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平成25年度 国際協力部 年報(PDF

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平成25年度 国際協力部 年報(PDF
(P.47)
(P.22)
WHO(
)
2015
Millennium Development Goals
NCD: Non Communicable Disease (
)
WHO
JICA
NCD
NCD
JICA
NCD
NPO
ISAPH(International Support and Partnership for Health)
B
1
NCD
1
1
1
2
2
3
5
1
11
2
12
2
1.
JICA
12
2.
13
3
14
4
15
5
NPO
ISAPH
16
6
17
7
18
3
19
19
JICA
A
(B)
21
JICA
22
22
23
25
C.H.A.K
C.M.C
26
36
37
40
NPO
ISAPH
42
44
44
45
47
ADRAJapan
47
48
49
1.
25
51
2.
52
3.
58
4.
60
5.
63
第1章
国際協力活動概要
1
1
1981
1982
2
1984
3
1988
1990
1995
2004
NPO
ISAPH
International Support and
Partnership for Health
1982
1990
1994
WHO
1981
113
42
1,370
551
1987
1
2014
2014
3
3
1994
2
1
1953
2
1,295
2014
3
31
ISAPH
4
2008
12
1
24
1
3
365
2
1953
79
1961
24
2014
3
24
31
365
1,295
1971
1986
1994
1995
2004
ISAPH NPO
2006
2008
2010
4
4
4
3
26
4
3
31
3
1982
WHO
NPO ISAPH
21
2005
2008
12
7
5
1
2
3
4
1
(1) JICA
JICA
JICA
(2) NPO
ISAPH
ISAPH
2005
ISAPH
NPO
2013
ISAPH
JICA
ISAPH
(3)
JICA
6
ISAPH
NPO
(4)
(5)
JICA
ISAPH
(6)
ISAPH
2
(1)
ISAPH
(2)
(3) JICA
JICA
7
JICA
JICA
(4)
17
(5) FTA
FTA
3
(1) JICA
(2)
(3)
(4)
(5)
8
4
(1)
operational research
(2)
(3)
9
第2章
業務報告
第2章
第1節
業務報告
専門家派遣
専門家派遣は、独立行政法人国際協力機構(JICA)による技術協力として重要な活動形態であ
るが、近年、件数は減少傾向にある。平成 25 年度の専門家派遣は、3 つのプロジェクトでおこ
なわれた。その内容は、非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト(ウズベキスタン)1 名 2 回、
医療機材保守運営管理プロジェクト(マラウイ)1 名 2 回、
「病院経営・財務管理」帰国後研修
員フォローアップ協力調査(ウガンダ)であった。派遣期間はウズベキスタンが 7 日間ずつ、
マラウイが 16 日間と 22 日間、ウガンダが 8 日間であった。
案
件
名
非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト
派 遣 国 /対 象 国
ウズベキスタン
実
施
主
体
独立行政法人国際協力機構
派
遣
者
名
浦
部
案
大
件
策
名
派
遣
期
間
2013.06.16~2013.06.22
2013.09.20~2013.09.26
マラウイ
実
施
主
体
独立行政法人国際協力機構
派
遣
者
名
伊
達
案
件
二
名
派
遣
期
間
2013.08.03~2013.08.18
2014.02.15~2014.03.08
分
野
NCD 予防対策
担
当
分
野
アドバイザー
「病院経営・財務管理」帰国後研修員フォローアップ協力調査
派 遣 国 /対 象 国
ウガンダ
実
施
主
体
独立行政法人国際協力機構
派
遣
者
名
杉
本
孝
当
医療機材保守運営管理プロジェクト
派 遣 国 /対 象 国
卓
担
生
派
遣
期
間
2013.07.27~2013.08.04
11
担
当
分
野
コースリーダー
第2節
研修員受け入れ
平成 25 年度の JICA 集団研修コースは、
「病院経営・財務管理(A)」および「病院経営・財務
管理(B)」が実施された。
「病院経営・財務管理(A)」は平成 25 年 6 月 24 日から 8 月 13 日まで、
「病院経営・財務管理(B)」は平成 25 年 9 月 24 日から 11 月 15 日まで行われた。個別研修は韓
国からの見学研修を含め 16 回に亘って実施された。研修員の総数は、集団研修が 22 名、個別
研修が 146 名の計 168 名であった。研修の概要は以下の表に示すとおりである。
1.JICA 集団研修
期間
13
6/24~
8/13
13
9/24~
11/15
研修コース名
受入機関
人員
研修員の国籍
病院経営・財務
国際協力
1
ラオス
管理(A)
機構
1
ウガンダ
1
ジンバブエ
1
アフガニスタン
1
カンボジア
1
タンザニア
1
コンゴ民主共和国
1
ミャンマー
1
スーダン
1
パキスタン
1
イラク
病院経営・財務
国際協力
1
フィリピン
管理(B)
機構
1
マケドニア
1
コソボ
1
ドミニカ共和国
1
エジプト
1
パラグアイ
1
モルドバ
1
バヌアツ
3
スリランカ
12
研修分野
受入先
病院経営・財務管理
国際事業部
病院経営・財務管理
国際事業部
2.個別研修
期間
13
研修
受入機関
人員
研修員の国籍
研修分野
受入先
5/21~5/31
個別研修
忠南大学校医科大学
1
韓国
新生児医療
新生児センター
6/4~6/14
個別研修
忠南大学校医科大学
1
韓国
新生児医療
新生児センター
6/26・27
個別研修
国際協力機構
8
モザンビーク
看護教育
聖マリア学院大学
国際看護交流協会
7/9~7/11
視察研修
看護部
10
釜山カトリック大学校
韓国
病院見学
聖マリア学院大学
看護部
国際事業部
8/6~8/16
個別研修
忠南大学校医科大学
1
韓国
新生児医療
新生児センター
8/22~9/4
個別研修
国際協力機構
8
ウズベキスタン
非伝染性疾患予防
国際事業部
対策
9/1~12/7
個別研修
2
釜山カトリック大学校
韓国
社会福祉
メゾン・マリア
ケアプランサービ
ス
聖母の家
連携推進部
国際事業部
9/3~9/13
個別研修
韓国カトリック医療協会
7
韓国
看護
看護部
9/24~11/15
個別研修
韓国カトリック医療協会
1
韓国
病院経営・財務管理
国際事業部
10/16~10/25
個別研修
国際協力機構
5
ベトナム
病院の質管理
国際事業部
11/18・19
個別研修
国際協力機構
15
カンボジア
母子保健実施管理
国際事業部
コミュニティコミュニケー
ションサポートセンター
14
12/5~12/17
個別研修
国際協力機構
20
アフガニスタン
母子保健実施管理
国際事業部
1/21~1/23
視察研修
韓国カトリック大学校
10
韓国
看護
聖マリア学院大学
看護部
国際事業部
1/27
視察研修
釜山カトリック大学校
41
韓国
病院見学
国際事業部
2/10~2/21
個別研修
国際協力機構
10
ベトナム
病院経営・財務管理
国際事業部
2/27~3/8
視察研修
韓国カトリック医療協会
1
韓国
画像
臨床放射線室
2
臨床検査技術
臨床検査室
2
栄養
栄養指導管理室
1
薬剤
薬剤科
13
第3節
緊急災害医療
近年、国内外で発生する地震やその他による大規模緊急災害に対して保健医療の立場からも支
援の必要性が高まっている。聖マリア病院では、これらの事態に対応するために JICA や ISAPH
などと協力し、次のような活動をおこなった。
1.JICA 国際緊急援助隊(JMTDR)
1) 緊急派遣
案
件
名
フィリピン台風被害緊急援助隊
派 遣 国 /対 象 国
フィリピン
実
施
主
体
独立行政法人国際協力機構
派
遣
者
名
梶
原
希
哉
派
遣
期
間
2013.11.29~2013.12.12
担
当
医療調整員
2)中級研修受講
(1)平成 25 年度第 1 回中級研修に 5 名参加(2013 年 7 月 21 日、大阪府)
(2)平成 25 年度第 2 回中級研修に 1 名参加(2013 年 11 月 4 日、東京都)
(3)平成 26 年度第 3 回中級研修に 6 名参加(2014 年 2 月 16 日、東京都)
3)JMTDR 院内登録者数 19 名(平成 26 年 3 月 31 日現在)
14
分
野
第4節
韓国との交流
1.韓国カトリック医療協会(Catholic Health Association of Korea : CHAK)との交流
聖マリア病院では、1988 年 10 月 27 日、「韓国カトリック病院協会」との間に、カトリック
の理念に基づく日韓医療技術協力協定を締結した。韓国カトリック病院協会は、1967 年に設立
され、各教区または修道会が運営している 37 カ所の医療施設、信者が運営する 1 カ所の個人病
院の計 38 の医療施設から構成されている。
その後、2005 年に「カトリック病院協会」と「カトリック医師協会」と「カトリック看護師協会」、
また「カトリック薬剤師会」などが 合併して「韓国カトリック医療協会」が組織され、当院との
協定は、同協会に継承された。
2.カトリック中央医療院(Catholic Medical Center : CMC)との交流
カトリック中央医療院は、学校法人カトリック学院のカトリック大学校(医科大学、看護大学)
付属 8 病院(ソウル聖母病院、汝矣島聖母病院、議政府聖母病院、富川聖母病院、聖パウロ病
院、仁川聖母病院、聖ビンセント病院、大田聖母病院)により組織されている。2010 年 8 月に
は、相互の人的な交流を通じ、カトリック理念に基づいた医療関連技術向上及び病院経営管理を
目的とした交流協定を締結した。また、九州大学、久留米大学医学部の各教室を交えた交流も開
始された。
3.その他の交流
聖マリア学院大学とカトリック大学校看護大学(韓国・ソウル)、釜山カトリック大学校との
交流が盛んに行われる中、聖マリア病院においては、2010 年 4 月、釜山カトリック大学校との
間に、カトリック理念に基づく相互の交流を促進し、両機関の学術、教育の発展、相互の友好関
係を促進することを目的とした協定を締結した。
15
第5節
NPO 法人 ISAPH
NPO 法人 ISAPH(International Support and Partnership for Health)は、開発途上国で
の住民参加型の地域保健の向上支援を主軸とし、平成 17 年よりラオスとマラウイで活動を実施
してきた。これまではラオスでの地域母子保健プロジェクトが活動の中心となってきたが、平成
25 年 5 月よりマラウイでの JICA 草の根技術協力事業「子どもにやさしい地域保健プロジェク
ト」が JICA 九州国際センターとの契約により実施されてからは、アジアのラオスとアフリカの
マラウイの 2 拠点が事業の要となっている。
ラオスのフェーズ3では、今期も健康教育の普及活動が継続され、大きなイベントとしてはカ
ムアン県保健局健康教育課と合同で同保健局管轄の 9 郡保健局の健康教育及び母子保健の担当
者を対象とした健康教育セミナーを開催した。カムアン県保健局の依頼により開始した寄生虫感
染対策についても、一集落をパイロット地区とした寄生虫感染対策活動を行い、提言をまとめ同
県保健局に報告した。それらの活動の財源については、健康教育セミナーは株式会社リコーの助
成金を、寄生虫対策は公益信託今井記念海外協力基金の助成金を充てている。
もう一方のマラウイでは、乳幼児の栄養状態の改善を目的とし JICA 草の根技術協力事業の実
施計画に沿って、ベースラインサーベイ、乳幼児の Growth Monitoring 実施体制の整備、そし
て村の保健ボランティアへの研修などの活動の基盤作りが行われた。またマラウイでは離乳食と
いう概念に乏しく、離乳期の子どもに十分な栄養が与えられていないことから、株式会社味の素
がガーナの乳幼児の栄養改善を目的に開発し販売を計画している Coco Plus という補助栄養の
使用を計画し、同社から無償供与頂くこととなった。現在マラウイ政府の使用許可を待っている。
国内の活動では、2013 年 7 月 20 日に一般市民への国際協力についての啓発を目的に聖マリ
ア学院大学において国際協力シンポジウムを聖マリア病院と合同で開催した。ラオス国カムアン
県保健局などから 3 名を招聘し、ラオスの保健医療とプロジェクトの活動報告を行った。今回
は国際協力を支援しているエコ活動団体の報告も加え、ISAPH ラオスの貧困者支援活動のため
に寄付を頂いているiサイクル関係者にも講演頂いた。また、聖マリア病院にご支援頂き、同シ
ンポジウムの冊子を作成し関係機関に配布した。
保健人材の育成支援活動では、聖マリアグループから聖マリア病院研修医のフィールドスタデ
ィ一、聖マリア学院大学、保健医療経営大学を受け入れた他、東邦大学、東京女子医科大学、東
京医科歯科大学、愛媛県立医療技術大学の計 7 団体を受け入れた。
広報活動としては、国際事業部の支援を頂きブースを開設し福岡地球市民どんたくに初参加し、
ラオス、マラウイでの活動を来訪者に紹介し、啓発活動を通じ広報を行った。
(ISAPH東京事務所)
16
第6節
その他の活動
平成 25 年度における聖マリア病院グループの国際協力および国際交流に関連したその他の活
動として、以下の内容が挙げられる。なお、活動の詳細については、第 3 章の活動報告を参照
されたい。
1.初期臨床研修「国際保健コース」
2.ネパール口唇口蓋裂医療チーム派遣
3.インドネシア国タムリン病院との新生児科交流
4.国際保健の勉強会
17
第7節
経理
平成 25 年度の聖マリア病院国際事業部の JICA 関連の活動を中心にした収支状況は下記の
表に示す通りである。減価償却費が発生しているが、開発途上国の研修員の宿泊施設(12 室)
を定率法により算出したものである。また、直接人件費は国際事業部の専任の職員給与を計上し
たものであり、兼務職員および間接職員の人件費は計上していない。
収入の部
科目
金額
JICA 病院経営・財務管理(A)コース研修委託費
4,997,258
JICA 病院経営・財務管理(B)コース研修委託費
5,390,343
JICA 研修(上記以外)研修委託費
7,488,789
JICA 研修員宿舎費
7,667,100
JICA 専門家人件費補填費
552,459
その他
726,919
26,822,868
合計
支出の部
科目
金額
JICA 病院経営・財務管理(A)コース研修費
2,520,578
JICA 病院経営・財務管理(B)コース研修費
3,085,503
JICA 研修(上記以外)研修委託費
4,394,340
45,776,076
直接人件費(国際協力担当)
963,440
海外渡航損害保険費
1,914,476
減価償却費
13,537,798
その他
合計
72,192,211
差額
△45,369,343
18
第3章
活動報告
第3章
活 動 報 告
1.技術協力
1) ウズベキスタン国非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト
ウズベキスタン非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト
国際事業部
浦部大策
2014 年はこのミニ・プロジェクトの最終年度であり、現地での活動の進捗情況を把握するた
めに、平成 25 年 6 月 16 日~6 月 22 日の間ナボイを訪問した。ナボイ州では既に昨年からパイ
ロット健診活動が開始され、健診による新たな NCD 患者の発見や地域の保健情報に関する収
集・分析を開始していた。現在、更に進んでパイロット地域以外の場所にも健診活動を広げよう
と試みているところであった。この情況を受けて、平成 25 年 8 月 20 日~8 月 29 日の当院での
本邦研修では、できるだけナボイの末端地区からの参加を募り、健診活動の実践の仕方について
理解する人を広く育成する事を考えた。今回の研修を以って一応プロジェクトとしての活動内容
は終了したが、この期間中、健診活動で次に重要になるデータ収集、分析のところまでは指導は
できなかった。JICA プロジェクトとしては終了であるが、残した活動こそが NCD 対策として
重要な内容になるので、何とか協力活動を継続すべく早稲田大学情報工学部に繋いだ。その結果、
大学側から興味を示して頂いたため、平成 25 年 9 月 20 日~26 日に再度、早稲田の教授と情報
の専門家と共にナボイを再訪問した。この時、ナボイ側から JICA プロジェクトの継続希望が出
されたが、JICA 側にウズベキスタン側からの継続要請は届いていないため、今回を持ってウズ
ベキスタンの JICA プロジェクトは終了となる旨伝えた。3年のプロジェクトで、本邦研修と私
が年に一、二度現地を訪問指導するだけでの内容で構成された活動であったが、現地では健診活
動が導入され、住民の健康情報を収集されるようになり、NCD 政策立案のための情報にしてい
く、という構造を短期間で構築できた、非常に成果の大きいプロジェクトであったと考える。
2) 帰国後研修員フォローアップ協力調査
課題別研修「病院経営・財務管理」ウガンダ国フォローアップ現地調査
国際事業部
1.調査期間:2013 年 7 月 27 日(土)~2013 年 8 月 4 日(日)
2.調査目的:次の4項目を目的として現地調査を実施した。
1)帰国研修員の研修による効果が検証される。
2)研修員所属組織における研修による効果が検証される。
3)帰国研修員の所属病院において、現場の課題に対する指導が行われる。
4)今後の本邦ニーズを確認する。
19
杉本孝生
3.調査概要:この課題別研修コースは開始から 19 年目を迎え、ウガンダだけではなく東アフリ
カの国々からの参加が増えてきていることもあり、今回の現地調査の機会は、これからのコース
運営に大変役立つものであった。また、帰国研修員が一同に会することも初めてのことであり、
相互に情報交換する機会を提供できたことも現地調査の成果の一つと考えられる。
ムベンデ地域中核病院で開催されたワークショップには、2002 年から 2012 年までの帰国研
修員 8 名全員が参加申し込みをした。結果的には、6 名の帰国研修員とその関係者による開催と
なったが、的確にまとめられた 6 名のプレゼンと、それを巧みに進行してくれたムベンデ病院
長(2010 年)の技量によりワークショップは成功裏に終了できた。
これまでのウガンダからの研修員は、毎年優秀な方が選抜されている。しかしながら、実際に
研修員が管理する病院を視察してみると、その優秀さをなかなか発揮できないような課題(人、
モノ、カネ)が山積しているのも事実である。これらの課題については、コース内でのジョブレ
ポートやアクションプランの中でも説明されていたが、そのような環境の中で研修員の、人がい
ないからできない、モノがないからできない、カネがないから何もできない、ということではな
く、自分たちにできることを少しずつでも実行していこう、という姿を見ることができたことに
より、研修コースの目指すところが間違っていないことを確認できた。
20
2.研修員受け入れ
JICA 集団コース
1) 集団研修「病院経営・財務管理」
集団研修「病院経営・財務管理(A)」/「病院経営・財務管理(B)」実施報告
国際事業部
緒方美樹
1.研修名:「病院経営・財務管理(A)」/「病院経営・財務管理(B)」
2.技術研修期間:6 月 24 日~8 月 13 日/9 月 24 日~11 月 15 日
3.研修員数:10 名/11 名
4.研修の目標:
以下の各項目に対し幅広い知識を習得し、各自が所属する病院が抱える問題点への認識を深めて
