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双方向大容量絶縁型 DC-AC コンバータにおける

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双方向大容量絶縁型 DC-AC コンバータにおける
VT-16-009
双方向大容量絶縁型 DC-AC コンバータにおける
スイッチング損失低減手法
宅間 春介*
比嘉
隼
折川
幸司
伊東
淳一(長岡技術科学大学)
Switching Loss Reduction Method
for Bidirectional Large-Capacity Isolated DC to Three-phase-AC Converter
Shunsuke Takuma*, Hayato Higa, Koji Orikawa, Jun-ichi Itoh, (Nagaoka University of Technology)
This paper proposes a zero voltage switching (ZVS) method for a bidirectional isolated DC to three-phase AC converter using an indirect
matrix converter. A phase shift control method is applied to a primary side inverter and a secondary side inverter which employs a pulse
density modulation method (PDM) in order to achieve a ZVS. From the simulation results, the proposed method reduces switching losses
of the whole converter with bidirectional operation. From the experimental results, it is confirmed that a prototype circuit achieves the
maximum efficiency of 95.7 % with discharge mode.
キーワード:絶縁型 DC-AC コンバータ,インダイレクトマトリックスコンバータ,ソフトスイッチング
(DC-AC converter, indirect matrix converter, soft switching)
1.
はじめに
を介して整流器で整流する絶縁形 DC-DC コンバータ部と,
その後段で再び交流に変換するインバータから構成される
近年,電気自動車と建物や工場の電力系統を連系させる
システムが提案されている。このシステムは,一次側イン
Vehicle to Building(V2B)システムの導入がされている(1)。こ
バータを高周波スイッチングさせることにより,トランス
のシステムでは通常,電気料金の安価な夜や駐車時に充電
の小型軽量化が可能である。しかし,トランスの二次側に
器によって電気自動車のバッテリを充電する。一方,日中
整流器とインバータを用いるため,直流中間部に大容量の
の電力需要のピーク時に対して,電気自動車のバッテリに
電解コンデンサが必要となり,システムの大型化,短寿命
残存している電力を建物内に充電器を介して供給すること
化を招く。さらに,電力変換回数が多いため効率が低下す
で電力需要のピークカットをする。このような建物の電力
る。
系統と電気自動車のバッテリのインターフェース電力変換
一方で,トランス二次側にマトリックスコンバータやイ
器として,大容量の直流-三相交流変換器が有望である。大
ンダイレクトマトリックスコンバータを用いた DC-AC コン
容量電力変換器の場合,DC-AC コンバータには故障やノイ
バータが提案されている(4)-(9)。この回路は,絶縁形 DC-DC
ズに対する保護の観点からトランスによる絶縁が必要であ
コンバータとインバータを組み合わせた回路構成と比較し
る。
て,電力変換回数が少ないため高効率化が期待できる。さ
従来の商用電源周波数のトランスを用いるシステムで
らに,大容量の直流リンク電解コンデンサが不要になるた
は,回路構成が簡単で,定格出力時の効率が良いという利
め装置全体を小形化,長寿命化できる。しかし,高周波化
点がある。しかし,トランスの鉄損により低出力時の効率
により一次側インバータのスイッチング損失が増加するた
が低下する問題がある。また,トランスのシステム全体に
め,高周波化によるトランスの小型化には限界がある。そ
対する体積および重量の占める割合が非常に大きいため,
こで,これまでにスイッチング損失を低減する手法が提案
小型化,軽量化の妨げとなっている。
されている(7)-(9)。文献(7)では,双方向動作でスイッチング損
上述の問題を解決するため,従来の商用電源周波数トラ
失低減手法が提案されているが,サイクロコンバータを用
ンスよりも小型で軽量な高周波トランスを用いた DC-AC コ
いているため駆動周波数は数 kHz 程度であり,トランスの
ンバータが研究されている(2)-(9)。文献(2-3)は,バッテリの直
小型化には限界がある。文献(8)の手法では,トランスの電
流電圧を高周波インバータで交流に変換し高周波トランス
流極性を制御に用いるため電流センサが必要となる。した
1/6
がって,スイッチング周波数の高周波化に対して高速に応
Sap
答する電流センサが必要となり,高コスト化が問題となる。
Sbp
また,著者らの知る限り,多くの文献ではスイッチング
損失低減の検討はバッテリの放電もしくは充電のみの単方
向動作に限られている(8)-(10)。そのため,V2B の双方向動作
に対してスイッチング損失を低減する手法はまだ明らかに
されていない。
Cds
Cds
il
Vdc
R1 L1 N1:N2
v1
Lm
Cds
Cds
Sav
Saw
Sua
Sva
iu
Swa
vs
Sbn
San
Sau
本論文では,インダイレクトマトリックスコンバータを
U
V
W
vuv
Sub
Svb
Swb
Sbu
Sbv
Sbw
二次側に用いた絶縁型 DC-三相 AC コンバータにおいて双
Fig. 1.
