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参考資料
ブロック毎の施策効果分析について 参考資料 目 1. 次 施策効果把握の検討条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 1-1. 浸透量・河川水量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)効果算定の対象年及び効果算定ブロック、地点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)基本条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (3)対策量の算定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 1-2. 2. 水収支 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 施策効果把握の検討手法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 2-1. 水循環モデルの概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 2-2. 検討条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 (1)降水量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 (2)蒸発散 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 (3)流出量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 (4)人工系給水量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 (5)土地利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 2-3. モデルの検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 1.施策効果把握の検討条件 1-1.浸透量・河川水量 (1)効果算定の対象年及び効果算定ブロック、地点 ①効果算定の対象年 ○ 現況、5 年後、10 年後、30 年後 ②効果算定ブロック及び地点 表 1-1 効果算定ブロック及び算定地点 ブロック名 神田川上流 善福寺川 妙正寺川 神田川下流 ブロック面積 (km 2 ) 29.4 18.3 21.4 35.9 効果算定地点 (基準点) 南小滝橋 定塚橋 中落合 一休橋 基準点上流面積 (km 2 ) 28.0 17.7 17.5 5.5 備考 中落合 南小滝橋 一休橋 定塚橋 表 1-2 施策の種別 水量 水質 水辺環境 神田川 ・平常時流量少 ・清流復活用水導水 ・下流域で落合処理 場からの排水 ・概ね良好 ・ 大部分がコンクリー ブロック別の特徴一覧表 善福寺川 ・平常時流量少 ・清流復活用水導水 妙正寺川 ・特に平常時流量少 神田川 ・平常時流量大 ・大部分が感潮区間 ・概ね良好 ・自然河床 ・概ね良好 ・大部分がコンクリ ート河床の3面張り − ・概ね良好 ・自然河床 ・住居 ・商業地 ・台地部、浸透能力大 ・低地部、浸透能力少 ト河床の3面張り 緑の拠点 ・井の頭公園 背後地 ・上流部は住居 ・中流部は商業地と 住居混合 浸透能力 上水道区域 下水道区域 ・台地部、浸透能力大 ・和田堀公園 ・善福寺緑地 ・住居 ・台地部、浸透能力大 ・全域が多摩川・利根川混合系 下流域は落合処理区、上流域は流域外へ排水 落合処理場 − 中野処理場 1 − 全域流域外へ排水 − (2)基本条件 ①土地利用 ○ 浸透域は現状維持 ○ 公園・緑地等の整備、浸透施設の設置は不浸透域で実施 表 1-3 現況土地利用分類表 土 地 利 面 用 積(ha) 神田川中流 神田川下流 善福寺川 妙少寺川 16.6 10.9 10.5 24.8 52.8 115.6 田 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 畑・その他の用地 24.8 0.7 0.0 59.2 67.9 152.6 0.7 1.7 11.2 1.4 10.2 25.2 地 45.4 54.7 60.9 81.2 97.1 339.3 工業用地 7.2 13.7 