問題解決への足がかりを獲得する能力を育成することが期待される。
(1)健康保険制度
(6)物品管理
(2)病院組織
(7)施設・機材管理
(3)予算制度
(8)PCM 手法
(4)人事管理
(9)市場調査
(5)医療事務管理
(10)部門別原価計算
また、講義・見学等を通じ下記の能力を得ることを目標とする。
(1)病院運営の概念及び実践的なノウハウを理解し、職場に適用できる。
(2)適切な情報収集・情報処理及び意思決定を行える。
(3)収集した情報を病院管理に活用できる。
(4)各職場における病院運営改善案を計画できる。
5.研修内容並びに評価:
平成 7 年度から実施しているこのコースは今年度で 19 年目を迎えるが、今年度より対象国を
増やし、Aコース・Bコースとして、それぞれ実施することとなった。Aコースは、アフガニス
タン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、パキスタン、スーダン、イラク、コンゴ民主共和国、
タンザニア、ジンバブエより 10 か国 10 名、Bコースは、ドミニカ共和国、エジプト、マケド
ニア共和国、コソボ、モルドバ、パラグアイ、バヌアツ、フィリピン、スリランカより 3 名の 9
か国 11 名が参加した。
対象は病院などの医療施設・保健省からの医師・事務官などの管理者であり、研修員たちは講
義や視察を通じて日本の事例を学びながら、PCM 手法によって自組織が抱える問題点を分析し、
最終的にはアクションプランを作成し発表した。
研修員らの評価によると、本2コースの目標達成度は過去のコースと比較してもかなり高いも
のとなっていた。これは、研修参加者の多くが少しでも多くのことを学び自国の組織管理改善に
21
役立てたい、という意欲が強かったことによるものと考えられる。
研修員は講師に対し熱心に質問やコメントを投げかけるだけでなく、研修員同士でも議論やア
ドバイスを積極的に交わし、最終的には大変質の高いアクションプラン作成を成し遂げ、研修を
修了した。
JICA 個別研修
1) ベトナム国カウンターパート研修
ベトナム国別研修 医療サービスシステムにおける病院管理政策立案並びにその実施
国際事業部 杉本孝生
1.研修名:ベトナム/医療サービスシステムにおける病院管理政策立案並びにその実施
2.研修期間:平成 25 年 10 月 16 日~10 月 25 日
3.研修員:
Mr. Nguen Than Phuong
バックニン省総合病院循環器科科長
Ms. Nguyen Hong Hue
ハイフォン VietTiep 病院病院の質の管理課主任
Mr. Le cong Binh
フート省病院病院の質の管理課主任
Ms. Vo Hong Thanh
保健省医療総務部病院の質の管理課医官
Ms. Vo Thi Ha Hoa
ダナン市病院副院長
4.案件目標:本研修コースは講義、見学および演習などを通して、ベトナムの病院で Hospital Quality
Management を導入・実施するために必要な知識や具体的な手法/例を学ぶこと目的とする。
5.単元目標:
①日本における病院管理とりわけ質的管理の対策及び病院の経営理念や品質管理・業務改善等に関
する理解を深める。
②ベトナムにおける実践的な病院の質の管理に係る指導や実践において、担当者あるいは研修の講
師やファシリテーターとして寄与する。
6.研修概要:5名の研修員のうち、1名が保健省医療サービス局医師、1名が省病院の診療科長、1名
が市病院の副院長、2名が省病院の質管理課医師であった。 研修員は講義・視察に意欲的に取り組
み、講師や視察先に多くの質問を出すなど、非常に積極的な姿勢が常時見られた。質問内容も具体的
かつ専門的なものが多く、講師・視察先からも好評であった。選ばれる予定の研修員の情報は、事前に
プロジェクトコーディネーターから頂いていたこともあり、「具体的な5S導入の事例」「病院機能評価」な
ど研修員の業務に直接関係する講義を含めることができた。
2) アフガニスタン青年研修
青年研修「アフガニスタン国母子保健実施管理」
22
国際事業部 杉本孝生
1.研修コース名:青年研修「アフガニスタン国母子保健実施管理」
2.研修期間:平成 25 年 12 月 2 日~12 月 19 日
3.研修員数:20 名
4.設置の背景:アフガニスタンの妊産婦死亡率の高さは深刻な状況にある。この妊産婦死亡率を低くす
るためには、妊娠中、特に出産時において、母親がより良い医療サービスにアクセスできるようにするこ
とが必要である。こうした背景を踏まえ本院が長年にわたって培ってきた母子保健についての知識・ノウ
ハウの集積と、開発途上国の母子保健分野に専門家を派遣してきた実績を活用して、母子保健の知識
習得を目的とした研修を JICA より受託、実施することとなった。
5.研修目標:将来のリーダーとして母子保健分野における実施体制の課題解決を担う青年層の知識と
意識の向上を図ることを目的とする。
6.到達目標:
1)日本の母子保健の課題と現状について、久留米市の具体的な事例を通じて理解を深め、アフガニス
タンの母子保健を改善するためのヒントを得る
2)母子保健に係る政策策定や医療サービスの提供について、アフガニスタンでも活用可能な、新たな
知識と手法を学ぶ
3)アフガニスタンの母子保健状況を改善するために、帰国後の活動計画としてアクションプランを作成、
発表する
7.研修概要:青年研修は、将来のリーダーとして母子保健分野における実施体制の課題解決を担
う青年層の知識と意識の向上を図ることを目的として実施されるもので、本院で初めて経験する
研修形態であった。さらに、アフガニスタンは女性の立場が弱く内戦状態が続いている国である
との認識から、日本滞在中の生活面への配慮はもちろん講義や見学の内容についても不安を抱き
ながらの受け入れとなった。実際に研修が始まると、彼女たちはとても明るく積極的に講義・討
論・実習・演習・発表に取り組んでくれた。
3) ベトナム国 1 ヵ国限定研修「病院経営・財務管理」コース
ベトナム「病院経営・財務管理」
国際事業部 杉本孝生
1.研修名:ベトナム国別「病院経営・財務管理」
2.研修期間:平成 26 年 2 月 9 日~2 月 22 日(うち技術研修期間:2 月 10 日~2 月 21 日)
3.研修員数:10 名
4.研修目標:研修員が所属する病院(所属先)において、効率的・効果的な病院経営計画が策定され、
実施される。
5.研修概要:
23
今年で3年目(最終年度)を迎え、研修到達目標は前2回の研修と同様に設定していたが、ニーズとの
適合性については、研修員全員から適合していたと評価された。全研修期間は 13 日間、週末を除き実
質 8 日間の研修期間であったが、祝日にも講義を入れることで昨年までと同様の講義時間を確保でき
た。研修期間に対する研修員からの評価では、10 名全員が適当である又はとても適当であると回答し
ていた。このことは、研修に対する期待満足度が高かった(かなり満足した 7 名、満足した 3 名)ことにも
表れている。
カリキュラム全体の構成は、これまでのように講義、現場視察、PCMによるワークショップの3構成と
し、全ての講義・視察・見学が案件目標達成に関連するように配慮した。また、昨年の研修員からの提
案やベトナム国内で 2013 年から始まった病院機能評価を勘案し、病院見学2コマを1コマに、PFFC2
コマを1コマに減らし、財務管理と人事管理を合わせて1コマに集約した。その結果空いた3コマのうち2
コマに「病院機能評価」「5S の導入(医療安全の視点から)」の講義を新たに導入した。
有益であった講義として、「5S-TQM(業務改善)」「PCM」「PFFC」「財務管理」「病院の機能評価」
「人事管理」「医療機器管理」などが挙げられた。今回のカリキュラムは、ここに挙げられた講義を中心に、
病院における業務改善を中心テーマとして組み立てた。そのことが研修員からも評価されたと考えられ
る。
24
3.緊急災害医療
1) フィリピン台風災害
フィリピン共和国における台風被害に対する国際緊急援助隊医療チーム3次隊の活動報告
中央臨床検査センター
梶原希哉
2013 年 11 月 29 日から 12 月 12 日までの 2 週間、台風 30 号の被害が最も大きかったフィリ
ピン共和国レイテ島タクロバンのリサールパークにて JDR 国際緊急援助隊医療チームの一員と
して医療活動を行ってきました。
成田から、マニラ経由でタクロバン入りした被災地の状況は、高波と強風で津波が来た後のよ
うで、沿岸部だけではなく台風が通過した内陸部まで壊滅的な被害を受けていました。2 次隊と
合流後、引き継ぎを行い、12 月 1 日からリサールパークでの診療、支援の行き届かない町への
モバイル診療を行いました。気温 38℃、湿度 60%という暑さの中で、9 日間で 1200 人を超え
る患者の診療を行いました。疾病は長期の避難生活などによる呼吸器疾患が多く、釘を踏むなど
の外傷、皮膚疾患、高血圧や結核なども見られました。医療調整員として受付、バイタル測定、
問診など行いながら検査をしました。検査は生化学、血算、血液像、血糖、尿検査、超音波、心
電図、ウイルスの迅速診断キット、妊娠反応などを行いました。WBC、Plt、血液像などの検査
は染色からカウントまでマニュアルでしたが聖マリア病院の血液検査技師としての経験があっ
た為、力を発揮できたと思います。尿検査は手動の遠心機を使い沈渣を鏡検しました。機器に限
りがある被災地ではマニュアル検査の重要性を感じました。
受付や診察・処置の待ち時間が長くなったときは日本から折り紙を持参していましたので、鶴
やピカチュウ、だまし船を折って住民と触れ合いました。
高温多湿の環境に体が慣れた頃には 10 日間の活動が終わり、派遣時に山積みだった瓦礫は
徐々に片づけられ、路肩にも露店が増え、活気が出てきつつありました。しかし、復興はこれか
らでまだまだ時間がかかると思いますが、我々の医療活動がタクロバンの方々にとって有用であ
ったならば幸いです。派遣に関し協力していただいた方々に感謝いたします。
25
4.韓国との交流
1) 韓国カトリック医療協会(CHAK)との交流
(1)聖職者グループ研修
韓→日
期
間:2013 年 4 月 5 日 ~ 12 日 (8 日間)
訪問者:韓国カトリック医療協会会員病院所属の聖職者 12 名(神父 4 名、シスター8 名)
、引
率者 1 名、聖マリア病院職員 2 名
場
所:聖フランシスコ病院・お告げのマリア修道会聖マリア病院・聖マリア病院
目
的:日本のカトリック系病院の見学および聖地巡礼
(2)看護師グループ研修
韓→日
期
間:2013 年 9 月 3 日~ 9 月 14 日 (12 日間)
訪問者:韓国カトリック医療協会会員病院所属の看護師 7 名
場
所:聖マリア病院、お告げのマリア修道会聖マリア病院、長崎・五島の巡礼地
目
的:病院施設の見学および看護分野での研修、聖地巡礼
韓国カトリック病院協会看護師研修受け入れ報告
看護本部
中島成子
今年は 8 病院から 8 名の看護師を受け入れる予定でありましたが、急な病欠により 7 名での
研修となりました。研修期間は 2013 年 9 月 4 日~9 月 13 日。研修員の内訳は表 1、研修スケ
ジュールは表 2 に示します。
初めてのタワー棟での研修でとても環境が整っていること、患者中心の看護が行われているこ
と、患者及び職員満足度を高める努力をされているなどの感想を聞くことができました。今回は
緩和ケアの研修を入れたことで日本における終末期医療の現状を伝えることができたと感じて
います。長崎・五島の研修では迫害されたキリスト教徒の苦悩を感じたとの感想でした。全体を
通して、日本と韓国の教育制度の違いや家族とのかかわり方を学べたとの意見がありました。
26
表 1 研修員背景
表 2 研修スケジュール
(3)看護師・医療専門職研修
日→韓
期
間:2013 年 9 月 24 日 ~ 28 日 (5 日間)
訪問者:聖マリア病院の看護師・技師 7 名(看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、作業療
法士、臨床工学士、栄養士)、通訳 2 名
場
所:ソウル聖母病院
27
目
的:ソウル聖母病院(韓国カトリック医療協会会員病院)の見学および各専門分野での研修、
聖地巡礼
韓国カトリック医療協会医療専門職研修
看護本部
橋口ちどり
今回の研修は看護職員における国家資格取得後の教育がどの様になされているかを学ぶため
のものであった。
研修先となったソウル聖母病院は JCI 認証を受けており国際的に質の高い医療が提供されて
いる病院であった。その認証を維持するために医療従事者は常に研鑽している事が感じられる活
気あふれる病院であった。
看護教育担当チーム長の講義の中で、医療提供の価値を職員全員で導き出した。その内容は①
生命尊重②患者の尊厳③創造的研究④人材育成⑤信頼であった。この内容が導きだされた事は経
営陣にとって驚きであり喜ばしい事であったと話されていた。経営理念が全職員に浸透している
ことを物語っていた。
さて、看護教育については、チーム長(当院で言えば師長)は全て修士課程以上を修了してお
り、キャリアアップの職場風土が根付いている事が理解できた。最高レベルの教育課程は海外で
行われる学会の講師を務める事であった。看護の知識に加え語学を習得する必要があり、医師同
様に海外研修も位置付けられていた。看護師養成課程や看護師養成の基礎教育の段階から、米国
式の教育が導入されており就職時点での知識水準が高くほぼ一定である事が伺えた。わが国のよ
うに看護師の養成課程が多様に存在する場合は就職時点での知識水準や問題解決能力などのレ
ベルに格差が生じている事も現実である。
当院の看護職員教育は免許維持教育・職務教育レベルに留まっている。今後は専門教育や教養
発展教育を充実させていく必要性を感じた。将来的には、より質の高い看護や効率的に安全な看
護を行うためには、採用者を養成課程で厳選する事も必要だろうと考える。
韓国カトリック医療協会医療専門職研修派遣
薬剤科
古賀恭子
ソウル聖母病院(平成 25 年 9 月 24 日~9 月 28 日)にて開催された韓国カトリック医療協会
医療専門職研修(薬剤師)に参加しました。
1.研修内容
1)全体研修(オリエンテーション・院内見学)
2)部署研修
*薬剤部の概要
薬剤師 84 名・薬剤助手 25 名で、5 ユニット(①入院調剤・病棟、②外来調剤、③がん
28
混合・病棟・TPN、④薬務・DI・副作用分析・薬品管理、⑤臨床試験)で構成され
ていました。
*入院ユニット
入院調剤は患者毎に 1 日分を内服・注射(輸液以外)を 1 ケースにセットし、リスク薬
は薬品保管から 1 日払出まで他薬品と完全に分かれていました。疑義照会の院内手順が
あり、処方医不在の確認方法も決定されていました。
*がんセンター調剤ユニット
抗がん剤の混合は外来とがん病棟で実施され、混合後の破損に対する処置キットが搬送
カートに設置されていました。
*JCI 認定関連
JCI 認定では患者の安全が最優先です。薬剤部は購入・保管・処方・調剤・投与・副作
用の全てに関与する必要があります。新規購入薬品の使用ガイドライン・有効性・危険
性(副作用・類似)の評価や副作用の電子化された収集方法は本院でも検討すべき事項
でした。また、転倒(睡眠薬等)に対するラベル表示、持参薬は全て使用の場合のみ使
用可、注射薬の投与は混合後 30 分以内に開始、副作用対策としてアレルギーキット準備、
救急カート統一(類似薬・小児薬用量の表示)、副作用収集の徹底が実施されていまし
た。
3)評価会(オリエンテーション)
2.所感
ソウル聖母病院は、患者の安全を最優先とする病院でした。副作用の収集方法・薬歴の一元
管理・リスク薬に対する取り組み・職員毎の教育管理など参考となる事項がありました。医
療も国際化となり、海外の病院を見学できるこの研修は新たな視点を発見できる貴重な研修
であると思いました。
韓国カトリック医療協会医療専門職研修派遣
中央臨床検査センター
池上新一
歓迎式にて、両国スタッフの挨拶が行われ、
韓国カトリック大学ソウル聖母病院の概要が DVD
にて紹介されました。施設見学では素晴らしい施設、システムを拝見させて頂きました。入院規
模は当院とほぼ同様でしたが、1 日の外来患者数は 5000 人と驚かされました。
各部署研修では、
まず診断検査医学を見学しました。検査室もとても大きく、無人のカートが検体を運搬している
のには驚かされました。生化学の検体も 1 日 2500 件と膨大で比較のしようがないスケールでし
た。検体遠心から分析まで、フルオート化されており、素晴らしいシステムに感心致しました。
また血液部門では骨髄染色が 1 日 20~30 検体と当院では考えられない数で、血液腫瘍に特化し
ていることが伺えました。血液検査の分析終了後の検体が、自動で異常検体、バーコードエラー
等に分けられラックに収納されるシステムは当検査室にも是非導入したいシステムでした。免疫
29
検査も比べ物にならない分析項目数でした。当検査室でも、オーダーが多い項目については徐々
に取り込んでいかなくてはいけないものと思っています。採血室は 2 箇所設けてあり、それぞ
れ 5 名、7 名で採血が行われていました。韓国は採血者も座って行っており、日本との違いを感
じました。テーブルに着く技師に試験管ロボからそれぞれ採血管が流れてくるシステムで、良く
考えられたシステムであり参考になりました。しかし、採血受付が非常に込んでいるのと、最大
待ち時間が 30 分であり、採血手技を見ても数段当院の技師が上回っており、こちらから技術協
力を申し出たいと思いました。機能検査も見学しましたが、脳波検査では検査後に、頭についた
ペーストを落とすための洗髪室が設けてあり、当院でももっともっと患者サービスを充実させて
いく必要があると思いました。今回の貴重な経験を活かし、業務改善につなげていきたいと考え
ています。
韓国カトリック医療協会医療専門職員研修派遣活動報告
診療放射線室
寺崎博之
2013 年 9 月 24 日から 28 日の期間、韓国ソウル聖母病院の心血管撮影室と映像医学チームの
放射線部門で、被ばく管理、機器管理、検査運用を中心に研修を行った。
心血管撮影室では、被ばく管理において正確な患者さんの被ばく線量の把握と記録管理を実施
しておらず、医療被ばく管理に関する日本との考え方の違いを経験した。機器管理は医用工学室
とメーカーが点検管理しており、診療放射線技師は検査画像解析、心電図操作、検査医の補助な
ど手技に関する検査技術中心の業務であることが日本との違いであった。映像医学チームでは各
部門で線量管理と機器管理のチームを構築し、当院と同様の管理を実施していた。また一般撮影
や特殊撮影におけるフラットパネルの有効利用、造影 CT 検査のライン確保専門看護師の配置に
よるスループット向上、統一形式で作成された検査マニュアルも充実しており当院でも参考にな
る取り組みがなされていた。衝撃を受けたのは心血管撮影室の検査運用(効率)であった。比較
的簡単な症例では1時間で診断カテ1例、PCI2 例を実施していた。1症例に医師3名、放射線
技師2名、看護師が2名配置され、全員で協力し補いながら検査を進めているのと、検査医が手
技時間を考慮し予約管理を自ら行い、搬出先との連携をとって実現できていると推察した。当院
も目指す JCI 基準認定取得効果については、個人の意識向上と患者さんの満足度向上が得られこ
と、他の部署とのコミュニケーションが向上したことがプラス成果であることを強調されていた。
今回の研修では心血管撮影室と映像医学チームで、業務体制は全く違っていたことに戸惑った
が、親切丁寧に研修対応して頂き親睦も深めることが出来た。この経験を生かし参考となる取り
組みをフィードバックさせ、今後の韓国カトリック教会からの研修受け入れにも役立てたいと考
える。
韓国カトリック医療協会医療専門職研修に参加して
リハビリテーション室
30
田中孝子
平成 25 年 9 月 24 日から 27 日までの 4 日間ソウル聖母病院にてリハビリテーション部門を中
心に研修をさせて頂きました。ソウル聖母病院の病床は 1332 床、職員数約 3800 名、地下 6 階
地上 22 階と建物の内外で生命の樹をイメージとした箇所が随時見られ、生命の尊さ・病院の発
展を感じる印象的な建物でした。
