子力損害賠償制度(国際法/国内法)の検討
福島廃炉での国際協業やわが国原子力技術の海外展開が現実化し、原子力損害
賠償に関する国際的枠組みが重要となり、2014 年 12 月の国会で「原子力損害
の補完的保障に関する条約(Convention on Supplemenntary Compensation
for Nuclear Damage : CSC)
」加盟が批准され、2015 年 4 月 15 日に発効しま
した。
一方、福島原子力事故の損害賠償は、現在なお進行中ですが、損害額が極めて
大幅に上回る場合がありえることが顕在化し、民間の保険は成立しないことを
示唆しました。原子力を国策として進めるのであれば、民間負担に上限を設け
るべきとの意見もあり、これまでの関係省庁の副大臣会議に代わり、2015 年
1 月から原子力委員会の原子力損害賠償制度専門部会において、原子力損害賠
償制度の見直しについて有識者による検討が行われています。
JEMAは、日本エネルギー法研究所の研究会等を通じ、国内法・各国の原賠法
の情報を入手するとともに、7月の研究会にて、原子力プラントサプライヤー
から見た原賠制度・原子力発電輸出のリスクをテーマにプレゼンを行いました。
(5)厳しいビジネス環境の中での技術の維持と人材育成への取組み
再稼働の遅れや建設の長期中断は、原子力に係る技術の維持や人材の育成を著
しく難しくします。JEMAは、技術の維持に関する国の積極的関与の必要性に
関し意見発信を継続するとともに、産・学・官で構成する「原子力人材ネット
ワーク」活動やシニアネットワーク(SNW)が実施している工学系及び教育学
部系学生との対話集会等の人材育成活動を引続き支援しました。また、3月の
文部科学省(文科省)原子力人材育成作業部会にてメーカーの人材育成への取
組みや官・学への要望等について意見発信を行いました。
2.2 福島復興支援への取組み
福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策については、東京電力/原子力損害
賠償・廃炉等支援機構(NDF)/技術研究組合 国際廃炉研究開発機構(IRID)
/国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構(JAEA)研究開発拠点(楢葉遠隔
技術センター、大熊分析・研究センター、廃炉国際共同研究センター等)にて、
中長期ロードマップの下、メーカー各社がそれぞれの役割を果たすため、必要な
技術開発を含めて鋭意取組みを進めています。JEMAは、それぞれの機関の有機
的な連携の下、メーカー各社のリソースが有効に使われるよう、METI・文科省
を含め関係各機関に要望を継続して発信しました。
一方、JEMAは、オフサイトの復興支援活動を継続して実施してきており、
2011年度はJAEAの除染業者向け教育ビデオ作成事業支援、2012年度は福島県か
ら委託されたNPO法人の拠点運営費用の一部負担、2013/2014年度は福島県・地
元自治体が主催した帰還支援イベント「ふたばワールド2013/2014」に人的・資金
的支援を行いました。また、2013年度からは、双葉町村の若手職員による勉強会
において、(一社)日本原子力産業協会(原産協)と共同で事務局活動を行いま
した。2015年度は次の支援事業を行いました。
①「ふたばワールド2015」支援(10月)
②双葉町村若手職員の勉強会支援(7月、10月、2月)
2.3 国際化への取組み
JEMA は、わが国の成長戦略を支えるインフラシステム輸出の一分野として
も位置づけられた原子力産業の海外展開に資するため、二国間協定・人材育成等
の基盤整備に関する提言を継続して行いました。
また、(一社)原子力国際協力センター(JICC)が実施している新規導入国
に対する技術支援事業(国の補助金による事業)に対し、メーカーからの職員出
向派遣や支援対象国・内容に関する要望発信を継続して行いました。(一社)海
外電力調査会が実施しているベトナム・中国に対する研修事業についても、協力
を継続しました。
先進国も含めた日本からの原子力技術発信への協力として、
東京大学が METI
の補助金で進めてきた原子力教科書の英文化について、2015 年度も支援を継続
しました。
なお、2018 年に予定される日米原子力協定の更改については、電事連とも連携
を取り、関係機関の動向を調査しました。
2.4 加速器事業への取組み
医療分野・製造業分野での放射線利用のニーズは益々高まっており、特に加速
器を利用したがん治療装置のニーズが国内外で注目されています。国内メーカー
のがん治療用設備の海外展開も実績を出しつつあります。JEMA は、この分野に
対応して「放射線利用医療機器輸出対応特別委員会」を設置し、具体的な検討と国
への要望を取りまとめ、2015 年 1 月に内閣官房に要望書を提出しました。
2015 年度は、日本機械輸出組合・NEXI・JBIC・JICA・JETRO 等関係機関
と要望事項の具体化に向け意見交換を行いました。また、国際リニアコライダー
の日本への誘致について、その状況を継続調査確認しました。
また、有識者を招いて、産業用加速器 (4 月)、先進ビーム( 6 月)、加速
器世界動向(8 月)、SPring-8 展望(10 月)、医療機器安全(12 月) について
の講演会を行いました。
2.5 業界動態分析と活用への取組み
原子力統計について 2013 年度から追加した、福島事故及び再稼働の遅れや建
設中断等の原子力政策の影響を調査するための内訳「廃炉」、軽水炉プラントメー
カー3 社の従業員年齢分布及び建設経験者数について、継続調査しました。また、
加速器統計について 2013 年度から追加した、内訳「医療用加速器」についても継
続調査しました。原子力統計については、人員減少傾向継続、受注・売上額共低
レベルで停滞でした。加速器統計については、受注額は大幅減でしたがここ数年
の増減内であり、生産額はほぼ安定、輸出額は減少でした。このうち医療用は、
受注額は大幅減、生産額は微減、輸出額は大幅減でした。
2.6 原子力に関する情報発信への取組み
JEMA は、原子力安全向上や核燃料サイクル・最終処分に関する教訓・知見、
技術開発・現場作業で得られる情報を、いち早く広く国民・世界に発信するため、
次の講演会を行いました。
①ドイツの経験を踏まえた日本のエネルギー政策の在り方(川口マーン惠美拓
殖大学客員教授:2 月)
また、再稼働に至った原子力発電所の現場の方や、それをサポートしてきた原
子力メーカーの方々を取材し、エネルギー資源に乏しいわが国において原子力発
電所を再稼働するとはどのようなことなのか、また、再稼働に向け日々努力して
いる姿やメーカーとしての貢献等を紹介する冊子「日本のエネルギーを考える~
原子力発電所 再稼働の現場から~」
を発行しJEMA 会員企業、
全国の高等学校、
女性団体(WiN-Japan)等に配布しました。
さらに、委員会参加会社・JEMA 会員・社会に対する情報発信として、下記
を行いました。
①電事連作成冊子「なぜ原子力が必要なのか」を同団体要請に基づき各支部に
配布(7 月)
②JEMA 会員向け原子力広報クリアファイルを配布(2 月)
③「エネルギーに関する意識調査の紹介」を電気協会報に寄稿(7 月号)
④電気新聞原子力特集号に「原子力発電の現状と今後の展望」を畠澤政策委員
長が寄稿(2 月)
⑤長編ドキュメンタリー映画「ガイアのメッセージ」製作に協力(3 月)
2.7 原子力関連団体等との連携
原子力発電に対する理解促進と信頼性を取り戻すためには、電事連、原産協、
(一社)原子力安全推進協会、関連学協会との連携を一層確実なものとする必要
があります。
JEMAは、これら原子力関連団体等との情報交換の場を設け、原子力産業界全
体の活性化への取組み、人材の育成、安全文化の醸成に向けた取組み等を進めて
いきます。
3.家電事業
白物家電の2015年度の国内出荷は、冷夏・暖冬等の影響があったものの、消費増
税後の低調傾向を脱し、買替えを主体にした堅調な需要により前年同期を上回りま
した。
このような背景のもと、家電事業は、冷蔵庫の新測定基準等地球環境保全への貢
献、国際整合の意味も併せ持つ電気用品安全法の体系見直し等標準化の牽引、会員
企業のグローバル化を支援する国際化への対応、等に取り組みました。
3.1 地球環境保全への貢献
(1)地球温暖化防止への取組み
①省エネルギー法トップランナー制度への取組み
冷蔵庫の省エネ目標値見直しに関しては、日本提案が採用されたIEC規格
(2015年2月発行)に整合した新JISの測定方法をMETIの審議会に提案し
省エネ法の新測定基準に反映させました。
また、6月の新JIS発行時と2016年3月の省エネ法改正に合わせて2回に亘り、
2016年度に実施予定の表示切替えに関する説明を流通業界に対して行いま
した。
②省エネ家電製品の普及促進
スマートライフジャパン推進フォーラムに参画、「スマートライフおすすめ
BOOK」の見直し及びエコプロダクツ展への出展や情報提供等の協力を行
い、省エネ家電製品普及促進の啓発に取り組みました。
(2)循環型社会の構築への取組み
①2014年度に、家電リサイクル法の見直し検討が終了し報告書がまとめられ
ました。2015年度は、年1回のフォローの審議会が開催され、着実に実績を
上げている家電リサイクル制度が今後も円滑な運用が行えるよう、「家電
リサイクルプラントに出された処理等に関するガイドラインは同等の処理
をすることになっている廃棄物処理業者にも出されなければ不合理」等の
意見を具申しました。
②2013年度から始まった小型家電のリサイクル制度については、2015年度も
年1回のフォローの審議会が開催されました。また、本制度が円滑に運用さ
れるよう対応しています。
3.2 標準化の牽引
(1)国際標準化の推進
①JEMAが国内審議団体となっているIEC/TC61(家電機器の安全技術委員
会)、IEC/SC59M(冷蔵庫の性能)、IEC/SC61D(エアコンの安全)、
ISO/TC86(エアコンの性能)等の国際会議に出席し、安全性や省エネ性等、
日本の優れた技術力を規格に反映するよう努めました。冷蔵庫については、
日本から提案した調整内容積の測定方法に関する技術報告書の作成に協力
しました。エアコンについては微燃性冷媒が規格に採用されるよう引続き
IECへの提案活動を継続しました。また、スマート家電に関しては、エネ
ルギーマネジメントシステムに繋がる白物家電の規格案作成に協力した結
果、2016年1月にCD文書が発行されました。
②欧州電動工具協会(EPTA)が主催する、JEMA・EPTA・米国電動工具協
会(PTI)の会合に代表者を派遣し、欧州におけるリチウム電池の陸上輸送
時の安全規制に関する改正動向や、電動工具のIEC規格への誤使用防止の
注意表示強化提案に関して情報交換を行い、日本メーカーの海外での事業
拡大に資するよう努めました。
(2)省エネルギー等国際標準化・普及基盤事業
METIが推進する省エネルギー等国際標準化・普及基盤事業に応募し、ASEAN
各国が独自に進めている省エネ規制強化に対応するために2015年2月に発行
されたIEC規格の測定方法を各国に広め、測定方法の統一化を図る事業をイノ
テック*12と協力し、推進しました。
具体的には、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア等の試験機関と
連携を深めて、新IEC規格による冷蔵庫の消費電力量測定の研修や測定試験を
行い、試験能力の向上を促進させるとともに、各国政府、標準化団体とも連
携し、新IEC規格を各国国家規格へ採用するよう働きかけを行いました。
結果として、タイ、マレーシアが2017年に新IEC規格に基づいた国内規格を
発行する予定になりました。その他各国も国内検討を進めています。
(3)国内標準化の推進
電気用品安全法・技術基準体系見直しへの対応と製品設計のグローバル化を
目指して、家電製品の安全JISを最新のIEC規格に整合化させる作業を順次
行っており、(一社)日本電気協会の電気用品調査委員会で13の規格案が了
承されました。
また、数年来取り組んできた待機時消費電力のIEC規格に整合させたJISが発
行されました。
*12 イノテック:基準認証イノベーション技術研究組合
3.3 家電製品の安全確保の推進
(1)安全に関する国内法規への対応
METIで検討中の電気用品安全法・技術基準体系の見直しに、JEMAとして改
