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樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な

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樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な
平成21年度
3Rシステム化可能性調査事業報告書
樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な
技術や仕組み等に関する調査
平成
22年
3月
経済産業省北海道経済産業局
日 本 資 源 技 術 株 式 会 社
は し が き
21世紀は環境の世紀と世界的に位置づけられている。
地球温暖化防止、鉱物資源枯渇の対応等、世界各国では様々な会議が開催され、新しい
世界秩序を模索し始めている出発点にある。
リーマンショック以降の世界では、先進国の多くは緊急経済対策の予算配分で環境重視
の予算配分を行い、今後の経済成長戦略の一環として地球環境問題を捕らえている。
我国においても「エコポイント制度」で自動車やテレビ等家電の買い替えを促進してお
り、次世代の経済成長の糧としての側面を有する環境政策は省エネルギーと地球温暖化防
止を兼ねた各国共通の課題である。
この度、樹脂サッシのリサイクルについての課題を検討したのは、樹脂サッシは鉱物資
源の塊であるという視点から始まった。
我国は、鉱物資源の少ない国であり、特に化石燃料においてはその99%が輸入に頼っ
ている。
鉱物資源は何度も何度も繰り返し利用することが可能で鉱物資源の枯渇に対応するこ
とができる。また、金属や樹脂等も鉱石や原油から精製するよりも動力のロスが少なく省
エネルギーを促進し、地球温暖化防止に貢献することができる。
樹脂サッシは、塩化ビニル(PVC)のフレームに補強材及び部品として、鉄やアルミニ
ウム、ステンレス等の金属、及びアクリル系等の樹脂が使用されており、素材点数も少な
いことから100%再生資源として利用できる特性が備わっている。
樹脂サッシの普及率の最も高い北海道では、樹脂サッシ販売後30年を経過した家屋が
多数あり、老朽化で解体された建物やリフォームで改修された建物も顕著に見受けられる
ため、樹脂サッシの廃棄量や廃棄物流、処分工程及びリサイクルの実態を把握することで
リサイクルへの可能性を検討することが必要である。
樹脂サッシの再資源化では、各フレーム部材(PVC、鉄、アルミニウム、ステンレス、
アクリル系樹脂等)を最適に分離回収できる効率的なシステムの実証試験を行い、回収し
た素材を商品として安定的に販売する可能性について検証をおこなうことを目的とした。
これら、樹脂サッシのリサイクルに関わる、調査、実証試験、検証を通じて、21世紀
の社会環境に適合する次世代のリサイクルシステムの事業化を提案し温暖化防止や鉱物資
源枯渇等の地球環境問題貢献への一助となれば幸いと考えている。
平成22年3月1日
調査検討委員会
座長
北海道工業大学
人間社会学科
教授
濱
谷
雅
弘
調査検討委員会の構成
本調査事業は以下の5名の調査検討委員、及び調査実施事務局によって実施
した。
座
長
濱谷
雅弘
北 海 道 工 業 大 学
委
員
鈴木
秀昭
(社)日本サッシ協会
委
員
谷口
二朗
(社)北海道産業廃棄物協会
委
員
小松原 繁男
塩ビ工業・環境協会
委
員
平塚
プラスチックサッシ工業会
雄治
教
授
常務理事
会
長
環境・広報部長
主
事
目
1.
調査の概要
1.1
調査の背景と目的
1.2
調査内容
1.2.1
樹脂サッシの普及状況、及び廃棄樹脂サッシの処理状況の実態把握
1.2.2
樹脂サッシのリサイクルに係る技術的課題の把握等
1.2.3
再生素材のマーケティング等
1.2.4
樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価
1.3
調査体制
1.4
調査プログラム
1.5
各関連委員会の実施経過
2.
樹脂サッシの概要
2.1
樹脂サッシの構造等
2.2
樹脂サッシの特徴
2.3
樹脂サッシの普及状況
3.
次
廃樹脂サッシの処理に関する実態等
3.1
廃樹脂サッシの発生量予測
3.2
樹脂サッシ処理の現状に関するアンケート調査
3.2.1
アンケートの回収率
3.2.2
廃棄物処理業許可の形態について(問1)
3.2.3
積替え保管施設の有無について(問2)
3.2.4
積替え保管施設における保管物について(問3)
3.2.5
建設系廃棄物の積替え保管について(問4)
3.2.6
廃棄物処理業許可の形態と実績について
3.2.7
廃棄物処理業許可の形態について
中間処理(問5)
最終処分(問5)
3.2.8
廃プラの受入れについて(問6)
3.2.9
樹脂サッシの処理、処分について(問7)
3.2.10
樹脂サッシの取扱量について(問8)
3.2.11
樹脂サッシとその他のプラスチックとの分別について(問9)
3.2.12
樹脂サッシ処理、処分方法について(問10)
3.2.13
樹脂サッシリサイクル施設の活用について(問11)
3.2.14
施設活用に関するコスト等について(問12)
3.3
廃樹脂サッシ処分関連企業に対するヒアリング調査
3.4
樹脂サッシ関連業界等に対するヒアリング調査
3.5
廃樹脂サッシ処理の現状に関する総括
4.
樹脂サッシリサイクル処理技術の実証試験
4.1
実証試験の目的と概要
4.2
両処理方法の基本フロー
4.3
破砕−比重選別(ジグ選別)の原理等
4.4
手解体・選別実証試験
4.4.1
手解体・選別試験の概要
4.4.2
手解体・選別処理作業実施状況
4.4.3
手解体・選別処理試験結果
4.5
破砕−比重選別実証試験
4.5.1
破砕−比重選別実証試験の概要
4.5.2
設備投入前処理状況
4.5.3
破砕−比重選別実証試験結果
4.5.4
破砕−比重選別回収素材状況
4.6
両実証試験の比較
4.7
廃樹脂サッシリサイクルのための技術的課題等
4.7.1
再生硬質塩ビ樹脂の品質評価について
4.7.2
製品純度向上のための対策について
4.7.3
技術的な課題等のまとめ
5.
再生塩ビ樹脂の加工性について
5.1
加工性試験の背景等
5.2
台湾におけるペレット化試験
5.2.1
試験先工場の概要等
5.2.2
製造工程及び製品等に関する概要
5.2.3
塩ビ樹脂フレークのペレット化試験
5.2.4
台湾市場に関するヒアリング
5.2.5
台湾訪問に関する総括
5.3
6.
国内メーカーによるサッシ成型試験
樹脂サッシ再生素材のマーケッティング調査等
6.1
再生PVC(塩化ビニル)の市場性動向
6.1.1
国内における需要先
6.1.2
海外における需要先
6.1.3
再生PVCの市場性に関する総括
6.2
金属類の市場性動向
6.3
ガラス素材の市場性動向
7.
※
樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価
巻末資料
資料1:
実施組織(役割分担、担当者)・体制図
(1.3関係)
資料2:
産業廃棄物の処理に関するアンケート調査
(3.2関係)
資料3:
濃度軽量証明書
(4.7.3関係)
資料4:
樹脂製建具建築廃材から得られた再生材料を
用いた樹脂製建具用形材の押出成型評価
(5.3関係)
1.
1.1
調査の概要
調査の背景と目的
樹脂サッシは、高気密・高断熱で結露が少ないことなどの特徴から、寒冷地向け戸建住
宅用として、1975年頃から製造・販売されている製品であるが、1980年代から特
に 北 海 道 内 の 新 築 戸 建 住 宅 向 け に 急 速 に 普 及 し 、 現 在 で は 北 海 道 内 の 新 築 戸 建 住 宅 の9
0%程に普及しているものと推測される。
北海道内における「樹脂サッシ」の用途は、現在、新築戸建住宅用以外に、リフォーム
住宅用、商業用ビル、マンション、病院等にも広がり、北海道内への同サッシの出荷量は
内窓と外窓を合わせて年間40万窓(約9000トン)にも達しているが、樹脂サッシが
普及し始めた当初はその戸建住宅の多くが木造建築であり、その耐応年数は30年∼40
年程度である。
これら戸建住宅が老朽化を迎え、今後、解体・リフォームされることにより、
「樹脂サッ
シ」は大量の廃棄物と化す懸念があるが、その処分方法や再生利用方法についてはいまだ
有効な手法が確立されていないというのが現状である。
これらのことから、本調査では、高気密性、高断熱性の面に優れ、省エネや CO2 削減等
による地球温暖化防止にも効果を発揮しうる「樹脂サッシ」について、リサイクルシステ
ム構築の可能性を探ることを目的に、北海道内における「樹脂サッシ」の普及状況及び廃
棄状況を把握し、廃樹脂サッシの再資源化や有効な利活用に向けての課題を洗い出し、必
要とされる技術や仕組み等の検討を実施するものである。
1.2
調査内容
1.2.1
樹脂サッシの普及状況、及び廃棄樹脂サッシの処理状況の実態把握
廃棄物のリサイクルを効率的に実施するためには、まず排出から運搬・処分に至るまで
現場レベルでの実態を把握することが不可欠である。そのためには「樹脂サッシ」の普及
状況、廃棄状況及び処分状況を様々な角度から詳細に調査する必要がある。
1
本調査では文献やインターネット、並びに樹脂サッシ業界団体関係者へのヒアリングに
よって北海道内外の樹脂サッシの普及状況を調査するとともに、北海道内全域の事情につ
いては道内各地の産業廃棄物処理業者に対してアンケート調査を行い物流形態や処理の実
態に関する情報を収集した。
またアンケート調査の情報を補足するため、札幌圏の建設解体業者を含む産業廃棄物関
連事業者を訪問し、建築解体現場から発生する「廃樹脂サッシ」の状況についてヒアリン
グ調査を実施した。
1.2.2
樹脂サッシのリサイクルに係る技術的課題の把握等
北海道内では「廃樹脂サッシ」のほとんどは埋立て処分されているのが現状であるが、
その原因は効率的なリサイクル技術が確立されていないことも大きな原因のひとつと考え
られる。
ここでは「廃樹脂サッシ」のリサイクルに有効と思われる技術の調査・検討と実証試験
を行い、在来の手法である手解体選別作業との比較を行った上で事業性評価のためのデー
タを収集した。
今回の実証試験には廃棄物中間処理設備として実稼動している「破砕−湿式比重選別
機」(処理能力2t/h)を使用し、このシステムによる効率的な素材選別回収(マテリア
ルリサイクル)技術の評価を行った。この実証試験では特に焼却処理が困難なPVC(塩
化ビニル)樹脂を高品質な再生PVC素材として回収することに重点を置き、品質基準の
厳しい「樹脂サッシ」の原料として使用できる(サッシ to サッシ)レベルとなるまで廃樹
脂サッシフレークから不純物を除去することを目指し、さらに、不純物除去後のフレーク
を用い、国内樹脂サッシメーカーの成型機によって成型試験を行って最終製品としての品
質評価を行った。
1.2.3
再生素材のマーケティング等
「樹脂サッシ」はフレーム材等に鉄、アルミニウム等の金属類が使用され、外装は樹脂
やガラス等の素材を組み合わせて構成されている。
特に外装で使用される樹脂の大部分を占めるPVCについては市場の在庫状況や原油
価格によって需要が左右されやすい素材であり、現状では試験段階にあるサッシ to サッシ
2
利用以外の用途についての安定的な市場を確保することも不可欠であることから、今回は
主として再生PVC市場を中心とした国内外の市場の需要や流通に関する動向についてヒ
アリングを中心とした調査を実施した。
また金属類は既に需要先が確立されている状況ではあるが、これに関しても市場の安定
性を確認する意味でヒアリング調査を行った。
1.2.4
樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価
前各号の調査・試験結果に基づいて最適な「廃樹脂サッシ」のリサイクルモデルを設定
し、資源節約効果、採算性、今後の課題等を総合的に判断した上で、
「廃樹脂サッシ」リサ
イクルシステムの事業化に関する可能性について評価を行った。
1.3
調査体制
総合管理者
宮本
役
本調査事業の総合管理・総責任者
割
管理者補佐
役
割
舩木
割
幸司(日本資源技術
松井
信一(日本資源技術
田中 真理子(日本資源技術
役
会計業務
割
アドバイサー
割
営業部次長)
工
場
長)
リサイクル有効技術実証試験・マーケティング調査担当、リサイクルモ
デルの事業性評価サポート
会計責任者
役
代表取締役)
総合管理者補佐、検討委員会事務局業務、文献・インターネット・ヒア
リング・アンケ−ト各調査担当、リサイクルモデルの事業性評価サポート
技術責任者
役
政博(日本資源技術
有
我
経理課主任)
功(㈳北海道未来総合研究所
理事)
文献・インターネット・ヒアリング・アンケート各調査の監理、リサイ
クルモデルの事業性評価に関する監理、調査報告書の作成に関する監理
調査全他の体制については巻末の資料1『実施組織(役割分担、担当者)・体制図』を
参照のこと。
3
1.4
調査プログラム
本調査は下の各表の実施計画に沿って行われた。
2009
8月
作業項目
9月
10月
11月
12月
作成
実施
集計
2010
1月
2月
3月
1 .樹 脂 サ ッ シ普 及 状 況 お よ び 廃 樹 脂 サ ッ シの 発 生 状 況 等 調 査
1 a .文 献 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査
1 b .ヒ ア リ ン グ 調 査 ( サ ッ シ 業 界 )
1 c .ヒ ア リ ン グ 調 査 ( 札 幌 圏 産 廃 業 者 )
1 d .ア ン ケ ー ト 調 査 ( 道 内 埋 立 処 分 場 )
2 .樹 脂 サ ッ シ の リ サ イ ク ル に 係 る 技 術 的 課 題 の 把 握 及 び 有 効 技 術 等 調 査
2 a .文 献 、 イ ン タ ー ネ ッ ト 調 査
2 b .ヒ ア リ ン グ 調 査 ( サ ッ シ 業 界 )
2 c .樹 脂 サ ッ シ 手 解 体 性 の 調 査
2 d .リ サ イ ク ル 有 効 技 術 実 証 試 験
3 .、 再 生 素 材 の マ ー ケ テ ィ ン グ 調 査
3a金 属 ・ガ ラ ス 市 場 動 向 調 査
3 b .台 湾 加 工 業 者 の 調 査 ( 現 地 視 察 )
3 c .再 生 ペ レ ッ ト 成 形 評 価 ( 国 内 メ ー カ ー )
4 .樹 脂 サ ッ シ リ サ イ クル モ テ ゙ル の 事 業 性 評 価
5 .検 討 委 員 会 開 催 予 定
6 .評 価 運 営 委 員 会 開 催 予 定
7 .調 査 事 業 報 告 書 作 成
図表 1-1 調査計画表
作業内容
担当
1a.文献、インターネット調査
インターネット、サッシ業界発行紙等から普及・
廃棄状況を調査する。
舩 木
1b.ヒアリング調査(サッシ業界)
サッシ業界関係者へのヒアリングは、委員会開
催時に合計3回実施する。
舩 木
1c.ヒアリング調査(札幌圏産廃業者)
札幌圏の解体業者、リサイクル業者、埋立業
者と現地でのヒアリングを実施する。
舩 木
1d.アンケート調査(道内埋立処分場)
道内の埋立処分業者にアンケート用紙を郵
送、同梱の返却封筒で返却。
舩 木
2a.文献、インターネット調査
インターネット、サッシ業界発行紙等からリサイ
クル技術を調査する。
舩 木
2b.ヒアリング調査(サッシ業界)
サッシ業界関係者へのヒアリングは、委員会開
催時に合計3回実施する。
舩 木
2c.樹脂サッシ手解体性の調査
手工具による解体、分別を実施。作業時間を
記録する。
松 井
2d.リサイクル有効技術 実証テスト
日本資源技術保有の破砕選別施設で実証試
験を実施する。
松 井
3a.金属・ガラス市場動向調査
国内金属商、ガラス処理業者に実証試験サン
プルを出荷し市場性を調査する。
松 井
3b.台湾加工業者の調査(現地視察)
台湾加工業者現地工場視察
3c.再生ペレット成形評価(国内メーカー)
再生ペレット評価状況の確認・取りまとめ
作業項目
4.樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価
各調査結果による事業性の評価
作成資料名
樹脂サッシ普及状況
および廃樹脂サッシ
発生状況調査集
樹脂サッシのリサイクルに
係わる技術的課題の把握
及び有効技術調査集
宮本・松井
樹脂サッシ再生素材の
マーケティング調査集
松 井
宮本・松井
舩木
樹脂サッシリサイクルモデルの
事業性評価集
図表 1-2 調査概要表
4
1.5
調査検討委員会の実施経過
本事業に関連する委員会は以下のとおり実施された。
・
・
第1回検討委員会
日
時:
平成21年
9月
4日(金)
14:00∼
議
題:
調査の概要・調査スケジュールについて、調査の進め方について
第2回検討委員会
日
時:
平成21年11月26日(木)
14:00∼
議
題: 樹脂サッシ3R事業化調査の目的、樹脂サッシ実証試験についての報告、
アンケート調査結果報告、ヒアリング調査内容報告、アンケート調査及びヒ
アリング調査の結果を踏まえた今後の進め方について、樹脂サッシの有効技
術調査現場視察
・
第3回検討委員会
日
時:
平成22年
2月18日(木)
14:00∼
議
題:
サッシ PVC のサッシ TO サッシ実験に関する報告、台湾ペレット工場視察
に関する報告、再生塩ビ・廃棄ガラスの市場性に関する調査報告、本事業の
最終報告書作成に関する協議
5
2.