リハビリテーション部門では全スタッフ数 24 名で、内訳はチーム長 1 名理学療法士 14 名作
業療法士 7 名言語聴覚士 2 名、1 日の取り扱い患者数は理学療法士 22 人/1 日作業療法士 16 人/1
日程でした。作業療法士の業務範囲は、ADL トレーニングや上肢機能訓練、高次脳機能訓練な
ど日本と大きくは変わりませんが、異なる点は嚥下訓練を作業療法士が行い、NICU で在胎 32
週から訓練開始され、訓練効果が高いことにとても感銘を受けました。当院におきましても今後
是非 NICU からの嚥下訓練の導入を検討していきたいと思います。ソウル聖母病院では JCI の
認定を取得されてあり、チーム長の先生よりリハビリテーション部門の診療体系・組織体系・安
全管理システム・教育システム等の説明をして頂きました。電子カルテでは、入院から時系列に
効率よく整い、データベースとリンクし品質の高さを感じました。評価・訓練機器等も十分に整
っていることに加え、効率的で質の高い訓練を行う姿が印象的で、管理職としての課題を多大に
感じる貴重な経験となりました。今回ソウル聖母病院の研修にて、他国の作業療法士と共感でき、
国際医療により興味を持つことが出来ました。今後この経験を生かし当院に貢献すると共に、是
非ソウル聖母病院リハビリテーション部門の方々と交流を図っていきたいと思います。
最後に、貴重な機会を頂きました理事長はじめ島院長、その他お世話になった関係者の皆様に
この場を借りて感謝申し上げます。
平成 25 年度韓国カトリック病院協会医療専門職研修報告
栄養指導管理室
日隈美緒
私は、平成 25 年 9 月 24 日から 9 月 28 日の間、ソウル聖母病院・栄養チームへの研修に参加
した。研修目的は、①栄養アセスメントの IT 化システム及び栄養管理サポートの運用
②ソウ
ル聖母病院の在院日数が平均 7 日間と短い中での短期間栄養アセスメント運用及び栄養不良患
者の栄養サポート状況
③病棟担当栄養士の食事回診運用
④JCI 認証取得において必須とさ
れている教育システム
この 4 つを学ぶことであった。研修内容は、1 日目:病院見学、2 日目:
栄養チームの理念や組織の説明・栄養アセスメントの運用状況・栄養不良患者の栄養サポート状
況・JCI 認証取得において必須となる教育システムの説明・病棟訪問の見学、3 日目:給食管理
の説明(調理場見学)・病院食の試食・外来糖尿病患者と小児糖尿病の親に対する指導の見学、4
日目:約束食事箋の説明・韓国の糖尿病交換表の説明であった。栄養アセスメントについては、
電子カルテの中に栄養アセスメントチェックシートがあり、短い入院期間に効率よくアセスメン
ト及びサポートを行うため、チェックシートの内容がわかりやすいものになっていた。チェック
は入院後すぐに病棟看護師が行い、入院後 24 時間以内に病棟担当栄養士がアセスメントを行な
31
う。その後、治療食提供患者を中心に患者訪問を行い、患者に治療食の必要性を説明し、栄養教
育を行い、患者の生活の質を向上する為の支援を行っていた。JCI 認証取得における教育システ
ムについては、各部署に JCI から指定された教育規定はなかったが、栄養チームの中で栄養士
業務の質の向上のため、細かな教育カリキュラムが決められていた。JCI の基本理念である「患
者一人一人に平等の診療を行うこと」が、栄養チームにおいても確実に実践されていた。この研
修で学んだことを日々の業務へ活かし、衛生管理された安全な食事の提供の維持と栄養管理の質
の向上を行い、ひとりでも多くの患者の生活の質を改善できるように、速やかな栄養評価及び栄
養教育を実践していく。今回、この研修に参加させて頂いたことに対し、深く感謝します。
(4)JICA 集団研修「病院経営・財務管理(B)
」コース
韓→日
期
間:2013 年 9 月 24 日 ~ 11 月 15 日 (53 日間)
訪問者:水原聖ビンセント病院
イ・サンドク氏(財務経理チーム長)
場
所:聖マリア病院
目
的:JICA 病院経営・財務管理コースのオブザーバーとして参加
(5)第 25 回日韓カトリック医療技術協力協定運営委員会
日→韓
期
間:2013 年 11 月 27 日 ~ 29 日 (3 日間)
訪問者:韓国側 19 名、日本側 10 名
場
所:カトリック大学医科大学キャンパス、ソウル聖母病院
目
的:日韓カトリック医療技術協力協定 25 周年記念式典・ミサならびに定期会議
第 25 回日韓カトリック医療技術協力協定運営委員会
チャプレン室
井手健一郎
2013 年 11 月 28 日、韓国カトリック医療協会との医療技術協力協定による運営委員会に先立
ち、元韓国カトリック医療協会会長であるキム・デグン神父から「日韓交流 25 周年を振り返っ
て」と題した特別講演が行われた。この協定の締結に至った過程、またその際の様々な取り組み
が報告され、参加者一同この交流の原点を学び、今後の交流への糧とする事が出来た。
第 25 回日韓医療技術協力協定運営委員会は、その後 14 時から、韓国カトリック医療協会の
基幹病院であるカトリック大学校ソウル聖母病院 21 階大会議室にて行われた。
日本側の参加者は、雪の聖母会理事長井手義雄、聖マリア病院長島弘志をはじめ 10 名。韓国
側は保健司牧を担当されているユ・スイル司教、韓国カトリック医療協会カン・ムイル会長をは
じめ 12 名、またカトリックの精神に則った活動の検討の為に、ソウル聖母病院 霊性副院長で
あるジャン・グァンジェ神父、家庭看護チーム パク・ヨンヘ チーム長も参加する形での開催と
32
なった。例年、会議に出席している聖マリア学院関係者は、木浦カトリック大学との協定締結の
為に別行動となる。
会議は、ユ・スイル司教様の挨拶によりはじまった。ユ司教様は、25 年の交流の礎を作った
キム・デグン神父様、チョ・ギュサン教授、井手一郎先生への感謝を述べ「イエス様のみ言葉を
実践する信仰者として、またイエス様が施された治癒の奇跡を手本とする医療人として、医療活
動を通してイエス・キリストの愛を実践し、分かち合わなければなりません。」と挨拶を締めく
った。その後、カン・ムイル会長の挨拶、井手義雄理事長の挨拶と続き、審議事項に入った。
審議事項「日韓交流 30 周年記念誌発行について」では、この交流だけでなく両国のカトリッ
ク医療の歴史、またカトリックの歴史も踏まえた記録としたいと井手義雄理事長から提案があり、
承認された。
また「世界病者の日の行事について」、
「カトリック医師会ならびに医療関連の国際会議への共
同参加について」は、雪の聖母会でカトリックの式典を担当し、また日本カトリック医療施設協
会の事務局を務めているチャプレン室にて検討を進める事が提案され、承認された。
「医療専門職の研修について」では、現在進めている研修の検証が行われ、「宣教関連事項に
ついて」では、双方がそれぞれに行っている海外奉仕活動を協力して進める検討を始める事が合
意され 30 周年に向けた協力の拡大が確認された。
また、日本の医療制度改革の報告、両国の高齢者の医療政策など、様々な意見交換が行われ、
ユ司教様の先唱による閉会の祈りが行われ、閉会となった。
(6)福岡県すこやか健康事業団主催「がん研究助成金」贈呈式
韓→日
期
間:2013 年 12 月 11 日
受賞者:
【優秀賞】キム・ミニ先生(カトリック大学校ソウル聖母病院内分泌内科
【入 賞】イ・ハノン先生(カトリック大学校議政府聖母病院外科
臨床助教授)
助教授)
場
所:ソラリア西鉄ホテル
目
的:福岡県すこやか健康事業団主催「がん研究助成金」の受賞に伴い、贈呈式に参加
(7)医療専門職研修
韓→日
期
間:2014 年 2 月 27 日~ 3 月 8 日 (10 日間)
訪問者:韓国カトリック医療協会会員病院所属の技師 6 名(薬剤師 1 名、検査技師 2 名、放射
線技師 1 名、栄養士 2 名)
場
所:聖マリア病院
目
的:施設見学および各専門分野での研修
平成 25 年度韓国カトリック医療協会診療放射線技師研修受け入れ報告
33
診療放射線室
戸嶋武
韓国カトリック医療教会から診療放射線技師を、中央診断治療センターにおいて研修を行いま
した。研修員は、聖パウロ病院の朴相範 (パク・サンビョン)さんでした。
部門見学、オリエンテーションの後、こちらで準備した RI,一般撮影・CT・MRI 部門を研修
しました。RI の施設説明の時、立ち入り検査の説明したところ指摘事項の話から違反の罰金の
話になり五万円から百万円と即答されました。日本では、放射性同位元素等による放射線障害の
防止に関する法律の罰金は、五万円以下の過料(使用の届出をしなかつた者など)から千万円以下
までの金額があり、許可を受けないで放射性同位元素又は放射線発生装置の使用をした者は、三
年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金とより厳しい法律になっています。
聖パウロ病院は、病棟改築が予定されており、検査室の配置・業務運用プロセスを集中的に
研修したと言われました。病床数 500 床から現在 350 床に減数し 3 年後に 750 床を予定されて
計画準備されています。機器の配置を把握する為、中央診療棟の案内板を写真に取り参考にする
と言われていました。そこで、患者さん待合室と技師の操作室の位置関係を説明しました。また、
一般撮影検査で、BED 患者と徒歩患者を分けて検査している点は、BED 患者のプライバシー保
護と検査効率の向上を両立している。病院改築時にぜひ取り入れたいシステムですと言われまし
た。
当院の放射線科は、翌日までのCT・MRI・RI検査の読影率が 80%以上である事を説明
したら、聖パウロ病院の放射線科の読影医は専門化され、例えば下肢の CT 読影専門医とかがあ
ると言われました。一般撮影の読影もされ読影したサインが無いと診療報酬請求が出来ない。頭
部 CT・MR や腹部 CT の読影は量が多いので、他の量の少ない読影医(下肢の CT 読影専門医と
か)が一般撮影の読影を行っていると言われました。この点は米国のシステムを取り入れている
ようです。
病院は、病床数 350 床で外来患者 1000 から 1200 人と説明されました。28 名の診療放射線
技師がいて 5 名が夜勤専門技師です。パク・サンビョンさんは、次の新人が来なかったので 7
年間夜勤専門技師を経験されたと言われていました。一般撮影、CT,MRI、RIなど部門ご
とに主任がおり、他の方は複数の部門を兼任される運用と説明され、夜勤を除いては当院と似た
システムでした。
今回の研修が、聖パウロ病院の病棟改築に参考になれば幸いです。パク・サンビョンさんは、
今回初めての日本でしたが、韓国のシステムと考え方の相違があり、日本の良い点を今後の参考
にしたいとの感想でした。
平成 25 年度韓国カトリック医療協会研修受入報告
中央臨床検査センター
古賀正久
今回は、聖ビンセント病院の韓東花(HAN TONG HWA)氏と、10 年ぶりの大邱パチマ病院
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からの邊再希(BYUN JAE HEE)氏を受け入れた。二人とも臨床微生物部門に入職と同時に配
属されているベテラン技師である。研修の希望分野も微生物部門であったので、1 日を要して微
生物検査部門を研修して頂いた。研修内容は、①夜勤・祭日での検体受付体制。②採取材料・目
的菌に応じて一次分離培地の変更と追加実施。③細菌検査システムでのオーダー状況確認。④同
定・感受性検査でのマイクロスキャン W/A96SI 使用と判定できない菌種のマニュアルの自家製
培地での実施。⑤血液培養は BactALERT3D の使用。⑥抗酸菌の塗抹法(チールネルゼン染色)
と集菌法の蛍光法を実施。⑦感染対策としての ICT 活動、栄養科や OP 室の清浄度検査の実施
など、受付から報告までの手順と微生物検査ならではの活動内容も入れた。
微生物検査は一部しか自動化されておらずマニュアルの要素も多くあり、技術研修としては近
年にない良い研修が出来たのではないかと思われた。質問でも上がっていたが、結核の陽性率は
日本より少し高いようである。まだ多く発生しており、特に工場地帯は外国からの従事者が多く
要因の一つになっているとの事であった。微生物検査部門以外は、例年どおり全部門の研修を行
って頂いたが、近年の特徴として技術的内容よりも管理運営の取り組みについての質問が多い。
次回からは、これらについて当検査室だけではなく他施設の運営についても意見交換が出来る形
にしたいと考える。
最後に、今年度に続き来年度も本院からの研修派遣が実行され、今後の研修に繋がる事を期待
したい。
2014 年韓国カトリック医療協会研修栄養士受け入れ報告
栄養指導管理室
立野順子
韓国カトリック医療協会技術研修として、2014 年 2 月 27 日~2014 年 3 月 7 日の日程で2名
の研修を受け入れた。大田聖母病院からの研修生は孔昭姫(コン・ソヒ)さんで 3 人目、ソウル聖
母病院からの研修生は魯民英(ノン・ミン)さんが初めてであった。今回初めて、栄養士 2 名
の受入れであった為、期間内に有意義な研修内容に出来るだろうかと不安であった。研修目的と
して、栄養教育(患者教育)が 2 人ともあげられ、栄養指導と教育入院、栄養サポートの研修
を希望された。
研修は5日間の日程で、1 日目に部署見学と概要説明、2日目に栄養指導見学、3日目は NST
サポートの回診、4日目の午前中に給食管理、5 日目に集団指導の見学を行った。今回の日程で
は、当院の特徴である糖尿病や腎臓病教育入院の集団指導や調理実習が研修日と重ならず、十分
な研修内容に出来なかったことが残念だった。又、栄養サポートの回診状況も時間の都合で途中
退席の研修となった。給食管理が 4 日目の午前中のみの時間であった為、評価会では、2 人とも
給食管理のことをもう少し聞きたかったとのご意見を頂き、研修時間の都合上、短かったことが
反省点となった。日程期間内に希望研修を全て行うことは難しく、通訳を通じての時間や言葉の
壁も課題であると感じた。
給食管理では、日本と韓国の診療報酬の違いについての情報交換の場となった。韓国では、給
35
食業務が直営か委託で治療食の単価が違うとのことだった。大田聖母病院は調理師が直営で、栄
養士 7 名の体制、
ソウル聖母病院は調理師が委託で、
病院栄養士が 11 名であるにもかかわらず、
大田聖母病院の方が、治療食の単価が高いと言われた。病院の考え方次第で、治療における治療
食の捉えた方が左右されると感じた。日本の看護基準にも似ていると思われた。
今回 2 つの病院からの研修生であったことで、研修側では、其々の病院の違いを得ることが
出来たが、研修生が当院での研修の中で何か得るものあり、韓国で活かして頂けたら幸いである。
平成 25 年度韓国カトリック医療協会研修受け入れ報告
薬剤科
今回の研修は、ソウルにある汝矣島聖母病院薬剤師の張 ハナ(ジャン
橋本和代
ハナ)さんが参加さ
れました。張さんは、病院に務めて 8 年になる薬剤師で、韓国で認定されている糖尿病専門薬
剤師(糖尿病専門薬剤師は韓国で 10 名認定)で、韓国では外来患者への糖尿病のくすり指導を
担当されていました。この研修では、当院で行われている糖尿病療養指導の教育プログラムとそ
の実際を勉強したいと意欲的に参加されました。韓国では、日本と同じく糖尿病患者が増えてき
ていること、病院に糖尿病専門の医師がいらっしゃることから教育方法やチーム医療を行うメリ
ット、メディカルスタッフへの教育方法、患者情報の共有の方法や患者の教育方法などを学ばれ
ました。一つ残念だったのは、日程が合わずにカンファランスへの参加ができなかったことです。
韓国に帰ってから、4 月に講演での講師を務められるとのことで、その中で今回学んだことを
発表して糖尿病に携わるスタッフへ広めていきたいと言って頂きました。最後に、アジア地区は
年々糖尿病患者が増えており、国は違っても糖尿病患者の教育に薬剤師として貢献することを誓
いました。
2) カトリック中央医療院(CMC)との交流
(1)役員来訪
韓→日
期
間:2013 年 6 月 11 日~ 13 日(3 日間)
訪問者:ユン・ゴンホ教授(CMC 企画調整室長)、チョン・ドゥンナム氏(ソウル聖母病院対
外協力チーム)
、イ・ジュンス氏(学校法人
法人事務局新病院建設企画チーム長)
場
所:聖マリア病院
目
的:協力協定に基づく今後の交流事業に関する打ち合わせおよび CMC 新病院建設に伴う
ベンチマーキング
(2)ソウル聖母病院家庭看護チーム来訪
韓→日
期
間:2013 年 10 月 5 日(土)
36
訪問者:ソウル聖母病院家庭看護チーム 17 名、韓国カトリック医療協会職員 1 名
場
所:聖マリア病院
目
的:日本のカトリック系病院見学および聖地巡礼
(3)ソウル聖母病院生活習慣病関係者来訪
韓→日
期
間:2014 年 1 月 7 日~8 日(2 日間)
訪問者:イ・スンファン先生(カトリック大学校ソウル聖母病院内分泌内科
シン・ジュヨン先生(ソウル聖母病院生涯健康増進センター
場
所:聖マリア病院
目
的:生活習慣病の共同研究についての話し合い
助教授)、
臨床助教授)
(4)医療技術交流
日→韓
関連学科:産婦人科
期
間:2014 年 2 月 14~16 日(3 日間)
訪問者:▶久留米大学医学部産科婦人科教室
嘉村敏治先生(主任教授)
、津田尚武先生(助教)
、
藤本剛史先生(助教)
、井上茂先生(助教)▶聖マリア病院
横峯正人先生(産婦人科医
師)
、嘉村江里子・金晟娥(経営企画室)
場
所:ソウル聖母病院
目
的:カトリック大学校、久留米大学、聖マリア病院の産婦人科による「第 3 回 Joint Meeting」
に参加
3) 釜山カトリック大学校との交流
(1)「ラファエル老人デイケアセンター」竣工式
日→韓
期
間:2013 年 5 月 28 日~30 日(3 日間)
訪問者:岡由紀子先生(メゾンマリア
施設長)
、金晟娥(聖マリア病院
経営企画室)
場
所:釜山カトリック大学校
目
的:釜山カトリック大学校付属施設「ラファエル老人デイケアセンター」の竣工式ならびに
特別講演への招聘
(2)学生研修
韓→日
期
間:2013 年 7 月 9 日~11 日(3 日間)
訪問者:釜山カトリック大学校看護学科の学生 10 名
37
場
所:聖マリア病院、メゾンマリア、聖母の家
目
的:看護師業務の実際を見学
(3)学生インターンシップ
韓→日
間:2013 年 9 月 1 日~12 月 4 日(3 ヶ月間)
期
訪問者:釜山カトリック大学校老人療養管理学科の学生
場
所:聖マリア病院、メゾンマリア、聖母の家
目
的:インターンシップ研修
ジョン・ヘソン、キム・ジンヨン
平成 25 年度釜山カトリック大学校老人療養管理学科学生インターンシップ研修
国際事業部
藤堂かつら
2010 年 4 月に当院と学術協定を締結した釜山カトリック大学校では、釜山広域市と共同で、
国内外で 3 か月以上インターシップに参加した学生に対し単位を付与するプログラムを実施し
ており、当院でも協定締結年度より老人療養管理学科の学生研修を受け入れている。今回も昨年
度と同じく 2 名の学生を受け入れ、研修はケアハウスメゾンマリアと介護老人保健施設聖母の
家、聖マリアケアプランサービス、聖マリア病院連携推進部医療相談係の 4 つの部署で行われ
た。急速に高齢化が進む韓国において、日本における高齢者医療や福祉サービスを学び体験する
ことが、学生の卒業後の進路決定の一助となるよう期待されている。研修の詳細は以下の通り。
1.期
間:平成 25 年 9 月 1 日~12 月 4 日
2.研 修 生:鄭
恵先、金
賢英(老人療養管理学科 4 年生)
3.研修目的:(1)日本の社会福祉のシステムを学ぶ
(2)韓国と日本の社会福祉の知識を比較する
(3)国際的な専門家としてのケアーワーカーの能力を得る
4.研修目標:(1)社会福祉の実技を学ぶ
(2)ケアの知識と技術を学ぶ
(3)広いチームワークとネットワーキングの技術を学ぶ
(4)ケア施設における特徴と文脈を学ぶ
(5)ケアシステムの中での医療社会福祉について学ぶ
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5.日
程:
日程
内容/研修場所
9 月 2 日 (月)
午前
9 月 2 日 (月)
~9 月 20 日(金)
9 月 24 日 (火)
開講式、オリエンテーション、病院見学
