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将来経済の産業連関分析 - 生命保険文化センター
将来経済の産業連関分析 往 山 fli一 良 I;'<蝣蝣,.f蝣'/蝣蝣I* 1f- 本稿の構成 1.まえがさ 2.投入係数の予測 3.卓終需要および輸入係数の予測 4.将来経済の産業連関分析 5.結 語 第1蔀 まえがき 本稿の研究目的と研究方法について要述すること、これが本節のテ ーマである。 1.研究目的 今からt年後の将来経済の産業連関分析( interindustry analysis 投入産出分析Input-Output analysis )の方法についての研究、こ れが本稿の研究目的である。 2.研究方法 周知のように、産業連関分析における戦略的基礎数は投入係数〔aij〕 (- 逆行列係数〔βa) )と(加重)最終需要¥Yif¥の2つである。 -63- 将来経済の産業連関分析 ゆえに、将来経済の産業導関分析をするため右耳は_、何よりもまず、こ の2つの基礎数を予測しなければならない。 (第1図参照) そこで、本稿では、まず将来年tの投入係数〔aii) -逆行列係数 〔βiF〕pの予測方法について研究し(第2節) 、つぎに最終需要ベク トル YifLおよび輸入係数列ベクトルlmil,の予測方法を研究し (第3節) 、さいごに、 2つの基礎数を投入して将来経済の産業連関 分析を行なう(第4節) 、という順に研究を進めたいと思う。 第2節の投入係数〔aii), -逆行列係数〔βalt の予測方法には RAS方式、未定係数法、定差法、定率法などの方法がある。そのう ち、本稿で研究し論述するのはケンブリッジ大学のR. Stone教授が 開発したRAS方式である。このRAS方式についての研究論述が、 質量ともに、本稿の中心課題である。 第3節最終需要および輸入係数は計量経済学的手法によって予測さ ttm 第4節将来経済の産業連関分析は本稿の究極的研究目的であるoけ れども、 2つの予測された基礎数〔βiiXおよびlYiのIを投入して 行なう将来経済の産業連関分析は過去経済または現在経済の産業連関 分析と全く同じ手法で展開すればよいのであるから、重複をさけて、 本稿では要述するにとどめたいと思う。産業連関分析の一般理論につ いては、筆者はすでに「投入産出分析における逆行列係数について」 (大阪府立大学経済学会『経済研究J第17巻1 ・ 2号)および「保険 業の産業連関分析」 ( T所報』第19号)その他において、また実証的 研究は「保険業の産業連関分析」 ( 『所報』第27号)において辞し・く 研究し、発表しているからである。 F)悶tiJMiM 本稿は1.まえがさ(問題) 、 2.投入係数〔ai高一逆行列係数 -64- 将来経済g?産業連関分析 〔βり〕.の予測、 3.最終需要1Yi高および輸入係数{ォ*!,の予Pi、 4.将来経済の産業連関分析、および5.結語の5節によって構成される。・ 第2蔀 投入係数の予測 -RAS方式による将来経済の投入係数〔-,jJl →逆行列 f-vtt 一‥ I-I(I.川>jj三に*・'サ・":- I.研究テーマと研究方法 1.研究テーマ RAS方式による将来経済の投入係数〔*i}¥ → 逆行列係数 〔β.,Jtの予測方法、これが本節の研究テーマである0 2.投入係数予測の必要性 本項では、将来経済の産業連関分析に先立って、投入係数を予測し なければならない理由について述べたいと思う。 産業連関分析の主要テーマは投入産出分析である。すなわち、逆行 m係数行列〔βij〕と(加重)最終需要ベクトルi (ト^i) Yj+Ej lの2つを戦略的基礎数とし、均衡産出量決定基本式 t 昌β (1-m,.)Yjd+E,¥ x,一 蝣a) を算定公式として、均衡産出量 x,- を決定することにある;1) 見られるように、産業連関分析において、逆行列係数行列〔βij〕 は(加重)最終需要ベクトル Yif¥ とともに、それなくしては産業 連関分析ができない本質的基礎数であるo そして、逆行列係数〔βi).〕 は産業連関表〔X,j)から、次のフロー・チャートにしたがって誘導 される。 -65- 将来経済の産業連関分析 産業連関表-投入係数 レオンチェフ行列 - 逆行列係数行列 r 輸入係数 A 〔X.}〕-〔a.)〕 -A 〔IIM〕A〕t-〔I-〔I-由〕 A〕-1 卜・Lミ ーM これは、過去または現在の・観測計量された経済の産業連関分析に おけるオーソドックスな算定方式である。 ところが、舞台が将来経済に移れば事態は異なったものとなる。将 来経済は観測することができず、したがって産業連関表も作成されて いないのであるから、投入係数の算出公式 ad-亙 一・一・・・ (2) によって、 〔a.,0 を算出することはできない.いきおい、逆行列係 数〔βり〕もまた算定できないことになる。 そこで、将来経済の産業連関分析をするためには、何よりもまず、 何等かの方法によって、将来経済の投入係数〔a,->),を予測すること が前提条件となる。その予測方法にはいろいろな方式がある。そのう ちRAS方式が最もポピュラーである。そこで、本節ではRAS方式 による将来経済の投入係数〔a<Aの予測方法について研究したいと 思う。 (1)詳しくは下記文献を御参照いただきたい。 W. W. Leontief , InpuトOutput Econohics , 1966, 谷山新良「投入産出分析における逆行列係数について」大阪府立大学 経済学会『経済研究』第17巻1 ・ 2号 谷山新艮「保険業の産業連関分析」生命保険文化研究所『所報J第19 号および第27号。 -66- 将来経済の産業連関分析 第1図 将来経済の産業連関論的予測 (昭和40年および昭和45年産業関連表から昭和60年の産 業連関論的予測をする方法を1例として) (1)投入係数-逆行列係数の予測 〔a,,I., - UA。 昭和40年産業連関表 昭和45年産業連関表 (2)加重産業別貴終需要の予測 (1-m,)Y,+E, マクロ・モデル 昭和60年部門別最終需要 〔Y.F〕6。および輸入│M,│ -67- 昭和30年産業連関表 昭和35年産業連関表 昭和40年産業連関表 昭和45年産業連関表 その他のデータ- 田訂園田EMaiEMi 3.研究方法 RAS方式は過去の2つの産業連関表から将来年tの埠入係数〔atj 〕,を予測する。ところが、産業連関表はその時々の時価(current vall-e )で評価作表されている。したがって、作成時点を異にする2 つの産業連関表から将来投入係数〔au〕Iを推計するためには、 RAS 方式適用に先立って、 2つり産業連関表を基準年次の間定価格(constant value )で評価換えしなければならない。すなわち、固定価 格評価換え作業はRAS方式にとっては本質的手続ではないが、物価 の水準・構造が大きく変動している現状にかんがみ、 RAS方式の通 用に先行して実施すべき必須的前提作業である。 そこで、本節では(1)研究テーマと研究方法、 (2)固定価格修正産業連 関表、 (3)RAS方式による投入係数の予測、および(4)逆行列係数の予 測の4テーマに分けて、研究を進めるこtLにした。 II.固定価格修正義美連関表 すでに述べたように、固定価格修正産業連関表の作成はRAS方式 そのものにとっては本質的な作業ではない。けれども産業連関表から 貨幣的変動要因を除去して、技術的変動要因に遭元・純化するために 必要不可欠な前提的手続である。投入係数は生産技術係数(-技術的 原単位)であるからである。ゆえに、それは、ただにRAS方式にお いてのみならず、未定係数法をはじめとする推計方法一般においても また、省略することのできない前提的作要である。 念のために問題の所在を詳し(言えば次のようになる。たとえば、 昭和60年の投入係数行列〔oijOe。は貴近時の2つの産業連関表すなわ ち昭和45年産業連関表〔X*i〕45および昭和40年産業連関表〔Xj/J*か ら推計される。ところが、昭和45年産業連関表は昭和45年価格で評価 168- 将来経済の産業連関分析 作表され、昭和40年産業連関表は昭和40年価格で評価作表されている。 そして、昭和45年価格P.!45と昭和40年価格Piとは等値では ない。したがって、2つの産業連関表〔ⅩiJ〕.5、〔x,-aから将来時 の投入係数〔an) ijJt。を推計するためには、あらかじめ、2つの産業連 関表をある基準年次-たとえば昭和45年価格-の価格-こ固定価格 に評価換えをする必要がある。すなわち、昭和40年価格昭和40年産業 連関表〔蝣"サ;Jォ。から昭和45年価格修正昭和40年産業連関表〔X;;)*。を 作成しなければならない。 ある年の産業連関表〔x,/3,を固定価格修正産業連関表〔Xa昔に l評価換えするためには、〔X,i),をインフレイタ-(inflator)また はデフレイタ-(deflator)で実質化すればよい。すなわち、いま、 ある産業iの商品群のインフレイタ-またはデフレイタ-をPiとす れば、固定価格評価産業連関表〔Xti〕;は 〔f,i〕〔x,-,V〔p,-x.-A-〔Ⅹ".〕.'-一・一--0) なる基本公式によって評価・製表すればよい。なお、〔Pi)は価格 ベクトルPiの対角行列を表わす。 固定価格表示産業連関表〔-Xti〕ごを作成する方法には(1)ダブル・デ フレイション(doubledeflation)方式と(2)整会的インフレイティ ング(consistentinflating)方式の2方法がある。前者は全国産 業連関表について国(中央政府、具体的には企画庁など2庁5省)が 採用した方式である。後者は地域産業連関表に全国デフレイタ-を通 用してダブル・デフレイティングを行なったところ、若干の産業にお いて0またはマイナスの粗付加価値額 ヨVj∈V>I,V;≦0 したがって I一 ヨX]∈U;!,Xj≦嘉XiJ -69- 将来曜済の産業連関分析 同じことであるが t ヨa". ∈ 〔an〕, 1≦嘉α". なるあり得べからざる事態が出来(しゆったい)したため、これを回 避するために大阪大学の坂下昇教授が開発した方式である。 以下、この2つの固定価格評価法について要約したい。 1.ダブル・デフVィション方式 ダブル・デフレイション方式の特徴は、 (1)産業連関表の内生部門 〔Ⅹのについてはインフレイタ-またはデフレイタ- PiIで実質化 する〔P;*i}¥- 〔x,-,),、が、 (2)租.付加価値部PI {V;については 全く実質化せず、実質産出額 PjXj} - ¥Xj¥ から内生部門実質 A 額列和&Pi*ォを差引いた残差として求める、ことにあるoすなわ ち (1)内生部門 〔Pi X,j〕 - tX,>)j n 一一一一一(4) (2)粗付加価値部門 P;X;一邑蝣P*Xd},- │V,- ㌔ 念のために、 2行2列の産業連関表( 2産業モデル)について具体 的に示せば p, YI -Ml iXl Y2 .。濫 VxV2 "l-A-ii *l-*M2! "1"1 P2X2I PjX2 V* V芸 である。記号的に書き表わせば (1)内生部門 Ⅹ詣- p.- x,> -70- -PxM, P2Y2 !-P2M2 : P2X2 : Ⅴ' 将来経済の産業連関分析 (2撮終需要部F-3V.-P.,Y. (3)輸入部門M*-P,-M;-・・--I一一(5) (4)稔生産額X上蓋Ⅹ詣+Y*-M" (5)粗付加価値部門v5-xj一差x,j と>, ・"J.るO 他方、実質化された投入係数〔a鵠および粗付加価値率朝はそ れぞれ次のようになる。 X," ・- 6 v, -1-蓋a言 以上がダブル・デフレイション方式の大要である。 2.整合的インフレイテイング方式 前項で述べたダブル・インフレイション方式は、粗付加価値iV日 を実質化せず、単なる残差として求めるところに特徴と弱点がある。 したがって、場合によっては、租付加価値V/が0またはマイナスに なる可能性がある。 ヨⅤ,T∈tvI上 v;-x;一差Ⅹ;j≦0 一一一・・一(7) ∴ヨV;∈ vj-1-.互aii≦ 0 これは明らかに矛盾である。いかなる商品生産においても人間労働 力は絶対必要不可欠であり、したがって、必ず vVj∈ Vj V; > O n ∴vvj∈ 1舶 w-l-,2ati>0 一一- (8) であるからである。 この非現実性を回避するために、坂下教授によって創案された固定 価格評価方式が他ならぬ整合的インフレイティング方式である㌘)以 -71- 将来経済の産業連関分析 下、この方式を要述したいと思う。 (1)記 号 Pi インフレイタ- Ⅹi 稔需要(-中間需要X*j+貴終需要Yi ) Ⅹ)稔供給(-国内稔生産額+輸(移)入額) Yi 貴終需要 Ⅵ 粗付加価値 x,j 中間需要額(-中間投入額) Mi 輸入額 (2)固定価格評価プロセス ①第1ステップ V(1.'-vT3 蝣"蝣ij-40A-ij'-i yu)-Y ij-40*; utr-.Mi・Pj 9 このとき、需要バランス式は次のようになる。 まず、稔需要x,w(行和)は xj^ix^Y^ 一・一一10 他方、総供給が当ま次のようになる。仮供給蝣cmぉよび仮粗付加価 値Ⅵは、それぞれ Xaォ>v( ・j--"-iP vf-x??一息xsy-itf' Iョ (2)大阪府企画部企画皇r大阪府の最適産業構造一将来予測と政一J なお、この文献は手書き原稿であって、公版されていない。もし、 本稿の論述に誤りがあれば、それは筆者(谷山)のミスであって、坂下 教授のミスではない_ことをお断わりする。 -72- 将来経済の産業連関分析 である.ところが、先に述べたように、 v;0)│のうちあるものは0 またはマイナスとなることがありうる。 ∃V;a) ∈ tげ v;(1)≦ 0。これは、すでに論述したように、明らかに現実に反する。 そこで、この矛盾に対処するために、以下のような処理をする。 まず、次式によって、付加価値インフレイターPv - oa を求め、これを昭和40年粗付加価値ベクトルにかけて v>r- pサ<v日.0 一一・・一(1劫 vf - p.4ォVj を算出する。これを第1ステップの粗イ軸口価値Ⅵとよぶことにす る。その結果、第1ステップ段階の総供給花(列和)は 璃'-盈V(I).-,,(1)...(I)・o< 3XX けれども、この第1ステップの段階では、産業iの総需要Ⅹi( 1・0式)と総供給x,-(to式、-¥j)とは、常に必ずしも等値ではな いqすなわち X((1.)-J│xS)+Y,a)総需要(10)式 れ ≒ 4.v(1)-l-W(1)-l-X/t(1)V(I) ^Xjj+V;+M;-X.J総供給(14)式 である。 そこで、第2ステップに移る。 .1 ′⑧第2ステップ いま、(10式と04)式から =] 一一・・ 09 を求め、 srの対角行列〔絆〕をつくり、次のような列修正を行 -73- 将来経済の産業連関分析 v(l) s(1) 蝣 v(1) SP 一一一as MP s㌢' このとき、需給バランス式は次のようになる。まず、稔需要Ⅹi ( 行和)は Ⅹだ- j量xT + Y(1) …‥‖- (17) となるO そこで、いま、 (10)式と(17)式から (18) を求め、その対角行列〔mりによって、次のように行修正を行なう。 〔貯〕〔y;in〕-〔RfX冒R(fy/サ〕 -〔r(2),<2)〕-(19) このとき、捻供給Y<2>/ x*j(列和)は v(2> A.j一里+げ+・岬、し-(20) I=I そあるr・。 第2ステップ段階でも、まだ、必ずしも総需要Ⅹ㌘と稔供給X}' 蝣<2) とは等しくない。Ⅹ豊等v(2)すなわち、(1旭と位0)式とは 至JX㌘+Y:(i)考量rw+¥j+M;∴・---一触 Jこl である。したがって、第2ステップでも固定価格再評価作業は完了 しないであろう。 そこで、以下、同様の手続を繰返し、行廟正〔rl 〔邑P〕を反復していけば、やがて〔丘nぉよぴCs当が単位行 列に収束するにいたるであろう。このときは、つレiに x;(ォ)v<--l,2,--,n)-‥一一¢Z) となる。この収束段階に照応するⅩ欝,一Y:¶'.M111が固 -74- 将来経済の産業連関分析 定価格(昭和45年価格)表示昭和40年産業連関表〔X,y〕:OとなるO 以上の修正プロセスから判かるように、時価(current value )表 示の産業連関表〔Ⅹ.j〕tに、行と列の両方向に修正を加えて、固定価 格修正の歪(ひずみ)が粗付加価値部門のみにシワ寄せされるのを避 けることが、この坂下方式の特徴であり、優れている点である。