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A Development of Extremely Lightweight Vacuum Vessel using

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A Development of Extremely Lightweight Vacuum Vessel using
A Development of Extremely Lightweight Vacuum Vessel
using CFRP.
— Liquid He Cryostat to Search for Deeply Bound Kaonic
State —
BY
Takeshi Hayashi
For the Degree
Master of Science
Tokyo Institute of Technology
Department of Fundamental Physics
Graduate School of Science and Engineering
Iwasaki Laboratory
February 2002
Abstract
In an experiment to search for deeply-bound kaonic nuclei, we use a liquid
4 He target. In order to reduce background due to matters around the target,
we have to cut down the amount of material as much as possible. However
there are many technical difficulties to cut down it. First, the inner pressure of
liquid 4 He needs to be kept low by restless pumping because walls of the target
cell are very thin and the target cell is in a insulation vaccum. Second, heat
insulation between the external world and the target cell will be more hard and
so on. The one of the most important issues is how to keep the thin cylindrical
vacuum vessel in standard pressure. Its durability depends on Young’s modules
of the materials since the collapse is due to backling. We study to make an
extremely lightweighted vacuum vessel that consists of carbon-fiber reinforced
plastic (CFRP) with a proper rib structure.
目次
iii
目次
1
導入
1
2
クライオスタットの熱収支
2.1 クライオスタット概要 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
3
3
2.2 熱収支の試算 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
4
3
4
5
真空容器の最適設計
3.1 円筒シェルの座屈理論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
10
10
3.2 材料選定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
13
3.3 有限要素法による補強リブ物質量の見積もり . . . . . . . .
15
CFRP 円筒の耐圧実験および考察
17
4.1 フィラメント・ワインディング法による円筒 . . . . . . . .
17
4.2 織物タイプを使用した CFRP . . . . . . . . . . . . . . . .
4.3 プリプレグを使用した CFRP . . . . . . . . . . . . . . . .
22
24
4.4 長さへの依存性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
27
結論
30
A 炭素繊維の物性値
31
B 複合則
31
C 座屈問題
34
D 寒材消費量
34
1 導入
1
1
導入
我々は現在、K 中間子が 3 He に深く束縛された状態 3K̄ H を実験的に特定
する実験を推進している ([1] 参照)。液体 4 He をターゲットとし、K− が原