~10 月 18 日(金)
10 月 21 日 (月)
~11 月 8 日(金)
11 月 11 日 (月)
~11 月 29 日(金)
12 月 2 日 (月)
ケアプランサービス
メゾンマリア
医療相談室研修/鄭惠先
老健施設支援相談員研修/金眞英
医療相談室研修/金眞英
老健施設支援相談員研修/鄭惠先
~12 月 3 日(火)
研修のまとめ
12 月 4 日 (水)
発表会、修了式
(4)国際セミナーでの特別講演
日→韓
期
間:2013 年 12 月 28 日~29 日(2 日間)
訪問者:岡由紀子先生(メゾンマリア
施設長)
、金晟娥(聖マリア病院
経営企画室)
場
所:(釜山)海雲台コンベンションセンター
目
的:釜山市役所主催の「2013 年認知症改善のための日韓国際セミナー」でメゾンマリアの
岡由紀子施設長が日本の認知症の現状について講演
(5)聖地巡礼と表敬訪問
韓→日
期
間:2014 年 1 月 9 日
訪問者:釜山カトリック大学校
尹景哲神父(総長)
、イ・ジャンハン神父(企画情報室長)、
カン・ホンチョル神父(チャプレン室長)、キム・スジン神父(チャプレン副室長)、
キム・ドゥジン神父(生涯教育院長)、ホン・ソンミン神父(人性教養部
教授)
場
所:聖マリア病院
目
的:総長をはじめとした聖職者による聖地巡礼ならびに新任神父様紹介のための表敬訪問
(6)学生研修
韓→日
期
間:2014 年 1 月 27 日
39
訪問者:釜山カトリック大学校の日本語語学研修団の学生 36 名、教職員・引率者 5 名
場
所:聖マリア病院
目
的:施設見学(日本語語学研修の一環)
4) その他の交流
(1)ソウルカトリック大学校学生研修
韓→日
期
間:2014 年 1 月 21 日~23 日(3 日間)
訪問者:ソウルカトリック大学校看護学部の学生 10 名
場
所:聖マリア病院、メゾンマリア、聖母の家
目
的:当院において看護師業務の実際を見学
(2)忠南大学小児科医師研修
韓→日
関連学科:小児科
期
間:2013 年 5~6 月、8 月
訪問者:忠南大学小児科医
イ・ヨンウク(5 月 20 日~6 月 1 日)、キム・ギュソン(6 月 3 日
~15 日)
、カン・ミヒョン(8 月 5 日~17 日)
場
所:聖マリア病院 NICU、GCU
目
的:当院の小児科おける研修(レジデント研修プログラムの一環)
忠南大学校病院新生児センター研修
国際事業部
緒方美樹
韓国忠南大学校小児科学教室では、
「日本での新生児室研修」が研修 3 年次の研修課程の一つ
とされており、例年、当院新生児センターにおいて研修を受け入れている。今年度は 5 月 20 日
~6 月 1 日、6 月 3 日~ 6 月 15 日、8 月 5 日~ 8 月 17 日の日程でそれぞれ 1 名ずつ、計 3 名
の医師を受け入れた。
研修員から提出されたレポートによると、様々なケースの患児を見ることができたこと、医師
同士が自由に意見交換をすることができるという回診での雰囲気の違い、大学病院や地域の産婦
人科などの他病院との連携などが印象的であったと述べられていた。
また研修員らは、施設の清潔さや、スタッフの業務への態度や感染対策への取り組み、さらに
は多くの日本人が親切に接してくれたことに感銘を受けたようである。約2週間という短い日程
ではあるが、研修員らにとって、自病院とのシステムや自国との文化について比較し、再考する
ための有意義な機会になっていることがうかがえた。
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(3)木浦カトリック大学校教員・学生見学
韓→日
期
間:2014 年 1 月 15 日
訪問者:木浦カトリック大学学長ほか教員 5 名、学生 30 名
場
所:聖マリア病院、聖母の家、保育所
目
的:施設見学(聖マリア学院大学との交流協定締結に伴い)
41
4.NPO 法人 ISAPH
1) マラウイ草の根技術協力事業
「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」活動開始
ISAPH
斉藤智子
プロジェクトは 5 歳未満の低栄養児の改善を目的とし、JICA の草の根技術協力事業の支援を
受けています。プロジェクトは平成 25 年 6 月より開始し、今後 3 年間続きます。6 月に派遣さ
れてから、ムジンバ県の開発委員会および活動地域を管轄するエディンゲニヘルスセンターへプ
ロジェクト概要説明、その後、ヘルスセンターのカウンターパートと活動拠点とする 8 村を選
出しました。マラウイでは村長さんが世帯情報を持っていますが、より確実な人口情報を得るた
め、村のボランティアに人口調査をしてもらいました。それを基にベースライン調査の対象者抽
出のためのリストを作成しました。プロジェクト開始時の基礎データ収集を目的としたベースラ
イン調査を 8 月上旬 5 日間かけて実施しました。調査では世帯や母親の情報、母親および子ど
もの栄養摂取状況、飲み水と保清状況、子どもの下痢罹患状況、寄生虫感染症の知識、身体計測
値など多岐に渡る情報が得られました。その他、当プロジェクトと同じような活動をしている他
団体を訪問し、母親グループによる調理実習を視察しました。その後、ムジンゲ村とチボプリラ
村で村長および村の保健委員会へプロジェクトの概要説明をし、当プロジェクトの鍵となる母親
グループの形成とボランティアを選出しました。母親グループの利点は情報が末端まで行くこと
と隣組的な繋がりで地の利を生かした活動ができることです。今後、活動が軌道に乗り、職員増
員の必要性を想定し、大学で栄養を専攻した現地職員を 1 人雇用しました。
ISAPH・聖マリア病院
マラウイ国子どもにやさしい地域保健プロジェクト
~プロジェクト立ち上げと調査の支援および寄生虫(土壌伝播腸管寄生虫および住血吸虫)検査
の実施~
国際事業部
山﨑裕章
マラウイ国子どもにやさしい地域保健プロジェクトは、2013 年 6 月に開始されました。この
プロジェクトは JICA 草の根技術協力事業から支援を頂き実施されています。このプロジェクト
では、開始前の調査と準備から関与していました。この関係から、プロジェクト開始時の立ち上
げ、各調査の支援および実施のために 2013 年 6 月末から 9 月末までの約 3 ヶ月間活動を行いま
した。プロジェクトの立ち上げにかかる活動は、運転手の雇用、事務所の開設、銀行口座(現地
通貨と外貨)の開設、活動用車輌の調達、活動資金管理が主でした。銀行開設と車輌に関しては、
プロジェクト実施場所(ムジンバ)にも銀行はあるのですが、外貨口座の開設が簡単ではなかった
ことや、また車輌の販売店がないことから、約 350km 離れている首都(リロングウェ)で開設
42
および調達しました。一度プロジェクト実施場所に入ると、銀行や販売店から連絡があっても直
ぐには対応できなかったことから開設および入手までには時間を要しました。ちなみに口座の開
設は 7 月下旬、車輌は 8 月下旬でした。事務所の開設に関しては、事務所自体は、準備の派遣
中に物件の仮契約を済ませておいたことから、机や椅子の調達、ドア鍵の変更でした。ただ調達
はやはりプロジェクト実施場所には無いことから、トラックを数時間借り上げ、約 50Km 離れ
た材木工場で購入しました。調査は、人口調査、栄養にかかる基礎調査、そして腸管寄生虫調査
でした。人口調査が終了しないと栄養と寄生虫の対象世帯や 5 歳未満の対象者を特定出来ない
ことから、プロジェクト活動場所に到着後の翌日から開始しました。それでも約 10 日間を要し
ました。8 月下旬までには基礎調査や開設および調達が終了したことから、寄生虫調査が実施で
きました。この検査では尿(ビルハルツ住血吸虫)と便(土壌伝播腸管寄生虫とマンソン住血吸
虫)の提出を依頼しました。結果、便提出 131 名中 1 名(0.8%)のみから鉤虫が確認されました。
ビルハルツ住血吸虫に感染している子どもが多いとの保健センターからの情報でしたが、今回の
検査では感染者が確認されませんでした。
このプロジェクトでは、5 歳未満児(以下 U5)の栄養状態の改善を目指した活動を行っていま
す。マラウイ共和国(以下マ国)政府は、マ国の U5 の約 45%は、低身長(年齢の基準身長よ
り低い)と報告しています。この原因は、慢性的な栄養不足で、摂取する栄養の不足が主な原因
と考えられます。しかし、折角摂取した少ない栄養を十分に利用できない体内での問題もありま
す。その問題の一つが、腸管内および静脈血管内に寄生する寄生虫の存在です。マ国には、腸内
寄生虫として土壌伝播腸管寄生虫(回虫、鉤虫、鞭虫)が、血管内寄生虫として住血吸虫(マン
ソン、ビルハルツ)が存在します。摂取した栄養の一部はこれらの寄生虫の栄養になり、さらに
住血吸虫の場合には虫卵を体外に排出し種の存続を行います。この際、虫卵が静脈壁等を破り腸
内(マンソン)あるいは膀胱内(ビルハルツ)への移動により出血し栄養の流失を起こします。
このようなことから、寄生虫検査は、栄養状態の改善を行う活動一つとして実施されています。
マラウィ巡回指導
国際事業部
浦部大策
3 月 9 日から 10 日間マラウィを訪問、聖マリア病院と ISAPH(International Support and
Partnership for Health)の合同プロジェクトを訪問した。今回の訪問の目的は、味の素社製の栄
養補助食であるココプラスについて、マラウィ側に使用許可を貰う事、また、ムジンバでの保健
プロジェクト開始から 8 ヶ月が過ぎた時点での現地の活動の進捗状況を見る事であった。マラ
ウィでは、リロンゲで JICA 事務所、保健省栄養課、大統領府栄養課、及びムジンバの県病院を
訪問し、プロジェクトの進捗情況の報告やココプラスなど、サプリメント使用の可能性について
意見交換を行った。マラウィ政府の保健活動方針として、サプリメントは使わず、現地で手には
いるものだけで国民の栄養改善を図ることを目指していたため、サプリメント類は一切使用しな
いことになっていた。しかし、最近方針が変わり、現在サプリメント使用を導入するための議題
43
が議会に諮られる、という事であった。ムジンバでは県病院の保健関係者と会い、プロジェクト
の進捗情況について報告した。また、プロジェクトフィールドでの活動視察を行った。このプロ
ジェクトでは、現地での主な活動としては、HSA(Health Surveillance Assistant)と共に現地の
ボランティアや村のリーダーを育成する事、この人たちを介して村で身長・体重測定などグロー
スモニタリング活動を行う事、村人への栄養・衛生教育を行う事を目指している。最終的には乳
幼児にバランスの取れた食事が届くようにすることであるが、対象地域には乳幼児の栄養につい
て特別に配慮するような文化が無いようで、このような環境の下、現在の方法で親の行動変容を
促すのは容易ではないと感じられた。ココプラスのようなバランスの取れたサプリメントを使う
事ができない今、直接乳幼児の口に栄養が届くような方法を思案しているところである。
2) ラオス農村部における寄生虫対策プロジェクト
ISAPH
ラオス寄生虫対策プロジェクト
国際事業部
山﨑裕章
ラオス国寄生虫対策プロジェクトは、2013 年 4 月に 1 年間のプロジェクトで今井記念海外協
力基金からの助成を受け実施されました。このプロジェクトの目的は、「村人自身による寄生虫
対策が実施されているモデル村が構築される」とし、寄生虫対策における腸管寄生虫感染状況に
ついては、住民の 70%以上が駆虫状態の達成を目標としました。そして目的を達成すべく目標
の 70%に向け検便検査、駆虫薬の投薬、健康教育の活動が実施されました。検査時期は 5 月(基
礎調査)と 11 月(半年後)の 2 回でした。検査の結果、何かしらの寄生虫感染者は基礎調査時と半
年後とも 69%に認められました。基礎調査時と半年後の主な感染寄生虫は、鉤虫とタイ肝吸虫
で、基礎調査時がそれぞれ 52%と 40%、半年後が 56%と 30%でした。他に少ないのですが鞭虫、
糞線虫、回虫と条虫の感染者も認められました。駆虫率は、線虫(鉤虫、鞭虫、糞線虫、回虫)を
駆虫するメベンダゾール 500mg1 回投与では、
基礎調査時においては提出された検体の約 80%、
また吸虫と条虫を駆虫するプラジカンテルでは約 95%でした。これだけの多くの人から寄生虫
を駆虫したのですが、半年後の検査では基礎調査時と同じ状況に戻っていたことが確認されまし
た。再感染としては鉤虫が 74.6%、タイ肝吸虫が 30.0%で、鉤虫の再感染率が高いことが確認
されました。基礎調査と半年後の間は、雨季中であったことから屋外排便等で散乱された鉤虫の
虫卵は、孵化し易く、そして感染幼虫は人への感染しやすい環境下であったがこと多くの住民に
感染したものと考えられます。半年後の再感染者を含む感染者への投薬(同剤使用)においては、
メベンダゾールでの駆虫率は、25.0%と大幅に落ちてしまいました。プラジカンテルでの駆虫率
は、90.0%でした。メベンダゾールの効果が落ちたことから、他の線虫に対する駆虫薬(アルベ
ンダゾール 400mg1 回投与)に切り替えました。結果、メベンダゾール無効の住民の 65.0%か
ら線虫の駆虫が認められました。
3) エコ活動と国際協力シンポジウム
44
エコ活動による社会貢献活動と国際協力シンポジウム
ISAPH
磯東一郎
ISAPH と聖マリア病院の合同で実施されているラオスプロジェクトの事業を紹介し、一般市
民の国際協力や開発途上国についての理解を深めることを目的に、聖マリア学院大学において国
際協力シンポジウムを 2013 年 7 月 20 日に開催した。シンポジウムのテーマは、
「エコ活動によ
る社会貢献活動と国際協力シンポジウム」で、エコ活動と国際協力の更なる発展を狙ったシンポ
ジウムである。エコ活動の発表は、ペットボトルキャップを収集し、その売却益により国際協力
活動を支援しているiサイクルにお願いした。
シンポジウムの内容は、まずiサイクルのエコ活動報告と実際に活動に携わっている関係者に
よる活動発表が行われた。国際協力の講演は、iサイクルから支援を受けているカッサノ修道女
会がフィリピン・ブリハン地区の貧困母子支援活動の報告を行い、続いてラオスの保健をテーマ
にラオスの保健医療事情や保健政策、プロジェクト活動内容及びその成果、そして農村部の保健
医療の課題についての報告を行った。ラオスの報告は、ラオスから来日したカムアン県保健局副
局長 Dr.パースック、同県セバンファイ郡副保健局長 Dr.サイソムワン、そしてセバンファイ郡
長 Mr.ブンシィの 3 名が行い、座長である国際事業部の浦部部長が保健医療の問題、課題につい
ての補足説明を行った。
参加者は 80 名ほどであったが、42 名のアンケート結果では、満足と回答した参加者が 36 名
(86%)おり、「エコ活動に参加した人たちの動機が興味深く、感動した」、「現在行われている
国際協力の内容について知ることができたので有意義な講演だった」
、
「ラオスやフィリピンとい
った開発途上国について知ることができた」といった感想が多く、当初の目的は達成できたと評
価している。
このシンポジウムの内容は冊子にまとめ配布した。
最後にご支援頂いた公益財団法人倶進会並びに聖マリア病院グループの関係者の皆様、そして
ご後援下さった久留米市とJICA九州国際センターに心からお礼を申し上げたい。
4) 地球市民どんたく2013
国際協力フェスタ福岡地球市民どんたく2013に参加して
ISAPH
磯東一郎
福岡国際交流協会主催の国際協力フェスタ「福岡地球市民どんたく2013」が、福岡の天神
アクロスにおいて 2013 年 11 月 9 日、10 日の両日開催され、ISAPH も国際事業部の協力を得
て初参加した。福岡県最大の国際協力フェアーで、JICA 九州国際センターをはじめ、国際協力
の分野で活躍する 19 団体が参加し、活動写真や民芸品や民族衣装などを各ブースに飾り、来場
者を迎えた。イベント会場のアクロスには、1000 人以上の来場者があり、スタンプラリーを楽
しみながら各ブースを訪ねて海外での活動の話やその国の文化習慣などについて熱心に耳を傾
45
けていた。
ISAPH と聖マリア病院のブースには、2 日間で約 250 名の訪問者があり、年齢層も下は幼稚
園児の子供から上は 80 歳代のご老人まで様々であった。私達のラオスやマラウイでの国際協力
が自己満足で終わらないためには、一人でも多くの方に活動を知ってもらい、ご意見を頂くこと
が大切であると考えている。その意味では、この 2 日間多くの来場者に聖マリア病院の国際協
力の歴史や、ISAPH との国際協力活動について話を直に聞いて頂いたことは、有意義な広報の
機会であった。更に福岡県内の国際協力を行っている団体とコミュニケーションを深めることが
できたことも大きな収穫となった。
一般参加者アンケートの「良かったブース」の回答では、19 の参加団体の中で ISAPH・聖マ
リア病院ブースと砂漠緑化団体「オスドルの風」が同数で 1 位を頂いた。我々の活動に共感し
て頂いた結果であると思うと、参加の意義を強く感じた。次年度も国際事業部の協力を得て参加
したいと考えている。
今回の参加にあたり、ご協力頂いた国際事業部はじめ聖マリア病院関係者の皆様に心からお礼
を申し上げたい。
46
5.その他の活動
1) 初期臨床研修「国際保健コース」
初期臨床研修「国際保健コース」ラオス国フィールドスタディ
国際事業部
浦部大策
今年も国際保健コースを希望する研修医 3 名を連れて、2 月に約 10 日間、ラオスを訪問した。
研修では例年通り研修医それぞれにラオスの保健問題に関するテーマを与え、そのテーマに沿っ
て問題解決のためのプロポーザルを作成する事を研修の目標とした。事前の講義を経てラオスに
行き、ISAPH(International Support and Partnership for Health)が活動しているサイトで情
報収集を行い、帰国後、集めた資料でプロポーザルを作成するという流れである。ラオスでは例
年通り、研修医それぞれ自分のテーマに沿った内容について村人に質問し、村の実情に関する情
報収集活動を実践した。これまでほぼ毎年現地を訪れて同じような活動を行っているので、ラオ
ス側も研修医への対応に慣れた様子でフィールド研修は順調に進んだ。今年の研修旅行のスケジ
ュールでは日程の中ごろに土・日曜日が入り、現地での休暇となったためちょっと間延びした日
程になってしまった。しかし、陸路タイからメコン川の橋を渡ってラオスに入り、ビエンチャン
から帰国し、異国を様々な面から見る、問題の背景を掴む、という主旨は十分果たせたようで、
臨床診療とは全く違った医療がある事を感じているようであった。また、途上国というものがど
ういうものなのか、異文化とはどんなものなのか、といった面を直接見聞きする事で、途上国の
保健問題を解決する上でどんな事が障害になるのかは実感できたようである。
2) ADRAJapan口唇口蓋裂医療チーム派遣
2013 年度
ADRA 口唇口蓋裂派遣事業参加報告
形成外科
第 17 回ネパール口唇口蓋裂医療チーム派遣事業地:ネパール連邦民主共和国
チョーク郡
パネパ市 (手術実施はシーア記念病院
参加期間:形成外科医師
病棟看護師
雑賀厚臣
カプレパラン
Scheer Memorial Hospital)
雑賀
2013年11月30日~2013年12月8日
堤
2013年11月23日~2013年12月8日
活動の成果:今回は事業期間の直前の選挙後で、反対勢力からの妨害があったため、道路の封鎖
などがあり、本来集まるはずの患者さんが来院できなくなった。例年は50人近い口唇口蓋裂患
者を集めるが、今回の口唇口蓋裂患者は30人程度となった。期間中、30名の口唇口蓋裂患者に
形成手術及び術後処置を行なった。口唇口蓋裂以外に、顔面瘢痕1名、皮膚腫瘍2名、耳垂ケロ
イド2 名、瘢痕患者1名に対し、形成手術及び術後処置を行なった。雑賀が担当した症例はその
うち12例であった。堤は病棟看護師として参加し、12日間の活動期間中、8日間の日勤および2
日間の夜勤を行った。今回は術後の鼻腔出血による呼吸窮迫の症例があり、その日の当直であっ
47
た雑賀および夜勤であった堤の連携により、適切な処置を行い、無事に回復する事が可能であっ
た。今回参加の患者さんの中で、特にネパールの中でも最も遠方の地であるカリコット郡から参
