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株式会社ニコン
株式会社ニコン HP BladeSystem が提供する付加価値の高い機能と 仮想化テクノロジー「Hyper-V」を利用して、 汎用生産管理システムプロジェクトを推進 精機・映像・インストルメンツの 3 つの事業領域を中心に、 「信頼と創造」を企業理念に掲げ、 世界をリードする株式会社ニコン。同社では現在、国内外のグループ企業の連携と、変化 への対応力強化を目的に、SAP ERP を核とする汎用生産管理システムの構築に取り組ん でいる。そこで HP は豊富な SAP ERP 構築ノウハウと最新のプラットフォーム、仮想化テク ノロジーをベースに、 「シングルインスタンス・マルチサイト」の環境を実現。ハードウェアと システムの両面から、積極的な支援を行っている。 目 的 ・ SAP ERP による生産管理システムの標準化 ・ スピード経営およびグローバル連結の強化 ・ 「シングルインスタンス・マルチサイト」環境の実現 ・ 生産管理システムのハードウェアおよび運用コストの削減 ・ 仮想化によるサーバ統合、可用性およびシステム柔軟性 の向上 株式会社ニコン システム本部 情報システム部 第二システム課 マネジャー 坂口 洋哉 氏 アプローチ ・ Microsoft Windows Server 2008 の 仮 想 化テクノロ ジー「Hyper-V」を利用して、開発環境と品証環境を仮想 環境で構築 ・ サーバには柔軟かつ拡張性に優れたシステム構築に最適 な HP BladeSystem を採用 ・ HP SAP コンピテンスセンターの技術・ノウハウに基づく、 サーバ構成の最適化 ・ HP が提供する integrated Lights-Out(iLO)によるリモー ト管理の実現 ・ HP バーチャルコネクトによる高可用性の実現 株式会社ニコンシステム 第 4 システム本部 第 4 開発部 加藤 直孝 氏 ・ パートナー、ベンダーが一体となった提案およびサポート 体制 システムの効果 ・ 導入コストを 5 分の1、サーバ台数を 3 分の 1 に削減 ・ 柔軟なテストプロセスの実現、容易な教育・研修環境の構築 ・ リモート管理に伴うサーバ運用の TCO 削減やサービスの 可用性向上 ・ トラブル発生時の迅速なリカバリ ビジネスへの効果 ・ 「シングルインスタンス・マルチサイト」環境による TCO の 削減 ・ 仮想化に関するノウハウを他のプロジェクトにも展開 システムと業務プロセスの標準化を目的に 変化対応力に富んだ生産管理システムを志向 ニコンは、最先端のデジタルカメラやアクセサリーなどを提供 する映像事業、半導体露光装置や液晶露光装置などの超精密 技術を提供する精機事業、各種顕微鏡や半導体検査装置など 高精度な測定技術を追求するインストルメンツ事業に加えて、 望遠鏡、メガネレンズ、カスタムプロダクツなど、コンシューマ 向け・産業向けの両方で多彩なビジネス領域を有する。世界トッ プクラスの製品を次々と発表する中で、同社は生産体制の拡 充に向けて、将来を見越した事業分社化、海外生産拠点の強化 といった経営革新に取り組んでいる。 こうした中で、現場のニーズに応じて拡張されてきた従来の生 産管理システムでは、次第にデータの定義・コード体系といった 整合性確保が困難になると同時に、経営ニーズや時代の変化 への対応を強く求められるようになってきた。特にデジタルカ メラに代表される製品群は、アクセサリーを含めて多種多様な バージョンがあり、商品ライフサイクルも短期化する傾向にあ る。そのため、製品開発期間の短縮、生産工程の効率化、製品 のタイムリーな市場投入が行えるように、プロダクトライフサ イクルマネジメント(PLM)を最適化していく必要性に迫られて いた。 また、システムの移行を実施する際にも問題が生じていた。た とえば、ある子会社で作っていた製品を海外の他の拠点で量産 しようという場合に、同じようなシステムを使っていてもデータ の構造が異なるため、準備に時間を要する場合があったのだ。 このような課題に対応し、グローバル規模で競争優位を確保し そこで導入パートナーを務める三井造船システム技研株式 ていくためには、生産管理システムの再構築が必要だった。そ 会社( MSR )に、抜本的な解決策を依頼した。MSR の提案は、 こで同社では 2007 年 10 月から、次世代生産管理システムの サーバの仮想化によって SAP システムにおけるサーバの筐体 検討を開始。綿密な準備を踏まえて、翌年 10 月、SAP ERP を を減らし、大幅なコスト圧縮を図るというものだった。具体的 核とする新たな汎用生産管理システムの構築プロジェクトを発 には、同社がサーバ OS として採用を決めていた Microsoft 足させた。このプロジェクトを発案、推進しているシステム本部 Windows Server 2008 に標準実装されている仮想化テク 情報システム部 第二システム課 マネジャーの坂口洋哉氏は、 ノロジー「 Hyper-V 」を利用して、本番・開発・品証と 3 ランドス 検討のポイントを次のように語る。 ケープが求められる SAP システムの開発環境と品証環境を仮 三井造船システム技研株式会社 「キーワードは、システムおよび業務プロセスの標準化でした。 想環境で構築する。