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ミャンマー経済のゆくえ第3回MJS講演資料
ミャンマー経済のゆくえ 第3回日本・ミャンマーソサエティ会合 回日本・ミャンマーソサエティ会合 2011年 年7月 月23日 日 明治学院大学 江橋正彦 ミャンマーは本当東南アジアの最貧国か? CLMV諸国の一人当たり 諸国の一人当たりGDPの推移(経常価格、米ドル の推移(経常価格、米ドル) 諸国の一人当たり の推移(経常価格、米ドル 出所)IMF, WEO Database, Apr.2011 出所 1200 US$ 1000 800 600 400 200 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 Cambodia 106 230 270 261 248 297 295 281 253 281 288 309 327 349 393 455 526 627 805 Lao PDR 217 249 278 305 345 391 397 365 251 269 303 304 314 356 411 464 596 694 856 Myanmar 68 57 63 73 94 123 109 100 134 173 178 129 130 197 195 216 257 350 533 Vietnam 98 114 144 189 230 289 338 362 361 375 402 413 440 489 554 637 724 835 1048 CLMVの社会指標比較 ミャンマーはラオス、カンボジアと同等のレベルなのに所得が低すぎないか? Social Indicators (Cambodia, Laos, Myanmar, Vietnam) 1. 2. 3. 4. 5. HDI Value, 2004 HDI Rank, 2004 Life expectancy at birth (years) , 2004 Adult literacy rate (% ages 15 and older), 2004 Combined gross enrolement ratio for primary, secondary and trtiary schools(%), 2004 6. Under-five mortality rate (per 1,000 live birth), 2004 7. Net primary enrolement ratio (%), 2004 8. Population with sustainable access to improved sanitation, 2004 9. Population with sustainable access to improved water source, 2004 10. Population undernourished (%), 2001/03 11. Children under weight for age( % under age 5), 1996-2004 12. infants with low birthweight (%), 1996-2004 13. One year old fully immunized (%), 2004 against tuberculosis against measles 14. Birth attended by skilled personnel (%), 1996-2004) 15. Physicians (per 100,000 people, 1990-2004) Per Capita GDP(US$), 2007 IMF , Worl d Economi c Outl ook Databas e, A pri l 2011 Source: UNDP Human Development Report 2006 Cambodia 0.583 129 56.5 73.6 Laos 0.553 133 55.1 68.7 Myanmar Vietnam 0.581 0.709 130 109 60.5 70.8 89.9 90.3 60 141 98 17 59 33 45 11 61 83 84 30 51 21 40 14 49 106 90 77 78 5 32 15 63 23 93 61 85 17 28 9 95 80 32 16 60 36 19 59 85 78 57 36 96 97 85 53 627 694 350 835 ミャンマーのGDPをドル換算するのは難しい IMFによるミャンマーの一人当たり所得(米ドル)推計 1998年のミャンマーのGDPはTotal 1,609,776Million Kyat(ミャンマー政府統計) 人口: 4 8 1 6 万人( 1 9 9 8 年1 0 月1 日現在) で 割ると一人当たりGDPは3 3 ,4 2 5 Kyatとな る。 この数字は並行市場レートで表現された生産(支出)と公定レートで表現された部分からなっている。 IMFは並行市場レート適用部分を70%、公定レート適用部分を30%と仮定した。 並行市場レート 公定レート 319.5 Kyat適用 (70%) 6.27Kyat適用 (30%) 一人当たりGDPの33,425Kyat を公定レートの6.27Kyatで割ると→5,330ドル 並行レートの319.5Kyatで割ると→105ドル IMFは249.2Kyat(319.5Kyatの78%)で計算し、134ドルとした ( この推計への疑問) ミャンマ ー政府が国民所得統計上、公定レ ートで 表現して いるセクターは以下の通り。 1) 輸出・ 輸入のすべて 2) 設備投資の大半( おもに輸入財) 3) 政府最終消費支出の一部 4) 国営企業の工業生産の一部( 医薬品な ど) 公定レートで 表現されて いる部分は3 0 %より大きいので はな いか?多分に過小評価の可能性がある。 公定レートで計算されたミャンマーの投資と輸出入の 対GDP比率は異様に低い 投資と輸出入のGDP比比較:ベトナムとミャンマー (経常価格、%) (経常価格、 ) Source: ADB Key Indicators 2010 90.0 80.0 70.0 60.0 ベトナムの粗固定資本形成(経常価格) 50.0 ベトナムの輸出(経常価格) ベトナムの輸入(経常価格) ミャンマーの総固定資本形成(1985/86固定価格) 40.0 ミャンマーの総固定資本形成(経常価格) ミャンマーの輸出(経常価格) 30.0 20.0 ミャンマーの輸入(経常価格) 1985年価格でみると、公定レートと並行レートのギャップがさほど大きくないの 年価格でみると、公定レートと並行レートのギャップがさほど大きくないの で、実態に近い投資率が得られる 1985年価格でみると、公定レートと並行レートのギャップがさほど大きくないので、実態に近 い投資率が得られる 10.0 0.0 199019911992199319941995199619971998 1999 2000 2001 20022003200420052006 ミャンマーのGDP支出構成は投資と輸出入が公定レートで計算 されているため異常な形となっている ミャンマーのGDP支出構成 支出構成(支出ベース ミャンマーの 支出構成 支出ベース)の推移 支出ベース の推移(% の推移 %) 100.0 出所)ADB Key Indicators , 2010 出所) 88.3 80.0 86.0 87.2 88.6 88.3 86.6 88.5 88.2 88.2 87.0 