加した赤ん坊がいた。120キロもある山道を歩き、そこからはADRAの協力でバスを乗りついで、
参加したとの事であった。病を持ってうまれた子供を生かすか死なせるかという葛藤の中で、こ
の活動を知って、はるばるやって来たとの事であった。綺麗に治癒した子供の顔を見て生きる希
望を持つ事ができた母親の笑顔が、今回の活動で得られた大きな収穫であった。
3) インドネシア国タムリン病院との新生児科交流
インドネシア国タムリン病院との新生児科交流
新生児科
岡田純一郎
インドネシアにおける新生児医療の現地調査のためジャカルタにある Thamrin 病院(private
hospital)と Cipto Mangunkusumo 病院(以下、cipto),Harapan kita women & children
病院(以下、Harapan kita)(government hospital)を訪問した。
Cipto の全病床数は 1300 床あり、その内 NICU 病床数は 20 床(GCU は 50 床)である。常
勤医は 5 名で看護師総数は 120 名であり、NICU 入院患者 8 名に対して看護師 3 名が配置され
ている。Cipto への母体搬送率は 40%で、入院対象は超低出生体重児(原則在胎 26 週以上)や
先天性心疾患・小児外科疾患などの外科症例など様々で、器材として保育器や人工呼吸器、光線
療法機器、超音波検査機器、モニター類などは最新機材を揃えており(aEEG はないが低体温
療法用のマットは常備)、治療としてのサーファクタントや PI カテーテルも常備していた。
Harapan kita は NICU 病床数 20 床で常勤医師数は 5 名で、呼吸器台数も 20 台(Sechrist:10
台,Drager:10 台)、aEEG などの機材を揃えていたが、PI カテーテルや低体温療法デバイス
などの機材は所有していなかった。一方、Thamrin 病院は呼吸器や保育器などは旧式の機種し
かなく、PI カテーテルも常備されていない状況であった。
今回インドネシアの private hospital と government hospital を視察した印象として、日本の
NICU において重症児の治療にあたる上では鍵となる HFO や一酸化窒素療法、低体温療法用デ
バイスなどの医療機器は保有されていなかったが、人工呼吸器、保育器や光線療法機器、注射用
シリンジポンプなど総合周産期センターとして運営していくための機器類に関しては、当院と比
べても遜色のない水準にあり、特にそれは government hospital で顕著であった。また当院より
も先駆的な点としては TPN 作成専任の薬剤師が病棟に配属されている点が挙げられた。
医療の質に関しては、主観的評価にはなるが、本邦と同様に病児の治療や管理に於いては、あ
る程度標準化されている印象を受けた。しかし、本邦と決定的に異なる点は、患者側の経済的基
盤により受けられる医療の質が大きく異なるということであった。日本と異なり国民皆保険制度
が存在しない為、各個人が契約を交わした医療保険を元に受診できる病院や医療サービス(救急
搬送など)に制限が加わるため、日本ならば助かる命も家族の経済的事情により、治療の中止を
余儀なくされるケースに、今回の短期間の滞在中に何度も遭遇したことは驚きであった。
48
このようにハード面では比較的充実している中で、本邦と大きく異なる文化や宗教、死生観に
おいて、我々の新生児医療の経験をどのようにして伝えていくかは検討すべき課題ではあるが、
医療従事者への教育こそが唯一介入可能であると思われた。
4) 国際保健の勉強会
国際保健の勉強会開催報告
国際事業部
藤堂かつら
聖マリア病院が積極的に国際協力活動を行っていることをもっと多くの人に知ってもらい、ま
た、国際協力に興味はあるが関わり方が分からないような人たちの行動の取っ掛かりになること
を期待して、12 月 28 日福岡市天神にて開催した。今回の講師は国際事業部部長である浦部大策
が務め、自身がこれまで関わった様々なプロジェクトの内容や経験より得た国際協力の際の教訓
について紹介された。参加者は主に高校・大学の関係者や学生であった。第 1 回にあたり手探
りでの開催となり、参加人数は多くはなかったが、国際協力に興味を持つ人たちが集まったため、
終始熱心に聴講していた。
49
付 属 資 料
資料1.平成25年度の業績
学会発表
発表者
および
共同演者
演題名
学会名・年月日・場所
浦部 大策
予防接種にて対応可能な疾患の災害時におけ 第27回日本小児救急医学会学術集会
る流行のリスク
2013.6.14・15、宜野湾市
浦部 大策
ウズベキスタン国におけるNCD(Non
Communicable Disease)対策
第63回日本病院学会
2013.6.27・28、新潟市
予防接種にて対応可能な疾患に対する妊婦の
抗体獲得状況
第60回日本小児保健協会学術集会
2013.9.26~28、渋谷区
浦部 大策
ラオス・カムアン県における栄養改善プロ
ジェクト 第2弾報告
浦部 大策
Efficacy of a single‐dose
administration of Mebendazole against
The 7th National Health Research Forum
intestinal parasitic infection in rural 2013.10.15・16、ラオス
areas, Lao P.D.R
浦部 大策
口頭発表:Or-Japan 1, etcの座長
杉本 孝生
スリランカにおける生活習慣病対策のための 第28回日本国際保健医療学会学術大会
コスト分析の試み
2013.11.2~4、名護市
山崎 裕章
ラオス国農村小集落での消化管寄生虫感染の 第28回日本国際保健医療学会学術大会
現況と今後の対策方法について
2013.11.2~4、名護市
浦部 大策
第32回日本国際保健医療学会西日本地方会
口演:健康危機管理・システム(災害支援・
及び世話人会
検疫 他)の座長
2014.3.8、長久手市
浦部 大策
ラオス・カムワン県における寄生虫感染の実 日本ラオス研究会第3回研究大会
情
2014.3.29、府中市
講演
発表者
および
共同演者
演題名
第28回日本国際保健医療学会学術大会
及び理事会
2013.11.2~4 名護市
講演会・年月日・場所
浦部 大策
第9回熱帯医学研修会
国際赤十字で活動する職員および将来の同活
依頼元:日本赤十字社 和歌山医療センター
動を希望する職員に対する講義
2013.8.7・9、和歌山市
浦部 大策
アフリカでの食育事業について
平成25年度勉強会
依頼元:久留米東ロータリークラブ
2013.9.30、久留米市
浦部 大策
進路講座における講師として
2013年進路講座
依頼元:久留米大学付設高等学校・中学校
2013.10.5、久留米市
浦部 大策
国際協力活動について
第133回筑芙会
依頼元:筑芙会事務局
2013.11.29、久留米市
浦部 大策
平成26年度在外教育施設派遣教員内定者等研
修会
赴任地における健康対策及び医療個別相談へ
依頼元:文部科学省初等中等教育局国際教育
の対応
課
2014.1.22、渋谷区
51
資料2. 専門家派遣状況
(2014年3月31日現在)
国
名
1 エジプト
カイロ大学小児病院
2 パキスタン
イスラマバード小児病院
3 パキスタン
看護大学(看護教育)
4 中華人民共和国
中日友好病院
5 ドミニカ共和国
消化器疾患診療センター
6 ホンジュラス
テグシカルパ准看護学校
(看護教育強化)
7 ボリビア
サンタクルス総合病院
8 フィリピン
労働安全衛生センター
9 中華人民共和国
ポリオ根絶計画
52
10 スーダン
ハルツーム教育病院
11 インドネシア
ストモ病院救急医療
12 ネパール
医学教育
13 マラウイ
公衆衛生
14 ケニア
医療訓練学校改善計画
15 韓国
老人保健医療センタープロジェクト
16 インドネシア
母子保健
17 ボリビア
サンタクルス医療供給システム
18 メキシコ
家族計画母子保健
19 カンボジア
母子保健
年
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
2
3
2
2
1
1
1
1
1
1
1
3
4
2
5
1
6
5
4
3
2
2
1
1
1
1
1
5
2
1
2
1
1
1
1
1
1
4
1
2
2
1
1
2
1
1
1
3
2
3
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
4
3
7
2
3
6
4
5
7
3
5
2
4
8
2
3
7
2
1
2
1
2
1
1
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
2
1
1
01
02
03
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
合計
2
4
6
6
31
4
2
9
0
7
9
0
0
0
7
5
4
0
0
0
7
0
0
2
7
0
0
0
0
1
24
33
27
0
0
7
9
1
5
0
1
1
0
1
0
3
0
3
0
0
7
0
2
0
0
0
3
(2014年3月31日現在)
国
名
20 バングラデシュ
リウマチ熱リウマチ性心疾患パイロット
21 ケニア
地域保健医療システム強化計画調査
22 ザンビア
プライマリ・ヘルスケアプロジェクト
23 ブラジル
公衆衛生
24 ブルガリア、ポーランド
心臓病診断、関連機器保守管理(単発)
25 朝鮮民主主義人民共和国
カリタスジャパン
朝鮮民主主義人民共和国医療施設訪問
26 マラウイ
プライマリヘルスケア強化計画調査
27 ラオス
小児感染症予防プロジェクト
28 タイ
外傷センタープロジェクト
29 ネパール
53
地域小児医療プロジェクト
30 スワジランド
労働安全衛生センター
31 ドミニカ共和国
医学教育プロジェクト
32 ベトナム
バックマイ病院
33 マラウイ
厚生労働省委託研究
34 カンボジア
母子保健2
35 ホンジュラス
第7保健地域リプロダクティブヘルス向上
プロジェクト
36 バングラデシュ
ポリオ対策
37 パラグアイ
南部看護・助産継続教育強化プロジェクト
38 パラグアイ
アスンシオン大学日本パラグァイ友好母子センター
39 ラオス
保健・医療サービス改善計画調査
年
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
1
1
1
1
1
1
1
9
2
4
1
2
1
1
1
1
6
2
3
1
1
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
4
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
1
合計
1
0
0
1
0
1
4
0
0
1
0
0
1
0
1
1
0
0
15
4
7
3
0
0
6
3
2
2
0
1
0
0
2
0
0
4
0
0
2
5
2
1
0
0
4
1
0
4
1
0
0
3
9
0
0
0
2
3
0
0
(2014年3月31日現在)
国
40 ラオス
名
年
54
医 師
セタティラート病院改善プロジェクト
看護師
その他
41 ラオス
医 師
プライマリーヘルスケア訓練
看護師
その他
42 ネパール
医 師
地域の結核及び肺の健康プロジェクト
看護師
その他
43 マラウイ
医 師
保健サービス計画・保健地理情報システム
看護師
その他
44 カンボジア
医 師
医療技術者育成プロジェクト
看護師
その他
45 パキスタン
医 師
結核対策プロジェクト
看護師
その他
46 フィリピン
医 師
保健行政アドバイザー
看護師
その他
47 パキスタン
医 師
保健プログラム調整
看護師
その他
48 アフガニスタン
医 師
保健情報システム
看護師
その他
49 パキスタン
医 師
保健情報管理システム整備計画
看護師
その他
50 マラウイ
医 師
看護師
保健医療施設開発政策策定アドバイザー
その他
51 ラオス
医 師
子どものための保健サービス強化
看護師
その他
52 ザンビア
医 師
ルサカ市プライマリーヘルスケアプロジェクトフェーズ2 看護師
その他
53 ガーナ、ケニア、ザンビア
医 師
アフリカ地域保健行政サービス提供改善支援
看護師
その他
54 ボリビア
医 師
サンタクルス県地域保健ネットワーク強化プロジェクト 看護師
その他
55 ザンビア
医 師
全国保健施設センサス保健行政サービスアドバイザー
看護師
その他
56 ラオス
医 師
看護教育改善プロジェクト
看護師
その他
57 マレーシア
医 師
労働安全衛生能力向上計画プロジェクト
看護師
その他
58 スリランカ
医 師
青年海外協力隊バックアッププログラム
看護師
その他
59 ラオス、タイ
医 師
看護助産人材育成強化プロジェクト
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
1
02
03
1
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
1
1
1
1
2
1
2
1
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
0
1
2
1
1
2
1
1
1
0
1
0
1
0
0
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
合計
3
0
0
0
1
0
4
0
1
3
0
0
1
5
7
6
0
0
3
0
0
3
0
0
1
0
0
4
0
0
4
0
0
2
0
0
1
0
0
1
0
0
0
0
3
1
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
1
0
1
0
(2014年3月31日現在)
国
名
60 ザンビア
保健分野(HIV/AIDS)プロジェクト
61 ウズベキスタン
ナボイ州保健医療サービス改善計画調査
62 マラウイ
保健施設計画
63 パキスタン
地震災害救急支援
64 マラウイ
ムジンゲ村コミュニティ開発プロジェクト調査
65 スリランカ
スリランカ国開発調査
66 パキスタン
開発調査保健管理情報システム整備現地作業監理調査(IT/R)
保健情報政策
67 ザンビア
保健施設センサスを利用した保健行政・計画策定支援事前評価
保健施設センサス
68 ラオス
保健協力活動状況のモニタリング及び活動計画策定のための調査
69 ラオス
55
カムアン県における母子保健活動支援
70 スリランカ
青年海外協力隊(短期派遣)
71 マケドニア、セルビアモンテネグロ
南・東欧地域別特設病院経営・財務管理コースのための視察
72 マラウイ、ザンビア
保健施設計画立案/保健投資計画策定支援プロジェクト
73 ラオス
ラオス国カムアン県水質調査
74 インドネシア
国際緊急援助隊ジャワ島中部地震災害医療チーム
75 インドネシア
ジャワ島中部地震災害医療支援
76 パキスタン
結核対策向上プロジェクト
77 ラオス
ビタミンB1の測定を中心とした世帯調査
78 インドネシア
結核対策プロジェクト事前調査
79 ザンビア
保健投資計画策定支援プロジェクト
年
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
1
1
1
3
3
1
1
2
1
8
1
1
1
4
1
2
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
3
1
1
1
2
1
合計
1
0
0
0
0
1
1
0
0
3
3
1
0
1
0
0
0
14
2
0
0
2
0
0
0
1
0
0
2
0
0
0
3
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
1
2
1
0
0
0
4
1
0
1
1
0
0
1
0
2
(2014年3月31日現在)
国
名
80 ガーナ
プログラム評価「アッパーウエスト州住民の健康改善プログラム
81 フィリピン
WHO/WPRO
82 ドミニカ共和国
サマナ県地域保健ネットワーク強化プロジェクト
83 ケニア
輸血血液安全性確保プロジェクト
84 ラオス
看護助産人材育成強化プロジェクト
85 ベトナム
ホアビン省保健医療サービス強化プロジェクト
86 セルビア/ボスニア・ヘルツェゴビナ/マケドニア
フォローアップ協力「南東欧地域 医療施設運営」
87 スーダン
NGO技術者派遣事業
88 ケニア、エチオピア
アフリカ地域サブサハラアフリカ結核対策基礎情報調査
89 中華人民共和国
56
中国西部大地震被害に対する国際緊急援助隊医療チーム
90 ミャンマー
サイクロン被害に対する国際緊急援助隊医療チーム
91 ボリビア
地域保健システム向上プロジェクト
92 インドネシア
結核対策プロジェクト
93 ミャンマー
主要感染症対策プロジェクト
94 スリランカ
健康増進・予防医療サービス向上プロジェクト
95 ラオス
JICA草の根技術協力事業
96 パレスチナ
パレスチナ・母子保健リプロダクティブヘルス向上プロ
ジェクト フェーズ2
97 ハイチ
ハイチ大地震に対する国際緊急援助隊医療チーム
98 ウガンダ
JICA保健インフラマネジメントを通じた保健サービ
ス強化プロジェクト
99 エリトリア
JICA保健医療サービスのための医療器材管理システ
ム強化プロジェクト
年
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
1
1
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
3
2
1
3
1
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
3
1
2
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
合計
1
0
0
1
0
0
0
0
1
3
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
6
1
0
0
0
0
1
0
0
1
1
0
0
0
0
3
0
0
8
0
0
4
1
0
9
2
0
4
0
4
0
0
0
1
0
0
1
0
0
1
(2014年3月31日現在)
国
名
100 マダガスカル
JICAエイズ予防対策強化プロジェクト
101 フィリピン
都市貧困地域の結核対策プロジェクト
102 インドネシア
インドネシア共和国円借款事業-インドネシア大学整備
事業
103 ウズベキスタン
非伝染性疾患予防対策支援プロジェクト
104 パキスタン
パキスタン・イスラム共和国における洪水被害に対する
国際緊急援助隊医療チーム派遣
105 マラウイ
JICA医療機材保守運営管理
106 ベトナム
「病院経営・財務管理(B)」帰国研修員支援に係る調
査団員派遣
107 パラグアイ
プライマリーヘルスケア(PHC)体制強化プロジェク
ト
108 マラウイ
案件形成調査(JICA草の根技術協力事業)
109 ケニア
57
案件形成調査(ソマリア人難民医療支援活動)
110 ザンビア
ルサカ市結核対策プロジェクト
111 マラウイ
JICA草の根技術協力事業
112 ラオス
ラオス農村部における寄生虫対策プロジェクト
113 ウガンダ
「病院経営・財務管理」帰国研修員支援に係る調査団員
派遣
114 フィリピン
台風被害に対する国際緊急援助隊医療チーム
115 ラオス
ラオス保健省国家結核対策プロジェクト
小 計
合 計
年
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
医 師
看護師
その他
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
1
1
1
2
1
1
3
1
2
1
3
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
1
1
0
3
0
3
2
2
1
5
1
4
0
5
5
6
2
13
1
8
2
11
6
9
5
20
6
10
4
20
1
7
5
13
4
6
6
16
3
1
2
6
6
4
12
