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ITU-R無線通信総会・世界無線通信会議 会合報告

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ITU-R無線通信総会・世界無線通信会議 会合報告
グローバルスタンダード最前線
ITU-R無線通信総会・世界無線通信会議
会合報告
さいとう
と し お†1
お ざ き
ともひこ†2
斉藤 利生 /尾崎 友彦
NTT技術企画部門†1/NTTドコモ†2
国際電気通信連合(ITU)の無線通
れ,SG構成の見直しについて,RA-07
とすることを定めた新決議をはじめ,35
信部門(ITU-R)の主要会合である
会合前までに非公式な議論が行われて
件(新規5件,改訂18件,維持12件)
きました.
の決議が承認され,6件の決議が削除
「無線通信総会(Radiocommunication Assembly:RA)
」および「世界
RA-07では,これらの議論に基づき,
無線通信会議(World Radiocom-
SG構成の見直しの審議が行われまし
munication Conference:WRC)
」が,
た.その結果,
されました.
■研究課題の決定
異なる業務間の周波数共用条件の検
2007年10∼11月にスイス(ジュネー
① 衛星業務(固定,移動,放送,
討,IMT-Advancedの標準化等,今
ブ)において開催されました.ここ
測位)についてはSG4に集約する
後の高度情報通信社会に必要な無線通
では両会合の結果の概要について報
② 移動業務を扱うSG8と固定業
信技術等に関する約330件の研究課題
告します.
務を扱うSG9を統合し,新たに
が決定されました.
地上業務全般を扱うSG5を設立
無線通信総会(RA-07)
世界無線通信会議
(WRC-07)
する
ことが決定されました(図右側).
無線通信総会は,ITU-Rの研究委
また,併せて各SGの議長,副議長
RA-07に引き続いて,2007年10月
員 会( SG: Study Group) の活 動
が選出され,日本からは,SG5の議
22日から11月16日までの4週間にわ
に対して,勧告の承認,研究活動の
長に橋本明氏(NTTドコモ),SG4
たり,世界無線通信会議(WRC-07)
評価,次会期の研究委員会の構成や
の副 議 長 に阿 部 宗 男 氏 ( K D D I ),
が開催されました.世界無線通信会議
研究課題の審議等を行う会議で,世
SG6の副議長に西田幸博氏(NHK)
は,新たな無線システムへの周波数の
界無線通信会議と同時期に開催され
が選任されました.
分配や,電波を使用するための国際的
る国際会議です.
■勧告の承認
な手続き等を規定する無線通信規則の
各SGで作成された勧告案等につい
改正を目的に,通常3∼4年ごとに
2007年10月15日から19日までの5日
て審議され,IMT-2000の無線インタ
行われる国際会議で,今回は,世界
間,スイス・ジュネーブ市の国際会議
フェースを規定する勧告M.1457の改
164カ国から約2 800名が参加して開
場(CICG)において,世界98カ国,
訂〔IMT-2000の6番目の無線インタ
催 されました. N T T グループでは,
12国際機関等から約500名が参加して
フェースとしてモバイルW i M A X
NTTおよびNTTドコモから13名が参
開催されました.NTTグループでは,
( ITU-R名 称 : IMT-2000 OFDMA
NTTおよびNTTドコモから8名が参
TDD WMAN) を追 加 〕 等 , 6 件
今回の無線通信総会(RA-07)は,
加しました.
■研究委員会(SG)構成の見直し
今研究会期(2003∼2007年)に
加しました.
WRC-07では,
(新規1件,改訂5件)の勧告が承認
・I M T ( I M T - 2 0 0 0 およびI M T -
され,3件の勧告が削除されました.
