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ナノ強誘電体のサイズ効果とは何か?

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ナノ強誘電体のサイズ効果とは何か?
解説
ナノ強誘電体のサイズ効果とは何か?
一一極微小化から見る強誘電性基礎一一
九州大学
渡部行男
れはじめに
作測定法 1)の発明であるが,背景には,量子力学
無機固体の多くの物性は,ある大きさ以上の規
的第一原理計算のような原子レベルの個別的な物
則的な集合によって出現し,特に,強誘電性や磁
質理解の進展と,電子工業での微細化への要請が
性のような協同現象(構成粒子がお互いに協力し
ある.特に,半導体では,微細化が,高集積・高
あって起こる現象)では,微小限界のサイズに関
速・低コスト・高生産性につながり,近年の携帯
心が持たれてきた.誘電体は電界効果,電荷蓄
化の要請にも合う.このため,あらゆる電子機能
積,分子機械の要であり,原理的問題にも関係し
物質を薄膜化する試みが 30年以上前から進行して
うる高度な微細化が進んでいる.本稿は,現時点
し、る.今後は,実生活の電子材料にも,
ミクロン
の強誘電体の有限サイズ効果を概観し,関係する
以下の物質の方が,目で見える大きさの物質(バ
概念を整理し磁性-表面・半導体などの物理と
ルク)より一般的になり,その理解がさらに重要
関係付け,微小強誘電体やそのごく表面付近の新
になると思える.
固体物理で電子の閉じ込めや乱れの効果などは
しい研究方法として考察する.また,強誘電体の
微小極限を複合構造(内部構造を持つ物体)と見な
議論されてきたが ,N<∞への移行には原理的問
す必要性や,表面から数格子厚み程度の層の重要
題がある.すなわち,これまでのミクロンサイズ
性を論じる.
では,本質的な変更が不要な場合が多かったが,
~2
構造で欠陥や乱れが低減できるようになり,熱力
1辺1
0格子レベル以下)の人工
近年ナノスケール (
微小化の背景と意味
学を含むような原理的問題に発展する可能性がで
「物質や生命の最小単位は何か ?
J 現時点では
てきた.この一部の現象は,磁気秩序と次元性の
生物では素粒子や原子を最小単位として語るのは
問題(~ 1
0
)として古くから研究されている.また,
身近な物質や固体物性
困難に思える.同様に, I
半導体物理では,次元性または,初等量子力学の
の基本単位・最小構造(究極の物質)は何か ?
J
閉じ込め効果として研究され,半導体内でも超伝
も,必ずしも,原子や素粒子ではなく,少数原子
導のように電子波動関数の位相が揃うことさえ見
の集団であると思える.このようなナノスケール
られる 2) ここでは,半導体材料の違いよりも,
の領域は,分子を主体とする化学と,無限個 (
N
→
清浄さ,大きさなどの構造パラメターがより本質
∞)の原子-格子を基礎とした固体物理の境界領域
的に見える.実際,企業での素子や材料研究で
とみなせる.
は,パルグ材料聞の物性の差より,構造や微細加
従来からの有機分子合成に加えて,通常はマク
工性などの重要性が実感される.これらの現象は
N
→∞)として存在する物質
ロスケールの連続体 (
1
0nm-10μm程度(ナノメーター nm=10-9m)の
∞)の原子や格子からな
を用いて比較的少数 (N<
薄膜または表面で経験することであるが,今後進
a
r
t
i
f
i
c
i
a
latom)を高精度に形成し測定
る人工構造 (
展する 3次元的な微細化や極薄膜化では,サイズ
する技術が急速に進展している.その直接の原動
や構造が,絶縁体と金属,常誘電体と強誘電体な
力は,操作プロープ顕微鏡 (SPM)などの原子操
ど3)の物性の大枠より本質になる可能性がある.
Vol
.3
8 No.2 2
0
0
3
(9
5)
なお,強誘電体の微小化には,メモリーの小規模
種類の格子とその総合体の理解が必要となるため
実用化や大規模化の問題などが関係するが 4),こ
である.
れに限らず,極微小化は重要で不可避な方向と思
える.
上記の例も含めて,すべての電子素子には電子
の移動と静止の制御が必要である.極微小化に伴
し、微小構造内の電子の移動は容易になり,通常興
~3
ナノ強誘電体と電界効果
味が持たれる電子の非局在化の機構(伝導性)よ
り,静止(絶縁性)の機構が本質的と思える.特
強誘電体は外部電場無しでも分極(自発分極
ps
)が存在し,応力や電場により PSが制御でき,
に,高絶縁性と強誘電体パルク並みの高誘電率が
厚み 10nm以下の薄膜で実現できれば,革命的
多くの場合極めて高い誘電率を持つ.単純には,
な波及効果が予想される.この理由のひとつは,
自発分極は結晶構造と関係するので電場により伸
最近注目され始めた電界効果である.
縮する.強誘電体は温度を上げると常誘電体相に
t
a
r
k効
電界効果とは,広義には,電気伝導や S
相転移するが,等方的圧力印加によっても起こる
果など,電場があることによる効果すべてが含ま
ことが多く,一般に強誘電体相は常誘電体相より
れる.しかし以下では,電場によって電子やホー
結晶の対称性が低い.
ルが誘起されたり,再配分される効果に限定す
)既 存 の
強 誘 電 体 の 微 小 体 の 応 用 に は 5), 1
る.この典型的な応用例は,液晶ディスプレイに
DRAM構 造 で 自 発 分 極 を 利 用 す る 不 揮 発 メ モ
リー (DRAM:ダイナミックランダムアクセスメ
使われている TFT(薄膜トランジスター)および
DRAMや論理回路の大規模集積回路 (
L
S
I
)中の
モリーの略称で,一般的なコンビューターのメモ
FETであり,第 1図 (
c
)で F層を削除した構造を
リーが該当する), 2
)DRAMの誘電体を強誘電
a
)の金
持つ.この構造を模式化すると,第 1図 (
)電界効果型トランジス
体で置き換えるもの, 3
属 M 1/絶縁体 1
/半導体 S/金属 M2構造となり,
ター (FET)のゲートに強誘電体を組み込むもの,
M1-M2聞に電圧を加えると I
/
S界面に電荷層が
4
)変調可能なマイクロ波用フィルター, 5
)焦電
できる.この電荷層が適当な条件下では伝導層と
)圧電効果を利用した様々な
センサーアレイ, 6
)
d
(
(
a
)
)
LU
ナノアクチュエーター(分子機械,アレイ)などが
ある.また,他の重要な応用分野には, S
iの FET
M
M
(MOS)のゲート絶縁膜を Si02より誘電率の高い
誘電体 (Ta205'Zr02など)で代替しようとする試
みがある.なお,実用されている強誘電体は,
Pb(Zr,
T
i
)03,(Ba,S
r
)Ti03,B
i4Ti301
2などのベ
M
ロフスカイト構造と呼ばれる結晶構造を持つもの
(
e
)
で,酸化物高温超伝導体 (high-TJや大きな磁気
真空
(
f
)
抵抗を示す Mn酸化物6) と同様の結晶構造を持
つ.また,強誘電体では,原子運動や結晶格子の
理解と分域(自発分極の向きが揃った領域)の 2つ
のスケールの重要性が知られているが,微小化に
つれて,電子分布や電子格子結合,以下に論じる
ような nmの表面物性も総括的に考えねばならな
(
d
)(
c
)のモデ、ル化 (
M
/
F
/
1
/
S
).
