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次世代型リチウムイオン電池のエネルギー 密度の算定

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次世代型リチウムイオン電池のエネルギー 密度の算定
電力中央研究所報告
電 気 利 用
報告書番号: Q 0 9 0 0 6
次世代型リチウムイオン電池のエネルギー
密度の算定
背
景
リチウムイオン電池(LIB)の電解液を固体高分子電解質に置き換えた全固体型リ
チウムイオンポリマー電池(LIPB)は、大型化、モジュール化時の安全性改善、低コ
スト化が期待されている。一般に、濫用時の非安全化を防ぐため、LIB では大型化
に伴いエネルギー密度を低く設計するが、LIPB は揮発性の電解液を使用しないため、
安全性を改善しつつ単一外装内積層化が可能であり、モジュール化時に高エネルギ
ー密度が維持できると期待できる。しかしこれまで、LIPB のエネルギー密度につい
て電池、モジュールの現行 LIB との比較等については検討されていない。
目
的
構成材料の基本性能をベースに電池エネルギー密度を算定する手法を開発する。
同手法を用いて、LIPB 実用化に向けた本電池系の優位性、目標値、限界値を明らか
にする。
主な成果
1. LIB のエネルギー密度算出と妥当性の検証
現在適用されている各種正負極材料、電極・電解質厚さ、電極充填密度、集電
体厚さ等を可変パラメータとし、小型円筒電池の未公表の電池設計パラメータ
(活物質/導電剤/正負極容量比)に代表的な実測値を与えて電池のエネルギー密
度を算出する手法を開発した。算出した値は、実用化されている市販小型 LIB
の電池エネルギー密度と良く一致することを確認した。
2. LIB のエネルギー密度限界値の算出
現行材料の組み合わせにより高出力化を犠牲にしてエネルギー密度を重視した
LIB のエネルギー密度限界値は、現在最も高エネルギー密度な電池の約 2 割増、
既存大型 LIB に比べ 2∼3 倍に相当することを明らかにした(図 1)。
3. 高エネルギー密度 LIPB 実現に向けた電池設計
上記エネルギー密度算出法を LIPB に適用し、15cm 角平板型アルミラミネート電
池についてエネルギー密度を算出し、構成材料を変数としてエネルギー密度改
善の影響因子の感度分析を行った結果、高エネルギー密度化には電極厚膜化と
固体電解質層の薄膜化が有効であることを明らかにした。
4. LIPB 適用による高密度モジュール化の可能性
LIPB は単一外装内積層化等により kWh 級モジュール化時に既存 LIB 系と比べ外
装、端子接続ケーブル数の省略、セル空隙部の減少等の点で高い優位性を示す。
例えば、目標値 400 Wh/L の kWh 規模 LIPB モジュールを実現するための単セルエ
ネルギー密度は 450 Wh/L となる。このモジュール電池エネルギー密度は、現在
公表されている kWh 規模 LIB モジュールの体積エネルギー密度比 2 倍(kWh 当り
体積 1/2)に相当するものである(図 2)。
図2
図 1 現行 LIB セルのエネルギー密度実
績 値 と 本 報 告 で 算 出 し た LIB,
LIPB セルの限界エネルギー密度
研究報告
Q09006
担 当 者
連 絡 先
[非売品・不許複製]
現行 LIB セル、及び kWh 級モジュール
のエネルギー密度実績値と、本報告に
おける LIPB で見込まれるセル、モジ
ュールエネルギー密度
EV=電気自動車、
LL=ロードレベリングの略
キーワード:リチウムイオン電池,全固体型リチウムイオン電池,
エネルギー密度,電池モジュール,積層型電池
小林
陽(材料科学研究所
エネルギー変換・貯蔵材料領域)
(財)電力中央研究所 材料科学研究所
Tel. 046-856-2121(代)
E-mail : [email protected]
©財団法人電力中央研究所
平成22年5月
09−016
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