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酒造好適米「祝」の生産振興による産地収益の向上

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酒造好適米「祝」の生産振興による産地収益の向上
京都府
酒造好適米「祝」の生産振興による産地収益の向上
活動期間:H25~(継続中)
○本府オリジナルの酒造好適米「祝」の生産を振興しているが、実需者から
の要望量を満たせておらず、面積拡大や単収向上が課題。
○農業改良普及センターでは、農業研究所と革新支援専門員で構成する課
題解決チームを結成し、「祝」栽培のポイントを整理。技術資料の作成や研
修会等技術支援を実施。さらに、酒米の生産・販売体制を加速化するため、
各地域で酒米研究会を設立。
○26年産は要望量の供給を達成、27年産の要望量確保に向け指導継続中。
具体的な成果
1 「祝」販売額等の増加
■栽培面積の拡大、単収の向上により、農
家の収益が向上
(H24)→(H26)
①販売額
6,900万円 → 12,000万円
②作付面積
70ha → 121ha
③生産者数
約50名→ 178名
■「祝」の販売先は、京都府酒造組合
2 「祝」を原料とした日本酒のブラン
ド化
■「祝」100%使用した
日本酒をブランド産品
に認証
(H24)→(H26)
①商品数
0 商品 → 43 商品 (25 銘柄)
②府ブランド産品に認定
3 系統出荷による経営安定化
■一般主食用米より高単価での買い取り
により、農家の経営が安定化
■安定取引の継続に向けた出荷量や価格
の調整会議が定例化
普及指導員の活動
平成25年
■「祝」の単収向上を図るため、栽培のポイ
ントを整理。
■課題解決チームによる祝の安定生産(施
肥改善)実証に取り組む。
■普及指導員の活動により、JAの営農指導
員の活動も活発化。
■施肥改善実証や技術交流会実施による
栽培意欲の喚起。
■生産者ごとの栽培状況を把握し、指導に
活用。
平成26年
■酒米の生産振興、
日本酒の普及から流
通・販売を総合的に取
り組む「京都酒米振興プロジェクト」に参画。
■課題解決チームでは、「祝」の専用肥料開
発に向け、施肥実証ほを設置、栽培マニュ
アルを整備、実需者との交流に取り組む。
■収量・品質の向上を目的に共励会を開催。
■3分の1の生産者が新
規栽培者であるため、研
修会、巡回、技術資料の
配付等、 きめ細かな指
導を実施。
普及指導員だからできたこと
・専門技術を有し地域に密着した活動を行っ
ている普及指導員だからこそ、研究員、農業
者、関係者が一体となった活動ができ、生
産現場の意識改革につながった。
京都府
酒造好適米「祝」の生産振興による産地収益の向上
活動期間:平成 25 年度~継続中
1.取組の背景
長稈で脱粒しやすく機械化に適さないという理由で一旦は栽培が途切れた
「祝」だったが、平成 4 年に 3 度目の府奨励品種に採用され、JA や生産者、
酒造会社、京都府が一体となって取り組んできた結果、平成 24 年で栽培復活
20 周年を迎えた。
ちょうどこの年、酒米「祝」が京のブランド産品に認定され、京都のお米
を使って京都独自の日本酒を造りたいとする酒造業界からは、一層の増産努
力が求められた。しかし、生産現場では、主食用米に比べ収量が低く、農家
の収益に結びついておらず、要望量確保と収益性確保に向け施策を組み合わ
せた総合的な支援活動について組織をあげて展開する必要があった。
2.活動内容(詳細)
(1)課題解決チーム(タスクチーム)の結成
平成 25 年度には、研究機関(2 名)と普及センター(4 センター、4 名)に
よる課題解決チーム『酒造好適米「祝」の収量安定技術の実証』チームを結
成、さらに平成 26 年度には行政目標、実需者
の要望等を生産現場に伝えるため、農業革新
支援専門員を拡充した『酒米「祝」の収量安
定技術の普及・定着』のタスクチームを結成
し、チーム活動を展開した。
平成 26 年度の活動は、栽培技術講習会延べ
参加者 600 人、巡回指導延べ 110 日、技術情
報資料配付 7~8 回/年(普及センター平均)。
現地研修会
(2)「祝」栽培のポイントを普及
研究所の支援を得て、増収となった産地とその要因、減収となった産地と
その要因を精査した。気象災害によるもの、病害虫被害によるもの、生産者
の栽培技術で改善可能なものに整理、その上で栽培マニュアルを整備し、使
用する薬剤の変更や獣害対策の徹底、薬剤防除の徹底を図った。植え付けが