子状態から深く束縛された状態に遷移する際に放出される中性子のエネル
ギーを飛程時間法 (TOF 法) を用いて決定することで、3K̄ H のエネルギー
を決め、その状態を実験的に特定する。その際、大量に発生するであろう
バックグラウンドをどう減らすかが重要になる。K− を標的 4He 中に打ち
込むと K− は原子核反応によって大量の中性子を生成する。中で発生した
バックグラウンドのなかで、π − がターゲット周辺の物質に静止したとき
発生する中性子が最も大きな要因となる。というのは、探索したい K 中間
子原子の束縛エネルギーが約 108MeV であり、K− はもともと4個あった
核子の1つを放出することで束縛状態に収まる。この反応の終状態が2体
であるため、放出中性子のエネルギーは約 70MeV である。一方 π − の質量
が 139MeV の為、物質中で2核子吸収を起こすとそのエネルギーを2つの
核子で分けあって約 70MeV の中性子を放出することになり、欲しい信号
の近くを覆い隠す危険性がある。
そこで、このようなバックグラウンドを削減する為には、標的周辺の物
質量を削減することが極めて重要となる。当然 4 He を液体に保つにはクラ
イオスタットが必要で、つまり最低でも断熱真空槽と液体窒素温度の放射
シールド1層を構成する物質がターゲットを取り囲むことになる。大気圧
に対する機械的強度の確保、最低限の放射シールドでの液体 4 He ターゲッ
トへの熱量流入の抑制のため等の必要不可欠な物質をぎりぎりまで抑え、
4
He を標的として機能させるなければならない。クライオスタットの概略
図を図 1 に示す。
現在、上記の条件を満たしながら可能な限り物質量を削減した標的シス
テムを開発中である。以下の章では、その物質量削減の成果と課題につい
て述べる。特に、第 3 章からは、低い密度と高い力学的特性を持ち、現在
幅広い分野で利用されている炭素繊維強化プラスチック (CFRP) を使用し
ての断熱真空槽の軽量化について報告する。
1 導入
2
図 1: クライオスタットの概略図
2 クライオスタットの熱収支
3
クライオスタットの熱収支
2
2.1
クライオスタット概要
前章のように、 本実験においては、余計な物質量を極限まで削減した
液体 4He ターゲットを必要としている。断熱真空槽の軽量化については後
の章に述べるので、ここでは標的システムのクライオスタットとして要求
される基本的な性能に関して考察する。
まずターゲットセルであるが、その大きさは直径 235mm、厚さ 60mm
の短い円筒型をしている。液体 4He の密度は沸点で 0.124g/cm3 ととても
小さく、ビーム方向の物質量はおよそ 0.75g である。標的容器の窓材の物
質量はその標的の物質量に較べ更に小さくなければならない。我々は窓材
として 75µm 厚のマイラーを用いることで物質量を 2.0 × 10−2 g に抑え、標
的との物質量比をおよそ 3 %にする予定である。
ターゲットセルの周囲は断熱真空であるため、セル内の液体 4 He を大気
圧にしておくと断熱真空との圧力差が大きく、このような薄い窓材では内
圧を保持することができない。このため、我々は液体 4 He を圧力 20Torr 程
度に減圧することにした。そこまで圧力を下げ、蒸発熱により 4 He を冷却
すると、標的は超流動状態になる。都合がよいことに、標的 4 He が超流動
状態になると超対流により非常に熱伝導率が大きくなる。これににより、
細いパイプを用いて接続することで比較的物質量の大きい減圧槽をビーム
中心軸や標的自身から離すことが可能となる。
まず装置を、常温部分 (300K)、窒素断熱層 (77K)、ヘリウムリザーバー
(4K)、超流動槽 (2K) の四つの部分から成ると考える (図 2)。超流動槽は、
ターゲットセルと減圧槽の2つに分かれている。4 He は一旦ヘリウムリザー
バーに溜められ、圧力が上がらないようにニードルバルブで調節されなが
ら超流動槽に導入されることになる。
2.2 熱収支の試算
4
2.2
熱収支の試算
もし、減圧しておきたい超流動槽に冷却能力を上回る熱が流入すれば、
4
He の圧力は上昇し装置が破損する可能性がある。以下、熱の収支を大まか
であるが見積もってみる。簡単のため、まずは窒素断熱槽は隅々まで 77K
になっているという仮定のもとに計算を行う。
まず超流動槽に対する冷却能力を評価しよう。冷却能力はポンプの排気
速度に依存し、500l/min と想定する。圧力は 20Torr なので 4 He の蒸発量は
0.0098 mol/s=0.0392 g/s であり、4.2K で の液体 4He の蒸発熱は約 20J/g
(2K ではさらに若干大きい) であるから蒸発熱による冷却能力は約 0.78W
と見積もられる。
図 2: 全体図
次に、低温部分に対する熱流入を評価しよう。ここで考慮すべきものは、
熱放射によるものと固体の熱伝導である。まず熱放射によるものを考える。
77K と 4K の部分は、それぞれ液体 N2 、液体 4 He の供給によって保たれ