方向動作でのスイッチング損失低減手法を提案する。提案
Conventional isolated DC to three phase AC
converter with matrix converter.
手法では,同一の回路構成で放電と充電動作の双方向動作
を実現し,かつ双方向動作においてスイッチング損失を低
Primary
Inverter
減する。加えて,スイッチング損失低減のための追加の受
Sap
動素子を必要せず。制御に電流極性を用いないため電流セ
方向動作でのスイッチング損失低減手法の有用性を確認し
たので報告する。
2.
絶縁型直流-三相コンバータの回路構成
Sbp
Cds
il
ンサを必要としない。試作機を用いた実機実験により,双
Secondary
Inverter
San
P
Sdp
Scp
Sup Svp Swp
Cds
Ll
N1:N2
Scn
Cds
Sbn
Cds
vlink
v2
Sdn
vac
Csnu Rsnu
N
図 1 にインバータのドレイン-ソース間容量およびトラ
A
ンスのパラメータを考慮した従来の絶縁型直流-三相コン
B
C
L U
L V
L W
iu
Dsnu
v1
Vdc
Three-phase
inverter
D
Sun Svn Swn
U
V
W
バータを示す。トランスの直流電源側を一次側,三相系統
Fig. 2. Proposed isolated DC to three phase AC converter with
側を二次側と定義する。トランス二次側にはマトリックス
IMC.
コンバータを用いる。本構成は,絶縁形 DC-DC コンバータ
Table 1. Control method.
とインバータを組み合わせた回路構成と比較し電力変換回
Control object
数が少なく,大型リアクトルや直流リンク電解コンデンサ
が不要であることから,装置の高効率化,小型化,長寿命
化を実現できる。しかし,一次側インバータと二次側のマ
トリックスコンバータでスイッチング損失を低減するため
には,追加の電流センサや受動素子が必要となる(8)。
Primary inverter
Secondary inverter
Three-phase inverter
Control method
Discharge mode
Charge mode
Rectifier
VSPS※1
Rectifier
CSPS※2
PDM
PDM
※1 Voltage Source Phase-Shift ※2 Current Source Phase-Shift
図 2 に提案する絶縁型直流-三相コンバータを示す。従
ータと二次側インバータは,放電動作と充電動作で制御方
来回路と同様にトランスの直流電源側を一次側,三相系統
法を切り替える。1)放電動作における一次側インバータ,2)
側を二次側と定義する。提案回路は一次側インバータ,絶
充電動作における二次側インバータ,3)充放電動作時の三相
縁トランス,二次側インバータと三相インバータで構成す
インバータでのスイッチング損失低減手法についてそれぞ
る。また,マトリックスコンバータを用いた従来回路と同
れ説明する。なお,放電動作での二次側インバータおよび
様に電解コンデンサを使用しないため,長寿命である。提
充電動作での一次側インバータは整流器動作として,各イ
案手法では,一次側インバータ,二次側インバータの制御
ンバータのスイッチを全オフ状態とする。
に電圧や電流の検出値などの回路パラメータを使用しな
〈3・1〉 放電動作
い。また,三相インバータに適用する PDM では,三相の電
一次側インバータ制御法
図 3 に放電動作時の一次側インバータの制御回路を示す。
圧検出値のみを用いるため制御用電流センサを必要としな
一次側インバータには位相シフト制御を適用する。まず,
い。本論文では受動素子を追加することなくトランスの漏
各スイッチの寄生容量とトランスの漏れインダクタンスを
れインダクタンスと素子の寄生容量のみを用いたスイッチ
利用した ZVS を実現する。また,三相インバータで ZVS を
ング損失低減手法を提案する。
達成するために位相シフト制御によって,トランス二次側
3.スイッチング損失低減手法
の直流リンク電圧にゼロ電圧期間を設ける。一次側インバ
ータの各キャリアの位相シフト量 1 によってゼロ電圧期間
本章では,提案回路における双方向動作の各動作におい
を調整する。また,同時にゼロ電圧期間の中心部に同期し
てスイッチング損失を低減するための制御手法について述
た CLK を生成する。この信号は三相インバータの制御に用