定作業へ参加し、電気用品安全法の対象範囲の見直しや技術基準が引用する
安全JISの整合規格採用プロセスにも引続き協力しました。
また、製品事故未然防止のための電気フライヤーの技術基準改正案作成に関
して協力を行いました。
(2)家電製品からの VOC*13に対する取組み
(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が主催する、化学物質吸引事故におけ
る原因物質究明等を目的とした委員会(製品からの VOC 放散による事故原因
究明技術強化に関する委員会)に引続き参加し協力を行いました。
*13 VOC:Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)
3.4 家電業界の成長戦略の推進
(1)新たなる付加価値創造の推進
(一社)エコーネットコンソーシアムが推進しているエアコンとHEMSコン
トローラとの接続性向上のための第三者認証制度の設立に関して協力を行い
ました。
(2)グローバル展開の支援
会員各社のグローバル事業展開に対応し、白物家電の生産拠点が多いASEAN
地域でJEMAの分科会の設立を進め、支援の仕組みの強化を図ってきました。
2015年度は、タイに加えインドネシアとベトナムに分科会を設立、日本に家
電海外課題専門委員会を設置し体制整備をするとともに、各国の省エネ規制
や安全・性能の認証制度の把握を行いました。
また、グローバルなネットワーク拡大に向け、日本人商工会やJETRO事務所
の他に、新たに日系の試験機関・支援機関と連携し、情報交換等に取り組み
ました。
3.5 国際化への対応
(1)中国の工業会との連携
①中国家用電器協会(CHEAA*14)との連携
中国家用電器協会との第 14 回定期交流会を 9 月に中国で開催し、日中両国
家電業界の最新動向等に関する情報及び意見の交換を行い、会員に情報提
供しました。
また、引続き同協会機関誌「電器」を毎月入手しています。
*14 CHEAA:China Household Electrical Appliances Association
②中国国際家電博覧会への対応
3月に中国・上海市で開催された、近年規模が拡大し続けている、中国家用
電器協会主催の「中国国際家電博覧会」について視察を行い、会員に情報
提供しました。
②順徳国際家電博覧会への対応
8月に中国・佛山市順徳区で開催された、中国の地元家電企業が揃う「順徳
国際家電博覧会」について視察を行い、会員に情報提供しました。
(2)韓国の工業会との連携
韓国電子情報通信産業振興会(KEA*15)との第 8 回定期交流会を 12 月に日
本で開催し、日韓両国家電業界の最新動向等に関する情報と意見の交換を実施
し、会員に情報提供しました。
*15 KEA:Korea Electronics Association
(3)その他の家電工業会との活動
日本、欧州、米国・カナダ、メキシコ、豪州、中国、韓国の家電工業会が集ま
る会議(IRHMA*16)の第 2 回会議を米国で、第 3 回会議を中国で開催しま
した。省エネ、HEMS、規制基準等の情報提供と意見交換を実施しました。
*16 IRHMA:International Roundtable of Household Appliance Manufacturer
Associations
(4)IFA 視察団の検討
海外の家電関係展示会で白物家電の展示を取り入れるものが増えたことを背
景に、
JEMA は 2014 年度に初めて IFA に視察団を派遣しました。
引続き 2015
年度も世界の白物家電の最新動向を探るため、9 月にドイツで開催された、さ
らに白物家電の展示が拡大している IFA*17へ視察団を派遣しました。
*17 IFA:Internationale Funkausstellung Berlin
3.6 広報活動・消費者啓発の推進
(1)広報活動
一般消費者、マスコミ、消費者団体、流通団体等からの家電品に関する問合せ
に対応するとともに、JEMA 家電部門の活動を広く理解してもらうため、調
査報告書、国内出荷実績概況や、啓発活動に関するリリース等の広報活動を積
極的に行いました。
(2)消費者啓発の推進
消費者に家電製品に関する正しい知識や事故防止のための安全な使い方を理
解頂くため、次のような啓発を、JEMA ウェブサイトを中心に来訪者が増加
するような方策も検討しながら実施しました。
特に消費者啓発は、冷蔵庫の JIS 測定方法の改正内容について、流通業界へ
の説明を実施する等、正しい知識の啓発や幅広い周知に務めました。
また 3 月 15 日には、1,101 万台を突破した IH クッキングヒーターを記念し
て説明会を実施し、普及啓発を図りました。
また安全啓発は、JEMA ウェブサイト活用のほかチラシの作成・配布等を行
い、扇風機・暖房器・洗濯機では全国自治体の広報誌への掲載依頼も行いまし
た。暖房器・洗濯機では、全国電機商業組合連合会の消費者懇談会でのチラシ
活用依頼をし、暖房器の安全啓発チラシでは、新たに電気ストーブに関する啓
発も盛り込み、取組みの強化に努めました。また、ドラム式洗濯機の事故を受
け、即時に JEMA ウェブサイトで安全啓発コンテンツを立ち上げ、さらに安
全啓発チラシも作成し、各方面へ迅速な展開を行いました。
①消費者啓発
「冷蔵庫の日(6 月 22 日(夏至の日)、冷蔵庫の省エネ普及啓発)」「換
気の日(11 月 9 日、換気の必要性についての啓発)」「オーブンレンジの
日(10 月 1 日、オーブンレンジの普及啓発)」
②安全啓発
「扇風機(5 月~7 月、長年使用の扇風機の長期安全使用の啓発)」「掃除
機の日
(5 月 30 日、
掃除機の安全使用の観点での純正紙パック使用の啓発)
」
「洗濯機(7 月~9 月、脱水槽事故未然防止のための啓発、8 月~9 月ドラ
ム式洗濯乾燥機事故未然防止のための啓発)」「電子レンジ(10 月~12
月、レンジ加熱による突沸・過加熱の未然防止のための啓発)」「暖房器
(9 月~11 月、3 月~4 月暖房器の正しい使い方としまい方、火災事故未然
防止の啓発)」
3.7 CSR 推進の支援
会員各社の CSR 推進を支援するため、引続き家電製品の表示に関する適正化
の推進を行いました。
また、10 月には、CSR の更なる推進を依頼する文書を会員に発信しました。
3.8 白物家電業界の発展に資する市場調査の実施
(1)中東地域の白物家電市場動向調査
白物家電のグローバル化の動きが加速している中、海外各地の生活様式や国情
に合わせた製品の開発が望まれています。中東地域は豊かな石油・天然ガス等
の地下資源に恵まれ、世界でも有数の経済規模を有し、またその購買力を背景
に一層の市場拡大が見込まれております。そうした中、今回、トルコ、サウジ
アラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の 3 カ国にスポットをあて、現地にお
けるヒアリング及び多面的な調査で得たマクロデータ・市場概況・消費性向の
調査を行いました。また、これらを分析して「中東白物家電市場調査」報告書
としてまとめ、2 月に会員を対象とした報告会も開催しました。
(2)白物家電の世界需要調査(2008~2014年)
会員各社のグローバル化対応の基礎資料とするため、世界各国の公式統計(生
産・輸出・輸入、販売統計)を収集・分析し、主要 62 カ国・地域別に需要実
績(台数)をまとめました。
(3)海外における知的財産保護、模倣品対策調査
海外における知的財産保護と模倣品対策のため、10 月にベトナム及びタイを
訪問しました。ベトナムでは METI 主催、JETRO 共催のハノイ真贋判定セミ
ナーに参加、併せて、現地政府関係機関・地方政府との意見交換、中越国境の
視察等を行い、具体的な模倣品対策の方法について調査を行いました。またタ
イでは、知財保護活動の中心であるタイ知的財産局(DIP)を訪問し、知財に
関する課題等について意見交換を行い、各社の情報収集のためのネットワーク
作りに繋げることができました。
(4)業界自主統計の実施
業界動向を迅速に把握するため、業界自主統計(国内出荷統計等)を継続して
実施し、官庁統計(生産動態統計、貿易統計)も取りまとめて、JEMA ウェ
ブサイトに掲載しました。
(5)家庭用電気生ごみ処理機への自治体助成制度調査
家庭用電気生ごみ処理機への全国自治体の助成制度を把握するため「家庭用電
気生ごみ処理機への自治体助成制度調査」を実施し、その結果を JEMA ウェ
ブサイトに掲載しました。
なお、本調査は、2015 年度で終了しました。
4.新エネルギー事業
2015 年度は、
再生可能エネルギーの固定価格買取制度による非住宅用太陽光発電
の導入拡大が継続し、11 月時点の導入量は制度開始前の 24 倍を超える 21.6GW に
達しました。一方、連系可能量の不足や賦課金の増大への懸念等を背景として、既
認定設備も含む認定基準の見直し、複数年の買取価格設定や入札手続を含む買取価
格決定方式の見直し等、制度の大幅な見直し方針が決定されました。
JEMA では、これらの政策動向や新エネルギーの導入状況等を注視し、会員意見
を集約して発信しました。また、太陽光発電システムの大型化課題への取組み、風
力発電システムの産業競争力強化に向けた調査等、再生可能エネルギーの適正な導
入拡大に向けたた活動を推進するとともに、太陽光発電、風力発電、燃料電池の標
準化や系統連系課題等に加え HEMS 関連課題への取組みも開始しました。
4.1 新エネルギーの普及拡大
(1)太陽光発電システム
①太陽光発電システムの普及拡大のために、会員企業の意見を国の施策に反映、
あるいは戦略的な規格の整備する活動を進めています。2015 年度は太陽光
発電システム技術専門委員会を中心に、固定価格買取制度プレミアム期間
終了後も普及拡大していくための取組みとして、機器の組合せ等による
ニーズ創出を念頭にした技術課題や政策課題の掘り起こしを進めました。
②IEC/TC82 の国内審議委員会事務局として、IEC 国際標準化会議への参画、
審議状況の調査及び日本意見の発信を行っています。2015 年度は
IEC/TC82*18全体会議(11 月、南アフリカ)の他、WG2(モジュール関係、
4 月英国)、WG3/WG6(システム・周辺機器、5 月日本)、WG7(集光
型太陽光発電、4 月フランス)等の会議にエキスパートを派遣し、国際標
準化審議において日本意見の反映を行いました。例えば、CIGS 系太陽電
池の試験方法に関し、実験データに基づく新方法について提案を行い、規
格(IEC 61215-1-4)に反映されることになりました。また、日本がプロジェ
クトリーダーを務めて進めてきた太陽光発電システムの品質管理に関する
技術仕様書(IEC TC 62941)が発行されました。
③固定価格買取制度施行に伴う大型化システム導入へのニーズに対応するた
め、直流 1,000V 対応接続箱の JEM 規格素案、PV アレイ支持物設計標準
(JIS C 8955)の改正案を仕上げました。
④太陽光発電用パワーコンディショナーの電波雑音について実証試験を行い、
日本人をリーダーとしたタスクフォースの下、規格案の審議を進めました。
また、直流端子を持つパワーエレクトロニクス機器の電波雑音に関する実
証試験を行い、2016 年 4 月の CISPR*19国際会議で発表するデータの取得
を行いました。
*18 IEC/TC82:国際電気標準会議の太陽光発電システム技術専門委員会
*19 CISPR:国際無線障害特別委員会
(2)風力発電システム
①平成 24 年度に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が施行されましたが、
風力発電システムについては運転開始までのリードタイムが比較的長いこ
ともあり、充分な導入効果が得られるためには今後の制度内容と運用がさ
らに重要になると考えられます。これを踏まえ、規制適正化をはじめとす
る国内風力発電導入促進のための課題を検討し、ロードマップや提言に反
映する活動を推進しました。
②わが国に設置する風車の信頼性向上及び国際競争力強化のために大型風力
発電システムの認証制度構築に向けた事業に取り組みました。
③わが国の環境に合致した風力発電の規格の整備を推進します。IEC/TC88*20
に参画して国際標準に反映しました。
④平成 22 年度より実施している風力発電の関連機器産業統計調査を関係団体