87.7 88.5 89.8 89.0 87.7 86.7 86.2 60.0 40.0 消費 総固定資本形成 純輸出 20.0 13.4 15.3 輸出 13.5 12.4 12.4 14.2 12.3 12.5 12.4 13.4 12.4 11.6 10.1 11.0 12.2 13.2 13.8 0.0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 -20.0 輸入 IMFが使用した交換レートに問題はないか? IMF のGDP/人の推計と為替レートの関係 人の推計と為替レートの関係 1400 1280 1296 1194 1200 1065 1162 1159 964 1000 925 800 907 1025 917 IMF推計の一人当たりGDP(経常価格ドル) 683 IMF推計の修正(交換レートを市場レートの60% と仮定) 859 830 737 621 IMFが使用した為替レート(1ドルあたりチャット) 600 522 並行市場の為替レート(1ドルあたりチャット) 548 400 320 340 219 200 174 249 258 173 533 388 369 347 307 230 287 251 190 194 257 178 134 350 129 130 2001 2002 197 195 2003 2004 216 0 1998 1999 2000 2005 2006 2007 2008 ミャンマーの高いインフレが通貨下落と ドルベースの所得の引き下げをもたらした CLMV諸国のインフレ率 諸国のインフレ率(% :年平均消費者物価 諸国のインフレ率 %): Source: IMF WEO Database Apr.2011 140.0 120.0 100.0 80.0 60.0 Cambodia Lao PDR Myanmar 40.0 20.0 0.0 -20.0 Vietnam -20 -40 2010 2010年 年07 07月 月 2010 2010年 年01 01月 月 2009 2009年 年07 07月 月 2009 2009年 年01 01月 月 2008 2008年 年07 07月 月 2008 2008年 年01 01月 月 2007 2007年 年07 07月 月 2007 2007年 年01 01月 月 2006 2006年 年07 07月 月 2006 2006年 年01 01月 月 2005 2005年 年07 07月 月 2005 2005年 年01 01月 月 2004 2004年 年07 07月 月 2004 2004年 年01 01月 月 2003 2003年 年07 07月 月 2003 2003年 年01 01月 月 2002 2002年 年07 07月 月 2002 2002年 年01 01月 月 2001 2001年 年07 07月 月 2001 2001年 年01 01月 月 2000 2000年 年07 07月 月 2000 2000年 年01 01月 月 1999 1999年 年07 07月 月 1999 1999年 年01 01月 月 1998 1998年 年07 07月 月 1998 1998年 年01 01月 月 1997 1997年 年07 07月 月 1997 1997年 年01 01月 月 1996 1996年 年07 07月 月 1996 1996年 年01 01月 月 前年同月比 変化率(%) 消費者物価指数と並行為替レートの変化率 Note: Selected Monthly Economic Indicators, CSOよりアジア経済研 究所久保氏作成分を ジェトロヤンゴンで加工 120 100 80 USD CPI 60 40 20 0 インフレの主な原因 MONEY SUPPLY Inflation and Monetary Growth 800000 CONSUMER PRICE INDEX 350 (1950 ~ 2001) 300 600000 500000 200 400000 150 300000 100 200000 50 100000 Source : IMF, International Financial Statistics 2003 CSO, Statistical Yearbook (various issues) 2000 2001 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 1955 0 1950 0 (base year = 1995) 250 Consumer Price Index Money Supply (million kyat) 700000 ミャンマーのGDP成長率への疑問 ミャンマーの 成長率への疑問 出所)Statistical Yearbook各年版より作成 各年版より作成 出所) 16 13.8 13.7 14 13.6 13.6 13.1 12.0 12 11.9 11.3 10.9 9.7 10 GDP 1998年のICORの下での成長率 7.5 8 6.9 ICOR(固定価格ベース) 6.4 6.0 ICOR(経常価格ベース) 5.7 6 5.8 6.7 6 5.3 5.6 6.3 5.6 5.2 5 4.6 4 2.8 2 1.7 0 0 1.3 2.0 2.3 2.4 2.2 1.5 1.0 0.9 1.0 1.0 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 1999年から統計に多くの矛盾が • • • • • ミャンマーの国民所得統計は1999年度から突然おかしくなった。政府各省の数字 に加え、DivisionやStateの地域軍司令官を中心に地域の経済の実態を把握する 体制にかわったことが問題の根源にあるようだ。 計画経済開発省のゾートン次官は2000年に、「99年の10.9%成長は疑問、各地 域司令官が競って実績を上げようとこれまで統計に含めなかった森林地区での 農業生産やきのこ、たけのこなどをも統計に計上し数字のかさ上げを計ってお り、実際は5~6%程度の成長だ」とヤンゴン経済大学MBAコースで語った。 2002年度を最後に国民所得統計は数年間刊行されず、金融統計は2000年度か ら、財政統計は1999年度から未公表となった。 1999年以降の成長率が過大なことは、限界資本係数(ICOR)をとってみるとよくわ かる。ミャンマーの限界資本係数は次のグラフに見るように、1992年の1.74から 95年の3.52へ、そして1998年には5.41に年々上昇している。 ダムや橋、水力発電所など投資の懐妊期間の長いインフラ投資や建物の建設、 新しい国営工場への投資などのせいで資本の効率が悪くなっていることを示す。 成長率のかさあげは主に製造業で行われた ミャンマーの実質GDP成長率推移( 成長率推移(%) ミャンマーの実質 成長率推移( 出所)ADB Key Indicators, 2010 出所) 40.0 35.0 30.0 25.0 GDP 20.0 農業 工業 (製造業) 15.0 サービス 10.0 5.0 0.0 1990 -5.0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 スローなミャンマーの工業化 工業化率比較:ベトナムとミャンマー 出所)ADB Key Indicators, 2004,2010 出所) 45.0 % 40.0 35.0 30.0 25.0 20.0 ベトナム ミャンマー 15.0 10.0 ミャンマーの2001年か 年か ミャンマーの ら2006年にかけての 年にかけての 上昇が異常 5.0 0.0 1990 1995 2001 2006 工業生産が低すぎる理由 1)国民所得統計上の把握の低さ、2)工業品の相対価格の変化 図1.