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現地日系企業訪問レポート

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現地日系企業訪問レポート
現地日系企業訪問レポート
【大阪市シンガポール事務所】
会社名(日本): 株式会社エクステンド
住所: 〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10
ATC ITM 棟 12F A-1
TEL: 06-6569-6141
FAX: 06-6569-6128
URL: http://www.ekusute.com 代表取締役: 阪口 竜也
●貴社は、ヘアエクステンションの研究開発及び製造、輸入、販売を手掛けておられていますが、シンガ
ポールでの事業を始められたきっかけ、背景について教えていただけますか。
当社は、5年前にヘアエクステンションのメーカー
として大阪市内で設立した会社ですが、現在中国で5
つの工場と提携して商品製造を依頼し、輸入した商品
を国内の美容室に販売する事業を手掛けています。今
期のフェーズでは10億円規模の売上をあげていま
すが、中国とのビジネスは正直言って難しいと思って
いました。そんな時、
「日経ビジネス」でシンガポール
特集が取り上げられていたこともあって、シンガポー
ルの外資受け入れの内容などの情報を入手すること
ができ、シンガポールでのビジネス展開に大きな関心を持つようになりました。
一昨年10月に1週間シンガポールに滞在して、マーケティングリサーチを行ったのですが、ヘアエ
クステンションのメーカーとしてはニーズ、市場がないということがわかりました。そこで、発想を転換
してヘアエクステンションを取り付ける店をオープン
する方向で軌道修正しようと考え直しました。
その後、店舗を構える不動産を探すためシンガポールを再訪問していくつかの商業ビルを回りました
が、うまく物件を見つけることができませんでした。それでもオーチャードロードにあるヒーレンは魅
力的だったので再度訪問したのですが、お会いした担当者はすでに20店くらいのオファーがあってす
ぐには無理ということで難色を示していました。けれども、運よくオーナーの役員の方が当社を推薦し
てくれたおかげで、昨年1月に店舗をヒーレンにオープンすることができました。現在は事業計画の真
ん中あたりですが、ヘアエクステンションの取り付け技術は日本が世界のトップレベルということで信
頼を得ており、シンガポール国内だけでなく国外からもお客様がお越しになられるなど、経営は順調で
黒字も達成できるようになりました。
実は、シンガポールではヘアエクステンションだけではなく、飲食関係も事業として手掛けています。
シンガポールの有名なフードコート(食堂街)のラオ・パ・サで日本食屋台を出しているほか、チャン
ギ国際空港に新しくできた第3ターミナルでも寿司屋をオープンしています。あまりイニシャルのかか
らない面白いビジネスでもあり、当面両立させてやっていきたいと考えています。
●シンガポールに事業所(店舗)を設置されているメリットとしてはどんなものが挙げられるでしょ
うか。
日本と違うところといえば、口コミの世界で集客ができるというこ
とでしょうか。いわゆるメディア戦略をシンガポールでやってみたも
のの、ほとんど反応はありませんでした。逆に口コミの評判で集客で
きるということは、無駄な広告コストをかけずに商売ができるという
利点があるということです。
また、シンガポールではこれまでの日本のものづくりに対する信用
があって、メイドインジャパンの地位が高いことがビジネスでは有利
に働きます。日本人なら英語ができなくても話を聞いてくれる場合が
多いということもメリットといえるでしょう。
日本はシンガポールに目が向かっているものの、日本国内では本当
に必要な情報を入手することがなかなか難しいですが、現地の人たち
との関わりによって投資や不動産などの有益な情報が得られること
も大きいですね。
●海外でのビジネス展開でご苦労されたこと、またそれらに対して努力や工夫をされたことなどあわせ
てお聞きしたいのですが。
現地のスタッフの教育については結構大変だと感じました。飲食関係も含めると30名ほどの従業員
を雇っていますが、オープン当初は日本から日本人に来てもらっていたのですが、やはり住宅費や人件
費などコストがかかりすぎるので現在はほとんどローカルスタッフのみで運営しています。営業会議や
キャッシュフロー、在庫などを管理できるマネジメント人材はやはり必要ですし、スタッフのモチベー
ション向上も大事なことだと切に感じています。
従業員に守ってほしいことは「嘘はつかない」ことですね。自分がシンガポールに常駐していないこと
もあり、スタッフの教育はなかなか難しいですが、こちらの意思が伝わるようコミュニケーションに努
めています。幸いなことに現在までローカルスタッフで辞められた方はほとんどいません。
●今後に向けた貴社の戦略、目標をお聞かせください。
ヒーレンの店はヘアの取り付けだけですが、美容室を併設した店も出したいと考えています。オーチ
ャード界隈ではコストが高いので、少し離れたところでの出店を検討しています。ヘアエクステンショ
ンの美容室については、シンガポールだけではなく、マレーシアにも進出できればと考えています。
飲食店舗の展開については、シンガポール国内でネットワークを持つ既存のフードコートと連携し、
集客の良い場所を確保して 20 店舗のオープンを目指します。
また、チャンギ国際空港で展開している寿司屋については、
「空港の寿司屋」としてアジアに広く展開
していきたいですね。寿司職人の養成も一日研修によってカウンターで握れるようなプログラムを用意
しようと考えています。
将来的には、日本、シンガポールにこだわらずに「環境」
「健康」
「観光」をテーマとした幅広いビジネス
を手掛けていくことを長期的展望として持っています。
●海外で積極的に事業を進めておられるビジネスマンとして、海外進出を予定されている企業に向けて
阪口社長からアドバイスをお願いします。
海外では日本人は日本人同士でコミュニティをつくる傾向がありますが、ほとんどの日本人は転勤な
どによりいずれは海外の勤務地から離れることになります。日本人だけでなく、ローカルの方とも一緒
に食事をするなどおつきあいを深めたほうが仕事もしやすいのではないでしょうか。海外では時間を効
率よく使えることが必要です。現地でのビジネスを円滑に進めるためにもローカルネットワークを構築
することが重要だと思います。
大阪とシンガポールの間を行き来しながら、ビジネス拡大のアイディアを常に考えておられるご様子
の阪口社長。現地の人たちとのコミュニケーションの重要性を強調されていたことが印象に残りました。
柔軟な発想、軽快なフットワークでシンガポールのみならずアジアで幅広くビジネス展開をされること
でしょう。今後のさらなる活躍が期待されます。
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