い.このように,単純な物性と思われがちな強誘
電性の本来の複雑さが nmスケールで顕在化す
る.これは,簡略には,パルグ物質はー単位格子
の理解に還元できるが,ナノスケール物質は複数
2
第 1図
FET/電界効果の説明 (
a
)とナノ強誘電体の分類(
b
)
(
e
)
.
(
b
) キャパシター構造 (M/F/M).
(
a
)に F層を挿入した構造].
(
c
)MF1S型 FET[
(
e
)真空中の徴粉. ↓は電場(この場合は反電界 Ed)の
向き, ↑は自発分極 PS の向きを示す.
(
f
)(
e
)のモデル化 (
1
/
F/
1
).
この分類は主に静電境界条件による.これに応力によ
3図)を追加する.
る分類(第 1
(96)
固体物理
なる.すなわち電場により,半導体表面が絶縁体
(離散的なスベクトル),このために特異な電子伝
になったり,金属的になる.たとえば,電子誘起
導や光過程などが起こる.フォノンなどでも同様
をバンド図で説明すると,電圧ゼロでの半導体の
である.また,荷電子の総数が数十以下のクラス
伝導帯底のエネルギーを Ec とすると,電圧印加
O
x
)=Eco- eゆ(
x
)(
e:素電荷,
により ,Ec(
φ(x)
ターでは,原子数に依存した電子エネルギーの影
)の例は,イオン結晶の
響も報告されている. 2
:静電ポテンシャル)と変わる.表面で Ecがフェ
静電気のような長距離力による場合には単純に理
ルミ・レベルより小さくなれば,表面に金属的電
解できるよう,サイズを小さくすると結晶の凝縮
子層ができるような大きな変化が起こる.
エネルギーが減り,融点の減少が起こることなど
電界効果は,以下の特徴を持つ:(1)静電気の
である.半導体物理では,通常,サイズ効果とは
結合定数 e
eが極めて大きい.すなわち,距離 T離
1
)を指す. 2
),
3
)は広義の協同現象で,物質を微
れた 2つの素電荷の力 F=ee/〆(
c
.
g
.
s
.
)が,磁気力
小化するといずれも起こるが,人工構造を用いる
や重力の場合に比べて極めて大きいため,化学結
と2
)を抑制した状況でも 3
)が検討できる.ま
合程度のエネルギーが印加でき,物性を大きく変
た,強誘電体物理としては,欠陥など作製要因を
える, (
2
)光と異なり配線により複雑な部位のど
)に関心がある.
除いた極限での 3
後述のように,ナノ強誘電体では,自発分極す
んな場所にも印加可能, (
3
)単一原子などの極微
なわち表面電荷の遮蔽され方が重要である.この
小領域への印加が磁場/光などより遥かに容易,
(
4
)電界強度は印加領域のサイズに反比例するの
ため,ナノ強誘電体構造は,強誘電体,絶縁体,
で微小化するほど重要な効果となる.ただし利
半導体,金属を F,1
,S,M と略記して, M/F/M
点 (
1
)は,疲労や絶縁破壊などの欠点にもつなが
構造(第 1図 (b)),S/F/S構造, I/F/
1構造(第 1
る.誘電体は電界効果に不可欠であり,さらに,
図(
f
))に大別でき,この逆順に表面電荷の効果が
強誘電体では電界効果を保存し続けることができ
重大になる.なお,以下では,自発分極の終端面
る(携帯機器用のメモリーに利用可能).このた
に1
,S,M が接するとする.
め,酸化物超伝導の展開として,強誘電体による
1
,S,M ~こ応力や硬度を追加して定義すること
も重要である. M/F/Mの例は,コンデンサー
金属絶縁体転移も以前から研究されているの.
(
L
S
I中のキャパシターを含む)や大気中のナノ結
~4
様々なサイズ効果と
極微強誘電体構造
晶(表面吸着層のため),柔らかく応力を持たない
I層を持つ I
/
F
/
Iの例は,超真空中の理想的ナノ
結晶(通常の意味での微小極限)である.なお,
サイズ効果は 3つに大別できる:1
)電子(とフ
M/F/
1,M/I/F/I/Mなど F層に直接接する物質
ォノンなど)閉じ込めによる量子化. 2,1,0次元
が 2種の場合,絶縁層 Iや硬い物質が本質を決め
構造の量子効果(量子井戸,量子ドット,金属ク
る.たとえば, M/F/Iは I
/F/
1の半平面 (
F層の
ラスター):電子パンドの変化と電子の波動関数
厚みを倍にする)で近似できる.このように物質
のコヒーレンスなど, 2
)結晶のサイズ効果 (
f
i
n
i
t
e
の純粋な微小極限を考える際にも,広義のヘテロ
s
i
z
ee
f
f
e
c
t
) 協同現象としての融解現象,結晶構
構造を定義すべきと考える.
)協同現象による電気物性における
造の変化. 3
さて,強誘電性のサイズ効果は古くから研究さ
サイズ効果. 3
)は後に論じるので 1
),
2
)を簡単
れており,比較的最近まで, 0.1μm程度の微粉
に説明する. 1
)は,有効質量 m の電子が一辺 L
や薄膜では強誘電性が消失するといった報告が多
領域に閉じ込められると,その方向の運動エネル
く8,9),理論的にも支持されていた.第 2図 の 例
2nnn/L)2/2m(
n:整数)であ
ギーはがが /2m= (
では, 0.1μm以下の BaTi03微粉では室温で強誘
る. Lがマクロスケールの場合は,各バンド内で
電相が消失することを示す実験結果が理論で説明
は連続的なエネルギ一分布であるが ,Lがナノス
されている 9) また対照的に,ある大きさ以下の
ケールになるとエネルギーレベルの間隔が広がり
PbTi03微粉では単一分域が増えるとし、う電子顕
Vo
l
.38 No.2 2
0
0
3
(97)
3
1
.2
ロ
口
口
•
•
0
.
5
0
.
4
0
.
3
;
:
;
- 0
.
2
旦
(x t=500A
理論
j?t=~?!~
一
I0
L口
第 2図
t=100A
t=75入
0
.
2
0
.
3
-0.
4
(. (
c
!α一 1)4
1 (
c
!α-1)は
実験 J
2
3
4
0
c
.
.0
.
1
・
0
.