と協調して継続し、世界市場における国内電機メーカーの活動支援に向け
たデータベース構築に取り組みました。
*20 IEC/TC88:国際電気標準会議の風力発電技術専門委員会
(3)燃料電池発電システム
①加圧型 SOFC(固体酸化物形燃料電池)の常時監視規制について、関連団
体と連携してハザード表や実績データに基づいた規制緩和要望を行い、9
月に電気設備技術基準の解釈が改正されて、合計出力 300kW 未満等の条件
を満たす設備について常時監視規制が撤廃されました。
②水素を燃料とする燃料電池の認証基準について、未燃の排水素濃度に関する
安全要件等を盛り込んだ規格案を策定し、10 月に定置用燃料電池認証基準
の改訂第 9 版を発行しました。
③「海外に展開する燃料電池」をテーマとする新エネルギー講演会を 3 月に
開催し 80 名の参加を得ました。継続的に行っている定置用燃料電池発電シ
ステムの出荷量調査については、2014 年度の調査結果を JEMA 機関誌「電
機」の 6 月号で公表しました。エネファームの累計出荷量は 12 万 5 千台超
となりました。
②国際標準化
IEC/TC105*21の国内審議団体として、IEC 国際標準化会議への参画し、国
際規格開発審議に貢献しています。2015 年度は、IEC/TC105 をはじめと
する関連委員会において国際標準開発の審議に参画し、日本が原案作成し
た家庭用燃料電池エネファームの性能試験法となる IEC 62282-3-201(小
形定置用燃料電池性能試験方法)が国際規格として発行されました。また
新規テーマとして「燃料電池・水電解エネルギー貯蔵システム」に関する
国際標準化の新規プロジェクトがスタートし、日本が原案作成を担当して
います。日本の基準・規格を反映させた国際標準開発・見直しと併せて、
国際規格に対応した JIS の原案作成を進めました。
*21 IEC/TC105:国際電気標準会議の燃料電池技術専門委員会
(4)太陽熱発電システム
IEC/TC117*22の国内審議団体として、IEC 国際標準化会議への参画し、国際
規格開発審議に貢献しています。
IEC/TC117 における 6 件のプロジェクトが開始されており、日本から専門家
が参加して規格開発を進めています。国内では、太陽熱発電システム国際標準
化委員会と 5 つの分科会*23よりなる国内審議体制を整え、審議を推進しまし
た。
*22 IEC/TC117:国際電気標準会議の太陽熱発電システム技術専門委員会
*23 5 つの分科会:安全・用語分科会、線集光形システム分科会、タワー形システ
ム分科会、反射鏡分科会、蓄熱システム分科会
(5)分散型電源システム
①PV 電圧上昇抑制のための力率一定制御は、JEA 配電系統 WG にて、将来
の導入予測に基づく規模感やコストへの影響を議論し、低圧連系における
標準的な力率値の決定方向に対し、メーカー意見を反映させました。今後
はコスト等を勘案し機器側への負担が最小限となる力率値を決定し、系統
連系規程へ提案します。
②現状認証対象にならない蓄電システム(EV 含む)の交流側に PV 等の分散
型電源が接続する PCS の認証基準案を JET に提案し、2016 年 2 月に認証
試験方法に反映させました。
③スケールダウン比率及び等価性試験項目の妥当性等を検討し、2016 年 3 月
に JEM 規格「PV システム用大容量 PCS の等価ミニモデル設計指針」の
素案を作成しました。電事連・JET 等の関係部門承認後、2016 年 12 月に
JEM 規格を発行予定です。
④太陽光向け低圧三相 PCS の新型単独運転検出評価試験を実施し、目標の性
能を得ることができました(2014 年度)。その成果をまとめ、2015 年 9
月に新型能動方式の JEM 規格を発行しました。
⑤太陽光発電の遠隔出力制御については、実証事業のフォローを継続し、実際
の出力制御適用にあたって想定される様々なユースケースにおける課題を
電事連等関係者と連携し整理継続中です。今後は通信を含んだ遠隔出力制
御付 PCS(広義の PCS)の要求仕様の検討や認証化に対し、国の実証試験
結果を適切に反映した技術仕様を提案します。
(6)HEMS 関連
①10 月に HEMS 専門委員会、7 月に太陽光発電分科会及び蓄電池分科会を新
たに設置して、コントローラとの接続性向上や、社会的に必要とされるユー
スケースの実現課題等への取組みを行う体制を整備しました。
②ECHONET Lite の AIF(Application Interface)に関する第三者認証制度
の構築に向けた試験機関の要件定義仕様書案を 9 月に策定しました。
③太陽光発電の出力制御下における HEMS 活用のあり方と、遠隔制御に対応
する蓄電池の通信仕様の拡張案について、関連団体との連携や国の検討会
への参画で取りまとめを行い、それぞれ 3 月に開催されたスマートハウ
ス・ビル標準・事業促進検討会とエネルギーリソース・アグリゲーション・
ビジネス検討会で報告しました。
5.地球環境保全
2015 年度、JEMA は環境と経済の両立の視点に立ち、地球規模での持続可能な
社会実現に貢献するため、地球温暖化防止対策、化学物質対策、循環型社会構築、
生物多様性への対応等の取組みを推進しました。電機・電子 4 団体*24を中心に、業
界共通の取組みとして、地球温暖化防止対策では、「低炭素社会実行計画」*25の進
捗状況を政府審議会へ報告しました。実行計画は、今後、2030 年度のわが国温室効
果ガス排出削減目標達成の実行計画(政府「地球温暖化対策計画」)に位置付けら
れます。化学物質対策は、各国の製品含有物質規制に対する会員への的確な情報提
供と積極的なロビー活動を推進し、循環型社会構築では、産業廃棄物対策自主行動
計画の 2020 年度目標を新たに策定しました。そのほか、生物多様性保全について
も、業界の行動指針を踏まえた会員の取組みの支援を進めています。
*24 電機・電子 4 団体:JEMA、(一社)電子情報技術産業協会、(一社)ビジ
ネス機械・情報システム産業協会、(一社)情報通信ネットワーク産業協会
*25 低炭素社会実行計画:
①生産プロセスのエネルギー効率改善/排出抑制に関する「業界共通目標」
-エネルギー原単位改善率 年平均 1%
フェーズⅠ:基準年度(2012 年度)比で 2020 年度に 7.73%以上改善
フェーズⅡ:基準年度(2012 年度)比で 2030 年度に 16.55%以上改善
②排出抑制貢献量の算定方法確立と、毎年度の業界全体の実績公表
5.1 地球温暖化防止の取組み推進
(1)電機・電子業界自主取組み「低炭素社会実行計画」の推進
2013 年度以降、ポスト京都の中期的な対応について、産業界は自主取組みを
推進する方向を堅持するとして、経団連及び各業界では、新たな産業界の取
組み(「低炭素社会実行計画」)を開始しています。電機・電子業界も当業
界における「低炭素社会実行計画」の 2014 年度実績についてフォローアップ
調査を実施し、生産プロセスの原単位改善、製品・サービスによる削減貢献
実績について分析・評価を行い、政府審議会へ進捗を報告しました。
なお、実行計画は、2020 年以降の国際枠組みを視野に入れて、経団連及び各
業界は、低炭素社会実行計画について、フェーズⅠ(2020 年度)の目標を継
続する方向で、フェーズⅡ(2030 年度)の目標も策定していますが、政府審
議会での確認を経て、パリ協定の合意に基づく 2030 年度のわが国の温室効果
ガス排出量削減目標達成の実行計画である政府「地球温暖化対策計画」の産
業部門対策に位置付けられます。今後、実行計画は同計画の下で関係審議会
によるフォローアップを受けることになり、改めて、目標の内容や進捗状況
の精査、努力の「見える化」、参加企業のカバー率の向上等が強く求めらる
ことになります。
2016 年度においても、2015 年度実績のフォローアップ調査を実施し、生産プ
ロセスの原単位改善、製品・サービスによる削減貢献実績について分析・評
価を行い、政府審議会へも進捗報告を行います。その中で、業界としても、
参加企業のカバー率向上や先進的な省エネ技術導入の評価とその取組みにつ
いても検討を進める他、フェーズⅠ(2020 年度)目標達成への中間レビュー
として、現目標の進捗を踏まえより適正な内容とすることも視野に入れて検
討を実施していきます。そのほか、低炭素技術・省エネ製品による CO2 排出
削減/貢献ポテンシャルについて、対外情報発信の強化と効果的なアピール
方法等を検討します。
(2)政府による中期目標検討への対応、意見発信及び政策提案
国際社会は、2015 年末の「国連・気候変動枠組条約第 21 回締約国会議
(COP21)」において、2020 年以降の将来枠組みとして「すべての国が参加
して中長期の排出抑制に係る国別貢献を実施する」パリ協定を採択しました。
各国は、それに先立って約束草案(2030 年の目標等)を提出しましたが、日
本政府もパリ協定が採択されたことを受けて、エネルギーベストミックスを踏
まえた新たな温暖化対策計画の策定(約束草案の「2030 年に 2013 年比で温
室効果ガス排出量を 26%削減」を具体的に推進する法定計画)の検討を開始
しました。
こうした政府による検討に対して、2015 年度においても、電機・電子業界と
して、関連省庁等からのヒアリングへの対応や意見提出等の活動を実施しまし
た。この中で、JEMA は、低炭素・省エネに係る技術を利用した製品・サー
ビス等により地球規模での温暖化対策推進へ貢献していくことを表明し、その
ために事業の国際競争が阻害されないこと等、経済と環境の両立に資する政策
及び計画となるよう意見提出や要望をしています。さらに、低炭素技術・省エ
ネ製品等の国際展開として政府が推進する二国間クレジット制度等、環境配
慮・省エネ製品の価値を高める制度の構築に関して、引続き、政府への協力や
業界の取組みを推進します。
(3)低炭素・省エネ製品普及促進への国際協調、標準化の取組み
パリ協定の採択内容においても、政策措置の MRV(測定・報告・検証)方法
論の確立が重要視されています。こうした中で、IEA(国際エネルギー機関)
「電気・電子機器のエネルギー効率改善実施協定」や G20「省エネルギー行
動計画」の取組みがあります。JEMA は、2015 年度も、政府に協力してそれ
らの国際枠組みに参画し、各国の省エネ政策評価に業界として専門的な意見を
発信する等の貢献をしています。
また、低炭素・省エネ製品による CO2 排出削減量貢献を明確にし、国内外に
積極的にアピールしていくために、電気・電子機器の温室効果ガス排出量算定
に関する 2 つの国際標準規格開発(電気・電子機器のライフサイクルにおけ
る温室効果ガス排出量算定方法、温室効果ガス排出量削減/貢献量の算定方
法)を IEC/TC111(環境)へ提案し、JEMA は国際主査を務めて国際標準開
発を進め、それを発行することができました。2015 年度では、これら 2 つの
国際標準に基づく算定について、国内外での普及啓発を進めました。
5.2 化学物質対策の推進
(1)欧州・中国・その他地域の製品化学物質規制等への対応
欧州の改正 RoHS 指令(RoHS-Ⅱ)*26関して、電機・電子 4 団体では、国内
や欧州の関係団体と連携して、適用除外項目の中で代替が困難な用途/技術範
囲を明確にして延長申請をしています。
2015 年度は、延長申請提出後の質疑応答対応やロビー活動を継続してきまし
たが、さらに、同指令ではフタレート類の 4 物質が使用制限物質に追加され
ました。こうした状況を踏まえ、2016 年度においても、既に延長申請済みの
項目に加えて、追加された 4 物質の影響調査とそれに基づく除外用途申請も
視野に入れて、引続き、業界の主張が反映されるように取組みを進めます。
また、REACH 関連の新 SVHC(高懸念物質)追加やナノマテリアル等の動
向も注視していきます。一方、中国では、電子電気製品汚染制御管理弁法(中
国版 RoHS)が 2016 年 1 月に公布、7 月に施行される動きにあります。対象
も欧州 RoHS に準じて拡大されることことになり、その情報等や影響分析を
進めました。
こうした中国の動きや、米国及び各国の化学物質規制動向の把握と情報収集を
強化するとともに、ストックホルム条約規制対象物質への過フッ素化合物
(PFOA)追加提案や水銀条約に基づく日本の国内法制(適正回収・分別のた
めの業界毎の表示ガイドライン策定等)の動向にも対応していきます。
