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筑波大学事業結果報告書 (PDF:972KB)
「周産期医療に関わる専門的スタッフの養成」事業結果報告書 大 学 名 筑波大学 取 組 名 称 地域と大学の連携による周産期医療人材育成事業 -地域全体を対象とした専門教育プログラムと育児支援を目指して 取 組 期 間 平成21年度 ~ 平成25年度 (5年間) 事業推進責任者 Webサイト 総合周産期母子医療センター副部長 小児科教授 須磨崎 亮 http://www.s.hosp.tsukuba.ac.jp/chd/ucptpc/index.html 取 組 の 概 要 「 新 し い 教 育 プ ロ グ ラ ム の 開 発 」「 育 児 支 援 ・ 勤 務 継 続 支 援 」「 県 内の周産期医療の向上」の 3 つの目標を掲げて本事業を行った。教 育面では医学生から専門研修医まで幅広い層に魅力的な研修プログ ラムを整備した。例えば,医学生にシミュレーターを活用し,新生 児蘇生法講習会を開催するなど実践的な教育を行った。また研修医 を対象に大学のリソースを上手に活用して,地域の基幹病院で研修 中も世界標準の教育を受けられるコースを新設し,地域医療の向上 にも役立てた。育児支援では、通常の保育園ではカバーしきれない 緊急診療時や学会開催時のベビーシッター雇用や近隣の病院と合同 で病児保育事業等を行った。これらの取組により,事業期間中に小 児 科 ,産 婦 人 科 ,小 児 外 科 を め ざ す 初 期 / 後 期 研 修 医 が 60 名 と 大 幅 に増加し,出産を機に常勤職を辞す医師はいなくなった。寄付講座 やバースセンター開設,地域基幹病院における産婦人科医療の再開 などの成果も得られた。 取組の実施状況等 Ⅰ.取組の実施状況 (1 )取 組 の 実 施 内 容 に つ い て ・周産期医療分野の次代を担う若手医師に対する 教育支援・人材養成 教育プログラムの作成にあたっては, ① 世界標準の教育内容を重視し,客観的な成 果が測り易い内容とする。 ② 大学のみならず,地域の基幹病院でも実施 できるように配慮し,若手医師のモチベー ションが上がり易いプログラムとする。 の 2 点 を 重 視 し た 。医 学 生 か ら 後 期 研 修 医 ま で , 各 段 階 に 応 じ た 10 個 の プ ロ グ ラ ム を 作 製 し た 。 高 機 能 シ ミ ュ レ ー タ を 使 っ た PA L S 教 育 (具体的な実施例) ・ 新 生 児 蘇 生 法 講 習 会( NCPR),米 国 の 小 児 救 急 プ ロ グ ラ ム ( PALS ・ APLS ) 等 を 積 極 的 に 取 り 入 れ , 一 部 では e ラーニング教材も作成した。 ・ APLS は 日 本 で 導 入 さ れ て い な い た め , 大 学 と 地 域 基幹病院の若手指導者を米国の講習会に派遣した。 ・シミュレーターを活用した実践的教育を行った。 1 米 国 で の APLS 講 習 会 の 様 子 ・女性医師等の勤務継続支援・復帰支援のための取組 産科・小児科医は女性医師の割合が高く,勤務継続 のための育児支援は必須である。このため,保育園で カバーできない部分について細やかな育児支援を行 っ た 。ま た ,育 児 終 了 後 の 医 師 の 常 勤 復 帰 の た め に 短 期 間 の NICU 研 修 を 行 っ た 。 (具体的な実施例) ・時間外,休日,学会開催時のベビーシッター雇用 隣接病院との病児保育共同運用 ・近隣病院と合同で病児保育を行うことで運営費用の削減を図った ・医師の過重労働の軽減に向けた取組 新 生 児 ・ 小 児 領 域 の 診 療 を 合 理 化 し ,医 療 安 全も高めるために小児薬用量に特化した薬剤 投 与 量 計 算 ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 開 発 し ,県 内 の 病 院 で 共 同 利 用 し た 。