すな わち、内生部門取引量〔x,-,0のみならず、粗付加価値感iv, 、 輸入部門 Mj上および長終需要部門 Y,をもまた価値修正をす るのがこの整合的インフレイテイング方式の長所である。 以上が産業連関表の固定価格再評価方法の要述である。 m. ras方式による将来投入係数の予測 最近時の2つの産業連関表から、将来年tの投入係数〔fly〕,を予 測し、それを基礎として、逆行列係数〔βyJ,を導き出すこと、これ が本項の研究テーマであるO すでに述べたように、 2つの産業連関表から将来投入係数〔a,;]暮 を推計する方法にはRAS方式、′未定係数法、定差法、定率法などが ある。そのうち、貴も多く採用されてきたのはRAS方式である。こ れはケンブ1)ッジ大学のRichard Stone 教授が開発した推計方式で :Jt9 以下、 (1)投入係数の予測、 (2)レオンチェフ行列の予測二および(3)逮 行列係数の予測の順に研究を進める。そのうち(1)投入係数の号叫が主 要研究テーマであるo 1.投入係数の予測 本項ではRAS方式によ′る将来時の投入係数行列〔p*/Jlではなく、 -75- 将来経済の産業連関分析 産業別投入産出額〔X,,],そのものは推計できるか、否かについて考 察したい。言いかえれば、将来時の産業連関表の内生部門〔Xu¥を 直接的に推計できるか否かについて検討してみたいと思うo結論的に 言えば、代数学的には産業間取引量〔Ⅹ;EJ'〕.を推計することは出来な いo こ、に、 RAS方式による投入係数〔at0-を推計しなければな らない必要性#生ずるのである. (1)産業間投入産出額〔 〕,の推計 本項では、将来時の産業連関表の内生部門〔Ⅹ晋),は、代数学的に は、推計不可能であることを証明したい。 いま、何等かの方法で、推計される将来時tの産業別中間投入額列 ベクトル庸)t ぉよび中間需要額行ベクトル朝当が推定された とする。このとき、この年の投入産出額・〔vォ〕の要素 の閏には 次の関係式が成立する。 まず、記号的に書けば t蓋X¥'lI /t¥当 --一一----サ. ほY".'i - inごつ J=l である。これを連立方程式体系に書き表わせば +忠- il;J xV'+j」+- +鑑-v x」+x霊十一一 Ala+x"こ+一一一‥一一+x4'-Il '-"nill・10 tf+xS+---・+」こol W 薦17+鑑+------+塩oy + X霊+ +忠-dニJ -76- 一一一- 伽 将来経済の産業連関分析 となる。すなわち、未知数x,*の数nB、方程式の数2n本の一次連立 方程式体系となる。そこで、もし、このn2元一次連立方程式C4)が解 けるならば、未知数である将来時の産業間投入産出量〔x(,V)は推定 することができることにな-るO ところが、甚だ残念なことに、この連立方程式(Z釧ま、一般的には、解 けない。ことの次第は次のとおりである。 一般に、 (丑 連立一次方程式 f.-a.範十やp2馬+ 一一一-+a。屯十a--0- に解があるために二必要かつ十分な条件は、この連立」次方程式から 作られる a. 012 ォIfl On a12 -ォサ・ 0,1 a. -a2" Q>21Q22-人 -a加 a2 1 B= ォnl ォォ2--a耶 ・ サ ・ 蝣 aォia, -・‥-a… a. 行列Aと行列Bの階級(rank )が等しいことである。すなわち、 r(A)-r(B) (3) この階級をr(A) - r(B) - mとすれば、連立方程式伽の解 はその中から適当に選び出されたm本の式から成る方程式を解いて求 める・ことができる。すなわち、適当に選ばれた(n-to)個の未知数 に任意の健を与れば、残余のm個の未知数はm本から成る連立方程式 を解いて決定することができる.とくに、 n-nのときは、解は一 意細ご決定される。 (和≦n) 0 (3)高木貞治r代数学蘇我J共立出版社、昭. 19, 308ページ -77- 将来経済の産業連関分析 ところで、連立方程式e4)の右辺Il/つぉよぴ10出 は、いずれ も左辺の要素Ⅹ昔v(<)の一次結合 蓋A,-; - 1; ? xU'-o早 である。ゆえに、連立方程式伽の係数行列Aと行列B (布列A+既知 数列ベクトル a,一 前掲-の階級(rank )は等しいo r (A) -r (B) したがって、方程式e4)は解をもつ。 ところで、 (診 連立方程式伽の係数行列Aの要素は全部1である。 iEBS? 1 1 --.- 1 1^1 -^^H A = 1 1 -一一一 1 ゆえに、係数行列Aの階級(rank)は1である r(A) したがって γ(A)- γ(B)-1 ③ ②によって連立方程式伽においては r(A) -r(B) -1であ って、 r(A) - r(B) -n2ではないから、n2個の未知数〔Y(t)〕 ( r.(x¥'J) -n2 )は、一意的には決定できないことになる。 こうして、将来時の産業間投入産出量〔 〕を、代数学的に一意 的に、決定することはそきない。したがって、直接、 〔x!f]を求め ることは思い諦めて、 RAS方式をはじめとする近似計算法によって、 投入係数〔a,;0.を推計せざるをえないことになる。 (2) RAS方式による投入係数〔aij〕Iの推計 ① RAS方式の要点と名称 -78- 将来経済の産業連関分析 生産技術したがって投入係数は時間の経過とともに変化する。 〔aij〕。- 〔atj+△a;i〕 - 〔alメ〕.0 時間の過程でおこる投入係数の変動〔△ai]〕 、 A aiJきOは(1)加 工度変化(effect of fabrication )と(2)代替変化(effect of substitution )の2方向に分解して、要因分析することができるであろ う RAS方式では前者をS= 〔S〕 、後者をR- 〔声〕で表示する。 これは、 RAS方式の開発者であるRichard Stone教授のイニシャ ルに因んだものといわれる RASの中央に見られるAは基準年次の 投入係数行列〔a,jO。-Aを表わす。 さて、加工度変化とは、端的に言えば、労働力と資本の組み合せ方 rn の変化であるO産業連関表的に言えば、内生部門投入係数列和&ail と粗付加価値率列坤蓋vgjの構成比の変化のことである。ただし、局 6 6 知のように、言aa十2f*;=l したがって、加工度変化とは、ある 産業の生産活動において、中間生産物Xli ( '-1,2,-I-・‥, n)をより 多く投入するか、それとも粗付加価値Vg; (ォ〒1.2-‥, 6)をより 多く投入するか、のトレイド・オフ陶題である。'ゆえに、これは投入 係数〔a,Aの列方向の変化を意味する。 加工度変化の原因としては、資本集約度-逆に言えば労働集約度、 マルクス的に言えば資本の有機的構成寺-の変化の他に、生産性 の変化やプロダクト・ミックスの変化などが考えられる。 他方、代替変化は投入される原材料(中間生産物)の間の代替によ る変化であって、いわゆるアクティヴティ(activity )の変化による 投入係数の変化である。これは投入係数の横行( row)におこる変化 である。 ②代替変化修正係数 Ti および加工度変化修正係数 Si の寡 定 -79- 将来経済の産業連関分析 本項ではRA S方式における2つの基礎数である代替変化修正係数 ¥r,¥および加工度変化修正係数 Sj の算定方法について研究す る。 いま、 Cooi,-) -Aを基準年次の投入係数行列、 〔牟i〕 -Rを代替 変化修正係数-の対角行列、 〔S,I 〕 - Sを加工度変化修立係数の対角 行列、そして〔tan〕 -AI を将来年次tの・推計された投入係数行 列とする。このとき、推計投入計数〔lォii〕 -A.は 〔ia.;3 〔ネi〕 「<>a,j) 〔Sj〕 ---一一一-・一一一- (9S A. -RA S のように算定される。これがRAS方式の要点であり、かつまた名称 の由来である。 簡単化のために、 2産業モデルについてRAS方式を例示すれば次 のようになる。 a, ,a, r, o a, ,a, 0 r2 o^11 。¢12 ,as oa3ま SI 0 0 S, すなわち、将来年tの投入係数〔tdiii鞠tや.. i f* i"n-ri o^u Si ォa2i-r;まoa*i S, Oh-T¥ ¢12^s la出=ri oa廿S, である。一般的に書けば idii-Ti oOijSj 一一一一一‥- 鍋 となる。これがRA S方式の要鋸である.。 AI=王RAS のうち、基準年次投入係数A- Gau〕は既知数であ る。したがって、問題はどのようにして倍頼度の高い・説得力のある ノヽ 代替変化修正係数R= 〔争.I 〕および加工度変化修正係数S- 〔Sj 〕 を推定するかにある。 -80- 将来経済の産業連関分析 この2つの変化係数R, Sは第1図および第2図にフロー・チャー トしてあるように、最近時の2つの観測された産業連関表から推計さ れる。以下、開発者Richard Stone 教授にしたがって、 RとSの推 計方法について要約したいと思う。 (i)記号 〔 x,,0 基準年次産業連関表 CooijJ 基準年次投入係数行列 x, C-i O.-jJ 基準年次産業別生産額列ベクトル 基準年次産業連関表〔 Xiiiより一期前の産業連関表 〔x,-,0 -iの投入係数行列 1r,! 代替変化修正係数列ベクトル 加工度変化修正係数列ベクトル S; (ii) 仮定 RAS方式においては、単純化のため、次のように仮定する。すな わち、代替変化(行方向)も加工度変化(列方向)も、すべての産業 に同一率に生起する:という前提である.記号論理学的に書き表わせ ば I vrり∈ irlの r,-i-r¥ vs.- ∈ Su) S,;-S; これは現実的ではないが、単純化のために、経済学でよく行われる 仮定である。 (iii)代替変化修正係数t r言 および加工度変化修正係数 Si の推計 将来時tの投入係数〔fCtii〕は、既述のように、第1図および第2 図に示すフロー・チャートにしたがって、 3つの基礎数〔石〕 、 〔喜,.)および〔AjOから、次の推計公式によって推計する。 (再掲) -81- 将来経済の産業連関分析 第2図 RAS方式フロー・チャート 〔au・〕l - 〔r^i〕 tea〕 〔si〕 昭和40年産業 昭 和 45 年 産 業 連関表〔x.,04。 連 関 表 〔X ,,-L 「右崩遠,h諒O, I l I l :中間投入小計Ij I l ;中間需要小計昭 1 ica,,o: IX,し5│ -1 〔X,i〕 : J. 」L -82- L l. .仲間投入小計が l 将来経済の産集連関分析 IV<fllォ 日付 l〔 a iJ〕 60= l 推 十係 れ f , J A 〔 ri 〕 〔 a i]〕 40〔S JL〕l I Oi : r, = 「 、 I o.(1) I l I I Si l I I; 甘1,. l =:Jrl 1r,i → llt Si → llt (注) 〔ォ.,). 昭和60年投入係数(予測値) 〔a,)〕.5 昭和45年投入係数(観測値) 〔 rT: 」 代替変化修正係数対角行列 ノヽ 〔S, 〕 加工度変化修正係数対角行列 ⊂コ 観測値(実績値) I--* 予測値(推計値) -83- 将来経済の産業連関分析 A 〔(ou〕 - 〔?.・〕 〔蝣a,;) 〔S,.〕 一一一一一一一 位5) 3つの基礎数のうち基準年次投入係数〔oatj〕は、すでに観測され た産業連関表〔Xa)から算定されている〔ooi;0 - 〔ox;;/。x;Jc ゆえに、将来年tの投入係数〔tatu を予測するためには、 2つの変 化修正係数〔声i〕および〔Sj〕を推定しなければならない。これが まさにRAS方式のポイントであり、決め手である。マルクス流に言 えば、 "ロードス島はこ,だ、さあ踊れ!''ということになる。 /* 代替変化修正係数〔手言および加工度変化修正係数〔S,・ 〕の推定、 これがまさにRAS方式の基礎的・戦略的要素である。以下、その要 領について研究する。なお、説明を単純にLL、理解を容易明快にする ために、 2産業モデルについて例示するであろう。言うまでもなく、 n産業については、 2産業についての手法を拡張し一般化すればよい からである。 (i)産業別中間需要小計、産業別中間投入小計 すでに述べたように、本節では、基準年次の産業連関表を〔│X;j〕 、 その投入係数を〔iO.-i〕 、一期前の投入係数を C-ia.-j〕と記号するこ とにする。つぎに、基準年次の産業別中間需要小計(行和)を o[-。x;i+。Xi2+- 一一-蝣-。X(n一畳。x;; jこ1 とし、産業別中間投入小計(列和)を n oI; - o^ij + qX2j+‥-‥一一-+ t>X-nj一芸サX,j のように記号することにする。 他方、産業別粗付加価値小計(列和)を a │V; - S.Vd のように記号することにする。 いま、単純化のために、 2産業モデルについて例示すれば、第1 表のようになる。 -84- 将来経済の産業連関分析 (イ)中間需要小計 。0. 2 ui - 。-A-ll-r 0-^12- ∑,x, J=l 2 us - 0-^-21 -T 0-^*-22 - ∑,x. ;=i (a)中間投入小計 Ij 2 ll - oXu+ iX2i - ∑│X,i I2 - oX-12T oX22 - 20%-i2 l=l 2 (ii)代替変化修正係数l r言 および加工度変化修正係数tS昌 の推計 第1表 基準年次産業連関表(2産業モデル) 買 った産業 克 つN 0 ) 産 業 (fr o m 卜 \ 中 産 業 間 中 産 業 1 - o X ii 間 産 業 2 . iX 2i 小 計 0 Il 粗付加価値小計 総 1 . 需 要 産 業 2 . 〔O A ,J〕 小 計 最 終 需要 0Y l 総生 産 0X l 00 1 0Y l 0Ⅹ1 00 2 0Y 2 DX 2 O I 2 00 0Y 0Ⅹ 0V l 0 Ⅴ2 0Ⅴ 0Ⅹl 0 Ⅹ2 0Ⅹ x 12 ,x 2 投 入 投 入 額 前項で述べた産業別中間需要小計1 。0日、産業別中間投入小計 I。l; I、および一期前投入係数L-iOij〕の3つの基礎数から、代替変 化修正係数tr言 および加工度変化修正係数1S月 を推計すること、 これが本項のテーマである。そして、これこそ本稿の中心的テーマで %m まず、単純化のために、 2産業モデルについて例示する.さきに設 定した仮定によって、代替変化修正係数t r言 も加工度変化修正係 数tS月 も、すべての産業に同一率に生起し、したがって各産業に -85- 将来経済の産業連関分析 ついて同-の r,¥ または s> が適用されるものとする。そうす れば、 ¢5)式によって ,0, SI 0 <fl21 n^22 0 S含 となる。すなわち oα.1- γ卜・1α ,s. │012 - Tl-1012S, -a21- r2-ia2isi lO,22 -- r2 -1Q>含2S2 である。一般化すれば 〔taサJ - 〔fi。OijSj〕 となる。 〔Ti。0-HS;〕⇒ 〔,aり〕になるような〔手i〕および 〔云)〕を既知数Littij〕、 。Oi およびi。l;から推計するこ と、これがRAS方式のポイントであり、本節の研究テーマである。 さて、投入係数の定義(再掲) - (2) Xj から、次の関係式が成立するo oXn-oα ox, IX12 - 0ォ12 0---2 oX21 0^21 0-^-1 0-^22-- 0^220 2 したがって (イ)中間需要小計( ,O, :既知数) 2 。Oi - 。Xll+ 。X12- 。Oll。Xl+ 。G12。X2 - 嘉oQij'OA; 2 02 - 。X21+ oX22- nOか<>Xi+ 。Q22。X2 - ∑ .oajoXj )-i 一般化すれば n 0,-∑ oa,;。Xj IE (ロ)中間投入小計。l;既知数) 2 Il 。Xll+0-X-21 。*^11。Xl+nOji。Xi ∑ oGEji。