ミャンマ ー製造業の全体像( 概念図) 2000年ごろまで国民所得統計が把握していた 年ごろまで国民所得統計が把握していた のはほとんど第1工業省登録企業のみだった のはほとんど第 工業省登録企業のみだった 工業団地入居 事業所 第1工業省 登録事業所 登録 家内工業 未登録の 自営業 家内工業 外資系企業 CMP従事 事業所 100%外資 軍関係企業 出所)江橋正彦「軍政下におけるミャンマーの市場経済化と今後の政策課題」、『立命館経営学』2000年1月 市場経済化後、それまで抑えられていた農産物の相対価格が大き く上昇:農業のシェアが増大、工業のシェアが低下した 指数(1986=100) 図2-1 自由化後の相対価格の変化(ヤンゴン市物価) 出所)Statistical Yearbook 1997 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 年度 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 ⾷料品 米 非⾷料品 電気・燃料 衣類 薬品 表 アジア各国の高度成長期における限界資本係数の比較 実質GDP成 投資比率の平均 高度成長期 長率の (固定資産投資額の 限界資本係数 ICOR 平均(%) 対名目GDP比:%) 日本 1961-70 10.2 32.6 3.2 韓国 1961-80 7.9 23.3 3.0 1981-1990 9.2 29.6 3.2 台湾 1961-80 9.7 26.2 2.7 タイ 1981-95 8.1 33.3 4.1 中国 1990-99 10.0 31.7 3.2 2000-06 9.6 41.3 4.3 ベトナム 2001-06 7.6 33.5 4.4 中国、ベトナムも限界資本係数が高まる一途。ミャンマーも同様だった (資料)世界銀行「WDI」、中国国家統計局「中国統計年鑑2006」、中国国家統計局Webサイト Taiwan Statistical Databook,1992から作成。 2006年4月(1$=1,490Kyat)を境にチャット高進む チャットの対ドルレート推移(1997 チャットの対ドルレート推移(19971997-2010) 1600 1400 1200 1000 US$ to Kyat 800 FEC to Kyat 600 400 200 2010/1/3 2009/1/3 2008/1/3 2007/1/3 2006/1/3 2005/1/3 2004/1/3 2003/1/3 2002/1/3 2001/1/3 2000/1/3 1999/1/3 1998/1/3 1997/1/3 0 長年のチャット下落と最近のチャット高の背景 • 2006年4月、weekly averageで1,490 Kyatを付けるまでミャンマーチャットは ほぼ一貫して下落した(1988・89年度は平均1$=42Kyat) • チャットの対ドルレート下落の一番の要因は財政赤字補てんのための チャットの増刷による激しいインフレ。チャットの下落はまた輸入インフレ をもたらし、チャットの下落をさらに促した。 • 財政赤字の最大の要因は国営企業の赤字と公共事業および軍事支出 だが、2006年には公務員給与の大幅な引き上げによる財政赤字がイン フレを激化させた。 チャット安の構図(~2006年まで) チャットの過剰流動性 チャットの流動性からみたチャット安の構図 公共料金への補助 中央銀行の通貨増 刷による赤字補てん 大型公共事業 (ネイピード、ヤダナボンなど) インフレ 過剰流動性 財政赤字 財政赤字 チャットの下落 さらなるインフレ 国営企業の赤字補てん マイナスの 実質金利 歳入の不足 輸入品価格の上昇 ドルの需給からみたチャット安の構図 (~2006年) ドルの需給からみたチャット安の構図 大規模国家プロジェクト (ネイピード、ヤダナボ ン)、戦闘機、核実験炉な ど 低レベルの輸出水準 ドルへの需要増大 慢性的外貨不足 根強い輸入需要 チャットの下落 と インフレ ODA、FDIの 不十分な流入 (国際制裁の影響も) チャット 安 流動性の側面からみたチャット高の構図 (2006年以降) チャットの流動性からみたチャット高の構図 財務省証券 の発行拡大 公共料金への補助削減 中央銀行の通貨増 刷による赤字補てん の抑制 大型公共事業の一巡 (ネイピード、ヤダナボンなど) 流動性不足現象 インフレの鎮静化 財政赤字の 財政赤字 減少 チャットの上昇 国営企業の民営化推進 実質金利の 上昇 天然ガス収入増加、 国有資産売却収入の増加 輸入品価格の低下 チャット高の構図(2006年以降) ドル需要の減退 ドルおよびチャット需給からみたチャット高の構図 大規模国家プロジェクト (ネイピード、ヤダナボン) の一巡 中国、韓国などからの 直接投資の増加 人民元、バーツ、 円などアジア通貨 に対する 米ドル安 天然ガス輸出の拡大 ドルへの需要減 外貨準備の増加 輸入需要の低迷 チャットの安定と インフレの鎮静化 国有資産の 売却に伴う 民間の チャット需要 チャット 高 今後のチャットの対ドルレートの見通し 1)米ドルと人民元、タイバーツ、シンガポールドルとの関係がどうなるか →たぶん米ドルはさらに下落 たぶん米ドルはさらに下落、チャット高要因 たぶん米ドルはさらに下落、チャット高要因 2)チャット高による豆や衣類などの輸出の停滞→チャット安要因 2)チャット高による豆や衣類などの輸出の停滞 チャット安要因 3)土地投機のための一時的なチャット需要の落ち着き→チャット安要因 3)土地投機のための一時的なチャット需要の落ち着き チャット安要因 4)模様眺めを決めていた民間のドル需要の活発化→チャット安要因 4)模様眺めを決めていた民間のドル需要の活発化 チャット安要因 5)FDIに伴う輸入・建設活動の活発化 5) に伴う輸入・建設活動の活発化→チャット安要因 に伴う輸入・建設活動の活発化 チャット安要因 などから 1ドル= ドル=800~ ~900チャット程度で推移するのではないか。 チャット程度で推移するのではないか。 ドル= • • • なお、ミャンマー新政権はチャットの一元化(市場レートへの統合)の準備をそろ そろ開始する見込み。 1994年に中国が兌換券を廃止して為替レートを一本化(レートを約 年に中国が兌換券を廃止して為替レートを一本化(レートを約4割下落させ 年に中国が兌換券を廃止して為替レートを一本化(レートを約 割下落させ て米ドルに固定)した経験を学ぶほか、IMFと一本化について指導を仰ぐ可能性 と一本化について指導を仰ぐ可能性 て米ドルに固定)した経験を学ぶほか、 が強い。 たぶん、2015年の 年のASEAN共同体スタート前、つまり 共同体スタート前、つまり1年半~ たぶん、 年の 共同体スタート前、つまり 年半~2年以内に実現する 年半~ 年以内に実現する だろう。その過程で一時、チャットは下落して チャット程度までいくものの、1 だろう。その過程で一時、チャットは下落して1,500チャット程度までいくものの、 。その過程で一時、チャットは下落して チャット程度までいくものの、 年半以内で1,000チャット程度に落ち着くのではないかと推測してい チャット程度に落ち着くのではないかと推測している 年半以内で チャット程度に落ち着くのではないかと推測している。 