3
0
.
1
2
0
.
5
5
第 3図
L(
μm)
1
印加電圧 (V)
SrRu03/SrTi03上 の 膜 厚 1
2nmBaTi0
3エ ピ タ キ シ ャ
BaTi03徴 粉 の 自 発 分 極 PS の粒径依存性の計算値と c
軸長と α軸長の比から求めた PS実験値の比較.
[
S
h
i
he
ta
l
.
:P
h
y
s
.R
e
v
.B50,1
5
5
7
59),
c
o
p
y
r
i
g
h
t1
9
9
4by
APS]
ノレ膜の分極履歴曲線.
[
Y
a
n
a
s
ee
ta
l
.14),
c
o
p
y
r
i
g
h
t1
9
9
9byJSAP]
成立し(第 5図)山 7),誘電率の温度 (T)変化特性
には相転移を明示するような発散が存在しない
微鏡観察も報告されている川.
n
tはパルクの値,界面層の値を示
(添字 bulk,i
しかし試料作製の問題も大きい.たとえば,
す)(
第 6図)ゆ)これに関連する現象として,薄
強誘電体薄膜では,基板と薄膜の界面にナノスケ
膜化によりフォノンが高振動数ヘシフトする現象
ールの欠陥や乱れが検出された 1
1
) 類似の問題と
(硬化)が観測されている則.
して, high-Tc薄膜素子にも問題があったが,原
子層レベルのエピタキシャル界面制御で、多くが解
~5
サイズ効果の理論の現状
決できた(エピタキシャル:薄膜の格子が基板の
格子に原子レベルで、揃って形成されること ).こ
サイズ効果として有限化 (
N
<
.
.∞),表皮効果
の技術で従来のサイズ効果は除去できると思え
(表面緩和),反電界を概説する.簡単のため
る12) 実際,この目論見はある程度成功しエピ
Landau自 由 エ ネ ル ギ -Fb
6
u
1
k=αPS2+βPS4+yP
s
タ キ シ ャ ル 薄 膜 で は , 初 期 に 膜 厚 200nmの
がナノ領域まで用いられるとする.
BaTi03で 強 誘 電 体 の 分 極 履 歴 曲 線 が 観 測 さ
3
),近年は,膜厚 5nmの Pb(Zr,
Ti)03で圧
れ1
(
1
) M/F/M構造(第 1図 (
b
)
)
電性,膜厚 12nmの BaTi03で単結晶と同等以上
まず無応力状態として議論する.最も本質的な
第
の自発分極を示す履歴曲線が得られている 14)(
サイズ効果とは,微小化により自発分極を生み出
3図).さらに,初期の実験で示唆された 1
3
)ェピ
す相互作用の変化,上式では係数 αβyが微小化
タキシャル膜のキュリー温度 (T
c)上昇が明瞭に
により変わることであり,協同現象であれば必ず
確認されている 14) また, 3次元的微小化 (
0次元
存在する(厳密には,微小化による αβyの変化
化)も進展し,三辺が 100nm程 度 の 強 誘 電 体
は ,N<"∞の協同現象の効果と,微小化による電
で,圧電履歴曲線と分極履歴曲線が得られている
子状態 (~4 の 1) など)や強誘電性に関係なく格子
5
).また, 2格子の P(VDF-TrFE)有機
(
第 4図)1
定数が変わる (~4 の 2) など)結果,原子レベルの
薄膜で強誘電性ヒステリシスが観測されてい
相互作用が変わるために起こるものに分類でき
る16) これらの結果は,従来のサイズ効果の報告
る).半現象論的な計算は, 1辺 5nm以上の微粉
の多くが試料や測定上の問題であることを示す.
ではこの効果が無視できることを示した 20)
しかし誘電率などの感受率がサイズ(膜厚な
表面では,半平面で相互作用がないため,相互
ど)の減少と共に低下する問題は,解決できてい
作用が変わる.したがって,表面では係数 αβy
ない.すなわち,誘電率 εと膜厚 tの聞には普遍
が変わるため平衡状態の Psが場所ごとに変わり
(VP
),非一様な自由エネルギーを考えるこ
s学 0
的に 1/ε=1
/
ε
b
u
l
k+(
1
/
ε
i
n
t
-1/
ε
b
u
l
k
)t
t(
t~ t
i
n
t/
i
n
t)が
4
(98)
国体物理
0
.
1x0.
1μm2
第 4図
3方 が 約 100nmの PbTi0
3系 エ ピ タ キ シ ャ
a
)と圧電特性 (
b
)
ル膜の電子顕徴鏡像 (
5)
CGanpulee
ta
l
.
:App
l
.P
h
y
s
.L
e
t
t
.75,38741
,
c
o
p
y
r
i
g
h
t1999byAIPJ
(
d
)
0
.
0
2
A
A
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
・
・
ー
A
ト
係
t
1
1
憶
起 0
.
0
1
第 7図
2
3
自発分極 PS の表面緩和(表皮効果).
(
a
)膜 厚 方 向 で の 典 型 的 な ps(
実線)と PSに よ る 電 荷
点線)• ↑は表面の位置を示す.
密 度 p=dPs/dx(
(
b
)表皮効果による強誘電性の消失の説明.
(
c
)(
a
)の単純なモデ、ノレ化 39)
4
1
/
(膜厚他人))
(
d
)(
a
)で、平均的にれが下がることを含めた単純なモデ
ノレ化.
第 5図
SrTi03
:Nb上の BaTi03エピタキシャル膜の誘電率の
逆数の膜厚の逆数への依存性川.誘電率が膜厚低下と
共に低下し,臨界厚み t
j刷以下では一定値5
0-60前後
になる.下部電極を (La,Sr)2Cu04にしても同様.
とになる (F'=Fbulk+XVPS2(X:係数)).応力が無
a
)に示さ
視できる場合は,典型的には,第 7図 (
1
0
0
0
0
0
れる分布が考えられ,表皮効果と呼ばれる.この
B
a
o
.
7
S
r
O
.