28.0 15.1 17.9 81.9 一般低層住宅 541.1 691.0 489.3 947.0 872.0 3540.4 密集低地住宅 34.5 144.7 268.7 24.5 175.0 647.4 中・高層住宅 21.9 115.8 145.2 53.4 70.6 406.9 商業・業務用地 64.0 252.7 956.9 143.5 175.0 1592.1 道路用地 139.3 330.6 797.0 234.9 363.5 1865.3 公園・緑地等 89.0 48.1 271.7 85.1 71.5 565.4 その他・公益交易施設用地 87.1 191.6 510.8 150.6 159.8 1099.9 河川・湖沼等 8.4 3.8 16.5 9.3 6.7 44.7 そ 0.0 0.0 23.3 0.0 0.0 23.3 1080 1860 3590 1830 2140 10500 山林・荒地等 農地 農地・ 山林等 神田川上流 造成地 造成中地 宅 地 住 宅 地 宅 公共公益 施設用地 合 の 他 計 合 計 (出典:細密数値情報集約ファイル、H元、(財)日本地図センター) 上表の土地利用分類の中で農地、山林、公園、緑地、河川、湖沼、その他を浸透域に宅地、道 路用地、公共公益施設用地、造成地(現況で完了していると考えた)を不浸透域として集計を 2 ②入力条件 表 1-4 効果算定に用いる入力条件 条件 降雨量 内 容 近 年 (平 成 元 年 ∼8 年 )で平均的な年間降水量のあった平成 2 年 (1,512mm)を対象とする。対象観測所は気象庁東京観測所とする。 気温 地下水揚水量 降雨量と同じ平成 2 年の月別平均気温を用いる。 以下の年間一定量を設定する。 ・ 妙生寺池 ----- 0.002m3/s(ヒヤリング調査による) ・ 善福寺池 ----- 0.023m3/s(平成 8 年実績平均値) ・ 井の頭池 ----- 0.010m3/s(平成 8 年実績平均値) 清流復活導水量 以下の清流復活全体計画における計画値を一定で設定する。 ・千川上水(善福寺川上流) ----- 0.12m3/s ・玉川上水 (神田川上流)------- 0.15m3/s 落合・中野処理場 放流水量 見直し予定の流総計画の日平均処理場放流量を用いる。 ・ 落合処理場----24 万 m3/日(内 6,000m3/日は新宿副都心における再 生水利用、86,400m3/日が城南三河川への清流復活導水) ・ 中野処理場----14 万 m3/日 3 (3)対策量の設定 ①公園・緑地等の整備 (原単位の設定) ○ 30 年間で 1 人当り 7m2 の公園・緑地面積を確保 (「緑の東京計画 H12.12」において、平成 27 年度末までに都民 1 人当りの 7m2 の公園面 積を確保→30 年後に引き延ばし) (将来の対策量の算定) 1)各区市の神田川流域内面積及びをブロック内面積 神田川流域全体 (km 2) 千代田区 中央区 新宿区 文京区 中野区 杉並区 豊島区 練馬区 武蔵野市 三鷹市 その他 合計 (%) 4.3 1.7 16.2 10.3 15.6 32.3 6.8 3.6 7.5 1.3 5.4 4.1 1.6 15.4 9.8 14.9 30.9 6.5 3.4 7.1 1.2 5.1 105.0 100.0 ブロック 1 神田川上流域 ブロック 2 善福寺川流域 ブロック 3 妙正寺川流域 ブロック 4 神田川下流域 (km 2) (km 2) (km 2) (km 2) (%) (%) 11.4 62.3 1.0 1.3 2.9 0.0 0.0 11.2 0.0 21.8 49.3 0.0 0.0 3.4 4.4 9.9 0.4 6.5 2.2 35.5 29.4 100.0 18.3 3.3 6.4 14.5 100.0 (%) 2.4 11.2 9.2 6.4 0.2 3.2 43.0 29.9 0.9 15.0 21.4 100.0 (%) 4.3 1.7 10.5 10.3 12.0 4.7 29.2 28.7 6.6 18.4 2.5 7.0 35.9 100.0 2)各区市の神田川流域内人口(平成 12 年現在)を各ブロックに面積按分し、1 人当りの公園面積 7m2 としたときの、公園緑地面積を算定(30 年後の公園緑地面積) 各区市の 神田川流域内人口 人口 (人) 公園面積 (ha) ブロック 1 ブロック 2 神田川上流域 人口 公園面積 (人) (ha) ブロック 3 善福寺川流域 人口 公園面積 (人) (ha) ブロック 4 妙正寺川流域 人口 公園面積 (人) (ha) 神田川下流域 人口 公園面積 (人) (ha) 千代田区 13,312 9.3 0 0.0 0 0.0 0 0.0 13,312 9.3 中央区 12,147 8.5 0 0.0 0 0.0 0 0.0 12,147 8.5 新宿区 254,798 178.4 51,903 36.3 0 0.0 37,748 26.4 165,147 115.6 文京区 160,298 112.2 0 0.0 0 0.0 0 0.0 160,298 112.2 中野区 309,725 216.8 127,066 88.9 0 0.0 182,658 127.9 0 0.0 杉並区 495,706 347.0 222,531 155.8 174,955 122.5 98,220 68.8 0 0.0 豊島区 130,155 91.1 0 0.0 0 0.0 3,828 2.7 126,327 88.4 練馬区 49,196 34.4 0 0.0 5,466 3.8 43,730 30.6 0 0.0 武蔵野市 94,883 66.4 12,651 8.9 82,232 57.6 0 0.0 0 0.0 三鷹市 13,521 9.5 13,521 9.5 0 0.0 0 0.0 0 0.0 その他 77,049 53.9 41,378 29.0 0 0.0 0 0.0 35,671 25.0 合計 1,610,790 1128 469,051 328.3 262,653 183.9 366,184 256.3 512,902 359.0 4 3)30 年後の公園面積から現況の公園面積を差し引き、残りを 30 年間で割り振り 現況 30 年後 残り 1年 5年 10 年 30 年 神田川流域全体 ブロック 1 神田川上流域 ブロック 2 善福寺川流域 ブロック 3 ブロック 4 妙正寺川流域 神田川下流域 (km2) (km2) (km2) (km2) (km2) 5.654 11.276 5.622 0.187 0.937 1.874 5.622 1.371 3.283 1.912 0.064 0.319 0.637 1.912 0.851 1.839 0.988 0.033 0.165 0.329 0.988 0.715 2.563 1.848 0.062 0.308 0.616 1.848 2.717 3.590 0.873 0.029 0.146 0.291 0.873 ※現況の公園緑地面積は細密数値情報集約ファイルの集計による 5 ②公共施設・大規模民間施設等への浸透施設の設置 (原単位の設定) ○ 「神田川流域の総合的な治水対策暫定計画」における、近 10 年の浸透施設の平均年間対策面 積 0.045km2(浸透施設の実績分のみを積み上げ) ○ 1ha 当りの対策量 600m3(開発面積 1000m2 以上の施設が対象) →東京都の技術指針により浸透量(能力)に換算すると 60mm/hr (将来の対策量の算定) 1)基本計画におけるブロック別対策面積(貯留浸透の合計) 神田川流域全体 (km 2) 千代田区 中央区 新宿区 文京区 中野区 杉並区 豊島区 練馬区 武蔵野市 三鷹市 その他 合計 (%) 1.26 0.66 7.35 3.88 4.80 9.30 3.38 1.40 2.54 0.51 2.11 3.4 1.8 19.8 10.4 12.9 25.0 9.1 3.8 6.8 1.4 5.7 37.19 100 ブロック 1 神田川上流域 (km 2) (%) 1.5 15.6 2.0 4.2 20.5 43.4 0.3 0.5 1.1 3.5 5.3 11.8 9.6 100.0 ブロック 2 善福寺川流域 (km 2) (%) 3.3 58.2 0.2 2.2 2.8 39.0 5.6 ブロック 3 妙正寺川流域 (km 2) 100.0 (%) 1.1 15.3 2.8 1.8 0.1 1.2 39.8 25.9 1.4 17.6 7.1 100.0 ブロック 4 神田川下流域 (km 2) (%) 1.3 0.7 4.8 3.9 8.5 4.5 32.1 26.2 3.3 22.1 1.0 6.6 14.8 100.0 2)平成 12 年度現在のブロック別対策面積(貯留浸透の合計) 神田川流域全体 (km 2) 千代田区 中央区 新宿区 文京区 中野区 杉並区 豊島区 練馬区 武蔵野市 三鷹市 その他 合計 0.44 0.17 2.01 1.79 1.67 2.75 0.21 0.63 0.71 0.67 0.01 (%) 4.02 1.51 18.20 16.18 15.08 24.88 1.87 5.68 6.44 6.07 0.08 11.04 100.00 ブロック 1 