ミャンマー側統計では貿易は黒字 ミャンマーの貿易と外貨準備 出所)IMF, IFS 2010 出所) 7,000 100万ドル 万ドル IFS統計はミャンマー政府のドルベースの 統計はミャンマー政府のドルベースの 報告に基づく (チャット建ての貿易額を公定レートでドル 換算したもの) 6,000 5,000 4,000 輸出(fob) 輸出 輸入 (fob) 3,000 貿易収支 2,000 天然ガス輸出 外貨準備 1,000 0 19971998199920002001200220032004200520062007 -1,000 -2,000 相手国統計からみると輸入ははるかに多い IMF DOT(Direction of Trade)は貿易相手国側の通関統計 は貿易相手国側の通関統計 なのでより信頼性が高い 輸入の乖離の背景は? 1. 2. 3. 4. 5. 乖離は2002年以降に拡大 年以降に拡大 乖離は 2002年末ごろから始まった首都ネイピード建設やヤダナボン・サイバー 年末ごろから始まった首都ネイピード建設やヤダナボン・サイバー シティの建設プロジェクト関連の輸入はspecial orderによるものとして、 によるものとして、 シティの建設プロジェクト関連の輸入は 税関を通さずに行っている可能性がある また、Economic Corporation, Economic Holdingなどの軍関係企業の製 などの軍関係企業の製 また、 鉄プロジェクトなどのプラント輸入も通関統計に表れていない可能性も 否定できない IMF Direction of Tradeの統計がより正しい姿とすると、ミャンマーの貿 の統計がより正しい姿とすると、ミャンマーの貿 易収支の黒字はほとんどなく、したがって外貨準備もIMFの のIFS 易収支の黒字はほとんどなく、したがって外貨準備も (International Financial Statistics) に報告された額ほどには達していな い可能性もある。 あるいは、輸入のかなりの部分が中国からの借款などでカバーされて いて、その分を輸入に計上していない可能性も否定できない。 中国の対ミャンマー戦略の意図 1)マラッカ海峡を通らずにインド洋にアクセスする「道」を確保 する(とくに四川省や雲南省にとってその重要性はきわめて 大きい)こと 2)天然ガスなどの鉱産資源や農水産物などのミャンマーの未 開発の資源(水力を含む)を 開発の資源(水力を含む)を確保すること 資源(水力を含む)を確保すること 3)中国産品の市場を確保すること 3)中国産品の市場を確保すること 4)ミャンマーをASEANの中の親中国国家とすることで東南アジ の中の親中国国家とすることで東南アジ )ミャンマーを アでの影響力を確保すること 5)パキスタン、バングラデシュ 5)パキスタン、バングラデシュとともに対インド 、バングラデシュとともに対インド包囲網を構築 とともに対インド包囲網を構築 し、インドを牽制すること し、インドを牽制すること 中緬パイプライン構想 重慶 瑞麗 昆明 マンダレー シットウェ(または チャオピュー)起点 マラッカ海峡 【インドの計画】 インドの計画】 パイプライン建設 シットウェ港整備 カラダン川輸送路開拓 【中国の計画】 中国の計画】 パイプライン建設 シットウェ経済特区設立 チャオピュー港整備 中緬バングラ道路建設 シュエ・ガス田● (韓印企業が開発) ● •ネイピドー ネイピドー チャオピュー (ラムリー島) ベンガル湾をめぐる ヤダナ・ガス田 周辺国の動き 【タイの計画】 タイの計画】 ヤダナ・エタグンの パイプライン延長 ● エタグン・ガス田● 主な通過点と施設 32 水力発電プロジェクトに集中する中国援助 中国の対ミャンマー援助(発電プロジェクト) (完工済み案件) 発電所 容量(MW) 完工年 契約者 ゾージ第1水力 18 1996 雲南機械輸出入公司 ゾージ第2水力 12 1998 雲南機械輸出入公司 ザウンドゥ水力 20 2000 中国国際信託投資集団 タパンゼイク水力 30 2003 中国国際信託投資集団 パウンラウン水力 280 2005 雲南機械輸出入公司 モン水力 75 2004 中国国際信託投資集団 ティジット火力 120 2004-05 CHMC 小水力(14箇所) 雲南機械輸出入公司 小計 555 (ミャンマーの総設置容量1,710MWの32.5%に相当) (契約履行中案件) 発電所 容量(MW) 完工予定年 契約者 イェヌエ水力 25 2006 中国国際信託投資集団 チャイントウン水力 54 2006 中国国家電力総公司-Zhejiang シュエリ水力 400 2007 雲南機械輸出入公司 クン水力 60 2007 CHMC-中国国家電力総公司 イェイワ水力 790 2009 中国国際信託投資集団 パウンラウン水力第2期 140 未定 雲南機械輸出入公司 小計 1,469 以上中国援助合計 2,024 MW (ミャンマーの総設置容量3,179 MWの63.7%に相当) 出所)ヤンゴン日本人商工会議所 村井純一氏作成資料 2005年による 中国のプラント輸出により拡大する国営企業 中国の対ミャンマー援助(工業プロジェクト)2001年~2005年 プロジェクト名(地名) 年度 生産能力 セメント工場(Kyaukse) 2002年完成 日産500トン 新聞紙工場(Thabaung) 2001年12月MOU調印 日産60トン、3,650万ドルの信用 過酸化水素工場(Chauk) 2002年4月契約 日産30トン ガラス工場(Thanlyin) 2004年完成 日産60トン アスベストブロック工場(Kyaukse) 2003年完成 日産2,500トン 下着工場(Kyaukse) 2001年8月契約 繊維工場(Pakkoku) 2001年6月契約 繊維工場(Salingyi) 2001年6月契約 竹パルプ工場(Thabaung) 2004年操業 日産200トン 同工場拡張(Thabaung) 2004年8月MOU調印 日産300トンへ拡張 紙工場(Bago) 2001年12月契約 日産茶紙80トン、漂白紙50トン、再生紙120トン パルプ工場(Moneywa) 2004年8月MOU調印 竹パルプ工場(Ponnarkyunn) 2004年8月MOU調印 日産500トン 多機能ディーゼルエンジン工場 2004年8月MOU調印 1億2,600万ドルの信用 紙工場(Maubin) 2004年1月完成 白紙年産5,000トン(ジュート原料) ガラス工場(Myeik) 2005年着工予定 日産100トン(カラーガラス、車のウィンドウ) 竹パルプ工場(Dawei) 2005年1月MOU調印 日産100トン 尿素肥料工場 2005年1月MOU調印 日産500トン ニット工場(Taunghta) 2005年5月契約 耐熱煉瓦工場(Kyaukse) 2005年12月開所式 年産2,500トン 出所)New Light of Myanmar, Myanmar Times, BIG 2001,2002, 2004, 2005各年版より作成 中国援助の問題点 1、中国製プラントの輸出がねらいで、非効率な国営企業をミャンマーにたくさん増 中国製プラントの輸出がねらいで、非効率な国営企業をミャンマーにたくさん増 設させている。機械の多くが低品質で故障が多い 2010年 年4月も 月も 年産500万トンの製油所( 万トンの製油所(23億ドル)、 の合弁 MOU調印 調印 年産 万トンの製油所( 億ドル)、広東振戎能源公司 億ドル)、広東振戎能源公司と 広東振戎能源公司とMEHの合弁 2、中国への電力供給をねらった大規模水力発電や資源開発により環境破壊をもた らしている ・中国電力投資集団公司(中電投)とミャンマー第1電力省が出資してミャンマーのメイカ川、マリカ川とイラワジ川に建設 中国電力投資集団公司(中電投)とミャンマー第 電力省が出資してミャンマーのメイカ川、マリカ川とイラワジ川に建設 しているカチン州のミッソン水力発電所、7つの 年4月爆発事 月爆発事 しているカチン州のミッソン水力発電所、 つのカスケード発電所の総出力は2,000万キロワット。 