べる。
いる。
表 1 に回路の各部に適用する制御方法を示す。三相イン
バータは,PDM によって制御を行う。一方,一次側インバ
〈3・2〉 充電動作
二次側インバータ制御法
三相インバータは交流電圧源と系統連系リアクトルで構
2/6
成されている。したがって,系統周波数よりもキャリア周
1
波数が十分大きい場合,キャリア 1 周期中の三相インバー
0
タの出力側は直流電源と系統連系リアクトルで構成される
Carrier 1
Carrier 2
Phase delay
Carrier
1
ため,電流源と等価である。そのため充電動作において二
次側インバータは電流を連続的に流す必要があり,図 2 に
Phase delay
おいて直流リンクの PN 間を開放しないスイッチングパタ
ーンが必要である。そのため,提案手法では,二次側イン
バータにオーバーラップを設ける。
1 + p
Command
[0.5]
2
Fig. 3.
図 4 に充電動作時の二次側インバータの制御回路,図 5
+
-
Dead time
Sap
Dead time
San
+
-
Dead time
Sbp
Dead time
Sbn
+
-
CLK
Control block diagram of primary inverter
with discharge mode.
に充電動作時の二次側インバータのスイッチングと三相イ
ンバータのスイッチングを示す。二次側インバータの対向
レグのスイッチング切り替わりの前に全スイッチオン期間
を生成する。また,全スイッチオン期間かつ,トランスの
漏れインダクタンスに流れる電流がゼロの期間は直流リン
ク部の電圧はゼロ電圧となる。したがって,三相インバー
タを全スイッチオン期間中のゼロ電圧期間にスイッチング
1
0
+
-
Carrier
図 6 に二次側インバータのスイッチングとドレインソー
ス間の電圧,電流,直流リンク部の電圧を示す。それぞれ
の動作モードを説明する。
Mode 1:Scn,Sbp がターンオンすることによって,二次側
インバータの全スイッチがオン状態になる。等価電流源の
電流経路は,Scp→Scn と Sdp→Sdn の 2 つの経路になるが,漏
Sdp
2
Sdn
Phase delay
Command
[0.5]
1 + p
CLK
2
Fig. 4.
Control block diagram of secondary inverter
with charge mode.
する割合を決定する。また,放電動作時の制御と同様に全
スイッチオン期間の中心に同期する CLK を生成する。
Scn
Phase delay
させることで三相インバータの ZVS を達成できる。ここで,
位相シフト量2 によって全スイッチオン期間の 1 周期に対
Scp
2
Secondary Scp,Sdn
inverter
gate signal Scn,Sdp
U-phase
Three-phase
inverter V-phase
gate signal
W-phase
t
t
ZVS
t
ZVS
ZVS
t
れインダクタンスに流れていた電流の電流経路は
Scn→Sdp→スナバ回路となるスナバが充電される。この期間
Fig. 5.
t
Switching pattern for secondary inverter.
では,直流リンク電圧 Vlink はスナバ電圧にクランプされる。
時間は(1)式で表される。
V
Dt  1 il ................................................................ (1)
Ll
V1:一次側直流電圧,Ll:トランスの漏れインダクタンス,
il:トランス一次側に流れる電流である。なお,トランスの
励磁インダクタンスは漏れインダクタンスよりも十分大き
いため無視する。
Mode 2:漏れインダクタンスの電流がゼロになると,直
流リンク電圧はゼロとなる。本期間中に三相インバータで
バーラップの期間は(1)式から算出された漏れインダクタン
スの漏れインダクタンスの電流がゼロとなるまでの時間と
三相インバータのスイッチング時間の和よりも長くする。
Mode 3:二次側インバータ Scp,Sdn がターンオフする。こ
のとき,素子はハードスイッチングするが,素子の電圧は
0
Drain-source 400
voltage
Vcp,Vdn
Drain-source
current
Icp,Idn
t
vsnu
Drain-source
current
Icn,Idp
Fig. 6.