神田川上流域 ブロック 2 善福寺川流域 ブロック 3 妙正寺川流域 ブロック 4 神田川下流域 (km 2) (km 2) (km 2) (km 2) (%) 0.41 13.24 0.68 1.23 22.11 39.91 0.09 0.67 3.09 0.97 0.07 0.62 3.07 21.67 100.00 1.66 6 (%) 58.56 4.21 37.23 100.00 (%) 0.30 12.47 0.98 0.54 0.01 0.56 41.12 22.80 0.25 23.36 2.39 100.00 (%) 0.44 0.17 1.30 1.79 11.37 4.27 33.36 45.77 0.20 5.12 0.00 0.10 3.90 100.00 3)基本計画の対策面積から H12 現在の対策面積を差し引いた、未施工の対策面積(貯留浸透 の合計) 神田川流域全体 (km 2) 千代田区 中央区 新宿区 文京区 中野区 杉並区 豊島区 練馬区 武蔵野市 三鷹市 その他 合計 0.82 0.50 5.34 2.09 3.13 6.55 3.17 0.78 1.83 0.00 2.10 (%) 3.10 1.89 20.30 7.95 11.91 24.90 12.06 2.95 6.95 0.00 7.97 26.31 100.00 ブロック 1 神田川上流域 ブロック 2 善福寺川流域 ブロック 3 妙正寺川流域 ブロック 4 神田川下流域 (km 2) (km 2) (km 2) (km 2) (%) (%) 1.09 16.26 1.29 2.94 19.22 43.97 2.31 58.05 0.24 3.64 0.09 1.58 2.17 39.78 1.13 16.90 6.69 100.00 3.98 100.00 (%) 0.79 16.76 1.85 1.30 0.09 0.69 39.15 27.50 1.98 14.61 4.72 100.00 (%) 0.82 0.50 3.46 2.09 7.48 4.56 31.70 19.17 3.08 28.21 0.97 8.89 10.92 100.00 4)神田川流域全体の浸透施設の年間設置対象面積 0.045km 2/年(近 10 年の実績による平均値) を各ブロックの基本計画に対する未施工の対策面積の比率により按分 未施工の 対策面積 (浸透分) 1年 5年 10 年 30 年 神田川流域全体 ブロック 1 神田川上流域 ブロック 2 善福寺川流域 ブロック 3 妙正寺川流域 ブロック 4 神田川下流域 (km 2) (km 2) (km 2) (km 2) (km 2) 14.997 3.814 2.271 2.691 6.224 0.045 0.225 0.450 1.350 0.011 0.057 0.114 0.343 0.007 0.034 0.068 0.204 0.008 0.040 0.081 0.242 0.019 0.093 0.187 0.560 ※未施工の対策面積の浸透施設分への換算は平成 12 年度までの実績の整備割合(浸透施設 57%、貯留施設 43%)により行った。 7 ③宅地への浸透施設の設置 CASE-1 浸透施設の設置を積極的に実施している小金井市の事例を原単位とした場合 (小金井市の事例による原単位) ○ 浸透マスの年間設置数 2,300 基 ○ 浸透マス1基当たりのカバー屋根面積 約 30m2 ○ 浸透マスの1基当たり能力 20mm/hr (小金井市の事例を参考に仮設定) (対策量等の設定) 1)各ブロックの浸透マスの年間設置数 小金井市の年間設置数(2300 基)と市の面積(11.33km2)より単位面積当りの年間 設置数を算出し、各ブロックの面積により、ブロック全体の年間設置数を算定する。 2)浸透マスの集水面積 水循環モデルでは集水面積で取り込んでいるため、浸透マス1基当たりのカバー屋根 面積を約 30m2(小金井市の事例)とし、年間の集水面積の増加面積を ○ 各ブロックの浸透マスの年間設置数×1 基当りの集水面積 とし算定する。 (km2) 29.4 18.3 21.4 ブロック 4 神田川下流 35.9 (基/km2) (基) (km2) 203 5968 0.18 203 3715 0.11 203 4344 0.13 203 7288 0.22 (基) (km2) (基) (km2) 29841 0.90 59682 1.79 18575 0.56 37149 1.11 21721 0.65 43442 1.30 36439 1.09 (基) (km2) 179047 5.37 111447 3.34 130327 3.91 218632 6.56 単位 ブロック全体面積 単位面積当りの 年間設置数 年間設置基数 年間対策面積 5 年間の対策量 10 年間の対策量 30 年間の対策量 ブロック 1 神田川上流 ブロック 2 善福寺川 ブロック 3 妙正寺川 72877 2.19 3)浸透マスの 1 基当りの能力(浸透能力) 浸透マスの1基当たり能力(浸透マスの集水域の浸透能力)を 20mm/hr (小金井市の事例 を参考に仮設定)とする。 