2.1
樹脂サッシの概要
樹脂サッシの構造等
樹脂サッシは主フレームの硬質塩ビ樹脂、補強材や取っ手など鉄、ステンレス、アルミ
等の金属部品、パッキンやローラー等その他のプラスチック類を用いた部品で構成された
建築建具である。
複層板ガラス
軟質塩ビ樹脂
硬質塩ビ樹脂
金属製補強材
図表 2-1 樹脂窓の断面図
図表 2-1 のように複層ガラスを用いて外窓に使われるものの他、二重窓の室内側用、室
外面がアルミで室内面を塩ビ樹脂材とした複合フレーム型などがある。
6
2.2
樹脂サッシの特徴
樹脂窓は他の材質の窓に比べて熱・遮熱、気密性に優れており、図表 2-2 のようにアル
ミ窓と比べると窓全体から逃げる熱量が約71%削減されるとの研究結果が発表されてい
る。また樹脂は素材的に熱 伝 導 率 が ア ル ミ の 1 0 0 0 分 の 1 で あ る こ と か ら 、ガ
ラスを除く部分(サッシ)のみで逃げる熱量の削減率が80%の削減と高い結果となって
いる。
図表 2-2 窓枠とガラスの部分別:窓から逃げる熱量
資 料 : 樹脂 サ ッシ 普 及促 進委員 会
こ の 性 能 に よ っ て 樹 脂 窓 ( L o w - E ガ ラ ス ) の 断 熱 性 は 、 経済産業省告示の省エ
ネ建材等級「窓」分野において最 高 位 の 4 つ 星 を得ている。
さらに遮音性能も大変に優れていることから、これからの新築やリフォームにおいては
極めて注目度の高い建具であると言える。
7
2.3
樹脂サッシの普及状況
樹脂サッシ普及促進委員会によると、国際的に見て先進国の住宅においては
樹 脂 窓 が 主 流 と な っ て お り 、 環境先進国であるドイツで樹脂窓が誕生して以来、省エ
ネ推進の観点から欧米の先進諸国や中国では図表 2-3 のとおり急速に普及が進んだ。
また法律によって新築・リフォーム時の窓の断熱性能の基準が定められる国も増えてい
ることから、これらの諸国では今後も一層樹脂窓の比率が高まるものと予想できる。
図表 2-3 各国のサッシ普及率(2000 年データ)
資 料 : プラ ス チッ ク サッ シ工業 会
日本では1975年に樹脂サッシの発売が開始され、以来「高気密・高断熱で結露が少
ない」との謳い文句で寒冷地の戸建住宅向け建具として販売された経緯があり、北海道を
はじめとした寒冷地を中心に普及している。
樹 脂 サ ッ シ 普 及 促 進 委 員 会 に よ れ ば 、北海道内での「樹脂サッシ」の普及率は戸建
住宅において約 9 9 % と な っ て お り( 次 項 、図 表 2 - 4 参 照 )、近 年 で は 戸 建 て 住 宅
以 外 に も 商業用ビル、マンション、病院等大型施設にも広がりをみせ、出荷量は内窓と
外窓を合わせて年間40万窓にも達してい る 。
8
図表 2-4 日本国内における樹脂サッシ普及率
資 料 : 社団 法 人
日 本サ ッシ協 会
近年における国内の普及の傾向に目を向けると、プラスチックサッシ工業会からの情報
によれば2007年の樹脂サッシの全国販売窓数1,058千枚窓の内、北海道地区の44.
5%に対して北海道地区以外で55.5%の販売窓数があったとされている。
また塩化ビニル環境対策協議会発行の機関誌「PVCニュース」では以下のバックナン
バーに、官庁率先の省エネやCO2 削減に対する取り組みとして樹脂サッシ採用の記事が
掲載されている。
・
No.65
環境省オフィスのすべての窓が「塩ビサッシ」に(2008 年 6 月)
副題:
・
No.68
断熱リフォームの第 3 期工事完了。CO2 削減へ率先垂範
東大本郷キャンパス本部棟に樹脂サッシ(内窓)を試験採用(2009 年 3 月)
副題:
「低炭素キャンパス」の実現に向けて、産学連携の先進的取り組み
なお、これらは樹脂サッシが温暖な地域においても夏場のクーラー使用時に対する省エ
ネ効果が認められた結果であり、これからの低炭素社会に寄与する建材として寒冷地域の
みの使用にとどまらず、全国的に普及増加していくものと思われる。
9
3.
3.1
廃樹脂サッシの処理に関する実態等
廃樹脂サッシの発生量予測
塩ビサッシリサイクル合同ワーキンググループが行っている「塩化ビニル製サッシリサ
イクルシステム調査研究」によると2007年から樹脂サッシの建築廃材の排出が本格化
するものと見ており、2007年200t、2011年2,000t、2016年8,60
0t、2021年20,000tとの排出量予測が示されている(図表 3-1 参照)。
図表 3-1 廃樹脂サッシの排出量予測
資 料 : 塩ビ サ ッシ リ サイ クル合 同 WG
北海道内では(社)日本サッシ協会、プラスチックサッシ工業会、塩ビ工業・環境協会
によって、2007年度より樹脂サッシの素材回収(マテリアルリサイクル)を目的とし
た年間10トン程度の実証実験を行っているが、後述のアンケート結果が現すように現状
はほとんどの使用済み「樹脂サッシ」が建設混合廃棄物として埋め立て処分されている。
今後は老朽化を迎えた戸建て住宅の解体・リフォームに際し大量の廃棄物として排出さ
れる「樹脂サッシ」について、リサイクルに向けた本格的な対策の確立が急務となってい
る。
10
3.2
樹脂サッシ処理の現状に関するアンケート調査
北海道の産業廃棄物処分業許可を有する企業750社以上の中から廃プラスチック、金
属くず、ガラスくずの中間処理(破砕・選別)、または最終処分(埋立て)の許可を持つ2
05社を抽出し、廃樹脂サッシ取扱いに関係する事項の実態についてのアンケート調査を
実施した。
なお、各項に記載した設問は概要を表現したものであるため、実際に各社へ送付したア
ンケートを本報告書の巻末に資料2『産業廃棄物の処理に関するアンケート調査』として
掲載した。
アンケート回答率
3.2.1
・
アンケートの回収率
0%
アンケート対象205社のうち77
社から回答を得た。(回収率37.6%)
20%
40%
7
札幌市
8
11
4
10
4
函館市
6
桧山支庁 0
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
回答数
非回答数
回収率
20
12
17
14
5
9
3
19
6
15
9
5
8
18
20
15
10
7
5
6
4
4
3
0
5
3
6
4
3
5
8
6
4
2
2
77
13
7
11
10
1
6
3
14
3
9
5
2
3
10
14
11
8
35.0
41.7
35.3
28.6
80.0
33.3
0.0
26.3
50.0
40.0
44.4
60.0
62.5
44.4
30.0
26.7
20.0
128
37.6
全て匿名
全 体
205
3
5
胆振支庁
14
3
日高支庁
3
6
旭川市
9
4
上川支庁
5
3
留萌支庁
10
6
十勝支庁
14
4
釧路支庁
11
2
8
2
全て匿名
77
129
回答あり
図表 3-2 アンケート回収率(表)
3
8
網走支庁
全 体
2
5
宗谷支庁
根室支庁
1
3
渡島支庁
100%
13
6
後志支庁
発送数
80%
5
石狩支庁
空知支庁
札幌市
60%
回答なし
図表 3-3 アンケート回収率(グラフ)
11
3.2.2
廃棄物処理業許可の形態について(問1)
設問:貴社の産業廃棄物処理業許可は次のどの形態ですか。
1
・
中間処理のみ
2
3
中間処理・最終処分の両方
最終処分のみ
アンケート回答企業77社中、中間処理許可の許可を有する企業は63社(54.