つのカスケード発電所の総出力は2,000万キロワット。2010年 カスケード発電所の総出力は2,000万キロワット。 件発生。 ・EGAT(タイ発電公社)はサルウィン川で (タイ発電公社)はサルウィン川で4か所 (タイ発電公社)はサルウィン川で か所(上流からタサン、ウェイジー、ダグウィン、ハッジー か所 上流からタサン、ウェイジー、ダグウィン、ハッジー)に水力発電所を建設、 上流からタサン、ウェイジー、ダグウィン、ハッジー に水力発電所を建設、 電力の95%をタイへ輸出。そのうち、 電力の %をタイへ輸出。そのうち、 タサン水力発電所は、出力711万キロワットで、東南アジアの水力発電所として は、計画中の案件を含め最大規模となる。建設は中国、タイ、ミャンマーが共同で、建設・運営・譲渡(BOT)方式により 進められる。投資額は90億ドルで、工期は15年を見込む。 3、 ミャンマー外交が中国の掌で動かされる恐れも。 ・南沙諸島問題でミャンマー政府は中国の主張(2国間対話での解決、行動規範策定へ反対)を支持、 南沙諸島問題でミャンマー政府は中国の主張( 国間対話での解決、行動規範策定へ反対)を支持、 ベトナムと反対の立場をとったとの報道も 米国の対ミャンマー政策: 目指し 米国の対ミャンマー政策:Regime Change目指し 強化の一途を 強化の一途をたどった制裁 の一途をたどった制裁 「新たな経済制裁発動後、たった2週間で 「新たな経済制裁発動後、たった 週間で64の縫製工場が閉鎖した。すでに 週間で の縫製工場が閉鎖した。すでに8万人の雇用が失わ の縫製工場が閉鎖した。すでに 万人の雇用が失わ れ、さらに10万人が職を失う見込みだ。その大半は貧困家庭の家計を助けていた若い女性たちで れ、さらに 万人が職を失う見込みだ。その大半は貧困家庭の家計を助けていた若い女性たちで ある。ミャンマー中部で行われた最近のヒアリング調査から、職を失った女性たちの中には売春婦 になってしまった者もいることが分かっている。」~David になってしまった者もいることが分かっている。」~ I. Steinberg, 2003 年 月 1997. 5 2003. 7 2007. 9 2007. 10 2008. 7 制 裁 の 骨 子 米国企業による新規投資禁止 貿易制限、SPDC 貿易制限、SPDC関連の資産凍結、査証発給制限、 SPDC関連の資産凍結、査証発給制限、 国際金融機関の貸し付けへの反対 ミャンマー産品の全面輸入禁止 SPDCメンバーなどの資産凍結・査証発給制限措置の拡大、 SPDCメンバーなどの資産凍結・査証発給制限措置の拡大、 米金融機関とミャンマー組織との取引禁止 資産凍結措置の拡大、輸出管理規制強化 ミャンマー産ヒスイ、ルビーなどの宝石輸入の禁止 米国の制裁がミャンマー経済に 与えたインパクト 直接の 直接の インパクト 1) 米国企業に 米国企業に よ る対ミャンマー 対ミャンマー 投資の 投資の禁止 2) 米国・ 米国 ・ 企業個人に 企業個人に よるミャンマー ミャンマ ーへの 金融・ 金融 ・ 技術協力の 技術協力の 禁止 3) ミャンマー ミャンマー 産品の 産品の 輸入禁止 輸入禁止に 禁止に よ る主と して 衣類産業 衣類産業な 産業など に 打撃 4) 米国産品の 米国産品の 輸出の 輸出の 事実上の 事実上 の停止 5) 金融サービスの輸出・再輸出の禁止 金融サービスの輸出・再輸出の禁止と 再輸出の禁止 と ミャンマー ミャンマー の 国営銀行を 国営銀行を 含む 特定個人・機 特定個人・機 関の 資産凍結に 資産凍結 によ り、米ドル決済 り、 米ドル決済が 米ドル決済が 事実上不可能 事実上 不可能に。 不可能 に。国際貿 に。国際貿易 国際貿易 のコストの コストの 上昇を 上昇を 招く 間接の 間接の インパクト 1) 米国の 米国の 圧力に 圧力に よ り、 西側と 西側と くに 国際金融機関や 国際金融機関 や 日本の 日本 の 対ミャンマー 対ミャンマ ー 援助を 援助 を制約 2) 米国を 米国を 主 な市場と 市場 とす る日本や 日本 やヨーロッパの ヨーロッパの大企業の 大企業の 対ミャンマー 対ミャンマー 投資を 投資を 制約 3) ミャンマー ミャンマ ー政府の 政府 の経済政策を 経済政策 を「 内向き 内向き の統制」 統制 」 に導 き、市場経済 き、市場経済の 市場経済 の 発達を 発達 を阻害し 阻害 した 4) 体制防衛 体制防衛の 防衛 の観点か 観点 から 、Nay Pyi Taw へ の 首都移転や 首都移転や 核 実験炉の 実験炉の 購入、 購入、 北朝鮮へ 北朝鮮 へ の接 近など 資金や 資金や 外貨の 外貨の 大幅な 大幅な 浪費を 浪費 を 生ん だ 5) 体制防衛の 体制防衛 の観点か 観点 から 、メディアや メディア や インターネット・ 通信の 通信の 発達を 発達 を制約す 制約す ると と もに 大学の 大学の 閉鎖な 閉鎖な ど 教育の 教育 の健全な 健全 な発達を 発達 を阻害し 阻害した ICGレポート 制裁緩和を呼びかけ 「20年にわたる援助規制は、ミャンマーを他の最貧国と比べ一人当たりで 20分の1の援助受け取り国にとどめおき、変化への諸勢力を強化したので はなく、かえって弱体化させた」 はなく、かえって弱体化させた」 「平和と民主主義をもたらすにはすべて 「平和と民主主義をもたらすにはすべての分野 と民主主義をもたらすにはすべての分野でビジョンを持った の分野でビジョンを持ったリーダー でビジョンを持ったリーダー が不可欠だし、過渡期を管理し効果的なガバナンス 不可欠だし、過渡期を管理し効果的なガバナンスを提供できる強力な なガバナンスを提供できる強力な組 を提供できる強力な組 織のバックアップが不可欠だ。そう のバックアップが不可欠だ。そうしたことは、孤立した貧困化した社会で 。そうしたことは、孤立した貧困化した社会では したことは、孤立した貧困化した社会では 決して共通して 決して共通して見られないもの 共通して見られないものだ。国の経済社会の危機が深刻化するに 見られないものだ。国の経済社会の危機が深刻化するにつ だ。国の経済社会の危機が深刻化するにつ れて人的資源や行政 れて人的資源や行政管理能力 人的資源や行政管理能力は劣悪化する。どんな政権にとっても、 管理能力は劣悪化する。どんな政権にとっても、その は劣悪化する。どんな政権にとっても、その 状態を転換させるの 状態を転換させるのはますます を転換させるのはますます困難になる」。 はますます困難になる」。 ~ICG (International Crisis Group), Burma/Myanmar After Nargis: Time to Normalize Aid Relations, Asia Report No.161-20 October 2008 *ICGは独立、非政府の は独立、非政府のthink tank. 世界の紛争解決のための調査・分析・提言を行う。会長は元EUの対 は独立、非政府の 世界の紛争解決のための調査・分析・提言を行う。