ている。周囲を高温物質で囲まれている低温物質への放射による熱入力は
2.2 熱収支の試算
5
Q̇ = σA(T14 − T24)1 2/(1 + 2 − 1 2)
(1)
で与えられる。ただし、σ:ステファンの定数 (5.67 × 10−12 W/cm2 K 4 )、T:
温度 (K)、:放射率、A:表面積 (cm2) である.
図 3: 窒素断熱層
図 2∼4 に示すように、窒素断熱層は常温部分からの、ヘリウムリザーバー
は窒素断熱層からの、超流動槽は窒素断熱層とヘリウムリザーバーからの放
射をそれぞれ受けている。表面積は窒素断熱層が 2.37 × 104 cm2 、ヘリウム
リザーバーが 6.9×103 cm2 であり、超流動槽のヘリウムリザーバーからの放
射シールドに囲まれている箇所 (図 4、(a)) が 2.1×103 cm2、窒素断熱層に囲
まれている箇所 (図 4、(b)) は 1.7×103 cm2 である。12/(1 +2 −12) = 0.1
と仮定して (実際は更に小さいと期待できる。放射率は 300K では Cu のツ
ヤ消し面で 0.15、Al の粗面で 0.07。77K 付近ではおよそ 300K の半分に減
2.2 熱収支の試算
6
る。文献 [2] 参照)、上式を計算すると、窒素断熱層、ヘリウムリザーバー、
超流動槽への熱放射はそれぞれ 108.5W、0.12W、0.03W となる。
次に接触による熱伝導を考える。固体の断面積 B を通って x 方向に流れ
る熱量は毎秒
Q̇ = −k(T )B
dT
dx
(2)
で与えられる。ここで、k(T):熱伝導率 (SUS は 77K 付近で約 0.1W/cm・
K、2K 付近で約 10−3 W/cm・K)、B:断面積 cm2 である。
図 4: ヘリウムリザーバー、超流動槽
常温部分と窒素断熱層、ヘリウムリザーバーと超流動槽が図 2、図 4 の
ように単純に接触している。熱流入は、常温部分→窒素断熱層の断面積が
7.5cm2 、長さが 10cm より 16.8W、ヘリウムリザーバー→超流動槽が断面
積 1.26cm2 、長さ 20cm により 1.3 × 10−4 W である。
2.2 熱収支の試算
7
常温部分とヘリウムリザーバーはお互いに直接は接触していない。ヘリ
ウムリザーバーは 4He 蒸気によって冷却されている放射シールドとまず接
触して常温部分と繋がる構造になっている。簡単のため、そのシールドを
77K と仮定して計算する。放射シールドからヘリウムリザーバーへの、熱
伝導を考えなければならないルートは 2 つある。1 つの断面積と長さは、
1.26cm2 、20cm より、4K 部分への熱伝導による熱流入は 0.46W である。
もう 1 つは予冷の為の N2 排出用の管で、0.13cm2 、48cm より 0.08W 程度
である。
熱の移動先 \ 熱源
窒素断熱層
ヘリウムリザーバー
超流動槽
常温部分
108.5W 、16.8W
0W、0W
0W、0W
窒素断熱層
0.12W 、0.54W
3.1 × 10−2W、 0W
ヘリウムリザーバー
-0.12W 、-0.54W
2.8×10 −7W、 1.3×10 −4W
表 1: 伝熱の内訳 (左:放射によるもの、右:熱伝導によるもの)
上の計算は、あくまで窒素断熱層の放射シールドが 77K に保たれている
という仮定の元に行った。我々は現時点までに、ターゲットセルを取り付
けていない状態でテストを行っているが、放射シールド上面は 124K にま
で上昇した。温度を測定した位置は、N2 配管から最も遠い位置であったの
で、放射シールドにおける最高の温度を与えると安全に仮定できる。先程
の計算は 77K で行っていて、熱放射はほぼ T 4 に比例するから、この計測
値を用いた場合先の計算の (124/77)4 = 6.7 倍程度の熱放射を見込んでお
く必要はある。それでも熱入力は 0.2W 程度であるので、まだ冷却能力に
は余裕がある。
以上のような考察に基づき、さらに詳しい数値シミュレーションを行っ
た。液体 N2 の配管が、数点で 0.2mm 銅の放射シールドに接しており、そ
のシールドが周囲から 300K の熱放射にさらされていて、内部の 2K の物
体へ熱放射している状態のシミュレーション例を、図 5、6 に示す。ただ
し、各部の放射率を 0.1 と仮定し、放射シールドの部品の接合部にある接
触抵抗は無視した。放射シールド上部では 120K 付近にまで温度が上昇し
ていて、かなりの面積で 110K を超えていることがわかる。現在、この結
果を受けて、2K 部分の冷却能力強化の為、ポンブを 500l/min のものから
2000l/min のものへの変更を計画している。
2.2 熱収支の試算
8
超流動槽への 0.03W∼0.2W の熱入力があると予想されるが、ポンプに
よる冷却能力は現状で 0.78W 程度、排気速度を 4 倍に強化すれば 3.12W
程度あるので、液体 4He ターゲットシステムとして十分機能すると考えら
れる。
図 5: ターゲット周辺のモデル化
2.2 熱収支の試算
9
SECTION POINT 1
TEMP
VALUE