8%)、最終処分の許可を有する企業は52社(45.2%)であった。
・
両許可業種について偏りの少ない回収率となった。
(注)
最終処分場は土壌汚染防止のた
問1:業許可の形態
めの遮水設備や浸出液の処理が必
0%
要な管理型処分場と、汚染の危険性
札幌市
が低い廃棄物のみを受け入れる安
石狩支庁
20%
40%
80%
100%
6
1 0
4
空知支庁 0
定型処分場に大別される。
60%
0
1
5
1
後志支庁
1
2
1
4
函館市
0
1
渡島支庁
2
0
桧山支庁
中間処理 中間+最終 最終処分
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
全体数
6
4
0
1
4
1
1
0
5
2
0
2
0
1
1
1
0
0
7
5
6
4
4
3
1
1
2
0
1
1
0
2
0
0
1
25
32.5
3
2
1
3
1
2
7
3
4
2
0
38
49.4
1
0
3
1
1
2
1
1
0
0
1
14
18.2
5
3
6
4
3
5
8
6
4
2
2
77
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
3
日高支庁
1
旭川市
2
1
1
1
1
2
2
7
1
2
3
1
釧路支庁 0
4
0
根室支庁 0
2
0
1
全て匿名
全 体
25
中間処理
図表 3-4 回収企業の許可形態(表)
3
1
1
網走支庁 0
十勝支庁
0
3
留萌支庁
宗谷支庁
1
2
上川支庁 0
桧山支庁
胆振支庁
1
0
1
38
中間+処分
14
最終処分
図表 3-5 回収企業の許可形態(グラフ)
12
3.2.3
積替え保管施設の有無について(問2)
設問:貴社には、収集運搬積み替え保管施設が有りますか。
1
・
2
ある
ない
積替え保管施設は、中間処理や最終処分において分別された資源化可能な廃棄物を
一定期間溜め置くことが可能な施設であり、この施設の活用によって埋立て処分対象
の廃棄物から資源物を抽出し、リサイクル施設に搬送することが可能となる。一方、
の施設が無い場合には塩ビ混合物が全量埋立て処分となる可能性が高い。
・
回 答 者 の半 数 近 く が 積み 替 え 保管 許
問2:積替え保管許可の有無
可を有している。またアンケート対象者
0%
以外の産業廃棄物収集運搬業者も各地
20%
空知支庁
広域流通ネットワークの構築が期待で
後志支庁
3
4
3
札 幌 市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函 館 市
渡島支庁
なし
2
2
日高支庁
旭 川 市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
1
全体数
2
3
2
3
2
2
5
2
4
1
2
1
7
5
6
4
4
3
3
1
2
2
2
1
5
2
1
0
2
35
4 5 .5
2
2
4
2
1
4
3
4
3
2
0
42
5 4 .5
5
3
6
4
3
5
8
6
4
2
2
77
桧山支庁
3
胆振支庁
2
日高支庁
1
2
旭川市
2
4
2
上川支庁
桧山支庁
胆振支庁
1
2
渡島支庁
あり
100%
2
2
函館市
きる。
80%
5
石狩支庁
道内全域において資源物の分別保管と
60%
2
札幌市
に積替え保管の許可施設を有しており、
40%
2
留萌支庁
宗谷支庁
1
1
4
5
網走支庁
3
2
十勝支庁
釧路支庁
2
4
1
3
根室支庁 0
2
全て匿名
2
全 体
35
積替え保管あり
0
42
積替え保管なし
図表 3-7 積替え保管許可の有無(グラフ)
図表 3-6 積替え保管許可の有無(表)
13
3.2.4
積替え保管施設における保管物について(問3)
設問:貴社の積み替え保管施設の許可対象物を選んでください。
・
1
廃プラスチック類
2
4
その他(具体的に)
金属くず
3
ガラス・陶磁器くず
事業者数の約63%が廃プラの積替え保管を行っている。
( 注)
問 2で 「 積 替 え 保管 施 設 あり 」
と回答された事業者は35社であ
問3:積替え保管物の種別
るが、複数回答があるため、集計表
0%
の全体合計は延べ許可数の78件
となっている。
( 注)
問対象の35社に対する割合であ
る。
廃プラ
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
金属くず
ガラス
陶磁器
その他
ガレキ等
0
2
0
3
1
1
0
2
2
3
1
1
0
2
0
3
1
0
2
2
0
2
1
1
2
8
2
11
4
3
2
1
2
2
2
1
2
1
0
0
2
22
62.9
2
1
2
0
2
1
2
0
0
0
2
21
60.0
1
1
2
0
2
1
1
1
1
0
0
16
45.7
2
0
2
0
0
0
4
1
1
0
1
19
54.3
7
3
8
2
6
3
9
3
2
0
5
78
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
図表 3-8 積替え保管許可の種別(表)
60%
80%
100%
2
2
2
2
空知支庁 0
2
2
後志支庁
3
函館市
1
0
3
3
1
2
1
1
渡島支庁
計
40%
札幌市 0
石狩支庁
表 内の 全 体 比 率 につ い て は、 設
20%
1
1
0
1
桧山支庁
2
胆振支庁
1
日高支庁
旭川市
2
1
2
1
2
1
2
2
0
2
2
上川支庁
0
留萌支庁
2
2
2
0
宗谷支庁
1
1
1
0
網走支庁
十勝支庁
2
1
釧路支庁 0
2
1
0
1
4
1
1
1
根室支庁 0
2
全て匿名
全 体
22
廃プラ
ガラス・陶磁器くず
2
21
0
16
1
19
金属くず
その他ガレキくず等
図表 3-9 積替え保管許可の種別(グラフ)
14
3.2.5
建設系廃棄物の積替え保管について(問4)
設問:貴社では、建設系廃棄物を受け入れていますか。
1
・
受け入れている
2
受け入れていない
回答者の80%以上が建設系廃棄物の積替え保管を行っており、前項の回答と併せ
ると、積替え保管許可事業者の約半数が建設系廃プラを保管し取り扱っていることが
わかる。
(注)
本設問も問2で「積替え保管施設あり」と回答された事業者35社を対象とし
ている。
問4:建設系廃棄物受入れの有無
・
積替え保管されている建設系廃プラの
0%
リサイクルを行うためには、これらの性
札幌市
状、並びに保管後の処置の現状等に関す
石狩支庁
る追跡調査を行うことが不可欠である。
20%
40%
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
していない
全体数
1
1
2
2
2
2
1
2
0
1
0
0
2
3
2
3
2
2
3
1
2
2
2
1
4
2
1
0
1
29
82.9
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
6
17.1
3
1
2
2
2
1
5
2
1
0
2
35
80%
1
100%
1
1
2
2
空知支庁
0
2
後志支庁
している
60%
1
函館市
2
0
渡島支庁
2
0
胆振支庁
3
0
日高支庁
1
0
旭川市
2
0
上川支庁
2
0
留萌支庁
2
0
宗谷支庁
1
0
桧山支庁
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
4
網走支庁
1
十勝支庁
2
0
釧路支庁
1
0
根室支庁 0
全て匿名
全 体
1
1
29
受入あり
図表 3-10 建設系廃棄物受入の有無(表)
6
受入なし
図表 3-11 建設系廃棄物受入の有無(グラフ)
15
3.2.6
廃棄物処理業許可の形態と実績について
中間処理(問5)
設問:貴社における中間処理の許可区分は次のどの形態ですか。
1
破砕
2
処理能力(
・
選別
3
t/日)
焼却
4
受入れ量(
圧縮
t/年)
内建設系(
t/年)
一般に、破砕施設では1000t/日を超える施設も少なくないが、廃プラの破砕
施設は200t/日級が最大規模であり、50t/日程度あれば大型施設に属する。
(注)
本設問は、全事業者を対象に具体的な許可の区分と廃棄物の取扱い実績につい
て質問した。
(注)
表中、処理能力の平均値が高くなっているのは、規模の大きいコンクリート・
ガレキ類の破砕や選別施設が平均値を押し上げているためである。
(注) 上記のことから、下記データは廃プラの動向を推測する目的には使用できない。
問 5
中間処理業の許可区分と平成20年度実績
破 砕
選 別
焼 却
平 均
平 均
圧 縮
平 均
平 均
b/a
b/a
b/a
b/a
稼働日数 回答数
稼働日数 回答数
稼働日数 回答数
稼働日数 回答数
a
b
a
b
a
b
a
b
(日)
(日)
(日)
(日)
処理能力 受入れ量 内建設系
処理能力 受入れ量 内建設系
処理能力 受入れ量 内建設系
処理能力 受入れ量 内建設系
(t/日)
(t/年)
(t/年)
(t/日)
(t/年)
(t/年)
(t/日)
(t/年)
(t/年)
(t/日)
(t/年)
(t/年)
札幌市
728 20,401 20,374
28.0
4
76
3,224
3,224
42.4
5
42
800
800
19.3
2
石狩支庁
390 54,733 53,733
140.2
3
1
0
0
0.0
1
65
220
210
3.4
2
空知支庁
922
4,278
4,278
4.6
5
240
863
863
3.6
1
後志支庁
188
2,054
3,900
10.9
3
456
350
0.0
1
95 16,330
5,157
171.9
4
385
2,168
179
58.2
3
172.8
1
函館市
2,060
0.8
2
66
5.6
2
15
892
5
864
15
1,500
700
100.0
1
8
300
100
37.5
1
2
0
0
0.0
1
4
1
0
0.3
1
28
654
331
388
2,470
3,349
6.4
3
胆振支庁
343
8,140 11,778
23.7
4
89
732
600
8.3
3
日高支庁
386 14,400
6,450
37.3
3
6
250
200
41.7
1
80
600
350
7.5
2
渡島支庁
7
200
200
28.6
1
4
140
110
35.0
1
桧山支庁
旭川市
203
1,667
1,067
8.2
3
上川支庁
706
4,365
3,897
6.2
3
留萌支庁
252
2,000
2,000
7.9
2
10
300
300
30.0
1
宗谷支庁
41
20
15
0.5
2
5
1,200
1,000
240.0
1
網走支庁
170
4,230
2,316
24.8
9
98
1,059
24
10.9
2
十勝支庁
443
3,655
4,417
8.2
4
14
980
116
70.0
1
釧路支庁
732
7,733
5,350
10.6
4
根室支庁
410
1,852
1,802
4.5
2
全て匿名
0
0
0
1
400 9,270 8,118
23.2 59
全 体
14
2,041
35
151.2
2
50
1,500
1,000
30.0
1
140 1,173
926
8.4 20
23
646
292
28.2
7
23.6 13
図表 3-12 中間処理業の許可区分と平成20年度処理実績
16
3.2.7
廃棄物処理業許可の形態について
最終処分(問5)
設問:貴社における最終処分は次のどの形態ですか。
1
安定型
2
処理能力(
・
管理型
t/日)残容量(
㎥) 受入れ量(
t/年)内建設系(
t/年)
都市部以外においても、処分場の残存容量には余裕がないことがわかる。
(注)
本データでは、埋立地の残存容量を前年度受入れ量で除した値を「残余年数」
として表している。
(注)
残余年数の算定にあたっては1㎥=1tとみなしているため、廃プラのように
比重の小さな廃棄物が増加すると、残余年数は著しく短縮する。
問 5
最終処分業の許可区分と平成20年度実績
安 定 型
管 理 型
1施設あたりの平均
処理能力
(t/日)
札幌市
a
受入れ量
(t/年)
b
残容量
(㎥)
1施設あたりの平均
内建設系
(t/年)
b/a
残余年数
(年)
回答数
300
1,375
25,291
1,375
18.4
2
2685
66
13501
49
204.6
5
1,851
46,400
25.1
5
2,273
62,700
2,273
27.6
2
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
b/a
残余年数
(年)
回答数
b
残容量
(㎥)
内建設系
(t/年)
15,000
156,000
12,000
10.4
10,500
105,000
3,600
10.0
2
1,725
83,000
48.1
1
処理能力
(t/日)
a
受入れ量
(t/年)
55
100
1
函館市
渡島支庁
桧山支庁
胆振支庁
20
12,215
28,100
1,227
2.3
4
日高支庁
10
10
90,075
10
9,007.5
2
4
旭川市
23
3,280
21,787
2,169
6.6
上川支庁
505
3,750
74,362
2,749
19.8
78
1,587
6,967
1,400
4.4
2,677
96,009
1,141
35.9
1
20
1,500
50,000
1,300
33.3
1
100
5,394
77,523
23
14.4
3
10
3,000
15,107
950
5.0
1
57
5,500
83,234
2,788
15.1
11
網走支庁
60
1,859
7,232
1,248
3.9
5
30
3,453
75,669
3,389
21.9
4
釧路支庁
411
4,385
27,359
2,919
6.2
4
53
25,165
53
474.8
2
25,948
全て匿名
全 体
412
2,781
40,812
1
3
十勝支庁
根室支庁
500
4
0
留萌支庁
宗谷支庁
4,200
1
1,572
14.7
47
注:b/aは1t=1㎥として計算した。発泡樹脂のように比重の小さい廃棄物が多ければ耐用年数は著しく短縮される。
