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住宅用太陽光発電システムと 再生可能エネルギーの

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住宅用太陽光発電システムと 再生可能エネルギーの
住宅用太陽光発電システムと
再生可能エネルギーの
固定価格買取制度
山川 文子 Yamakawa Ayako
エナジーコンシャス 代表
消費生活アドバイザー。執筆や講演を中心に、省エネルギー、地球温暖化防止に関する
情報を生活者視点で発信。2009 年まで一般財団法人省エネルギーセンターに勤務。
きる身近なものです。住宅の屋根の上に載せた
はじめに
太陽電池が、太陽の光エネルギーを受けること
で発電し、住宅内の電気として利用することが
暮らしや経済活動に欠かせないエネルギーに
できます。
は、石油や天然ガス、石炭などの化石エネルギー
と、非化石エネルギーがあります。非化石エネ
太陽光発電システム
(以下、システム)
は、太
ルギーのうち、永続的に利用できるエネルギー
陽電池パネル
(以下、パネル)
、接続箱、パワー
を「再生可能エネルギー」
と言い、代表的なもの
コンディショナーなどから構成されています。
に太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど
接続箱は、パネルからの直流配線を1本にまと
があります。
めパワーコンディショナーに送るための装置、
化石エネルギーが限りある資源であるのに対
パワーコンディショナーは、発電した電気(直
し、再生可能エネルギーは枯渇せず、
使用によっ
流電力)を家庭で使用している交流電力に変換
て地球温暖化の原因となる温室効果ガスも排出
する装置です。
新築・既築いずれの住宅にも設置可能ですが、
しません。また、日本は化石エネルギーのほと
んどを輸入に頼っています。エネルギーの安定
既築住宅の中には、住宅強度の点から設置する
供給、地球温暖化防止などの観点から、再生可
には補強工事が必要な場合や、設置ができない
能エネルギーの導入拡大が必要とされています。
場合もあります。
発電量は、設置するパネルの変換効率
(太陽
住宅用太陽光発電システムの概要
電池に入射した光エネルギーが電気エネルギー
再生可能エネルギーの1つである太陽光によ
に変換される割合)や、パネルを取り付ける方
る発電は、半導体に光が当たると電気が発生す
角・角度、時間帯などによって異なります。ま
る現象を利用した発電方式で、家庭でも導入で
た、曇りや雨の日の発電量は少なく、夜間は発
電しません。
図に示すように、太陽光発電による電気が使
太陽光発電による電気を使用
余った電気を電力会社に売る(売電)
消費電力
発電電力
用する電気よりも多いときは、余った電気
(余
電力会社からの電気を使用(買売)
*1を電力会社へ送電して買い取っても
剰電力)
らいます
(売電)
。曇りや雨の日など、発電した
電気だけでは足りないときや夜間は、電力会社
から送られる電気を使います
(買電)
。売電をす
図
太陽光発電の売電と買電のイメージ
*1 10kW 以上のシステムの場合は、発電した電気の全量を売電す
ることもできる。
出典:一般社団法人太陽光発電協会ウェブサイトより作成
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表に示すとおり、10kW 未満の場合の買取価
るためには、電力会社の電力系統との接続と、
電力会社と売電の契約が必要です。
格は、出力制御対応機器
(遠隔操作で発電出力
を抑える機器)の設置義務がない場合と、ある
再生可能エネルギーの
固定価格買取制度
場合に分かれています。この区分は、2015 年度
に新たに設けられました。
義務づけがないのは、
東京、中部、関西電力管内です。それ以外の電
再生可能エネルギーの普及のため、2012 年
7月に
「電気事業者による再生可能エネルギー
力会社
(北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、
電気の調達に関する特別措置法」
(以下、特別措
沖縄電力)
管内では、2015 年4月1日以降に接
置法)が施行され、
「再生可能エネルギーの固定
続契約の申し込みが受領されたシステムには、
価格買取制度」
(FIT:Feed in Tariff)が開始さ
設置が義務づけられ、
「設置義務あり」
の価格が
れました。
適用されます。
同制度では、電力会社に対し、再生可能エネ
例えば、東京電力管内で、10kW 未満のシステ
ルギーによって発電された電気を、国が指定し
ムを設置し、ある月の売電量が 200kWh だった
た期間、指定した価格で買い取ることを義務づ
場合の売電収入は、6,600 円
(=33 円 /kWh×
けています。これにより、発電システムの導入
200kWh)
となります。
同制度では、発電した電気の全量または自己
にかかる費用の安定的な回収を保証し、導入を
消費をして余った量を買い取りますが、10kW
進めようというねらいです。
買い取り対象の再生可能エネルギーは、太陽
未満の太陽光発電については、余剰分の買い取
光、風力、中小水力、地熱、バイオマスを用い
りのみです。売電量を増やせるように自己消費
て発電された電気です。
を減らそうという省エネルギーの促進効果を期
待したものです。
技術の進歩や市場競争によって導入のコスト
は変わるため、買取価格、買取期間は、毎年度
買取価格は、システムの費用や運転維持費な
見直されます。表は、太陽光発電の場合の2015