ま た ,周 産 期 領 域 の 医 師 の待遇改善に努めた。 開発した薬剤投与量計算アプリケーション ・地域医療や地域の医師不足対策に向けた取組 地 域 全 体 の 周 産 期 医 療 水 準 を 向 上 さ せ る 為 に ,① 初 期 研 修 ,後 期 研 修 と も 大 学 と 地域病院を循環する研修制度の確立,②地域基幹病院の指導能力を向上させるた めに,シミュレーターの貸出し,大学と地域基幹病院の指導者の合同研修の実施, ③茨城県立こども病院への寄付講座開設,地域基幹病院での産婦人科医療再開, 県内総合周産期母子医療センターの連携強化等の取組を行った。 ・その他特色ある事業 小 児・周 産 期 医 療 は 医 師 だ け で は 行 え ず ,多 職 種 の 育 成 も 重 要 な 課 題 で あ る 。こ の為,助産師・看護師・医療保育士等の教育プログラムも作成・実施した。また, 病 院 前 後 で 小 児・周 産 期 医 療 を 支 え る 救 急 隊 ,地 域 保 健 福 祉 専 門 職 へ の 研 修 会 等 も 行った。 救急隊への病院前周産期救急教育 助産師キャリアアッププログラム (2 )取 組 の 実 施 体 制 に つ い て 総 合 周 産 期 母 子 医 療 セ ン タ ー に「 周 産 期 キ ャ リ ア サ ポ ー ト 室 」を 設 置 し 事 業 を 統 括 した。 ま た ,事 業 推 進 の た め に , 「 学 群・研 修 医・専 門 医 等 専 門 教 育 」 「新生児救急蘇生法 教 育 」「 PALS 教 育 設 立 ・ 運 用 」「 看 護 ・ 助 産 教 育 」「 医 療 保 育 士 養 成 ・ 病 児 保 育 共 同 運 営・検 討 」 「育児支援運営検討」 「 地 域 I T 環 境 開 発 」の 事 業 推 進 チ ー ム と「 管 理 運 営 支援チーム」による運営支援体制を構築した。 学 内 及 び 地 域 連 携 と し て ,茨 城 県 周 産 期 医 療 協 議 会 を 設 立 。事 業 評 価 委 員 会 や 地 域 2 に お け る 連 携 を 行 う と 共 に , 県 内 の 小 児 ・ 周 産 期 中 核 13 病 院 が 連 携 し て 推 進 し た 。 (3 )地 域 ・ 社 会 へ の 情 報 提 供 活 動 に つ い て 基 本 情 報 は ,事 業 専 用 ホ ー ム ペ ー ジ に て 情 報 の 提 供 を 実 施 し た 。ま た ,事 業 パ ン フ レ ッ ト 三 種 ,小 児 科・小 児 外 科・産 婦 人 科 向 け の 事 業 ポ ス タ ー や パ ン フ レ ッ ト を 作 成 し ,事 業 の 周 知 と 医 療 人 材 の 獲 得 活 動 を 実 施 した。 成果等については,アニュアルレポート, 最終事業報告書による事業成果の紹介の他, 茨 城 県 内 に 対 し て は 小 児・周 産 期 医 療 ,小 児 救 急 医 療 ,小 児 在 宅 医 療 の シ ン ポ ジ ウ ム ,市 民 公 開 講 座 の 他 ,新 生 児 蘇 生 法 講 習 会 な ど の 専門研修を地域の連携施設に開放すると共 に ,一 部 は 観 覧 可 能 な 公 開 型 で 実 施 し ,情 報 アニュアルレポート 最終事業報告書 提 供 に 努 め た 。ま た ,全 国 に 向 け て は 周 産 期 医療に関わる専門的スタッフの養成事業に 採 択 さ れ た 全 国 18 拠 点 に よ る 合 同 公 開 フ ォ ー ラ ム を 実 施 し ,情 報 の 発 信・共 有 に 努 め た 。 ・主なメディアへの掲載等 朝日新聞,毎日新聞,日本経済新聞, 茨城新聞,常陽リビング つくばテクノロジーショーケース出展 後期研修医募集ポスター ACCS(つくばケーブルテレビ) 文部科学時報 Ⅱ.