*26 改正 RoHS 指令:EU における電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使
用制限に関する指令。2011 年 7 月 1 日(2011/65/EU)に改正され、RoHSⅡ
と称される。
(2)重電・産業機器の改正 RoHS 指令対応
工業・産業用監視制御機器については、2017 年 7 月から、その他の電気電子
機器については、2019 年 7 月から追加されることが決定しております。今後
新たな規制対象物質が追加されるという情報もあり対応方法を継続して検討
しています。
(3)国内外の事業所関連化学物質法規制の遵法リスク管理
政府は、2015 年度から「化学物質の審査及び製造等の規制(化審法)」、の
見直しに向けた検討を開始し、また、生物応答を利用した排水管理手法の導入
についても、意見徴収行いました。電機・電子 4 団体でもそれらの内容に関
して業界への影響を調査し、化審法見直し検討に係る政府検討会への委員派遣、
生物応答を利用した排水管理手法導入への反対意見表明等の活動を進めまし
た。また、法改正動向の勉強会やセミナー開催を企画し、会員への情報提供を
積極的に推進しました。
(4)事業所関連揮発性有機化合物(VOC)に関する自主行動計画の推進
電機・電子 4 団体の VOC 排出量削減の自主取組みとして、業界では、2015
年度実績の把握・評価まで自主的取組みを継続して推進することを表明してい
ます*27。2015 年度も、会員の 2014 年度実績についてフォローアップ調査を
実施し、排出量は 7,988t(前年比+11t)となりましたが、2010 年度の排出量
(11,024t)を超えないという目標に対して大幅に達成している状況は確認し
ました。その上で、排出削減状況及び、塗装工程・洗浄工程での削減努力等を
政府へも報告し、業界の努力をアピールしました。
*27 VOC 自主行動計画:2010 年度の排出抑制対象物質の大気への排出量を 2000
年度(基準年度)比 30%削減することを目標について、55%の削減により目
標を達成。2013 年度以降は、新たに、2015 年度に少なくとも 2010 年度の
排出量を超えないことを目標に、取組みを継続。
5.3 循環型社会構築への取組み推進
(1)環境配慮設計促進(製品のライフサイクル CO2 評価)と標準化の推進
JEMA では、循環型社会構築に向けて、環境配慮設計において製品の環境負
荷低減を定量評価するライフサイクル CO2 評価手法の業界標準(JEM 規格)
を開発してきましたが、JEMA 取扱製品について同評価手法の展開を促進す
るために、3 カ年計画(2014 年度~2016 年度)で合理的かつ簡易な評価手法
確立と汎用性の高い部品の二次データベース開発を含む算定ツールの開発に
取り組んでいます。2015 年度は、素材データ収集及び評価工程の簡易化のシ
ナリオを検討し、評価手法に適用できる圧縮機等部品の CO2 排出原単位作成
を実施しました。
次年度は、本事業の最終年として、簡易評価手法の確立とそれに基づき素材
データ収集の簡素化及び部品の CO2 排出原単位を組み込んだ算定ツール開発
を進めます。
(2)重電・産業機器のライフサイクルアセスメント(LCA)への対応
ライフサイクルアセスメントに関連して、電子回路基板のCO2排出量算出方法
について精査を継続しています。また、欧州規制委員会で開発されつつある環
境フットプリント(従来の手法に加え、評価対象とする環境物質を広げるとと
もに、製品の原材料調達から生産、廃棄されるまでの環境負荷評価の他に、企
業や団体の組織活動全体にかかる環境負荷評価にまで概念を広げた手法)への
対応を継続して検討しています。
(3)欧州エコデザイン規制(ErP 指令*28)等への対応
環境配慮設計の実施の義務化を進めている欧州エコデザイン指令(ErP 指令)
や、米国や中国・アジア地域、豪州等の環境配慮設計や省エネ規制動向をフォ
ローし、2015 年度も、国内外の関係団体とも連携や情報共有の体制構築を図
り、会員企業への情報提供や電機・電子業界としての意見提出、ロビー活動等
を積極的に推進しました。
また、欧州委員会がデファクト化を検討している環境影響統合評価手法(環境
フットプリント)試行事業(2013 年 11 月~2016 年 12 月)にも事務局とし
て参画しており、試行期間の中で、2015 年度は IT 機器・環境影響評価レポー
ト(重要な環境影響領域、プロセスの特定)、環境影響評価算定ルール(製品
カテゴリー算定ルール・ドラフト版)を作成して欧州委員会へ提出し、承認さ
れました。
次年度は、試行事業の最終年にあたることから、将来的な政策・制度化への対
応を視野に入れながら、日本企業が対応出来る実効的な「製品カテゴリー算定
ルール」の最終確定や「コミュニケーション手法」を提案する等、JEMA は
その主導的な役割を担います。
*28 ErP 指令:エネルギー関連機器のエコデザイン枠組み指令。
(4)産業廃棄物対策自主行動計画の推進
電機・電子 4 団体の産業廃棄物対策自主行動計画*29について、2015 年度は、
会員の2014 年度実績についてフォローアップ調査を実施し、
最終処分量が1.5
万 t、最終処分率が 1.2%と 2015 年目標(最終処分量:3.6 万 t 以下、最終処
分率を 2%以下)の達成を確認しました。目標達成状況は、経団連、政府へ報
告し、経団連とも連携して業界努力をアピールしました。
また、2015 年度に、新たに 2020 年度に向けた新目標の策定を行い、引続き、経
団連とも連携して自主的な取組みによる努力、アピールを継続していきます*30。
*29 電機・電子 4 団体の産業廃棄物自主行動計画:最終処分量を 2015 年度までに
3.6 万 t 以下かつ最終処分率を 2%以下とする。
*30 電機・電子 4 団体の産業廃棄物自主行動計画(2020 年度に向けた新目標):
最終処分量を 2020 年度までに 2.5 万 t(2000 年度実績 14 万 t から 82%削減)
かつ最終処分率を 1.8%以下とする。
(5)事業所における廃棄物適正処理推進への取組み
2015 年度は、事業所の廃棄物ガバナンス、遵法リスク管理の向上に向けて、電子
マニュフェスト活用の現状確認として、導入事例調査や課題抽出を行いました。次
年度に向けて、引続き、実施関連機関とも連携して活用促進の方策を検討していき
ます。また、産業廃棄物の「見える化」を推進するために、事業所から排出された産
業廃棄物を処理業者へ引き渡した後の再資源化状況の実態調査も進めました。こ
れらの調査結果も踏まえ、2016 年度においては、再資源化促進に向けて業界とし
て取り組むべき課題の抽出等を進めていきます。
(6)使用済み小型電気電子機器のリサイクル等への対応
2013 年 4 月に施行された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する
法律」については、2015 年度末からその進捗レビューや追加的な措置の必要
性等について検討が開始されました。引続き、業界に期待される役割を踏まえ
つつ、実効性のある業界意見の提案を実施していきます。
5.4 生物多様性への対応
電機・電子 4 団体では、業界の内外で生物多様性保全への取組みについて普及
啓発を推進する中で、2011 年~2014 年にかけて、生物多様性保全事例集の作成・
公開、生物多様性保全の社内教育・啓発ツール「Let's Study Biodiversity(LSB)」
開発・公開、さらに、愛知目標と電機・電子業界の関連性評価を踏まえた「電機・
電子業界における生物多様性の保全にかかわる行動指針」を策定しました。2015
年度は、行動指針に基づき、電機・電子業界としての進捗状況を把握するため、
会員企業へのアンケート調査を実施し、合わせて会員企業の取組み事例データ
ベース構築を検討する等、ボトムアップ活動の充実を目指した取組みを継続して
います。
また、フロントランナー支援として、名古屋議定書(ABS:遺伝資源へのアク
セスと利益配分)批准を想定した影響因子の特定、評価検討のためのプレスタ
ディや改正 ISO14001 における生物多様性評価に係る有識者を招聘してのセミ
ナーも開催しました。
LSB や行動指針は、「国連生物多様性の 10 年日本委員会(UNDB-J)」が推
奨する連携事業としても認定され、環境省「事業者団体向取組ガイドライン」案
の中でも取組みのモデル事例として非常に高い評価を頂いています。2016 年度
は、さらに取組み事例データベースの公開、名古屋議定書批准による ABS の影
響評価、国際的な情報発信強化(国際自然保護連合世界会議での活動アピール)
等、業界として更なる取組みの推進を図っていきます。
6.国際標準化の推進
グローバルな事業展開において標準化は、
益々重要な戦略の 1 つとなっています。
政府の日本再興戦略も踏まえて、
日本の技術を取り入れた国際規格の実現を目指し、
IEC 上層会議への積極的活動、欧州規格への日本提案活動、JEMA における国際
標準化活動の体系化を推進するとともに、各分野の事業戦略に基づいた活動を通じ
て、国際標準化活動の強化を図っています。
6.1 IEC 上層活動等への積極的な対応
IEC 上層会議の標準管理評議会(SMB)、戦略グループ(SG)、市場戦略
評議会(MSB)等の対応は、IEC-APC(IEC 活動推進会議)を中心に SMB 対
応委員会、SG 分科会等で国際標準化戦略の審議が行われており、JEMA は電機
業界の意見を集約することで、国際標準化戦略指針等への反映に向けた活動を
行っています。
また、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーのシステムレベルの国際認
証制度(再生可能エネルギー機器規格試験認証制度[IECRE])の検討が IEC に
て開始されたことに伴い、その国内対応委員会の事務局を JEMA が担当し、風
力、太陽光、海洋エネルギー分野の共通的なシステム認証制度の構築や運用に対
する日本としての対応審議を進めています。また、第 2 回国際会議(2015 年 9
月)を日本(JEMA)にて開催し、認証制度の手続き規則や他の IEC 認証制度
との共通運営基本規則等の審議へ日本意見を反映させました。
さらに、新市場創造や企業の競争力強化に資する標準化に関して、官民が連携
して取り組むべき具体策として 2014 年に METI が策定した「標準化官民戦略」
に基づき、国への意見発信や業界としての取組みを推進していきます。特に「認
証基盤の強化」に関しては、2015 年度に METI「グローバル認証基盤整備事業」
として建設された大型パワコン・大型蓄電システムに関する評価試験施設の有効
活用について検討する「大型分散電源認証基盤利用促進協議会」を、2015 年 7
月に JEMA 内に設置し、将来の認証基盤構築を見据えた活動を推進しています。
6.2 欧州規格への日本提案活動
電気・電子分野に関する欧州規格は、欧州の地域標準化機関である CENELEC*31
で審議が行われており、この CENELEC 規格が、そのまま IEC 規格に採用さ
れることが多く見られます。このため、欧州との協力関係を強化し、欧州域内の
標準化活動状況を把握するとともに、CENELEC 規格に日本の意見を反映させ
ていくことが国際標準化戦略上重要であり、太陽光発電・環境関連規格に関して
は、CENELEC の委員会組織に継続参加し、意見交換を行いました。
*31 CENELEC:欧州電気標準化委員会
6.3 重電・産業分野の国際標準化活動
(1)可変速駆動システム(PDS)に関する国際標準化活動
これまで、モーター単体でのエネルギー効率基準値の評価試験方法は IEC で
規定されていましたが、インバータ単体及び PDS(インバータを含むモーター
システム)での効率基準値の評価試験方法は IEC 化されておらず、2013 年度
から METI の国際標準化事業として、国内のモーター、インバータメーカー、
測定器メーカーの協力を得て実証試験を実施し、日本で行われている簡便で
低コストな評価試験方法、日本の電源電圧(200V 級)に合わせた効率基準値
の採用を IEC/SC22G(PDS)へ提案し、意見反映を行いました。
(2)インバータ駆動モーターに関する国際標準化活動
次期各国効率規制での採用が予想されるインバータ駆動時のモーター単体の