+7.70E+01
+8.01E+01
+8.32E+01
+8.63E+01
+8.94E+01
+9.25E+01
+9.56E+01
+9.87E+01
+1.02E+02
+1.05E+02
+1.08E+02
+1.11E+02
+1.14E+02
+1.17E+02
図 6: 放射シールド上の温度分布
ングル
上図:図 5 と同アングル
下図:別ア
3 真空容器の最適設計
10
真空容器の最適設計
3
第 1 章で述べてきたとおり、標的まわりの物質量を削減することが実験
の成功の鍵を握るが、とりわけ物質量削減の難しい部分がクライオスタッ
トの断熱真空容器である。なぜなら大気圧に対して形を保持しながら物質
量を減らさなくてはならないという相反する要求を満たさなくてはならな
いからである。
ここでは、一様円筒の座屈に関する理論解による評価を行った後、材質
選択、有限要素法による解析、製作及び耐圧試験について述べる。
3.1
円筒シェルの座屈理論
外圧を受ける筒の限界圧力を与える式は、経験式も含め、いろいろ知ら
れている (等方的な材料のものについては文献 [4]∼[6] 等、材料に異方性が
ある場合は [7]∼[9] 等) が、von Mises によって導かれた解析解をここでは
検討する (文献 [4] 参照)。
両端が支持されている有限長さのパイプが外圧を受ける場合の限界圧力
を、P:限界圧力 (Pa) とすると、円周方向のみの外圧を受ける場合は、
Et/r
Et3 /r3
2n2 − 1 − ν
2
P = 2
+
n
−
1
+
(n − 1)[1 + (nl/πr)2]2 12(1 − ν 2 )
1 + (nl/πr)2
(3)
円周方向と、閉じた端に均一な軸方向の圧力がかかる場合は
Et/r
t2
πr
1
P = 2 1
+
n2 + ( )2
2
2
2
2
2
2
n + 2 (πr/l) [n (l/πr) + 1]
12r (1 − ν )
l
2 (4)
である。ここで、E :ヤング率 (Pa)、 ν:ポアソン比、 t:管の肉圧、r :管
の平均内半径、l:管の長さ、n:局部座屈の際生じる波の数 (n=2,3,…) であ
る。(図 7 参照) これらの式は、l が大きい場合、l −2 に比例するので、筒の
途中をリング状のリブによって補強すると限界圧力が上がることを示す。
また、座屈荷重はヤング率に依存することも確認できる。座屈はある外圧
11
3.1 円筒シェルの座屈理論
点で不安定な変形モードが立ち、変形が進行することで力の釣り合いを失
う現象である。一旦釣り合いを失うと加速度的に変形が進行する。たとえ
ば細長い棒を縦に圧縮した場合、ある力に達すると急に棒が撓んで変形が
進行する。形状が変化することによって、かけられている外力に対し支え
る機能を失ってしまうからである。このようなことを防ぐためにはそもそ
も変形を起こさせないようにする必要があり、それはヤング率に依存する。
したがってこのような場合、材料の引っ張り強度はあまり重要でない。
図 7: モードの次数の数え方
図 8、9 に例として、E =30GPa、r =153mm、l=750mm、t=1.0mm、ν =
0.3 としたときの l と限界圧力の関係を図示した。我々の必要としている筒
は長さ 750mm、半径 300mm 程度の円筒であるので、図から判る通り、両
者は、我々の興味のある領域ではほとんど差は無い。
12
3.1 円筒シェルの座屈理論
図 8: 式 3 の計算結果
図 9: 式 4 の計算結果
3.2 材料選定
13
3.2
材料選定
外圧による座屈の場合には、前節に述べた通り、材料特性としては強度
ではなくヤング率が関与する。実験のバックグラウンドを低減するという
観点に立つと、いかに少ない物質量で十分な剛性を確保するか、すなわち
比ヤング率 (ヤング率/比重量) が問題となる。表 2 に、各材料の比ヤング
率を表にして示す。この表からわかる通り、比ヤング率は炭素繊維が現在
最も優れている。(炭素繊維の物性値の大きなばらつきは、その製造工程に
依存している。例外はあるもののヤング率と強度は相反する傾向にあり、
どちらに重点を置くかによって色々なタイプが存在する。他の材料も合金
の種類や製造工程などによって材料特性は変化する。)
材料
密度 (g/cm3 ) ヤング率 (GP a) 比ヤング率 (105 m)
ステンレス綱
7.81∼8.04
197∼200
24.5∼25.6
Al(ジュラルミン) 2.8
69∼72
24.6∼25.7
Be
1.8
300
170
炭素繊維
1.8∼2.2 程度 200∼1000 程度 110∼450
(参考:[10]、[11] 及び東邦レーヨン、東レ、三菱化学産資各社の商品資料)
表 2: 材料の密度及びヤング率
炭素繊維はそれだけでは構造材を作ることは不可能であり、一般的に他
の材料の強化材として利用される。このため、実際に他の材料物性と比較
する場合には繊維含有率を考慮して、複合則 (付録 B 参照) により計算され
た値を用いなければならない。繊維の性能は繊維方向にしか反映されず、