どを基に定められます。出力制御対応機器の設
年度の買取価格と買取期間です。2015 年度に
置義務があるほうの買取価格が高いのは、算定
設置した場合、10 年間または 20 年間、この価
の基となるシステムの費用の中にこの費用が含
格で買い取られます。
まれているからです。
システムの費用は年々下がっているため、買
住宅に設置されるシステムの容量は4~5kW
程度が多く、表中の10kW 未満に該当しますが、
取価格も低下しており、10kW 未満のシステム
10kW 以上を設置する住宅もあります。
を例にすると、2012 年度 42 円、2013 年度 38
区 分
出力制御対応
10kW 未満
機器設置義務
10kW 以上
表
買取価格
なし※1
33 円 /kWh
あり※2
35 円 /kWh
2015年4月1日~ 6月30日 29 円 /kWh +税
2015 年 7 月 1 日~
27 円 /kWh +税
円、2014 年度 37 円、2015 年度 33 円または
買取期間
35 円
(いずれも 1kWh 当たり、税込)
です。
10 年間
再生可能エネルギー
発電促進賦課金
20 年間
電力会社が買い取りに要する費用は、
「再生
太陽光発電の買取価格と買取期間
(2015 年度)
可能エネルギー発電促進賦課金」
(以下、
賦課金)
注:10kW 未満で自家発電設備等併設
(ダブル発電)の場合は、
27 円 /kWh
(出力制御対応機器設置義務なし)、29 円 /kWh(同
設置義務あり)
※1:東京、中部、関西電力管内
※2:北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄電力管内
として、電気を使う者全員が負担するしくみで
す。再生可能エネルギーの普及は、エネルギー
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自給率*2の向上、地球温暖化防止などにつなが
おいて、このまま接続すると発電量が需要量を
り、電気の使用者全員にメリットがあること、
上回る可能性があるため、2014 年9月に接続
買い取った電気は、使用者全員に電気の一部と
回答を保留するという事態が起こりました。
して供給されていることから、全員で負担する
これを踏まえ制度が見直され、2015 年1月
という考えです。
に特別措置法の関係省令などの改正が行われま
賦課金は、毎月の電気料金の一部として、電気
した。改正により、太陽光発電については、無保
の使用量に応じて負担します。電力会社によっ
証で出力制御ができる対象が、住宅用を含め
て買い取りに要する費用は異なりますが、全国
500kW 未満にまで拡大されました。また、出
一律の単価となるように調整されます。
力調整が細かくできるよう、日単位
(30 日 / 年
2015 年度
(2015 年5月分から2016 年4月分
まで)から、時間単位
(太陽光:360 時間 / 年ま
に適用)の賦課金は 1kWh 当たり1.58円
(税込)
で)の制御*3に変更されました。ただし、受け
です。例えば、ある月に 300kWh の電気を使う
入れ余地が大きい東京、中部、関西電力管内の
場 合、その月の 賦 課 金 額は、474 円
(1.58 円 /
50kW 未満の太陽光発電は、当分の間出力制
kWh × 300kWh)
です。
御の対象外です。
賦課金単価は、買取費用などを踏まえて算定
ほかにも、これまでは、電力会社が接続契約
され、毎年度見直されます。2015 年度の賦課金
の申し込みを受領した時点の買取価格が適用さ
単価は、大規模な太陽光発電の導入増加などに
れていましたが、接続契約時に変更されるなど
伴い、2014 年度
(0.75 円 /kWh)
の約2倍にな
が盛り込まれました。年度末近くに設置をする
りました。
場合には、注意が必要です。
おわりに
再生可能エネルギーの
固定価格買取制度の改正
再生可能エネルギーの固定価格買取制度がは
電気は常に需要と供給を一致させる必要があ
じまり2年以上が経過しました。制度が後押し
ります。需要に対して供給が多過ぎても、停電の
となり、再生可能エネルギーの導入は、太陽光
発生など、電気の安定供給に支障をきたすおそ
発電を中心に拡大しました。一方で、消費者ト
れがあります。そのため、電力会社では、需要よ
ラブルも増加しています。その中には、設置に
りも供給のほうが多過ぎる場合、出力の調整が
より期待できる売電収入や買取制度についての、
しやすい火力発電の発電量を必要最低限にする
販売業者の不正確・不十分な説明などによるも
などにより、供給を抑えています。さらに供給を
のがあります。設置の検討に当たっては、正し
抑える必要がある場合は、再生可能エネルギー
い選択、判断ができるよう、発電見込み量や設
の発電量を抑えることになるため、500kW 以
置費用などについて、自身でも情報を収集する
上の太陽光と風力発電については、発電事業者
と同時に、再生可能エネルギーの固定価格買取
に対して年 30日以内は無保証で出力制御
(出力
制度に対する正確な理解が必要です。
抑制)ができることになっていました。
制度開始以降、大規模な太陽光発電の接続申
し込みが増加したことから、複数の電力会社に
*3 ただし、接続可能量超過後に接続申し込みをした場合は、指定
電気事業者制度を活用し、上限を超えた無保証での出力制御を
条件に、接続を受け入れる。
*2 必要なエネルギーのうち、自国内で確保できる割合。
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