8 CASE-2 100 年間で目標を達成するとした場合 (対策量等の設定) 1)ブロック毎の年間の浸透マス設置対象面積(対策面積) 各ブロックで目標とする浸透量を(参考値:市街化以前の土地利用を想定した場合 の浸透量)100 年間で達成するものとして必要な対策面積をトライアルにより算定。 これより、年間の浸透マス設置対象面積を算定する。 2)ブロック毎の浸透マスの年間設置基数 2)の「ブロック毎の年間の浸透マス設置対象面積」を「浸透マス1基当たりのカバー 屋根面積(小金井市の事例他) 」で除することにより算定する。 単位 ブロック全体面積 単位面積当りの 年間設置数 年間設置基数 年間対策面積 5 年間の対策量 10 年間の対策量 30 年間の対策量 (km2) ブロック 1 ブロック 2 ブロック 3 ブロック 4 神田川上流 善福寺川 妙正寺川 神田川下流 21.4 35.9 29.4 18.3 (基/km2) (基) (km2) 164 4821 0.14 177 3235 0.10 185 3967 0.12 0 0 0.00 (基) (km2) 24105 0.72 16177 0.49 19837 0.60 0 0.00 (基) (km2) (基) (km2) 48210 1.45 32355 0.97 39673 1.19 0 0.00 144631 4.34 97064 2.91 119020 3.57 0 0.00 723156 485322 595100 0 (基) 14.46 9.71 11.90 0.00 (km2) (※)結果として、ブロック 4 については、公共施設・大規模民間施設等への浸透施設の設置を ②で示したペースで実施していけば、宅地への浸透施設の設置を実施しなくても目標を達 成できる。 50 年間の対策量 3)浸透マス 1 基当りの能力(浸透能力) ○ 浸透マスの1基当たり能力(浸透マスの集水域の浸透能力)を 20mm/hr (小金井市の 事例を参考に仮設定)とする。 ○ また、関連区市における雨水流出抑制施設の指導要綱における、敷地面積の小さい 民間施設の対策量 20mm/hr(例えば、中野区や武蔵野市における、500m2 未満の民間 施設の対策量 200m3/ha→20mm/hr)を原単位の根拠とする。 9 (参考) 区市名 千代田区 新宿区 文京区 中野区 杉並区 武蔵野市 指導要綱 千代田区雨水流出抑制施設設 置に関する指導要綱 東京都新宿区雨水流出抑制施 設に関する要項・実施項目 東京都文京区宅地開発並びに 中高層建築物等の建設に関す る指導要綱 中野区雨水流出抑制施設設置 指導要綱 杉並区雨水流出抑制施設設置 指導要綱 武蔵野市雨水流出抑制施設設 置要項 対策量 敷地面積 500m 以上の民間施設、対策量 600m3/ha 2 敷地面積 1000m2 以上の民間施設、対策量 600m3/ha 流出係数 0.6 以下になるように流出抑制施設を整備する。 敷地面積 300m2 以上、500m2 未満の民間施設は対策量 200m3/ha。 敷地面積 500m2 以上、1000m2 未満の民間施設は対策量 300m3/ha 敷地面積 300m2 以上の民間施設は対策量 600m3/ha 敷地面積 500m2 未満の民間施設は対策量 200m3/ha。 敷地面積 500m2 以上、1000m2 未満の民間施設は対策量 300m2/ha 10 ④浸透能力の水循環モデルへの適用 水循環モデルでは日雨量単位で計算を実施しているため、予め、モデル降雨である平成 2 年の時間雨量(大手町の時間雨量を収集)から ○ 20mm 以内の浸透する時間雨量の日合計値 → 全て浸透 ○ 20mm を越え表面流出する時間雨量の日合計値 → 全て表面流出 の成分に分割したデータを作成する。 平成2年 東京観測所日雨量(アメダス時間雨量より作成) 160 20㎜以上の合計 20㎜未満の合計 140 120 23mm 雨量(㎜) 100 80 54mm 60 40 20 11 1 19 90 /1 2/ 1 /1 90 19 19 90 /1 1/ 1 0/ /1 19 90 /9 /1 19 90 /8 /1 19 90 /7 /1 19 90 /6 /1 19 90 /5 /1 19 90 /4 /1 19 90 /3 /1 /2 90 19 19 90 /1 /1 0 1-2.