会長は元 の対 外関係コミッショナー(元香港総督)Christopher Patten, 元米国大使(インド、ロシアなど)Thomas 外関係コミッショナー(元香港総督) 元米国大使(インド、ロシアなど) Pickering, President & CEOは元オーストラリア外相 は元オーストラリア外相Gareth Evans. は元オーストラリア外相 民主化と経済発展 • • 「現代の民主主義は、やはり資本主義的過程の産物である」 「現代の民主主義は、やはり資本主義的過程の産物である」 「 経済発展がもたらす合理性と専門的職業階層の存在が、 民主主義に不可欠 である」 ~シュンペーター, である」 ~シュンペーター 1950 発展途上国の民主化の原因―経済と外部アクターのふたつの要因 発展途上国の民主化の原因 経済と外部アクターのふたつの要因 ①国内の経済的変動が源となる内部での経済的条件に起因する民主化 ②外国による、内部での経済的条件とは無関係な民主化 ①は持続可能な民主化、②はしばしば逆戻りの現象が見られる。 ・ 絶対権力者からの権力奪取による「市民革命」は、英国、フランスの「市民革命」や日本の明治維新がそ うであったように、ブルジョワジー(商人や資本家 うであったように、ブルジョワジー 商人や資本家)とインテリ階級が主役を演じた。 商人や資本家 とインテリ階級が主役を演じた。 • 1980年代後半、フィリピン 年代後半、フィリピン(1986)、 、韓国(1987)、 、台湾(1987)の市民が独裁政権から権力を取り戻すことが の市民が独裁政権から権力を取り戻すことが 年代後半、フィリピン 韓国 台湾 できたのは、ビジネス界とミドルクラス(ホワイトカラー ホワイトカラー)およびメディアの発達のおかげであった できたのは、ビジネス界とミドルクラス ホワイトカラー およびメディアの発達のおかげであった。 およびメディアの発達のおかげであった。 • 1989年の中国の「天安門事件」による民主化の失敗は、中国経済がまだ国営企業中心で、資本家や中 年の中国の「天安門事件」による民主化の失敗は、中国経済がまだ国営企業中心で、資本家や中 間層が育っていなかったため。ミャンマーの民主化運動が実を結ばないのも、同様の条件にあるからか。 間層が育っていなかったため。ミャンマーの民主化運動が実を結ばないのも、同様の条件にあるからか。 • イラクやアフガニスタンのように、独裁者を外国勢力が倒すことで「デモクラシー」の形を作ることは可能 だが、それは「持続可能なデモクラシー」「内実の伴ったデモクラシー」にはならないことが多い。 だが、それは「持続可能なデモクラシー」「内実の伴ったデモクラシー」にはならないことが多い。 • ミャンマーの反体制運動を支援する国内勢力は弱体で、外国の資金援助に依存している。国内の民間企 業・資本家や中間層の台頭が不可欠だ。そのためには経済改革による経済の自由化が不可欠といえ 業・資本家や中間層の台頭が不可欠だ。そのためには経済改革による経済の自由化が不可欠といえ る。 アジア諸国の民主化時の一人当たり所得 (出所)ADB, Key Indicators, 2000 アジア諸国の民主化時の一人当たり所得 Key Indicators, 2000 (出所)ADB, (出所) 国名 韓国 民主化の年 一人当たり所得(経常価格、ドル) 備考 1945-1972年議会制民主主義を経験、ブルジョワ 1986年 401 およびホワイトカラーの存在、比較的自由なメディ 1987年 3,250 分裂国家ゆえの遅れた民主化? 台湾 1987年 5,214 1992年 分裂国家ゆえの遅れた民主化? 1,945 2006年に軍部によるクーデターで逆戻り フィリピン タイ 民主化の失敗 中国 1989年 ミャンマー 1988年 401 民間企業(ブルジョワ)の未発達、乏しい中間層 社会主義経済で、民間企業(ブルジョワ)の未発 200 達、乏しい中間層・インテリ階層 ミャンマー経済停滞の原因 1. 過度の中央集権、地方の自治の崩壊、中央の能力の欠如 2. 経済統計の不備と不正確 3. 国営企業の経営能力・技術の不足、モラルの低さ 4. 公務員給与の著しい低水準と低モラル、テクノクラート活用の失敗 5. 自給志向の輸入代替戦略 6. 誤った投資(優先度の低いインフラ投資や新たな国営企業への投資) 7. チャットの複数為替レートの存在、価格のゆがみ、激しい為替レート変動 8. 97年以降のTrade Councilによる貿易規制、統制 9. 重要産物(チーク材、宝石、米、石油、天然ガスなど)の国家独占 10. 外国人や外国投資への警戒 11. 財政赤字補填の通貨増刷、中央銀行の独立性の欠如 12. 税関、国税局などの汚職腐敗、徴税能力の弱体 13. 金融システムの機能不全、マイナスの実質金利 14. 教育投資の不足、高等教育の低レベル 15. 輸出への課税 ミャンマー、ベトナム、中国の市場経済化の度合い 資本主 義 レッセフェール もっとも市場経済に近かったミャンマーは 1997年以降、統制経済へ逆戻り 年以降、統制経済へ逆戻り Myanmar (1996) ) (資源の 資源の 所有の 度合い) 度合い Vietnam China (2002) ) (2002) ) Myanmar (2002) ) 50/50 Vietnam ) (1996) ) China ) (1996) Myanmar (1987) ) Vietnam ) (1985) 社会 主義 China ) (1984) 中央計画 50/50 (政府介入の度合い 政府介入の度合い) 政府介入の度合い 江橋正彦作成 自由市場 1997年が転換点 米国からの「体制防衛」に重点がシフト 経済政策は「統制」へ逆戻り (転換点になった原因) 1997年5月 米国が新たな制裁追加 (米国企業の対ミャンマー新規投資禁止) 1997年7月 アセアン加盟したものの 7月 タイで通貨危機発生 7月 Trade Council(貿易評議会)設立 (貿易・投資規制の開始) 1998年5月 インドネシアでスハルト体制崩壊 2001年10月 9.11後の米国のアフガン侵攻 2003年3月 米国のイラク攻撃とフセイン政権崩壊 公定レート計算のせいで異様に低い貯蓄率、投資率、輸出 入の対GDP比率 比率 入の対 ミャンマーとベトナムの経済指標比較 人口(年央) 人口密度 一人あたりGDP 生産構造(GDP比%)(経常価格) 農業 工業 サービス GDP支出構造(GDP比%)(経常価格) 個人消費 国内粗投資 輸出 輸入 貯蓄・投資( GDP比%)(経常価格) 国内粗貯蓄 国内粗投資 コメ生産(もみベース、1,000トン) 電力生産( 100 万kWh ) 消費者物価上昇率( %) M2 % 対 GDP比 財政のGDP比(%) 歳入 歳出 財政赤字 対外貿易( 100 万ドル) 輸出( f o b ) 輸入( f o b ) 外国直接投資流入 年度末外貨準備高(100万ドル) ベトナム 1990 1995 66.0 72.0 203 221 289 98 2001 78.7 242 413 2006 84.1 254 724 ミャンマ ー 1990 1995 40.8 44.7 62 68 68 123 2001 51.1 78 129 2006 56.5 86 257 38.7 22.7 38.6 27.2 28.8 44.1 23.2 38.1 38.6 20.4 41.5 38.1 57.3 10.5 32.2 60.0 9.9 30.1 57.2 10.5 32.4 43.5 19.4 37.1 84.8 12.6 36.0 45.3 73.6 27.1 32.8 41.9 64.9 31.2 54.6 56.9 63.3 36.8 73.6 78.2 88.3 13.4 1.9 