3Ti03
理論は,まず超伝導常接合の近接効果 2
1
)と磁性体
表面へ適用され, Kretchmerと Binderが強誘電
1
0
0
0
0
2
), 定 式 化 な ど の 改 良 が 続 い て い
体 に 導 入 し2
時制幣﹄叫
る2
3
) 強誘電性に基づく(すなわち本質的)表皮効
果が生じる機構は,強誘電性相関領域に平均場近
4
)を 用 い た 誘 電 率 低 下 の 説 明 2
5
)
似 (Thomas法)2
1
0
0
0
や,磁性体の基本モデルで、ある Isingモデルによ
薄膜
,..:回,.,-ー岬昏4 諸島咽""""00.'司咽抽有岡"",00
t=100nm
る安定極限の計算があるお)
マ 可 句 同 弘 、ι
守司喝町埼""'"色合
1
0
0
0
さて,静電相互作用による強誘電体性の理解
1
0
0 2
0
0 3
0
0 4
0
0 5
0
0 6
0
0 7
0
0
温 度 (K)
(
S
l
a
t
e
rモデル)2
7
),すなわち,各原子を点電荷と
第 6図
(Ba,S
r
)Ti03の 誘 電 率 温 度 依 存 性 の セ ラ ミ ッ ク と 薄
8)
l
.P
h
y
s
.L
e
t
t
.75,21291
,
膜での比較 • CShawetal.:App
c
o
p
y
r
i
g
h
t1999byAIPJ
Vo
l
.38 No.2 2003
してそのクーロン力を足し合わせる方式では ,Ps
と安定性が結晶配列秩序 η と関係付けられ,強
η は,簡単には,
い表皮効果が予想される (
(99 )
5
BaTi03の Ti位置の単位格子の中心からのずれ
この電場は, Psが下向きに変われば上向きで,
ベクトルをマクロ領域で平均したもの).しか
Psの向きによらずに常に Psの反対方向になるた
し,上記の Landau自由エネルギーは, Psを η
に変えれば結晶相のエネルギーを表わしその表
め,反電界と呼ばれる 5)
皮効果が同様に導かれる.すなわち,表皮効果自
e
)の例
により全エネルギーが高くなる.第 1図 (
このような電場が存在すると静電界エネルギー
体は,すべての固体表面で起こることであり,そ
では,上下上下・・…・と交互に並んだ領域(分域)が
れに付随して Psの表皮効果が起こり得るので,
形成されると,静電エネルギ - EESが 減 少 し 分
Psの表皮効果は,強誘電性固有の相互作用によ
域の幅 W がゼロの極限では ,EESは最小値ゼロ
るとは限らない.エネルギースケールを考える
になる.しかし W に反比例して分域を仕切る
と,強誘電体でも一般の固体表面と同様の機構で
領域(分域壁)の密度が増え,分域壁形成エネル
の表面原子緩和が本質で,強誘電性相互作用によ
ギ -Ewが増える.この考えは,磁性体の分域(磁
る表皮効果は補足的である可能性が高い.
K
i
t
t
e
lモデル 29))であり,分域幅 W
区)の古典論 (
は EES+Ewを 最 小 に す る よ う に 決 ま る と 考 え
次に,原因はともかく,表皮効果ありきとして
強誘電性がどう変わるかを M/F/M構造で考え
る.ここで,強誘電体平板の厚みを tとすると,
b
)に示されるよう自発分極方向の厚
る.第 7図 (
EESOC W/t,Ewoc/Wの関係があるため , W は
みが表皮効果 VP
Sの典型長さ λの 2倍より薄く
に比例して tと共に減少する.なお, (
1
)の M/F
なると,結晶構造がパルクからずれることが理解
/Mで VP
/I/F/I/Mと見なせ ,VP
Sがあると M
s
できる.自発分極の値は,自発分極により電極
の典型長 λが長い場合,本質は I
/
F/
1となる(ま
I
t
M 内に誘起される遮蔽電荷で測定される.この
たは M/S/F/S/M). た だ し 長 い λ(>1
0nm)を
,
遮蔽電荷 σは
支持する結果はない 30)
=
t
σ
川
もし,分域構造が単分域に制限されたり,多分
域化によるエネルギー低下で、は補えないほどに厚
f
であり 22),一様な場合は σ=-Psが得られる.
みが薄くなった場合は何が起こるか? B
a
t
r
aと
c
)のように簡単化して
表面緩和の効果を第 7図 (
Wurfelは,このような場合には,ある膜厚以下
考えると σ=-(
1-2
)
./l
f
)PS となり,表面緩和に
で強誘電相が不安定になるとし、う理論を提案し
より測定上の自発分極が減少し最終的には消失す
た31) これは強誘電体に特有なサイズ効果でく反
る.この結果は,薄膜を薄くしていくと分極履歴
電界不安定性〉と呼ばれ,かつて FET型強誘電
曲線から求めた自発分極が減少しついに消失する
体メモリーの不安定の説明として受け入れられ
実験結果を説明していると思われていた.なお,
た.近年の FET型強誘電体メモリーは,第 1図
ほとんどの理論で λは任意パラメターであるお)
(
c
)のような M/F/I/S構造が主流であるが,絶縁
が,実際は,この値が最も重要で,たとえば λが
体層 Iを十分薄くすれば,原理的問題はないと考
0
.
5nmでは実質的にサイズ効果が無いに等し¥,、.
えられている.第 8図は, Batraらの考えを M/
F
/
I
/
Sに拡張して得た結果で,常識的には無視で
(
2
)I
/
F/
1構造(第 1図 (
f
))
きる程薄い絶縁体厚み (
3nm)でも,強誘電性が
高精度に制御されたナノ強誘電体結晶(第 1図
消失するとし、う結果になる 32) このように,強誘
(
e
))は,通常の意味の微小極限の強誘電体である.
電体厚み方向では 1nmスケールの電荷分布が重
ここで,超高真空は無応力の絶縁体とみなせ,静
要になる.重要な点は,この理論は単純な静電気
電気的な問題を明示するために I/F/
1と表記す
学そのものなので,実験と違う場合には本質的な
る.第 1図 (
e
)では, PSの結果である表面電荷 σ
見直しが必要であることである.
を遮蔽するものが近くにないので ,PS と反対方
向,すなわち ,Psを弱める方向に電場 Edが生じ
(
3
) S/F/
S構造
る(電束密度 D=Oより Ed+4πPs=O(
c
.
g
.
s
.
)
)
.
6
S/F/S構造は, I
/
F/
1と M/F/Mの中間である
(100)
固体物理
8
0
ん=Onm
E
υ
と
つ
0
-4
k
.
欠陥,乱れ
結晶学的表面緩和
i
PbTi03S
ハ
り
表面再構成
A
H
υ
m
)
噌Zよ
AU
f
'
'
'
b
n
(
唱﹃ム
nり
可}ム
表面準位
1
0
0
0
接触電圧
第 8図
金属 /PbTi03/Si02/
S
i構造内の強誘電相の安定化
エネルギーの膜厚んと厚み依存性 l
d(
0以下では
不安定).無応力として静電気学などよく認めら
れている仮定のみを使って計算 32)
第 9図 強誘電体の広義のサイズ効果の諸要因と
その相関関係.
1
2
0
0
が,強誘電体の安定性やサイズ効果からみる
S
斜 1
0
0
0
とM/F/Mに近い.なお, S/F界面では自発
ぴ
H
〕
分極により半導体内にキャリヤが誘起される
(電界効果)ことを利用した FET強誘電体メ
8
0
0
権
時
醤 6
0
0
4
0
0
モリーの応用があるが,自発分極を定量的に
t
同
J
直接測定する新しい実験手法ともみなせる.
2
0
0
。
第 9図に以上の結果をまとめた.