遅いほ場、倒伏を恐れるあまり穂肥が適量施用できなかったほ場では単収が
低かったことから、26年度は普及指導員や JA 指導員が生産者への技術情報
の提供や訪問指導の徹底を図った。
-1-
(3)「祝」の専用肥料開発に向け、施肥実証ほを設置
生育初期と幼穂形成期以降に肥効がでるように
肥料メーカーと共同で研究所が開発中の「祝」専用
肥料を府内9カ所で試用、評価した。
(4)農家のやる気を引き出す活動
(共励会、技術交流会の実施)
肥料メーカーを交えて検討会
新たな生産者に対しては、収量向上のためのポ
イント(植付時期、施肥量、栽植密度、中干し程度など)を説明するほか、
研修会、巡回、技術資料の配付等、きめ細かな指導を実施。
ポイントとなる技術が実施されたか確認、不十分
な場合は再度説明、実施状況の再確認を行う活動方
法を展開した。
また、生産活動を盛りあげようと、栽培ほ場に看
板やのぼりを設置し、全戸が参加する共励会(生産
面と品質面を評価)を開催し、栽培意欲を喚起した。
共励会出品物の耕種概要と収量・品質の関係を解
共励会で表彰
析、今後の指導に役立てた。
(5)京都酒米振興プロジェクトに参画
生産拡大、良質安定生産を推進するため、酒造業界、生産者、関係団体、
行政が一体となり、酒米の生産振興、日本酒の普及から流通・販売を総合的
に取り組む「京都酒米振興プロジェクト(第1図)」を立ち上げた。普及指
導員は、技術指導役はもちろんのこと、コーディネート役として各地域の部
会に参画した。
3.具体的な成果(詳細)
・平成 26 年度は、酒造組合の要望量を上回る生産量が確保できた。
・試験研究機関と課題解決チームを結成したことで連携が密となり、また、
研究機関の試験成績を利用することで、信頼度の高い講習会ができた。普
及指導員の活動により、JA の営農指導員の活動も活発化した。
・施肥改善実証や技術交流会実施により、できない理由が先行し、これまで
改善に進めなかった生産者が、1つの成功体験により他の課題解決にも積
極的になった。
-2-
「京の米で京の酒を」推進会議
~京都酒米振興プロジェクト~(体制図)
事務局
京都府
農産課
連携・事務
委
連携
連携
連携
作柄報告
情報共有
委
委
JA全農
連携
京のふるさと
産品協会
府酒造連
ニーズ把握
流通管理
連携
京都府
流通・ブランド戦略課
委
(ブランド性向上、PR活動)
情報共有
委
JA中央会
事務局
(会計処理)
○は地域部会長、(事)は事務局
連携、活動支援
(推進委員)
丹後部会
委
○与謝野町、(事)JA京都
宮津市、京丹後市、伊根町、
革新専門員、農林C作物部・
丹後農研、普及センター、振
興局
中丹協議会
委
○(事)JA京都にのくに
福知山市、舞鶴市、綾部
市、共済組合、産地指導
員、JA京都、普及セン
ター、振興局
生産者
京都丹波部会
委
京都乙訓部会
委
○(事)JA京都
亀岡市、南丹市、京丹波
町、共済組合、農林セン
ター作物部、普及セン
ター、振興局
○(事)JA京都市
京都市、向日市、長岡京
市、大山崎町、JA京都
中央、JA京都、府農林
水産部
生産者
生産者
生産者
連携
農林
センター
革新専門員
京都府
農業改良普及センター
技術普及支援
(タスクチーム活動)
4.農家等からの評価・コメント
・米価低迷する中、酒米は価格が高めに維持されて取り組んでよかった
(福知山市
A 氏)
・普及員や研究員が栽培方法を教えてくれて、収量も増えてよかった(複数)
・酒造会社と話をする機会を持ってもらい、祝がいかに求められているかが
わかった(複数)
5.普及指導員のコメント
課題が広域に渡り政策的なこともあり、革新支援専門員が中心となり、研
究、普及、行政が一体となったチーム活動を実施した。
行政の動きや目標、実需者の要望等を現場に伝え、普及員が自信を持って
農家支援ができるよう、研究所のバックアップを得るなどの調整を行った。
また、普及活動として目標をしっかり持ち、目標達成のための手法や進捗
管理などのアドバイスを行ってきた。
その結果、目標の出荷量を確保することができ、普及指導員の活動に対し
非常にうれしく、頼もしくも感じている。
(流通・ブランド戦略課
主査
安川博之)
6.現状・今後の展開等
京都の強みを生かした京都ならではの酒米産地育成を今後も推進する。
「祝」専用肥料を引き続き試作し、安定収量および品質確保に努める。
実需者と生産者との顔の見える関係を構築し、「祝」生産に誇りと責任を
もってもらえるように引き続き支援する。
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