22
5
4
10
19
6
6
14
26
9
6
5
20
16
11
9
36
17
9
11
37
12
6
7
25
9
2
10
21
13
3
7
23
10 15 11
7
5
2
1
4
6
3
4
8
6
1
1
2
2
2
4
3
6 16 10 10 13 13 12
17 22 25 29 16 13 16 19 20
1
2
5
0
2
6 14
8 21
1
1
2
4
合計
0
0
1
0
0
7
2
0
0
7
0
0
0
1
0
0
0
6
0
0
1
0
1
0
2
1
3
1
0
1
0
0
2
1
2
1
0
0
3
0
0
1
0
0
1
0
0
1
191
139
221
551
資料3.国別研修員受入状況
※地域別にアルファベット順で表記
(2014年3月31日現在)
年
国
名
バングラデシュ
ブータン
カンボジア
中 国
インドネシア
韓 国
ラオス
マレーシア
モルディブ
モンゴル
ミャンマー
ネパール
パキスタン
シンガポール
フィリピン
スリランカ
タイ
台 湾
ベトナム
アフガニスタン
イラン
イラク
ヨルダン
オマーン
パレスチナ
サウジアラビア
ボツワナ
ベナン
ブルキナファソ
カメルーン
中央アフリカ
コートジボワール
チャド
コンゴ民主共和国
エジプト
エリトリア
エチオピア
ガボン
ガンビア
ガーナ
ケニア
リベリア
マダガスカル
マラウイ
モーリタニア
モザンビーク
ニジェール
ナイジェリア
ルワンダ
セネガル
セーシェルズ
シエラレオネ
南アフリカ
スーダン
タンザニア
トーゴ
ウガンダ
イエメン
ザンビア
ジンバブエ
米国
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 合 計
1 1
1 1 1
1
1
1
8
1
1
1 1 1
1 2 2 1 2 4 1 2 2 1 1
5 16
43
3
2 1 3 3
1
1 1
1
1 1
18
3
2 7 4 3 5 6 1 1
11
43
6 4 4 8 8 11
5 9 10 15 16 27 17 21 22 24 22 13 31 32 26 30 28 16 14 26 17 16 14 17 17 6
532
1
1
2
2
6
1 1
5 1
20
1
2
5
8
ア
1
1
ジ
1
1
ア
1
2
1
1
1 2
1
5 1
15
1
1 1
3
2 1 10 3 5 4 1 5
1 1 1 2
1
37
3
3
2
1
1 1
1 1 1
2 4 3
1
18
1
1
1 6 6 1 6 5 2 7 3
39
1 1
3
1 2
1 1 4 1 1 1 6 2
5
30
1
1
2 3 1 1 3
8
9 7 3 1 11 21 5 10
85
1
6
1
21
29
1 1
2
中
2
1
1
4
近
1
1
東
1
1
1 3 1 1
6
5
5
2
2
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1 2 1
1 1
1
8
1
1
1
1
1 2 3 2 4
6 4 5 2 4
1
1
1 1 1 1
39
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1 1
2
1
2
7
1 2 1 3 2
1
10
ア
1
1
1 1
4
フ
4
1 4 7 1
17
リ
2
3 2
1 1
9
カ
1
1
8
8
1
1 1
1
4
1
1
2
1
1 1
3
1
1
2
5
1
1
1 1 1
1
1
2
1
1
1 1
4
1
1 1
3
1 1 1 2 1 1
1
1
9
1 1 1
3
1 1 2
1 1 1 2 1 1
11
1
1
1 1 1
1
2 1 1 2 1 1 1
1 2
16
1
1
2
北米
2
1
3
アンティグアバーブーダ
1
1
2
ベリーズ
1
1
ボリビア
2 1 2
1
1 1 2 2 2
5 5
4
28
ブラジル
1
1 1 1 1
1
2
2
10
チリ
1
1
コロンビア
1
1 1
3
コスタリカ
1
1
ドミニカ国
1
1
ドミニカ共和国
3
2
1
6
中 エルサルバドル
1
1
3 1
6
南 グアテマラ
1 1
2
米 ホンジュラス
4 2 3
1
15
1 3
1
ジャマイカ
1
1
2
メキシコ
1
1 1
3
ニカラグア
1
1
2
パナマ
1
1
2
パラグアイ
1
1
1
3
ペルー
1
1
2
セントクリストファーネビス
1
1
セントルシア
1
1 1 1
4
スリナム
1
1
58
※地域別にアルファベット順で表記
(2014年3月31日現在)
年
国
オ
セ
ア
ニ
ア
ヨ
ー
ロ
ッ
パ
名
81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 合 計
オーストラリア
1
1
クック諸島
1
1
フィジー
2 1 1
1 1
6
キリバス
1
1
ミクロネシア
1
1
2
パラオ
1
1 1
3
パプアニューギニア
1
1
2
サモア
1
1
2
ソロモン諸島
1
1 1
3
ツバル
1
1
バヌアツ
1
1
1 1
1 1 1 1
8
アルバニア
1
1 1
3
アルメニア
1
1
ボスニア・ヘルツェゴビナ
1
1
2 2 1 4 4 5
20
ブルガリア
1
1
フランス
1
1
コソボ
1
1
キルギスタン
1
1
リトアニア
1
1
マケドニア
1 1
3 1 1 2 2 3 1
15
モルドバ
1 1 1
1
4
モンテネグロ
1 2
3
ポーランド
1
1
ルーマニア
1
1
セルビア・モンテネグロ
2 1
3
セルビア
1 1 1 2 2 3
10
スロバキア
1
1
スイス
1
1
ウクライナ
1 1 1
3
ウズベキスタン
6 8 8 8
30
ユーゴスラビア
2
2
合
計
4 7 6 12 11 14 18 12 12 37 32 39 38 42 39 46 45 54 56 43 59 59 56 70 62 42 49 49 47 55 53 91 95 16 1370
59
資料4.国際事業部会議
国際事業部では、平成 12 年 9 月 4 日に正式の第 1 回国際協力部会議を開催し、以後 2~3
ヶ月ごとに定期的な会合を開いてきた。この会議は基本的にオープンで行われ、聖マリアグルー
プの国際協力関係者を中心に、国際協力部の活動方針、派遣専門家の帰国報告、懸案事項などに
ついて話し合われてきた。また、この会議には、医師臨床研修制度「国際保健コース」の研修医
が毎回参加してきた。この他、東京連絡事務所において、東京近郊在住者を中心に随時国際協力
に関連した会議が行われてきた。
なお、平成 18 年度からは、これまで聖マリアグループの国際協力関係者間で開かれていた国
際協力部会議を国際協力部所属関係者による国際協力部部内会議に変更した。これは、従来の国
際協力部会議が連絡や情報交換が主になり、懸案事項などについて十分な協議が行われにくかっ
たことによる。代わりに、聖マリアグループ内で国際協力に関心をもつ職員には随時報告会を開
催することにした。一方、聖マリア病院の国際協力活動を母体に設立された NPO 法人 ISAPH
の活動は国際事業部によってサポートされており、その結果 ISAPH 打合せ会議や ISAPH と国
際事業部の合同会議も随時開かれてきた。以下は、平成 25 年度に行われたそれらの会議の概要
である。
60
ISAPH との合同会議
1. 日時
:平成 25 年 5 月 10 日(金)午後 2 時~5 時
2. 場所
:聖マリア病院中央診療棟 8 階会議室
3. 参加者:浦部大策、杉本孝生、山崎裕章、藤堂かつら、緒方美樹、磯東一郎、斎藤智子
4. 報告および協議事項:
JICA 技術協力事業マラウイ子どもにやさしい地域保健プロジェクトにおける山崎職員、齋
藤職員の帰国報告及び実施の検討
1. 日時
:平成 25 年 12 月 10 日(火)午後 2 時~5 時
2. 場所
:聖マリア病院中央診療棟 8 階会議室
3. 参加者:浦部大策、杉本孝生、山崎裕章、藤堂かつら、緒方美樹、磯東一郎、斎藤智子
4. 報告および協議事項:
マラウイ JICA 草の根プロジェクトにおける浦部医師、山崎職員、齋藤職員の帰国報告とそ
れに基づく活動の方向性を検討
1.日時
:平成 26 年 3 月 31 日(月)午後 2 時~5 時
2.場所
:聖マリア病院中央診療棟 8 階会議室
3.参加者:帖佐徹、浦部大策、杉本孝生、山崎裕章、藤堂かつら、緒方美樹、磯東一郎
4.報告および協議事項:
1)平成 28 年度日本国際保健医療学会学術大会の開催概要検討
2)平成 25 年度国際事業部活動報告、平成 26 年度国際事業部活動予定検討
3)ISAPH との合同プロジェクト次年度計画検討
61
資料5.
「国際協力ニュース」
国際事業部では、平成 12 年 9 月 1 日に「聖マリア国際協力ニュース」創刊号を発行し、以
後毎月1回院内を中心に聖マリアグループで実施されている国際協力活動に関する情報を発信
してきた。国際協力ニュース発行の目的は、さまざまな国際協力活動の紹介を通じてグループ内
職員における国際協力への理解を深め、協力をお願いするとともに、国際協力専門家の育成の一
助となるようめざしたものである。この国際協力ニュースは、現在グループ内報である「ルルド
の聖母」へ掲載している。今年度の年報においては、2013 年 4 月号から 2014 年 3 月号までを
次頁以下に再掲する。なお「国際協力ニュース」は毎月、以下のホームページで更新を行ってい
る。
聖マリア病院ホームページ(http://www.st-mary-med.or.jp/shinryo_ka/m_kokusai.php)
63
知ることは重要です。今後は当院から派遣できれば良い
当院は韓国カトリック医療協会と締結している医療技
術協力協定の一環として,毎年 2 回,協会に加盟して
と思います。
いる各病院から派遣される韓国人研修生を受け入れてい
□研修生の感想
病院の規模が大きいわりに混雑しておらず,とても不
ます。
思議でした。隅々までとてもきれいで,全体的に静かな
今回は去る 2 月 21 日より 3 月 2 日までの期間,技
印象でした。
師グループ研修を実施しました。来院した 6 名の研修
すべてのことにおいて,韓国と大きく異なるところは
生は,職種ごとに臨床検査室,臨床放射線室,栄養指導
なく,親しみを感じました。
管理室,薬剤科の各部署に分かれて見学研修を行いまし
た。また,今回は過去の研修員からの提案を受け,全体
【臨床放射線室】
研修として試験的に 2 つの講義を加えました。
以下,当研修について,各所属長からの報告および研
□戸嶋武室長からの報告
修生の感想を掲載します。ご協力いただいた関係各部署
研修員は,聖ビンセント病院の黄義男(ファン・ウィ
の皆様,ありがとうございまし
ナム)さん,汝矣島聖母病院の
た。
李時源(イ・シウォン)さんで
【臨床検査室】
国際協力ニュース
した。一般撮影部門において,
技師が作成した撮影補助具・小
児の座位撮影台・特殊脊椎立位
□古賀正久室長からの報告
議政府聖母病院からの受け入
れは 7 年ぶりでした。研修員
の全龍水(ジョン・ヨンス)氏
撮影台に,興味を持たれていま
韓国カトリック医療協会
した。韓国には撮影補助具を技
技師グループ研修の報告
師が作成することはなく,小児
専用の撮影台はないとのことで
は臨床化学の部署に勤務されて
おり,自動分析装置は日立製が
比較的多く導入されており共通
の話題も多かったのですが,精
した。感想として,「技師が上
聖マリア病院国際事業部
下関係なく業務していること,
藤堂かつら
患者さんのための環境が清潔で
接遇が良かった,日本の道路な
度管理の管理値の決定方法や報
告者の管理,およびセキュリティ管理におけるシステム
どがきれいで清潔で,日本人の相手への配慮がうかがえ
の質問を受けました。情報交換の中で韓国での IT 利用
たし,患者さんへの配慮が同様に行われていると感じ
はかなり浸透していることが感じられました。また,今
た」,といわれ,また,理事長の経営理念に感銘をうけ
年初めて生理検査部門のエコー検査について,放射線技
たと感謝していました。接遇などのソフト面の研修に
師研修員の李時源氏が来られました。技術や文化をよく
なったと思います。
恒例の交流会ではその場で作ったビビンバもふるまわ
れました
NST 回診の様子を見学

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
64
各所属長から一人ずつ修了証書が授与されました
研修員を代表して全龍水さんが日本語で研修終了のご
挨拶
をケアし,教育する制度があって,とてもよいと思いま
□研修生の感想
した。またこれに対する診療報酬の加算がつく制度も羨
地方の病院という印象はなく,都市部の大きな病院と
ましいです。
比べても遜色ないと感じた。お互い協力しながら,みん
なで一緒に動いて助け合っている横の関係が,見ていて
【薬剤科】
とてもよかった。
細部にわたる患者への心遣いや職員同士の気遣い,ま
□橋本和代科長からの報告
た撮影機器の補助用具やそのアイディアがとても印象的
薬剤科ではノーチェリアンドリザエ病院より Sr. 鄭金
でした。現場の職員がみな誠実で,親切で,業務に最善
周(ジョン・グムジュ)さんと,ソウル聖母病院より安
を尽くしている姿がとてもよかったです。お互いに迷惑
慧林(アン・ヘリム)さんが,研修に来られました。ス
をかけないよう努めることで,社会や組織の問題が緩和
ケジュールには研修生の希望を多く取り入れ,通訳の方
され,また他の人を配慮する姿は文化的なよいモデルで
に終始ついていただいたので,わからないところはその
もあり,とても羨ましい部分です。
都度納得できるまで話をすることができました。薬剤師
の 6 年制導入は韓国でも行われ,薬剤師が医療貢献で
【栄養指導管理室】
きる期待は世界共通であること,今後国民の健康管理に
十分貢献できるよう頑張っていくことが大切であること
□立野順子室長からの報告
も国を越えて学ぶことができました。
大邸パティマ病院の Sr. 申恵環(シン・へギョン)さ
□研修生の感想
んの研修を行いました。給食管理業務では,配膳業務の
状況の見学を希望され,昼食時に配膳室を見学されまし
各部門が患者のためにお互い力を合わせていること,
た。温冷蔵配膳車ではないため,食事が冷たいとのク
理事長をはじめ,各所属長が権威的でないことがとても
レームがないのかとの質問があり,調理作業動線での工
印象的でした。ミスをした際はそれをそのまま報告し,
夫を説明しました。韓国では,食事提供は温蔵配膳車が
再発防止に努める姿勢はよいことだと思いました。
私たちに対しても笑顔で挨拶して韓国語で挨拶してく
一般的であるようで,当院の保温食器での提供に驚か
ださる方もいて,とてもうれしかったです。
れ,温度の状況を確認されました。短い日程でしたが,
薬局の流れを説明していただいたことで業務全般を把
積極的に研修を受けられ,意欲的な姿勢が印象的でし
た。
握することができ,韓国と比較することができました。
□研修生の感想
処方箋に患者の過去の処方履歴が表示されることが驚き
でした。
チーム(医師,看護師,栄養士,薬剤師など)で患者


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
65
PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)手
習を行いました。研修を円滑に進めるためのモデレー
法は,開発援助プロジェクトの計画・実施・評価の一連
ターとして,JICA 研修でいつも来ていただいている講
のサイクルを,
「PDM(プロジェクト・デザイン・マ
師の先生をお招きしましたが,初めはその人数の多さに
トリックス)
」と呼ばれるプロジェクト概要表を用いて
驚かれていました。
管理運営する手法です。この手法は,国際開発の場で基
今回の研修の目的は,効果的な事業の策定や論理的な
本的ツールとして広く用いられており,当院で国際協力
考え方について学ぶだけでなく,グループ演習を通じて
機構(JICA)の委託を受け実施している海外からの研
チームワークを深めることにありましたが,初めはどこ
修員に対する研修においても,欠かせないものとして取
かぎこちなく,固い雰囲気でした。しかしグループメン
り入れています。PCM 手法は PDM の作成までを中心
バー間で意見を交換し,議論しながら,一つの問題に対
とした参加型計画手法とモニタリング・評価手法から
して分析を重ね,協力して一つの事業を作り上げていく
なっており,参加型計画手法には,①関係者分析,②問
ことで,その雰囲気は徐々に変わっていきました。参加
題分析,③目的分析,④プロジェクトの選択,⑤ PDM
型・一貫性・論理性を特徴とする PCM 手法を用いて,
の 作 成, ⑥ PDM の 審 査, ⑦
コミュニケーションをとりなが
活動計画表の作成の 7 つのス
ら合意形成をはかることは,
テップがあります。これらの
7 つのステップを経て作成し
国際協力ニュース
この PCM 手法をより平易な
ながりました。また全体に向け
てのグループ発表によって,自
た計画を,モニタリング・評価
することになります。
チームワークを深めることにつ
新入職員集合研修における
ものにアレンジし,新入職員集
PCM 研修の実施
して実施しました。今回の研修
では,グループワークにより,
らの分析,アイデアを共有し,
比較することができました。こ
のように,自分ひとりでは気が
合研修の一環として,
「目的志
向型の分析手法と考え方」と題
分のグループとは異なる角度か
聖マリア病院国際事業部
緒方 美樹
付かなかったことも,グループ
の作業を通じて気づき,理解を
深めることができました。
講師の先生方のご尽力もあ
主に①問題分析,②目的分析,
③プロジェクトの選択と PDM「事業の概要」部分への
り,研修は成功裏に終わりました。何より,新入職員の
反映,④活動計画表の作成,を 1 日半かけて行いました。
皆さんの積極的で熱心な取り組み姿勢,そしてチーム
今回の研修と当院で実施している JICA 研修との大き
ワークが,この研修が成功した一番の要因であると思い
な違いは,研修受講者の人数にありました。当院 JICA
ます。これから当院の一員として共に働く中で,今回の
研修の PCM 研修においては,1 グループ 5〜7 人の少
研修で学んだ論理的な考え方やチームワークを生かして
人数で演習を行います。しかし今回は約 90 名の新入
いただければと思います。
職員を 6 グループに分け,1 グループ 15 名程度で演
第 1 期研修のグループワーク
第 2 期研修のグループワーク
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66
本号の「報告」でマラウイ共和国(以下,マラウイ
での雨季,5 月から 10 月までの乾季)です。しかし
国)で開始するプロジェクトについて紹介しましたの
9 月と 10 月が特に暑く,海抜が低い地域(400 m 以
で,ここではマラウイ国の一般状況を簡単に紹介しま
下)では 40℃くらいにまで上昇します。
食文化は,シマと呼ばれる白いトウモロコシを粉にし
す。
て,それを湯で練って作ったものを主食として食べてい
マラウイ国は,アフリカ南部に位置し,ザンビア,タ
ます。副菜として魚・牛肉・鶏肉・調理された野菜を一
ンザニア,モザンビークに挟まれた内陸国です。面積は
緒に食べますが,農村部の多くは調理された野菜のみで
11 万 8,480 平方キロメートル,ほぼ北海道と九州を
す。
1 人当たり GNI(所得)は 360 米ドル(2011 年,
合わせた大きさです。うち 20%を湖が占めています。
世界銀行)と 1 日約 1 米ドルです。
人口は 1,538 万人(2011 年,世界銀行)
,人口増加
率 3.2%(2011 年,世界銀行)です。公用語はチェ
マラウイ国では医療従事者,医薬品,医療機器などが
ワ語と英語ですが,ロームウェ語,ヤオ語,トゥンブカ
語などの部族語も使われていま
絶対的に不足した状態です。特
す。プロジェクト対象地域は,
に 医 師 1 人 が 人 口 5.2 万 人
トゥンブカ語が使用されていま
す。国民の 83%が農業に従事
国際協力ニュース
教 徒 で す。 成 人(15 歳 か ら
マラウイ共和国とは?