1
6
0
9
6
ナノ強誘電体実験の課題
ナノ強誘電体は,最表面に敏感である.半導体
ると考え成功してきた.この例には,分子線エピ
タキシー (MBE)や超洗浄法に代表される 1原子
2
4
0
2
8
0
3
2
0
温 度 (K)
第1
0図
工学では,ほとんどの問題は作製技術で解決でき
2
0
0
W(110)の Gd(0001)エピタキシャル膜の帯磁率 χの
膜厚依存性 (ML=単原子層).膜厚減少と共に Tcは
下がるが , はほぼ不変で,結果として室温の χが上
x
のピーク幅膜厚依存性も小
昇する膜厚範囲がある .x
さ
し
C
M
.Farle e
ta
l
.・ P
h
y
s
. Rev. B 47,1157t
33),
c
o
p
y
r
i
g
h
t1993byAPSJ
層レベルの制御技術がある.磁性金属では,これ
に次ぐ制御が為されている.しかし強誘電体な
子レベルのため,最表面 1格子の乱れでも素子特
ど多くの協同現象を示す物質は,工業的微小化研
性に影響するが,作製法の改良によりかなり解決
究が遅れたため,機械研磨した表面や粉砕による
できている.金属磁性膜のサイズ効果では,成長
微粉作製など,ナノには不適切な手法が用いられ
モードまで含めた 1原子層レベルの制御がなさ
ることが多い.
れ,たとえば, W(110)上の Gd薄膜では厚み 15
また,半導体や磁性体の表面と微小化で最も困
難なのは,最表面までの組成と結晶性の制御であ
単原子層まで,キュリ一点の変化が少なし、(帯磁
第1
0図)•
率の極大値は増加)33)(
り,この検出のため様々な表面分析解析法が開発
このように,半導体や金属磁性では,最表面ま
された.そして,最高品質のエピタキシャル薄膜
で、制御された十分な結晶性を確認しその上に立
であっても,酸化物では 1原子層レベルで、は界面
って,電子物性が議論される.一方,誘電体で
などに不完全さがあることが知られている.この
は,ノミルク強誘電相とその結晶構造が 1対 1に対
問題は,通常,技術的問題と考えられる.たとえ
応するため,強誘電体の表面や微粉で結晶性が低
ば
, high-T
ooper対 21)の相関長が 1格
c酸化物は C
下するのは,強誘電性サイズ効果の現れであり必
Vol
.38 No.2 2003
(101)
7
1
0
。
。
(
E
ロ
)
然的であるとし、う見方もある.この立場を取る
と,最表面まで結晶性を制御した試料では,人為
的に本質を消す可能性が懸念される.過去の微粉
を用いた実験でも,著しい乱れや欠陥を含んだ表
6
面層を本質として解析する立場(表皮効果の層)34)
と作製上の問題 (deadlayer)お)と見る立場があ
4
る.前者の立場では,強誘電体のサイズ効果の実
験的検出が極めて困難になる.
この判別には微粉最表面の化学分析が重要であ
るが,従来は困難であった.山本らは, BaTi03
微粉の表面が立方晶(常誘電相)になっており,そ
の原因は表面の Ba欠損であることを示した 36)
また,還元した BaTi03単結晶でも乱れはない
1図)37).これらの結果は,強誘電体でも最表
(
第1
面まで原子配列の乱れを極限まで抑制した試料が
第1
1図
走 査 ト ン ネ ル 顕 徴 鏡 (STM)に よ る 還 元 処 理 し た
BaTi03(
1
1
1
)面の最表面原子配列と表面再構成.最表
1x1
)超構造に
面まで乱れなく原子が配列し,菱形が (
対応する.このフーリエ変換では弱し、(J3xJ3)
R30 超構造が見られる • C
Hagendorfe
ta
l
.
:S
u
r
f
.S
c
i
2
137), c
o
p
y
r
i
g
h
t1
9
9
9byE
l
s
e
v
i
e
r
J
436, 1
0
本来の自然に対応し,固有な特性の解明には,最
表面まで 1原子層レベルで制御する必要性を示唆
する.
実験をそのまま見ると,高結晶性のエピタキシ
ャル膜で、は Tcが上昇しているが,これは,通常
代表的なサイズ効果の理解
p
sが面に垂直)では面内歪み Sが
の c軸配向膜 (
上述の理論と考察を基に代表的構造の理解を試
1
1(s)九九五 (s) (
J
l
' J
ら:任意関数)の形でランダ
ウ・エネルギーに入るため, PSで整理すると αが
みる.
減る,すなわち Tcが増えることで説明できる 20,39)
(
1
) M/F/M薄膜構造:キャパシター型の巨大応
Pertsevらは基板からの歪応力を広範囲に考察
し,薄膜では応力により幾つかの結晶相が生じる
力と凍結相
H のように M/F/Mでは,作製技術により 2
ことを示した 40)(
第1
2図).この考えを強誘電体の
格子や 12nmまで明瞭な強誘電性が発現する.
これから,原理的な限界,反電界不安定性,表皮
2
0
0
強誘電相
効果(表面緩和)による制限は小さいと思える.一
方で,線形感受率には顕著な膜厚依存性がある.
1
0
0
。。)制胡
c
)より少しよい近似
ここで,表皮効果を第 7図 (
d
)
)で考えると,キュリ一点の低下のた
(
第 7図 (
め室温の誘電率は上昇するはずであり,実際,磁
性膜では薄くなるにつれ室温の磁化率が増大して
めて強誘電体の実験はこの反対である.このた
-200
め,現在までの実験,では,明らかに強誘電性が起
α
c相
3 -2 -1
0
1
2
3
応力歪み(バルクの格子定数で規格化) (
x
1
0
-3)
源である表皮効果は見えていないと思える.さら
に
, PbTi03 の M/F/M構造は,応力無しで厚さ
2格子まで、強誘電性を保つという第一原理計算結
果もある 38)
8
。
-100
いる膜厚範囲がある(第 10図). し か し 微 粉 を 含
ω相
c相
第1
2図
基板からの一様な応力を受けた BaTi03エ ピ タ キ シ ャ
ノレ膜の相図の Landau理論による計算結果.
C
N
. A. P
e
r
t
s
e
ve
ta
l
.
:P
h
y
s
.R
e
v
.L
e
t
t
.,80,1
9
8
840),
c
o
p
y
r
i
g
h
t1
9
9
8byAPSJ
(102)
固体物理
孤立した応力
のない徴薄片
エピタキシャ/レ膜
バルクの Tc
基板による凍結相
理想的な
x1
0
4
1
4
Ti
3図 基板の応力効果の分類玖 41) 応力が高い場合は,凍
第1
結相となり,分域構造などの相自体の持つ性質(自
発分極値,相転移)以外の特性の議論のみ意味があ
る.なお,応力緩和による非一様性も重要である.