MSR 基幹ソリューション事業部 IT サービ 基幹ソリューション事業部 J-SOX など内部統制への対応、業務の連携性・スピードの向上、 ス部の福山健治氏は当時を次のように振り返る。 IT サービス部 福山 健治 氏 グローバルでの連携強化および経営の可視化、予算実行管理、 「当社は 2008 年 7 月よりHyper-V を利用した SAP システムの 近い将来に必須となる国際会計基準への対応などミッションは 構築について、社内検証を実施し、十分に実現できると考えて 多岐にわたりますが、その前提として、システムの刷新が不可 いました。また、今回のプロジェクトではアプリケーションサー 欠だったのです」 バにWindows Server 2008、データベースにMicrosoft SQL Server 2008 を採用する方針だったので、サポート窓口を 1 本 Hyper-V の仮想テクノロジーを活用し、 化するという意味でも、Hyper-V の採用が適切だと考えました」 コスト削減を図りながら、当初の計画を推進 1 台 の 物 理マシン上に複 数 の 仮 想マシンを構 築し、異なる 計画の立案からプロジェクトの実施に至る 3 年間には、社会・ サービスを実行できる仮想化は、全社的にサーバ統合を推進 経済環境も大きく変化している。それでも絶えざる革新に挑 しているニコンの方針にも合致した。 戦し、時代の変化に屈しない“強いニコン” を定着させるため、 継続的な成長に向けた体制づくりの一環としてプロジェクト シングルインスタンス・マルチサイトシステム構築に、 の位置付けが変わることはなかった。しかしグローバル規模 柔軟性に優れた HP BladeSystem を採用 の激しい競争の中で、プロジェクトのコスト管理はこれまで以 今 回 のプロジェクトでは、国 内および海 外 の 拠 点を対 象に 上に重要となる。想定される物理サーバ構成について試算し 「シングルインスタンス・マルチサイト」というコンセプトに基 てみると、予算をはるかに超えており、削れる要素を抽出して づきシステムを構築している。生産管理システムに加え、導入 も予算内に収めることは不可能と思われた。 済みの財務会計( FI )の SAP モジュールをデータセンターの 仮想化サーバ構成 HP BladeSystem c-Class 本番環境 品証環境 SAP ERP 品証機 SAP ERPプロト機 本番機:汎用生産 HP ProLiant BL680c CPU: インテル Xeon プロセッサー Hyper-V ※必要に応じて仮想 サーバを増設予定 E7450 x 4( 4P/24C ) Memory: 56GB HDD: 146GB x 2 仮想環境 SAP ERP 開発機 HP StorageWorks SB40c HDD: 146GB x 6 HP ProLiant BL680c CPU: インテル Xeon プロセッサー E7450 x 2( 2P/12C ) Memory: 56GB HDD: 146GB x 2 SAP ERPデモ機 SAP Solution Manager 開発機 本番機:汎用生産(待機) HP ProLiant BL680c CPU: インテル Xeon プロセッサー E7450 x 2( 2P/12C ) Memory: 56GB HDD: 146GB x 2 開発環境 HP StorageWorks 4400 Enterprise Virtual Array インスタンス内に統合。生産管理から発生した仕訳を直接、 のマシンで検証用の環境を用意していたが、これも仮想サー 財務会計にリアルタイムに連携するためである。 バに展開することで容易に解決できる。 「シングルインスタンス・マルチサイト」を実現するためには、 運用管理における負荷軽減も見逃せない。シングルインス 確かな性能と可用性、信頼性を備え、かつ仮想化のメリット タンス・マルチサイト運 用を実 現したことにより、各 拠 点が を最大化できるハードウェアが必要になる。そこで同社が着 別々に管理していたサーバが、データセンター内のオペレー 目したのが、拡張性・柔軟性に優れた HP BladeSystem だ。 ションセンター 1 カ所に集約された。この結果、監視要員の削 HP の ハードウェアは SAP のシステムで 高 い 導 入 実 績を誇 減とともに、ツールを活用して監視のバリエーションも増やす り、その構築ノウハウは豊富に蓄積されている。さらに HP ことができた。 SAP コンピテンスセンターにおいては仮想化技術に関する 評価・検証を実施しており、SAP システムにおける各仮想化ソ リモート管理と高可用性の実現に向けて リューション使用時のリソースオーバーヘッドなど、技術的情 HP のソリューションを積極的に活用 報も蓄積されている。こうした取り組みを踏まえ、ハードウェ 仮想環境において懸念されるのは、I/O のボトルネックであ ア・SAP ERP 構築ノウハウ・サーバ統合・仮想化技術という4 つ る。これについて同社では、1 つのネットワークカードに対し の観点から、HP が最適なプラットフォームベンダーとして選 て、3 ∼ 4 の仮想 OS を実装するように分散させたり、I/O 系の 定された。 ファイバーチャネルを確保するなど、可能な限り遅延が生じな 「これまでの 手 厚 い サポートに対する信 頼に加えて、HP の い構成を工夫している。 「大井事業所から都外のデータセン サーバには実績があったため、安心感がありました。