それに直交する方向はほぼエポキシ樹脂の性能しか示さないことに留意す
る必要がある
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic、炭素繊維強化プラスチック)
は、母材となるエポキシ樹脂の密度が低い(1.1∼1.4g/cm3 程度)ことか
ら、プラスチックの軽さと炭素繊維の強度や剛性を併せ持つ複合材料であ
る。金属材料に較べて非常に高い比強度、比ヤング率を持っている。した
がって我々は、CFRP による真空容器開発を目指した。しかし CFRP は
複合材料であることに起因する設計の難しさや、樹脂であるため低い分子
量のガスを透過させやすいという欠点を持っているのでこの点に対する試
3.2 材料選定
14
験も必要となる。だが本装置の場合、必要なのは断熱真空の為の真空 (∼
10−6 Torr 程度) であり、必ずしも高真空にする必要は無く、後者の欠点は
大きな問題になることはない。仮にガス透過やアウトガスが問題となった
場合、内面にアルミ蒸着するという方法も考えられる。これは輻射断熱と
いう観点からも望ましい。
ここで、CFRP が軽い真空容器を作製するという目的にいかに向いてい
るか見てみよう。他材料との比較の為、単位面積当たりの質量と限界圧力
の関係を図 10 に示す。r=152.5mm、l=250mm、で式 3 を使い計算した。
これは我々の筒では長さ 750mm の筒にリブを2個付けた状態に相当する。
ヤング率 (E) としては CFRP:30GPa、ジュラルミン 70GPa、ステンレス鋼
200GPa を仮定した。CFRP の E=30GPa とは E=235GPa の炭素繊維で体
積含有率が約 40 %、軸方向に対し 90 °、± 30 °と積層して疑似等方性を
持った状態に相当する (密度は 1.6g/cm3 と仮定)。ポアソン比 ν は全て 0.3
とした。ヤング率を SUS の 1/6 以下と仮定しても、Al や SUS より総量を
抑えつつ高い限界圧力を持つことが分かる。これは、密度が低いゆえに厚
みを持たせることができ、ヤング率では及ばなくとも結果的な曲げ剛性で
勝っているからである。
図 10: l=250mm の場合の各材料による円筒の耐圧性能
3.3 有限要素法による補強リブ物質量の見積もり
15
3.3
有限要素法による補強リブ物質量の見積もり
上で述べたように、円筒の外圧による座屈は、円周方向の変形による
が、それは同時に長さ方向の関数であって、短い円筒のほうがはるかに強
くなる。このため長い円筒の場合、中間にリブを配置し変形を防ぎ耐圧性
能が大幅に増すことが考えられる。リブの大きさと場所の最適値を見積も
る為には、構造が複雑になるため有限要素法を使い見積もった。ソフトは
ABAQUS/Standard([18]) を使用した。計算は、いくら変形しても Hooke
の法則を満たすという仮定のもとに行われた。もちろんこの仮定は実際に
はあり得ない為、安全係数を見込む必要がある。また、ヤング率 235GPa
の繊維とし、体積含有率 55 %と仮定して繊維方向 130GPa、その直角方向
2.4GPa と仮定した。
図 11: リブの物質量と限界圧力
図 11 に、等間隔にリブを配置したときの、リブに使用する物質量と、限
界圧力の関係のシミュレーション結果を示す。圧力は半径方向にのみかかっ
ている条件で、シェル部分の厚み、条件は変えず、リブの大きさのみを変
化させていった。
16
3.3 有限要素法による補強リブ物質量の見積もり
ある程度までリブへ物質量を使用すると、限界圧力の上昇は頭打ちとな
り、ほぼ一定で横ばいになる。リブの数が多い程、物質の総使用量の増え
かたは、初めはゆるやかだが結果的に高いところまで到達する。これは、
以下のような理由による。物質量が少ないときののゆるやかな上昇の領域
では、リブは座屈モードを短くすることに成功しておらず、有効に働いて
はいない (図 12)。ある程度までリブの物質量が増え、その剛性が増すと、
座屈モードがリブ間を波長とするものに変わる (図 13)。そしてそれ以上リ
ブの物質量を増やしても、モードの波長が変わらないから、限界圧力はそ
れ以上変化しなくなる。
図 11 から、235GPa の繊維を使用する場合でも、リブが 2 個の場合、工作
精度が十分高ければ断面積 5mm × 5mm 程度のリブで機能すると分かった。
図 12: Overall buckling
図 13: interstiffener buckling
4 CFRP 円筒の耐圧実験および考察
17
CFRP 円筒の耐圧実験および考察
4
我々は、この装置にとって最適な CFRP 筒の製法を探るため、いくつか
のタイプの筒を試すことになった。大きく分けて、フィラメント・ワイン
ディング法によるタイプ、炭素繊維の織物から製作したタイプ、一方向材
のプリプレグから製作したタイプの3種類を試作し耐圧試験を行った。
4.1
フィラメント・ワインディング法による円筒
フィラメント・ワインディング (FW) 法は、マンドレルに樹脂を含浸さ
せた繊維の束を巻き付けていく FRP の製法である (図 14)。