図表 3-13 最終処分業の許可区分と平成20年度処分実績
17
3.2.8
廃プラの受入れについて(問6)
設問:貴社では廃プラスチック類を受け入れていますか。
1
・
受け入れている
2
受け入れていない
全事業者を対象として廃プラスチック類受入れ実績の有無について質問したところ、
回答者の80%以上から処理・処分の実績ありとの回答を得た(図表 3-14 参照)。
3.2.9
樹脂サッシの処理、処分について(問7)
設問:プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)を処理・処分していますか。
1
・
している
2
していない
全事業者を対象として樹脂サッシ受入れ実績の有無について質問したところ、回答
者の 60%以上から樹脂サッシの処理・処分の実績ありとの回答を得た。(図表 3-15
参照)
あり
札幌 市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館 市
渡島支庁
なし
無回答
全体数
あり
6
3
3
3
4
2
1
2
2
1
0
1
0
0
1
0
0
0
7
5
6
4
4
3
4
2
6
4
2
4
8
5
3
2
1
62
80.5
1
1
0
0
0
1
0
1
1
0
0
12
15.6
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
3
3.9
5
3
6
4
3
5
8
6
4
2
2
77
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川 市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
なし
無回答
全体数
7
2
4
2
4
2
0
3
1
2
0
1
0
0
1
0
0
0
7
5
6
4
4
3
3
2
5
3
2
2
6
2
0
1
1
48
62.3
2
1
1
1
0
3
2
4
4
1
0
26
33.8
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
3
3.9
5
3
6
4
3
5
8
6
4
2
2
77
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
図表 3-14 廃プラ受入れ実績の有無
図表 3-15 樹脂サッシ受入れ実績の有無
18
3.2.10
樹脂サッシの取扱量について(問8)
設問:プラスチックサッシは、おおよそどのくらい処理・処分されていますか。
単位は任意で選択
・
(
t/月)
(
㎥/月)
問7で「樹脂サッシ受入れあり」と回答した事業者48社を対象として前年度の樹
脂サッシ取扱量の実績を調査したところ、今回の回答で得られた取扱量は892t/
年となった。但しこれは中間処理と最終処分の回答が重複しているため、最低値でみ
た場合には取扱量が2分の1の446t/年となる。
・ これをアンケート回答率(37.6%)
問8:地域別樹脂サッシ取扱量
との単純比で換算 する と、昨年度に お
ける北海道内の樹 脂サ ッシ取扱量は 1
186t(446/0.376)と推計できる。
圏内総量
札 幌 市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函 館 市
渡島支庁
29
6
100
1
220
52
日高支庁
旭 川 市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
全て匿名
全 体
100
200
300
29
石狩支庁
6
空知支庁
100
後志支庁
1
渡島支庁
220
52
桧山支庁
268
26
74
75
2
3
22
4
胆振支庁
268
日高支庁
26
旭川市
74
上川支庁
75
留萌支庁
2
宗谷支庁
3
網走支庁
22
十勝支庁
4
釧路支庁
根室支庁
釧路支庁
根室支庁
札幌市
函館市
桧山支庁
胆振支庁
0
10
0
892
10
樹脂サッシ年間取扱量(t/年)
図表 3-16 樹脂サッシ取扱量(表)
図表 3-17 樹脂サッシ取扱量(グラフ)
19
3.2.11
樹脂サッシとその他のプラスチックとの分別について(問9)
設問:建設混合廃棄物から樹脂サッシを選択的に分別していますか。
1
・
2
分別している
していない
問7で「樹脂サッシ受入れあり」と回答した事業者48社を対象に混合廃棄物から
の樹脂サッシ分別状況に対する調査を行ったところ、樹脂サッシを他の廃プラスチッ
ク類から分別抽出していると答えたのは対象事業者の3分の1の16社であった。
・
問 8 の 質問 に お け る 北海 道 内 の年 間
問9:樹脂サッシの分別抽出
取扱量1186tを基準にすると、道内
0%
で分別抽出された樹脂サッシの量は約
390t/年(1186×0.33)と推計され
20%
札幌市
3
2
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
3
1
3
2
2
2
7
2
4
2
4
2
胆振支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
2
1
1
2
1
1
0
1
0
0
1
0
16
33.3
2
1
3
2
1
2
5
2
0
0
1
32
66.7
3
2
5
3
2
2
6
2
0
1
1
48
桧山支庁
2
1
胆振支庁
1
1
日高支庁
3
2
旭川市
2
1
上川支庁
桧山支庁
日高支庁
2
2
渡島支庁 0
4
1
1
0
2
0
3
1
函館市
全体数
100%
1
後志支庁 0
いない
80%
1
空知支庁
いる
60%
4
札幌市
石狩支庁
る。
40%
1
1
留萌支庁
2
宗谷支庁 0
網走支庁
5
1
2
十勝支庁 0
釧路支庁 0
根室支庁
1
全て匿名 0
1
全 体
32
16
している
図表 3-18 樹脂サッシ分別抽出(表)
0
していない
図表 3-19 樹脂サッシ分別抽出(グラフ)
20
3.2.12
樹脂サッシ処理、処分方法について(問10)
設問:プラスチックサッシの処理・処分形態を教えてください。
・
問7で「樹脂サッシ受入れあり」と回答された事業者48社の約80%が樹脂サッ
シを埋立て処分していると回答しており、これを問8の取扱量から推計すると約95
0tの樹脂サッシが埋立て処分されたこととなる。
・
問9の「分別回収された樹脂サッシ」390tと本項の埋立て処分量950tを足
すと1340tとなる。これと問8の回答による道内の樹脂サッシ取扱量1186t
との差分154t(1340−1186)が、単体として分別回収されたにもかかわらず埋立
て処分された樹脂サッシの量である。
問10:樹脂サッシの処理・処分方法
無回答
4%
自社でリサイクルしている
8%
選別後にリサイクルでき
る施設に搬出している
10%
他の建設廃棄物と一緒
に、直接最終処分して
いる
32%
プラス チックサッシの
み、単独で破砕・選別
後、最終処分している
4%
プラスチックサッシの
み、単独で、直接最終
処分して いる
2%
他の建設廃棄物と一緒
に、破砕・選別後、最
終処分して いる
10%
廃プラス チックと一緒
に、破砕・選別後、最
終処分して いる
30%
図表 3-20 樹脂サッシの処理・処分形態
21
3.2.13
樹脂サッシリサイクル施設の活用について(問11)
設問:プラスチックサッシのリサイクル処理施設があった場合、活用しますか。
1
・
活用しない
2
条件次第で活用したい
半数以上が「リサイクル施設を活用したい」と回答している。
・但し、リサイクル施設の活用には次項問12の条件を満たすことが前提となる。
( 注)
本 設問 で は 、 全 事業 者 を 対象 に
問11:樹脂サッシリサイクル施設の活用
アウトソースとしてのリサイクル
0%
施設の活用に対する意向を調査し
20%
する
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
しない
無回答
3
3
1
3
3
2
2
2
4
0
1
1
3
1
5
2
2
3
4
2
2
0
1
40
51.9
1
2
1
0
0
2
4
3
2
2
0
27
35.1
全体数
2
0
1
1
0
0
7
5
6
4
4
3
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
全 体
全体比率
100%
2
3
2
1
0
4
後志支庁
3
函館市
3
1
0
1
1
2
渡島支庁
0
1
0
桧山支庁
3
胆振支庁
日高支庁
1
1
2
0
1
3
2
4
網走支庁
3
0
1
2
根室支庁 0
0
4
2
2
0
2
全て匿名
1
全 体
40
活用する
0
2
2
宗谷支庁
釧路支庁
1
0
留萌支庁
十勝支庁
0
5
上川支庁
1
5
0
3
0
6
2
4
1
3
0
5
0
8
1
6
0
4
0
2
1
2
10
77
13.0 100.0
1
2
旭川市
桧山支庁
胆振支庁
80%
2
石狩支庁
空知支庁
60%
3
札幌市
た。
40%
0
0
1
27
活用しない
10
無回答
図表 3-22 リサイクル施設の活用(グラフ)
図表 3-21 リサイクル施設の活用(表)
22
3.2.14
施設活用に関するコスト等について(問12)
設問:リサイクル施設までの距離と運搬・処理コストについて、施設を活用できる
と考えられる上限をお答えください。
・
概ね「距離100km 以下、運搬費5,000円/t以下、処理費20,000円/t以
下」の3点をクリアできればリサイクル施設の活用を検討できるとの回答となった。
また全事業者の約70%が通常の営業範囲を100km 圏内と答えており(問13設
問割愛)、廃樹脂サッシを広域的に資源化するためにはこの範囲内にリサイクル施設を
設けるか、または積替え保管施設をストックポイントとした効率的な物流システムの
構築が必要である。
(注)
本設問では、問11で「リサイクル施設を活用したい」と回答された事業者4
0社を対象に、施設活用の条件を調査した。
問12
問11で、「条件が合えば活用したい(受け入れてその施設を活用したい)」とご回答された方におたずねいたします。
施設までの距離及びコストについて、「これ以上なら活用を検討できない」とする上限について
A 自社運搬でリサイクル施設までの距離の上限
質問
エリア
1
2
3
4
5
6
B 他社運搬の場合の運賃の上限
1
2
3
4
5
C リサイクル料金の上限(逆有償)
6
1
2
3
4
5
6
7
200km 無回答 合計 3,000
20,000 無回答 合計 10,000
50,000 無回答 合計
30km
3,000 5,000 10,000 20,000
10,000 20,000 30,000 40,000 50,000
30km 50km 100km 200km 超でも
円/t未
円超/t
円/t未
円超/t
未満
円/t 円/t 円/t 円/t
円/t 円/t 円/t 円/t 円/t
可
満
でも可
満
でも可
札幌市
石狩支庁
空知支庁
後志支庁
函館市
渡島支庁
桧山支庁
胆振支庁
日高支庁
旭川市
上川支庁
留萌支庁
宗谷支庁
網走支庁
十勝支庁
釧路支庁
根室支庁
全て匿名
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
0
3
1
0
1
0
1
0
1
0
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
3
3
1
3
3
2
0
0
0
3
3
1
0
1
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
3
3
1
3
3
2
2
0
0
2
3
1
0
1
0
1
0
0
1
1
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
3
3
1
3
3
2
1
0
2
0
0
0
1
0
2
0
1
0
0
2
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
3
0
0
0
0
0
2
1
0
1
2
0
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
3
1
5
2
2
3
4
2
2
0
1
0
1
4
1
0
0
1
0
2
0
1
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
1
0
0
2
1
0
0
0
3
1
5
2
2
3
4
2
2
0
1
0
1
3
1
0
3
0
0
1
0
1
0
0
1
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
3
1
5
2
2
3
4
2
2
0
1
全 体
9
4
10
13
0
1
3
40
17
3
6
4
2
0
8
40
18
6
8
2
0
0
0
6
40
%
22.5 10.0 25.0 32.5 0.0 2.5 7.5
42.5 7.5 15.0 10.0 5.0 0.0 20.0
45.0 15.0 20.0 5.0 0.0 0.0
0.0 15.0
図表 3-23 リサイクル施設の活用条件
23
3.3
廃樹脂サッシ処分関連企業に対するヒアリング調査
前項のアンケート結果を踏まえた上で樹脂サッシの排出から処分に至る現況の確認を
目的として、札幌圏の建築解体業者、収集運搬業者、中間処理業者、最終処分業者に対し
面談によるヒアリング調査を実施した。
ヒアリング調査の結果は概ね以下のとおりである。
▼廃樹脂サッシの分別に関して
・
解体現場における樹脂サッシの分別やガラスの撤去に関する選択は元請けの要求に
応じて現場ごとに対応している。解体現場の敷地状況にもよるが現地で樹脂サッシを
分別することは概ね可能だと思われる。(建築物解体業者)
・
概ね窓と窓枠とを現場において分別し、窓は塩ビ系廃プラ、窓枠は手解体で混合廃
棄物に分類する場合が多い。(建築物解体業者)
・
樹脂サッシを分別抽出しても、現状で塩ビ資源化の技術と資源化後の販路について
確立されているのかが不安である。(建築物解体業者)
●調査結果のポイント