データ ターにリモート接続してテストを繰り返していますが、ボトル センターに設置する上での重さや発熱量制限、といった条件 ネックはほとんど感じられません」 ( 加藤氏) においても、HP BladeSystem は当社の要件を問題なくクリ シングルインスタンス・マルチサイト運用のメリットを追求して アしましたし、最終的にはブレードサーバとしての管理性など いく中で、HP ならではの提案もあった。1 つは、リモート管理 の高度な機能が決め手になりました」 ( 坂口氏) を実現する integrated Lights-Out( iLO )である。iLO は、HP の ProLiant サーバの一部機種に標準装備されているリモート 導入コストは 5 分の1へ 管理用コントローラで、管理者の Web ブラウザ上にシステム テストプロセスの柔軟性も確保 の画面を表示し、遠隔地からのキーボードやマウス操作を可 Hyper-V による仮想化のもと、ニコンの汎用生産管理システム 能にする。また、制御がハードウェアベースで行われるため、 プロジェクトは順調に推移している。特にコスト面においては、 システム起動時のメモリチェックから OS のインストールまで 大幅な圧縮を実現した。 「当初の試算と比較すると、5 分の1の導入コストとなり、サーバ 台数も 3 分の 1に削減できました。いくつかのモジュール導入を 遠隔地から実施できる。サーバ管理者がデータセンターへ急 行する機会も減り、サーバ運用の TCO 削減やサービスの可用 性向上につながると期待されている。 先送りしたのでその分も対象となっていますが、それにしても、 「リモート管理を行う上で、iLO をはじめとするブレードサーバ 仮想化によってこれほどコストを削減できるのは驚きでした。こ のリモート管理機能を存分に活用しています。ペアレント側に れも、テクノロジーの進化の恩恵だと実感しています」 (坂口氏) ついては、大井事業所から OSリカバリができるように、現在、 もちろん、仮想化のメリットはコストだけにはとどまらない。同 手順書を作成しているところです」 ( 福山氏) 社システムの運用管理を担う株式会社ニコンシステム 第 4 シ もう1 つの提案は、シングルインスタンス・マルチサイト環境な ステム本部 第 4 開発部の加藤直孝氏は、 「テストプロセスが らではの可用性を追求していくための施策である。可用性を 柔軟になったことで、システムの品質も高めていくことができ 追求してクラスタ構成にしていくと、3 ランドスケープの SAP るはず」と語る。SAP システムを拡充していく際には、プラッ システムではサーバ数の増加が必須となる。そこで、クラス トフォーム関連のテストが重要な意味を持つ。しかし、実際に タ以外に可用性を追求する方法を HP に相談したところ、 「 HP は本番機はもちろん、品証機も開発機もそれぞれ独立した専 Virtual Connect」で解決することが判明した。ブレードシステ 用マシンとして稼働している。そのため、パラメータなどを変 ムにおけるネットワークの仮想化により、柔軟で利便性の高い 更して稼働を確認する際にも、従来は代替マシンを用意して システムを実現する技術である。従来ならば、トラブルが発生 テストを実施するために時間・コストを費やす必要があった。 したシステムは、他のサーバにコピーして立ち上げなければな それが仮想環境では、仮想サーバ上で容易にできるようにな らなかったが、今ではボタン 1 つで本稼働システムから待機シ る。また、新しい事業部で SAP を導入した際に、これまでは別 ステムへ、迅速にシステムを切り替えることが可能になった。 パートナーやベンダーの支援のもと、順調に進んでいる汎用 生産管理システムプロジェクトは、2009 年 10 月に最初のサイ トで本稼働を迎える。そして 2012 年までに、残りのサイトを 順次カットオーバーしていく予定だ。この他にも、同社ではさ まざまな SAP プロジェクトが進行しており、今回のプロジェクト で蓄積したノウハウを活かす機会は多い。 「最新バージョンの Hyper-V 2.0 ではスケーラビリティが向上しており、ペアレント OS 側におけるコア数が 64 になっています。今後、チャイルド パーティション側で設定できるコア数が増えていけば、案件に よっては本番環境での活用も視野に入れています」 (福山氏) ニコンが今回のプロジェクトから得る仮想化のメリットは、限 りなく大きい。 お問い合わせはカスタマー・インフォメーションセンターへ 03- 6416-6660 月∼金 9:00 ∼ 19:00 土 10:00 ∼ 17:00(日、祝祭日、年末年始および 5/1 を除く) HP SAP 製品に関する情報は http://www.hp.com /jp/sap 本カタログは、環境に配慮した用紙と 植物性大豆油インキを使用しています。 記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は 2009 年 6 月現在のものです。 本カタログに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。 © Copyright 2009 Hewlett - Packard Development 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