水収支 表 1-5 降水量 蒸発散 台地部等へ の浸透量 河川の平常 時流量 利根川・多摩 川からの給 水量 他流域下水 処理場への 導水量 多摩川上流 下水処理場 からの導水 量 節水及び下 水処理水の 再利用量、雨 水利用 他流域河川 への導水 水収支の算定条件 現況 ○ 気象庁東京観測所の近年(平成 元年∼8 年)の平均的な年間降 水量として、平成 2 年の降水量 1,512mm を使用。 ○ 水循環モデルによる計算値 ○ 計算条件については 1-1 節参 照 ○ 計算手法については 2 章を参 照 ○ 同上 30 年後 ○ 同左 1-1 節 (2)参照 ○ 同左 ○ 宅地への浸透施設設置の対策 量については CASE-2 を使用。 1-1 節及 び 2 章を 参照 ○ 同上 同上 ○ 同上 ○ 一休橋地点の低水流量 ○ 東京都の 1 人当りの水道使用 量×流域内人口=397 ㍑/人・日 ×161 万人 ○ 上 記 を 流 出 高 ( mm ) 換 算 し 、 2,219mm ○ 給水量のうち他流域下水処理 場へ導水量を落合処理区とそ の他処理区の面積按分により 算定。 ○ 2,219mm×(71.9km 2/105 km 2)= 1,561mm ○ 清流復活全体計画における計 画 導 水 量 を 流 出 高 ( mm ) 換 算 し、70mm ○ ○ ○ ○ ○ 節水は現況の 1 人当りの水道 使用量を原単位としているた め、0mm ○ 下水処理水の再利用量は新宿 副都心トイレ用水 6,000m3/日 (21mm) ○ 雨水利用は現状を把握できい ないため、ゼロと仮定。 ○ 以上を合計値で表示 ○ 城南三河川への清流復活用水 86,400m3/日(300mm) ○ 節水、下水処理水の再利用、雨 水利用の量は算定できないた め、+βで表示。 12 同上 同上 一休橋地点の低水流量 同左 給水量の削減量については、算 定できないため、−αで表示。 ○ 同左 ○ 給水量の削減に伴い、他流域下 水処理場への導水量ついても 削減されるが、量を算定できな いため、−α’で表示。 ○ 30 年後も現状維持として、同 左。 ○ 30 年後も現状維持として、同 左。 1-1 節 (2)参照 1-1 節 (2)参照 2.施策効果把握の検討手法 2-1.水循環モデルの概要 水循環を把握するためのモデルは、降水を蒸発散、表面流出、地下浸透等の要素に分離 できる機能を持つことが大切である。この観点で、開発されたモデルの一つが、タンクモ デルである。流域面積が大きく、かつ、自然度の高い流域においては単例多段タンクモデル がよく用いられている。一方、都市化流域では浸透・不浸透域の流出形態の差異を考慮する ため、多摩ニュータウン区域に設定した試験流域における観測と、土壌の保水・透水特性に 関する調査・試験結果をもとに、安藤・虫明・高橋 1)が次に示す低水流出モデルを提案している。 R 降雨 浸透域 不浸透域 Eimp D Msat 135 Mn 100 蒸発散 直接流出 Meq 0 地下水涵養 65 50 35 孔の高さ(mm) D 1 直接流出 β=0.70 G 0.107 0.080 0.040 Qg 孔の乗数〔1/day〕 図 2-1 安藤らの低水流出モデル 1) 上記の低水流出モデルは降雨の流出(自然系水循環)のみを扱うものであり、これを 神田川流域に用いるため、下水道、浸透施設等のモデルを付加した。低水流出モデルの 概念図を次ページに示す。 1)丘 陵 地 の 水 循 環 機 構 と そ れ に 対 す る 都 市 化 の 影 響 論 文 集 1981.2 13 安 藤 、虫 明 、高橋 第 5 回水理講演会 水循環モデルの概要図 R 流域内 降雨 浸透域 上水道 流域外 不浸透域 E 蒸発散 表面流出 E 蒸発散 E 蒸発散 給 浸透施設 リサイクル利用 表面流出 集水管渠 下水の雨水枡 不飽和帯 表面流出 水 都 市 排水 オーバーフロー 浸 透 落合・中野下水処理場 放流 湧水、河川水涵養 流域外 下水処理場 清流復活事業 河 神 田 川 川 清流復活事業 地下水揚水による水源池保護 不圧地下水帯 被圧地下水帯 図 2-2 低水流出モデルの概念図 水循環モデルで対象とする経路 14 水循環モデルで扱わない経路 (解析手法) 低水流出モデルの概念図を示したが、このモデルは次のような要素を考慮している。 ○土地利用状況を表現できる l 土地利用状況を最も直接的に表す浸透域と不浸透域を分離して取り扱える。 ○下水道の整備を表現できる l 河川以外の排水経路として、下水道の整備状況を取り扱える。(下水道整備済区域 では、上水の排水は下水処理場へ送られる。ただし、神田川流域では下水道整備 率は 100%であるため未整備域ではない。) l 下水管への地下水侵入を表現できる。 ○都市域の蒸発散を表現できる l 水循環において蒸発散は大きなウエイトをしめており、都市域の蒸発散(浸透域 と不浸透域の蒸発散の差異)を的確に表現できる。 ○都市用水供給を取り扱える n 都市域では、都市用水の流域への供給が大きな水源要素となっており、上水の供 給に伴う水道管から不飽和帯への漏水を取り扱える。 以下に低水流出モデルの構成要素の解析手法、特徴について解説する。 a.不飽和帯タンク(浸透域の表層) 不飽和帯のタンクでは、図 5-1-3 のような概念で地下水流出を表現し、不飽和帯の 最小容水量(M n )や帯水層への浸透量のパラメータ(β 1)の値を変える事で土壌の差 異を表すようにしている。地下水流出機構は、降雨が表層(不飽和帯)を濡らし、そ の水分保留量(Ms)が不飽和帯の最小容水量(M n )を越えると越えた分(M s -M n )に 応じた水分量(β 1 ・(M s -M n ))が下段の地下水帯へ浸透するモデルとなっている。水 分保留量(M s)が最小容水量(M n )以下の時は、降雨は帯水層へ浸透せず、地中の土湿 不足(M d )を満たすのに消費される。また、水分保留量(Ms)が不飽和帯の飽和水分 量(M sat)を超えるとの超えた分の水分量(M n -M sat)が表面流出する。 15 飽和水分量(M sat) 最小容水量(M n) 土湿不足(M d ) 不飽和帯の水分保 留量(M s) 0(0≦Ms≦Mn) 地下水浸透量= β1(Ms−Mn) (Mn<Ms) 地下水浸透孔(β1) 図 2-3 不飽和帯のモデル b.地下水帯タンク(帯水層) 地下水帯のタンクでは、3 つの地下水流出孔を考慮する。3 つの孔の大きさ(α 1 ∼α 3 )と高さ(h 1 ∼h 3 )を変えることで帯水層の差異(流出の速さ)を表すようにして いる。3 つの孔は上から順番にそれぞれ速い中間流出、遅い中間流出、地下水流出を表 しており、この合計が河川への流出量となる。 地下水流出孔の 地下水面h s α3 大きさ αi α2 α1 h1 h2 h3 高さ hi 0(hi<hs) 地下水流出量= αi(hs−hi) (hi<hs) 図 2-4 帯水層の流出モデル c.不浸透域タンク 不浸透域のタンクでは、タンクの高さが不浸透域の貯留能力を表しており、不浸透 域の貯留能力を超える水分量がすべて表面流出となる。また、不浸透域のタンクを設 置することにより、降雨中及び降雨後、地表面の凹地に溜まり流出しなかった雨水の 蒸発散を考慮できる。 16 d.浸透施設タンク 浸透施設のタンクでは、タンクの高さが浸透施設の能力を表している。浸透施設の 能力以下の水分量は、帯水層へ浸透し、浸透能力を超える水分量は表面流出となる。 しかし、浸透施設の浸透能力は上回るような降雨は少ないと考えられるため浸透施 設タンクの水分量はすべて地下に浸透するものとした。 e.下水道タンク 下水道のタンクでは、タンクの高さは合流式下水道の遮集量(下水処理場への移送 量)、貯留量を表している。雨天時に雨水(不飽和帯、不浸透域、浸透施設からの表 面流出)と汚水(都市からの生活排水)の合計が遮集量を超える場合、超えた分の雨 水は越流し、河川へ直接流出する。 f.蒸発散 蒸発散量は浸透域と不浸透域に分けて考える。不浸透域では降雨日にのみ不浸透 域タンクから蒸発散量を差し引く。浸透域では一般的なソーンスウェスト式より月別 の日蒸発散量を推定し、不飽和帯タンクから差し引くものとする。 g.その他(人口給水系及び人口排水系) 人口給水系として上水道、清流復活事業による流域外からの導水、地下水揚水等を 考慮する。人口排水系として下水道網を考慮する。 17 2-2.検討条件 善福寺川流域における検証計算の条件を以下に示す。 (1)降水量 流域内 4 ヵ所の雨量観測所の日雨量を単純平均し、近年で平均的な年総降雨量のあった 平成 2 年の降雨を用いた。ただし、モデルの検証には、検証地点近傍 1 ヶ所の検証年の 日雨量を用いた。 (2)蒸発散 a.浸透域 月平均蒸発散能は月間程度の長期間の蒸発散能を推定する経験式として代表的な Thornthwaite( ソ ー ン ス ウ ェ イ ト ) 式 を 用 い 推 定 し た 。 そ の 際 、 月 平 均 気 温 は 大 手 町の最近 10 年平均の月平均気温(表 5-2-1)を用い、可照時間は大手町(約北緯 36°) の月別の可照時間(表 5-2-2)を用いた。 