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南極では、日本と変わらない生活を送るためにお花見をしたり、バー

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南極では、日本と変わらない生活を送るためにお花見をしたり、バー
南極では、日本と変わらない生活を送るためにお花見をしたり、バー
カウンターを置くなど多くの工夫をしています。東野陽子さんへの取材と
実際に南極で撮影された写真で知られざる南極の生活をご紹介します。
地震観測を行う東野陽子さん。電源は蓄電池と太陽光発電!!
南極は地球上で最も寒い場所の一つです。
夏でも0℃を超えず、冬には-89.2℃ を記録
した地点もあります。植物はほとんど育ちま
せんが、沿岸部にペンギンやアザラシが生息
しています。
※1983年ボストーク基地(ロシアの基地)
※
『第39次南極地域観測隊』(1997年)の一同
1956年に第1次南極地域観測隊が結成され
ました。その後は、ほぼ毎年観測隊を派遣して
います。観測隊は越冬しない「夏隊」と越冬する
「冬隊」で構成されています。隊の入れ替えは
例年1月(南半球の夏季)に行われています。
地球で最も過酷な環境
は同時に特殊な環境でも
あります。オーロラの研究
など南極でしか行えない
研究ができます。
南極隊員は研究員だけではあ
りません。倉庫や設備を作る大
工や毎日の食事を用意する調理
師といったように、様々な特技を
持った人が南極には必要です。
“信じあえる仲間がいる”
これが南極では一番大切
なことです。だからこそ大
自然の困難の中でも仲間
と笑って過ごせます。
も り な が
ゆ
き
日本人初の女性の南極観測隊員(1987年)です。
子どもの頃から雪が好きで、南極にも興味を持ちま
した。主に
の観測を行いました。
さ
か
の
い
か ず
よ
1番右が東野さん。右から3番目が坂野井さん。
と
う
の
よ
う
こ
2人とも日本人初の女
性越冬隊員(1997年)です。
坂野井さんは森永さん
に憧れて南極観測隊員
を志しました。大学では
地球物理学を学び南極
では
の観測を
行いました。
東野さんは子どもの時
に見た図鑑で地球に興
味を持ち
の研
究のために南極に行き
ました。
0
21
基地内
バーで
過ごす
観測の
打ち合わせ等
3
23:00
睡眠
就寝
東野さんの部屋
夕食
7:00
18
6
起床
☆現地調査
☆係(かかり)の仕事
・基地内の作業
(清掃,整頓,
ときには土木作業も)
計測器を設置する東野さん
報告書の作成など
デスクワーク中心
15
9
12
この日の多忙度
50%
観測の有無で忙しさが変わってきます。観測が出来る夏
季には目が回るほど。また観測よりも、準備に多くの時間
をかけます。南極では小さなミスが命に関わるので準備を
入念に行います。
専門以外の観測も手伝います。写真は重力計です。
私の専門は地震学です。越冬中(1998年3月25
日)に南極で観測史上初めての巨大地震(M8.0)が
起こり、南極では巨大地震が起こらないと考えら
れていた常識が覆されました。このように様々な
場所で観測を続けることが、地震メカニズムの解
明につながります。
隊員達はいくつかの係
りを兼務しています。
【新聞係】
毎日の新聞を発行する。
【バー係】
おつまみやお酒をつくる。
【農協】
プランターでミニトマトな
どの栽培収穫を行う。
南極で隊員たちが作っている新聞「さくら」。
距離感
南極
生活
改善力
全力
1.声をかけたり、時にはそっとしておく優しさも…。
お互いに気持ちの良い距離感を心掛けます。
2.直さなくてはならないことはすぐに改善する。
限られた時間の中でより良い物を作り出します。
3.仕事も休暇も全力で楽しむ。ストレス解消は
もちろん、良い人間関係も築けます。
- 南極は寒冷でかつ降水量の少ないため
「凍りついた砂漠」とも言われます。
ペンギンやアザラシ、オットセイなど
この厳しい環境に適応した生物のみが
生息しています-
南極のペンギンは絶滅の危機に瀕しています。
アザラシは優れた潜水能力で獲物を捕らえます。
巨大なコロニー(巣)では50万匹以上が集まります。
- 雪と氷しかない南極では、
基地内の様々な行事で季節を
感じることができます。造花
で飾るお花見やドラム缶で作
る露天風呂など南極ではすべ
てが手作りです-
基地内のバーカウンター。真ん中に見えるのはおでん鍋。
今日の晩御飯は何かな♪
南極へ向かう船の中で。赤道を越えた時のお祭りです。
夜には映画やドラマ上映が行われることも。
炊事・洗濯は女性の仕事なの?
家事は誰がやるの?
「散らかっていたら片づける」
整理整頓は南極生活の鉄則です
観測では手軽で便利なカップラーメンが重宝します。
掃除や洗濯など生活に関することは、性別
に関係なく自分自身で行います。食事は平
日は炊事担当が作りますが、日曜日など
には皆で楽しんで作っています。
南極基地に女性用のトイレと
お風呂はありますか?
初の女性越冬に備えるために1997年
の2月に女性トイレとお風呂を建設しま
した。それにより継続した女性越冬を
行えるようになりました。
↑1956年に建設され、その後増設により今の形になり
ました。
→右上は隊員の個室部屋です。空調が完備されてい
て寒さを感じることはありません。右下は居住区の入り
口です。冷気を遮断する分厚い扉が特徴です。
『魅せられて、南極』
森永由紀著 時事通信社 -1990年-
“雪が好き”だから雪がたくさんある南極に
行きたい。南極に行った理由は、子供のこ
ろから持ち続けていた“雪への想い”から。
森永さんが南極で感じたことを、飾らない
言葉で書き綴ったものです。
『南極に暮らす』
坂野井和代,東野陽子著 岩波書店 -2000年-
日本人女性としては初めての越冬隊員
として南極へ行った二人の体験記です。南
極観測の事だけでなく、お花見やサッカー
大会といった南極での日常生活も書き綴っ
ています。私たちの“寒くて過酷で大変”な
南極のイメージを覆してくれる一冊です。
『南極、行っちゃいました。』
小林千穂著 日刊スポーツ出版社 -2007年-
日刊スポーツ新聞社の記者だった筆者
が南極での生活をブログで紹介したもの
をまとめたものです。南極での生活を通じ
て筆者が感じたことを日記形式で自由に
書いています。
製作:埼玉県男女共同参画推進センター(With You さいたま)
協力:東野陽子さん(取材&写真提供)
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