Xi iこ1 -86- 将来経済の産業連関分析 2 ol2 - oXi2+ oX22-(>Q12oX2+0<^2之iX2-邑 │o>i20---2 一般化すれば 7t oIJ =芸iOi;oXj そこで、以下において、一期前の投入係数行列〔-id;;〕および2 つの総括値(control totals )00,-、 。Ij から、収束計算法によっ て代替変化修正係数K [および加工度変化修正係数 S; を推定 する方法を示したいと思う。 (イ)第1ステップ まず、基準年次より一期前の投入係数行列〔_ atj〕 -A_,に基準 年次産業別生産額対角行列〔 X; ]をかけて、第1次接近投入産出額 〔Y(1-:〕を算出するO 〔_lfl.j〕 〔。吏]〕 - LiO;j 。XjJ - 〔y(1〕 ‥一一一一1- (27) (例) 2産業モデル -Iail -1^12 X, 0 llan -,a2 0 。X2 -1^11 0-^x _1fl120-^-2 -iff. 0-A-l -サ0,,oX2 こ、で、〔Y<1)〕の中間需要小計(行和)oV ,<i>を計算し、これで基 準年次のそれ。0.を割って、第1次接近代替変 る。 (a)中間需要小計 of¥- 〔v(l)〕II(b)第1次接近代替変化修正係数 r,i- つ o?' つぎに、この〔埠りをさきに¢8)式によって算出した第一次接近投 -87- 将来経済の産業連関分析 入産出行列〔v(l) -ft-,;〕にt.左側から乗けて第2次接近投入産出行列〔v(2> 〕を求める。 〔 i<サ〕 〔Ⅹ昔〕 - 〔Ⅹ5写)〕 I- ‥一一一一一一 29 (例) 2産業モデル Ⅹ呈1)Y(1) 1-"-12 -1^11。X! _!dl r'i' 0 A-21V(l) 蝣"蝣22 r(21 J -1^*210^M -1&220^! メ11ny 1-1ull。-A-1(1) ri-OI2。X2 V<2)V 蝣"-ll-^12 r(呈)_!021。X12-1^22。x2 A2ix:(2) .こ,で、 〔Ⅹ.(冒)〕の中間投入小計(列和) iinを求め、これで 基準年次のそれ。l; を除して、第一次接近加工度変化修正係数 cl'}を算出する。すなわち (a)中間投入小計Hri I)当- li〔V(2>11 I -ほx<2). 1=1 (b)第一次接近加工度変化修正係数 価-サ - (30) 以上が第1ステップである。次に第2ステップに移る。 ㈱ 第2ステップ まず第1ステップで求めた第一次接近加工度変化修正係数〔邑n を第2次接近投入産出行列〔Ⅹ5写)〕の右側から乗けて第3次接近投入 産出行列〔Ⅹ;;)〕を算出する.つぎに、第1ステップと全く同じ要領 で、 〔Ⅹ臣から中間需要小計(行和) ¥of¥を求め、これで基準 年次中間需要小計(行和) I 。O言 を割り、第2次接近代替変化修正 係数 rf}を算出する。以上の手続を演算式で示せば -88- 将来経済の産業連関分析 〔v<2つ〔云(I)〕 - 〔v(3)〕 ofつ-1〔Y(3つII - 蓋v(3) rf¥-音i j=l ----一・一・---‥- (31) mm* っぎに、この〔毒2〕を〔v(3)〕 し、その中間投入小計U(2)を計 表中間投入小計(。l;柁割って第 を算出する。すなわち 〔fi2)〕〔xS'〕-〔Y<4>〕 tI告-li〔v(4) x,-;〕i-t圭 1=1 一S52'トt寺i H第3ステップ っぎに、〔云f)を〔X蝣〕の右側 以下、第2ステップと同じ手法に める。 以下、これまでと全く同じ手続 よび面当がついに単位ベクトル の時点で演算を修了する。 Iira{rlB¥-k-a A IL・仇tS凸-¥sj当-1 ▲ 演算Stop。(第2表参照) 以上の一連の繰返し計算の結果 加工度変化修正係数s/当よりな -89- 将来経済の産菓連関分析 および〔s;(*i〕 - 〔S(M;〕が出来る。 .tl) -(2) _(- ) ^11 ^12 r㌢'rf ---- r皇-) '22 〔r.(り〕 - r㌘r(2>---r< .(サ) c<Dcd) oIO2---S(孟) s'fs( 2)c(2)一一蝣(2) S(2J *A Su rn皐 …rnn S] ‥--Sx, S2i S2 --s, 〔S㌢〕 - :<-) ^サI OM2-‥・Owfi この〔ril当および〔s/り〕から、それぞれ、 Ti)およびIS昌を算定すること、これが次の演 る。 肖代替変化修正係数nおよび加工度変化修正係 算定 代替変化修正係数Tiおよび加工度変化修正係 前段で段階的に算出した〔ri当および〔el' pilk)〕から、それぞれ、 行方向遠来または列方向連乗によって算定す (a)代替変化修正係数n 産業iの代替変化修正係数riは、〔..<ォ〕-〔 (*>を行方向に連来して求めるo すなわち ▼l ri-真U) n-盟,ih ゆえに、n個の産業について、n個の要素から 正係数ベクトル ー90- 将来経済の産業連関分析 tl ・iI- 且n 旦Tik が求まることになる。 (第2表参照) (b)加工度変化修正係数 S; 産勘の加工度変化修正係数 Si は、 〔S,t如〕 - 〔s*,Oのj列 要素S5・由を列方向に連来して算出する。 - sj -員S,th'- TT SkJ kニ1 したがって、こ,でもまたn個の産業について、 n個の要素から成 る加工度変化修正係数ベクトル tSの-憎 お -沌s*,l lニ1 が求まることになる。 (第12表参照) 以上がRAS方式における代替変化修正係数 Ti および加工度餐 化修正係数 s> の算定方法であるo p さて、こうして算定した代替変化修正係数ベクトルir言、加工度 変化修正係数ベクトル S;および一期前投入係数行列〔-iCLii〕と から、基準年次投入係数行列〔A;〕を次のように推計する。 〔Pi〕 〔_1aH〕 〔S,・〕 - 〔<Ai〕 -A兼 こうして推計された基準年次投入係数行列〔<a,i〕 -A と観測さ れた基準年次投入係数行列〔,a< 〕 -A。の2つの対応要素i >au, Aii¥ を比較することによって、代替変化修正係数¥n¥ および加 工度変化修正係数 Si の信頼度を調べることができる。その方法 については、後述のベルギー・テストにおいて例示するであろう。 ③将来年の投入係数の予測 前項で算定した2つの修正係数 n およびISH を用いて、将 来年tの投入係数〔ta,;0 を推計すること、これが本項のテーマであ る。 さて、前項で求めた代替変化修正係数t r言 および加工度変化修 -91- iiJ l田冒WM∃EMH旧 正係数 s,- は、過去の実績から算出した傾向値(趨勢億)であるO そこで、もし、将来の産業経済も過去の傾向線上で成長発展し、著し くは変化(deviation)しないだろうと予想し、仮定するならば、わ れわれはこの n および S; を将来経済に延長適用して、 RA s方式dan〕 - 〔;,〕 〔。Qij〕 (S;〕によって、将来時-たとえ ば昭和50年は〔s。flijO - 〔苑〕 〔5a,jO 〔Sj〕 -の投入係数 〔iO.-jOを予測することができる。念のために、行列を使って具象的 に表わせば次のようになる。 On a12 alt S1 a21a2 -‥a2. 0 S, 0 0 a.i a..一一一a・榊 n on Sj r, 0,21 Si :olll 7-1ait S2 T¥Oln S, T2#22Sa 一一‥r2a2九S. Si 九0サ2S2 --r.a加Sn 0 --‥ 0 0 0 -- S. ana12 atゎ a21ai2-I- a2n a九"m a. ところで、先に算出した代替変化修正係数〔亮〕および加工度変 化修正係数〔SJ・〕は、 5年間を一期とする変化修正係数であるO し たがって、一年を単位とする将来投入係数の推測にあだっては、次 のような中間措置が必要であろう。 ( i)年平均変化修正係数 5年間単位の比較静学的予測ではなく、 1年単位の動学的予測一 正確には1年単位の比較静学的予測-をするためには、 〔?.・〕や ノヽ 〔S)・ 〕ではなく、それらを年率に直した年平均変化修正係数〔ar] および〔邑;〕を用いなければならない。 -92- 将来経済の産業連関分析 〔?,L〕および〔Sj〕を年平均変化修正係数〔;i 〕および〔S;〕 に還元する方法には次に示す定率法と定差法の2方法があるO 打)定率法 r: n r-捕 (a)宅差法 rJ- ÷n S声圭S,・ (ii)将未年投入係数〔fO.-iJの予測 いま・、基準年次0と予測年次tの間の年数をmとする。このとき、 m年間の代替変化修正係数R.nおよびS桝は、さきに述べた定率法お よび定差法に照応して、それぞれ、次のようなケースがでてくるo (j)定率法による場会 R--I(rr)れ - fi* srm-j(s;>軸 - Sy争I (o)定差法による場合 R'-- >(*")i-苧rit sd一 蝣(s")l-ト音S; となる。したがって、 t年次の投入係数〔tan〕 -A.は、それぞれ 次のように推計される。 材)定率法による場合 Al- 〔an〕 -RrmAoSrれ - 〔(Ti )当〔.a,-jO〔(鍔)当 へ tl =〔n子〕 〔,au〕 〔S]了〕 ㈱定差法による場合 A.- 〔an〕 -RIA。Sま -93- 一一一一一‥-‥- (32) 将来経済の.産業連関分析 -〔m^,!〕〔,auo〔msj〕 A-〔争.・〕〔odij〕〔晋si)一・一‥つ33) たとえば、昭和45年を基準年次として昭和48年の投入係数〔ォォ>;〕 -A4を予測するときは、約-48-45-3であるから *¥a〕〔*s(lij)〔(S*)〕 A'-〔(n*> A空8-〔On")Co**)〔OS/")〕 となるoまた、もし、昭和55年投入係数〔ssflij〕-A5であれば、m -55-45-10であるから A.-〔rf〕CisO;.〕〔岳,2〕 Arf一 蝣"蝣66-〔2n)〔tp-ii〕〔2Sj〕 のように推計すればよい。 人 (si)単純法、定率法および定差法の比較 単純法:基準年次の投入係数〔¥0-ii〕を、そのまま、比較的近い 将来時tの投入係数と見徹して適用する方法〔,a.jO-〔tfluOを 単純法と名づけよう。これはA.Marshallの"Day*やR.Hicks の"Weekの概念構造に代表される比較静学的手法であって、産 業連関分析ではしばしば愛用される手法である!4) 定率法および定差法については、すでに、前項で定義してある。 (4) A. Marshall , Principles of助onomics, 1890, 8th 1920, 大塚金之助訳 『経済学原理』大正14年 R. Hicks, Value and Cム:pil.a¥ , 1939 安井琢磨・熊谷尚夫訳『価値と資本』 岩波書店、 1951 -94- 将来経済の産業連関分析 さて、単純法、定率法および定差法の3方法の優劣を比較すれば次 のようになる。まず、 (1)予測期間mが5年未満(-5<m<5)のと きは、精度はよい方から言って定差法、定率法、そして単純法の順に なる0 5年をオーヴァ-すれば定率法、定差法、そして単純法の順に なるようである。したがって、いずれの場合にも、多用されている単 純法が一番劣っている。 ちなみに、経済審議会計量小委員会が昭和38年延長産業連関表につ いて実施した補間テスト( interpolation test )によれば、予測力は (1)サービス部門をも含めて産業連関表全体については定差法、定率 法、そして単純法の順であり、 (2)物財(material goods )生産部門 全体のみについては定率法、定差法、そして単純法の順であった(5) ゆえに、予測期間mが長い-mが大きい-ときは、定率法が貴 もよく、定差法が次善であるo単純法はできるだけ避けるがよいo m が5年未満の短期には、理論的には定率法がすぐれているが、実際的 には定差法が簡便であろうC これに反し、基準年次投入係数〔 An〕 をそのまま強制通風する単純法は、理論的にも実際的にも見劣りのす る予測方法である。しかし、現実的には、 mが5年未満の場合は単純 法を採用しているケースが多い。 (iヽ∂ RAS方式による投入係数推計の具体的実例 本項では、具体的実例を大阪府地域内産業連関表にとり、 RAS方 式による将来投入係数〔,a,j)を具体的に推計してみたいと思う。 使用する産要連関表は大阪府地域内産業連関表、基準年次は昭和40 (5)経済企画庁桶r計量経済モデルによる日本経済分析』昭和41年、 82 -85ページ -95- 将来経済の産業連関分析 年、したがって一期前の投入係数Uou〕は昭和35年のそれである0 予測年次は昭和45年。 RAS方式による将来投入係数〔a,/0,の予測基本式は、既述のよ うに 〔at}〕.- 〔 〕 〔a,;O。 〔S]〕 である。したがって、当面の具体的ケースについて言えば、それは 〔a.;0.5- 〔r^i〕 〔aa¥ 〔Sj〕 である。 第2表 RAS方式による投入係数の予測 (1)昭和35年投入係数〔a.メ〕85 t0 (観測値) 第 1 次産 業 第 2 次 産業 第 1 次産 業 0 .121315 0 .073 312 0 .00 6 9 3 0 第 2 次産 業 0 .2 0 7 7 6 1 0 .509 130 0 . 1 5 3 9 54 第 3 次産 業 0 .0 5 8 5 2 3 0 .1414 71 0 .197688 from 第 3 次産業 (注) `昭和40年価格評価 (2)昭和40年 捻括値 (単位:億円) 稔 括催 産業 中間需要小 計 0 , 中間投 入小計 Ij 生 産 Ⅹ` 額 第 1 次産 業 2 674 .22 168 .87 383 .61 第 2 次産 業 2 ,5559 .3 3 3 ,1149 .40 4 ,582 1 .21 第 3 次産 業 1,2 299 .51 92 14 .79 2 ,946 1 .46 第2表(4)昭和45年投入係数〔aii〕.6は、第2表(1)-(3)のデータから、第2図のフロー・チャートにしたがって-一期のラグ( time lag)があるが-、 RAS方式によって推計したものであ -96- 将来経済の産業連関分祈 る。 (3)昭和40年投入係数〔oiA。 観測値) 第 1 次産 業 第 2 次産業 第 3 次産 業 第 1 次産 業 0 .0785 17 0 .05 5805 0 .0029 54 第 2 次産 業 0 .2800 50 0 .4774 83 0 .12 1278 第 3 次産 業 0 .0 8164 5 0 .146 514 0 .1885 41 fro m t0 (4)昭和45年投入係数〔a,i)4s 予測値) t0 第 1 次産 業 第 2 次 産業 第 3 次産 業 第 1 次産 業 0 .0 7 4 2 2 3 0 .0 14 4 9 4 0 .0 0 19 1 5 第 2 次産 業 0 .332334 0 .4 4 5 6 2 9 0 .0 9 8 7 1 8 第 3 次産 業 0 .110 162 0 . 15 5 4 7 4 0 .1 7 4 4 9 7 fr o m (注) 〔a,-;L>- 〔fi〕 〔a./L。〔S,〕 資料.松岡満(大阪府立大学大学院博士課程) 「産業連関分析における投 入係数の変化についての一研究 RA S方式を中心として -」 (昭和48年度修士論文) 第3表は代替変化修正係数{ *-,- および加工度変化修正係数 S; の算出プロセスを示す表である。