ソーンスウェストの式 E p = 0.533D0 ( 10t i a ) J ここに a = 0.00000675 J 3 − 0.0000771J 2 + 0.01792 J + 0.49236 12 1.514 ti J= 5 t =1 E p :月平均蒸発散能(mm/day) D0 :可照時間(12hr/day) t i :i月の月平均気温 表 2-1 大手町の最近 10 年平均の月平均気温 単位(℃) 月 気温 1月 6.4 2月 6.7 3月 9.2 4月 14.6 表 2-2 5月 18.6 6月 22.0 7月 25.5 8月 27.2 9月 23.7 10 月 18.4 11 月 13.3 12 月 8.9 大手町(約北緯 36°)の月別可照時間 単位(12hr/day) 月 可照時間 1月 0.83 2月 0.90 3月 0.99 4月 1.09 表 2-3 5月 1.17 6月 1.21 7月 1.19 8月 1.12 9月 1.03 10 月 0.94 11 月 0.85 12 月 0.81 ソーンスウェスト式による月平均蒸発散能 単位(mm/day) 月 蒸発散能 1月 0.33 2月 0.38 3月 0.72 4月 1.76 5月 2.84 6月 3.93 18 7月 4.99 8月 5.25 9月 3.82 10 月 2.25 11 月 1.17 12 月 0.56 b.不浸透域 不浸透域でも蒸発量は 0 でなく降雨中あるいは降雨後、舗装面等に表面貯留(凹 地貯留)したものが蒸発するため、雨天日及び雨天翌日には蒸発し、晴天日には蒸 発しないものとする。なお、凹地貯留能は1降雨あたり約 2.0mm 1) とされているこ とから、2.0(mm/1 降雨)以上の降雨については 2.0(mm/1 降雨)が蒸発し、2.0(mm/1 降雨)未満の降雨についてはその降雨量分全量が蒸発する。 (3)流出量 モデルの検証データとなる河川流量は、定塚橋の実積日流量を用いた。 (4)人工系給水量 a.清流復活事業による導水量 「東京都清流復活全体計画」における計画日導水量を用いた。ただし、モデルの検 証には検証年の実積供給率より算定した日導水量を用いた。 b.上流端池への地下水揚水量 各上流端池における実積日揚水量を用いた。 (5)土地利用 平成元年作成の細密数値情報集約ファイル(10mメッシュ)を用い、土地利用分類の 中でのうち、山林、公園、緑地、河川、湖沼、その他を浸透域に、宅地、道路用地、 公共公益施設用地、道成地を不浸透域としてそれぞれの面積率を算定した。 2) 1)によって行われた多摩ニュータウン地域の測定において1降雨あたり約 2.0mm という値が得ら れている。 19 2-3.モデル検証 タンクモデルは次に示すようなタンクの浸透孔・流出孔等の定数とパラメータにして試行 錯誤的に計算を繰り返し行い、実積の河川流量とあうように検証を実施する必要がある。 [タンクモデルの定数] l 不飽和帯タンク 最小容水量(M n) 飽和容水量(M sat) 地下水浸透孔の大きさ(β 1) l 地下水帯タンク 地下水流出孔の高さ(h 1∼h 3) 地下水流出孔の大きさ(α 1∼α 3) 検証は、実積流量データが存在する善福寺の定塚橋地点で行い、検証の際には出水時 のピーク流量ではなく、低水、平水流量が実測に近くなること、また、年間の総流出量が 近くなることに注目した。結果を表 3-1、表 3-2、図 3-1∼図 3-3 に示した。 表 2-4 位 置 上 段 下 段 タンク定数 最小容水量(Msat) 飽和水分量(Mn) 下孔(α 1) 中孔(α 2) 上孔(α 3) 初期値 孔の高さ 孔の大きさ 検証結果 孔の高さ 孔の大きさ 135mm 100mm 35mm 50mm 65mm 135mm 30mm 0mm 15mm 30mm 表 2-5 年 平成元年 平成 2 年 平成 3 年 タンク定数の同定結果 − 0.7 0.04 0.08 0.107 平水及び低水流量の比較 平水流量(m3/s) 実績 検証 低水流量(m3/s) 実績 検証 0.23 0.20 0.20 0.17 0.17 0.17 0.20 0.17 0.17 − 0.7 0.015 0.025 0.100 0.18 0.16 0.17 20 平水以下の総流出量(百万 m3) 実績 検証 誤差(%) 3.15 2.73 2.62 2.75 2.51 2.70 13 8 -3 図 2-5 定塚橋平成元年(1989 年)検証結果 図 2-6 定塚橋平成 2 年(1990 年)検証結果 図 2-7 定塚橋平成 3 年(1991 年)検証結果 21