効率基準値及び試験方法の規格に対し、日本から提案している PDS の効率基
準値の評価試験方法の規定内容と矛盾しないように日本から提案を行いまし
た。また、インバータ駆動モーターの耐電圧評価試験の IEC 規格の改正に際
し、日本メーカーが使用している試験条件が反映されるように意見提案を行
いました。
(3)低圧開閉装置及び制御装置に関する国際標準化活動
2015 年度からトップランナーモーター規制が施行され、モーターの高効率化
による始動電流・突入電流増大のため SC121A 機器(電磁接触器、配線用遮
断器、サーマルリレー等のモーター保護機器)への影響が懸念されています。
関連委員会間で情報共有を行い、SC121A 機器の試験条件、寿命評価条件等
に関する IEC/SC121A への対応方法について検討しました。さらに、現在欧
州より提案されているデータセンター等の直流回路用に適用するブレーカ・
漏電ブレーカ(IEC/SC23E)の国際標準案について、日本のメーカーの実態
を踏まえた提案を検討しました。引続き継続検討していきます。
(4)FL-net に関する国際標準化活動
JEMA が推進する産業用オープンネットワークである FL-net の国際展開に
向け、FL-net のプロトコル仕様、ケーブル敷設仕様を IEC/SC65C(工業用
ネットワーク)へ新規提案(NP*32)が可決され、6 月に JEMA で国際会議
を開催し、IEC 規格化の審議を開始しました。また、10 月に CD 文書案を作
成・提出し、CD、CDV、FDIS 文書の作成に向けた検討を継続して行なって
います。
*32 NP:New Work Item Proposal
(5)電磁両立性(EMC)に関する国際標準化活動
IEC では、産業機器に関する EMC 規格である CISPR 11(工業、科学及び医
療用装置の高周波エミッション限度値及び測定方法)、及び可変速駆動シス
テム(PDS)・無停電電源装置(UPS)の製品 EMC 規格の改正作業が行わ
れています。これらの規格は、欧州 EMC 指令の対象規格となっているほか、
諸外国でも規制としての適用が進んでいる重要な規格であり、所管し
ている CISPR/B、SC22G、SC22H の国際会議に出席し、日本意見を反映さ
せました。また、SC77A(低周波 EMC)では、現在、照明器具等一部の機器
を除いて規定がない 2~150kHz の EMC 規格への取込み検討が行われていま
す。パワーエレクトロニクス機器の海外向け製品設計に影響を及ぼす内容で
あるため、実証試験を行い提案した結果、日本の提案に基づく実証試験を国
際レベルで実施し検討ていくことになった。
6.4 家電分野の国際標準化活動
JEMA が国内審議団体となっている白物家電や電動工具に関する IEC 等の
国際会議に出席し、安全性や省エネ性等、日本の優れた技術力を規格に反映する
ための活動を実施しました。具体的な内容については、3.家電事業に記載して
います。
6.5 新エネルギー分野の国際標準化活動
JEMA が国内審議団体となっている太陽光発電システムや風力タービン、燃
料電池等の新エネルギー分野に関する IEC 等の国際会議に出席し、日本意見を
国際標準に反映するための活動を実施しました。具体的な内容については、4.
新エネルギー事業に記載しています。
6.6 環境分野の国際標準化活動
環境分野では、日本が提案・国際主査を務める製品の温室効果ガス排出量算定
や削減貢献量算定の手法(IEC/TC111)等について国際標準化の作業を進めてい
ます。具体的な内容については、5.地球環境保全に記載しています。
6.7 スマートグリッド関連国際標準化活動
スマートグリッドについては、地球環境問題への対応や電力供給信頼性の観点
から世界的にも関心が高まっています。IEC においても標準管理評議会(SMB)
の下に、スマートグリッドに関するシステム規格策定のためのスマートエナ
ジー・システム委員会(SyC スマートエナジー)が設置され、TC57(電力シス
テム管理及び関連する情報交換)等の関連 TC/SC と連携して活動が進められて
います。
これら国内外の対応は、日本工業標準調査会(JISC)スマートグリッド戦略
専門委員会や、SyC スマートエナジー国内対応委員会、スマートコミュニティア
ライアンス(JSCA)等が取り組んでおり、JEMA からも関連する委員会に継続
して出席し、標準化動向の情報収集と会委員企業への展開を行いました。
また、日本として国際標準化戦略を実行するために取り組むべき「国際標準化
重要アイテム」のうち、関連するアイテムの標準化活動に積極的に参画しました。
(1)重電・産業分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動
IEC/TC120 において、系統安定化・負荷平準化に寄与する電気エネルギー貯
蔵システム(Electrical Energy Storage[EES] Systems)に関する国際規格
の策定が進められています。JEMA としても、電気エネルギー貯蔵システム
の用語、環境等の規格原案策定・審議に対し、電機業界としての意見反映に協
力しました。
(2)家電分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動
HEMS やデマンドレスポンスに関連する活動として、IEC/TC59(家電機器
の性能)内のスマート家電を検討する WG15(日本がコンビナー)にて、エ
ネルギーマネジメントシステムにつながる白物家電の規格案作成に協力しま
した。
(3)新エネルギー分野のスマートグリッド関連の国際標準化活動
太陽光発電システムの国際標準化を進める IEC/TC82 では、パワーコンディ
ショナーの EMC(電磁両立性)試験方法に係る日本提案規格に関して、日本
がプロジェクトリーダーを務め、規格の原案(委員会原案)を作成しました。
また、CISPR(国際無線障害特別委員会)における電波雑音に関する国際ルー
ル作りのため、日本がプロジェクトリーダーを務め、国際タスクフォースを作
成しました。また、IEC/TC82 における村落電化の議論にも参加するととも
に、大容量パワーコンディショナーに適用する試験方法等、国内研究機関が進
めるプロジェクトの状況等にも留意しつつ、審議の進捗を JISC へ随時報告
し、業界への情報共有を行いました。
風力発電の国際標準化を進める IEC/TC88 では、WG21(系統連系風車の電
力品質特性の測定及び評価)において系統連系する際の電力品質に関する基準
を審議しており、継続して専門家を派遣しています。また、WG27(電力系統
解析用モデル)において、風車単体及び風力発電所のシミュレーションモデル
の規格化を推進しています。さらに、風力発電所の監視制御用通信(IEC
61400-25)に対するスマートグリッド対応のため、IEC/TC57 との合同作業
グループ(JWG25)を設置して規格の改正を進めています。
燃料電池の国際標準化を進める IEC/TC105 では、燃料電池の国際規格体系内
で HEMS/BEMS 等のエネルギーマネジメントシステムやグリッドとの接続
要件整備を進めるため、スマートグリッドに係る標準化の調査グループ
(AHG4:幹事 JEMA)を設置して、関連委員会*33の活動状況を調査してお
り、AHG4 の報告を受けて TC105 での定置用燃料電池分野においては、規
格見直し作業の中で条件整備を進めています。
*33 IEC/TC57/WG17(分散形電源の EMS)、TC8/WG6(電力系統のシステム管
理)、PC118(ユーザーインターフェース)、TC59/WG15(家電機器のスマー
トグリッド接続と EMS)、TC61/MT23(家電機器の EMS における安全性)、
TC120(電気エネルギー貯蔵システム)、等
(4)他団体の活動への参画
ISO/TC268/SC1(スマートシティ)国内委員会、JSCA 国際標準化 WG 等
の関連する委員会に参画して審議に協力しました。
6.8 国際標準化のための広報・人材育成活動
標準化活動をより強化していくために、国内外の規格審議状況等の情報共有や
標準化、国際会議出席のための人材育成が必要であり、これらの活動を継続して
行っています。
(1)国際標準化人材育成研修支援・広報活動・表彰制度への取組み
(一財)日本規格協会(JSA)主催の国際標準化研修プログラム等を活用し、
標準化活動に必要な知識やノウハウの習得を図るための人材育成支援を継続
的に行っています。IEC-APC では、IEC 事業概要の冊子を毎年発行しており、
見直しに協力しました。また METI・IEC-APC では標準化に係る功績者の表
彰制度があり、JEMA から推薦した候補者が、工業標準化表彰・IEC-APC
議長賞を受賞しました。
(2)標準化ウェブサイトの充実
IEC 規格の発行状況、規格案の検討状況をはじめとする標準化動向等の情報
発信をするとともに、継続して標準化ウェブサイトのコンテンツの充実化を図
りました。
6.9 JEMA における国際標準化活動の体系化
JEMA は METI から依頼を受け 30 を超える IEC/TC/SC 技術専門委員会の
審議団体として協力しています。これらの標準化活動については、分野ごとの背
景・課題を明確化して国際標準化活動の体系化を図るとともに、2015 年度の
TC/SC の活動内容をウェブサイトで公開しました。
7.共通技術基盤強化
社会基盤を支える共通的な要素技術、技術インフラ等共通技術基盤の強化は、わ
が国の優れた技術の維持・発展並びに産業競争力強化のために重要です。
国内標準化活動、認証事業をはじめとした適合性活動、技術者・技能者の育成・
確保について、その課題を整理・選別した上で、電機業界の技術基盤強化に向けて
活動を強化しています。
7.1 国内標準化活動の推進
グローバル化が進む中で、国内標準化活動も国際標準化活動との整合が重要と
なっています。強制法規関連省令の改正審議についても、国際標準化の動向を踏
まえて業界意見集約と積極的な委員会活動への参画に努め、整合化・性能規定化
(民間規定化)作業に協力しました。
(1)国内強制法規の性能規定化への対応
METI、厚生労働省で取り組んでいる電気関係の電気設備技術基準、電気用品
技術基準、労働安全衛生規則等については、国が詳細の仕様規定を決めている
ために、新技術・新製品に対して迅速に対応できない課題があります。この課
題を解決するために省令の性能規定化の検討が開始され、安全原則の明確化、
JIS や民間基準の活用、国際基準との整合性の確保を可能とする体系見直しが
行われています。このため JIS 等の引用促進を働きかけるとともに、引用さ
れる JIS の制定・改正を継続して行いました。特に電気用品安全法技術基準
については、整合規格となる JIS の作成計画に基づき、誘導機及び小形の配
線用遮断器・漏電遮断器の JIS 原案の作成を行いました。また、対象品目の
大括り化の政省令改正に向け、大括り化に伴う対象品目の見直し検討に協力し
ました。
(2)他団体への協力
日本電気協会の電気技術規格委員会では JESC 規格の制定・改正作業が行わ
れており、これらの審議に協力しました。また、(一社)電気学会、(一社)
日本電線工業会、(一社)電池工業会、(一社)日本電子部品信頼性センター
等で原案作成が進められている JIS・団体規格の作成に協力しました。このほ
か、審議団体で作成した JIS 原案を審議する JSA 規格調整分科会に参加し、
より品質の高い JIS の発行に協力しました。
(3)JEM 規格類の整備
業界標準として関連団体、ユーザーに広く活用してもらうために JEM 規格類
の制定、改正作業を継続して行っています。重電産業技術分野では、普及が進
みつつある、蓄電システムの EMC 規格を制定しました。また、高調波抑制対
策技術指針の改正を受け、JEM-TR 182(電力用コンデンサの選定、設置及び
保守指針)に高調波抑制効果のあるリアクトルの設置を推奨する内容を盛り込
むための改正や、UPS の性能判定基準に係る改正、蓄電システムの用語規格
の策定等を続けています。また、JSIA 講習会や(公社)日本電気技術者協会
関東支部外部講習会・技術交流会で、上記重電産業機器に関する JEM 規格類
の情報等、JEMA 関係製品群の最新技術情報を広く発信し、早期浸透を図っ
ています。
(4)JIS 制定への協力
IEC 活動を通じて得た知見を基に、