取組の成果 ・事業申請時の到達目標とその達成状況(成果の概要) (1)数値目標の達成状況を示す(目標⇒成果) 産 科 ・ 小 児 科 等 周 産 期 領 域 を 希 望 す る 研 修 医 ( 初 期 ・ 後 期 各 ) 25 人 以 上 ⇒ 初 期 研 修 医 小 児 科 26 人 , 産 婦 人 科 2 人 ⇒ 後 期 研 修 医 小 児 科 27 人 , 産 婦 人 科 11 人 , 小 児 外 科 4 人 母体・胎児専門医 3 人以上 ⇒専門医取得数 5 人 3 新生児専門医 5 人以上 ⇒専門医取得数 5 人 医療保育専門士 2 人以上 ⇒専門士取得数 1 人 復 職 す る 医 療 ス タ ッ フ 25 人 以 上 ⇒ 医 師 14 人 , 看 護 師 ・ 助 産 師 16 人 新 生 児 蘇 生 法 講 習 修 了 者 250 人 以 上 ⇒ A・ B・ I コ ー ス 合 計 1,024 人 PALS プ ロ バ イ ダ ー 25 人 ⇒ プ ロ バ イ ダ ー 63 人 NCPR・ PALS イ ン ス ト ラ ク タ ー 3 人 以 上 ⇒ イ ン ス ト ラ ク タ ー 75 人 (2)その他の申請書の記載と達成状況を示す 「 本 プ ロ グ ラ ム を 実 施 す る こ と に よ り ,茨 城 県 内 で 勤 務 す る 周 産 期 医 療 従 事 者 が 飛 躍 的 に 増 加 し ,一 人 一 人 の 負 担 が 軽 減 さ れ る 。ま た ,地 域 の 一 般 病 院 で は ,医 療 従 事者が在職したままいろいろな専門教育コースを受けられるので極めて好都合で あ り ,本 事 業 終 了 後 も 教 育 プ ロ グ ラ ム の 継 続 要 望 が 強 い と 予 想 さ れ る 。地 域 に 開 か れ た 専 門 教 育 プ ロ グ ラ ム と 地 域 共 通 の I T 環 境 整 備 に よ っ て ,茨 城 県 の 周 産 期 医 療 体 制 も 大 幅 に 向 上 す る 。さ ら に 資 格 修 得 な ど 実 践 的 な 目 的 を 明 確 に し た 世 界 標 準 の 新 し い 教 育 シ ス テ ム の 効 果 を 全 国 に 発 信 す る こ と に よ り ,周 産 期 領 域 の 人 材 育 成 法 の改善に大きく貢献すると期待される。 一 方 ,筑 波 大 学 で は 3 年 後 の 新 病 棟 移 転 を 控 え て ,新 生 児 病 床 数 を 大 き く 増 床 す る の で 関 連 す る 医 療 ス タ ッ フ の 養 成 が 必 須 で あ る 。ま た 助 産 師 外 来 な ど の 拡 張 を 通 じ て 、 将 来 の 院 内 助 産 所 開 設 の 可 能 性 を 検 討 で き る 。」 ⇒ 事業期間内に茨城県内に増加した医師 小 児 科 医 26 名 , 産 婦 人 科 医 11 名 , 小 児 外 科 医 4 名 筑波大学における病棟保育士増加 4 名 地 域 で 開 催 し た 教 育 コ ー ス , 研 修 会 等 の 数 152 回 共通IT環境の整備 P A L S , A P L S の 教 材 開 発 と e-learning の 推 進 茨 城 県 小 児 地 域 医 療 寄 付 講 座 の 設 立 へ の 人 材 活 用 ( 平 成 24 年 度 ) つ く ば 市 バ ー ス セ ン タ ー( 寄 付 講 座:助 産 師 と 医 師 に よ る 院 内 助 産 所 )の 設 立 へ の 人 材 活 用 ( 平 成 25 年 度 ) ○具体的な成果 (1)教育面での成果 ・教育プログラム・コースの受入状況 医学生への実践的な臨床教育(学群教育) 産科特別初期研修プログラム 小児科特別初期臨床研修プログラム 小児科・救急プログラム(初期研修) 小児科専門医プログラム(後期研修) 産婦人科専門医プログラム(後期研修) 小児科専門エキスパートプログラム 産科専門エキスパートプログラム 新 生 児 蘇 生 法 ( NCPR) 教 育 コ ー ス PALS/APLS教育コース 