3.6 86.6 14.2 0.8 1.7 88.7 11.3 0.5 0.5 86.2 13.8 0.2 0.1 2.9 12.6 19,225 8,790 42.1 27.1 18.2 27.1 24,964 14,665 17.0 23.0 28.8 31.2 32,108 30,673 1.9 58.1 30.6 36.8 11.3(30.8) 11.3(38.4) 21,569 5,672 40.1 34.3 13.8(29.8) 13.8 57,917 7.4 94.7 11.7 ( 17.6) 13.4(24.3) 13.4(16.0) 14.2(23.6) 13,748 17,670 2,622 3,762 17.6 25.2 28.8 30.7 14.7 21.9 - 7.2 23.3 24.1 - 0.8 21.2 24.4 - 3.5 28.9 27.6 1.3 9.6 12.4 - 2.8 6.5 9.8 - 3.2 *4.2 *3.5 *0.7 na na na 1,731 1,772 - 41 120 27(1991) 5,198 7,543 - 2,345 1,780 1,379 15,027 14,546 481 1,300 3,765 39,826 44,891 -5,065 2,315 13,591 223 524 - 302 161 325 933 1,756 - 823 277 573 2,533 2,452 80 211 411 4,382 3,848 534 277 1,247 出所)ADB Key Indicators 2004, 2010 一人当たりGDPは, IMF, World Economic Oputlook Database, Oct. 2010による。 6,164 20.0 22.1 ミャンマーの経済改革ロードマップ Step 1 (1年以内) ビジネス界の信任回復 政府による経済改革の表明 (民間主導、市場経済化推進、経済開放、輸出・外国直接投資重視をうたう) 企業の設立・増資認可・登録手続きの簡素化 *バス、タクシーおよびホテル用資機材の輸入許可(イメージの一新) 輸出拡大のための自由化措置(外貨事情の改善のため) 輸出への課税廃止 MIC認可プロジェクトへの1年のgeneral import license 許可 輸出(外貨獲得)産業へのFDI誘致促進策 MIC認可の簡素化・迅速化 財政赤字削減策 国営企業の独立採算制導入・SFA(State Fund Account)制度の廃止 国営企業補助の銀行融資への切り替え 徴税体制の強化 外貨交換センターレートの弾力化(市場レートへの連動) Step 2 為替レートの統一 (ステップ1から1年後) 財政・金融政策 緊縮財政政策の採用(通貨統一後のインフレ抑制のため) 中銀の赤字補填ファイナンス禁止のルール化(国債発行に代替) 金利政策の合理化(実質金利のpositive化) インターバンク・マネーマーケットの創設 民間銀行の外為取引の再開許可 民間銀行の外資との合弁許可 個人・企業の外貨保有の自由化 (外貨口座の保有、自由な引き出し・移転許可、利子付外貨預金導入) 輸出振興政策 輸出ライセンス制の撤廃 国家管理品目(木材、宝石など)の輸出を民間に開放 外資系企業の直接貿易許可 輸入政策 輸入ライセンス手続きの簡素化・迅速化 FDI誘致策 外国投資家の外貨送金規制撤廃 外国投資家の法的地位の明確化 BOT法制度の整備 国営企業改革 国営企業への経営自主権拡大 国営企業近代化支援ファンドの創設 海外出稼ぎ労働者送金への課税廃止 ビザ発給の簡素化による観光振興 Step 3 農業政策 (ステップ1から2年後) 土地使用権の明確化 農民の自由な土地利用の保証 土地税・水利税の見直し 農村電化政策の導入 (村落事業の政府認知とMEPEによる支援体制構築) 金融セクター整備 債券市場の創設(第2次市場) 証券市場の整備(証券取引法の認可) マイクロファイナンス制度の整備 国営銀行の情報化・近代化 民間銀行の再編奨励 民間企業育成策 工場建設の際の土地規制の緩和 国営企業とのLevel playing fieldの実現 中小企業金融システムの創設 輸出振興・FDI誘致 経済特区、輸出加工区、保税倉庫の創設 輸入ライセンス制の廃止 行政改革(市場環境に見合った官庁の再編)の実施 会計制度の整備開始 ビジネス関連法制度整備開始 税制改革開始 度量衡の統一・標準化の開始 出所) 2010年7月江橋正彦作成 *為替レート統一のコスト・ベネフィット (ベネフィット) ・所得税収入の増加 ・関税および商業税収入の増加 ・実効関税率の適正化による国内産業の保護効果 ・外国投資の増加 ・銀行経由による海外出稼ぎ送金の増加 ・価格の歪み是正による資源配分の適正化 ・国民所得勘定、国営企業経営管理、徴税などの経済管理の容易化 ・農民や輸出産業(国営企業含む)の所得増加 (コスト) ・輸入代替型の一部国営企業の赤字増大(輸出型の企業は大幅な黒字に 輸出型の企業は大幅な黒字に) ・公共料金(電力、石油、電話、輸送など)や一部の国営企業製品価 格値上げに伴う物価上昇 ・市場レートでの関税評価による実効関税の増加に伴う輸入品価格 の上昇 すでに、公共料金への補助削減、市場レートによる関税評価などを一部 実施しており、為替レート統一のマイナスインパクトはだいぶ薄れている ので、機は熟している。 ミャンマーの人々の生活実感 ~現状の生活に満足する人々~ Asia Barometer Survey 2004から Figure 3.2 Perception of Happiness by Income Class P e rc e n t o f H o u s e h o ld s F e e lin g V e r y H a p p y / P r e tty H a p p y 80.00 70.00 60.00 50.00 40.00 30.00 20.00 10.00 0.00 1 2 3 4 5 Income Class 6 7 8 9 満足の内容 Table 5.1 Satisfaction in Daily Life, percent of respondents Very satisfied Somewhat Neither satisfied satisfied or Somewhat dissatisfied Very dissatisfied dissatisfied Housing 26.4 46.5 8.3 14.4 4.5 Marriage 53.7 37.3 5.1 2.6 1.1 Living standard 14.4 56.4 11.4 13.9 4.0 Household 14.1 46.9 11.3 21.4 6.4 Education 14.8 43.5 11.8 18.8 11.1 Job 17.9 43.1 14.0 17.4 6.9 Public safety 44.8 47.0 3.1 3.5 1.6 Family life 49.8 41.5 3.0 4.6 1.1 Income Source: Field Survey 厚い信仰心 生活でもっとも大切な5つの要素 1.健康 健康 2. 信仰 3. 十分な食べ物 4. 快適な持ち家 5. 