Advanced)への将来の周波数
■決議の承認
確保
ITU-R活動の基本的事項等を定めた
・2.5 GHz帯での衛星通信と地上
により無線通信に関する研究が行われ
決議の見直しについて審議され,IMT-
の移動通信の周波数共用条件の
てきました(図左側)が,SG活動の
2000の後継システムの名称を「IMT-
検討
さらなる効率化や,移動無線と固定無
Advanced」とし,IMT-2000および
線の技術的融合への対応等が提起さ
IMT-Advancedを総称して「IMT」
おいては,7つの研究委員会(SG)
・携帯電話等からの地球探査衛星
の保護に関する検討
NTT技術ジャーナル 2008.4
83
グローバルスタンダード最前線
今研究会期(2003∼2007年)
次研究会期(2008∼2011年)
SG1 周波数計画,利用,技術,分配および監視
SG1 周波数計画,利用,技術,分配および監視
SG3 電波伝搬
SG3 電波伝搬
SG7 科学業務
SG7 科学業務
SG6 放送業務(地上放送,放送衛星)
SG6 放送業務(地上放送)
SG4 固定衛星業務
衛星の集約
SG4 衛星業務
(固定衛星,放送衛星,移動衛星,無線測位衛星)
移動・固定
の統合
SG5 地上業務
(移動,固定,無線測位,アマチュア)
SG8 移動業務
(移動,無線測位,アマチュア,移動衛星,無線測位衛星)
SG9 固定業務
図 SG構成の見直し
等,28件の議題が議論されました.
(WRC-2000)においてIMT-2000用の
が,議論の結果,強制力のない推奨値
■IMT(IMT-2000およびIMT-
周波数として特定され,世界的に地上
とすることが決定されました.
Advanced)への将来の周波数確保
の移動通信としての利用への期待が高
■次回の世界無線通信会議(WRC-
I M T ( I M T - 2 0 0 0 およびI M T -
まっています.そのような中,日本を含
11)の議題
Advanced)に使用する新たな周波数
む数カ国では,2.5 GHz帯は,衛星携
2011年に予定されている次回世界
として,
帯電話等に使用されているため,衛星
無線通信会議(WRC-11)の議題と
① 3.4∼3.6 GHz(200 MHz幅)
通信と地上移動通信の周波数共用条件
して,
② 2.3∼2.4 GHz(100 MHz幅)
について議論されました.
③ 698∼806 MHz(108 MHz幅)
その結果,地上の移動通信を優先
・移動,固定,放送の融合に対す
る無線通信規則の対応の検討
④ 450∼470 MHz(20 MHz幅)
し,衛星が出す電力を厳しく制限する
・無線タグ等の小電力無線局やコグ
を確保することが決定されました.これ
こととなりましたが,日本の衛星携帯
ニティブ無線技術等の導入普及の
らの周波数のうち,各国が使用したい
電話システム(NTTドコモ)は,非常
ための国際的な規則の検討
周波数でIMTを実現していくことにな
災害時の移動通信にも使用されている
等,33件の議題が決定されました.
ります.日本では,①および③(ただ
重要なシステムであることから,例外的
し③はその一部)を中心に利用を推進
な扱いとすることが決定されました.
(1)
していく予定となっています
.
IMT-Advancedは,低速移動時1
今後のITU-R活動
■携帯電話等からの地球探査衛星の
保護に関する検討
移動体アプリケーションを中心に無
Gbit/s,高速移動時100 Mbit/sの高
今後運用が予定される地球探査衛
線システムへの市場ニーズがますます
速通信が可能な移動通信システムとし
星を他の無線システムによる電波干渉
高まってきており,周波数をめぐる各
て2010年以降の実現が期待されており,
から保護するため,携帯電話等の電力
国の動きも活発化しています.NTTグ
今後,ITU-R等における国際標準化活
を制限するかどうかについて議論され
ループにおいても,引き続きITU-R活
動が本格化していく見込みです.
ました.
動を積極的に推進していく予定です.
■2.5 GHz帯での衛星通信と地上移
動通信の周波数共用条件の検討
GHz帯や放送中継用に使用している
2.5 GHz帯(2 500∼2 690 MHz帯)
10.6 GHz帯について,厳しい電力制限
は, 2 0 0 0 年 の世 界 無 線 通 信 会 議
84
日本で携帯電話に使用している1.4
NTT技術ジャーナル 2008.4
値を強制しようとする動きもありました
■参考文献
(1) “国際電気通信連合(ITU)2007年世界無線
通信会議(WRC-07)の結果,”総務省報道発
表資料,2007.11.
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