目,淡水湖では世界で 8 番目
足 を 補 う た め に clinical offitant(MA)という資格者が実
(2010 年,WHO)です。
溝帯があり,アフリカで 3 番
ウイ国日本大使館)。医師の不
cer(CO)や medical assis-
49 歳 ) の 識 字 率 は 74.8 %
マラウイ国にはアフリカ大地
う医師数で,看護師の充足率は
34%しかありません(駐マラ
する農業国です。宗教はキリス
ト教徒が大半で,次にイスラム
(2008 年)をカバーするとい
聖マリア病院国際事業部
山崎 裕章
際の医療を支えています。地方
の県立病院の院長・副院長は若
いし医師ですが,病院の外来や
農村部に設置されている保健セ
の広さ(2 万 9,600 平方キロ
メートル,四国の 1.5 倍)を誇るマラウイ湖を有して
ンターでは CO や MA が診療を行っています。マラウ
います。亜熱帯気候に属し,2 季(11 月から 4 月ま
イ国内の高度医療機器は,CT が 3 台,MRI は 1 台の
みです。
日本政府は,経済協力と無償資金協力の両面において
支援しています。過去の援助として,カムズ国際空港
(首都に建設された空港),橋梁,道路,学校,保健セン
ター,灌漑システムの整備などがあります。また病院や
学校,地域のセンターなど各種公共機関で技術指導する
専門家や青年海外協力隊が派遣されています。マラウイ
国では,日本の大分県で始まった「地域おこし」
,
「村お
こし」の運動である「一村一品運動」(OVOP;One
Village One Product)を展開し,草の根レベルでの
所得向上を目指した支援も行われています。
最後に,マラウイ国やプロジェクトのことをもっと知
りたい,またシマを食べてみたいという方は,国際事業
マラウイ共和国の位置
部までご連絡ください。
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67
平成 24 年 6 月に公募が行われた JICA 草の根技術
ここで特記すべき点は,村人のオーナーシップの高さ
協力事業(以下,草の根事業)に ISAPH と聖マリア病
です。ヘルスポストの建設に実質 3 年以上の歳月をか
院の合同でアフリカ,マラウイでの乳幼児の栄養改善プ
け村人自らが無償で働き,職員宿舎やトイレまで増設し
ロジェクトの提案書を作成し応募しました。今回が 2
ています。自分たちの村を自らの手で良くしようとする
度目の挑戦でした。そして平成 25 年 5 月 30 日によ
村人の意識の高さや,その実行力は大いに評価に値しま
うやく JICA との契約が完了しました。国際事業部の協
す。この住民の意識の高さや行動力が,マラウイでのプ
力を得てプロジェクトの案件形成から現地調査など,紆
ロジェクト立ち上げの源となっていると言っても過言で
余曲折を経て 4 年越しの努力によって生まれたプロ
ありません。今回のプロジェクトは,ムジンゲ村を絡
ジェクトです。
め,同村を管轄するエディンゲニ保健センターが担当す
る 26 か村を対象地域とした人口 15,000 人を対象と
聖マリア病院にとってマラウイは馴染みが深い国で
しています。
す。マラウイでの JICA 公衆衛生プロジェクトは聖マリ
マラウイは 2011 年の WHO 世界保健統計の平均寿
ア病院が支援母体となって 1994 年から 2000 年ま
で 実 施 さ れ, 時 期 を 重 ね て
命ランキングにおいて最下位と
JICA から受託したプライマリ
なっており,その平均寿命は
ヘルスケア強化計画調査を
1998 年から 2 年間実施して
国際協力ニュース
のカウンターパートであったマ
マラウイ JICA 草の根技術協力事業
ラウイ保健省のジワ氏が聖マリ
の契約完了で思うこと
した。そのジワ氏の「村に保健
センターを作ってほしい」とい
とながら,乳幼児の死亡原因の
主なものはマラリア,下痢症,
呼吸器感染症などで,これらの
疾患は栄養不良が存在すること
ア病院で実施していた JICA の
地域保健研修コースに参加しま
たあの信長も驚きそうな国で
す。エイズによる死亡はさるこ
い ま す。2000 年 に は JICA
公衆衛生プロジェクト実施当時
47 歳と「人生 50 年」と歌っ
ISAPH 東京事務局
磯 東一郎
で問題が助長されます。ユニセ
フの 2011 年の統計では 5 歳
未満児の長期の栄養不良による
発育阻害児は 53%にも上って
う切なる願いに,募金活動を行
い応えたのもマラウイとそのような深いかかわりがあっ
おり,最近現地で行った小規模な調査においても 50%
たからこそだと思っています。その募金が種となり,芽
と非常に悪い結果でした。そのようなことから乳幼児死
を出したのが今回のマラウイでの草の根事業です。
亡を助長する栄養不良問題への介入は意義のある協力で
募金は,総額 2,500 ドル(約 30 万円)が集められ
あると考えています。
ました。不幸にもジワ氏は同年 8 月に亡くなりました
国際協力のプロジェクトは,生みの苦しみもさること
が,ジワ夫人とジワ氏出身のムジンゲ村の保健運営委員
ながら,育ての苦しみはそれ以上といわれています。当
会が故人の遺志を継ぎ,診療所の建設は進められまし
然のことながら当プロジェクトの前途にも政情不安,財
た。
政問題,飢饉など様々な困難が予想されます。劣悪な状
建設は,村人によりレンガ作りから始め,作られたレ
況下に暮らしていても笑顔を忘れない現地の住民らに勇
ンガは住民の手で積み上げられ,2004 年に小規模な
気をもらいながら,現地の住民とともに,困難にひるま
保健センター(ヘルスポスト)が完成し,現在は近隣村
ず,子どもの健康づくりに励み,募金の種から芽となっ
まで含めた保健活動の拠点として機能しています。これ
たこのプロジェクトに花を咲かせたいと思います。今後
らの施設が公的な保健施設として機能するために
とも,聖マリア病院をはじめ聖マリアグループの皆様の
2005 年に聖マリア病院から ISAPH が引き継ぎ,協
ご支援を心からお願いいたします。
力を行ってきました。
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68
JICA からの委託を受け,国際看護交流協会がモ
ザンビーク国の医療従事者学校教員指導力強化プロ
グラム(3 年計画)を計画し,本年度は 1 年目に
なります。聖マリア学院大学に依頼された目標は,
「看護教育における学内実習及び臨地実習での教育
指導者の役割を理解し,実習指導に関する知識・方
法を習得する」でした。男性 3 名,女性 5 名の研
修生を受け入れ,表 1 のようなスケジュールで研
修を行いました。
特に,聖マリア病院の多大なるご協力をいただ
き,4 名 1 組になって 2 病棟での看護学実習指導
をうらやましがっておりま
の実際を体験できました。
患者さんの了解をいただ
し た。 聖 マ リ ア 病 院 で の
国際協力ニュース
き,実際に看護学生がフィ
2 日間の研修は実り多い
ものであったとの感想が聞
ジカルアセスメントをして
いる場面やそれを指導する
教員の役割を学べ,研修生
は大変感激しておりまし
モザンビーク国別研修・医療従事者
学校教員指導力強化プログラム
モザンビーク国の看護教
育の状況はこれから改善・
「看護教員」を実施
た。また,病院見学ではタ
かれました。
構築という段階です。自国
に帰って国の状況に合わせ
ワー棟やヘリポート,CT
検査室,助産師が多かった
て変更しながら,研修での
聖マリア学院大学
濱野 香苗
こ と か ら NICU な ど の 見
学びを生かしていただきた
いと思います。
学ができ,施設のすばらし
さや大学と実習施設の近さ
表 1 研修スケジュール
月日
6/24
時間
9 時〜12 時
(月) 13 時 10 分〜
16 時 20 分
研修内容
オリエンテーション
研修計画の説明
講義・演習
堤 聖マリア学院大学
濱野 聖マリア学院大学
6/26 9 時〜11 時
病院見学
16 時〜
聖マリア学院大学
聖マリア学院大学
看護学実習要項の説明
(木)
矢野 中村 地域看護学方法論Ⅱ
6/27 8 時 30 分〜16 時
場所
講義・演習
6/25 9 時〜12 時 10 分
13 時 30 分〜15 時
講師
老年看護学方法論Ⅱ
(火) 13 時〜16 時 30 分
(水)
形態
濱野,牧, 杉本,中ノ森 病院についての質疑応答
中島,濱野 基礎看護学実習Ⅰ
臨床実習指導
本日のまとめ
6/28 9 時〜12 時 10 分
母性看護学方法論Ⅱ
(金) 13 時〜16 時
研修のまとめ
講義・演習
濱野,牧, 﨑田,秦 聖マリア病院
聖マリア病院
聖マリア病院
濱野,牧 聖マリア学院大学
桃井,川口 聖マリア学院大学
濱野,秦野,牧
聖マリア学院大学
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聖マリア病院にて実施された病院経営・財務管理コー
学で講義内容の理解が深まりました。たとえば,聖マリ
ス研修員を代表してご挨拶させていただきますことを光
ア病院見学,福岡県内ではブリジストン,トヨタ自動車
栄に存じます。今日で正式にコースは終了いたします
九州,東京の国立国際医療研究センター,神戸の,人と
が,私たち研修員にとりましては,今日という日が,各
防災未来センター,佐賀大学附属病院などです。視察に
国の病院サービス管理を変革するという長い旅の始まり
よって学びが深まりました。
研修以外にも,多くの観光を楽しみました。長崎県の
なのです。
2013 年 6 月 22 日土曜日に聖マリア病院に到着し
長崎原爆資料館訪問では,被害に会われた方々の苦しみ
たその日から今日まで,実に温かい心のこもったおもて
に心が引き裂かれました。決して忘れることはありませ
なしを賜りました。病院の皆様なくしてはすべては到底
ん。また,文化センターや博物館なども訪れ,日本の歴
かなわなかったでしょう。
史や文化について多くを学ぶ機会に恵まれました。私た
ちのつたない日本語にもかかわらず,日本の方々は誠実
研修中は病院経営の全分野を網羅したコースを受講し
ました。特に,研修員ほぼ全員
に敬意をもって接してください
にとって最も有益であったプロ
ました。
ジェクトサイクルマネジメント
国際協力ニュース
本プログラムのスポンサーで
ワークショップ,トータルクオ
あ る JICA, 私 た ち を 受 け 入
リティーマネジメント,また,
れ,講義をしてくださった聖マ
聖マリア病院の鮮明な実例によ
る PFFC の概念と実践,BPR
の取り組みといった科目から,
知識を拡充することができまし
た。私たち全員がプロジェクト
のアクションプランを策定する
JICA 集団研修「病院経営・財務
管理(A)」コースを修了して
リア病院の幹部の方々,および
職員の皆様,いつも私たちをサ
ポートしてくださった国際事業
部 の 皆 様,JICA ス タ ッ フ の
JICA 研修員
Mr. MVUNGI Robert Sostenes
(ボブさん)
方々,そして,このコースの成
功のために貢献してくださった
すべての方に心からお礼を申し
ことができました。帰国後これ
を出発点として病院経営改善に努めます。講義は満足の
上げます。
いくもので,よく理解することができました。また,見
最後に,獲得した知識を活用して各国・各組織の病院
経営改善に尽力することをお約束申し上げます。またこ
の場をお借りして,研修員諸君が無事に帰国されること
を祈ります。
DOMO ARIGATO GOZAIMASHITA.