t
t
I/2
t
vsnu
Drain-source 400
voltage
Vcn,Vdp
vsnu
Zero voltage
period
0
I
0
トランスの漏れインダクタンスによりゼロから緩やかに上
昇するため,スイッチング損失を低減できる。等価電流源
4
1
スイッチングすることによって ZVS を達成する。直流リン
ク部の電圧がゼロ期間中にスイッチングするために,オー
3
Secondary Scp,Sdn
0
inverter
gate signal Scn,Sdp 1
漏れインダクタンスの電流がゼロになると,次のモード
に遷移する。
1 2
Mode
このとき,漏れインダクタンスの電流がゼロになるまでの
Zero voltage
period
0
I
I/2
t
Dt
0
t
Waveform of secondary inverter.
3/6
と漏れインダクタンスに流れる電流が等しくなるまでの期
間は,スナバ回路に転流し続ける。そのため,スナバ電圧
は増加する。
Output voltage
reference
vu*,vv*,vw*
Space
Vector
Modulation
3
Mode 4:等価電流源と漏れインダクタンスに流れる電流
1
0
が等価になると,スナバ回路への転流が終了する。このと
き,ドレインソース間電圧はスナバ電圧からトランス二次
SVM signal
Fig. 7.
図 7 に三相インバータの制御ブロックを示す。三相イン
バータには,空間ベクトル変調(SVM)を基にした PDM を適
用する。SVM では,電圧ベクトルを出力する際に指令ベク
トルに近接した基本ベクトルを選択し出力する。また,PDM
では一定幅のパルスの密度およびその正負で波形を形成す
る。提案制御において,この一定幅のパルスを三相インバ
ータの制御対象とする電圧とし,本論文ではこのパルスを
出力電圧波形の最小単位とする。さらに,このパルスの密
度をスイッチングで調整して出力電圧を制御する。放電動
作での一次側インバータ,充電動作での二次側インバータ
の制御により,トランス二次側の直流リンクには半周期毎
可能となる。
三相インバータで ZVS を達成するには,直流リンク電圧
のゼロ電圧期間と SVM によって選択された空間ベクトル信
号を同期させる必要がある。本方式では,SVM による選択
ベクトル信号を D フリップフロップに入力し,後述する
4.シミュレーション結果
Control block diagram of indirect matrix converter
Gate signal of Scp
1
0
1
0
Gate signal of Sdn
Drain-source voltage of Scp[V]
400
200
0
CLK の立ち上りと立ち下りの両エッジでゼロ電圧期間に同
期させ,PDM 信号を生成する。
15
10
5
0
Drain-source current of Scp[A]
20 ms
(a) Waveforms at secondary inverter with charge mode.
本章では,シミュレーションでスイッチング損失の低減
効果と双方向動作について述べる。
表 2 にシミュレーション条件を示す。実機実験と同様の
条件としてシミュレーションを行った。
図 8(a)に充電動作時の二次側インバータの Scp および Sdn
のゲート-ソース間電圧とドレイン-ソース間電圧・電流の波
形を示す。また,図 8(b)(c)にターンオン,ターンオフそれ
ぞれの拡大波形を示す。図 10 のシミュレーションでは,素
には,スイッチング素子の寄生容量とターンオフ時に素子
に流れる電流値によって電圧の傾きが決定されるため,タ
Gate signal of Scp
1
0
1
0
Gate signal of Sdn
Drain-source voltage of Scp[V]
400
200
0
子のドレイン-ソース間の寄生容量を考慮していない。その
ため,ターンオフ時の電圧は瞬時に定格電圧となる。実際
Sun,Svn,Swn
3
Double edge
detection
Element
Symbol
Value
DC voltage
Vdc
200 V
Three-phase AC voltage
vac
200 V
Carrier frequency of inverter
fc_inv
50 kHz
Carrier frequency of indirect matrix converter fc_imc
5 kHz
Turn ratio of transformer
N1:N2
1:2
Phase-shift of primary inverter
1
0.95p rad
Overlap of secondary inverter
0.95p rad
2
Interconnected inductance
L
3 mH
Rated power
3 kW
Drain to source capacitance of MOSFET
Cds
2.94 nF
Winding resistance
R1
39.0 mΩ
Leakage inductance
L1
1.63 µH
Magnetizing inductance
Lm
4.58 mH
Dead time of primary inverter
tdead1
150 ns
Dead time of three-phase inverter
tdead2
100 ns
にゼロ電圧期間が現れる。このゼロ電圧期間で三相インバ
ータのスイッチングを行うことで三相インバータの ZVS が
D-FF
Table 2. Simulation and experimental condition.