仕事を持っている 出所)Asia Barometer Survey 2004, 東京大学東洋文化研究所 (回答者の比率%) ミャンマー 75.5 53.5 52.8 52.0 42.9 タイ 83.0 (1) 11.4 (10) 58.7 (3) 67.5 (2) 43.3 (4) 東アジア平均 82.0 (1) 20.2 (9) 59.4 (3) 69.1 (2) 50.5 (4) ベトナムと比べると家電製品の保有率がだいぶ低い ミ ャ ン マ ー 、 ベ ト ナ ム の世 帯 の家 電 製 品 保 有 率 比 較 Myanmar Vietnam 1. Electric fan 2. Air conditioner 3. Refrigerator with freezer unit 4. Washing machine 5. Color TV 6. VCR 7. VCD player or DVD player 8. Portable radio-cassette player 9. Portable player / walkman 10. Karaoke set 11. TV game, home video game 12. Camera 13. Personal computer 14. Telephone 15. Mobile phone / cellular phone 16. Bicycle 17. Motorcycle or scooter 18. Automobile 41.80% 4.00% 13.60% 4.40% 55.30% 37.50% 32.10% 16.50% 10.30% 3.90% 5.60% 14.10% 1.80% 10.00% 1.40% 70.10% 18.90% 9.00% Source: As ia Barometer Field Survey, 2004 Institute of Oriental Studies, University of T oky o Asia Barometer survey in Vietnam was conducted in 4 large cities; Hanoi, Danang, Ho Chi M in City (HCM C) and Cantho. In each of these cities, 200 p eop le were interviewed. In M y anmar, Yangon, M andalay , Pathein and Lashio. In each of these cities 200 p eop le were interviewed. 99.80% 11.80% 59.20% 27.60% 95.90% 52.50% 55.90% 42.80% 18.30% 23.80% 18.80% 25.20% 24.90% 64.70% 32.50% 74.10% 89.60% 2.10% Regional Average 85.00% 30.20% 68.20% 58.70% 89.30% 46.30% 43.50% 37.30% 24.00% 13.90% 19.80% 38.90% 31.30% 66.20% 49.50% 49.20% 35.20% 33.70% 自分の国に誇りを持っている (悲しい日本) Table 6.5 Pride in ones country, percent of respondents Very proud Somewhat Not really Not proudat proud proud all 1. Myanmar 71.9 18.6 1.6 0.4 2. Japan 26.4 47.4 19.9 1.8 3. Singapore 50.6 32.9 7.9 2.5 4. Thailand 95.2 4.7 0.1 - 5. Regional average 69.1 22.7 6.0 0.9 Source: Field Survey 戦後日本とミャンマーの関係 • ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1955年 日緬平和条約、賠償・経済協力協定調印 (賠償720億円、バルーチャン水力発電所、4大工業プロジェクト含む 賠償720億円、バルーチャン水力発電所、4大工業プロジェクト含む) 賠償720億円、バルーチャン水力発電所、4大工業プロジェクト含む 1963年 準賠償612億円供与の経済技術協力協定調印 1988年までに日本の対ビルマ援助は計5,117億円に上り、ビルマは日本の 年までに日本の対ビルマ援助は計5,117億円に上り、ビルマは日本のODA 年までに日本の対ビルマ援助は計5,117億円に上り、ビルマは日本の 被供与国として第7位。ビルマの受け取る外国援助額の約8割を占めた。日本の影響力絶大。 被供与国として第7位。ビルマの受け取る外国援助額の約8割を占めた。日本の影響力絶大。 1988年9月以降、欧米諸国の経済制裁に合わせて円借款を停止 1989年2月 日本が軍事政権を承認(西側先進諸国で一番早かった) 1999年11月 小渕・タンシュエ首脳会談(マニラ)、経済改革支援を約束 2000年6月 2000 6月 対ミャンマー経済構造調整日緬共同プロジェクト開始(2003年2月提出) 対ミャンマー経済構造調整日緬共同プロジェクト開始 2003年2月提出) 2002年5月 バルーチャン水力発電所補修工事第1 バルーチャン水力発電所補修工事第1期分無償援助交換公文に調印 2003年7月 日本のODAを全面停止 を全面停止(スーチー氏一行襲撃事件に抗議して) 日本の (スーチー氏一行襲撃事件に抗議して その後、再開 その後、再開 2006年9月 国連安保理においてミャンマー問題を取り上げることに日本政府が賛成 2007年10月 デモ弾圧に抗議して、日本のODAの一部(日本人材開発センター約 の一部(日本人材開発センター約5億 デモ弾圧に抗議して、日本の の一部(日本人材開発センター約 億 円)を削減 円)を削減 (日本の対ミャンマー政策のベース) ・世界でも有数の親日国。 ・敬虔な仏教徒が多く、温かく優しい国民(竹山道雄『 ・敬虔な仏教徒が多く、温かく優しい国民(竹山道雄『ビルマの竪琴』 ビルマの竪琴』のイメージ) ・32万将兵がビルマ戦線へ(うち19万人が戦死)、敗走時に水や食料をくれる人々、 遺骨を集めてパゴダをつくる僧侶 ・占領時の「良心の呵責」 ・ビルマに行ったら皆「ビルキチ」 ・ビルマに行ったら皆「ビルキチ」(ビルマび (ビルマびいき)になるという言い伝え (日本の対ミャンマー政策の特徴) ・基本的に 基本的に太陽 基本的に太陽政策だが、米国の顔色を見ながら、中国の影響力を心配しながらの対ミャンマー政策 太陽政策だが、米国の顔色を見ながら、中国の影響力を心配しながらの対ミャンマー政策 多国間援助 二国間援助 日本 Kudo, Toshihiro ,“Japan’s ODA Policy toward Myanmar” 日本政府の当面の優先施策の在り方 1) )2003年から停止中のバルーチャン水力発電所のリハビリの 年から停止中のバルーチャン水力発電所のリハビリの 再開(第1フェーズの途中) 再開(第 フェーズの途中) 2)2007年 年10月にキャンセルされた日本人材開発センター約 月にキャンセルされた日本人材開発センター約5 2) 月にキャンセルされた日本人材開発センター約 億円)を復活 3)2003年 年3月に報告書を提出した対ミャンマー構造調整支援 月に報告書を提出した対ミャンマー構造調整支援 3) のレビューとその実施への協力 4)日本ミャンマー投資協定の締結、官民からなる「日本ミャン マー・ビジネスフォーラム」および投資促進のための「Japan マー・ビジネスフォーラム」および投資促進のための「 Desk」の創設 」の創設 5)日本の対ミャンマーODA政策の見直し 政策の見直し 5)日本の対ミャンマー 「人道上の援助」に限定した枠を撤廃、インフラ建設も含め る