ワ
ム
で決定
qtu
NEυ) (縦揺E
Ll-山エトト)
f
ミは基板の応力
九は強誘電体の自由エネルギーで決定
SrTi03(Nb)
一一本論文 (
G
e
r
v
a
i
sら)の結果
.
3
2X 1
0 cm-i
・5
1
.2X 1
0 cm- トBauerleら
20
20
5
i
)
ハHV
AU
X1
0
-3
0
1
0
]
σ1(010),Eグ l
U
川…│川0
川
0
σ1(
臼
1
1
0
ω)
,Eグ
[
l
1o
J
Eグ 1
1
1
0I
(
a
) SrTi03
4.2K
∞
第1
5図
5
0
0
3
3
.uOUCllC
J
1
0
0
0
温度 (K)
“
ム
つ
υ
)時督維¥同
qJ
(由切
SrTi03のソフトモードフォノンの Nb添加による硬
化(高周波数シフト). C
F
.Gervaisetal.: Phys.Rev.B
47,818746),c
o
p
y
r
i
g
h
t1
9
9
3byAPSJ
電気特性から見直すと,巨大応力 (GPa)による凍
結相 (frozenphase)(
第1
3図)41)として,自発分極
γ
c
は存在するが線形感受率の T での変化がボケる
ことが説明できる.膜厚低下によるサイズ効果と
7
8 9X 1
0
9
解釈されがちなフォノン硬化 18)も過去の圧力効果
の実験(第 1
4図)42)で説明できそうである.また,
誘電率の絶対値の問題は,微妙な問題で解決して
ぷ
s
S
T!
"V⑧ Y
いないが,基板の極く近傍数格子厚みの凍結相的
応力歪み
A2U
な層でも説明できる.
可:axR
しかし同一物質上の基板上に形成したエピタ
キシャル薄膜の誘電率もパルク値よりかなり低
ι。2
NlEυ)d3
く,薄膜の初期核形成などの)の効果や結晶性の不
完全さの影響が考えられる.これを支持する実験
に,薄膜形成時の基板温度 1000'Cを以上にした場
IF
合の著しい誘電率改善がある 44) また,欠陥によ
叩
る応力効果も理論的に予測されの),ソフトモード
と呼ばれる誘電率と相転移に関係するフォノンの
ハ
り
のU
1
2
3
2)
σ(dyn/cm
(
'
f
Cl
4x109
第1
4図
SrTi03の一軸性圧力 σによる強誘電性誘起.誘電率
(
a
)とソフトモードを含むフォノン周波数 ω(b)のい
ずれでも,強誘電性誘起が示される .A
l
'B2gなどは
ラマン散乱での対称性の記号.
h
y
s
. Rev. B 13, 2
o
p
y
r
i
g
h
t
CUweandSakudo: P
7
1位), c
1
9
7
6byAPSJ
Vo
l
.38 No.2 2
003
硬化が観測され(第 1
5図)46),誘電率低下の原因に
なる可能性を示唆している.このように,誘電率
の低下には様々な歪み応力が寄与し現在,強誘
電性に本質的なサイズ効果を明示する実験はない
と思える.応力問題の解決後には,より本質的問
題として, M 層からの波動関数しみだし効果47)
がある.また,多くの実験が強誘電体また誘電体
(103)
9
の界面近くに実効的な電界が存在することを示唆
しているが 13,
1
4,
4
4
)が,現状の薄膜では,二義的な
場合にも準安定な単一分域に近い分極状態が観測
効果と思える.
る.また,反電界 Edは遮蔽されなければ,磁性
このような薄膜での応力の重要性は,それが化
されることは,単純な理論計算(第 8図)と矛盾す
4
πPS0
0M V/
:
:
:
_1
と異なり,巨大なエネルギー (
学結合と同程度のエネルギーに達し,静電エネル
cm)であり,容易に強誘電性を壊したり化学結合
ギーや強誘電性相互作用のエネルギーより遥かに
に影響する大きさになる.また,前述のように,
大きいためである.また,緩慢な相転移を示し長
1構造の強誘電体では,反電界が分域
微小な I/F/
距離秩序がないといわれるリラクサー型強誘電
形成で回避されると考えられるが,分域幅の変化
体制では,薄膜での誘電率低下が少ないのでは?
によりエネルギーが大きく変わることになり,そ
と期待されるが,実験では他の誘電体と同様に極
の最小値で、の分域構造に固定化してしまうことに
薄膜化で誘電率が低下する叫.しかしこれを応
なる.こうなると,ナノ強誘電体では,絶縁破壊
力効果とすると理解できる.また,この効果から
しない程度の電界で分極反転しかっ反転した分域
リラクサーの機構も別の考えが可能かもしれな
が安定に存在することが極めて困難になり,応用
い.さらに,強誘電性を格子と電荷の結合系と見
が著しく制限される.
なせば,巨大な応力効果はもっともであり,同様
この問題を, M/F/I/S構造で F/I/Sに注目
に,格子/軌道とスピンが結合した M n系ベロフ
し,半導体 Sが限りなく金属に近いとして考え
スカイトでは,薄膜化で磁気抵抗特性が著しく変
てみる.これは, F/I/Mとなるが,ベロフスカ
化し 50),応力効果と考えられる.
イト型強誘電体のバンドギャップは 3-4eVであ
り第 1図 (
a
)のような S/I/M構造となる.これは
MOS電界効果素子刊の構造そのもので, MOS
(
2
)I
/
F/
1構造:M/F/I/S電界効果素子の謎およ
で S層にキャリヤが生じるように,反電界によ
び超格子の解釈
大気中の微粉は,表面に吸着層があるので M/
F/Mと見なせるが,実験では比較的大きな微粉
る電界効果で S'=F層にキャリヤが生成しうる.
このキャリヤにより,欠陥がなくても,巨大な反
でも Tc低下が見られる.これは,前述のように
電界が遮蔽されうる.この仮説を支持するのは,
微粉の最表面の化学量論比と結晶性制御の問題の
Pb(
T
i,Z
r
)03の自発分極による電界効果によ
可能性が高い.薄膜では同じ問題が様々な測定に
り,同じベロフスカイトで、パンドギャップが約 2
より明示されて解決が進んでいるが,微粉では困
eVの La2Cu04内に長期的にキャリヤが誘起され
難であったためと思える.また,応力査みの寄与
たことである 7)
も考えられ,今後,微粉の新しい作製法が重要と
この仮説を基にしたランダウ理論5,
3
9
)は実験の
思える.なお,強誘電体/常誘電体超格子を用い
多くを説明するが,同時に,強誘電体と絶縁体
1のサイズ効果を論じることがある 51)
て ,I/F/
(または強誘電体)の界面や真空中の強誘電体の清
が,むしろ,人工制御をした合金と見なすべきで
浄自由表面に,自発的に極く薄い (nm程度)高密
ある.また,誘電体超格子の誘電特性は I/F界面
度の電子層が存在することを予測する (~9). 簡単
の欠陥の効果を十分考慮する必要がある 52)
化したモデルで,第一原理計算を行うとこの予測
真空中の理想的微粉 I/F/
1の本質は,電子応用
と一致する 55)が,モデ、ルを精微にすると結論が出
ず 56),未解決の問題である.