り替え時間が制御周期に対して十分長いことから,充電と
〈3・3〉 三相インバータの制御方法
3
applied to inverter.
本論文で想定しているアプリケーションでは充放電の切
題はない。
Sup,Svp,Swp
Q
CLK
CLK generator
なお,対向レグのスイッチング波形に関しても同様のス
放電動作の制御切り替えには制御の安定性の観点からは問
D
Carrier
側電圧に変化する。
イッチングであるため同様の波形となる。
3
15
10
5
0
40 ns
40 ns
Drain-source current of Scp[A]
ーンオフ時のスイッチング損失を低減できる。ターンオン
(b) Turn on of Scp.
については電流が緩やかに立ち上がることを確認できる。
Fig. 8. Principle of switching loss reduction.
(c) Turn off of Scp.
4/6
U phase voltage vu (V)
200
200
0
0
-200
0
-200
U phase current iu (A)
0
-200
-200
U phase current iu (A)
10
10
10
10
0
0
0
0
-10
-10
-10
-10
Line voltage vuv (V)
500
500
0
600
0
-500
DC link voltage vlink (V)
600
1 ms
Line voltage vuv (V)
500
500
0
-500
0
-500
200 ms
600
1 ms
-500
DC link voltage vlink (V)
600
400
400
400
400
200
200
200
200
0
0
0
(a) With discharge mode.
Fig. 9.
(b) Extended waveform of (a).
400
200
200
1
0
1
0 V-phase gate signal
1
0
W-phase gate signal
ZVS
50 ms
(a) Gate signal.
Fig. 10.
0
(c) With charge mode.
(d) Extended waveform of (c).
DC link voltage vlink (V)
400
U-phase gate signal
200 ms
Input and output waveforms of proposed converter at rated power.
DC link voltage vlink (V)
0
U phase voltage vu (V)
200
200
1 ms
Hard switching
1 ms
0
W-phase gate signal
(b) Turn on. (c) Turn off.
Waveforms of three-phase inverter with discharge mode.
ZVS
U-phase gate signal
1
0
1
0 V-phase gate signal
1
0
50 ms
(a) Gate signal.
Fig. 11.
1 ms
ZVS
1 ms
(b) Turn on. (c) Turn off.
Waveforms of three-phase inverter with charge mode.
したがって,ターンオン時もターンオフ同様にスイッチン
時それぞれの拡大波形を示す。ターンオン時は,三相イン
グ損失を低減できる。
バータで ZVS が達成される。しかし,三相インバータ側で
図 9(a)(c)より,IMC の出力電流は 50Hz の正弦波となる。
ターンオフするとトランスの漏れインダクタンスの電流値
また,充電,放電動作それぞれで U 相電圧の位相に対して
と連系リアクトルの電流値は異なるため,直流リンク部に
U 相電流の位相が反転していることが確認できる。これに
接続されているスナバ回路に転流する。その結果,転流期
より,提案回路においての双方向動作が確認できる。図
間中の直流リンク電圧はスナバ電圧にクランプされる。
9(b)(d)より,U-V 間の線間電圧 vuv は一次側インバータの位
図 11(a)に充電動作時の直流リンク電圧,U 相,V 相,W
相シフト制御によってゼロ電圧期間をもつ 50 kHz の 3 レベ
相のスイッチング指令を示す。三相インバータがゼロベク
ル電圧となる。さらに,IMC の出力電圧の大きさは,トラ
トルを出力しているとき,直流リンク電圧はゼロ電圧とな
ンス二次電圧の矩形波電圧パルスを基に PDM によってパル
る。図 11(b)(c)に図 11(a)のターンオン時,ターンオフ時それ
スの粗密が制御されている。以上のように,PDM によって
ぞれの拡大波形を示す。放電動作とは異なり,ターンオフ,
IMC の出力電圧が 50 Hz の正弦波となることを確認した。
ターンオンともに ZVS を達成することが確認できる。これ
図 10(a)に放電動作時の直流リンク電圧 vlink,U 相,V 相,