周産期看護教育プログラム 助産師キャリアアッププログラム 医療保育士養成コース 4 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 受入人数 2,733 00002 00013 00041 00079 00024 00054 00041 00027 00031 00112 00080 00004 名(延べ) 名 名 名 名 名 名 名 名 名 名 名 名 ・専門医等取得の状況(事業期間中計) 小 児 科 専 門 医 20 名 , 産 婦 人 科 専 門 医 15 名 , 小 児 外 科 専 門 医 4 名 /指 導 医 1 名 周産期(新生児)専門医 3 名,周産期(母体・胎児)専門医 5 名 小 児 循 環 器 専 門 医 2 名 ,循 環 器 専 門 医 1 名 ,血 液 専 門 医 2 名 ,が ん 治 療 認 定 医 2 名 ,小 児 血 液・が ん 暫 定 指 導 医 2 名 ,小 児 神 経 専 門 医 1 名 ,小 児 心 身 医 学 認 定 医 1 名 /指 導 医 1 名 ,小 児 精 神 神 経 認 定 医 1 名 ,臨 床 遺 伝 専 門 医 2 名 ,移 植 認 定 医 2 名 ,感 染 症 暫 定 指 導 医 1 名 ,肝 臓 専 門 医 1 名 ,婦 人 科 腫 瘍 専 門 医 1 名 ,日 本 性 感 染 症 学 会 認 定 医 1 名 ,国 際 認 定 ラ ク テ ー シ ョ ン・コ ン サ ル タ ン ト 1 名 ,細 胞 診 専 門 医 5 名 , 外 科 専 門 医 2 名 /指 導 医 2 名 , 日 本 泌 尿 器 科 学 学 会 認 定 医 1 名 , 日 本 が ん 治 療 認 定 医 機 構 暫 定 教 育 医 1 名 ,新 生 児 蘇 生 法 講 習「 専 門 」コ ー ス イ ン ス ト ラ ク タ ー 81 名 , 医 療 保 育 専 門 士 1 名 (2)医療環境面での成果 ・女性医師等の勤務継続支援・復帰支援の状況 本 事 業 開 始 後 ,出 産 し た 全 女 性 医 師 が 常 勤 復 帰 し た 。ま た ,子 育 て の た め 数 年 のブランクを経て 4 名の女性医師が常勤復帰した。 常 勤 復 帰 医 師 ( 非 常 勤 か ら 常 勤 へ の 復 帰 を 含 む ) 実 人 数 14 名 , 常 勤 復 帰 看 護 師 ・ 助 産 師 16 名 , 新 た な 病 棟 保 育 士 雇 用 4 名 , 育 児 休 業 取 得 者 数 18 名 ・医師の過重労働の軽減のための取組状況 ◇保育施設の整備 病 児 共 同 保 育 整 備 実 利 用 数 25 名 ベ ビ ー シ ッ タ ー 型 育 児 支 援 シ ス テ ム の 構 築 と 運 用 実 利 用 数 20 名 一 時 預 か り ( 時 間 外 や 学 会 開 催 時 ) 保 育 実 利 用 数 126 名 学内保育所の運用 新規整備 1 か所 ◇指導手当の新設 周 産 期 医 療 指 導 医 手 当 の 新 設 と 運 用 ( 延 べ 186 名 ) ・研修会,講習会の開催状況 教育講演 開 催 回 数 35 回 参 加 人 数 延 べ 2,672 人 PALS・APLS講習会 開 催 回 数 16 回 参 加 人 数 延 べ 00149 人 新生児蘇生法講習会 開 催 回 数 52 回 参 加 人 数 延 べ 1,020 人 妊婦の超音波講習会 開 催 回 数 06 回 参 加 人 数 延 べ 00082 人 胎児心拍心電図講習会 開 催 回 数 03 回 参 加 人 数 延 べ 00104 人 母乳育児支援勉強会 開 催 回 数 08 回 参 加 人 数 延 べ 00899 人 小児周産期救急関係講習会 開 催 回 数 09 回 参 加 人 数 延 べ 00484 人 医 療 保 育 関 係 講 演 会 ・ 研 修 会 開 催 回 数 08 回 参 加 人 数 延 べ 00260 人 5 ・地域医療への貢献状況 以下の図に,期間中に増加した医師数を示す。 ・社会への情報提供を目的としたフォーラム開催状況 市民公開講座 開催回数 5 回 公開型専門教育研修 開催回数 1 回 事業フォーラム 開催回数 1 回 18拠点合同フォーラムの主催 開催回数 1 回 茨城小児救急シンポジウム 開催回数 1 回 茨城小児在宅医療シンポジウム 開催回数 1 回 参加人数 参加人数 参加人数 参加人数 参加人数 参加人数 455 100 079 103 051 069 人(延べ) 人 人 人 人 人 ○本取り組みが学内外に与えた波及効果 茨城県立こども病院に寄付講座開設,つくば市バースセンター開設,地域基幹 病院での産婦人科医療の再開等の大きな成果が得られた。また,充実した育児支 援策を求めて女性医師の転入,医師・看護師の復職等の効果が得られた。 Ⅲ.評価及び改善・充実への取組 ○本事業の評価体制 関 連 病 院 ,茨 城 県 ,茨 城 県 看 護 協 会 ,本 事 業 の リ ー ダ ー・サ ブ リ ー ダ ー に よ り 構 成 す る「 茨 城 県 周 産 期 事 業 協 議 会 」に よ り 外 部 事 業 評 価 を 実 施 。ま た ,研 修 会 や 育 児支援にはアンケートを都度実施し,レビューに努めてきた。 ○主な事業評価 茨城県周産期事業協議会評価 実践的な目標を明確にした資格取得型の教育コースの設置 4.3点/5点 地域に開かれた小児周産期医療に関する教育活動 4.1点/5点 ニードの高い病児保育、長時間保育、育児応援スタッフの共同利用 4.3点/5点 6 主な意見等 ・地 域 医 療 機 関 で の 臨 床 経 験 が 出 来 る ,あ る い は 必 須 と な る よ う な 制 度 設 計 が 必 要 で は な い か 。そ の 為 に 地 域 医 療 機 関 で の 指 導 研 修 体 制 の 強 化 が で き る よ う な 取 組 みが必要。 ・大 学 有 す る 多 く の 人 材 を 活 用 し 各 事 業 に 取 り 組 み ,学 内 で の 成 果 が あ が っ て い る と 考 え ら れ る 。こ れ か ら は ,他 の 医 療 機 関 等 ,地 域 に 広 が る よ う 工 夫 を さ れ た い 。 ○取組の達成度や成果を測る方法 講 演 会 ,研 修 会 ,育 児 支 援 利 用 に は 必 ず ア ン ケ ー ト を 添 付 し ,事 業 推 進 の 様 子 や 改 善 点 な ど の モ ニ タ リ ン グ に 利 用 し た 。ま た ,当 初 に 定 め た 目 標 数 値 ,毎 年 度 策 定 する計画に対する目標数値についてもモニタリングを実施してきた。 ○改善と充実のための方策と実施 目標の達成ができるよう事業推進委員会や事業のメーリングリストによる周知, 情 報 交 換 を 進 め て き た 。参 加 人 数 や 専 門 医 取 得 等 の 人 数 は 学 内 の 関 係 機 関 と も 協 力 し な が ら 情 報 収 集 に 努 め ,一 部 は ホ ー ム ペ ー ジ で 公 開 を し て き た 。こ の よ う な ピ ア レ ビ ュ ー や 周 産 期 医 療 協 議 会 に よ る 外 部 評 価 か ら の 意 見 を 参 考 に 改 善 を 進 め た 。特 に,協議会からの提案を受け広報活動に注力した。 ○中間評価における指摘事項とその対応 「 海 外 視 察 や 機 器 の 購 入 等 に つ い て ,本 事 業 に 対 す る 効 果 を 明 確 に す る と 、さ ら に 他の大学の取り組みに参考になるのではないか」 【対応】 海 外 視 察 の 目 的 は 本 邦 で 実 施 さ れ て い な い ,米 国 の PALS/APLS の イ ン ス ト ラ ク シ ョ ン に つ い て 学 ぶ こ と で あ っ た 。視 察 以 降 ,実 際 の 教 育 プ ロ グ ラ ム を 構 築 し 試 行 を 進 め て い る 。 