上重要な M/F/I/S構造(自発分極は膜厚方向と
する)同で解明できる(第 1図 (
d
),(f)).この場
合,強誘電体が遮蔽電荷から明瞭に隔離されるた
S
8 強誘電体の極く表面付近と
その特異性
め反電界がありかつ漏出し電束を半導体層で検出
できるため,従来にない実験ができる.この強誘
電相の安定性には,応力歪みの寄与が大きいと考
自発分極の有無に係らず,固体表面は,化学結
えられる.しかし,応力効果が弱し、と推定される
合状態が表面で変わるため再構成される 57) 誘電
4EA
ハり
(104)
固体物理
体ではこのような研究が少なく,ほぼ SrTi03と
p型と
BaTi03に限られ,終端原子ブロッグ種(最表面
て,強誘電体表面に電荷層ができる可能性が議論
の原子 ),表面超構造,表面緩和町 8),とこれら
された 61,
6
2
)
に伴う表面電子状態などが報告されている.ま
定式化やエネルギー的安定性の考察の欠如,一部
た
, SrTi03最表面の原子配列は強誘電体的と報
の誤った結果などのために認、知されなかった.ま
n型 の 強 誘 電 体 の 接 合 を 理 論 的 に 考 察 し
しかし半導体物理として不十分な
が,電気特性は未確認で分極反転
た現在から見ると大きな長さのスケールを基礎と
できないと考えられるため,通常の強誘電性とは
していたため,見落とした点があると思える.こ
告されている
ω)
対応し難い.今後 ,SPMによるナノスケールの
1
/
S素子の問題を考えて,問
れと独立に, M/F/
強誘電体物性の測定法と組み合わせることで,こ
題設定上, nmスケールの重要性を意識した定式
しかしこの電子層を理解する
れらの表面物理の結果が重要になり,表面原子の
化が行われた 39)
再構成などを考慮した強誘電体サイズ効果の考察
には,表面緩和を含めて nmスケールの電子分布
が必要と思える.
を知る必要がある.この状況は,
エピタキシャルな積層膜で、は,強誘電体の表面
S
i/Si02
(MOS)反転層の電子分布の理63,
6
4
)を利用して定
を同一結晶構造の他物質で覆えるので,表面原子
の再構成を抑制して強誘電体の表面第一層まで内
ーーーー一一一一一一一
部とほぼ同じ配列のナノ強誘電体を作製できる可
一
z
.
一
一
,Mが SrRu03のように,強誘電体 F
板が SrTi03
層と M 層,基板の面内の格子定数をほとんど同
2
0
九の表面緩和の典型長を
2nmと仮定
.
.
_
_
_
j
-10~
じにする.この際, 1格子レベルの初期核形成の
E
立
制御が必須である.また,サイズ効果の研究にこ
1
/
F/
1で同様の考え
を使えば,結晶学的な効果を抑制して,反電界の
pkd
き,自発分極の表皮効果から純結晶学的な要因を
x=O:自由表面
ハ
り
に,結晶配列秩序 η の表皮効果 (~5) を抑制で
k
。。
の構造を用いることは,表面の結晶構造への強誘
電性の寄与は少ないと仮定することになる.さら
除ける可能性がある.また,
E
υ
t
噌 A
TEYNCH×
能性がある.たとえば M/F/M構造では, Fと基
x(nm)
第1
6図
表面緩和と電子の閉じ込め効果などの n mの特異性を
考慮して計算した BaTi03表面の電子密度と自発分極
分布刷 • x=Oが強誘電体としての最表面(強誘電性が
消失する表面)•
効果を取り出せる.
序とその相互作用のサイズ効果のみ考えることに
なり,結晶構造とその相転移を中心課題とする多
と400
のJU
くの強誘電体研究からは逸脱している.しかし
3
0
ハ
り
1
h
(︿︻同)叫官一個
これらは,結晶構造を人為的に規定して電気秩
.
.
.
吋
ヘテロ構造すなわち境界条件を原子 1層のレベル
で規定して,それぞれの拘束条件下でのサイズ効
果を定義することで各効果の分離ができる.
1200
i委
側
0
~9
2
0
0
強誘電体表面の電子系
強誘電体自由表面の反電界が極めて大きいこと
を考えると,何らかの異常の存在が推測され,
1955年に指摘されている 60)
また, ロシアでは,
70
年代頃,強誘電体表面から電極を離した場合や
Vo
l
.3
8 N
o
.2 2
0
0
3
-100
T(
oc)
。
第1
7図
超高真空中で分極制御した BaTi03表面の電気伝導の
温度依存性的 )小枠は低温部の拡大.スパイクは,雑
音ではなく BaTi03からの電流で,自発分極の温度変
化で,自発分極に引き寄せられた電子が放出されてい
ると考えられ,大きなスパイクは相転移点で起こって
いる
(105)
1
1
3
6
2次 元 I
s
i
n
gモデル
(
a
)
・
2
.
5ト
t
l
5
u1
.
2次元 I
s
i
n
gモデル
L J f F O : σ = 2
u
《
1H'2Fg。
O
?~・
a
ju3
l
X
・
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5
第1
8図 長距離力を持った 2次元 I
s
i
n
gモデルによる比熱のサイズ依存の計算結果.
H=-"
Lんσi(Jj (
1壬i
,
J~壬 L)jij ニ 1/li-jI2+u
LXLが系のサイズで ,L=8(O),10(企
)
, 12(
ム
)
, 20(
・
)
, 30(x,
) 36(
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>)
.
短距離力 (
b
)ではサイズ依存がほとんどないが,長距離力 (
a
)では顕著.図
k
j
)
.
の Tは,最近接相互作用のエネルギ -Jで規格化した温度 (
BT/
CBayo時 andD
i
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.B59,11919川, c
o
p
y
r
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g
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t1999byAPSJ
式化でき, nm厚みの電子層が強誘電性を示す最
~10
表面から数格層下に存在すると予測される.この
ナノ強誘電体と低次元磁性から
見る強誘電性基礎
ために最表面での電子捕獲が抑制され,表面電気
伝導が起こりえる(第 1
6図)民 66) この原理実験と
強誘電体サイズ効果の理論の一部は,協同現象
して,原子ステップが確認できる高い表面結晶性
の次元性の一般論 72,
7
3
)か ら も 導 け る . た だ し 強
を持った BaTi03単結晶の自由表面の電気伝導が
誘電体では,応力と最表面の静電特性の影響が顕
7図)刷.この伝導
超高真空中で測定された(第 1
著なため,実験に直結させ難い場合もある.基板
は,分極特性・電圧特性・経時変化などから,自
や格子間の応力などにより分極方向が規定されて
発分極による表面電気伝導であると結論された.