ヤング率 235GPa の炭素繊維を使用したヘリカル層1層の筒に対し、リ
ブ2個とリブ3個のものをテストした。それ以前に外側にリブを付けたタ
イプを試作したが、それはすぐにリブとシェルが剥離したので、以降のタ
イプは内側にリブを配置している。図 15、図 16 に、結果をしめす。差圧
が大気圧まで至る前に圧壊した。
次に、ヤング率と積層方法を変えたものをテストした。以前のものより
やや高弾性の、ヤング率 435GPa のものを用い、層を 90,54,90 と3層構造
とし、リブ2個でテストした。図 17 参照。設計段階では耐圧性能は十分
と思われたが結果はそれをはるかに下回るものにしかならず、大気圧を保
持することは出来なかった。
図 14: フィラメント・ワインディング法
18
4.1 フィラメント・ワインディング法による円筒
FW 法は巻く過程で張力がかかるため、薄く均等にしようとすると高弾
性で伸びが低いタイプの繊維になるほど難度が上がる。図 17 の筒は、比
較的高弾性な 435GPa の繊維を、FW 法で 1mm 程度の中に 3 層構造を持
たせようと試みたもので、薄くすることをあまりに意識した結果、透明な
エポキシによりすき間がはっきり視認できてしまうほど、均等に繊維が行
き渡っていない含有率の低いものになってしまった。
また FW 法は、切削加工無しには厚みの精度を出すのが困難である。繊維
を寸断する切削を避けるとすると、表面にある程度の (大きいときは 1mm
にも達する) 凹凸が発生する。円筒の理論的な耐圧性能 (式 3、4) はほぼ厚
み t の 3 乗に比例するから、凹凸は大きな問題となる。式 3、4 における t
の3乗というのはシェルの曲げ剛性が t の 3 乗に比例することに起因して
いるのであるが、厚みに薄い部分があると局所的に曲がりやすい部分が生
じ、そこで変形を促進させてしまう。また、厚みがランダムであると、も
し期待する耐圧性能を見せたとしても、厚い部分は変形の抑制に貢献しな
いデッドウエイトとなる。
FW 法は優れた FRP の製法であるが、我々の要求している円筒に対して
は向いている製法とは言えない。あくまで FW 法は、シェルの合計の厚み
が充分に一層の厚みより厚く、何層も積層できるときに真価を発揮する。
例えば KEK の TRISTAN VENUS 検出器に使用された CFRP 断熱真空槽
([17] 参照) のように、大きく厚いものである場合、FW 法以外の製法は考
えられない。
この耐圧試験の結果、座屈による破壊の前の大きな変形を歪みゲージに
よって読み取ることができた。壊れた筒はどれも、差圧が小さい時には、
圧力と歪みがほぼ比例する傾向をみせたが、破壊が近付くとモードがたち
始め、急激に歪みが増大する。これは変形により力の釣合いを失い不安定
になるという、座屈の一般的特性である。我々は、大気圧に耐えるぎりぎ
りの物質量をねらうという困難な設計をしているので、破壊の前兆が読み
取れるのはとても都合が良い。
19
4.1 フィラメント・ワインディング法による円筒
図 15: FW で製作した CFRP 円筒 (差圧 0.68atm で圧壊)
20
4.1 フィラメント・ワインディング法による円筒
図 16: FW で製作した CFRP 円筒 (差圧 0.96atm で圧壊)
21
4.1 フィラメント・ワインディング法による円筒
図 17: FW で製作した CFRP 円筒 (差圧 0.84atm で圧壊)
22
4.2
4.2 織物タイプを使用した CFRP
織物タイプを使用した CFRP
FW 法の薄い筒では、差圧 1atm に耐え得るものが出来なかったので、次
は織物タイプのものを試した。細かく見た場合、炭素繊維束 (この場合約
0.5mm2 中に 3000 本) が織られるときにどうしても有効利用できない空間
が発生するので極限的含有率を目指す際には適さない。また斜め方向には
弱いという異方性を持つ。しかし加工は FW 法よりはるかに容易であり、
厚みの均一性でも FW 法を大きく凌いだ。
繊維のヤング率は 235GPa であるが、含有率が低い (同じ織物のあらか
じめ樹脂を含んだプリプレグですら体積含有率は 40 %) ので全体の E は
繊維方向でも 50GPa より上とは考えられないが、大気圧に対してリブ2
個で形を保持した。厚みは 1.5mm で 6 層巻いてあり、端面の構造を除いた
重量は 1.75kg である。図 19 参照。それぞれの位置で歪みは差圧にほぼ比
例しており、壊れる前兆は全く無い。
図 18: 炭素繊維の織物
23
4.2 織物タイプを使用した CFRP
図 19: 炭素繊維の織物で製作した CFRP 円筒 (差圧 1atm を保持可能)
4.3 プリプレグを使用した CFRP
24
4.3
プリプレグを使用した CFRP
上の結果を受け 640GPa の繊維のプリプレグから円筒を成形した。プリ
プレグとは、樹脂を含浸させた炭素繊維のシートを指し、例えば前節の織
物でも樹脂をあらかじめ含浸させてあればプリプレグと呼ばれる。積層し
て可圧、加温することにより CFRP を成形する。今回使用したような一方