・現地で樹脂サッシを分別することは概ね可能。
・窓枠は手解体で混合廃棄物に分類されている。
・塩ビの資源化の技術と資源化後の販路の確立が課題。
▼廃樹脂サッシの収集・運搬・処理に関して
・
当社ではほとんど樹脂サッシを受けていないが、混合建廃に関しては他社との競合
により運搬・処理費併せて5千円/t以下を要求される場合もある。廃棄物全般とし
て価格が適正化されなければ資源化を行うのは困難だと考えている。(廃棄物収集運
搬業者)
・
窓自体はガラス付で受け入れている場合が多く、窓枠は木材・断熱材が付着した破
損状態の混合廃棄物の形態で搬入される場合が多い。(廃棄物中間処理業者)
・
搬入されるサッシ類は木製・金属性から樹脂性サッシに変わってきており、明らか
に樹脂サッシの受入れ比率が増加する傾向にある。(廃棄物中間処理業者)
24
・
塩ビ管の処理も行っているが、リサイクル業者に持ち込む際は汚れの状況に対する
制約が厳しく、前処理が困難なために埋立て処分しなければならない場合が多い。
(廃
棄物中間処理業者)
・
中間処理を行った後の分別が困難な混合廃棄物を受け入れており、当社の処分場か
ら再生可能な廃棄物の抽出は困難と思われる。(安定型最終処分業者)
●調査結果のポイント
・混合廃棄物全般としての価格の適正化が課題。
・窓枠は木材・断熱材が付着した破損状態の混合廃棄物の形態で搬入され
る。
・木製・金属製のサッシに比べ、樹脂サッシの受入れ比率は増加傾向。
・塩ビ樹脂のリサイクルに際しては、汚れの状況に対する制約が厳しい。
・混合廃棄物に分類された樹脂サッシの抽出は困難。
(結果として最終処分
へ)
3.4
樹脂サッシ関連業界等に対するヒアリング調査
(社)日本サッシ協会及びプラスチックサッシ工業会、塩ビ工業・環境協会等の業界団
体の関係者に対してヒアリングを行い、樹脂サッシの普及状況の動向等、今後の予測及び
過去の事例、並びに業界関係者としての要望等を交えた各種の情報を得た。
▼リサイクルの方向性等について
・
海外では樹脂サッシは日本より普及している。ヨーロッパではサッシ to サッシの
リサイクルも進んでいる。ただしヨーロッパは日本と違いサッシを現場で窓サイズに
加工しており、そのとき発生する端材がリサイクルにカウントされるためリサイクル
率が高いとも言える。日本のリサイクル率を海外と比較する際には、このことも加味
して考える必要がある。また、ヨーロッパのEL規格では樹脂サッシの外装材料はリ
サイクル品として使用してはならないと決められている。更に樹脂サッシの中身材料
にはリサイクル材料を使用することが強制されている。これらの規制・基準等もリサ
イクル率を向上させている要因である。
25
・
塩ビ樹脂は耐久性・耐衝撃性に優れた性能の良い素材であり、分別回収すれば再生
素材としての価値も高い。樹脂サッシには特に性能のよい塩ビ樹脂を使用しているた
め、理想としてはサッシ to サッシのリサイクルを行いたい。
・
アルミサッシは解体で分別されているが、回収されたアルミ約6万tは自動車用に
利用されていてサッシの原料としては戻ってきていない。
アルミサッシと違い樹脂サッシはメーカーごとに原料が違うので、各社の製品が混
合された廃塩ビ樹脂の押し出し成型などは非常にデリケートに行わなければならない。
このため樹脂サッシの塩ビもアルミサッシと同様にサッシ以外の用途を確立してリサ
イクルを行わなければならない。
●調査結果のポイント
・サッシ業界の理想としては、廃サッシ由来の再生塩ビ樹脂は新たなサッ
シの原料として使用したい。
・樹脂サッシの需給バランスから見ると、サッシ to サッシ以外の確実な市
場確保がリサイクルには不可欠である。
・樹脂サッシに関するリサイクル率を国際的に評価する場合、各国の算定
方法の違いを考慮しなくてはならない。
▼廃サッシ処理の実態と課題について
・
現状では樹脂サッシのリサイクルに対する意識が低いため、大半の樹脂サッシは選
別を行われず、建設系混合廃プラとして埋立て処分されている。
・
建設系廃棄物の中間処理業者では重機を使用した選別や解体はできるが、樹脂サッ
シのような複合材の廃棄物には対応できていないのが実態である。また廃樹脂サッシ
はアルミサッシのように手解体するだけで付加価値が上がるものではないだけに、コ
スト面からもリサイクルへの対応は困難であろう。
・
リサイクルの事業化には運賃、選別費、処理費等の価格が重要であるため、今回の
調査においてこれらを明らかにされたことは評価したい。現状の埋め立て処分場の残
余年数や規模の概要を調査されているが、これに関しては更に具体的な調査をされる
よう望みたい。また他県からの排出物に対する対応が可能かどうかも知りたい。
26
●調査結果のポイント
・建設現場において、樹脂サッシのような複合材の製品を選別するのは困
難。
・現状では樹脂サッシの市場における価値が高いとは言えず、リサイクル
を行うのはコスト的に難しい。
・現状における埋立て地の状況について更に具体的な調査を行い、残余年
数に対する側面から見たリサイクルの必要性を再検証することが望まし
い。
▼本調査への評価について
・
樹脂サッシメーカーとして樹脂サッシ自体に関することや製品出荷の実状に関して
は把握しているが、使用済み廃樹脂サッシの処分等に関する実態が分からなかったた
め、これだけの量の樹脂サッシが実際に埋立て処分されていることに驚いている。
・
現場分別や積替え保管場所において樹脂サッシを分別し、且つ処理業者がガラス付
きの状態で受け入れることが可能であれば、かなりスムーズにリサイクルシステムを
構築することが可能であると感じる。今回の調査に関してはガラス付きサッシの処理
に関する実証試験とガラスリサイクルに対するマーケットの確認も行われていること
を評価したい、
●調査結果のポイント
・本調査により、メーカーとして把握できていない実態を知ることができ
た。
・サッシとガラスのリサイクルが一元的に行えることを確認できたことで、
樹脂サッシのリサイクルがスムーズに構築できると感じられた。
27
3.5
廃樹脂サッシ処理の現状に関する総括
アンケートやヒアリングの結果からは、樹脂サッシの処理・処分に携わっている事業者
のほとんどが時代の要求であるリサイクルの重要性を十分に認識しているが、「選別のた
めの労力と時間」、「リサイクル施設までの距離」、「これらに伴うコスト」が負担となるた
めに、やむを得ず混合物として手近な安定型処分場に埋立て処分している実態が明らかと
なった。
一方、このことは選別の労力負担を軽減し、通常の営業活動範囲にリサイクルのための
受入れ施設が存在すれば廃樹脂サッシの多くを資源化することが可能であることを意味し
ていると言える。
アンケートの結果を見ると、54%の事業者が「樹脂サッシを単独で選別または廃プラ
として選別している」と回答しており、産業廃棄物関連企業へのヒアリングによれば、建
築解体業者・中間処理業者から「窓自体は原型で外し、窓枠は手破砕により木材等が付着
した状態で排出されている場合が多いが、これらは廃樹脂サッシとして今でも他の建廃と
は現地で分別を行っている。」と回答している。
これらの状態で排出される廃樹脂サッシをリサイクル施設側で受入れし、処理する仕組
みが確立されれば、排出側の選別に関わる負担を増やさずに、塩ビ樹脂以外の廃プラスチ
ックも含めたリサイクル率を大幅に向上させることができる。
また、積替え保管施設は100km 圏の活動範囲で中継できる数の施設が道内全域に散在
しており、物流ネットワークの構築と保管期限の扱いによっては排出量の少ない郡部にお
いても効率的な回収(大量輸送)が可能となる。
資源化促進にとっては、これらそれぞれにかかる関連各社のコスト負担が現状の埋立て
処分と同等以下であることが資源化促進にとって最も重要な要素である。
28
4.
4.1
樹脂サッシリサイクル処理技術の実証試験
実証試験の目的と概要
廃樹脂サッシから高品質の再生塩ビ樹脂を回収するためには手解体により素材を選別
してからフレーク化することが必要である。また選別の際には素材を細かく分類すればす
るほど回収した素材それぞれの利用価値が高まることとなる。
そして、これにかかる労力や経費が廃樹脂サッシのリサイクル事業化を妨げる大きな要
因のひとつである。
本調査では現状の一般的な手解体・選別処理による素材回収と破砕−比重選別(ジグ選
別)設備を用いた素材回収との実証試験を行い、それぞれの処理に要する時間と選別回収
されたサッシ構成素材の割合を測定した。
下の図表 4-1 は廃樹脂サッシの素材回収に関する基本的な分類を示している。
解体サッシ
障
外
ガラス
窓
PVC
硬質PVC
子
窓
内
金 属
窓
異種プラ
軟質PVC
ゴ ム
鉄
泥汚れ
ステン
※
白色PVC
枠
P VC =
コーキング他
アルミ
塩 ビ 樹脂
雑色PVC
図表 4-1 樹脂サッシ素材回収時の基本分類
29
4.2
両処理方法の基本フロー
廃樹脂サッシの受け入れから素材回収・出荷準備(梱包)までの基本的なプロセスと、
今回の実証試験における所要時間の計測範囲はそれぞれ下の図表の通りである。
両処理方法の所要時間数を比較する際には手解体処理からガラス取り外し作業の時間
数を除外して処理開始の時点を同一条件としたが、選別から梱包にいたるプロセスは図表
に示すとおり同等の条件とはならず、手解体処理においては出荷準備に至らない状態での
時間計測となった。
梱
樹
脂
ラ
破
ス
砕
取
り
入
処
外
包
理
し
れ
③部品類除去・芯材抜き取り
ガ
け
②パッキン撤去・採寸処理
①
受
手解体処理基本フロー
手解体は、この範囲の工程を計時し
比重選別は、この範囲の工程を計時した
類
比
重
選
処
外
別
理
し
樹 脂 類 比 重 選 別 ・ 梱 包
鉄
砕
り
ア( ル ミ・ス テ ン・ゴ ム 等
破
取
れ
二次破砕処理︵樹脂破砕︶
非
手選別
次
ス
入
磁 力 選 別 ︵ 鉄 回 収 ︶
一
ラ
け
パ ッ キ ン 撤 去 ・ 採 寸 処 理
ガ
受
比重選別処理基本フロー
)
図表 4-2 選別処理基本フロー
30
4.3
破砕−比重選別(ジグ選別)の原理等
樹脂サッシには塩ビ樹脂と金属類以外にポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂も
使用されており、これらの樹脂も資源として価値のある素材である。
これらを塩ビ樹脂と分離し、無駄なく回収するためには以下の図表に示すとおり水と各
素材の比重差を利用した選別方法が有効である。
網
底面が網の水槽
に、水と選別する
原料を入れます。
原料は大きさは同
じですが、比重に
差があります。
網の下から水を勢いよく押し上げます。水の
勢いで原料も一緒に押し上げられます。こ
の状態で放置すると高比重(重い)の原料
は速く落下し、低比重(軽い)の原料はゆっ
くり落下します。
水面を下げて、また勢いよく水を押し上げます。この動作を繰り返す
ことで、最後は底面に高比重原料、上部に低比重原料が層を形成し
ます。この層を崩さないようにしながら高比重原料、低比重原料を
別々に回収します。
低比重
高比重
図表 4-3 比重選別設備の選別原理
中比重原料
高 比 重 、 低 比 重 の 原 料 を排 除 す る
事 で 、 混 合 状 態 の 原 料 か ら選 択 し
た 比 重 の 原 料 の み を回 収
ロ ー タ リー ゲ ー ト
混 合 状 態 の 原 料 を 水 と 一 緒 に 投 入 し ま す 。原 料 は 流 さ れ な が ら 比 重 ご と に 成 層 さ れ ま す 。 成 層
さ れ た と こ ろ で 、高 比 重 の 原 料 を ロ ー タ リ ー ゲ ー ト で 回 収 し 、低 比 重 と 中 比 重 の 原 料 は オ ー バ ー
フ ロ ー さ せ ま す 。そ し て 次 の 選 別 槽 で 低 比 重 と 中 比 重 の 原 料 を 成 層 し 、中 比 重 の 原 料 を ロ ー タ
リ ー ゲ ー ト で 回 収 し ま す 。 第 1選 別 槽 で は 高 比 重 原 料 の 層 が 厚 くな れ ば ロ ー タ リ ー ゲ ー ト で 回 収
し 、薄 くな れ ば 回 収 を 止 め 高 比 重 原 料 層 が 厚 くな る の 待 ち ま す 。第 2選 別 槽 で は 同 様 に 中 比 重
原料の層の厚さを調整します。
低比重
中比重
高比重
図表 4-4 比重選別設備の素材回収原理
31
また、廃樹脂サッシのリサイクル処理を低コストで行うためには極力人手による解体・
分解の工程を排し、機械化された効率的な処理システムが必要となるが、今回の実証試験
に使用した破砕−比重選別(ジグ選別)設備は家電クズなどの非鉄金属・プラスチックの
混合材料の破砕選別・素材回収処理を行っている実働設備であり、プラスチックの破砕に
関しては最大で毎時2000kg の処理能力を有している。
本設備の処理概要、および廃樹脂サッシの受け入れから素材回収までのプロセスは概ね
下の図表の通りである。
図表 4-5 破砕−比重選別処理概要図
32
4.4
手解体・選別実証試験
4.4.1
手解体・選別試験の概要
本実証試験の概要は以下のとおりである。
・
試験実施日
:
2009年8月22日
∼
・
サンプル量
:
900kg(ガラス抜き
60窓)
※
・
選別レベルに関して
8月29日
15kg/窓
ガラス付では32kg/窓で、計1920kg
:
本実証試験で図表 4-1 の赤線部分を適用範囲として手解体・選別の時間を測定した。
この範囲まで選別を行えば回収される素材の大部分はリサイクルが可能である。なお
異種プラとゴムは固形燃料の原料(サーマルリサイクル)、その他は再生素材として工
業製品等の原料(マテリアルリサイクル)として市場取引される。
泥汚れに関しては手解体により発生することは想定していないため、発生量の測定
対象からは除外した。
4.4.2
手解体・選別処理作業実施状況
本試験の作業実施状況は以降の各図表(写真)のとおりである。
図表 4-7 工程①:ガラス取り外し
図表 4-6 外窓用樹脂サッシ(サンプル)
33
図表 4-8 工程②:軟質塩ビパッキン取り外し
図表 4-9 工程③:部品取り外し
図表 4-10 工程③:コーナー部分カット
図表 4-11 工程③:芯材抜き取り
4.4.3
手解体・選別処理試験結果
ガラスを撤去した後の樹脂サッシ900kg に要した手解体・選別処理時間は延べ27.