こ う し た 取 り 組 み を 積 極 的 に HP に 公 表 し , ま ず は 県 内 病 院 か ら 教 育 事業を推進し,小児科の教育プログラムの一つとして確立している。 ま た ,本 事 業 の 柱 で あ る 育 児・継 続 就 業 支 援 環 境 の 構 築 の た め に ,日 独 シ ン ポ ジ ウムでの本事業の発表ならびにボン大学附属病院における交流と調査の機会を得 た 。こ こ に お け る 知 見 は ,当 院 の 職 場 の あ り 方 ,ワ ー ク ラ イ フ バ ラ ン ス 政 策 ,育 児 支援のあり方にも影響し,新たな取組を進めている。 機 器 の 購 入 に つ い て は ,本 事 業 の た め に 複 数 の 高 機 能 シ ミ ュ レ ー タ ー 機 器 類 を 導 入 し た 。 こ れ ら の 機 器 類 は 専 門 的 な 研 修 の 他 , 日 常 の off the job training に も 活 用 し , 平 成 23 年 度 後 半 か ら は そ の 技 能 を 競 う “ シ ミ ュ レ ー タ ー 甲 子 園 ” を 開 催 している。 こ う し た 取 り 組 み を HP で 積 極 的 に 広 報 す る と と も に , 学 外 へ の 貸 出 制 度 を 有 効 に 活 用 し ,地 域 基 幹 施 設 に お け る 研 修 に も 積 極 的 役 立 て ,地 域 の 新 た な 教 育 の 一 環 として確立している。 Ⅳ.財政支援期間終了後の取組 (1)財政支援期間終了後の事業継続のための実施体制 本 事 業 で 構 築 し た 教 育 体 制 ,支 援 体 制 を レ ビ ュ ー し ,大 学 病 院 の 財 政 支 援 ,大 学 内の資金,外部資金の模索をしながら継続する。 ま た ,周 産 期 キ ャ リ ア サ ポ ー ト 室 の 機 能 を 強 化 し ,院 内 外 に あ る 小 児・周 産 期 領 域 の 5 つ の セ ン タ ー を 総 括 的 に 支 援 す る「 成 育 支 援 室 」を 設 置 し 事 業 支 援 を 続 け る 。 教 育 体 制 に つ い て ,医 師 系 教 育 は 総 合 臨 床 教 育 セ ン タ ー と の 連 携 ,看 護・助 産 師 7 教 育 は 看 護 部 ,医 療 保 育 士 養 成 は ,医 療 保 育 学 会 の 協 力 を 得 な が ら 看 護 部 や 小 児 総 合医療センターで行う。 周産期指導医手当は引き続き当該事業を実施した教員等に支給する。 新 生 児 蘇 生 法 講 習 会 , 母 乳 育 児 勉 強 会 も 継 続 す る 。 一 部 は 平 成 26 年 度 筑 波 大 学 社会貢献プロジェクトに採択され実施予定である。 小児在宅医療の諸課題に向けた取り組みは、公益財団法人 優美記念財団の助成 を受け事業を継続する。 育 児 支 援 は ,共 同 病 児 保 育 の 総 括 を し な が ら 病 児 保 育 設 立 の 検 討 を 継 続 す る 。ベ ビ ー シ ッ タ ー 型 育 児 支 援 は 利 用 状 況 ,大 学 病 院 の 経 営 状 況 を 見 な が ら 継 続 運 営 と 利 用対象の拡大を徐々に図る。 (2)本取組において開発した人材養成モデルの普及活動 ・初期研修プログラムの改善 地 域 の 基 幹 病 院 と 大 学 が 連 携 し て 多 数 の 一 般 的 な 疾 患 を 多 数 経 験 し な が ら ,大 学 の リ ソ ー ス を 活 用 し て off the job training を で き る よ う に す る プ ロ グ ラ ム を 作 成 す る こ と は ,若 手 医 師 に と っ て 極 め て 魅 力 的 で あ る 。初 期 研 修 医 が 研 修 病 院 を 選 択 す る 上 で も 大 き な 影 響 を 与 え る こ と は 確 実 な の で ,今 後 本 取 組 で 作 製 し た こ の よ う な 教 育 プ ロ グ ラ ム は 各 地 で 利 用 さ れ る と 期 待 さ れ る 。