向材の場合、繊維のヤング率の高い素材が市販されている事や、織物の場
合にあるような有効利用できない繊維のすき間が発生せず、理想的な FW
法と遜色ない含有率が期待できる事、シート1層の厚みが薄い (0.15mm)
ので、層の構成も高い自由度で指定可能な事などの特長がある。反面、シー
トの大きさに制限がある事から大きな構造物には適さないが、我々には問
題にならない。また、高性能の繊維であるゆえに素材は高い。
図 20: 繊維を一方向に並べたプリプレグ
我々は層構成を、軸に対して 90 °(2層)、± 30 °、90 °(2層) の6層、
厚み 0.9mm とした。この積層方法には、
・90 °、± 30 °という、疑似等方性を持つ組合せを含んでいるため幅広い
方向の応力に対応可能
・90 °層を外側に配置し中心面からの距離をとることで、重点的に周方向
の曲げ剛性を補強している。
・90 °層を2層続けて巻くことによって、繊維が途切れることになるシー
25
4.3 プリプレグを使用した CFRP
トの継目による信頼性の低下を防いでいる
という特徴がある。
まだ短期間のテストしか行っていないが、端を除いた重量で 1.36kg に抑
えられ、大気圧に対して1時間以上、形を保持した。表面の歪み量は前節
までのものの 1/10 程しかない。図 21 参照。この筒は我々が試した中では
最も高弾性タイプの繊維を使用しており、最も物質量が小さい。
ただ、この筒は差圧 1atm 付近でひずみが圧力に比例していない。これ
がこのまま大気圧に耐え続けるのかはいまのところ良く分からないが、材
料が弾性領域を外れたところで釣合いが成立しているとも考えられる。い
ずれにしても長期の耐圧試験を続ける必要がある。
26
4.3 プリプレグを使用した CFRP
図 21: プリプレグで成型した CFRP 円筒 (差圧 1atm を保持可能)
4.4 長さへの依存性
27
4.4
長さへの依存性
第 4.1 節の筒と同じ種類の円筒シェルを使い、耐圧性能の長さへの依存
性と、ばらつきの精度をみる目的で、幾つかのテストを行った。以下にそ
の結果をしめす。図 23、24 参照。周方向に波打ったモードが立っているの
を視認することができる。
図 22: 長さの依存性及びばらつき
図 22 中の実線は、ABAQUS を使用し、軸から± 54 °の角度に繊維が向
いた状態を想定して計算したものである。235GPa の繊維が 55 %含まれる
と仮定し、繊維方向 130GPa、その直角方向 2.4GPa を仮定した。
長さ 250mm の筒が、強いものと弱いもので 0.1atm 程の開きがあった。
これは厚みが薄い FW 法の精度が低いためだと考えられる。しかし耐圧性
能と長さとの関係は、シミュレーション結果と似た傾向は示していること
が確認できた。
28
4.4 長さへの依存性
図 23: FW 円筒、長さ 250mm、及び 308mm での試験
29
4.4 長さへの依存性
図 24: FW 円筒、長さ 348mm、及び 401mm での試験
5 結論
30
5
結論
我々は最終的には、ヤング率 640GPa のプリプレグタイプを使い、厚み
0.9mm、端のフランジ等を含めない重さで 1.36kg の筒を、大気圧に対して
保持することに成功した。
出来るだけ軽く製作するには、
・強度よりもヤング率を重視する
・厚みの一様性を重視するため、繊維そのものからではなく、その加工品
であるシート状のものを原料として使用する
・周方向の曲げ剛性を重点的に追及する
ことが挙げられる。
CFRP 真空容器に関して今後解決するべき問題点として、
・長期にわたる耐圧テスト
・到達真空度の測定
・熱放射の抑制(内部へ金属めっきして放射率低減)の試み
がある。
クライオスタットの物質量削減の為にさらに考慮する必要がある事は
・窒素温度断熱層 (放射シールド) の設計の見直し
・ターゲットセルのスーパーリークがないことの確認
の2点である。現在、試験が進行中である。
A 炭素繊維の物性値
31
A
炭素繊維の物性値
以下に、今回使用した炭素繊維の物性値を示す。
引張り強度 (MPa)
ヤング率 (GPa)
破断伸び (%)
密度 (g/cm3 )
織度 (g/1000m)
フィラメント数 (本)
繊維直径 (µm)
K13710
(三菱化学産資)
2600
640
0.4
2.12
1400
10000
-
UM46-12K
(東邦レーヨン)
4705
435
1.1
1.82
385
12000
7
HTA-W 12K
(東邦レーヨン)
3920
235
1.7
1.77
800
12000
7
表 3: 炭素繊維の物性値詳細
B
複合則
構成材料の特性から複合材料としての巨視的な特性を推定する法則を複
合則という。連続繊維による一方向強化材のヤング率については、以下の
ようになる。
図 25: 一方向強化材
B 複合則
32
図 25 のように同じ太さの円形断面の繊維が一方向に配列し、周囲に樹
脂が存在している場合を考える。繊維に直角なある断面内の繊維、樹脂の
断面積を Af 、Am とし (A = Af + Am ) 、それらに生じる応力を σf 、σm 、