いる薄膜は, 2次元の Isingモデ、ルが適用できる
これは理論予測を支持するが,実験の伝導電子密
と思える.この場合, Onsagerの結果から,静電
度は理論より数桁以上小さく,分域構造を変える
気力のような長距離力が無くても相転移が起こ
には至らない.なお,表面電子系の存在を間接的
り
川
, ~7 の解釈を支持する.一方,分極方向に制
に示唆する電子放出 67)や発光 68)が知られており,
限がなければ,等方的な 1
,2次元 Heisenbergモ
特に,真空中で温度を変えるだけで電子が放出さ
テ、ルの場合,近接力のみでは相転移は起こらない
れる現象とその応用が発表され 69),何らかの電子
が74),この視点でナノ強誘電体の線形感受率の温
層の存在は確定しつつあり,応用につながる可能
度依存性を検討するには,試料の改善が必要であ
性もでてきた.
る.また,短距離力のみの 1次元 Ising-Heisenberg
この表面電子系の物性は,ナノ強誘電体の理解
モデルで、は,線形感受率の発散で定義される厳密
に本質的であるが,ごく基本的なことがわかった
な相転移 7川工起こらない 72)が,少数子のスピン系
のみで,今後,自発分極を結合した新しし、 2次元
でも磁気秩序に特有な相互作用 jが,帯磁率の緩
電子系,電子が共存する表面強誘電体相として研
やかなピークとして現れる 76) なお,層内に分極
究が期待される.後者の視点では,強誘電性の起
方 向 が あ る 層 状 強 誘 電 体 の 薄 膜 で は Kosterlitz-
源として共有結合川や従来言われている長距離静
Thouless転移川が関係するかもしれない.
これらを応用すると,サイズ依存から強誘電性
電相互作用への,自由電子の影響に興味が持たれ
る71)
1
2
相互作用を考察でき,長距離力が本質的であれば
(106)
固体物理
折
司
9
) W.Y.S
h
i
h,W.H.S
h
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hand.
1A.Aksay:Phys.Rev.B50
サイズ効果が大きく,非本質的であれば小さいと
(
1
9
9
4
) 15575
予想される.第 1
8図は比熱の計算結果で,この
叩n
,
C.J.L
,
肌
uJ
.S
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i
,
肌
民
u H.M.仙
Shen
1
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) S
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予想に合う η) なお,この結果からは強誘電体の
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.Rev.B54(
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)R14337
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gモデルの結果26)は当然である.さて,従来
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1
1
) たとえば, T.Hase,T. Sakuma,Y.Miyasaka,K H
目
andN.Hosokawa:J
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.32 (
1
9
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6
1
の実験では,強誘電体は他物質に比べて極端に大
A.Inum,
W.K.Chan,
B
.Wilkens,
K.Myers,
1
2
) R.Ramesh,
きなサイズでサイズ効果が見られ,長距離力を起
R Remsching,D. L
. Hart,andJ
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c
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e 252
源とする強誘電性と一致しているように思えた.
Y. Watanabe,
H. K
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i,K
(
1
9
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1
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4
4
; H. Terauchi,
目
Kamigaki,
Y.Yano,
T.TerashimaandY.Bando:J.P
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.Soc
最近は,強誘電体の限界サイズも,他物質のもの
J
p
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.61 (
1
9
9
2
)2
1
9
4
.
に漸近しており,近年の共有結合などの近距離力
Y.Matsumoto,
H.Kun山 mo,
M.Tanamura
1
3
) Y.Watanabe,
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.33 (
1
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)5
1
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.
andE
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:JpnJ.Appl
を中心とする視点と一致する.また,この考え
は,前節の自由電子と強誘電性の共存からも支持
1
4
) N.Yanase,K.Abe,N.FukushimaandT.Kawakubo:Jpn
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) 5305
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.Aggarwal,
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される.今後,さらに微細化が進み 0,1次元と
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R.Ramesh,
V.J
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見なせる構造ができると思えるが,たとえば,有
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4
.
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機磁性では,磁化曲線が履歴を持つこと河)や緩慢
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n,Stephen Duchar
町民 L
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1
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) A. V. Bune,V. M. F
な帯磁率ピークでも磁性と呼ぶ場合があるので,
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A.V. S
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.G.Yudin,
A. Z
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ナノ領域の強誘電性も準長距離秩序などで広く定
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1
9
9
8
)874
義してもよいのではないかと思える.
1
7
) C.S
.Hwang:J
.Appl
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; Y.Miyasaka
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. Matsubara: P
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. Symp. App
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) 3556
(IEEE,NewYork,1
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M. Huang,
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r and R. B
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) T. M. Shaw,
結語
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Y.Chen,
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D.Ding,
T.Yu,
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andN.Ming:P
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; A.A.S
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純粋な微小極限でなくヘテロ構造としての広義
C.Bernhard,
A.Golnik,
A.M.Clark,
J
.Hao,
W.S
i,
X.X.X
i
:
サイズ効果を,幾つかの極限構造(環境)に整理し
Nature404 (
2
0
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)3
7
3
て論じた.これには,量子力学観測の問題のよう
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) A.J
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3
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な測定対象の原理的敏感さが関係する.今後,電
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子産業が提供するナノ強誘電体には,従来フォノ
2
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) W.R.KretschmerandK.B
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.Rev.B 20(
1
9
7
9
)
ンと構造相転移の印象が強い強誘電体物理に,様
々な物性の合流点として多様な視点からの研究が
1
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.
2
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) D.R.T
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)
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.OsmanandD.R.T
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. Rev.B 63
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期待される.
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1
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0
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3章(丸善,
1
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9
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書
, 1
9
9
6
)
4
) たとえば,彦坂,恵下.応用物理 71(
2
0
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; B
.JiangandL
5
) 渡部:固体物理 33(
1
9
9
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)2
2
3
Rev.B 60(
1
9
9
9
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9
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) G.H.J
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a(Am耐 rdam)22(
2
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) たとえば,近角:強磁性体の物理(下),第 6章(裳華房,
JonkerandJ.H.vanS
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a(Amsterdam) 16(
1
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)
1
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) 230
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; 十倉:応用物理 65(
1
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) Y.Watanabe:P
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.Rev.B59(
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; 応用物理
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) Y.Watanabe:Appl
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) 274
V.A
. Bukreev,
V.M.Mukhortov,
Y.1
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) V.P
.Dudkevich,
Y.G.S
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V.M.Mukhortov,
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andD.Sawamura:Jpn.J
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1P.Batra,P.WurfelandB.D.Silverman:Phys.Rev.Lett.
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)463
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) 物 理 学 会 編 : “ 半 導 体 超 格 子 の 物 理 と 応 用 " (培風館,
2767
1
9
8
4
)
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) Y.Watanabe:P
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.Rev.B 57 (
1
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(108)
固体物理
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