その理論的説明は第2節ⅢIですで に述べてある 59- 76ページ) 0 -97- s to p 係 数 第 1 s te p U(1 ) , S(1, 第 2 s te p T(i 2) 第 3 (3) rt s te p , S(3) i 第 4 4) ste p (4 ) 第 5 s te p 5) (5) .5) 第 6 '(6.) . s te p (6 , S ) - 第 7 s te p 7) i > ^(7j) r l 0 .7 4 0 7 9 1 0 .9 7 5 4 4 2 0 .9 9 7 3 9 1 0 .9 9 9 70 4 0 .9 9 9 9 6 6 0 .9 9 9 9 9 6 1 .0 0 0 0 0 0 r2 0 .9 14 6 5 1 0 .9 9 0 0 19 0 .9 9 8 8 12 0 .9 9 9 8 6 5 0 .9 9 9 9 8 5 0 .9 9 9 9 9 8 1 .0 0 0 00 0 r3 0 .9 9 7 60 8 1 .0 2 7 1 4 1 1 .0 0 30 4 8 1 .0 0 0 3 4 6 1 .0 0 0 0 3 9 1 .0 0 0 0 0 4 1 .0 0 0 0 0 1 S l 1 .3 0 13 2 3 1 .0 0 7 5 0 3 1 .0 0 0 8 0 3 1 .0 0 0 0 9 1 1 .0 0 0 0 10 1 .0 0 0 0 0 1 1 .0 0 0 0 0 0 S 2 1 .6 2 8 2 6 3 1 .0 0 3 2 6 5 1 .0 0 0 3 70 1 .0 0 0 0 4 2 1 .0 0 0 0 0 5 1 .0 0 0 0 0 0 1 .0 0 0 0 0 0 s , 0 .9 1 14 4 6 0 .9 8 8 9 8 7 0 .9 9 8 7 3 7 0 .9 9 9 8 5 6 0 .9 9 9 9 8 4 0 .9 9 9 9 9 9 0 .9 9 9 9 9 9 (注) 第2表より算出 資料:松岡満「産業連関分析における投入係数変化についての一研究 RA S方式を中心として-」 i修士論文、昭. 48) 〓-‖﹁l一 第3表 r,および Sj の算出プロセス 義 # 節 * 3 馳 m 敵 霊 * * 将来経済の産業連関分析 以上か単純RA S方式による将来年の投入係数〔*ii¥の予測方法 の大要である。 (3)修正HAS方式 単純RAS方式によって推計された投入係数〔a.;Jtにおいては、 要素 anが過大または過小に推計される可能性があり、また現に出 来(しゆったい)している。そこで、これらの極端誤差をチェック するために、シミューレイションや事後テストが行なわれ、その結 果を参考にして、いろいろな修正RAS方式が考案されている。 そこで、 RAS方式について若干の補論-修正RAS方式を試みたいと思う。 ① 変化修正係数 Ti および S;の算定における同一率変 化仮定について すでに述べたように、 RAS方式においては、産業連関表の行 方向におこる代替変化も、列方向におこる加工度変化も、産業ごと に同一率に生起する、 VTij∈ ru¥ 、 ru-ri ; VS,->∈ Su¥ 、 Sa-Sjという仮定で推計しているoすなわち、産業iの代替変化 修正係数行ベクトル r,は皆相等しく rn-ri2-----------T蝣 -7" であり、他方、産業jの加工度変化修正係数列ベクトル S; も bWS Sij- S2j-------‥--S ;-Sj のように同一率になる-そのように生起する-と仮定されてい ろ。これは、青うまでもなく現実的ではないが、経済学で壊用され る単純化のための仮定である。 現実的には代替変化も加工度変化も同一率に生起することはない。 -99- 将来経済の産業連関分析 rijとrikは常に必ずしも等しくなくrii専rih、SitとShiもまた常に 必ずしも等しくないSij≒Sn。j幸i.j.k-1,2, したがって、将来年tの投入係数〔aa¥を推計するためには、単 純RAS方式 ′ヽ 〔<*ti)t-〔fi〕〔ォI/J. i)Jo〔S)・〕 ではなく、一般RAS方式 〔O,j3,-〔rH。flij-S.-j〕 によって推計する方が、理論的にも実際的にも適性であり、すぐれて いる。 青いかえれば、基準年次投入係数〔aij〕Oには産業別代替変化修正 係数ベクトルn-〔声i〕および産業別加工度変化修正係数ベク トルSi-〔SJ・〕を乗けるのではなく、産業.産業代替変化修 正係数行列〔ni¥および産業・産業加工度変化修正係数行列〔S,i) を乗けて推計することである。その方がより現実接近的であると言え る。 そこで、もし、出来うべくんば、ベクトルr,¥および1Siで はなく、行列〔rij〕および〔Sii]を算出し、使用することが望ま しいO言うなれば"RAS一般理論"である。ところが、残念ながら この"RAS一般理論''による〔ra)および〔S,7)は、さきに考 察した投入産出額〔X,i),の推計が不可能で奉るのと全く同じ理由に よって、一般的には算出不可能である。そこで、止むなく、次善の策 として工夫開発された推計方法に拠らざるをえないことになるoそれ が他ならぬ単純RAS方式または修正RAS方式である。すなわち、 行列〔r"・〕および行列〔S"・〕の算出通用をあきらめて、ベクトル Ti¥およびSiを推計し、代用するのである。 ところが、現実には代替変化修正係数も加工度変化修正係数も行ご -100- 将来経済の産業連関分析 と・列ごとに同一率ではなく、 ij要素ごとに異なった値〔'a) 、 〔Sa)をとるに違いない。同一行・列における同一率変化仮定によっ て招来されるかもしれない推測された投入係数〔a鵠と実現された 投入係数〔flijjl との異同については、項をあらためてベルギーテ ストで検討したいと考えている。 ② ¥Ti¥および S;の連立方程式的解 まず、代替変化修正係数! r, (および加工度変化修正係数 S; を、 RAS方式近似計算法ではなく、連立方程式によって求められ ないか否かについて研究してみよう。 すでに述べた研究によって、諸記号の間には 〔x;jJ。- 〔auX 〔ii〕。- 〔 〔声.・〕 〔an)-i〔云)〕 〕 〔x,・〕。 なる関係が成立する。ゆえに 怖 -I2oX.yf --〔x,-,Ooi - t〔〔〔r^i〕 〔a,;0-. (S;〕〕 〔Xi),〕自 - {^X; n-.oijS月 (n本) - (3D isI - {;s.Xu} - =〔X,;00 -ti〔〔〔ri〕〔an)- 〔Sj〕〕 〔Xj〕。〕i - t蓋X;r,-1OfiS月(n本) 一‥-- (3百 である. (34)式およこ相5)式において、 〔a. 〕_l〔XjjJ。、 x, ,X;i。(I-J および10,1.、 I; はすでに観測された 実績値であるから、既知数である。これに対し、代替変化修正係数 InIおよび加工度変化係数 s/1が求める未知数である。求め る未知数は会計2 n個、方程式も(34)式および^35)式会わせて2 n本。 ゆえに、この2n本の方程式を連立させて解けば、 n および Si が求まるであろうoこれが、連立方程式によるRAS係数 n およびiS;の決定のアイディアである0 -101- ・将来経済の産業連関分析 ところが、折角のこの名アイディアもまた、すでに〔Ⅹij〕の連立 方程式的解法で遭遇した例の階級( rank )と解に関する定理によっ て、 n も s> も決定できない。したがって、名アイディア転 じて迷アイディアになる次第である。 以上のことを、念のため、 2産業モデル(2行2列)について例示 しておきたいと思う。 X, X2i X2 n o J^^B? flu a12 Ⅹ1 0 0>21 0,22 0 Ⅹ2 a, a. SI 0 Ⅹ1 0 a, a.守 0 S2 0 Ⅹ2 Xl rP-iOhS'1 Ⅹ多n -.td昔.Sg X, ^-iG^iSi `X2r2 -ia2jS曾 Xii Xi Xtri-iOuSi X2r1-1a12Ss X含1 ^-22 Xif2-iasiSi X2r卜la2号S2 Xj ri-iOhiSi + X2n -xaizSj ・一一一(3(T Xl r声_蝣iO/tiS.i + X2rォイa82S2 Xiri _iaijS] An JCi守 -(1, -(1, 1) 1) Xi7*2 -l CS21Sl Xji X2 -102- 将来経杭の産業連関分析 X2 r¥ -ia12S2 -IXjr,^a,,S!+Xar2-iw21 a21sl -A-2 7*2 -1Q>22 ^2 X.r, _1fl1202 + -X-2T2 -iO22b2 --‥一一1・-一一(35)' ゆえに、代替変化修正係数 n, n¥ および加工度変化修正係数 oj, b2 は(34)'式と(35)'式を組合せた次の4元1次連立方程式( 4本)を解けばよいことになるであろう。 Xi T¥-lfluSi X2T¥-1012S2 - oOi Xi r*-iO21Si + X2Ti-i(222S2 --。^)2 X!r-i_iOnSi + Xi r%-ict12Si - 011 X2ri-1012S2 + X8r*2- $22^2 ところが、残念ながら、さきに述べた理由によって、この連立方程 式は解けない。したがって、止むなくRAS方式近似計算旗によらね ばならぬことになる。 ③ソローの非負解十分条件について つぎに、 RA S方式とSolowの非負解十分条件の関係について考察 したいと思う。 投入係数〔a>;-〕の列和が1より小さい y¥au¥ ∈ 〔an) 芝aa<l または(行管方式) 蓋(-帆) a,t< l n ときは、均衡産出量x< -2β.;Y;は非負(non negative )である AXi ∈IX,- x, ≧0 こと、これが均衡産出量非負解に関するSolowの十分条件である. ところがJ RAS方式 -103- 将来経済の産業連関分析 人 〔亭i〕 〔ouO。 〔Si〕 - 〔aii〕tによって、将来年tの投入係 数〔a,;J,を推計すれば、その列和が1を超え ヨ oijl,∈〔a,;0,,芝,a,j>1 n または(行管方式) 邑(1-狗)aa>1 したがって、 Solowの十分条件を充たさない可能性がある。現に、 大阪府産業連関表について、上述のことが実現している。すなわち、 大阪府地域内産業連関表(10産業部門)において、昭和35年投入係数 〔aa¥と昭和40年産業連関表〔x,-/Lの総括値 0, 、 ll とから代替変化修正係数 Ti および加工度変化修正係数iS日 を 算定し、これと昭和40年投入係数〔an〕細からRAS方式によって、 昭和45年投入係数〔GnUを予測した 〔声i〕 〔an)一0〔S]〕 - 〔aa〕娼 ところ、 〔ai}〕.5の一要素anだけでし-列和をとるまでもなくすでに1を超えているものがある。たとえば、製造業・鉱業の要素 aa2- 1. 751873がその実例であって、これだけですでに1をオヴァしている。その他にも、 1つの要素a-aは1を超過していないが、 n 列和をとれば1より大きくなる嘉a,,>1ものがある。したがって、 これはSolowの非負解十分条件を充たさず、いきおいマイナスの均衡 産出量が算定されることになる。これは、青うまでもなく、現実に反 する。こうしたまずいことが出来(しゆったい)する直接の原因は、 代替変化修正係数 r,¥ または加工度変化修正係数 S;の過大推 定にある。 さて、列和が1よりも大きくなるそもそもの根因としては、次の3 系統が考えられる。′すなわち、 (1)産業統合の行きすぎ、言いかえれば 産業数nを小さくしすぎること、 (2)代替変化修正係数 n または -104- 将来経済の産業連関分析 加工度変化修正係数 S;の、なかんずく前者の過大推定、および(3) RAS方式の基礎数t 〔anO。 O, ij 言、 s> のうち、単数または複数の不適切な要素かつぎつぎに誘発する拡大 的波及効果の3つである。そのうち、 RAS方式に直接かかわりをも つものは(2)と(3)の2つである。 さて、もし、 RAS方式で予測した将来投入係数〔a*aに納得で きない値がでてきたときは、データ-および計算過程をチェックして 原因の発見につとめなければならない。データ-は、言うまでもなく、 基礎投入係数〔a.jO。および総括値 0,- 月, x,であるo 他方、計算過程ミスとしてはデータ-の入れ違いやプログラム・ミス などが考えられる。一般の人は、 「電子計算機で計算した」と言われ れば、その結果は正確そのものである,と考え神格化し、崇拝してい る。しかし、これは必ずしも正しくない。プログラムを間違えたり、 誤ったデータ-をinputすれば、電子計算機は思考力も判断力もない から、与えられた通りの計算方法とデータ-で馬鹿正直にoutput L、 「正確に間違える」,ことになる. これらのチェックをしても、単純RAS方式雷は、どうしても超克 できない不都合が残ることがありうる。そういうときは、単純RAS 方式ではなく、修正RAS方式に拠らなければならないことになる。 RAS方式の事後テストとしては、外国ではベルギー・テストがあ り、わが回では経済審議会計量委月会テストがある。また、大阪府地 域内産業連関表については松岡満テストがある(6)そこで、以下、前 2者のテストについて-暫し、あわせて修正RAS方式の実例を述べ ることにしたい。 (6)松岡満「産業連関分析における-投入係数の変化についての一研究 RAS方式を中心として-」 (修士論文、昭. 48) -105- 将来経済の産業連関分析 ④ベルギー・テスト 実例をベルギーq) 〔diihにとり、 RAS方式の精度について検討 すること、これが本項の研究テーマであるO 単純RAS方式による予測投入係数〔au)tは果たして当るであろ うか? R-AS方式予測の歴史が浅く、かつ管見のせいか、あれこれ 比較検討するために必要な資料がない。少数例ではあ.る.が、 RA S方 l 式の開発者であるR. Stone教授が検討しているベルギー・テストおよ び経済審議会計量委月会「産業連関モデルのフォロー・アップ」につ いて見れば、 〔a.iJtの精度はそれほど悪くはないようであるo (i)轟牡の原因 ベルギー・テストは1953年産業連関表を基礎にして予測した1959年 予測投入係数〔&ii)を、その観測値(実績値) 〔*ii¥ と比較検討 したテストである?) それによれば、 21産業-したがって、駒(cell )数は21×21441- の投入係数〔aij〕21×21のうち、 270個の投入係数anがプ ラスau>Oであるが、残余の171個はゼロa,i-o すなわち空白に なっている。 予測された投入係数〔O.;0㌔を観測された投入係数〔a^Owに比較 した結果は次のとおりであった 270個のa,,のうち、 (1)全く誤差の ないもの、または相対誤差率0.5%未満のものが250個、 (2)相対誤差 率が0.5!以上1.0!までが11個、そして(3)1.0%をオーヴァして いるもの 9個、であった。第4表参照。これはかなりのよい成果と いわねばならない。 (7) R. Stone and Others , Input- Output Relationship 1954-196声, 1963, pp. 30-32 -106- 将来経済の産業連関分析 誤差がおこる原因には、さきに述べたように、 (1)過度の産業グルー ピング、 (2)2つの修正変化係数tr.「、 IS昌 なかんずく代替変化 修正係数 Ti の過大推定、および<(3)不適当なデータ-投入のもた らす増幅的波及効果の3つである。そのうち、 RAS方式に直接関係 のあるものは後の2つであるから、以下、この2因に就いて検討して みることにする。 第4表 ベルギー・テストにおける3予測方式の 比較 誤 差 範 諸 方 式 に よ る 〔a ,;) 5 の 誤 差 分 布 表 囲 (相 対 誤 差 、 % ) 素 朴 方 式 単純 R A S 方 式 修 正 R A S 方式 0 .0 0 .4 2 3 8 2 5 0 2 6 2 0 .5 1 .0 1 5 l l 7 1 7 9 1 2 7 0 2 7 0 2 7 0 1 Ⅰ1 、 正 の 投入係 数 資料: R. Stone and Others ; Input -Output Relationship 1954 I960, p.32 第2原因である代替変化修正係数つTi の過大推定は(1)単純化仮 定と(2)社会的・政策的要因による技術変化の2つに基因している ように思われる。 - 107- 将来経済の産業連関分析 まず、 (1)単純化仮定について青えば、現実には産業i ・産業jごと に異なった代替変化 Ta がおこっているのにもかかわらず、単純化 のために Tit- Tii---…"= rin= ti と見倣して、同一率の代替変化修正係数r.・を産業iの行方向に乗ける 〔dil^t- 〔巧・〕 〔an〕. 〔sj〕推計方法に基因する誤差である。青い かえれば、一般推計方式tdijM- 〔ftI。aaSa〕によってではなく、 A 特殊推計方式〔o>iiii- 〔^ri〕 〔an〕。 〔Sj)によって推計するこ とに、そもそもの原因がある。 つぎに、 (2)社会的・政策的要因による技術変化について述べる。純 粋に技術的理由からではなく、社会的・政策的要請から生産者が従来 の生産要素の組合せとはちがった投入方法をとるためにおこる誤差でめ る。