JEMA 取扱製品の国際規格に準拠した JIS
原案を作成し、会員企業のグローバルな事業展開を支援しています。重電産業
技術分野では、パワーエレクトロニクス安全通則や、高圧受電設備関係の個別
機器規格(高圧限流ヒューズ、継電器等)について、IEC 規格に整合した JIS
の制定・改正を継続しています。
7.2 適合性評価活動の推進
適合性評価は、製品の規格・基準に適合しているかどうかの安全確認や企業間
取引、消費者の製品選択等、国内外の様々な場で重要な役割を担っています。グ
ローバル化が進む中で、国が定めた認証機関及び JEMA 適合性評価活動による
評価結果の信頼性向上が求められています。このため、国際的な認証制度との整
合、JEMA 認証事業の維持向上等、適合性評価活動を継続して推進しています。
(1)国及び適合性評価関連組織との連携
国や国内の適合性評価係関連組織に対し、規格・基準作成活動への参加するこ
とで認定・認証基準の動向を把握し、電機業界の意見を提案し適合性評価制度
の改善に努めています。
①適合性評価の規格・基準作成活動への参画
適合性評価の規格を担当している国際組織(IEC/CAB:適合性評価評議会、
ISO/CASCO:適合性評価委員会)等のISO/TC176(品質マネージメント)
国内委員会等に出席し、ISO 9001(JIS Q 9001:品質マネジメントシステ
ム要求事項)ファミリーシリーズ等の適合性評価関連規格の改正に関して周
知します。
②認定活動への支援
認証機関の適合性を評価する認定機関での認定審議及び認定基準の改正に
対して、国際規格と整合した、市場ニーズとバランスのとれた制度となるよ
うに改善提案を継続して行いました。
③認証活動への支援
電機業界の要望の反映、公平性・透明性のある活動となるよう、改善活動を
継続して行いました。品質マネジメントシステムの認証では、会員企業のた
めの内部監査員養成セミナーを継続して行いました。
(2)高電圧・大電流試験分野の適合性評価活動の実施
①大電流試験分野
日本短絡試験委員会(JSTC)では、大電流試験の試験所認定制度の確立に
向けて、次の活動を行いました。
(a)基準分流器を用いた国際比較試験
アジアの基準分流器を用いた北米・アジア地域の試験所との比較試験計画
(北米4件、アジア12件)を2014年度までに完了しました。2015年度は、
追加申請があった試験所との調整を行い、試験所での準備ができ次第、
2016年度に比較試験を実施する手続きを行いました。
(b)国際短絡試験協会(STL)国際会議への参加
大電流試験分野での国際機関である国際短絡試験協会(STL)の運営委員
会(5月)・技術委員会(11月)に参加し、STLの運営・技術的課題につ
いて、IEC規格文書のあいまいな解釈を明確にする提案を行う等、日本意
見を反映しました。
(c)アジア大電力試験所会議の運営
インド・韓国・中国・日本によるアジア大電力試験所会議を主催し、基準
分流器の国際試験結果の論文作成を主導するほか、短絡試験に係る最新の
標準化・技術動向について情報交換を行いました。
(d)試験証明書の発行
国際的に通用するJSTCとしての試験証明書の発行を継続し、日本の試験
技術の認知度向上に務めました。
②高電圧試験分野
日本高電圧・インパルス試験所委員会(JHILL)では、高電圧試験の試験
所認定制度の確立に向け、次の活動を行いました。
(a)インパルス高電圧標準測定システムの性能維持・向上
JHILLが維持・管理しているインパルス高電圧標準測定システムについ
て、長期的な安定性を確認するための性能試験を行いました。また、更な
る精度向上のために開発した校正器の改良に着手し、さらに高精度な計測
ができる準備を進めています。
(b)開閉インパルスの国内比較試験の実施と比較試験報告書の発行
JHILLでは、2012年度に雷インパルス用の標準測定システムと、国内の5
試験所が所有する基準器との比較試験を実施し、JHILLが維持・管理し
ている標準測定システムを頂点としたトレーサビリティを確立しました。
開閉インパルスについても、2015年度に開閉インパルスの国内比較試験
を実施・試験報告書を発行し、開閉インパルス用の標準測定システムを頂
点としたトレーサビリティを確立しました。
③高電圧・大電流試験の国家標準に関連した仕組みの構築
IECにて「国家標準とのトレーサビリティの取れた測定」が規定され、海外
ユーザーからこの証明を要求されることがあります。そのため、現在日本国
内ではこの証明ができない高電圧インパルスの測定等について、関係機関と
調整を行いながら、標準の種類ごとに、順次、国家標準とのトレーサビリティ
が証明できる仕組みの構築に取り組んでいます。その成果として、2015年9
月に、大電流試験に用いる分流器に必要な商用周波の交流抵抗について、国
内での校正サービスが開始されました。
(3)FL-net の認証事業の実施
JEMA が推進する産業用オープンネットワークである FL-net は 1998 年の認
証事業開始以来、PLC(プログラマブルコントローラ)を中心に 31 社 104 機
種が認証機器として正式登録されています。2012 年 12 月から始まった最新
バージョン FL-net Ver.3 では従来の Ver.2 と上位互換性を保ったまま、これ
までの PLC 等の制御装置同士の接続に加え、上位の情報系(一般パソコン、
工場管理サーバ等)及び下位のデバイス系(インバータ、サーボ、センサー
等の産業機器)との混在が可能な産業用オープンネットワークとなりました。
JEMA は今後も FL-net の認証事業を推進し、主に自動車業界や公共系システ
ムへの更なる普及を図っていきます。
7.3 中長期的な技術者・技能者の育成・確保に向けた取組み
将来にわたる電機業界の人材の育成と確保のための活動を継続しています。
(1)理科教育支援の推進
JEMA では、将来の電機業界の人材確保のための育成を目的に、小学生高学
年を対象とした理科教員の支援活動を行っています。内容としては小学校 6
年生の単元「電気の利用」にあわせた理科授業「JEMA プログラム」の普及
展開スキームによって、東京及び 3 支部地区での教育委員会と連携した理科
指導員へのセミナーを展開しています。また、2014 年度に新たに作成した電
磁石、オームの法則の実験についても必要に応じセミナーに取り入れて実施
しました。
①教育委員会及び理科部主任会等への理科セミナーの開催
東京都教育委員会研修等教育委員会の事業計画に取り込まれたセミナーや、
2014年度から定例化しつつある理科部主任会等のセミナーを中心に開催し
ました。また、必要に応じテクニカル講師及びセミナー講師候補の新規養成
のための講座を本部、各支部で開催しました。
②教員免許更新講習セミナーへの協力
大妻女子大学、東京家政大学、大阪青山大学で「教員免許更新講習」におい
てJEMAプログラムを用いた講習が実施され、サポートを行いました。
③教員を目指す大学生向けセミナーの開催
教員を目指す大学生向けプログラムによるセミナー東京家政大学、帝京大学、
中村学園大学で開催しました。
④ウェブ一般公募理科セミナー等の開催
東京本部及び名古屋支部でそれぞれ1回ずつ開催しました。また、教育委員
会・理科部会主催による理科教育セミナーを実施していない地域の教員を対
象として公募していきます。
⑤研修大会等による活動紹介
文科省主催の小学校各教科等教育課程研究協議会での教員による活動報告、
教育研究会理科部主催の研修大会でのJEMAによる活動紹介等、教育委員会
等と連携した広報・啓発活動を実施しました。
(2)理科教育支援サイトの充実
理科教育支援サイトにて、「理科セミナー活動レポート」や「電気を語ろう」
等を随時掲載することによって、理科教育支援についてのコンテンツの充実
を図りました。また、教育関連先へ支援サイトのリンクを張ることによって、
JEMA と会員企業の取組みを広く情報発信しました。
(3)その他
実験機材の貸し出しの要望があり、一部の小学校では JEMA プログラムの普
及のために機材の貸し出しを行いました。また、機材のメンテナンスを適宜
実施しました。
8.主要共通課題への取組み
8.1 広報活動
JEMAの意見や提言を積極的に発信するとともに、電機業界の動向、JEMAの
事業活動、電気機器に係る情報等をタイムリーかつ分かりやすく社会に情報発信
するため広報活動の強化を推進しました。
また、電機メーカーの人材確保の支援を目的に、理工系を中心とした大学生へ
電機業界の理解を深めるための活動を推進しました。
(1)JEMAウェブサイト
ウェブサイトを JEMA 広報媒体の中核に位置付け、電機業界の動向や諸課題
への取組み、製品使用の安全啓発等について、会員各社をはじめ、ユーザー・
消費者、電機産業に係る各機関、関連業界・企業等、各方面の関係者等広く社
会に対し、正しく、早く、わかりやすい情報発信を行いました。
(2)JEMA機関誌「電機」
わが国のエネルギー基本計画や成長戦略といった政策への電機業界の取組み
等をテーマとした特集記事を掲載することにより、会員会社をはじめとする
幅広い読者に対し、役に立ち、読み応えのある機関誌を発行しました。
また、国内外の地球温暖化対策の動向、再生可能エネルギーの技術開発の動
向と普及拡大の施策、電気機器の省エネ基準の改定等とそれらへの電機業界
の取組みや、
会員企業のグローバル化の動向、
JEMAの国際標準化の取組み等、
様々なテーマについてもタイムリーで掘り下げた情報を発信しました。
なお、11月には、製造業にIoTを活かす「スマートマニュファクチャリングを
テーマにSCF2015特別号(12月号特集記事の抜刷り版)を発行し、展示会来
場者等に向けて幅広く情報提供しました。
(3)記者発表、プレスリリース等
5月の定時総会終了後に、中西前会長、津田会長による「会長交代記者会見」
を行い、津田会長より「電機業界の今後の取組み」を発表しました。11月に
は「2015年度 上期の電気機器の状況」及び「電機・電子業界『低炭素社会実
行計画』の進捗について」をテーマに、また、3月には「2016年度 電気機器
の生産見通し」をテーマに記者発表を行いました。
(5月:出席記者 23社25名、掲載8紙他、ネット配信)
(11月:出席記者 20社20名、掲載8紙他、ネット配信)
( 3月:出席記者 18社20名、掲載6紙他、ネット配信)
(4)年刊誌「JEMA2015」
国内外の各方面に対し JEMA 活動を紹介することを目的に、JEMA の事業活
動成果と今後の取組み、理念、ビジョン、取扱い製品等、さらに電機業界の最
新動向を取りまとめた年刊誌「JEMA 2015」を 8 月に発行しました。
8.2 グローバリゼーションへの取組み
日本企業がグローバルビジネスを展開する中、関係官庁と連携し、通商投資環
境整備に取り組むとともに、この通商投資環境整備を含む電機産業の諸課題対応
に向けた連携強化を目指した海外工業会とのネットワーク構築にも取り組みま
した。
(1)通商投資環境整備への取組み
WTO 環境物品自由化交渉(EGA)や環太平洋経済連携協定(TPP)、東アジア
地域包括的経済連携(RCEP)、各 FTA/EPA の経済連携協定交渉に関して意
見具申を行い、関税撤廃を含む通商投資環境整備の課題解決を図りました。
また、主要国の不公正な貿易政策に関して、関係団体と連携を図りながら、情
報収集と会員企業への情報発信、課題解決への貢献を進めました。
(2)海外工業会とのネットワーク構築推進
通商投資環境整備や電機産業の課題解決に向けて、各国の産業界との連携・協
調行動が重要となってきており、海外工業会・諸団体とのネットワーク構築を
一層強化しました。
2015 年 10 月には、ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI*34)と Industrie 4.0
及び通商課題(WTO 環境物品自由化交渉等)について意見交換を行い、欧州
の工業会との協力体制構築も推進しました。
さらに、12 月には、韓国電気工業協同組合(KEMC)との定期交流会を行い、
双方の事業活動に関する情報交換を実施しました。
2016 年 2 月にバンガロール(インド)にて、アジア電機工業会連盟(FAEMA*35)
が開催され、JEMA は、電力・重電関連の諸課題について情報収集を行い、
会員企業への展開を図りました。
*34
ZVEI:Zentralverband Elektrotechnik- und Elektronikindustrie e.V.