は,二次側インバータが全オン期間になっているため,三
W 相のスイッチング指令を示す。直流リンク電圧には一次
相インバータのスイッチングに関係なく自然転流するた
側インバータの半周期毎にゼロ電圧期間が現れることが確
め,スナバ回路に転流せず直流リンクのゼロ電圧が維持さ
認できる。図 10(b)(c)に図 10(a)のターンオフ時,ターンオン
れるからである。
5/6
5.実験結果
0
Gate-source voltage of Sap 25V/div
表 2 に実験条件を示す。三相系統に連系することを想定
し,出力線間電圧 vac は 200V,出力周波数 fc_imc は 50Hz とす
る。放電動作では負荷側を系統とし,充電動作では負荷側
を直流電源とする。スイッチングデバイスは,ローム社製
SiC-MOSFET(SCH2080KE)を使用する。ここで,全スイ
ッチオン期間は,(1)式および,素子のスイッチング時間の
Drain-source voltage of Sap 100V/div
0
Gate-source voltage of Sbn 25V/div
0
ZVS
和に余裕を考慮し,1 ms に設定する。また,三相インバー
タの電流の向きは図 2 に示すように系統側に流れる向きを
正と定義する。
ZVS
Drain-source voltage of Sbn 100V/div
0
400ns/div
図 12 に放電動作時の一次側インバータの Sap および Sbn
のゲート-ソース間電圧波形およびドレイン-ソース間電圧
Fig. 12.
96.0
波形を示す。定格負荷時の場合,MOSFET のドレインソー
ス間容量とトランスの漏れインダクタンスの共振によって
間電圧がターンオンしていることを確認できる。従って,
一次側インバータの両レグで ZVS を達成していることがわ
かる。図 12 の結果より,放電動作時に提案回路では一次側
インバータが両レグで ZVS できることを確認した。
図 13 に本システムの放電時の効率特性を示す。負荷 1.7
kW 時に最高効率 95.7%となる。しかし,負荷 1 kW 時では
効率が低下する。これは,負荷 1 kW 時ではトランス電流が
減少する一次側インバータの全アームで不完全 ZVS とな
り,スイッチング損失が増加するためである。
6.結論
本論文では,V2B に適用する双方向大容量絶縁形 DC-AC
コンバータの充放電動作におけるスイッチング損失低減法
を提案した。提案手法は,一次側インバータでは位相シフ
ト制御,二次側インバータではスイッチングパターンに全
オン期間を組み込むことにより,直流リンク部にゼロ電圧
期間を生成した。一定周期で出力されるパルスに対して三
相インバータを PDM 制御することで ZVS を達成する。ま
た,同時に一次側インバータ,二次側インバータでは素子
の寄生容量やトランスの漏れインダクタンスを用いてスイ
ッチング損失を低減した。シミュレーションにより,双方
向動作かつスイッチング損失が低減されることを確認し
た。実機検証の結果より,放電時に最大効率 95.7%を得られ
ることを確認した。
文
献
(1) 久村 春芳: “スマートグリッドと連携した電気自動車(EV)の
技術動向”, 情報処理, vol54, no.4, pp.310-315, (2013)
(2) Hisaichi Irie, Shoshi Takashita, Humiya Kimura, Masaki
Eguchi, Kozo Hiyoshi: ”Utility Interactive Inverter Using
Immittance Converter” T.IEE Japan, Vol. 120-D, No.3, 2000,
pp.410-416 (2000)
(3) Satoru Inakagata, Susumu Kobayashi, Akira Baba, Hirofumi
Matsuo, Masayuki Suetomi: “Efficiency Improvement of AC/DC
Power Station ” ,pasasonic Electric Works technical report,
Vol.59,No.3,pp.4-11 (2011)
95.5
Efficiency (%)
ドレイン-ソース間電圧が 0 V に降下した後,ゲート-ソース
Waveforms at primary inverter with discharge mode.
95.0
94.5
94.0
93.5
Fig. 13.
0
1000
2000
Output power (W)
3000
Efficiency characteristics with discharge mode.
(4) Katsuhisa Inagaki, Shigeru Okum: “A High Frequency Link
DC/AC Converter using a Three-Phase Output PWM Controlled
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