たとえば、斜陽化しつつある石炭産業保護のために、政府が電力 産業やガス産業に石炭使用を義務づけたり、環境汚染防止のために カセイソーダ製造業において水銀法から隔膜法に転換したりすること などからおこる轟敵であるO 第3の原因、すなわち不適格なデータ-の投入の結果ひきおこされ る増幅的波及効果については、産業連関分析の原理と構造から当然に 招釆される帰結であり、あらためて玲説するまでもないであろう。 ところで、ベルギー・テストは加工度変化修正係数 S;のもつ興 味のある、そして貴重な傾向的性格を明らかにしている。それは、加 工度変化修正係数 S;は、代替変化修正係数 Ti がひき起こしが ちな遠心的希離.を和らげ、訂正する求心的修正の働きをもっているこ とである。すなわち、 1rilが火つけ役(trouble maker)であるの に対し、 S;は火消し役(trouble shooter)である。あるいは r;が男性的であるのに対し、 Sj は女性的である。そうであれば -108- 将来経済の産業連関分析 S;は正確であるよりは多少誤差があった方が、 Ti によっても たらされる遠心的誤差を緩和減衰し、修正する傾向があるように思わ mm 任か 修正RAS方式 ベルギ- ・テストでは3つの異なった方法によって1959年投入係数 〔aij〕5㍍を予測し、観測値〔aaX と比較検討している。第4表がそ の結果表である。 3つの予測方法、すなわち(1)素朴方式、 (2)単純RA S方式、および(3)修正RAS方式について要約すれば次のようになる。 (j)意朴方式(naive method) これは基準年次(1953年)の投入係数〔a>i%遼そのまま予測年次( 1959年)の投入係数〔a,;)Bと見倣して〔a,jJ63- Ca^a 、いわば強制 適用する方法である。この素朴方式は短期的には、強引ではあるが手 取り早いので、よく採用される方法である。 (ロ)単純RAS方式(simple RAS method) これは、これまで研究してきたRAS方式そのものである。 〔㌢〕 〔fltf). 〔sj〕 - 〔an〕5。。 H 修正RAS方式(modified RAS method) 単純RAS方式による大きな希杜誤差を回避するために、いろいろ な修正RAS方式が考案されている。そのうち,ベルギー・テストに おけるそれは次のようなものであった。 単純RA S方式によって予測した投入係数〔O.jJsの要素ai}のうち 基準年次投入係数〔aij〕5。のそれと比べて著しく変化している6要素 に該当する6要素 sct.-iを基準年次投入係数〔fhi〕53から取除いて作っ た修正基準年次投入係数〔a.jJsa.と、それに照応して修正した稔括 値(control totals) 産業別生産額 x,- 、中間需要小計 0, および中間投入小計=).I.-を求め、これから予測年次 -109- l 将来経梢の虚業逮開分析 投入係数〔<M.を単純RAS方式によって推計するのである。 〔手i〕〔0>il〕霊. 〔Sj〕 - 〔aij〕59.。 つぎに、この〔a.ih に、さきに取り除いた6つの特異要素のブ ランク(空白)に、もろもろのデータ-や経験に基づく推定投入係数石iJ. を補塀する。 以上がベルギー・テストにおける修正RAS方式の要領である。 ゆえに、このベルギー・テスト・修正RAS方式の特徴および困難 性は、 "代打"投入係数a*をセのように推定し埋め戻すかにあるO 細I)ベルギー・テストの教え さて、このベルギー・テストから明らかになった教訓は次の4点で ある。まず(1)精度から言えば、 3つの予測方法では、修正RAS方式 が一番よく、つづいて単純RAS方式、そして素朴方式の順になって いる(2)短期的には、すなわち生産技術は著しく変動せずしたがって 大部分の投入係数anはほとんど変化しないと推定されるときは、素 ° 朴方式が有効であり、経済的であるかも`しれない。ところが、予測期 間が長かったり、短期的ではあっても鹿産技術や社会的・政策的要請 に著変があるときは、この素朴方式はもはや適用できない。したがっ て別の予測方式を採用しなければならない(3)単純RAS方式は素朴 方式に比べ、よりすぐれた予測方式である。しかし、これとても十全 な方法ではなく、許容Lがたいほどの大きな誤差が部分的に生起する 可能性がある。現に、予測された投入係数〔a.iTtの一要素a,jだけで すでに1を超えるもの、ないし列和蓋恥が1をオーヴァするケース も発生している。これではSolow の十分条件が成立せず、したがっ て、均衡産出量 Ⅹi がマイナスになるおそれがある。したがって、 (4)修正RAS方式が最もすぐれた予測方式であるということになる。 けれども、これとても完全無欠ではない。 "代打"投入係数an の推 -110- 将釆経済の産業連関分析 定に主観的判断を働かさねばならないからである。.したがって,実際 に経済を将来予測し、経済計画を策定し、政策を遂行していくときに 要請されるであろうこの修正RAS方式の適用にあたっては"野戦" 経済学者である予測者が社会・政治・経済の将来動向についてのすぐ れた洞察力-豊かな経験とすぐれた直観力、分析力と絵合力-を 身につけていることが必要であろう。すなわち、方法の優劣もさるこ とながら、結局は人の問題に帰着する。 ⑤ 経済審議会計量委員会フォロー・アップ つぎに、わが国の経済審議会計量委員会の事後検討.''( follow-up) について結論的に要約する。 予測:まず、同委員会は昭和41年11月、産業連由佳デル(レオン チェフ・オープン・モデル)によって、目標年次である昭和46年およ び中間年次である昭和40年-45年について、マクロ.モデルの線描値 control totals)と整合的な部門別予測値を推計し、発表した。こ れが『計量委員会第1次報割である(≡) 2年後の昭和43年に同委員全は昭和41年および昭和42年の実績値を、 先に発表した予測値と比較して、希離分析を行ない、その結果を発表 している。 蔀離分析は、計画用シミュ-レイション(予測値)と実績値の我社 を(1)データ-の差に去るもの、 (2)外生変数の差によるもの、および(3) モデルの良否-理論値と実績値のギャップ-によるものの3要因 にわけてシミューレイション分析を試みている。 シミューレイション分析による要因分析の結果は、データ-の差に (8)経済審議会計量委員会『計量委月会第1次報告』昭和42年、および 『計量委員会第2次報告』昭和43年 -Ill- 将来経済の産業連関分析 よる希敵が貴も大きく、外生変数の差によるものがこれに次ぎ、モデ ルの適否によるものが貴も小さかった。すなわち、 (1)データ一による 轟雛の相対誤差(率)は昭和41年が2.2% (絶対誤差1兆4792億円) 、 昭和42年は2.4% ( 1兆8892億円) 、 (2)外生変数による覇杜の相対誤 差(率)は昭和41年は1.0% (6967億円) 、昭和42年5.9% (4兆 6558億円) 、そして(3)モデルによる相対誤差(率)は昭和41年0.3% (2296億円) 、昭和42年0.0%以下( 671億円)であった。 全体としては昭和41年は絶対誤差1兆4963億円、相対誤差(率) 2.9%、昭和42年は6兆6121億円、 8.4%の成績であった。 以上の事後検討( follow up)から次のように結論することができ るであろう(1)産業連関モデルの予測精度は全体的には良好である。 ところが、 (2)データ- (モデルのパラメーター)および稔括値(外生 変数)の整備は、今後、一層改善する必要がある。とくに、サービス 産業部Plのデータ-の整備および政策変数の予測については然(そ) うである。そして、 (2)の条件、すなわち、データ-および稔括値が整 備されれば、それだけ産業連関モデルの予測有効性はますます高まり いくであろう。 N.逆行列係数の予測 将来経済の産業連関論的予測は2つの基礎数、すなわち逆行列係数 行列〔βij〕事と加重最終需要ベクトル(1-m;) Y;+E;│,とから、 推計公式(再掲) 仕βid,I(1-mj) Yi,+Ejい-t〔Xォ〕1*1 - IX,- ‥-‥(1) によって推測される。第1図および第3図参無。 2つの基礎数のうち、逆行列係数行列〔βi)・〕Iは、さきにRAS方 -112- 将来経済の産業連関分析 式によって推計した投入係数〔0,i〕t および別途にマクロ・モデルや 産業連関分析などによって予測した輸入係数ベクトル mi から算 出する。そこで、以下において、逆行列係数行列〔βij〕,の算出方法 について研究したいと思う。 逆行列係数〔βの の算出方法については、筆者はすでに理論的・ 実証的研究論文を発表している?)その算出方法は過去であろうと現 第3図 投入係数および輸入係数の産業連関論的 予測における位置 〔oォj, x, :==I Y.vl i tM高 0.J-I-rj,j' 〔X,;0`・- x, - (1-mj)Yj +E高 IE, 在であろうと、はたまた未来であろうと基本的には同一であって、変 わりはない。そこで、以下においては、要約にとどめたいと思うo さて、既述のようにRAS方式によって予測された投入係数〔atir, と、計量経済学的手法によって別途に予測された輸入係数 ro,一号と から、逆行列係数〔β,}),を予測すること、これが本項の研究課題で yra (9)谷山新良「投入産出分析における逆行列係数において」大阪府立大 学r経済研究,B第17巻第1 ・ 2号(昭和47年3月) 大阪府統計課『大阪経済の産業連関分析J昭和47年(谷山分析執筆) 谷山新良「保険業の産業連関分析」生命保険文化研究所r所報J第 19号および第27号その他 -113- 将来経済め産業連関分析 〔β.,0,を算出するためのr2つの基礎数〔aa¥と tmihのうち、 〔a,;Oiについては前項「RAS方式」において詳.しく研究した。し たがって、本項においては輸入係数 m吊こついて研究すればよいこ とになる。そこで、本項では(1)輸入係数の予測と(2)逆行列係数行列の 算出について研究したいと思う。 1.輸入係数の予測 本項では逆行列係数行列〔βl高算出の基礎数である輸入係数 m; の定義および予測方法について研究する。 (1)輸入係数の定義 現在、わが国の全国産業連関表で採用されている逆行列係数算出方 式は行政管理庁方式である。この行政管理庁方式の要点は輸入係数m, の定義の仕方にある。それによれば、産業別輸入係数1 m言は産業別 ヽ ヽ 輸入額つM言を、産業別国内総需要 gXy+Y,,,! -言いかえれ ば、総需要額(AX,+Y...+E,) -総供給額(X,+Mi)から輸出 額E.を差引いた額(鼻x,;+Y,,,) - (x.-+M,-Ei)で割-た値、 と定義されている。 すなわち M, M, ・‥--1--‥---(36) 声声U+Y,d X,-+M,-E, であるo これが輸入係数 nu の定義である. (2)輸入係数の予測 定義式(36)から明らかであるように、産業別輸入係数1 m高を予測す るためには、産業別輸入額 M, │,と産業別国内線需要tj圭x./+Yw hを予測しなければならないo IMi吊.2X,j+Y品は計量経済学的手法で予測するoこれに ついては次項第3節最終需要の予測において研究したいと思う。すな -114- 将釆経済の産業連関分析 わち、本項ではM,および犠xtf+Yjげすでに予測され、した がって輸入係数 mi ¥tもまた算出公式(36){こよって算出されているもの として、以下の逆行列係数〔β,,0.の算出に進みたいと思う0 2.逆行列係数の予測 本項では逆行列係数行列〔βts¥ の予測方法について研究する。本 項は(1)産業連関表バランス式と(2)逆行列係数〔βi高の予測の2テー マから構成されている。 (1)産業連関表バランス式 産業連関表の構造から、産業iの稔需要量Dtと総供給量Siはそれ ぞれ次式のようになる。 総需要量 D.-長X,-;+Y.J+E, 総供給量 S,-X;+ Mi --一一-一一一- (37) ゆえに、その需給均等式D,-S,-は ZXo+Yi(i+E,-X,+M, - w となる.ところが、定義式(36)(こよって M,-m言葦xd+Yw }=1 であるから、これを(38)式に代入し、かつ変形・整理すれば 王auxj+Y,rf+E,一m.1萱a.jXj +y暮 -x, 一一一一-- (39) J =l J=l となる。そこで、これを陽関数表示に変形し、かつ行列演算で書き表 わせば t 〔I- 〔I.-M〕 A} X │ - (1- )Y,+E! となる。この(40)式の左辺に見られる係数行列〔I- 〔I-M〕 A〕こ そがいわゆるレオンチェフ(技術)行列である。他方、右辺のベクト ルが加重最終需要であるo その第1項のYdの係数(1-m)を補輸 入係数とよぶことにしよう。 説明と理解を単純明快にするために、以上のことを2産業モデルに -115- 将来経済の産業連関分析 よって例示すれば次のようになる。まず、需給バランス式は [:霊Hmm:H器〕 (38). である。そこで、 M< をn t∑Xd+Yd│の形に変形し、かつ移項 すれば Y 蝣A.21芸J+W+U.用1X2〕+ 三 xx:: となる。そこで、さらに投入係数 〔GW)を使って書 きかえれば、 醜〕 ・I. + :〕 Yld 10 X, ・一一一一一‥(39) Ix. 〔 Y28 ] 01 ( である。これを陽関数形式に変形し、整理すれば 1- (1-mi)an - (1-nl) -(1-m2)an 1-(1-oTa) (1-ro 一一一 (40) xl-m霊謁 ′ヽ となる。この(40)′式の左辺の係数行列 〔I- ci-md a) - idtiy すなわち 1-‖I鞠)oi - (l-im) は: eo::〕 -(1-TO,)d21 1-(!-ォ・) をレオンチェフ行列(Leontief technology matrix)とよぶ。これ は投入係数〔flu〕および輸入係数 m;から逆行列係数行列〔βii〕を 算出するときの-するための-中間項である。 〔 Btlト・一一〔 βij〕・ -116- 将来経済の産業連関分析 そして、レオンチェフ行列〔w-〔I-〔工-M〕A〕の解析 的意義は、陽関数表示の均衡生産量 x,を決定する連立方程式(40)(こ おける未知数 x, の係数行列に他ならない。 さて、 (40)式は均衡生産量列ベクトル x;を未知数とするn元一次 連立方程式であるO ゆえに、この連立方程式(40)を解けば、加重最終需 要列ベクトル (1-iBi) Yl(i+E言に照応する均衡生産量列ベクト ル x,- を決定することができる。 けれども、 n元一次連立方程式を解くことは、原理的には簡単であ るが、その計算作業は並大低ではない。そこで、 「必要は発明の母」 、 この難局に対処するために工夫開発されたもの、々れが逆行列係数 人 〔β".〕- 〔1- 〔I-M〕 A〕 1である。 (2)逆行列係数の予測 ① 逆行列係数の働き 予測年tの均衡生産量成上を算定するためのn元一次連立方程式 は40)1こよって t〔1-〔ト血〕A〕言Ⅹ吊-{{(1-m)Yd+E吊-(41) であ・る。そこで、いま、この(41)の左辺のレオンチェフ行列〔I′ヽ 〔1-M〕 A〕.- 〔Ba〕,の逆行列〔ト〔トM〕 A)?- 〔βuOtを 電子計算機で算出し、これを(41)式の両辺に左側から乗けれ好 日'ト I M∴\--1 111・.トーMj,㌔.', IX! -t〔I-〔エーM〕A〕言つ(1-m)Yd+引-i - -(42) となる。ところが、左辺の係数は定義によって〔βuO, 〔Oi)¥- 〔I〕 であるから、 〔βi高〔6u¥ {X│,-〔1〕 x 皇 XI, となるO ゆえに、結局、上式(42)は -117- 将来経輝の産業連関分析 iXi,-1〔I-〔I一血〕A〕告(1-m)Y.+El = 1〔β晶t(1「蝣)Ya†鈷l ‥-・ (43) に帰着する。公式(1)参軌これが将来年tの産業連関分析の基本公式 である。 ゆえに、与えられた加重最終需要列ベクトル(l-mi)Yォ+E高 に見合う均衡生産量 x, は(43)式によって、いと`も簡単に算定する ことができることになる。