*35 FAEMA:アジア電機工業会連盟(The Federation of Asian Electrical
Manufacturers’ Association)-2005 年 11 月に日・中・印・韓・豪・台の 6
重電系工業会にて設立。
8.3 中堅企業、変圧器製造を主要事業とする会員企業への取組み
JEMA 中堅企業の経営者を対象に、大手会員企業の発電機器工場の生産現場や
再生可能エネルギーの発電所等を視察するとともに、エネルギー・環境問題をは
じめとする事業推進上の課題や、景気動向、業界動向等について情報提供を行い
ました。
(1)中堅企業経営研究会の取組み
中堅企業の経営に資するため、経営者を中心に構成する会合において、エネ
ルギー供給を担う発電機器を製造している(株)日立製作所・日立事業所、
並びに FIT*35によって導入拡大が進む太陽光発電の実態を見聞するため大分
ソーラーパワー(株)のメガソーラー発電所と、国内最大の地熱発電所であ
る九州電力(株)・八丁原地熱発電所を視察するとともに、大手会員企業の
品質保証部門の責任者を招き「品質保証の取組みについて」と題した講演会
を開催しました。
また、中堅企業の経営者で構成する中堅企業海外調査団を編成し、世界的な
IT 関連企業が拠点を構える米国・シリコンバレーの企業を視察して、起業家
精神とイノベーションを支える社会的風土に触れるとともに、ナパバレーを
訪れて、第一次産業と他産業とが密接に結びつき、産業の垣根を超えた事業
の多角化及び高度化によって成長・発展した実情を探りました。
*35 FIT:固定価格買取り制度(Feed in tariff)
(2)変圧器事業課題研究会の取組み
国内各地域に拠点展開している変圧器事業の経営者向けに、変圧器事業の海
外展開、インフラシステム輸出促進、トップランナー化(変圧器・モーター)
への取組み、生産性向上投資促進税制 JEMA の取組み、無電柱化(電線地中
化)の最新動向とオリンピックに向けての動き、新たに変圧器に求められる
機能・性能等について報告・説明し、併せて経営者相互の活発な意見交換を
行うとともに、(株)ダイヘン・千歳工場の柱上変圧器他の製造ラインを視
察し、各社の事業経営に資する活動を行いました。
8.4 展示会への出展効果を高めるための活動
会員企業の展示会責任者の会合において、新製品・新技術等の出展効果を高め
るため、会員各社が出展する展示会情報のデータベース詳細分析をとりまとめる
とともに、来場者への効果的な情報発信やプレゼンテーション方法について意見
交換を行いました。また、JETROや展示会主催団体と連携を図り、METIが推進
する展示会産業活性化方策を検討しました。
8.5 税制改正要望
例年通り、経済活性化、企業競争力強化に繋がるものを優先して業界として幅
広く意見を伺い、法人実効税率引下げ、研究開発促進税制の拡充、外形標準課税
の見直し・償却資産に係る固定資産税の廃止等の地方税の見直しを最優先項目と
して取りまとめた要望書を 9 月末に取りまとめるとともに 10 月には温暖化対策
税の廃止を含めた見直しや税収の目的外使用に反対するため、経団連、日本商工
会議所、(一社)日本鉄鋼連盟、(一社)日本自動車工業会をはじめとする団体
と連携し、共同要望書を取りまとめた。
11 月には、「企業活動の活性化と経済の好循環を実現するための成長志向の
法人税改革共同要望」として、JEMA も含む製造業団体で課税ベース見直しにつ
いて外形標準課税拡大反対、研究開発促進税制拡充、償却資産課税の縮減・廃止
を中心に共同要望を取りまとめ、自由民主党の国会議員に陳情を行いました。
(同
月、自由民主党等のヒアリングにも参加し、要望内容の説明を行った。)
これらの活動の結果、法人実効税率は、課税ベースの見直しが行われる一方、
現行税率の 32.11%から 2016 年度は 29.97%(▲2.14%)、2018 年度は 29.74%
(▲2.37%)への引き下げが決定されました。
さらに温暖化対策税についても、対策税の本格的な普及に向けたモデル事業や
技術開発、調査への活用の充実を図ることとし、METI、環境省、林野庁の 3 省
庁は連携して取り組むとともに市町村が主体となった森林・林業施策を推進し、
これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村
による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税[仮称])
等の新たな仕組みが検討されることが大綱に明記されました。
8.6 業務監査の推進
会員企業・外部組織から、より一層信頼・評価されるJEMA事務局の体質づく
りを目指して、平成20年度から本格的に始動した部門別業務監査を、引続き実施
しました。
9.表彰事業
9.1 永年功績者表彰
電機工業永年功績者表彰は、永年にわたり業界の発展に貢献された会員の経営
幹部を称える JEMA の表彰事業として昭和 36 年度から行ってきましたが、第 55
回目の平成 27 年度表彰では、これまで企業経営を担い、業界を導いて来られた
14 名の方々を表彰しました。
9.2 電機工業技術功績者表彰
電機工業技術功績者表彰は、業界の技術の進歩、発展に対する技術者の功績を
称える JEMA の表彰事業として 1952 年度
(昭和 27 年度)
から行ってきました。
第 64 回目を迎える 2015 年度(平成 27 年度)表彰では、正会員企業に対して「最
優秀賞」1 件、「優秀賞」3 件、「優良賞」5 件、「奨励賞」51 件を、委員会活
動に対して「優秀賞」・「優良賞」を各 1 件表彰し、功績を称えました。また、
第 65 回の表彰に向けて、会員企業各社によりご活用頂けるよう、審査の考え方
を見直しました。
9.3 政府等他機関表彰への会員企業の応募推薦
政府、外部団体が主催する各種の表彰事業について、会員会社に周知するとと
もに、会員からの申請に基づいた表彰候補を推薦しました。
その結果、下記の各賞において受賞に至りました。
①日刊工業新聞社「日本産業技術大賞(審査委員会特別賞)」
②日刊工業新聞社「機械工業デザイン賞(経済産業大臣賞、日本電機工業会賞)」
他
③厚生労働省「卓越した技能者の表彰(電気機械器具組立・修理及び電気作業
関係の職業部門)」他
④(公財)電気科学技術奨励会「電気科学奨励会会長賞並びに電気科学技術奨
励賞」他
⑤日刊工業新聞社「日本産業広告賞(日刊工業新聞広告大賞)」他
⑥(一社)日本電気協会「澁澤賞」
⑦(一社)火力原子力発電設備協会「後藤清太郎賞」
⑧(一社)日本機械工業連合会「優秀省エネルギー機器表彰(経済産業大臣賞)」
他
⑨(一財)省エネルギーセンター「省エネ大賞(経済産業大臣賞)」他
⑩(一財)新エネルギー財団「新エネ大賞(新エネルギー財団会長賞)」
⑪(一財)機械振興協会「新機械振興賞(機械振興協会会長賞)」
10.3支部の活動
本部の基本方針に基づいて JEMA の役割・機能を各地域に展開し、本部と連携し
て地域の電機業界の発展、消費者生活の向上に貢献するため、地域に立脚した事業
活動を積極的に実施しました。また、厳しい経営環境に対応し、各種の委員会や研
修会・講演会等を通じて会員企業の経営の一助となるよう活発に活動しました。
さらに、関係行政機関や関係諸団体との連携により、各種イベントへの参画や会
議・セミナーに協賛し、啓発活動に取り組みました。
10.1 大阪支部
(1)地球環境保全への取組み
地球環境保全の視点に立って、低炭素社会実現に向けた各種委員会活動を推進
しました。太陽光発電の固定価格買取制度や再生可能エネルギーの課題につい
ては、近畿経済産業局による講演会を開催し、最新の情報を会員企業に提供し
ました。また、2015 年 4 月施行されたフロン排出抑制法については、(一財)
日本冷媒・環境保全機構による講演会を開催し、フロン対策の必要性、管理者
の役割等について会員企業に周知しました。その他、関係委員会に対して「最
新の環境動向と電機・電子業界も取組み」をテーマに説明会を実施しました。
(2)家電製品安心・安全への取組み
家電製品の安心・安全の取組みを「消費者安全の視点」で、関係行政機関と連
携し、近畿地区(福井県含む)、中国地区、四国地区を対象として進めていま
す。2015 年度は、京都府消費生活安全センター主催の勉強会に JEMA 大阪支
部が参加しました。JEMA より「家電の安全な使い方」について動画を用いた
プレゼンを行い、その後、勉強会に参加された相談員、京都府消防局の方とグ
ループ討議を実施し、家電製品の安心・安全についての啓発活動を行いました。
(3)技術標準化の推進
船舶電機関連及び建設電気関連の技術標準化を推進し、JEM 規格・技術資料
の改定、制定に結びつけるため各委員会で活動を推進しました。具体的には規
格「JEM 1271 船用電気機器の予備品箱」、
「JEM 1282 船用電気機器の銘板」
「JEM 1288 船用低圧交流配電盤」、「JEM 1388 船用電気機器の電線導入口
と端子間の最小寸法」、「JEM 1440 船用低圧軸駆動発電装置」、技術資料
「JEM-TR236 建設工事用 400V 級電気設備施工指針」、「JEM-TR246 建設
用電気設備の設置工事指針」の見直しを行いました。
(4)会員企業への支援及び地域行政機関、関係諸団体との連携
会員企業の経営の一助となるよう、裁判所の団体傍聴、三菱重工業(株)によ
る原子力発電の講演会、(株)東芝による水素社会の講演会及び、日本銀行大
阪支店による経済講演会を実施しました。その他、NITE(大阪)製品安全セ
ンターとの相互勉強会を実施し、相互理解を深めました。
また、JEMA が取り組む小学校教員向けセミナー「理科教育支援プログラム」
の地域への定着活動として、大阪青山大学、大阪市教育センターで実施しまし
た。また、電気系大学生・大学院生に電機産業の概要や魅力を紹介する「電機
業界説明会」を前年に引き続き京都大学、同志社大学、大阪大学、神戸大学の
4 大学に加えて、新たに立命館大学、大阪市立大学を追加し 6 大学で実施しま
した。
10.2 名古屋支部
(1)地域会員企業への情報提供と共通課題の検討
本部や中部経済産業局等の関係機関・団体と連携を図り、家電・環境・技術分
野の最新動向とJEMAの取組みについての情報提供、日本銀行支店長による金
融経済講演会、「リニア時代の地域づくり」や「スマートマニュファクチャリ
ング」等会員の関心が高いテーマを取り上げ、説明会を開催しました。各委員
会活動では、地域会員企業が抱える「エネルギーと環境」、「グローバル対応」、
「人材育成」等の諸課題への解決に向けた取組みとして、課題研究活動や視察研
修会を実施しました。
(2)地域電機産業や社会への貢献活動
理系学生向けに電機産業の概要と将来展望を紹介する電機業界説明会を、新た
に岐阜大・豊橋技科大を加えた8大学で10回開催し、地域電機産業への人材確
保支援に努めました。また、消費者啓発活動として、愛知・岐阜・静岡・三重
の消費生活センターやNITE中部支所との情報交換会、岐阜市や愛知県瀬戸
市・一宮市主催の消費生活展への出展を通じて、JEMA発行の啓発チラシを積
