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「山の日」施行に向けた山岳遭難救助体制の強化等について
各 地 方 機 関 の 各都 道府 県 警察の (参考送付先) 警 察 大 学 校 各 管 区 警 察 学 校 長 長 原議保存期間 1年(平成29年3月31日まで) 有 効 期 間 二種(平成29年3月31日まで) 警察庁丁地発第36号 平 成 2 8 年 3 月 1 1 日 警察庁生活安全局地域課長 殿 長 長 「山の日」施行に向けた山岳遭難救助体制の強化等について(通達) 山岳遭難救助体制については、 「山岳遭難の防止対策に関する要綱の制定について」 (昭和62年11月30日付け警察庁丙勤発第69号)において、その整備・確立を指示し、 各都道府県警察においては山岳遭難救助隊等が救助の任に当たっているところであ る。また、近時は、日本アルプス等の山岳地帯だけでなく、里山等の比較的低山にお いて多発している山菜採り等による遭難のほか、スキー場管理地以外におけるいわゆ るバックカントリースキーによる遭難等、様々な救助現場において的確に対応する能 力・経験が必要となっている。こうした状況の中、本年から8月11日が「山の日」と して祝日となることで、登山者の一層の増加が予想され、これに伴う遭難の増加も懸 念されるところである。 そこで、各都道府県警察にあっては、救助活動の高度化を図るとともに、殉職、受 傷事故の絶無を期すため、下記事項に留意の上、山岳遭難救助体制の強化を図られた い。 なお、この通達の実施に伴い、「山岳遭難救助体制の強化等について(通達)」(平 成26年9月19日付け警察庁丁地発第146号)は廃止する。 記 1 山岳遭難救助体制の強化 ⑴ 体制の整備 山岳遭難救助活動を安全かつ的確に行うためには、体制の整備が不可欠である。 各都道府県警察にあっては、山岳遭難の発生状況等を踏まえ、地域の実情に応じ た救助体制の整備を図ること。 ⑵ 適格者の選任と適切な人事配置 救助隊員は、知識、経験、体力等を考慮して適格者を選任すること。隊員の育 成及び技能の伝承を確実に行うためには、計画的な体制作りが必要となることか ら、隊員の選任後は関係部門と連携して、適切な人事配置に配意すること。 ⑶ 消防機関、民間救助隊等との連携強化 山岳遭難は多様であり、警察のみでその救助活動を完遂することは困難である 場合が多い。したがって、消防機関、地元の山域に精通している民間救助隊等と 平素から訓練を実施するなどして連携を図り、山岳遭難発生時には必要に応じ、 協力して救助活動を行うよう配意すること。 ⑷ 装備資器材の充実 救助活動に支障が生じないよう、装備資器材は計画的に更新整備を行うととも に、既存備品の開発改善及び新規整備に積極的に取り組むこと。また、平素から 救助用装備品、無線機等の点検・整備をし、救助活動に齟齬が生じないよう配意 すること。 ⑸ 教養訓練の実施 警察庁主催の全国山岳遭難救助指導者研修会への参加者による伝達教養、航空 隊と連携したホイスト訓練、他県警察との合同訓練、全国山岳遭難対策協議会へ の参加等により、救助活動にかかる実戦的な知識・技能の向上に努めること。 また、富山県警察、岐阜県警察及び長野県警察において過去に実施している海 外研修、山岳救助技術の習得を目的とした他県警察への派遣・出向等もその知識 ・技能の向上に極めて有効であることから、各都道府県警察にあっては、地域の 実情に応じ実施の可否について検討すること。 なお、各訓練については年間計画に沿って実施し、隊員が確実に訓練を受けら れるよう業務上特段の配意をされたい。 ⑹ 警察庁指定広域技能指導官の積極的活用 警察庁指定広域技能指導官(山岳救助)は、多数の救助活動の経験を有し、極 めて卓越した山岳遭難救助技術、登山技術及び極限状況における的確な判断能力 を有していることから、山岳遭難救助に携わる警察職員の専門的技能及び知識の 向上や山岳遭難救助隊員等としての誇りと使命感の醸成を図るため、各種学校教 養、警察署等の職場における研修会等に講師として招へいするなどして、積極的 な活用に努めること。 2 受傷事故防止等の徹底 ⑴ 現場責任者の的確な指示 山岳遭難救助隊等の出動及び訓練に際し、山岳遭難救助隊長等の現場責任者は、 当該現場において想定される危険を回避するための具体的な指示を行うほか、活 動中の動静には常に注意を払うこと。 また、二重遭難等の危険が高いと判断した場合は、救助活動を中止することを 含め最善の措置を取ること。 ⑵ 自己の安全確保 救助、捜索に当たる救助隊員等は、「自分の身は、自分で守る」、「単独行動の 禁止」を原則とすること。 また、自らの体力、技術及び経験を冷静に判断して、安全な救助活動に努める ことを徹底し、受傷事故の絶無を期すこと。 3 士気高揚施策の推進等 山岳遭難救助活動には高度の危険性を伴うことから、山岳遭難救助業務の適切な 評価と積極的な表彰の実施の推進、職員の能力・実績に応じた人事管理の徹底を図 るほか、山岳遭難救助に関する積極的な広報活動を推進し、山岳遭難救助隊員等の 士気高揚を図ること。 また、本年は、祝日「山の日」に向けた様々な山岳イベントが計画されているこ とから、これらのイベントを広報の絶好の機会ととらえ、山岳遭難救助隊等の活動 状況や救助事例について広報を行うことにより、山岳遭難防止啓発と併せて隊員等 の士気高揚等を図ること。