こ,で、とくに強調しておきたいのは、 (43) 式はもはやn元一次連立方程式ではなく、逆行列係数行ベクトル〔βHi* と加重貴終需要列ベクトル(l-mj) Yjd+Ej との内横和式単一の積和式-であることである。すなわち、産業iの均衡生産量 Ⅹ.は 蝣Xi-鼻tpii 1--j) Yyi+E;Jt 一一「---‥--(44) のように、積和計算によって、きわめて簡単に決定することができる 次第である。 以上が産業連関諭における逆行列係数〔βij)の生い立ちと働きであ る。 ② 逆行列係数の予測 前項でimplicitlyに述べてきた将来年tの逆行列係数〔β.高の予 測方法を、整理して、 explicitlyに述べれば次のようになるo轟1図 および第3図参照。 (I)RAS方式によって、将未年tの投入係数〔aォ0ォを予測する。 (II)計量経済学的手法によって、将来年lの産業別輸入係数i約言 を予測する。 (in)2つの基礎数〔a.高潔よぴt m高から、 (40)式に示してある行列 演算〔I- 〔IIM〕 A〕l- 〔Oii¥ によって、レオンチェフ行列 〔6iJhを算出する。 -118- 将来経済の産業連関分析 (Ⅳ)このレオンチェフ行列〔Oi高を電子計算機にinput して、その 逆行列〔ト〔エーM〕 A〕;1- 〔βti¥を算出(output)させる。 いうまでもなく、レオンチュフ行列〔6*l¥と逆行列係数行列〔β・>]. との間には、定義によって 〔βサ3i 〔ei拓- 〔Wt 〔βiJ〕t- 〔I〕 なる関係が成立する。 〔I〕は言うまでもなく単位行列(identity matrix)を表わす。 念のために、視覚的に〔e,i¥および〔βi高を-ツキ1)書き示せば 次のようになる。 d¥¥ 1-(1-mi)an -(1-oTi)a d¥z一一 - 1-帆)an 1-(1-m2)a -(1- サn)am -(l-mn)aれ豆 -(1- a -(1-m2)a2 1- (1-m。 (Inn β11 β12・---1βln 1- (17m,¥)an -(1-mj)a12 β21β22 β2n - (1-m2)a.2i 1-(1-m2)a22 βnl βn2---βnn - (1-mォ)am - -119- (1-帆)ttm 将米経済の産業連関分析 - (1-rri!)ai< - (1-m2)cLi 1- (1-mn)(lti そして、両者の間には次の関係式が成立する。 β11 β12‥-βID 011 012-・‥- #11 "1告・-- 01. 0.. β21 β2曾 β2n 82i 9tf・--- #2n ?21 &2才 9, β.,1 βB2 β." 6、1 <9n1 6丸亀-- 9. 0サJ 0.. β11 β12-‥‥β.A 1 0---0 β21 β22‥・-I β如 0 1-‥-0 一一 一(49 β.1 β(12 βnn ところで、行列〔x".)は1つのベクトル<*iを他のベクト;Hwi に変換する働きをも-ているo 〔*tf] ¥vi¥ -庫iiVi¥ - ¥wt上 このことをレオンチェフ行列〔6tl〕と逆行列係数行列〔β,vOに即して 言えば、 (1) 〔eij〕は生産量ベクトル Xj を均衡加重貴終需要ベク トルl(1-mt) Yid+Ej に変換する行列であり、他方、 (2) 〔βii〕 は加重最終需要ベクトル 1 - raj ) Y,a+Ej を均衡生産量ベクト ル1耳iH=変換する行列である。したがって、これら4着の間には汰 図のような相互関係がある0 -120- 将来経済の産業連関分析` 第4区l レオンチェフ行列〔eij〕と逆行列係数行列〔βij) レオンチェフ行列 生産量ベクトル 'yI 〔elJ〕 貴終需要ベクトル 〔β,0 i (1一物)Yd+引 公式(1)遠石崩係数行列 ゆえに、産出量ベクトルtXl と(加重)貴終需要ベクトルt(1 -仇 Yj+E の間には、 〔Ot]〕または〔βij〕によって変換された 前後の原ベクトルと変換ベクトルという親子関係がある。それは、あ たかも被加数と和、被減数と差、被乗数と積、被除数と商、原関数と 導関数、および被積分関数と原始関数(不定積分)などの関係に似て いる。言いかえれば、レオンチェフ行列〔e,))と逆行列係数行列 〔β,J]との間には加減、乗除、微分と積分のごとき逆演算関係があるO 以上がRAS方式による将来年tの投入係数〔ai高 の予測方法、 およびそれを基礎数とする将来年tの逆行列係数行列〔βl高の予測 方法の大要であるo言うまでもなく、その窮極的目的は〔βiJ・〕tの予 測にある。 -121- 将来経済の産業連関分析 第3範 最終需要の予測 I.研究目的と研究方法 これまで、たびたび述べてきたように、将来年tの均衡生産量ベク いL x, よ、推計三:∫K.i& tⅩ高-i 〔β0. 1{I-mi)Yjd+E;吊 によって予測されろO 推計公式(43)に見られる2つの基礎数のうち逆行列係数行列〔Pi高 の予想方法については前節で詳論した。そこで、いま1つの基礎数で ある産業別最終需要行列〔Yif)の予測方法について研究すること、 これが本節の研究テーマであるo なお、前節において推計を繰延べていた産業別輸入係数ベクトル tm昌tについても、併わせて研究したいと思う。 将来年tの産業別最終需要行列〔Yifhも産業別輸入係数ベクトル 1m言Iも、主に計量経済学的手法によって推計される。 すなわち、主に計量経済学的手法によって、将来年tの最終需要行 列〔v;aおよび産業別輸入係数ベクトルtm亘を予測すること、こ れが本節の研究テーマである。 そして、本項では(1)最終需要の概念および(2)輸入係数の概念につい て研究する。これは次項に予定されているII.最終需要および輸入係 数の予測-の準備的研究である。 1.最終需要の概念 本項では最終需要( final demand )の構成、分類、および概念につ いて述べたいと思う。 (1)最終需要の構成 卓終需要〔Y,f]は全国産業連関表では6項目、地域的産業連関表で -122- 将来経済の産業連関分析 は7項目から構成されている。全国産業連関表の6項目とは家計外消 費支出cb、民間消費支出Cp、一般消費支出Cg ;国内固定資本形成I 、 在庫純増J、および輸出Eの6項目である。他方、地域的産業連関表 においては、全国産業連関表の6項目に国内輸出E"-移出D (dome stic export が加わって7項目になる。 (2)最終需要の分類 これらの最終需要〔Y,,]は3部門または2部門に統合(グルーピ ング)することができる。すなわち (1)消費支出グループ C 家計外消費支出Cb、民間消費支出Cp、および一般政府消費支出 Cgの3つがこれに属する。 C-C6+Cp+C, (訂投資グループIg 国内固定資本形成工、在庫純増J I.-I+J ③輸移出グループ Eg 輸出E、移出D Eg-E+D 22部門 ①国内稔最終需要 Yd 3部門分類法のおける①消費支出Cと②投資Igの合計が国内紙 最終需要(gross domestic final demand ) Yjであるo Yd-C+lg -Cj+Cp+Cg+I+J ②輸移出 Eg 輸出E、移出D -123- 将考経済の産業連関分析 Eg-E+D ォ なお、 ①国内稔最終需要YJに中間需要小計∑ Ⅹijを加えたもの ;=i はⅩり+YM│を国内総需要(gross domestic demand )とよぶO J=l 前節で研究しだように、これは産業別輸入係数t机il を算定する Mi mi = n ∑ Xii+Va J=l ための基礎数の1つである。公式㈱参照。したがって、こ 類は行政管理庁方式によって、投入係数〔an〕および輸入 から逆行列係数〔βiijを算出するために、ぜひ仕訳しな ない実践的分類法である。 (3)最終需要の概念 こ,で、貴終需要6項目について、簡単な概念規定をしてお と思う。 G)家計外消費支出Cb ①家計外消費支出consumptionexpendituresoutsidehouse )は企業消費支出であって、企業が支出する福利厚生費や 家計消費支出に類似する企業経費である。いわゆる"社用 い"費用はこの項目に計上される。 家計外消費支出の範囲は、福利輝生費(雇用者所得に含ま もの、および内生経費に計上されているものを除く)と、 費および出張費から実際支払った運賃を除いた分(主とし および日当)からなっている(10) 。 (10)産業連関部局長会議『昭和45年産業連関表作成基本要綱J 昭和46年7月、 45ページ -124- 将来経済の産業連関分析 国民所得統計においては、家計外消費支出Cbを内生産業(企業)の 経費と見徹し、国民所得には計上しない。青いかえれば、回民所得Y の中には家計外消費支出Cbは含まれていない。これが国民所得勘定 と産業連関表の相異点-基本的相異点は3点ある-である。 こうして、家計外消費支出Cbは、国民所得統計では内生産業(企 業)の経費として内生部門に計上されるが、産業連関表ではそれは外 貨化され、貴終需要部門〔Y(,または粗付加価値部門〔vwOのトノ ブに配置されている。 昭和45年産業連関表によれば、昭和45年次1年間の家計外消費支出 は3兆1638億円であった。 lこれは総生産額161兆2697億円の1.96%に あたる。家計外消費支出の約半分-実に1兆数千億円-が"社用 族の飲み食い"費用であるといわれるから、由々しき浪費といわねば ならぬ。 ②民間消費支出 Cp 家計、および家計にサービスを提供する民間非営利団体の財貨・サ ービスに対する経常的支出額Aから、同種の財貨・サービスの販売額 B (中古品や層の売渡し)を差引き、海外から受取った現物贈与の純 額Cfを加え、さらに日本国民の海外における消費支出ADを加算した もの、それが民間消費支出( private consumption expendituers ) である。すなわち、 C-A-B+C/+D。 なお、経常支出とは(1)家計の場合は土地・建物購入費以外のすべて の経費を食み、 (2)家計に財貨・サービスを提供する民間非営利団体の 場合は土地・建物・固定資産以外のすべての経費を意味する(2)にい う民間非営利団体とは、具体的には労働組合、宗教団体、文化団体、 政党、社会福祉団体、社会保険団体、各種組合、アマチュア・スボー ッ団体などである(ll) -125- 将来経済の産業連関分析 (診一般政府消費支出Cg 昭和45年10月1日現在、わが国には統計3322の政府(中央政府1,都 道府県46、市578、町2013、村684)があった。これらの政府および 政府関係機関を総称して一般政府とよぶ(12) 。 さて、一般政府は家計的生活と企業的活動を併せ営んでいるOそし て、一般政府の家計的支出、それが一般政府消費支出(government consumptionexpenditures)である。言いかえれば、(1)中央政府の 一般会計Aと企業的会計以外の特別会計B、および(2)地方政府の普通 会計A′と企業的会計以外の公益事業会計B'などからなっている0 cg-(A+B)+(A'+B')その範囲は国民所得統計のそれ と一致している(13) 。 ④国内固定資本形成I 家計、企業、非営利団体、一般政府(直接的軍事用を除く)および 一般政府企業(政府関係機関を含む)の行なった土地・建設物(土木 ・建築)・機械・装置などの国内における有形固定資産の購入および 固定資摩振替、それが国内固定資本形成(grossdomesticfixed capitalformation)である。ただし、土地・古建物のごとき固定資 産にあっては、購入額全額が計上されるのではなく、伸介手数、土地 造成・改良費のみが計上される。 なお、固定資産として規定し、集計する資本財の範囲は耐用年数1 年以上and単価5万円以上のものである。ただし、単価が5万円未棉 (ll)産業連関部局長会議r昭和45年産業連関表作成基本要綱j 45- 6ページ (12)建設省国土地理院r全国都道府県市町村別面積調べ 157ページ (13)産業連関部局長会議r昭和45年産業連関表作成基本要綱』 47- 8ページ -126- 将来経済の産業連関分析 のものであっても、創業または業務拡張のために大数買付した結果、 5万円を超過したものは国内固定資本形成に計上する.0の ⑤在席純増J 企業(政府企業を含む)の所有する生産者製品在庫、半製品・仕掛 品在庫、流通在庫、原材料在庫の物量的増減を年間平均価格で評価し、 一括計上する。したがって、産業間取引-内生部門取引願X.-iにはす べて経常的"生産的消費''額のみを計上し、持趨額-在庫額はこの在 庫純増に一括計上する.なお、家計、民間非営利団体および一般政府 家計部門の"在庫''はすべて消費額に含め、在庫純増increase in stock)には計上しないo(岬 ⑥輸出 E 輸出(export of goods and services は外国に対する財貨お よび非要素用役(通信料等)の輸出額-現物贈与を含む-である。 在外公館、駐留車、船舶、航空機および海外旅行者については、そ れぞれの母国に帰属させることにする。貸金、利子、配当、海外支店 利潤、フイルム賃貸料、著作権、特許権の使用料など要素所得の取引 や金融的取引は輸出には含めない。これは産業連関表がBl内ベースで 作成され、国民ベースでは作成されないからである。ちなみに、国民 所得統計では上記の国際間要素所得の取引も国民所得Yの中に計上さ れる。これが産業連関表と国民所得統計との3つの原則的相異点のう ちの1つである。 なお、輸出はFOB価格で評価される。したがって、日本の関係企 業が受取る輸出品の運賃や保険料は輸出に計上される。これに反し、 外国の企業が受取る保険料・運賃は日本の輸出とはならず、外国の輸 (15)産業連関部局長会議『昭和45年産業連関表作成基本要綱J 50ページ -127- 将来経済の産業連阿分析 出となる。したがって、日本の産業連関表には、当然、計上されない0 それは外国の産業連関表に計上されるOoO なお、後述するように、輸入知はCIF価格で評価される。 ● 2.輸入の概念 (1)輸入の構成 輸入部門Mは輸入と関税に内訳される。わが国の全国産業連関表は 蔑争輸入型で作表されているから、輸入部門Mはマイナスの付号を付 け、最終需要部門〔Yif〕と総生産額tX言の間にレイ・アウト( lay out配置)されている.記号的に書けば AX + Y -M - Ⅹ ちなみに、大阪府地域間産業連関表は競争輸入・非競争移入型で作 表されている。記号的に書けば 行方向(販路構成) 〔AX〕"+ 〔AX〕rs+ 1Y) - {M(-{X│ 列方向(投入構成) 〔AX〕"+ 〔AX〕"+ {V│ - (XI である。 〔AX〕raは地域rから地域Sへの移出(domestic export )を表わし、 〔AX〕"は地域rへ地域Sからの移入(domestic import )を示す。 〔AX〕"は自地域内の需要・供給を表わす。 (2)輸入の概念 ①輸入 財貨および非要素用役の外国からの買入れが輸入である。輸出の場 合と同じく、輸入には要素用役(貸金、地代、利子、配当など)の取 引は含めないが、現物給与一軍需物資を除き-は計上されている。 輸入商品はC I F価格によって評価する。 06)産業連関部局長会議r昭和45年産業連関表作成基本要綱j 50-51ペー ジ。 -128- 将来経済の産業連関分析 ・・5悶純 関税は関税のみであり、その中にトン税および特別トン税は含めな い。トン税および特別トン税は沿海内水面輸送施設の使用料と共に、 外国運輸業者が運賃に含めて支払っており、したがって輸入商品のC I F価格の中に計上されているからである(1乃 (3)輸入の重要性 まず、輸入Mは産業連関表における需給均衡式 AX+Y-X+M 需給均衡式) AX+ Y-M-X 産業連関表均衡式) の構成項目として、重要な要素である。 つぎに、既述のように、現行の行政管理庁方式において、産業別輸 入ベクトル M,は投入係数〔*il)から逆行列係数〔β,0 を算出 するための補助的基礎数としてきわめて重要な役割を演じている。公 式(1)および公式(36)参照。 卸 冨E-iffaiH 'iEiM ia打 最終需要〔Y.7),および輸入{M,- │ tの予測もまた逆行列係数ifiii〕, の予測におとらず重要にして困難な仕事である。本項ではこの2つの テーマについて研究する。 本項は(1)変数とパラメーター、 (2)新中期マクロ・モデルと産業連関 モデル、および(3)最終需要および輸入係数の予測方法(単純モデル) の3項から成っている。 (1)変数とパラメーター (17)産業連関部局長会議r昭和45年産業連関表作成基本要綱j 51-52 2ヨBJi -129- 将来経済の産業連関分析 産業連関論的予測に投入される国内最終需要〔Y,-f) 、輸入tM言 および総生産額1Ⅹ言 は、通常、 2段階に分けて予測される。すな わち、 (1)マクロ・モデルによる最終需要部門別線額1Y/上 輸入額 tMfを予測する第1段階と、 (2)それらを産業連関モデルによって、産 業別に内訳する〔Yの、 tM言の第2段階 の2段階である。そし て、第1段階の総額(これをcontrol totals総括値という)予測と 第2段階の内訳予測の間には整合性が保たれるようにする。すなわち n n ∑ 1=1 I一 ∑ i=l n n n C. -Ci、芸I事-Ij 三J,-J ∑E;-E ∑M;-M l =1 1=1 n v,-v ∑X,--X なる整合関係が成立するように、マクロ・モ J=l デルと産業連関モデルが連結されている。 ①経済モデル 数学的方程式を用いて表わされた経済理論を経済モデル economic model ) 、または経済の数学モデルという。また、経済モデルが抽 象的な文字方程式体系ではなく、定量的な数字方程式体系である経済 モデルを計量経済モデル(econometric model )とよ云産業連関 モデルにも抽象的文字方程式による理論モデルと統計値に基づく計量 モテ1.)レがあるO ②パラメーター 経済モデルの方程式体系における定数および係数をパラメーター( parameter )というOパラメーターには構造パラメーターと政策パラ メーターの2つがある。 政府その他の政策担当者の決定する政策によって制度が変わり、そ の直接的結果として変化するパラメーター、いわば人為的に決定され るパラメーター、それが政策パラメーターである。他方、なるほど政 策によって、間接的には影響を受けはするが、主として経済そのもの の内在的構造によって決まっているパラメーター、それが構造パラメ ー130- 将来経済の産業連関分析 -タ-である。これまで論究してきた投入係数〔αり〕などはまさに 構造パラメーターの適例である。構造パラメーターは経済データーと 推定方法(直接最小二乗法SLS、 2段階最小二乗法TS LS、制限 情報最尤法LI、など)によって客観的に導き出される定数および係 数であ,る。 たとえば (i)消費支出関数 C=a+b(Y-T: (i)民間投資関数 I =c +dY-, (玩)租税関数 T = t Y において、 a, b, c, d,が構造パラメーターそあり、 tが政策パラメ ーターであるo 具体的実例を示せば、例えば経済審議会計量委員会の「新中期マク ロ・モデル」の計量方程式に見られる 個人消費関数 LI) C- 167.2+0.3829 { (Yd+AB) /Pc O.0547) (単位: 10億円) +0.5530 C_2 -0.6855Z (0.0771) (0.1953) における定数167.2および係数0.3829, 0.5530, -0.6855が構造パラ メーターである。なお、 C_2は先決内生変数(後述)である.つぎに 個人税関数(LI Tp--79.7+0.0770 (Yp - A,) -0.0137豆 (0.0022) (0.1508) (単位10億円) に見られる定数-79.7,および係数.0.0770, -0.0137がいわゆる政策 パラメーターである(18) (18)経済審議会計量委員全編『計量委員会第2次報告』昭和43年D -131- 将来捷済の産業連関分析 ②先決変数と内生変数 経済モデルにおける変数は、まず、先決変数( predetermined variable )と内生変数( endogenous variable )に2大別される。 第5図参照。 内生変数:経済モデル内部の相互依存関係において決定される変数、 それが内生変数である。数学的に言えば、経済モデルを表わす連立方 程式を解いて求まる未知数が内生変数である。これに対し、 先決変数:経済モデルの内部的相互依存関係によって決定されるの ではなく、逆に、内生変数を決定するために、条件として、外部から、 経済モデルに与えられる変数-モデルにとっては既知数-を先 決変数(predetermined variable とよぶ。 先決変数は外生変数 ( exogenous variable )とよばれることもある。 先決変数は外生変数と先決内生変数( predetermined endogenous variable)に2分される。そして、外生変数は、さらに、与件 変数と政策変数に細分される。 他方、内生変数は目標内生変数とその他の内生変数の2つに分けら iWJ9 以下、それらの詳細について研究したい。 ( i)先決変数 すでに述べたように、先決変数は外生変数と先決内生変数に分ける ことができる。 H)外生変数 外生変数とは経済モデルに、条件として、外から与えられる変数( ⇒既知数)のことである。 それは経済モデル連立方程式を解いて得られる値ではなく、逆に、 その連立方程式に条件を与える外生的催-連立方程式体系にとって -132- 第5図 パラメーターと変数 (1)変数とパラメーター (先決変数) 外生変数 先決内生変数 (マクロ計量モデル) 構造パラメーター 政策パラメーター (内生変数) 目標内生変数 ・その他の内生変数 粗 (2)変数:先決変数と内生変数 普 与件変数(人口、世界貿易額など) 政策変数(政府支出、租税負担率など) 先決内生変数( l期前の内生変数Y-h C-fなど) 変 数 as 港 蘇 鞘 3 目標内生変数(当期の国民所得Y。、消費支出C。など) その他の内生変数(潜在的・中間項的内生変数) 葛 S * 将来経済の産業連関分析 は既知数-である。したがって、経済モデルにおいては、内生変数 が外生変数によって影響され、決定づけられるに対し、外生変数は内 生変数からは全く影響を受けない非可逆的原因変数である。外生変数 は方程式体系では、丙(稔人口)やTg (政帝固定資本形成)督どの ように、記号の上に- (バー、 bar)を付けて識別しているO 外生変数はさらに与件変数と政策変数の2つに分けることができる0 与件変数の例としては、聴人口面、労働力人口取、世界輸出額Tw、 海外から個人への純移転Fp、世界工業製品輸出物価指数Pweなどで ある。他方、振替所得Tr、社会保険負担言i、政府消費支出Cg、政 府固定資本形成Ig、政府住宅資本減耗引当てDgなどが政策変数で fJI* (D)先決内生変数 先決内生変数の本性-素性-は内生変数である。しかしその育 ちのために先決変数になっているのである。それは、その名称からも 明らかであろう。 先決内生変数の例としては、たとえば一期前の国民所得Y_. 、消費 支出C_1、貯蓄S_i、および投資Ll などがある。一般的に言えば ∼期前の国民所得Y_I などのような``タイム・ラグのある内生変 数Iagged endognous variable が先決内生変数である。国民 所得Y、消費支出C、貯蓄S、投資I などは本性的には内生変数で あるが、こうした"タイム・ラグのある内生変数'つまモデル・ビルデ ィングの時点においてはすでに既知数になっている。したがって、モ デルには先決内生変数-既知数として与えられることになる。なお先 決内生変数は既知変数とよばれることもある。 (i)内生変数 経済モデルの連立方程式体系と与えられた先決変数から、連立方程 -134- 将来経済の産業連関分析 式を解いて求める未知数、それが内生変数である。たとえば、今期の国民 所得Yo、個人消費支出Cp.、民間固定資本形成I9.、個人貯蓄Sp。などが まさに内生変数である。 内生変数はさらに目標内生変数とその他の内生変数に分けられる。前者 は経済計画 economic planning ないし計画経済( planned economy)で計画要素となる目的的関数である。.いわばHの当る内生 変数であるO たとえば、さきに挙げた国民所得Yl、個人消費支出C卯 個人貯蓄Spl、民間固定資本形成Ip.'などのシテ役的内生変数など がまさに目標内生変数である。 ) これに対し、その他の内生変数は経済モデルを解く過程において算 出され、モデル内の⊥要素として縁の下的な役割を演ずるが、経済計 画などでは表面には現われてこない日陰の・裏方的内生変数である。 各種の指数や中間項などがそれに当る。 産業連関論に即して言えば、投入係数〔aり〕は構造パラメーター、 輸入係数1m言 が先決変数、レオンチェフ行列〔0"・〕 - 〔I〔I IM〕 A〕および逆行列係数〔βlj]がいわゆる``その他の内生変 数"、 (加重)最終需要 (1-m)Yd+I封 が外生変数、そして 均衡生産量1Ⅹ言 が目標内生変数である。ただし、もし、ある年∼ の産業連関表の逆行列係数〔β諭を算出するこt'を目的とする'なら ば、そのときは〔β.;)ォが目標内生変数となる。 Li=がって、 "その 他の内生変数''と"目標内生変数''は固定的に決っているわけではな 01 (2)新中期マクロ・毛デルと産業連関モデル 最終需要 Y,,} の将来予測の一例として、経済審議会計量委員会 が昭和43年に発表した「新中期マクロ・モデル」の(1)マ;d モデル ぉよぴ(2)産業連関モデルについて要約してみたいと思う!19 -135- 将釆経済の産業連関分析 (ヨマクロ・モデル まず、この「新中期マクロ・モデル」における計量経済学的手法は (1)諸経済変数相互間の整合性の保持、 (2)代替的計画のシミューレイシ ション、および最適政策手段の分析、そして(3)事後検討( follow-up) の3点で活用されている。 さて、 「新中期モデルのフレーム・ワーク(骨組)は次のとおりで ・Jan (i)標本期間 構造パラメーターの推定にinputされる基礎データ-の標本期間は、 昭和29年度上期から昭和41年度下期にいたる半年ペースの26標本であ った。 (i)推定方法 パラメーターの推定方法は3方法、すなわちSLS 直接最小二乗 汰) 、 TSLS (2段階最小二乗法) 、およびL工(制限情報最尤法) IMJE9 (i)変数 変数は84、そのうち55が内生変数、 29が外生変数になっている。 (")方程式体系 連立方程式体系は61本から構成されている。そのうち31本が行動方 程式( behavior equation )または制度方程式( institutional equation)であり、残り30本が定義式(definitional equation )にな っている。 行動方程式の具体的例としては、たとえば個人消費支出Cは (19)経済審議会計量委月会棉r計量委月会第2報告J 昭 43. - 136- 将来経済の産業連関分析 (LI C-167.2 + 0.3829 ( (Yd+Aの/p言 (0.0547) 0.5530C_ - 0.6855Z (単位: 10億円) (0.0771 (0.1953) S-43.1 (単位:10億円) 、 d-2.31 のようにモデル・ビルディングされ、推定されている。 この方程式に見られる定数167.2,係数0.3829, 0.5530, -0.6855がい わゆる構造パラメーターである. C (個人消費支出) 、 Yd (個人可 処分所得) 、 Au (個人在庫品評価調整額)が内生変数、 C-, (2期 前、すなわち1年前の個人消費支出)は先決内生変数、そして豆(辛 節代理変数、上期-0、下期-100 )は外生変数である。 つぎに、係数の下に見られる( )内の数値は推定係数の誤差の標' 準偏差( standard deviation a )である。言は方程式のまわりの残 差の標準偏差(自由度修正済み) 、 dはいわゆるダービン・ワトソン (Darvin-Watson )比率-方程式の残差UIの自己相関の有無 を検定するための指標-である。 つぎに、定義式の例として.、たとえば国民所得Yをとれば、それは Y-W+Yu+Yr+Yc+Yg である。すなわち、国民所得Yは雇用者所得W、個人業主所得Y叫、 利子・賃貸料所得Y‥法人所得Yc (以上 内生変数) ;および官公 事業剰余等Yg (外生変数)の会計である、と定義されている。 ②産業連関モデル マクロ・モデルで予測された最終需要総括値( control totals ) -民間消費支出C、政府の財貨・サービス購入G、個人住宅投資Ih、 民間設備投資Ip、在庫純増J 、輸出E-および別途に予測された家 計外消費支出Cbを先決内生変数として、それらを産業部門内に内訳す -137- 将来経済の産業連関分析 る作業が、産業連関モデルの重要なテーマとなる。 「新中期マクロ・モデル」の産業連関モデルの構造( framework ) 紘 (i)標本期間 昭和26年から昭和39年まで。 (ii)変数 変数の数は45。そのうち、外生変数は13、内生変数は22、その他 の変数は10であった。 (i)連立方程式体系 構造方程式の数は24本。そのうち主なるものは、項をあらためて 列挙したいと思う。 ③新中期マクロ・モデルおよび産業連関モデルの予測要領 本項においては経済審議会計量委月会が行なった予測過程を辿って みたいと思う。 (i)第1段階 -マクロ・モデルによる総括値 control totals )の予測この第1段階(マクロ・モデル)で.は産業別項目別貴終需要額 〔Yげ〕ではなく、項目別表終需要総額 Y/iを推計する。そして、土 れを産業(i )別に内訳することが第2段階の作業である。 さて、 「新中期マクロ・モデル」における32本の構造方程式のうち、 主なものを5本あげれば次のようになる。 (単級:10億円)¢0) 0 (4)個人消費支出(TSLS ) ¢o)経済審議会計量委月会『計量委員会第1次報告』昭和41年、 4- 9 ページ.標本期間:昭和29年度上期一昭和39年度下期(半年ベース、 22標本数) -138- 将来経済の産業連関分析 C-116.5+0.3236{(Yd+AJ/pc (o.o683) +0.6449C (0.1957 (0.0994)2-0.8115Z 盲-36.9(単位:10億円)、 d-2.33 M民間企業設備投資関数Us I,-3310.2+1.381{(Yc+Ac-Tc)/vi│-, (0.315) +1.222:y,+a.-Tc)/-1352.7i (0.280) (262.9) 育-72.7 (10億円)、 d-1.46 H民間企業在庫投資関数(TSLS) Jp--359.4+0.2279V-0.2289YLip-i (0.0795)(0.1063) -1283.3(i-1-U)-0.713豆 (543.1)(1.307) 首-98.5(10億円)、d-1.61 ⇔商品輸出関数(LS) loglOEc=2.64162+1. (0.752雪IoglO守坤-1.433loglO (0.255) (periT)-1 s-0.021251(l。gl。10億円)、d-1.65 的輸入関数 商品輸入Mc(FOB価格)および貨物運賃・保険支払M。1の統 計式LI (Me+崩,)--9.7+0.8887Mc (0.0077 富-12.4(10億円)、d-1.89 (ii)第2段階 -総括値の産業別内訳作業-139- 将来経済の産業連関分析 一第1段階で予測した諸量は、いわゆる稔括催(control tムtals , 部門別総額)であるから、これを産業連関論的予軸に投入( input) するためには、産業別に内訳しなければならない。したがって、第1 段階では内生変数であったこれらの総括催(C, I. など )は、第2段階では姉生変数(C, I,, J, Ecなど)となる。な お、マクロ・モデルでは推計する必要がなく、 ,したがって予測されて いないもので、産業連関モア)i,では必要なものである家計外消費支出 Cbについては、第2段階に入る前に、まず別途にCbを推計し、つぎ にこれを外生変数Cbとして産業別に内訳するCEb必要がある。 さて、 r計量委月会第1報告』の産業連関モデルに見られる26本の 構造方程式体系のうち、主要なものを需要・供給の2群に分けて列挙 してみたいと思う。記号の上の- (bar)は、まずマクロ・モデルで 内生変数として求めた上で、産業連関モデルに外生変数として観た 変数であることを示す。 (i)需要サイド (j)品目別民間消費支出C.I 60 c,-∑Cij j=l (a)品目別家計外消費支出Cib Ciサ- c川Cb H品目別政府消費財貨・サービス購入量Gi 15 Gi-∑8U'Gj )=1 (⇒品目別政府住宅投資I,* I<サ-h, I* - 140- 将来経済の産業連関分析 ㈹品目別在庫純増J,・ ot I,・J O品目別民間設備投資王.・p lip-ki・I, (ト)品目別財貨・サービスの輸出Ei E, -E,e+Eォ,+E,,i (注) Eic --‥-一 財貨輸出 Ei. -・ 貿易外収入(サービス等輸出) 、 EiP ‥‥-- 特需 ゆえに、 (i)品目別最終療要会計Yiは次のようになる。 Y,-C, +C,サ+G,- +!, + hp+J<+E, -‥-‥(46) (i)供給サイド (j)品目別輸入関数M* (関税を含む) Mr-一ai。蝣ォ(X,+Mr) 'p)品目別生産額Ⅹ.I ゆえに、 (i)品目別捻供給Ziは次のようになる。 Z;-x,+Mr ‥-‥‥- (47) したがって、品目i (-産業i )の需給バランス式は(46)式、 (47)式 ft および内生需要小計∑ X*;-Aから J=l A+Y-X+M* であるOそこで、いま輸入MXを左辺に移せば、それがすなわち産業 連関表バランス式となる。 A十Y-M*-X (5)加重最終需要の推計 さて、以上の諸推計量から -141- 将来経済の産業連関分析 国内最終需要 Yi-C,-+Cib+!,サ+! +Jサ 内生需要 n A= ∑X,j ;=i 国内稔需要 †l A+Yd-∑Xu+Yd l=1 を計算し、これと産業別輸入額M.・とから公式¢6) M, lI ∑X,i +Yi。 J=I によって輸入係数ベクトルl仇it を算出するO つづいて、これと国内貴終需要Yidおよび輸出Eiから、ついに待壁 の加重最終需要列ベクトル 日1-m,-) Yid+E, を算定することができる。 (3)最終需要および輸入係数の予測方法 -単純化された日本経済モデルを実例として① マクロ・モデル 国民捻生産、最終需要および輸入係数を予測する具体的例を、単純 化された日本経済モデルによって示せば、.次のようになるT) (i)記号 Ⅹ 国民総生産 ¢1)矢野誠也r需要予測の手引きJ 日経文庫, 163-6ページ -142- 将来経済の産業連関分析 Y 国民所得 C 個人消費支出 王 民間資本形成 己 政府支出(先決変数) E 輸 出 M 輸 入 R 法人所得 面 世界貿易額(先決変数) D 調整項目(-減価償却+間接税一補助金) (i)単純化した日本経済モデル(単価:兆円) (イ C-6+0.5Y (ロ 1-2+1.OR_i+1.2 X-X_! E - E-i W.-W-i -0.05+1.1 ( (㍗ E w . 匡) Mニー0.3+0.IX ㈹ R-R_i-0.2+0.2 (X-Ⅹ_1) H X-C+I+G+E-M 定義式) (ト X-Y+D 定義式) 蝣f- D-0.2X この単純化された日本経済方程式マクロ・モデルは方程式の数は10 本。そのうち定義式2本、外生変数.2つ(G∴W) 、未知数8つ、し たがって予測方程式8本の構造になっている。 予測相関式体系のうち政府支出G、世界貿易額Wは外生変数である0 他方、法人所得R_1、国民総生産Ⅹ_1、輸出E_1、世界貿易額W_1は 添字 suffix)-1が示すように、いずれも前年の実績値を示す"タ イム・ラグのある内生変数( lagged endogenous variables) "で - 143- 将来経済の産業連関分析 あり、いわゆる先決内生変数であるから、この経済モデル体系におい ては既知数である。ゆえに、われわれは2つの外生変数、4つの先決 内生変数、および8本の予測方程式から、8つの未知数Ⅹ、Y、C、 I、E、M、RおよびDを内生変数として決定する÷とができる。 たとえば第5表に示す昭和43年度の実績(観測値)R43、X。3、E4,、 および外生変数G4。と世界貿易伸び率菰QI 4-0.から昭和44年度の経済 予測値を算出すれば第6表のようになる。 昭和45年度以降の経済量も、さきに述べた昭和43年度-昭和44年度 経済予測と全く同じ要領で推定すればよい。すなわち、まず、昭和45 年度の政府支出G45および世界貿易額伸び率菰5 W45-W4( M-'1 5 = 屯4 を党決するoつぎに、第6表に算出させている予測値R44-9.2、 ni一 -63.0、およびE44-6.8 (単位:兆円)を先決内生変数として、先に あげた(i)単純化された日本経済モデル方程式体系に代入すれば昭和45 年度のノ8つの内生変数Ⅹ45、 145> C45、 1.5、E。5、蝿5、R45およびD.5が求め られる。昭和46年度以降についても全く同じ要領で推計すればよい0 なお、産業連関分析に必要不可欠な貴終需要部門家計外消費支出、 および粗付加価値部門6項目についても、先決変数および予測方程式 によって、予め推計しておかねばならない。これもまた重要ではある が困難なアルバイトである。 ② 産業連関モデル 産業連関論的予測に投入されるデータ-は、すでに述べたように、 2づの基礎数すなわち逆行列係数〔β,-aと(加重)産業別貴終需要 1(1-叩) Yji+E;│tである。そのうち、逆行列係数〔βaXにつ いては、すでに前節で詳しく研究した。他方、貴終需要についていえ -144- 将来経済の産業連関分析 第5表 昭和43年度統計量(先決内生変数) と昭和44年度外生変数 (1)経済統計量(先決内生変数) 兆円 (i)法人所得 R43- 7 (i)国民稔生産 X43- 53 (玩)輸 出 E43- 6 (2)外生変数 (W 政府支出 G44- 10 (v)牡界貿易伸び率 wti- 8% W44- W43 W44- 第6表 昭和44年度経済予測値 項 1. 昭 和 44 年 度 予 測 値 目 内 生 変 数 予 測方程 式 番 号 (1) 国 民 紙 生 産 Ⅹ44 兆円 63 .0 (6) (2) 国 所 得 Y 44 50 .4 (7) (3) 個 人 消 費 支 出 C 44 3 1 .2 (1) (4 ) 民 民間 資本形 成 (5〉 輸 (6) 輸 (7) 法 I 44 2 1 .0 (2) 出 E 44 6 .8 (3 ) 入 的4 6 .0 (4) 人 所 得 R 44 9 .2 (5) 整 目 D 44 1 2 .6 (8) 出 G 44 10 .0 外生変 数 (2) 世 界 貿 易 総 額 W 44 (8) 調 2. 項 先 決 変 数 (1) 政 府 支 -145- 1 .08 W 4S 外生変 数 将来経済の産業連関分析 ば、単純マクロ・モデルおよびその他の方韓で予測した内生変数Ⅹh Yh Ch Ih Ei、蝿、 Rh Dl、 Cm;外生変数Gtはいずれも総括額 control totals)であって、産業別には内訳.されていないOゆえに、 これを産業連関分析システムに投入するためには、まず、マクロ・モ デルで推測した部門別小計額Yfを産業別内訳額Yifに内訳し、かつ国 内貴終需要小計Yidを補輸入係数( 1 -m )で加重しなければならな い (1-m,-) Y^+E言。 (i)産業別表終需要 最終需要部門の家計外消費支出Cb、民間碍費支出Cp、一般政府捕 費支出Ce、国内固定資本形成I、在庫純増J、輸出E;輸入部門M ;および粗付加価値部門の家計外消費支出Cb 、雇用者所得W、営業余 剰P、資本減耗D、間接税Ti、補助金Sの産業別内訳もまた産業連 関論的予測作業における重要な、そして骨の折れるテーマである。 マクロ・モデルによって推計された稔括額を産業別に内訳する方法 は、過去の産業連関表(複数)からの回帰推定、または最近時の産業 連関表の構成比によって比例配分するより他はないであろう。こうし た諸方法によって、推定統括額を(1)最終需要部FIC如- ciM│ 、 CpIcサトcg,→ICigtI、I,- Iサl、 ∫.- Jォ、 E.- (2)輸入部門 帆-(Mi,). ; (3)粗付加価値部ncサ,⊥ {Ci如L W,- wサ. 、 P一 一 Pi. 、 DI- q>ll、 T.ド tT)の、 S.-(S;(│ のようにn 産業部門に内訳する。 (i)輸入係数 現行の輸入係数の定義は、すでに述べたように(再掲) M Mil mi= 一一 一一一-- 36 AX+Yd 鼻xot+Yt虚 であるoすなわち、産業iの輸入係数mi・は産業iの国内総需要鼻Ⅹd・ -146- 将来経済の産業連関分析 + Y,idiで輸入Mhを割って求める。 (i)加重産業別最終需要 加重産業別貴終需要 (1-帆.) Ylt+E,│t は産業連関論的予測 の1つの基礎数であるOそしてそれはすでに推計されている tCiも'上 ciK上│c,ォ上IIiJ、・U、 Eォ│および nサ¥から (1-狗 ) yid+E言一によって算出される。なお、 Yuは産業L'の国内最終需 要(domestic final demand 小計である。すなわち、 Y示-cM+ Ciォ+Cォj十Iォ+ Jjf+ E,t。 念のため、加重産業別最終需要列ベクトル (1-m) Yid+E,│, -Y,一連ていねいに書き表わせば次のようになる。 せ,- { (1-m,)Yxi+E,}, ′ せ-{(1-m2)Y2d+E; ヤー- 1 (1- Y.i+E.1, 第4蔀 将来経済の産業連関分析 将来経済の逆行列係数〔β,,0,および最終需要1 ( 1 - ii ) Yid+ E,とから、将来経済の産業連関分析をすること、これが本節の研究 テーマである。 逆行列係数〔β,・;),については、すでに第2節において詳論した。他 方、最終需要 (1-m,-) Yid+E,一日こついても第3節で研究してあ るO したがって、 〔βa)tおよび (1 mi)Yォ+E,I,の予測は、 実はそれ自体が目的ではなく、本稿の標題であり、かつまた本節の研 -147- 将来経済の産業連関分析 究テーマである"将来経済の産業連関分析"のための準備的研究であ aa 産業連関論の研究テーマは、 (1)理論的には産業経済の構造分析、投 入産出分析、産出額変動の要因分析、影響力係数・感応摩係数その他 の諸係数の算定、均衡価格分析、均衡雇用量分析、将来経済の予測、 (2)政策(実践)的には経済計画または計画経済の策定およびシミュー レイション(simulation模擬実験) 、特定施策のもたらす経済的諸 帰結- "風が吹けば桶屋が儲かる"以上の前後左右・縦横無患・正 流逆流の直接・間接的波及効果-の数量的測定などである。こうし た研究分野において、産業連関経済学(投入産出経済学)はまさに絶 対不可欠の、かけがえのない威力を発揮する。 さて、 "将来経済の産業連関分析"においては、主要テーマはむし ろ将来経済の逆行列係数〔βto*および最終需要1 (1- %) Yld+ E,にある。 "将来経済の産業連関分析"は方法論的には現在癌済ま たは過去経済の産業連関分析の方法を将来時に移したにすぎない。違 うのは投入される基礎データ-が現在データ-- 〔βuO。、 ( 1 )Y,d+E高;または過去データ-〔βi高、 I (1- *i)Yid+ E言_書であるか将来データ- 〔βォ0.、 i (1- it) Y>d+E高 であ るかにすぎない。たとえば、将来経済の産業別均衡産出量列ベクトル x, は tⅩ高- i 〔βij〕 (1-m) Yjd+E; によって決定することができる。その他の分析テーマについても事情 は全く同様である。すなわち、それらは理論(分析方法)的には全く 変らず、ただ分析対象年次したがって投入される基礎数〔βi]〕 、 {(1-m) Yjd+E;が異なるにすぎない。 ところで、私は、すでに、産業連関論的分析一般についての理論的 -148- 将来経済の産業連関分析 研究、および過去経済の実証的産業連関分析を発表している。前者の 代表として「投入産出分析における逆行列係数について」、また後者 の代表として「保険業の産業連関分析」を挙げたいと思う(22) 。 さきにも述べたように、本稿および本節の研究テーマである"将来 経済の産業連関分析"は、現在.過去のそれと投入基礎データ-だけ を異にし、その分析方法は全く同じである。他方、私はすでに産業連 関分析の一般的理論的研究および実証的研究を発表しているoしたが って、第2節および第3節で、それぞれ研究された予測方法によって 推計された逆行列係数〔βuO,および最終需要1-mt)Yld+E, 主を産業連関分析の公式に投入すれば、容易に"将来経済の産業連関 分析"をすることができることになる。以上のような事情および制限 紙数もすでに大幅に超過しているので、本節ではここで筆を止めたい と思う。 第5第 む す び 産業連関分析は、戦後、世界的に普及定着し、活学活用されてきた 経済分析手法であるo それはL.ワルラスの一般均衡理論を基本原理 とし、 "産業industry) "を分析単位とし、均衡産出量の決定理論 を主要研究テーマとするメゾ・マクロ経済学である。 (22)谷山新良「投入産出分析における逆行列係数について」大阪府立大 学経済学会『経済研究』第17巻第1 ・ 2号。 谷山新良「保険業の産業連関分析」生命保険文化研究所『所報J第 27号。 -149- 将来経済の産業連関分析 産業連関分析は、 (1)理論的には経済の構造分析、投入産出分析、産 出額変,動の要因分析、影響力係数・感応度係数をはじめとする諸係数 の算出、均衡価格の算定、均衡労働者数の算定、および将来経済の産 業連関分析的予測などに、そして(2)政策(実践)的には経済計画( economic planning、資本主義国)ないし計画経済(planned economy 社会主義国)の策定とシミューレイション(simulation 模擬実験) 、および特定施策-オリンピックや万国博覧会のような プロジェクト-のもたらす経済的帰結などに、かけ替えのない威力 を発揮する、そしてこれまで発揮してきた分析方法である。とくにそ れは計画経済を建て前とする社会主義国において優れて威力を発揮す るであろう。 さて、周知のように、産業連関分析においては、短期的-わが国 では普通5年間-には投入係数〔an〕一定不変(-生産技術一定不 痩)および価格体系〔Pi l一定不変を2大前提として投入産出分析や 経済予測をする場合が多いo ところが現実には生産技術は一定不変で はなく、たえず変化発展している。他方、価格体系もまた然りであるO ゆえに、経済が前述の2つの前提条件に親しまないほど大きく変動す れば、過去の産業連関表から導き出された逆行列係数〔βij)c を将来 経済に類推通用することはできなくなる。いわんや、省資源・省エネ ルギー・公害防止のため産業構造の質的転換が要請され、他方、物価 が狂乱している昨今の経済情勢にかんがみ、単純に過去の逆行列係数 〔βoOeを将来経済に強制通用する"素朴方式naive method≠ (単純 汰)は、理論値と実際値が大きく轟放し、意味をもたなくなるであろ う。こ,に、何等かの方法によって、できるだけ経済変動に照応した 投入係数〔au¥ (-逆行列係数〔β,・>]ォ)を推計し、適用する必要が 生ずるO その推計方法のうち最もポピュラーなもの、それが本稿で研 -150- 将来経済の産業連関分析 究したRAS方式に他ならない。 さて、本稿のタイトルは「将来経済の産業連関分析」である。そし て、産業連関分析一般の主要研究テーマは均衡産出量の決定理論であ るo均衡産出量1Ⅹ言 は逆行列係数〔β,,〕と加重貴終需要(1m) Y;d+Ej の2つの基礎数から算出公式(1) x,l - 〔βi]〕 i(1-mi)Yjd+E; によって決定する。 そこで、本稿では将米経済の(1)逆行列係数〔βlJ〕I算出の基礎数であ る投入係数〔au¥および輸入係数 mi の予測方法と、 (2)最終需要 〔Y,f)の予測方法についての研究を試みた寒第である。 2つの研究 テーマのうち前者が第1主題であり、後者が第2主題である。そして 第1主題の投入係数〔a./)i の予測方法として研究したのがRAS方 式である. 投入係数〔0,0の予測についても、また最終需要〔Ylf、 EJおよ び輸入tM言 の予測についても、内外の優ぐれた諸学者が推計方法 の開発に努め、かなりの成果をあげてきた。しかしながら、それらの 予測方法が十全であるとは必ずしも言えないであろう。今後の研究開 発に期待する次第である。 (1974.10.10) -151-