それぞれのヤング率を Ef 、Em とする。伸びによる歪みを とすると (伸
びは両者とも同じとする)Hooke の法則から、
σf = Ef ,
σm = Em (5)
複合材料全体に作用する力 P は、
P = σf Af + σm Am = (Ef Af + Em Am )
ここで、繊維の体積含有率を考えると、全断面積 A に対する繊維の占める
断面積の比が Vf であるので、上式は
P = {Ef Vf + Em (1 − Vf )}A
となる。
平均応力は σL = P/A であるから、
σL = {Ef Vf + Em (1 − Vf )}
従って、複合材料のヤング率 EL は
EL = Ef Vf + Em (1 − Vf )
となる。
B 複合則
33
図 26: 繊維方向の複合測
次に繊維方向に直角な方向に力 P で引張った場合のヤング率を考える。
この場合、図 27 のように直列に繊維と樹脂が連結されていると考えれば
よいので、それぞれの伸びを考えると、
T l = f l f + m l m
であるので、
T = f Vf + m Vm
となる。ここで、Vf = lf /l、Vm = lm /l とした。
σT = σf = σm
であるので、式 5 を考慮すると、複合材のヤング率 ET と各部材のヤング
率との関係は次のようになる。
Vf
Vm
1
=
+
ET
Ef
Em
C 座屈問題
34
図 27: 繊維と直角方向の複合測
C
座屈問題
有限要素法において座屈固有値問題は、次の平衡方程式が自明でない解
を与える場合を求めるものである。
(K − KG )u = 0
(6)
ただし、
K:基準状態の剛性マトリックス
KG :初期応力マトリックス
u:変位ベクトル
であり、荷重を P とすると P = KG u である。
今、| K − KG | の行列式 det の値が 0 でなければ、式 6 はつり合い状態を
表す。しかしそうでない場合には u が一義的に定まらず座屈点となる。
D
寒材消費量
クライオスタットにおける寒材の消費量を大まかに見積もる。
・液体 4 He 消費量
2K 部分での 4 He 消費量はポンプによって決まる。液体 4 He の沸点における
密度が 124.8kg/m3 であり、0.0392g/s 蒸発するので消費量は 1.13l/hr であ
35
D 寒材消費量
る。ヘリウムリザーバーでの 4 He 蒸発量は熱流入によって決まる。0.67W
分蒸発すると考えると約 0.97l/hr である。4 He 全体で 2.1l/hr 消費すると見
積もられる。
・液体 N2 消費量
液体 4He と同様に液体 N2 も熱流入によって消費量が決まる。蒸発熱が
199.1kJ/kg、密度 (液体、沸点) が 804.2kg/m3 であり、125.3W 流入するの
で消費量は 2.82l/hr である。クライオスタットの液体 N2 タンクは約 65l よ
り、約 24 時間に 1 回の補給が必要である。
放射シールドは、現状では上面が 120K 程度ととても高い。冷却速度に
ついては超流動槽のポンプ能力を上げて対応できるが、4 He 消費を抑える
ためには根本的に熱入力を抑える必要がある。その案としては、網細血管
状のパイプをできるだけターゲットに近付け、薄い膜状の Al で囲んでし
まうこと等が考えられる。
Acknowledgements
はじめに、決して優秀とは言えない私を院生として迎えて頂き、このよ
うな研究の場を与えてくださった岩崎先生に感謝いたします。また、KEK
の石元さんには装置の設計に加えて、多大なる助言と協力をしていただき
ました。どうもありがとうございます。
助手の板橋さんには、日常の活動においてたいへんお世話になりました。
また、御忙しいところ夜遅くまで論文を校正して頂きました。本当にどう
もありがとうございました。
CFRP 筒の耐圧試験において、KEK の鈴木さんにはいろいろと御迷惑
をお掛けしました。ありがとうございました。
友野さん、佐藤くんをはじめ、岩崎研究室のみなさんにはいろいろお世
話になりました。
それから、複合材料について突然質問をしに行ったりしたにも関わらず、
貴重なアドバイズを下さったり、CFRP の製作をする会社への架け橋となっ
ていただいた小林・轟研の島村さん、津田・久保内研の仙北谷さんへこの
場を借りてお礼を申し上げます。
参考文献
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[2] 低温工学ハンドブック. 内田老鶴圃新社,1982
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ring-stiffened cylindrical shells under general pressure loading via the
Ritz method.Thin-Walled Structures,35(1999)1-24
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