〔国際事業部より〕
JICA 集団研修「病院経営・財務管理(A)
」は 6 月
24 日〜8 月 13 日の約 2 か月間,当院にて多数の職員を
講師として,さまざまな部署で講義見学,実習が実施さ
れました。上記の文章は,閉講式でのボブさんのスピー
開講式にて
チを採録し,編集したものです。
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70
当院は韓国カトリック医療協会との間で締結している
いました。理学療法士と作業療法士の数がとても多く,
医療技術協力協定の一環として,毎年 2 回,協会に加
患者と 1 対 1 でリハビリテーションを行い,共に運動
盟している韓国各地の病院から派遣される研修生を受け
している姿が印象的でした。
入れています。今回は 9 月 3 日から 9 月 14 日まで看
【厳基華さん(聖ビンセント病院)】
護師グループ研修を実施し,7 名の研修生が来院しま
した。終始明るい雰囲気で,どの講義,見学において
病院で働いているすべての職員が親切だと感じ,また
も,とても興味深そうに参加している姿が印象的でし
カトリックの理念を実践する模範的な病院だと思いまし
た。
た。患者優先の全人的医療を行っている聖マリア病院の
様々な事例を聞いたり,見たりすることができ,とても
以下,研修生の感想をご紹介します。これらから今回
いい経験になりました。
の研修が貴重な経験となったことがうかがわれます。ご
協力いただいた関係各部署の皆様,ありがとうございま
【金貞秀さん(大邱パティマ病院)】
した。
明るくて広い職場環境で,ど
の部署でも職員は明るく仕事を
【朴智賢さん(メリノル病院)
】
あらゆるところにマスク,手
袋,エプロン,手指書毒剤など
国際協力ニュース
うために努力を惜しまないとこ
ろが印象的でした。医療技術の
韓国カトリック病院協会
看護師グループ研修報告
が,勤務している職員の一人ひ
とりに患者中心,患者優先です
比べて全体的に静かで落ち着い
た雰囲気が良いと思いました。
すべての職員が温かく迎えてく
ださり,忙しい中でも一生懸命
進歩により機械や病室の構造な
ど外観は韓国と似ていました
者のための休憩施設,相談室な
どが多いことや,病院の規模に
が備えられており,費用はかか
るけれど,患者中心の看護を行
していて羨ましかったです。患
国際事業部
藤堂かつら
説明をしてくださったことに,
感謝しています。
【沈智恩さん(ソウル聖母病院)
】
べての業務を行う犠牲と奉仕の
すべての職員の方々がいつも笑顔で挨拶をしてくださ
精神がにじみ出ていました。
いました。そのおかげで研修ということで緊張していた
気持ちがほぐれました。ソウル聖母病院の病棟業務はす
【李淑照さん(聖パウロ病院)
】
看護師ごとに手指消毒剤を携帯していて驚きました。
べてが看護師によって行われていますが,聖マリア病院
1 年かけて行う新人看護師教育や,臨床心理士による
ではパート別にいろいろな職種が配置されており,看護
2 度のカウンセリングは私の病院でも導入したいと思
師が患者のケアに集中できる時間が多いと思いました。
一つ一つをしっかり記録していました
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71
【金明花さん(釜山聖母病院)
】
初期の看護ケアの後,リハビリテーションに比重を置
いている点が印象深かったです。高齢化に伴い,老人看
護や福祉のシステムが整っているという印象を受けまし
た。看護が徹底的に行われている点を見習わなければい
けないと思いました。
【車景姫さん(富川聖母病院)
】
素朴で謙虚な人々が集まって,患者を人間として接す
る病院だと感じました。研修開始当初は,聖マリア病院
の新しい建物と施設について学んでいこうと思っていま
みんなで踊る一幕も
したが,その他に,日本人の災難にあいながらもそれに
打ち勝ってきた姿や,譲り合い,相手を思いやる精神に
ついても学ぶことができました。これからもずっとこの
ような交流が続いていくことを願っています。
恒例の研修生主催の交流会
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72
2010 年 5 月,JICA(国際協力機構)よりウズベキ
しいというのが,今回,JICA から依頼されている業務
スタンでの NCD(non-communicable disease,非
内容であった。だが,たかだか 2 週間程度の本邦研修
感染性疾患)対策の協力を開始するので,聖マリア病院
と年に一度の現地指導で,具体的に NCD 対策として何
で研修員を引き受け,トレーニングしてほしい,という
を習得させれば良いのか? NCD という疾患は,具体
依頼があった。これがこのミニプロジェクトとのかかわ
的には地域に根差した食習慣や生活習慣にかかわって進
りのはじめであった。どんな研修内容を組めばよいのか
行する疾患と捉えることができる。とすると,NCD 対
を検討するために,同年 6 月の JICA ウズベキスタン
策を実践するには,これらの疾患が地域でどのように発
調査ミッションに加わり,同国の首都タシケント,およ
生しているのか,地域の病状を把握する必要がある。そ
びプロジェクトサイトとなるナボイ州を訪問した。あれ
れには住民を対象にした健康診断で情報を得るのが一番
から 3 年,ミニプロジェクトはあっという間に終わり
効果的であろう。このような考えから,私は,プロジェ
を迎えた。終わってみれば計画どおりつつがなく終了し
クト期間中に健診態勢の確立を目指し,健診活動の構
たように見えるこのプロジェクトも,実は JICA からす
築,実施の仕方などで研修内容を構築した。
プロジェクト 2 年目で,4 つの村で対象人口 1 万人
べてを丸投げされたような感じで始まった仕事であっ
に対して実際に健診実施までこ
た。
ぎつけた。ウズベキスタンの末
WHO(世界保健機関)は,
2015 年に現在の目標に掲げ
ている項目の達成年度を迎え
国際協力ニュース
端医療施設での検査設備は乏し
く,レントゲン機器,心電図機
器も十分にはないので,初期健
る。今の目標はほぼ達成が可能
と考えられ,次の目標に何を掲
診項目は身長と体重測定
げるかが議論されている。その
(BMR の計算)
,腹囲,血圧,
中で次のターゲットと考えられ
て い る の が NCD で あ る。
JICA ウズベキスタン国非伝染性疾患
予防対策支援プロジェクト終了報告
味する言葉であり,厳密に言え
ば,CD の中には麻薬や外傷性
簡単な内容の健診だったが,こ
れまで異常を認識していなかっ
“NCD”は“CD”つまり感染
症に対してそれ以外の疾患を意
尿糖チェックに絞った。非常に
国際事業部
浦部 大策
た人の中に,尿糖異常の人,血
圧の高い人など,既に生活習慣
病の範囲に入る人,ハイリスク
者を多数同定することができた。
疾患なども含まれる。しかし
WHO が NCD と表現した場合,糖尿病や高血圧など,
このミニプロジェクトをとおして,ウズベキスタンで
特に日常の食生活にかかわりの深い生活習慣病を指すも
は健診結果に基づく NCD 対策の立案という流れを理
のとされている。現在世界中で国民の健康に同様の疾病
解・実践できるようになった。JICA の要請に応え,高
傾向がみられており,疾病対策も感染症から生活習慣病
い評価をいただいてプロジェクトは終了した。聖マリア
に重心が移ってきていると考えられている。
グループの健診関係の方々にも多大なご支援をいただ
き,この場を借りて厚くお礼申し上げたい。
さて,ウズベキスタンの人たちに,研修をとおして国
家レベルでの生活習慣病対策を立てる考え方を教えてほ
アクションプラン発表会にて
健康診断機関の見学─すこやか健康事業団総合健診セ
ンターにて
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73
1995 年度に JICA 特設コースとしてスタートした
義の一つに加えています。今年は,11 月 7 日に見学
第 1 回目の参加者は,エチオピア,ガーナ,イラン,
しました。この日はたまたま東日本大震災の映画を見る
セネガル,タイ,ザンビア,インドネシア,キルギスタ
機会もあり,研修員は時には涙を浮かべながら,展示や
ンの 8 カ国 8 名でした。このコースが聖マリア病院に
DVD そしてボランティアの方の説明を熱心に聞いてい
委託された背景には,当院が長年にわたって培ってきた
ました。
病院経営 ・ 財務管理についての知識・ノウハウの集積,
その翌日,11 月 8 日にフィリピンを襲った大型台
また開発途上国の病院経営に専門家を派遣してきた実績
風 30 号(ハイエン)のことはみなさん記憶に新しい
があります。JICA はその実績を活用して,病院経営 ・
ところだと思います。また,コースに参加されていた
財務管理の知識習得を目的とした研修の実施を当院が委
フィリピンレイテ島レイテ州立病院からの研修員 Dr.
託されました。
Absin Ofelia Corbes(オフェリアさん)に対する義
その後,昨年(2012 年度)までの 18 年間に 58
援金を募集したところ,短期間の募集であったにもかか
か国 167 名の研修員が無事研修を修了し,自国で研修
わらず多額のご支援をいただきましたことに厚く御礼申
の経験を生かした取り組みに従事してくれていることと
し上げます。
思います。このコースは昨年度
台風の翌日オフェリアさんが
でいったん終了し,今年度から
「スギモトさん。フィリピンは
国際協力ニュース
JICA と新たな契約を締結し実
大変なことになっている。家族
施しました。以前のコースと大
とも病院とも連絡が取れない。
」
きく異なる点は,年 2 回の実
と目を真っ赤にして言ってきた
施となったことです。これまで
JICA 東京(国立保健医療科学
院)と JICA 九州(聖マリア病
2013 年度 JICA 課題別研修「病院
経営・財務管理」コース終了報告
が,1 か 所 に ま と ま る 方 向 で
幸 い,11 月 11 日 に は オ
フェリアさんのご家族の安全が
確認されましたが,病院は屋根
院)の 2 か所で行われていた
病院運営に関する課題別研修
時のことは忘れられません。
国際事業部
杉本 孝生
が吹き飛ばされ,とても診療に
使える状態ではなくなっていま
した。彼女は,すぐにでも帰国
調整された結果,当コースが継
続することになりました。
したかったでしょうが,現地の状況が全くわからないな
しかしながら,病院運営コースに参加したいという要
か帰国することもできず,11 月 15 日の研修終了まで
請は,これまで以上に各国で増加しており,昨年 10
滞在し,移動に邪魔になる家族へのお土産などの荷物を
月の時点で,22 か国から 27 名の枠が希望されてきて
残したまま,井手理事長から贈られたマリア像とロザリ
いました。そこで,今年から年 2 回に分け,A コース
オを抱いて帰国しました。
6 月 17 日 〜 8 月 13 日,B コ ー ス 9 月 17 日 〜 11
月 15 日の実施となりました。限られた医療資源を有
効活用し,地域住民へ安心・信頼できる医療を効率的に
提供する体制づくりは,日本,途上国にかかわらず最も
優先度の高い行政課題の一つとなっています。次年度以
降も多くの研修員が期待に胸をふくらませて来日しま
す。さまざまな講義を担当していただいている講師の皆
様には引き続きよろしくお願いします。
また,このコースでは,日本の防災体制をモデルケー
スとしながら防災対策を学び,各研修員の安全管理・防
災対策についての認識を深める,という視点から,「阪
Bコースの閉講式にて
研修修了に研修員の表情も和らぎます.
神淡路大震災記念 人と防災未来センター」の見学を講
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当院は平成 22 年より毎年,釜山カトリック大学校
老人療養管理学科 4 年生の学生インターンシップを受
け入れています。今年は 4 回目で,9 月 1 日から 11
月 30 日までの 3 か月間,福成会ケアハウスメゾンマ
リア,聖マリア病院連携推進部(医療相談室)
・ケアプ
ランサービス・聖母の家において,学生 2 名の研修が
行われました。各部署での実習のみならず多くの体験を
して充実した 3 か月を送ることができたようです。ご
協力いただいた関係各部署の皆様,ありがとうございま
した。
以下に,研修生 2 名の感想を掲載します(研修生の
日本語によるレポートを編集したものです)
。
くてたくさんは会えませんでしたが,一緒に日本のラー
メンや焼き鳥を食べに行きました。韓国に帰国する前に
送別会をしてくれて,プレゼントももらって,韓国に
帰ってからもずっと連絡することができる日本の友達が
できて良かったです。このような良い経験をさせていた
だき本当にありがとうございました。機会があれば日本
にまた来たいと思います。
[鄭惠先(ジョン・ヘソン)さん]
こんにちは。私は釜山カトリック大学老人療養管理学
科 4 年生の鄭惠先と申します。9 月から 12 月までの
3 か月間,聖マリア病院で研修をしました。ケアプラ
ンサービス,メゾンマリア,医療相談室,聖母の家で実
[金眞英(キム・ジンヨン)さん]
習をしました。近年,韓国も高齢化社会に突入してお
こんにちは。聖マリア病院で 3 か月の間インターン
り,先に高齢化社会となった日本で様々なことを学びた
シップをしていた釜山カトリッ
いと思いました。韓国にはない
ク大学老人療養管理学科 4 年
ケアプランのサービスや介護福
生の金眞英と申します。この度
祉士について新たに勉強し,デ
の研修では,ケアプランサービ
イサービスセンター,デイケア
ス,メゾンマリアのデイサービ
センター,医療相談室では韓国
ス,聖母の家,医療相談室で実
と日本の共通点と相違点につい
習をしながら,韓国だけでなく
て 知 り ま し た。3 か 月 の 間,
釜山カ
トリック大学校老人療養
日本の福祉と医療について多く
いたらないことも多かったので
のことを学びました。まず最初
すが,みなさんに親切にしてい
管理学科学生インターンシップ
に,ケアプランサービスは,韓
ただきありがとうございまし
国にはない制度として期待して
た。研修期間中に日本の文化や
いた実習で,日本の多くの家庭
制度について多くを学びまし
国際事業部
の雰囲気も見ることができる機
た。実習以外の行事にも参加で
藤堂かつら
会でした。メゾンマリアと聖母
きて楽しかったです。JICA 交
の家は韓国にも似たような施設があるので,どのような
流会,聖マリア学院大学のお祭り,外出行事などさまざ
違いがあるのか比較しながら実習することができまし
まな行事に参加しました。JICA 交流会を通じて日本文
た。医療相談室は,日本の医療保険と様々な制度を学ぶ
化について学び,長崎,熊本見学をして楽しい時間を過
ことができてよかったです。実習だけでなく,日本での
ごしました。聖マリア学院大学に友人ができ,一緒に遊
3 か月間の生活も楽しみました。最初は,長い時間海
んでお祭りにも行きました。日本人の友達ができて嬉し
外で生活したことがないので心配もたくさんしました
かったです。実習だけでなくこのような経験ができて良
が,ホームシックもなく無事に過ごせました。通常,な
かったです。私が日本を理解するために役立つ経験とな
かなか会うことがない国の人々である JICA 研修員との
りました。3 か月間とても良い思い出がたくさんでき
思い出もたくさん作りました。JICA 交流会で出会った
ました。本当にありがとうございました。
聖マリア大学の学生と友達になりました。それぞれ忙し
国際協力ニュース
JICA 研修員と共に日本文化体験
(金さん,左から2人目)
利用者と一緒に(鄭さん,右)
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平成 25 年 12 月 2 日から 12 月 19 日まで,アフ
た。また,生活面でも宗教上食べることができない物以
ガニスタンの助産師 20 名(全員女性)の青年研修を
外,スーパーマーケットやファーストフード店などの食
実施した。青年研修は,将来のリーダーとして母子保健
品にもトライし,私たちの心配は杞憂に終わった。マリ
分野における実施体制の課題解決を担う青年層の知識と
アンハウスに 20 名は宿泊できないため,西鉄久留米
意識の向上を図ることを目的として実施されるもので,
付近のホテルから毎日電車で移動してもらったが,自国
本法人としては初めて経験する研修形態であった。さら
では経験できない電車通勤や外部機関への移動のバスの
に,アフガニスタンは女性の立場が弱く内戦状態が続い
車内ではアフガニスタンの歌をみんなで合唱するなど,
ている国であるとの認識から,日本滞在中の生活面への
移動の時間も楽しんでくれていた。
またとない機会なので,聖マリア学院大学学生に対し
配慮はもちろん講義や見学の内容についても不安を抱き
てアフガニスタンの母子保健の実情について研修員がプ
ながらの受け入れとなった。
このコースが設置された背景には,アフガニスタンの
レゼンする機会を設けた。プレゼン後の質疑応答では,
妊産婦死亡率の高さという深刻な状況がある。この妊産
「出産に際しハイリスクの母子は助けることができな
婦死亡率を低くするためには,
い」,「毎日限られた施設で多く
妊娠中,特に出産時において,
の分娩を担っているので,出産
母親がより良い医療サービスに
アクセスできるようにすること
国際協力ニュース
する行政官の能力不足が大きな
課題となっていることから,本
平成 25 年青年研修「アフガニスタン
母子保健実施管理コース」
化にかかわる研修項目が含まれ
ることが望まれていた。こうし
も難しい状況の中,せっかく医
療施設で分娩できても,帰宅時
に自爆テロに遭遇して家族全員
が亡くなった」,「毎日家を出る
研修においても母子保健行政能
力向上に資するマネジメント強
病院を出なければならない」,
「医療施設にアクセスすること
が必要である。また,アフガニ
スタンでは母子保健行政に従事
後 母 子 は 2〜6 時 間 く ら い で
ときには『行ってきます』では
国際事業部
杉本 孝生
なく『さようなら』と家族に
言っている」,「タリバン時代に
ムチ打たれたことが忘れられな
た背景を踏まえ,聖マリア病院
が長年にわたって培ってきた母子保健についての知識・
い」などというコメントに,言葉を失い涙する学生がい
ノウハウの集積と,開発途上国の母子保健分野に専門家
たことはとても印象的なことであった。
を派遣してきた実績を活用して,母子保健の知識習得を
私たちでは想像もできないようないろいろな困難を経
目的とした研修を JICA より受託,実施することとなっ
験してきた彼女たちが,研修期間中とても明るく積極的
た。
だったのは,自分たちが国の将来を担う子どもたちの誕
研修が実際に始まると,彼女たちはとても明るく積極
生にかかわる仕事に就いているという自負心や自信から
的に講義・討論・実習・演習・発表に取り組んでくれ
くるものだろうか。
医師会看護学生との交流会で折り鶴に挑戦しました。
完成した千羽鶴は長崎原爆資料館に寄贈予定です。
看護学生分娩介助実習の見学にて。研修員も自国の
方法を実演して見せてくれました。
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ラオス母子保健プロジェクトでは現在,ISAPH の活
いるかを 1 世帯につき 1〜3 人を対象とした聞き取り
動地区の 1 つであるカムアン県セバンファイ郡シーブ
調査を実施しました。この聞き取り調査によって,5
ンアン地区ブンフアナー村ドンサワン集落(人口 209
月の時点では寄生虫予防方法や感染経路を理解・認識し
名)で寄生虫感染予防対策を重点的に行っています。
ていない人たちが多くいましたが,今年の 1 月の再調
これまで,シーブンフアン地区在住の 70 名前後の
査では,対象者の多くが前回の調査より理解度・認識度
母親と子どもを対象として 2009 年と 2011 年に腸
が高まっていました。このことは,郡保健局と ISAPH
管寄生虫感染状況調査を行いました。いずれにおいても
が共にこのプロジェクト開始から毎月数回の健康教育を
母親の感染率は 80%を超えており,子どもの感染率も
実施してきた成果と考えられます。
約 40%と極めて高い感染状態であることがわかりまし
■便検査による腸管寄生虫感染状況調査
た。腸管寄生虫に感染することは低栄養状態や貧血など
を導く要因の 1 つであるため,腸管寄生虫感染予防対
2013 年 5 月と 11 月には,聖マリア病院国際事業
策は県や郡保健局をはじめ,われわれの課題の 1 つと
部の山崎専門家がこのプロジェクトに合流し,郡保健局
職員とともに対象集落で便検査
なっていました。
こ う い っ た 背 景 の な か,
国際協力ニュース
2012 年 7 月 に ISAPH の カ
を実施しました。便検査の結果
から約 70%の住民がなんらか
ウンターパートである郡保健局
の寄生虫に感染していることが
と県保健局から ISAPH へ腸管
確認されました。特に経皮感染
寄生虫感染予防対策実施の支援
ラオス寄生虫感染対策プロジェクト
した後,小腸に寄生し吸血する
要 請 が あ げ ら れ ま し た。
実施報告
鉤虫や川魚を生で食べることに
ISAPH はその要請を受け,パ
イロット地区を設定し寄生虫に
関する理解度調査,腸管寄生虫
感染状況調査,駆虫剤投薬と駆
より感染するタイ肝吸虫の虫卵
ISAPH ラオス事務所
楾 清美
を保有している住民が多くみら
れました。現在,寄生虫卵保有
者へは駆虫剤投薬と駆虫効果の
判定のため便検査を繰り返し
虫効果の検討,衛生行動改善の
ための健康教育などを計画し,公益信託今井記念海外協
行っています。
力基金にご支援をいただき,2013 年 5 月から寄生虫
2013 年 5 月と 11 月の感染状況は同様でしたが,
感染予防対策プロジェクトを実施しています。
聞き取り調査の結果から知識と認識度は少しずつ高まっ
てきています。今後も引き続き,健康教育を繰り返し行
■聞き取り調査
うことによって住民の寄生虫予防にかかわる衛生行動が
徐々に変化することが期待されます。
2013 年 5 月と 2014 年 1 月には寄生虫の種類や
感染経路,予防方法についてどれくらい住民が理解して
聞き取り調査による理解度や認識度の確認
駆虫薬を飲む子ども
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編集後記
平成 25 年度の聖マリア病院国際協力年報第 15 号をお届けいたします。今年度の研修受入事
業においては国・人員共に過去最多の受入数となりました。マラウイでの草の根技術協力も始ま
り、国際協力に関わる人の出入りが活発になっています。本誌をはじめ国際協力活動に対するお
問い合わせ・ご意見・ご感想などがありましたら、どしどしお寄せください。今後ともご支援を
よろしくお願いいたします。
■聖マリア病院国際事業部ホームページ
http://www.st-mary-med.or.jp/shinryo_ka/m_kokusai.php
平成 26 年 10 月 31 日
国際事業部
藤堂
かつら
Fly UP