5時間であり、1時間あたりの廃樹脂サッシ処理量は約32.7kg であった。
またガラスの取り外しには 1 窓あたり2.5分を要しているが、破砕−比重選別との比
較のため作業工数計算の対象から除外した。
この実証試験により回収された各素材の選別状況は次項の各図表のとおりである。
34
図表 4-12 選別素材: ガラス
図表 4-13 選別素材: 鉄 (芯材)
図表 4-14 選別素材: ステンレス
図表 4-15 選別素材: アルミ・異種プラ
図表 4-16 選別素材: 軟質塩ビ樹脂
図表 4-17 選別素材: 硬質塩ビ樹脂
35
4.5
破砕−比重選別実証試験
4.5.1
破砕−比重選別実証試験の概要
本実証試験の概要は以下のとおりである。
・
試験実施日
:
2009年
11月
6日
・
サンプル量
:
4000kg(ガラスなし)
・
選別レベルに関して
:
本実証試験では前出図表 4-1 の最下段に示す「硬質PVCの色分別」を除き、他す
べての工程を適用範囲として処理時間を測定した。
4.5.2
設備投入前処理状況
右 写真 の と おり 、 本 試 験 のサ ン プ ルに は
解体 現 場か ら発 生 した ガラ ス なし の廃 樹 脂
サッシを使用した。
一 次破 砕 機 への 投 入 準 備 とし て 、 簡単 に
サンプル受け入れ状態
取れ る パッ キン 等 の軟 質塩 ビ を手 作業 で 除
去した後、概ね1m以内の寸法に揃えた。
な お採 寸 は 厳密 な も の で はな く 、 裁断 機
等は 使用 せず に重 機で 破壊 する 程度 であ る。
こ の前 処 理 作業 も 本 試 験 の工 程 の 一部 と
して処理時間の測定に含まれる。
軟質PVC類除去
採寸・一次破砕準備
図表 4-18 一次破砕前処理状況
36
4.5.3
破砕−比重選別実証試験結果
サンプル受入れ後、一次破砕への投入準備に要した時間が1名で6時間。破砕−比重選
別は設備の処理能力を1000kg/hに設定して運転し、サンプル全量の処理時間は4時間。
これらを足すと、サッシ4000kg に対して処理開始から終了までの工程に要した所要
時間は10時間である。
またこれとは別に、プラントの運転に要する労務の時間数として一次破砕投入要員が1
名で4時間。手選別ラインの作業要員が2名×4時間。これらを合わせると設備運転に必
要な要員の労務時間は12時間。これに前出の投入準備要員1名×6時間を合わせるとサ
ッシ4000kg の処理に要する総労務時間(人手作業)は18時間であった。
4.5.4
破砕−比重選別回収素材状況
本試験により回収された素材の状況については以降の各図表(写真)のとおりである。
この内、異種プラ・他には塩ビ樹脂が含まれていないため固形燃料(RPF)の原料とし
てサーマルリサイクルを行うことが可能である。
図表 4-19 軟質塩ビ樹脂(投入前手選別)
図表 4-20 鉄(一次破砕−磁力選別)
37
図表 4-21 ステンレス(一次破砕−比重選別)
図表 4-22 アルミ(一次破砕−比重選別)
図表 4-23 硬質塩ビ樹脂(二次破砕−比重選別)
図表 4-24 異種プラ、他(二次破砕−比重選別)
4.6
両実証試験の比較
両実証試験の時間効率を比較すると、破砕−比重選別の場合は受入れからフレーク化し
製袋するまでの全工程に要する要員の労務時間(人手作業)が延べ18時間。受入れから
製袋作業終了までの処理工程時間は10時間であった。
これに対し手選別の処理量は時間当たり32.7kg であるため、破砕−比重選別と同じ
4000kg を処理するには労務時間延べ122.3時間を必要とする。なお、これは選別
に要する労務時間であり、塩ビ樹脂を破砕しフレーク化するための工程に要する時間は含
まれていない。
38
手選別の場合も最終的には樹脂破砕を行うため設備に係る動力費や償却費等は両処理
ともほぼ同程度と考え、廃樹脂サッシ1t あたりの労務費(人件費)だけを仮に労務単価
1000円/hとして単純に比較すると、破砕−比重選別は4.5(18h/4t)h×1000
円で4,500円/t、手選別では30.6(122.3h/4t)h×1000円で30,600円/
tとなる。
手選別はこれに破砕設備のエネルギーコストや運転要員の人件費等が加算されるため、
最近の札幌近郊における硬質プラスチック埋立て処分単価が40,000円/t前後である
ことを考えると、処理費用の側面から見た場合には両選別方法とも埋立て処分に対するコ
ストの優位性は無いといえる。
但し破砕−比重選別に関しては人件費が非常に低いため、本設備のランニングコストの
レベルであれば埋立て処分に対抗しうる処理費を設定することが可能であり、各素材の販
売価格によっては収益性のあるリサイクル処理を行える可能性が高い。
また素材の回収状況については次項の図表のとおり両選別回収方法の間にほとんど差
異が見られず、破砕−比重選別は短時間で大量の処理を行いながらも手選別と同等の精度
で素材選別を行えることを示す結果となった。
なお、破砕−比重選別においては破砕時にサイクロンで回収された塩ビ混じりの粉塵と
比重選別で沈降する泥汚れ等、処理量全体の1∼2%がリサイクルできずに埋立て処分を
行った。
39
50.0%
45.0%
42.5%
40.6%
40.0%
35.0%
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
9.0%
10.0%
4.5%
5.0%
1.9%
1.5%
0.0%
硬質PVC
軟質PVC
鉄
ステンレス
アルミ
手選別素材構成割合
異種プラ ダスト
図表 4-25 手選別回収素材構成割合
50.0%
45.0%
44.5%
40.0%
37.8%
35.0%
30.0%
25.0%
20.0%
15.0%
9.5%
10.0%
4.7%
5.0%
1.9%
1.6%
0.0%
硬質PVC
軟質PVC
鉄
ステンレス
比重選別素材構成割合
アルミ
異種プラ ダスト
図表 4-26 比重選別回収素材構成割合
40
4.7
廃樹脂サッシリサイクルのための技術的課題等
4.7.1
再生硬質塩ビ樹脂の品質評価について
前項の破砕−比重選別設備による実証試験においては、製品純度の目標を硬質塩ビ樹脂
の「サッシ to サッシリサイクル」を行う場合に要求される目標(不純物混入率100ppm)
以下である90ppm に設定してプラントのコントロールやメンテナンスを行った。
この目標達成状況を評価するため、今回は本設備の最終製品である再生塩ビフレークに
対する異種混入状態の調査を手作業で行い、下の写真のように各粒を分類して塩ビ樹脂か
否かを確認した(写真のサンプルは15,000粒)。
図表 4-27 再生塩ビフレークの異物混入調査
白色、茶色の粒は塩ビ樹脂なので最初に除去し、他の色は不明粒として抽出した後、炎
色性・燃焼性の反応によって塩ビ樹脂か否かを判定した。
塩ビ樹脂の場合、炎は緑色を呈し、着火源を遠ざけると燃焼が継続できず に消 火す る。
今回の評価総数105,000粒に対し、異種粒が10粒カウントされたため、
・
異種粒混入割合=(10/105,000)×1,000,000=
95
ppm
の不純物混入率と判定した。
自主目標には達しなかったが、サッシ to サッシリサイクルの要求レベルは達成できた。
41
4.7.2
製品純度向上のための対策について
本実証試験以前の2008年11月にも本設備によって樹脂サッシ選別回収試験を行
っているが、その時の異種粒混入率は約300ppm であった。
本設備は通常、家電くず等の処理を行っているため、異種粒混入の最大の原因は設備の
清掃不足による他の処理対象物の影響と特定し、今回の実証試験に先立って下の図表のよ
うにスクリューコンベア下部へ点検口を設けて清掃作業性を大幅に向上させた。
スクリューコンベア外観
堆積残留物
新設点検口
図表 4-28 スクリューコンベア点検口設置位置
点検口設置前
新設点検口
図表 4-29 スクリューコンベア点検口設置状況
42
このスクリューコンベアの改造に併せて比重選別機の選別槽など設備ライン全般の清
掃を行い、実証試験におけるコンタミネーションの予防を図った。
図表 4-30 比重選別機 選別槽清掃
また比重選別は破砕物の形状の違い(板状、球状、針状等)により同じ比重の物質でも
沈降速度にバラつきが発生することから、破砕物(フレーク)の形状を均一化するために
二次破砕機(プラスチック破砕機)の切断刃を交換し、綿密なクリアランス調整を行った。
図表 4-31 二次破砕機 切断刃
これらの作業によって300ppm だった異種粒混入率を95ppm まで低下させることが
でき、更に前回の試験で混入の見られた金属片は今回は発見されなかった。
この金属片の混入が見られなかったことは今回の改造・改善の大きな成果である。
43
4.7.3
技術的な課題等のまとめ
今回の実証試験並びに検証結果から、以下の点が今後検討を加えるべき課題として挙げ
られる。
・
異種粒混入状態の評価について
品質評価の対象を「異種粒」とした場合、フレークの状態で個体数のカウントを行
う必要があるが、常にこの方法で異種粒の混入状態を確認することは困難である。
品質の客観的な評価を継続的に行うことができる技術の調査が必要と考えられる。
・
設備の稼動サイクルについて
今回の実証試験に使用した設備は樹脂サッシ以外に家電やOA機器等の素材回収に
用いられている設備のため、特にサッシ to サッシリサイクルを見据えた素材回収のた
めには、それらの処理に由来する異種粒の混入を極力防がなくてはならない。
前述のメンテナンスを行っても、その直後の処理品にはそれ以前の処理品の影響が
強く現れるため、安定的に100ppm 以下の製品を回収するのは一定量以上の処理を
連続的に行うことが必要となる。
高品質の再生塩ビ樹脂を高い歩留まりで回収するためには、計画的な処理とメンテ
ナンスが要求される。
また今回の実証試験の際、比重選別ラインの循環水が排出先に対して及ぼす可能性のあ
る環境影響を評価する目的で重金属類の濃度の分析を行った。
この結果、シアン化合物、六価クロム、水銀化合物、砒素化合物、カドミウム化合物は
検出されなかったが、鉛化合物に関しては下水道への0.1mg/ℓが検出された。
この値は排出基準の範囲内ではあるが限度寸前の濃度である。基本的に循環水はクロー
ズドシステムとなっているものの、メンテナンスの際などには都度分析を行い、安全な状
態を確認した上で排水を行う必要がある。
分析の結果については巻末に資料3として『濃度軽量証明書』を添付した。
44
5.
5.1
再生塩ビ樹脂の加工性について
加工性試験の背景等
サッシ to サッシを目的とした再生塩ビ樹脂の成型加工試験を行うにあたり、樹脂サッ
シの成型を行う方法としてフレークから直接押出し成型する方法と、ペレット状に加工し
てから押出し成型する方法がある。
今回の調査においては国内サッシメーカー7社それぞれにおいて樹脂サッシの成型試
験を行う計画であるが、フレークからの直接押出し成型に対応しているのは㈱エクセルシ
ャノン社だけであり、他の6社はフレークを加工して作られたペレットからの成型のみの
対応となっている。
そのため、樹脂サッシ成型試験の前段階として日本資源技術㈱社で破砕−比重選別によ
って回収した再生塩ビ樹脂フレークをペレット化する試験から行い、このペレットとフレ
ークの両方を樹脂サッシ成型試験のサンプルとして供することとした。
ペレット成型については通常どおりに安定剤等の薬品を添加すれば何の支障も無く製
品化できることはわかっているが、今回はサッシメーカー各社から「樹脂サッシには製造
過程で既に鉛系や錫系の安定剤が使用されており、さらに添加することは望ましくないた
め、本試験においては添加剤類を一切使用せずに製造されたペレットを使用したい。」との
要求を受け、薬品類無添加でのペレット成型試験を行った。
なお、ペレット化に関しては日本国内にも成型施設はあるが、生産ベースで稼動してい
るために少量の試験用ペレット製造に対応するのは困難であった。そこで今回は日本資源
技術㈱社の技術者立会いのもと、技術力の高い台湾の塩ビ成型工場において添加剤を使用
しない条件でのペレット成型試験を行い、併せて試験先工場の加工能力や品質、管理体制
等を確認した。
また台湾への技術者派遣に併せ、試験先工場関係者に対して現地の再製塩ビ市場等に関
するヒアリング調査を行った。
45
5.2
台湾におけるペレット化試験
5.2.1
試験先工場の概要等
ペレット化試験の時期や試験先工場の概要等は以下のとおりである。
・
・
派遣技術者等
試 験 日 時:
平成21年12月11日
派遣技術者:
松井信一
AM9:30∼12:30
(日本資源技術)
試験先会社概要
会
社
住
名:
所:
設 立 年 度:
1974年
従 業 員 数:
25∼30名
面
積:
敷地9,900㎡
量:
再生塩ビ樹脂
取
扱
建屋8,250㎡ 2
8,500∼9,000t/年
(2008年度)
図表 5-1 試験先工場内全景
46
5.2.2
製造工程及び製品等に関する概要
視察先における再生塩ビ樹脂製品の製造工程は概ね下の図表のとおりである。
原料 1:廃グレー管フレーク
原料2:その他塩ビフレーク
ホッパー投入・混合
押出し成型機(ペレット化)
裁断・梱包
パイプ成型機
完成品保管・出荷
図表 5-2 再生樹脂製品製造工程
47
以上の各工程において、品質を安定化させるために鉛系や錫系の安定剤、炭酸カルシウ
ム等を必要に応じて添加し、また混入した不純物を押出し機のフィルターによって捕集除
去している。
図表 5-3 使用済み押出し機フィルター
また、設備や製品等の特徴としては以下の事項が挙げられる。
・
工場内はすべてコンクリートまたはアスファルトで舗装され、原料の受入れ保管ヤ
ードも含めて作業はすべて屋根つきの屋内にて行われており、製造過程で外部からの
汚損が無いよう配慮されている。
図表 5-4 工場内原料保管ヤード
・
工場には押出機10台、パイプ成形機10台が設置されており、ホッパー投入後は
各工程をコンベヤで搬送され、パイプのカットまで自動で行われる。
48
・
作業環境や排気の汚染防止対策として各押出し機の上部には吸気フードが設けられ
ており、設備から発生する粉塵や油煙がウォータースクラバー(排気ガス洗浄装置)
を経由して屋外に排気されている。
吸
気
排
気