極的に配布し、電気製品の安全・安心な使い方の普及に努めました。理科教育
支援活動においては、本部や会員企業の協力を得て、愛知県総合教育センター
や知立市等で、小学校教員向けセミナーを開催し、技術者人材育成事業を推進
しました。
10.3 福岡支部
(1)地域会員企業への課題解決支援
小学校教諭を対象とした理科教育セミナーを福岡市他 3 市町村、1 大学、及び
福岡市教育センターで、計 10 回開催しました。また、大学生向けの業界説明
会を九州、沖縄の 9 国立大学、及び 2 私立大学で実施し、計 600 名の学生が
受講しました。
企業研究会では、
原子力燃料サイクルに関する講演、
エネルギー
の効率的利用に関する重電事業分野の状況、及び日本銀行福岡支店長による
2016 年の景気ポイントに関する講演を開催し、会員企業のほか地域行政・団
体・企業から多くの参加を得ました。各委員会では、JEMA 各部から環境・
技術・重電・家電分野の最新動向を、外部専門家から「電力小売全面自由化の
制度」「再生可能エネルギー導入拡大に向けた政府の取組み」
「鉄鋼需給動向」
等最新動向を提供しました。
(2)消費者啓発事業の推進
「家電製品の安全・省エネ」をテーマに、消費者啓発講座 21 カ所に講師を派遣
し、計 720 名が聴講しました。従来の市民センター(公民館)
、九州管内消費
生活センターに加え、福岡県認可事業の講座 8 カ所に講師を派遣しました。
また、佐賀市(2 回)
・鹿児島市の消費生活フェアに出展したほか、「電気コー
ドに係る安全啓発チラシ」を、福岡市近郊の社会福祉協議会を通じ、お年寄り
を中心に約 1 万部配布しました。
(3)関係行政・地域関連団体等との連携推進
九州経済産業局から「九州経済の見通し」等の講演を実施頂き、また、
「長期
使用製品安全点検・表示制度」について消費者啓発講座のうち 3 カ所で同局
職員から説明がありました。NITE 九州支所及び福岡市消防局・北九州市消防
局とは、事故情報に関する定期交流会を実施しました。その他、
(一社)日本
電気協会九州支部・九州電気保安協会・九州経済連合会主催行事へ参加すると
ともに、JEMA 講演会へはこれら団体から多くご参加頂き、連携・交流を深
めました。
以
上
添付資料(1)
Ⅰ.総会
定時総会を 1 回、臨時の総会を 3 回開催し、議案は、いずれも原案どおり可決
された。
1.第 94 回定時総会(2015 年 5 月 29 日)
議案
第 1 号議案
2014 年度(平成 26 年度)事業報告(案)の件
第 2 号議案
2014 年度(平成 26 年度)決算(案)の件
第 3 号議案
2015 年度(平成 27 年度)事業計画(案)の件
第 4 号議案
2015 年度(平成 27 年度)収支予算(案)の件
2.臨時総会(2015 年 4 月 10 日)
議案
第 1 号議案
理事 1 名の選任の件
3.臨時総会(2015 年 7 月 23 日)
議案
第 1 号議案
理事 3 名の選任の件
4.臨時総会(2015 年 11 月 19 日)
議案
第 1 号議案
理事 1 名の選任の件
Ⅱ.理事会
2015 年 4 月から 2016 年 3 月までに、理事会を 4 回開催した。また、定款第
37 条第 2 項に基づく理事会決議の手続きを 2 回行った。
議決事項並びに報告事項
は、次のとおり。
1.2015 年度(平成 27 年度)第 1 回理事会(2015 年 5 月 13 日)
1.1 議決事項
(1)会員異動(案)
(2)2014 年度(平成 26 年度)事業報告(案)
(3)2014 年度(平成 26 年度)決算(案)
(4)次期会長・次期副会長の選定(案)
(5)第 94 回定時総会議題追加の件(案)
1.2 報告事項
(1)電機業界に係る JEMA 関連報告
①長期エネルギー需給見通し案及び温室効果ガス削減目標案について
②流通取引慣行ガイドライン見直しの概要
③Industry 4.0(第 4 次産業革命)と IoT の動き
④2014 年度冬季の電力需給実績、2015 年度夏季の電力需給見通し及び電力会
社の経営状況
⑤電機関連の表彰事業審査結果
2.理事会決議の手続き(2015 年 7 月 9 日)
2.1 議決事項
(1)臨時の総会開催の件(案)
3.2015 年度(平成 27 年度)第 2 回理事会(2015 年 9 月 3 日)
3.1 臨時総会報告
3.2 議決事項
(1)会員異動(案)
(2)JEMA「取扱製品基準表」の一部改訂(案)
(3)寄付対応(案)
(4)理事会等行事日程(案)
3.3 報告事項
(1)平成 28 年度税制改正要望の提出
(2)システムコントロールフェア 2015 開催案内
(3)電機業界に係る JEMA 関連報告
①長期エネルギー需給見通し及び温室効果ガス削減目標について
②電機電子業界の低炭素社会実行計画 2014 年実績(暫定速報)
③原子力発電所等の新規制基準適合性審査と福島廃炉・汚染水対策の現状
④変圧器・三相誘導電動機(モータ)に係わるトップランナー開始後の状況
⑤大型分散型電源認証基盤利用促進協議会について
⑥スマートマニュファクチャリング関連の動向
⑦電機関連の表彰事業審査結果
4.理事会決議の手続き(2015 年 10 月 30 日)
4.1 議決事項
(1)臨時の総会開催の件(案)
5.2015 年度(平成 27 年度)第 3 回理事会(2015 年 11 月 26 日)
5.1 臨時総会報告
5.2 議決事項
(1)会員異動(案)
(2)副会長選定(案)
(3)2015 年度収支予算追加(案)
(4)理事会等行事日程(案)
5.3 報告事項
(1)2015 年度上期主要活動報告
(2)会長記者発表概要報告
(3)平成 28 年度電機工業永年功績者表彰
(4)平成 28 年度電機工業技術功績者表彰
(5)電機業界に係る JEMA 関連報告
①電機産業に対する TPP 協定の効果
②電機電子業界の低炭素社会実行計画-進捗状況-
③水銀に関する水俣条約批准に向けての政府による検討動向
④地球温暖化防止の国際枠組み交渉に係る動向について
⑤2015 年度夏季の電力需給実績及び 2015 年度冬季の電力需給見通し並びに節
電要請について
⑥電機関連の表彰事業審査結果
6.2015 年度(平成 27 年度)第 4 回理事会(2016 年 3 月 17 日)
6.1 議決事項
(1)会員異動(案)
(2)2016 年度(平成 28 年度)事業計画(案)
(3)2016 年度(平成 28 年度)収支予算(案)
(4)寄付対応(案)
(5)2016 年度電機工業永年功績者表彰(案)
(6)2016 年度電機工業技術功績者表彰(案)
(7)第 95 回定時総会開催の件(案)
6.2 報告事項
(1)2016 年度(平成 28 年度)電気機器の生産見通し
(2)任期満了に伴う役員(理事・監事)改選について
(3)電機業界に係る JEMA 関連報告
①エネルギー革新戦略の概要と電機産業としての取組み
②COP21 パリ会議の最終報告と COP21 を受けた政府温暖化対策計画案
③原子力発電を巡る最近の状況
④システムコントロールフェア(SCF)2015 開催報告
⑤電機関連の表彰事業審査結果
Ⅲ.会員異動
1.会員数の異動
種
別
H27.3.31 現在
正 会 員
176 社
賛助会員
105 社
合
計
281 社
入会
5社
1社
6社
種別変更
+1 社
-1 社
0社
2.入会会員会社名(入会順)
〔正会員〕
FDK 株式会社
ソーラーフロンティア株式会社
日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
ダイヤモンド電機株式会社
日立化成株式会社
〔賛助会員〕
ハイセンスジャパン株式会社
3.退会会員会社名(退会順)
〔正会員〕
新神戸電機株式会社
退会
1社
3社
4社
増減
5社
-3 社
2社
H28.3.31 現在
181 社
102 社
283 社
〔賛助会員〕
株式会社 シグマクシス
日本ロレアル株式会社
株式会社 桜川ポンプ製作所
4.種別変更会員会社名
〔賛助会員から正会員へ〕
株式会社 駒井ハルテック
添付資料(2)
2015 年度 JEMA 頒布物・報告書一覧
調査報告
資料名
2015 年度「サーボの使用状況に関する調査」報告書
2015 年度「プログラマブルコントローラ及びプログラマ
ブル表示器の使用状況調査(ウェブアンケート)」報告
書
中東白物家電市場調査 報告書
白物家電 5 品目の世界需要調査(生産・輸出・輸入実績
データを含む) 2008 年-2014 年
電機・電子業界「揮発性有機化合物(VOC)に関する平成
27 年度<平成 26 年度実績>排出状況」調査結果報告
電機・電子業界「低炭素社会実行計画」平成 27 年度<
平成 26 年度実績>進捗報告
電機・電子業界「産業廃棄物等に関する自主行動計画フ
ォローアップ 平成 27 年度<平成 26 年度実績>」調査
報告結果
発行年月
2016年3月
2016年3月
担当部名
重電部
2016年2月
2016年3月
家電部
2016年3月
2016年3月
環境部
2016年3月
統計資料
資料名
原子力発電設備関連統計
加速器関係統計
発行年月
2015年6月
2015年6月
担当部名
原子力部
広報資料
資料名
年刊誌「JEMA2015」(簡易版)
年刊誌「JEMA2015」(冊子版)
機関誌「電機」
発行年月
担当部名
2015年5月、8月
2015年8月
年8回
企画部
*11月には、SCF2015特別号(12月号特集記事の抜き刷り版) (4月、6月、8月、
を発行した。
10月、11月、
12月、1月、2月)
伸びゆくインバータ
2015年11月
未来を拓くサーボシステム
2015年11月
飛躍するプログラマブルコントローラ
2015年11月
重電部
地球環境保護・省エネルギーのために
2015年11月
トップランナーモータ
UPS の保守・更新は計画的に
2016年3月
原子力広報クリアファイル
2016年2月
原子力部
冊子「日本のエネルギーを考える~原子力発電所 再稼働
2016年3月
の現場から~」
資料名
2015 年 4 月現在 掃除機「純正」紙パック適応表
冷蔵庫の上手な使い方(チラシ)
洗濯機をご愛用の皆様へ指を大けがする事故に
気を付けてください!!(チラシ)
最新冷蔵庫は良いこと色々!(チラシ)
ドラム式洗濯乾燥機をご使用になる際のご注意(チラシ)
電気毛布・電気ミニマット・電気カーペットをご使用の
みなさまへ「愛情点検で快適な冬を!」(チラシ)
安全にレンジ加熱をご使用いただくために(チラシ)
電気毛布・電気ミニマット・電気カーペットをご使用の
みなさまへ「片付け前の愛情点検で次の冬も安全に・・・!」
(チラシ)
発行年月
担当部名
2015年5月
2015年6月
2015年6月
2015年8月
家電部
2015年9月
2015年10月
2016年3月
その他
資料名
電機・電子業界の温暖化対策(ポジションペーパー)
発行年月
2016年11月
担当部名
環境部
以
上
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