こ れ を 目 指 し て 医 学 教 育 学 会などでその成果を発表する予定である。 ま た , APLS, NCPR, PALS 等 の 国 際 標 準 で 資 格 重 視 の 教 育 プ ロ グ ラ ム は , 若 手 医 師 の モ チ ベ ー シ ョ ン 向 上 に 有 効 で あ る こ と が 判 明 し た の で ,今 後 も こ れ ら の 普 及 活 動に努めたい。 ・後期研修医以上の医師に対する研修プログラムの改善 本 事 業 に よ っ て 周 産 期 医 療 を 目 指 す 研 修 医 は 大 幅 に 増 加 し た 。今 後 は ,さ ら に こ れ ら の 研 修 医 を 高 度 医 療 人 と し て 育 て る 必 要 が あ る 。茨 城 県 の 小 児・周 産 期 医 療 分 野 で は ,筑 波 大 学 の 他 に 東 京 医 科 歯 科 大 学 も 寄 付 講 座 を 設 置 し て 多 数 の 若 手 医 師 を 派 遣 し て い る 。こ の よ う な 状 況 か ら ,両 大 学 が 連 携 し て 後 期 研 修 医 ,大 学 院 レ ベ ル での教育を行うことの意義は大きい。今後これらの活動を活発化させたい。 8 平成21年度~平成25年度 「周産期医療に関わる専門的スタッフの養成」事業 取組大学:筑波大学 取組名称:地域と大学の連携による周産期医療人材育成事業 【取組概要】 ①医学生、研修医等、看護師等への魅力ある周産期専門教育プログラムの提供 ②茨城県内全体を対象とした周産期医療人 への魅力的な専門研修の実施・人材交流・IT共通化支援 ③ニードに合わせた勤務継続のための育児環境整備 目標 成果 教育の視点 周産期医療を希望する医師・看護師 等の増加による地域周産期医療の 高度化 学群・初期研修・後期研修・サブスペシャリティーの 段階に応じた周産期(小児・小児外科・産科)関連特 別プログラム 世界標準の教育プログラム(PALS/APLS) 周産期看護教育プログラム 助産師キャリアアッププログラム 茨城県の周産期 医療を守ろう。 茨城県 人口10万人対 小児科医数 47位 産婦人科医 40位 看護師 44位 助産師 44位 (H22年調査) 医療保育士養成コース 新生児蘇生法(NCPR)コース 実施体制 地域中核病院 地域関係機関 (消防・保健福祉等) 関係 自治体 小児科医 小児外科医 産婦人科医 26名増 11名増 4名増 ニードに合わせた育児・勤務継続支援 大学・県内地域医療機関を結ぶ循環型教育システム 小児医療・病児保育のための医療保育士養成 地域に開かれた新生児蘇生法コース、母乳育児勉強会 共同病児保育事業の展開・時間外保育支援 学会・イベント託児支援等 学内保育所運営 保育スペースの運用 小児・周産期救急講習会 妊婦超音波に関する研修の公開 地域共通周産期医療支援ITの開発と運用 筑波 大学 医師数の変化 魅力の高い教育環境・高度なスタッフ育成 地域とともに創り上げる 事業の継続 ・各種教育プログラムの継続と受け入れ ・周産期医療指導医手当の継続 ・育児支援環境のさらなる充実・病児保育支援の強化 ・自治体・地域機関・関連病院との強固な連携の維持 ・小児・周産期医療に特化したサポート組織「成育支援 室」の設置(育児支援については病院全職員を対象) 市民講座・研修会・勉強会の開催 地域周産期医療の視点 地域関連病院間における代診制度 大学の育児支援制度との連携 育児支援・勤務継続支援の視点 常勤復帰した医療スタッフ数 医師 14名 看護師・助産師 16名 主要専門医等取得状況 周産期(母体・胎児)専門医 5名 周産期(新生児)専門医 5名 産婦人科専門医 15名 小児科専門医 20名 その他 24種 延べ 115名 研修会等の実施状況 137回 延べ参加者 5,670名 新たな取り組みへの発展 茨城県小児地域医療寄付講座 つくば市総合周産期学寄付講座