ウォータースクラバー
押出し成型機
図表 5-5 場内空気浄化システム
・
この工場の主力製品は再生塩ビ樹脂管である。管の出荷先は主として台湾国内で、
大半が下水道整備に関連する官庁の工事に使用されている。
・
グレーの再生塩ビ樹脂原料(塩ビ管から再生した原料)だけを使用した場合はΦ2
00程度の大径長尺管を製造している。他の再生塩ビ樹脂原料(他の色やミックス品)
はグレーの再生塩ビ樹脂原料に増量剤として10%添加し、Φ100程度の小径短尺
管の製造に使用している。
・
主力製品の原料はグレーの再生塩ビ樹脂であるが、グレー以外の再生塩ビ樹脂原料
に関しもて、グレーの再生塩ビ樹脂原料に比べると買い取り価格は安く設定されてい
るものの、受け入れ品質を満たしていれば不純物の多少や塩ビ樹脂混合種類の多少に
関わらず買い取りを行っている。
これらの状況から、当工場は日本の再生塩ビ樹脂にとって安心できるマーケットのひと
つと考えられる。
49
5.2.3
塩ビ樹脂フレークのペレット化試験
今回、日本資源技術において樹脂サッシの破砕−比重選別によって製造した再生塩ビ樹
脂フレークを、当工場においてペレット化する試験を行った。
本試験において製造されたペレットは日本国内に持ち帰り、サッシメーカー7社によっ
て樹脂サッシ成型試験を実施することを計画した。
また溶解時間や温度設定等の運転条件については当工場の標準的な設定として、再生塩
ビ樹脂フレーク(異種粒濃度100ppm)20kg のペレット化試験を行った。
この試験によって製造されたのが下の図表のペレットである。
図表 5-6 無添加成型ペレット
今回の試験の結果として押出し性事態には問題無いが、カットの工程で「つぶれ」など
の切断不良が発生し、下の図表のように各ペレットがダンゴ状になる不具合が発生した。
図表 5-7 だんご状に固まったペレット
50
工場の技術担当者の見解によると「安定剤や炭酸カルシウム等の添加剤を使用すれば問
題なくペレット化でき、また無添加であっても運転条件の設定によって解消できる可能性
はある。ただし現状では商品の生産が控えているため、条件設定を変更しての成型試験に
対応するのは難しい。」とのことであった。
このことにより当工場における成型試験は課題の残る結果となったが、使用後の押出し
機フィルターを確認すると捕集された異物はほとんど無く、破砕―比重選別装置による選
別回収精度の高さをあらためて確認することができた。
図表 5-8 使用済み押出しフィルター
5.2.4
台湾市場に関するヒアリング
今回の訪問先の関係者に対し、台湾マーケットの現状や将来展望についてヒアリングを
行い、概ね以下のような情報を得ることができた。
・
依信工業有限公司で製造しているのは全て再生硬質塩ビパイプであり、国内の下水
道の工事用として官庁向けに出荷されている。台湾の塩ビ管には日本のJISのよう
な製品規格は無く、また再生塩ビ管は新品管の2/3の価格で販売しているため価格
競争力が高く、需要も安定している。
・
台湾における硬質再生パイプの需要量は7,000∼8,000t/月である。依信
工業有限公司では、価格や性能面から見て今後も当分の間は再生塩ビ管の需要が安定
を保つと見込んでいる。
51
・
依新工業有限公司から発生する廃棄物は主として添加剤や安定剤の包装袋、押出し
成型時に使用された使用済みフィルター類であり、同社の再生塩ビ取扱量8,500∼
9,000t/年に対して廃棄物が20∼25t/年と非常に少ない発生量である。
この廃棄物は廃棄物処理会社が2日ごとに回収して焼却場へ搬入している。
5.2.5
台湾訪問に関する総括
今回の台湾訪問では台湾の再生塩ビ樹脂マーケットの大きさと継続性を現地において
確認することができた。
現在の台湾においては全国的な下水道の普及整備が推進されており、再生樹脂サッシを
大量に使用しての塩ビ樹脂管製造が盛んに行われている。
実際に現在も日本から異種粒混入率300ppm 程度の建設廃棄物系再生塩ビフレーク原
料が台湾の再生塩ビ加工業者に販売されており、これを原料の一部に使用して製造された
塩ビ樹脂配管が台湾国内で広く使用されている状況である。
このように大量消費が可能な再生配管用増量剤用となる中品質フレークの販路を確保
することが塩ビ樹脂リサイクルの事業基盤を確立させる上で最も重要であり、この基盤の
上に立ってこそ更に高品質なサッシ to サッシのリサイクルを実現することが可能となる。
また訪問テーマのひとつであるペレット成型については一部に課題が残ったものの、北
海道内の高分子化学の専門家からはサンプルに供した塩ビ樹脂フレークの粒径のばらつき
に大きな原因があり得るとの見解を得た。
今回の台湾においてはサンプル量や試験期間などの制約が大きかったために各種の運
転調整が行えなかったが、工業試験場等の公的な試験機関にある小型ペレタイザーなどを
活用し、時間をかけて温度や溶解時間、水冷却等の試験を行うことによって解決が可能と
考えられる。
52
5.3
国内メーカーによるサッシ成型試験
本来であれば台湾において製造されたペレットと、ペレット製造の前段階であるフレー
ク双方の成型試験を国内メーカー7社で分担して実施する計画であったが、前出のとおり
無添加ペレット成型が不十分であったため㈱エクセルシャノンによるフレークからの押出
し成型試験のみを行った。
本試験を実施した㈱エクセルシャノンの技術担当による評価結果の資料は巻末の資料
4『樹脂製建具建築廃材から得られた再生材料を用いた樹脂製建具用形材の押出成型評価』
として巻末に掲載しているが、その概要をまとめると以下のとおりである。
・
㈱エクセルシャノンの組立て工場内から発生した再生材料(端材等)を基本原料と
し、これに破砕−比重選別設備から回収された再生塩ビ樹脂を添加してサッシとして
の成型加工を行い、製品としての物理的特性や外観の性状について評価を行った。
・
押出成形性と形状については、比重選別樹脂10wt%添加までは良好な結果となっ
た。
・
樹脂製建具用形材の重要な物性である塩ビ面耐衝撃性及び加熱伸縮性についても、
同再生材料10wt%添加までは合格レベルであった。
・
表面性については製品レベルの性状が得られず、これに関しては混入している異種
粒の物性確認とともに塩ビ樹脂の形状のバラつきが成型に及ぼす影響に関する調査が
必要である。ただし台湾においては押出しフィルターへの捕集物が無かったことから
比較的早期に表面性阻害原因の特定と排除が可能と考えられる。
今回の試験によると「押出し成形性に問題がないこと」、「物理的性能として重要な耐衝
撃性と加熱伸縮性をクリアできていること」などから10wt%迄は再生樹脂サッシ添加
による製品化の可能性があると評価できる。
また、これらの評価からはペレット化された再生塩ビ樹脂であればさらに良好な成型結
果につながることが容易に予想できるため、これも前出のとおり無添加ペレットの成型に
関する試験や調査を継続して行うことが必要である。
53
6.
6.1
樹脂サッシ再生素材のマーケッティング調査等
再生塩化ビニル樹脂の市場性動向
樹脂サッシでは樹脂の殆どが塩化ビニル(塩ビ)であり、北海道内では塩ビ樹脂をペレ
ット化する工場、及び再生塩ビ樹脂(ペレット・フレーク・フラフ)を使用して再生塩ビ
樹脂製品を成型加工する工場は存在しない(メーカー工場の製造工程から発生する端材等
の再生原料は別である)。
2008年9月のリーマンショック以降、本州の再生塩ビペレット工場及び再生塩ビ成
型加工工場では在庫調整が進まずに塩ビ樹脂再生原料の購買を停止したことがあり、国内
における塩ビ樹脂再生原料の需要と供給の不安定さが浮き彫りになった。また、東アジア
の中国・韓国からの需要も急減し輸出が停止されたこともあったが、台湾の再生塩ビペレ
ット・塩ビ樹脂管成形加工工場は供給を停止していなかったため、価格の変動はあるが安
心して再生塩ビ樹脂管の原料として塩ビフレークを販売することが可能であった。
リーマンショックから1年が過ぎて再生塩ビ樹脂市場も落ち着きを取り戻し、徐々に国
内外の取引も活発になってきているが、樹脂サッシ由来の再生塩ビ樹脂原料の将来の市場
性動向を探ってみると次の様な方向性が窺えた。
6.1.1
国内における需要先
需要先:塩ビ樹脂の純度を高めた高品位再生塩ビ樹脂原料を、サッシ to サッシ利用の
ための原料として樹脂サッシメーカーに供給する。
課
題:この製品は不純物を極限近くまで除去する必要があるため、現状での安定供給
には品質面やコスト面においてクリアすべき課題は多い。
需要先:サッシ to サッシ用よりも純度を下げた再生塩ビ樹脂を、再生塩ビ管の成形加
工業者に原料として供給する。
課
題:日本は上下水道の普及率が高いこともあり、社会インフラ整備としての新規の
配管需要に対して大きな期待を持つことは難しい。
54
6.1.2
海外における需要先
需要先:(台湾)
2009年12月に台湾の再生塩ビ樹脂管成形加工工場を訪問して
今後の需要供給の見通しを訊ねたが、台湾では上下水道の普及率が20%程度で、今
後も社会インフラ整備として高い成長が見込まれる分野でもあり、継続した再生塩ビ
樹脂原料の供給を望みたいという答えが返ってきた。この工場では1,000t/月の
再生塩ビ管を製造しており、この内サッシ由来再生塩ビ樹脂原料の使用量は100t
/月(1,200t/年)を予定したいと考えていた。
課
題:年率5%台の成長市場であっても、ほぼ10年∼15年後には上下水道の社会
インフラ整備が完了することになる。使用済み樹脂サッシの回収期間には終わりがな
いので、長期的には社会インフラ整備以外の用途の開発が重要である。
需要先:(中国)
台湾同様に上下水道の社会インフラ整備の普及が進んでいくと思わ
るが、これに伴って周辺建築物の外回り建材で塩ビ樹脂製の建材利用も進んでおり、
多用途な製品開発も進められている。現在の中国における塩ビ樹脂の需要は桁違いに
大きく、また長期的に継続することが見込まれている。
課
題:経済成長率は世界No.1であり、GDPにおいても2009年には日本を追
い越してNo.2の存在になってきているが、1980年代都市部での1人っ子政策の
影響により2020年前後からは生産年齢人口が徐々に減少傾向を向かえることから、
日本と同様に経済成長は鈍化していくと考えられる。これにより物質の需給バランス
調整が難しくなり、再生塩ビ樹脂の市場も停滞することが考えられる。
6.1.3
再生塩ビ樹脂の市場性に関する総括
日本を含めた東アジアの国では、日本が先陣を切り少子高齢化に陥ったが、台湾・韓国・
中国の順で2025年には高齢化社会が蔓延していることがTRF(合計特殊出生率:人
口が安定的に推移される水準は2.1人、2004年のTRF調査では韓国1.16人、台
湾1.18人、シンガポール1.24人、日本1.24人、中国1.75人)の資料で伺える。
各国とも早晩少子高齢化を迎えて経済成長が滞り、税金を大量に消費する高福祉社会に
突入することが考えられ、成長の限界が垣間見える。
55
このようになかなか明るい兆しを見つけることが難しい近年の経済状況の中でも特に
日本国内は消費の停滞は著しく、且つ近隣諸国に対して製造コストが高いことから再生樹
脂原料、並びにこれを用いた製品の製造に関しては大部分が海外に流出し、国内の製造企
業及び人材は完全に空洞化に陥った状況である。
本来であれば再生樹脂原料の最終製品であるペレットの状態、若しくは再生樹脂原料を
使用した配管などの完成品の状態まで日本国内で製造し、これを海外マーケットに提供し
て経済の活性化を図るべきであろうが、現状としては半製品(フレーク)状態で海外の工
場に販売し、完成品を輸入しているのが実態である。
6.2
金属類の市場性動向
廃樹脂サッシの選別によって回収される金属類もリサイクルの対象となるため、これら
の市場の現況についてもヒアリングによって調査を行った。
ヒアリングの概要については以下のとおりであるが、金属市場に関しては販売価格に対
する相場変動の影響はあるものの、市場の継続性としては安定していると言える。
▼アルミニウムについて
関東の大手非鉄金属問屋に確認したところ、アルミニウムについては過去30年継続し
て買い取りを行っているとのこと。リーマンショックの際は販売先が在庫を抱えたために
当社から販売できない時期もあったが、買い取りを止めることは無かったとの回答を得た。
また北海道内大手金属問屋でも過去20年間継続して買い取りを行っている。ここは自
社で自動車メーカー向けのアルミ溶融炉を持っており、供給を止めることはできないので
常に原料の購入は継続している。
▼ステンレス(SUS304)について
前出の関東の大手非鉄金属問屋に確認したところ、アルミニウムと同様に30年間買い
取りを止めたことは無いとの回答を得た。
56
▼鉄について
北海道内の大手金属問屋に確認したところ、鉄に関しては過去20年、継続して買い取
りを行っているとのこと。14∼15年前の電炉購入価格が下落した時期にも2級鉄を1
円/kg程度で購入している。
6.3
ガラス素材の市場性動向
樹脂サッシから回収されるガラスでは汎用品の板ガラスと防火地域等で使用される鉄
網入り板ガラスの2種類があり、板ガラスはガラス再生原料としての需要は高い。
また鉄入り網ガラスも鉄網を除去した後は通常の板ガラスと同様な品質であることか
ら、ガラス再生原料としては問題ない。
北海道内では、住宅建材用のグラスウール工場がありガラス再生原料として主に廃板ガ
ラスが使用されている。
なお北海道にはガラス to ガラスのカレット工場が存在しないが、これはガラス容器等
を製造する工場が北海道に存在しないことが原因である。
2009年、北海道の戸建て住宅及びマンション新築建設数は前年比約で50%程度に
落ち込んだ。その結果、グラスウールの需要も大幅に減少したことでガラス再生原料の利
用も激減しており、再生ガラス原料の製造者は北海道内のグラスウール工場に出荷してい
た原料を、止むを得なくカレット原料として関東方面に出荷している状況である。
結果として、2008年当時に有価で販売されていた再生板ガラス原料も、現在では関
東方面出荷への輸送費が負担となるために産業廃棄物として取り扱われている。
関東方面への出荷に関しては、再生ガラスを安定的に供給できる市場としての安心感は
あるものの、コスト面を考えると海外も含めた新たな供給先の開拓が必要になってくると
思われる。
57
7.
樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価
本調査の対象である「樹脂サッシ」は数種類の樹脂や金属、ガラスなど複数の素材によ
って構成された製品であり、それぞれの素材はリサイクル対象として安定した市場を保有
しているものの、これを素材ごとに細かく選別するのは技術や効率の面からみて容易な作
業ではない。
また、リサイクル対象となるのは大半が建築解体現場から発生する廃樹脂サッシであり、
特に窓枠の部分については建築構造体の一部として取り付けられているために、解体現場
からは木材や断熱材が付着した混合廃棄物として排出されているのが現状である。
この点について、今回の調査で実証試験を行った「破砕−比重選別設備」は、自動化に
よる大量処理の実現と低コスト化、更に回収された各素材の純度(商品価値)の面から見
て、リサイクルの事業化を実現するための中核技術として期待できる。
なお、この「破砕−比重選別設備」は既にOA機器や家電製品の素材選別回収設備とし
て実用化されているプラントであり、これを運転条件等の調整によって樹脂サッシの素材
選別回収に適応させられることが実証できたことで、他のプラントにおいて稼動している
その他の選別技術に関しても運転条件等の設定によっては廃樹脂サッシのリサイクルに流
用できる可能性があると期待される結果となった。
これによりリサイクル事業の収益性において最も重要な「売れる商品」と「買い取る市
場」に関する目処が立ったわけであるが、ここで必要となるのが北海道という広大な地域
に点在する市町村からの効率的な回収・運搬体制の構築である。
本来であれば建築解体の現場において廃樹脂サッシを選択的に回収することが最も望
ましいが、実態としては解体業者の技術や敷地の規模・周辺環境など現場ごとにまったく
異なる条件で作業が行われているため、
「明確なコストメリット」か「法的な制限」が無け
れば現場における混合廃棄物からの樹脂サッシ選別回収に対して大きな期待を寄せること
は難しい。
58
また、現状では樹脂サッシのリサイクル施設が極めて少ないことから、解体現場近郊の
埋立て処分場に持ち込む以外に合法で安価な処理方法が無いのも現実である。
このような状況の中で道内各地から発生する廃樹脂サッシをリサイクル施設に持ち込
むためには道内各地に回収拠点(ストックポイント:以下「SP」と称す)を設置して地
域単位の廃樹脂サッシを保管し、SPに一定量が蓄積された段階で大量輸送を行う物流ネ
ットワークシステムの構築が重要である。
このSPの候補としては、道内全域に多数点在する廃棄物処理施設や収集運搬業者の積
替え保管許可施設が有効であり、下の図表のように道内を100km 圏程度に分割して各エ
リアに1箇所程度のSP拠点を登録すれば、各地の産廃収集運搬業者は通常の営業範囲で
SPに廃樹脂サッシを持ち込むことが可能となる。
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●:基幹ストックポイント
:大規模流通幹線
●
●
●
:小 規模ストックポイント
:小規模流通支線
●
図表 7-1 広域物流ネットワーク イメージ
59
ただし、これに関しては「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「法」と称す)
に基づく産業廃棄物の保管日数の制限を解決する必要がある。本法において産業廃棄物の
保管日数は明確に表現されていないものの、各関連条文からは保管期限7日間と解釈され
ている。
この期限の範囲内では廃樹脂サッシを低コストでリサイクル施設に持ち込むことは困
難であり、北海道の地域性を踏まえた法的解釈のあり方が必要である。
最後となるが、廃樹脂サッシのリサイクルに対しては関連団体やサッシメーカーの意識
が非常に高く、関連各所が一体となって事業化に取り組んでいることが確認できた。
一部には解決すべき課題を残しながらも、廃樹脂サッシのリサイクルが収益性のある事
業として成立する可能性は非常に高いものであると評価する。
60
オブザーバー
北海道経済産業局
資源エネルギー環境部
環境リサイクル課
日本資源技術㈱(実施事務局)
担当 舩木 幸司
(社)日本サッシ協会・
プラスチックサッシ工業会
及び 塩ビ工業・環境協会
・ 協会加盟の道内埋立処分業者
全社へのアンケート調査協力
依頼の実施
・ 検討委員会への委員派遣協力
・ 再生PVCペレットの成型加工試験
の実施及び評価
担当 松井信一
再生ペレット
成形評価
再生PVCペレット
供 給
評価結果
担当 松井信一
金属・ガラス市場
動向調査
責任者 宮本 政博
バックアップ人員
・ 評価用再生PVCペレットの
製造
・ 現地工場視察の協力
台湾のペレット製造業者
再生PVCの原料供給
現地工場視察協力
担当 宮本・松井
台湾加工業者
調
査
阿部清美
役 割 有効技術実証
試験のバックアップ
根田和昌
役 割 有効技術実証
試験のバックアップ
再生素材のマーケティング等
調査チーム
技術責任者 松井 信一
役 職 日本資源技術 工場長
役 割
・リサイクルモデルの事業性評価サポート
・リサイクル有効技術実証試験担当
・マーケティング調査各業務担当
(社) 日本サッシ協会 ・
プラスチックサッシ工業会 加盟7社
担当 松井 信一
内容 ・適切な手解体方法の検討・実施
・有効技術実証試験の実施
作業従事者 : 島田 典行
郷六 恵美子
畳 真弓
濱頭 真澄
樹脂サッシ手解体性調査
リサイクル有効技術実証試験
(社)北海道産業廃棄物協会
アンケート調査
協
力
担当 舩木 幸司
ヒアリング調査
アンケート調査
責任者 宮本 政博
責任者 有我 功
文献・インター
ネット調査
リサイクルに係わる技術的課題の
把握及び有効技術等 調査チーム
管理者補佐 舩木 幸司
役 職 日本資源技術 営業部次長
役 割
・総合管理者補佐・検討委員会事務局業務
・文献・インターネット、ヒアリング、アンケート調査担当
・リサイクルモデルの事業性評価サポート
アドバイサー 有我 功
役職・経歴 ㈳北海道未来総合研究所 理事
役 割
・文献・インターネット調査、ヒアリング
調査、アンケート調査の監理
・リサイクルモデルの事業性評価に
関する監理
・調査報告書の作成に関する監理
樹脂サッシ普及状況および廃樹脂サッ
シの発生状況等 調査チーム
役 割 会計業務
会計責任者 田中 真理子
役 職 日本資源技術
経理課主任
総合管理者 宮本 政博
役職 ・ 経歴 日本資源技術 代表取締役
平成11年家屋解体に係わる建設廃棄物対策研究
委員会(北海道知事堀達也委託)
委員長就任、委員会を統括し政策提言に係る
報告書を 取りまとめる。
役 割 本調査事業の総合管理・総責任者
実施事務局役割 ・検討委員会への調査結果報告及び委員会検討内容を各調査チームに指示
・各種団体、組織との情報交換・調整 / ・樹脂サッシリサイクルモデルの事業性評価の実施
・調査事業の会計業務 / ・調査報告書の作成
ヒアリング調査の協力
調査結果
検討結果
事業の状況説明
・ 樹脂サッシの普及状況に関するヒアリ
ング調査に協力
・ 樹脂サッシのリサイクル技術の動向・
予測のヒアリング調査に協力
・ 検討委員会への委員派遣協力
委員会事務局
日本資源技術㈱ 宮本 政博
日本資源技術㈱ 舩木 幸司
(社)北海道未来総合研究所
有我 功
座長 北海道工業大学
教授 濱谷 雅弘
委員 (社)日本サッシ協会
常務理事 鈴木 秀昭
委員 プラスチックサッシ工業会
主事 平塚 雄治
委員 塩ビ工業・環境協会
環境・広報部長 小松原 繁男
委員(社)北海道産業廃棄物協会
会長 谷口 二朗
・本調査の内容、
方法についての意見交換
・調査結果を踏まえた
最適な対応方法の検討
・調査期間内3回開催
検討委員会
可能性調査事業 運営委員会
経済産業省 3Rシステム化
日本資源技術株式会社
2009年度 3Rシステム化可能性調査事業
「樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な技術や仕組みに関する調査」
に係る実施組織(役割分担、担当者)・体制図
資料
1
資料
2
産業廃棄物の処理に関するアンケート調査
問1 貴社の産業廃棄物処理業許可は次のどの形態ですか、該当する数字に○をつけてください。
1
2 中間処理・最終処分の両方
中間処理のみ
3 最終処分のみ
問2 貴社には、収集運搬積み替え保管施設が有りますか、該当する数字に○をつけてください。
1
ある → 問3へ
2
ない → 問5へ
問3 問2で「ある」とご回答された方におたずねいたします。
収集運搬積み替え保管施設で保管しているもので、該当するもの全てに○をつけてく
ださい
1
廃プラスチック類
4
その他(具体的に:
2
金属くず
3 ガラス・陶磁器くず
)
問4 貴社では、建設系廃棄物を受け入れていますか、該当する数字に○をつけてください。
1
受け入れている
2
受け入れていない
問5 貴社における中間処理の許可区分及び最終処分は次のどの形態ですか。
該当する番号全てに○をつけ、中間処理では( )に処理能力/t/日、受入れ量/年(内建
設系受入れ量/t/年)を記入して下さい。最終処分では( )に処理能力/t/日、残容量、
受入れ量/年/t、内建設系受入れ量を記入してください。
A
1
中間処理
破砕 → 処理能力(
t/日)受入れ量(
選別 → 処理能力(
却
→ 処理能力(
→
処理能力(
B
1
t/日)受入れ量(
t/日)受入れ量(
t/日)受入れ量(
受入れ量(
2
t/年)内建設系(
t/年)内建設系(
t/年)内建設系(
最終処分
安定型 → 処理能力(
管理型 → 処理能力(
受入れ量(
t/年) 2
t/年)内建設系(
t/日)・残容量(
㎥)
t/年)内建設系(
t/年)
t/日)・残容量(
㎥)
t/年)内建設系(
t/年)
t/年)3 焼
t/年)4 圧縮
t/年)
資料
2
問6 貴社では廃プラスチック類を受け入れていますか、該当する数字に○をつけてください。
1
受け入れている
2
受け入れていない
問7
プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)を処理・処分していますか、該当する数
字に○をつけてください。
1
している
→ 問8へ
2
していない → 問 11 以降へ
問8 問7で「している」とご回答された方におたずねいたします。
プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)は、おおよそどのくらい処理・処分され
ておりますか。それぞれ当てはまる数字を記入してください。
(
問9
t/月)
・
(
t/年)
(
㎥/月)・
(
㎥/年)
プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)の受け入れ形態について、建設混合廃棄
物で受入れたときは、プラスチックサッシと他の廃プラスチックに分別していますか、該当
する数字に○をつけてください。
1
分別している
2
分別していない
問10
プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)を処理・処分形態で該当するものに○
をつけてください。
1
自社でリサイクルしている
2 選別後にリサイクルできる施設に搬出している
3 プラスチックサッシのみ、単独で破砕・選別後、最終処分している
4 プラスチックサッシのみ、単独で、直接最終処分している
5 廃プラスチックと一緒に、破砕・選別後、最終処分している
6 他の建設廃棄物と一緒に、破砕・選別後、最終処分している
7 他の建設廃棄物と一緒に、直接最終処分している
問11
プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)を回収後、他にリサイクルできる施設
があった場合、どのような条件であれば活用したいと思いますか。
また、現在、プラスチックサッシ(塩化ビニル樹脂窓・窓枠)を受け入れていない方は、
他にリサイクルできる施設があった場合、受け入れてその施設を活用したいと思いますか、
該当する数字に○をつけてください。
1
条件にかかわらず、現状の処分方法で行う(受け入れない)
2
条件が合えば活用したい(受け入れてその施設を活用したい)→ 問 12 へ
資料
問12
2
問11で、「条件が合えば活用したい(受け入れてその施設を活用したい)」とご回答さ
れた方におたずねいたします。
施設までの距離及びコストについて、
「これ以上なら活用を検討できない」とする上限につい
て、それぞれお考えに近いもの 1 つに○をつけてください。
A
自社運搬でリサイクル施設までの距離の上限
1
30km未満
6
200km超でも可
B
2 30km
3 50km
4 100km
5 200km
他社運搬の場合の運賃の上限
1 3,000円/t未満 2 3,000円/t
3 5,000円/t
4 10,000円/t
5 20,000円/t
6 20,000円超/tでも可
C
リサイクル料金の上限(逆有償)
1
10,000 円/t未満
2
10,000 円/t
3 20,000 円/t
5
40,000 円/t
6
50,000 円/t
7 50,000 円超/tでも可
問13
4 30,000 円/t
貴社の営業範囲(自社収集運搬距離及び業者持込距離)と貴事業所の施設所在地域を支
庁別:政令市別(例:石狩支庁、札幌市)でお訪ねします。該当する数字に○を、貴事業所
施設所在地をいずれかに記入して下さい。
1
30km未満
2 30km
3 50km
貴事業所の所在地域:
支庁
4 100km
5 200km
6 200km超
市
ご意見・ご要望等
最後に差し支えなければ貴社名をご記入下さい。
貴
社 名:
ご回答者名:
*
ご記名につきましては、国の事業調査という性質柄、調査の信頼性確保の為に記載す
るもので、個別の回答が明らかにねるところは一切ございません。尚、このご回答は
全て国に帰属いたします。
ご協力ありがとうございました。同封の返信用封筒でご返却下さい。
資料
3
資料
4
資料
4
資料
4
資料
4
Fly UP